元AKB48で女優・前田敦子さんは、2019年に第1子を出産。現在はシングルマザーで、元夫の俳優・勝地涼さんと協力しながらお子さんを育てています。現在公開中の映画『そして僕は途方に暮れる』に出演するなど精力的に芸能活動をしていて、先日は、セクシーなワンピースでイベントに参加したようです!かわいくてセクシーなワンピ姿 この投稿をInstagramで見る 前田敦子 Atsuko Maeda(@atsuko_maeda_official)がシェアした投稿 インスタで前田さんは、「YSL BEAUTY LIBRE POPUP EVENTNON-STOP 4 DAYS“I AM LIBRE” リブレの香りは勿論全ての香りに包まれたい yslbeautyですね。」とイヴ・サンローランのイベントへ参加したことを報告。黒のミニワンピにロングブーツ姿を披露しました。注目ポイントは背中。なんとハート型にくり抜いてあって、背中がチラ見え!オトナっぽさとかわいさを兼ね備えたワンピースで、前田さんにお似合いですね。また、最後のリップを塗っている瞬間も女性らしさがあふれる1枚となっています。この投稿に、「背中まで綺麗なんて、、、ほんと憧れの女性」「美脚! 美しい背中!」「背中のハートにドキってなっちゃいました」「美しすぎて眩しい」「笑顔天使過ぎます!」など称賛の声が相次いでいます。ママになって、ますます魅力的な女性になっていく前田さん。次の投稿も楽しみです!あわせて読みたい🌈「美人過ぎ」「美しい横顔」飯島直子さんがついにインスタ降臨!榮倉奈々さんと2ショットも披露
2023年02月10日女優の前田敦子が15日、都内で行われた「日本中小企業大賞 2022」に出席した。「日本中小企業大賞 2022」は、参画企業と共に日本経済活性化に向けて活動する「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」において実施。“中小企業ならでは”の機動力、発想力、決断力、行動力といったメリットを活かし、自社や業界全体の推進力を高めて結果を残した企業を5部門(ベストプランニング賞、新規チャレンジ賞、スゴイ社員賞、働き方改革賞、SDGs賞)で表彰した。授賞式には、受賞者や審査員に加え、同プロジェクトのアンバサダーを務める市原隼人、紗栄子、滝川クリステル、田村淳、永作博美、藤原紀香、前田敦子、溝端淳平も出席。前田は大きなリボンが華やかなドレスで登壇し、「受賞された皆様おめでとうございます」と祝福。「こんなにたくさんの先輩たちとご一緒して、参加企業の皆さんもどんどん増えていると聞いて、毎年どんどん大きくみんなで進み続けているところに参加させていただけていることがうれしいなと思います」と語った。そして、今年を振り返って「私自身はちょっと目まぐるしかったな~、あんまり覚えてないな~と……」と述べると、「来年は一つ一つ自分の中にちゃんと刻めるように確認しながら毎日を生活していきたいと思っています」と笑顔で話した。
2022年12月15日大腸がんによる多臓器不全のため、7月25日に69歳で死去した女優・島田陽子さん。『続・氷点』『犬神家の一族』などで楚々とした演技を披露し、お嬢様役をやらせれば右に出るものはいないと言われた昭和を代表する女優の一人だった。’80年には米ドラマ『将軍 SHOGUN』で日本人女優として初のゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。「国際派女優」と呼ばれるも、キャリアの後半は歌手の故・内田裕也さんとの壮絶な不倫愛などでお騒がせ女優としての評判が定着してしまった。晩年は身寄りのない生活で、亡くなった直後に所属事務所が「近親者のみで荼毘に付された」と発表したが、本誌が渋谷区に取材したところ、引き取り手の遺族が現れないため遺体がまだ存在していたことが判明した。約2週間もドライアイスの中で保管されていたという。「ご遺体がまだ残っているのに所属事務所が火葬したと発表したのは前代未聞のことでした。島田さんが代表を務める個人事務所のような会社で、スタッフには芸能界の仕事に長けている人が少なかったそうです。それで今回の騒動をまねいてしまいまったのかもしれません」(島田さんの知人)結局、島田さんの遺体は渋谷区により火葬された。無縁仏として合葬されてしまうところだったが、お骨に関しては事務所関係者によって引き取ることができ、先に亡くなっていた実母とともに、9月に都内のお墓に納骨された。