踊りに命をかけるのはラテン人だけじゃない?『月影ベイベ』が名作漫画たる所以
蛍子は東京からの転入生。彼女は、母の繭子がなくなったことをきっかけに、その出身地である八尾にやってきました。転入した高校では「おわら」の練習まっ盛り。蛍子はなぜか現地の子に引けをとらないくらい「おわら」がとてもうまいのです。
なぜ、彼女は「おわら」がうまいのか。なぜ、彼女は八尾にやって来たのか。序盤はいろいろと謎が多いです。
聖地巡礼したくなる名作
ところで世のおじさんには、「汚いおじさん」と「きれいなおじさん」の2種類しかいません。
この作品に登場する円くんは、とても「きれいなおじさん」です。この円くんがストーリーのキモを握っているわけですが、彼は素朴で、ひたむきです。女子高生が性の象徴のようになって久しいですが、性的描写がないということも含めて、いろんな意味でこの作品にはいやらしさがまったくありません。
ぶっちゃけ、作者・小玉ユキさんの前作である『坂道のアポロン』がたいへん好きだったので、「文化祭でダンス踊る話? フーン」とか思ってたわけですが(いろいろ理解してなかったみたいです)、ここにきてドはまりしました。若いというのは、いろんなことに不器用だということです。あまりに経験値が足りなくて、見えるものも偏っているし、柔らかい対応もできない。