激動と混沌のなかで見えた希望――2020年音楽シーン振り返り&2021年要注目アーティスト(バンド編)
新型コロナウィルスの影響であらゆることが一変した2020年。もちろん音楽シーンにとっても大きな変化と困難に直面する年となった。とりわけ、ライブハウスを主戦場に活動してきたバンドたちにとっては「ライブができない」という一点において、両手両足を縛られたような状態で活動しなければならない、とても苦しい1年だっただろう。
不要不急といわれ、ライブハウスが悪者扱いされるようなふざけた状況のなか(もちろん、その状況はまだ終わっていないが)、腐ることなく果敢に戦い続けるバンドたちの存在に、勇気づけられた人も多かったはずだ。ライブができないという状況のなかでも、すばらしい作品はたくさん生まれた。オンラインライブなどの新たな表現の形に挑戦して、幅を広げたバンドも数多くいた。そんな2020年のシーンを、個人的視点で振り返ってみたい。
2020年のロックシーン、まずどでかい狼煙を上げたのは前年の大晦日に紅白歌合戦への初出場も果たし、名実ともに国民的人気バンドへのステップを上ったKing Gnuだ。
1月にリリースされたアルバム『CEREMONY』は、楽曲を書く常田大希の個人的視点、バンドが培ってきた音楽的な進化、もちろん個々のメンバーの圧倒的なスキル、そしてスタジアム級の観衆をロックすることをあらかじめ企図しているかのようなスケールの大きなサウンド。