サカイクがお届けする新着記事一覧 (17/34)
育成で様々な取り組みをしているサッカー先進国の一つドイツ。実際にブンデスリーガの育成アカデミーでは育成をどのように捉え、それぞれの子どもたちとどのように向き合っているのでしょうか?ブンデスリーガの育成アカデミーではプレー面を担当する監督・コーチのほかにいろんなジャンルの専門家を正規雇用することが義務付けられています。フィットネスコーチ、ビデオ分析、栄養士と並んで興味深いのが「教育担当」スタッフです。育成指導者は数が多いので、ブンデスリーガの育成アカデミーでもみんながみんな正規雇用というわけにはいきません。教育担当スタッフは各クラブの規模にもよりますが、チーフスタッフを含め数名の正規雇用スタッフが重鎮しています。なぜ育成アカデミーに教育担当スタッフが必要なのか、どんな役割を担っているのかについて、丁寧な育成で定評があるマインツ育成アカデミーで「教育担当スタッフチーフ」として日々子供たちと向き合っているヨナス・シュースターさんにお話を伺いました。(取材・文・写真:中野吉之伴)歴代所属選手のユニフォーム■学校が一番大事でサッカーはその次。学校の成績表を提出してもらうシュースター「私たち教育担当スタッフの仕事は多岐にわたります。その中でまず大事なポイントとなるのが学校との関係を最適にすること。子どもたちがサッカーのことだけではなく、学校のことを忘れないようにアプローチすることです。FSVマインツにとって学校が持つ意味はとても大きいんです。それこそ選手には『学校が一番大事。サッカーはその次』とはっきり伝えています。私たちはプロサッカークラブであり、もちろんサッカーのことはとても大切なのですが、学校はそれよりも大事です。プロクラブとして目をつぶってはならないのは、どれだけの選手が将来的にプロ選手になれるのか、という事実から考えることだと思っています。数字として見れば一目瞭然ですが、極めて少ない確率ですよね。だからこそ、選手に対してはサッカーだけではなく、2本目の立ち足を考えることの大切さを常に伝えています。選手には成績表を提出してもらいますし、学校にはマインツと連絡を日々取り合っている担当者がいますので、何かあったらすぐに連絡をしてもらえるようになっています。何が順調で、どこに問題があるのかを日々確認します。例えばある選手がある科目で問題を抱えていたりして補修や家庭教師が必要でしたら、そのためのオーガナイズもします」■U-19までアカデミーに残れても、プロになれるのは毎年1人か2人ブンデスリーガ育成アカデミーでU-19まで残れたとしても、そこからプロ契約がもらえる選手は毎年1人か2人。1人も昇格できない年もあります。セカンドチームでステップアップするチャンスをもらえる選手もいますが、そこからクラブを離れざるを得ない選手のほうが圧倒的に多いわけです。だからといって保険をかけるという消極的な理由で勉強をすることを促すのもよろしくありません。学校で学ぶことと真摯に向き合うことの大切さを伝え、学ぶ喜びを知り、そして自分にポジティブなものをもたらしてくれると実感してもらえるようにアプローチすることが大切になります。そのために重要なスタッフがシュースターさんになるわけです。シュースター「私は元々学校の先生だったんですね。ドイツ語、スポーツ、政治の教員資格を持っています。ギムナジウム(中等教育機関)の先生でした。同時にマインツで長年指導者もやっていたんです。現在トップチーム監督であるボー・スベンソンがU16監督をやっていた時のアシスタントコーチでした。先生として、そして指導者としての経験があるので、このポストにおいて必要な要素を兼ね備えていると思います。私が個人的に彼らの勉強につきあうこともあります」■大切なのは成績が悪くなったときにサポートすることではないそんなシュースターさんが気を配っているのは子どもたちとの距離感や空気感だと言います。「教育担当スタッフ」なんて名前が堅苦しく響いてしまって、「あの人は学校の成績が悪い時だけ話に来る」みたいな捉えられ方をされたら、それはどちらにとっても望ましいことではありません。子どもたちにとって大切なのは成績が悪くなったとか、私生活がうまくいっていないときだけサポートすることではなく、いつ、いかなる時でも子どもたちのそばにいて、受け止めてくれる大人がいること。シュースター「普段からちょっとしたたわいのない話を楽しくするようにしています。学校のことを語るとか、趣味について口にするとか、そんな風に私とコミュニケーションを取るのは『心地いい時間』と思ってもらえるような関係性が大切だと思います。そういった意味でも私がサッカー指導者もやっていたという背景は助けになっていますね。ここでサッカーをする子どもたちは、プロサッカー選手になりたいという夢を持っているわけです。だから頭の中はサッカーのことだけでいっぱいというのが彼らにとっては普通なんです。サッカーのある生活の日常を知らない教育専門家が来たら、それこそ理論だけの関わりになってしまうこともなくはないのです。『サッカーのことなにもしらないくせに』という反感を持たれてしまうことだってあるんです」子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>■大人の価値観を押し付けるのではなく、子どもの価値観を受け止めること子どもたちに大人の価値観を押し付けるのではなく、彼らの価値観を受け止めてあげることはとても重要です。彼らはサッカーのことを話したいし、知りたい。そこをないがしろにするのは賢明ではないのではないでしょうか。それを受け止めた上で、学校の話とか、私生活の話をしないと彼らには響かないというのを大事にしたいですね。子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>
2022年05月16日2022年の夏休み、サカイクとFC東京がコラボしたキャンプを行います。その名も「FC東京×サカイクSummer Camp」。なぜFC東京がサカイクとコラボし、子ども向けのキャンプを行うのでしょうか?FC東京サッカースクールのクリニックマスター・中村淳コーチに話をうかがいました。キーワードは「ライフスキル」です。(取材・文鈴木智之)■ライフスキルの向上を目指してFC東京はこれまで、東京都内で短期キャンプを行ってきました。今回、サカイクとは初のコラボになります。その理由を、中村コーチは次のように説明します。「これまで我々は、サッカーのスキルアップを中心に、短期キャンプを行ってきました。当然ですが、サッカー選手として成長するためには、サッカーの技術戦術に加えて、人間性の部分も大切になります。その考えのもと、サカイクさんと話をする中で、ライフスキルの向上にも力を入れているとのことでしたので、ぜひ一緒にできないかということで、今回のキャンプが実現しました」サカイクキャンプでは「5つのライフスキル」をテーマに、サッカーのトレーニングに加えて、自ら進んで考え、行動するといった自立心を大切にしています。その源となるのが、5つのライフスキル「考える力」「リーダーシップ」「感謝の心」「チャレンジ」「コミュニケーション」です。<サカイクライフスキル>・考える力・リーダーシップ・感謝の心・チャレンジ・コミュニケーションFC東京とサカイクのコラボキャンプでは、サッカー面に加えて、これらのライフスキルを身につけることができます。中村コーチはサカイクが大切にするライフスキルについて、次のように考えているそうです。・考える力「サッカーは試合が始まると、ピッチの中で自ら考えて判断し、決断しなくてはいけません。監督やコーチに指示を受けてプレーするのではなく、自分で考え、状況に応じたベストな選択をすることは、とても大切な能力です。(中村コーチ。以下同)・リーダーシップ「リーダーシップというと、周囲を引っ張るイメージがありますが、それだけではなく自分で自分を鼓舞することや、率先して行動することも含まれます。考える力と同じで、誰かの指示を待っているだけでは、良いプレーをすることはできません。自らリーダーシップを持ち、物事に取り組む力は、成長する上で欠かすことができないものだと思います」・感謝の心「サッカーに限らず、すべてのものに感謝の気持ちを持つことは、人としてとても大切なことです。日頃から子どもたちには『サッカーができることは、当たり前ではないんだよ』という話をしています。保護者はもちろん、チームメイトやコーチに感謝しながらサッカーに取り組む気持ちは、普段から持っておいてほしいです」・チャレンジ「チャレンジのないところに成功はない。私はそう思っています。できるかできないか、ぎりぎりのことにチャレンジし、成功したときに成長につながります。簡単なこと、できることだけやっていても成長にはつながりませんよね。子どもたちには、常にチャレンジ精神を持って、サッカーや日常生活に取り組んでほしいです」・コミュニケーション「サッカーは仲間と一緒にプレーする、コミュニケーションがとても大切なスポーツです。周りの仲間と関わって、コミュニケーションをとることが、結果的には自分や仲間の良いプレーにつながっていきます。これは社会に出たときにも同じことが言えるので、サッカーを通じて、今のうちにどんどん高めていってほしいです」【2022夏休み通い開催】FC東京×サカイクSummer Camp>>■サカイクライフスキルと青赤キッズの心得中村コーチは「5つのライフスキルは、サッカーだけでなく、学校生活や社会生活、人間形成にも通じることですよね」と話し、こう続けます。「FC東京には『青赤キッズの心得』というスローガンがあります。FC東京のチームカラー、青赤(あおあか)に当てはめて、『あいさつ』『おもいやり』『あきらめない』『かんしゃ』の4つを大切にしています。サカイクライフスキルは青赤キッズの心得に通じるものがあるので、一緒にやることで、より良いものができるのではないかと思っています」<青赤キッズの心得>・あ...あいさつ・お...思いやり・あ...諦めない・か...感謝FC東京とサカイクのコラボキャンプ。指導はサカイクキャンプのコーチに加えて、FC東京のコーチ陣も参加します。FC東京のメインコーチは大島翼コーチです。プロサッカー選手として4つのクラブでプレーし、昨年はベトナムのサイゴンFCでも指導をするなど、豊富な経験を持っています。中村コーチは指導スタッフについて「プロ選手としてJクラブでプレーしていた人や、FC東京のアカデミー出身で、大学を経てコーチになった人など、様々な経歴を持つ人がいます」と話します。さらには、「FC東京のトレーニングとサカイクさんのライフスキル、両方に刺激を受けることで、夏休み明けには、自チームの監督さんやチームメイトに『夏休みに大きく成長したね』と言ってもらえるだけの成果が得られる場にしたいです」と、充実した内容になることを約束してくれました。いつもとは違うコーチ、チームメイトと触れ合うことで、サッカーの知識や経験が増えるとともに、新たな仲間ができるのも、短期キャンプの醍醐味です。サカイク×FC東京キャンプはサッカー選手として、人として成長するため、普段とは違った刺激を得られる場になるでしょう。コーチ、スタッフ一同、キミの参加を楽しみに待っています!【2022夏休み通い開催】FC東京×サカイクSummer Camp>>
2022年05月14日ワールドカップイヤーの2022年、サッカーを通して世界の国々の歴史や文化を学んでみませんか?そのきっかけとなるのが、『親子で学ぶサッカー世界図鑑 』シリーズです。子どもたちが大好きなサッカーに日々触れている中で出てくる「なぜ?」を調べてみると、実はそこからさまざまな"学び"を得ることができます。今回は2月に発行された『親子で学ぶサッカー世界図鑑 イングランド編』から、「サッカーの起源」について抜粋して紹介します。最初は「危険な祭り」だった?サッカーの母国イングランドの歴史から紐解く「紳士のスポーツ」としてのサッカーの起源■ユニオンジャックの秘密「サッカーの母国」と言われるイングランドは、実は"イギリスという国のなかにあるもう一つの国"です。イギリスの正式な国名は『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』。長くて難しい名前だけど「連合王国」がキーワード。一番大きく、イギリスの首都ロンドンがある『イングランド』、その上にある『スコットランド』と西の『ウェールズ』、そして隣の島国アイルランドの北部『北アイルランド』の4つの国が一緒になって連合王国を構成しています。『連合王国』なので、国旗も連合デザインです。イングランド、スコットランド、北アイルランドの旗を合わせると、イギリスの国旗「ユニオンジャック」が浮かび上がってきます。ウェールズの国旗だけ組み合わされていないのは、最初のユニオンジャックができた1606年のずっと前、13世紀には、もうウェールズはイングランドの一部とみなされていたから。旗の歴史に国の歴史あり、ですね。大好きなサッカーを通じて世界を学ぼう!大人も子どもも楽しめるサッカー図鑑>>■FIFAよりも4協会のほうが歴史が長い!イングランドでサッカー協会が設立され、現代サッカーのルールが定められたのは1863年のこと。その後1873年にスコットランド、1876年にウェールズ、北アイルランドが1880年にサッカー協会を設立しました。ときを同じくして、産業革命の流れに乗ってサッカーが世界中に広まっていき、1904年に世界のサッカーをとりまとめる国際サッカー連盟(FIFA)ができましたが、前述のようにイギリスの4協会のほうが設立はずっと早かったのです。FIFAに加盟できるのは1国1協会が原則ですが、イギリスの4協会にはすでに立派な歴史があったこと、そしてサッカー発祥の国であることから、特別に1国4協会でのFIFA加入が認められました。だから、いまでもワールドカップには「イギリス代表」ではなくそれぞれの代表チームが参加できるのです。
2022年05月13日子どもからプロ選手まで、「足が速くなった」「動きのキレが増した」「1対1に強くなった」などの支持を得る、タニラダートレーニング。サカイクはより多くの人にタニラダーを経験してもらうため「公認インストラクター制度」を開始しました。2021年9月に1期がスタートし、これまで約40人が資格を取得。公認インストラクターとして活動を続けています。今回はジュニア年代の強豪クラブ、JACPA東京でコーチを務める鈴木宏輝さんに、タニラダーインストラクター資格を取得した理由について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)【アーカイブ受講も可】タニラダー認定資格C級ライセンス講習開催>>■守備の1対1を向上させたい鈴木コーチがタニラダーに興味を持ったきっかけが「守備の1対1の動きを向上させたい」という思いからだったそうです。「以前から、1対1の守備を改善したいと思っていました。相手に対して一発で突っ込んでいくのではなく、相手の動きに対応した守備ができるようにしたいと思っていたところ、ダニラダートレーニングを知り、これはいいと感じて、指導ライセンスを取得しました」タニラダーと出会った2021年には、JACPA東京で谷真一郎さんによるタニラダートレーニングを実施。そのときに「(タニラダーは)サッカーの動きにつながっている」と感じ、より深く学びたいと思ったそうです。その後、タニラダーのC級インストラクターを取得。谷さんは鈴木さんの指導について「デモンストレーションが上手」と太鼓判を押します。「鈴木さんのように指導力があり、サッカーを突き詰めて指導している方は、動きの部分に興味を持ってくれることが多いです。思考能力の高い指導者は『なぜ抜かれるのか?』『抜かれないためにはどうすればいいか』 に目を向けて、戦術でぼかすのではなく、動きづくりを始めとする、個人の対応力に目を向けます。そういう指導者の方が増えると、日本サッカーも変わりますよね」■抜かれる理由を突き詰めるJACPA東京は幼児教育を行っており、鈴木コーチは幼稚園や保育園で体育の指導をしています。その観点からも「身体操作性を高めることは、とても大切なこと」と言葉に力を込めます。「サッカーがうまくなるためには、サッカーだけをしていても足りないと思っています。そのため、でんぐり返しや鉄棒、跳び箱などを通じて、身体操作性を高めることにも取り組んでいます」JACPAの子どもたちはスパイクを履かず、トレーニングシューズで練習をしているそうです。その理由を鈴木コーチは「足裏のアーチを感じて、動いてほしいから」と言います。「スパイクのポイントでグリップをごまかすのではなく、正しい体の動かし方を身につけてほしいので、トレーニングシューズを履くようにしています」保護者から「どうすれば足が速くなりますか?」と聞かれることも多いそうで、「ジュニア年代で正しい運動動作を身につけることの重要性は、常に感じている」と話します。「(タニラダーの)インストラクター資格を取得するときに、自分の動きを動画で撮るのですが、自分では動けているつもりでも、動けていない部分があるといった発見がありました。自分の映像を見たときに『子どもたちも同じだ』と思ったんです」鈴木さんが指導する子どもたちも、自分では腕が正しく振れていたり、ターンの動きができていると感じていたとしても、映像を見るとできていないことがあるそうです。「10歳、12歳の早い時期に、正しい動きを身につけるのは大切なことです。動きの癖がない段階なので、身につきやすいと感じています。小学生年代で正しい動きを身につけて自動化させて、何も考えずにできるようになってから、ジュニアユースに進むことで、よりサッカーのプレーに意識を向けやすくなると思っています」【アーカイブ受講も可】タニラダー認定資格C級ライセンス講習開催>>■学んだことをチーム内で共有※現在はタニラダーを使用してトレーニングを行なっています。鈴木コーチは、タニラダーライセンスの取得を通じて学んだ内容を、コーチ仲間や保護者とシェアしているそうです。「保護者の方には、お子さんのストロングポイントと課題を報告しているのですが、アジリティに課題がある子のお父さんが、タニラダーインストラクターの資格を取得していました。こちらの投げかけに対して、熱心に応えてくれるのでありがたいです」谷さんは「クラブにインストラクターがいると、他のコーチが『この場面ではどう動けばいい?』『どんなトレーニングをすればいい?』など、すぐに聞くことができます。それはすごく大切なことで、動きの課題を戦術でぼかすことなく、選手個人のレベルアップにつなげることができます」とインストラクターの有用性を話し、こう続けます。「鈴木コーチは動きのポイントを理解しているので、腕の振りや足の上げ方、足のつき方など、ドリルトレーニングを通じて改善することができますよね。チームに足が遅い選手がいたとして、『どこに課題があるから、スピードが上がらないのか?』を見て判断できるのは、チームとしての強みになると思います」サッカー面での質の高い指導に加えて、スピードアップやアジリティなど、動きの質向上にも取り組む、JACPA東京FC。今後はタニラダーライセンスC級取得者が開催できるチーム向けの講習会などを通じて、さらなる運動能力向上に取り組むそうです。子どもたちの、今後の変化が楽しみです!
