金沢知樹が作・演出を手掛ける密室サスペンス・コメディ『体育教師たちの憂鬱』が4月に東京・シアタートラムにて上演される。本作で教師役を務める赤澤遼太郎に話を聞いた。【チケット情報はこちら】金沢が主宰する「劇団K助」が初演した本作は、とあるスポーツ名門校の女子校が舞台の物語。体育倉庫で教師と生徒の恋のやり取りが記された交換日記が見つかり犯人探しが始まるが、その中でさまざまな事件や過去が明らかになっていく――というストーリーが展開する。「今回は“初づくし”です!」と意気込む赤澤。「まず、教師役が初めて。僕のことを知っている方はきっと生徒役だと思われたと思います。それがまさかの教師役!」と嬉しそうだ。現在23歳の赤澤は、喜劇『おそ松さん』(トド松役)やMANKAI STAGE『A3!』~AUTUMN2020~(七尾太一役)など2.5次元舞台を中心に人気を集める俳優で、フレッシュで若々しいイメージは強く、教師役は意外だ。芝居としても、「会話劇で、歌やダンスもない。これまでやってきたこととは違うお芝居になるんだろうなと思っています」と挑戦になりそうだ。「“演じる”ということに関しては、ジャンルでの違いはないと思っていますが、原作ものは、先にキャラクターがいることが大きな特徴で。僕はいつも、なぜそのキャラクターが愛されるのかを考えながら役作りをしていくのですが、今回はオリジナル作品なので、その要素は自分で作ることになる。そこをどうしていくのか…わあ、これめっちゃ楽しみですね!」と笑う。主演は小宮有紗と加藤玲奈(AKB48)。さらにゆっきー(キャン×キャン)、みなみかわ、未来(カムカムミニキーナ)、佐藤江梨子、羽場裕一ら幅広いキャスト陣。「大先輩である羽場さんや佐藤さんと共演させていただけることがすごく嬉しいです。あと僕、同世代の女性とガッツリお芝居をすることがほとんどなかったので。そこも新鮮だし、刺激をもらえそうです」脚本を読んで「今の子、怖いな…って思いました(笑)。現代の話なので、共感もしてもらいやすいと思います。その中で僕の役は、頭が良くて、ものごとを俯瞰していて他人と深く関わろうとしないイメージ。僕自身とだいぶ違うように見えると思いますが、実はそういう一面もあるので。そこと向き合って役作りしていきたいです」。作・演出の金沢は「やさしい方だと聞いています。ご一緒できるのが楽しみです。『あいのり』に出られていた頃を母が観ていたそうで、『“きんちゃん”だよ!』と大興奮してました(笑)」『体育教師たちの憂鬱』は、赤澤が「格式が高いイメージ。出てみたかった劇場です。嬉しいです」と語る東京・シアタートラムにて、4月3日(金)から19日(日)まで上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2020年02月07日2020年劇団☆新感線39興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌(にせよしつね めいかいにうたう)』が2月から東京と福岡で上演される。その記者会見が行われ、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのり、主演の生田斗真、りょう、中山優馬、藤原さくら、粟根まこと、早乙女友貴、山内圭哉、三宅弘城、橋本さとしが出席した。【チケット情報はこちら】本作は、偽物説や影武者説などさまざまなドラマティックな謎を抱えた“源義経”をモチーフに、中島が書き下ろした“いのうえ歌舞伎”の完全新作。昨年3月から4月までの大阪・金沢・松本公演を上演し、今回の東京・福岡公演にて旗揚げ39周年を記念した「39(サンキュー)興行」の締めくくりとする。まず中島が本作について「生田くんが高校生の頃に出会って以来ずっと書き下ろしでやりたいと思っていました。それで今回結局バカな役になってしまい、あいすまんと思いながら(笑)、でもとても魅力的な役です」と話し、昨年の上演を「想像以上に光に満ちた舞台になったなと思いました。役者が板の上に立つことでこういうカタチになるんだと改めて実感しました。不思議な舞台でした」と明かす。いのうえは「今回は気合いが入って詰め込み過ぎて、歴代の作品でも一番立ち回りが多い芝居になってしまいました…(笑)。若手にがんばってもらおうと、階段や八百屋舞台(手前に向かって斜面がついた舞台)でつくったら、2幕でことのほか、うちの“おじいさん”たちが走り回らなくてはならい展開になりまして(笑)。今回いろいろ削ったので、10分くらい短くなると思います」と、2020年版は新たな変化がありそうだ。いのうえが注目してほしいのは唯一の新キャスト三宅弘城。昨年橋本じゅんが演じた役を演じる。生田は本作について「いのうえさんがつくりたい劇団☆新感線であり、お客様が観たい劇団☆新感線のお芝居ができたと思っています。いのうえ歌舞伎でしか見られないスペクタクルです」と語り、りょうは座長・生田を「本当に頼りになります。バカとは言いませんが(笑)、とてもチャーミングな方。そこが大きな魅力です」と語る。劇団☆新感線初出演の中山は「最初はビビっていたのですが、稽古場で皆さんがゲラゲラ笑いながらつくっている姿を見て安心しました。稽古に行くのが楽しいです」と笑顔。本作が初舞台の藤原は「この作品は歌が鍵になっているのですが、今回は新しい曲が増えてますので、精一杯歌わせていただきます!」と意気込んだ。会見での笑顔の多さからカンパニーの雰囲気が垣間見えた本作は、2月15日(土)から3月24日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて、4月4日(土)から28日(火)まで福岡・博多座にて。チケットぴあでは東京公演の立見券を販売中。取材・文:中川實穗
2020年01月27日日本で3度目の上演となるオフブロードウェイ・ミュージカル『bare』が1月30日(木)に開幕する。出演者の安井一真、田村良太、茜屋日海夏に話を聞いた。【チケット情報はこちら】カトリックの全寮制寄宿舎高校を舞台に、青少年の性とアイデンティティへの葛藤、ドラッグへの誘惑を衝撃的に描いた本作は、2000年にロサンゼルスで初演され、最優秀ミュージカル賞、最優秀作曲賞を受賞、オフブロードウェイに進出後、世界中で上演される人気作。日本では2014年に原田優一の演出で初演され、16年の再演に続き、今回も原田が演出を手掛ける。取材時は、歌稽古から芝居の稽古に切り替わるタイミング。現在の心境を、ミュージカル初挑戦の安井は「歌稽古が新鮮でした。僕は音楽グループに所属しているので歌は歌ってきたのですが、お芝居で歌う難しさを実感しているところです」と明かす。初演から出演してる田村は「この作品は『レ・ミゼラブル』などと同じ“ポップオペラ”で、やり取りを全て歌で表現する。だから歌の量も膨大なのですが、そこが楽しいです。今回は音楽が日本語として聞きやすく変化していて、より感情を乗せやすくなりました」。茜屋も初めてのミュージカルだが「以前、歌のレッスンで今回演じるアイヴィの楽曲を歌ったことがあって。その時は、お話も知らなかったのに気持ちが揺さぶられたのを覚えています。私自身、共感する部分もたくさんあるこの作品が、開幕してどう受け取ってもらえるのか楽しみです」とそれぞれ語る。本作で描かれる作品の舞台は、今の日本にも似た環境。LGBTQなどへの認識は進むものの偏見がなくなったとは言えず、ドラッグの存在も決して無視できない状況だ。田村は「前回からの4年で日本も変わり、この作品の受け取り方も変わるんじゃないか思います。だからこそ今、この作品がどう届くのか楽しみです。ただ僕は、このお話のメインはやっぱり高校生たちの悩みや心のやり取りだと思っていて。そこは普遍的なものなので、誰でも感情移入しやすいんじゃないかな」と語る。演出を手掛ける原田について安井は「僕自身は初めましてなのですが、共通の友人が多くて、作品に出演が発表されたときにすぐにその友人たちから『愛のある方だよ!』と連絡がきました。だから今回ご一緒できることが楽しみです。愛に触れたいなと思います」。茜屋が「すごく悩みそうだけど、悩んだぶんだけよくなるって田村さんもおっしゃっていたので、たくさん悩もうと思います!」と話す本作は、1月30日(木)から2月9日(日)まで、東京・草月ホールにて。取材・文:中川實穗
2020年01月22日劇団「ゴツプロ!」の第五回公演『狭間の轍』が、1月24日(金)に東京・本多劇場にて開幕。東京、大阪、台北で上演される。その通し稽古に潜入した。【チケット情報はこちら】前回は阿波おどり、その前は津軽三味線と、日本の伝統的な文化を芝居に組み込んできた「ゴツプロ!」。今回は民謡、主にソーラン節をテーマに、明治27年の北海道江差町のはずれの漁師町にニシン漁の出稼ぎに来た男たちの姿を描く。演出は劇団「ふくふくや」の山野海、脚本は竹田新(山野海の別名義)。この日は楽器も入っての通し稽古。津軽三味線と尺八による迫力のある生演奏から芝居が始まった。舞台となるのは、喜助(佐藤正和)が親方を務める番屋(漁場の近くの作業場兼宿泊施設)。そこには、伊之助(かなやす慶行)、吉松(渡邊聡)、正太郎(泉知束)、三兄弟の長男・一朗太(内谷正文)、次男・玄吾(44北川)、三男・十三郎(塚原大助)が働きに来ており、さらに江戸から来た朝一(石川よしひろ)も仲間に加わっている。ポンポンと会話が飛び交い活気ある番屋。乱暴なやり取りもあるが、根っこにある彼らのやさしさは不思議なほど伝わってくる。そんな彼らのもとに、かつて玄吾と同じ戦場で足軽をしていた長治(浜谷康幸)が、「問題を起こした漁師の義弟を鍛え直してほしい」と義弟・遼太(関口アナン)を連れてやってくる――。劇中ではさまざまなことが起きるが、この作品では、そこで白黒はっきりつけるとか、膝突き合わせて向き合うとか、そんな展開はあまり見せない。そっとしておいたり、みんなで笑って発散したり、やさしくうながしたり…さりげなく、何かを逃がすように事をおさめていく。うっかりしていると見逃しそうな静かなやり取りだが、客席にいるとそこから受け取るものは大きく、気持ちはドラマチックに動かされた。物語が進むにつれ、さまざまなことがわかってくる。なぜ遼太が問題を起こしたのか、なぜ長治は玄吾を尋ねて来たのか、なぜ漁師たちがやさしいのか…。それは思わぬ理由ばかりだし、中には何とも言えない理由もあった。ただ、そこでモヤモヤッとした空気が漂っても、誰かが民謡を歌うと、一気になにかが晴れるような、でも逆に包み込んでもいるような、そんな不思議な感覚があった。歌詞がストーリーに寄り添っているわけでもないし、もちろんミュージカルのような歌とも違う、けれど唄が説得力を持って響くのだ。その体験は新鮮だった。真っ直ぐで誠実な演劇のよさを感じることができる本作は1月24日(金)から2月2日(日)まで東京・本多劇場、2月6日(木)から9日(日)まで大阪・近鉄アート館、2月21日(金)から3月1日(日)まで台北・華山1914文創園區烏梅劇院にて上演。取材・文:中川實穗
