第1回では 「『何かヘン』に気がつける状況認識力」のつけ方 について元CIA捜査官が書いた『状況認識力UPがあなたを守る』のエッセンスを紹介しました。第2回では、「何かヘン」と感じた時に適切な行動がとれるように、子どもに伝えておきたいスキルをテーマにします。「気をつけなさい」などと漠然と話しても子どもは不安になるだけ。身につけることでより安心して過ごせるスキルとして、具体的にシーンを想定して練習してみるのもポイントです。 『状況認識力UPがあなたを守る:元CIA捜査官が実践するトラブル回避術』 ジェイソン・ハンソン著/パンローリング株式会社CIAで活躍し培った護身テクニックを基に訓練学校を設立した著者が危険に満ちた現代社会で、犯罪被害に遭わず、災害時に命を守り、安心して暮らすために必要なテクニックと備えを伝授する本。■1)何か起きた時に、人間は「楽観的」に考えてしまうことを知る不測の事態が起きた時に、根拠がなくても「きっと大丈夫」と楽観的に考えてしまう傾向が人間にはあるそう。心理学では「正常性バイアス」と呼ばれる状態で、自分にとって都合がよくないことを見て見ぬふりをしたり、「今まで起こったことがないから、これからも大丈夫」などと起きている事態を過小評価したりすることで自分自身を安心させてしまうものです。その傾向は大人も子どもも同じ。大変なことが起きた時に、自分を安心させることは冷静な行動を取るために大切ですが、避難など必要な行動が遅れる原因にもなりえます。大人がそのことを理解しておくだけでなく、子どもにも「人間って何か起きた時に『大丈夫』って思いたがる生き物なんだって。あわてないのは大切だけど、本当に大丈夫なのか考えるようにしようね」と伝えておきましょう。 ■2)とにかく「すぐに逃げる」!著者によると、何かアクシデントに見舞われた時に助かるのは、行動を起こした者だけだそう。心配な時はとにかく逃げて助けを呼ぶように子どもに日頃から言い聞かせましょう。大人でも難しいことですが、平常心バイアスで「大丈夫なはず」と油断をしたり、恐怖のあまり固まったりしないためには、心の備えが大切です。「こういうことが起こったらこうする」と起こり得るシーンと取るべき行動を日頃から具体的に話しておきましょう。「何かヘンと思ったらまず逃げるんだよ」と日々伝え、逃げる練習もしておきましょう。それでも、本当にこわい目に遭った時にきちんと対処できるかどうかは未知数ですが、少なくとも何の備えもないままの状態よりは、動ける可能性が高まります。 ■3)「腕をつかまえられたら」など対処法を具体的に教えるまず教えておきたいのは、腕をつかまれた時の対処法。実際に親が悪い人役になって、コツをつかむまで練習をしてみましょう。1. 逃げたい方向に動くのではなく、相手側に踏み込む逃げたい方向に動くと、相手と綱引き状態になってしまうが、相手の方へ踏み込む動きで相手のスキをつく。2. ひじを使って攻撃ひじをあげることで、相手の手がはなれやすくなります。ひじを使って相手の顔を攻撃できるようであればなおいいです。3. そのスキに逃げるスキをついてとにかく安全な場所まで逃げるように教えましょう。最初に躊躇なく動くことが肝心。時間が経てば経つほど、逃げられるチャンスは減っていきます。※小さな子どもの場合や、力が強い相手で腕をはなしてもらえない場合は、反対の腕も使って力を加え、「テコの原理」で腕をはずそう。本当はこのようなテクニックを子どもに教えずにすむ社会だったらいいのだけれど、残念ながら万が一の危険に備えるにこしたことのないのが今の日本。もしもの時に後悔しないように、安心して子どもが暮らせるように、子どもに安全に生きるためのテクニックを伝えていくのも今の親の役目の一つになったのかもしれません。