2022年05月13日ドイツでサッカーママをしているNさん。息子さんは3歳からサッカーを始めていて、小学校1年生の途中でご家族の都合で渡独。ドイツで感じたサッカーの環境、指導者や親など大人の態度の違いなどを率直に教えていただきました。サッカーをする子を持つ日本の保護者の皆さんにも知ってほしいこと満載です。(取材・文:前田陽子)写真は少年サッカーのイメージです■日本にいたときはピッチサイドで圧をかけていた「私はサッカー経験者ではないので、ピッチサイドでは指示をするような声は出していませんでした」と言うNさん。それでも、プレーの指示はしないものの「もっといける!取れるよ!いけいけ!」など、圧をかけるような声は出していたそうです。昨年末に今までの写真や動画を整理していた際に、ちょうどドイツに来た年の試合の動画を見たそうですが、当時の声のかけ方のひどさを実感したとも教えてくれました。罵倒するような声かけではないですが、決してポジティブになるものではなく、「そこじゃないよー。今の取れるだろう。シュート打てよ」といった声をかけていたのだとか。「一緒に見ていた息子からも『お母さんもお父さんもひどいね』って言われました」と苦笑いを見せます。■「できて欲しい」という理想が目の前の子どもを褒められない原因その動画を見て、当時6歳か7歳の子どもたちのプレーが上手だなと思い「うまいなー」とボソッと言ったら、息子さんに「このビデオの中でお父さんとお母さんが言っている言葉はそうは感じないけど」と返されたのだそうです。当時のNさんは目の前の子どもたちをうまいと思っていなかったと振り返ります。「それはおそらく子どもに対する前提が今と以前では違っているからだと感じます。以前は"できる"が前提だったので、ミスに目が行くし上手だと感じられなかった。6歳7歳がやっているサッカーだという認識が頭の中になかったのだと思います」他の選手やお友達ができることは、自分の子どもも"できるはず"という目で見てしまう親御さんは多いですね。できていて欲しいという理想と子どもができる現実の区別ができないと、プレー中にかける声の内容が変わります。お子さんがサッカーを楽しむために保護者に心得ていてほしいサカイク10か条でも【子どもは小さな大人ではないことを理解しよう】と提唱していますが、子どもそれぞれの成長を見守ることの大切さへの理解が、ドイツの方が進んでいるようです。■ドイツでは子どもをめちゃくちゃ褒める「指導者も保護者も試合中にかける言葉は、子どもたちのやったことを認める声かけが多いと感じます。ゴールが決まったら褒めるのではなく、シュートを打ったら必ずGut(イイね)やSuper(超イイね)などポジティブな声が出ますし拍手が起こる、子どもたちの考えやプレーを認める声掛けが多いです。そして、印象的なのが、パスという言葉をあまり使わないこと。ボールを保持し続けるような自己中心的なプレーになってパスがでないときはSpielenと声をかけます。プレーするというドイツ語ですが、つまりサッカーしよう!と。独りよがりのプレーはサッカーではないということ。パスをしろという指示ではなく、プレーしろと言うことで子どもに気づきを与える言葉です。日本ではこういう声かけを聞いたことがなかったので、最初は不思議に感じました。また、ドイツに来てすぐのころは違和感さえあったのが、こちらの人がものすごく褒めること。自分の子どもだけでなく、いいプレーにはそこまで⁉と思うほど褒めたたえます。相手チームの選手からもいいプレーに対しては『よかったぞ!凄かったぞ!』と声がかかる。それによって子どもはモチベーションが上がり、自然とやる気が出るんですね。嬉しい気持ちと楽しいという気持ちが根付くことによって、自己肯定感が生まれ、心の土台ができる。そうすると自分で考えて動けるようになっていきます。そういった環境があることは素敵な事だなと思いました」子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>■日本とドイツの一番の違いは「大人たちの子どもの扱い方」さらにNさんは、ドイツと日本では親子関係が違うと感じたそうです。日本では子どもをいい子に育てたいと手を焼きますが、ドイツでは自立できる子になってほしいと子育てをする。子どもの成長した姿の理想が違うので、過干渉にならないのではと分析します。「日本とドイツで大きく違っていると感じたのは、大人たちの子どもの扱い方。ドイツでは子どもを一人の人間として見ていて、子どもの存在や意見を尊重しています。そして、指導者、保護者、子どもの間に上下がなく、風通しがいいというか、話しが対等にできる立ち位置にそれぞれがいる。質問があればいつでもできる雰囲気なので、何か疑問に思ったことは、子どもも私たちも何でも聞いています。指導者、保護者、選手の間には近すぎず遠すぎずの絶妙な距離感があり、また保護者、指導者、選手の間にあるのは上下関係ではなくリスペクトの関係であると感じています。また、ドイツの指導者は声をかける、かけないのタイミングや、具体的に言わないといけない時と、気づきを与える時のタイミングの見分け方、伝え方がすばらしいなと思います。どういうタイミングでどういう風に声をかけて進めるのが効果的か、ということを考えながら接してくれる。また子どもの意見を引き出すことも、意見を聞くことも上手で、聞くこともコミュニケーション能力の一部だなと強く感じます」日本の指導者や保護者も、子どものことをリスペクトして対応している人は多数います。ですが、まだまだ少ないと感じるのが現状。実際に両方を経験しているNさんのご意見はとても貴重なものです。大人の態度を変えることが、子どものモチベーションをアップさせる一番の近道のはず。いま一度、自分の態度を振り返って、わが子の自立や成長につながる接し方をしているかを確認してみませんか。お子さんが今よりサッカーを楽しめるようになったり、親御さんも変な思い込みやプレッシャーから解放され、楽しくわが子のサッカーに関わることができるようになるはずです。子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えようサッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」>>
2022年05月12日サッカーの技術だけでなく、人間的な成長を促すサカイクキャンプ。実際参加した子どもにどんな変化があったのか、親御さんは成長を感じているのか。気になる方、いますよね。この春サカイクキャンプに参加してくれたお子さんと親御さん、それぞれの声を聞いたのでご覧ください。2022年4月のサカイクキャンプが3回目の参加だったリョウスケくん。2回目3回目はお住まいの岩手県から関東キャンプへ、遠距離移動をしての参加となりました。遠路はるばる繰り返し参加してくれた理由や、その後のサッカーライフの変化について伺いました。(取材・文:小林博子)サカイクキャンプでトレーニングに励むリョウスケくん(右)<<たった3日間で判断力アップを実感、子どもが一回り大きく成長するサッカーキャンプの内容とは■中学入学直前まで3回も参加今回お話を伺ったリョウスケくんは、この春中学に入学。4月初旬に行われたサカイクキャンプが最後の参加となりました。サカイクサッカーキャンプの対象年齢は小学生ですが、今年はコロナで活動制限の多かった新中学1年生も特別に対象になりました。リョウスケくんのサカイクキャンプ参加歴は3回。初回は地元の岩手県会場でしたが、その後新型コロナウイルスの影響で地元開催はなく、2回目3回目は関東会場(箱根)となりました。そこまでの遠距離移動をしてでもリピートした理由は何だったのでしょうか。■サッカーは一人ではできないから友達が大切本人に聞いてみたところ、「いろいろなところから来た、サッカーが上手な友達にまた会いたかった」と即答。リョウスケくんにとって、大好きなサッカーを通じて出会う友達と過ごす合宿は、とても楽しいもののようです。「いろいろな人と話をするのがおもしろいし、個性の強い子もたくさんいて刺激になる」と、にっこり。お父さんも友達との出会いが良い結果になっていると実感されているそう。「青森県で行われた試合で、サカイクサッカーキャンプで出会った子と再会できたと喜んでいました。この年齢で他県にも友達がいるのはすごいこと。息子も世界が広がったように感じているはずです」と言います。インタビューでは度々、友達とのエピソードをいきいきと話してくれました。「サッカーは一人ではできないから、友達がとても大切」と思っているそう。学校や所属するチーム以外にも大切な友達ができたことがリョウスケくんにとって最も大きな喜びであり、笑顔でそう話す姿がとても印象的でした。■遠方からの参加で寝不足のまま初日を迎えたこともちなみに、親御さんは遠距離移動に懸念はなかったのでしょうか。質問したところ、地元開催だった初回を経験していたことで、参加する意義は十分あると考え、2回目の参加も場所に関わらず許諾したそうです。中学入学直前となるこの春、3回目の参加時、リョウスケくんは姉と一緒に夜行バスで会場に向かいました。今年3月に東北地方で起こった地震の影響で東北新幹線が運転見合わせになっていたためです。初の夜行バスということもあり、ほとんど眠れず寝不足のまま初日を迎え、体調を崩してしまうというエピソードも。初日はコーチにより昼寝を促され、すぐに回復したそうですが、「それもよい経験」とコーチは言い、リョウスケくんもうなずきます。せっかくキャンプに来たからとにかく参加させるのではなく、1日練習できなくても大丈夫、と休ませる。そんなコーチの考え方も、大切な子どもを数日託す親御さんには安心できる点ではないでしょうか。親元を離れて初めて宿泊のある合宿に参加する子どもが多いこともあり、子どもたちのさまざまなトラブルへの対応にもコーチたちは慣れています。サカイクサッカーキャンプはどんな失敗をしてもそれを「良い経験」に変えてくれる場でもあります。自分で考えて行動する力がつくサカイクサッカーキャンプとは>>■ライフスキルを身につけたことで好影響が続出3回の参加により、リョウスケくんは「ライフスキル」も習得し、帰宅後の生活やサッカーなどのさまざまな場面でその効果を実感しているようです。例えばライフスキルの1つである「コミュニケーション」では、具体的で相手に伝わりやすい声がけを意識するようになり、チームメイトとの意思疎通がスムーズに。「前よりも自分がやりたいと思うサッカーができるようになった」と話します。また、最高学年として参加したサカイクサッカーキャンプでは下級生のお世話をしたり、「お兄さん」として頼られました。積極的にコーチの手伝いをすることで「リーダーシップ」の本質である「相手の立場になって行動すること」の大切さを身をもって体験。帰宅後も意識し続けているそう。ライフスキルはもちろん1回のキャンプ参加でも十分な学びや気づきを得られますが、リョウスケくんは繰り返し学び実践することで、より自分らしくそのスキルを落とし込めたようです。キャンプでは子どもの学年によって教えのテーマを設けていて、新中一生の場合は「ジュニアユースでのサッカーライフによりよく繋げること」に主眼を置いています。「ライフスキルは、サッカー選手として以前にどんな人になるかに焦点を当てて学びの時間を設けました。今までの集大成としての3回目の参加により、それをばっちり身につけたリョウスケくんの将来がとても楽しみです」とコーチも太鼓判。そんなリョウスケくんの将来の夢は「サッカーコーチ」なんだそう!コーチになったら、サッカーもライフスキルも教えたいと意気込んでいます。ライフスキルの効果を身をもって感じているからこその発言に違いありませんね。サカイクライフスキルとは>>■ほんの数日の体験で、積極的なプレーに変化「実は、たった数日のキャンプではサッカーのスキルに関しては目に見える成長は期待していませんでした」と語っていたリョウスケくんのお父さんですが、インタビューでは明らかにプレーが変わったと驚いていました。特に変わったのはディフェンスで、「ものすごくガツガツいくようになった」のだとか。リョウスケくんによると、ディフェンスの変化の理由は「ライフスキルで学んだチャレンジの精神で、やる前から諦めずに戦おうと常に思えるようになった」というマインドの変化が影響しているよう。それ以外にも、キャンプでは前日夜に翌日行うトレーニングのテーマを伝え、時間をかけてディスカッションを行い、それを全員が共通意識として頭に入れて翌日に臨んでいたこともスキルやマインドの向上には寄与していたはずですし、サカイクサッカーノートを丁寧に書くことで、「何をするべきか」が明確になったことも大きかったかもしれません。オフザピッチでの学びがオンザピッチでも良い効果を生む好循環となった例かもしれません。■参加を迷う親御さんへアドバイス最後に、リョウスケくんのお父さんに、参加を迷う親御さんへアドバイスをいただきました。「小さな子どもに宿泊を伴う合宿は迷うと思うけれど、参加させてあげる価値は大いにあります。学校やチームだけでは学べないこと、体験できないことがたくさんある場だからです」まだまだ続くコロナ禍で、子どもの楽しみが未だ制限されている今。感染対策を万全にしたうえで、この夏も子どもたちが思いっきり楽しめる数日間を準備しています。そしてその楽しみの中にたくさんの学びがちりばめられています。ジュニア世代の選手たちの参加をお待ちしています。自分で考えて行動する力がつくサカイクサッカーキャンプとは>>
2022年05月11日「スピードアップ」と「動きの質を高める」トレーニングとして、子どもからJリーガーまで、幅広く活用されているタニラダー。チームへのインストラクター派遣や指導ライセンスを通じて、多くの選手、指導者がレベルアップに役立てています。2022年4月、東京都の強豪チーム、JACPA東京U-10にインストラクター派遣を行いました。タニラダー発案者の谷真一郎さんは、どんなトレーニングで子どもたちのスピードアップ、動きの質の向上につなげていくのでしょうか?(取材・文鈴木智之)サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>■速く走るのも、動くのも技術JACPA東京FCは、廣永遼太郎(ヴィッセル神戸)、福岡将太(ガンバ大阪)、井上潮音(ヴィッセル神戸)などのJリーガーを輩出する強豪クラブです。この日、トレーニングに参加したのはU-10の選手たち。鈴木宏輝コーチは「守備の1対1の対応力を高めるために、タニラダーは最適」と話し、タニラダー公認C級ライセンスを取得するなど、意欲的に取り組んでいます。谷さんは子どもたちに「速く走るのも、速く動くのも技術です。ぜひ、その技術を感じてみてください」と話し、トレーニングがスタートしました。まずは20mのスプリントと方向変換を測定。子どもたちの走る姿を見ると、猫背になっていたり、腕を振れていない、力みで前傾姿勢になっているなど、それぞれ改善ポイントがあります。測定後、子どもたちは「方向変換のときに滑った」「止まるのが難しかった」などの感想を口にします。その様子を見た谷さんは「速く走ったり、素早くターンをするときに、地面から跳ね返る力(地面反力)をもらうことが大切です」と話し、こう続けます。「地面から跳ね返る力を受け取るときに、『姿勢』が良くないと、地面を足の裏で押しても、強い力が返ってきません。サッカーのプレーも同じで、姿勢が安定していると、ボールを止めるときや蹴るときに安定感が出ます。まずは良い姿勢を作ることから始めましょう」■正しい姿勢の大切さすべての動きの基本となる『正しい姿勢』を身につけるため、タニラダーを使ってトレーニングしていきます。まずは立ち方から。両足を握りこぶし2つ入る幅に開き、親指をやや外へ向けます。このとき、背中が丸まっていると良い姿勢にはならないので、両手をそろえて上げ、頭の上で合わせて背伸びをします。その状態で足の裏の親指から小指までを使い、地面をしっかりととらえて、腕をおろしていきます。そうすることで、良い姿勢ができあがります。「良い姿勢で立つと、相手に押されてもグラグラしません。ラダーをするときに、顔を下げて足下を見ると姿勢が崩れてしまうので、目だけを動かして、周囲や足下を見る癖をつけましょう。これは試合中も同じです。サッカーは見ることが大事なスポーツ。常に顔を上げて、姿勢を崩さない状態で動くことを心がけましょう」良い姿勢を保ち、下を見ずに動くために、ラダーを使ってトレーニングしていきます。まずはラダーのマスに両足を揃えてジャンプし、止まったときに良い姿勢を保つことから。谷さんはノリの良い音楽をかけながら「音のリズムやテンポに乗って動いてみよう」「グラグラせず、ピタッと止まろう」と声をかけていきます。サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>■腕をまっすぐ振り下ろす次に、片足ずつマスに入れて止まる動きを繰り返したところで「走る技術」に移行。谷さんは「走る技術に、みんなの伸びしろがあります」と話し、足の振り下ろしに加えて、腕の振り方をレクチャーしていきます。「腕を斜めに振ると体幹部が回旋してしまい腕の振りが遅くなってしまいますし、地面に加える力も弱くなってしまいます。ひじを曲げて、まっすぐ振り下ろすこと意識して、ラダーのマスを踏んでいきましょう」子どもたちは谷さんのデモンストレーションを見ながら、見様見真似で体を動かしていきます。この「見て真似る」ことがポイントで、体を動かしていくうちに、自然とできるようになっていきます。谷さんは「最初はうまくいかないので、ミスをしても気にしないこと。どんどんチャレンジしていこう」と優しく言葉をかけていきます。足の踏み込み、腕の振りを意識することで動きにシャープさが生まれ、サッカー選手の動きに近づいていきます。そこで、2つ目のテーマである「方向変換」にトライ。谷さんは「方向変換で動き出すときに、姿勢が崩れがちです。体の中心に入っている一本の棒を少し傾けて、一歩目を踏み出すイメージを持ちましょう」と話し、方向変換、スタートダッシュのコツを伝授していきます。具体的には、地面からパワーを得られる位置に足をつくことや、足の親指と小指の付け根を地面につけ、そこに体重を乗り込ませることなどをレクチャーしていきます。「最初の測定のとき、みんなは体が力んだり、足を踏み込む位置が体より前に出ていたり、腕を斜めに振る、もしくは振れていないことが原因で、自らブレーキをかけるように走っていました。これまで教えてきたポイントを意識することで、ブレーキがかからなくなり、スピードがアップします」■守備の動きづくりにラダーは最適JACPA U-10の選手たちは谷さんの話を聞きながら、集中力を切らさずにチャレンジしていきます。1時間もする頃には、姿勢、腕の振り、足の回転がみるみる良くなっていきました。その後、守備の1対1時に必要な、下半身を半身にし、上半身を相手に正対させる動きなど、ラダーを使ってトレーニングしていきました。最後にもう一度、20mと方向変換を測定したところ、スピードと動きの質に変化が見られました。谷さんは「動きの質が上がると、スピートも上がります。その結果、届かなかったボールに届くようになったりとプレーが変わります」と話し、次のようなメッセージを送っていました。「動きの質が上がることで相手に追いついたり、ボールを奪えるようになると、サッカーがもっと楽しくなります。一ヶ月後にまた来るので、それまでの間、トレーニングしておいてくださいね。新しい自分に出会えるように、頑張っていきましょう!」この日から1ヶ月間、タニラダーの指導ライセンスを持つ鈴木コーチの指導の元、タニラダートレーニングを実施し、どれだけスピードが上がったかを測定します。子どもたちに、どんな変化が訪れるのでしょうか?その様子は1ヶ月後にレポートします!サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>
