3人に1人の妊婦が貧血で「赤ちゃんが危険な状態にある」と判明
結果、十分な鉄分を摂ることができなくなってしまうのです。
さらに、妊娠すると、赤ちゃんに栄養や酸素を送るためにより多くの血液が必要になりますし、分娩時の出血に備えて身体が血液を多めにつくろうとします。妊婦が貧血になりやすいのは、そのためです。
■妊娠してから鉄剤を飲んでも間に合わない
妊娠初期にはかならず血液検査を行い、貧血だった場合、鉄剤で鉄分を補うことになります。実際、鉄剤を服用することで貧血のリスクが減り、低出生体重児も減ったとする研究結果も発表されているそう。
しかし、その上で著者は「妊娠してからでは遅い」と指摘します。
鉄剤を服用しても、貧血を改善するためには飲み始めてから最低でも1~2ヵ月必要です。
この時期がちょうど赤ちゃんの循環器系や呼吸器系、消化器系などの臓器がつくられ、働き始める時期にあたるため、妊娠に気づいてからでは「胎児の発達にもっとも重要な時期には間に合わない」というのです。
さらに、妊娠初期はおなかの赤ちゃんがもっとも薬品に影響を受けやすい時期。奇形などのリスクを避けるため、安全性が確認されている薬剤以外は服用できないこともあり、鉄剤に頼る考え方は改めるべきだと著者は強く警鐘を鳴らしています。