綾野剛×大友啓史が掴んだ映画の可能性「観たことのない映画ができた」
台本があって、今野と日浅という役がいるから、フィクションのような気がするけど、僕が意識していたことは、そこで起きたことをそのまま切り取って記録するということで。何が決定的な方向違いがない限り、できるだけ、そのまま、生のままで切り取っている。でもそれは若いカメラマンではできないことで。数多のドキュメンタリーやフィクションを撮影してきた(撮影の)芦澤(明子)さんだから、そこに流れてくる見逃してはいけない瞬間や感情を、僕の思いともしっかり同期しながら、つかまえてくれた。そして僕はそれに満足して、毎晩ひとりでおいしいお酒を飲んでいたっていう(笑)。そんな日々でした」(大友)
いつだって僕は裸足で歩いている
昨年公開の『楽園』、『閉鎖病棟 ―それぞれの朝―』、そして今回の『影裏』。立て続けに公開された一連の作品を、綾野は「三部作」と位置付けて、その背景にあるものを説明した。
「撮影は、『影裏』、『楽園』、『閉鎖病棟』の順番だったんですけど、この三部作では表層的な瞬発力をあてにしないでやってみようと考えていました。
わかりやすく言うと、この三部作では髪型も変えていないし、見た目も体重も変えていない。