所属事務所は「ゴールデングローブ賞のトロフィーのレプリカをお墓に設置するタイミングでお別れ会を開きたい」と発表していたが、10月頃に本誌がお墓を訪れた際にはまだ墓石に名前も刻まれていない状態だった。しかし、11月末になってついにトロフィーのレプリカがお墓に設置された。墓石には真新しい文字で刻まれた島田さんの戒名も確認できた。「大女優にしてはいささかこぢんまりとしたトロフィーですが、多額の借金を残したまま天国に旅立ってしまったので仕方ないのかもしれませんね。いまだにファンのためのお別れ会は開かれぬままですが、俳優ら仕事関係者によるお別れ会は全国各地で行われました。これでようやく御本人も眠りにつけることでしょう」(前出・島田さんの知人)昭和の大女優にふさわしい波乱万丈の人生だったーー。
2022年12月09日大腸がんで7月に亡くなった島田陽子さん(享年69)。逝去直後の騒動は落ち着きを見せているが、9月に開催予定と報じられたお別れ会は、いまだに行われていない。長年の知人が語る。「晩年はお金がないのにタワーマンションに住んで家賃を半年分も滞納。ポストはいつも督促状の山でした。裁判所からの呼出状もあったそうですが、当の本人は封すら切らずに知らぬ存ぜぬだったそうです。借金の額は聞いているだけでも1千万円を軽く超えるとか」家族とも縁が切れていたため一時は遺体の引き取り手もなく、渋谷区がドライアイスで保管する事態となっていたが、9月にようやく親族によって実母とともに納骨された。しかし、この墓が新たな金銭問題の火種になりつつある。「島田さんは’80年にアメリカのドラマ『将軍 SHOGUN』でゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しました。このときにもらったトロフィーのレプリカを製作してお墓に建てようと、島田さんの事務所関係者たちが計画しているのです。しかし、この特注墓石には話題をつくってお金を集めるという意図が見え隠れします。事務所関係者は再三にわたって資金集めを画策していますが、うまくいかずお別れ会は2度も延期され、島田さんの友人たちからの不信感はかなり強いのです。債権者たちから“レプリカを建てるお金があるなら、まずは借金を返して”という声も上がっています」(前出・知人)本誌はこの“トロフィー墓碑”について所属事務所に問い合わせたが、回答は得られなかった。生前、「宇宙葬」を希望するなど型にはまらない考えを持っていた島田さんだが、ファンや友人らは、故人を偲ぶ機会が早期につくられることを望んでいるのではないだろうか。
2022年11月16日女優の前田敦子が出演する、エービーシー・マートの新WEB CM「待ち合わせ編 」と新グラフィックが27日に公開された。新WEB CMでは、おしゃれな本屋で働く前田が登場。午前中で仕事を早めに切り上げ、昔のバイト仲間だった気心が知れる2人と会うため、ABCブーツを履いて出かけていく姿が描かれる。○■前田敦子インタビュー――撮影を終えた感想を教えてください。撮影で、このABCブーツを一日中脱がずにずっと履かせてもらったのですが、すごいラクでした。「ジャンプできる。軽やかに」という感じで、すごい履きやすいです。これは、履いてみないと分からないと思いますね。――お子さまが生まれてから、選ぶ靴の種類は変わりましたか?変わりましたね、ヒールを履かなくなりました。スニーカーとかチャックがついたブーツじゃないと履かないです。よくお母さん友達と喋るのは……「遊園地に行ける靴かどうか?」というのが決め手だってよく話します。――ブーツを履く時はどんなコーディネートですか?そうですね、ワンピースにはブーツが絶対ですよね。今ミニスカートとかショートパンツも流行ってきてるのでそういう時は、ロングブーツ履きたいですし……ワンピースの時は、ミドル丈のブーツぐらいが一番綺麗に見える黄金比だと思うので秋冬はやっぱメインはブーツになります。――最近、幸せを感じたのは?子どもが喋れるようになって、甘え方がすごい上手で……「僕はママのベビーでしょう。だから、できないからやって!」って言われるんですよ。前に、「私にとってはもうずっとかわいい赤ちゃんだよ」って言ったら、それを上手く使ってくれるようになって。なんだかもうかわいいですよね。――最後にCMをご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。今回は音楽に合わせてすごくも楽しく、思わず軽やかにジャンプしなくなるようなこのブーツを履いて、10年ぶりに友達みんなで大集合……というもうすごいワクワクの楽しいCMになっています。今回出てくる3種類のブーツ全てかわいいですし、軽くて履きやすいので、ぜひ皆さんもこの秋冬に履いてみてください。