2020年01月21日鈴木勝秀が26年に渡り取り組んでいる実験的シリーズの最新作『ウエアハウス-double-』が東京・新国立劇場小劇場にて1月25日(土)から2月2日(日)まで上演される。二人芝居となる今作について、出演者の平野良と小林且弥、脚本・演出の鈴木勝秀に話を聞いた。【チケット情報はこちら】稽古が始まって8日目のこの日、小林が「大変ですよ」と言えば、3人でははは!と笑う。鈴木は「26年、変化し続けているこの作品ですが、今回も今までとはまた違うテイストになっています」と話し、今回の魅力は“切なさ”。「この作品は怖いことになることが多いんだけど、ふたりがやると切ない。あとは、“お芝居してますよ!”という感じがないので、狭い劇場でやるのに非常にいいです。絶対にあり得ないような内容ですが、とてもリアルに感じられます」と語る。共に二人芝居は初挑戦となる平野と小林。平野は「今回、二人芝居も初めてですし、スズカツ(鈴木)さんとも朗読劇以外では初めてで、普段あまりやらない会話劇ですし、コバカツ(小林)さんと一緒だし、新鮮で楽しいです。そのぶんいろんな課題がありますけど、稽古で克服していきたいです」。鈴木とは長い付き合いの小林は「スズカツさんの現場は、毎回新しい発見がありますし、役者がやりがいを感じる瞬間を用意してくださるんです。今回ももちろんそうですし、特にこの作品は、役者だったらみんなやりたいようなものだと感じます。だからやれることが嬉しいし、稽古場でも至福の瞬間が何度もあります」と充実している様子を見せる。平野と小林が舞台で本格的に絡むのは今回が初めてだが、映像で共演したのは10年ほど前。「映像で共演したとき、良のことをすごく面白いことをする人だなと思っていました。予想しないようなことをやってくるんですよ。でもそういう芝居って往々にして作品の邪魔になったりするけど、良の場合は有機的だった。頭の良さを感じました。今回もクセになる“癖”があって、やばいときがあります(笑)」(小林)、「僕も当時、同じことを思っていました。“この人の芝居はなんなんだろう”って(笑)。でも、そのときに感じた匂い立つ芝居、嘘のなさは今回も感じます。やっててすごく楽しいです」(平野)と、共に共演を楽しんでいると言う。同劇場にて鈴木作・演出の『る・ぽえ』と同時上演する本作。鈴木が「稽古は楽しいですけど、2本同時につくるっていうのが僕にとっての問題(笑)。ただ、ふたりとも非常にがんばっているし、残りの稽古で、ふたりが不安にならずに舞台に出ていけるよう準備ができれば何の問題もないです」と語る『ウエアハウス-double-』は東京・新国立劇場小劇場にて1月25日(土)から2月2日(日)まで上演。チケットぴあでは各公演前日23:59まで購入できる当日引換券が1月22日(水)10時より発売。取材・文:中川實穗
2020年01月21日少年社中・東映プロデュース舞台「モマの火星探検記」が東京・サンシャイン劇場にて上演中。開幕に先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には、原作者の宇宙飛行士・毛利衛、脚色・演出の「少年社中」主宰・毛利亘宏、W主演を務める矢崎広と生駒里奈が出席した。少年社中・東映プロデュース 「モマの火星探検記」のチケット情報本作は、毛利衛による同名児童文学に、少年社中の作品「ハイレゾ」をミックスした宇宙ファンタジー。父との約束を果たすために宇宙飛行士になったモマ(矢崎)と、宇宙を夢見て仲間と小型ロケットをつくる少女・ユーリ(生駒)、それぞれの物語が別軸で進み、交錯していくストーリーとなっている。作品は12年に初演、17年に再演を行い、今回が三度目の上演で、矢崎と生駒は17年に引き続き主演を務める。“宇宙”という壮大な世界を描きながらも、登場人物の小さな“愛”の数々が描かれていく本作。宇宙から地球を見た毛利衛でなければ生まれないような生命観、地球観、宇宙観が、想像だにしない温かな世界へと私たちを誘う。17年公演で生駒が劇中の台詞に背中を押され、新たな一歩を踏み出したことから、今回心に残った台詞を問うと、毛利亘宏は「『繋がっている』です。子供の頃に毛利衛さんに憧れ、そこからすべてが始まり、こうやって素晴らしい仲間たちと出会った。今この場にいることこそ『繋がっている』だと思います」、矢崎は「今回は『全部繋がっている、だから生きる』という言葉にすごく意味を感じています。自分が困難に立ち向かっていく意味、演劇をやっていく意味…『だからだったんだ』と心に沁みました」、生駒は「『憧れという名の力』です。私は17年公演で『やりたいと思ったことをやればいいんだ』という台詞に出合い、“憧れという名の力”を自分で出して、ここまで来ました。でもそれは簡単に得られるものではなく、挑戦して初めて得られるものだと思います」。そして毛利衛は「私は宇宙から地球を見て、すべてここ(地球)でしか生きられない、そういう繋がりがあるんだと感じました。今、我々はいろんな問題を抱えていますが、それも全て繋がっている。だから生きて、乗り越える。そんなメッセージが、今回すごく響きました。私も原作にそういうものを込めたかったけれど、なんせ科学者なので、事実に基づいた説明しかできなかった。それがこの舞台だと、たくさんの人に本当の意味を分かってもらえる」と喜びを語った。劇場に宇宙が広がる本作は1月20日(月)まで東京・サンシャイン劇場にて上演後、2月1日(土)・2日(日)に愛知・岡崎市民会館あおいホール、2月7日(金)から11日(火・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、2月15日(土)・16日(日)に福岡・福岡市民会館を巡演。取材・文:中川實穗
2020年01月16日全米ミュージカル界のスーパースターであるシンシア・エリヴォのスペシャルコンサート『シンシア・エリヴォ ミュージカルコンサート featuring マシュー・モリソン&三浦春馬』が1月16日(木)・17日(金)に東京国際フォーラムホールAにて開催さ入れる。ゲストとして出演する三浦春馬に話を聞いた。【チケット情報はこちら】ミュージカル『カラー・パープル』の主演セリーでは2016年のトニー賞主演女優賞、グラミー賞、エミー賞などを受賞し、今秋公開の主演映画『Harriet』はゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、さまざまなカタチで世界を魅了しているシンシア。そんな彼女のスペシャルコンサートへの参加が決まり「信じられなかったです」と三浦。「僕はシンシアさん初来日のミュージカル・ショー『4Stars 2017』も観まして、そのパフォーマンスに本当に息を飲んだし、これが世界クオリティなんだと感じました。これは彼女独特だと思うのですが、声を張り上げるときに天を仰いだりするんですよ。その体勢で、吠えるように、祈るように、リッチな声を出す。普通じゃ考えられないものです。彼女は自由。その自由さや神々しさに人は心を掴まれるんだろうなと思いました。今回、同じ空間、同じステージ、同じ高さでシンシアさんのパフォーマンス、世界最高峰の表現力を観られる。お客様にとってもそうですが、僕にとっても忘れられない大事なものになると思う。だから本番までにしっかり準備したいです」と明かす。そんなシンシア、そして同じくゲストのマシュー・モリソンと一緒に歌うために、現在は「自主練」中。「ほとんどが英語での歌唱になるので、単語の発音の確認からやっています。ひとつひとつ確認していると、1曲とか2曲で5時間とかかかるんですよ。でもきっと、準備したらしたぶんだけ、ふたりの素晴らしい表現者から歌中でのギフトが受け取れると思うから、他のこと…つまり発音や歌詞に気を取られないくらい準備しておきたい。本番は緊張するとは思うのですが、悔いのないように準備して、楽しみたいです」。三浦が歌うのは『Not My Father’s Son』(『キンキーブーツ』より/三浦ソロ)や『Rewrite The Stars』(『グレイテスト・ショーマン』より/シンシアとのデュエット)など「ミュージカルに詳しくない方でも楽しんでいただけるラインナップだと思う」という楽曲の数々。三浦の次回出演作でアンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』から『unsettled scores』も初披露する予定だ。三浦が「日本ではそうそうない機会です!」と期待する、たった2日間だけのスペシャルコンサートをお見逃しなく。公演は、1月16日(木)・17日(金)東京国際フォーラム ホールAにて上演。チケットぴあにてチケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年12月27日「ヨーロッパ企画」の大歳倫弘が主宰する「イエティ」の最新作『スーパードンキーヤングDX』が2020年1月から2月に上演される。作・演出の大歳に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、2011年に上演された作品『ドンキーヤング』の続編+初演。「『ドンキーヤング』は、ヤンキーがドン・キホーテと間違えてヴィレッジヴァンガードに入り、サブカルに目覚めていくという話だったのですが、今回はその9年後の2020年の世界を描きます。ただ初演は多くの方に観て頂けているわけではないので、両方合わせて2時間弱でみせられたらと思い、このカタチにしました」。『ドンキーヤング』の続編をつくることにしたのは、「ヨーロッパ企画で『サマータイムマシン・ブルース』の続編をやったり、自分が演出した舞台「ナナマルサンバツ」で続編をつくったり、なんか僕の中で続編ブームがきて(笑)。そこにやりがいを感じ、この作品ならできそうだと思いました。それと、初演でもヤンキーを演じた中川晴樹が9年前、“これだったらもう1回やっていいよ”って言ったんですよ!本人は絶対否定しますけど。クールぶってる男なので。そういうこともあって、やってみようかなって」。今作で描くのは、“サブカルヤンキー”の今。「今は当時に比べるとサブカルの勢いが少し弱まっているなと感じていて。そういうとき、サブカルヤンキーはどうするんだろうと思ったんですよね。彼はあの後、怪我をして、目が覚めたら2020年だったという設定で、当時ヤンキーだった奥さんにも大きな変化もある。それで、この10年の間になにがあったんだと掘り起こしていく、ロードムービー的なお話になる予定です」。当時は「サブカルの知識でマウント取り合ってる感じをヤンキーにブッ飛ばしてほしい気持ちで書いたところもあった」という大歳。「でも10年経って、そういうものがなくなったことを寂しく感じるようになってきて。そういうものがあったんだよと伝えたい気持ちもありますし、最近はサブカルの方々のこの10年の苦労が語られるようになり、なぜそこまで苦労しなきゃいけないのかとか…」と語り、そのうえで「サブカルが衰退するのと反比例して某・暮らし系ショップがどんどん力を増しているんですよ。そこを掘りたい!」と大歳ならではの切り口が楽しめそう。「初演でヤンキーが「音楽なんてケータイで聴くもの」と言って笑われるようなシーンがあるのですが、当時と今では見え方も違うと思います。そういう部分も楽しみです」という本作は、2020年1月22日(水)から26日(日)まで東京・小劇場B1、1月30日(木)から2月3日(月)まで兵庫・AI・HALLにて上演。チケットは一般発売中。取材・文:中川實穗
2019年12月27日和太鼓エンターテイメント集団「DRUM TAO(ドラムタオ)」2019年公演のフィナーレ『ザ・ドラマーズ FINAL』東京公演が東京・Bunkamuraオーチャードホールにて 2020年1月22日(水)から24日(金)まで開催される。公演について、演出のフランコドラオと出演者の岸野央明に話を聞いた。【チケット情報はこちら】DRUM TAO(以下、TAO)の2019年作品として、5月から行ってきた全国ツアーの集大成となる「ザ・ドラマーズ FINAL」公演。“DRUM TAO史上最もハイテンションでパワフルなステージ”だという今作は、全国をまわってきたTAO・A組に、東京常設劇場にて年間500回公演を行っているTAO・K組が加わったスペシャルパフォーマンスになるという(現在TAOは、定期公演中心の「A組」、東京常設劇場での公演中心の「K組」、海外公演が中心の「S組」の3班体制にて活動中)。フランコドラオは「今回は、K組とA組を初めて合体させて『ザ・ドラマーズ』の“一番いいやつ”をやろうじゃないかと。TAOの総力を結集して、これまでにないステージをつくります。皆さんが聴いたことない、感じたことのないリズムを演奏します。『なんだこの新しい音楽は!』という驚きを感じていただきたいです」と挨拶。K組リーダーの岸野は「全国公演を重ねて、ほぼできあがった状態のステージに、初々しいメンバーが飛び込んでいく。そこで化学反応が起こるだろうという期待があります。まだ稽古が始まっていないのですが、僕自身も早く試してみたい気持ち。FINALとして、最高の出来になると思います」。約7か月のツアーを経て、フランコドラオが「アーティストたちが常に最高の状態でやっていくために、このツアーでもブラッシュアップを重ねてきました。だから今は、ツアー開幕の頃とはまた違う、熟成された状態。ここで終わってしまうのがちょっと勿体ないくらいです(笑)」という程の状態にまで仕上がっている。そこにさらにFINAL公演だけのアレンジを加えたステージをつくりあげるというが、「僕らは座席に座って観るようなショーもつくり続けていますが、『ザ・ドラマーズ』はオールスタンディングで皆さんが身体を揺らしながら聴けるイメージ」というコンセプトは変わらない。衣裳は今回ももちろんコシノジュンコ。衣装デザイン8年目だからこそ可能な、それぞれのキャラクターに合わせたオートクチュールのデザインが実現し、「例年以上に見どころになっている」という。こちらもぜひ注目してほしい。取材・文:中川實穗
2019年12月25日松居大悟が主宰する劇団「ゴジゲン」が、12月から来年2月にかけて第16回公演『ポポリンピック』を上演する。稽古場にて、劇団員の目次立樹と東迎昂史郎に話を聞いた。今作の題材はオリンピック。東迎が「今までは“自分たちのこと”を芝居にしてきたけど、今回は“オリンピック”という現実を描く。そこが大きく違う部分だと思います」という本作。もちろんオリンピックの是非を問うなどの内容ではなく、「“選ばれる・選ばれない”がテーマになっています。オリンピックって、選手も、競技も、選ばれたものの祭典ですが、これは“選ばれなかった人たち”の話です」(目次)。稽古をしながら脚本ができていくのがゴジゲンのスタイルだが、目次は「今回、(脚本・演出の)松居は稽古初日に『コメディになりそうにない』と言っていたんですよ。でも稽古の中で僕らが笑いを欲しがるので(笑)、『あ、コメディになるじゃん』と言っていました。ゴジゲンならではの、笑えるけど切ない、切ないけど笑える作品になると思います」と、ゴジゲンらしい切り口になりそうだ。目次が演じるポポも、東迎が演じる則夫もプレイヤーという役どころ。2人のやっている種目はそれぞれ、本作にも出てくる2020年の東京五輪で最終追加種目候補に上がり、則夫のやっている種目だけが採用された。ふたりは共にオリンピックを目指す友達という設定だが、東迎は「ポポと則夫の関係性を大事につくっていかなければいけないお話だなと思います。立樹さんと向き合って演じるのは初めてなので、最初は『できるのかな』と思ったりもしましたが、やっぱり安心できますね」。目次は「ゴジゲンは器用チーム(奥村徹也・本折最強さとし・松居)と不器用チーム(目次・東迎・善雄善雄)がいて、不器用チームの僕らがメインになることは今までにありませんでした。だけど今回はその不器用さが生きる作品だと思います」と話す。また、客演として参加する劇団献身の木村圭介に対して、「めちゃくちゃ面白いです!」とふたりは口を揃える。「稽古は木村のおしゃべりから始まるんですよ。毎日30~40分話しています(笑)」(東迎)、「うちには劇団献身の主宰(奥村)もいるので(笑)。だからこそ存分に暴れてもらえると思っています」(目次)。どんな作品になるのか楽しみな『ポポリンピック』は、12月21日(土)・22日(日)に福岡・イムズホール、2020年1月3日(金)から21日(火)まで東京・こまばアゴラ劇場、1月25日(土)から27日(月)まで札幌・扇谷記念スタジオシアターZOO、2月8日(土)・9日(日)に京都・THEATRE E9 KYOTOにて上演。ライター:中川實穗カメラマン:川野結李歌
2019年12月19日シリーズ2作目となる『Starry☆Sky on STAGE』SEASON2~星雪譚ホシノユキタン~ が1月15日(水)より東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演される。土萌羊役の坪倉康晴、青空颯斗役の二平壮悟、不知火一樹役の杉江優篤に話を聞いた。【チケット情報はこちら】「Starry☆Sky」は、honeybeeによるドラマCD、乙女ゲームなどからなる女性向けメディアミックス作品シリーズで、天文に関する知識を教える『星月学園(せいげつがくえん)』を舞台に、唯一の女子生徒・月子が主人公となり、十三星座の性格特徴を持つ男性キャラクター達との恋愛を描く作品。今年7月に初舞台化され、今作が第二弾となる。総合監修は松崎史也。前作の好評を受けての第二弾。初演から引き続き出演する杉江は「前作を必ず超えなければいけない。新しいキャストと新しい作品をつくるつもりで臨みたいです」と意気込む。そこに新たに参加するのは、今年5月に初舞台を踏んだばかりの坪倉。「役を引き継いで演じるのでプレッシャーもありますが、初演で土萌羊を演じた糸川耀士郎さんから“この座組は温かいから安心して”と言われました。稽古に入るのを楽しみにしています!」とフレッシュに語る。同じく今作から出演する二平は「原作「Starry☆Sky」は高校時代から知っていたので、そんな作品で演じられるのが嬉しいです。僕は乙女ゲーム原作の舞台に出たいと思っていました。乙女ゲームに登場するようなキラキラした人に憧れがあったので」と楽しみにしている様子。自身の役について坪倉は「僕が演じる土萌羊は言いたいことは素直に言うキャラクター。月子に真っ直ぐなところが魅力だと思うので、そこは大切に演じたいです」、二平は「僕が演じる青空颯斗は、自分の感情を表に出さないキャラクター。だけど今作は冬組がメインのストーリーということもあって感情が動くところを見せられると思うので、そこをどう演じるられるか楽しみです」、杉江は「僕が演じる不知火一樹はおちゃらけてる部分もあるけどまっすぐで、みんなを引っ張っていくような人。舞台でしかない役同士の関係性も見せられる役柄なので、そこは丁寧に深めたいと思います」とそれぞれ語る。公演は前・後編に分けて上演され、前半の日程(星公演)では冬の学園行事に向けて登場人物たちが奮闘する芝居中心のステージ。後半の日程(雪公演)は、その学園行事がメインのエンターテインメントショーステージが上演される。「これは僕たちにとっても挑戦です。後半のショーステージは、お客様と一緒に空間を作り上げられたらと思います!」(杉江)公演は1月15日(水)から26日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて。取材・文:中川實穗
2019年12月10日彩の国シェイクスピア・シリーズ 第35弾『ヘンリー八世』が2020年春に上演される。トマス・クランマー役の金子大地に話を聞いた。「ヘンリー八世」チケット情報本作は、蜷川幸雄のもと1998年にスタートし、2017年12月からは吉田鋼太郎が演出を手掛ける彩の国シェイクスピア・シリーズの第35弾。歴史劇にしては珍しく戦争の描写がなく、ヘンリー八世をめぐる英国王家のスキャンダルと、その裏に交錯する欲望と謀略、熾烈な地位争いが描かれている。演出は吉田鋼太郎、主演は阿部寛が務める。今回が初舞台で、舞台は「いつか挑戦してみたいと思っていました」という金子。やりたかった理由は「いつも舞台を観た後に、自分にはできる気がしないと思うからです。映像のように“カット割”をせず、空間全体でお芝居している感じがすごいと思いますし、声の出し方も映像とは違う。スタートしたらノンストップですしね。お客様の前で演じることもすごいことだと思います。だからこそ、自分もできるようになりたいと思いました」と明かす。そんな待望のオファーが、ドラマ・映画『おっさんずラブ』でも共演した吉田からのもの。「鋼太郎さんは尊敬する大先輩で、そんな方からオファーしていただけたことが嬉しかったです。初舞台で不安もありますが、鋼太郎さんに『なにか準備したほうがいいことはありますか?』と聞いたら、『なにもない。とりあえず無防備で来て!』と言っていただいて。受け入れてくださっている感じがしました」と笑顔を見せ、「だからこそ、鋼太郎さんに僕を選んでよかったと思っていただけるくらいがんばりたいです」と表情を引き締めた。実は、金子が初めて観た舞台は蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品『ハムレット』(2014年/藤原竜也主演)。それ以来、シェイクスピア作品には「何かをさらけ出さないといけないイメージがある。小手先では無理だと思っています」という印象を持つ。だからこそ「初舞台とはいえ、シェイクスピアが好きで作品を観に来る方には関係ないことだと思います。いいものにしたいです」と意気込み、「お客様には『楽しみにしていてください』と言いたいです」と語った。「阿部寛さんと初めて共演できるのも嬉しいです。ずっとテレビでも映画でも拝見していたので。初めてご挨拶したときに、やさしく『一緒にがんばろう』と言ってくださって。がんばらなければ!と思いました」と金子が語る『ヘンリー八世』は、2月14日(金)から3月1日(日)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホール、3月14日(土)、15日(日)に福岡・北九州芸術劇場 大ホール、3月19日(木)から22日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2019年12月02日逃亡者“サバイバー”と追跡者“ハンター”がそれぞれの勝利のために逃げ(追い)続ける大人気非対称対戦ゲーム『Identity V 第五人格』を初舞台化した「Identity V STAGE Episode1『What to draw』」が、11月29日より東京・サンシャイン劇場にて12月8日(日)まで上演中。「サバイバー編」「ハンター編」というふたつのエピソードが描かれる本作の、「ハンター編」初日公演レポートをお届けする。【チケット情報はこちら】原作ゲームのキャラクターや世界観をベースに、舞台ならではの設定を加えた本作。今回は、サバイバーの納棺師イソップ(平井雄基)とハンターの写真家ジョゼフ(五十嵐啓輔)を軸とした物語が描かれる。「サバイバー編」「ハンター編」は同じエピソードをそれぞれの視点から描くもので、今回取材した「ハンター編」ではジョセフを中心にハンターたちのストーリーをメインに展開する。原作を忠実に再現した衣裳や動き、重厚な舞台セットに一気に引き込まれ、さらにこの世界観や“ゲーム”のルールは舞台上でも説明されるなど、ゲームファンから初心者まで楽しめるようにつくられた舞台。劇中で繰り広げられる“ゲーム”は劇場全体を使うため、客席でゲーム内にいるようなスリルを味わうことができるのも魅力だ。今回は「ハンター編」ということで、ジョセフの「なぜこんなこと(ゲーム)を繰り返すのか」という苦悩を中心に描かれているが、サバイバー含め登場人物のそれぞれのキャラクターが丁寧に掘り下げられているため、小さなやりとりからもそれぞれの感情が届いてくる。ストーリーはシリアスだが、原作にある小ネタやアドリブ、客席とのコミュニケーションなどは楽しく、約2時間40分の上演時間もあっという間だ。迫力満点な殺陣や歌唱、ダンスなども盛り込まれ、舞台ならではのライブ感も楽しめる作品。この日、カーテンコールで五十嵐は「皆さん、ワクワクしながら待っていてくれたと思います。舞台を楽しんでいただけるように、がんばっていきたいと思います」、平井は「今回はハンターの日常がメインでしたが、その裏にはサバイバーの日常があります。両方観ると“ここが交わるんだ”と新たな発見ができる作品です」とそれぞれ話した。「ハンター編」を観ると「サバイバー編」も観たくなる本作。チケットは完売だがBlu-rayディスクの発売も決定しているのでぜひ映像で体感してほしい。取材・文:中川實穗
2019年12月02日青木豪が演出・上演台本を手掛ける『十二夜』(原作:ウィリアム・シェイクスピア)が2020年3月に上演される。主演を務める前山剛久と青木豪に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、青木がシェイクスピアの本場でもあるイギリス留学から帰国してすぐの2013年に初演され、観客から「こんなに笑えるシェイクスピアは初めて!」と好評を得た作品の再演。当時は客席で観た前山も「めちゃくちゃ笑いました。誰もが楽しく観られるようにアレンジされていた」と振り返り、青木は「“なんちゃってシェイクスピア”です」と語る。「僕らが勝手にシェイクスピアをやったらこんな感じになりました、すみません!みたいなイメージです。例えば衣裳も、“なんちゃって”で遊んでたらこうなっちゃったんです、というような。今回もそのコンセプトは変えません。楽しいことやってるから来て!というふうにつくりたい」今回、7年ぶりの再演で前山を主役(ヴァイオラ役)に抜擢したのは「前ちゃんとは2013年にシェイクスピア作品の『お気に召すまま』をやったのですが、そこから相当活躍してるって聞いて。なのでもう1回、前ちゃんとやるべきだと思いました」という期待から。前山は「豪さんともう1度やりたいと思っていたのでめちゃくちゃ嬉しい。『お気に召すまま』ではオーディションでメインのロザリンド役に選んでもらいました。あのとき豪さんが見つけてくれた、あれがスタートだったという思いがあるんです」と明かす。当時は「いい意味で、それまでで1番追い込まれました。豪さんの稽古って毎回トライしなきゃいけないし、殻にこもるとハッキリ指摘される。でもそのおかげで殻が破れた」。そしてそれ以降、前山は舞台『刀剣乱舞』や『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』など人気2.5次元作品に出演し、この11~12月は宮本亜門演出の『イノサンmusicale』が控えるなど活躍を続けており、「豪さんには僕自身の変化も見てもらいたい気持ちがあります」と意気込む。その他出演者も彩り豊か。納谷健、新納慎也、春海四方、小林勝也らが名を連ね、前山も「納谷健がいて新納さんがいるって時点で稽古場が想像できなくなる(笑)」と言う幅の広さだが、青木は「台詞をしっかり言えて美しく届けるってことがちゃんとできる人たちと、華と勢いのある若い人たちを組み合わせたかった。面白いものができるに決まってるさって気持ちでいます」と化学変化が楽しみになるひと言。前山が「豪さんのシェイクスピアは他にない魅力がある。ぜひ観に来てほしいです」と誘う『十二夜』は2020年3月6日(金)から22日(日)まで東京・本多劇場、3月29日(日)から31日(火)まで大阪・近鉄アート館にて上演。12月1日(日)まで、チケットぴあにて2次プレリザーブ受付中。取材・文:中川實穗
2019年11月28日西川大貴作・演出のミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』の1stプレビュー公演が11月15日(金)から上演される。その公開ゲネプロに潜入した。【チケット情報はこちら】本作は、日本発のミュージカルをオフ・シアターから育てていくというプロジェクトで、2期に渡るプレビュー公演を経て、本公演が上演されるというもの。脚本・演出は俳優としても活躍する西川大貴、音楽は桑原あい、振付は加賀谷一肇という若き面々。スーパーバイジング・ディレクターとしてダレン・ヤップが参加している。出演者は風間由次郎ら17名。開幕に先がけ西川は「いよいよプレビュー開幕です。1stプレビューは3,500円でご観劇いただけます。今回のトライアウトは、より良い作品を完成させるための第一歩。まだ「完成形」ではありません」「客席の皆様と一緒に作品を作り上げていくこのプロジェクト。その誕生の瞬間をぜひ目撃してください!」、桑原は「いつかこのミュージカルが大きくなった時、この作品が生まれた瞬間を見たと、変わっていく様子を見たと、何よりオリジナルキャストで見たと、多くの方にドヤ顔で語っていただきたいです」、加賀谷は「完成されたものを観て終わることが当たり前の日本で、客席でこの作品を育てる責任を買った皆様には、実感して頂けたら嬉しいです。何かが生まれて大きく育っていこうとしている素敵な時間に立ち会えていることを。愛を持って観て頂けますように。大きな一歩でありますように」とコメントを寄せた。物語の舞台は令和元年、つまり“今”。主人公・戸越(風間)は無気力な毎日を送っている。そんな戸越はある日、仕事で伊豆に行くが、なぜか考えないサル、名のある武士、弱気なナマハゲと共に“天狗様”に会いに行くことになり――。設定はファンタジー、登場人物も個性的だが、よくよく見ると、それぞれがどこかで会ったことのある人ばかり。そんな彼らが仕事や恋愛、家族などに悩み、けれど友情や素直さを手に入れることで前を向き、一歩踏み出していくという姿を、現代を生きる西川の表現で描いている。開演前に西川も「将来フルバンドでやることを想定して、今はピアノ1台でやっています」と話した通り、楽器はピアノのみ。衣裳も統一され、舞台セットもシンプルだ。その最低限ともいえるなかで、キャスト達の美しい歌やダンス、芝居が一気に世界を広げるというまさに舞台の醍醐味を味わえる作品。たくさんの意欲とエネルギーが詰まったプレビューと本公演、どちらも目撃してほしい。1stプレビュー公演は11月18日(月)まで、2ndプレビュー公演は11月23日(土・祝)から26日(火)まで、本公演は11月30日(土)から12月15日(日)まで、すべて東京・DDD 青山クロスシアターにて上演。取材・文:中川實穗
2019年11月15日食事を楽しみながら360度で芝居を体感する「劇メシ-BetsuBara-」シリーズの最新作『ハイイロキツネは二度遠吠う』が間もなく開幕する。11月15日(金)から上演される神奈川公演の出演者・太田裕二と林勇輝、演出の佐々木仁、11月25日(月)から上演される東京公演の出演者・稲垣成弥に話を聞いた。【チケット情報はこちら】2016年7月よりスタートし、これまでオリジナル作品を7作上演している本シリーズ。劇場ではなく“レストラン”で、食事やお酒を楽しみながら観劇する体験型演劇で、会場全体を使って芝居を行うため観客はその世界に入り込んだような感覚が味わえる。今作では、鐸木のすりによる脚本を、神奈川公演では佐々木仁が、東京公演では横大路伸が演出し、出演者もそれぞれ異なる2パターンで上演する。取材時は、神奈川公演の稽古が始まって1週間という頃。太田は「今日、会場となるレストランの下見に行ってきたのですが、予想以上にお客様がそばにいらっしゃる中で芝居するのだとわかりました。息遣いまで届く距離なので、そういうリアルさも表現できたらいいなと思いました」、林は「劇場ではなくレストランで芝居をするには、360度に向けて演じなければならなくて。その点を意識して演じることは稽古が始まってわかった難しさでした。今はそこをがんばっています」と本作ならではの芝居に取り組んでいる様子。演出の佐々木は本シリーズに携わるのは3作目。今作は「作品をストレートに届けつつ、この特殊な状況も楽しめるようにつくりたいと思っています。例えば前回は、お客様の席にランダムにスマホを仕掛けて劇中で電話に出てもらうようなシーンを作りました。そういう、こちらからお客様に絡んでいくような芝居を楽しんでいただきたいです」と構想を明かす。満席の店内に突然入ってきた兄弟の「今からみなさんには人質になってもらいます」という宣言から始まるストーリー。太田と林はその兄弟を演じ、稲垣は兄を演じる。稲垣はまだ稽古開始前だが「いろんな要素が入った脚本で、読んでみてアトラクションみたいだと思いました。東京公演はどんな作品になるんだろうとワクワクしています」と語る。同じ脚本を東京と神奈川、違うメンバーで上演することは「全く別の作品になるはず。それぞれの個性が出やすいと思うので、ぜひ2会場で楽しんでもらいたいですね」「レストランですし、舞台に慣れてない方にもぜひ来てほしい」(佐々木)という本作。神奈川公演は11月15日(金)から23日(土)までTHE CAMP CAFE&GRILLにて、東京公演は11月25日(月)から12月4日(水)までCAFE PARKにて上演。チケットはチケットぴあにて発売中。取材・文:中川實穗
2019年11月15日「鼓童×ロベール・ルパージュ」製作記者発表会太鼓芸能集団・鼓童が パフォーマンスを行い、ロベール・ルパージュが演出を手掛けるNEW BEAT VISION PROJECT「鼓童×ロベール・ルパージュ<NOVA>」の世界初演・全国巡演が2020年5月にスタートする。その製作発表会見が行われた。【チケット情報はこちら】本プロジェクトは、1981年にベルリン芸術祭でデビューし50か国6500回以上の公演を行う太鼓芸能集団・鼓童と、シルク・ドゥ・ソレイユ「トーテム」などを手掛け“映像の魔術師”と呼ばれるロベール・ルパージュがコラボレーションし、日本文化と最先端ビジュアルテクノロジーが融合する、これまでにない“視聴体感芸術”を生み出すというもの。会見では、まず鼓童の母体である北前船の代表・青木孝夫が本作について「鼓童の音、映像、お客様の想像力、その三位一体でつくりあげる、今までに観たことのない、感じたことのないような視聴体感芸術をお届けできると確信しています」と挨拶。演出のロベール・ルパージュと、音楽を担当する住吉佑太(鼓童)によるクロストークでは、住吉が「本作に限らず、私たち鼓童が舞台で表現したいものは“人の本能に訴えかける何か”です。今回はそこにロベールさんによるテクノロジーを使った演出を掛け合わせ、作品をつくっています。そのふたつは真逆の存在のようですが、テクノロジーが入ることで逆に生身の人間が浮き彫りになっていく、より強くお客様に伝わっていくものを作りたいと思っています」、ロベールは「かねてから私は鼓童の作品づくりに感心していました。厳しさと規律の中に身を置きながら鍛錬されている。鼓童のステージは、音だけでなく動きや身体、そしてそこから発するエネルギーまでもが表現されています。今回は“音”と“イメージ”のインタラクティブな作品ですが、それだけでなく、その“動き”も取り入れています」と語った。その後、「音を見る(サイマティクス)」をテーマにしたライブパフォーマンスを初お披露目。住吉が「サイマティクスという事象をただ再現するのではなく、自然の中から生まれる音、文明の中から聞こえてくる音、自分たちの鼓動の音、魂の音、そういったものがすべて可視化できるかどうかが鍵になってくるのではないかと思っています」と語った通り、映像と音をただ掛け合わせるのとは違う、鼓童の太鼓、そしてその奥にある本質的な魅力が、テクノロジーによって可視化されるような、これまでにない表現が印象的。“音を見る”面白さを体験できるパフォーマンスとなっていた。鼓童×ロベール・ルパージュ<NOVA>は2020年5月23日(土)から31日(日)まで東京・東京建物 Brillia HALLにて上演。12月15日(日)の一般発売に先駆け、12月2日(月)11:00まで先行抽選申込受付中。取材・文・撮影:中川實穗
2019年11月14日新作オリジナルミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』が、11月15日(金)からの2期に渡るプレビュー公演期間を経て、11月30日(土)から本公演が上演される。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】日本発のミュージカルをオフ・シアターから育てていくというプロジェクトでもある本作。脚本・演出は、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などでは俳優として活躍し、脚本家・演出家としても作品を精力的に発表する西川大貴。音楽は、ジャズピアニストの桑原あい。振付は、ダンサーで振付師の加賀谷一肇という同世代の3人。そして、日本では『ゴースト』などを演出したダレン・ヤップが、スーパーバイジング・ディレクターを務める。出演者は400名を超えるオーディションで選ばれた風間由次郎ら17名。この日は稽古開始から4週目という頃。来日したダレンも参加し、二幕の稽古が行われていた。取材時は、共に旅をする4人(風間由次郎、塩口量平、関根麻帆、溝口悟光)と天狗(猪俣三四郎)による芝居パートの稽古中。まず全員のキャラが濃く、小さなやり取りにも笑ってしまう。キャスト達はシーンを繰り返す毎に芝居でトライをしていて、そこにカンパニーの空気の良さも感じた。西川は、1シーン終えるごとに「今の芝居すごく好きだった!」などと声をかけ、時には自分も動いて見せながら芝居をつくっていく。舞台上には大小の箱があり、それをキャストが移動することでシーンを展開させるため決め事も多そうだが、全員がアイデアを出しながらいかに場面を磨いていけるかと考える様子が印象的だった。そして稽古は進み、四宮吏桜が恋について歌うシーンへと移った。四宮の美しい歌声と聴かせるメロディに、ざわついていた稽古場も静かになる。既にグッとくるほどだったが、ここでダレンが立ち上がった。四宮のすぐそばまで行き、「このメロディは自分の部屋にスッピンでいるような気持ちで歌ってみて」「この歌で彼女がどういう人間か伝えたい」「今彼女はこういうタイミングなんだと思う」など柔らかな口調で丁寧なアドバイスを送る。四宮も嬉しそうに感謝を述べ、もう一度歌ったとき、感動的なほどの変化があった。そうやって日々ブラッシュアップされた後に2度のプレビュー公演を経て、どんな作品と育っていくのかが楽しみな本作。1stプレビュー公演は11月15日(金)から18日(月)まで、2ndプレビュー公演は11月23日(土・祝)から26日(火)まで、本公演は11月30日(土)から12月15日(日)まで、すべて東京・DDD 青山クロスシアターにて上演。チケットぴあにてチケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年11月13日歌手で女優の中川翔子が8日、オフィシャルブログを更新し、約5年ぶりとなるアルバムへの思いを告白した。『9lives』(14)以来となる5thアルバム『RGB ~True Color~』(12月4日発売)。小林幸子、亀田誠治、でんぱ組.inc、前山田健一(ヒャダイン)、CHiCO with HoneyWorksらのアーティスト・クリエイターとのコラボの他、YouTuber・スカイピース、ボカロP・みきとP、歌い手・ウォルピスカーターとのコラボ曲も収録される。中川は、「様々なアーティスト、クリエイターの皆様との出会いで生まれたカラフルな楽曲たちが収録されます!」「新曲も4曲、はいります!」「全部色が違う面白いアルバムになります!」とアピール。新曲「ある日どこかで」について、「今年、父の書いていた歌詞や絵がたくさん見つかりました。断片でたくさんあった歌詞を繋いだら、もう会えない人からのメッセージ、になる愛の歌が出来あがりました」と亡き父とのエピソードをつづった。「この五年は、長かった」と感慨深げな中川。「シングルをずっとだせないまま止まってた時期や悲しみや別れもありましたが嬉しい事、気持ちの変化、あたらしい夢、たくさんみつかりました」「夢が叶ったり、生きててよかったと思えるのも、いままでの全てがくれたきもち」と胸の内を明かしている。
