『人生はビギナーズ』でゲイの父親を描き、絶賛を受けたマイク・ミルズ監督が、今度はアネット・ベニングを主演に自身の母親をテーマにした『20センチュリー・ウーマン』。このほど、その公開日が6月3日(土)に決定し、ミルズ監督がアカデミー賞脚本賞にノミネートされている本作から、ティザービジュアルと30秒特報が解禁となった。1979年、サンタバーバラ。シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、思春期を迎える息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)の教育に悩んでいた。ある日、ドロシアはルームシェアで暮らすパンクな写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)と、近所に住む幼馴染みでジェイミーとは友達以上恋人未満の関係、ジュリー(エル・ファニング)に「複雑な時代を生きるのは難しい。彼を助けてやって」と頼む。15歳のジェイミーと、彼女たちの特別な夏がはじまった――。マイク・ミルズが自身の母親をテーマに描く、6年振りの最新作となる本作。第89回アカデミー賞では脚本賞(オリジナル)において自身初のノミネートを受けている。自由奔放なシングルマザーを演じ、第74回ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門主演女優賞にノミネートされたのは、アネット・ベニング。さらに、『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』のグレタ・ガーウィグ、『ネオン・デーモン』のエル・ファニングといった各世代を代表する女優が集結。また、監督の分身ともいえる少年ジェイミーを演じた新人の美少年、ルーカス・ジェイド・ズマンの瑞々しい演技も絶賛を受けており、『スポットライト 世紀のスクープ』のビリー・クラダップらも脇を固めている。今回解禁された30秒特報では、77年にデビューした「トーキング・ヘッズ」をバックに、それぞれのキャラクターととともにアネット演じる母の人柄がわかるシーンが随所に盛り込まれている。15歳の少年が3人の女性たちと過ごしながら成長していくひと夏の物語が、ミルズ監督独特のシュールなユーモアと映像センスによって紡がれていく。なお、3月末にはミルズ監督のプロモーション来日も予定されているというから、引き続き注目していて。『20センチュリー・ウーマン』は6月3日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年02月16日2017年が始まり、今年もいいスタートを切りたい、心機一転して新たな1歩を踏み出したい、という人も多いのでは?映画界にとっては、先日のゴールデン・グローブ賞をはじめ数々の映画賞がノミネート&発表となり、いよいよ大本命アカデミー賞へ向かって盛り上がるのがこの季節。そんな栄誉あるオスカー俳優たちが、異国の土地での生活に戸惑いながらも惹かれていく映画が立て続けに公開となる。アカデミー賞に5度のノミネート、そのうち『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』で主演男優賞を2年連続受賞したトム・ハンクスと、3度のノミネートを果たし『めぐりあう時間たち』で主演女優賞を受賞したニコール・キッドマンという賞レースの常連であり、誰もが認めるスター2人が、それぞれ主演する2作。いま、アラビアがアツイ!●トム・ハンクスが自ら映画化を熱望!『王様のためのホログラム』『ハドソン川の奇跡』『インフェルノ』と、主演作が続いたトム・ハンクス。本作は自らプロデューサーを務め、「タイム」誌ベストブック、ピューリッツァー賞候補になった作家デイヴ・エガーズの原作を映画化、『クラウド アトラス』の鬼才監督トム・ティクヴァがメガホンをとった。大手自転車メーカーの取締役を解任され、家も家族も失ってしまった中年サラリーマン、アラン・クレイ。そんな人生の一発逆転をかけ、地球の裏側、はるばるサウジアラビアの国王に最先端の映像装置3Dホログラムを売りに行く。ところが砂漠に到着すると、用意されたオフィスはボロテント、設備は整っていない。抗議したくとも担当者はいつも不在でプレゼン相手の国王すらいつ現れるのかも分からない…。心身ともに追いつめられたアランを助けてくれたのは、予想もしない人物だった――。「トーキング・ヘッズ」「シカゴ」など80年代のヒット洋楽やブラックジョークを織り交ぜ、トムは中年の悩みと世界の憂鬱を等身大に体現!異文化の衝撃に戸惑いながらも、流れに身をまかせたとき、新たな人生を歩き始めることができる、そんな希望に満ちたハートフルストーリーとなっている。●ニコール・キッドマンが実在の女性を熱演!『アラビアの女王 愛と宿命の日々』20世紀初頭に、イラク建国の立役者として力を尽くしたイギリス人女性ガートルード・ベルの半生をドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督とオスカー女優ニコールのタッグにより映画化。裕福な家庭で育ち、オックスフォード大学を卒業した貴婦人ガートルード・ベル。