3人に1人の妊婦が貧血で「赤ちゃんが危険な状態にある」と判明
赤ちゃんの出生に関するショッキングなデータがあります。現在、わが国で誕生する赤ちゃんのおよそ10人に1人が低体重児だというのです。
これは、厚生労働省が発表している人口動態統計が明らかにしているもの。1980年代から、その割合は増加し続けています。
その原因を“貧血”との関連で説明しているのが、臨床医である著者による『貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策』(山本佳奈著、光文社)。
本書から、身近にありながらあまり知られていない「妊婦と貧血」について取り上げてみます。
■母親の貧血は「低出生時体重児リスク」に
「低出生体重児」とは、生まれたときの体重が2,500g未満の赤ちゃんのこと。10人に1人という数字は、日本が貧しかった1951年当時のデータにくらべ、3割も高い数字です。
小さく生まれた赤ちゃんは身体の機能が未熟で、さまざまな合併症が起こりやすくなると著者は指摘します。
たとえば出生直後には、新生児仮死、呼吸窮迫症候群、動脈管開存症、低血糖など。その後数週間の間には、慢性肺疾患、無呼吸発作、貧血、黄疸など。こうした合併症で亡くなるケースもあるとのこと。
そして、その原因のひとつと考えられるのが、母親の貧血です。