第14回「日本語大賞」 入賞作品を発表 日本国内のみならず海外も含めて4,762点の作品から選出 ~日本語の美しさや言葉のもつ力を見つめ直したい~
その時の私たちは限界だったのだと思う。
その日はいつもより涼しくて、過ごしやすい日だった。家に帰ってきて、ベッドで横たわっている祖母にただいまを言う。いつも通りの日課。(続きはウェブをご覧ください)
https://www.nihongokentei.jp/grandprize/pdf/14rd/chu_01.pdf
高校生の部 和佐間 芽弥(わさま めみ)「貴方の言葉は八年越しに、」
千葉県 和洋国府台女子高等学校2年生
『作品本文』
「人生山あり 谷あり」なんて言ったもんだが今の所私の人生は「人生谷あり 壁あり まぁたまには福もある」なんてものである。まだ十六歳の若もんが何を言っているんだと、大人たちは思うだろう。まだ高校生の子どもが人生語るなんざ一〇〇年早いと思っているが今からお話する私の、和佐間芽弥の今までの人生十六年の中の思い出話の一つをちょっと聴いて行って欲しい。
私は現在関東のとある一軒家で母方の祖母と私の二人で暮らしている。
決して裕福とは言えぬ暮らしだけれども、他の誰よりも楽しく穏やかで幸せな日々を送っている。記憶すらまともに残っていないが、私が二歳だった頃までは父、母そして私の三人家族で暮らしていたそうだ。