Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~が5月11日に東京・ステラボールで開幕。初日公演前には公開ゲネプロと囲み取材が開かれ、クロウ役の米原幸佑、シュウ☆ゾー役の鎌苅健太、チタン役の糸川耀士郎、MCことエムシ役のKimeruが登壇した。Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~チケット情報「SHOW BY ROCK!!」は音楽・バンドをテーマとしたサンリオキャラクターで、スマートフォン向けソーシャル音ゲーアプリとしても大人気の作品。今回はその5周年を記念したLive Musical「SHOW BY ROCK!!」初のライヴイベントとなり、10月にはシリーズ2作目となるミュージカル公演が予定されている。囲み取材で米原は「今回のライヴイベントは10月の公演に向けての布石でありお披露目。『SHOW BY ROCK!!』の音楽ってこんなにカッコいいんだぜ!とより分かってもらえるライヴになると思いますので、存分にはしゃいで、存分に楽しんで帰ってもらえたら」と挨拶。それぞれのバンドの特徴について「シンガンクリムゾンズはばかな奴らの集まりなんです。だけどライヴが始まった瞬間にまとまる一体感や派手なライブパフォーマンスに注目してほしいし、ぜひ煽られて欲しいなと思います。他のバンドに負けないぞって気持ちは僕らが一番表に出てる気がします」鎌苅は「トライクロニカはアイドル。男性アイドルのライブでメンバーが仲良くしていると、僕もキュンキュンすることがありますし、そこを観ていただきたいです」、糸川は「アルカレアファクトは『俺たちはアイドルじゃない、アーティストだ、俺たちの音楽を聴け』っていうNAMAIKIスタイル。ピアノサウンドが綺麗な楽曲で、お客さんも声を出して盛り上がれるところもあります」と紹介した。謎に満ちた役を演じるKimeruは「今回、僕の役は10 月の公演に向けた布石となっています。ライヴを観ていただけたら、僕の存在がなんとなく明かされる感じになっています」と説明した。稽古中のエピソードを問われ糸川が「セレン役の板垣李光人くん(15歳)にみんなメロメロだった」と話すと鎌苅は「そこは気を使いましたね。李光人くんがかわいすぎるんですけど、うちにもゆうたろう(リク役)っていうめちゃくちゃかわいいやつがいて。みんなが李光人にいきすぎたら、俺はゆうたろうにいきました(笑)」と明かすなど、各バンドの仲のよさを滲ませた。その後の公開ゲネプロでは全9曲を披露。芝居も挟みながら各バンドの魅力あふれるパフォーマンスで客席を盛り上げた。ライヴは、5月11・12日のGenius、13日のDestinyと2種類のプログラムで上演。「“ライヴ2日間”のお話で、初日がGenius、2日目がDestinyという全然違う内容になってます。両方観ていただけけると10月がより楽しみになる構成です!」(米原)。ぜひ劇場に足を運んで!取材・文:中川實穗
2017年05月12日文学と演劇をもっと気軽に!と始まった“文劇喫茶”シリーズの第一弾『それから』(夏目漱石原作)が5月3日に東京・俳優座劇場で開幕。同日、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)、日替わりゲストの寿里が登壇した。文劇喫茶シリーズ『それから』チケット情報夏目漱石の名著を原作に、劇団「□字ック」の山田佳奈が演出を手掛け、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)の3人芝居(+日替わりゲスト)でみせるという挑戦作。映像などは使わずに、ただただ芝居とシンプルだが印象的な演出でみせていく。物語は、良家の次男坊である代助(平野)を中心に描かれる。大学を卒業しても、社会とは距離を置き、実家からの援助で自由気ままに生きる代助。そんな代助のもとに銀行に就職した親友の平岡(今立)から一通の手紙が届く。「昨日二時に東京着、明日の午前に会いたし」。この親友とその妻・三千代(帆風)との再会が代助を思わぬ方向へ導いていく――。ゲネプロ後の囲み取材で平野が「役者として普段は見逃してしまいがちな細かいところも一つひとつ拾いながらお芝居を積み上げる、繊細な作業が多い」、今立も「演出の山田さんもしっかりと芝居をつけてくださり、繊細につくられたもの」と口を揃えたように、目線の動きをも印象的にみせる濃厚な舞台。帆風は「台詞は多いのですが一つひとつの言葉の端々にいろいろなものを込めていけたら」と話したように、文学作品ならではの密度でさまざまな感情が表現されていく。また、数々の登場人物を、帆風と今立がさまざまな表現で演じているのも見どころ。中には代助の会話相手がそのまま別の人間となるシーンも。その鮮やかな演じ分けに楽しまされた。そうやって登場する平岡、三千代、父、兄嫁、兄など、相手によって違う顔を見せる代助にも注目したい。さらに、日替わりゲストの登場シーンは、演じる俳優によって全く違うものになっている。ゲネプロでは寿里の自由さに笑いが起きていたが、松本寛也(9日)、加藤良輔(10日)、佐藤貴史(11・12日)、宮下雄也(13日)、米原幸佑(14日)とこれからのゲストもかなり濃厚。期待したい。親のすねをかじった生活や親友の妻との不倫など、どこか筋の通っていない印象のあった代助。しかし平野はそこをひとつ新鮮な切り口で演じていたように感じたし、それが原作の描く世界に新たな景色を生んだように思う。“文劇喫茶”の名の通り、文学好きも演劇好きもぜひ新しい世界を体験して!公演は5月14日(日)まで。取材・文:中川實穗
2017年05月09日5月18日(木)に日本初演を迎えるミュージカル『パレード』。20世紀初頭のアメリカで起きたレオ・フランク事件(冤罪)を題材にした作品で、主演の石丸幹二と堀内敬子の17年ぶりのミュージカル共演や、森新太郎が初めて手掛けるミュージカル作品としても注目を浴びている。その稽古場に潜入した。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、人種差別の意識やさまざまな思惑、権力、そして世間により、無実の人間(レオ・フランク/石丸)が犯人に仕立て上げられていくさま、夫の無実を信じ疑いを晴らすために動く妻(ルシール・フランク/堀内)の姿を描いた作品。この日、稽古が行われていたのはレオの裁判シーン。レオの職場のスタッフやフランク家に勤めるメイドらが、レオの身に覚えのない証言を次々と述べ、有罪の判決が下されるというシーンだ。裁判では、州検事ヒュー・ドーシー(石川禅)は、被害者が最後に着ていた服を持ち出したり、被害者の人生を大げさに語りあげたりと派手なスタンドプレーで陪審員を煽る。冤罪と知っていると余計に白々しく感じるが、その嘘を真実にするのが「民衆」という存在だった。製作発表で森が「主人公は言う間でもなくフランク夫妻ですが、もうひとり主役がいるとしたら、彼らを追い詰める民衆ではないか」と話したその存在。観客はもしかしたらこの「民衆」に自分を重ねる人も多いかもしれない。反ユダヤ主義を扇動する男(新納慎也)にアッサリ煽られる民衆、真犯人の調子のいい証言に踊らされる民衆、ザワザワした声がいつしか強い「殺せ!」という叫びになる。火の粉が風に煽られ大きく燃え広がり、真実を焼き尽くすさまを見たようだった。セットは奥に並んだ民衆の姿もよく見える八百屋舞台。中央が回転すると並んだ民衆が壁のように視界を遮る瞬間があり、その向こう側を見せなくしていたのも印象的だった。ちなみに石丸と堀内以外の全員がこの名もなき民衆を演じるという。森は、例えば“お辞儀がちょっと深い”など妥協なき姿勢が印象的。特に裁判の最後、レオの陳述の歌唱シーンでは、声のトーンや一歩踏み出すタイミング、レオの思いが溢れ出す瞬間など、石丸と話し合いながら繊細に作り上げていて、そうやって生まれたシーンは、それまでの民衆の高揚を断ち切るほどに胸に強く響く印象的なものになっていた。重く深く繊細なテーマの作品だが、どの場面も驚くほど理解しやすいのは森の演出、そして実力派揃いのキャストによる芝居、歌唱の賜物。ぜひ劇場に足を運んでこの熱を体感してほしい。公演は5月18日(木)から6月4日(日)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・文、撮影:中川實穗
2017年05月09日高橋陽一の同名サッカー漫画が原作の舞台 超体感ステージ「キャプテン翼」の製作発表が、5月8日に東京・Zeppブルーシアター六本木で行われた。超体感ステージ「キャプテン翼」チケット情報製作発表には、元木聖也(大空翼役)、中村龍介(若林源三役)、松井勇歩(日向小次郎役)、鐘ヶ江洸(岬太郎役)、鷲尾修斗(三杉淳役)、反橋宗一郎(松山光役)、土井一海(早田誠役)、加藤真央(新田瞬役)、皇希(次藤洋役)、そして原作者の高橋陽一、総合演出を手がけるEBIKEN(蛯名健一)、脚本・演出アドバイザーの加世田剛、振付の松永一哉が登壇した。日本にとどまらず世界中のプロサッカー選手に影響を与えた名作漫画「キャプテン翼」初の舞台化となる本作。高い身体能力を持つ俳優たち、EBIKENをはじめ世界規模で活躍するスタッフ陣に加え、“超体感ステージ”の名の通り演劇界では初となる最先端技術を導入。プレミアム体感シートでは、舞台と連動したリアルな振動を観客が体感できるなど、これまでにない“五感で楽しめる舞台”をつくりあげる。会見では、キャストによるダンスパフォーマンスを披露。日本では数人しかできる人がいない“ダブルコークスクリュー”(アクロバットの空中技)ができる元木や、ジュニアユース時代にリオネル・メッシと戦った経験も持つ鷲尾、ダンスの世界大会で優勝した経験を持つ皇希らキャスト9名が、身体能力を生かしたパフォーマンスで会場を盛り上げた。原作者の高橋は、キャストを前に「すごいパフォーマンスだった」と絶賛。「(漫画で)実際にはできないアクロバティックなプレーばっかり描いているんですけど、それができちゃうっていうのはすごいと思います」という言葉に翼役の元木も「限りなく再現していきたい」と応えた。舞台はオリジナルストーリーになるといい、脚本を手掛ける加世田は「夢についてのお話だと思うので、その辺もしっかり描いていきたい」と話した。少年時代に読んでいた世界的な名作漫画の舞台に出演することについてキャスト陣は皆、感慨深げ。さらに元木は「キャストやスタッフの名前を見たときに、不可能だと言われていることも可能にできるメンバーだと感じました。“超体感ステージ”としてお客さんが今まで感じた事ないステージになると思います」、中村も「お芝居をしっかり作り上げたうえで役者の引き出しにある動きだったり特技だったりを出して、エンターテインメント性の優れた作品にできれば」と意気込みを語った。公演は8月18日(金)から9月3日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗
2017年05月09日梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」がこの夏に上演される。<ダンス×J-POP×演劇>という独自のステージが人気を集め、公演を重ねるごとに注目の高まる梅棒。これまでの最大規模となる7作目は、梅棒ワールド全開のコメディ作品。総合演出を手掛ける伊藤今人(梅棒)、ゲストの千葉涼平(w-inds.)に話を聞いた。梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」チケット情報今作は“学園モノ”。伊藤は「前作『GLOVER』がいい話で感動したっていうお客様もいると思うんですけど、今回は男の子だなって思ってもらえるような、めちゃくちゃなコメディをやろうとしています。前作で好きになった人はズッコケるかもしれませんが、もともと梅棒はこんだけバカな奴らだよっていう。こんなぶっ飛んだ梅棒もまたおもしろいなと思ってもらえたら!」。その中で千葉が演じるのは、意外にも悪役(予定)。「悪役を演じたことはあまりないです」と言う千葉に、伊藤は「きっとないだろうなと思って」とニヤリ。「せっかく出てくれますからね!ちょっとドキッとするような悪さとか、むちゃくちゃぶっ飛んだ役を千葉さんが演じたら面白い」(伊藤)。梅棒作品への初参加を「自分に今までなかったものを引き出してくれるんじゃないかってすごく楽しみ」と喜ぶ千葉。梅棒の舞台の印象を聞いてみると「面白かったです。J-POPを中心に使われてたのもすごく印象的でしたし。僕は前作の冒頭で今人さんが語り部的なお芝居をされてたのがすごく印象に残っているんですよ。あれでぐっと惹きつけられましたから。“ダンス舞台”というイメージがあったので意外でしたね」。千葉に出演をオファーした理由は「舞台上の千葉くんを観て、楽しんでいろんなことに挑戦してくれる人なんじゃないかと感じて。それにパフォーマンスが全力だったので梅棒に合うなと思ったんですよね」(伊藤)。「千葉くんはブレイクダンスをはじめいろんなダンスが踊れますし、大きな劇場でも学園モノのドタバタ感がある派手な動きが映えそう」と期待する伊藤だが、それに加え今作で千葉に踊ってもらいたいダンスがあるという。「梅棒のジャズダンスを!優雅に踊る一般的なジャズダンスと違って、我々のはゴリゴリに力で振り回すみたいな(笑)、特徴的な動きをしますので。それを千葉くんが踊ると思うと楽しみ」(伊藤)。今作では東京、大阪、名古屋、福岡と全国4か所を巡演する。伊藤は「名古屋に行けるのが初なので嬉しいです。福岡も前回、歓迎してくれてる感が半端なかった。満員ですごい熱気だったんですよ。大阪もコメディへのリアクションが大きいし…楽しみしかないです!」公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木ほか、大阪、名古屋、福岡にて。取材・文:中川實穗
2017年05月08日朝海ひかる女優10周年記念ツアーDANCE LIVE『will』が6月に上演される。2006年に宝塚歌劇団を卒業し、2007年に女優として歩き始めた朝海の10年間を歌やダンスで振り返る内容となる本作。朝海に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『エリザベート』から『私はだれでしょう』(こまつ座)まで幅広い作品に出演してきた朝海。「10年間で出演してきた舞台の音楽を使って構成します。『これはあの作品の曲ね』と楽しんでいただきながら、私が歩んできた道をお客様と一緒に振り返っていく、プロフィールのようなショーになると思います」。豪華なゲスト陣にも注目。「思い出深い作品の相手役をしてくださった方やお世話になった方にお声がけしました。忙しいスケジュールを縫ってご出演いただけるのが本当に嬉しくて。私自身も楽しみにしています」。それぞれの印象を聞いてみると、『DNA-SHARAKU』で相手役を演じたSpiは「ふたりとも初めて演じるような役どころで。一緒に『ああでもないこうでもない』と試行錯誤しながら作っていったので、戦友みたいな感じです」、『エリザベート』で共演した伊礼彼方は「お互いこんな大きなミュージカルに出るのも初めてだったので、そんなところから仲良くしていただいて。気心知れている方です」、『蜘蛛女のキス』と『天翔ける風に』で相手役を演じた石井一孝は「楽しくて明るくてエネルギーが溢れていて。いつも引っ張ってくれる、お兄さんみたいな方です」、石川禅は「初めての『エリザベート』で禅さんにいろんなことを教わって、そして支えてもらいました。本当に大変お世話になった方です」と朝海と縁の深い俳優ばかり。ゲストコーナーを設け、トークとミニライブをするという。10年という節目にファンへの“感謝”と“これからもよろしく”という想いをこめて作り上げる本作。これまでで印象的だったファンの言葉を聞いてみると、「私はありがたいことにいろんなジャンルのお芝居、いろんな劇場に出演させていただいているのですが、私のファンでいることでいろいろな世界を見ることができる、という風におっしゃってくださって。それがすごく嬉しかった。私の世界も広がってますが、一緒にファンの方たちの世界も広がっていってくれてるんだなって。一緒に歩んでいる感がすごくあって嬉しかったですね」。「この10年、宝塚を卒業して舞台に立てたことは本当にファンの方々あってのことです。その感謝の気持ちをこの作品にすべて込めますので、受け取っていただきたいなと思います」公演は、6月7日(水)・8日(木)に東京・よみうり大手町ホール、6月11日(日)に大阪・ナレッジシアター、6月14日(水)に宮城・仙台イズミティ21小ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年05月02日恋愛アドベンチャーゲームが原作の舞台「薄桜鬼SSL ~sweet school life~ THE STAGEROUTE 斎藤一」が4月21日に開幕した。舞台「薄桜鬼SSL ~sweet school life~ THE STAGEROUTE 斎藤一」 チケット情報原作は、新選組をモチーフにした恋愛アドベンチャーゲーム「薄桜鬼」のスピンオフ作品「薄桜鬼SSL ~sweet school life~」。2015年に舞台・TVドラマ・劇場版と人気を博したシリーズが今回から新たなキャストを迎え、新シリーズとして始動する。脚本・演出は前シリーズに引き続き菅野臣太朗。今作『斎藤一ルート』は、斎藤一と雪村千鶴の恋を描く完全新作ストーリー。薄桜学園を舞台に、生真面目な性格の風紀委員・斎藤一(宮城紘大)が、学園唯一の女生徒である雪村千鶴(高橋紗妃)と出会い、自らの感情に戸惑いつつも、1年かけてゆっくりと恋を育て気持ちを通わせていく様子が描かれる。原作が“恋愛アドベンチャーゲーム”である本作。ヒロイン・千鶴は学園中の注目の的となっていて、今回のメインである斎藤一以外にも、紳士な土方歳三(山田ジェームス武)や強引な沖田総司(中尾拳也)、明るく元気な藤堂平助(樋口裕太)らが、それぞれのキャラクターらしい胸キュン行動を連発。ほかにも千鶴を「嫁」と呼ぶ風間千景(北村健人)の振り切れた愛情表現など、彩り豊かな恋愛シチュエーションが次々と訪れながら、物語は進んでいく。そんな登場人物の中では奥手なキャラクターの斎藤一だが、だからこそ、千鶴に恋をするが故の“思わず”な行動、些細なことに動揺する姿は愛らしさ抜群。ふたりきりで過ごす時間のドキドキは客席にまで伝染しそうで、真っ直ぐで純粋な気持ちが新鮮に伝わる。舞台にはダンスやアクションも取り入れられ、千鶴を想う気持ちが感じられるダンスシーンや、実際に竹刀を使った剣道部のシーンも印象的。特に剣道シーンでは宮城、中尾、樋口の迫力ある刀さばきにも注目したい。かわいらしい恋愛シチュエーションがたっぷり詰まった本作。けれどその奥にもうひとつ大切なものも描かれていたように思う。それをぜひ劇場で感じてほしい。舞台「薄桜鬼SSL ~sweet school life~ THE STAGEROUTE 斎藤一」は4月30日(日)まで、東京・シアターサンモールにて。取材・文:中川實穗
2017年04月27日ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」展 が、今春東京ドームシティにオープンしたGallery AaMo(ギャラリー アーモ)にて4月25日(火)から5月28日(日)まで開催中だ。「ハイキュー!!」展 チケット情報初日のオープニングセレモニーに、演出のウォーリー木下、主演の須賀健太をはじめ、共に主役校・烏野高校メンバーを演じる木村達成、小坂涼太郎、三浦海里、塩田康平、橋本祥平、川原一馬、秋沢健太朗、猪野広樹、冨森ジャスティンが登壇した。集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の大人気バレーボール漫画「ハイキュー!!」を舞台化し、現在3作目を公演中のハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。チケット入手困難と言われる人気舞台の特徴的なセットや衣裳、さらに通常見られない“ボツ”アイテムなども展示される。ウォーリー木下は「演劇「ハイキュー!!」展は、やれたらいいなと初演の頃から言っていました。キャストとスタッフがワイワイ言いながらつくった作品のアイデアをたくさん見ることができますので、ぜひ楽しんでください」と挨拶。主演の須賀は「ここは読売ジャイアンツさんのホームですが、僕たち烏野(高校)のジャージはオレンジと黒…ジャイアンツさんと被っている!」と立地にちなんだひと言。さらに「僕たちと同じ場所(セット)に立っていただけるので、また新しい発見もしてもらえると思います。ご来場いただいた方にはプレイヤーズカード全36種がランダムで必ずゲットできるので、ぜひ集めていただきたい!」と宣伝も忘れず座長ぶりを発揮した。木村は「久しぶりに写真やセットを見たらジーンときちゃって。俺らがやってきたことが間違いじゃなかったんだなと思える瞬間がそこにあった」、小坂は「展示されているキャスト全員の色紙は、演じているキャラクターとは違うその人の個性が分かります。僕はそれが一番!」、三浦は「セットには跡や傷が残ってて、(小道具の)お面にはメイクが残ってて。こんな感じだったんだと感じてもらえると思う」、塩田は「この佳き日に“塩田謎掛け”をやります。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」と掛けまして「ハイキュー!!」展を観た今の気持ちと解く。その心は…“かんげき”です!」。橋本は「演劇「ハイキュー!!」の歴史と愛がたくさん詰まってます!」、川原は「僕たちがイチからつくってきた軌跡を感じてもらえたら」、秋沢は「劇団「ハイキュー!!」のみんなでつくり上げた作品をぜひ見てください」、猪野は「合宿シーンで使った布団は匂いが分かるかも!?」、冨森は「この舞台はけっこうキツいと評判。セットの傾斜に立って『これはキツい!』と体感して(笑)」とコメント。作品の晴れの日を賑やかに祝った。取材・文:中川實穗
