『カツベン!』高良健吾&現役弁士・片岡一郎が振り返る舞台裏「映画の始まりの時代を生きられた」
てっきり芝居のように感情を込めてやるものだと思っていたので驚きでした」(高良)
「個々のキャラクターに感情を込めるのではなく、作品を語るのが活動弁士。作品を語るためには、個々に入り込みすぎるとかえって散漫になってしまうわけですね。特に高良さんが演じた茂木は正統派の弁士。なので、現代のお客さんにはちょっとわかりづらいかもしれないけど、語りのプロが見たときに『この人はうまい』と思ってもらえるものに持っていきたかったんです」(片岡)
学識肌の片岡は、指導も論理的で理路整然。その中に感覚的なアドバイスも盛り込み、「それが自分にはフィットした」と高良は顔を綻ばせる。特に役立ったのが、一人で老若男女を演じる際に必要な声色の使い分け方。片岡はピンボールを例にこんなアドバイスを送った。
「口の中にピンボールサイズの空気の塊をイメージするんです。
高い音を出したいときは、この空気の塊を上に上げる。逆に低い音を出したいときは、下に下げる。そうすると、体に負担をかけず、意識の持ち方だけで音の高低差をつくることができるんです」(片岡)
「それも上下の2種類だけじゃなくて。たとえば女の子を3人演じるなら、この女の子は右上、この女の子は左上というふうにピンボールの位置を変えてみる。