2022年10月27日国際派女優として知られた女優の島田陽子さん(享年69)が、がんのため亡くなってはや3カ月。逝去直後、「荼毘に付した」という報道が出たが、実は渋谷区が遺体を保管しており火葬されていなかったという事実を本誌は報じていた。「まだご遺体があるのに『荼毘に付した』という情報を出したのは島田さんの所属事務所だったそうです。メディアもまさか大女優の逝去に関して事務所関係者が事実と異なる情報を出すとは思わず、その通りに報じてしまったのです。ご遺体は2週間もドライアイスの中でしたが、8月上旬には火葬されました。晩年の島田さんは家族とは疎遠で、唯一の理解者だったお母様のお骨を自宅に大事に保管していましたが、9月になってやっとお母様と一緒に納骨されたそうです」(島田さんの知人)本誌は島田さんが納骨されたというお墓を訪ねた。都内一等地にある日蓮宗のお寺の墓地に島田さんはひっそりと眠っていた。墓石は本名の「中村家」と書かれ、島田さんの両親が生前に建てたものだった。墓石には両親の名前しか刻まれておらず、現状では誰もこれが島田陽子さんの墓だとは知る由もない。しかし、住職に確認すると確かに9月に納骨が済まされたそうだ。また、予定されていたお別れ会も未だ開かれないままだ。「当初は9月という話だったのが、『10月中には』『やっぱり11月に』とずれ込むばかり。一度は事実と異なる情報を出した事務所に関係者が不信を抱き、なかなか賛同者が集まらないのだそうです。また、生前の島田さんは宇宙葬を望み、契約書も交わしていました。宇宙葬というと壮大に聞こえますが、実際は遺骨の数グラムを小さなカプセルに入れて飛ばすことなんだそうです。それだけでも叶えてもらえれば故人の供養になると思うのですが…」(前出・知人)ファンが島田さんにお別れをいう機会は設けられるのか、そして宇宙に行きたいという島田さんの夢は叶うのか――。今後を見守りたい。
2022年10月26日フラワーアーティスト・前田有紀さんがお取り寄せする際は、製品だけでなく、どんな作り手なのかにも注目して選んでいるそう。「せっかく買うならば、自分にも地球にも心地いいものを選びたいという気持ちがあるんです。例えば【1】GELATERIA SANTiのジェラートは、なるべく湘南エリアの食材を使うなど地産地消にこだわった製品。安心できる食材を吟味して使い、保存料もなし。だから子供たちにも安心して食べさせられます。【3】POMPON CAKESのクッキーも同様の理由で大好きな商品。こちらでは食べ終わったクッキー缶を持っていくと、量り売りのクッキーが10%オフになるサービスが。そんな環境に配慮した取り組みにも好感が持てますよね。しかもどちらのお店も味はピカイチ!毎日の食卓に欠かせないお米は、以前はスーパーで購入をしていましたが、最近はお取り寄せで購入しています。【2】笹屋さんは、有機栽培のお米が豊富なんです。玄米も三分つき、五分つきなどオーダーメイドで仕上げてくれるところも魅力です。実はこの3件はすべて、私が住んでいる湘南エリアのお店。なかなか買い物に行けないときは、信頼できるお店のお取り寄せにいつも助けられています」卵は母の故郷である鳥取産をチョイス。「昔から慣れ親しんでいるのが【4】大江ノ郷自然牧場の卵。こだわりの自家製飼料で育てた平飼いの卵は、鮮度が高く味も最高なんですよ」【1】添加物不使用の優しい甘さと風味。GELATERIA SANTi「SANTi季節のジェラートギフト」90ml×8個セット¥3,900鎌倉御成通りの人気ジェラート店のお取り寄せ。保存料や着色料、香料などの添加物不使用。可能な限り近郊の自然栽培や無農薬の食材を使用するなど体にも環境にも優しい。前田さんのお気に入りは、ピスタチオとミルク。【2】大正時代から続く老舗米店の信頼の味。笹屋「ゆめぴりか(北海道)」2kg¥1,163大正2年創業の老舗米店が厳選。美味しさの秘訣は、低温倉庫で最適な温度で保管した産地直送の玄米を注文を受けてから精米していること。精米方法は白米、胚芽米、七分つき、五分つき、三分つき、玄米から選べる。TEL:0467・22・0653【3】サクサクの軽い食感と愛らしいルックス!POMPON CAKES「クッキー缶」125g¥1,620厳選した材料を使用した安心・安全なクッキーは、ぱくぱく食べられるシンプルな美味しさとキュートなルックスで大好評。