2017年04月27日舞台「薄桜鬼SSL ~sweet school life~ THE STAGE ROUTE 斎藤一」が4月21日に開幕した。原作は、女性に大人気の恋愛アドベンチャーゲーム「薄桜鬼」のスピンオフ作品で、舞台が現代の高校になった「薄桜鬼SSL ~sweet school life~」。2015年にTVドラマ・舞台、2016年に劇場版が公開され、今作からキャストが新世代に。真面目な風紀委員・斎藤一とヒロイン・雪村千鶴の恋を描く『ROUTE 斎藤一』を完全新作ストーリーで上演する。斎藤一役の宮城紘大、土方歳三役の山田ジェームス武、沖田総司役の中尾拳也に話を聞いた。舞台「薄桜鬼SSL ~sweet school life~ THE STAGE ROUTE 斎藤一」チケット情報各キャラクターに想いを寄せられるヒロインが、そのうちのひとりとの恋を進める(=ルート)原作ゲーム。今回上演される斎藤一ルートの魅力は「真面目な斎藤一と純粋でピュアな雪村千鶴の初々しい恋愛。お客さんは“なんでそこでいかないの!”ってなると思う」(宮城)という、中尾曰く“ムズキュン”の恋。その恋を舞台でみせるには「自分がちゃんとドキドキして、お客さんに伝染させることが大事」と宮城は話す。ふたりの恋を横恋慕などで盛り上げるのが山田演じる土方や中尾演じる沖田。山田は「僕ら周りは雪村千鶴のいろんな表情を引き出す役回り。それにこの作品は、葛藤してすれ違ってっていう弊害が多いほど楽しくなると思うので、今回の千鶴はもしかしてこっちいっちゃうんじゃないかってくらい見せつけながら、最後は斎藤一にバトンを回せれば」と語る。トキメキを引き出す芝居には奮闘中だそうで、中尾は「(恋愛シーンも)ちゃんと素直にその場にいられるようにしなきゃって思うのですが、まだ難しいですね。沖田だったら照れずにいく部分でも僕はつい照れてしまったりして。でもまず僕たちが青春しないとお客さんも青春できないので。みんなで青春してつくっていけたらいい作品になると思います」。新撰組が現代の高校生になって恋をするのが本作の面白さ。「演じるにあたって、現代の恋愛だけども“幕末の新撰組の人間が持つ意志”が映し出されるような部分は作りたいなと思っています。そういう熱さが見え隠れする作品にしたいですね」(山田)。本作は、宮城にとって初座長作品。宮城は「みんなより絶対一番がんばらなきゃとは思ってるんですけど、まだ自分のことで精いっぱいで全然気がまわってなくて…」と言うが、中尾は「久しぶりの共演ですけど、すごくやりやすいです。賑やかですよ、稽古場も」、山田は「座長が笑ってくれてるから、みんなが陽気でいられる部分はあるんじゃないかな」と様子を語る。そんな明るい稽古場から生まれるトキメキシーンの数々に期待したい。公演は4月30日(日)まで、東京・シアターサンモールにて。取材・文:中川實穗
2017年04月26日アメリカで実際にあった冤罪を題材にしたミュージカル『パレード』が、5月18日(木)に日本初演を迎える。それに先駆け製作発表会見が開かれ、石丸幹二、堀内敬子、岡本健一、武田真治、石川禅、新納慎也、演出の森新太郎が登壇した。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、ある事件の裁判の中で、人種や職業から生まれる立場や思惑が無実の人間を犯人に仕立て上げていく様、それに抗う姿を描いたミュージカル。ピューリッツァー賞受賞作家のアルフレッド・ウーリーが脚本、『マディソン郡の橋』のジェイソン・ロバート・ブラウンが作詞・作曲を手がけ、1999年トニー賞最優勝脚本賞・最優秀作詞作曲賞を獲得した。そんな本作を日本で初めて演出するのは、森新太郎。森は『エドワード二世』『汚れた手』で第21回読売演劇大賞大賞、最優秀演出家賞をW受賞するなど気鋭の演出家で、今回初めてミュージカルを手掛ける。また、犯人に仕立て上げられるユダヤ人レオ・フランク役の石丸幹二、夫の無実を晴らそうと動く妻ルシール役の堀内敬子をはじめ、実力派&個性派キャストがズラリ。石丸と堀内は劇団四季時代を共に過ごし、舞台で共演するのは17年ぶり。森は「“初”という響きに酔いしれながら、楽しく、思う存分、やりたい放題、演出させていただいています」とニコリ。「タイトルが『パレード』ということで、民衆のお祭りの日の熱狂はゾクゾクするほどの迫力でお届けしたい。物語の主人公は言うまでもなくフランク夫妻ですが、もうひとり主役がいるとしたら、それは彼らを追い詰める民衆じゃないかと私は思っております。なので今回は、石丸さんと堀内さん以外の全キャストの皆さんに名もなき民衆を演じてもらっています。その恐ろしくも晴れやかな民衆のエネルギーを生み出すべく、今、一丸となって歌い、踊り、ときには暴れ狂ったりもしながら、ダイナミックな舞台をつくり上げている最中です」と熱く語った。石丸は「今、この作品でこの役を演じる意味がすごくある、と実感しながら日々稽古場で追い詰められております。弱者はいつも肩身の狭い思いをしなくてはいけない。では弱者はどうやって生きていったらいいのかということを、作品を通して皆さんも考えてください」と真摯に語る。堀内は「お稽古のレベルが高い。森さんの熱い演出にみんなが食らいついていくような濃いお稽古場です。早く皆さんにお見せしたいなという気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せた。さらに、招待されたオーディエンスを前に劇中歌も披露。石丸と堀内の『無駄にした時間』など3曲が披露され、会場を熱く盛り上げた。公演は5月18日(木)から6月4日(日)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年04月26日昨年ブロードウェイ・デビュー公演も成功させた 和太鼓エンターテイメント集団「DRUM TAO」(以下、TAO)。その新作となる『ドラムロック 疾風』が、7月に東京・Zeppブルーシアター六本木で上演される。DRUM TAO チケット情報所謂これまでの和太鼓の世界観とは一線を画すパフォーマンスが幅広い層からの支持を集め、片岡愛之助や市川染五郎、EXILEメンバー、湘南乃風、高橋大輔など、さまざまなコラボレーションも注目を浴びるTAO。日本はもちろん世界23か国・500都市で上演され、世界観客動員700万人を突破している。そんなTAOの新作『ドラムロック 疾風』について、TAO代表で演出を手掛ける藤高郁夫、メンバーの西 亜里沙(座長)、岸野央明、江良拓哉に話を聞いた。「ストーリーが一気に流れていく疾走感を作品の中で表現していくために『疾風』と名付けました」(藤高)という本作。“ドラムロック”という言葉に気を惹かれるが、藤高は「例えば“サーカス”と聞いてゾウやトラをイメージしていた人がシルク・ドゥ・ソレイユに出合ったような…『これが和太鼓か!』と驚いてしまうような作品を作ろう、とメンバーで話し合いました。そのためには未来的なものを作りたい」と今作のコンセプトを語る。音楽的にもロックの要素が取り入れられるといい「(勉強に)レッド・ツェッペリンを聴いてみたりもしました」(藤高)。また、演出面でも「今までは集団でみせるものや聴かせるものが多かったのですが、今回はソロが多く取り入れられ、メンバーそれぞれの見どころが出てきそうです」(江良)と、これまでにない作品になる。和太鼓×ロックというTAOらしい新たな挑戦。岸野は「正直“和太鼓をやってる”っていう感覚でもなくて、“誰にでも楽しんでもらう”というのをベースに、新しいものを作っている感覚です。失敗することもあるんですけど、そこからステップアップしての今なので、さらに上にいくために今回も恐れずに挑戦していきたい」。西も「私は元々、和太鼓をやっていたので、TAOのやろうとすることは『ちょっと難しいんじゃないか』という先入観があったんですね。でも実際にやると、新しい動きが生まれた。なんでも受け入れるようになりました」。また、TAOといえば、毎回コシノジュンコが手掛ける衣裳も見どころのひとつ。「今作の衣装についてコシノ先生に伝えたのは、完全に新しい舞台を作るために(これまでのTAOを)一回壊してしまいたい。そして今の2倍も3倍も勢いのある舞台をつくっていきたい、ということです」と藤高。パフォーマンスから衣裳までTAOの新たな一歩になりそうな本作をぜひ注目したい。公演は7月19日(水)から30日(日)まで、東京・Zepp ブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗
2017年04月24日東京・墨田区で生まれた世界的絵師・葛飾北斎の魅力を海外に向けて発信する「北斎ナイト」が4月7日に東京・日本外国特派員協会で開催され、山本亨墨田区長、菊田寛すみだ北斎美術館館長、日本外国特派員協会エンターテイメント コミッティー・Sandra Mori委員長、そして演出家・宮本亜門が登壇。そこで、今年1月に宮本が演出を手掛けたリーディング公演「画狂人 北斎」(「FANATIC ARTIST HOKUSAI」)のイギリス・大英博物館公演が発表された。開催日は7月27日(木)。2016年に墨田区の考案によりスタートした「葛飾北斎×宮本亜門」プロジェクト。その第一弾として1月に上演されたのが、「すみだ北斎美術館」でのリーディング公演(朗読劇)「画狂人 北斎」だった。宮本が江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎の晩年の壮絶な生き方と真の芸術家としての姿に迫る本作を、今回はイギリスにて上演。葛飾北斎の特別展「Hokusai:beyond the Great Wave」開催期間中の大英博物館で、より進化したリーディング公演が実現する。会見で宮本は「正直に言いますと、私が北斎に興味を持ったのは、外国人の方の興味からです」と明かす。「北斎は、アメリカのライフ誌で『この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人』に選ばれた唯一の日本人。海外で仕事をしたときにも『なぜ北斎はあれほどの絵が描けたのか』と聞かれることが度々ありました」と話し、「それでもう一回北斎を調べてみたら、想像を超えるものでした。まず引っ越しの数は93回、名前を30回変えている、部屋を片付けられなかった…だけではありませんけど(笑)、色々な面ですべてが記録づくし。そして彼は80歳になっても、自分は100歳、120歳までもっといい絵を描くために生きたいと言い続けていた。この“強欲”と言っていいのでしょうか、生きることを存分に楽しんでいた北斎。私はなぜここまでパワフルに、次々とスタイルを変えて、晩年まで描き続けていたのかを探りたく、舞台をつくる決意をしました」と本プロジェクトのきっかけを語った。今回の公演については「北斎の晩年の肉筆画を含め、貴重な展示が行われているときに、大英博物館のGreat Courtで、北斎とはなんぞやということをイギリスの皆さんと一緒に考えながら検証したいと考えています」と話した宮本。「(東京オリンピック・パラリンピックが開催される)2020年を前に日本から世界に、最も有名で最も魅力あふれる日本のアーティストを発信する。私もパフォーマンスという形をとりながら、今後もこれを世界中で展開していきたい。北斎の魅力を世界中に発信していけたらと心から思っています」と意気込みを述べた。プロジェクトの今後に期待していきたい。撮影・取材・文:中川實穗
2017年04月10日アメリカでもお馴染みの調味料“ヨシダソース”の生みの親・吉田潤喜の半生を描いたミュージカル「ソーォス!」が7月に東京とロサンゼルスで上演される。本作は、今ではNewsweek誌(日本版/05年)で「世界で最も尊敬される日本人100」にも掲げられる吉田が、裸一貫でアメリカへ渡り、“空手の腕”と“人の縁”をたよりにアメリカンドリームを掴み、年商500億のグループ企業を築き上げるまでを描く。舞台では吉田をなだぎ武が演じるほか、渡辺大輔やモト冬樹が出演する。今回、ポートランドで暮らす吉田が来日し、なだぎと対談した。【チケット情報はこちら】自身の半生のミュージカル化について吉田は「光栄ですよ」と喜びながらも「そしてこれが何かの一歩になれば。これでソースが売れることは考えてへんけど(笑)、これで終わりじゃつまらんと思う」とその人生が垣間見える感想を語る。吉田を演じることについてなだぎは「(吉田の)半生を読んだら、すごいことがありすぎて!どれをとってもうまみしかない人という印象なので、それを楽しみながらやりたいです。人への感謝とか、なにくそ根性で頑張れば何かがある、動けば何かにつながる、ということを伝えられたら」。本作は、『人生も商売も出る杭打たれてナンボやで』(幻冬社アウトロー文庫)を原作にしたオリジナルミュージカル。吉田は「日本でちゃんとしたもの作ったら、僕はブロードウェイ出せると思う」と話し、その第一歩としてロサンゼルス公演が決定している。英語タイトルは、KARATE MUSICAL「SAUCE」。プロデューサー・まきりかは、吉田の人生を切り開いた“空手”の存在に加え、東京オリンピックで空手が正式種目になりアメリカでは空手ブームが起きていることも挙げ「“KARATE MUSICAL”と題し、空手のパフォーマンス要素も加わったミュージカルになります」と構想を語る。なだぎも「やっぱり“KARATE MUSICAL”にみんな引っかかってるんですよね。そういう意味でも『初めて観るな、こんな感じのやつは』っていう作品になれば」。「僕ね、自分自身がおもろいな思うんです」と吉田。「僕の人生って結局、“片目(吉田は幼い頃に右目を失明した)”と“いじめ”からアメリカ行って。悲しいんだけど、その中になんか笑いがあった。悲しいとこばかり見てもしゃーない。目を失ったことも、それでアメリカに行くことが決まったんと思う。みんな人生に不幸はあるんですけど、それはなにかいいことに繋がってるんだよというメッセージもいれてもらいたい」。東京公演は7月6日(木)から13日(木)まで全労済ホール スペース・ゼロにて。チケットの一般発売に先がけて、抽選先行プレリザーブのエントリーを実施中。受付は4月10日(月)午前11時まで。取材・文:中川實穗
2017年04月07日7月7日(金)に東京・有楽町に開業する多目的劇場・オルタナティブシアター。そのこけら落とし公演『アラタ~ALATA~』の製作発表会が4月4日に行われ、脚本の横内謙介、演出の岡村俊一、出演者のElina、早乙女友貴、吉田美佳子が登壇。Elinaはダンス、早乙女は殺陣、吉田はイリュージョンを披露した。舞台「アラタ~ALATA~」チケット情報オルタナティブシアターは、観客の7割を外国人と見込み、“ノンバーバル(非言語)パフォーマンス”を特徴とする新劇場。そのこけら落とし公演となる本作は、ほぼ言葉を使わず、殺陣やダンスのパフォーマンスに、特殊映像、フライングなど日本の最先端技術を盛り込み表現するステージになるという。脚本は横内謙介、演出は岡村俊一が務め、音楽は音楽制作集団Miliが担当する。出演者は、10代からダンサー・女優として活躍し2015年にニューヨークへ単身留学、帰国後は世界基準のダンス、コレオグラフにフォーカスし活躍するElina、日本を代表する大衆演劇の劇団朱雀にて1歳半で初舞台を踏み、殺陣の分野ではスピード・技術共に“日本一”と称される早乙女と、次世代を担うスペシャリストが揃い踏み。さらにキャストオーディションを勝ち抜いた吉田が新風を吹き込む。会見で横内は「外国人の方に観ていただくことは大きな目的になりますが、自分たちが美味しいと思わないものを海外の人が食べて美味しいはずがない。演劇仲間が観ても『これは面白いものだ』とリピーターになってもらうようなものをまずしっかり作り、それをもって海外の方にも『僕たちも楽しく観ているものだよ』と紹介していただけるような作品にしたい」と意気込む。岡村は台詞のない芝居について「(劇中で)感情がブワッと出た瞬間にそれが違う形にかわったものが、音楽であったり、踊りであったり、殺陣であったりする。擬音は使いながら、基礎感情に沿った表現を劇化してつないでいければ」と構想を語った。「芝居の入った舞台は3年ぶり」というElinaは今作では“ダンスクリエイター”として「ダンスの可能性を皆さんに知っていただきたい。ダンスにしか表現できない情感、雰囲気、空気感、繊細で緻密な部分を出していけたら」、早乙女も“チャンバラスペシャリスト”として「言葉がないので、シーンによってお芝居の入った殺陣だったりとか、剣舞のような舞っているような殺陣を盛り込んでいけたら」と語る。吉田は「出演が決まったときは本当にうれしくて、全力でがんばろうって思いました。まだまだ経験も浅いので、その分なにごとにも挑戦してがんばりたい」と笑顔を見せた。『アラタ~ALATA~』は7月7日(金)からロングラン公演を予定。取材・文:中川實穗
2017年04月06日人気カードゲームを原作にした舞台「カードファイト!! ヴァンガード」~バーチャル・ステージ~リンクジョーカー編 が、4月1日に東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて開幕。それに先がけ公開ゲネプロが行われた。舞台「カードファイト!! ヴァンガード」チケット情報本作は、TVアニメや漫画でも人気を集めるカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」の舞台化第2弾。昨年1月に上演された第1弾は、カードゲームの世界をさまざまな手法で魅せた熱いファイトシーンに、ヴァンガードファンをはじめさまざまな層から好評を博した。続編となる今作は、原作でも人気の高い「リンクジョーカー編」。原作者・伊藤彰監修のもと、一部オリジナルシーンを追加した舞台オリジナルストーリーで、個性豊かなキャラクターたちの活躍を描く。また、前作に引き続きTVアニメ版で声優を務める三森すずこと森嶋秀太が同キャラクター役で出演。同じく前作に続いての出演となる能條愛未(乃木坂46)や染谷俊之など、俳優、声優、アイドルとさまざまなジャンルのキャストが集まった舞台となっている。上演に先がけ、脚本・演出・作詞を手掛ける堤泰之は「今回の舞台はアニメ59話分を2時間に凝縮した、きわめて中身の濃い作品です。第一の見どころは、アニメ原作の伊藤彰先生全面協力の下、アニメとは違うオリジナルストーリーが随所にちりばめられていること。そして第二の見どころはカードから立ち上がったユニット達によって繰り広げられるエキサイティングなファイトシーン」と解説。先導アイチ役の大平峻也は「僕らは全力でこのヴァンガードの世界で生きますので、皆様!!笑える所は笑って、泣ける所は泣いて、この世界をご覧になってる瞬間はお仕事も、学校も、私生活も全部忘れて『感情に素直』にこの「カードファイト!! ヴァンガード」の世界をお楽しみいただければ」、櫂トシキ役の健人は「初演を経て、続編ができた事、そして再び櫂トシキとして皆様の前に立てること、大変嬉しく思っております。こうして初日を迎えられたのは、支えてくださっている皆様のおかげです」とコメントを寄せた。本来はテーブルの上で行われるカードファイト。カードに描かれたキャラクターが立体化して現れる華やかな戦闘シーンを観て、ヴァンガードを愛する人たちに見えている世界、そしてカードゲームの楽しさを知った気がした。アクションに映像、歌、ダンスと舞台ならではの演出で魅せる熱いファイト、その先にあるアイチたちの友情や絆をぜひ劇場で体感して!公演は、4月9日(日)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年04月04日堤幸彦が初めてプロデュースする7人組ガールズユニットの舞台『上野パンダ島ビキニーズ』が3月30日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、堤と「上野パンダ島ビキニーズ」メンバーの暁島朱里 (西川美咲)、紫岡スミレ(矢萩春菜)、柿次橙子(小瀬田麻由)、雛菊りん(水原ゆき)、蒼井雫久(石原千尋)、桃山つき乃(松岡里英)、金平もえぎ(小田切瑠衣)が登壇した。舞台『上野パンダ島ビキニーズ』チケット情報本作は、ガールズユニット「上野パンダ島ビキニーズ」の7人が、“ビキニ”姿で芝居に歌にダンスに本気で挑む舞台。ひょんなことから漂流し無人島に辿り着いた7人が巻き起こす、笑いあり、涙あり、ちょっぴり刺激ありの、はちゃめちゃなサバイバルストーリーとなっている。