マキノノゾミ上演台本・演出、細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介出演の三人芝居『オーファンズ』が10月に上演される。舞台『オーファンズ』チケット情報本作は、蝕まれた心が愛によって癒されていく、というテーマで書かれたライル・ケスラーの脚本で、1983年のロサンゼルス初演以降、世界各国で上演されてきた作品。日本でも1986年に劇団四季で初演されて以来、椎名桔平や根津甚八ほか、そうそうたる俳優たちが上演を重ねてきた名作だ。3人の“オーファン(孤児)”の姿を描く本作。ひとりで弟を支えてきた凶暴な性格の兄・トリート役の細貝は「すごく難しい役だなとは思うんですけど、でも多分みんなどこかしらトリートの気持ちは経験したことあると思うんです。すごく愛情を注いでいたフィリップ(弟)の愛情がハロルドにいってしまう切なさ。そういうところを繊細に大事に演じていきたいです」。兄弟の家に迷い込んでくる男・ハロルド役の加藤は約3年ぶりの舞台出演。「やってみたい役だなって感じました。ハロルド役を高橋和也さんが演じられていたことがあるのですが、年齢的にも違うので、僕はどうしようかなって感じで。非常に魅力的な役だと思います」。細貝が「海外戯曲だと構えてしまうお客さんもきっと感情移入できる作品」と評した本作。がしかし、そもそも海外戯曲に構えがある人は多いもの。加藤が「日本人なのに海外の名前とか、そういう部分に照れがある」と明かすと、マキノも「それ、僕もある」。「そこをどう突破して着地できるのかっていうのは、僕にとっても長いことテーマであり続けました。身体の使い方から違うんだと思うんですよ。ト書き読んでても思うもん。『肩を抱いてやる』ってなかなか言わんよねって。だからまず血から入れ替えるような、背負ってる日本的なものをどれだけ切り捨てられるかがスタート地点になる。でもそういう作業って演劇のスリリングで面白いことではありますよね。“こんなに違う人に化ける”ってこと自体。だから海外戯曲をやるのは好きです」と語るマキノの演出で本作がどうなるのか楽しみだ。上演台本もマキノが手掛けるが「英語でやると20分の話が日本語に訳すと30分になったりするんだけど、そうなるともう身体に起こってることが違う。できるだけそこに齟齬がないようにやっていったら何が立ち上がっていくのか、どんな気持ちが起きるのか、そういう部分を楽しみにつくりたい」。「今までの公演を観た人は必見です!見逃してる人ももちろん必見だけど(笑)」(マキノ)という本作は、10月14日(土)・15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、10月18日(水)から22日(日)まで東京・草月ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年08月23日町田慎吾主演の戦国御伽絵巻『ヒデヨシ』が8月5日に開幕。それにさきがけ、公開ゲネプロが行われた。戦国御伽絵巻『ヒデヨシ』チケット情報本作は、2016年に上演された「『ソロリ』~妖刀村正の巻~」に続く「戦国御伽絵巻」シリーズ第2弾。戦によってつくられた「表」の歴史ではなく、その「裏」で生きた市井の人々の物語を描くために始まったシリーズで、今回も心情やドラマにこだわったオリジナル脚本で上演される。演出は大岩美智子(劇団ジュークスペース)、脚本は佐々木充郭(バジリコ・F・バジオ)。今作の主人公となるのは、町田慎吾演じる木下秀吉(ヒデヨシ)。前作にも登場した彼は、「人を殺したくない」という強い信念を持ち、刀ではなく“ホラ”を武器に戦っていく人物。信長の天下統一の先に平和な世があると信じ、軍師・竹中半兵衛(藤原祐規)と共に戦を起こさずに物事を解決に導いていくヒデヨシが、「戦の天才」と呼ばれる明智光秀(平野良)と対立しながらも、自らの信念を貫こうと奮闘する姿を描く。物語のベースとなるのは、織田信長と豊臣秀吉と明智光秀…この3人が巻き起こす、教科書でもおなじみの「表」の歴史。史実とシンクロしながら、その裏で、なぜヒデヨシはそのキャラクターとは無縁にも思える“天下”を目指すことにしたのか、なぜ明智は「本能寺の変」を起こしたのか、市井の人々はそのとき何を思ったのかなどを、徳川家康(鍛治本大樹)やオリジナルキャラクター・シャチ(佐藤永典)らも交えた独自のストーリーで展開する。“殺陣中心ではなく物語中心”にこだわり、個性豊かな俳優陣がこの作品ならではの人物像をつくりあげた本作。だからこそ刀の存在が印象的な舞台となっているように思う。幼いときからどう育てられてきたのかを太刀捌きに滲ませた光秀、躊躇なく人を殺める太刀筋の美しさが悲しさを引き立たせるシャチ、そして腰に差した刀を抜こうとしないヒデヨシと、その側でヒデヨシの想いを尊重する半兵衛……。時代劇には必須ともいえる殺陣で、これほどまでに斬られる痛みや斬る重みを感じさせられることは少ないはずだ。物語の始まりでは「この状況からどうやって“本能寺の変”に辿り着くのか」と思うはず。そんな中で、やさしいヒデヨシがなぜ天下を求めたのか、果たして刀は抜かれるのか、野心も陰謀も渦巻く戦乱の世で平和を愛した男の物語をぜひ劇場で目撃してほしい。戦国御伽絵巻『ヒデヨシ』は、8月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年08月08日オンチと称されながらも熱狂的に愛された伝説の歌姫の実話を元に描いた舞台『グローリアス!』が、8月18日(金)に開幕する。主演の歌姫フローレンス・フォスター・ジェンキンズを演じる篠井英介と、ピアニストのコズメ・マクムーンを演じる水田航生に稽古場で話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、1940年代のニューヨークで、驚くほどオンチでありながら、類稀な魅力で人々に愛されたソプラノ歌手・フローレンスの物語。篠井、水田、彩吹真央の三人芝居で、演出は鈴木勝秀が手掛ける。水田が「英介さんと彩吹さんが温かくて。演出のスズカツさんも“稽古場ではなんでもいっぱい試して”と言ってくださるので、恐れずに試行錯誤させていただいています」と語る稽古場。「あまり先輩と思わないでって英介さんも言ってくださる」と水田が笑顔で話す通り、ベテランの篠井も「お客様からすると、キャリア何十年の人も初舞台の人も舞台に立ったら同じ。観たい人を観るだけ」とフラットな空気。さらに「スズカッちゃんは穏やかで、役者の中から出てくるものを一生懸命拾い上げて膨らませてくださるのが他の演出家さんと違うところ。こうしろああしろと言うことはあまりない」(篠井)と、3人の俳優全員が、その力をのびのびと発揮する現場だ。描かれるのは、オンチなソプラノ歌手の少し笑える温かな物語。「これがフィクションだと嘘っぽいんだけど、本当なんだと思うとちょっと面白いですよね」と話す篠井が、主人公の歌手・フローレンスを演じる。女形として「久しぶりにしっかりした女の人の役なので嬉しい」とも語る役柄は、「とにかく音楽が好きで、人前で歌って喜んでいただくことが嬉しくって楽しくってという人。面白がらせようとか笑わせようというのではなくて、音楽を分かち合いたいっていう想いで歌っているので。その純粋さや明るさ、前向きさが大事で、それさえ持っていれば大丈夫なんだろうなと思います」。歌の芝居もチャーミングで、観ていると彼女のファンの気持ちがよくわかる。伴奏のピアニスト・コズメを演じる水田は「コズメは作品の中で唯一、心境が変わっていく人。だからこそ繊細につくっていかなければと思っています。ただ、英介さんがいつも言ってくださるのですが、個人プレーじゃないので。ひとつの役がほかのふたりによってより深まるような、そんな関係がしっかりと築ければ、登場人物それぞれがどんどん魅力的になっていくと思う」。三人芝居の魅力、物語の魅力、俳優それぞれの芝居の魅力が堪能できそうな本作。篠井も「夏のレジャーにぜひ!」と誘う公演は8月18日(金)から9月15日まで東京・DDD青山クロスシアターにて。その後、各地を巡演。取材・文:中川實穗
2017年08月03日劇団プレステージ第12回本公演『URA!URA!Booost』が8月16日(水)に開幕する。久しぶりに所属メンバー全員が出演する本作について、稽古場にて猪塚健太、石原壮馬、太田将熙に話を聞いた。【チケット情報はこちら】2005年にユニットを結成。2010年の劇団結成以来、“赤字を出したら解散”のルールのもと公演を重ねてきた劇団プレステージ。今作は、劇団の“直球ど真ん中”である、笑いあり、涙ありの泥臭くも熱いエンターテインメント作品になるという。「今回は応援団の話です。コメディなんですけど、その中で応援することの意味…なぜ応援しているのか、それは誰のためで、自分は応援することによってどうなるのか、ということを掘り下げていくお話になると思います」(猪塚)。その内容は劇団としての想いにもリンクしているといい「2年前の10周年のときに今作と同じ劇場で『Have a good time?』(再演)という作品をやらせてもらって。そのときは“他力”をテーマとした、“皆さんがいるから僕らがいます”っていうお話だったんです。今作はそのアンサーという感じで。12年目、メンバーの平均年齢も30歳以上になってきて、支えられているだけでは、力をもらっているだけじゃだめなんじゃないか、そろそろ“自力”でやるときがきた、という想いが詰まっています」。そんなある種の節目を迎えた劇団の中で、加入4年目のフレッシュなメンバーである石原と太田。現在、2.5次元アイドル応援プロジェクト「ドリフェス!」でも活躍中のふたりだが、太田は「今までは先輩方を見て、『すげー』とか『あの芝居いいな』とかばっかりだったんですけど、最近はなんか負けたくないというか。自分たちも進化しなきゃって想いが強くなっています」、石原も「ずっと先輩方に甘やかしてもらっていたけど、今は『ドリフェス!』などの経験を劇団に持ち帰って、刺激を与えられるような存在にならないとって。今回メンバー全員が集まることで、刺激し合える期間になれば」と伸び盛りな言葉に、先輩・猪塚も「うかうかしてられない」と笑顔。応援とは何か聞いてみると、石原は「結果的に自分を鼓舞するもの」、太田は「生き甲斐」と熱い回答。猪塚は今まであまり語らなかったという自身の経験を明かす。「高校がサッカーの強豪校で。僕はレギュラーになれず、応援のリーダーをしたんですよ。当時感じた、出場できない悔しさと、マジでがんばれっていう応援の気持ち、その混合した想いがこの作品ではリアルに描かれていて。脚本を読んで思い出して、話したくなりました」。応援団のパフォーマンスにも期待大の本作は、8月16日(水)から27日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演。チケットは現在発売中。取材・文:中川實穗