アーモンドクッキー、ハニークッキー、メープルクッキー、ココアクッキーがIN。TEL:0467・67・5382【4】黄身の味が濃く、スーパーの卵とは一味違う代物。大江ノ郷自然牧場「天美卵エコパック詰め」10個¥1,296鳥取県の自然豊かな牧場で作られた平飼いの卵。国産のトウモロコシや牡蠣殻など20種類以上の天然原料を使った栄養満点な飼料を食べて育つ鶏の卵はコク、旨味、栄養価に富んでいる。TEL:0120・505・606まえだ・ゆき1981年まれ、神奈川県出身。元テレビ朝日アナウンサー。現在はフラワーブランド『gui』をプロデュース。※『anan』2022年10月19日号より。写真・山口 明スタイリスト・荻野玲子取材、文・中川知春(by anan編集部)
2022年10月15日素敵なお姉さまにあれこれ伺う「乙女談義」。山本陽子さんの4回目は、素敵な友人関係のお話と、意外な趣味&大好きな食べ物についてです。長い人生、一番の財産は、素敵な友人を持てたこと。私にとって、芸能人である自分は虚像。役は引きずらないし、仕事以外の時間は、本当にごくごく普通の人です。一般的なサラリーマンの家に生まれ、家族仲が良く、私が女優という仕事をしているからといって、一度も特別扱いされたことはありません。例えば舞台中、みんな「まあ、行けたら行く」くらいな感じ(笑)。だからこそ私も、この歳までずっと自然体でいられたのでしょう。学生時代、会社員時代の友達とは、今もずっと仲良し。大昔にドラマでご一緒したチームとは、42年間ずっと新年会をやっています。自分の人生を振り返ると、いろんな仕事をしてきたことも喜びですが、いいお友達がたくさんできたことが、一番の財産だと思っています。長く付き合えるいい友達を持つためには、まずは自分が心を開く。裏表を持たず、一人の人間として接することが大事。そうすればおのずと相手も心を開いてくれ、いい友人関係が構築できる。みなさんもぜひ実践を!韓流ドラマを見ながら食べる“アレ”が大好きです。コロナ禍で、趣味のゴルフも会食もせず、仕事以外のときはほとんど自宅にいます。基本的には一人。「一人は寂しいでしょ?」とみなさんおっしゃいますが、私は昔から考える前にやることを見つけて動いてしまうので、寂しさを感じる暇もありません(笑)。そんな私が今一番ハマっているのは韓流ドラマの一気見。韓流ドラマの激しさ、ドロドロさは本当に楽しい!私も昔、お昼に放送されていたドロドロの恋愛ドラマ、通称〈昼メロ〉に出演していましたけれど、比べものにならないくらいエネルギッシュ。なにかあると登場人物がすぐ叫ぶので、「今度はどこで叫ぶのかしら?」とワクワクしながら見ています。食事もドラマを見ながらになるわけで、そんなときに最適なのは「ペヤング ソースやきそば」!品数が多いとドラマに集中できないし、ラーメンだとスープをこぼす心配があるので、焼きそばが一番(笑)。実は大盛りも食べきるほど、大好きなんです。やまもと・ようこ女優。1942年3月17日生まれ、東京都出身。’63年に女優デビュー。映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。また山本海苔店のCMに55年間出演しており、2010年にはギネス・ワールド・レコーズに認定された。※『anan』2022年9月28日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・堀ちほ(by anan編集部)
2022年09月25日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。9月のお客様は、年齢を重ねてなお魅力的な、女優の山本陽子さん。第3回目は、歳を取ることに対しての思いに加え、海苔のCMに出演することになったきっかけのお話です。歳を取るということは、視界の霧が晴れること。今80代。長く歳を重ねてきましたが、振り返ると若いときからずっと、歳を取ることに対しては常にポジティブ。不安や恐怖はまったくありませんでした。例えば20代は、“野となれ山となれ”的な気持ちで、とにかく一生懸命いろんなものと戦う時期。30代になると、1つ登るべき山が見えてきて、それを越えると2つ目、3つ目がどんな山なのかも気になってくる。実際私も30代になり、やりたい役を少しずついただけるようになって、やっと女優という仕事が楽しくなった気がします。