2部構成となっており、芝居の後は“歌謡ショー”で客席を盛り上げた。囲み取材は自己紹介からスタート。朱里は「地味な妄想癖がある女の子」、スミレは「大金持ちのお嬢様」、橙子は「千葉のレディースの総長」、りんは「13人大家族で長女のギャル」、雫久は「好きなものは黒魔術、興味があるのは黒魔術、特技は黒魔術の冷酷無口」、つき乃は「お色気担当、女の子大好き」、もえぎは「いつもメソメソしてるメンヘラ」とユニークだ。ユニットの魅力は「個性豊か」と口を揃える面々。「協調性皆無の個性豊かな7人で、ひとりも同じようなキャラがいない。絶対に推しが見つかる」(つき乃)。それに加えりんが「うちらはマジ未熟者。その全員が一緒にスタートラインに立って成長していく」と始動したばかりの彼女たちならではの姿を語った。そんな彼女たちをプロデュースし、舞台の演出も務める堤は「今回、私がリスペクトしている劇団「□字ック」の山田佳奈さんに書き下ろしていただいて。一番勢いのある演劇の要素、それからミュージカル要素とかアイドル的ステージの要素とかロックなマインドの部分も含め、いろいろな表現が2時間の舞台にギュッと詰まっているんです。これはなかなかやろうったってできない。演劇のみの人でもできないし、アイドルのみの人でもできないですから。その高いハードルを、時間はかかりましたけど、クリアしているのが最大の魅力。能力が高くて、しかも魅力的で、ビキニ…そういう彼女たちのパワーを観に来てほしいです」と熱く語った。舞台にとどまらず、KADOKAWA『コミックNewtype』での漫画連載や、舞台開幕と同時のCD デビュー等、新型メディアミックスプロジェクトが既に始動しており、今後もさまざまな形で展開していくという7人。この記念すべき第一歩をぜひ見届けて!公演は4月2日(日)まで、東京・品川プリンスホテル クラブeXにて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年03月31日大ヒット推理ゲームを原作にした舞台『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE 2017 ~さよなら絶望学園~』が、2017年3月に上演される。累計80万本を売り上げるゲーム『ダンガンロンパ』シリーズを原作にした舞台シリーズ2作目の再演(2015年初演)で、主人公・日向 創は横浜流星が演じる。前作に続き超高校級のメカニック・左右田和一を演じるいしだ壱成と、同様に今回も映像出演で参加する神田沙也加に話を聞いた。「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE 2017 ~さよなら絶望学園~」チケット情報1作目から舞台シリーズ全作に出演してきた神田。2作目である今作の面白さについて「『ダンガンロンパ』は人がたくさん出てきて、普通は『こんなにいたら覚えられない』ってなりそうなんですけど、それぞれがビジュアル含め個性がものすごい。2作目は1作目よりさらにそれが濃くなった感じで。なのでキャラクターが出てきたときに目も楽しいし、本当にゲーム画面から飛び出してきたような迫力があります」。2作目初演から出演するいしだは「いろいろあるんですけど、僕が一番すごいなと思っているのはスピード感。追いつくのがやっとっていうくらいのスピードで進んでいく。ちょっとでも息抜いてるととんでもなく先にいってますからね。どっちかというとアクションに近い」。自身の役柄についていしだは「(演じる左右田は)何に対しても報われないっていうキャラクターなんですけど、その報われなさが楽しくて。初演では、左右田くんにはコアなファンがいると聞いたので、すごく真似しました。ゲーム画面で見られる左右田くんのポーズはほぼ全部やれるように、うまく芝居に組み込めたかなって思います。今回もそういった遊びは楽しみにしていますし、もっともっと左右田くんの深いところを演じていきたいです」。神田の役は公演まで極秘だが、初演での印象は「すごく怖かったです(笑)。映像を飛び出されてましたね。そこにいるかのような錯覚を覚えました」(いしだ)。今作について、いしだは「演出が変わりますし、いろいろな部分が変わると思うので、新しい作品を作るような感じがします。なぞるようなことは絶対しないと思うんですけど、やっぱりまたエッジのきいたものができるんじゃないかなと思っています」。神田は「シリーズ最初から知ってる方は楽しみがどんどん増していく一方だし、逆に初めての方がどこから入っても置いていかないのがすごい。フラットに楽しんでいただけたらと思います」。公演は2017年3月30日(木)から4月2日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。ぴあでは当日引換券を発売中。取材・文:中川實穗
2017年03月30日ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」″勝者と敗者″が、3月24日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、須賀健太、木村達成、猪野広樹、遊馬晃祐、小波津亜廉、演出のウォーリー木下が登壇した。【チケット情報はこちら】男子バレーボール(=排球)にかける高校生たちの姿を描いた古舘春一の同名大ヒット漫画を舞台化。2015年の初演からシリーズ3作目となる今作では、インターハイ宮城県予選を舞台に1年生の主人公・日向翔陽(須賀)が在籍する烏野高校と強豪・青葉城西高校の熱戦が描かれる。今作の大きな見どころは、木村演じる影山飛雄、猪野演じる菅原孝支、遊馬演じる及川 徹らセッター(トスをあげる役目の選手)の活躍。そのため囲み取材で須賀は「初めてこの作品を俯瞰で見られる立ち位置で、日向として冷静にコートの外から見る瞬間があります。そこが面白く、楽しく稽古しました」と振り返る。烏野のセッターを担う木村は「セッターは常に“誰にトスを上げて1点を取るか”を考える生き物。どのタイミングで誰に上げるかも見どころです」、猪野は「菅原が入ることで烏野と青城(青葉城西高校)にどう影響していくのかを楽しみにして頂ければ」。青城のセッターを演じる遊馬は「二幕、三幕と進むなかで最後にはどちらが勝つかわからなくなる緊迫感を楽しんで頂きたい」、及川と“阿吽の呼吸”の相棒・岩泉 一役の小波津は「今作は過去のドラマもひとつの見どころ。岩泉と及川の過去、及川と影山の過去、及川のもうひとつの面が垣間みれるので、注目していただければ」。須賀が「作品がひとつの協奏曲になっている」と話した通り、全三幕を第一楽章・第二楽章・第三楽章として上演された本作。“セッターはオーケストラの指揮者のようなもの”であることを軸に、天才の影山、センスもあるが努力を惜しまない及川、真面目で丁寧な菅原と、誰がセッターかによって変わるチームの空気が、音楽、そしてダンスでわかりやすく表現されていた。また、今作の舞台は3年生にとって最後になり得る試合。そのうえで描かれる過去、そこから生まれる熱い想い、だからこそ負けられない勝負…それぞれの物語を乗せた一戦が、演劇「ハイキュー!!」ならではの高い熱量によってまっすぐに客席に届けられた。ウォーリー木下が「今まで『ハイハー』ぐらいでしたが(笑)、今回ようやく『ハイパー』に格上げしました。びっくりするようないろんな演出をやっております!」と話す新演出も見どころの本作は、3月26日(日)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLにて上演後、宮城、大阪、福岡、東京凱旋と巡演。5月7日(日)にはライブビューイングも実施。取材・文:中川實穗
2017年03月30日昨年6月に上演された『昆虫戦士コンチュウジャー』が、一部新キャストを迎え、5月に『昆虫戦士コンチュウジャー~ただの再演じゃ終わらない、そうだろみんな!?~』として再演される。新キャストとして出演する本田礼生に話を聞いた。舞台『昆虫戦士コンチュウジャー』チケット情報本作は、劇団「犬と串」のモラルが作・演出を手掛けるヒーローコメディ。「爬虫類帝国」の地球侵略に立ち向かう「昆虫戦士コンチュウジャー」5人の中に1人中年が紛れているというシュールな設定で、本田は、中年戦士・時羽奏(ときわそう/モト冬樹)の若かりし頃を演じる。この日はビジュアル撮影。全身タイツ風の衣裳に七三分けで登場した本田は「こういうの、やりたかったんです!」と笑顔を見せた。昨年までミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで菊丸英二を演じ、その後もLive Performance Stage「チア男子!!」、THE CONVOY SHOW vol.32『asiapan』と出演。端正なルックスからは想像もつかない抜群の身体能力に定評がある。しかし今回は“心技体どれをとっても駄目”というこれまでにない役どころ。自身と真逆ともいえる役柄への抜擢について聞いてみると「もう最高ですよね」と嬉しそうに笑う。「いつかやりたいと思っていた空気感の舞台なんです。『コンチュウジャー』に自分が入れるのがすごく楽しみです。今まで演じたことのない役柄なのでどんな芝居になるのか自分でもワクワクしています」自身の役柄については「やさしいっていうのは絶対大切にしなきゃいけないと思います。心技体どれも駄目っていうのはその人柄あっての味付けだと思うので」「自分の色で作品自体の色も変わってくるような役だと思っています。(初演で同役を演じた山本)一慶さんが出していた味を引き継ぎつつ、『こうくるんだ』っていうところをお見せしたい。自分にしか出せない味を出せればいいなと思います」。安川純平と尾関陸以外は全員初共演。「純平と陸は以前共演した中でも特に仲のいいふたりなので、また一緒にやれるのが楽しみ。もちろん他の出演者の方々、皆さんとご一緒できるのも楽しみです。『コンチュウジャー』のあの空気感を生み出した人たちなので、それにどう挑んでいこうかなって」。「絶対に見たことない姿を見せられると思います。今後もこういう役どころはどんどんやっていきたいですし、最初の一歩をぜひ見てください!」と本田が意気込む本作は、5月10日(水)から18日(木)まで、東京・あうるすぽっとにて上演。取材・文:中川實穗