自由なトラベラーであり、考古学者であり、諜報員となった彼女は、砂漠に魅せられ、数奇な運命に翻弄されながらも、アラビアの和平を目指し奔走する。やがて“もう一人のアラビアのロレンス”と呼ばれるほどにその地に根付き、情熱を注いでいく――。ジェームズ・フランコ演じる英国大使館の書記官、ダミアン・ルイス演じるトルコの副領事官との望んでも叶わない2度の悲恋、ロバート・パティンソン演じるアラビアのロレンスとの出会い、度重なる困難…。砂漠の地を旅した1人の女性の壮大な人生が、100年以上の時を超えて描き出されている。時代も性別も異なる主人公たちだが、“アラビアの砂漠”という未知の世界に飛び込み、トムは皮肉で不条理な展開をユーモアたっぷりに、ニコールは強く美しく、それぞれあらゆる困難を乗り越え人生を切り開いていく。その姿からは、前向きな気持ちと一歩前に踏み出す勇気をもらえるに違いない。『王様のためのホログラム』は2月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。『アラビアの女王 愛と宿命の日々』は1月21日(土)よりシネマカリテ、丸の内TOEIほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月12日『ハドソン川の奇跡』『インフェルノ』に続くトム・ハンクスの主演最新作『A Hologram for the king』が、『王様のためのホログラム』として2017年2月10日(金)より日本公開されることが決定。異国の地で奮闘する予告編とポスタービジュアルが解禁となった。立派な車もステキな家も美しい妻も、煙のように消えてしまった。すべてを失くした男の名はアラン。大手自転車メーカーの取締役だったが、業績悪化の責任を問われ解任されてしまった。愛する娘の養育費を払うため、アランはIT業界に転職し、一発逆転をかけて地球の裏側、はるばるサウジアラビアの国王に最先端の映像装置3Dホログラムを売りに行く。ところが、砂漠に到着すると、オフィスはただのボロテントでエアコンもなく、Wi-Fiもつながらなければランチを食べる店さえない。抗議したくても担当者はいつも不在(居留守かも?)、プレゼン相手の国王がいつ現れるのかもわからない。上司からはプレッシャーをかけられ、ついには体も悲鳴をあげる。追いつめられたアランを助けてくれたのは、予想もしない人物だった――。『ハドソン川の奇跡』では勇気の決断で乗客乗員155人を生還させた実在の機長を演じ、大ヒットベストセラーの映画化シリーズ『インフェルノ』では3度目の天才教授ラングドンを演じるトム・ハンクスが、今度は、ハの字眉でちょっと情けなさも滲み出る、よれよれスーツの営業マンを演じる本作。タイム誌ベストブック、ピューリッツァー賞候補になった作家デイヴ・エガーズの全米図書賞ノミネートの原作を、ハンクス自らが熱望し、『クラウド アトラス』でタッグを組んだ鬼才トム・ティクヴァ監督のもと映画化。“中年の危機”をシニカルな視点で切りこみ、抜群のユーモアを交えて描きだした。トムが演じるのは、家も家族もなくし、エリート人生から転落したものの、一発逆転をかけてサウジアラビアという異国の地にやってきた主人公アラン。予告編からも、地球の裏側、だだっ広い砂漠の地で、待てど暮らせどいつ現れるか分からない王様相手に、最先端の映像装置<3Dホログラム>をプレゼンしようと奮闘していることが分かる。次から次へと襲いかかる異文化の嵐に戸惑いながらも、アランは新たな人生を歩き始めることができるのか?また、『007』シリーズや『リリーのすべて』で知られ、『パフューム ある人殺しの物語』などティクヴァ監督作品には欠かすことのできない、人気英国俳優ベン・ウィショーのカメオ出演も見逃せない!数々の名作に主演し、アカデミー賞に5度ノミネート、2度の受賞を果たす圧倒的なスターのトムが、原作の大絶賛ツイートを投稿。1,200万人を超えるフォロワーへと拡散させ、4年の時を経てついに映画として結実した本作。「トーキング・ヘッズ」や「シカゴ」など80年代のヒット洋楽やブラックジョークもふんだんに織り交ぜ、「遠い遠い異国の地で気づいた。人生は、なんとかなる!」というメッセージで贈るハートフル・ストーリーに、これからも注目していて。『王様のためのホログラム』は2017年2月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月04日ザ・カーズ(以下カーズ)の5枚目のアルバム『ハートビート・シティ』は1984年に発表された。カーズの中でも最も僕が好きなアルバムだ。4曲のシングルが生まれ、MTV時代でも不動の地位を築いた。○ザ・カーズとトーキング・ヘッズ どっちが好き?さて、今回もアンケート回答者1,000人突破で調子に乗っている御徒町のテンションです。カーズは大好きだが、ライバルってどのバンドだろう? と考えると悩んでしまう。周りのロック好きに尋ねると、やれ、ザ・フィーリーズだ、やれ、ディーヴォだ、それ、ザ・チューブスだのと教えられたが、どれも知らない。しかたないので自分で考えた。カーズは、ポストパンクともニューウェイブとも言われていた。僕はだいたい、ポストパンク、ニューウェイブがわからない男である。カーズを初めて聞いたとき「なんてカッコイイ、ロックだろう!?」