2022年05月11日ワールドカップイヤーの2022年、サッカーを通して世界の国々の歴史や文化を学んでみませんか?そのきっかけとなるのが、『親子で学ぶサッカー世界図鑑 』シリーズです。子どもたちが大好きなサッカーに日々触れている中で出てくる「なぜ?」を調べてみると、実はそこからさまざまな"学び"を得ることができます。今回は2月に発行された『親子で学ぶサッカー世界図鑑 イングランド編』から、「サッカーの起源」について抜粋して紹介します。<<大好きなサッカーを通しての学習だから自然に覚える「サッカー世界図鑑」■サッカーはいつどこで生まれたか知っている?みんなが大好きな「サッカー」。このスポーツがいつ、どこで生まれたか知っていますか?近代サッカーは、1863年にイングランドで生まれました。その起源はもっともっと大昔、いまから1000年以上前の8世紀。当時のイングランドでは、戦争に勝つと的将軍の首を切り取って蹴り合い、勝利を祝う風習があったそうです。それがやがて大衆へと広がり、首に見立てた球体を蹴って決められた時点まで運ぶ「祭り」になり、「遊び」になり、「フットボール」と呼ばれるようになりました。地域によっては、手を使うことも許されていました。そんな当時のフットボールは、ときに死人がでるほど荒っぽいもので、あまりの激しさに国がフットボール禁止令を出したこともあったそうです。大好きなサッカーを通じて世界を学ぼう!大人も子どもも楽しめるサッカー図鑑>>■大昔から世界各地で「蹴る」文化世界各地の遺跡で、丸いボール状のものを蹴る壁画が見つかるほど、人間は大昔から、蹴って遊んだり、競うことが大好きだったようです。そのひとつが、中国や日本でもおこなわれていた「蹴鞠」で、FIFA(国際サッカー連盟)のホームページでは、「最も古い形態のサッカー」として紀元前1世紀頃の中国の蹴鞠を紹介しています。■手を使うのは禁止!危険なプレーは反則!1863年、現代サッカーの誕生乱暴で危険なフットボールは、やがて「大学同士の対抗戦」「卒業生クラブによる試合」としても大人気になりました。当時の大学に通うことができたのは、裕福な上流階級の人たちです。彼らは地域ごと、学校ごとにバラバラだったルールをひとつにしようと話し合いを重ね、1863年に「フットボール協会」と「統一ルール」が完成。手を使ってはいけない、「紳士のスポーツ」として危険なプレーはしないことが定められました。こうして近代サッカーが誕生しました。つまり、イングランドは「サッカーの母国」ということになります。狭いエリアで強度の高いプレーをする中で、相手と味方の位置を見ながら「レーン」や「中間ポジション」を見つける眼を養えば、試合でもポジショナルプレーで「意図的に」相手の守備を突破することができるようになるでしょう。■手を使っちゃいけないなんてつまらない!そうして生まれたスポーツが...サッカーのルールを決める上では、「手を使っていいかどうか」で最後まで意見が分かれたそうです。最終的に、投票の数で「手を使ってはいけない派」が勝利。一方敗れた人たちは8年後の1871年に『ラグビー・フットボール・ユニオン』を結成しました。そう、それが今も世界中で人気の「ラグビー」です。こちらも、組織を作ってルールを決めたのは上流階級の人たち。だから、ラグビーもサッカーと同じく、「紳士のスポーツ」と呼ばれます。
2022年05月10日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が苦手とする「狙った所にボールを蹴れない」を克服するトレーニングをご紹介します。サッカーの基本技術である「ボールを蹴る」こと。味方にパスを出す時も、シュートをするときも狙った所に蹴れないと、相手に取られたりしてしまいます。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはしっかりボールにミートして狙った所に蹴ることが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で相手の動きを見てボールを蹴れるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親側にゴールを2つ作り、子どもがボールを持って対面して立つ2.親が動いた方のゴールにボールを蹴る3.慣れたら親がGK役となり、2つのゴールの前を横移動で守る。子どもは親の動きをよく見て、空いた方のゴールに蹴る4.さらに慣れてきたらドリブルからのシュートなど難易度をあげる【トレーニングのポイント】・軸足をしっかりボールの横に置く・狙ったゴールやボールをよく見て蹴る・慣れてきたら強いボールでゴールを狙う・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月28日息子のサッカーの成長が停滞。以前はエースだったのに、今はがつがつボールに向かわず周りを見る姿勢に。積極性がないと思われているのか、レギュラーを外されることも。中間子で空気を読むのが上手な子ではあるけど、サッカーの技術を磨いてもメンタルが向いてないとレギュラーになれないの?親としてどうサポートすればいい?と悩むお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんがお母さんにアドバイスを送ります。どうして子どもにサッカーをさせているのか、今一度考える機会になるのでぜひ参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<グイグイ行かない消極的な息子にイライラするのよ問題<サッカーパパからのご相談>この春2年生になる息子は、保育園からサッカースクールに通っておりましたが、スクールは対外試合がないので、実践を積んでほしいという親の希望で小学校からはスクールをやめ、地元の少年団に入団しました。親の希望通り週末に対外試合が行われ、息子も試合に出ていますが、指導者のコーチングに疑問を感じています。息子はまだ経験が少なく技術もないし、ルールもわかっていません。試合でも相手にボールをとられてしまうと、切り替えができず積極的に取り返しに行こうとしません。また、ボールを取られたあとも一瞬ボールを眺める時間があり、その間に相手にボールを運ばれてしまいます。そのたびにコーチは強い口調でコーチングするのですが、理解できていないので、対応できません。ある試合ではDFとして出場しましたが、普段ポジショニングの役割など練習していないので役割を分かっておらず、攻撃参加するとコーチから強い口調で注意されましたその試合では息子はゴールを決めているのですが、得点しても何も声をかけてくれませんでした。他の保護者の方からもコーチの息子に対する態度に同情されました。本人はボールを蹴ることが好きで、練習がない日はいつも1:1を求めてくるぐらいですが、ふとコーチに叱られたことを思い出してか、泣き出したことがあります。正直、同じように威圧的なコーチングが続くようならこのまま続けさせるべきなのかと悩んでおります。本人がボールを蹴ること、ゲームで点をとることを純粋に楽しんでいるがゆえの悩みです。うまくなるため、また世の中を生きぬいていくためには必要なことだとは思いますが、まだ低学年です。親としては、プロになってほしいとかの高度な願望はなく、純粋にサッカーを楽しんでほしいだけです。このまま流れにまかせるのがよいのでしょうか。正直、コーチングを変えてほしいとかコーチに進言する勇気はないです。親が行動しろと言われるかもしれませんが、学生時代も社会に出てからも何かに抗議して変えた経験などありませんし、誰もが行動力があるわけでもないことをご理解いただければと思います。泣いたことはあったものの、息子はそれほど気にしていないようにも思われ、私自身の気持ちの整理ができればよいのかもしれませんが、モヤモヤしています。長くなってしまいましたが、アドバイスをお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。ご相談の文章だけで、7歳の息子さんに接するコーチの姿がリアルに頭に浮かんできます。ボールを奪われた後に奪い返しに走ることを促すのは、指導として間違っていません。「戻れよ!」とか「切り替えろ!」といった声が飛んでいるのかなと想像します。ただ、まだ7歳ですし、子どもそれぞれで理解度に差はあります。本来ならばそのあたりを考えて、丁寧に説明して指導してもらいたいものです。■子どもが心からサッカーを楽しめないならチームを変えた方が良いかも全体的に威圧的な指導が目立つことは確かなようです。地域の少年団ですので、恐らくお父さんコーチや、地域の方々がボランティアで指導していることと思います。深く学んでとても良い指導をしている方もいらっしゃいますが、指導環境の質はまだまだ良し悪しがあるようです。結論から言うと、チームを替えたほうが良いかもしれません。まだ7歳なので、そのままチームに居続ければ威圧的なコーチに慣れてゆくことでしょう。ただ、お父さん自身が指導に問題があると感じている今、おっしゃるような「このまま流れにまかせるのがよい」とは思えません。親がストレスを抱えているのであれば、子どもも心からサッカーを楽しめないと考えます。■今のチームにい続けるか、息子さんと話し合おうそこで、まずは息子さんと話し合いましょう。「今のチームで楽しくサッカーできてるかな?ずっとプレーしたい?」「コーチがちょっと怖いよね?お父さんも見ていて嫌な気持ちになるよ。どんな気持ちかな?」「ほかのチームに移る方法もあるよ。もし、他のチームでサッカーをしたいと思うなら、お父さんと一緒に探してみる?」そんなふうに問いかけて、息子さんの気持ちを聞いてあげてください。「コーチングを変えてほしいとかコーチに進言する勇気はない」と書かれています。お子さんに前述したように問いかけ「他のチームでプレーしたい」と言えば、地域のクラブとか、他の少年団の試合や練習を見学してみてはどうでしょうか。他チームの親御さんに尋ねるなどして、移籍先を探してみてもいいかと思います。■クラブを見る際に気を付けたいポイントその際、私が考える「クラブを見る際に気をつけたいポイント」を挙げますね。1)子どもが笑顔で楽しそうにサッカーをしているか。2)子どもだけでなく、コーチの方たちにも笑顔が見えるか。3)見ている親たちが子どものプレーに対し、暴言やネガティブな声掛けをしていないか。4)試合は全員出場できるか。■お子さんが今のチームにい続けたいなら、無理に辞めさせないこと次に、息子さんが「チームを替わりたくない」と答えた場合、どうするか。今のチームを無理に辞めさせてはいけません。とりあえず様子を見ましょう。加えて、息子さんにはお父さんたちがついていることを伝えてください。例えば、こんなふうに言ってはどうでしょう。「そうなんだ。OK。なら、ここでプレーするといいよ。でも、やっぱり嫌だなとか、我慢できないなと思ったらいつでも言ってね。楽しくないなと思ったらお父さんに言ってほしい。お父さんは、君が楽しくサッカーをしてほしいと思ってるよ」今のチームにいれば、ミスをコーチから強い口調に怒られ、落ち込んだりもするでしょう。試合に出られないこともあるかもしれません。しかし、そればかりではなく、息子さんが「サッカーって楽しい。大好きだ」と感じながら過ごす時間もあるはずです。できれば、そういった部分にも注目してあげてください。■1年生ならどんなプレーをしてどんな気持ちだったのか、程度の振り返りで大丈夫一方で、お子さん自身は「泣いたことはあったものの、それほど気にしていないようにも思われる」とも書かれていますね。であれば、いったん放っておいていい気がします。干渉し続けると逆効果かもしれません。そこで、お父さんは練習や試合を毎回観に行くのではなく、少し減らして距離を置きましょう。何をされるのか?言われるのか?と警戒しながら観に行くのもストレスです。お子さんがサッカーから戻ってきたら、1対1の相手をしてあげればよいかと思います。そして、帰宅したときは「今日は楽しかった?」と聞いてあげてください。そのときの息子さんの顔つきや様子で、おおよそ見当がつくと思います。加えて、「何点取った?」とか「試合は勝ったの?」「失点は君のミスじゃないよね?」などと結果ばかり聞かないことです。どんなプレーをしたのか。どんな気持ちだったのか。1年生はそのくらいの振り返りで十分です。■今現在は何か行動する必要はないが、場合によっては......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)「学生時代も社会に出てからも何かに抗議して変えた経験などありませんし、誰もが行動力があるわけでもない」と書かれています。今現在、行動する必要はないかと思います。ただし、指導者に暴力をふるわれたり、人格を否定されたり、ひどい暴言で傷つけられるようなことが皆無とは限りません。事前にさまざま調べて、息子さんとどこでサッカーをすると一番幸せかということを話し合う行動ができればよいと思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年04月27日3、4年生からサッカーを始める子も多いチーム。サッカー初心者が最初に覚える技術や戦術は色々あるけど、オフザボールの動き、チームとしての連動を覚えてほしい。パスを出した選手、パスを受けた選手、近くにいる味方で連動して相手を交わしていく動きを教えたい。いわゆる「3人目の動き」を教えるいい方法はある?というご相談。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、子どもたちが頭の中で3人目の動きを理解できるようになるアプローチを教えます。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<狭いところでも「止める」「蹴る」ができるようになる方法を教えて<お父さんコーチからのご質問>池上さんこんにちは。学校の少年団で指導しています。指導しているのは中学年です。田舎だからか、小学3、4年からサッカーを始める子も珍しくなく、初心者が多いチームです。(未就学からスイミングに通っている子は多いのですが、少年団に入るのは3、4年生からというのが多いです)ご相談内容は、チームとしての連動、オフザボールの動きです。「3人目の動き」とでもいうのでしょうか。パスを出した選手(1人目)、パスを受けた選手(2人目)、それ以外の近くにいる味方選手(3人目以降)で連携しながら相手守備を突破する動きを教えたいのですが、良い方法はありますか。初心者も多いので、プレーの流れのイメージがつかめないのと、初心者ゆえトラップやコントロールが落ち着かないこともあり、動きが止まってしまいスムーズに連携できないのです。アドバイスいただけると幸いです。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。少年サッカーの試合を見ていると、ベンチから「サポート!」「周りが動いて」「もらう人いないよ」といった声が飛びますね。大人たちは懸命に声をからしてアドバイスしますが、それを受ける子どもたちがどの程度理解しているのか。この点を考えなくてはいけないと私も感じています。彼らに三人目の動きを理解してもらうには、まず頭の中で絵を描ける、イメージできるよう指導してください。■ゲームを一時的に止めて、頭で理解する時間を作るまず、ミニゲームなどの場面でフリーズさせて(プレーを一時的に止めて)話をします。「ボール持ってる子どもがいます。パスが欲しい子どもがいます。でも、二人の真ん中には相手ディフェンスがいます。その場合、どうしたらパスできますか?」仮に、子どもから「受ける側が右か左に動いて、味方が見えるところに行けばいい」といった意見が出るとします。私「でも、受ける側が動かなかったら?」子ども「ボールを持っている側が動けばいい」つまり双方がパスを通すために移動することを考えなくてはいけないことを、まず理解してもらいます。ここでトライアングル、つまり3人目の動きの説明ができます。ホワイトボードを使って、「相手のディフェンスは、A君とB君の間にいます」と3人の関係を説明し、「さて、どうしたらいいかな?」と発見させてもいいでしょう。■3人目の動きが出てこないのは「頭の中」の問題3人目の動きが出てこないのは、子どもたちの頭の中の問題です。ほかにも、例えば「シュートを打ちたいけれど、前にディフェンスがいてA君は打てない。じゃあ、どうしたら打てるかな?」と問いかけます。いろんな答えが出てくるでしょう。サッカーの点の取り方がそれぞれ違うように、いろいろな答えが出てきます。それを試してみよう、と言ってあげてください。頭の中の問題なので、初心者であっても、幼稚園からしていたとしても関係ありません。上述した程度のことであれば、子どもたちは理解できます。間にディフェンスいたら出せない。じゃあ、どうしたらいいか? それを発見できるようになることがまず重要です。その次に、冒頭のミニゲームのように実際に2人と間にディフェンスがいる状態で立たせてみて、どこに立つとパスできる?と考えさせます。子どもたちに、サッカーはボールをもっていないときに動かないといけないスポーツで、動きながらどうするか?を考えるスポーツだということを頭と体で覚えてもらいます。そうするために、ドイツは3対3のフニーニョを小さいときからやることをドイツ中に広めようとしています。そうすれば、3人目の動きが常に出てくるので、知らず知らずのうちに体得するのです。※フニーニョとは?ドイツが育成年代に導入しているフニーニョとはこんなルール>>■子ども自身で考えて選択したものは浸透する私が地元大阪で行っている1年生から6年生まで一緒に練習する「プレイパーク」でも、そのあたりを説明をします。池上「あそこにパスしたいんだけど、邪魔する人がいます」子ども「こっちに動けばいい」池上「ほかに方法はないかな?」子ども「(ボールを持っている)池上コーチが動けばいい」そのように、子ども自身が考えて選択したものは浸透します。「コーチの言う通りに動きなさい」と教え込まれていくものは「その子たちのもの」になりづらく、またそこから発展しません。そのことをぜひ心にとめて指導してください。■「3人目の動き」が分かってくる初心者向けにおすすめのメニュー練習メニューはネットや書籍でいくらでも学べるかと思いますが、初心者向けにひとつユニークなメニューを紹介しましょう。8人グループで行います。半径6メートルほどのサークルに8人が立ち、パス交換をします。AがBにパス。その際「C君!」と3人目の名前を呼びます。BからもらったCはDにパスをしながら「E君!」と呼ぶ。そうすると、蹴る子も3人目を誰にするかを意識しなくてはなりません。名前を呼ばれた子も意識します。中高校生にやらせてもいい練習です。3人目のもらい方がわかってくると、パスがどんどん続くようになります。そうなったら、「サッカーは何が一番の目的なの?」と尋ねます。子どもたちは「ゴール」だとわかっています。そこで「できるだけ早くそこにいけるにはどうしたらいいか?」を求めていくのです。フニーニョをやりながら、時折止めて解説すると理解が増すでしょう。■「うまくできない」が大事、最新のコーチング理論で分かったこと気をつけたいのは、その練習がうまくできるまでやってしまわないことです。コーチが「ほら、うまくできてないよ!」と指摘する声をよく聞きますが、何度も反復させてできるようになるまでやらせる必要はありません。うまくできていないことが実は大事です。なぜならば、最新のコーチング理論「運動学習理論」では、反復練習は初期段階では効果があるが、それを長く続けても効果はないということがわかっています。そうではなく、メニューをポンポン変えて複合的な動きをやっていくと技術の獲得が上がっていくというのです。そうすれば伸びるスピードは落ちません。これを「非線形理論」といいます。一からコツコツ積み上げていく「線形理論」はごく初期段階での考え方です。「今まではこうやってきた」という経験則ではなく、根拠のある指導方法を選択しましょう。いろんなことをやっていくことで目標に到達していくことを、ぜひ覚えておいてください。池上正さんの指導を動画で見る>>■成長のチャンスを子どもに自ら獲得させることが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)また「トラップやコントロールが落ち着かないこともありスムーズに連携できない」といった旨が書かれています。しかし、子どもがパスをしようとしていたのなら「よく見えてたね」「いいところに動いていたね」とまずは認めましょう。次に「今トラップが大きくなっちゃったね。今のプレーが上手くいくには、どうしたらいいかな?」と問いかけてください。すると、ボールコントロールの練習を自ら始めるはずです。成長のチャンスを子どもに自ら獲得させることが大切です。