「インクルーシブ教育システム」のよいところインクルーシブ教育とは、障害のある子どもと障害のない子どもに別々の教育を行うのではなく、全員が共に学べるような形で教育を行うことを意味しています。文部科学省では、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学べる環境と、障害のある子どもが個別に学べる環境をどちらも整備し、すべての子どもがどちらの環境も活用できるようにしていこうと提唱しています。これは合理的な考え方で、そのような環境設定をすることに対して、私は全面的に同意しています。学校に多様な学習環境が用意されていて、子どもたちが自分の状態に合わせて環境を選べるようになれば、誰もが学びやすくなるでしょう。「一度しか言わないから」は多様性を否定する指導方法文部科学省はインクルーシブ教育システムの確立に向けてさまざまな取り組みを実施していますが、現在の学校教育にはまだ課題もあります。例えば、学校で先生が子どもたちに「いいですか、一度しか言わないからよく聞いてくださいね」と呼びかけることがあります。これは、インクルーシブ教育システムの定義にある「人間の多様性の尊重」を否定する指導方法です。このような指導では、「口頭の指示を一度で完全に理解できる」という子どもしか学習できません。それ以外の子どもは、学習する機会を失います。現在の学校教育にはまだ課題がある人間には、口頭の指示を理解するのが得意な子どももいれば、聞くことよりも視覚的な文字などの指示を理解するのが得意な子どももいます。それ以外の方法が得意な子どももいるでしょう。どのようなタイプの子どもも学習できるように指導方法を工夫するのが、先生の仕事であるはずです。指導が上手な先生は、口頭で一度指示するだけではなく、黒板に同じことを書いて示したり、指示を繰り返したり、手本を見せたりして、子どもたち全員が学習できるように工夫しています。そのようなちょっとした工夫で、学習環境を整えていくことは大切なことです。「学校の標準」をゆるやかにして、みんなが学びやすい環境をつくっていくのです。出典 : 「学校の標準」が狭すぎるのではないか?発達の特性がある子どもは学校生活において、何かと困りごとに直面しがちです。ほかの大多数の子どもよりも、困難が多いように感じます。それはなぜでしょうか。私はその要因の一つに「学校の標準が狭すぎること」があると考えています。いまの日本の学校には、子どもが「標準的にやるべきこと」が多すぎます。私は、いまの学校では子どものやるべきこと、守るべきことが多すぎて、「標準」が狭くなっているように感じます。その「標準」をこなせる子どもはよいのですが、発達の特性がある子どもは、すべての活動を「標準」に合わせるのは難しい場合もあります。ローカルルールは少ないほうがいい学校には多くの子どもたちが集まっています。集団で活動するためには、一人ひとりが一定のルールを守ることが欠かせません。ですからなんらかの「標準」は必要です。子どもたちが学校で集団行動のルールを学ぶことには、意味があると思います。しかし、ルールが細かくなりすぎると、それがいじめの温床になることもあります。例えば「校舎内の廊下は左側を歩きましょう」という決まりをつくることは、衝突を避け、人の流れをスムーズにするためには有効です。しかし、それを破ったら罰を与えるような厳しいルールにしてしまうと、ある子どもが右側を歩いたときに、ほかの子どもがそれを強く注意したり、先生に言いつけたりすることが出てきます。ルールから少しはずれただけで、非難するような風潮ができていくわけです。私は、学校内のローカルルールは、少なければ少ないほどよいと思っています。「学校の標準」に苦しむ子どもたち「学校で、みんなと同じようにできない」ということに悩み、登校できなくなった子どもたちを、私は大勢みてきました。私は「学校の標準」が狭いこと、大人たちが学校をきっちりとつくりすぎてしまったことが、一部の子どもたちを苦しめているのではないかと思っています。また、学校のように大勢で集まって活動する場所では、「一緒に遊ぶと楽しいよ」「全員一丸となってやれば、必ずうまくいく」というふうに、「みんなで一緒にやるのがいいこと」という価値観を強く押し出し、しかもそれを目標にしてしまうことがあります。出典 : 学校で「みんなで一緒に」を目標にしないグループをつくってお互いに協力し、それぞれの長所を生かして一人ではできないことをするというのは、よいことだと思います。しかし、そこで大事なのは「なんらかの成果を上げる」ということであって、「みんなで一緒に」「全員一丸となって」行動することではないはずです。集団に対して「みんなで一緒に」という目標を立てると、その集団に「標準」が生まれ、そこから外れることをよしとしない風潮ができていきます。学校のように、子どもたちが一人ひとりのびのびと学習していく場には、そぐわないものだと思います。学校を小さな「共生社会」にするために私は社会全体が、多種多様な人たちが共存できる「共生社会」になっていくことを願っています。学校も一つの小さな共生社会になっていってほしいと思います。ただし、私が共生社会としてイメージするのは、先ほど述べたような「みんなで一緒に」を目標とする社会ではありません。世の中には「みんなで仲良くできるように努力しよう」「立場が違っても分かり合える」と考える人もいますが、私は現代の社会をそんなに甘いものではないと思っています。「相性が最悪の人とも共存できる社会」に私が思う共生社会とは、「相性が最悪の人とも共存できる社会」です。そのくらいのことができないと、本当の意味での共生社会はつくれないと思います。人間誰しも、「この人とは合わないな」という相手がいます。見るのも嫌だという相手もいるわけです。共生社会をつくるためには、きれいごとではなく、そういう相手とどうやって共存できるかを考えていくことが必要です。自分とは違う人への恐怖心や攻撃心を認めたうえで、その人とも共存できる仕組みを、理性的な社会の枠組みとしてつくっていく。それが、共生社会をつくる道です。「理解しきれない相手もいる」という現実多くの場合、人は他人のことを理解しようとするとき、過去のさまざまな経験から相手の立場や考えなどを想像します。しかし、人のあり方は多様です。自分が「ふつう」だと考えていることが、相手にとっては「ふつう」ではないこともあります。だからこそ、人が分かり合うのは難しいわけです。「世の中には、自分には理解しきれない相手もいる」という現実をきちんと認識し、そういう相手がいることを認めたうえで、その人とどうやって共存するのかを考えること。それが共生社会をつくるということだと思います。「みんなで一緒」よりも「お互いにリスペクト」私は、共生社会をつくるために必要なのは「みんなで一緒に」ではなく、「お互いにリスペクト」という姿勢だと考えています。相手の考えをすべて理解できるわけではないけれど、認めてはいる。けっして無視をしない。そのような関係性をつくっていけば、どのような相手とも共存していけるのではないでしょうか。学校のように大勢が集まる場でも、発達障害のある子どものような少数派の論理を認め、けっして軽視しないこと。その姿勢が共生社会や真のインクルーシブ教育の実現へとつながっていくはずです。
2022年09月28日学習障害がなくても、視覚過敏が原因で学習に困難を感じている子どもは多くいる?ノートが上手く取れない、計算や漢字の書き取りが不得手、授業に集中できない…など、子どもの学習に関連する困りごとは、「限局性学習症(学習障害・LD)」が原因なのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限局性学習症とは異なる特性が理由で学習に困難を感じている子どももいると考えられています。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。今回は「視覚過敏」が原因で起こる学習困難についての原因や解決方法などをイラストと共に分かりやすく解説します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン目の感覚、視覚が過敏な場合は光を過度にまぶしく感じることがあります。視覚の過敏さがある子どもの場合、ノートをまぶしく感じる場合があります。一般的にノートの紙は明るい白のためノートが照明の光を反射して、まぶしくて板書がしにくかったり、書いた字が読みにくかったりすることがあります。また、タブレットを学習に活用している場合、明るさの調節をしないと、画面がまぶしすぎることがあります。解決策:ノートの紙にほんのりと色がついているものを選ぶだけでもまぶしさは軽減します。色つきのクリアファイルや下敷きを重ねることで見やすくなることもあります(※)。また、机の配置が照明の真下にならないようにしましょう。タブレットについては、画面照度を子どもが見やすく感じる明るさに調整しましょう。機種によってはアクセシビリティの機能によって色つきの画面に設定できることもありますので、こうした機能を活用することもおすすめです。(※)子どもによって見やすい色合いや彩度は異なります窓が近い日当たりのいい席は、黒板や先生の姿だけでなく、教科書が日光を反射して見づらくなる場合があります。また、照明の種類や光が当たる角度によっては、同じような状況になります。また、本を読んでいる最中に文字が追えなくなる、ズレたりにじんだりして見える、文字がチカチカと光るように見える、文字が流れてしまうなど、光の感受性が高いために起こる視知覚の困難は一見、ディスレクシア(読み書き障害)と症状が似ているように見えますが、異なるメカニズムで起きる可能性が指摘されています。解決策:窓辺を避けた席や、照明の真下を避けるなどの机配置をしてあげましょう。もし、あまりにもまぶしい場合には、色つきメガネやサングラスの使用を検討してください。また、カラーレンズやフィルムを通してみることで、目に入る光の量を調節することができ、文字が見やすくなる場合もあります。蛍光灯の光のチラつきが気になる場合があります。蛍光灯は、実は常に光っているわけではなく、通常は人の目で感知できない速さの周期で点滅を繰り返して光っています。蛍光管が古くなると、この速度が落ちてくるためにチカチカ光って見えるようになりますが、視覚過敏がある場合には新品の蛍光灯の光でもチカチカしているのを感じてしまうことがあります。解決策:家庭ではできるだけ蛍光灯をやめて、白熱電球に替えたり、蛍光灯カバーをつけたりといった対応が効果的です。視覚情報が多いと気が散って集中できない場合があります。例えば、黒板のまわりなどに掲示物がたくさん並んでいると、掲示物が気になって肝心の授業の内容に集中できなくなることがあります。また、ADHDがある場合も、不注意の特性から揺れるカーテンや校庭の様子など、注意が逸れやすいことが理由で集中できないこともあります。単に集中できないだけでなく、情報過多になって気持ち悪くなるなど体調に影響してしまうケースもあります。解決策:黒板の周りに授業と関係のない掲示物がたくさんある状態は、学習困難がなくても気が散る原因となるので、片づけたり視界に入らない後ろの方に置くようにしたりしましょう。家庭では、学習するときには関係ないものはできるだけ片づけるのもよいでしょう。使わないものには布をかけて隠しておいたり、パーテーションを利用したりするのも有効です。イラスト/taeko
2022年09月28日安全のためにもルールを理解してほしい。でも理解は難しいほぺろうUpload By ぼさ子ぼさ子(以降ーー): わが家の息子ほぺろうは特別支援学校の一年生。自閉スペクトラム症と知的障害があるためか「一人で遠くに行ってはいけない」などの理解が難しく、手を繋いでいないと衝動的に走り去ってしまいます。「親の側にいる」「敷地から出てはいけない」などルールを分かってほしいのですが…。三木先生:ほぺろう君がルールを理解できているのが理想ですが、理解の難しい現時点では物理的に阻止することからアプローチすると良いかも知れませんね。ただ、理解していなくても、ルールの説明は一応浴びせ続けたほうが良いかなと思います。理解できないから言わない…のままだと「親が黙認している」と誤解されるかもなので。しかし言い続けるのも果てしない作業なので親がつらくない程度に。親が「やるべき」と思うようなことでも、疲れてお子さんとの関わりの質が落ちるようであればやめちゃっていいと思います。難しい多動問題。時には割り切りも大切Upload By ぼさ子三木先生:ぼさ子さんの相談は、ルールの理解が目的ということだったので、理想を言えば「自分の行動が損に繋がる」と思ってくれるような利害関係をつくれたらいいとは思います。例えば、(見守りながら)わざと迷子になったと感じる状況をつくってみるとか。でも、情緒的に良くなかったりするのであまりオススメとは言わないかな。多動に関しては「安全に損を感じてもらう」のがなかなか難しいです。ぼさ子さんは外出のとき、どうしているんですか?ーーわが家はなるべく夫婦でほぺろうに付き添っています。ほぺろうの両手を父母で繋ぎ、もし逃げられたら夫に追いかけてもらうという感じで。あと、遊びに行くときはなるべく人が少ない場所を選んだりしています。でも私一人で外出に連れて行く必要があるときは不安です…。三木先生:指を絡めてガッチリホールドする手の繋ぎ方もありますが、その子どもの勢いによっては腕が脱臼する可能性もあるので絶対オススメとも言えないです。でも、現時点では「手繋ぎ前提で接する」「ハーネスなど道具を使用する」など物理的に対応するのが現実的かなと思います。ハーネスだと周りの目が気になる場合もあるかもしれませんが、命綱だと割り切る。もしくは人目が気になるなら無理して外出しないと割り切る…など親の負担が少ない方法で。Upload By ぼさ子親が頑張らなくても事故にならない方法を考えてみる三木先生:考えるとするなら、いかにラクして目的を達成するかが良いと思います。「ずっと手を繋ぐ→頑張り続けなくてはいけない→外出が億劫になる」という負のスパイラルになりがちなので、頑張らなくても目的を達成できる方法を見つけられたら、ストレスが減って親も子どもも暮らしやすくなります。ーー確かに。工夫できるところを工夫すれば、全部を頑張らなくても良さそうですね!三木先生:逆の発想で、叫ぶ・ダッシュOKの場所を探すのも良いかもしれませんね。親がラクになると子どもを含めて可能性が広がります。「頑張るのではなく、頑張らないための方法を探す」です。Upload By ぼさ子感想ほかの対談でも全てを通して三木先生が仰っていた「頑張らないための方法を探す」という言葉が深く響いています。確かに、ほぺろうに「できるようになる」を求めるより、成長をのんびり待って「できる範囲で無理しない」ほうが、一見遠回りなようで、親も子もニコニコしながら進んでいける気がします。私自身も「もっとできるように頑張れ」と強制されるとつらいし、その人と信頼関係という「関わりの質」を深められるかはチョット分かりません(笑)。今はできる範囲で無理をせず、40代の体力でほぺろうを制御できなさそうな外出はしなくてもいいやと、堂々と割り切りたいと思います。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年09月28日睡眠時間がどうしても一定しないわが家の凸凹兄妹の妹、いっちゃんは小さいころから眠るのが苦手で、眠ってもしばしば些細な物音などで目を覚まします。小学生になると、入眠に苦労するのは変わらずですが、一度眠ると深く眠り込むようになりました。一旦眠り込むと起こしても起きないのです。当然、学校は遅刻してばかりです。Upload By 寺島ヒロ睡眠の記録を取ってみると…実は母親である私自身、睡眠障害があり毎日覚醒する時間が遅れていく睡眠サイクルがあります。それで「もしや」と思い、いっちゃんの睡眠記録をつけ始めました。実際に眠った時間だけではなく、眠いと言い出した時間、眠ったがちょっとだけ起きた時間、起床した時間を詳細に記録していくと、「1〜2時間ずつ睡眠時間が後ろにずれていく」ことが分かりました。Upload By 寺島ヒロ小学校5年生から不登校に小学校低学年のうちは、起きると学校に行っていたのですが、4年生ぐらいになると、「11時を過ぎるとお昼ごはん食べに来たの?と、からかわれるから行かない!」と言って昼からは行こうとしなくなりました。いっちゃんの睡眠時間は9時間。朝から活動しているのは月の半分ほどです。5年生から次第に行かない日が増え、6年生のときにはついに1/3ほどの出席率となり「不登校」となりました。また中学校も、コロナで休校が続いたこともあり、ほとんど行くことができませんでした。「勉強は好き」進学先を探すけど…高校へは進学したいと希望していたいっちゃん。睡眠時間を固定しようと試みましたがうまくいかず、結局、通信制の高校に通うことにしました。志望校はいっちゃん自身がネットで検索していくつかの学校と比較検討して決めました。通信制の高校、実際に通ってみるとUpload By 寺島ヒロ部活動も部活ごとにslackがあって、娘は美術部に入っています。slackではお題を出し合ったり、作品をアップしたり、絵を描くときのツールの使い方など交流も盛んで「Twitterとかより突っ込んだ感想をもらえる!」と、喜んでいました。通信制の学校というと、家で1人でテキストを開いて…というイメージだったけど時代は変わったな…と思います。睡眠サイクルは固定できないまま「通信の学校いいなー」「大学もこうだったらいいのにー」という娘。高校生活を心から楽しんでいるようです。睡眠の問題が解決したわけではないので、これから進学や就職をどうするかなど、悩みは尽きませんが…今あっての未来。心配し過ぎることなく、今を大切に過ごしたいと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)学校の始業時間は決まっているので、睡眠に問題のある子どもさんの場合、それに合わせようとすると、本人だけでなく親御さんもとても苦しくなってしまうと思います。高校では、始まりの遅い昼夜間の高校や通信制などが選択肢になってくると思いますが、いっちゃんには通信制がすごく合っていたようですね。通信制も学校によってはさまざまな活動をオンラインで提供しているところもあります。また対面出席を重視しているところもあります。子どもさんに合った学校を選択するため、オープンスクールや説明会に子どもさんと一緒に参加してみるのもよいかもしれません。
2022年09月27日保育園の転園息子は去年まで0~2歳児のみ預かり可能な小規模の保育園へ通っていた。その園へ通っていた約3年間は毎朝楽しそうに行き渋りをすることなく登園していた。そして今年度の4月、3歳児となったため保育園を転園。公立の0~5歳児までが通う人数の多い保育園に加配保育の枠で入園することになった。Upload By まる元々人見知りや場所見知りをあまりしない息子なので、新しい保育園でも初日だけ泣いたものの2日目から泣くことなくすんなり通えるようになった。慣らし保育中も「リュウちゃんお昼ご飯完食しましたよ」や「ちゃんとお昼寝できましたよ」など先生からの伝言もあり『やっぱりすぐ慣れてくれたな、よかった』と私も安心していた。行き渋りが始まった!Upload By まるところが、慣らし保育も終わり通常の時間帯の預かりをお願いするようになったころ、朝自転車で登園途中に「ナーイ、ナーイ」と嫌がる声を出すようになった。今まで行き渋りをしたことがなかったし、まだきちんとした発語もないので私自身『なんだ?』と思いながら自転車を漕いでいた記憶がある。保育園に近づくに連れて泣きそうな声を出すので『あぁ、これは行きたくないということか...』と初めて行き渋りだと分かった。前の保育園のときはなかったのに、転園してから行き渋りが始まったことに『新しい園の居心地が悪いのかな...馴染めないのかな...嫌な思いしていないかな...』と私も不安になっていた。嫌な気持ちを表現Upload By まる保育園の登園前に行き渋りをするのは毎日ではないが、最近は朝に保育園用のリュックが玄関に用意されているのを見つけるとわざわざ部屋に隠しに行って、お出かけ用のリュックや療育用のリュックを持ってくる(どこに行くか分かりやすいように保育園、療育、お出かけでリュックを分けている)。療育へ通うのは好きなようで療育用リュックを背負い「バスーバスー(に乗っていく)」と訴えてきたりする。多分、療育はママが一緒に登園する場所だから安心しているのかと思う。朝は時間がなくて私も急いでいるので保育園用リュックを無理やり持って家を出ようとするが、ひどいときはリュックをつかんで引っ張ってきたり、泣きながらなかなか靴を履いてくれなかったり、車で保育園に着いたと思ったらなかなか車から降りなかったり…などさまざまなやり方で拒んでくる。忙しいときにやられると大変だが、いろいろ表現できるようになってきたなと感心もしていた。人数が多い空間は苦手。それでも息子なりのペースで生活に慣れてきたかなUpload By まる多分息子は人数が多い状況があまり好きではない。今までの少人数の小さい子ばかりのゆったりした環境の保育園から、公立の人数の多い 0〜5歳児のいる保育園に変わったことにまだ慣れなくて居心地が良いとは感じていないのかも、と行き渋りが始まったころに保育園の先生と話した。転園して最初のころは、大きいホールに園児みんなが集まっている状況だとその場にいられず部屋から出たい素振りをしていたそうだ。加配保育の先生方もリュウをよく見て判断してくれて、そんなときは先生とリュウの2人だけで誰もいない部屋でお絵描きや絵本を読むなどしていてくれたらしい。よくお迎えに行ったときにホールに息子がおらず、あれ?と思っていると別の部屋から先生と出てくるなんてこともよくあった。ここ最近、行き渋りが少し減りホールでみんなと一緒に待てる日が増えてきている気がしている。まだお友達と遊ぶということはできないので基本的に先生にべったりしているが、先生からも「しっかりお部屋で待てるようになってきた」と連絡を受けた。それでも気分じゃないときはあるようで「(外に)デルー」など言葉で訴えるらしく先生もそれをくんで対応してくれているようだ。最近コロナに罹患してしまい2週間ほど保育園をお休みした。久々の登園は行き渋るかなと思ったが、すんなり登園してくれたので徐々に環境に慣れていっているのかなと思っている。執筆/まる(監修:初川先生より)転園きっかけの行き渋りエピソードをありがとうございます。乳児期から保育園に通っていたけれど、3歳から転園する方だと結構渋りを呈するお子さんもいるのではないでしょうか。環境の違いをうまく言葉にはできずとも、なんかしっくりこない!という体験レベルで感じ取り、渋りをしているという意味では、成長しているからこそそういう展開になっているともいえますね。お子さんなりに、体当たりで出してくる「渋り」を、ご家庭と園とで共有し、今回の場合には「人が多い場面が苦手」ということ、その苦手さの度合いが逃げ出したくなるほどであることが分かったので、園の先生方はそこに手立て(静かな環境に一時的に移る、そして、おそらく徐々に慣らしてゆくなど)を取ることができました。新しい環境に慣れることは誰しも多かれ少なかれ大変で、特に子どもの場合には、環境の変化自体も数えるほどしかない状態だと一つひとつの環境の変化(転園や就学など)の持つインパクトが大きいです。大人が引越しや職場の異動などでストレスを感じてもそれなりに何とかやれるのは、最初はしんどいけれど、慣れれば何とかなるという経験則や見通しがあるからとも考えられます。それのない子どもたちはかなり大変なことに見舞われているのです。そういう意味で、環境調整や園の先生方との密なやりとりがとても大事です。また、環境の変化のある時期には、ほっとできる場である家庭での穏やかな時間や楽しい時間もとても大切です。家でぐずぐずすることが増える場合もあるかと思いますが、大変な局面に立ち向かっているからこそという面もあります。そういうことに大人が気がつくだけで、大人の言葉かけや心持ちも変化し、お子さんに伝わることと思います。