2017年03月24日俳優の中川大志が3月19日(日)、都内にて、「中川大志カレンダー 2017.4-2018.3」の発売記念トークイベントを開催。高校を卒業し、この春から俳優業に専念する覚悟を語った。主演映画『きょうのキラ君』が大ヒット上映中で、同じく主演の映画『ReLIFE リライフ』の公開を4月15日(土)に控える中川さん。2作目となる今年のカレンダーは、自身でコンセプトを考え、製作にも携わった初のオールプロデュース作品となった。ロケ地選定や衣装、ページ構成、デザイン、使用カットのセレクトをはじめ、自ら大好きなカメラを手に撮影にも挑戦した。中川さんは、完成したカレンダーを手に取り、「120点」と出来栄えに自信を覗かせた。「もともと写真を撮るのが趣味でした。今回はカメラを持って、1人旅ではないですけれど、そういうテンションでした。素の表情が詰まったカレンダーになっています」とコンセプトを紹介。ロケは、箱根と鎌倉で行ったそう。お気に入りは、箱根の旅館で撮影した、布団を被り目から上だけを出しているカット。「イメージでいうと仔犬のような」といい、「もし、セリフを付けるとしたら?」と尋ねられると、「『一緒に寝る?』ですね」とはにかんだ。この春、高校を卒業した中川さんは、色紙に「仕事一本」と記した。「大学に進学をせずに、この仕事だけでやっていこうと自分の中で決めました。本当の意味で“仕事一本”になります。これからが勝負だなという意味で、覚悟を書きました」と明かした。小学生のときに芸能の仕事を始めて以来、学業と俳優業を両立してきたものの、「中学校も、高校も、両立は楽ではありませんでした。全部の時間とエネルギーを1回、役者の仕事に注いでみたいなという想いがありましたので、決めました」と俳優業一本で活躍する道を選んだ背景を説明。「一番、役者の仕事が好きで、現場が一番楽しいので」とも。「演じてみたい役」については、「お客さんからまったく共感を得られないような役をやりたいです。『何、この人!?』というような。悪役もやりたいですね。狂気的な役とか」と言葉にし、「いままでやったことがない役をやるときが一番、楽しいです」と目を輝かせた。世界の舞台への挑戦については「いつかは」と想いを馳せた。「一瞬でも世界の現場というものを見てみたいですし、自分もそこに立ってその場の空気を吸ってみたいなという想いは、すごく漠然とですけれど、あります」と夢を膨らませた。『ReLIFE リライフ』の話題では、「エンディングで、ラップを歌っています」と、エンディングテーマソングでラップパートを担当していることを明かした。音楽も、カラオケに行くことも好きというものの、ラップは全くの初挑戦。「ある日、突然、映画のプロデューサーから『大志、ラップできる?』と言われ、『やったことないです』と言ったのですが、ふたを開けてみたらエンディングということでした。気付いたら決まっていました」と回顧。収録は「緊張しましたけど、楽しかったです」とふり返ったが、「エンドロールで自分の声を聴いたときに、恥ずかしくて、変な汗をかきました」と苦笑いを浮かべていた。「中川大志カレンダー 2017.4-2018.3」は3月25日(土)よりSTARDUST SHOPPERS/Loppi/HMV ONLINE(ローチケHMV)/楽天ブックス/TSUTAYAオンラインショッピングほかにて発売。(竹内みちまろ)
2017年03月19日大ヒット推理ゲームを原作にした舞台『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE 2017 ~さよなら絶望学園~』が3月16日(木)に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、キャストの横浜流星、伊藤萌々香(フェアリーズ)、植田圭輔、伊波杏樹、いしだ壱成、鈴木拡樹、演出・脚本の山本タク、振付のEncounter Engraversが登壇した。舞台『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE 2017 ~さよなら絶望学園~』チケット情報本作は、累計80万本を売り上げるゲーム『ダンガンロンパ』シリーズを原作にした舞台の再演(2015年初演)。主人公・日向 創は初演に続き横浜が演じ、演出・脚本は今作から山本が手掛ける。ゲネプロ前の囲み取材で、横浜は「今回は“再演だけど新しい作品をつくる”というのを目標にして、みんなで力を合わせて稽古してきました」と挨拶。今作では、昨年放送されたアニメ『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-』(本作の原作『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』の続編にあたるストーリー)を踏まえ「初演では描かれ切れなかったところが今回深いところまで描かれているので、そういうところにも注目して観ていただきたいです」と紹介。「日向くんの成長物語でもあるので、みんなに支えられながらも前に進んでいく日向くんの姿を見て、ひとりでも多くの方々に希望や勇気を与えたいと思ってます」と話した。今作からの出演となる伊藤は「演技のお仕事が初めてで、舞台ももちろん初めて出演させていただくので緊張と不安とすごくあるのですが、私らしい七海千秋を全力で楽しみたいと思います」、初演から続投の鈴木は「再演にあたって『やり残したことをやろう』というのをテーマに頑張ってきたので、そこの部分をクリアできるように頑張りたいです。ゲームでは味わえない生の迫力も売りなので、そこをお客様にも楽しんでいただけたら」、今作から出演の植田は「すごく温かい、初演で築き上げたチームワークとか世界観があるので、そこに乗っかってやっていこうと思いました。個人的にはお芝居で勝負できるような役どころで、自分が呼ばれた意味をしっかり考えて演じたいなと思っております」など、キャスト達が熱く想いを語った。昨年放送のアニメを経て、より深みを増したストーリーや、ダンスと芝居が融合した強烈でエグい“おしおき”シーンは、初演から進化した見どころのひとつ。ライブカメラが取り入れられ、舞台上の出来事をゲーム画面を見ているかのように楽しめる場面も。ゲームファンも、アニメファンも、初演を観た人も新鮮に楽しめる作品。ぜひ劇場に足を運んで!公演は3月26日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、 3月30日(木)から4月2日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。取材・文:中川實穗
2017年03月16日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)」。その4月6日(木)の開幕を前に赤坂氷川神社で公演成功祈願が行われ、中村勘九郎、中村七之助、作・演出の蓬莱竜太をはじめ、出演者の市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵が出席した。赤坂大歌舞伎 チケット情報「赤坂大歌舞伎」5回目にして初の新作歌舞伎としても注目を集めている本作。作・演出は『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞受賞も記憶に新しく、勘九郎、七之助と同世代でもある劇作家・蓬莱が務める。成功祈願後に行われた囲み取材で、勘九郎は「赤坂大歌舞伎として成功祈願というものを初めてやらせていただきました。身の引き締まる思いです」と挨拶。現在真っ最中の稽古について蓬莱は「初めて歌舞伎の演出をやらせていただいていますが、劇団のようにみんなが一緒になって作っているという印象で、リラックスして充実した稽古ができています。歌舞伎と現代劇は違うと思って入ったのですが、そういうことをあまり意識しなくていいという空気を作ってくださって。自由に歌舞伎を発想していいんだという風に勘九郎さんも七之助さんも言ってくださるので、その言葉を鵜呑みにしてやっております」。本作が描くのは、男と女の業。愛する歌(七之助)を幸せにするために転生を繰り返す男・太郎を演じる勘九郎は「(今作で描くものが)普遍的だったり日常の会話だったりするので。そこで転生していく男としていろいろな言葉を浴びせられるのは…まあ疲れますね!歌舞伎でも、突拍子もなく殺されるとか自分の子供を身代わりにしたりとかいう感情の苦しさはあるんですけど、(本作のように)日常にあることを言われ続けるというのは、意外とクるものがあります」と古典とは違う感覚を明かす。“恋愛あるある”が描かれたストーリーについて七之助は「世の男性は少なからず体験したことはあるんじゃないかという台詞が散りばめられています。だからこそ表面だけで演じたらペラペラになっちゃう。ひとつ芯を持って掘り下げないと、せっかく蓬莱さんの描いた作品を台無しにしてしまうので、今はその稽古中ですね」。さらに成功祈願を行った赤坂氷川神社が東京三大縁結び神社のひとつであることにかけ「この作品に出合えたことも縁だと思いますし、普段の歌舞伎ではあまり一緒にならない出演者たちが集まっていることも縁。それを大切にしたい」と本作ならではの“縁”を語り、稽古の充実を感じさせた。出演者のこれまでにない姿が見られそうな本作。公演は4月6日(木)から25日(火)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年03月15日村井良大、中川晃教らが出演するミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が4月より東京・シアタークリエほかで上演される。原作はチャールズ・M・シュルツのコミック『ピーナッツ』。誰もが知る人気キャラ、チャーリー・ブラウンやスヌーピーたちが歌いダンスする楽しい作品だが、あなどるなかれ、れっきとしたブロードウェイ産ミュージカルで、しかも今年で誕生から50年という由緒ある作品だ。開幕を約1か月後に控えた3月6日には、“顔寄せ”と呼ばれるキャスト・スタッフが一堂に会する場がもたれ、作品は本格始動。その模様をレポートする。チケット情報はコチラかつて坂本九や小堺一機、市村正親といった名優たちも出演したことのある作品だが、日本では16年ぶりの上演。演出を手掛ける小林香は「コメディ・ミュージカルであり、ずっとニコニコが続く。春爛漫の4月にぴったり」とその魅力を語る。同時に「子ども向けミュージカルなのではと誤解されることが多いのですが、この作品は、かつて子どもだったことのある大人が、大人になった今も忘れたくないと思っているものを、子どもの目を通して伝えているミュージカル。大人になればなるほど、この作品の良さがわかる。子どもも楽しめて、大人も楽しめる作品というのは難しい。手ごわいですが、みんなで一丸となって、心して立ち向かっていきましょう」とカンパニーにはっぱをかけた。小林が「キャストは6人。