綾野剛×大友啓史が掴んだ映画の可能性「観たことのない映画ができた」
役者は、現場に行ったら毎回ゼロスタート。知恵とか見識は増えて、楽する方法も覚えて、どんどん芝居が上手くなっているかと思いきや、毎回ゼロからやり直し。大変な仕事だなと思います」(綾野)
途方もない道だ。まだ誰にも切り開かれていない荒野を、地図も磁石もなしに、歩いていく。それが、役者として生きていくということ。「歩き方ぐらいはずいぶん成長したのかなと思います」と付け加えて、最後にこう結んだ。
「まあいつだって裸足で歩いているので。そういうものなのかと思います」(綾野)
そう世界一幸せそうな苦笑いを、綾野は浮かべた。
丈夫なトレッキングシューズなどいらない。足の裏にいくつもの傷をつくりながら、これからも綾野剛は荒野を歩き続ける。
『影裏』
公開中
(撮影/杉映貴子、取材・文/横川良明)