2017年08月03日8月5日(土)に開幕する「りさ子のガチ恋俳優沼」。『殺人鬼フジコの衝動』『私を知らないで』など人気小説の舞台版を多く手がける松澤くれはのオリジナル脚本・演出で、OLりさ子からイケメン俳優しょーた君への“ガチ恋”を描く。舞台「りさ子のガチ恋俳優沼」チケット情報しょーた君が出演する舞台にハマり、「がんばってる姿を観られるだけで幸せ」と応援していたりさ子が、彼女疑惑をきっかけに暴走し……という“俳優とファン”の愛憎劇となる本作。りさ子を演じる新垣里沙、しょーた君を演じる品川翔、謎のキーパーソンを演じる宮原将護に話を聞いた。品川が「この作品への出演が発表されて、いつも応援してくれてる方々から『ちょっと観に行くの怖いな』と言われたりして。観終わったきとに『どう思われるんだろう』という気持ちはあります。でも最後まで全力で演じて、伝えたいものが伝われば」と語ったように、生々しさを感じるテーマ。新垣は「だからこそ繊細につくらないといけないなと思っています。茶化すつもりもないと思うけど、私たちが繊細に演じないと。結果、茶化してるみたいにみえてはいけない。でも不安はないです。くれはさんを信じて演じていれば迷うことはないかなって」。過去に『殺人鬼フジコの衝動』に出演し、松澤のつくる世界が好きだという新垣。どこが好きかを聞いてみると「暗いです」とひと言。ただ、「今作はプッと笑えるところがあるんですよ。それが珍しい。そういう意味でも楽しみですね」、宮原も「以前拝見して、演出がとてもリアルで素敵な作品をつくる方だという印象があります。そこに参加できるのを楽しみにしています」と期待を寄せる。脚本を読んで、新垣は「普段、見えてるけど見ないようにしてたり、わざわざスポットを当てないところにわざと当てているので、お客様がどういう気持ちで観るのかなって。劇場の大きさ的にもきっと目の動きや息づかいも伝わって、すごくリアルになると思います」。宮原は「僕たちは俳優ですけど、お客さんがどういう気持ちで劇場に来てくれているのか、それをどう受け止めて板に立つのか、そういうことが考えられるなって。お客さんも、りさ子の役を通して自分がどういう感覚で舞台を観に行ってるのかを考えられる、そういうきっかけになるんじゃないかと思います」。ちなみに、劇中では、歴代総理大臣が戦うゲームを原作にしたという2.5次元舞台『政権☆伝説』も。品川は「これが初めての2.5次元舞台。すごく楽しみです」と笑顔。「りさ子は本当に普通の子。誰でもなり得る話だと思います」と新垣。どんな世界が描かれるのか、ぜひ劇場で確認して。公演は8月5日(土)から13日(日)まで東京・新宿シアターモリエールにて。取材・文:中川實穗
2017年07月28日瀬戸康史出演の舞台「関数ドミノ」が10月に開幕する。本作は、イキウメ主宰・前川知大の脚本・演出で、同劇団によって再演を重ねてきた代表作のひとつ。イキウメ以外による上演は今回が初で、演出は寺十吾が手掛ける。寺十と瀬戸に話を聞いた。舞台『関数ドミノ』チケット情報瀬戸は本作の出演について「僕は前川さんが好きで。昨年、『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』(作・演出:前川)でご一緒できたのですが、今年もこうして前川さんの作品に携われて嬉しく思います」と喜びを語る。寺十は、前川作品を初めて演出するにあたり「前川くんからは『お任せします』と言われました。注文は一切ないです」と明かし「そこ(=舞台上)は“そこ”じゃないとわかっているのに、俳優さんの芝居で“そこ”に見えてくるような演劇の基本的な楽しさと、前川くんが書く、ありえないはずなのにだんだんあるように思えてくる物語は、とても相性がいい気がしていて。だからすごく物語をつくらないといけないのと同時に、芝居の可能性を探していけるのが魅力です」と語る。瀬戸と寺十は初めてのタッグ。瀬戸が「僕は寺十さんと合うと勝手に思っています。稽古中はおそらく追い込まれるだろうと予想していますが、それも含めて楽しみです」と言うと、寺十は「実はドラマ『タンブリング』(2010年)から瀬戸くんを観ていて。『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』では憑依した状態で演技をしてた瀬戸くんがとても魅力的だった。この作品も楽しんで、満喫してほしいですね」と話し、笑顔を交わす。これまで2005・2009・2014年と上演されてきた作品。今回上演されるのは、14年版より“少しだけラストに希望がある(前川)”という09年版をベースに前川が改稿したもの。瀬戸は「09年版と14年版の間に東日本大震災があって。新潟出身の前川さんは、震災はすごく心に影響していると思うので、その生と死みたいな部分がこの作品においてどう重要になってくるんだろうと思っています」。寺十は「今回は人間ドラマのほうにポイントを置きたいです。(劇中で起きる)奇跡そのものより、その奇跡を取り巻く人たちのほうをクローズアップしていきたいなと思っています」と演出プランを明かす。東京公演を皮切りに、北九州、大分、福岡、北海道、兵庫と巡演する本作。瀬戸は「これを演劇に触れるきっかけにしてもらえたらとても嬉しいです。個人的には地元の方たちに成長した姿を観ていただきたい」と福岡出身ならではの一言も。寺十が「演劇でしか味わえない、生でしか味わえない奇跡があるので、それを観に来てください」と語る本作は、10月から東京・本多劇場など全国7か所で上演。現在、東京公演と北九州公演は先行抽選プレリザーブのエントリー受付中、兵庫公演は先行先着プリセールを受付中。取材・文:中川實穗
2017年07月25日女性に人気のスマホパズルRPGゲームを舞台化した「夢王国と眠れる100人の王子様 ~Prince Theater~」が7月21日に開幕。それに先駆け、ゲネプロと合同インタビューが行われ、インタビューには小澤 廉(ティーガ役)、高崎翔太(リド役)、安達勇人(サイ役)、碕 理人(マッドハッター役)、吉岡 佑(フロスト役)が登壇した。舞台「夢王国と眠れる100人の王子様 ~Prince Theater~」チケット情報原作は、夢世界の王国に住む100人以上の王子様との恋が体験できるゲームアプリ「夢王国と眠れる100人の王子様」(通称:夢100)。400万ダウンロード超の人気スマホゲームアプリ初の舞台化となり、同ゲームの音楽CD「音100シリーズ」の登場キャラクターを中心とした総勢13名の王子様によるオリジナルストーリーで展開する。演出・脚本は、ますもとたくや。小澤は「コメディチックな部分があったり、(王子様同士の)関係性をみせる部分があったり。ゆるい部分とそうでない部分でメリハリのある演技をしていきたいです」、高崎は「原作で絡んだことがない王子様たちのかけあいがあったり、絆が生まれたり、そういう部分がゲームにない見どころなのかなと思います」、安達は「歌って踊ってアクションして、いろんな見所がありますのでぜひ楽しみにしていただきたいです。“夢王国”ということで観に来てくださった皆様がキラキラしたものを持って帰ってくださったら嬉しいです」、碕は「いろんな国チームのキャラクターや関係性がお届けできたらと思います。歌、ダンスと盛りだくさんですが、全力で楽しんでいただけたら」、吉岡は「13人の個性があって、本当に楽しい舞台になっていると思います。ぜひ姫君たちに観てもらえると嬉しいです」と、それぞれ挨拶。また、ふたつのエンディングについて「“太陽エンディング”はとにかくみんなでワイワイと明るい、“月エンディング”はしっとりとかっこいい王子様らしいエンディングになっています。どちらも観てもらえると嬉しいです!」と小澤。高崎は、公演Blu-ray&DVDが1月26日(金)に発売決定したことに触れ、「キャストがカメラを回してバックステージをみせる特典映像もあります!」とアピールした。王子様たちの個性がたっぷり詰まった舞台。ところどころクスッと笑えるお芝居はもちろん、王子様が全力で歌って踊る「音100シリーズ」のキャラクターソングや、舞台のために作られたオープニング曲・エンディング曲の披露、それぞれのキャラクターが表現されている優雅なアクション、そしてプリンセスへの甘いメッセージと、夢王国のキラキラした時間が一気に楽しめる濃厚な時間。ぜひ劇場で体感して!公演は7月25日(火)まで、東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。取材・文:中川實穗
2017年07月24日モト冬樹主演のヒーローコメディシリーズ第2弾「昆虫戦士コンチュウジャー2~激突!恐怖の戦士、ネオコンチュウジャー!~」が8月12日(土)に開幕する。本作は、地球の平和を守る昆虫戦士の中にひとりだけ中年男性(モト)が紛れている、というシュールなコメディ。劇団犬と串の主宰・モラルが脚本と演出を手掛け、2016年に初演、今年5月に再演し、今作は待望の第2弾となる。今作から出演する蔵田尚樹、TAKA、丹澤誠二に話を聞いた。【チケット情報はこちら】蔵田は『ちっちゃな英雄(ヒーロー)』(ジェラルド役)、『私のホストちゃん REBORN』(一真役)に続き3作目の舞台。早速「僕はまだあまり経験はないんですけど、今持ってる以上のものを出して“飛んで”いきたいです!」と、自身の役柄・鳥型生物の“バード貴族”にかけたコメントがスパーク。インパクト大のルックスも「髪型は飛んでるような躍動感を出してもらって…。衣裳も派手なので燃えてきました。この感じでカッコつけるのか、それともふざけるのか。どちらにしても楽しそうです」5人組ボーイズユニット・CUBERSの一員としても活躍中のTAKAは、認知されていないご当地アイドル・星 亜斗夢役。「僕も舞台は2作目で経験値はないですけど、普段の音楽活動と交わる部分がある役なので、そこは生かせたらいいなって」。パンチの効いたアイドル風衣裳には「この格好で認知されないことがあるのか(笑)」と笑いつつ「この役は、ファンの方もだけど、友達や家族も意外なんじゃないかと思います。だからこそ新たな自分が開拓されそうで楽しみ。振り切ってやっていきます!」丹澤は舞台「カレーライフ」、ミュージカル「スタミュ」(戌峰誠士郎役)に続き3作目。サックスプレイヤーという一面も持ち、大人な雰囲気があるが「僕が演じる五重乃トウゴ(蛍戦士)は、目立ちたがり屋だけどみんなに相手にされない役。実は僕も友達の前で歌ったり踊ったり勝手に始めちゃうタイプで(笑)。そういう隠し持っている面が生かせそうです」と意外な共通点も。作品には「新キャストが入ってよかったなとお客様に思ってもらえるように精一杯力を注ぎたいです」と熱い一面も見せた。「貪欲に笑いを“取り”に行きたいですね。鳥だけに」と熱く語る蔵田に、TAKAも丹澤も大笑いしつつ「思い切ってやるだけかなと思います!」(TAKA)、「楽しいだけじゃダメだけど、自分たちが楽しんでやってることは絶対舞台に出ると思う」(丹澤)とそれぞれ気合いは十分。「お客様を全力で楽しませるので、“とり”あえず来てほしいです!」(蔵田)という本作は、8月12日(土)から20日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。取材・文:中川實穗