と思ったものだ。しかし、ポストパンク、ニューウェイブと言われている、同時期に売れていたトーキング・ヘッズを思い出したので、対決させてみたのだ。トーキング・ヘッズ、ハッキリ言って僕はあまり知らない。「ロード・トゥ・ノーウェア」はMTVで見て大好きになったが、他はピンと来ないままだった(ファンの方失礼)。しかし、この結果を見て、トーキング・ヘッズ、意外に人気あるんだなぁ、とヒトゴトのように思った次第である。神奈川県、49歳女性の方から「トーキング・ヘッズを入れておいて、ストップメイキングセンスとサイコキラー対決が無いとは何事か!?」というお叱りをいただいた。むむ、僕はどちらも知らない。○カーズのヴォーカル どっちが好き?カーズのヒット曲は多いが、ヴォーカルはリック・オケイセックとベースのベンジャミン・オールが手分けして歌っている。しっとりとしたバラードやマジメなロックはベンジャミン、ノリのよさや、不思議な曲はリックが似合うと思う。やはり、ベンジャミンであったか。カーズの1stアルバム、1978年発表の『錯乱のドライブ』の3曲目、「燃える欲望 (Just What I Needed)」は彼らの輝けるデビュー曲でもある。ベンジャミン、31歳である。印象に強く残っているのも当然だ。○カーズの曲 - 「レッツ・ゴー」と「燃える欲望」どっちが好き?「レッツ・ゴー」は1979年発表の2ndアルバム『キャンディ・オーに捧ぐ』の1曲目、とてもカーズらしい軽快なロックである。『リックのヴォーカルの味が遺憾なく発揮されている曲だ。リックはこの時30歳だった。』と掲載当時、記載しておりましたが読者の田中様よりヴォーカルはベンジャミンだとご指摘がございました。38年の長きにわたり僕が勘違いしておりました(え~、でも、飄々としたところなんかリックっぽくない?)。申し訳ございません。田中様、ご指摘ありがとうございました。(2018年1月10日追記)やはり、「ジャスト・ワット・アイ・ニーデッド」が62%と圧倒的だった。「レッツ・ゴー」のテクノ的なサウンドもかなりいいのだが、僕も比べたらこちらを押すだろうな。○カーズの曲 - 「マジック」と「ユー・マイト・シンク」どっちが好き?どちらも『ハートビート・シティ』からのヒット曲で、「マジック」のビデオはリックが真っ青な空の下、プールの水面に立ちマジック的な演出が面白いものだった。当然、「ユー・マイト・シンク」の圧勝と思っていたが、意外に「マジック」も善戦の47%。「ユー・マイト・シンク」のビデオはCG合成の嵐でかなりポップで先鋭的な仕上がりで、84年当時はやりまくっていたマイケル・ジャクソンの「スリラー」のビデオを押しのけてMTVミュージックビデオアウォードを受賞している。○カーズの曲 - 「ハロー・アゲイン」と「ドライブ」どっちが好き?これも両方とも『ハートビート・シティ』からの曲だ。「ハロー・アゲイン」は曲も微妙だし(!)、ビデオに至っては最悪だった。もともと、カーズのビデオは出来がよく、ポップだし、キュートな女の子が出てきていい感じなのが多かった。それをわざわざ、「ハロー・アゲイン」では巨匠アンディー・ウォホールを連れ出して監督させている。これがダメダメなのだ。ニシキヘビを首に巻いたモヒカンやSMの女王みたいなのが出てきたり、ふしだらなキスシーンが連続したりと、若かりし頃の僕は憤慨したものである……。驚愕の結果である。「ドライブ」が45%と負けているではないか!? 回答者のみなさん、どうかしてるぜ。「ドライブ」はベンジャミンのクールで切ない歌声に素晴らしいバラードではないですか。カーズの中でも僕は1、2を争う名曲と信じているのに。さらに、ビデオもモノクロ基調のカーズらしからぬ落ち着いた感じで、何よりも登場する女の子がとてもカワイイ。とてもカワイイ。2度言ってしまうほどかわいいのだ。カーズのビデオ、ジャケットに登場する女の子の中で1番である。ついでに、ベンジャミン、ニヒルでそこそこカッコイイ。でもベンジャミンはこのビデオから16年後、53歳の若さでこの世を去った。ガンには勝てなかった。オリジナルメンバーでの再結成はもう見られない。残念ですね。と嘆いていたら、2011年、リックはベンジャミンの代わりなどいないと、代わりのベーシストを入れずに再結成を果たし、ニューアルバム『ムーブ・ライク・ディス』を発表した。ちょっと安心した。次回は、エアロスミスのあれやこれやを対決して見せましょう。8月26日(金)掲載希望。調査時期: 2016年7月16日~18日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 40歳以上1,067名(男性825名 女性242名)調査方法: インターネットログイン式アンケート