2017年04月20日入学、進級の春は、子どもの行動範囲が広がる時期。今までは送り迎えをしていても、「学校まで1人で行く」「友人宅や公園に1人で行く」など、成長に合わせて子どもの単独行動も増えていきます。犯罪に巻き込まれないか、交通事故に遭わないか、地震がきたらどうするか…。子どものことは心配だけど、ずっと一緒に行動しているわけにいかないのも現実。そんな現代社会で、子どもを危険から守るために一番効果的なのは、子どもに自分の身を守る力をつけること。護身テクニックの学校をアメリカで創設した、元CIA捜査官のジェイソン・ハンソンが書いた『状況認識力UPがあなたを守る』から、今すぐ子どもに教えておきたい、安心して生きるためのテクニックを2回に分けてご紹介します。 『状況認識力UPがあなたを守る:元CIA捜査官が実践するトラブル回避術』 ジェイソン・ハンソン著/パンローリング株式会社CIAで活躍し培った護身テクニックを基に訓練学校を設立した著者が危険に満ちた現代社会で、犯罪被害に遭わず、災害時に命を守り、安心して暮らすために必要なテクニックと備えを伝授する本。■1)「何かヘン」に気がつける子どもにボーっとするのは子どもの特権。だけど、残念ながら場所を選ばないと子どももボーっとできない時代になってしまいました。「気をつけなさい」と何気なく子どもに声をかける親は多いと思いますが、子どもが周囲に注意を払う習慣を身につけられれば、危険回避の可能性はグッとアップします。著者によると危険な任務を行うCIAでも状況を認識して「いつもと何かが違う」ことに気がつける「状況認識力」が一番役に立ったそうです。■2)いつもの様子を頭に入れさせるでは「何かヘン」に気づける子どもにするにはどうしたらいいのでしょうか? せっかくの公園遊びの間にずっと周囲に注意を払えというのは子どもには無理な話。せめて、遊び始めや折々に周囲を見て「いつもはどういう状態か」を把握させることから始めましょう。いつものその場所の様子が頭に入っていないと、いつもと違う状況にも気がつくことができません。道であれば、どんな人が歩いていてどれくらい人通りがあるか、車はどれくらいの交通量でどこに向かう車が多いか、危険そうな場所はどこかなど……。公園であれば、どんな人や子どもがどんなことをしているかなどです。いつもの様子が頭の中に入っていれば、普段いないはずの人がいる時、不審な行動を取っている人がいる時などに気がつきやすくなります。■3)「ながら歩き」は決してさせない最近は小学生になるとキッズ携帯を持ち始め、高学年になるとガラケーやスマホを持つ子どもも増えています。電話やメールは意識を携帯電話に集中させるので、周囲の状況に注意を払えなくなります。障害物に気づかずにつまずいて転んでしまったり、赤信号に気づかなかったり、迫ってくる車や自転車に気づかなかったりと、危険を増やしてしまうのは間違いありません。不審者に見つめられていても気がつけません。大人もついついしてしまう「ながらスマホ」ですが、危険回避のためにも、子どもの見本になるためにも、大人もしないように心がけましょう。また、「ながら歩き」だけでなく、何かを考えることに没頭したりしていても、周りが見えず危険。子どもにずっと注意を払え、というのも難しい話なので、せめて車の交通量の多い道や人通りの少ない道などより危険で注意を払うべき場所を具体的に伝え、その場所を通る時は必ず周囲に注意を払うように伝えましょう。■4)状況認識力で「前兆」に気づく著者によると、犯罪者のほとんどは誰かに行動をしかける前にサインを出すそうです。主なサインは次の3つ。子どもにそのような行動を取る人を見かけ、危険を感じたら躊躇なく逃げることを伝えておくことも大切です。■犯罪を犯そうとする人が出す 主な3つのサイン1. じっと見る攻撃対象に選んだら、犯罪者は不自然なほど長くその対象を見つめます。誰かが不自然に長く見つめていることを感じたら、その場を離れるか、助けを呼んで、その視界からはずれるように伝えましょう。2. 歩調を合わす知らない人と歩調を合わせようとするのは不自然な行為なので、もしそういう人がいたら用心するように、子どもに伝えておきましょう。車でも同様です。3. 気をそらす複数の人間による犯罪の場合は、1人が声をかけてきて気をそらすのはよくあること。気をそらす作戦もあることを子どもに伝えておきましょう。むやみやたらに子どもを不安にさせてしまったら、楽しい生活は送れず元も子もありません。教える際には、「怖がりながら暮らすのではなく、安心して楽しく暮らすために必要なことなんだよ」と説明し、より安心して暮らすためのスキルであることを伝えましょう。