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年04月22日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が悩む「ドリブルで相手を交わせない」を克服するトレーニングをご紹介します。ドリブルで大切なのは、相手との距離感。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者には相手との距離感を掴むことが難しく、簡単にボールを奪われたり、相手と遠い位置で1対1をしかけてしまい、まったく抜けないということが多々あります。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、ドリブルで相手にとられないボールの置き所と、相手を交わすタイミングが理解できるようになる方法を紹介。親は難しい動きはありません。【やり方】1.子どもがボールを持ち、適度な距離をもって対面して立つ2.親は後ろに下がり、子どもはドリブルしながら前進3.親がストップしたら子どももストップ、DF役の親が足を延ばしても届かない距離感をキープ4.慣れてきたら親が止まった瞬間に左右どちらかにドリブルして親を交わすなど試合の動きに近づける【トレーニングのポイント】・まずは相手が足を延ばしてもギリギリ届かない距離感を掴む・親の動きをよく見ながら、親が止まったらボールを取られない距離をキープして止まる・方向を変える際は、相手の足がギリギリ届かない場所で方向変換をする・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う2020次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月21日子どもがサッカーを始めると、練習や試合の送迎で車の出番が多くなります。子どもだけでなく、チームメイトを乗せたりすることもありますが、体が出来上がってない年齢の子どもたちは車酔いをする子も少なくありません。わが子は大丈夫だったけど、乗せたお友達が吐いてしまった......。掃除も大変だけど、試合前に体調が悪くなってしまいかわいそう。という経験をした親御さんもいますよね。そこで、中古車情報メディア『カーセンサー』の西村泰宏編集長に、子どもが車酔いしにくい車の種類と酔いにくい乗り方を教えてもらいましたので、お子さんの車酔いで悩んでいる方は参考にしてみてください。(取材・文:小林博子)試合当日はチームの荷物を運んだり、チームメイトを同乗させることもありますが、子どもの車酔いに悩む保護者も多いもの(写真は少年サッカーのイメージ)<<関連記事:サッカー道具や試合の荷物運び。子どものサッカーに関わる間の車選び、ファミリーカー以外におすすめの1台はこれ■親の悩みでも多く聞かれる子どもの車酔いジュニア世代の「子どもの車酔い」に悩まされている親御さんも多いと聞きます。自分の子どもがそうでなくても、チームの子どもを複数人乗せることが多くなるので、お友達が酔ってしまった。ということも。自家用車だけでなく、合宿や遠征に向かうバス利用の際も、子どもの車酔いについての悩みが寄せられることが多いもの。車内の掃除も親の悩みの一つですが、何より試合に向かう朝に具合が悪くなってしまった子がかわいそうになりますよね。いいコンディションで試合に向かわせたいものです。西村さんにお伺いすると、車酔いする主な原因は「揺れ」だと言います。いくつかある車の揺れの種類のうち、車酔いに大きく関わってくるのが「ロール」と呼ばれるものなのだそうです。ロールは重心の高さが大きく関係しており、車高が高い車では大きくなりやすいのです。つまり「ミニバンやSUVは比較的酔いやすい」と言えるそう。また、タイヤのサスペンションが緩めで揺れをふんわりと感じる車も酔いやすいと言われているのだそうです。酔いにくい順にボディタイプで並べると下記のようになります。セダン↓ワゴン↓ミニバンミニバン以外の選択肢としておすすめ、3列シートのSUVの人気車種アウトランダーPHEV(写真提供:カーセンサー)複数子どもを乗せる前提だと購入の対象にならないかもしれませんが、酔いにくいという側面から判断すると、車高の低く低重心なスポーツカーはセダンよりさらに上位に来るそうです。■乗る席、運転の仕方で酔いやすさが変わる車種だけでなく、乗車中の行動でも酔いやすさは変わります。車酔いする体質の子どもを乗せる際は、以下のことに注意してみてください。と西村さんからアドバイスをいただきました。・視界が開けた席に座る予測不可能な揺れは脳を混乱させ、車酔いを引き起こす原因の一つです。後部座席より助手席のほうが酔いにくい理由は、視界が開けていて揺れを脳が予測しやすいからと言われています。・急発進・急ブレーキを極力行わない車に乗っている際、私たちの体には慣性の法則が働きます。その際に急ブレーキを踏まれると「前後にGがかかること」になり、頭が揺られて車酔いを引き起こしやすくなります。同じ理由で「急発進」も。酔いやすい子どもを乗せる際は、いつも以上に速度の変化に気をつけて優しい運転を心がけましょう。・香りの強い芳香剤を使わないお友達が車に酔う理由には匂いの違いもある、と西村さんは言います。同乗したお友達が車に酔う理由の一つに「匂い」もあるのだそう。乗せている方は普段と同じ匂いなのでなにも感じなくても、乗せてもらった子どもは自分の家の車と違う匂いを感じることで酔いやすくなったりします。どんなに「いい香り」と思っても強い匂いの車内用フレグランスを使うのは避けた方が良いそうです。香りは人によって快・不快が違うので、「これなら大丈夫」というものはないと思っておいた方がよいでしょう。逆に、無香料タイプの消臭剤などはおすすめです。上記の「酔いにくくなる乗り方」に加え、シートカバーで座席を覆い、酔って嘔吐などをしてしまった場合への対策もしっかり講じておくことが大切です。大事な車にみんなが気持ちよく乗れるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2022年04月20日サッカーの指導者の悩みで一番よく聞かれるのが「保護者対応」。最近ではインターネットの記事や動画で情報を得る方も多くなり、サッカーの経験がない親御さんも指導者に「ネットにはこんな指導が良いと書いてあった」「うちの子は●●が得意なので■■選手のようなポジションが合っていると思います」など注文を付けてくる方もいるそうで、頭を悩ませている指導者たちも少なくないようです。サカイクでは指導者たちのリアルな悩みを聞くために、オンライン座談会を実施しました。そこで聞いた現場の声をお届けします。写真は少年サッカーのイメージ子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>■上手い子の親たちが選手起用に意見してくる3、4年生を指導するAコーチのチームでは、学年の担当コーチに対して保護者から練習方法や選手起用について口を出されることが多いのが悩みだそう。チームの結果より自分の子が活躍したかどうかを重視し、勝ちを求めるために試合のメンバーについても「あの子たちと組ませてください」「あの子は外してください」など意見されることも多く、その対応に困っているとのこと。子どもたち同士はうまい下手に関わらず仲良く練習しており、指導者としても小学生年代は楽しむことを一番に、サッカーを嫌いにならないように全員を試合に出したりしているのに、親たちの方が勝利にこだわっており、その結果チームに不満が生じアレコレ言ってくる現実があることに悩んでいると教えてくれました。■わが子のポジションを指定してくるチームを指導して22年のベテラン指導者Bさんも、近年保護者の要求が変わってきたと感じている方の一人です。海外のリーグも気軽に視聴できる環境が整ったり、インターネットの普及もあり情報があふれた最近では、子どもの得意なプレーに照らし合わせて、例えば「うちの子はドリブルが得意なのでメッシ選手のようになれるでしょうか」のように、親から見てプレースタイルが似ていると思う有名選手のようになれるか聞いてくる保護者や、「うちの子はボールコントロールが得意なのでMFが適正だと思います(MFにしてください)」など、わが子のポジションを指定してくる保護者が増えているのだそう。また、試合では「ボールを持ったらドリブルしろ」など直接プレーを指導する保護者や、チームへの要望ではなく自分の子だけに親がやってほしいプレースタイルを指示する方もいるなど「チームスポーツをしているはずなのにまるで個人競技のようになっている」と教えてくれました。わが子の試合よりも、サッカー動画を見ることが多い保護者もいるそうで、動画で切り出されたプレーを見ていることで、サッカーの流れの中でのプレーより一瞬の技術にばかり注目して、それをわが子に求める方も増えつつあることを嘆いていました。■個人偏重は指導者にも原因が?低学年を担当するCコーチは、保護者のサッカーの個人偏重には、サッカーというスポーツの理解によるものではないかと言います。パスが通った、ゴールが決まったなど、結果が見えやすい、分かりやすい部分ばかり評価されることで、サッカー経験のない保護者の方々は結果ばかりに注目してしまう。これはチームとしてのやり方にも問題があると感じる、とCコーチは言います。そこでCコーチは、結果につながる一つ前のプロセスもしっかり褒めるなど、保護者に「いいプレーとは何なのか」を理解してもらうように心がけているのだとか。また、いわゆる「お父さんコーチ」として関わる保護者コーチもいるそうで、最初は子どもがサッカーを楽しめばそれでいいと思っていたお父さんコーチが、公式戦などが始まる年代になると「勝たせたい」という思いから勝利重視に変わってしまうことがあることが残念だと教えてくれました。保護者の方が勝ちたい思いが強くて、いつの間にかレギュラーメンバーを固定してしまったりするのだそう。そして、それまでは全員で楽しめればいいと思っていた保護者の方も「勝たせるメンバー選考」に賛同してしまうことが多いのだとか。チームとしては、小学生年代は楽しませることを重視し、中学以降もサッカーを続けてもらいたいので出場時間を平等にするなどの工夫をしていることをいかに理解してもらうか、という部分で苦心していると教えてくれました。■サッカー経験者の保護者が勝利を求めてくる同じく低学年を指導するDコーチも、チームとしてはサッカーを楽しいものと思ってもらいたいという方針で指導育成に当たっているのに、保護者の中でも学生時代にサッカー部だった方(主に父親)が勝利を求めてくることに歯がゆさを感じているのだと言います。試合に勝つためにはこんな風にした方が良いのではないか、といった練習内容や戦術についての提案に留まらず、「あの子たちを出すなんて負けに行くつもりですか?」など、出場メンバーについてほかの保護者がいる前でも心ないことを仰ることに心を痛めているとのこと。もちろん、チームとしての方針があるので全員出す理由を伝えはするものの、そういった保護者の方はなかなか納得してくれず、日々悩んでいるとそのつらい心の内を明かしてくれました。■指導者はアップデートしているのに......学生スポーツのニュースというと、どうしても旧態依然とした厳しい指導や暴力暴言での被害にまつわる記事が多いので、そのようなスパルタ指導者が多いと思う方も多いのかもしれません。ですが、近年サッカーの指導者は、ライセンス更新のタイミングや、様々な「子どもを伸ばす指導」の発信により、かつての指導と同じではいけないと常に情報をアップデートしている方がたくさんいます。逆に親御さんは、学生時代にサッカーを経験していてもそこからいったん離れ、わが子がサッカーをするようになってから再び関わる際に、自分の現役時代と同じ感じで関わってしまうことが多いので、このような指導者と保護者の感覚に乖離が生まれてしまうこともあるようです。今回お伝えしたのはほんの一部ですが、指導者のみなさんが様々な事情で保護者の方への対応に苦慮していることがうかがえました。子どもにいい指導を受けさせたい、と思う親御さんは多いでしょう。しかし、子ども以外の理由で指導者になりたい人が減ってしまったら、いい環境・いい指導者のもとに置くこともできなくなるのです。サカイク10か条では、保護者の心得として「サッカーのことはコーチに任せよう」としていますが、それは「親は一切口を出すな」ということではありません。よくわからないことや疑問に思うことは質問して話し合ったり、子どもたちのために何が一番いいのかを判断して一緒にサポートするということを大事にして、親御さんもわが子のサッカーを思いきり楽しんでください。子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>
2022年04月19日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が悩む「イレギュラーな動きに咄嗟に反応するのが苦手」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中はボールがイレギュラーバウンドしたり、相手にぶつかって方向が変わるなど、様々な要因で咄嗟に反応しなければいけない場面が多々あります。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはイレギュラーな動きとはどんな動きがあるのか、相手に当たって方向が変わるのはどんな状況か、経験がないので想像できず瞬時に身体を反応させることが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で自分の思った所とずれたところにボールが来ても素早く反応して対応できるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親がボールを持って立ち、子どもは後ろ向きで足踏みをする2.手をたたくなどの合図で子どもは振り返り、そのタイミングで親は子どもの足元左右どちらかにボールを転がす3.子どもは正面で受け止められる所に移動し、足元で止める4.慣れてきたらボールをバウンドさせたり、転がすスピードを上げて難易度アップ【トレーニングのポイント】・ボールの行く先に身体を移動させる・ボールを身体の正面でとらえる・足先で受けると上手くコントロールできないので、しっかり正面でボールを受ける・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月18日J1リーグ所属のFC東京は、トップチームの強化に加えて、サッカーの普及や育成に力を入れています。幼児から小学6年生(一部会場で中学3年生まで)までのスクールが都内に23箇所あり、通常スクールと、セレクション合格者のみが入会できるアドバンスクラスがあります。そして2022年4月、「スクール選抜クラス」が開校しました。このクラスはスクール生の中からコーチの推薦を受けた方のみが参加することができるもので、通常スクールとアドバンスクラスの中間に位置し、レベルに応じたプレー環境を提供することを目的に作られました。様々な形で子どもたちの育成、サッカーの普及を行うFC東京。今回はクリニックマスターの中村淳コーチに、FC東京が考える「サッカーの普及と育成」について話を聞きました。(取材・文鈴木智之)■『サッカーをしたい!』と思ったときに、受け入れられる場所でありたい昨今、子どもたちを取り巻くサッカー環境は変化しつつあります。公園や路地でボールを蹴る機会は減り、小学校の体育において、サッカーは必修ではなくなりました。中村コーチは「サッカーと出会う機会が減少する中で、子どもたちが『サッカーをしたい!』と思ったときに、受け入れられる場所でありたい。『サッカーって楽しいんだ』と思える場を提供したいです」と、優しいまなざしで話します。「スクールの目的は、サッカーの楽しさを知ってもらうことです。当然、サッカーが上手くなってほしいですし、人間性の向上も目的としていますが、まずは楽しさを感じてもらうことが大切だと考えています」サッカーと出会い、サッカーの楽しさを知る場として、スクールを活用してほしいと話す中村コーチ。スクール生の中には、「周りの子と比べて、サッカーを始めたのが遅いので、うまくできない」などの理由から、一歩を踏み出せない子もます。そのようなスクール生、保護者に対して、中村コーチは次のように語りかけます。「保護者の方にサッカー経験があり、サッカーを小さい頃から始める子が増えています。そのような状況で、『うちの子は小学3年生なのですが、今からでも間に合いますか?』と聞かれることがあります。そのときは『まだこれからですよ。お子さん、9歳じゃないですか。このタイミングでサッカーを始めなければ、一生サッカーに出会えないで終わってしまうかもしれません。それはすごくもったいないことですよ』という話はさせてもらっています」サッカーを始めたばかりの頃は、レベルに差が出やすいです。そのことからFC東京のスクールでは、レベルに応じたグループ分けや要求する内容を調節するなどして、その子の成長段階にあった指導を心がけているそうです。「子どもたちの成長段階を見ながらグループ分けなどもしているので、保護者の方には『ご安心ください』とお伝えしています。同じ年齢でも、その時点での技術や習得しているレベルは違いますからね。個々の成長段階に応じた声かけを心がけています」■子どもが『できた!』と思った瞬間を見逃さないように中村コーチは、サッカーを楽しみながら上達する上で「成功と失敗のバランスが重要だと考えています」と話してくれました。「その子にとって、できるかできないか、ぎりぎりの要求をすることで、それができたときに成長につながります。その為には拮抗したレベルの中で切磋琢磨できる環境が必要と考えております。今回の選抜クラスの新設についてもその様な考えに基づいております。また我々指導者として大切なのは、子どもが『できた!』と思った瞬間を見逃さず、褒めてあげること。褒められると実感が2倍、3倍になるので記憶に残りやすく『またチャレンジしよう』という気持ちになってくれます」スクールでサッカーを始める子が多い昨今。FC東京のスクールには幼児から小学生・中学生でのカテゴリーがあり、最初はボールと触れ合うことや体を動かすことなど、将来的にサッカーを続ける上で必要な、動きの土台づくりからスタートするそうです。「スクールは人工芝のグラウンドと、一部は天然芝で行っています。芝の場合、転んでも痛くないし、ウェアも汚れません。その意味で、いまの子たちは恵まれた環境ですよね」FC東京のスクールでは、子どもたちが楽しそうにボールを追いかけ、その様子を保護者が見守っています。中村コーチは保護者に対して「温かい目で見守ってあげてください」と語りかけます。「上手くできたか、できなかったかは、子ども自身が一番よくわかっています。だから、『どうだった?』と聞いてあげて、できたことをまず褒めてあげてほしいと思います。そうすると『あの場面が上手くいかなかった』など、子どもの方から話すようになるので、しっかり聞いて、寄り添ってあげるのがいいのかなと思います」■「青赤キッズの心得」とは?サッカーを通じて、子どもたちの自立を始め、心の成長にも重点を置いており、スクールでは、子どもたちにわかりやすいように「青赤キッズの心得」を掲げているそうです。「FC東京のチームカラー、青赤(あおあか)に当てはめて、「あいさつ」、「おもいやり」、「あきらめない」、「かんしゃ」の4つを大切にしています。まずは、あいさつがしっかりできているか。そして、相手の立場に立って考えるなど、思いやりの心を持てているか。最後まであきらめずにプレーしているか。サッカーができることに感謝しているか。これらはアカデミーも含めて、大切にしていることです」FC東京のスクールを経てプロになった選手は多く、波多野豪、安部柊斗、橋本拳人、武藤嘉紀、三田啓貴、権田修一など、日本代表を経験した選手もたくさんいます。彼らをめざし、競技力向上にフォーカスした「アドバンスクラス」に加え、「スクール選抜」を新設することで、アドバンスクラスに入ることができない子達にも、高いレベルで切磋琢磨できる環境を用意するなど、普及と育成の両輪でサッカーを楽しむ環境づくりを進める、FC東京サッカースクール。随時、体験会を行っているので、興味を持った方はこちらにアクセスしてみてください。きっと、新たなサッカーの楽しさに出会えることでしょう!