2017年07月24日子供から大人まで楽しめるブロードウェイミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』が7月23日(日)に初日を迎える。その公開稽古と囲み取材が行われ、取材には川平慈英、鈴木壮麻、戸井勝海、中山昇、宮菜穂子、樹里咲穂、演出・鈴木裕美が登壇した。ブロードウェイミュージカル『フロッグとトード』チケット情報本作は、小学生の国語の教科書でもおなじみの人気絵本『ふたりはともだち』(著:アーノルド・ロベール)が原作の人気ミュージカル。2匹のかえる“かえる君”と“がま君”のおかしくも心温まるやりとりが描かれ、日本では5度目の上演となる。キャストの川平、中山、宮は初演から続けての出演、鈴木と樹里は2015年公演から2度目の出演、戸井は初出演。ガマガエルのがま君(川平)とアマガエルのかえる君(鈴木)が冬眠から目覚め、再び冬眠するまでの1年間を描く本作。公開稽古では、冒頭部分~前半の4シーンが披露された。原作絵本の雰囲気を再現したセットに、楽しい音楽と賑やかな会話で物語は展開していく。川平と鈴木が演じる2匹のかえるは素直で無邪気で実に魅力的。お互いが大好きな2匹のやりとりは愛らしく、見ていると思わず笑顔になる。そして、鳥やネズミ、カタツムリなどを次々と演じ、テンポよくかえるたちに茶々を入れるのは樹里、戸井、中山、宮。本番ではさらにさまざまな生き物を演じ、舞台をより楽しいものにする。稽古後の囲み取材では、まず演出の鈴木裕美が「新しくもう1回つくり直そうという感じで稽古できて、とても楽しいです。今回は、物語の魅力をより力強く、よりストレートにお伝えできるのでは」とコメント。キャスト陣は意気込みを聞かれ「5回目の出演にしてやっと理解できるシーンがたくさんあって(笑)。前回までは1シーン1シーン力技で、肩ひじ張ってみせてたんですけど、今回、頭から最後のエンディングが自分の中で一本繋がって、その波に乗れば、あとは自分が楽しむだけにやっとなれました」(川平)、「僕は2回目なんですけど、前回、死にもの狂いだったところから少し経って、自分の中で消化することができた部分などもふまえての今回です。今回もいろんな土地を回って、子供たちからおじいちゃんまでいろんな人にエールをもらいながら、この小動物の世界にみんなで共感していきたいなと思っています」(鈴木壮麻)。川平が「今は鎧を着ないと生きていけないような世の中だけど、この作品を通して少しでも、他人をあるがままで受け入れる寛容さややさしさを感じてほしい」と語る本作は、7月23日(日)の埼玉・志木市民会館パルシティを皮切りに全国で上演。東京では、東京芸術劇場 プレイハウスで8月16日(水)から20日(日)まで。取材・文:中川實穗
2017年07月20日東京都江戸東京博物館で7月4日から開催中の『2017年NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」特別展 戦国!井伊直虎から直政へ』。その開会前日に、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(毎週(日)後8・00 NHK総合ほか)で主人公・直虎を演じる柴咲コウが来場し、フォトセッションと質疑応答が行われた。「おんな城主 直虎」特別展 チケット情報井伊氏に代々伝わる『世継観音像』や井伊直親の『青葉の笛』など、井伊直虎や井伊氏にまつわる数少ない資料が出品される本展。展示を見学し、囲み取材に応じた柴崎は、「直虎さんの“花押”の実物を見たのは今日が初めてです。(直虎は)実在してたんだなと(改めて)感じました」と、直虎の花押が入った448年前の書状『井伊直虎関口氏経連署状』を見つめて感慨深そうな表情。印象に残ったものを問われると「個人的には刀がすごく好きなので、ついつい吸い寄せられてしまいます(笑)」とニッコリ。井伊直政の太刀『太刀 銘 来国光』や徳川家康所要の脇指『脇指 銘 備前国住長船勝光 宗光備中 於草壁作』をはじめ、数多く展示されている刀が気になったと話す。「直虎から直政へ」がテーマの本展。ドラマでこれから描かれる時代の物も展示されており、柴咲は「放送はまだ先ですが、いよいよ今週から直政役の菅田将暉くんとの撮影が始まります。彼とのお芝居の対峙をどうやっていこうかと思案しているところだったので、その良きヒントになったと思います」と話す。ドラマについては、「(直虎は)城主としては素人から始めているので、周りにいろんなことをうかがって。特に政次さんは、ライバルのようにやりとりしながら、実は支えてくれて。そこでいろんなヒントを得ながら、直虎さんオリジナルのやり方を編み出すようになったなと感じています。いよいよ20話から30話台へなっていくわけですが、(直虎に)もう少し知恵も出てきますし、機転も効いてきます」と直虎の変化を語る。これからの放送では「直虎さんは今までのおぼつかない政(まつりごと)のやり方では上手くいかない状態になってきて、それをどう治めていくかという展開になります。波乱も出てくるんですけれども、そこはなかなか説明がしにくくて…。とにかく見ていただきたいという思いでいっぱいです。特に30、31、32、33話は絶対、見てください!」と笑顔を見せた。特別展は、東京都江戸東京博物館で8月6日(日)まで、静岡県立美術館で8月14日(月)から10月12日(木)まで、滋賀・彦根城博物館で10月21日(土)から11月28日(火)まで開催。音声ガイドでは、ドラマで南渓和尚を演じる小林薫がナビゲーターを担当しているので、そちらもぜひ楽しんで!取材・文:中川實穗
2017年07月06日9月に上演される舞台『北斗の拳-世紀末ザコ伝説-』の制作発表会見が東京ドームシティ シアターGロッソで行われ、出演者の磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、水希蒼(A応P)と、宣伝隊長の川本成、オープニングライブを行うクリスタルキングのムッシュ吉崎、ビジュアルアドバイザーのAkemi.S.ミラーが登壇した。舞台『北斗の拳 -世紀末ザコ伝説-』チケット情報本作は、大人気漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、漫画:原哲夫)初の舞台化作品。しかし舞台の主役となるのは主人公のケンシロウではなく、彼らにやられる“ザコたち”という異色の物語となる。脚本は、舞台作品の演出・脚本を手掛け「JUNKサタデーエレ片のコント太郎」作家でもある川尻恵太(SUGARBOY)。演出は、開幕ペナントレースの構成・脚本・演出として国内外で活躍する村井雄。さらに、アニメでザコの断末魔や次回予告を担当した千葉繁が声で出演するほか、アニメの主題歌『愛をとりもどせ!!』を歌うクリスタルキングがガールズユニット・A応Pと共にオープニングライブで出演するなど、舞台ファンも原作ファンも注目のメンバーが揃う。会見では、まず水希が「『北斗の拳』は母がすごく好きな作品で、姉が“ユリア”って名前なんです」と熱いエピソードを披露。「キャストとしても、A応Pとしても出演できることが嬉しい」と笑顔をみせた。続いて磯貝も「大好きすぎて、本がふやけるくらい読んだ」と原作愛をアピール。「ザコの死に様がとても好き」と出演を喜んだ。河合は原作の連載が始まった1983年に生まれたことに触れ「まさかこのタイミングで演じることになるとは…しかもザコを。こんな記念すべき芝居はない」と縁を感じた様子。寿里は「“死に様”に集中して、ザコ中のザコを演じさせてもらいます!」と意気込んだ。日本舞踊などで活躍する花園は「(ザコとして)綺麗な所作で死にたいです」と花園ならではの演技プランも。林野が「最近は2.5次元が多いので、『北斗の拳』もキタかと思ったのですが…」と主役がザコで驚いたことを話すと、川本からは「今回は2.5次元じゃなくて3.5(ざ.こ)次元です!」とこだわりのツッコミが。ムッシュは「(今作では)ザコ歌手でいいな(笑)」とまさかの申し出。驚く出演者に「光栄」と笑った。舞台にはなんと北斗四兄弟の三男・ジャギも登場!原作同様の肉体で威圧感を放っていたが、川本から「角田信朗さんじゃないですか?」と問われると黙って舞台を去った。マイケル・ジャクソンらのコスチュームを担当してきたAkemi.S.ミラーがビジュアルアドバイザーで参加することも発表され、あらゆる面で期待が高まる本作は、9月6日(水)から10日(日)まで東京ドームシティ シアターGロッソにて上演。取材・文:中川實穗(c)武論尊・原哲夫/NSP 1983、 (c)北斗の拳-世紀末ザコ伝説-製作委員会2017 版権許諾証GP-907
2017年07月06日手塚治虫原作による舞台「Amazing Performance W3(ワンダースリー)」の宇宙初公演が7月1日(土)に開幕。それに先がけ、teamA(西島数博、フィリップ・エマール、川原一馬、椎原夕加里、石井咲が出演)の公開ゲネプロが行われた。Amazing Performance W3 チケット情報本作は、手塚治虫初期の代表作であるSF漫画『W3(ワンダースリー)』を舞台化したもの。言葉を使わない“ノンバーバル(=非言語)パフォーマンス”で表現され、日本語がわからなくても楽しめる作品となっている。構成・演出はウォーリー木下。物語は、宇宙の銀河連盟に集まる優れた生物たちが、戦争ばかりしている野蛮な星「地球」を救うか、反陽子爆弾で消してしまうかの評決をするところから始まる。銀河連盟は評決の前に、うさぎ・鴨・馬の姿に変身させた3人の調査員・W3を地球に派遣して、地球の実態を見極めることに。地球に到着したW3は、乱暴だけど純真な漫画家・星真一と出会うが、そこで事件に巻き込まれてしまう――。本作はノンバーバル・パフォーマンスだが、大前提となる部分だけは前説として日本語・英語・宇宙語(!)で話され、原作を読んでいなくてもスムーズに物語に入っていけるのでご安心を。セットは小さな部屋のみで、たった5人の出演者、ノンバーバル、原作はSF漫画……これだけでも作品に詰まった挑戦が伝わってくる本作。しかし実際にゲネプロを観て感じたのは、その“挑戦のすごさ”を超えた“驚き”と“ワクワク”だ。SFならではのコロコロ変わる状況や、たくさんの登場人物、ありえない出来事も、マイムやアクロバット、ダンス、そして映像、影絵、パペットなど、さまざまな表現を組み合わせることで、鮮やかに描き出される。さらに、銀河系が果物で表現されたり、影絵に生活用品が使われたり、車のハンドルがお皿だったりと、“星真一の部屋とそこにある物”が、どこまでもどんなふうにでも広がっていく様は、宇宙のようだった。W3がパペットで登場したり、アニメーションになったり、人間が演じたりするのも印象的。ひとつのキャラクターの演じ手がコロコロ変わるというのは普段ないことだと思うが、3次元が2次元になりまた3次元になるような不思議な感覚が楽しめた。この独特の舞台を体現する出演者は今回のTeamAと、TeamB(藍実成、坂口修一、梅澤裕介、松本ユキ子、関口満紀枝が出演)の2チーム。それぞれバレエ・マイム・アクロバットの分野でトップレベルのパフォーマーや俳優が揃っている。その身体能力でなければ実現不可能な世界をぜひ体感してほしい。現在、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて7月9日(日)まで宇宙初公演を上演中。本公演は11月から2018年3月まで上演される。取材・文:中川實穗
2017年07月05日人気脚本家・岡田惠和が書き下ろした舞台「ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~」の製作発表が行われ、出演者の栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊、脚本の岡田惠和、演出の深川栄洋が登壇した。今回、タイトルが映画「ミッドナイト・イン・パリ」に似ていることから、“パリ”ではなく“バリ”を舞台にした作品であることをアピールしようと、キャストは伝統的なバリの衣装で登場。南国ムードの中、終始和やかに会見が行われた。舞台「ミッドナイト・イン・バリ」チケット情報本作は、バリでの結婚式を翌日に控えた男女が織りなす“ハイスピード毒舌ラブコメディ”。現在放送中のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」や「最後から二番目の恋」など数多くの名作ドラマを手掛けてきた岡田のオリジナル戯曲となる。演出は、映画監督として『白夜行』や『神様のカルテ』など数々の作品を手掛け、テレビドラマ「ボクの妻と結婚してください」でも岡田とタッグを組んだ深川が担当。深川は舞台初演出となる。岡田は「とても濃い、4人のみの会話劇を、自由に書かせていただきました。笑って、泣いて、楽しめる。そして女とは、男とは、夫婦とは、みたいなことが観ているうちにじんわりくる舞台になると思います」とコメント。深川は「4人とも膨大な台詞量で、覚えるだけでも大変だろうなと思います…が、もっと大変にしてみようと思っています(笑)。歌、演奏、踊りをぶっこんでみようかなと。何が起きるかわからない舞台を毎日繰り広げられると思います」と話しキャストを驚かせた。栗山は「5年ぶりの舞台なので、それだけで緊張しております」と話しつつ、本作について「それぞれの欠点がとても人間らしく、愛されるキャラクターとして描かれている作品だと思います。本当に面白い作品だからこそ、きちんと演じて、楽しんでいただけるように努めたいです」と意気込む。溝端は「とってもチャーミングな4人の話で、笑いどころも、ハートフルな場面もある。気楽に楽しんで、笑いながら帰っていただける舞台になるんじゃないかなと思います」と話した。浅田は「よく考えたら18年ぶりの舞台で、今さら緊張しています。ただ、私の初舞台は芸術座(本作が上演されるシアタークリエの前身)だったので、初心に戻った気持ちでがんばりたいです。稽古がとても楽しみ」とニッコリ。中村は「僕は舞台はほとんどやってこなかったので、非常に緊張しております。映画『60歳のラブレター』でご一緒した深川監督はとても才能のある方で、また一緒にやれる喜びがあります」と期待を寄せた。公演は9月15日(金)から29日(金)まで東京・シアタークリエにて。その後、静岡・愛知・大阪・福岡など全国12か所を巡演する。取材・文:中川實穗
2017年06月30日『2017年NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」特別展 戦国!井伊直虎から直政へ』が、東京都江戸東京博物館で7月4日(火)から開催される。「おんな城主 直虎」特別展 戦国!井伊直虎から直政へ チケット情報現在放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」(毎週(日)後8・00 NHK総合ほか)は、戦国時代を生き抜き、後の徳川四天王のひとりで彦根藩の藩祖・井伊直政を育てた遠州井伊谷のおんな城主・井伊直虎の生涯を描いた物語。柴咲コウが主人公・直虎を好演し、今後の展開も注目を集めている。本展は、その登場人物に関連した資料や文化財を通じ、主人公ゆかりの地の歴史や文化を紹介するというもの。井伊直虎や井伊氏にまつわる数少ない資料が展示される。注目は、井伊氏に代々伝わる【世継観音像】(戦国時代 16世紀 井伊谷 龍潭寺)。龍潭寺外では初めて展示されるもので、本展のための調査によって仏像の厨子の背面に「『次郎法師』が大藤寺に奉納した」と書かれていることが判明したという。ドラマでは第8回「赤ちゃんはまだか」(総合テレビ2月26日放送)で、南渓和尚が仏像を彫るシーンが放送された(※実際は南渓和尚が彫ったという記録は残っていない)。ほかにも、直虎の花押が入った唯一の書状【井伊直虎・関口氏経連署状】(浜松市指定文化財 /永禄11年(1568) 蜂前神社・浜松市博物館保管)。ドラマ第13回「城主はつらいよ」(総合テレビ4月2日放送)では、直虎が方久に土地を与えるシーンとして登場した(※ドラマは実際に直虎の花押が記された書状の内容とは異なる)。同じく第13回で登場した、「今川仮名目録」として有名な、今川家が領国内を統治するために定めた分国法【今川家式目】(戦国時代 明治大学博物館)(※直虎が今川家式目を受け取った記録は残されていない)。さらに、第6回「初恋の別れ道」(総合テレビ2月12日放送)に登場し、井伊直親が身を隠していた信濃から井伊谷へ戻る際に寺野の地で寄進したと伝えられている【青葉の笛】(浜松市指定文化財/戦国時代 寺野六所神社)も展示。「青葉の笛」は、460年の時を超え、神社外初公開となる。今回、初めて展示されるものもあり、直虎ファンはもちろん、歴史好きも楽しめる本展。東京、静岡、滋賀と巡回するのでぜひチェックして!『2017年NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」特別展 戦国!井伊直虎から直政へ』は、東京都江戸東京博物館で7月4日(火)から8月6日(日)まで、静岡県立美術館で8月14日(月)から10月12日(木)まで、滋賀・彦根城博物館で10月21日(土)から11月28日(火)まで開催。取材・文:中川實穗
2017年06月26日しりあがり寿の漫画を原作にした舞台の第二弾、おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(ふたつ)が6月21日に開幕。初日に公開ゲネプロと囲み取材が行われ、W主演の唐橋 充と藤原祐規をはじめ、愛原実花、松本寛也、岡田あがさ、松本祐一、古谷大和、足立英昭、石田 隼、田代哲哉、福井将太、加藤良輔、米原幸佑が登壇した。おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』双 チケット情報昨年1月の初演が評判となり、同年5月にはテレビ版として おん・てぃーびー「真夜中の弥次さん喜多さん」(TOKYO MX『ブタイモン』内)も放送された本シリーズ。舞台化第二弾となる今作も、しりあがり寿の独特な世界観が、SUGARBOY・川尻恵太(作/演出)の手によって“歌あり・踊りあり・笑いあり”の舞台で再現されている。初演・テレビ版に続き、弥次さんを唐橋、喜多さんを藤原が演じ、ふたり以外のキャストはそれぞれ複数役で登場する。笑える、怖い、複雑、シンプル……読む人で感想が変わるような多面性を持つ原作を、その空気感までまるごと舞台化した本作。とうてい具現できないように思えることも、巧みに再現されている。「糊の里」をはじめ描かれるエピソードはどれもかなりシュールだが、歌や踊りなど舞台ならではの演出、そして弥次さん&喜多さんの圧倒的な魅力によって、あっという間に引き込まれる。さらに、そんなディープな世界に生きるキャラクターは当然異色だが、キャストたちが徹底的に演じきっているため、ありえない世界も色鮮やかに感じられた。ゲネプロ後の囲み取材では、藤原が「カオスでシュールなしりあがり寿先生の『真夜中の弥次さん喜多さん』を舞台化するということで、僕ら弥次喜多は、このカオスなキャラクターたちの中でどう普通の人間としていられるかが、ひとつのテーマだと思っています。お客さんの先導者になれるよう、ものごとを一つひとつ丁寧に受けていき、物語を面白く彩れたら」、唐橋が「僕ら全員でこのシリーズをまだまだずっと続けていきたいという気持ちなので、(本作は)その足掛かりになるひとつ目とも言えます。全員で一致団結して初日を迎えます!」とコメント。この日が誕生日の松本寛也をみんなでお祝いし、賑やかに本番へと向かった。お伊勢さんへの道のりを、イチャついたりケンカしたりしながら進んで(?)いく弥次さんと喜多さん。そのクセになるかわいさ、随所で見せるコンビネーションのよさを、ぜひ劇場で体感して!公演は6月25日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。開演前、いつもより少し早めに席へ着くと、面白い世界が見られるかも!?取材・文:中川實穗
2017年06月22日東京・有楽町に7月7日(金)に開業する「オルタナティブシアター」のこけら落とし公演「アラタ~ALATA~」の稽古場が公開された。舞台「アラタ~ALATA~」チケット情報本作は、極力言葉を使わずに、パフォーマンスで演劇のようなストーリー展開を構成する“ノンバーバル(非言語)パフォーマンスショー”。海外からの観光客も楽しめる演劇として、作を横内謙介、構成・演出を岡村俊一、サムライアクションディレクターを早乙女友貴、ダンスクリエイターをElina、音楽制作をMiliが担当する。物語の舞台は2020年のトーキョー。そこに、姫を守るために悪霊と戦いの中で、戦国時代からタイムスリップさせられてしまったサムライ・アラタが現れる。そんなアラタと出会ったのは、現代を生きるOL・こころ。こころはアラタを元の時代に戻そうとするが、過去から追いかけてきた妖怪が行く手を阻み――。稽古で公開されたのは、Elina演じるOL・こころの日常シーン、早乙女演じるアラタが魔物と戦うシーン、アラタとこころが現代の機動隊と対峙するシーンの3場面(※キャストは回替わり)。舞台の冒頭でもある、こころの日常を描いたシーンは、「言葉を使わないとはこのこと!」と見せつけるような鮮烈さ。Elinaを中心としたダンスで、日常の中でこころが感じる疎外感や孤独を描いてみせた。アラタの戦闘シーンでは、ダンスに殺陣を混ぜたというパフォーマンスが圧巻。岡村が「今、日本一の剣の使い手」と評する早乙女が、目にも止まらぬ速さからスローモーションまで自在に操る、美しい殺陣を披露。もちろんただ美しいだけでなく、その一つひとつが想いや状況を物語っており、表現の豊かさに驚かされた。また、どのパフォーマンスもMiliの音楽と合わさるとさらにドラマチックに感じられるのも印象的だ。出演者には、早乙女、Elinaのほか、オーディションで選ばれたニューフェイス・吉田美佳子ら、各ジャンルの次世代クリエイターが集結。公開稽古後には、その中から早乙女、Elina、吉田、そしてアクション部の塚田知紀、アンサンブルダンサーの林祐衣、パントマイムアーティストのSATOCO、構成・演出の岡村が登壇し挨拶。岡村からは「プロジェクションマッピングで壁面から天井まで視界全面に映像が映し出されます。劇場全体が押し寄せるような感覚です」「劇場には“フライング発射台”が備わっていて、フライングのスペシャリストも出演します」と劇場の最新設備を活用した演出の構想もチラリ。キャストたちは本作に挑む楽しさを生き生きと語り、本番への期待を高めた。「アラタ~ALATA~」は7月7日(金)からロングラン公演を予定。その日によってキャストが変わる“回替わり公演”が採用される。取材・文:中川實穗
2017年06月22日w-inds.の千葉涼平らをゲストに迎えた梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」が6月23日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。ストーリーのある演劇的な世界観をジャズダンスとJ-POPで創り上げる、男だらけのエンタテインメント集団・梅棒。最近ではミュージカル『キューティーブロンド』や舞台『刀剣乱舞』義伝 暁の独眼竜など人気作の振付を手掛け、俳優としてもさまざまな舞台で活躍中の梅棒だが、その単独公演は、ほぼ言葉を使わずにJ-POPや懐メロなどヒット曲にのせ、ダンスで物語を表現する独自のステージが人気。回を重ねるごとに注目が高まり、今回は過去最大規模となっている。この日は、舞台セットの入った状態で初めての稽古。梅棒公演初の学園モノ、そして梅棒らしいコメディ作品となる今作のセットは、あちこちに学校らしい小道具があり、見た目もにぎやか。説明を聞いた後、出演者たちはそれぞれセットの幅をチェックしたり踊ってみたりして感覚を確かめる。真剣だが楽しそうだ。その後、梅棒の塩野拓矢(梅棒)が担当する曲の稽古に。その曲に乗せる感情を丁寧に説明していく。振りを確認し、まずは踊ってみるメンバー。それを見て再び、より場面が伝わるようにダンスならではの動きの追加や、芝居としての目線など、修正が加わっていく。ダンスのレベルの高さは言うまでもないが、感動するのはストンとストーリーが伝わってくることだ。基本設定を把握しないままで、衣裳も着ていないのに、これがどんなシーンで、それぞれがどんなキャラクターで、今どんなことを思っているかがわかる。それは演出と振付と演者の表現力の賜物だろう。このシーンは千葉を中心に展開していたが、千葉のやんちゃさが新鮮だった。1曲通すと稽古場からは笑い声が。このときは後藤健流がキメのポーズでキャラを全開にしていた模様。ある程度できてくるとそれぞれのオリジナリティが見え始めるのも楽しい。総合演出を手掛ける伊藤今人(梅棒)からの修正や、メンバーからのアイデアも取り入れながらシーンをつくりあげていく。次は伊藤が担当する本作1曲目の稽古に。ほぼ全員が登場するこのシーンでは、個性豊かな面々がそのキャラクターを発揮。遠山晶司(梅棒)に伊藤から「キャラ作りを濃くするのはやめて!」とダメ出し(?)が飛ぶと、稽古場は笑いに包まれる。その後、楢木和也(梅棒)がオープニングの振りを教え始めると空気は一変。誰もが真剣に取り組んでいた。この日みられたのは1.5曲分ほどだが、本作の楽しさは濃厚に伝わった。本番を期待して待ちたい。公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木ほか、大阪、福岡、愛知にて上演。取材・文:中川實穗
2017年06月15日「昆虫戦士コンチュウジャー2~激突!恐怖の戦士、ネオコンチュウジャー!~」が8月に上演される。本作は、地球の平和を守る昆虫戦士の中にひとりだけ中年男性(モト冬樹)が紛れている…という新感覚のヒーローコメディ。2016年に第1弾、今年5月に再演を果たし、今作は待望の第2弾。作・演出を手掛けるモラル(劇団「犬と串」)、今作から出演する百瀬朔、初演ぶり2度目の出演となる伊勢大貴に話を聞いた。舞台「昆虫戦士コンチュウジャー2」チケット情報「笑ってほしいのと同じくらいびっくりさせたい。びっくりして笑うのが最高だと思うんです」とモラル。その言葉通り第1弾で描かれた戦いは“綱引き”で決着をつけた。「まさか綱引きで終わるとは…みたいなのは稽古場からあったし、お客さんの反応も楽しみだなって思ってました。今作でもまた別のアッと言わせるようなことがしたいです」。今をときめく若手俳優が多く出演する本作。そのシュールさと客層にギャップも生まれそうだが「観に来てくださる方のツボを突きつつ、裏拍でこちらの方向性のツボも押し続けることで、だんだん『そっちも面白い…』みたいになったらいいなと考えてましたね」という狙い通り、観客を爆笑させてきた。伊勢は「初演のとき、すごく面白かったんです。みんなで一緒に考えたり共有することが多くて、劇団『犬と串』に混ぜてもらったような感覚があって。今回も楽しみですね!」と楽しそうに振り返り、今回の出演を喜ぶ。モラルは「この作品はギャグをやるんですけど、百発百中を狙いにいくのとはまた違って、ウケなくても気にせず同じ熱量でやり続けていくうちに不思議なドライブ感みたいなものが劇場を覆って、最後のほうは何をやっても面白い、みたいな(笑)。そういうところを目指してみんなでやっていて。そこで伊勢くんは、笑いもかっさらうけどスベっても愛嬌のまま突っ走っていける。そこがすごく好きで、また一緒にやりたかったんです」。そんなコメディ作品に今作から出演する百瀬。「もうドキドキです。でも今日お話しして、楽しめたらいいなって。恐れず向かっていこうと思いました。このカンパニーに加われることが楽しみになりましたね」と笑顔。モラルも「プロ意識を持った人ばかりだからこそ、しっかりと遊んでいければ絶対にいいものになる」とキャストに信頼を置く。「コメディって僕らが振り切って楽しむのが一番観て楽しいと、僕自身も思うので。そういうところをひとつずつやっていきたいです!」(百瀬)、「自分の役割をしっかりと果たして、モラルさんの頭の中ものぞきつつ楽しみたいです!」(伊勢)とふたりも意気込む本作は、8月12日(土)から20日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。取材・文:中川實穗
2017年06月13日日本で37年目を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーターパン』。今年は、吉柳咲良の10代目ピーターパンが誕生し、注目の若手演出家・藤田俊太郎が演出に初挑戦と、新たな『ピーターパン』が誕生する。そんなか、6年ぶりにウェンディとして戻ってくるのが神田沙也加。新たな座組で演じる神田に話を聞いた。【チケット情報はこちら】2009年から3年間、ウェンディを演じてきた神田。抜擢には「すごくビックリして。『年齢設定がだいぶ離れてますけど大丈夫ですか?』って正直に聞きました」と笑う。けれど実は待ち望んでいたカムバック。「私、ジンクスがあって。もう一度出たい作品は観に行かないんです」と観なかったそう。「だからとても嬉しいです!」。6年ぶりに演じるにあたり「やっぱりそこは前回のトレースでは絶対にダメですよね。前回はやさしい、かわいい、あまーいっていう部分を打ち出したのに対し、今回はピーターパンと対峙したときの心境の変化だったり、ネバーランドに無邪気に憧れた後にくる例えば不安感だったりとか、そういう内面的な部分をもう少し見せられるようにしていけたらいいかなって。子供はもちろんですが、大人のお客様にも、ウェンディは今こう思ってるんだなっていうのをキャッチしていただけるような演じ方ができたらいいなと思っています」。子供も観られるファミリーミュージカル。実は神田にとっても生まれて初めて観たミュージカルだ。「お子様のお客様も多いから、思ったことをその場で口にしてくれたりするんですよ(笑)。そこで『そう観てくれるんだ』っていう発見もあったりして。みんなの表情からも“今こういう感情で観てるんだな”っていうのが伝わってくる。多分、気を使って笑ったりしないじゃないですか。面白いから笑うし、悲しいから黙っちゃったり、戦わなきゃいけないところは応援してくれたりして。だからお子様に観てもらえる作品って大好きです」。10代目ピーターパンの吉柳について「『私が審査員でも選ぶだろうな』ってくらい(笑)。中性的な魅力があって、フレッシュで、普通の服を着ていてもピーターパンでした」。先輩として教えることは?と聞くと「いやいや!」と謙遜するが、今作が吉柳の初舞台であることについては「初舞台というものが役者さんにとってどれだけ大事かっていうのはわかっているので、絶対に『楽しかった』って思わせてあげられる相手役でありたいと思っています。ずっとこの世界で活躍していっていただくためにも、最高の初舞台のお手伝いができれば」とやさしく語った。そんな新たな『ピーターパン』は7月24日(月)から8月3日(木)まで東京・東京国際フォーラム ホールC、6日(日)静岡・静岡市清水文化会館マリナート 大ホール、12日(土)・13日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年05月29日西原理恵子の同名漫画が原作の、劇団た組。第14回公演『パーマネント野ばら』が6月14日(水)から上演される。劇団た組。『パーマネント野ばら』チケット情報ある田舎で女のたまり場と化した美容院「パーマネント野ばら」を舞台に “愛すべき女性の強さとずるさ”を描く本作。主人公・なおこを演じる上野なつひ、なおこの同級生・ともちゃんを演じる飛鳥凛、脚本・演出を手掛ける劇団た組。代表の加藤拓也に話を聞いた。加藤にとって「長い間やりたいと思っていて、ようやく実現した」という作品。「すごくずるいし、すごくいやしい…でもそれを嫌いになれない。そこに女性という性に対しての愛が詰まっている、西原さんらしい作品だと思います」。その主演を務める上野は「ファンの多い作品ですしプレッシャーも大きいんですけど、自分も好きな作品に出られることが嬉しいです。実は一番狂ってる女・なおこを素敵に健気に演じられたら」と意気込む。劇団た組。の公演を『まゆをひそめて、僕を笑って』『楽屋』と観てきた飛鳥は「加藤さんの舞台の登場人物は魅力的な人ばかりで、一人ひとりに引き込まれる。私も本番ではそういう女の子に見られるのだろうなと思って。あんなふうになれるのは、どんな稽古なんだろうなって」と期待を語る。ふたりにオファーした理由を聞くと「僕はお芝居を作るうえで、“普段どうしているのか”ということを大事にしていて。(芝居で選ぶのではなく)話をさせていただいて人柄とかで(役と)雰囲気がピッタリやなって方にお願いしています」(加藤)。数えきれないほど俳優と会い「一番なおこにピッタリだった」という上野は「なおことは似てる部分が多い。劇中の『何もないのに愛されたい』という台詞が好きなんですけど、私も同じことを思っていて。周りの人は何もないなんて思ってないし、何かはあるんだけど、自分自身が何もないと思ってしまっている。その弱さと欲張りさが似てると思いました」。飛鳥は「ともちゃんと自分はかけ離れた雰囲気。女性ってこうも激しいものなんだなと思いました。すごく魅力がある人なので、愛して演じていきたいです」。それに対して加藤は「稽古場でやるのは『この感情になろう』じゃなくて『この感情はどうやって生まれてくるんだろう』という作業。だから(俳優と役が)離れてるとかは気にしないんです。大事なのは雰囲気」と話す。「実は先日、西原先生にお会いしたんです」と上野。「先生も『好きな作品なので舞台化されて嬉しい』とおっしゃってましたし、頑張らなきゃな」と笑顔で語った。公演は6月14日(水)から18日(日)まで東京・浅草九劇にて。取材・文:中川實穗
2017年05月26日落語家・三遊亭圓朝の長編人情噺を原作にした芝居噺『名人長二』が5月25日に開幕。本作は、小泉今日子が仲間と共に立ち上げたプロジェクト「明後日プロデュース」の第二弾公演。小泉が舞台初演出を手掛けた『日の本一の大悪党』に続く作品で、今作は俳優として活躍する豊原功補が企画・脚本・演出・主演の4役に挑む。その稽古場に潜入した。芝居噺『名人長二』チケット情報『名人長二』は、「死神」などでも知られる三遊亭圓朝による落語速記(口演を文章化したもの)。フランスの小説家ギ・ド・モーパッサンの短編小説「親殺し」をもとに、近所に住んでいたという指物師(箪笥や箱などを作る職人)長二郎をモデルにして新聞連載として発表した。圓朝自ら高座へあげたことはなく、古今亭志ん生ほか数人しか手を付けていないため、落語ファンでも未体験の人が多い演目だ。出演者は、豊原のほか高橋惠子、山本亨、森岡龍、モロ師岡、梅沢昌代、花王おさむ、菊池均也、神農直隆、岩田和浩、牧野莉佳という重厚感のある顔ぶれ。稽古開始前の時間。豊原は舞台上に作られた高座でまくら(本題への導入となる小噺)を練習していた。今の状況を落語風に話してみたりと、豊原の落語愛が伝わってくる。そして始まった稽古。まずは代役を立て、演出家として見ていく豊原。芝居全体はもちろんだが、例えばボケツッコミの間合いのよさ、鼻歌ひとつで伝わる登場人物の性格など、“落語の面白さ”とも言える部分に徹底的にこだわりながら場面をつくりあげていく。そうやってシーンを何度か繰り返した後、豊原が役者として参加。そうすると空気が締まり、シーンがよりクリアに見えたのは印象的だった。また、舞台初出演の森岡のダメ出しにこたえる姿にも真摯さが滲み、本番への期待につながった。落語ならではの短いテンポで変わっていく場面は、大掛かりなセット転換ではなく、シンプルに小さなワゴンの移動や組み合わせで表現される。冒頭で、噺家が語り描く世界がワゴンの移動によってするりと“演劇”に転換された様子に、落語が始まるまさにその瞬間のグッと引き込まれ目の前に世界が広がる感覚を味わえた。そのほかにも、小道具が手ぬぐいと扇子で表現されていたり、三味線の生演奏が入るなど、落語の香りを濃厚に漂わせながら、生身の人間が演じる演劇ならではの広がりを感じさせる本作。稽古を見ていると『名人長二』の面白さを知り、落語でも体験したくなった。落語好きは演劇の、演劇好きは落語の魅力を体感できる作品になりそうだ。公演は6月4日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年05月26日『幻想奇譚 白蛇伝(げんそうきたんはくじゃでん)』が5月25日(木)に開幕。前日に公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には山下聖菜、伊勢大貴、椎名鯛造、兼崎健太郎、秋 夢乃、Kimeru、伊阪達也、反橋宗一郎、横井寛典、鷲尾修斗、秋沢健太朗、齋藤健心が登壇した。【チケット情報はこちら】「白蛇伝」は、中国で「西遊記」「水滸伝」「三国志」に並ぶ四大民話のひとつで、妖(あやかし)と人間の許されない恋が描かれている。脚本・演出は菅野臣太朗。ゲネプロ前の囲み取材では、自身の役どころについて白蛇の化身・白娘(パイニャン)を演じる山下は「妖なんですけど、他の妖とは違って人間に愛がある。それをまっすぐ貫いていく強さが魅力的な役です。唯一、二面性があるキャラクターなのでその部分にも注目してもらえたら」とコメント。心やさしい薬売りの青年・許仙(キョセン)役の伊勢は「(亡き)両親から聞いていた歌が大好きな青年です。歌を通してやさしさを表現していけたらと思っています。いろんな人と関わる中で見せる表情にも注目してほしいです」、青魚の化身・少青(シャオチン)役の椎名は「少青は白娘のことがすごく好きだけど面と向かって言ったことはない、幼馴染みたいなイメージの役です。突然ライバルが出現して色々複雑だけど、こういう愛もいいなと思っていただければ」とそれぞれ話す。作品については、僧侶・法海(ほうかい)役の兼崎が「『白蛇伝』は中国の作品で、立ち回りも中国ならではの動きがあります。僕自身も中国武術が大好きなので楽しみながらやっています」、女狐の化身・胡媚娘(フーメーニャン)役の秋が「終盤、胡媚娘が白娘と対決するシーンでは、人間と妖、どっちが正義だかわからなくなる。そこも(『白蛇伝』に込められた)メッセージなのでぜひ観ていただきたいです」と紹介した。殺陣や歌など見どころの多い本作。特に中国武術を取り入れたアクションは迫力満点で、中国武術世界一の実力を持つ横井らが繰り出す殺陣にぜひ注目して。また、身軽なキャストが揃っているため、さり気ない場面でも身体能力が生かされた動きが散りばめられているのも楽しい。ほかにも、白娘が白蛇に変身する際の演出や、山下と伊勢が恋する気持ちを乗せたかわいらしい歌唱シーンも印象的だった。舞台セットの美しさや、細部まで手の込んだ衣裳にも目を奪われる作品。ぜひ劇場で確認して!公演は5月30日(火)まで東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて。当日引換券は公演前日まで発売。取材・文:中川實穗
2017年05月25日1999年にトニー賞最優秀作詞作曲賞、最優秀脚本賞を受賞した秀作ミュージカル『パレード』が5月18日(木)、遂に日本初演を迎えた。主演は石丸幹二と堀内敬子、演出は森新太郎。石丸と堀内は「劇団四季」時代以来17年ぶりのミュージカル共演、森はミュージカル作品を手掛けるのは初となる。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、20世紀初頭に起きた冤罪「レオ・フランク事件」を題材にした作品。南北戦争終結から半世紀が過ぎてもいまだその空気を引きずるアメリカ南部を舞台に、人種差別や権力争い、そしてマスコミ、世間によって無実の人間が犯人に仕立て上げられていくさまと、夫の潔白を証明しようとする妻の奮闘を描く。大掛かりなセットがほとんどない舞台。大きなセット転換もなく、照明の当て方でシーンが変わるシンプルさだ。ただし前方に向かって傾斜のついた八百屋舞台になっているため、舞台上の様子が奥までよく見え、登場人物一人ひとり、本作の重要な存在である“民衆”の表情までわかる。本作の伝えたいものがそこからも感じられる。物語の発端は13歳の少女の殺人事件。しかし本作が主に描いているのはその“真相”ではない。それを取り巻く怒り、妬み、憎しみ、狡さ、正義感、プライド、愛……。それらが絡み合い、膨らんで、ある夫婦の運命を変えていく様子だ。それを伝えるキャスト達の豊かで繊細な芝居、歌唱は本作のなによりの魅力。シンプルな舞台を熱で満たす。終演後、石丸が「今のこの時代だからこそ観ていただき、考えていただきたい。そんな作品だと思います」と話したが、劇中、今この人たちは何を思うか、と考える瞬間が何度もあった。登場人物の一人ひとりを見ると悪い人間はほとんどいない。けれどその人たちが“正義”と名付けられたものに目がくらみ、嘘に加担し、“民衆”として大きなうねりを生みだし、冤罪を生んだ。ここに自分も参加しているのではないかということは、考えずにはいられない。石丸が「かなりヘヴィーな内容に、皆様も今どのような気持ちで手を叩けばいいのか、いろいろ交錯しているかもしれません」と客席に語り掛けたカーテンコール。この日は日本初演・初日を記念して、演出の森と、脚本のアルフレッド・ウーリーも登場した。森が「おかげさまでいい緊張感に包まれた初日を迎えられました」と挨拶すると劇場は熱い拍手に。アルフレッドは「この作品で描かれている出来事は、地球の裏側の私の生まれ故郷で起こったことです。それをこの遠く離れた日本で具現化できたことは、私に感動をもたらしてくれました」とキャストに拍手を送り、キャスト達も笑顔で応えた。公演は6月4日(日)まで東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・文:中川實穗
2017年05月22日真田十勇士をモチーフにした同名漫画が原作の舞台「BRAVE10」(ブレイブ・テン)が6月に上演される。舞台「BRAVE 10」チケット情報原作は、ドラマCD化やテレビアニメ化もされ、本編の連載終了後には熱い声を受け続編とスピンオフ作品が連載されるなど、多くのファンに愛され続ける霜月かいりの人気作。若き忍者・霧隠才蔵と、徳川家康の手の襲撃者に社を焼かれ、真田幸村に頼ろうとする出雲の巫女・伊佐那海(イサナミ)との出会いから始まる物語で、才蔵ら真田十勇士が伊佐那海の持つ奇魂(くしみたま)を狙う者たちと戦う姿が描かれる。主人公・霧隠才蔵を演じる中村優一に話を聞いた。「舞台化が発表されたときに、たくさんの原作ファンの方々の存在を感じて。プレッシャーもありますが、原作を大切にがんばりたいという気持ちが強くなりました」と話す中村。原作を読んだ感想を聞いてみると「本当に面白い作品だなって思いました。描写にスピード感や疾走感があって、出てくるキャラクターも一人ひとり個性的でユニーク。服装や武器が丁寧に描かれているので、戦ってるシーンすらもきれいで…。先生が妥協せずに描かれてるのがすごく伝わってきます」と熱く語る。自身が演じる霧隠才蔵については「大事なときに男らしいところが好きです。例えば誰かを助けるためにウソをつくような、そういうところがかっこいい。一見ぶっきらぼうだけど、伊佐那海に対してふと出るやさしさだったり男らしさに憧れます」。アクションも期待したい作品だが、実は中村にとってアクション満載の舞台作品は初挑戦。「アクションの多い舞台がやりたくて、この作品が決まる前から自分で殺陣の練習に行ったりしていたので、今から楽しみです!才蔵は武器も大きいですし、ダイナミックさが出せたら」と気合も十分だ。そんなアクションに加え大切にしたいと語るのはヒロイン・伊佐那海とのシーン。「この漫画は才蔵と伊佐那海が出会うことで始まって、伊佐那海との話で終わっていくので。どこまで描かれるかはまだわからないですが、そこは大切に演じたいです」。キャスト全員が初共演。「人見知りなんですけど、もうそんなこと言える歳でもないので言わないようにしてるんですよ(笑)。いろんなキャラクターに巻き込まれながら成長していく才蔵と同じように、(稽古場で)巻き込まれながら作っていけたら」と見せる笑顔は頼もしい。「原作の世界観を大切にしながら、お客様に生でエネルギーを届けたい。それで観た後になにか思っていただけたり、感動していただけたら成功だと思います。才蔵たちが“生きてる”って感じてもらえるようがんばります」。公演は6月28日(水)から7月2日(日)に、東京・全労済ホール スペース・ゼロにて。取材・文:中川實穗
2017年05月19日松本幸四郎、中村吉右衛門、片岡仁左衛門、市川左團次、片岡秀太郎、中村歌六、中村雀右衛門、中村又五郎、尾上松緑、市川猿之助、尾上松也らが出演する歌舞伎座「六月大歌舞伎」。昼の部は『名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)』『浮世風呂(うきよぶろ)』『御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)弁慶上使』、夜の部は『鎌倉三代記(かまくらさんだいき)』『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)御所五郎蔵』『一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)』が上演される。歌舞伎座六月大歌舞伎 チケット情報今回、『名月八幡祭』の船頭三次、『浮世風呂』の三助政吉、『一本刀土俵入』のお蔦を演じる猿之助に話を聞いた。四代目市川猿之助の襲名披露公演「松竹大歌舞伎」(2014年)以来、お蔦を演じる猿之助。「(お蔦は)好きな役なので、『一本刀土俵入』ができることが嬉しい」と語り、今回「高麗屋のおじさん(幸四郎)とできるってことが嬉しい。もうすぐお名前変わられちゃうから」(幸四郎は2018年に二代目松本白鸚を襲名)と感慨深げに話す。大阪公演(2001年)での七世芝翫のお蔦を見ていた猿之助に芝翫のお蔦の魅力を尋ねると「薄情なところがいいでしょ。親切だけど情があっちゃダメな役だから。それがだんだん時代が変わって、わが身の不幸さと茂兵衛を重ね合わせちゃってそこに情が移って…っていうのは現代的な解釈。片方は全く覚えてないのに、片方はそれを一生覚えてて恩返しするっていうのが大事なとこ」と改めて解説した。『名月八幡祭』は初役となるが「(縮屋新助を演じるのが)松緑さんだから、ぜひ出たいと思って」と笑顔。初役に対して「この前、(三次を演じた事がある)竹三郎さんが、四世菊次郎さんから言われた小道具の扱いとかそういうポイントを教えてくれた」と明かす。歌舞伎座では約16年ぶりとなる『浮世風呂』は「この時期のものだからね。ちょっと季節感を出そうと思って」と猿之助の提案だったそう。なめくじ役をかつては自身も演じており「なめくじはいい役ですよ。本当は僕はなめくじのほうがいいんだけど、やっぱり主役の三助をやらなきゃいけない」と笑う。取材後、「あっという間に6月ですよ!」と猿之助。5月には大阪松竹座公演で宙乗り通算1000回を達成し、10、11月にはスーパー歌舞伎II『ワンピース』と続く。「六月大歌舞伎」ではどのような姿をみせてくれるのか期待が高まる。公演は、6月2日(金)から26日(月)まで東京・歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年05月16日TOKIOの松岡昌宏と土井ケイトによる二人芝居『ダニーと紺碧の海』が5月13日に開幕した。その前日に公開ゲネプロが行われ、松岡と土井、演出の藤田俊太郎が囲み取材に応じた。舞台『ダニーと紺碧の海』チケット情報本作は、アカデミー脚本賞やピューリッツァー賞戯曲部門、トニー賞演劇作品賞など数々の賞を受賞したジョン・パトリック・シャンリィが1983年に書いた作品。暴力によってしか心の痛みを吐き出せない男・ダニー(松岡)と、壊れた家庭環境の中で疲れてしまった女・ロバータ(土井)が出会い、惹かれ合う姿を描く。演出を手掛けるのは、昨年、読売演劇大賞 最優秀作品賞を受賞した「ジャージー・ボーイズ」で演出を務め、自らも優秀演出家賞を獲得するなど、活躍目覚ましい藤田俊太郎。バーに偶然居合わせた29歳のダニーと31歳のロバータの「なあ、そのプレッツェルくれよ」「ダメこれ私の」という何気ない会話から始まる本作。ひとつ会話を重ねるごとに、ふたりの抱えるものが少しずつ露になっていくような会話劇で、互いに秘密を明かし合うころには感情が剥き出しに。強い言葉の奥に揺れる感情を理解し合うダニーとロバータ。カフェで、部屋で、ベッドで、今を逃したらもう行き場がないとでもいうような必死さで紡がれる言葉の数々…その一つひとつがあまりにも真っ直ぐな感情のやり取りで、受け止める方も同じように必死な姿も印象的だった。約1時間40分、休憩なしで紡がれる本作。ゲネプロ後の囲み取材で松岡は「身体にけっこうくるんですよ(笑)。そんなに動いている芝居じゃない気がするんですが」と濃密な二人芝居ならではの感覚を告白。相手役となる土井は「ダニーというキャラクターは、松岡さんが演じるからこそ愛すべきキャラクターになっていて。板の上で心から『え!何、この人!?』と思わせるものを出される。感動的です」と松岡を絶賛した。藤田は「才能と優秀さと努力が備わるとこんなにいい役ができるんだなと思いますね。ふたりが積み重ねたものは確かだったんだなってゲネプロで実感しました」と感想を語る。そんな藤田の演出について松岡は「ひとつにこだわらず、いろんなことをやってみようとシーンがどんどん変わっていく。僕はすごく楽しい」と話し、笑顔を見せた。40歳になった松岡が「自分が経験したことのない扉を開けたいと思い、参加させてもらった作品です」と語る本作。公演は5月21日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて、5月27日(土)・28日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年05月15日Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~が5月11日に東京・ステラボールで開幕。初日公演前には公開ゲネプロと囲み取材が開かれ、クロウ役の米原幸佑、シュウ☆ゾー役の鎌苅健太、チタン役の糸川耀士郎、MCことエムシ役のKimeruが登壇した。Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~チケット情報「SHOW BY ROCK!!」