2022年09月27日夫が単身赴任中の生活娘が幼稚園年少の一年間、夫が単身赴任となり、私と娘は二人きりで過ごしていました。夫は月に1、2回ほどのペースで赴任先から自宅に泊まりに来ていましたが、近くに親戚もいないなか、私は孤軍奮闘の日々を送っていました。ずっと家にいると煮詰まってしまうので、平日は幼稚園のあとはそのままの流れで近くの公園で遊んだり、お友達を家に呼んだりお呼ばれしたりしていました。週末は娘と二人で電車に乗って、娘の好きなキャラクターグッズが並ぶお店巡りをしたり、子ども向けの無料遊園地などに行っていました。夫が帰省中に起きたハプニングある週末、単身赴任先から帰ってきていた夫が、娘と二人で映画に行くと言いだしました。夫は私をねぎらうつもりだったのかもしれません。夫と娘二人だけの長時間のお出かけは初めてで、少し心配ではありましたが私は二人を見送りました。子ども向けとはいえ、映画なら帰ってくるまで二時間ぐらいはかかるかな?さて何をしよう?久しぶりに座ってゆっくり紅茶を飲む?ゴロゴロしちゃう?掃除する?いやいや、それはないな…降って湧いた一人の時間をどう過ごすかを考えていた私。でも二人は一時間もしないうちに帰ってきました。何があったのか夫に尋ねると「映画館の駐車場で車を降りるように言ったら“降りないっ!”って大暴れしてさ。車のダッシュボードを蹴って壊したから映画を見るのはやめてそのまま帰ってきたんだ」ばつの悪そうな顔で話す夫を横目に、急いで娘の様子を確認すると、涙の跡が残る頬が、うっすら赤くはれていました。Upload By 荒木まち子たまにしか娘に会わない夫が、一人で娘の癇癪(かんしゃく)の対応ができるわけがなかったのです。夫は娘を叩いてしまったことに、とても落ち込んでいました。私は自分が一緒に行かなかったことを後悔しました。Upload By 荒木まち子先生の顔色が変わる翌日は幼稚園でした。幼稚園の入り口で娘の頬を見た担任の先生は間髪入れずに私に尋ねました。「お母さん、これはどうしたのですか?」先生は娘の特性のことをよく理解していました。そして夫が単身赴任でたまにしか娘に接する機会がないことも知っていました。私と先生は、お迎えの時や連絡帳、電話や面談などの頻繁なやり取りによって、すでに何でも気さくに話し、相談できる間柄になっていました。なので私は前日の出来事も包み隠さず先生に話しました。そして「娘本人にも話を聞いてみてください」とも伝えました。それは見守りの証--時間をかけて培った信頼関係があったからこそ娘が幼稚園でお友達とトラブルになったり、癇癪を起こしたりすることがあると、担任の先生と私は連絡を密に取り合い、娘にどう接するのが良いのかを一緒に考え、試行錯誤してきました。以前もコラムで書きましたが、私は入園前からプレ幼稚園の先生にも子育ての相談に乗ってもらっていました。幼稚園と療育先の連携もとれていて、担任の先生だけでなく主任先生や補助の先生など、園全体で娘を見てもらえていました。それらの積み重ねによって私たちの間には深い信頼関係ができていました。私にとって子育ての協力者はまさに『遠くの親戚よりも近くの他人』でした。あのとき、いつもニコニコしている先生の表情が一瞬で変わったことを、私は20年経った今でも鮮明に覚えています。そしてそれは先生が私たち親子を注意深く見守ってくれている証だと感じ、とても心強く思ったことも――。後日談Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)癇癪やパニックがある、障害の特性によって育てづらさがある、そうなるとどれだけお子さんのことを大切に思っていても、子育てで煮詰まってしまったり、お子さんに対して不適切なことをしてしまう場合がある……。幼稚園の先生方はそのあたりも分かってお子さんの様子をよく見ていてくださったのですね。つまり、お母さん・お父さんとの関係も含めて見守っていてくださったということ。これはとても心強いですね。お子さんと大人が2人きりでいると、どうしても煮詰まりやすいです。大人の目が複数あると不適切な関わりを避けやすい面もありますが、単身赴任であるとか、単身赴任中だからお子さんとの関わりに空白の期間があるとすると、誰のせいでもなく、やむなく大人一人で対峙する時間が多かったり、久しぶりに会うお父さんとだとお子さん側も安心できる「いつも通り」に事が運ばず戸惑ったりします。先生方がそうした中で、冷静にお子さんの様子を見てくださり、そこについて避けることなく言及し、保護者と話し合える関係性を築いてくださっているのはとても大切なことです。読者の方にとっても、そうした支援者がお近くにいらっしゃるといいなぁと思います。
2022年09月26日ASDがあり、不器用さから運動が苦手な息子。縄跳びが跳べなくてーー3歳4ヶ月のときにASDの診断がおりたわが家の小2息子。感覚過敏もあり、物事を0か100かで考える白黒思考なところがあります。目の前にあることについ夢中になってしまい、感情コントロールが難しく、自分の予想と少しでも違うとすぐに泣いたり怒ったりしてしまうこともありますが、だじゃれと本を読むことが好きで、甘えん坊なところが可愛いです。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)の診断はおりていませんが、息子は不器用さのため運動が苦手です。そんな息子が学校の授業で特に苦戦していたものがあります。それが、縄跳びです。わが家では、入学式の翌日から母子同伴登校をしています。登校初日から教室にいられなかった息子を見て、先生に母子同伴登校をお願いしました。息子が小1のときのある日、息子が体育の授業を受けている様子を見ていたときのことです。その日は音楽に合わせて縄跳びをする授業。しかし準備運動中に「できない!もうやだ!」と縄跳びを地面に投げつけて泣いてしまう息子の姿がありました。Upload By ユーザー体験談運動が苦手な息子は縄跳びを回しながら跳ぶことがまだできません。その上、息子は、失敗することや人よりできていないことへの抵抗が強く、「跳べなくても大丈夫」と先生が言っても納得できず癇癪につながってしまっているようでした。それに加えて、全校で行う『縄跳び集会』の日も迫ってきていました。朝の時間の20分ほどで行う、5・6年生が主催の「みんなで縄跳びを楽しみましょう」という会なのですが…このままでは息子は跳べないままその日を迎えてしまいます。見かねて縄跳びの特訓を始めたけれど…跳べずに癇癪をおこす息子を見かねて、その日から家でも縄跳びの練習を始めました。息子は幼稚園年長のときにOTの先生から教えてもらった、持ち手の長い縄跳びを使って跳んでいました。市販の縄跳びの持ち手に、ラップの芯を継ぎ足したものです。回した縄を跳び越えることはできるのですが、体全体に力が入っているので、練習を始めても10分ほどですぐに疲れてしまいます。「あーもうだめだ。疲れたー」となってしまい、できるようにはなりたいけれど、跳び始めると疲れて諦める、という様子でした。特性から先の見通しを持ちづらいので、縄跳び集会の日に向けて練習を重ねるというような意識もなかなか持てません。ただ、ルーティンになると、毎日10分くらいの練習をコツコツ続けることができるので、毎日縄跳びの特訓を行いました。ですがやはりなかなか跳べるようにはなりませんでした。考えた末に編み出したのは…「エアー縄跳び!」どうしたらいいのか…考えた私は、縄跳びの持ち手から縄の部分をはずし、持ち手だけを息子に渡しました。名付けて『エアー縄跳び』!縄がないので絶対に引っかかりません!先生にお願いして学校でも使わせてもらうことに。先生も「すごくいい!それもちゃんと手首の練習になってます!」とほめてくれました。息子は喜んでエアー縄跳びを手に、縄跳び集会に参加することができました。目立ってしまうかな?と心配をしていたのですが、クラスメートからからかわれたりすることもなかったようでした。Upload By ユーザー体験談不思議そうに見ている子はいましたが、特に声をかけられることはなかったようです。上級生の中にも、縄跳びを忘れてきてジャンプだけをしている子もいたので、あまり目立たなかったのかもしれません。ただ、あとから「それなあに?」と私に聞いてくるお友達がいました。そんなときは、息子を知ってもらうチャンスなので、縄跳びが苦手でこれを使っていること、跳べないと悲しくなって泣いてしまうことなどを話しました。そして「いつも○○さんが、そうやって気に掛けて優しくしてくれるから、本当に助かる」と感謝を伝えました。あれから1年たち、小学2年生になった息子。今年も全校で『縄跳び集会』がありました。やっぱり今も縄跳びは苦手で跳べない息子に、「またエアー縄跳び使ったら?」と提案すると、「大丈夫大丈夫!跳べるふりをしてジャンプしてるから!」と言い、普通の縄跳びを持ち、跳べないながらも曲に合わせてリズムよくジャンプして笑顔で参加できました。「跳べなくても大丈夫」と自分で納得することができるようになったのです。小学校入学のころから今を振り返って小学校に入学し、4月にあった最初の全校集会のとき、息子は図書室の前の廊下の窓から、みんなの様子を見るだけでした。私はその姿を見て「息子は、この学校の中でたったひとり、校庭に並ぶこともできない子どもなのだ」と、切なくなりました。1年生の夏までは、付き添い登校はするものの、息子が教室に入ると私は別室で待機していました。息子は、感情コントロールがうまくいかずに途中で教室を飛び出してしまうことも多くありましたが、教室で付き添っているわけではないため、その理由や様子が分からず対応に困っていました。Upload By ユーザー体験談そこで担任の先生にお願いすると、私が教室に入ることを快諾くださり、2学期ごろからは息子の隣で一緒に授業に参加できるようになりました。できないことはサポートしたり、イライラしたり過敏になっていたりして無理そうなときは教室を退室させてもらったりし、先生と友だちには息子の思いを代弁して関わりを支えたりしてきました。2年生の今では、ほぼ教室で過ごし、出られない授業は別室で課題をこなしたり図書室で本を読んだりして、授業選択制のようにさせてもらっています。教室では、私が息子の隣に座ってノートをとる手伝いをすることもあれば、教室の後ろの椅子に座って、見守るだけのこともあります。教科やその日の息子の気分によります。縄跳びを跳べなくても、楽しそうな息子の姿を見て、そんな日々のことを思い出しながら、校庭でみんなと一緒に同じ場所にいられること、楽しんで活動をできていることに感動しました。先生方の言葉を胸に。息子の成長と母の願い。学校の先生方が繰り返し私におっしゃる言葉があります。「人とくらべない。前の自分とくらべる」です。通常学級での日々、定型発達のクラスメイトの中で息子と過ごしながら「人とくらべない」ことは、私にとってときに修行のようでした。それでも、先生方はいつも息子の「今」を見てくださいます。「今、つらくないか」「今、安心して過ごせているか」「今、サポートできることはないか」私は就学前は、息子の将来のことばかりを心配する母親でした。成長が1ミリずつのような歩みに感じてしまい、くじけることも多い日々でした。しかし、先生方が息子の「今」を大切にしてくださるので、「今」がずっとつながってこの先の未来があることに気づくことができました。息子には、「人が好き」と思えるように成長していってほしいです。それから、みんなよりできない自分に落ち込むことも多いのですが、苦手なことを気にするのではなく、「これもできる」「あれもできる」と、できるコトに目を向けて、自分に自信を持ってほしいと願っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/たいせーママ(監修:三木先生より)「エアー縄跳び」からのご本人の適応具合が素晴らしいですね!子どもが気になっている部分は外から見ても分からないことも多いので、このようにどんな方法でも一度試してみることはとても大事です。また「将来」は「今」の積み重ねですので、「今」を大事にする目線も持ちたいものです。周りの大人がしっかりそこにフォーカスすることで、子ども自身も「今」の大切さを感じられるようになると良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは新たに「パートナー(夫婦関係)」「進学、受験」などを追加しました!その他「祖父母や親戚関係(帰省含)」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」「自傷」「学習」「不登校」なども引き続き募集中です。パートナーなどとの意見の相違、受験や進学での予期せぬトラブル、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年09月25日実際どうなの?特別支援学級の見学へ自閉スペクトラム症のある長男けんとは、集団行動が苦手、授業中じっとしていられない、集団指示が入らないという「こども園」での様子から、通常学級は難しいと思っていました。特別支援学級とはどういうものなのか、私はほとんど知識がなく、全く見当がつかなかったので就学相談に行き、実際に通う予定の学校に連絡を取り見学させていただくことに。Upload By ゆきみ小規模の小学校で全体の生徒数が少なく、特別支援学級は情緒クラスと知的クラスが1クラスずつということでした。けんとの入る予定になっていた情緒クラスは、担任の先生が1名、サポートの先生が1名、小学4年生以上のお兄さん、お姉さんが在籍していました。特別支援学級に入ると、学校ではずっと特別支援学級で過ごすのだと思っていたのですが、その子どもの特性によって、参加できるところは交流級(通常学級のこと)で授業を受けるとのこと。なんとなくの雰囲気も分かり、質問したいことは全部させていただき少しだけ安心できました。通っている特別支援学級の授業の進め方4月に入学。特別支援学級の1年生はけんと1人でした。最初の1ヶ月ほどは新しい生活に不安定になり疲れやすくなっていましたが、学校自体は楽しんでいた様子。交流級の同級生にも、特別支援学級の子どもたちにも興味を持っていないようで、交流級へ行きたがることはほとんどなく、ほぼ特別支援学級で過ごしていました。学年が違う子どもたちが集まる特別支援学級。その子どもにとっての交流級と同じ時間割で進んでいくため、時間割は子どもによって違います。特別支援学級の教室の側面の黒板に、その日1日の全員の時間割が書いてあり、それに沿って進んでいきます。Upload By ゆきみそれぞれの交流級の授業がけんとは国語、4年生の子が算数、5年生の子が音楽、6年生の子が算数だった場合、まず、交流級で授業を受ける子どもは、交流級へ行きます。サポートの先生がついて行き、人数が多い場合は順番にサポートの先生が回って行くそうです。特別支援学級で受ける子どもは、プリントを解いている間に、担任の先生が順番に教えていく授業スタイルでした。勉強の内容は、その日の交流級と同じものをします。本人に合わせて量などを変えたりすることもあるようです。交流級のお友達に支えられて過ごす授業5月ころ、帰り道に交流級のお友達がけんとに声をかけてくれました。すると、それがうれしかったのか、次の日から「交流級にいきたい」と言いだし、急に授業のほとんどを交流級で受けるようになりました。それと同時にお友達にも興味を持ち、名前や出席番号を覚えだしました。一方的な遊び方ではあるけれど、好きなお友達も数人できたようです。Upload By ゆきみ構音障害で何を言っているのか分かりにくいけんと。先生が聞き取れなかったとき、交流級のお友達が「けんとくん、〇〇って言っているよ」と先生に教えてくれたり、先生のお話しをけんとが理解していないときは「次は体育館に行くんだって」などとお友達が教えてくれたりするそうです。交流級の子たちも慣れてきてくれたようで「けんと君はこういう子ども」という感じで、先生も子どもたちも優しく接してくださっているとのことです。サポートの先生は立ち歩いたときに座るように促してくださったり、今やることを伝えてくださったりしています。まだサポートの先生なしでは交流級で過ごすのは難しいですが、「交流級とはこういうもの」というのを少しずつでも理解してくれたらうれしいです。交流級のスタイルが変化が少なく安心?Upload By ゆきみ現在は、朝の会、休み時間、給食、掃除、帰りの会は特別支援学級で過ごし、サポートの先生がついてくださるときは、ほとんどの授業を交流級で受けています。どの時間をどこで過ごすのかというのは、特別支援学級に在籍する子ども、それぞれで違うそうです。けんとは視覚的に、ほかの人が食べているものに自分の苦手なものがあると具合が悪くなってしまう子なので、給食の時間は必ず特別支援学級でパーテーションをしていただき、外を向いて食べています。休み時間は6年生のお兄ちゃんが遊んでくれているそうで、その子どものお世話になりながら特別支援学級で過ごしています。なぜ、急に交流級で授業を受けるようになったのかな?と疑問に思っていたら、保育所等訪問支援の担当の方に「交流級のスタイルの方が、入れ替わりがない分、変化が少なく安心しやすいのかもしれない」と言われました。確かにそうかもしれない…と納得。まだ小学1年生で始まったばかりの学校生活。本人、学校と相談をしながら、学業だけではなく集団行動や人との関わりかたも学んでいけたらいいなと願っています。※地域、学校の制度によって異なるようです執筆/ゆきみ(監修:井上先生より)小学校1年生から特別支援学級を就学先に考える場合、親御さんもずいぶん悩まれたと思います。他者から情報を聞くだけではなく、自分自身で就学先の学校・学級を見学することはとても大事です。見学は、指定された日もありますが、多くの学校はそれ以外の日も受け付けてくれると思います。担任の先生だけでなく、教頭先生や校長先生に学校の支援体制について質問しておくのも良いと思います。けんとくんの学校のように、特別支援学級に在籍していてもお子さんの状態に合わせて、交流級と特別支援学級との時間の割合を柔軟に対応してくれるところもありますが、先生の人数やサポートの先生の配置などによって困難な学校もあります。学校ごとに異なる場合もありますので、見学に行った際に聞いてみると良いかと思います。