2017年04月19日2004年9月に福岡県大牟田市で発生した強盗殺人死体遺棄事件、通称「大牟田一家4人殺害事件」を、『全員死刑』として今秋映画化されることが決定。主演には、今作が初主演となるいま人気の若手俳優・間宮祥太朗を迎え、日本映画史に新たな衝撃を与える“狂悪”なエンターテインメント作品が誕生する。鬱屈した日々を暮らす兄弟とその家族。ある日、近所の資産家一家が脱税して溜め込んでいる現金があることを知り、その金を強奪する計画が提案される。それはあまりにも無謀な計画。ひとりを殺害したのを機に、事態はエスカレート。最狂最悪の殺人家族の暴走が狂いに狂い咲いて行く――。「大牟田4人殺人事件」は、裁判で被告である家族4名全員に死刑判決が下った特異な事件。金銭トラブルが原因で連鎖的な殺人、死体遺棄に至ったと推測されているが、未だ真相は解明されていない。その事件を、「ヤクザと原発:福島第一潜入記」の著者・鈴木智彦が獄中の「死刑囚」である次男の手記を基に「我が一家全員死刑」を執筆。この獄中手記と事件を基に映画化する。そんな事件の映画化を切望したのが、本作の監督・小林勇貴。本物の不良を出演させ、数々の映画祭、評論家の中で大きな評判を受け熱狂と異例のヒットを記録した青春群像問題作『孤高の遠吠』で注目を浴びた弱冠26歳の新人監督。そして、『冷たい熱帯魚』『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』で日本のみならず世界中に激震を与えた日活のプロデューサー・千葉善紀と『東京残酷物語』『蠱毒ミートボールマシン』など過激な残酷表現で世界中に熱狂的なファンを持つ映画監督・西村喜廣がその才能に惚れ込み、本作で商業映画デビューを果たす。『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』『帝一の國』『トリガール!』など話題作への出演が続く間宮さんが務めるのは、次男・タカノリ。「この作品の話を聞いたときは期待も好奇心もありましたが、実在する事件の内容から緊張感と懐疑心も覚えました」と話す間宮さんは、監督に会い「何故撮ろうと思ったのか、如何にして撮るのかだけではなく監督が日々感じている怒りや喜びを聞き、その話している姿と眼差しを見てこの作品に主演で立つ決意が固まりました」と出演決定の経緯を語る。小林監督は「人生でいつか商業映画を撮ってみたい!いつかこの原作で撮りたい!その両方が1作目で一度に叶いました。あまりの過激さにyahooニュースのコメント欄が荒れるだけでは済まないと思います。世界中で炎上騒ぎが起きることでしょう!いいことです!15歳未満から死に損ないの老人まで楽しめる最高のエンターテインメントになっています!」と自信を見せている。さらに、長男・サトシ役を『ケンとカズ』で2016年スポニチグランプリ新人賞を受賞した毎熊克哉、父役に六平直政、母役には入絵加奈子、タカノリの彼女役に清水葉月と新旧実力派俳優が決定している。『全員死刑』は2017年秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年03月01日プチ整形の流行もあり、いまや美容整形は身近なものになりつつあります。ところが国民生活センターの発表によると、美容医療(美容整形)の相談件数は年々増加傾向にあります。手術後に後悔しないためにも、「その手術が本当に必要なのか」「さまざまなリスクを抱える覚悟はあるのか」などを充分に考え、自分自身に問いたださなくてはいけません。しかし、なぜ美容整形の事件が発生するのでしょうか?美容整形の系譜とともに追ってみます。■美容整形の経験者は18~38歳で11%美容整形が本格的に普及していったのは、第二次世界大戦以降とされています。野中邦子の訳書『プラスチック・ビューテイー 美容整形の文化史(エリザベス・ハイケン、平凡社 1999年5月)』では、体の負傷を負った部位を治療することからはじまったとされています。その後、外見に劣等感を感じている部位を治すことが一般化され、現在では美容目的の外科的措置が行われるようになっています。また、クロス・マーケティング社が2010年に行った調査(調査対象は18~39歳)には、美容整形をしたことのある人は11%いたという結果があります。しかし実際には、アンチエイジングのニーズが高まる40歳~50歳の層のデータや、プチ整形などが含まれていないため、実際にはもっと多いことが予想されます。本調査に対して高須クリニックの高須幹弥医師は、クリニックの概況と比較したうえで「日本人女性で、一生涯のうちに美容整形を受ける人の割合を予想すると、だいたい30~40%くらいになるのではないかと思います」と回答しています。