2016年08月24日ロックな映画を映画館で堪能する「シネ・ロック・フェスティバル2016」が、7月23日から8月5日まで、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで開催される。昨年に続き2回目の開催となる「シネ・ロック・フェスティバル」。最新のデジタル技術を駆使してリマスターされた映像や音で構成されるスーパースターの幻のライヴの数々が、あたかもライヴ会場最前列にいるかのような臨場感で体感出来るイベントだ。今年は、22本の貴重なロック映画が銀座の真ん中で2週間にわたって一挙上映される。上映作品には、トム・ヒドルストンが“ルーツ・オブ・ロック”と呼ばれた伝説のシンガー、ハンク・ウィリアムズを演じた音楽伝記映画『アイ・ソー・ザ・ライト』をはじめ、プリンスが自ら主演した自伝的青春映画『パープル・レイン』、J・K・シモンズ演じる指導者が、偉大なジャズ・ドラマーを目指す若者に狂気のレッスンをする『セッション』、オアシスのライブ映像を収録した『oasis FUJI ROCK FESTIVAL '09』などがラインアップ。また、エリック・クラプトンの代表曲のライヴシーンを網羅したライブ・ドキュメンタリーや、デヴィッド・ボウイの大回顧展を舞台にしたドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』、クイーン史上最高のパフォーマンスの一つと称される1981年のカナダ・モントリオール公演を収録した『クイーン・ロック・モントリオール 1981』、トーキング・ヘッズの画期的なコンサート・フィルム『ストップ・メイキング・センス』なども上映される。さらに、今年は国内から忌野清志郎やミッシェル・ガン・エレファントなどの国内のミュージシャンのライブドキュメンタリーが上映されるほか、ライヴ用の音響システムを使い大音量かつ繊細なチューニングで映画を蘇らせる「爆音映画祭」とのコラボイベント「爆音DAY」が、7月29日から31日の3日間にわたって開催され、選ばれた15作品が“爆音上映”される。上映スケジュールや上映時間、料金の詳細については、オフィシャルサイトで確認しよう。【イベント概要】「シネ・ロック・フェスティバル2016」会場:丸の内ピカデリー3住所:東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン新館5F会期:7月23日~8月5日 ※7月29日、30日、31日は爆音DAYとなり、全作品爆音上映料金:各作品によって異なる(詳細は公式サイトにて)Photographer: Brian Duffy (c) The David Bowie Archive and (under license from Chris Duffy) Duffy Archive Limited
2016年07月22日●プラスチックスの40年間1970年代末から80年代初頭にかけて精力的に活動したテクノポップバンド・プラスチックスが2016年、結成40周年を迎え再結成し、初の公式アーカイブ本『PLASTICS 情報過多 -TOO MUCH INFO-』(発売中 3,800円税別 徳間書店)を刊行。それを記念したトークイベントが5日、都内で行われ、中西俊夫らメンバー3人が登壇した。「Too Much Information」。これは、バンドの1stアルバム『WELCOME PLASTICS』(80年)に収録されている楽曲のタイトルで、その中では、情報に埋め尽くされ記号化していく世界都市・東京の様子がシニカルに歌われていた。それとよく似た副題が冠されたアーカイブ本は、当時の雑誌記事のスクラップなどで、彼らが"どう語られてきたか"、そして現在のメンバーのインタビューや著名人のコメントなどで"今、どう語るか"といった主に2つの視点で構成されている。しかしトークで中西自身も語っているように、バンドはこれまで数度、散発的に再結成公演を行ってきてはいるものの今年に至るまで、活動の空白期間は短くない。そのため、ここであらためて、彼らの活動歴を振り返りたい。○バンドのこれまでと現在プラスチックスは1976年、イラストレーター・中西、スタイリスト・佐藤チカ、グラフィックデザイナー・立花ハジメを中心として結成。幾度かのメンバー交代を経て、1979年のデビュー時には3人に加え、後にプロデューサーとして名をはせた故・佐久間正英さんと作詞家・島武実が集まった。もともとプロのミュージシャンだったのは佐久間さん1人というアマチュア精神を押し出したバンドは、リズムマシン・CR-78による軽快なドラムやシンセサイザーなどのチープな電子音を基調としたテクノポップサウンドを構築する。"ヘタウマ"な演奏と皮肉っぽくも軽く見せた姿勢で評価を獲得し、ザ・スミスやアズテック・カメラといったバンドが在籍した英国の名インディーレーベル、ラフ・トレードからデビュー。逆輸入的に日本でも話題となるとP-MODELやヒカシューと共に"テクノポップ御三家"として、並び評された。以降も、海外ではB-52’sやラモーンズなど名だたるアーティストと共演。国内でも音楽番組など多数のメディアに登場した。1981年、デビューからわずか2年で解散してしまったが、その都市的でシニカルな"キッチュ"に満ちた感覚は、その後もピチカート・ファイヴや、現在ではポリシックス、きゃりーぱみゅぱみゅなどにも受け継がれていると言えよう。そんなプラスチックスの40周年となる今春は、アーカイブ本のほか、さまざまな企画が進行している。4月には、3枚のオリジナルアルバムのリマスター盤をデラックス・エディションとして再発。トーキング・ヘッズの前座を務めた米国・ニューヨークでのパフォーマンスを収めたライブ盤『We Love You Oh No! PLASTICS Live in Central Park NYC 1981』もリリースされた。5月10日には、ブルーノート東京で2部公演を開催する。●トークイベントで明かされたメンバーの思いトークイベントに登場したのは、中西、立花、島の3人。セックス・ピストルズのシャツを着込んだ中西をはじめ、ラフな装いでひょうひょうとした雰囲気を醸し出しているが、全員還暦を迎えていることもあり、テクノポップの立役者であったバンドの一員たる貫禄を見せた。○「あっと言う間」の40年と再発されたオリジナルアルバム3枚「40周年って言っても、実質上(活動していたのは)4年くらいで、後の35、6年はほとんど何もやってないからね」と笑う中西。「あっと言う間に時間がたってしまって、いっぱい人も死んでね…」と、始まりから佐久間さん(2014年に逝去)を思わせる発言を繰り出すと、島も「再結成も2、3回しかないから、4年と2日って感じだよね」と口をそろえる。初となるリマスター盤の発売は昨年、捨てようとしていたカセットテープを聴き返したところ、「再発したい」という思いが強くなったことで、実現に至った。おのおのが特に気に入っているアルバムは、立花は悩みながらも決められず「全部」、中西も「全部だよね」としつつ「強いて言うと『WELCOME PLASTICS』かな」と回答。島が「僕も同じだけど、2枚目(『ORIGATO PLASTICO』)をこないだ聴いてビックリした」と話すと、中西が当時を振り返り「いきなりホワイトアルバム(ザ・ビートルズの10枚目となったアルバムの通称)になっちゃったからね。皆けんかしてるし」と苦笑した。○タイトルミスのライブ盤と島の"几帳面さ"でできたアーカイブ本一連のアニバーサリー企画は、中西によると「島ちゃんがセントラルパークのテープを発見してからの話」。しかし、そのパフォーマンスを収めたライブ盤にミスが発覚した。これに中西は「誰も気がついてないんだけど」と前置きしながら、「(タイトルに)"81"ってあるじゃん。ライブは80年だった」と明かす。テープを掘り出した島も「それが分かった時はすごい焦って」と打ち明け、中西が「Facebookで(告知した時)も誰か気付くかと思ったんだけど、そうでもなくて。すいませんでした」と謝罪。司会から「拡散しちゃって良いんですか?」と問われると、「公表しちゃったんで良いですよ」といたずらに笑ってみせた。一方、初のオフィシャル書籍となったアーカイブ本について、中西は「もっと早く出したかった。何でこんな時間がかかったんだろう…」とコメント。そこで思い出したように「島ちゃんが(資料を)ためこんでたからだ。それを一気に放出したからこんなことに」と話題を振ると、島は「一度も捨てることができなくて…ずっと持ち歩いてた」と告白。舞台上で初めて同誌を読み始めた立花に「しゃべれよ」とツッコミを入れつつ、中西は「うれしいね。当時からインタビューで『写真集出したい』とも言ってたから」と補足した。当時の雑誌記事も掲載されていることには、中西も「チカさんの(出身の)長野の新聞とかね(笑)。よく持ってたね」と感心。それを受けて島は「小さい記事まで全部ファイルに詰めてた。まだまだあるんですけど、出そうと思えば2冊目も」と発言し、観客だけでなくメンバー2人をも驚かせた。そんな島の几帳面さはリマスター盤の特典であるDVDの映像も、VHSに収めていたほどだ。○それぞれのメンバーへの思いその場で一通り読み終えた立花は、同誌内のインタビューで「島ちゃんがすごい僕のこと褒めてくれててうれしかった」と喜びを口にする。島は、「バンドからソロまで(各メンバーの印象は)変わらない」としながら、通読してみると佐藤の語り口が「面白い」など新たな発見もあったようで、「こうして今があるんだなってね」としみじみ。「佐久間くんのインタビューがあれば良かったんだけど、まあ彼はいろんなとこでしゃべってたので」とその不在を惜しみながら、立花には「すごいマジメ…真面目ですね」と称賛を重ねた。そんな2人をよそに、「僕は全部想定内」と中西。メンバーの発言に驚きはなかったというが、著名人として布袋寅泰から寄せられたコメントの「中西さんの目は笑ってなかった」という一文には「ちょっとウケました。『どんだけ怖がられてたんだ』って」とツッコミを入れた。○「ちゃんとやんないとこの先、生きていけない」 - 意気込みの再結成ライブ40年目にして最長の舞台となる再結成ライブについて、中西は「2部のステージなんで(オリジナルの曲を収録しているアルバムは)2枚しかないから1、2回しかやってなかった曲も全部やらないと」と身構えながらも、「集大成的なものにしようかな」と気合十分。立花も「楽しみにしてます。ちゃんとやんないとこの先、生きていけない」と強い意気込みを語った。そんな3人も最年少だった中西が今年還暦となり、全員が60歳超え。「なってしまった。意外とくるもんだな」と感慨を語ると、立花は「なった時にはあんまり…その翌々年に誕生日祝いを皆がやってくれて。それはすごいうれしかった」と振り返る。これに、中西はすかさず「この人、イケズで『還暦のパーティーなんかやんない』って言ってたら本当にスルーされたから、2年後にサプライズでだけどね」と裏側をポロリ。続けて、「でも下手に派手にやると早死にしちゃうからね。まーちゃんみたいに」と佐久間さんをしのぶと、島も「そうねぇ…佐久間くんは派手にやったよねえ」と懐かしんだ。デビュー40周年となったプラスチックス。再結成ライブは10日、ブルーノート東京で2部構成で実施する。なお、それ以降の活動継続も明かしているが、夏フェスなどへの出演については、中西いわく「ちょっと秘密」とのこと。黎明期のテクノポップを支えたそのサウンドに、あらためて耳を傾けたい。
2016年05月09日WWDC15で発表された際、提供予定の100カ国の中に、果たして日本は入っているのか?とやきもきしていたApple Musicだが、足並み揃える形で1日に国内でもサービスがスタートした。対応デバイスはiPhone/iPad、Mac、Windows PCなどで、Android端末も秋には使えるようになる。サービスのローンチにあわせて、アップルはiOS 8.4とiTunes 12.2をリリース。iOSデバイス、MacのユーザーはそれらをインストールすることでApple Musicを利用できるようになる。Apple Musicは、ストリーミングを中心とした定額制の音楽サービスだ。グローバルで3,000万曲を超える楽曲を揃えているという。早速、プランを選択しサービスを利用してみたのだが、これは衝撃だ。初めてセックス・ピストルズを聴いて1,000枚持ってるレコードを10枚に整理し再出発を決意したくなるくらいのインパクトがあった。新しい「ミュージック」アプリでは、画面下に5つのタブが並ぶ。このうち「My Music」は、従来の「ミュージック」アプリを統合したもので、ライブラリやこれまでに作成したプレイリストが表示されるようになっている。アプリを起動すると、サービスの紹介に続いて初期設定画面が表示される。登録を行うと「あなたのお気に入りをおしえてください」「あなたのお気に入りを選択してください」と、好きなジャンルにミュージシャンやバンドをチョイスするよう促される。気になったらバブルを1回、大好きだったら2回タップし、興味のないものは長押しで消していく。この過程がもう楽しく、自分が好きなミュージシャン/グループが提示されるまで延々とアーティスト探しの旅を続けてしまう。挙がって来る候補も「これ好きでしょ?」とか「やっぱり、これはないよね」と、実際に対話しているかのような感じで進んでいくのだ。このあたりは、クラブDJに、さっきかけてた曲って何?と訊いて、レコードバッグ覗かせてもらってるような感覚でもある。それで、好みが反映された(と思われる)プレイリストを「For You」のタブで見てみると……。驚くべきほど完璧な提案がなされているのだ。自分はデヴィッド・ボウイとブライアン・イーノを「大好き」でエントリーし、セルジオ・メンデスを「お気に入り」でセレクトしてみたのだが、お勧めの候補になんとトーキング・ヘッズが入っていた。イーノが初期ヘッズのプロデューサーであり、ボウイのバックでエイドリアン・ブリューがギターを弾き、デヴィッド・バーンがリオやバイーヤの音楽から影響を受けているといったことを知らなければまず、リストアップできないはずなのに。Apple Musicのウリのひとつである「人の手によるキュレーション」の精度を、早くも見せつけられた格好だ。脳をスキャンされたような気分と言ったら良いのか。機械的にはじき出されたプレイリストとは明らかに異なるテイストで、これは間違いなく「選曲家」の仕業である。クラブ/ラジオのDJや批評家だけでなく、日本で90年代に影響力があった、レコードショップのポップ職人たちを思い起こさずにはいられない出来なのだ。アルゴリズムを使ったレコメンドなら、ボウイとイーノで、共同制作/共演者のロバート・フリップを抽出するのがせいぜい、といったところだろう。だが、人の手が入っているApple Musicなら、ロバート・フリップとエイドリアン・ブリューをセットにして年末の来日公演が決定したキング・クリムゾンを推してくるに違いない(実際のところ、フリップもクリムゾンも日本では配信を行っていないので、そうはならないが)。ちなみにヘッズに関して言うと「My Music」の中には入っていない。単にライブラリを参照した結果が候補に挙がるということでもなさそうだジャンルごとに用意されているプレイリストは音楽に精通した担当者(「APPLE MUSIC EDITOR」)に依るものであるらしいのだが、一体、どんな人々がこの作業に携わっているのだろうか? 選曲はもちろんのことだが、曲順にも拘っており、例えば「エクササイズ/フィットネス」のプレイリストでは、運動量が増えるの見越して、段々とテンポの速い曲になっていくといった具合だ。ライトユーザーにもヘビーユーザーにも受け入れられるよう、様々なニーズに応じたセットリストが用意されているのも特徴だ。これで新しい職業が生まれるのではないかと妄想させるレベルの仕事ぶりである。「New」のタブでもAPPLE MUSIC EDITORが選曲を手がけている模様だが、ここでは"Rolling Stone"や"NME"といった老舗の雑誌に加え、"Pitchfork"といったエッジの効いたメディアのキュレーターによるプレイリストも楽しめる。この媒体の並びを見るだけでもAppleの注力度というか本気度が伺える。「注目のCONNECT:ビデオ」など動画もピックアップされており、現在、ファレル・ウィリアムスの特別なコンテンツが視聴できる。