2022年04月15日「止める」「蹴る」をもっと早く正確にできるようになる指導はある?強豪チームと対戦すると止める、蹴るのレベルが格段に違う。狭いスペースでもピタっと止められるから顔も上がるしプレーに余裕がある。選手たちを一段階上のレベルに成長させてあげたいから、自分の選手たちにも教えたいけど、楽しみながらできる「止める」「蹴る」のレベルを高める練習はある?というご相談。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、小学生年代の指導において大事なことをアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<「月謝を払っているんだから上手くして」かけたお金=上達ではないのにサッカーでもコスパを求める保護者にどう説明したらいい?<お父さんコーチからのご質問>はじめまして。お父さんコーチとして、息子が所属するチームのU-10を担当しています。少年団ではありますが、地域ではそこそこ強く、県大会の常連チームではあります。今回お伺いしたいのは、「止める」「蹴る」というサッカーの基本をしっかり身につけさせるお勧めのトレーニングです。チームの代表の人脈で、近隣県の全少出場常連強豪チームとも練習試合をさせてもらう機会があるのですが、やっぱり「止める」「蹴る」の基礎技術が全然違います。狭いスペースでも、強くて早いボールをピタッと止めて素早く味方にパスを出すなど、速さと強度が桁違いです。やっぱり止めて蹴るがしっかりできているからしっかり顔も上がっているし、プレーに余裕があるなと思って見ています。勝つことだけがすべてではありませんが、子どもたちをもう一段階成長させるために、「止める」「蹴る」のレベルを高めるお奨めのメニューはありませんでしょうか。できれば楽しんでできるようなものだとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。全少に毎年出場するような強豪チームを見てしまうと、なるほど足元は上手いのでしょうね。■日本のスポーツは、小さいときから教え込みすぎしかし、日本のスポーツがほぼすべての競技で、「小さいとき(アンダーカテゴリー)」は強いのに、大人になると弱くなる傾向があることも知ってほしいと思います。ほかにも、オリンピックに出場する選手を見渡すと、20~30代が出てくる米国などのスポーツ先進国と比べると年齢層が低いです。彼らは高校や大学になって、自分の専門種目を決めます。日本のような全国大会もないため「ここで勝たなくては」「他人より秀でなくては」と焦らなくて済みます。対する日本は「小学生で勝てるように」と目の前の勝利や成果を追って、小さいときから教え込んでしまいます。■日本の子に足りないのは技術より「認知力」私は足元の技術よりも、日本の子どもに足らないのはサッカーの認知力だと考えています。この連載のアーカイブを見ていただけると「認知・判断・行動」の指導について書いていますので、良かったら読んでみてください。それはどういうことかと言えば、例えば今行われている欧州チャンピオンズリーグを見てみましょう。そのスピード、パスの精度。選手たち皆凄いです。ところが彼らが10歳の頃、どうだったかといえば、足元の技術は高くありませんでした。10歳の彼らが何をやっていたかと言えば、サッカーの成り立ちを学んでいるのです。どうしたら相手の逆をとれるか。どこにボール運ぶのか。どこで受けるのか。そういうことを小学生の間にやっています。これらのことがジュニアの指導では大事だと私も言い続けています。これらのことを探究したいので、私は小学生、中学生、高校生すべてのカテゴリーを教えています。例えば、外部コーチをしている府立高校の選手たちは、足元の技術は劣っているけれど、周りの高校と徐々に戦えるようになってきました。強豪校に追いつくために足元の技術をすぐに引き上げるのは難しいですが、頭のなかを変えることはできます。サッカーはどう点をとるのか。そんなことを伝えるだけです。■日本の選手たちは足元の技術はあるのに周りを使えない一度子どもの成長をイメージしてみましょう。子どもは大きくなっていくと、やれることが増えていきます。それが技術を身に付けるということですね。柔らかいタッチ、足に吸い付くようなドリブル。ところがそこに指導者が執着しすぎると、その年代でやらなくてはいけないことを忘れてしまいます。よって、日本の高校生は足元の技術を持っているのに、周りが使えない選手が非常に多いです。周りを見られないため、判断も遅れます。そうすると、相手のプレッシャーが速ければすぐに囲まれボールを奪われてしまいます。こんな状況を、イングランドの指導者たちは「バッドハビット(悪い習慣、悪癖)」と表現します。例えば日本では、ボールを持ったらすぐにドリブルする。ゴール近くに持ち込むと、仲間を使うことをせず無理に突破しようとする。そんなバッドハビットが見受けられます。子どものときから「勝負、勝負」と煽られてきたので、自分で何かしないといけないと思い込んでいます。1対1はチャレンジしないと許されないと考えているような気がします。私たち指導者はこの悪癖を早く直して、だれかがフリーでシュートを打てるよう相手を崩すことを考えられる子どもに育てる必要があります。そのためには、例えばボールコントロールは相手から遠いほうの足でやる。そんなことを確実にやろうとするチームは、なかなか見受けられません。■コートのサイズを変えることで強度が上げられるこのようなことを踏まえて、個人で行うクローズドスキルの練習をやり過ぎないようにしてください。止める、蹴るができないと勝てないからキック練習をしよう、ボールコントロールやドリブルの練習をしよう、とはならないようにしましょう。加えて、技術を上げるためにはどんなことをすればいいのか、メニューなどはネットなどからいくらでも引っ張ってくることができます。特に止める、蹴るにかかわるメニューは山ほどあります。それを取捨選択しながら、コーチングの手法を研究してください。例えば練習の「強度を上げる」とはどういうことなのか。そういったことをコーチ自身が考えてほしいと思います。コートのサイズを小さくすることで強度は変えられます。狭くすればディフェンスとの距離が短いので、プレースピードを上げなくてはなりません。そのなかで強いパスが出てきたら、止めるもうまくなります。そうやって練習を組み立てます。練習の最後には試合をして、やったことを試してもらいます。そんなことをやっていると変わってきます。池上正さんの指導を動画で見る>>■サッカー先進国ほど小学生年代のやり方を見直している(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)欧州や南米のサッカー協会は、各年代の指導をさまざま試しながら、よりよい育成法を模索しています。サッカー先進国ほど、小学生年代のやり方を見直しています。しかし残念ながら日本ではそういったことが足らないようです。皆さんを見ていると、日本のなかで強いか弱いとか、週末の試合のことしか考えていない気がします。それよりも、どうやったら練習を楽しく集中したものになるのか、子どもたちがどうしたら上手くなるのか、そういったことをぜひ考えてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年04月15日サッカーをする子どもがいる家庭の車選びについて、中古車情報メディア『カーセンサー」編集長の西村泰宏さんにお話を伺います。前編ではサッカーファミリーが車を購入する際に念頭に入れたい4つの基本的な考え方と「酔い対策」を教えていただきました。後編では、西村さんが考える「サッカーファミリーにおすすめの車」について、具体的な車種とともに紹介します。(取材・文:小林博子)子どもがサッカーを始めると練習への送迎だけでなく、試合の荷物を運ぶ手伝いをすることもあります(写真は少年サッカーのイメージ)<<前編:「ファミリーカーは嫌」というこだわり派も納得!サッカーをする子の親におすすめの車選びのポイント■サッカーの送迎におすすめなのはこんな車!荷物が多く、時には大人数の子どもを乗せ、ある程度汚される可能性がある。サッカーをする子どもがいる場合、こんな条件を加味して車を選ぶことになるでしょう。また、車好きな方であれば、走行性能や見た目のかっこよさもなるべく諦めたくないはず......。そんな希望を叶えてくれる車とは?そんな条件の中で、カーセンサーの西村編集長が考えるおすすめの車は、ずばり「7人乗りの3列シートSUV」とのこと。荷物が多いときは3列目を倒して荷室として使うべきだそうです。また、ニーズから考えるとワゴンやバンもやはり賢い選択だそう。候補がかなり絞られてきますね。なお、乗る予定の期間とリセールするつもりかによって選ぶ車種は異なりますので、リセール予定の有無に分けて具体的な車種をご紹介します。※リセールバリューの考慮については前編で解説■カッコいい車に乗りたい親御さんにおすすめの車種(リセールする予定の場合)・アルファード(トヨタ)・ヴェルファイア(トヨタ)・ハイエース バン(トヨタ)・CX8(マツダ)・アウトランダーPHEV(三菱)※プラグインハイブリッドタイプアルファードを始め、ヴェルファイアやハイエース バンといったトヨタのミニバンは、乗車人数が多く(7人前後)、また荷室が広くサッカーでチームの子どもたちを乗せる際には重宝するに違いない車種だと教えてくれました。特にアルファードとベルファイヤはアジアでの利用人気が非常に高く、リセールバリューにも期待できるのだそうです。また、ハイエースは昨今のキャンプやDIY人気で需要が高まっている車種なのだとか。商用車のイメージが強かった車ですが、意外にもサッカーの送迎以外にアウトドアも家族で楽しみたいというご家庭にはピッタリの車のようです。お洒落なパーツやアクセサリーもたくさん出ているそうで、自分好みにカスタムしてみるのも楽しいのではないでしょうか。ボディタイプをミニバンではなくSUVに限定すると、マツダのCX-8と三菱のアウトランダーPHEVを候補に挙げてくれました。どちらも最大7名の乗車定員があり、走行性能の良さや見た目のスタイリッシュさにこだわりたい方は満足できる車種です。PHEVは、ガソリン車ではなく最新の新型(プラグインハイブリッド)を選んでください。リセールバリューの高さが期待できるそうです。マツダのCX8のように3列シートのSUVなども、ファミリーカー以外の選択肢としておすすめです(写真提供:カーセンサー)■カッコいい車に乗りたい親御さんにおすすめの車種(リセールを考えない場合)・ エリシオン(ホンダ)・アウトランダー(三菱)アルファードやヴェルファイアの競合としてつくられていたホンダの上位ミニバンであるエリシオンは、現在は終売しているため中古車でのみ購入可能な車種で、その分非常に価格を抑えて入手できるという特徴があるそうです。SUVで選ぶなら、アウトランダーのガソリン車を挙げてくれました。最新世代のアウトランダーはPHEVのみであるため、2012年から21年まで発売されていたガソリン車を探してください。「型落ち」にはなりますが、その分中古車でお得に購入することが出来るのだそう。■運転のしやすさ、こだわりの車種がある方にお勧めの車ほかにも、こんな選び方もあるというアドバイスをいただきました。あくまで一例ですが、参考までにご覧ください。定番人気の日産エルグランド。3列目を倒して荷物をたくさん積むこともできます(写真提供:カーセンサー)・日産車が好き!→エルグランド(日産)ファンの多い日産車で探すならエルグランドを。価格やリセールバリューは、上記の車種のちょうど中間とのこと。ただし3列目を倒して荷物を積む場合は5人乗りになるので、練習や試合の送迎でチームメイトも載せることが多いなど乗車人数にこだわる場合は注意したほうが良いそうです。・コンパクトカーに慣れている女性でも運転しやすい→オデッセイ(ホンダ)「大きな車は運転するのが怖い」という女性は多いものです。実際にはミニバンなど車高がある車は見通しが良くかえって運転しやすいという人もいますので、まずは「大きい=運転しにくい」という概念を払しょくすることが第一ですが、あえて選ぶならオデッセイがおすすめだそう。着座位置が低く、比較的小回りもききやすいため、今まではセダンやコンパクトカーに乗っていた人でも「運転しやすい」という声があるそうです。荷物も十分載せられるので、サッカーをする子がいるご家庭にはおすすめの車種になります。・維持コストを抑えたい→ソリオ(スズキ)、N-BOX(ホンダ)維持コストを抑えたい場合は、やはりコンパクトカーや軽自動車が選択肢になるとのこと。最近では荷室の積載量が多いものが多数あり、中でもスズキの「ソリオ」やホンダの「N-BOX」はどちらも車高が高いので、「縦に詰める荷物」であればかなりの容量を積むことができると教えてくれました。乗せる人数や荷物の量を考えるとこのサイズで十分なご家庭もあるでしょう。■あえてミニバンやワゴンを楽しむという考え方もところで、「バンライフ」という言葉をご存じですか?西村さんによると、バンライフは荷室の広いバンを自分たち仕様にカスタマイズし、車中泊やワーケーションなどで車内で過ごす時間を楽しむアメリカ発のライフスタイルとのこと。キャンピングカーとして完全にカスタムして使う人もいるそうですが、デイリーユースに使いやすいミニバンや軽自動車で楽しむ派も増えており、アウトドア好きの間で日本でもブームになっているのだそう。人気が高まるにつれ、ハイエースをはじめとするバン、ミニバンの需要も伸びてきているのだとか。SNSなどで検索してみると、とてもおしゃれな「バンライフ」を楽しんでいる方が多数います。そのような姿を見ると、「ミニバンは嫌」と思っていた方も考えが変わるかもしれません。選ぶ車のボディタイプとしてミニバンが有力候補になるご家庭は多いことでしょう。そのときに好みの問題でミニバンを避けたくなったらぜひ思い出してください。■家族の思い出を作る1台、大きな買い物だから納得の選び方をサッカーファミリーに限らず、車という大きな買い物をする際には「欲しい」と「必要」の間で優先順位を決めることが第一です。逆の言い方をすると「何をあきらめるか」を決めること。とはいえ、「あきらめる」をポジティブに変換し、「シートで内装のカスタマイズをアウトドア仕様なおしゃれなものにしよう」「ミニバンを楽しむライフスタイルを充実させよう」などといった考え方にすることで、より充実したカーライフが送れるかもしれません。これから選ぶ車は、サッカーをするわが子と過ごす、長いようで短い数年間の家族の思い出をつくってくれるでしょう。納得の1台に出あえますように。
2022年04月14日アルビレックス新潟からドイツに渡り、ハンブルガーSVではキャプテンも務めた、酒井高徳選手。帰国後はヴィッセル神戸の主力としてプレーし、昨シーズンは全試合に出場した。現在、なでしこジャパンのフィジカルコーチとして活躍する大塚慶輔氏は、酒井選手がアルビレックス新潟ユース時代からの付き合いで、パーソナルコーチとして10年以上、サポートを続けている。先頃、大塚氏が代表を務める株式会社ライフパフォーマンスと一般社団法人日本アスリートフード協会が、『スポーツコンディショニング推進委員会』を設立した。両社が長年培ったコンディションサポートの知見を活かし、10代を始めとするジュニア・アスリートのパフォーマンスを高めることを目的とした『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』を開講する運びとなった。そこで今回は酒井選手と大塚氏に「サッカーに必要なコンディショニング」について、理論と実際の取り組みを話してもらった。(取材・構成鈴木智之)【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>■スパイクを履かずに試合に出るようなもの――これまでコンディショニングについて話をうかがってきましたが、改めて、ライフスタイルや日々の生活習慣がプレーに及ぼす影響について、どう感じていますか?酒井:サッカー選手である以上、意識を向けなくてはならない部分だと思っています。大袈裟な言い方をすると、コンディションに目を向けないことは、スパイクを履かずに試合に出るようなことかなと。スパイクを履かなければサッカーができないように、コンディションが整わなければプレーができない。そう思っています。僕の場合、それをアルビレックス新潟ユースの頃に気づくことができたので、本当に良かったですし、いまの自分に繋がっていると思います。大塚:高徳選手とはユース時代からの付き合いですが、クラブチームの練習は開始時間が遅く、遠方から通っている選手は練習後、家に帰ると11時、12時になってしまい、寝るのが遅くなります。移動時間が長い、睡眠時間が少ないと消化機能が低下する選手が出るなどの弊害がありました。そこでどうすればいいのかというのは、過去の経験から導き出した答えがあるので『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』の中で話をさせてもらっています。高徳選手が言ったように、コンディショニングはすごく大切で、とくにジュニアアスリートの子達は、サッカー選手としてだけでなく、成長する上でも欠かすことができないことだと思います。酒井:自分自身、ユースのときに初めて、サッカーに対してしっかり向き合うことをしてきました。そこで自分が人間としてどうあるべきか、サッカー選手としてどのような取り組みをするべきかを学びました。トップに上がって、初めてあれもこれも教わるのではなく、プロとして必要な要素をユースの3年間で身につけてきたから、トップに昇格して、すぐに試合に出ることができました。もしそれを小学生の時からしていたら、より良い選手になれていたかもしれませんね。■早寝早起き、朝ごはん――小学生の子どもに向けて、日常生活の過ごし方のアドバイスはありますか?酒井:小学生が一番簡単にできるのは、早寝早起きだと思います。自分の生活リズムを作ることで、日常が変わってきます。早く起きると、勉強やサッカーの自主練をする時間もできますし、早く起きるために、前日は早く寝なければいけませんよね。自己管理にもつながりますし、「今日は21時に寝ないといけないから、宿題を30分で終わらせよう」のように、計画することができます。時間を意識して生活をする習慣をつけるのはいいことだと思うので、ぜひやってほしいです。大塚:追加でアドバイスをすると、早寝早起きにプラスして、朝ごはんをしっかり食べてほしいです。朝寝坊をするとご飯を食べられなくなったり、食事の質が落ちます。食事の質が下がると低体温や基礎代謝の低下が起き、学力に影響するというデータがあります。早寝早起き、朝ご飯のリズムをいかに作るか。それを保護者に言われてやるのではなく、自分でマネジメントしてほしいなと思います。酒井:いまの子どもたちは幸せですよね。僕が20歳の頃に知り得たことを、10歳、11歳で知って体現することができるわけですから。僕よりも10年早く、サッカー選手として向上するための知識を持って取り組むことができるのは、宝物だと思います。それもすべて、いろいろな経験をしてきた先輩たちが、情報をアップデートしてくれているからこそだと思います。僕もその中のひとりとして、子どもたちが自律した人間、自律したサッカー選手になるために、たくさんのことを伝えていけたらと思っています。大塚:コンディションという言葉は、プロスポーツ界で市民権を得てきました。ですが、子どもたちを含む、育成年代の選手たちにまだまだ足りない部分だと感じているので、保護者の方を通じて伝えていきたいです。たとえば睡眠時間にしても、8時間以下の選手は、8時間以上の選手に比べて怪我のリスクが高いというデータがあります。睡眠時間の確保に目を向けて、より良い生活習慣を作ることは、子どもだけでは難しいので、保護者の方にサポートしていただけたらと思っています。【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>■日本サッカーの明るい未来へ――酒井選手、最後に子どもたちと保護者に向けて、メッセージをお願いします。酒井:僕は子どもの頃、親に送り迎えをしてもらったり、遅い時間に帰ってきてもご飯を作ってくれたり、道具の管理をしてくれたりと、サッカーをするにあたってたくさんのサポートをしてもらいました。それもあって、親に恩返しがしたい、絶対にプロになるんだという気持ちを持つことができました。サッカーができることが当たり前ではないと、小さい頃から感じていたので、両親にはすごく感謝しています。早いうちから自律を目指し、生活習慣に目を向けることは、人としての成長も促してくれると思います。また、小学生の頃からコンディショニングに意識を向けて、保護者の方もサポートするケースが増えることで、日本サッカーの明るい未来に繋がっていくのではないかと思っています。ぜひこの記事を読んだ方は、自分を変える良いきっかけとして、チャレンジしてみてほしいです。僕自身、早いうちからコンディショニングに目を向けて、取り組み続けてきたからこそ、海外でもプレーすることができました。やってきてよかったと感じているので、同じ気持ちの人が増えてほしいし、いろいろな可能性を開いて、活躍してほしいと願っています。最後になりますが、僕としては、できるだけ長くいいパフォーマンスを発揮することが、ここで話したことのリアリティに繋がると思うので、最後まで全力で駆け抜けたいです。自分のプレーを見て、サッカーをやりたい、ああいう選手になりたいと思ってくれる選手もいると思うので、お手本になれるような振る舞いをしていきたいです。【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>
