解任で慰謝料請求検討のハリルホジッチ前監督…主張は認められる?
慰謝料という点について、慰謝料は精神的損害に対する賠償金を意味しますが、解任という行為自体の有効性が否定されるような場合でもない限り、契約上の解任権限を行使されたことのみをもって、精神的損害が生じたと言うことまでは難しいのではないでしょうか。」(大達弁護士)
■名誉棄損に該当する?
「名誉棄損とは、公然と事実を摘示して人の社会的評価を低下させる行為を言いますが、刑法上は名誉棄損罪(刑法230条1項)の成立が問題となり、民法上は不法行為(民法709条)の成立が問題となります。
ただし、刑法上においては、公共の利害に関するものであって、もっぱら公益を図る目的があったような場合には、真実性の証明による免責が定められており(刑法230条の2)、必ずしも名誉棄損があったからといって罪が成立するわけではありません。
また、民法上も、同様の考え方は採用されています。サッカー日本代表監督という立場が必ずしも公共の利害に関するものと言い切れるかについては議論の余地があるかもしれませんが、今回のように選手との信頼関係が損なわれたことや、成績不振などの事実の摘示があったからといって、ただちに名誉棄損として罪が成立したり、民法上の損害賠償請求が認められたりする可能性は決して高くないと考えられます。」