なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授
そういった国と比べたらずっと政治体制が安定している日本では、日本全体に溢れているものをシェアすればいい、と安心しきっているところがあるのだと思います。それで、同じ値段を払うなら、広いキッチンが使えるシェアハウスのほうがコスパがいい、という発想になるわけですね」
――平和で豊かな国であることが、シェア意識に繋がっていたとは……。
松村「とはいえ、シェアハウスも今、さらに新しい形の住まいが登場する過渡期にあります。
シェアハウスで出会った男女が少しずつ結婚し始めているのですが、その際の居住形態がないのです。みんなで集まって暮らすことが習慣になっている二人にとって、ファミリー型マンションは需要に合っていないんですね」
――結婚してもなお、シェアハウスに住みたがるんですね!
松村「この流れで、子どもが産まれても、家族じゃない者同士でみんなで一緒に育てる、といったやり方が増えていくかもしれません。
従来になかった人間関係の作り方を求めている人が増えているというのが、こうした住環境のニーズからもよくわかります」
庭付き一戸建てを目指して
我慢する時代は終わった
――今後はますますシェアハウスのような暮らし方を選ぶ一人世帯は増えていくのでしょうか?
松村「ワンルームマンションでの一人暮らしが大多数であることは変わらないとは思います。