2022年04月14日息子のサッカーの成長が停滞。以前はエースだったのに、今はがつがつボールに向かわず周りを見る姿勢に。積極性がないと思われているのか、レギュラーを外されることも。中間子で空気を読むのが上手な子ではあるけど、サッカーの技術を磨いてもメンタルが向いてないとレギュラーになれないの?親としてどうサポートすればいい?と悩むお母さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんがお母さんにアドバイスを送ります。どうして子どもにサッカーをさせているのか、今一度考える機会になるのでぜひ参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<やらないなら出て行けと5歳児に言うコーチに腹が立ちます問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。 この2年ほどずっと息子のサッカーが前に進まない感じなのでご相談させてください。子どもは幼稚園からサッカーをはじめ、1年生まではエース級でした。しかし、2年生くらいからがつがつボールに向かって行くというよりは周りを見るようになり、どちらかというと仲間がボールを持っているなら自分は見守るという姿勢に変わりました。仲間にぐいぐい行く子がいないときには自分が行くし、ポジションがフォワードになれば点も決めるのですが、コーチには積極性がないと思われているのか、最近ではレギュラーから外されることも出てきました。いくら技術を磨いても、メンタルもサッカー向きにしていかないとレギュラーにはなれないということなのでしょうか。相談の子は3人兄弟の真ん中ということもあり、空気を読むのが1番上手だと思います。性格の問題なので、自分がその評価を悔しいと思うなら自ら変わるのを見守るべきなのか、親として何かできることはあるのか、悶々とする日々です。<島沢さんからの回答>ご相談ありがとうございます。子どもが試合に出られないと、親はつらいですね。中学、高校では競争が生まれてきますが、小学生時代は楽しくサッカーをやって欲しいものです。「親として何かできることはあるのか?」と質問されていますが、これが「息子がレギュラーに返り咲くために、親にできることは何か?」と尋ねられているのでしょうか?であれば、特に何もないと答えるしかありません。親の対応によってレギュラーになれるわけではないからです。■周りを見れるということは、サッカーを正しく認識しているお母さんは、お子さんがレギュラーになれないのは「性格の問題」とおっしゃっていますが、お子さんの性格には何の問題もなさそうです。そのあたりはご相談文だけではジャッジできかねますが、私にはこれから楽しみな子に見えます。がつがつボールに向かって行くというより周りを見るようになったのは、とてもいいことです。低学年はボール目指してワッと集まりがちですが、「仲間がボールを持っているなら自分は見守るという姿勢」があるのはサッカーというスポーツに対する認識が正しい方向に進んでいる証のように見えます。みんながボールに集まるのではなく、広がって、スペースをつくることがサッカーでは重要だからです。母さんが書かれているように「仲間にぐいぐい行く子がいないときには自分が行くし、ポジションがフォワードになれば点も決める」のなら、何の問題もないでしょう。逆にうまく成長している気さえします。がつがつと自分でドリブルばかりしている子を起用するコーチばかりであれば、そのチームはもしかしたら試合や大会に勝ちたいだけなのかもしれません。しかし、高学年になるにつれて、ひとりでがつがつドリブルでいっても崩せなくなります。チームのためにバランスをとろうとしている息子さんをぜひ認めてあげてください。間違っても「がつがつ行かないとレギュラーになれないよ」などと言ってはいけません。■何のためにサッカーをさせているのか、いま一度考えてみようそもそもお母さんは、息子さんに何のためにサッカーをやらせていますか?なぜ応援しているのでしょうか?そこをまず考えてみましょう。私は、小学生時代はやっているスポーツの面白さや楽しさを味わうのが一番重要だと考えます。レギュラーになることよりも、子どもがサッカーを楽しむために親がどう寄り添えばよいか。それについて三つほどアドバイスさせてください。■アドバイス(1)親が気にしすぎたり焦らないことひとつめ。サッカーの育成や技術の習得について、お母さんがどの程度知識をお持ちかはわかりませんが、「サッカーをするのは息子である」ということを意識してみましょう。例えば、息子さんが「一年生まではエース級」だったのに、今はレギュラーから外されていることをお母さんは気に病んでいらっしゃいます。私への質問が、技術があってもメンタルがサッカー向きでないとレギュラーになれないのか?と焦りが見られます。お母さんが気に病んだり、焦ってしまうと、息子さんにとって逆効果です。■アドバイス(2)子どものサッカーに入れ込みすぎない「試合に出ないと応援してもらえない」と、強いストレスを与えることになります。親御さんのなかには、「試合に出られないのならやめてしまえ」などと抑圧して子どもが発奮するのを待つとおっしゃる方もいますが、間違ったやり方です。実は、わが子が試合に出られない状況に親のほうが耐えられないだけです。そのため八つ当たりしているように見えます。そうならないためには、親が子どものサッカーに入れ込み過ぎないこと。これがふたつめです。応援するのは悪いことではありませんが、彼のサッカーをみる視点を変えてください。勝ったか負けたかを一緒に喜んだり、悔しがったりしてもよいのですが、どこか冷静さを保ってください。■アドバイス(3)現状を悩みそうになったら「子どもには未来がある」と思い出してそこで三つめ。冷静さを保つには、どんなマインドセット(心の持ち方)にすればよいのでしょうか。現状をあれこれと思い悩みそうになったときは、子どもには未来があることを逐一思い出してください。競技は違いますが、メジャーリーグで奮闘している大谷翔平選手は最近流れているCMでこう言ってます。「そのとき上手くないってことは、それほど大事なことではなくて、その先どれだけ上手くなるか。いまだに僕はピークではないですし。今負けていたとしても、これから先勝っていけばいいことです」今ではない、これから先にどう成長していくか。それが大切だと考えたら、小学生の今、レギュラーでないとか、そんなことが些末なことに思えてくるはずです。■答えを親が出してはいけない(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以上三つのことが理解していただけたら、その次は息子さんの話をじっくり聞いてあげてください。レギュラーになれなくてつらいのか。試合に出られなくてもサッカーが楽しいのか、そうじゃないのか。その際、どうすればいいかといった答えを、お母さんが出してはいけません。悩むのは親ではありません。子どもに悩んでもらうこと。悩んで、自分なりに答えを出して、動き出す。それが成長というものです。そのプロセスを決して邪魔せず、見守りましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2022年04月13日冬晴れの1月に東京都江東区で中村憲剛さんのサッカー教室が行われました。子どもたち向けのサッカー教室と保護者向けのトークイベントが行われたこの企画。今回はサッカー教室の様子をレポートします。■小学生30人を対象にサッカー教室を実施よく晴れたフットサルコートに、小学生30名が集合しました。メインコーチを務めるのが中村憲剛さん。現役時代は川崎フロンターレの中心選手として活躍し、引退後は若手選手の指導やサッカー解説などを務め、人気を集めています。さらにはMCとして、名古屋グランパスや川崎フロンターレで活躍した中西哲生さんが参加。憲剛さんの指導内容に合わせて解説するなど、トレーニングを盛り上げていきました。■「正確に止めて蹴る」を実行するにあたり最も大切なもの最初のトレーニングは「2人組での対面パス」。パス&コントロールは、憲剛さんのプレーの代名詞「正確に止めて蹴る」を実行するにあたり、もっとも大切なものです。憲剛さんは子どもたちのプレーを見ながら「棒立ちではなく、ステップを踏みながらやろう」「足のインサイドを使い、体の前でボールを止めよう」と実演を交えながら、わかりやすく伝えていきます。続いて、憲剛さんは「さっき言ったことを意識しながらやったら、すごくサッカーっぽくなった。次はパススピードを意識しよう」と実演。転がってきたボールを両足でピタッと止める姿は、現役時代さながらです。憲剛さんのアドバイスによって、子どもたちの動きがどんどん変わっていきます。それを見て「良くなったよ。パススピードが上がったね!」などの声をかけながら、子どもたちの間を巡回していきます。■1つ1つのプレーにこだわる大切さを伝えた2つ目のトレーニングでは、4人の中心に1人の選手が入り、前後左右からのパスをコントロールして、横の選手にパスを出す動きを繰り返していきます。憲剛さんは「意識することはなんだろう?思い出してみよう」と投げかけると、子どもたちから「足踏み、インサイドにボールを当てる、体の前で止める」などの返事がかえってきます。憲剛さんは「そうだね。それを忘れると、せっかくいいトレーニングをしたのにもったいない。意識してやってみよう」と、1つ1つのプレーにこだわることの大切さを伝えていました。さらには、子どもたちのプレーを見ながら「ミスは問題ないよ」「慌てないで」など、プレーの後押しをする声をかける姿が印象的でした。■中西さん、憲剛さんともに短時間での成長に驚いた中西さんからは「この後にする、ゲームを想定しながらやろう」とアドバイスが送られ、ふたりとも、プレーを見ながら「良くなったね!」と短時間の成長に驚いていました。その後の「3対1のボール回し」では、憲剛さんがディフェンス役になり、子どもたちのプレーとシンクロしながら「遠い足で止める」「左足に出せるよ」「一回でボール止めれば、相手を見れるよ」など、一緒にプレーしながら声をかけていきます。そして「さっき言ったことを意識してやったら、パスは回った?」と質問。子どもたちからは「パススピードが早くなった」などの反応がかえってきます。それを受けて、憲剛さんは「さっき言ったことを意識してやるとボールは回る。ボールを持っている人の技術も大事だけど、ボールを持っていない選手のポジションも大事。試合と同じだからね」と語りかけていました。■「大事なのは自分の考えたことを積極的にやること」憲剛さんからのアドバイス最後のゲームでは、中西さんも飛び入り参加し、場を盛り上げます。中村さんは「ここまでやったことを全部意識しよう。ゲームには全部が詰まっている。みんな、頭の中を整理できたと思うから、ゲームで出そう。失敗してもいいよ。大事なのは、自分の考えたことを積極的にやること」と、子どもたちの背中を押していきます。憲剛さん、中西さんともに、子どもたちと一緒にプレーし、アドバイスを送りながら、楽しそうにボールを蹴っていました。そして、1時間におよぶトレーニングは終了。最後に中村さんは子どもたちに向けて、次のようなメッセージを送っていました。「短い時間だけど、積極的にやってくれたことに感謝しています。今後、みんなが試合を楽しむために必要なことを教えたので、ここで終わりにせず、常に意識してもらえたらと思います。また会えることを楽しみにしています!」■「憲剛さんからパスをもらえてうれしかった」子どもたちも大満足イベント終了後、子どもたちに感想をうかがいました。「中村憲剛さんのパスの一つ一つがすごくて、教え方もわかりやすかった。憲剛さんからパスをもらえたのがうれしかったし、みんな仲良くしてくれてよかった」(リュウジくん/小6)「中村憲剛さんから『ナイス!』と言ってもらえたのがうれしかった。パスをするときに、意識することを知ることができたのでよかった。憲剛さんはあこがれの人なので、会えてうれしい」(イオリくん/小5)子どもたちは、あこがれの中村さんと一緒にボールを蹴ることができて、ユニフォームにサインをもらうなど、かけがえのない思い出になったようでした。
2022年04月13日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が悩む「後ろに下がりながらボールをコントロールするのが苦手」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は常に動きながらボールをコントロールしたり、ドリブルやパスをします。前方向に動くだけでなく、ボールを取られないよう後ろに下がりながらパスを受けることも。しかし、そもそも前方向に動くより後ろに動くこと自体が日常の中では多くなく、バックステップで下がりながらのコントロールは初心者には難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で相手にとられないよう後ろに下がりながら自分が思った通りにボールをコントロールできるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親子で対面して、親がボールを持って立つ2.親が転がしたボールを子どもはバックステップで下がりながらインサイドでコントロール3.慣れてきたら親がDF役になってボールを取りに行き、子どもはドリブルでそれを交わす【トレーニングのポイント】・後ろに下がりながらしっかりボールを見る・ボールの中心をインサイドでとらえる・まずは足元に止めることを意識・止め方が強いと次のプレーにスムーズに繋げられないので、自分のイメージしている強さ、スピードでコントロールする感覚を覚える・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月12日アルビレックス新潟からドイツに渡り、ハンブルガーSVではキャプテンも務めた、酒井高徳選手。帰国後はヴィッセル神戸の主力としてプレーし、昨シーズンは全試合に出場した。現在、なでしこジャパンフィジカルコーチとして活躍する大塚慶輔氏は、酒井選手がアルビレックス新潟ユース時代からの付き合いで、パーソナルコーチとして10年以上、サポートを続けている。先頃、大塚氏が代表を務める株式会社ライフパフォーマンスと一般社団法人日本アスリートフード協会が、『スポーツコンディショニング推進委員会』を設立した。両社が長年培ったコンディションサポートの知見を活かし、10代を始めとするジュニア・アスリートのパフォーマンスを高めることを目的とした『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』を開講する運びとなった。そこで今回は酒井高徳選手と大塚氏に「サッカーに必要なコンディショニング」について、理論と実際の取り組みを話してもらった。(取材・構成鈴木智之)【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>■年代別代表で芽生えた想い――酒井選手は子どもの頃から「絶対にプロになるんだ!」と強い気持ちを秘めていたそうですが、その背景にはどのようなことがあったのでしょうか?酒井:一番は、プロになって親に恩返ししたいという想いです。当時から、プロになる以外の選択肢は自分にはないと思っていました。もうひとつは、年代別の日本代表を経験させてもらって、海外の選手と対峙できたことです。当時から、「早くこっち側(海外)の人たちとサッカーがしたい」と思ったんです。アルビレックス新潟ユースの先輩の中にも、年代別代表を経験した人がいたので、その人たちに近づかなければ同じステージには立てないんだなと思って、日々を過ごしていました。大塚:対談の1回目でも話したけど、当時から、その覚悟はすごいものがあったよね。酒井:年代別代表に選ばれたときに、「どうすれば海外の選手たちに勝てるんだろう」と感じて、日本に戻ってきてトレーニングをして、また海外に行くことを繰り返していました。その過程で、自分の基準が少しずつ上っていきました。高校生のときから危機感を持って、高い目標を持てたのは良かったと思います。大塚:高徳選手の言う通りで、「三つ子の魂、百まで」ではないですが、プロになる前に、自分に何が必要なのか、何が大事なんだということを、選手自身が学ぶ必要がありますし、それがあるからこそ上を目指すことができるんだと思います。【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>■戦うことの重要性――アルビレックス新潟ユースからトップチームに昇格し、21歳でドイツに行くわけですが、フィジカル面も含めて、最初から通用した手応えはありましたか?酒井:僕以外に、海外でプレーする日本の選手の発言を聞いても、「やっぱりそうだよね」と感じるぐらい、日本人のテクニック、技術面は通用するんです。でも、技術的に上手い選手は世界にゴロゴロいるわけで、ドイツはとくにそうなんですけど「戦う」ことがすごく大切で、インテンシティをどれだけ出せるかが重要視されます。インテンシティを体現することの重要性を、ドイツに行った当初はわからなくて「自分の方がうまいじゃん。全然通用するな」と思っていたのですが、いざ試合に出ると発揮できませんでしたね。大塚:ドイツに行った頃は、よくそういう話をしていたよね。「練習では通用すると思っていたことが、試合では通用しなかった」って。酒井:違いを感じたのがフィジカル面で、Jリーグにいた頃はフィジカルが強い方だと思っていたんです。だからドイツでもやれるだろうと思っていたのですが、いざプレーしてみると、子どものように扱われました。腕一本で体を抑えられて「クソっ」と思いながらボールを奪いに行ってもびくともしない。単純にアスリートとしての能力に雲泥の差があるんだなって、ドイツに行って痛感しましたね。大塚:高徳選手がすごいのは、そこで逃げずに、課題に立ち向かってクリアしたこと。最初は足りなかったけど、しっかり取り組んで体を作っていけば、ブンデスリーガで長い間、主力としてプレーできるんだと証明できたのは、僕の中でもすごく大きな出来事でした。■自己主張や自己判断の力をつける――今回『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』を開講しましたが、ジュニアのときから良い習慣をつけて、良い取り組みをすることの大切さはどう感じていますか?大塚:世の中にたくさんの情報がある中で、どれが自分の子どもにとって必要なのか。正しい知識はどれなのかと、精査できない人が大半だと思います。その方々に向けて、高徳選手を始め、長年トップアスリートをサポートしてきた実績から導き出した、正しい情報をお伝えしたいです。情報を得ることで、親子間でコミュニケーションが生まれますよね。僕は子どもたちを指導するときに「習ったことを、自分の口で保護者に伝えよう」と言っています。食事についても、選手から保護者に話をして「こういう理由で、こういうものを食べたいから、こういうものを作ってほしい」と、家族間で積極的にコミュニケーションをとってもらえたらと思っています。酒井:自己主張や自己判断力を、子どもの頃から身につけるのはすごく大事なことですよね。自分のことを管理できる人はステータスの高い人間だと、僕はいまになって思います。それを早くから学ぶことができるのは、素晴らしいことですよね。大塚:自己管理の話でいうと、高徳選手は「自分のコンディションやパフォーマンス向上のために、お金と時間を使う選手がすごく少ない」と言っているよね。それは自己投資の大切さや方法を知らないからであって、子どもの頃から、プロになって、長く活躍するために当たり前のことなんだと理解していれば、コンディションやパフォーマンスに対して、より真摯に向き合う人が増えると思っています。酒井:ドイツにいた頃は、体をケアする器具を買ったり、練習以外の時間でスポーツジムに行ったりと、時間とお金を費やす選手をたくさん見てきました。サッカー選手ができることって、時間とお金を犠牲にして、自分のパフォーマンスを上げることしかないわけです。楽をしようと思えばいくらでもできるのですが、そうせずに自己投資をして、パフォーマンスアップに取り組む選手が多く、その結果、大成した選手をたくさん見てきました。自分の経験を振り返ってもそう感じているので、目標を達成するために、お金や時間をある程度費やすのは、必要なことだと思います。■トップアスリートのコンディショニングをすべての人に――酒井選手も高校時代のベース作りがあったからこそ、プロ入り後、すぐに活躍できたわけですよね。酒井:そのとおりで、高校3年間は自分が選手として大きくなった時期です。その体験がなければ、いまの自分はないと断言できます。大塚:プロ選手の成果は、ピッチでベストのパフォーマンスを発揮することです。子どもたちの成果は、試合に勝つ、大会で優勝する、プロになることではなく「自律すること」だと思ってます。サッカーやスポーツを通して、目標のために自分を律して、目標達成を目指して取り組む過程が大切で、自律を促すきっかけのひとつとして、生活習慣やコンディショニングに目を向けてもらえたらと思っています。酒井:たしかに、そうですね。大塚:僕らのビジョンに『トップアスリートのコンディショニングをすべての人に』があります。今回の『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』を通して、高徳選手とともに、長年かけて研ぎ澄ませたエッセンスを伝えられたらと思っています。そうすることで子どもたちも、高徳選手と同じベクトルでプロサッカー選手を目指してるんだ、繋がっているんだと感じることができると思うので、保護者の方々に正しい情報を啓蒙していきたいです。<第3回に続く>【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>
