営業車を傷つけてしまった! 社員が修理費用を支払うべき?
これを法律的に言うと、社員が不法行為(民法709条)によって損害賠償責任を負うことはあるとしても、会社は社用車を使って社員に仕事をさせることで利益を得ているわけですから、報償責任を負うものとして、信義則上、その一部しか賠償請求できないということになります。
判例では、急停止した先行者に前方不注意等の過失により営業車を追突させた事案で、
『使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる』
と、諸般の事情を考慮して、『使用者は、信義則上、右損害のうち4分の1を限度として、被用者に対し、賠償及び求償を請求しうるにすぎない』としたケース(最判昭和51年7月8日茨城石炭商事件)があります」
■損害賠償責任を考えることもできる
佐藤弁護士:「法律論として、もう1つの考え方は、社員と会社は労働契約を結んでいることから、労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償責任(民法415条)