「そもそも記憶にないと嘘をつくこと自体は、直接偽証罪で処罰対象とされません。
また、裁判や証人喚問、刑事の取り調べで、本人の意思に反してうそ発見器を使用することは、違法な捜査となるおそれがあります。
他方、偽証罪で処罰できる場合も、主観的に記憶した事項として供述した事実が虚偽であったことが立証されればいいので、精神鑑定やうそ発見器は不要です」(星野弁護士)
ちなみに、後から思い出したり、記者会見や手記、取材などで「思い出しました」と話し出しても偽証罪の対象にはならないそうです。
■証人喚問でなく、一般の弁護ではどうなのでしょうか?
星野弁護士に、一般の弁護でこの「記憶にございません」に悩まされるケースがあるかも訊いてみました。
「悩まされたことはありません。
そもそも『記憶にありません』では偽証罪に問われませんが、虚偽陳述を偽証罪に問わなくても、証言内容が虚偽であることが他の証拠で立証できれば、裁判に影響はないからです。
裁判の証人尋問での不自然な沈黙や『記憶にありません』との供述はそれ自体証人の証言の証明力を疑わせ、裁判所がそれを考慮して判決を出すので、わざわざ偽証罪の問題を持ち出すことの実益は基本的にありません。