離ればなれで育ったふたごの物語 劇団四季『ふたりのロッテ』約10年ぶりに上演中
劇団四季ファミリーミュージカル『ふたりのロッテ』より(撮影:荒井健)
双子を演じるふたりの俳優(観劇した日は田原沙綾と大河原萌乃佳)は、相当稽古を積んだのだろう。外見をよく似せているのはもちろん、声を合わせて言う台詞もぴったりとそろっていて、本当の双子のようだった。さらに、ふたりを取り巻くミュンヘンとウィーンの少女たちも、とても難度が高くテンポの速いダンスを生き生きとこなし、美しいコーラスを聴かせる。ファミリーミュージカルとはいえ、大人だけで観劇しても観応えは十分だ。
小さな子どもは、面白くなければ正直に反応するため、もっとも厳しい観客と言われるが、パルフィー氏と、彼の手紙を口述筆記するレージとのコミカルなやり取りや、ルイーゼが慣れない料理に挑戦して大失敗する様子など、笑い声が上がる場面も多く、誕生日のシーンでは、舞台と客席がひとつになって手拍子がわき起こった。また、物語の中でパルフィー氏が、自分が指揮する『ヘンゼルとグレーテル』の曲を口ずさむシーンがあるが、実際にエンゲルベルト・フンパーディンク作曲の同名のオペラの曲が使われ、唯一の敵役とも言えるイレーネは、やはり同オペラの中の、お菓子の家から魔女が現れるシーンのフレーズを歌いながら登場するのも、わかりやすく工夫が凝らされていて面白い。