そして40代になると、行動範囲や視野が広がり、違う景色が目に入るようになる。歳を取るって、“目の前の霧が晴れる”みたいなことと近い気がします。人は誰でも歳を取るし、同じではいられない。だからこそ時の流れの中で、自分が見たいものを、しっかり探し、そして見出していくのが楽しいんです。それこそが、“生きる”ということであり、人生のおもしろさだと思います。ドラマでの姿が、意外な仕事を招き寄せ…。長い女優人生、いろんな役をやらせていただきました。どの役も思い出深く、それぞれやりがいがありましたね。悪女の役は、目線で空気を変えるような芝居ができる喜びがある一方、主婦の役ではそういったテクニックを使わず、“普通”を演じなければいけない難しさがある。役柄ごとにいろんな演技に挑戦できるのが、とても楽しかったです。’65年に放送されたホームドラマ『七人の孫』(続)で、私は着物姿の楚々とした女性を演じました。当時私は女優としての自信が持てず、葛藤していた時期でしたが、私を見た「山本海苔店」の社長さんが、「同じ名字なのでCMに出ませんか?」と声をかけてくださった。私からすると、「女優の仕事って、こんなことが起こるのか!」と驚愕。一生懸命やっていれば、どこかできっと誰かが見ていてくれる。それが実感でき、本当に嬉しかったです。これはどの仕事も一緒。みなさんのことも、どこかで誰かが見ていますよ。やまもと・ようこ女優。1942年3月17日生まれ、東京都出身。’63年に女優デビュー。映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。また山本海苔店のCMに55年間出演しており、2010年にはギネス・ワールド・レコーズに認定された。※『anan』2022年9月21日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・堀ちほ(by anan編集部)
2022年09月17日素敵な先輩女性に4週にわたりお話を聞く「乙女談義」。9月のゲストは、女優の山本陽子さん。第2回目は、女優になったきっかけと、駆け出し時代のターニングポイントについて伺います。芸能界入りのきっかけは、まさかの“知人が応募”。高校卒業後は野村證券に入り営業部で働いていました。おせっかい気質のせいか頼まれてもいない仕事まであれこれやってしまうので、職場の仲間からは「山本さんはがめついから、“がめ子”!」なんて呼ばれて(笑)。でも3年目に、“私は証券会社の営業ではなく秘書として働きたい!”と目標ができ、転職しようと思ったんです。ところがある日突然会社に、〈日活ニューフェイス、一次審査合格〉という通知が!どうやら職場の知人が映画会社のオーディションに勝手に応募したらしく(笑)。とりあえず試験を受けに行ったら、トントン拍子に進み、なんと合格…。それで、芸能界に入ることになりました。いきなりの知らない世界、不安はなかったか?正直私は職場の引き継ぎが大変で、そんな場合じゃなかった(笑)。でも同僚たちの協力のおかげで、無事に1か月で引き継ぎが完了。あのとき良くしてくださった方々とは、約60年経った今までずっと仲良しです。先を思い不安になるのは無駄。まず動きましょう。実は私が合格したオーディションは、14~19歳が対象だったんですが、なぜか21歳の私が合格。でも映画業界に入ると、私より若い女優さんたちが活躍されていて、結局私に来るのは通行人や喫茶店のお客さんみたいな役ばかり。1年後、やっと名前のある役をいただけるようになりましたが、主演はなかなかもらえない。正直、芸能界は向かないわって思い始めていたんです。そんな頃、映画会社に「テレビ部」が誕生し、「テレビに出ないか」とのお声がけが。他のみなさんは出たくないっておっしゃったらしいんですが、私は「やります!」と即答。今思うと、自分はスクリーンには向いていないけれど、テレビの小さなブラウン管の中ならもしかしたら…という気持ちがあったのかも。そこが私のターニングポイントでした。何かを選択するときは、悩むより先に動く。あれこれ心配するより、とりあえず進んで、失敗したらそこで考えればいい。それが私のモットーです。やまもと・ようこ女優。1942年3月17日生まれ、東京都出身。’63年に女優デビュー。映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。また山本海苔店のCMに55年間出演しており、2010年にはギネス・ワールド・レコーズに認定された。※『anan』2022年9月14日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・堀 ちほ(by anan編集部)