少人数ですが、才能豊かな、可能性に溢れる皆さんが集まった」と自信を見せる注目のメンバーは、チャーリー・ブラウンに村井良大、ルーシーに高垣彩陽、サリーに田野優花(AKB48)、ライナスに古田一紀、シュローダーに東山光明、そしてスヌーピーに中川晃教。主役の村井は「本当に素敵な作品なので、この6人で力を合わせて、素敵な舞台にしましょう」と意気込みを。また先ごろ、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞したばかりの中川は「この作品のお話を最初に頂いたとき、真っ先に「あのスヌーピーだよね!?絶対やる!」と言いました。そして集まったこの6人の顔を見て、最高のものが生まれる予感しかありません」と話した。中川の言葉どおり、顔寄せ後に引き続き行われた稽古では、おなじみのキャラクターの可愛らしい日常の喜びや悩みを、キャスト陣が生き生きとした表情で紡ぎ出していく。まだ稽古初期段階で、動きのついていない状態であり、もちろん衣裳もつけていない。だがだんだんと村井の顔がチャーリー・ブラウンの困り顔に、中川の顔がスヌーピーの得意げな顔に見えてくる。ミュージカル界きっての美声・中川の本気の「ワン!」も飛び出した。すでに稽古場は笑顔がたえないハピネスな空間だったが、ここからさらに稽古を重ね、4月には幸せの花束のような作品が登場するのだろう。期待して待とう。公演は4月9日(日)から25日(火)まで東京・シアタークリエにて。その後、福岡、大阪、愛知でも上演される。チケットは発売中。なおチケットぴあ演劇専門サイト「げきぴあ」では本作の稽古場レポートを随時更新予定。
2017年03月14日毎回、人気声優陣が参加し新感覚の音楽朗読劇を繰り広げる“シアトリカル・ライブ”の第3弾「シアトリカル・ライブ版 義経千本桜」が5月に上演される。それに先がけ3月4日に原作・脚本・演出を務める藤沢文翁と、音楽監督を務める吉田良一郎(吉田兄弟)によるスペシャルトークショーが行われた。「シアトリカル・ライブ版 義経千本桜」チケット情報イタリアンレストランで開催されたトークショーは、ふたりの“飲み仲間”でもあるレイチェル・チャン(J-waveナビゲーター)が進行。食事とお酒を楽しみながらアットホームな雰囲気の中で行われた。最初の話題は藤沢と吉田の出会いに。作品としては、戦国ブログ型朗読劇「SAMURAI.com 叢雲-MURAKUMO-」(2012年/吉田は音楽で参加)だが、もともと藤沢が吉田兄弟のファンだったことや、そのきっかけなども披露。「口だけのファンじゃない!」と言う藤沢に、吉田も「この場面では吉田兄弟のこの曲がいいとか、こんな風に作りたいとか、注文が詳しくくるんですよ。聴いてるんだなって」と太鼓判。吉田が最初に参加した理由を「朗読劇ということで面白いな、と。和楽器だけでできるということに興味がありました」と明かした。続いてふたりが再共演した本シリーズ第2弾「Relic ~tale of the last ninja」(2016年)の製作秘話に。吉田が音楽監督として「今までにないことを絶対やりたい」と藤沢に提案したことや、「戦闘シーンで三味線がジャンジャカ弾けるのが嬉しかった」と振り返る。今作で再びタッグを組むことについて藤沢は「お互いそれぞれの場所で成長しているので、また違うぶつかり方がしてみたいなと思って。前作は戦闘シーンがたくさんあったんですけど、今作はどちらかというと情緒的なところがある。良さん(=吉田)の作品って心情に訴えるものがあるので、今回はそんな一面を前に出したい」。吉田は「今作の時代に三味線はまだないんですよね。琵琶の時代なので、その難しさを言ったら(藤沢は)『がんばってね』って(笑)。でも僕の得意としている津軽三味線でメロディアスなところを入れていこうかな」と構想を語った。その後もさまざまな話題で盛り上がり、終盤には吉田による津軽三味線の熱い生演奏も!『彩雲』を披露し感動の拍手が沸き上がった。藤沢「今回お見せしいたいのは超絶技巧。良さん率いるバンドのみなさんの超絶技巧、トップレベルの声優による渡合をぜひ生で観ていただけたらなと思います」吉田「日本人だからできる内容、世界に誇れる文化だと改めて感じています。声優さんの声の波動だったり、日本人だからできるストーリー、音楽を改めて感じてほしいなと思います」「シアトリカル・ライブ版 義経千本桜」は5月27日(土)・28(日)、東京・品川ステラボールにて上演。チケットの一般発売は3月25日(土)午前10時より。取材・文:中川實穗
2017年03月13日タクフェス春のコメディ祭!『わらいのまち』が、3月30日(木)に開幕する。それに先がけ、本作の舞台である温泉旅館をイメージした「マスコミ御一行様慰労会」が開かれ、作・演出・出演の宅間孝行、永井大、柄本時生、柴田理恵、鈴木杏樹が、集まったマスコミ関係者にお茶と饅頭を配りもてなした。タクフェス春のコメディ祭!「わらいのまち」チケット情報本作は、宅間孝行が主宰の「タクフェス」が立ち上げる新シリーズ「タクフェス春のコメディ祭!」第一作目。笑いに特化したシリーズとなり、今回は2011年に上演された『わらいのまち』を再演する。寂れた田舎町の、寂れた温泉旅館を舞台にしたシチュエーションコメディで、「暗転なし」「転換なし」「ノンストップ」で展開される捧腹絶倒の一幕モノ。宅間の“笑い”の原点となった作品でもある。初舞台から2度目の宅間作品出演となる永井について宅間は「すごく体育会系で一本気でまっすぐで熱くて…、でも一生懸命突っ走っていききるところまでいくとアホになるところもあって。彼の演じる信雄という役も、とにかく町おこしをしたいって一生懸命突っ走るその全力疾走ぶりが最初はアホにしか見えないんですけど。彼もそんな男なんです」と評価。永井も「厳しく教えてもらうことで背筋が伸びる。言っていただけることに愛を感じますし、それに対して応えたいと思います。宅間さんが大好きです」と笑顔。宅間作品は初出演の柄本は「(宅間に言われ)個人的に好きだった言葉は『できねえんだからやれよ』で。その言葉を聞いたときに、この人は信用したいなって思ったんです。そう言っていただけると試せるというか、考えられる。楽しくできてます」。前回に引き続き出演する柴田は「前回の『わらいのまち』で初めて宅間さんの作品に出させていただいて、ぶち抜かれたというか。本当に『面白いもんだな』ってしみじみ思いまして…宅間さんにハマっていったわけです。今回2度目、出させていただいて大変嬉しく思っております」、2度目の舞台出演となる鈴木も「宅間さんの作品に出演させていただくのは初めてなのですが、それ以前に私は宅間孝行さんのファンで、おつくりになる舞台の世界が大好きで。ずっと観させていただいて、まさかそこに自分が立たせてもらえるなんて夢のようです」と熱く語った。宅間は「演劇って堅苦しいとか難しいとか思ってる人はたくさんいらっしゃると思うんですけど、全然そんなことはない。お笑いを観に来ていただくくらいの気持ちで遊びに来ていただきたい!」と呼びかけた。出演者との「ふれあいタイム」や劇中の「写メタイム」もあるという本作は、3月30日(木)から4月12日(水)まで東京グローブ座にて。その後、愛知、兵庫を巡演。取材・文・写真:中川實穗
2017年03月09日ダニエル・キイスの同名小説が原作のミュージカル『アルジャーノンに花束を』が3月2日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の矢田悠祐、水夏希が登壇した。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』チケット情報原作は1959年に発表された名作小説。世界3か国で映画化され、日本でも2度テレビドラマ化されている。ミュージカル版は、2006年に浦井健治主演で日本初演され、2014年にも同じく浦井主演で再演。今作でキャストが一新され、矢田が自身初となる主演に抜擢された。脚本・作詞・演出は、矢田が出演したミュージカル『王家の紋章』(2016年)の荻田浩一が初演から手掛けている。物語は、32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン(矢田)に、ある話が舞い込むことから始まる。それは、大学の先生が「頭を良くしてくれる」というものだった。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノン(長澤風海)を競争相手に連日検査を受ける事に。やがて手術によりチャーリィは天才に変貌したが――。ゲネプロ前に行われた囲み取材で、初主演の心境を聞かれた矢田は「正直どうなるかわからなくて。終わったときにどういう気持ちになるんだろうなっていうのが今の心境です」と緊張の滲む発言。本作の魅力について「SFなんですけどリアリティがあって、どの瞬間もどの関係も誰もが体験したことがあるようなエピソードが詰まっています。身につまされたり、嬉しかったり、悲しかったり、励まされたり…その瞬間瞬間が一人ひとりのお客さまの心を揺さぶる」と水。自身の役柄について矢田は「シーンによって全然違う人になった気分。すごいスピードでどんどん階段を上っていくので、その成長の段階や心の動きに自分が追いつかないときがあって。そこに食らいついていくのが今も大変です」。前作との違いを問われ「演じる人間が違うし、荻田さんは演じる人の個性に合わせて演出をしてくださるので、自然と違う形になってるかなと思います」(矢田)と話した。幕が開き、幼児並みの知能のチャーリィとして登場した矢田は、ピュアな魅力を纏い美しい歌声で物語の世界に誘い込む。全てひらがなで話していたような言葉は、知能が高まるにつれ少しずつ漢字が混じって聞こえ、あっという間に容易に理解できない言葉になる。しかし、言葉の成長スピードに追い付けない情緒面の成長。そんな特殊な状況にあるチャーリィの戸惑いや苦しさを、矢田の芝居と歌が一つひとつ真っ直ぐに届けた。アルジャーノンが踊る美しい世界に登場人物の生々しい感情が浮かび上がる本作は、3月12日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、3月16日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年03月07日東京・浅草の新劇場「浅草九劇」のこけら落とし公演 ベッド&メイキングス第5回公演『あたらしいエクスプロージョン』が3月3日(金)に開幕。その初日公演を取材した。ベッド&メイキングス第5回公演『あたらしいエクスプロージョン』チケット情報本作は、レプロエンターテイメント創立25周年プロジェクトとして生まれた、劇場とホテルと飲食店の複合施設「浅草九倶楽部(アサクサココノクラブ)」内の劇場「浅草九劇」の?