性格・性別が変わっても受け入れられる? ひとのどこが愛おしいのか漫画から考える
になろうと頑張ります。「青山月子」になれば、両親や友人たちが喜んでくれる。なによりも強いのは、「『青山月子』にならないと、人に好きになってもらえない」という思い。
しかしそう思って「青山月子」になろうとすればするほど、「じゃあ、今の自分は誰なのか」と悩みます。
そして変わってしまった娘を受け入れらないのが、母親です。なんで何も思い出してくれないの、月子はこんな子じゃなかった――。
母親なら、子どもを温かく受け入れてあげればいいのに…と最初は思います。しかし考えていくと、この母親が冷酷な人間だとは思えなくなります。
たとえば、「明るくてよく喋る」という性格に惹かれていた夫や妻が、「無口で物静かな人になった」とき、違和感を抱えたままずっといっしょに生活していくことができるでしょうか。
人間、年を取れば考えかたや性格が変わり、どうしても友達付き合いをやめてしまったひとや、距離をとる親戚が出てくると思います。しかし、離れられない家族でそれが急に起きたとしたら。
そう思うと、青山月子の母親は普通の人間の姿に映るのです。「母親だから」すべてを受け入れろ、というのはあまりに乱暴です。
「青山月子です!」