2019年11月10日ダイワハウスSpecial地球ゴージャス二十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』が2020年3月から5月にかけて上演される。その製作発表会見が行われ、主演の新田真剣佑、笹本玲奈、松本利夫(EXILE)、湖月わたる、愛加あゆ、島ゆいか、森公美子、そして「地球ゴージャス」の岸谷五朗・寺脇康文が登壇した。【チケット情報はこちら】結成25周年を迎える地球ゴージャスの“祝祭公演”として上演される本作は、2009年に初演された人気作の新演出版。岸谷・寺脇以外は全キャストを刷新、初演時よりミュージカル要素をアップした作品になるという。会見ではまず岸谷が「“二十五周年祝祭公演”ですが、“25年続けよう”という決意があったわけではありません。またこの先も、三十周年、三十五周年をやろうと思っているわけではありません。ひとつひとつの作品を愛して丁寧につくりあげてきた結果が、この二十五周年の祝祭公演になりました。こうやって二十五周年を迎えることを我々は嬉しく思っています」と挨拶。寺脇も「前作を超えるものをつくっていきたい。フレッシュなキャストで、いろいろな化学反応が起こると思います。ご期待ください!」と意気込んだ。地球ゴージャス作品は『ZEROTOPIA』(2018年)から2作連続の出演で、今作で舞台初主演を務める新田は「日本に来る前にこの作品を映像で観て、衝撃を受けました。その時から地球ゴージャス作品に出たいという夢があったのですが、それが昨年叶って。今回この作品で主演をやらせていただくことが本当に幸せです」と感慨深く語った。さらに笹本は「私はこれまでたくさんのミュージカルに出演させていただきましたが、日本で作られるミュージカルをやるのは初めて」、松本も「自分はパフォーマーなので、舞台で歌うことが初めて」と明かした。湖月は「寺脇さんの妻役です。お客様が恥ずかしくなるくらい、やけどしちゃうくらい、羨ましくなるくらい熱々な夫婦をお届けしたいです」、愛加は「地球ゴージャスの舞台は、芝居、歌、ダンス、笑いあり涙ありの素晴らしいエンターテインメント。その一員になれることが嬉しく楽しみ」、島は「今まで観た舞台の中で1番大好きな作品がこの作品です。今この場に立てていることが本当に嬉しいです」と語る。森は「依頼が来たときに“他はなにもやらなくていいから、これをやらせてください”と言いました。絶対にやりたかった。素晴らしい作品になるのは間違いない」と太鼓判を押した。演出・脚本を手掛ける岸谷が「初演とは違うものになる」と話した本作は、2020年3月10日(火)から4月13日(月)まで千葉・舞浜アンフィシアター、5月3日(日祝)から14日(木)まで大阪・フェスティバルホールにて上演。11月9日(土)からの一般発売に先駆けて、チケットぴあにて先行発売中。取材・文:中川實穗
2019年11月07日鴻上尚史が作・演出、中山優馬が主演を務めるKOKAMI@network vol.17「地球防衛軍苦情処理係」が現在上演中。その公演レポートをお届けする。【チケット情報はこちら】本作は、定期的に怪獣の襲撃を受けるようになった近未来の地球を舞台に、人類を守るために創設された地球防衛軍……の「苦情処理係」に集まる人々を描いた新作。主人公で苦情処理係の新人・深町を演じるのは、鴻上と2度目のタッグとなる中山優馬。その同期・遠藤を原嘉孝(宇宙Six/ジャニーズ Jr)、先輩・竹村を矢柴俊博、同期・日菜子を駒井蓮、上司・瀬田を大高洋夫が演じる。苦情処理係は、地球防衛軍が怪獣と戦うことで被害を受けた住民達から出る「家が地球防衛軍のミサイルでやられた。弁償してほしい」などのクレームを処理することが仕事。日々対応に追われるメンバーは、時に内容に疑問を感じつつも、人のためになると信じてクレームを受け続ける。ある日、地球防衛軍が苦戦する怪獣の前に謎の巨大生物が現れる。後に「ハイパーマン」と命名されるその巨大生物は戦って怪獣を追い払うが、その巨大さゆえに戦いの中で建物や人に被害が及び、「迷惑」というクレームが殺到する。地球のために戦ったハイパーマンへの感謝もリスペクトもない声に日菜子は激怒。深町にある計画を持ちかける――。開幕前の囲み取材で鴻上が「今は、SNSなんかでみんなが正義の使者になっているというか、 みんなが自分を主張する時代になったなと感じたのが始まり」と話したストーリー。本作でも、登場人物たちの語る正義はそれぞれが理解できるもので、けれどその全てを通すのは現実的に不可能なものでもある。劇中の応酬に「じゃあどうすればよかったの?」と思わずにはいられない、けれど覚えのあるやり取りだ。とはいえシリアスな作品というわけではなく、怪獣の戦闘シーンは演劇の楽しさ満載で、今回は多めだというダンスシーンも華やか。職場のシーンはやり取りが面白く、恋のシーンはロマンチック。登場人物ひとりひとりが生き生きとしていて、彼らを見ていると、人は浮かれもすればヤケクソにもなる生き物で、それが言動に直結するということをやさしく思い出せる。けれどその“一時の感情”から生まれる言動こそ世のクレームの対象になりがちなのだ。では正義とは何なのか?真実とは?愛とは?エゴとは?彼らの迷いはどう結着するのか、ぜひ劇場で確認してほしい。公演は11月24日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA、11月29日(金)から12月1日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。取材・文:中川實穗
2019年11月06日同名人気ゲームの舞台化第二弾となる舞台「文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)」が12月から来年1月にかけて上演される。本作でW主演を務める志賀直哉役の谷佳樹、武者小路実篤役の杉江大志に話を聞いた。舞台『文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)』チケット情報原作は、人々の記憶から文学が奪われる前に、文豪と共に“侵蝕者”から文学書を守るために戦うDMM GAMESで配信中の文豪転生シミュレーションゲーム。今年2月に上演された第一弾では太宰治ら無頼派の面々を中心に描き、第二弾となる今作は志賀や武者小路ら白樺派がメインとなるストーリーが展開される。主演の谷と杉江、芥川龍之介役の久保田秀敏、坂口安吾役の小坂涼太郎、脚本のなるせゆうせい、演出の吉谷光太郎は第一弾からの続投。今作の新キャラクターとして、萩原朔太郎を三津谷亮、国木田独歩を斉藤秀翼、島崎藤村を小西成弥、有島武郎を杉山真宏(JB アナザーズ)が演じる。本作でのW主演を「来ましたね!」「うれしいよね!」と語る谷と杉江。今年は共演3作目で、すでに息もピッタリだ。前作から引き続き同じ役を、今度はW主演として演じることについて志賀直哉役の谷は「志賀さんと武者小路さんは実際に仲が良くて、志賀さんのお子さんが亡くなりそうなときに頼ったというエピソードも残っているほど。この作品でも、志賀は武者(小路)のことが大好きで、誰よりも大事だし、特別なんだと思う。そこが今回の役作りでも大切になりそうです」、武者小路実篤役の杉江は「武者はすごく前向きで、純粋で、ピュア。でもそういうもので必死に隠したなにかがある人だと思います。それに、前向きな人だからこそ、逆サイドに引っ張られたときに脆いし弱い。そんなときに頼るのは志賀だけど、最後の最後に“自分か相手か”になったときに“相手”を選ぶふたりだとも思うから。そういう部分は大事に演じたいですね」と、ふたりだからこその物語が展開されそうだ。文豪や文学作品のイメージを大胆にアレンジした世界観の本作だが、第一弾を経て、「なるせさんの脚本がシンプルでわかりやすくて、きっと今回も前向きになれる素敵な作品になると思います」と谷。杉江も「このファンタジーな世界観を表現する演出も、吉谷さんならではで素敵だなと思います。舞台「文豪とアルケミスト」の色は前作でできたと思うので、その色を引き継ぎながら、僕たちにしか出せない色、第二弾だからこそ見せられる色を出していきたい」と語り、ふたり意気込んだ。殺陣もたっぷりで見どころ満載の本作は、12月27日(金)から29日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、2020年1月8日(水)から13日(月・祝)まで東京・品川ステラボールにて上演。チケットぴあでは11月3日(日)までプレリザーブを受付中。取材・文:中川實穗