落とし公演第1弾。俳優・富岡晃一郎と脚本家・演出家の福原充則とによる劇団「ベッド&メイキングス」の第5回公演として、客演に八嶋智人、川島海荷、町田マリー、大鶴佐助、山本亨を迎え、邦画界初のキスシーンにまつわる物語(フィクション)をコミカルに描く。物語の舞台は終戦直後の日本。焼け野原から立ち上がろうと歯を食いしばる市井の人々の中に、新しい映画を撮るために奔走する映画屋がいた。彼が撮ろうとしているのは“邦画初”のキスシーン。当時は秘め事、芸者遊びの枠の中で語られてきた「口づけ」の時代。それを恋人たちの愛の証「キス」として浸透させ、この国により多くの「愛」のきっかけを作ったのは映画だったのだ。そんな映画を撮るにあたり、“邦画初”の肩書きを狙う映画屋たち、キスによってアメリカ文化を浸透させようとしたGHQ、市井の人々の思惑が絡み合っていく――。一般席数95席という小劇場ならではのギュッと詰まった空間で繰り広げられるパワフルな6人芝居。中でも舞台は2作目という川島は今までにない大胆な役で、新しい顔を見せる。また、ふたつの物語が並行して進む本作はキャストが複数役を演じているが、同じ人とは一瞬気付かないほどの鮮やかな演じ分けが楽しい。舞台上で衣裳を着たり脱いだりしながら役をスイッチする芝居は舞台ならではのもの。演出面でも、客席との距離が数十センチの小さな花道を活用したり、空間のサイズ感を利用して懐中電灯を照明にしたり、雨のシーンで八嶋が不自然な動きで客席に水を飛ばしたり…新たな劇場の魅力が伝わる場面もたっぷり。テンポよく進むストーリーは笑いも満載ながら、多くの人が亡くなった戦争の直後で「映画を撮りたい」と突き進んだ登場人物たちの想いや決意が、今まさに演劇を楽しんでいる自分たちの心に真っ直ぐに届く。新たに劇場が誕生することの幸せをかみしめる作品だと感じた。また、この日は川島の23歳の誕生日&八嶋の結婚記念日。カーテンコールでキャストや観客に祝福され、川島は「この舞台から23歳が始まります。ぶっ飛んだことをやらせてもらってありがたいです(笑)。23歳の川島はパワフルでいきます!」と挨拶。劇場初の公演は和やかに幕を閉じた。公演は3月21日(火)まで、東京・浅草九劇にて上演中。取材・文:中川實穗
2017年03月07日TEEN×TEEN THEATER「初恋モンスター」が3月3日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロ及び囲み取材が行われた。TEEN×TEEN THEATER『初恋モンスター』チケット情報原作は、月刊誌『ARIA』(講談社)で連載の同名漫画(作:日吉丸 晃)。世間知らずのお嬢様高校生・二階堂夏歩と、外見は長身イケメン青年の小学5年生・高橋奏の恋愛を描くハイテンションラブコメディ。ゲネプロ前に行われた囲み取材の冒頭では高橋奏(荒牧慶彦)が作文を披露。「ぼくの予想だと大成功すると思います。なぜかというと1か月くらいすごく練習をけっこうがんばったので、今日もみんなとがんばれると思うからです」など小学生らしい文章を読み上げた。脚本・演出の川尻恵太(SUGARBOY)は「荒牧くんの“初”座長公演、シェーンとゆうたろうくんは“初”舞台、『初恋モンスター』という“初”がついたタイトルと、初ものづくしです。個性豊かなメンバーで、見た目でも楽しめる、設定でも楽しめる、ストーリーでも楽しめる、歌や踊りもありますし、すべての面でどの角度からも楽しんでいただける。円形舞台ですし360度全方位な作品だと思っております」。自身の役柄について荒牧は「最初は恋だと思ってなかった気持ちがどんどん夏歩に向いていく。甘酢っぱい“初恋”という感情の変化とか、小学生ならではの表し方とか、僕は奏の成長ストーリーだと思っていますので、そこが見どころです」、野口一男役のシェーンは「女装した耕太に恋しちゃうところにカズの性格が出てくると思います」、篠原耕太役のゆうたろうは「女装シーンはぜひ、まばたきしないで見てほしいです!」。登場人物はそれぞれ強烈だが、ベースにあるのは外見も中身もイケメンな男の子とコンプレックスのある女の子の恋という少女漫画の王道ともいえるストーリー。ただそのイケメンが“小学生男子”ということで、素敵な告白シーン直後に彼女のためにピアニカを熱く演奏したり、恋の行方をフラフープ200回転への挑戦にあずけたり…投げられた球は小学生的発想を経由し、予想もつかない方に飛んでいく。そんな漫画ならではとも言えるぶっ飛んだ表現が、芝居、歌、ダンスで鮮やかに再現されていて驚いた。小学生役キャスト達の小5男子ぶりは圧倒的でそれ故笑える要素もたっぷりだが、その中でも、奏の素直さゆえの甘い言動に悶絶させられたり、子供ならではのピュアでシンプルな想いにハッとさせられたりと、2時間の間に色とりどりの感情が味わえて楽しい。細部までこだわられた世界にギュッと詰めこまれた笑い、ときめき、真理、おバカな下ネタ、そして大きな愛が「初恋モンスター」の魅力をポップにみせてくれた。公演は3月12日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXにて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年03月06日見て、歩いて、参加する移動参加型演劇『SAFARING THE NIGHT/サファリング・ザ・ナイト』が3月2日、東京・すみだパークスタジオ特設会場で開幕した。果たしてどのような作品なのか。開幕を直前に控えた某日、演出・脚本を手掛ける伊藤靖朗(「舞台芸術集団 地下空港」主宰)、出演者の原嶋元久、庄野崎謙に話を聞いた。『SAFARING THE NIGHT/サファリング・ザ・ナイト』チケット情報シェイクスピアの『夏の夜の夢』を下敷きに、猛スピードで発展する人工知能と近未来を描く本作。物語は、対立するふたつの巨大AI(人工知能)企業体・オベロンとタイタニアが遂に歴史的結合を実現することになり、その式典参加の候補者たちが事前に集められるが――というもので、観客は2種類のゲート(オベロン/タイタニア)からこの世界に参加する移動型演劇だ。「ひとつの夜に起きる大事件にふたつの側面から入って行って、旅していただきます。歩いたり、登ったり、降りたり。お芝居も真ん中ではなく、お客様の隣とか、後ろとか、ありとあらゆるところで行われます」(伊藤)。公演専用のスマホアプリもあり、さまざまな角度から参加できるという。前代未聞の芝居を作っていくキャスト陣。観客参加型ということもあり幕が開かないと見えない部分も多そうだが、「作品の中でお客様と一緒に僕自身も楽しめたらいいなと思って今、稽古しています」と庄野崎。原嶋も「お客様に参加してもらう部分は、僕にやさしいお客様を想定して稽古しています(笑)」と笑いつつも、「でも塩対応のお客様もそれはそれで楽しみ。お客様がどう参加してくれるのかは期待しているところです」。もはや“観客”というより“共演者”。役割も大きいそうだ。「この作品って多分日本初。そういう試みはリスクも大きいかもしれませんが、その先に待ってるものを想定して、それを期待してやっていくのはモチベーションが上がります。やり遂げたいです」(庄野崎)伊藤「今作に出てくる人工知能って、人間を追い抜くんじゃないか、滅ぼしちゃうんじゃないかって言われているものだったりしますよね。ただ、そういう未来を作るのも作らないのも自分たち次第。そういうことがことさらに問われている今だからこそ、やる価値がある作品なんじゃないかと思っています。それをお客様が椅子に座って安心して観るのではなく、中に歩み出していく体験の中で問いかけるというのは…すごくやりたいことだし、それができたら素敵。そう思って今、稽古しています」「この舞台の面白いところは、“レベルの高い最低限”も保証するんですけど、“最高”はお客様が来れば来るほど上がっていくんですよ。そういう意味では何度でも来ていただきたいですね」(原嶋)という本作は3月12日(日)まで上演。取材・文:中川實穗
2017年03月03日宮木あや子の同名小説を原作にした舞台「野良女」が4月に上演される。宮木自ら“しょぼくれSex And The City @中央線の荻窪駅より西側”とキャッチフレーズをつけるアラサー女性5人の本音が描かれ、先日開かれた製作発表でも「ピー音が多すぎてテレビドラマにはできない」と語られた赤裸々さも魅力の作品だ。主演の佐津川愛美に話を聞いた。舞台『野良女』チケット情報「リアルに近い役を久しぶりに演じます。高校生のときに高校生役を演じた以来じゃないかな」と話す佐津川。自身が演じる鑓水清子と同じ28歳になった。「自分で『私アラサーですよ』ってすごく言うんです。でもそれって半分ネタで。それが原作を読んで、自分がアラサーだということを初めて自覚して、けっこう衝撃を受けました(笑)」。原作の中で5人のアラサー女性は、何かと飲みに行ってはあけすけに話し合う。「“アラサー”っていう言葉ができてから、こういう(女子トークの)作品ってすごく増えたと思うんです。でもここまで言ってるのはあまりないと思います。“なんとなくこういう話してるんでしょ”っていうのを超えてて、よくある女子トークより3倍くらい深いリアルな会話になると思うし、そうなるように演じたいです。キャストが全員アラサー女子だからこそ出せる気持ちみたいなところを掘り下げたり、面白い具合に描けたらいいんじゃないかなと思っています。映像じゃできないことをやりたいです」。演出を手掛ける稲葉賀恵(文学座)もアラサー女性で、今作が初タッグ。「この前ふたりで飲みに行きました。この舞台をより面白くしたいので、(座長として)少しでもいい環境にするためにはどうしたらいいんだろうっていうことを初めて考えまして。かといって答えが出るわけじゃないから早々に稲葉さんに『不安なんです…』って(笑)」。「最近、自分がニコニコ過ごせればしあわせだって思うんです。結局自分の心の持ちようだなっていうことにやっと気づけて」と話す佐津川。なにげないことのようだが、本当にそこに辿り着くのには経験も時間も必要だ。“やっと気づけて”という言葉は深い。「“結果、自分なりのしあわせを見つければいいよ”って終わり方ってすごくあるんですけど、『そんな簡単にそこまでいけないよ』って思ってました。この作品にはそこがちゃんと描いてある。ちょっと痛い想いもするかもしれないけど、アラサ―女子のリアルな一面を“覗き”にきてもらえたら面白いと思います。面白い自信はあります!」。公演は4月5日(水)から9日(日)まで、東京・新宿シアターサンモールにて。取材・文:中川實穗
2017年02月27日