風間杜夫×濱田めぐみが、芝居で歌で魅せる、異文化の人間の心の交流 ミュージカル『バンズ・ヴィジット』
そうすると、セリフを言うときに、その裏にあるものを理解しながら口にすることができるんですね。
──風間さんは新作に臨まれるときには、どんな取り組み方をされるのですか。
風間日本の現代演劇の若手や中堅の作り手に呼ばれるときは、必ずと言っていいほど新作ですからね。しかも、稽古初日に台本が全部上がっていることはめったにない(笑)。赤堀雅秋くんもそうでしたけど、稽古をしながら台本を書く。岩松了さんももうベテランですけど同じで、僕らは準備のしようがないんです。新宿梁山泊は唐十郎の過去の作品をやったりしますけど、唐さんの戯曲は難解で僕らにはわからないですから、やはり演出家に聞くしかない。すると演出家は、「誤読でいいじゃないか。
どんどん誤読していこう」なんて言う。ですから、濱田さんがおっしゃったような作業は、僕は経験がないんです。そういえば、初めてやったミュージカルでは、大竹しのぶさんが濱田さんと同じようなことをしていた記憶があります。演出家がマリア・フリードマンというイギリスの女優さんだったので、この日本語のセリフはおかしいんじゃないかとおっしゃって、しのぶちゃんと一緒に英語と比較しながら検討していました。