■美容整形の市場規模は2500億円ぐらいでは、美容整形の市場規模はどの程度になるのでしょうか。美容外科専門の診療所および美容外科をもつ総合病院を合わせた美容整形市場には、現在1,000以上が存在するといわれています。自由診療による利益率の高さもあり、市場ニーズは拡大傾向です。広告費が売上高の40~50%を占める事業特性や昨今のニーズの高まりを考えると、2,500億円程度の市場規模ではないかと推測できます。さらには推測の域を出ないものの、日本においても、一生涯のうちに美容整形を受ける人の割合を予想すると、30~40%という数値はひとつの目安になるのではないかと考えられます。参考までに、美容整形大国と称される韓国のデータもご紹介します。中国の新華社通信は、韓国メディアの報道を引用し、韓国の製薬会社が行った調査の結果として、韓国では女性の約6割が自分の容姿に不満を抱いており、4割を超える女性が美容整形の手術を受けたことがあると回答したことを紹介しています(2016年3月7日)。調査結果では、美容整形を受けたことがあると回答した韓国人女性は42%に達し、「まだ手術は受けていないが、将来的に受けたいと考えている」と回答した女性も同じく42%います。韓国では女性の美容整形手術がごく身近にあり、あまり抵抗なく手術を受けている実態が観察できます。■美容整形する前に留意すべき2つのリスク少し話がずれますが、美容整形にはいくつかのリスクが存在します。これは大きく分けて2つの分類することができます。それは「手術のリスク」と、「誹謗中傷のリスク」。(1)手術のリスク鼻を高くする隆鼻法は人気のある手術です。シリコンでできたプロテーゼを挿入するものですが、平均手術30~40万円で受けることが可能です。しかし、挿入したプロテーゼが鼻の先端を飛び出てしまったり、鼻の組織が壊死するなどの術後のリスクがついてまわります。多くの場合、定期的なプロテーゼの交換が必要になります。定期的な交換が必要である以上、一度手術に踏み切ったら相応のコストが掛かることを覚悟しなければいけません。アゴを切る輪郭整形も人気の高い手術です。他の手術とは異なり、コストが100万円以上かかる場合もあり大がかりです。全身麻酔、入院等の設備はもちろんのこと、専用骨切り器等高級機器が必要なため、お手軽ではありません。他にも、涙袋を膨らませたり、しわを薄くするヒアルロン酸注射、切らない二重などは、お試し感覚のプチ整形といわれていますが、術後不良を起こすなどの症例も明らかになっています。(2)誹謗中傷のリスク次に、ネット等での誹謗中傷を考えなくてはいけません。ネットで芸能人の名前を検索すると、次に出てくる関連キーワードが「整形」です。一般的に、整形がネガティブなイメージでとらえられていることがわかります。メディアにおける、芸能人と美容整形をはじめとした話題は、基本的にタブーです。しかしネットを見れば、芸能人を誹謗中傷する記事の多さに気づくでしょう。日本に匿名のブログや掲示板が多いことの弊害でもありますが、一般人でも、ネットによる誹謗中傷のリスクは考えなくてはいけません。■なぜ美容整形トラブルが増え続けているのか美容整形が原因とされる後遺症のケースは、数多く見られています。しかし後遺症は判断が難しく、医者と患者の間で判断が食い違うことも多いため、裁判を起こしても賠償請求を勝ち取ることは困難といわれています。まず、被害者が裁判の場で美容整形の失敗について提訴しにくい点があります。さらに裁判の場で、コンプレックスの箇所について指摘をされることは精神的にも楽ではありません。次に、美容整形の場合は、医療事故などと比較して賠償額が少ない点が挙げられます。勝訴したとしても、裁判費用や弁護士費用、かかる時間等を考えれば、効率的とはいえないのです。慰謝料についても、「外貌醜状」と認められるのが難しいという問題もあります。外貌醜状とは、頭、顔、首などに、人目につく程度以上の傷痕が残ることをいいます。たとえば、顔であれば10円玉以上の大きさ、3cm以上の線状痕、手足では露出面に手のひら大の醜い痕を残すものとされています。ただし、人目につくことが前提なので、人目につかなければ後遺障害と認められない場合がほとんどなのです。*美容整形にはリスクがあり、自己責任が発生することを理解しなければいけません。お手軽さが進む一方で、依然としてリスクが小さくない美容整形。