2022年09月24日年少さんのころと比べて減った、娘の自由すぎる行動年中さんになった娘は激しい登園拒否もなくなり、私自身朝が憂うつになることはなくなりました。とはいえ、毎朝「幼稚園やだ!」と床にゴロゴロ転がり、結んだ髪がぐちゃぐちゃになることは日常茶飯事。それでも玄関や教室の前で泣き喚くことは一切なくなりました。あるとき娘はこう話していました。Upload By とまぱんUpload By とまぱん年中さんになって床にゴロゴロしながら自由に歌ってはいけないと気づいたのか、集団生活によってとまちゃんの自由さが控えめになったのかは分かりませんが、今は大人しいそう。以前は娘が自由な行動をしていると、なるべく目立たないようにしてくれ!と祈っていましたが、それが減った今、安堵と同時に少し寂しさも感じ、複雑な気持ちになりました(笑)。被害妄想が強い?娘の考え方に新たな不安が年中さんになってたくさん成長した娘ですが、新たに少し気になることが出てきました。それは娘の被害妄想。とある遊び場のボールプールで子どもが何人か遊んでいました。娘もボールプールに入ろうとし...。Upload By とまぱんUpload By とまぱんとまちゃんが入ったタイミングで、ほかの子たちは別の遊び場へ行ってしまいました。娘が来たから行ってしまったのではなく、たまたまだったのですがとまちゃんは「なんでみんな行っちゃったのかな」と不安そうな顔になりました。恐らく娘は「みんな自分のことが嫌いでどこかに行ってしまったんだ」と思ったのでしょう。その後もそのような場面が何度かあり、娘はその都度不安になっていました。発達障害グレーゾーンの子どもは状況を読む力が弱い?以前読んだ本に、境界知能や発達障害グレーゾーンの子どもは「周囲の状況を読み取る力が弱い傾向がある」と書かれていて、たしかに当てはまるかもしれないと思いました。例えば先ほどのとまちゃんの場合。たまたまとまちゃんが来たタイミングで、みんながほかの遊び場へ行っただけなのですが、とまちゃんは自分が来たからみんな逃げたと思い込んでしまいました。状況を読み取る力が弱い傾向があるとまちゃんは「ほかのお友達はボールプールでたくさん遊んだので、次は別の遊び場へ行った」など行ってしまったほかの理由が考えられなかったのでしょう。「みんな私が嫌いなんだ」という一択しか考えられていませんでした。とはいえ、まだ4歳。状況を読み取るのはまだまだ難しいのかもしれません。むしろ大人な私でさえもついつい被害妄想をしてしまいます。幼稚園で挨拶を交わすお母さんや先生たち。私は嫌われてるのでは、と度々思ってしまうのでとまちゃんの考え方は全く他人事ではなく(笑)。娘の発達について勉強していると、よく「あれ、私もグレーゾーンかな」と思うことが多々あります。状況を読み取る力を育むには?本にはアドバイスが書かれていました。何かあったときには「自分の勘違いかもしれない」ともっと考える習慣をつけさせるといいそうです。お友達が行ってしまったのはほかに理由があったのでは、と一緒に考えてあげる。もしくは日記などに出来事や気持ちを書かせて確認させるとよいそう。書かせるのはまだ難しいので、今度娘が偏った考えをしたときは一緒にほかの理由を考えてあげようと思いました。そして、自分自身が被害妄想をしてしまったときは文に書いて見ようと思います(笑)。Upload By とまぱん参考:境界知能とグレーゾーンの子どもたち|宮口 幸治 (著), 作画 佐々木昭后(著)執筆/とまぱん(監修:初川先生より)とまちゃんが被害的に受け取ってしまう傾向を感じ取り、そこに心配されているのですね。とまちゃんはまだ4歳ですので、周囲の状況を客観的に理解することに難しさがある段階ではあります。ただ、傾向として、“自分が嫌われているから”が第一選択肢に上がりやすいのでしょう。とまぱんさんが試みようとされているように、違う理由を考えてみることは、視野を広げ、さまざまな可能性を案出する力を育むという意味で、とても良いはたらきかけです。とはいえ、まだまだ幼いので、とまちゃんがほかの選択肢を思い浮かべることが難しいとは思います。まずは大人の側が、「こうかもしれないし、こっちかもしれない」とさまざまな可能性を教えてあげるつもりで案出のお手伝いをするのが良いでしょう。長期的な視点に立つと、大人になればなるほど、対人関係の状況は複雑化し、相手がどんな思いで何をしているかは相手に聞いてみないと分からない(どれほど考えても、こちら側からは分からない)ことも多くなってきます。そういう意味で、自分がつらくなりすぎない捉え方というものを自分で案出できることは大切なことです。そのための準備としても、「そうとは限らないよ、例えばこんなこともあるかも!」とさまざまな可能性を教えてあげてください。
2022年09月23日都市部はとにかく施設の数が多い!でも、子どもの数も多くて…Upload By べっこうあめアマミ息子が3歳のとき、私は娘の出産のため、実家に里帰りをしました。その里帰り中の5ヶ月ほどの間、息子は私の地元の発達支援施設に通っていたのですが、里帰り後は自宅がある東京に戻らなければなりません。里帰り中は、妊娠後期の動きづらさと産後の新生児育児であたふたしながら、東京に戻ってから通う療育先探しをしていました。私の実家がある自治体には、未就学児の療育を行っている発達支援施設は1ヶ所しかありませんでした。でも、里帰り後に暮らす東京の自治体は、調べても調べきれないほど、たくさんの発達支援施設があったのです。「これならどこかに入れるだろう」と思いましたが、現実はそんなに甘くありません。東京に限らず都市部はどこもそうかもしれませんが、施設の数が多いということは、それだけ必要とする子どもの数も多いということです。施設の数が多くても、空きがある施設はなかなか見つかりませんでした。「里帰り後、息子はどうしたらいいのだろう…」半分泣きながら、児童発達支援センターに電話で相談しました。すると、そこの相談支援員さんがすごく親身になってくれて、片っ端から心当たりのある施設に受け入れの相談をしてくれたのです。それでも、なかなか希望条件に合う施設は見つかりません。ですが、最終的にその相談支援員さんが在籍している発達支援施設で、なんとか枠を確保し、息子を受け入れてくれることになりました。療育を続けられることに感謝し、相談支援員さんが神様のように思えました。息子が通った発達支援施設、どんなところだった?Upload By べっこうあめアマミ息子が通うことになった発達支援施設は、児童発達支援を行う施設としては、おそらくその地域で最も大きな規模の施設でした。障害の程度や年齢などによっていくつかのクラスに分けられており、息子が通うことになったのは、中でも最も長時間を過ごせる、手厚いクラスです。療育は親子分離だったので、乳児を連れて療育に付き添うことが難しい私には、とても助かりました。そして、おそらく息子と同じくらいの発達段階のお子さんたちで構成されたクラスだったため、親同士の会話でも共通する悩みが多く、親子共にすぐに打ち解けることができました。臨床心理士さんや作業療法士さんなどのリハビリ専門職の先生が多く在籍しており、クラスで日常的に子どもと接してくれます。療育スケジュールや各種療育のねらいなども、おたよりで丁寧に教えてくださり、定期的に「言語・コミュニケーション」や「認知・行動」の個別指導も入りました。面談もけっこうな頻度でありました。子育てや息子の発達についての悩みを悶々と抱え続けることなく、すぐに気軽に相談できる専門家がいてくれる、という安心感は大きかったです。息子のことだけでなく、私の精神状態なども気にかけてくださり、とても行き届いた支援を行っている、良い施設にご縁をいただいたと思っています。幼稚園と療育の併用で、大きく成長した息子Upload By べっこうあめアマミ息子は幼稚園との並行通園で、この発達支援施設に通いました。幼稚園と療育に通う生活を卒園まで続ける中で、できることがたくさん増えました。中でも目覚ましい成長を見せたのは、身辺の自立に関することです。この施設に通いはじめた当時4歳だった息子は、靴や衣類の着脱を自分でやろうとすることはあるけれど、消極的で、完璧にはできない状態でした。排泄はほぼオムツで、パンツへの移行は全く考えられない状態でした。でも卒園のころには、靴の脱ぎ履きは完全に自立し、衣類の着脱も簡単な声掛けでできるようになったのです。排泄の面でも、トイレでの排泄にかなり慣れ、調子がよければ幼稚園や療育に行っている間だけパンツで過ごせる日もありました。Upload By べっこうあめアマミ人とのコミュニケーション面でも、大きな成長が見られました。息子は結局卒園まで言葉を発することはありませんでしたが、お辞儀や手をたたく、といった簡単なジェスチャーで自分の意思を示すことができるようになりました。そして、人に対して極端に興味が薄かった息子が初めて、「お友達」を意識するようになったのです。関わり方は不器用ですが、「同じクラスのお友達」と認識してじっと目で追ったり、手をつないだりすることができるようになりました。さまざまな療育プログラムに取り組む中で、「実は手先が器用」という息子の得意分野にも気づくことができました。親の私も気づけなかった息子の長所を、先生たちが見つけてくれたのです。ゆっくりだけど確実に成長していった息子の姿に、 うれしさがこみあげました。都市部の療育、ネックになるのは施設の狭さと送迎手段?Upload By べっこうあめアマミ息子が通った発達支援施設は、その地域では規模が大きな施設でしたが、駐車場はありませんでした。その施設に限らず、都市部の発達支援施設で送迎のために使える駐車場があるところは、非常に少ないのではないかと思います。私の経験則になってしまいますが、息子はこれまで、東京で4ヶ所の児童発達支援に通ってきましたが、そのいずれの施設にも駐車場はありませんでした。これは後に利用することになる放課後等デイサービスにも通じますが、自家用車で送迎という選択肢は、基本的に考えられません。そのため、徒歩や自転車で通えるか、送迎サービスが利用できる施設しか、選ぶことが難しかったです。また、先に通っていた地方の発達支援施設に比べると、どうしても敷地の狭さは否めません。広い園庭がある施設はなかなか見かけることがありませんでしたし、お散歩や公園遊びもあるとはいえ、室内活動が中心でした。療育に限らず、幼稚園や保育園、学校などもそうですが、敷地の狭さや駐車場がないところが都市部の施設のデメリットと言えるかもしれません。多彩な療育の種類と選択肢の多さ、人が集まる場所の利点東京で暮らしていると、日常的に通える範囲に発達支援施設が多数あることが多いです。専門的な病院でのリハビリや、専門家の個別療育を受けようと思えば、選択肢はいくつもでてきます。療育の種類もさまざまで、その選択肢の多さは魅力的です。冒頭に書いたように、子どもの数も多いことから利用待機になることもありますが、「選べる」ことは人が集まる場所の利点だと感じます。本来であれば、どこに住んでいても等しく選択肢があるべきだとは思いますが、実際はそうもいかないのかもしれません。もっと世の中に療育の必要性が広がり、より多くの子どもたちが、求めるような支援サービスにつながりやすくなるといいなと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:初川先生より)地方と都市部、両方の療育機関を利用されたご経験からの都市部での療育機関の特徴をお知らせくださりありがとうございます。東京は特に選択肢の多いエリアです。交通網も発達しているので、遠くから通う方もいらっしゃり、いつも満員御礼状態で稼働している機関も多くあるのが現状ですね。アマミさんがされたように、まずは居住する自治体の発達支援センターなどに問い合わせ、地域の似たようなお子さんを持つ方々がどのような機関を使っているかを聞いてみることが良いかと思います。民間機関の情報は最終的には保護者の方が動いて情報を集めることも出てきますが、地域のつながり、横のつながりからそうした情報が入ってきやすくなるようにしておくと良さそうです。アマミさんのお子さんは幼稚園との並行通所で、出来るようになったことがたくさんあったとのこと、何よりです。子どもの発達が著しい時期に、専門家の働きかけや助言を活用しながら子育てできることはとても心強いですね。
2022年09月22日子どもに「学校行きたくない!」と言われたら……こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・大場美鈴(楽々かあさん)です。今回のコラムは、子どもに「学校行きたくない!」と言われたときの第一段階の対応、話の聴き方について。子どもが朝なかなか起きてこなかったり、身支度がちっともすすまなかったりして、「もう、早くしなさい!」なんて急かした途端に「行きたくない!」と頑なに返されたら……。親にだって、仕事や下の子のお世話など事情や都合があり、「急にそんなことを言われても困る」「熱がなければ行ってほしい」と思うのは、私も気持ちとしてとてもよく分かります。でも、大人だって、ときには「仕事行きたくないな」と思うこともあるように、子どもの口から「学校行きたくない」という言葉が出るのは、ちっともおかしなことではありません(むしろ、自分の気持ちを正直に言葉にできたことは、ほめてあげたいところです)。「そんなに簡単に休ませていいものだろうか」「でも、もしも、いじめられていたら……」などと、内心では葛藤しながら親子で押し問答を続けていると、不毛な時間だけが過ぎてしまいますよね。こんなときは、とにかくまずは、子どもの話に丁寧に耳を傾けることが大事なのです。とはいえ、話を聴いてあげてたつもりなのに、なぜか、いつの間にか言い争いになっていたり、「もういい!」なんて部屋に閉じこもられてしまったり……「子どもの話を聴く」って、案外難しい気がしませんか。かつては、毎日のように子どもに「学校行きたくない」と言われ続けた私の豊富な経験から、こんなときにスグに役立つ話の聴き方のコツを具体的にお伝えしたいと思います。子どもに急に「学校行きたくない」と言われたら親は焦ってしまいがちですが、夏休みなどの長期休暇明けは特に、「ダルい!暑い!メンドクサイ!」など、どんな子どもでもただでさえ登校ハードルが上がりますし、それぞれの子どもに、学校生活の中でちょっとした不安や不満を感じることがあったり、さまざまな負担感や疲労感から体が思うように動かなかったり、あるいはもっと深刻な理由でかなり思いつめていたりすることも。つまり、「行きたくない」という一言にもさまざまなニュアンスが含まれ、その子どもの心身の状態も段階があるので、親の対応も「これが正解」という一律のものはないと思いますが、どんな理由であれ、その子どもが今どんな気持ちでそう訴えているのか、理解してあげる必要があるでしょう。そのためには、まずは、子どもの話を否定せずに、丁寧に聴いてあげるといいでしょう。できるだけ、話の最後まで根気よくつき合ってあげられるといいのですが、朝の登校前などは親も余裕がありませんよね。ですから、こういったときのためにも、日ごろの子どもの様子から「最近、ストレスがたまってそうだな」と感じたら、早めに時間のあるときにグチを聴いてあげてガス抜きしたり、雑談しながら沢山親子のコミュニケーションをとっておくといいでしょう。そうすると、子どもも親に本音を話しやすくなる上、「何を不安・不満・負担に思っているのか」などの見当もつけやすいと思いますよ。また、思春期などで子どもが親とあまり話したがらない場合や、子どもが周りを気遣って「行きたくない」と素直に言えない場合でも、日ごろから子どもの様子をよく観察し、「フツーのとき」の状態を分かっていると、「いつもと少し、様子が違う」と、直感で気がつきやすくなります(場合によっては、こちらから「今日は休もう!」と、ビシッとストップをかけることも必要です)。では、子どもの話の聴き方の具体的なコツとは?それはズバリ「あいづち名人になる」こと。もし、話の途中で気になることがあっても、「でもさー」「ちょっと待って」などと口を挟まずに、ただひたすらに「うんうん」「そっかそっか」「なるほどね」と、あいづちを打ちながら聴いていくといいでしょう。これって一見誰にでもできそうなシンプルな方法ですが、案外奥が深いんですよ。言葉だけでなく、時々軽くうなずいたり、子どもの背中に触れながら聴いたり、表情でも今の気持ちに共感してあげると話しやすくなると思います(参考までに、著書より「あいづちバリエーションの例」の一覧表を掲載します)。Upload By 楽々かあさんそして、子どもの話を聴く上で大事なのは、「なぜ行けないのか」を探ることよりも「今のその子の負担感を理解してあげる」ことです。もちろん、明確な理由が分かれば解決できることもありますが、触れてほしくないこと、言いたくないこと、親にも知られたくないこと、相手の負担になるのが心配なこと、口にするのさえすごく怖く感じること、自分自身でもよく分からないこと……など、子どもにもいろいろと事情があります。事態の解決を焦ると、つい語気を強めて「なんで行けないの!?」「どうしてイヤなの!?」と、詰問・尋問調になりがちですが、そうすると、せっかく開きかけた心の扉が「ウザい!」「うるさい!」と、閉じてしまうかもしれません。とはいえ、理由が分からなくては、親だって、どう対応したらいいのか分からない場合もあると思います。こんなときは理由よりも気持ちに注目して、丁寧に話を聴いていくといいでしょう。例えば、子どもが「勉強やだなー」と言ったら「どの教科が一番しんどい?」とか、「あーあ、学校ってメンドクサイなぁ」と言ったら「どういうとき、特にそう思う?」……というように具体的に聴きながら、子どもが自分の気持ちを言葉にできるまで待ってあげるのがコツです。すると、実は「国語の時間にみんなの前で音読するのが苦手」とか、「〇〇先生が、忘れ物した子を怒ってるのを見るのが怖い」とか、「休み時間のドッヂボール強制参加がつらい」など、思わぬことが子どもの心身の大きな負担になっているのが分かることもあります。子どもの「特に負担を感じる時間・場所・人」などが分かった場合も、親世代の「昔はもっと厳しかった」といった価値観は一旦置いて、「そうだったんだね。話してくれてありがとう」と、今の子どもが置かれた状況を理解してあげるといいでしょう(ただし、先生やクラスメイトの悪口を親が一緒になって言うのは、ネガティブな感情が煽られて問題解決をより難しくする可能性があるので、基本的にはオススメしません)。こうして話を肯定的に聴いていると、ときには子どもが、「学校なんてバクハツすればいいのに!」とか、「あんなヤツ、XXXのXXXだ!」なんて、道徳的な観点からは「それは、いかがなものか」と思えることを口にすることもあるかもしれません。そんなときも「そんなこと言うもんじゃない」などといった正論は一旦置いて、たとえ本心から同意できずとも、「それほど、イヤだったんだね」「そりゃあ、腹ぐらい立つよね」などと、気持ちには共感し、親は子どもの味方になってあげることを優先するといいでしょう。(ただし、子どもが極端な受け止め方をしている場合、落ち着いてから「こう考えることもできる」「こういうものの見方もある」などと、多様な考え方の例を示して、軌道修正できるといいでしょう)そして、たとえ子どもが親にうまく言葉で伝えられても、伝えられなくても、「そっか、そっか、しんどかったね」「ずっと、つらかったんだね」「いっぱいガマンしてたんだね」……などと声かけして、ヨシヨシしながら共感してあげると、心が少しだけ軽くなると思います。否定せずに話を聴けば伝わる親のメッセージここまで、子どもに「行きたくない」と言われたときに、親ができる話の聴き方のコツをお伝えしてきましたが、もしも、子どもの感情が強すぎて親が受け止めきれない場合や、状況が複雑で深刻な場合、親の側が丁寧に話を聴く余裕がない場合などは、遠慮なく「話を聴くプロ」を頼りましょう。こんなとき、私は主にスクールカウンセラーを活用しましたが、一般のカウンセラーや自治体・大学の相談室など、学校とは無関係の外部の相談機関のほうが話しやすいこともありますし、近頃ではオンライン診療を行う心療内科なども増えているようです。また、思春期にある子どもは特に、親以外の人にも、いつでも自分で相談できるようにしておくといいでしょう。無料の電話相談・SNS・掲示板などの相談先をスマホの連絡先やお気に入りに登録したり、相談先カードをさり気なく見える場所に貼っておく……など、子どもが「相談してみようかな」と思ったときに、すぐに自分でアクセスできるように予め備えておくのも、大事なことだと思います。こうして、親や周りの大人に、子どもが今の自分の気持ちを言葉で表現し、状況を一歩引いて客観的に見ることができると、気持ちが落ち着いて前向きになれる場合もあれば、「やっぱり、どうしても無理」という場合もあると思います。それでも、否定せずに子どもの話を聴いてあげることで、「私はあなたの味方ですよ」というメッセージが伝わるだけでも充分です。親も子も、お互いに人間なんですから、ちょっと疲れちゃったり、あんまり前向きになれない日があるのは当たり前です。それでも、おうちの人が自分の話に耳を傾け、気持ちに寄り添って、どんなときも味方でいてくれるという安心感があれば、学校に行けても行けなくても、その子どもはきっと大丈夫です。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:井上先生より)「学校に行きたくない」と言われたときに、まずその気持ちを受け止め、その理由に耳を傾けていくということはとても大事なことですね。長期的な視点で見ると、その日学校に行くか/行かないかという問題よりも、「困難なときに誰かに相談できる」、ということの方が大事になってくるかもしれません。楽々かあさんのように、上手にカウンセリングのテクニックを使うことで、お子さんが何を困難に思っているかをうまく引き出し、そして整理して、困難な問題について一緒に考えてあげる、このようなプロセスとそれによる成功体験が思春期において、とても大事になってくると思います。