2022年04月12日2020年度の高校サッカー選手権大会で山梨学院高校を日本一に導き、前任の神奈川大学では日本代表のMF伊東純也選手(KRCヘンク)らを飛躍に導いたのが、長谷川大さんです。指導者としてのキャリアをスタートさせた秋田商業高校での監督時代は、「社会よりも厳しい状況をあえて作り出し、社会に出た時に厳しいと思わせないようにしたいと考えていました」と振り返りますが、以降は自主性を育むため、選手が考え、判断する指導を重視するようになりました。今回は指導者としての転機となった神奈川大での指導についてお聞きしました。(取材・文:森田将義写真提供:長谷川大監督)2020年の高校サッカー選手権で優勝した山梨学院高校サッカー部でも選手たちとの対話を大事にしていた<<前編:元山梨学院サッカー部・長谷川大監督が育成年代で大事にする「再現性」を生む指導とは■環境が変わったタイミングは、自分を変えるチャンス母校でもある秋田商からの転勤を言い渡されたのを機に、新たなチャレンジを決めた長谷川さん。声を掛けてくれたのは、関東2部リーグに所属していた神奈川大でした。「当時は秋田商業で選手、監督、先生をやっているから長谷川大があると思われていた。秋田商業では上手く行っていても、他に行ったら同じ指導は出来ないと思われていたと思います。ですから、自分が他のチームに行った際も、そこにある文化に応じて自分はこういう事もできるんだと示したかった。大学に行くからには、真に新しいチャレンジをしたかったんです」。そのため「俺はずっとこうやって指導してきた」、「俺の考えはこうだから、生徒もこうしろ」といった上から目線での押し付けた指導ではなく、選手一人ひとりがどんな背景を持って、大学に進んだのか、どんな想いを持って今ここにいるのかを知る所からスタートしました。同じ環境に身を置いていると何かを変えるには勇気がいりますが、環境が変わったタイミングは何かを変えるチャンス。長谷川さんを新監督に迎えた神奈川大の選手にとっても、立場や見られ方を大きく変えるチャンスでもありました。神奈川大に就任した当初は、周囲から「厳しい人が来るぞ」と伝えられていたため、緊張する選手も多かったのですが、時間が経って打ち解けていくと「大さんは怖い人じゃなかったですね」と笑顔で言われるまで距離が近付いていきました。就任した2014年は、現在はV・ファーレン長崎に所属するMF奥田晃也選手が2年生でした。長谷川さんが「今まで見てきた中で、サッカーセンスはトップクラス」と評する程の素質がありながら、自らが理想とするプレー像に拘り過ぎ、スタッフからは「アイツは一生懸命やらないから、ダメ。使えない」と評価されていました。認められるような評価を受けられないと感じていた奥田選手は、3年生になるタイミングで「このまま続けても仕方ないので、サッカー部を辞めます」と長谷川さんに伝えてきたそうです。奥田選手に、チャンスは誰にでもあるというのをもう一度分かって欲しかった長谷川さんはコーチと話して、「もう1回、チャンスを与えても良いかな?」と思えるように促しました。奥田選手ともサッカーだけでなく、プレー以外の事までたくさん話し、持っている可能性に気付かせ、ピッチで強みとして発揮できるよう導きました。最終的にはチームの中心選手へと変貌し、プロ入りを掴むまでになりました。■エネルギーの方向を変えるのが、指導者の役割奥田選手のようなケースは、どのカテゴリーでも珍しくありません。その理由について、長谷川さんはこう話します。「サッカーで力を発揮できない選手は、指導者に『お前は、もういいよ』と言われて、『それなら僕も、もう良いですよ』と拗ねているのがほとんど。ちゃんとプレーした上で、ダメだったと受け入れられる心理状態ではない。活躍している選手と同じ土俵で見られていると感じられないのです」。奥田選手に、チャンスは誰にでもあるというのをもう一度分かって欲しかった長谷川さんはコーチと話して、「もう1回、チャンスを与えても良いかな?」と思えるように促しました。奥田選手ともサッカーだけでなく、プレー以外の事までたくさん話し、持っている強みをピッチで発揮できるよう導きました。最終的にはチームの中心選手へと変貌し、プロ入りを掴むまでになりました。ヤンチャと言われる選手、手がかかる選手に対する対応も同じです。押さえつけたり、除外するのは簡単かもしれませんが、長谷川さんはこう話します。「教育的な立場に関わっている人間は、まずは一人ひとりの個性や強みを認めてあげる事。エレルギーの強い子に対して、『アイツは言う事を聞かない』、『アイツはダメだな』と思ったら、ずっと印象が変わらないままの指導者も多いけど、僕はそうした子どもの方が、きっかけ一つで社会に貢献できる人間になれる気がします。何かを成し得る人は、周りが感じるくらいの大きなエネルギーを持っている。そのエネルギーを押さえつけて消すのではなく、『エネルギーを違う方向に出してみたらどうだろう?』と思わせるのが、教育現場や育成年代の指導者に必要だと思います」。こうして個に応じた対話を重ねるようになったのは、大学生を教えるようになってからの長谷川さんの変化です。■選手自らが考えるのは、一番厳しい選手一人ひとりを見て強みを認め、伸ばす指導をモットーにしている長谷川監督声掛けの内容も意識するようになったと言います。以前は思い通りにプレーできない選手を見ると「お前は難しいな、ダメだ」と厳しい言葉をかけていましたが、そうした言葉をかけると選手は聞く耳を持たなくなってしまうためです。「育成年代で『お前は、もういいよ』と言われている選手は、強みよりも弱みをフォーカスされているから。守備ができない、走れない、戦えない、言う事を聞かないとか。でも、その選手が持っている人としての強みをまず認めて、強みを伸ばすために努力していくように導くのが大切なんです」まずは選手がピッチで長所を発揮できた際に「ナイスプレー」と声をかける事で、長所が強みとなれるよう更に磨いていこうと指導しました。しばらく選手を観察した上で、「ここも良くした方が更に良いんじゃない?」、「ここが解消されたら、お前の強みがもっと伸びる」といったアプローチをして、選手に自身の強みと弱みを理解させ、考えさせました。画一的だった秋田商業時代とは比べると選手へのアプローチは優しくなりましたが、選手が誰かを傷つけたり、迷惑をかけたりした際は厳しく接する事も忘れていません。「厳しい指導と選手の主体性を育む指導は、両極端にあると考えがちですが、どちらかではなく両方が大事」と話す長谷川さんは、「自分で考えることが、選手にとって一番厳しいと思う」と続けます。高校、大学と違うカテゴリーを経験したからこそたどり着いた長谷川さんの考えや指導法は、サカイクの読者であるジュニア年代の指導者や親御さんにも役立つヒントがあるのではないでしょうか。
2022年04月11日サッカーをするお子さんを持つ保護者、そして子どもたちが参加したサッカー教室イベント。第一部は名古屋グランパスや川崎フロンターレで活躍した中西哲生さんの司会による、中村憲剛さんのトークセッションが行われました。テーマは「サッカーをする子どもとの関わり方」。貴重な内容の一部を紹介します。■親は子どもの鏡指導者へのネガティブ発言は子どもにも移る憲剛さん自身、サッカーをする子を持つパパということで、サッカー選手・指導者の視点に加え、父親の立場からも話してくれました。まず、中西さんから「保護者の態度が、子どもに影響を及ぼすと思いますか?」という質問に対しては、「それは間違いないですね。親は子どもの鏡だと思います」と即答。「親が監督・コーチに対してネガティブなことを言うと、自然と子どももそうなってしまいがちです。なので、僕はネガティブな事はなるべく言わないようにしています」とスタンスを述べます。■ポジティブな声掛けの重要性お子さんが小学生の頃は「試合を見ながら、チームメイトの良いプレーを積極的に褒めていた」そうで、「そうすると、それが他の保護者にも伝わって、みんなで子どもたちの成長を見守ろうという雰囲気になっていくんですよね」と、ポジティブな声掛けの大切さを話します。中西さんからは「科学的にも、人間はネガティブなことを言うと、通常の3倍定着しやすいそうです」という話があり、「それもあって、僕が選手を指導するときには、ネガティブなことは一切言いません」と実体験を教えてくれました。「つまり、うまくいったことを定着させようと思ったら、ネガティブなことの3倍言わないといけないわけです。そのため、良かったことは何度も言います」と、ポジティブな声掛けの重要性を強調します。参加者のみなさんにも「このことを覚えておくと、子どもに対してネガティブなことを言おうとしたときに、踏みとどまることができると思います」とアドバイス。憲剛さんも「普段の3倍、褒めることを心がけましょう」と同調していました。■子どもが何考えているか聞きたいから「問いかけ」をする中村家では、お子さんに問いかけをよくするそうで、その理由を「子どもが何を考えているか、頭の中を覗きたいんです」と話します。「うまくいったプレーがあったとして、なんでうまくいったのか。それを子ども自身の言葉で聞きたいんです。子どもって、僕ら大人が思っているよりも想像性が豊かです。小学校高学年になると、会話ができてくるので、僕にとって楽しい時間です」現役引退後、時間をみつけては、お子さんのサッカーを見に行くという中村さん。試合を見ていて、プレーについて言いたくなることはあるそうですが、そこはぐっと我慢。ただし、お子さんが「あること」をしないときは、強くたしなめるそうです。「これは妻とも共有しているのですが、子どものプレーを見ていて、チームのために走らない、自分がボールを取られても奪い返さないなど、チームのために頑張ることができなかったときは注意しています」シュートを打つ、パスを出すといったプレーの向上にはトレーニングが必要ですが、チームのために頑張ることは、意識の持ち方ひとつで、すぐに実行に移すことができます。「頑張ることは、意識次第ですぐにできるようになるので、小学3年生ごろから言っていました。『自分が守備の選手だったとして、前の選手がボールを奪われたのに、取り返しに行かなかったらどう思う?』という話はよくしました」そのような対話を続けることで、お子さんのプレーは変わっていき、いまでは「行きすぎじゃない?(笑)」というほどハードワークするようになったそうです。■「怒られなかった育成年代」がプロでのプレーにいい影響を与えた中西さんは、現役時代にともにプレーした、ストイコビッチ選手とのエピソードを教えてくれました。「ストイコビッチ選手は、子どもの頃から、A、B、Cと3つのパスの選択肢を持っていたそうです。子どもの頃はパワーがなくて、パスが通らなかったこともあったけど、当時の指導者から『体が大きくなれば、そのパスは通るようになる。アイデアを持ち続けてプレーしてほしい』と言われたそうです」創造性あふれるプレーで、世界中のサポーターを魅了したストイコビッチ選手。憲剛さんは「僕にとっても、あこがれの選手のひとりでした」と話し、自身の子ども時代のエピソードを語ります。「僕が小学生時代に所属していたチームも同じで、子どもの考えを尊重してくれていました。なんでそこにパスを出したんだとか、なんでそんなプレーをするんだって、言われたことがないんです。『いまのパス面白いね。だけど通らなかったね。じゃあ、次は通るように練習しよう』。そういうチームでした」憲剛さんは「子どもの頃から、プレーのアイデアを尊重してもらったおかげで、いろんなことに挑戦しようと思ったし、人が驚くようなプレーをしたいと思って練習してきました。その過程で生まれたミスに対して、怒られなかった育成年代を過ごしてきたことは、間違いなく現役時代に生きています」と感謝を口にします。■子どもが楽しくサッカーできるかは親にかかっていると言って過言ではないそしてイベントの最後に、次のようなメッセージを送っていました。「子どもが楽しくサッカーができるかは、お父さん、お母さんにかかっていると言っても過言ではないと思います。指導者ももちろんそうですが、一日の中で一番長くいるのは保護者ですから。その中で、親と子どもで一緒に成長していくことが大切なのだと思います。僕自身、失敗と後悔を繰り返しながら、親として成長していきたいと思っています。僕も頑張ります。一緒に頑張っていきましょう」司会が旧知の中西さんだったこともあり、「普段しない話を、結構しちゃいました」と笑顔を見せる中村さん。参加者のみなさんは、ここでしか聞けない体験談やエピソードをたくさん知ることができて、大満足の様子でした。<イベントの様子>
2022年04月11日2020年度の高校サッカー選手権大会で2度目の日本一に輝いたのが、山梨学院高校です。立役者となったのは、監督として指揮を執った長谷川大さん。イヤホンを耳にし、ベンチから指示を送る姿が覚えている人も多いのではないでしょうか。優勝の原動力となった的確な試合分析に加え、選手育成にも定評があり、前任の神奈川大学監督時代には日本代表のMF伊東純也選手(ベルギー・KRCヘンク)を指導しています。昨年度限りで山梨学院高の監督を退任し、この春からはS級ライセンスの取得を目指す長谷川さんに育成年代での指導に関する考え方をお聞きしました。(取材・文:森田将義写真提供:長谷川大監督)選手たちに支持を与える長谷川監督。選手たちとは対話を大事にしていたという■再現性を生むためには、自分で答えを見つけようとする姿勢が大事「純也はこうしなさい、ああしないさないと強制的に指導されてきたら、たぶんサッカーをやめていたと思います。ずっとノビノビ自由にやってきたから、今がある」。伊東選手について評する通り、長谷川さんも神奈川大時代は選手の自主性を大切にする指導を行ってきました。選手に具体的なアドバイスを送るのは選手が壁にぶつかった時のみ。基本的には選手自らが考え、判断するよう促してきました。象徴的なのは、伊東選手が4年生だった頃のエピソードです。シュートが入らなくなったため、ドリブルスピードを落とし、顔を上げる事でシュートの質を上げようとしていた伊東選手に対し、「外しても良いよ。だったら、今まで5本打っていたのを8本打ってみろ。そうすれば1本ぐらい多く入るかもしれない。君はシュートを増やして、点をとるタイプだ」とアドバイス。その結果、再び大学サッカーで活躍し始め、その後の飛躍へと繋がりました。スランプに陥る前にアドバイスするのも一つの手ですが、長谷川さんの考え方は違います。「指導者が正解を教えてしまうと再現性が生まれません。一番大切なのは、自分で答えを見つけようとする姿勢を育む事。幼少期にやっていた「かくれんぼ」を思い出しても、誰かに居場所を教えて見つけるより、自分で工夫して見つけた時の方が喜びは大きい。成功体験を1度味わうと、子どもは同じ方法を再現しようとする。成功した時にちゃんと誉めてあげるぐらい、指導者がちゃんと見てあげていれば、また同じ事をやってみようとなる。成功しなくなった時には、また新しい事が必要だとヒントを与えてあげれば良い」。■指導者を始めたばかりの頃はゲームのスイッチボタンを押しているだけだった2019年度に移った山梨学院高でも大学生に接するのと同じスタンスで指導を行っていましたが、現役時代を過ごし、指導者としてのキャリアを始めた秋田商業高校時代は今とは全く違う指導法だったと言います。商業高校はその名の通り、接客業を始めとしたビジネスに必要な知識やマナーを身に付ける高校です。「商業は人作り。お客さんは神様という発想で耐性と言いますか、お客さんに理不尽な事を言われても、我慢する力を身に付けるのが商業高校の強みと教わっていた。だから、先生の言う事は絶対だし、周りから言われる事も絶対に守らなければいけない」(長谷川さん)。そうした考えは、サッカー部の指導でも変わりません。今でこそ伝統だった坊主頭を廃止し、髪を伸ばし始めるなど時代に合った指導が行われていますが、長谷川さんが監督だった時代は「社会よりも厳しい状況をあえて作り出し、社会に出た時に厳しいと思わせないようにしたいと考えていました」。また、コーチから監督になったのは30歳になる直前で選手の育成以上に、どうすれば勝てるのかを主に模索していました。「今にして思うと、若い頃はゲームのスイッチボタンを押しているだけだった。指導者がボタンを押せば、言われた所にボールを蹴って、諦めずに走りなさいというだけだった。選手には誰でも良いと言っているのと等しいくらい同じことを求めていました。そうしたマインドの指導者は、『アイツは使えない』なんて言葉が自然に出てくる。使えないというのは、自分が思っている通りに動かないから。『アイツは使える』というのは良い選手ではなく、自分が意図したプレーをひたすらやってくれるから」。■教育としてサッカーを教えるなら、自分で考える土壌を作らなければいけない2020年の高校サッカー選手権では山梨学院高校を率いて優勝を手にした長谷川監督(写真右)当時の厳しい指導は、高校を出て就職する選手も多いチームならではで、社会に出る選手の将来を思ってのもの。今とは時代背景も違うため、長谷川さんの指導は決して間違っていたとは言えません。ですが、母校を離れて指導者として様々なキャリアを積むうちに考え方に変化が生まれました。「使える選手を育てるのは、仕事として監督に使われるプロになってからでも良い。教育としてサッカーを教える際は、自分で考える土壌を作らないといけない。自分で考えられる選手が、ロジック(論理)をしっかり理解した上で、自ら進んで行動するのが凄く大切。指導者に言われて理由なくやるのとは全く意味合いが違います」。考え方に大きな変化が生まれたのは、2014年に神奈川大の監督となり、これまでの高校生から大学生を指導するようになってからです。以前は高校の部活動でよく見られる一糸乱れぬような挨拶や行動が何よりも素晴らしいと考えていましたが、大学に行くとそれぞれのスタイルで行う挨拶や、個々の責任ある行動力を目の当たりにしました。高校とは違い、全員が揃ってきちんと挨拶するわけではありませんが、より自主性が求められる中でも、礼儀が大事と考え、敬意を示すためにとっている大人としての行動です。「彼らの立ち居振る舞いをとても素晴らしいと思ったんです。高校の集団的指導が素晴らしいと考える文化しか知らなかったけど、大学生はよく考えて、自分たちにとって今必要なことをやっている。今までの指導とは両極端かもしれませんが、どちらも大事だと気付いた時に、一番大切なのは真ん中だと思いました。組織として団結した行動もできるし、それぞれが考えて行動もできる。大学生への指導で出た答えが、『その場に応じた確かな行動力とその説明責任を果たせる逞しい人作り』でした」。選手に対する考え方が変わった長谷川さんが、神奈川大でどんな指導を行っていたかは具体例を交えながら、後編で紹介します。