続いて「Radio」をチェックしてみよう。ここの目玉は何と言っても「Beats 1」だ。ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンの3カ所に、このインターネットラジオサービスのために作られたスタジオから24時間番組が配信されている。BBCのラジオ局「Radio 1」の人気DJ、ゼイン・ロウが中心となって組まれたプログラムは、流しっぱなしで聴くには丁度いい塩梅だ。Beats 1以外では「洋楽ヒットチャート」「2000年代ヒッツ」といった番組があり、こちらは好みでない曲が流れた場合はスキップできる仕様になっている。Beats 1を半日ほど流しっぱなしにしてみて、これはリスニングの環境も変化するだろうなと考えるようになってきた。これまではiPhoneやiPod、時々、iPadを使い、ヘッドフォンやイヤフォンで聴くことが多かったのだが、掃除してるときも音楽かけたくなるし、食事のときも音楽が流れていてほしくなる。iOSデバイスからBluetoothで、Beats by Dr.Dre Pill 2.0 スピーカーを鳴らしたり、Apple TVを使ってAirPlay経由でメインのAV機器に送るということが増えるような気がしている。3つ目の柱である「Connect」では、ミュージシャンとファンを結びつける場所を提供する。言ってみれば、ある種のSNSであるが、バックステージで撮ったスナップや、作りかけの歌詞、MVのラフカットにアウトテイクなど、ミュージシャンが見せたいもの聴かせたいものを置いておける。投稿に対してコメントをつけたり、それをメッセージ、Facebook、Twitter、Eメールで共有するといったことも可能だ。Connectは、ミュージシャンが自身で登録を行い、完全なディスコグラフィーやバイオグラフィーを作成したり、プロモーションに必要なキットを公開しておくこともできる。ミュージシャンのイメージ管理を徹底しておきたいという日本の芸能界にはピッタリの機能ではないだろうか。業界の慣習である、不満のあるカットを外す写真チェックやインタビューでの不都合な発言を削除するための原稿チェックも、事務所の思い通りになり、マイナスイメージとなる要因を100%排除できるようになる。Apple Musicの利用料は「個人メンバーシップ」で月額980円、「ファミリーメンバーシップ」は1,480円となっている。サービスの発表時、前者は9.99ドル、後者は14.99ドルとアナウンスされ、為替レートから、それぞれ1,000円越え、1,500円越えとなるのではないかという噂もあったが、ここは素晴らしく良い意味で予想を裏切ってくれた。素晴らしいと言えば、本当は筆頭に挙げなければならないのが、その「ファミリーメンバーシップ」だ。家族が最大6人まで、各々が使っているデバイス上でApple Musicに好きなだけアクセスして楽しめる。家族全員の買い物を一枚のクレジットカードで支払うことも、子供達が買った曲を保護者のデバイス上で承認することもできる。このファミリーメンバーシップがアナウンスされた瞬間、これでティーンエイジャーがお金を払って音楽を聴くようになる、カルチャーの中に音楽を取り戻す、まさにそのチャンスが訪れたのだと感じた。いや、カルチャーの中に音楽を取り戻すは言い過ぎかもしれない。若年層のCDの購入量は減っているものの、音楽を聴く時間は反対に増えているという調査報告もあることだし。だが、音楽に対してお金を払うという文化は明らかに衰退している。合法/違法に関係なく、YouTubeなどのサービスを利用し、「タダで」音楽を聴くのが習慣化しており、コンテンツに対してお金を払うという意識が意識が薄れている。そういった文脈が存在している上で、Apple Musicが広告表示を前提にした無料プランを用意しなかったのは英断であったと評価する。昨年米国でサービスがスタートしたiTunes Radioは結局、日本で提供されずにいる。無料プランがあって、聴き放題なんてとんでもない、という音楽業界からの反発があったのは想像に難くないが、今回のApple Musicではそういった抵抗に対して、ちゃんとロイヤリティあるから安心してくれというモデルを提示してきたのだ。上記のファミリーメンバーシップであらゆる世代の音楽を聴きたいという欲求に応え、きちっとその対価も支払わせる、これが機能すれば、人々はまた音楽にお金を払うだけの価値があることを再発見するだろうし、次の世代にもそれを引き継いでいくことになるはずだ。先を見越した全方位システムになっていることに、未だ渋い顔をしている業界関係者は気づくべきである。MTVが台頭した頃、ビデオがラジオスターを殺す、と歌われたこともあったが、Apple Musicは音楽を愛する人々を誰も殺さない(もし駆逐されるとしたら、音楽を利用して不当な利益を得ている連中だ)。iTunes Storeがオープンしたことで、アップルは結局、レコード業界の救世主となった。恐らく今回も、業界をピンチから救うこととなるのであろう。