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年09月21日もしコウが「学校に行きたくない」と言い出したらどうする?Upload By 丸山さとこ息子のコウは小学4年生で診断を受けましたが、3歳児健診の時点で神経発達症(発達障害)の可能性は指摘されていました。そのころはASDの可能性が高いと言われており、実際に保育園での様子などを見ていると、社会性の低さを感じることはしばしばありました。小学校に入学してから人間関係などのトラブルが起こりそうな予感もあったため、小学校入学前には「もしコウが『学校に行きたくない』と言い出したらどうする?」と不登校についての話し合いを夫としていました。「学校に行きたくない」とコウが言うときは、まずは理由を聞いて対応するように努めています。ですが、「難しい状況が長く続くなどして見通しが持てないようであれば、コウの心身の状態を見つつ不登校を選ぶ可能性はあるだろう」と、夫と私は考えました。学校に通うことで得られるものは、大雑把に分けて二つあると思います。一つは学習の機会。もう一つは他者と関わり社会性を育む機会です。小学校の時間割や教科書を見ると、小学生は本当に忙しいなと感じます。これだけの密度を家庭で再現したら、バトルに次ぐバトルで生傷が絶えない毎日になりそうなのでそこはあきらめるとして、近いものを用意することはできるかと考え、いくつか案を用意しました。学校に行かないことを選んだとしたら?まず、学習は通信教育(タブレット学習アプリ)と簡単なドリルを利用すると、親子共々負担が少なく続けやすいのではないかと考えました。通信教育であれば全教科通塾するより費用が抑えられます。授業動画は停止したり繰り返し視聴したりすることが可能なため、コウもマイペースに理解を進められそうです。Upload By 丸山さとこ候補としていたいくつかのタブレット学習アプリでは、回答の答え合わせが自動で行なわれるのもよい点だなと思いました。私もコウも負担が減りますし、答え合わせのミスもなくなります。また、コウは視線を往復させて物を見たりノートに字を書いたりすることが苦手なのですが、その点でもタブレット学習は助けになると感じました。苦手なことをさせようとすると毎日バトルが絶えなくなるだろうことは予想がついたので、学習に関してはとにかく『コウも私も無理なく、できる範囲で』をモットーに進めていこうと思いました。もしコウと私に余力があれば、通信教育と合わせて1教科だけ個別指導の塾に行くのもよいかと思い、数か所で体験授業を利用してみました。自習室がある塾の場合は、手の空いている先生がいらっしゃれば質問もできるため、自宅学習で分からなかったことも聞けるのがよいなと思いました。比較的手段が数多く用意されている学習機会に比べると、『同世代の子どもの中でコミュニケーションなど社会性を学ぶ機会』は用意するのが難しいなと感じました。集団の中にいたとしても、集団塾のような環境では横の繋がりが生まれにくいかもしれません。かといって、テーブルゲームなどを通じてコミュニケーションを学ぶ場のようなものは通える範囲にありませんでした。そのため、コウが好きなことの中で比較的ほかの子どもとの関わりも生まれそうな、プログラミング教室や英語教室を候補としました。Upload By 丸山さとこまた、『登下校での徒歩移動や体育の授業がなくなることで運動不足になるのではないか』と思ったことから、当時通っていたスイミングスクールも継続して通うとよいのではないかという話になりました。もし「同級生に会うから嫌だ」ということであれば、やや遠方のスイミングスクールに週1で通おう…と決めました。定期的に通える習い事の場を用意することで、私とコウが離れる時間を持つことも大事だろうなと思っていたのもあります。Upload By 丸山さとこまた、社会科見学や家庭科などの主要5教科以外の学習や体験については、レジャー施設やイベント会場へ行くほか、家事の手伝いをするなど日常生活を通じて補うことにしました。優先したいことは何だろう?私は小学生のころ、いじめやからかいなどのトラブルにより学校へ行くのがつらいときがありました。両親はそんな私を見て「しばらく学校お休みする?」と言ってくれましたが、「学校は行くものだから」と言って通い続けました。当時の私は登校することの苦しさと同時に、学校を休むことへの不安も抱えていました。「もし休んだとしてその間の学習はどうする?休んでいる間に問題が解決する手立てもないのに休んで、事態は良い方に変わるのかな…」という不安や疑問を解消できないまま不登校を選ぶことは、そのときの私にはできませんでした。Upload By 丸山さとこそのため、コウが学校生活でつらそうなときには『しばらく学校お休みしてみる?』の提案ができるよう、「安心して学校を休むための対処」について大まかに案を出しておきたいなと考えています。それらの案が、親子共に安心材料になればいいなと思います。コウは小学校中学年のころに行き渋りが続いたことがありました。朝からあまりにも暗い顔をしてぐったりしている日は、「熱はありませんが疲れが溜まっているようなので、今日は休養させたいと思います」と学校に電話してお休みすることもありました。そうしてたまに休んだりしつつもゆるっと登校を続けたコウは、現在中学生になりました。今のところ「中学は楽しい!」と言い毎日元気に通っていますが、いつ調子を崩すか分からないなと思っています。場合によっては『元気だけど学校は合わないので行きたくない』というケースもあるかもしれません。Upload By 丸山さとこ学習アプリ・習い事・体験施設・家事など、『不登校を選んだとき』を想定して候補にあげた活動は学校に通いながら行えるものがほとんどです。そのため、学校に通っていた今までの間にもいくつか生活に取り入れています。今後コウが不登校を選んだ際は、学校に通わない日常を「今の生活の延長上にあるもの」として移行していけるといいなと思います。そして、もしその選択が「学校に通えないほどコウが疲れた結果」なのだとしたら、まずはゆっくり休むことを優先できたらいいのかな?と思っています。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)不登校のお子さんのほとんどは音に対する不安があります。特に自閉スペクトラム症で音過敏のあるお子さんは教室がうるさいとそこにいるだけで苦痛なのです。学校の先生と相談してイヤーマフや耳栓など音に対する工夫をするといいときもあります。さらに喘息・アトピー性皮膚炎のようなアレルギーや、朝起き不良・立ち眩み・車酔いなどの症状がある起立性調節障害を併存している場合は不登校になる率が高くなります。これらは投薬によってコントロールできるのでかかりつけ医に相談して早めに対処することをおすすめします。自閉スペクトラム症に対して先生や生徒が無理解だと学校へ行く楽しみがなくなるばかりか、いじめのターゲットにもなりうるので、校長先生や教育委員会とも連携して早めの対策が必要です。不登校の初期はなるべく行かせるようにしますが、慢性的になった場合は無理やり行かせずオンラインや習い事でサポートし、できるだけ学習をおろそかにしない工夫が必要となります。高校へ入学できて最終的に自立・就職できればいいわけですから…。
2022年09月21日くるくる回る自閉スペクトラム症のある太郎。回るときはほぼ無言。ときにはスローモーションで回ったりもする。寝る前にはくるくる回り、その後はコミック本をひらいて数分で眠りにつく。それが太郎のここ数年のルーティンだ。くるくると回ってるときの太郎はだいたい穏やかな顔をしている。ときには汗も出るほど回っている。Upload By まゆんあまりにも穏やかな表情で回るものだし、それがもう私たち家族の中では当たり前となっている。発達検査を受けた際、心理師さんやほかの専門家の方から「常同行動を止めたりすることはありますか?」と聞かれたことがある。この質問があるということは、止めてはいけないってことだなと先を読めた。それは私も分かっていたし、ほぼ止めることは今までもしなかった。過去に一度、激しく高速で回ってたときは流石に落ち着くように声がけはした。表情も強ばってたし、心の整理がついてないのが丸見えだったからだ。太郎は大人なしで友達と外で遊ぶことをしなかった。理由は私にもハッキリとは分からないが、外への不安があるのか、家が好きなのか、太郎にしか分からない理由がたくさんあるのだろうと思った。Upload By まゆんくるくるを解釈するある日の休日、家のインターホンがなった。ピンポーン。モニターに写ってたのは太郎の友達だった。私は太郎に声をかけた。「太郎、○○君だよ、対応してー」太郎の顔がこわばった。そして高速でクルクルと回り出した。「太郎とりあえず、ほら、インターホンに答えよう」太郎はカチンコチンにかたまりながらインターホン越しに友達の対応をした。「は、、は、、はいーー!」「太郎ちゃん、遊ぼーー公園行こーー」太郎はしばらくかたまった…。「む……無理!!!」Upload By まゆん友達は少し残念そうな顔をしたが「OK!分かった」Upload By まゆんそう言ってインターホン越しの会話は終わった。くるくるくるくる。くるくるくるくる。どんどんどんどん加速する。太郎はリビングをくるくる高速で回った。いろいろな感情が私には見えた。友達と遊びたい、外へ出るのが不安、遊び方が分からない、突然の誘いで驚いた、友達の誘いを断ってしまった。太郎は口にはしないが私にはそんな風にそのくるくるから勝手に解釈した。あまりにも表情が強ばってるし、高速くるくるだったものだし、見るに見兼ねて太郎に声をかけた。「太郎、急な誘いはびっくりしちゃうから、学校で友達と約束してみたら?準備とかしたら大丈夫かもだよ?」この声掛けに太郎のくるくるがピタッと止まった。「約束!!!してみる!!」名案だ!!的な表情を太郎はした。それからくるくるはゆったりとなり表情も穏やかになった。そして数時間後に太郎はこう言った。「お母さん、チャレンジのチャンスはまだあるよね」なんだか心が癒された。あとがき太郎のくるくるは、寝る前や手持ち無沙汰なときに見かけます。何かに集中してるときは静止してますが、なにをしていいか分からないときや空いた時間にはくるくるくるくると回ってます。本人は「落ち着くのと、回りたいから回る」と言ってました。もう一つのパターンが、イレギュラーな何かが起きたときもくるくると回ります。心の整理をするためなのか気持ちが行動にあらわれてるのか、突然の出来事をその場で言葉にすることが苦手なため、くるくると回るのかなぁと母の私は思いました。常同行動にはさまざまな説がありますが、ホントのところは本人にしか分からないわけで…私にも本当のところは分かっていませんが、私から見た太郎のくるくるはこんなところです。何度か一緒にくるくる回ってみましたが、目が回って気持ち悪くなりました(笑)ある意味すごいと感心しました。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは自己刺激としてくるくる回ったり、ジャンプしたりすることがよくあります。手をひらひらさせる常同運動のあった成人の自閉スペクトラム症のある方は何かを話すタイミングでやっているので止めないでほしいと以前話されていました。よほど他人に迷惑をかけていない限り止める必要はないようです。自閉スペクトラム症・発達性協調運動症の診断の一つとして、OT(作業療法士)が、お子さんを回転盤に乗せて左右に回すことがありますが、自閉スペクトラム症のあるお子さんは回転後に眼振が見られず目が回らないことが多いようです。
2022年09月20日長女ゆいの進学先、どうする?以前から中学校は地元の公立中学に行こうかなと考えていました。理由はまず近いこと、次に小学校のメンバーの多くが進学するため環境の変化で受けるつらさが少しは軽減されること、そして支援が手厚いということを小学校の先生に聞いていたからです。そして小学6年生の1学期、小学校の特別支援学級に在籍している児童に対して、個別で中学校の特別支援学級の説明会が開催されました。夫にも娘の通う学校のことや特別支援学級のことを見てほしかったので夫婦で参加しました。Upload By 吉田いらこ夫婦で中学の特別支援学学級の説明会へ参加してゆいの通う予定の中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級は、小学校のときと同じで、基本は通常クラスにいて、授業を受け、苦手な科目のみ特別支援学級で指導を受けるという体制でした。中学選びで私が一つ不安に思っていたことが、特別支援学級に在籍すると内申点がつかないのではないかということでした。もしそうなると、就学先の選択肢が狭まるのではないかと不安だったのです。しかし、この中学校では自閉症・情緒障害特別支援学級在籍の子どもにも内申点がつくという説明を聞いて安心しました。夫もふんふんと説明を聞き納得しているように感じました。※地域や学校によって特別支援学級の体制や内申点の詳細は違います。Upload By 吉田いらこ説明会の最後に、中学校の特別支援学級に入るにあたって入級申請書というものにサインをすることになりました。担当の先生は「まあ形だけみたいなものですけどね。ご希望であればいつでも退級、再入級ができますよ」と笑顔で書類を私たちの前に差し出されました。夫も「分かりました」とその場では何も問題なくサインをしましたが…。Upload By 吉田いらこ不満そうな夫の言った言葉とは説明会の帰り、夫はずっと不満げでした。「説明を一通り聞いたけどさあ、うちの子に特別支援学級なんて必要なくない?あの子は普通だよ。別に特別な支援なんて必要ないんじゃないかな?」と言っていました。この夫の一言で、私は「分かってないな…」と思ってしまいました。ゆいが小学校中学年あたりから勉強についていくのが難しくなって悩んでいた時期、ちょうど夫は3年間の単身赴任中だったのです。Upload By 吉田いらこ発達検査を受けたときも、学校での毎日がしんどくなって児童精神科に通院したときも、小学校の先生と支援について何度も打ち合わせをしたときも、私一人だったなとぼんやり感じました。夫に連絡はしていたけど、仕事が忙しい上に一緒に暮らしていないので当事者意識は低かったのかもしれません。たまに単身赴任先から帰ってきたときも、自宅で過ごしたり一緒に遊んだりする分には、場面緘黙や障害の特性など実感することはなかったと思います。ゆいの生きづらさは外の社会の中で他人と接するからこそ生まれるものなのです。Upload By 吉田いらここれから夫婦で考えていきたいこと単身赴任が終わった夫には、仕事が大変なのも十分承知していますが、これからしっかり子どものことにも関わってもらおうと思いました。正直なことを言うと、私一人で全てやるのは精神的にもういっぱいなのです。中学校の特別支援学級の説明会も私一人で行っても良かったのですが、夫に仕事を休んでもらって一緒に行ったのはこのためです。説明を聞き、書類に夫自身がサインをしたことで少しは意識を向けてくれたかもしれません。私はゆいのことに関しては不安ばかりなのですが、夫はおおらかなところがあるので今後夫婦でお互いに補い合って子どものことを考えていけたらうれしいなと期待しています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)就学先の決定に際して、学校見学や説明会にご夫婦で出かけられたのはとても良かったと思います。実際の授業を見たり、担任の先生に質問をしたり何よりも生の学校の様子に触れられることで就学のイメージが得られやすくなると思います。地域によっては実際に子どもさんに体験してもらう機会を作っているところもありますが、お子さんの意見なども参考になると思います。お父さんの理解がお母さんとずれることはあるかもしれませんが、実際に見学に行ったり先生たちと話をして頂くことで少しずつ変わっていけばよいかと思います。中学の特別支援学級では、通常学級で受ける授業の割合や内申点に関しては地域や学校ごとに事情が異なる場合がありますので、おのおのの就学先の学校で詳しく聞いてみられると良いと思います。
2022年09月19日てんかんの診断方法、治療方法は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんの診断方法は主に問診と検査の結果によって診断されます。てんかんの診断の上で、もっとも重要なのは問診です。発作がどのようなものだったのかによって、てんかんの分類が決まってきます。てんかんの治療を行うためには、発作型と原因が何なのかを把握し、それぞれの発作症状に見合った治療を行います。発作が起こった際には冷静になって、発作症状の全体が映るように動画を撮影するなど、よく観察することが重要です。発作時の動画は、医療機関受診の際に症状を説明しやすいため、撮影されることをおすすめしている医師も多いです。問診では次のようなことを中心に本人または保護者へ聞き取りを行います。【問診の主な内容】・小児の場合:出生時の様子や、出生後の発達の経過・発作時の詳細な様子:いつ、どこで、どのような、どれくらいあったか・随伴する症状:よだれが垂れていた、失禁があった、記憶がなくなっていたなど・てんかんの家族がいるか・頭に大きなケガをしたことはあるか・熱性けいれんを起こしたことはあるか・脳梗塞など、脳の病気をはじめ、治療中の病気はあるかなど、そのほかにもさまざまなことを問診によって聞き取ります。主に脳波測定や脳画像検査の結果も、診断の根拠となります。外来で行う短い脳波検査を行うこともありますが、より詳細に発作時の脳波を検査する「長時間ビデオ脳波モニタリング検査」を行うこともあります。脳波の計測を1日~数日間をかけて継続して測定し続け、同時にそのときの様子をビデオに録画しておきます。脳波と映像を解析して発作症状と発作の原因部位を見極めていきます。なお、てんかんの診断は次のような手順で行われています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんかも…?と思ったらてんかんの大発作が初めて起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合「もしかして、てんかん?」と思うことがあっても、数分でもとに戻ることから日常生活にさほど支障を感じないことがあります。しかしてんかん発作を放置してしまうと、大きな事故につながりかねません。できるだけ早期からそういったリスクを避けるため、医療機関を受診するようにしましょう。◆乳幼児から中学生・小児科または小児神経科◆中学校卒業後・神経内科・脳神経外科・精神科を受診してください。なお、次のリンクにてんかんについての相談窓口が掲載されておりますので、受診する際の参考にしてみてください。参考:てんかん対策 4.てんかんについての相談窓口|厚生労働省てんかんのさまざまな治療方法てんかんの治療は主に薬物療法によって行われています。そのほかにもホルモン療法や手術などの治療法がありますが発作の種類によって使用する薬の種類や治療法も異なりますので、医師の指示に従って治療を進めてください。医師による診断・指導のもとに、抗てんかん薬を用いた薬物療法を行います。発作型に合わせた抗てんかん薬の服薬を続け、抗てんかん薬の使用量の調整を行います。抗てんかん薬治療は原則薬を飲み続けなくてはいけません。ただし、3年〜5年程度、発作症状を抑えられ、再発のリスクが少ない場合には、減薬を試みていきます。ウエスト症候群への代表的な治療法の一つで、ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン)といわれています。ACTHとは、脳下垂体から生理的に分泌されるホルモンで、副腎に作用して副腎皮質ステロイドホルモンの分泌を促す動きがあります。ウエスト症候群の治療では、40~80%の発作が抑制されると報告されています。外科療法が可能なてんかんであれば手術によって治すことができます。てんかんの原因がはっきりしている脳の病変部を切除することによって、てんかん発作を改善することができます。薬をつかっても発作が抑えられないときや、副作用が強いときがあります。その場合に食事療法としてケトン食療法を用いることがあります。ケトン食療法とは体内にケトン体を増やすために、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事を摂る治療法です。日本ではあまり普及していませんが、アメリカや韓国では治療が難しいてんかんがある患者さんに対しての治療法として利用されています。まとめてんかんは年齢や性別に限らず発症し、多種多様な発作を起こします。場合によってはてんかんと気づかれにくい発作もあります。医師の指示に従った治療を行っても発作が良くならないなど、困ったことがあれば、原因について再検査 検査をしてみたり、セカンドオピニオンを求めたりすることも一つの手段です。ぼんやりしてしまう意識障害が伴うてんかんの場合は、本人に発作が起こったことに気がつかないこともあります。そのようなときは周りの人が本人や保護者に教えてあげましょう。てんかんは発作によっては周囲の協力や助けが必要になる場面が、多々あります。そのときに助けを求めたり、サポートをしたりといった相互の協力が大切になってきます。
