なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授
ただ、その場その場で自分に合った住み方を選べる時代になりましたよね。
昔はみんながみんな、庭付き一戸建てを目指して『今住んでいるところは仮住まい』という感覚を持っていた。でも、結局それが叶わないままの人もたくさんいます。だったら、最初からしっくりしないアパートなどで我慢せずに、もう少し良い暮らしをすればよかったんですよ。
一人暮らしだから適当なアパートに住んでおけばいい、とかではなく、そのときの自分のニーズに合った住居選びをしていってほしいと思います」
“誰かがいる空間”は今や住居の条件の一つになっている。ワンルームマンションに一人で住むときに感じる不安感は、住環境の多様化により、いくらでも払拭することができそうだ。そう思うと、幾分か気分がラクになるのではないだろうか。
(取材・文/朝井麻由美)
■プロフィール)
松村秀一(まつむらしゅういち))
1957年兵庫県生まれ。
80年東京大学工学部建築学科卒業、85年同大学院工学系研究科建築学専攻修了。2006年より現職。05年「住宅生産の工業化に関する研究」で日本建築学会賞(論文)、08年「建築生産の進め方―ストック時代の建築学入門」で都市住宅学会賞(著作)。