『アンネの日記』のアンネ・フランクがこの仕事を始めたきっかけです。【私のmono 後編:小林エリカさん】
それがちょうど戦時中の日記で、そこでアンネ・フランクと父が同じ年の生まれだったことに気づきました。
そこで、アンネの日記と父の日記を持って旅をしてその二冊の同じ日の日記を読みながら、私自身も日記を書き記した本が『親愛なるキュリーたちへ』です。
作家になりたい、何かを書きたいという私にとって、大きな転換点でしたね」
近年は、目には見えない放射能を題材にした作品も多く、膨大な知識も必要になる。
一体何が、彼女の興味を駆り立てるのだろうか。
「よく社会的なことが好きと思われがちですが、なぜ自分が今を生きているのかを知りたいだけなんです。
この時代のこの場所でこんな風に生きているということが、私にとってすごく不思議なことで。
自分の半径5メートルくらいのことを突き詰めていくと、家族のことだったり、過去のことを考えざるを得なくなっていきます。
戦争のこともですし。
今につながる時間の中で何があったのかを調べる過程が続いているだけなんですよね。
歴史に興味があるのではなくて、なぜ今があるのかっていうことへの疑問ですね。
そういう目に見えないことを見たい、どうやったらそれを紙の上に描きつけられるんだろうといつも考えています」