2022年09月18日「娘は話せるようにならないの?」娘に先天性の重度障害があると宣告されて「一生意味のある言葉を話せるようにはならないでしょう」「歩けるようになるかも分かりません」大学病院で、娘に先天性の重度障害があると宣告されたのは、2歳になる少し前のことでした。突然の診断に、母である私はなかなか受け入れることができませんでした。そのころの娘は、地域の保育園に通っていました。障害が分かったころに思ったことの一つに「運動会に出るのが嫌だな」ということがありました。娘の通っていた保育園は、一人ひとりに見せ場をつくるとても素敵な運動会を行う園でした。それゆえに、上手く歩けるようになるかも分からない娘が、たくさんの保護者の前で見世物にされるような気持ちになってしまったからです。Upload By ユーザー体験談保育園でのあたたかい対応。だんだんと心に変化がそんな否定的な気持ちになっていた私ですが、障害が分かったあとも、保育園で分け隔てなくあたたかく育てていただいている中で少しずつ思いが変わってきました。同じ疾患のお友達の中には「運動会に出ないでほしい」「遠足には連れていけない」と園から拒否されてしまうとか、幼稚園などでは「階段を一人で登れない子どもは受け入れられません」と入園自体拒否されてしまったという話しを聞くこともありましたが、娘の通っていた園は「どうすれば娘も一緒に参加できるか」を考えて遠足や宿泊学習の行き先も調整してくれました。例えば、園では幼児クラスになると山登りに行くのが恒例でしたが、山道を歩くのが難しい娘のことを考えて、ケーブルカーのある山に行き先を変えてくれたので、車いすでも参加できました。クラスのお友達とは山頂で待ち合わせて一緒にお弁当を食べたり散策ができました。睡眠障害があるので宿泊学習はいけないのではないか、と思っていたのですが「お母さんは付き添わないで大丈夫です」と断言され、安心して預けることができました。時には、担任の先生の何気ない「娘には無理だろう」という考えが前提の行動に対して、ほかの保護者が保護者会で問題提起をするなど…ママ友たちにも恵まれました。意味のある言葉は話せず喃語だけの娘に対し、仲良しのお友達は、娘が「ままままま」というと「ままままま」と逆模倣をしてくれ、なんだか楽しいらしく笑いあっていたりもしました。特別支援学校に入学後は、発語自体あまりしなくなってしまいましたので、保育園時代、逆模倣をしてくれるお友達に恵まれていたころが一番宇宙語を話していた気がします。Upload By ユーザー体験談数年前の気持ちが嘘のように。年長になった娘の運動会を見て娘の障害が分かって4年、年長さんの運動会のときは、数年前に「運動会に出したくない」と思っていたことが嘘のように楽しみにしている私がいました。リレーに出場するのは(歩行が安定しないので)難しい娘には、「白と赤のバトンを第1走者に渡す」係を与えてくれ、娘が渡したのを合図にリレーがスタートするという演出!年長組の徒競走は100メートル走のコーナーありのコースなのですが、娘は特別に50メートル走の直線コースにしてもらい、(一度自分の回は走り終えたあと)一緒に走りたいと言ってくれたクラスメート数名と走り(歩き)、一緒にゴール。観客の保護者からも園児からも盛大な拍手をもらい、ニコニコの娘の姿が輝いて見えました。Upload By ユーザー体験談現在の気持ちと支えになった園長先生の言葉今は、すっかり図太くなった私。障害が分かってすぐのいちばん落ち込んでいた時期に、たくさんの人が支えてくれ、一緒に育ててくれたからこそ、闇におちることなくすぐに浮上し、ゆっくりだけど愛しい娘の成長を味わえるようになったのだと思います。保育園の園長先生に言われた「一緒に育てていきたい」という言葉。勤務先の人事の人から言われた「私たちは〇〇さん(私)の応援団です」という言葉。そして、言葉だけでなく、行動でも実践し、支えてくれたこと。その恩に報いるよう、これからも前向きに、そして人に役立つことをしながら生きていきたいな、と日々思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/taekoエピソード参考/あっきー(監修:井上先生より)医師から診断を告げられたことはとてもショックだったと思います。しかし、園の先生方を中心にさまざまな配慮や工夫の中で子どもさんの可能性を引き出してくれたことがクラスメイトの関わり方にも周りの保護者たちにもそして何より親御さんたちに前向きな気持ちと勇気を与えてくれたのだと感じました。子どもの障害をどう捉えるかによって周りの人たちが大きく変わっていくことを実感されてこられたのだと思います。娘さんがクラスにおられたことが娘さん自身にも、そして周りの子どもたちにもお互いに大きな成長に繋がったのではないでしょうか。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは新たに「パートナー(夫婦関係)」「進学、受験」などを追加しました!その他「祖父母や親戚関係(帰省含)」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」「自傷」「学習」「不登校」なども引き続き募集中です。パートナーなどとの意見の相違、受験や進学での予期せぬトラブル、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年09月18日てんかんとは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。日本では約100万人のてんかん患者がいて、およそ100人に1人の割合でてんかんにかかっているという身近な疾患です。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、四肢をピクピクまたは、硬直させる発作だけでなく、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといったタイプの発作などもあります。てんかんの“発作を起こしやすい体質”は遺伝する可能性があります。しかし、たとえてんかん発作を起こしやすい遺伝子を受け継いだとしても、全ての方に発作が発症するとは限りません。またこのようなてんかんの多くは良性のため、治療しやすいといわれています。てんかん発作は、場所や時間を選ばずに発症するため、たとえば子どもがプールで遊んでいるときや、入浴中、車の運転中などに発作が起こり、大きな事故につながる可能性もあります。早期治療やできる限りの注意が必要です。参考:てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会てんかんの原因って?てんかんは大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が引き起こされるものです。そもそも大脳皮質とは脳の表面を覆い、複雑な思考などに深く関わっている部分になります。脳内で情報を伝達しあうために働いているのが神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は微弱な電流を流れることによって、必要な機能にかかわる神経細胞にスイッチが入ります。多数の神経細胞が繋がり合うことで脳の必要な部位が連携し、適切な行動を再現しています。ところが、何らかの原因で大脳の神経細胞が過剰に興奮し、不要な神経細胞にスイッチが入ることがあります。それによって神経細胞が異常に興奮した結果、けいれんなどの発作が引き起こされます。てんかんの主な症状の「発作」とは?てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があります。ここでは、てんかん発作の種類を紹介していきます。目を開いたまま瞳が上転し、歯を食いしばり、呼吸が一時的に止まったり、けいれんをしたりします。体全身をこわばらせ突っ張る発作のことを強直発作、全身特に四肢がガクンガクンと大きく動く発作を間代発作、こわばりからけいれんが起こる強直間代発作などがあります。起きているときに、両手足が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、頭部、目時に体幹が不自然な動き、姿勢をとる運動発作があります。また、力が抜けて立っていられず倒れてしまう脱力発作などもあります。会話の途中などで突然意識を失い、体のすべての動きが止まってしまう複雑部分発作や欠神発作があり、ぼんやりしたままウロウロ動き回ることもあります。おおむね、すぐに回復しますが、意識を失っていた間のことは覚えていません。また脈絡のない言葉を発したり、はっきり喋ることができなくなる失語発作などもあります。体の一部がしびれたり、感覚がなくなる体性感覚発作や気分が悪くなる自律神経発作、視覚や嗅覚、聴覚などに異常が起こる感覚発作がも挙げられます。また不安や恐怖感をあおるような精神発作もあります。症状を一見すると精神疾患と思われますが、脳波などの検査をして、脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされているものだとわかればてんかん発作と診断されます。てんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。まず、てんかん発作は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンこれら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。【主なてんかん症候群】・中心、側頭部に棘波(きょくは)をもつ良性小児てんかん・後頭部に突発波をもつ小児てんかんなど上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。【主なてんかん症候群】・小児欠神てんかん・若年欠神てんかん・若年ミオクロニーてんかん・覚醒時大発作てんかんなど発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。【主なてんかん症候群】・側頭葉てんかん・前頭葉てんかん・頭頂葉てんかん・後頭葉てんかん上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。【主なてんかん症候群】・ウエスト症候群・レノックス-ガストー症候群・ドラベ症候群・進行性ミオクローヌスてんかんなどまとめてんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があり、発作が起きている様子を見ると動揺してしまう場合もありますが、冷静になって動画を撮影するなどの行動で、その後の医療機関受診の際の問診でより医師に症状を伝えやすくなります。また、気になる症状があったらかかりつけの医師に相談することも重要です。
2022年09月17日初めて発達検査を受けることになって…Pが初めて発達検査を受けたのは2歳のころでした。受給者証を取得するために、保健センターで新版K式発達検査を受けたのですが、初めての場所で初めての人と受ける検査は、Pにとってはハードルが高かったようでした。その日は検査をほとんどやろうともせず、測定不能で正確な数値を出すことができませんでした。そもそも、そのときはまだ2歳だったこともあり、この先の成長の可能性を考えると、初めての発達検査だけでは、Pの障害の程度を正確に把握することはできなかっただろうと思います。Upload By みん発達検査をまともに受けることができなかった。3歳、4歳のころは、まず検査を受けるまでが大変でした。初めての検査は保健センターで受けたのですが、その後は療育手帳を取得するときと更新するときには子ども家庭センターで、そしてそれ以外では療育園で担当の心理士さんが検査をしてくれていました。検査の度に毎回場所も人も変わるので、自閉スペクトラム症のあるPにとっては慣れない環境で長時間座って検査をすること自体が難しいものでした。そして検査を受ける度に数値は下がり、知的障害の程度は2〜3歳では軽度だったのですが、4〜5歳では中度になりました。最初は結果に落ち込むこともありましたが、徐々に結果に一喜一憂しなくなっていきました。私は「どうせPはまともに検査を受けることができない」と最初から諦め、いつからか発達検査をすること自体にあまり意味を感じなくなってしまっていました。Upload By みん発達検査をすることにあまり意味を感じなくなったけれど…でも、その考えが変わったのが、Pが6歳になって受けた療育園での最後の発達検査です。担当の心理士の先生が、Pがスムーズに検査を受けるためにはどのようにすれば良いのか?と考え、検査の前に検査の環境を整える準備をしてくれていました。そして、P自身も6歳になって、ある程度座れるようになり、視覚支援や順番も理解できるようになっていました。見通しが立つと検査に対して不安もなくなるのか?いつも以上にスムーズに検査を受けることができていました。Upload By みん発達検査は何のためにする必要があるのか?をやっと実感できた。このときの検査の結果はまた下がって重度知的障害となってしまったのですが、心理士の先生の工夫と、それに応えられるようになったPの成長がうれしくて、中度から重度になってしまったことよりも、やっと発達検査で正確な数値が出たと感じられたことが、とてもうれしかったです。幼いころに1回だけ検査を受けて、その検査結果の良し悪しで、わが子の発達の程度に必要以上に不安になったり、逆に安心してしまったりする場合があると聞きます。かつての私のように、発達検査の結果で落ち込んでしまう人もいるかもしれません。しかし、検査を1回や2回受けただけでは、その後の正確な発達の程度を知ることができないので、継続的に検査を受けていくことが必要だと思います。現在の子どもの発達を親が正しく把握することで、周りの人たちと共に「今の子どもにとってより良い支援へとつなげる」ということが大切なのではないでしょうか。発達検査を受ける意味がなかなか分からなかった私も、やっと発達検査の意味と大切さが分かるようになった気がします。執筆/みんUpload By みん(監修:井上先生より)幼児期の発達検査は変動が大きく、その日の体調や気分によっても変わってくると思います。最後に受けた検査場面のように、検査の進め方を視覚的な支援によって見通しをつけてもらうだけで、本人の不安は軽くなり、検査に集中できたと思います。検査結果は、苦手なところだけに注目するのではなく、できているところ、本人の中でも得意なところにも着目して、その能力を活かせるような活動を考えていくことで、自信もついてくると思います。
2022年09月16日転んで頭をぶつけてしまった息子は病院でCTを撮ることに…しのくんが3歳7ヶ月のころ。「後ろ向きに歩いて椅子に座り損ね、ロッカーの角で頭をぶつけ、たんこぶができてしまいました」と保育園の先生から連絡を受け、心配になって念のためにCTを撮りました。CTを撮ったあと、診察で…Upload By keiko先生に「もしかして…言葉の発達がゆっくり?」と聞かれ、私は「そうなんです」と答えました。先生から衝撃的な一言が…Upload By keiko「言語を司る脳の部分が小さい気がする」と衝撃的なことを言われ、私は耳を疑いました。しばしフリーズ…。「…え?そうなんですか?」とかろうじて返事をかえすと、「うーん…そう見えるんやけど…、分からんなぁ…、どっか病院かかってんの?」と聞かれたので、療育センターや言葉の教室に通っていることを伝えました。「じゃあ、どっかでMRIとか撮ってるよね!」と言われ、慌てふためいた私は、「撮ってないと思います!」と全力で否定しました。すると、先生が「じゃあ、この写真焼いてあげるから、先生に見せるといいよ」とCDーRに焼いてくれました。そして、最後に先生に、恐る恐る聞いてみました…。「先生、脳が小さいとして…これから言語を頑張ったら脳が大きくなるんですか?」と私が聞くと「そういうことではない」と先生にきっぱり言われ、どういうこと!? と私は思い、絶望感が襲いかかってきました。幸いCTでみても別段脳に異常はなく、大丈夫でした。しかし、脳が小さいと言われた先生の言葉を、私はしばらく引きずることになりました…。Upload By keikoその後、言葉の教室の先生に相談してみると…言葉の教室の先生には「言葉の発達がゆっくりなだけで脳を検査するというのは、私は聞いたことがない」と言われました。そして、「もし、本当に脳が小さい場合は、定期的に脳の検査をすることになるんじゃないかな?」とも言われました。私は、「なるほどな」と納得しましたが、念のため後日、療育センターの先生にもCT画像を見てもらうことにしました。結果は…Upload By keiko「大丈夫ですよ、問題ないです」と療育センターの先生に言われて、私は心の底から安堵しました。執筆/keiko(監修:藤井先生より)頭をぶつけた際の頭部CT検査は、頭の中の出血の有無など調べるため行うことがあります。頭をぶつけても、嘔吐や意識障害がなく、麻痺症状もなければ、必ず行わなければならない検査ではありません。また、言葉の遅れがあった場合にも、頭部画像検査(MRIやCT)を行うのも必須ではありません。言葉の遅れだけでなく、ひきつけがあった、できていたことができなくなった(退行)、何かしらの神経疾患が疑われる場合などです。keikoさんが、心配だったことを、言葉の教室の先生や、療育センターの先生に相談できたのはとてもよかったと思います。これからも、何か心配なことなど、療育先の先生や、主治医の先生と相談を続けていくと、過度に不安や心配することなく、お子さまの発達を共に見守っていけるでしょう。
2022年09月16日ダウン症を受け止めきれないまま、保育園の申し込み締め切りは迫り…!告知を受けたときはショックを受けましたが、現実面でもとても大変でした。きいちゃんが生まれたのが10月前半だったのですが、公立の認可保育園の申し込み締め切りが10月末だったからです。わが子に障害があるということを受け止めきれないまま、否応なくわが子の進路を決めなければいけない期日が迫っていました。Upload By 星きのこちなみに、私は妊娠したときから、子どもは保育園に通わせて、自分は早く仕事復帰したいと望んでいました。ですので、妊娠中も積極的にいろいろな保育園に見学に行っていました。いわゆる「保活」です。園庭が広い保育園、体育や英語に力を入れている保育園、ポーテージなどを取り入れている保育園などさまざまな保育園がありました。私は保育園を見学するたびに、ここに子どもを通わせたら…と夢を膨らまし、どう育ってほしいかを考え、きいちゃんが生まれる前からパパとあそこの保育園がいい、いや、あそこのほうが家から近いし…などと話していました。ところが、生まれたわが子には障害が。私が思い描いていた夢がガラガラと崩れてしまったのです。そして、あんなに頑張っていた保活も、ほとんど意味のないものになってしまいました。なぜなら、ダウン症など障害がある子どもの受け入れについては、受け入れ人数に制限があったり、加配枠がある保育園でのみ受け入れるなど、定型発達の子どもにくらべると選択肢が少なくなるからです。ここで、ダウン症という障害がある幼児期の子どもが、大体どのような進路をたどるか書いておくと、①保育園に行く②幼稚園に行く③療育園(障害がある子どもに特化した園)に行くという、大体3パターンに分かれます。中には保育園に通園しながらPTやOTのセラピーを受けるために療育園を利用するとか、幼稚園と療育園を併用している、という親子さんもいらっしゃるみたいです。障害には知的や身体的な障害などさまざまありますが、やはり定型発達の子どもよりもどうしても手がかかってしまうので、その園に受け入れてもらえる体制(先生の数や園の大きさなど物理的な余裕)がないと通えないという実情があります。さて、私自身のことに話を戻すと、私の住んでいる自治体だと希望していた保育園どころか、障害があるというだけで、保育園に入るのが難しいかもしれない…!!とちょっとしたパニックになりました。しかも公立保育園の申し込みまであと1ヶ月切っています。ちょ、ちょっと待ってくれ、どーーしたらいいのお~~~!?!?(←私の心の声)Upload By 星きのこつらかったダウン症のあるわが子の保育園探し調べると、私の住んでいる地域の公立保育園では、ダウン症など障害がある子どもは、「加配枠」という加配の先生が障害のある子ども1人につき1人、もしくは2人に1人ついて見てもらえるという「枠」がある保育園で預かってもらえることを知りました。※地域により制度はそれぞれ違います。しかしながら受け入れは保育園によって1人、もしくは2人でとても狭き門でした。市役所の担当の方にも、「まずは入れないと思ってください」と言われてしまいました。それならば公立ではなく、私立の保育園を…!と、ダウン症があっても入れるかどうか、ほとんど全ての私立保育園に電話をしましたが、私の住んでいる地域にある私立保育園は、ダウン症のある子どもを受け入れる体制が整っていないところが多く、結果は全滅でした。中には「うちの保育園はそんな子を入れる施設ではありません」(言い方よ…涙)と言われてしまい、またいらぬショックを受ける始末。まだまだ今の社会において、障害のあるわが子の保育園探しはつらい作業でした。Upload By 星きのこ園長先生の言葉に感謝の涙それならばと、探す範囲を一駅先まで広げ、再度保育園を探すと、一ヶ所だけ「障害があってもなくても子どもはみんな同じです。うちはどんな子どもでも受け入れます!」と力強く私を励ますようにキッパリと言って下さった園長先生がいて下さって、「私ときいちゃんを受け入れてくれるところがあった……!!」と思わずその場で感謝の涙があふれてしまいました。公立保育園は倍率の関係で落ちる可能性が高いし、遠いけど、この園長先生のいる保育園に頑張って通えれば…!と思いました。そして、私立保育園の申し込みは、公立保育園の当落結果が出たあと(大体、2月の初め)にできるので、その日を待つことにしました。そして2月のある日、市役所から手紙がー…何の期待もなく開けたら、なんと保育園の加配枠に入れたとの通知がきたのでした。こうして選択を迫られた私が公立保育園の加配枠と私立保育園への申し込み、どちらを選んだのかはまた別のコラムで描ければと思います。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)全国どの保育園も障害の差別なく、全ての子どもを受け入れてくれることが理想です。これが当たり前の世の中になってほしいと常日頃願っています。保育士は学校で小児の疾患についても習うのですが、教える先生によって差があるため保育士の知識にも当然差が出てしまいます。知識不足の場合は受け入れも難しくなるでしょう。また、保育士の数に余裕がない所では受け入れも難しくなるのではないでしょうか。病院に通院しているお子さんは、主治医に診断書を書いてもらい加配を付けてもらえることも多いですが、それが難しく保育園に入園できずに地域の療育に通っている方も多いのではないでしょうか。また、療育に通ったとしてもスタッフの障害のあるお子さんに対しての知識や経験は人によって異なります。そうなると障害のあるお子さんは保育園で定型発達児と触れ合うこともなく、逆に定型発達児のお子さんも障害児と保育園で触れ合うこともなく育っていきます。文科省の提唱しているインクルーシブ教育とは相反しているのです。地域のみんなで障害のあるお子さんをサポートしていけるコミュニティ作りが早急の課題だと思います。
