作家・山内マリコさんインタビュー心を開ける相手がいれば無理して“居場所”を増やす必要はない
みんながみんな結婚して家庭を持つわけじゃなくなった時代なんだから、国がどんどんそれに適応していくべき。
――いまだに結婚を前提とした社会の仕組みや制度は多いですよね。
山内:これまでの日本は、家事や子育てや介護などの“人をケアする役割”を、家庭に押しつけてきたんですよね。妻や母親といった女の人に、それを無給で担わせてきた。同じ仕事なのに、家族以外の人に頼めば給料が発生する仕事を、タダでしてもらってきた。結婚してなくても困らない社会にするためには、そこを変えなきゃと思います。
――家庭を持たないと生きていくのが不利で不便になってしまうのも、おひとりさまにとっては生きづらい要因ですね。
山内:『家族という病』(幻冬舎)という本も出ましたけど、検挙された殺人事件のうち、約半数は親族間で起きているんですよね。
しかも、年々その割合は増えている。だから、「家族はいいものだ」「家族は仲良くあるべき」という押し付けも危険だと思います。
家族と仲がいい人はどんどん大事にすればいいけど、「うちの家族はダメだ!一緒にいたらおかしくなる!」と思えば、遠慮なく逃げていい。そして家族から離れておひとりさまを選択しても、セーフティーネットがしっかりしてるから安心、というふうになればいいんですけどね。