【保険料月1万円以下で豊かに暮らす】第16回目 50代は転換期。死亡保障を見直して老後資金を蓄えよう
子どもたちの学費の目処がたち、定年退職後の生活が気になり始める50代。次のステップに進む準備を始める時期でもあります。生活に余裕がもてる年代だけにのんびり構えがちですが、マネープランも保険の見直しも先手必勝です。早めの取り組みが老後の余力を作ると言っても過言ではありません。
【1】死亡保障の必要性を「相続」の視点で再検討する
死亡保障は残された家族の生活を支えるために入るものなので、子どもたちが自立すると用意するべき保障額は少なくなります。ある程度の資産形成ができている場合、計算上は死亡保障を備える必要のない人も少なくありません。しかし、「配偶者に残すお金」という視点のみで死亡保障を見直すのは早計です。マイホームなどの財産があり、複数の相続人がいる場合は「もめない相続」ができる状態かをチェックしましょう。
特に注意したいのは、マイホームがあり金融資産などの他の財産が少ない場合です。子と同居しておらず、子どもたちだけが残された場合に自宅を売って相続財産を分けることができるのであればよいのですが、同居をしている子と別居の子がいる場合などは財産分与でトラブルになるケースも少なくありません。
相続トラブルは相続税の心配のある富裕層だけの問題と思われがちですが、家庭裁判所で行われた遺産分割調停の約77%が相続財産5,000万円以下のケースなのです。1,000万円以下の遺産相続でもめているケースも約31%となっています(平成23年度司法統計・家事編)。相続が「争族」に発展するケースは、遺産の大小ではありません。
遺産を公平に分けられない可能性があるときに利用したいのが「終身保険」です。何歳で亡くなっても死亡保険金が支払われるものなので、相続対策に適しています。死亡保険金の受け取りを本人(被相続人)と同居している家族に指定して、遺産分割の際に保険金を使って代償分割(相続人の1人または数人が他の相続人より多くの遺産を相続する代わりに、他の相続人に対してその差額分を金銭やモノで支払うこと)することができます。
死亡保険金は保険金受取人の固有の財産となるので、遺産分割時に活用できる有効な手段となるのです。