2022年09月15日10月10日「世界メンタルヘルスデー2022」、アスリートやピアサポーターによるYouTube配信決定Upload By 発達ナビニュース「世界メンタルヘルスデー」についてご存知ですか?1992年、世界精神保健連盟により、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として、10月10日が「世界メンタルヘルスデー」として定められました。現在は、世界保健機関(WHO)も協賛し、正式な国際記念日とされています。厚生労働省では、今年の10月10日に「つながる、どこでも、だれにでも」をテーマにしたイベント「世界メンタルヘルスデー2022」を開催し、メンタルヘルスに関するYouTube配信などを行います。※クリックすると、発達ナビのサイトから世界保健機関(WHO)の公式サイトへ遷移します。※クリックすると、発達ナビのサイトから厚生労働省の公式サイトに遷移します。10月10日当日は、アスリートなどによるメッセージ動画が公開されるほか、著名人やピアサポーターなどによるYouTube配信も行われます。<詳細>第1部 アスリートなどによる対談(約45分)10月10日(月・祝) 午前10時 YouTube配信開始予定第2部 ピアサポーターなどによる対談(約45分)10月10日(月・祝) 午前10時 YouTube配信開始予定詳細は公式サイトからご確認ください。※クリックすると発達ナビのサイトから厚生労働省の公式サイトへ遷移します。こころの病気は誰でもかかる可能性があり、近年では生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれています。こころの不調は、周囲の人に気づかれにくく、自分からも伝えづらいため、回復に時間がかかってしまうこともあります。厚生労働省では、こころの病気、支援、サービスについてのウェブサイト「みんなのメンタルヘルス」を公開しています。こころの調子をくずしてしまったときは、ひとりで抱え込まずに身近な人や専門機関に相談しましょう。※クリックすると発達ナビのサイトから厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」サイトに遷移します。厚生労働省電話相談窓口一覧厚生労働省SNS相談窓口一覧※クリックすると、発達ナビのサイトから厚生労働省「まもろうよこころ」の公式サイトへ遷移します。特異な才能のある子ども「ギフテッド」に多様な学びの場を、文部科学省が提言素案を公開文部科学省は、2023年度から、特定の分野に特異な才能のある子どもの支援に乗り出すことを示し、来年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めています。特異な才能のある子どもの支援、いわゆる「ギフテッド」支援に向けて、文部科学省では、2021年6月から有識者会議を設置し、議論が進められてきました。今年7月に開催された第12回有識者会議では、具体的な施策の方針について、提言素案がまとめられました。詳細はこちらからご確認ください。※クリックすると発達ナビのサイトから、文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」ページに遷移します。特異な才能のある子どもは、「ギフテッド」ともいわれ、小学生にして大学レベルの学問を理解するなど、「同年齢の児童生徒の中で、知能や創造性、芸術、運動、特定の学問の能力(教科ごとの学力等)等において一定以上の能力を示す者」と定義されています。しかし、特異な才能のある子どもは、機能間の発達水準に偏りがあるなど、その特性によって環境になじめない、同級生との関係構築が難しい、といった困難を抱えていることが示されています。また、特異な才能と学習困難を併せもつ「2E(twice-exceptional)」といわれる子どもの存在も指摘されています。文部科学省では、今後の学校教育において、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」を目指すとしており、今回の提言素案でも、特異な才能のある子どもの支援については、あくまで「多様な一人一人の子どもへの、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実による教育の在り方をいかに実現していくのか」という議論の一環として考えていくことを基本的なスタンスとしています。また、有識者会議では、特異な才能のある子どもたちが異質な存在として捉えられないよう、何らかの特定の基準や数値によって才能を定義することは行わないことを示しています。今回の提言素案では、今後取り組まれる施策として以下の5つが示されています。① 特異な才能のある児童生徒の理解のための周知・研修の促進② 多様な学習の場の充実等③ 特性等を把握する際のサポート④ 学校外の機関にアクセスできるようにするための情報集約・提供⑤ 実証研究を通じた実践事例の蓄積特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議審議のまとめ(素案)※クリックすると発達ナビのサイトから文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議審議のまとめ(素案)」に遷移します金子書房主催「発達障害のある女の子・女性の支援(2022)」が10月8日(土)に開催Upload By 発達ナビニュース発達障害のある女の子・女性は、意識的・無意識的に周囲に合わせようとする「カモフラージュ」の結果、心身共に疲労してしまうだけでなく、新たな困難さが生じることが最近の研究から分かってきているそうです。今回の講演では、そんな発達障害のある女の子・女性が抱えやすいとされている「カモフラージュ」についての悩みを取り上げ、周囲に合わせることと、自分らしく生きることの狭間で生じる葛藤について理解を深め、適切な支援の方向性について検討することが目的とされています。講師は、山口大学教育学部附属教育実践総合センター教授であり、『発達障害のある女の子・女性の支援:「自分らしく生きる」ための「からだ・こころ・関係性」のサポート』などの著者である木谷秀勝先生。9月13日には、新刊「続・発達障害のある女の子・女性の支援: 自分らしさとカモフラージュの狭間を生きる」が発売されます。発達障害のある女の子・女性が、自分も周りも気づかないうちに疲弊してしまわないよう、周囲が理解を深めていくことも重要かもしれません。教育・発達支援領域でお仕事をされている方、心理に関わるお仕事をされている方、こういったテーマに関心のある学生の方、さまざまな方におすすめのイベントです。<詳細>【日時】2022年10月8日 (土) 14:00~16:00【場所】オンライン開催【受講料】リアルタイム視聴:3,000円(税込) リアルタイム視聴+録画視聴(期限付き):4,000円(税込)※録画視聴は配信から14日間までとなります。※ 一般の方もご参加できますが、専門家向けの内容となりますことをご承知おきください。※クリックすると発達ナビのサイトからpeatixのイベント詳細ページに遷移します。社会課題の解決を目指すimperfect、パッケージデザインに障害者アーティストの作品を使用した「アート&カカオ」を9月1日より発売Upload By 発達ナビニュースウェルフードマーケット&カフェ「imperfect(インパーフェクト)」は、障害があるアーティストの所得支援を目指す「アートビリティ」と協業し、9月1日(木)より、パッケージデザインに障害者アーティストの作品を使用した「アート&カカオ」を表参道店とECサイトにて販売しています。パッケージデザインに使用されているのは、アートビリティの登録作家である澁田大輔さんの「勇気」という作品。澁田さんは、動物が好きで、水族館や動物園から作品のインスピレーションを受けているそうです。今回使用されている「勇気」という作品は、澁田さんが、動物の中でも特に好きな「ペンギンが飛び込む姿が描きたい!」という熱い思いから描かれた作品であり、タイトルも、ご家族がいくつか提案された候補の中から、自ら「勇気」という言葉を選ばれたそうです。imperfectでは、世界の食と農を取り巻く社会課題の解決に取り組む「Do well by doing good.」(=いいことをして、世界と社会をよくしていこう)活動が展開されています。「実業を通じた社会課題の解決」を掲げ、社会や生産地・生産者にもよい、Well Food(ウェルフード)の提供が目指されており、「アート&カカオ」でも、森の保全に取り組みながら生産されたカカオが使用されています。※クリックすると発達ナビのサイトからimperfectの公式サイトへ遷移します。澁田さんのいきいきとした力強い作品を楽しむと共に、食を取り巻く社会課題に貢献できる、そんなチョコレートをこの機会に味わってみるのもおすすめです。<商品概要>商品名:アート&カカオ内容:クランチチョコレート3種類×3粒 計9粒 入り販売価格:1,800円(税込)詳しくは公式サイトをご確認ください。※クリックすると発達ナビのサイトからimperfectの公式オンラインショップの商品ページに遷移します夢育て農園、10月から“人を育てる畑コース”開講。第一期生の募集がスタート!Upload By 発達ナビニュースNPO法人ユメソダテは、2022年10月、世田谷区桜丘に新たに開園する“夢育て農園”において、知的障害のある方々を対象に、畑作業をしながら、認知・身体機能を高める“人を育てる畑コース”を開講します。それに伴い、第一期生の募集がスタートしました。ユメソダテでは、誰もが持つ「こういう人になりたい」「こういうことがしたい」といった「ユメの種」を育て、そのユメを実現できる環境を作るための活動が行われています。現状、障害がある方や何らかの生きづらさを抱えた方は、人間関係が限定、固定化されていたり、個人の意思がないがしろにされてしまうことも少なくありません。ユメソダテでは、本人の思いを大切にし、それぞれのユメの実現に向けて伴走するという活動によって、多様性を重視する包括的な社会づくりを目指しています。このコースでは、畝立て、間引き、剪定、収穫などの畑作業や野菜の食べ比べ、料理などを通して、以下のような基本的な認知身体機能の向上を図ることが目指されています。① 直線、平行、直角、左右、 東西南北といった基本的な空間認知機能② 比較・ 分類といった認知機能(特に複数基準での分類)③ 抽象度の高い表現力④ 身体機能”人を育てる畑コース”で、普段なかなか体験することのできない畑作業に参加し、認知機能や身体機能の向上を目指すと共に、夢を実現するための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。※クリックすると発達ナビのサイトから「ユメソダテ」の公式サイトへ遷移します。※クリックすると発達ナビのサイトから「夢育て農園」の公式サイトへ遷移します。<詳細>【募集対象】知的障害のある10代、20代の方で以下の条件を満たす方・畑に自力(家族、支援者同伴でも可)で通うことのできる方・就労移行支援事業所、B 型事業所に通っている方(それ以外でご希望の方はご相談に応じます)。※区立公園内で開講しますので、応募締切後、世田谷区民を優先的に選定します【募集人数】3名(最大5名)【締切】2022年9月23日(木)【開講日】10月6日(木)~半年間/原則として毎週木曜日の午後(木曜日が休日の場合等、一部、月曜日または火曜日の午前中に振り替え予定)【開講時間】13:30~15:30【場所】夢育て農園 東京都世田谷区桜丘 4-19-10 桜丘農業広場内(小田急電鉄小田原線「千歳船橋駅」から徒歩で約 10 分)【費用】一期生は授業料免除・半年コースの前後で、認知身体機能のアセスメントを行います・交通費、保険費用、教材等の実費はご負担下さい※クリックすると発達ナビのサイトから「夢育て農園人を育てる畑コース一期生応募フォーム」に遷移します。
2022年09月14日家では温厚なのに幼稚園では問題だらけ。相変わらずしゃべることはできないし理解力も少ない。もうどうして良いか分からないUpload By カタバミ中度知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある息子のまちゃ。何とか年少から2歳上の長女も通う幼稚園に入れたまちゃでしたが、入園直後の4月から、園長先生と担任の先生による個人面談の場を特別に設けられてしまいました。先生のお話によるとまちゃは、ずっと教室に居られず園庭に出ると戻ってこない。先生の話を聞けないし理解していないし、発語もない。周りのお友達を見て同じように行動できない。給食は大好きなカレー以外はほとんど食べないと言います。半年前に同じ幼稚園のプレ幼稚園にも通っていましたが、そのころは落ち着いて座って絵本も聞いていて、そこまでひどくはなかったので私は驚きました。そして、年少の夏休み明けには他害も始まり、お友達をかんでしまいました。毎月発達センターでは小児科医、臨床心理士、言語聴覚士に診てもらっていましたが、すぐに改善するような提案は出てきません。そんなとき、毎週通っていた児童発達支援事業所の指導員さんから「ペアトレ※を受けてみませんか?」と声をかけていただきました。※ペアトレ…ペアレントトレーニングの略称。保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラムペアトレ開始。いろいろな障害がある子どもを育てる親御さんと、同じ空間で一緒に学ぶUpload By カタバミ声をかけていただいたペアトレは隔週、同じ曜日の同じ時間帯に1時間半、全部で6回行われる講座でした。まちゃを幼稚園に預けて行きました。約10人の方々にプリントをファイルしたものが配布され「また会えたね」「お久しぶり」と挨拶している方もいました。だいたい年に1回行われていると聞きました。1回目は「ほめ上手になろう」というテーマで用意されたプリントに従って記入して、まちゃと自分のことをみなさんの前で紹介しつつ、わが子をほめるメリットについて知る、ほめるポイントを見つけることなどを講師に質問されたり、プリントに記入したりして勉強して時間が過ぎて行きました。私も普段のまちゃとの関わりを思い出して頑張りましたが、講師の助けもあり、ときには笑いも起きて和やかに時間は過ぎて行きました。何よりも私は子どもと離れて外出をして、障害のある子どもを育てる親御さんと集まり、一緒に過ごしている時間がとても貴重なものに感じました。目の前に座った方の発表を聞き、困りごとがまちゃと似ていると感じて孤独感も薄まりました。「あれ?これってもう…」段々まちゃに合わない内容が増えてくる(参加者の多数決?)Upload By カタバミ確か4回目の「伝え上手になろう」というテーマのときでした。まちゃは周りから言われることは1〜2語くらいまでしか分かりません。周りの方が自分の子どもへの声かけの仕方を考えてどんどん発表していく中で、(これは言葉の理解がまちゃよりずっとできる子ども向けの内容だな…)と感じ、たまにお手伝いをサボる、2歳上のまちゃの姉(長女)を想定して考えることにしました。でも目の前の、まちゃと少し似た症状のある子どもの親御さんはいつまでも声かけが発表できず、「うーん…」と気の毒に感じるほど悩んでおられました。今ならこの方が正解で、私もその方と同様にまちゃに伝わる声かけやそのほかの方法を考えた方が良かったのではないかと思いますし、今も手元に残るそのときに貰ったファイルを読むと、知的障害が重くてももっと考えようのある講座だったのではないかと思います。でも、そのときに私は、ほかの大勢の方が発表している内容に孤独感を覚え、適当にお茶を濁してしまいました。家では困ったことにならないようにまちゃの行動に先回りして解決していましたし、私の前でまちゃは比較的温厚で困っていることは少なく、問題は幼稚園などの家族以外の集団にいるときに多く起きていたので、まあ良いかなと思ってしまっていたのもあると思います。どうやって障害のあるわが子に接したら良いのか分からない! そんな日常でペアトレはきっと意味がある…けどUpload By カタバミ私が唯一参加したペアトレはこんな感じで終わりましたが、まちゃの幼稚園の問題で憔悴しきった私を心配して声をかけて下さったのはありがたかったですし、あのタイミングで障害のある子どもを育てる親御さんたちと接することができたのはとても心強かったです。そのときに疑問に感じていた幼稚園の対応についても、ほかの地域にはマンツーマンの加配というものがあると知ることができたのもこの会のおかげでした。とても意味のある講座だったと思います。今はコロナ禍なこともあり、オンラインでのペアトレがグループではなく個別でもあるそうなので、私のように周りを気にせずにしっかりと子どもの困りごとに集中してトレーニングを受けることができると思います。私は自分の体験から、次回はまちゃに合ったテーマでじっくり選んだペアトレを、オンラインか個別で受講してみたいと思います。執筆/カタバミ(監修:初川先生より)ペアトレに参加された際の経験・気持ちのシェアをありがとうございます。障害のあるお子さんへの対応については、ある程度、うまくいきやすい対応(効果があるといわれている対応)があります。その方法を具体的に、ワークなどを通して学んでいくのがペアレントトレーニングです。カタバミさんが参加されたように、集団で開催されるものも多くあります。集団だとほかの保護者の方のコメントや考え方、また講座前後に交わされる他愛もない会話での情報交換など、さまざまな情報を得られることや、また、同じような状況で頑張っている仲間としての心強さも感じることができますね。ペアトレに一度参加したらそれ以降悩まずにやっていける…とは限らないですし、ある程度の汎用性のある課題をみんなで考えるというセッティングなので、自分の子にぴったり合う内容かというと、少々アレンジが必要ではあります。そうした部分については、個別での相談なども活用して、日常生活に生かしていただければと思います。