2015年07月02日物語は14歳の少女が殺害されるというショッキングなシーンから始まり…と紹介すると、どれだけ残酷なシーンが…と観る前から眉をひそめる人もいるようだが、安心してほしい。『ラブリーボーン』は、連続殺人犯の手に掛かり、天国と現世のはざまにたどり着いた少女を主人公にしているが、いたずらに凄惨なシーンや残酷な描写はなく、どこか不思議な温かみすらもって物語が展開していく。それを可能にしたのは、ピーター・ジャクソン監督お得意の幻想的で美しい映像の力もあろうが、何より俳優陣たちの実力、特に主演のシアーシャ・ローナンの演技力によるところが大きい。シアーシャは、『つぐない』で13歳にしてオスカー候補に名を連ねるなど、その実力は折り紙つき。本作でも、悲しみややりきれなさを胸に秘めつつも、明るく、そして強い少女・スージーを見事に演じきった。“未来のオスカー女優”と誰もがその未来に明るい希望を彼女に託すが、15歳の天才少女の素顔は…?まさに“役柄になりきる”という表現がふさわしい。作品ごとに全く異なる人物としてスクリーンの中を生きるシアーシャ。無邪気な笑顔を浮かべるこの少女は一体どうやって“変身”するのか?「私にとってはカメラが回った瞬間にその人物になりきるというのはすごく自然なの。その人の頭で、その人の気持ちになって考えられるのよ。疑問が生じたら脚本に返って、もう一度読み込んだり、監督に聞いたり…。そう、最終的には監督にこれで合っているか確認しながら作っていく感じかな。だって、監督の作品だから、監督が望むものにしたいから。だから、理解できるまで監督とじっくり話をするわ。今回のピーター・ジャクソン監督は、ビジョンがすごくはっきりしてて、やりやすかった。彼と話をして、彼の下で演じるのってすごく安心できたの」。では、演じてみて一番難しかったのは?「この世のシーンと幻想的なあっちの世界と2つの世界を行き来するんだけど、意外かもしれないけど難しかったのはこの世のシーン。よく『泣く演技よりも笑う方が難しい』と言うけど、それと同じね。逆にこの世と天国の間のシーンでは、スッと役に入り込めたわ」。人の良さそうな隣人を装いつつ、甘い言葉で彼女を誘い込み、殺してしまう殺人鬼を演じたのはスタンリー・トゥッチ。実は、撮影現場でシアーシャは、彼とかなり親しくなったとか。そうしたことが演技に影響を与えてしまうようなことはなかったのだろうか?「そう、殺人者とその被害者の関係なのに、彼とは気心が知れて本当に仲良くなったの。でも、それが演技に悪影響を与えたことはなかったわ。むしろ、仲良くなったからこそ何でもできるようになったの。彼の前で必死になる場面も、ぎこちない態度を見せるシーンも、すごくやりやすかった」。ちなみに、2人が共にノミネーションを果たしたある映画賞の授賞式では、発表を待つ間、彼女はずっと彼の手を握っていたとか。冒頭にも述べたように、ショッキングな内容やジャクソン監督作品ということでその映像世界に注目が集まりがちだが、スージーや家族のドラマや時代背景といった部分が丁寧に描かれていることが、この不思議な物語にリアリティを与えている。物語の時代は1970年代。シアーシャにとっては生まれる20年も前の時代だが、この設定を彼女はことのほか気に入っているよう。「1970年代って大好き!この仕事してると、いろんな時代を行ったり来たりするものだけど、70年代のファッションや音楽、ヘアスタイルなんかもすごく面白いし、映画にとっても大事な部分だったわ。私の父親も母親も、家ではビートルズやイーグルス、トーキング・ヘッズとか、この時代の音楽をしょっちゅう聴いてて、私も大好きなの。映画の撮影の前にはこの時代の雑誌もいっぱい読んで、いろんなことを初めて知ったわ」。魅力的なその青い瞳は、10代半ばの少女らしく好奇心にあふれている。それにしても、役柄を通じてここまで様々な感情を見せられると、“女優”から離れた素の彼女は一体どんな女の子なのか?と考えてしまうが…。「“Who am I?(=私は誰)”ってことね(笑)。そうね、結構明るいタイプだと思うわ。冗談を言って場を和ませようとしたり。まあ…冗談が面白いかどうかは周りに聞いて!それから、アーティスティックなことや創作が好きで…あと、音楽は大大大好きよ。社交的ではあるけど、家にいて、犬がそばにいて、本を読んで、というシンプルな過ごし方も好きよ…とこんな感じかしら(笑)?」彼女が女優として、これからどんな道を歩んでいくのか?もちろん楽しみだが、少女と大人の境目を往き来する、彼女の“いま”しか見られない魅力を本作でたっぷりと感じてほしい。■関連作品:ラブリーボーン 2010年1月29日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開©2009 DW STUDIOS L.L.C. All Rights Reserved.つぐない 2008年4月12日より新宿テアトルタイムズスクエア、日比谷シャンテ シネほか全国にて順次公開©2007 Universal Studios. All Rights Reserved.■関連記事:J・ロウにレイチェル・ワイズハリウッドで活躍の英国スターが母国の演劇賞受賞『ラブリーボーン』15歳の天才女優シアーシャ・ローナンが笑顔で初来日!徐々にオスカー候補が見えてきた?英国アカデミー賞候補が発表に【どちらを観る?】奇才×ファンタジー『ラブリーボーン』&『Dr.パルナサスの鏡』メリルとサンドラ、主演女優賞受賞の2人がキス!第15回放送映画批評家協会賞
2010年01月29日