は音楽・バンドをテーマとしたサンリオキャラクターで、スマートフォン向けソーシャル音ゲーアプリとしても大人気の作品。今回はその5周年を記念したLive Musical「SHOW BY ROCK!!」初のライヴイベントとなり、10月にはシリーズ2作目となるミュージカル公演が予定されている。囲み取材で米原は「今回のライヴイベントは10月の公演に向けての布石でありお披露目。『SHOW BY ROCK!!』の音楽ってこんなにカッコいいんだぜ!とより分かってもらえるライヴになると思いますので、存分にはしゃいで、存分に楽しんで帰ってもらえたら」と挨拶。それぞれのバンドの特徴について「シンガンクリムゾンズはばかな奴らの集まりなんです。だけどライヴが始まった瞬間にまとまる一体感や派手なライブパフォーマンスに注目してほしいし、ぜひ煽られて欲しいなと思います。他のバンドに負けないぞって気持ちは僕らが一番表に出てる気がします」鎌苅は「トライクロニカはアイドル。男性アイドルのライブでメンバーが仲良くしていると、僕もキュンキュンすることがありますし、そこを観ていただきたいです」、糸川は「アルカレアファクトは『俺たちはアイドルじゃない、アーティストだ、俺たちの音楽を聴け』っていうNAMAIKIスタイル。ピアノサウンドが綺麗な楽曲で、お客さんも声を出して盛り上がれるところもあります」と紹介した。謎に満ちた役を演じるKimeruは「今回、僕の役は10 月の公演に向けた布石となっています。ライヴを観ていただけたら、僕の存在がなんとなく明かされる感じになっています」と説明した。稽古中のエピソードを問われ糸川が「セレン役の板垣李光人くん(15歳)にみんなメロメロだった」と話すと鎌苅は「そこは気を使いましたね。李光人くんがかわいすぎるんですけど、うちにもゆうたろう(リク役)っていうめちゃくちゃかわいいやつがいて。みんなが李光人にいきすぎたら、俺はゆうたろうにいきました(笑)」と明かすなど、各バンドの仲のよさを滲ませた。その後の公開ゲネプロでは全9曲を披露。芝居も挟みながら各バンドの魅力あふれるパフォーマンスで客席を盛り上げた。ライヴは、5月11・12日のGenius、13日のDestinyと2種類のプログラムで上演。「“ライヴ2日間”のお話で、初日がGenius、2日目がDestinyという全然違う内容になってます。両方観ていただけけると10月がより楽しみになる構成です!」(米原)。ぜひ劇場に足を運んで!取材・文:中川實穗
2017年05月12日文学と演劇をもっと気軽に!と始まった“文劇喫茶”シリーズの第一弾『それから』(夏目漱石原作)が5月3日に東京・俳優座劇場で開幕。同日、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)、日替わりゲストの寿里が登壇した。文劇喫茶シリーズ『それから』チケット情報夏目漱石の名著を原作に、劇団「□字ック」の山田佳奈が演出を手掛け、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)の3人芝居(+日替わりゲスト)でみせるという挑戦作。映像などは使わずに、ただただ芝居とシンプルだが印象的な演出でみせていく。物語は、良家の次男坊である代助(平野)を中心に描かれる。大学を卒業しても、社会とは距離を置き、実家からの援助で自由気ままに生きる代助。そんな代助のもとに銀行に就職した親友の平岡(今立)から一通の手紙が届く。「昨日二時に東京着、明日の午前に会いたし」。この親友とその妻・三千代(帆風)との再会が代助を思わぬ方向へ導いていく――。ゲネプロ後の囲み取材で平野が「役者として普段は見逃してしまいがちな細かいところも一つひとつ拾いながらお芝居を積み上げる、繊細な作業が多い」、今立も「演出の山田さんもしっかりと芝居をつけてくださり、繊細につくられたもの」と口を揃えたように、目線の動きをも印象的にみせる濃厚な舞台。帆風は「台詞は多いのですが一つひとつの言葉の端々にいろいろなものを込めていけたら」と話したように、文学作品ならではの密度でさまざまな感情が表現されていく。また、数々の登場人物を、帆風と今立がさまざまな表現で演じているのも見どころ。中には代助の会話相手がそのまま別の人間となるシーンも。その鮮やかな演じ分けに楽しまされた。そうやって登場する平岡、三千代、父、兄嫁、兄など、相手によって違う顔を見せる代助にも注目したい。さらに、日替わりゲストの登場シーンは、演じる俳優によって全く違うものになっている。ゲネプロでは寿里の自由さに笑いが起きていたが、松本寛也(9日)、加藤良輔(10日)、佐藤貴史(11・12日)、宮下雄也(13日)、米原幸佑(14日)とこれからのゲストもかなり濃厚。期待したい。親のすねをかじった生活や親友の妻との不倫など、どこか筋の通っていない印象のあった代助。しかし平野はそこをひとつ新鮮な切り口で演じていたように感じたし、それが原作の描く世界に新たな景色を生んだように思う。“文劇喫茶”の名の通り、文学好きも演劇好きもぜひ新しい世界を体験して!公演は5月14日(日)まで。取材・文:中川實穗
2017年05月09日5月18日(木)に日本初演を迎えるミュージカル『パレード』。20世紀初頭のアメリカで起きたレオ・フランク事件(冤罪)を題材にした作品で、主演の石丸幹二と堀内敬子の17年ぶりのミュージカル共演や、森新太郎が初めて手掛けるミュージカル作品としても注目を浴びている。その稽古場に潜入した。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、人種差別の意識やさまざまな思惑、権力、そして世間により、無実の人間(レオ・フランク/石丸)が犯人に仕立て上げられていくさま、夫の無実を信じ疑いを晴らすために動く妻(ルシール・フランク/堀内)の姿を描いた作品。この日、稽古が行われていたのはレオの裁判シーン。レオの職場のスタッフやフランク家に勤めるメイドらが、レオの身に覚えのない証言を次々と述べ、有罪の判決が下されるというシーンだ。裁判では、州検事ヒュー・ドーシー(石川禅)は、被害者が最後に着ていた服を持ち出したり、被害者の人生を大げさに語りあげたりと派手なスタンドプレーで陪審員を煽る。冤罪と知っていると余計に白々しく感じるが、その嘘を真実にするのが「民衆」という存在だった。製作発表で森が「主人公は言う間でもなくフランク夫妻ですが、もうひとり主役がいるとしたら、彼らを追い詰める民衆ではないか」と話したその存在。観客はもしかしたらこの「民衆」に自分を重ねる人も多いかもしれない。反ユダヤ主義を扇動する男(新納慎也)にアッサリ煽られる民衆、真犯人の調子のいい証言に踊らされる民衆、ザワザワした声がいつしか強い「殺せ!」という叫びになる。火の粉が風に煽られ大きく燃え広がり、真実を焼き尽くすさまを見たようだった。セットは奥に並んだ民衆の姿もよく見える八百屋舞台。中央が回転すると並んだ民衆が壁のように視界を遮る瞬間があり、その向こう側を見せなくしていたのも印象的だった。ちなみに石丸と堀内以外の全員がこの名もなき民衆を演じるという。森は、例えば“お辞儀がちょっと深い”など妥協なき姿勢が印象的。特に裁判の最後、レオの陳述の歌唱シーンでは、声のトーンや一歩踏み出すタイミング、レオの思いが溢れ出す瞬間など、石丸と話し合いながら繊細に作り上げていて、そうやって生まれたシーンは、それまでの民衆の高揚を断ち切るほどに胸に強く響く印象的なものになっていた。重く深く繊細なテーマの作品だが、どの場面も驚くほど理解しやすいのは森の演出、そして実力派揃いのキャストによる芝居、歌唱の賜物。ぜひ劇場に足を運んでこの熱を体感してほしい。公演は5月18日(木)から6月4日(日)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・文、撮影:中川實穗
2017年05月09日高橋陽一の同名サッカー漫画が原作の舞台 超体感ステージ「キャプテン翼」の製作発表が、5月8日に東京・Zeppブルーシアター六本木で行われた。超体感ステージ「キャプテン翼」チケット情報製作発表には、元木聖也(大空翼役)、中村龍介(若林源三役)、松井勇歩(日向小次郎役)、鐘ヶ江洸(岬太郎役)、鷲尾修斗(三杉淳役)、反橋宗一郎(松山光役)、土井一海(早田誠役)、加藤真央(新田瞬役)、皇希(次藤洋役)、そして原作者の高橋陽一、総合演出を手がけるEBIKEN(蛯名健一)、脚本・演出アドバイザーの加世田剛、振付の松永一哉が登壇した。日本にとどまらず世界中のプロサッカー選手に影響を与えた名作漫画「キャプテン翼」初の舞台化となる本作。高い身体能力を持つ俳優たち、EBIKENをはじめ世界規模で活躍するスタッフ陣に加え、“超体感ステージ”の名の通り演劇界では初となる最先端技術を導入。プレミアム体感シートでは、舞台と連動したリアルな振動を観客が体感できるなど、これまでにない“五感で楽しめる舞台”をつくりあげる。会見では、キャストによるダンスパフォーマンスを披露。日本では数人しかできる人がいない“ダブルコークスクリュー”(アクロバットの空中技)ができる元木や、ジュニアユース時代にリオネル・メッシと戦った経験も持つ鷲尾、ダンスの世界大会で優勝した経験を持つ皇希らキャスト9名が、身体能力を生かしたパフォーマンスで会場を盛り上げた。原作者の高橋は、キャストを前に「すごいパフォーマンスだった」と絶賛。「(漫画で)実際にはできないアクロバティックなプレーばっかり描いているんですけど、それができちゃうっていうのはすごいと思います」という言葉に翼役の元木も「限りなく再現していきたい」と応えた。舞台はオリジナルストーリーになるといい、脚本を手掛ける加世田は「夢についてのお話だと思うので、その辺もしっかり描いていきたい」と話した。少年時代に読んでいた世界的な名作漫画の舞台に出演することについてキャスト陣は皆、感慨深げ。さらに元木は「キャストやスタッフの名前を見たときに、不可能だと言われていることも可能にできるメンバーだと感じました。“超体感ステージ”としてお客さんが今まで感じた事ないステージになると思います」、中村も「お芝居をしっかり作り上げたうえで役者の引き出しにある動きだったり特技だったりを出して、エンターテインメント性の優れた作品にできれば」と意気込みを語った。公演は8月18日(金)から9月3日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗
2017年05月09日