2019年10月29日「劇団鹿殺し」約3年ぶりの新作本公演『傷だらけのカバディ』が11月・12月に東京と大阪で上演される。作・出演の丸尾丸一郎と、出演の椎名鯛造に話を聞いた。【チケット情報はこちら】丸尾丸一郎が作、菜月チョビが演出、オレノグラフィティが音楽を手掛ける本作は、インドの国技・ガバディを題材にした物語。2020年の東京オリンピックでミスし、日本国民を落胆させた元日本代表男子ガバディチームのメンバーが、10年後に場末のスナックで再会して…というストーリーだ。丸尾は「オリンピックを目標にしていた人たちの、その後の話です。これからどう生きようかとか、何に向かって走ればいいかわからないと思っているような人たちに向けて、何度でも立ち上がることを思い起こさせる作品になればいいなと思っています」。初めて劇団鹿殺しの公演に参加する椎名。今回、出演を依頼した理由は「去年、僕が脚本・演出を手掛けた舞台でご一緒したときに“なんでもできる、演技がうまい”という印象で。鯛造がもっとのたうち回るような、心に溜めているものを出すようなお芝居を見てみたいと思いました。だから今回は彼に“こんなはずじゃなかった!”とか言わせたい(笑)」。それを聞いた椎名は「それは僕も見たことのない僕です(笑)。そういうふうに悩めたら、それはそれで楽しそう。鹿殺しさんの公演には初めて参加するので、郷に入っては郷に従えではないけど、劇団員の一員のような感じで楽しめたらなと思っています」と嬉しそう。約3年ぶりの新作本公演であることについて丸尾は「この3年、劇団での新しい活動をあまりしていませんでした。僕の中で、劇団で作品をつくることの意味を探していました。見失っていたから。劇団が“売れなきゃ”っていう気持ちが強すぎたんだと思います。でも大前提として、劇団というのは夢を追いかける、共有するものだと気付いた。だから劇団をこれからも守っていきたいし、そのためには、劇団で作品をつくることを“年に1度のご褒美だ”ってくらい楽しめるものにしたい。その結果売れたらいいけど、売れるためにやることじゃないと今は思っています。今は旗揚げの頃のように“やりたい、お芝居をつくりたい”という気持ちです。それが舞台上でどう出るかはわからないけど、とにかくほとばしってるはずです!」椎名が「丸さん(丸尾)と、役者として絡むのも楽しみです。去年、演出を付けてもらったとき、“お芝居も上手い人だ”という印象があるので。演出のチョビさんと一緒にゴールに向かっていけたらと思っています」と意気込む『傷だらけのカバディ』は11月21日(木)から12月1日(日)まで東京・あうるすぽっと、12月5日(木)から8日(日)まで大阪・ABCホールにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月25日舞台「フラガール -dance for smile-」が現在、東京・日本青年館ホールにて上演中。開幕に先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には主演の井上小百合(乃木坂46)、矢島舞美、富田望生、太田奈緒(AKB48)、福島雪菜(劇団4ドル50セント)、伊藤修子、味方良介、有森也実、山崎銀之丞が出席した。【チケット情報はこちら】昭和40年、エネルギーが石炭から石油に代わろうとする時代の福島県いわき市の炭鉱町を舞台に、労働者から目の敵にされながらも“常磐ハワイアンセンター”設立に向けてフラガールへと生まれ変わっていく少女たちの姿を軸に描く。映画は2006年に公開され数々の賞を受賞した大ヒット作。舞台化は初となり、総合演出は河毛俊作、プロデュース・構成演出は岡村俊一が手掛ける。会見では、井上が初挑戦となったフラダンスについて「ビックリするぐらいしんどくて、最初は動けなくなったほどでした。これは大変だぞと思っていたのですが、稽古を重ねていくうちに、みんなどんどん身体が動くようになっていった。本番でその成果が出せればいいなと思っています」と語ると、井上と共にフラガールを演じる富田や太田、福島、伊藤も深く頷く。そんなメンバーにダンスを教える先生・平山まどか役の矢島は「私は先生役なので最後はみんなを見守るのですが、日に日に上達していくフラガールの皆さんに感動していました」、常磐ハワイアンセンターの企画部長として彼女たちを見守る吉本役の山崎も「キャスト達が、物語の中と同じように少しずつ成長していく姿を見せてもらいました。大ヒット映画の舞台版ということで多少のプレッシャーもありますが、井上小百合版の『フラガール』、皆さんに楽しんでいただけるものになっていると思います」とそれぞれ語り、自信を覗かせた。また、紀美子(井上)の母親役の有森が「私が演じるのは、変わりゆく炭鉱に不安を抱えながらも娘を応援し、少女たちからエネルギーをもらい、新しい時代に踏み出すひとりの人間です。難しいけれど楽しい役です」と話すように、少女たちの奮闘と共に、彼女たちを取り巻く大人たちの姿も丁寧に描かれる。だからこそ、登場人物ひとりひとりの人生がフラによって変わっていく様子が鮮やかで、胸に響く作品となっていた。クライマックスのダンスは、人が生で演じるからこその気迫を肌で感じられる仕上がり。ぜひ劇場で体感してほしい。公演は10月27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月23日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第57回本公演『ピースフルタウンへようこそ』が、10月11日に東京・サンシャイン劇場にて開幕。その初日公演に潜入した。【チケット情報はこちら】劇団創立40周年記念となる本作は、座長の三宅裕司が演出を、SET本公演では三作目となる吉高寿男が脚本を手掛け、「幸福」をテーマに描かれた作品。人気の高級住宅街・青金台(あおがねだい)と寂れた素裸無町(すらむちょう)を舞台に、そこで暮らす人々の姿から、本当の平和とは?幸福とは?人間とは?を問う物語で、SETの“ミュージカル・アクション・コメディー”の集大成ともいえるエンターテインメント作品となっている。「あなた今、幸せですか?」という台詞から始まる舞台。絵に描いたような幸せそうな暮らしを送り“ちょっとしたことでも歌って踊りたくなる”という青金台の人たちの生活と、困窮していて喧嘩も多いが誰もが正直でどこかのびのびとした雰囲気の素裸無町の人たちの生活を対比するように物語は進んでいく。青金台の出来事は、突如としてミュージカルが始まるのがおかしい。SETならではの歌やダンスのクオリティはやはり魅力で、今回はさらに三宅と野添義弘というベテランコンビのハーモニーも聴けるのでぜひ注目を。素裸無町の面々は歌わないぶんテンポのいい芝居で見せるが、このやりとりもSETならではの息の合い方。後半には華やかなアクションシーンもあり、小倉久寛らベテラン勢の若手に劣らぬキレの良さも見どころだ。もちろん恒例である三宅VS小倉の丁々発止のやり合いも。旗揚げメンバーから若手まで、それぞれがさまざまに活躍している姿に、40周年の劇団ならではの層の厚さを感じた。クライマックスにはこの40年、劇団が作り続けてきたものに思いを馳せずにはいられない展開も。「幸福」とはなにか、ぜひ劇場で目撃してほしい。カーテンコールで三宅は「40周年を迎えましたが、これからも体力が続く限りやっていこうと思っています。お客様が楽しくて元気が出るような作品をつくっていきたい」と挨拶。また、旗揚げ公演は「お客さんが7人、出演者が15人だった」と明かし、小倉も「旗揚げ公演のことを思うと、(40年後に)この劇場でこんなにたくさんお客様が入って、やっているとは思わなかった」と感慨深く振り返り、「三宅さんが『終わってから飲みに行く』って言うんですよ。『俺を褒めてやるんだ』と言っているのを聞いて泣きました」と語った。思いもよらない展開が次々に巻き起こる本作は、10月27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演後、11月8日(金)・9日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、11月13日(水)・14日(木)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールを巡演。取材・文:中川實穗
2019年10月16日いくえみ綾原作のコミックを波瑠主演、中川大志、松下由樹、鈴木伸之らでドラマ化する「G線上のあなたと私」が10月15日から放送開始。中川さん演じる大学生・加瀬理人に「かわいい」の声が殺到中だ。本作は、波瑠さん演じる寿退社間近に婚約破棄され、仕事も結婚も失った小暮也映子が通い始める“大人のバイオリン教室”を舞台に繰り広げられる恋と友情の物語。也映子がバイオリン教室で出会う恋愛に不器用なイケメン大学生・加瀬理人に中川さん、也映子のバイオリン仲間で嫁姑問題に直面中の主婦・北河幸恵には松下さん、理人とは真逆な性格の兄・侑人には鈴木さん。さらに侑人の元婚約者でバイオリン教室の講師・眞於には桜井ユキ。眞於と婚約破棄した直後に侑人が結婚した加瀬芙美に滝沢カレンといったキャストが出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。注目の1話は、婚約破棄され会社も退職した也映子がショッピングモールで眞於の演奏を聞き、同じ演奏を聴いていた幸恵、理人とともにバイオリン教室に入会。3人でレッスンを始めるが、ある日眞於が理人を下の名前で呼ぶのを聞いた也映子と幸恵は、理人から眞於と侑人の間に遭った出来事を聞く。だが理人が眞於に想いを抱いていることを感じ取った也映子と幸恵は、彼のことを茶化して怒らせてしまう……という展開。1話を見ていた視聴者からは、兄の婚約者だった眞於に想いを抱きつつも、上手くそれが表現できずに不器用に振る舞う理人と、演じている中川さんに「かわいすぎ」「中川大志くんのキャラめっちゃ良いわ」「こういうツンデレキャラも似合うなー」「どんな役も出来る大志くんは上手いな」などの声が集まっている。また「波瑠・松下由樹・中川大志って組み合わせ考えた人天才では?」とキャスティングの良さを讃える投稿も見られたほか「もう一度ピアノやりたくなってきちゃった」「ゴスペルクラスのことを思い出した」など、音楽を習っていた視聴者たちからの共感も寄せられていた。(笠緒)
