野村萬斎演出『子午線の祀り』が2021年版としてリニューアル 神奈川、名古屋、久留米、兵庫でも公演
『平家物語』を題材に、2017年に野村萬斎の新演出で上演し、数々の演劇賞を受賞した舞台『子午線の祀り』。世田谷パブリックシアター開場20周年記念として、本舞台が戯曲の芯をとらえ直し、ダイナミックかつテンポ感を増した2021年版として新たに生まれ変わり上演されることが分かった。
『子午線の祀り』は、木下順二が『平家物語』を基に“天”の視点から人間たちの葛藤を描き、平知盛や源義経をはじめとする源平合戦にかかわった登場人物たちを躍動感をもって浮き彫りにし、心理描写も巧みな壮大な歴史絵巻に仕立て上げた戯曲。日本語の“語り”の美しさと荘厳な響きを引き出す群読という独特な朗誦スタイルを随所に用い、演劇史に確固たる地位を築いてきた作品として広く知られてきた。
その戯曲を受けて宇野重吉、観世栄夫、木下順二らの演出による初演が1979年。能・狂言、歌舞伎、現代演劇で活躍する俳優、スタッフがジャンルを越えて創り上げ、高く評価された。その後、幾たびもの上演を経て、この伝説的な舞台が、野村の新演出により世田谷パブリックシアターで上演されたのが、3年前の2017年のこと。
世田谷パブリックシアターの芸術監督として長年にわたり、作品を数多く演出してきた野村の集大成のひとつともいえる2017年版の上演は、宇宙的な視座を持つ作品の深い考察、個人と全ての人間の運命を包み込む宇宙の対比、群読による日本語の美しい響きと身体性を活かしたダイナミックな演出が高く評価され、読売演劇大賞最優秀作品賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞。