激動と混沌のなかで見えた希望――2020年音楽シーン振り返り&2021年要注目アーティスト(バンド編)
それぞれのバンドがそれぞれのやり方で、オンラインで音楽を届ける方法を模索していた。たとえば7月に梅田シャングリラから配信ライブ「電波鼠」を開催したキュウソネコカミ。彼らにとって今年は10周年、かつ「ねずみ年」という記念すべき1年だったのだが、コロナでほとんどの予定が吹っ飛ぶなか、オンラインならではの演出も含めて、お客さんありきではないキュウソ流エンターテインメントを表現してみせた。
フレデリックのアコースティック配信ライブ「FABO!! ~Frederic Acoustic Band Online~」も印象的だった。ライブハウスで盛り上がれないからこそ、違った切り口で音楽の豊かさと楽しさを伝える、そんな意思が貫かれていたし、何よりメンバー自身が楽しそうに演奏しているのがよかった。SUPER BEAVERは新木場スタジオコーストでのライブを「LIVE document」と銘打ってひとつの「作品」として提示してみせた。彼らは12月には横浜アリーナからの無料配信ライブも開催したが、いずれも観客の目の前でライブを行うことができない状況のなかで自分たちに何ができるのかを考え抜いた「答え」だった。