2019年10月15日サンミュージックに所属する若手男性俳優11人で構成されるユニット「SUNPLUS」の第1回舞台公演「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」が10月18日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】脚本を宮本武史、演出を赤澤ムックが手掛ける本作は、メンバーのために書き下ろされた会話劇。舞台は男子校の寮。夏休みが始まり生徒たちは実家に帰省するなか、居残った生徒数名が、寮の伝統行事「サマー・バザー」に駆り出される。そのなかで、登場人物それぞれが抱える不安や悩み、そして一歩を踏み出すまでの葛藤が描かれるストーリー。それぞれ演じるのは、井澤巧麻、佐伯亮、佐奈宏紀、谷水力、山形匠が高校2年生の役。平野宏周、丸山隼が教師の役。水田達貴が寮の管理人の孫の役。野口準が井澤の弟役、三井理陽が佐奈の親戚役、そして蒼木陣が谷水の兄役だ。取材日は、稽古が始まって一週間ほどたった頃。2015年に結成し、長らく活動してきたメンバーは、休憩時間の和やかな様子からもチームワークの良さが伝わってくる。稽古開始するまで、それぞれ台詞の読み合わせをしたり筋トレをしたりと楽しそうだったが、赤澤の呼びかけで芝居が始まると空気は変わった。若手俳優のユニットが演じる男子校の寮の話…というとまずは爽やかで楽しい青春ものをイメージしがちだが、本作はけっこうな重さを持つストーリー。生徒たちは家族との不和や、過去のトラウマ、DVなどさまざまなものを内に秘めたまま、寮で過ごしている。クラスも違い、そこまで仲がいいわけでもないという彼ら。しかし、個室のエアコンが壊れたことによって広い部屋で寝泊まりすることになって、物語は動き出す。ふとしたやり取りの中でも、抱えた事情が見える人、見えない人、ふと見え隠れする人など、それぞれの性格と背景を丁寧に表現していくキャスト達。そこに赤澤が「もうちょっと感情隠せる?」「その芝居だとこういう関係性が見えない」と調整を入れていく。まだ稽古は始まったばかりだが、辛いDVシーンなども遠慮なく芝居できているのだろう。生々しく、観ていて引き込まれた。このメンバーだからこそ深まっていくものが、これからたくさんあるのだろうと感じさせる稽古場だった。メンバーの中でも若い平野が先生役を務めたり、佐奈がやたらとモテる役だったり、どんな部分がどう生かされているかを想像するのも楽しそうだ。そんなSUNPLUS第1回公演「SUMMER BAZAAR~夏の終わり~」は10月18日(金)から27日(日)まで東京・新宿村LIVEにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月09日池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズ第4弾『絶唱サロメ』が10月5日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。開幕前に囲み取材とフォトコール(マスコミ撮影用シーン公開)が行われ、囲み取材には主演の松岡充、豊原江理佳、納谷健、小浦一優(芋洗坂係長)、吉田仁美、池田純矢、鈴木勝吾、シルビア・グラブが出席した。エン*ゲキ#04「絶唱サロメ」チケット情報オスカー・ワイルド作の戯曲『サロメ』を原案に、池田が“LIVE ENTERTAINMENT”として生み出した本作。開幕を前に池田は「自分が書いて、自分が演出しているのですが、もう自分の手からは遠く離れていて、自分自身が毎日感動に打ち震えています。観たことない、こんなのが観たかった!という作品です」と感慨深く語る。主演を務める松岡も「僕は彼(池田)をクリエイターとして尊敬しているので、一緒に新しい楽しいことができるんじゃないかという期待でこの作品に参加しました。彼は『ちょっと怖い…』って思うくらい(笑)、僕のことをすごくわかっていて。僕以上に『松岡充ってこういうところが魅力なんだよ、それをお芝居に当てはめたらこう表現できるんだよ』を計算している。だからあまり目を合わさないようにしています(笑)。俳優人生15年目にして、まだ見ぬところにチャレンジしたいです」と強い意気込みを語った。豊原は「最初に台本をいただいたときから、特別で大好きな作品です」、納谷は「稽古段階から目指す場所に果てがなかった分、初日を迎える不安はありますが、やってきた稽古を信じてがんばりたいです!」、小浦は「僕が演じる首切りナーマンはとにかく(松岡演じる)ヨカナーンをいたぶりつくす役です。お客様を恐怖のどん底におとしいれたいと思います!」、吉田は「劇場におさまりきれない思いを届けられたらと思って、ワクワクで爆発しそうです!」、鈴木は「この役とこの世界のリアリティの中で、お客様に届けられる芝居をできたら」、シルビアは「この劇場のサイズに皆さんがおさまるかが心配ですが(笑)、ぜひぜひ楽しみにしていてください!」とそれぞれコメントした。フォトコールではいくつかのシーンを抜粋して公開。松岡演じる預言者・ヨナカーンがもたらす不思議な力“ヴォイス”を巡るストーリーの中で、松岡をはじめ、豊原や鈴木、そして小浦も歌唱を披露する。和田俊輔が手掛ける音楽、芝居、そして美しい衣裳やセットも含め、本作ならではの『サロメ』。ぜひ劇場で堪能してほしい。エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』は、10月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、10月26日(土)・27日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2019年10月07日ミュージカル劇団「ミュージカル座」による『おでかけ姫』が9月25日に開幕、9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。25日の公演レポートをお届けする。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出・振付をハマナカトオル、作曲・編曲・音楽監督をtakが手掛け、2016年に初演されたオリジナルミュージカル。初演に続き“おでかけ姫”を水野貴以が演じる。物語の舞台はふたつ。ひとつは現実世界、そしてもうひとつは夢の世界。現実世界で“スポーツカー王子”と呼ばれる御曹司(丹宗立峰/水越友紀・Wキャスト)との熱愛を週刊誌に書かれたテレビ局の人気女子アナ・丸岡久理子(水野貴以)だが、実際のところは「結婚なんて考えられない」「仕事が楽しい」と一人で日々を楽しむアラサー女性。しかし夢の世界では“お姫様=マル王女”として7日後に隣の国の“フェラーリ王子”と結婚が決まる。1度しか会ったことのない王子と結婚して本当にいいものかという迷いを払しょくするために、お城を抜け出し王子のもとに“おでかけ”するマル王女。しかし、その道中で泥棒・ピート(中井智彦)と出会い――。“愛”や“結婚”という重みのあるテーマを描きながら、確かな歌唱力とポップな音楽で、軽やかに展開していく本作。コメディタッチな表現や、タップダンスをはじめとするダンスなども楽しく、“王室”や“テレビ局”というどこか私たちの日常とは距離のある設定ながら、いつのまにか同じ世界に引き込まれていく。マル王女のストーリーは、夢の世界ならではの思わず笑ってしまうようなハチャメチャ展開もあるが、そんな中だからこそ、水野をはじめとする実力派キャストたちの歌声によって説得力を持って届けられる“愛”や“想い”が鮮やかに際立っていた。クライマックスの水野と中井によるデュエットでは、「何のために結婚するの?」「結婚って何?」と考えていたマル王女が知った答えがそのハーモニーからも真っ直ぐに伝わってくる。ミュージカルそのものの魅力が体感できる作品だ。果たしてマル王女そして丸岡は、どんな“結婚の意味”に辿り着いたのかをぜひ劇場で確認してほしい。伊東えりが初演から引き続き演じる魔女や、今井清隆と渚あきが演じる夫婦など、個性豊かなキャラクターが揃う本作の上演時間は休憩なしの約2時間。ミュージカル『おでかけ姫』は9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2019年09月26日東京・DDD青山クロスシアターで行われる落語会『青山らくご ~DDD寄席~』のVol.2が10月4日(金)から6日(日)に開催される。vol.1に続き出演する柳家花緑と、ゲストの篠井英介に話を聞いた。【チケット情報はこちら】劇場で開かれ、“落語界と演劇界がクロスする落語会”として今年8月にvol.1が開催された『青山らくご』の第二弾。前回も出演した花緑は「第一弾はおもしろい会になりましたね。DDD青山クロスシアターは落語にちょうどいいサイズだと感じました。一番後ろの席でも顔が観えますし、伝わりやすい距離感ですよね」と感想を語る。初登場でトークゲストの篠井は「青山という、落語にはなかなか結び付かなかった場所でやるというのもミソですよね。ワクワクする」と印象を語る。会は3日間開催され、初日は花緑の一門から柳家緑君、大神楽の柳貴家雪之介を迎えての「~花緑のふざけ過ぎてごめんなさいの会~」。花緑曰く「ふざけることを前提にやる落語会です」とのこと。内容について「僕が9歳から落語をやってきて、一番ふざけているものを詰め込む予定です。この企画は、最初で最後かもしれないですよ(笑)」と構想を語ると、篠井も「すごい!それはアピールしないと」と大興奮。中日(なかび)は「~『昭和元禄落語心中』の会~」と題し、昨年10月に放送されたドラマも好評の漫画『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社刊)にゆかりのある出演者が揃う。噺家はドラマに出演した橘家圓太郎、隅田川馬石、柳家緑助、トークゲストに松田役の篠井が登場。篠井は「噺家の皆さんがドラマの現場でどんなふうに思っていたのか聞いてみたい。今だからできる話ができればと思っています」と楽しみにしている様子。余談だが、篠井は落語をやらないのかと聞いてみると「やってみたいというスケベ心はあるんですよ、正直」と笑いつつ、「でも、とんでもないです」と落語家へのリスペクトを明かした。千秋楽は「~令和の推しメンの会~」と題し、落語界のイケメン五明樓玉の輔、瀧川鯉斗、林家木りんが集結。昨年上方演芸の殿堂入りをした「かしまし娘」から正司花江をトークゲストに迎え、トークバトルが行われるという。花緑が「僕は、玉の輔兄さん以外のふたりに稽古をつけているのですが、確かに推しメンになるほどのいい男ですよ。でも……これ以上は言いません!!」と気になる言葉(笑)。一体どんな会になるのか最も未知な日とも言えそうだ。ここでしか観られない3日間になる『青山らくご Vol.2~DDD寄席~』は、10月4日(金)から6日(日)に東京・DDD青山クロスシアターで開催。」取材・文:中川實穗
2019年09月25日