2022年09月13日「わがまま」ではない、感覚過敏の困りごとを当事者が言語化ーー『感覚過敏の僕が感じる世界』服が痛い、給食が食べられない、白い紙がまぶしい、テーマパークが苦手…、周囲に理解されづらく、自覚することも難しい感覚過敏の特性。特に、自分の不快感を言語化することが難しい子どものころは、感覚過敏による特性が「わがまま」ととらえられてしまうことも少なくありません。この本の著者は、発達ナビに体験エッセイを執筆している加藤路瑛さん。自身も聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚過敏があり、12歳のときに親子で起業、13歳のときに「感覚過敏研究所」を設立し、現在は当事者として感覚過敏の啓発や対策商品の開発、感覚過敏の研究などを行っています。自身の経験から、感覚過敏の困りごとを言語化し、対策方法、周囲の対応などについて書いているのがこの本です。視覚過敏のある方も読みやすいよう、紙の色、文字の色、フォントにも配慮されており、視覚的にも読みやすい一冊となっています。この本は、さまざまな感覚の困りごとについて理解するための一つのツールになるのではないでしょうか。特に周囲に感覚過敏の当事者がいらっしゃる方は、どのような配慮が必要か、どうすれば不快な刺激を取り除くことができるのか、についてのヒントが得られるかもしれません。「死なないで、どうか生きてください…」生きづらさを抱えた子どもたちに樹木希林さんが遺した言葉ーー『9月1日母からのバトン』9月1日は、最も子どもの自殺数が多い日であるといわれています。2018年に逝去された俳優、樹木希林さんは生前、生きづらさを抱えた子どもたちに思いをはせ、たくさんの言葉を遺していました。樹木希林さんの娘、内田也哉子さんは「もったいない、あまりに命がもったいない…」という樹木さんの病床でのつぶやきに感化され、現状を知りたい、そして樹木さんからのバトンを引き継ぎたいという思いで、本書を著しました。この本では、不登校新聞の取材に応じた時の樹木さん、不登校に関するトークセッションに登壇されたときの樹木さんの言葉に加えて、内田さんと不登校当事者の方や不登校支援に携わる方との対談の内容が掲載されています。樹木さんと内田さんの語りを通して、不登校について、生きづらさについて、子どもたちが自ら命を絶ってしまうことについて、生きる意味について、一緒に考えることができる一冊となっています。「自分も”自閉症”だったなあ」とつぶやく樹木さん。周囲とのずれを自覚しながら最期まで自分らしく生き抜いた樹木さんの言葉にぜひ触れてみてください。子どもたちが今を生き抜く希望を持てるようにするためにはどうしたらよいのか、樹木さんや内田さんが望むように、いつか9月1日が子どもたちにとって絶望の日ではなくなるためにはどうしたらよいのか、考えるきっかけになるのではないでしょうか。「ちょっと変わった学生」と「せんせい」が過ごした日々ーー『発達障がいを生きない。』これまで、人生に大きな影響を与えてくれるような素敵な先生に出会ったことはありますか。「自分は周りの人とどこか違う」「周囲になじめない」そんな悩みを抱えたとき、それを理解し受け止め、心が楽になるような言葉をかけてくれる先生に出会えたら、「生きづらかったこの世界」の見え方が少し変わるかもしれません。この本の著者Aju(あじゅ)さんは、大学の講義で永浜明子先生、通称「せんせい」と出会います。せんせいは、周囲になじめないと悩むAjuさんの特性をよく理解し、「無理してなじまなくていい」「無理して授業に参加しなくていい」と声をかけてくれます。そんなせんせいとAjuさんは、次第に仲を深め、ある時から10年余り一つ屋根の下で生活するようになります。Ajuさんは22歳のとき、「自閉スペクトラム症」と診断されます。Ajuさんとせんせいが歩んできた、葛藤の日々。その先に見えてきた自分らしい生き方とは…?Ajuさんとせんせいが過ごした日々から、「障害って何?」「特性とうまく付き合うには?」「自分らしく生きるには」といった問いに対する自分なりの答えが見えてくるのではないでしょうか?発達障害当事者の方だけでなく、当事者とかかわる方々にもおすすめの一冊です。「あそび」を通して子どもの発達をサポートする放課後等デイサービスのあり方とはーー『放課後等デイサービスの豊かなあそびと発達支援: 個別支援の充実と地域での自立に向けて』今や全国に約14,000箇所存在するといわれている放課後等デイサービス。実際に利用されている方も多いのではないでしょうか。この本では、身近な存在になりつつある放課後等デイサービスの役割や、支援者に求められること、地域共生社会に向けた取り組みなど、幅広い視点から放課後等デイサービスについてまとめられています。またこの本では「見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わう」といった五感に加え、姿勢を保持する「平衡感覚」、体の動きをコントロールする「固有覚覚」など日常生活に必要な基礎感覚を整えるための体を使ったあそび、さらには子どもの学びや社会体験につながるようなあそびなど、子どもの発達を促すさまざまな「あそび」が幅広く紹介されています。放課後等デイサービスで働いている方、子どもの発達を促すトレーニングに興味がある方、子どもの感覚について悩みを抱えていらっしゃる方などさまざまな方におすすめの一冊です。
2022年09月12日大勢の中でいろいろな刺激を受けるけれど…親御さんや学校の先生と特別支援教育の話をしていると、「この子に通級指導教室や特別支援学級が合うのも分かりますが、通常学級で大勢の中に入ったほうが、いい刺激を受けるんじゃないですか」と言われることがあります。確かに大勢と交流すれば、いろいろな刺激を受けます。しかしその中にはプラスの刺激もあれば、マイナスの刺激もあります。発達障害のある子どもは、通常学級にいると「自分だけ、ほかの子たちと何かが違うぞ」という違和感を持つことがあります。通常学級では、同級生はだいたいみんなできているのに、自分だけうまくいかないという経験をすることがしばしばあるのです。そういう経験を刻々と積み重ねていくと、学年がある程度上がったときには、孤立した感覚を味わうようになります。集団に入って刺激を受けようとした結果、むしろ孤立感を増して、「どこにも居場所がない」と感じてしまう子どももいるわけです。通常学級で、発達障害のある子どもが同級生と同じ課題に頑張って食らいついて、ついていこうとするのは、間違っています。そうではなくて、親や先生が頑張って情報共有をして、その子が参加しやすい課題を用意するべきです。通常学級で十分に対応することが難しければ、特別支援教育の仕組みを活用して、子どもの居場所をしっかりと用意するべきでしょう。大人がやるべきことは、学習以前の段階で、子どもに無理な努力をさせることではないはずです。小学校で通常学級にいれば、確かに多くの子どもたちと交流できます。授業や行事などを通じて「いい思い出」をつくることもできるでしょう。しかし、大勢との交流には「いい刺激」もあれば、そうではない刺激もあります。発達障害のある子どもの場合、大勢の中ではマイナスの刺激を受けることも多いと感じています。「悪い思い出」ができて、それをずっと忘れられなくなる子どももいます。「通常学級にいればいい刺激」は幻想私は、「通常学級にいれば、いい刺激を受けられる」という考え方は、幻想だと思っています。親御さんや学校の先生が「面倒見のいい子もいるので、通常学級でも大丈夫ですよ」などと言うこともありますが、そのような考え方は甘いと思います。そんなふうに、同年代の友達に過度な期待を寄せてはいけません。小学校低学年くらいであれば、まだみんな無邪気ですから、同級生が困っていたら助けようとする子どもも多いです。しかし学年が上がり、子どもたちが思春期を迎えると、そのような場面は減っていきます。基本的には、思春期の子どもたちは、気の合う相手を選んでつき合うようになります。そのとき、個性的で目立つ子どもは、ほかの子どもたちから敬遠されることがあります。個性的な子どもは、みんなが成長していく過程で、グループの中で浮いてしまうことがあるのです。そのような状況になったとき、子どもはそこを「自分の居場所」だと感じられるでしょうか。大人は、子どもの同級生にサポートを期待するのではなく、自分たちで発達障害のある子どもをサポートする用意をしておく必要があります。子どもが受ける「いい刺激」についてもう少し言っておくと、私は、発達障害のある子どもが通常学級に参加したときに「いい刺激」を受けるのは、どちらかというと周りの子どもたちだと思っています。通常学級には、基本的に「学校の標準」をこなせる子どもたちが集まります。通常学級は平均的な子どもの集団になりやすいわけです。そこに発達障害のある子どもが参加して、ほかの子どもたちと違う部分が目立った場合には、発達障害のある子どもが刺激を受けるというよりは、むしろ通常学級のほかの子どもたちが「多様性」を実感しやすくなります。私は通級指導教室や特別支援学級、特別支援学校の中でも子どもたちは「いい刺激」を受けていると思っています。発達障害のある子どもはマニアックな趣味を持っている場合も多いのですが、通常学級よりも通級指導教室や特別支援学級のような場のほうが、趣味の合う子が見つかりやすい場合もあります。上手な先生がそういうところに注目して、気の合う子どもを組み合わせてクラス分けをしていることもありました。そういう例をよく見ていたので、親御さんから「通常学級に入ったほうが、いい刺激を受けるのでは」と聞かれたときには、むしろ通級指導教室や特別支援学級のほうが「いい刺激」を受けて「いい仲間」ができることも多いという話をすることもあります。自分が納得できる選択肢を取るのが一番ただ、誰かにすすめられたことを渋々やってみたときには、それがうまくいっても失敗しても、すっきりしないことがあります。みなさんが、「小1の4月から特別支援教育を受ける」ということにいま一つ納得できないという場合には、ご自身が納得できる選択肢を取ってほしいと思います。お子さんが通う可能性のある学校や学級を、一緒に見学させてもらい、お子さんがどこに通いたいと思うかを確かめてみてもよいでしょう。「本田がそう書いていたから」というだけの理由で支援を受けることは、おすすめしません。そうではなく、基本的にはお子さん本人の意思を大切にしながら、本人がまだうまく判断できないところについては、親御さんがお子さんのために必要だと思うことを、納得して選ぶようにしてほしいと思います。
2022年09月11日発達ナビユーザー200名以上が回答!『バックインウォレット』『透ける収納ボックス』どんな風だったらもっと使いやすい?2022年6月に発達ナビユーザーのみなさま200名以上にご回答いただいた詳細アンケート結果を参考に、2アイテムをフェリシモCCPで企画スタート。応募いただいたユーザーさまへモニター実施中です。商品化候補決定!「物忘れ、片づけをサポート」するグッズをつくりたい!ご意見大募集【発達ナビ×フェリシモCCP】発達障害フレンドリーなグッズづくり第4弾 モニター募集もUpload By 発達ナビ編集部「財布やかぎなど、外出に必要なものを何かと忘れがち」というアンケートのお声から、必要なものをひとまとめにし、さらに中が見える『バッグインウォレット』を企画しています。【商品の特徴】・メッシュ素材なので中身が見やすく管理がしやすい・開けるとじゃばらに開くポケットで、小銭や鍵などすっきり収納できて取り出しやすい・キーリールをつけられるループやマチつきポケットで、かぎや交通カードをスムーズに取り出せるストラップをバッグの持ち手につけたいかどうかのアンケート結果回答は同じくらいの比率でした。特に、つけなくてもいいとの回答には「お子さまが使う(小学校以上)」とされていた方が多かったですUpload By 発達ナビ編集部ハンカチ、ティッシュが入るオープンポケットについてのアンケート結果コロナ禍でハンカチを使う機会が増え、バッグの中からハンカチを探し出すのが大変というお声も多くありました。定位置をつくったうえで、取り出しやすいポケットをと考えています。Upload By 発達ナビ編集部また、アンケートに答えてくださった方々の内、使用するならどなたですか?という質問に対して本人…69.0%、子ども…69.0%、父親・母親…8.5%、配偶者…5.4%という結果になりました。(複数回答有り)Upload By 発達ナビ編集部「自分の視界から消えるとその存在を忘れてしまう」というお困りごとを解決するために、メッシュ生地で中が透けて見える「収納ボックス」を企画開発中です。目に入る場所に置いておくことで「忘れない習慣」を目指しています。〈商品の特徴〉・中身が透けて見えるメッシュ生地・中身が飛び出ないようにお薬袋を立てたまま入れられるサイズ感・間仕切りは、量に合わせて面ファスナーで位置を自由に調整できる・アイコンカードを入れられ、何が入っているか誰の物かが分かりやすい収納ボックスの中の間仕切りについてのアンケート結果固定されているもの…35%、面ファスナーなどで位置調整ができるもの…65%と、位置調整ができるものに票が多く入りました。Upload By 発達ナビ編集部また、アンケートに答えてくださった方々の内、使用するならどなたですか?という質問に対して子ども…69.2%、本人…49.6%、父親・母親…8.5%、配偶者…6.8%、その他…1.7%という結果になりました。(複数回答有り)そのほか寄せられたお声・間仕切りは複数枚欲しい・薬を袋ごと入れて使うとしたら、三姉妹分(可能なら夫の分も)個人で仕切れたら助かる。しかもこのボックス一つで納まると助かる・大きいものを入れたりしたいから、仕切りは調整できる方が良いアンケートにご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。アンケート結果からよりよいアイテムになるよう検討を重ねていきます!発売は2023年3月中旬ごろを予定。完成を楽しみにお待ちください!また欲しい!の声が続出、2つの完売アイテムがリニューアルしてこの秋に再登場!発達ナビとフェリシモCCPがコラボし、完成した商品の中でも大人気なアイテム2つが、パワーアップして登場!コラボ第1弾で登場し、再販リクエストが非常に多かったリュックインナーが大人なカラーリングになってかえってきました。リュックを開いたときに中身が一目瞭然で見えるつくりにこだわっていることはもちろん、出し入れ時に迷わないアイコンカードが便利です。整理整とんがしやすいリュックで、忘れんぼうさんも快適に過ごせるようになるはず!Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボ第2弾で開発されたタスクチェッカー。こんなのが欲しかった!というお声が続出したアイテム。いつものルーティンを見える化して、「できたこと」をその都度確認できるチェッカーです。今回のリニューアルでは、紙からプラスティックへの素材変更で、より丈夫になりました。これで不器用さんも安心。鞄の中に入れるなどしても何度でも使えます!Upload By 発達ナビ編集部※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します今回発売リニューアルした商品以外にもさまざまなコラボ商品があります。ぜひご覧ください!※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2022年09月10日成長の早い4歳娘、外出時に夫と男子トイレに入ったら…わが家の6歳娘は読書家で図鑑が大好き。おしゃべりで人見知りしないけどちょっぴり臆病な女の子です。成長が早く、同年代の子と比べても昔から身長が大きいほうでした。今は年長ですが、身長がすでに125センチあることもあって、小学2年生くらいに間違われることもあります。そんな娘が4歳のときに外出先で夫とトイレに行ったときのお話です。私が仕事ということもあり、土日は夫と娘の2人で出かけることの多いわが家。その日も夫と娘は近所のショッピングセンターに遊びに行っていました。おむつが外れたとはいえ、まだトイレの介助が必要な年齢。夫は娘のトイレ介助のため、一緒に男子トイレへ入りました。すると、トイレにいた小学生くらいの男の子が娘のことを不思議そうに見たあと、一緒にいたお父さんに「なんであの子は男子トイレを使っているの?」と質問をしたそうです。その男の子のお父さんは「親が良いって言ってるんだからいいんじゃない?」と言っていたそうですが、そのとき初めて夫は娘がほかの子どもより成長が早いことに気づき、ハッとしたようです。4歳でも小学生に間違われることもあった娘。そんな娘が男子トイレを使っている様子は、ほかの人から見たら違和感があったのでしょう。Upload By ユーザー体験談言われて気づいた、娘が男子トイレに入る「違和感」娘が通っている保育園は、新設されたばかりで娘が1番上のクラス。そして娘のクラスは2人しかいないという環境でした。そのため、夫も私も娘の成長が早いことを理解しているつもりでしたが、周りからどう思われているかまで自覚できていませんでした。Upload By ユーザー体験談私と夫はようやく危機感を覚え、夫と娘だけのお出かけでお店で使うトイレは多目的トイレを使うことに決めました。娘にも「服に隠れている部分は人前で見せてはいけないし、男子トイレに入るのもやめたほうがいい。自分の身を守るためにも、これからは多目的トイレを使おうね」と伝えました。Upload By ユーザー体験談5歳で思春期早発症疑いと言われた娘。身体の成長についてどう話す?娘は5歳のときに保育園の内科検診で思春期早発症疑いと言われ病院で検査を受けました。結果は診断できず(異常点はない)でしたが、それから半年に1回の検査を受けています。娘は人体や臓器の本が好きなところがあります。図鑑などから、子宮や卵巣などの働きや赤ちゃんがどうやって育つかなどの知識も得ています。普段から、娘から身体についてのことや、本を見ていて疑問点を質問されたときにはしっかり答えようと努力しています。思春期早発症は早ければ小学1年生から生理が来ると聞きました。生理について教えるのも早いほうがいいだろうと考えていますが、娘は臆病なところがあるためタイミングを見極めており、まだちゃんと話せてはいません。胸が大きくなっていく変化の話はお風呂に入っているときに「なんで私とお母さんの体は違うの?」という質問をされたときに話しました。娘はその話だけで怖がっていたので(胸が大きくなりはじめる時期にはシコリができて、ぶつかると痛みが出るときもある…と話をしたら怖くなってしまったようです)怖いことではないんだよ、ということをゆっくり伝えていきたいと思っています。まだまだ今後も起こるたくさんの第二次性徴。いろいろな変化を怖がらずに、些細なことでも相談してもらえる親子関係を築いていきたいです。また、今後娘自身が適切な行動を取れるような価値観や習慣を育てていくためにも「自分のプライベートなところは隠す必要がある」「隠すことが身の安全を守る」ことの重要性についても教えていかなければならないと強く思いました。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/つむつむママ(監修:井上先生)第二次性徴が訪れる時期は一人ひとり異なります。学校でも性教育の授業はありますが、 一人ひとりの身体の変化の自覚は異なるため、理解や受け止め方もさまざまになりがちです。同性の親が女の子であれば身体の変化や、生理の知識や対応方法、年齢に応じた異性との接し方などオープンに話せるようにしておくと良いですね。つむつむママさんのように一緒にお風呂に入るような習慣があると話題もふりやすいかもしれません。あまり先取りしすぎて親子で不安になるのも良くないので焦る必要はありませんが、先輩の親御さんの話を聞いてみるのも良いかもしれません。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは新たに「パートナー(夫婦関係)」「進学、受験」などを追加しました!その他「祖父母や親戚関係(帰省含)」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」「自傷」「学習」「不登校」なども引き続き募集中です。パートナーなどとの意見の相違、受験や進学での予期せぬトラブル、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年09月10日いたたまれなかった入園式幼稚園のホールで行われた入園式では座っていることができた娘。しかしながら、式典のあと保育室に移動すると、絵本が大好きな娘は本棚へと一目散。担任の先生が翌日の持ち物などを保護者に伝えている間、ほかの子どもたちが大人しく椅子に座っているのをしりめに、娘は本棚から持ってきた絵本を読んでいました。読み終わって次の本を取りに本棚へ向かおうとする娘に、私がじっとしているよう促しても聞くわけもなく…。先生が娘を注意することはありませんでしたが、室内をウロウロする娘の姿を見て、私はいたたまれない気持ちになりました。Upload By 荒木まち子通園が始まると娘の通う幼稚園には通園バスがなかったので、園児は徒歩や自転車などで通園していました。朝の送りのあと、幼稚園に慣れているお母さんはすぐに帰っていましたが、年少クラスの保護者はすぐには帰らず、よく幼稚園の生垣のそばで立ち話をしていました。そこには15cm四方の隙間がある木が1本あって、年少クラスの保育室の様子を垣間見ることができました(誰が最初にその場所を発見したかは不明)。そこは室内からは死角になっていて子どもたちからは見えないので、その穴から自分の子どもが部屋に入ったのを確認してから帰る保護者がほとんどでした。しばしば行列ができ順番で譲り合うのが暗黙のルールになっているほどの人気スポット“覗ケル穴”を私もちょくちょく利用していました。“穴”から見た光景はプレ幼稚園に通っていて場所慣れしていたせいもあってか、娘は昇降口で私と別れたあと、先生に促されるとぐずることもなく一人で保育室に入っていきました。でもほかの子どもたちは入園式のときとは打って変わって阿鼻叫喚の大騒ぎ。親と別れてからずぅっと泣いている子、おもちゃを取り合ってけんかしている子などなど、そこはまるで動物園のようでした。Upload By 荒木まち子「送り」があるということは「お迎え」もある!お迎えは保護者が保育室に入り、お帰りの会で一斉にサヨナラのあいさつをしてから子どもを連れて帰る、というスタイルでした。その日、子どもに何事もなければそのまま帰れるのですが、何か連絡事項がある場合は先生に個別に呼び止められます。入園後しばらくはすぐに帰れたのですが、徐々に先生に呼び止められる回数が多くなっていきました。「お母さん、ちょっとすみません…」「今日こんなことがあって…」あまりにも頻繁に呼び止められるので、声を掛けられる前に帰ろうとすると…Upload By 荒木まち子不調はあとからやってくる入園一ヶ月を過ぎたころには、周りの子どもたちは園生活にも慣れ、保育室はもう動物園ではなくなりました。それに伴い“覗ケル穴”の人気もピークアウト、穴ユーザーは私のほかに2、3人といった感じになりました。周りの子どもたちが落ち着いていく一方、娘はよく腹痛を訴えるようになっていきました。発達障害の娘は初めての集団生活にストレスを感じていたのだと思います。便秘や下痢はなかったので、病院では整腸剤が処方されました。私は「このお薬を飲むとお腹が痛いのがなくなるよ」と言って娘を安心させることを心掛けました。近くに親戚もいなく、主人は単身赴任で娘と二人きりで暮らしていた私。初めての子育てはどうしたら良いのか分からないことだらけでした。担任の先生からのうれしい提案そんなある日、担任の先生が連絡帳に『ご家庭の様子と園での様子との連絡を密にして、お子さんにとって良い方向に向かっていけるよう関わっていきたいと思います。何かありましたらお知らせください。』と書いてくださいました。それまで幼稚園の連絡帳には欠席などの連絡事項だけしか書いていませんでしたが、この日から私は連絡帳に・家での娘の様子・自分が行っている娘への声掛けの方法・療育の先生に言われたことなどを書き始めました。先生も園での様子を書いてくださり、私は『家庭での娘』と『幼稚園での娘』の違いを知ることができました。“覗ケル穴”から見ただけでは分からない娘の様子や変化、お迎えのときだけでは伝えきれない娘の情報を私たちは連絡帳を通して共有しました。幼稚園の先生が娘への対処法を一緒に模索してくれることを私はうれしく、そして心強く感じました。Upload By 荒木まち子担任の先生との連絡帳でのやり取りは年少~年中~年長と、担任の先生が変わっても、卒園するまで続きました。このやり取りは、私たち親子と支援者との『つながり』の原点となったのでした。執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)親として園での子どもの様子はとても気になるものだと思います。うまく適応しているように見えても、無理をしているかも…と心配になるかもしれません。荒木さんのように、お子さんが腹痛を訴えたりする場合、園の先生との連携が必要になると思います。登園渋りもある場合は、登園して最初の活動を本人が好きで落ち着けるような活動にしてあげたり、苦手な活動に対して個別の支援を考えたりすることも必要かもしれません。連絡帳は連携の手段のひとつとして有効かと思いますが、場合によっては電話や面談と組み合わせるとお互いに負担が少なくて済むでしょう。
