くらし情報『なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授』

なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授

具体的に言えば、団塊の世代Jr.より下からでしょうか。分け合ったり借りたりすれば事足りると思っていて、住宅の購入についても、無駄だと思っている人が多いんですよ。30歳のうちの息子も、『家なんて買う人がいるの!?』と言っています。僕の買った分譲マンションで育ったにも関わらず、ですよ。同じ価値観を共有してきたはずの家族ですら、家を買うことについての認識がこうも違う」

――私もその世代ですが、確かに一生賃貸マンションでもいいや、と思っています。

松村「かつては、“自分で所有しなければならない感覚”があったんです。財産などを“所有”することで個を確立し、その家族を守っていた。ですが若い世代は、すでに世の中にストックが溢れかえっている時代に生まれました。
そのため、自分で所有するよりも、仲良くシェアしていきましょう、という教育を受けてきているように感じます」

――成長の過程で“所有欲”が育たなかった世代なんですね。

松村「これは社会情勢なども影響しているのかもしれません。中国からの留学生は、海外で不動産投資をするなどして財産を所有しておく意識が非常に高いんです。自分の身を守るのは自分だけ、という感覚があるんですよね。

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