2022年04月07日子どもにサッカーノートを書いてほしい、サッカーノートを書くことで上達につなげてほしい、と願う親御さんは多いもの。ですが、「何となく」書いているだけではただの日記になってしまうことも多く、上達につながるとは言い切れません。サッカーの上達につなげるためには、サッカーノートをどのように活用すればいいのでしょうか。サッカーノートを書き始めて上達を実感したと証言する子どもたちに、その活用法などを聞きました。シンキングサッカースクールの選手たちも、サッカーノートを書いて自分が上達していることを実感しています藤代さん監修!1日10分で書けるサッカーノート>>【関連記事】サッカーノートを書かせるのは親の自己満足!?「とりあえず書く」を脱却してサッカー上達に繋げる活用法■書くことで「自分の現在地」がわかるサカイクとしつもんメンタルトレーニングが開発した『サカイクサッカーノート』は、子どもたち自身が「今の自分を理解する」工夫が施されているため、課題が明確になり、近い目標が立てやすくなるので、上達を実感しやすいと指導者も選手たちも声を揃えます。今回、シンキングサッカースクールの小学生たちに「サッカーノートを書き始めて実感している効果」を聞いてみました。選手たちの声(一部抜粋)・質問があるから書きやすい(小3男子)・書き始めたら自分の目標が見えて、目標達成のために頑張るようになった。その結果、前は出来なかったことができるようになって、上手くなったことを感じる(小3男子)・自分の課題が分かって、どう動けばいいか分かるようになった。相手DFの動きが読めるようになって、ついていけるようになった(小3男子)・書き始めるようになって、練習中の自分の動き、相手のポジショニングなど状況を覚えておくようになった。状況を記憶しておけるようになり、振り返って「あの時こうすればよかったのか」など気づきになっている。その結果、次はどうしようか考えて練習に取り組むようになり、前は判断が良くなかったところも改善され、上達を実感している(小6男子)・書き始めた3か月前は、1ページ40~1時間かかった。今は10分くらいで書けるようになった。自分のプレーを振り返って書くページがあるので、プレーを覚えておくことが身についたので、練習後の記入時間も短くなった。(小6男子)■今の自分がわかると目標が立てやすいいかがでしょうか。サカイクサッカーノートは、サッカーを始めた時を振り返る項目や、自分がサッカーを通じてどんな風になりたいかなど自分を見つめなおすページが最初に設けられています。そして、普段の練習前後に記入するページは、左ページが練習前に「(今日の)試合・練習で実現したいこと」、そのためにどんな工夫をするかを書き、練習後に記入する右ページには、「今日の練習でうまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「どうすれば(うまくいかなかったことが)よりよくなるか」を振り返る項目と、その日の練習で印象に残ったプレーをフォーメーション図に記入する項目を設けています。子どもたちは往々にしてすぐには達成が難しい「大きな目標」を掲げがちなものですが、サカイクサッカーには自分自身を見つめる項目があることで、「"今の自分"がわかったから、次にどうすればいいかの課題が見えて、目標が立てやすかった。だから目標達成できた」という声も多く聞かれました。■しつもんに答えるだけで自分を客観視できるように「今の自分の位置」を客観的に見つめるのは、大人でもなかなか難しいものですが、サカイクサッカーノートならしつもんに答えて書いていくだけで、自分を客観視し、いま何ができて何ができないのか、できるようになるにはどうしたら良いかを自然と考えるようになります。その結果、現時点の課題が見えやすくなり、課題解決のためにどうしたらいいか、どんなことをコーチに質問すればいいか、などに気づくようになるのです。そういったことを通じて、上手くなるための思考と行動が身についていく、これこそがサカイクサッカーノートの特長です。■上達を実感するとますます書くのが楽しく出来なかったことが出来るようになったり、サッカーの上達を実感すると、ますますサッカーノートを書くのが楽しくなるものです。今回お話を聞いた子どもたちも、「最初は苦戦したけど、今は楽にかけている。サッカーが上手くなるのを感じているから楽しい」という子も多くいました。保護者の方々もそんなわが子の成長を見るのが嬉しいという方も多く、中には楽しそうな子どもの様子に触発され、「私も書いてみたい」と、シンキングサッカースクールで開催された保護者サッカー体験会に参加してサカイクサッカーノートの振り返りページを別の紙に書いて提出したお母さんも。サッカーノートを最初から上手に書ける子、うまく活用できる子は少ないものです。まして、市販の(サッカーノートではない)ノートを与えても、何を書けばいいかわからず続かない子も多いと思います。「どんなことを書くか」「何を意識するか」を自分で理解し、自ら成長し続ける力になるサッカーノートを与えてあげることで、子どもを伸ばすサポートをしてあげてください。藤代さん監修!1日10分で書けるサッカーノート>>
2022年04月06日子どもがサッカーを始めると、練習や試合の送迎で車の出番が多くなります。子どもだけでなく、チームメイトを乗せたり、ボールやマーカーなど試合会場に着いてから練習で使う道具の運搬など、これまでとは違う車の使い方になります。そろそろ買い替え時期となると、そんな用途ありきで検討するご家庭も多いのではないでしょうか。そこで、中古車情報メディア『カーセンサー』の西村泰宏編集長に、サッカーをする子がいる家庭におすすめな車の選び方を伺いました。(取材・文:小林博子)子どもがサッカーを始めると、車で送迎する機会が増えることも。(写真は少年サッカーのイメージ)■荷物多め&車内が汚れる!子どもがサッカーを始めた家庭の車事情まずは、これからサッカーを本格的にする子どもがいるという方にもわかりやすいよう、サッカーファミリーの一般的なカーライフをご紹介します。中にはチームでバスを持っているクラブもあるかもしれませんが、親の車出しがあるチームは少なくありません。サッカー少年たちの荷物は、ボールと着替えを入れた大きなバックパックというケースがほとんどです。子ども1人だけを乗せるならそのバックパック程度ではありますが、試合の送迎などでチームの子どもたちを乗せる場合、それぞれがバックパックを持っていますので、荷物だけでかなりのスペースを割くことに。さらに、「試合当番」があるチームの場合は、日除けのタープや折りたためるベンチ、夏は大きなドリンクジャグなどを運ぶこともあり、荷物だけでなかなかの量になります。そして、車内が汚れがちなのも特徴です。子どもたちは泥や砂埃などで通常よりもシートや床を汚しがちですし、小学生年代だと車酔いする子も少なくないので、車酔いをする子がいる場合は車内で嘔吐されてしまうことも......。車は何人乗りが最適で、どれくらいのスペースがあれば十分か、そして汚れに強い内装は?など、考えなくてはならない項目は多岐にわたります。子どもがやりたいと言って始めたサッカーですが、大会出場などが増えるにつれ、このように車選びにも影響がでることがあるのです。■選択肢は「ミニバン」だけ?答えはNO!そんなことを考慮すると、とにかく大きくて、荷物をたくさん積めて、汚されてもいい内装の車にするのが正解なのかと思いがち。そこで候補にあがるのはミニバンやワゴンですが、車好きな親御さんの中には「いかにもファミリーカーという印象の車は嫌だ」と思う方も多いようです。そんなニーズに応えるべく、カーセンサーの西村編集長が車選びで考えるべきことをサッカーファミリーバージョンで考えた、4つの観点を教えてくれました。人と荷物をたくさん乗せるなら、アルファードのようなミニバンしか選択肢にないの!?とあきらめなくても大丈夫です(写真提供:カーセンサー)■その1.乗る年数とサッカー以外の用途は何か?まず、お子さんの年齢によって、何年間サッカー向けの車が必要かをまずは考えてみましょう。と西村さんは言います。その間、送迎は週何回あるのか、遠征などで何人も乗せる回数は年何回あるのかなども想定してみることが大事だそう。遠征で大人数を乗せるのが年数回の場合は、その時だけレンタカーを活用するのも手段のひとつ。「わざわざそれだけのために大きなミニバンを購入する必要はないのかもしれません」と西村さん。また、サッカー以外の用途についても考えてみて欲しいと西村さんは言います。特に小学生の保護者世代のご家族に多いのが、キャンプなどのアウトドアレジャーも積極的にしたいというケース。この場合も荷室が広い車を選びたくなるはずです。「サッカーのためだけ」ではない基準が増えます。車を買うときはどうしても「今の生活」に目を向けがちですが、少し先の未来を見据えることで、よりクリアに考えることができ、よい選択ができるはずです。とアドバイスをくれました。■その2.リセールバリューを重視するのか車を購入する際に「リセールバリュー(再販価値)」を考慮するかを考えるのはあたり前になっていますが、サッカーファミリーの場合は、前述したように必要な大きさや汚れの程度が通常と異なる特別な期間になることもあるので、一般的な概念とは切り離して考えてみてください。と西村さんは言います。その結果、もしかしたら「次の1台は乗り潰す(=リセールバリューは考慮しない)」という選び方になるかもしれません。その場合は、前述した「その1.」で想定した年数の間に乗れる、リーズナブルな中古車を探すという選択肢が新たに生まれますし、その年数はサッカー送迎仕様で選ぶと割り切ることができるでしょう。ちなみに、日本製のアルファード(トヨタ)やヴェルファイア(トヨタ)など大型のVIP系ミニバンやハイエース(トヨタ)などの商用車は海外での人気が高く、10万キロを超える走行距離があっても売れやすい傾向にあるのだそう。リセールを考える場合は、少々値段が高くてもこれらの海外で人気がある車を選ぶのも手です。■その3.荷物は外付けという選択肢もサッカーの荷物のことを考えると、荷室の広さを重視しがちですが、実は「外付け」という選択肢があることも知っておくと、選択の幅が広がると西村さんは教えてくれました。具体的には、車体の上に取り付ける「ルーフキャリア」などです。スノーボードやサーフィンをする人たちも良く使用していますね。外付けで荷物を積めると思うと、荷室の大きさだけに固執せずとも、必要なスペースを確保できるかもしれません。■その4.車酔い・汚れ対策は内装にこだわるより、カーシートに別売りのカバーを西村さん曰く、車内が汚れるという懸念点から、シートの材質にこだわりたいと思う方が多いかもしれませんが、欲しい車との掛け合わせでピッタリのものを見つけることは困難なためあまりおすすめではないのだそう。それよりもサッカーをする子どもがいるご家庭におすすめなのは、シートカバーを使うことなのだとか。最近では、さまざまなタイプのシートカバーが1つ1万円以下で購入できます。ひと昔前の概念だとやぼったいイメージがあるかもしれないシートカバーですが、アウトドアブームの昨今は、キャンパーやサーファー向けの汚れや水に強くておしゃれなデザインのものもたくさん販売されています。汚されたら取り外して丸洗いできますし、たとえお子さんが嘔吐したら破棄して新調しても大きな出費にはなりません。リセールバリューを考える上でも、シートカバーで覆うことで車内をきれいに保つことは有効な手段です。子どものサッカーの送迎が発生する時期は、車以外にも生活の様々なことが影響してくると思いますが、「サッカーだけ」にとらわれず、親子が快適かつに過ごせて良い思い出をたくさん作れるような車選びをしていただくための参考にしてください。
2022年04月05日アルビレックス新潟からドイツに渡り、ハンブルガーSVではキャプテンも務めた、酒井高徳選手。帰国後はヴィッセル神戸の主力としてプレーし、昨シーズンは全試合に出場した。現在、なでしこジャパンフィジカルコーチとして活躍する大塚慶輔氏は、酒井選手がアルビレックス新潟ユース時代からの付き合いで、パーソナルコーチとして10年以上、サポートを続けている。先頃、大塚氏が代表を務める株式会社ライフパフォーマンスと一般社団法人日本アスリートフード協会が、『スポーツコンディショニング推進委員会』を設立した。両社が長年培ったコンディションサポートの知見を活かし、10代を始めとするジュニア・アスリートのパフォーマンスを高めることを目的とした『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』を開講する運びとなった。そこで今回は酒井高徳選手と大塚氏に「サッカーに必要なコンディショニング」について、理論と実際の取り組みを話してもらった。(取材・構成鈴木智之)【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>■生活習慣を見直すことで、パフォーマンスが向上――まず『ジュニア・アスリートサポーター養成講座』について聞かせてください。大塚:サッカーに限らず、様々なスポーツでプロを目指している子はたくさんいます。子どもたちをサポートをする保護者に向けて、本当に必要な情報を提供するために、この講座を作りました。私はJリーグのフィジカルコーチとして17年間活動し、酒井高徳選手を始め、トップレベルのアスリートのパーソナルサポートをしています。その中で、とくに大切だと感じたのが「生活習慣」です。そこを見直すことで、選手のパフォーマンスが向上していく様子を間近で見てきました。今回は高徳選手と対談することで、世の中の人たちに啓蒙できればと思い、この場を設けさせていただきました。酒井:僕が大塚さんに出会ったのは、アルビレックス新潟ユースの頃なので、10年以上の付き合いになりますね。コンディショニングやパフォーマンスアップの指導をしていただいたおかげで、Jリーグやブンデスリーガでプレーできました。自分のキャリアを振り返ると、大塚さんとの取り組みが結果として現れていて、コンディショニングを含めた生活習慣の重要性はとても大きなものだと感じています。大塚:だいぶ長い付き合いだよね。酒井:コンディショニングに関して、専門的に取り組み始めたのが21歳の頃だったので、もっと早い時期、それこそ小学生ぐらいから目を向けていれば良かったなと思います。なので大塚さんの取り組み(ジュニア・アスリートサポーター養成講座)はすごく良いものだと思いますし、子どもたちの発育発達に通じるところがありますよね。保護者の方や子ども自身が、早い段階で正しい知識を得ることができるのは良いことだと思います。■プロになるとは、独り立ちすること――大塚さんにうかがいますが、酒井選手とともに、どのような取り組みをしてきたのでしょうか?大塚:サッカー選手が1日の中でトレーニングしている時間は2、3時間です。そこはクラブの管轄なので、タッチすることができません。我々としては、トレーニング以外の時間をいかにしてサポートできるかに重点を置いて、栄養士やドクター、トレーナーとチームを組んで、包括的にサポートしてきました。これは決して押し付けではなく、高徳選手自身が「自分はこうなりたい」「このレベルに到達したい」という目標があり、そのために「いまはここが課題だ」「ここを向上させるにはどうすればいいんだろう?」と感じているところに、我々がアプローチしていく形です。睡眠や栄養などのコンディション面だけでなく、フィジカルやモビリティ向上のトレーニングまで、様々な角度からサポートしています。酒井:そもそもの話をすると、アルビレックス新潟ユース時代に、プロを目指す上で体を作らなくてはいけない、プロで戦える体ってなんだろうと考えることからスタートしました。当時から大塚さんには、体のことや生活習慣など、様々な面で指導をしてもらっていました。その経験があって、コンディショニングにより目を向けるようになりました。自分で言うのもなんですが、トップに上がったときに、フィジカル面で引けを取らない形でスタートできたのは、ユース時代のベース作りがあったからだと思います。自分がプロの世界に入ったときに、あらためて「高校3年間、上を見据えて指導してくれていたんだ」と気がつきました。大塚:僕は育成年代を含め、たくさんの選手を見てきましたが、高徳選手の「覚悟の量」はケタ違いだと感じました。高校1年生の頃から「自分は絶対にプロになるんだ。そのためにはどんな努力も惜しまない」という気持ちが強かった。ユースに所属していたので、間近にトップチームの選手がいる環境だったのですが、自分から積極的に話しかけに行ったり、練習で2人組を作るときも、必ず上手な選手と一緒にやったり。プロになるんだという信念と覚悟は、図抜けたものがありましたね。酒井:面と向かって言われると恥ずかしいですね(笑)。大塚:その延長線上に、「ヨーロッパで活躍したい」「世界で通用する選手になりたい」という気持ちがあって、アルビレックスからドイツへとステップアップしていったわけです。21歳でドイツに足を踏み入れて、最初は通用するレベルじゃなかったかもしれないけど、厳しい環境でさらに自分を成長させていった。その道を選ぶ意思、覚悟の強さが、高徳選手が伸びていった要因のひとつだと思います。酒井:プロになることは、独り立ちすることでもあります。そこで解き放たれて、自分の好きなことをするのか。それともプロとして、一流を目指して取り組むのか。その分岐点がある中で、僕は自分を高めることを選んできました。僕が新潟でプロになった頃、大塚さんは別のクラブにいたのですが、個人的に連絡を取って、パーソナルという形で見てもらうようにお願いをしました。大塚さんとスタッフの方々と「世界で通用する選手になるためには、こうならなくちゃいけない」という目標を掲げてやってきましたし、僕自身、「海外で活躍するためにはなんでもやるぞ」というモチベーションで取り組んでいました。■酒井高徳の取扱説明書――ドイツでプレーするにあたり、具体的にどういう取り組みをされたのでしょうか?酒井:生活面では、食事の管理、体重、体脂肪、睡眠の管理です。食事は試合から逆算して、いつ何を食べるかを、試行錯誤しながら作り上げていきました。具体的には、試合の2日前から炭水化物を中心に、体にエネルギーを貯めるような食べ方をして、試合後すぐに、オーツミルクとプロテインと甘酒をミックスしたものを飲みます。それから食事をして、翌日は疲労回復や免疫の回復に効果がある物を食べます。基本的には自分の体と対話をしながら、食べ物を選ぶようにしていました。大塚:食べ物やリカバリーの内容などは、選手によって少しずつ変わります。それが「酒井高徳の取扱説明書」のようなもので。酒井:まさにそうですね。僕の場合、ドイツにいた頃は、試合前におにぎりやフルーツを食べていたのですが、日本に帰ってきてからは、少し空腹の方がパワーが出やすいように感じたので、試合会場でバナナを半分だけ食べています。食事の内容は、年齢とともに変わりましたね。大塚:ドイツの頃は、リカバリーの方法も試行錯誤していたよね。基本的に、試合後はホテルに泊まらず、バスに乗って何時間もかけて家に帰るわけで。試合後の移動でどうやって睡眠をとるかを考えて、クッションをいろいろ試したり、リカバリーウェアを着るのが嫌だったので、ブランケットタイプを使ったり。酒井:ドイツの頃は年間で50試合以上、多いときは60試合近く出ていました。毎日が試合の連続なので、とにかくリカバリーが重要なんですね。それに加えて日本代表の試合もありました。日本で試合をして、深夜の飛行機でドイツに戻って、中2日で試合をして、翌月も同じスケジュールとか。それを8年ぐらいやりました。大塚:リカバリーの方法は、細かいところまで相談したよね。酒井:かなり大変な思い出として残っています(笑)。そのおかげもあって、僕はこれまで、ケガやコンディション不良で欠場したことがほとんどありません。日本に戻ってきてからも、昨シーズンは全試合に出場しました。連戦に耐えられるケアや準備を続けているからこそ、試合に出続けることができているんだと思います。■『チーム酒井高徳』としてサポート――リカバリーに関して、トレーニング面では、どのようなことをしていたのですか?酒井:試合間隔が中2日なのか、3日なのか、夏か冬かによっても変わってくるのですが、基本的に試合の翌日は有酸素運動をして、疲労はあるけど、体が気持ちいいと感じる強度で動かしていました。あとはその時々で、気になる箇所のストレッチやモビリティのトレーニングですね。怪我に繋がらないために、筋力的な刺激を入れる部分と、全く使わないでしっかり休ませる箇所を分けて取り組んでいました。グラウンド外では交代浴をしたり、睡眠の質を上げるアイテム使って、睡眠時間を記録していました。大塚:考え方として、試合直後からリカバリーは始まっています。プレー中以外の、すべての時間をリカバリーに使うぐらいの気持ちです。酒井:本当に、生活のすべてですもんね。食事も睡眠も生活リズムも、メンタル面も含めてのリカバリーなので。そのなかでも生活習慣は大切で、奥さんと一緒に大塚さんの話を聞いて、食生活も実践しましたし、筋トレやモビリティのトレーニングでは、動画を送ってもらい、見ながらトレーニングしていました。『チーム酒井高徳』として、いろんな人にサポートしてもらったからこそ、連戦の中で疲れない体作りができて、ピッチで良いパフォーマンスが発揮できたと思っています。<第2回に続く>【PR】アスリートサポーター(ジュニアアスリートサポーター)の詳細はこちら>>
2022年04月05日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が悩む「前に動きながらボールをコントロールするのが苦手」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は常に動きながらボールをコントロールしたり、ドリブルやパスをします。ボールをインターセプトするときや、フォワードの選手が落としたボールを前に運ぶときなどによく使われる動きでもあります。しかし、最初のうちは前に動きながらボールを自分の思った所にコントロールすることが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で自分が思った通りにボールをコントロールして前方向に進めるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親子で対面して、親がボールを持って立つ2.親が転がしたボールを子どもは前進しながらインサイドでコントロール3.慣れてきたら親がDF役になってボールを取りに行き、子どもはそれを交わす【トレーニングのポイント】・ボールの中心をインサイドでとらえる・自分のイメージしている強さ、スピードでコントロールする感覚を覚える・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月04日