2022年09月09日5年前、迷いに迷った在籍クラス。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、小学6年生。来年の春には、中学校に進学します。現在、特別支援学級に在籍している娘ですが、特別支援学級へ籍を置くようになるまで、いろいろありました。小学1年生のときは、通常学級に在籍していたのですが、友達とのトラブル、授業についていけない、担任からのできないことに対する指摘など、本当にいろいろありました。2年生からの進級先をどうするか決めるときは、親としてたくさん悩んだし、考えて考えて、迷って迷って…頭を抱えました。Upload By SAKURAもうこれ以上考えようがないというところまで考え尽くし、結局最後は「娘が笑顔でいられる道」にしようと思い、2年生から、特別支援学級に在籍することにしました。Upload By SAKURA高学年になったら、通常学級に・・・そう思っていたけれど。当初私は、特別支援学級の在籍は一時的にして、「5、6年生ぐらいまでに通常学級に戻れたらいいな」と考えていました。もちろん絶対そうしよう!と決めていたわけではありませんが、目標があったほうが、私も娘も具体的な療育に取り組みやすいと思っていました。そのため、中学校からの特別支援学級は、あまり考えていませんでした。Upload By SAKURAしかし、2年生、3年生、4年生と特別支援学級で過ごしていくうちに…私の考えは変化していきました。娘にぴったりだった特別支援学級の学習方法。娘は、2年生からずっと、国語と算数だけ特別支援学級で受けています。勉強する場所は違いますが、授業内容は通常学級と同じ内容です。発表などの授業のときは、通常学級でみんなと一緒に行いますし、テストも通常学級と同じものを受け、同じ判断基準で成績表もつけられます。特別支援学級で受ける授業は、娘に合っていたようで、成績はどんどん上がり続け…Upload By SAKURAテストはほとんどが90点台。100点を取ってくることもよくありました。クラスで上位の成績になり、みんなの前で点数を褒められることもありました。娘は、視覚優位で、耳から情報収集は苦手という特性があり、大勢の中で授業を受けると、先生の指示や授業内容をしっかり聞き取ることができません。しかし、特別支援学級で先生と一対一の授業をすると、先生の言ったことがしっかり頭に入ってくるようで、テスト前に特に勉強をしなくても、しっかり答えられるのです。Upload By SAKURA5年生のときの面談で、特別支援学級の先生に…「あーさんは本当に素直に教えたことが響く子です。目を見て、面と向かって教えれば、とても理解も早いです」と言われました。私はこの話を聞いて、「娘の理解しやすい授業スタイルをわざわざ崩すことはないのではないか」と思いました。Upload By SAKURA娘の希望は・・・?念のため、娘に中学校から在籍クラスをどうするか聞いてみると…Upload By SAKURA娘は中学校からも特別支援学級の在籍を希望しました。小学1年生のときは娘は特別支援学級の意味もよく理解しておらず、本心は聞けず…結局、私たち親が決めました。しかし、今回はしっかりとした希望を聞くことができました。もう…自分の意志もしっかりある。今の娘を見ながら、1年生のころの娘を思い出していると感慨深いものがありました。Upload By SAKURA発達テストを受け、診断書も書いてもらえた!中学校からの特別支援学級は、6年生の夏までに決めなければなりません。私はさっそく、動き始めました。判断基準にするため、そして発達外来で診断書をもらうため、発達テストを受けました。Upload By SAKURA結果、IQは平均値で正常でしたが、言語理解(言葉を理解して伝える力)は、平均値より低く、ワーキングメモリー(記憶する力)は、かなり低く、「特に耳で聞いて覚えることが苦手で、口頭の指示で複数のことを言われると、混乱する」ということでした。私たちの認識している通りでした。発達外来の先生からも「少人数制の授業はふさわしい」という診断書をもらい、学校に提出。まだ決定までいっていませんが、少しずつ動いています。Upload By SAKURA娘にとって、一番いい選択。今回の娘の進学先の決定に、迷いはなく、5年前のように、「通常学級のほうがいいのではないか」という考えは全くありませんでした。それは、特別支援学級で過ごした5年間が娘を成長させてくれたことを実感していたからでした。在籍場所にこだわる必要はない。どこで学ぶかではなく、どう過ごし、どう成長するか。そして、そこが楽しいかどうか。娘が笑顔で過ごせるように、中学も引き続きサポートしていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)あーさんが在籍されていたのは自閉症・情緒障害特別支援学級で、基本的には通常学級と同じ内容で進んでいきます。SAKURAさんの書かれていたように、集団の場では学びにくい教科や単元を特別支援学級で、それ以外を通常の学級で学ぶことによって、勉強は分かりやすくなり達成感も得られると思います。中学校は小学校とは異なり、特別支援学級でも教科ごとに先生が変わります。特別支援学級の担任の先生と、各教科を担当する先生との連携を良くして頂いたり、通常学級の方で受ける教科の先生との連携など、連携は複雑になりますが学期ごとに「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」を見直すようにしていくとよいかと思います。中学になると部活もはじまりますね。好奇心旺盛で積極的なあーさんはきっと素敵な中学生になれると思います。
2022年09月07日家庭での教科学習まずはわが家の学習について…なのですが「学習」と言ってもさまざまな「学習」があり、子どもは何をしても学びに繋がると私は考えているので、ここでは少し言い方を変えて「教科学習」についての話をしてみようかと思います。わが家は学校へ行かない選択をした当初から家庭での教科学習を続けています。子どもの心の状態によって教科学習を家庭で続けるかどうか、慎重な判断が必要なケースもあるかと思うのですが、むっくんの場合は教科学習を続けたいという本人の強い希望があったこと。また教科学習を続けることが本人の安心感に繋がると判断できたことから、毎日短時間ですがゆる~く母と一緒に学習を続けることに決めました。しかし親子での教科学習はただでさえ難しいものです。その上、むっくんにはもともと得意と苦手の大きな差、感情のコントロールの難しさ、完ぺき主義などのこだわりもあり、間違えるとキレる、難しいとキレる、苦手だとキレる。初めて習う事に対しては不安からキレる。私がイラっとすれば共鳴してキレる!これは本当のほんとうに難しい!!学習支援に関して私は素人なので、家庭教師など外部の力に頼りたいものの「先生」に対してよいイメージがないむっくんは外部の人を怖がって絶対に嫌だと拒否。仕方がないので私が頑張るのですが、当然うまくできず、何度もぶつかり、やめたくなることもありました、投げ出したこともあります。それでもむっくんは泣きながら、キレながら、おれは絶対勉強する!と頑張ろうとするのです。あるとき「おれがキレても暴れても、お母さんだけは諦めないで!」と言われ私も腹をくくりました。Upload By ウチノコ本気で教科学習と向き合ってみると、本人のWISCなどから見えてくる数値の凸凹、聴覚や視覚言語などの認知特性、同時処理や継次処理などの認知処理様式、情報の入出力方法の情報処理過程など、さまざまなことを考慮して行う必要があることが見えてきました。そういった視点を私が持てたことで、最近では教科や単元の得手不得手に合わせて教材を変えるなどの工夫ができるようになりました。さらにその日の調子で変わる取り組める分量の見極めや苦手な部分をカバーするさまざまな方法や道具。それらを考えて学習プログラムを組めるようになったことで、2年目にしてようやく学習ペースが安定しキレることも減ってきたように感じています。当初の教科学習の目的は「むっくんの心の安定」でしたが、元気になった今は「本人の特性を考慮した学習スタイルの確立」に変わりました。学びたい気持ちが強いのに、自分に合う方法が多数のあり方と違うことがむっくんの苦しさの一つだと私は感じています。だからむっくんに合う学習方法を見つけ出すこと。そしてむっくん自身が自分に合う学習方法を模索する力をつけること。それがとても大切なことのように思うのです。むっくんはそれさえ確立できれば一人で歩いていける子だから、その日まで私がそばで伴走を続けていけたらと考えています。Upload By ウチノコ家庭外との繋がり私たちの場合、学校へ行かない選択後も本が好きなむっくんの希望で図書の授業に私と一緒に参加する学校の部分利用をしていました。それなりに楽しく通っていましたが、一年経ったころからむっくんが「不登校を選んだ友達が欲しい」と言うようになり、フリースクールの利用を開始。そこではいろいろな経験ができるうえ私の付き添いも不要だったので、むっくんと少し離れる時間が欲しい私の気持ちも考慮して、完全不登校に切り替えてフリースクールを優先することに決めました。現在は週に1~2日楽しそうに通っています。あまりに楽しそうなので「もっと通う?」と聞くと「おれは毎日行くと疲れてしまって楽しいとこも楽しくなくなっちゃうから、今のペースがちょうどいい」と話してくれて。彼の想いを尊重しながらちょうどいいペースを模索しています。Upload By ウチノコまた、1度離れた学校ですが今年度の先生が熱心な方だったことから、現在は週に1度担任の先生とタブレット通話の時間を取って繋がりを保っています。むっくんが学校へ行きたいと言うことはありませんが、現在の先生との信頼関係が育っている様子が見られ親以外の大人との関係性が作られていくことをとてもうれしく感じています。さらに、オンラインで好きなことの習い事も始めました。怖がっていた外部の人から学ぶことになり私はハラハラしましたが、こちらも理解ある先生と繋がることができ、とても楽しそうに取り組んでいます。むっくんが不登校を選んだ最終的なきっかけが運動会の練習への不信感だったこともあり、むっくんは「先生」に対して良いイメージを持っていませんでした。それが今、さまざまな大人と関わる中で「先生」にもいろんな人がいること、いろんな教え方があり、いろんな学び方ができることを体験することができています。この経験は今後、彼の視野を広げることに繋がっていくようにも感じています。Upload By ウチノコ過去を振り返って現在、私たちはとても穏やかな日々を送っています。家庭という安全基地に身を置き、頑張れそうなときに自分のタイミングで外の世界と繋がるホームエデュケーションを選択したことで、これまでの私やむっくんの困り感やしんどさが噓のようになくなりました。むっくんに集団生活を強いていたころの困り感は、フィットしない環境に無理に適応させようとしたために起こった部分もあったのだと痛感しています。合わない場にどうやってフィットさせるかばかりではなく、何故フィットしない環境に身を置かねばならないのかという視点の転換も大切なことなのかもしれません。毎日楽しそうに生き生きと暮らすむっくんを見ていると、決まったカリキュラムで、年齢に合わせて一律に進めていくよりも、本人の成長を待ち、本人が進めると感じたタイミングで次のステップに進んでいく現在のスタイルの方がむっくんは幸せを感じられることがよく分かります。関わりに難しさのある子どもだからこそ、これからもたくさんの人の手を借り、たくさんの場所へ行き、彼のペースや気持ちを尊重しながら大切に関わっていこうと思っています。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)ホームエデュケーションを組み立てるまでの試行錯誤、工夫、そして穏やかな生活に至ったプロセスのシェアをありがとうございます。家庭で教科学習を進めるのはなかなか難しいものです。保護者が教えると、お子さんも学習と日頃の仲良しな関係との切り替えも難しく、「分からないからやりたくない」となり、一生懸命教えてくれる保護者からすると「せっかく頑張って教えてるのに!」となり、もめてしまう話を相談場面でもよく聞きます。ウチノコさんがそうされたように、知能検査などで認知発達の特徴が分かっている場合にはそれを活かすのがまずは得策だと思います。検査を施行した心理士などに、検査結果を学習に活かす方法をぜひ聞いてみてください。図書の時間やフリースクールなど、むっくんの意見を聞きながら柔軟に体制を変化させたのも素敵ですね。そして担任の先生とのやりとりや、オンラインでの習い事など、当初では考えられなかったような展開も起きているようですね。人との出会いが何かを変えることがある、「好き」は苦手を超えることがある(興味のあるものなら「先生」に習うことも耐えられる)。これはむっくんだけではなく、いろいろなお子さんにも通じるところですね。さまざまな経験を通じて、むっくんが「いろいろな大人がいる」など世界が広がっていること、何よりだなと感じます。
2022年09月06日たどたどしいひらがなを書いていたゆいゆいがひらがなを書き始めたのは確か4歳ごろでした。たどたどしいひらがながとてもかわいくて、当時ゆいが書いたノートは今でも大切に保管しています。小学1年生になって担任になった先生は、文字をきれいに書くことを大切にされていました。ゆいがたどたどしく書いた国語のノートはいつも真っ赤に書き直されていて、ゆいはいつもしょんぼりしていました。私はまだ1年生だし、そのうちきれいに書けるようになるだろうとのん気に構えていたので、ゆいを励ましはしましたが、文字をもっと練習させようとは考えていませんでした。Upload By 吉田いらこ小学2年生になり、去年の担任の先生がそのまま持ち上がりました。そしてあいかわらず国語のノートは真っ赤に添削されていました。このころはまだ障害があるとは気づいていなかったのですが、今思い返すとゆいの描く文字は力が入っておらずフニャフニャしていて、まっすぐ強い線を引くことができていなかったのです。私はゆいの書く文字が「やる気を感じられない字」に見えて、まだ低学年だけどやはり文字をきれいに書くということが必要なのではと思うようになりました。ゆいに言わせると「文字なんて読めたらそれでいいじゃない。どうしてきれいに書く必要があるの?」ということなのですが、一般マナーとして美文字または読みやすい文字であるに越したことはありません。Upload By 吉田いらこそして小学2年生のときに、大手書道教室の硬筆のレッスンを受けさせるようにしました。一人では嫌がるかなと思い、私も一緒に受講しました。隣で見ていると、ゆいは練習にまったく身が入っておらず「これではお金をドブに捨てているのでは?」と思ってしまいました。なにより本人がやりたくないことを親のエゴでやらせていることに気づき反省したのです。その後、ゆいの書き文字は全く上達せず硬筆レッスンは終了しました。Upload By 吉田いらこ漢字が複雑になると対応できなくなってきて…スクールカウンセラーに言われた言葉それから学年が上がるにつれ習う漢字が増えて複雑になってくると、ゆいは対応することが難しくなってきます。漢字を読むことはできますが、書くことと覚えることにとても苦労していました。私は焦ってお勉強系の習い事を増やしましたが、これは今振り返ると間違っていたように思います。ゆいは学校でも放課後も「自分はできない子なのだ」と思い込むようになり、本人を追い詰めてしまいました。そこから数年してゆいの障害判定が下りるのですが、そのころにスクールカウンセラーの先生に言われたことがあります。「文字を書くことが苦手?まあ、社会に出たら文字を書く機会は減りますしそんなに気にすることはありませんよ。漢字が分からなければスマホで検索すればいいだけなのですから」Upload By 吉田いらこ先生の言葉を聞いて、そういう対処方法もありなのだと気持ちが楽になりました。人よりちょっと覚えることが苦手ならどんどん便利な道具を使えばいいのです。これはゆいにも伝えてお互い気楽にいこうと話し合いました。というわけで小学6年生の現在、相変わらず漢字の書き取りテストはさんさんたる結果ではありますが、ゆい本人は低学年のころのような自分をダメだと思い落ち込むことはなくなりました。これから先はどうなるのか分かりませんが、今のところはゆいの笑顔が見られてうれしく思っています。執筆/吉田いらこ(監修:千村先生より)吉田いらこさんのこのコラムは、私たちに大切なことを教えてくれます。ゆいちゃんは、字を書くのが苦手なんですね。手を動かすこと、筆圧を調節することなどが上手にできないのかもしれません。もしかしたら、身体の動かし方を練習したら上手に書けるようになるかも知れませんが、私は、もっと大切なことがあるのだと思います。漢字の書き取りに苦労するゆいちゃんとお母さんへのスクールカウンセラーの先生の言葉に、ゆいちゃんもお母さんも気持ちが楽になったことと思います。できないことをできるようになるために頑張ることも大切ですが、できないことは無理せず、楽しく取り組めることに頑張れることはもっと大切です。楽しい体験があるからこそ、ちょっと楽しくないこと、つらいことでも頑張れるのではないでしょうか。楽しい体験は頑張る原動力です。それでは、ちょっと楽しくないこと、つらいことを頑張るためにはどうしたら良いか考えてみましょう。モチベーションという言葉があります。「○○をするモチベーションを高める」などと言いますね。モチベーションには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあります。「外発的動機付け」は、例えば、頑張って何かに取り組んだときや、何かを達成した時にご褒美が与えられること。ご褒美がもらえることが、さらに頑張るきっかけになるというものです。一方、「内発的動機付け」は、何かに取り組むこと自体、何かを達成すること自体が喜びにつながるというものです。このような動機付けがあるからこそ、私たちは頑張って何かに取り組もうとするのです。最初は外発的動機付けも大切ですが、自発的に継続して頑張ろうとできるためには、内発的動機付けが欠かせません。できないことを厳しく指摘されて頑張れる人もいるかも知れませんが、厳し過ぎると頑張れなくなってしまいますね。何かを達成しようとするときに成果を焦らないことも大切です。頑張って取り組んでもすぐに良い成果が得られるとは限りません。最初は、頑張ろうとするだけで良いでしょう。モチベーションを持ち続けられることが大切ですね。ゆいちゃんも、漢字の書取りに楽しく取り組めるようになると頑張れるかな。
2022年09月05日