激動と混沌のなかで見えた希望――2020年音楽シーン振り返り&2021年要注目アーティスト(バンド編)
まさに彼らにとっての集大成であり、シーンの景色を一変させるパワーをもったアルバムで、実際に上半期のトップセールスという結果でそのパワーを証明してみせた。そのまま春にツアーをやっていたらどんな風景が生まれていたのかと思うと返す返すも残念だが、配信ライブなどを経て11月から12月にかけてついに開催されたアリーナツアーで、彼らはきっちり落とし前をつけてくれた。筆者は武道館公演を観たが、バンドのストーリーをきっちりと伝えつつ、その先をはっきりと見せつける、見事なステージだった。
King Gnu - 千両役者
そのKing Gnuに並んで、上半期個人的に強烈な印象を残した作品が、マカロニえんぴつのアルバム『hope』だ。前年の躍進を決定づけるクオリティの高い楽曲が詰まった作品で、かつ、緊急事態宣言下で混沌とした当時の状況に対するメッセージとしても、しっかり時代とリンクするアルバムとなった。彼らもライブができない状態でも配信ライブやSNSを駆使してファンとのコミュニケーションを図り、秋にはメジャーデビューという形で新たな一歩を刻んだ。少しも止まることなく未来に向かって進み続けた姿勢そのものが、まさに文字通りの「hope」