【LIMIA歳時記】10月は「神無月」。秋が次第に深まっていきます
10月は陰暦で「神無月」。由来として、「全国の神様がみな、出雲大社に行って1年のことを話し合うためいなくなる月」という説が有名ですが、これは中世以降の後付けの俗説だとか。だんだん空が高く澄んでくる頃ですね。「LIMIA歳時記」では、季語と、それにまつわるストーリーを月に1回ご紹介しています。
甘い「葡萄」を頬張って
小さくまるくて紫色や緑でいい香り。口に含んで噛むとやわらかく弾けて甘ずっぱい味がひろがる……。そう、いまの季節、とてもおいしい「葡萄」は秋の季語なのです。
葡萄は、もともとアジアの西部からヨーロッパ南部にかけての一帯が原産地。
中国では、唐代(とうだい)の漢詩に「葡萄ノ美酒夜光ノ杯(ぶどうのびしゅやこうのさかずき)」とうたわれているように、古くから葡萄酒として飲まれていたようです。
葡萄は中国から日本にもたらされました。その後、自生していたツルが鎌倉時代に発見され、栽培が始められたといわれています。それが、今よく知られている、山梨県の名産である《甲州》という品種なのですね。
葡萄はそのまま食べてももちろんおいしいのですが、私にとって葡萄といえばワイン。日本へはポルトガルからの南蛮船によって持ち込まれました。