手術後に後悔しないためにも、「その手術が本当に必要なのか」「さまざまなリスクを抱える覚悟はあるのか」、充分に考えて自分自身に問いたださなくてはいけないでしょう。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月27日日本犯罪史上に残る未解決事件である“三億円事件”をテーマにしたコミックを福士蒼汰主演でドラマ化する「モンタージュ 三億円事件奇譚」が6月25日(土)・26日(日)の2日にわたり前後編で放送となる。「ヤングマガジン」(講談社)で連載されていた渡辺潤による大人気同名コミックが原作。図らずも三億円事件の大きな渦に巻き込まれていく主人公の鳴海大和を福士さんが、大和の幼なじみであるヒロインの小田切未来を芳根京子が演じる。2009年の長崎。高校3年生だった鳴海大和(福士さん)が、幼なじみの小田切未来(芳根さん)と共に、通学路の途中で、何者かに刺され、瀕死の老人・東海林明(香川照之)を発見するところから物語は始まる。東海林は大和に対して「お前の父親は、三億円事件の犯人だ」と告げ、息を引き取ってしまう。その日の夜から姿を消した大和の父親・鳴海鉄也(唐沢寿明)は、3日後に長崎から遠く離れた東京で水死体として発見される。時は過ぎ、2016年の長崎。25歳になった大和は、満たされない日々を漫然と過ごし、その不満を埋めるかのように、7年前に老人から告げられた言葉から「三億円事件」について詳しく調べ始める。そんな折、大和は父親・鉄也の形見から三億円事件で奪われた五百円札を見つけてしまう。その後、大和はひょんなことから、やってもいない殺人の容疑者として警察から追われ、長崎から福岡、さらには東京へと逃亡することに。図らずも、さまざまな人物の思惑が複雑に絡み合った、大きな事件の渦に飲み込まれていく大和は、父親・鉄也の謎の死、そして三億円事件の真相にたどり着くことができるのか――。福士さん、芳根さん、香川さん、唐沢さんのほか、「三億円事件」の鍵を握る大物政治家・沢田慎之介役に西田敏行、未来の父親・武雄が経営する剣道場の門下生で予備校講師・鈴木泰成役に劇団ひとり、大和と未来を追い詰めていく刑事・関口二郎に遠藤憲一、大和と未来が「三億円事件」の真相を追う中で出会った、沖縄でバーを経営する謎の女性・響子ギブソン役に夏木マリ、さらに杉咲花、ムロツヨシ、デビット伊東、西尾まりと豪華キャスト陣が集結した。さらに本作では「三億円事件」が起こった1968年を舞台にしたストーリーも描かれる。1968年、物語の舞台は「三億円事件」が発生した府中。軍艦島出身の川崎雄大は、同じ軍艦島出身の幼なじみで兄のように慕う沢田慎之介が、府中で刑事をしていたため、府中に上京。ある日、地元の不良、望月竜がヤクザともめている場面に遭遇し、持ち前の機転と度胸の良さで、竜を助ける。そして竜や彼の仲間の響子ギブソン、横溝保らと親交を深めた雄大は、1967年の秋に竜が働くジャズバーで働き始め、店の常連客、女子大生の井上和子と恋に落ちる。頭の回転が速いのに、ずるいところがなく素直な雄大と、ジャズをこよなく愛す和子のカップルは、竜や響子たちからも祝福され、いずれ2人でジャズ喫茶を開くという夢に向かって、彼らは幸せの絶頂にあった。しかし、1968年、突如、雄大と和子の幸せを引き裂く悲しい事件が起こる。その事件以来、明るさを失い、心を閉ざしてしまった雄大は、国を変えたいという野心を抱く沢田を介し、竜、響子ギブソン、保と共に、「三億円事件」の実行犯として荷担していくことに…。こちらの“1968年パート”には野村周平、門脇麦、三浦貴大ら若手実力派俳優陣が出演。以前ドラマ「恋仲」で共演した福士さんと野村さんが現代と1968年、それぞれのパートの“主人公”として再び共演を果たすほか、やはり『イン・ザ・ヒーロー』で共演経験のある福士さんと唐沢さんが、今度は親子役で共演するのも見のがせないポイント。2人の共演シーンとなる長崎県・軍艦島(端島)でのクライマックスシーンは同島が「世界文化遺産」登録後初のロケとなり、さらに茨城県・高萩市、福島県・富岡市、群馬県・高崎市、佐賀県・佐賀市などテレビドラマとしては破格の規模での撮影を敢行した本作。そのドラマの枠を超えたスケールも見ものだ。「モンタージュ 三億円事件奇譚」の前編は6月25日(土)、後編は6月26日(日)それぞれ21時~フジテレビ系で放送。(笠緒)
2016年06月25日