2022年09月11日年上のお姉さまをお迎えし、お話を伺う「乙女談義」。9月は、女優の山本陽子さんのご登場です。まずは高校生時代の驚きの恋愛エピソードをお届け!おとなしかった私が、好きな男の子の家を直撃!!私は中学生くらいまで、ほとんどしゃべらず自己主張をしない、それはそれはおとなしい子どもでした。でも高校に入ったら男子が多かったせいか心がざわめきまして(笑)、入学早々、隣のクラスに気になる男の子ができちゃったんです。ちなみに当時の学校は厳しくて、男女交際はもちろん並んで歩くのも禁止。登下校は先生が見張ってるんです、違反してないか。でも私はその男の子を朝、駅でさりげなく待ち伏せをし、2mくらい後ろをついて学校に行ってたの。ずっと溜め込んでいた積極性が少しずつ外に出るようになったのか、そのあたりからどんどん積極的になっちゃって。なんと私、好きな男の子の家を探して、直撃しちゃったんですよ!!いま冷静に考えるとちょっと怖いですよね、でもまあ若さゆえということで(苦笑)。彼は不在だったんですが、お母様がおうちに上げてくれ、なぜかラーメンを作ってくださって。それから私、ラーメンが大好きになりました(笑)。大人になり、その彼と対面を果たすことに!?前述のように、当時は高校生同士で交際なんてありえない世の中でしたので、その彼とは特になにがあったわけでもなく、卒業し、私は就職を経て芸能界へ。その後、20代後半くらいでテレビの“ご対面番組”に出演した際、その彼に会いたい、とお願いをしたんです。彼は、校則が厳しい中、学生帽をちょっと斜めにかぶり、ぶら下げて持つのがルールだった学生カバンを抱えて持つような、不良っぽい男の子。でも字が綺麗で勉強ができて、そのギャップが素敵でした。みんなの憧れの存在だったんです。そして番組が始まり、カーテンが開いたらそこに彼が…!!当時の面影がある出で立ちを前に、私、感動してボロボロ泣いちゃったんです(笑)。高校時代のその気持ちは、恋とも言えないものだったかもしれませんが、でも誰かを好きになると、人はウキウキしたり前向きになったりしますよね。そういう気持ちって、いくつになっても大事だと思いますよ。やまもと・ようこ女優。1942年3月17日生まれ、東京都出身。’63年に女優デビュー。映画、ドラマ、CM、舞台と幅広く活躍。また山本海苔店のCMに55年間出演しており、2010年にはギネス・ワールド・レコーズに認定された。※『anan』2022年9月7日号より。写真・中島慶子ヘア&メイク・堀 ちほ(by anan編集部)
2022年09月03日前田敦子主演、菊池風磨共演の映画『もっと超越した所へ。』から、原作の劇作家・根本宗子が「人生で一番、課金した相手」と語るほどの大ファンだったという前田さんが演じる、“恋愛間違えがち衣装デザイナー”真知子を紐解く新場面写真が解禁された。原作・脚本は、演劇界最高の名誉・岸田國士戯曲賞の最終候補に4度選出されるなど演劇界の最先端をひた走る根本さん。「映像化不可能」ともいわれた同名傑作舞台を自ら映画脚本にし、クズ男を引き寄せてしまう4人の女性の恋愛模様と、彼女たちの意地とパワーが引き起こすミラクルを痛快に描く。本作で、恋愛間違えがちなデザイナー・真知子を演じるのは、映画・テレビ・舞台にて出演作が目白押しの前田さん。この度、解禁された場面写真では、大きなカラー(付け襟)が印象的な真知子のはにかむ笑顔が見られる。また、カラフルでやわらかなテキスタイルのカーテンやクッション、愛くるしいぬいぐるみたちに囲まれ、数々の個性的な衣装を作り出すデザイナーとしてのこだわりも写り込む。実はこの日は、久しぶりに再会した同級生のストリーマー・怜人(菊池風磨)が初めて部屋を訪れた日。あたらしい恋愛の始まり?もう後悔しないよね?戸惑いと期待あふれる気持ちが表情ににじみ出る1枚となっている。そして、もう1枚はアトリエ兼自宅の様子が垣間見える写真。様々な生地や糸、ボタンやリボンが壁に整然と配列され、自分の世界観を作り出す真知子の真面目で丁寧な仕事ぶりをうかがわせている。この部屋に転がり込んできた怜人のペースに巻き込まれながらも、つい受け入れてしまう真知子は、果たして自分だけのハッピーエンドをつかめるのか?実は前田さんが演じる真知子役は、舞台で根本さん自身が演じていた役。根本さんは、前田さんのアイドル時代初期からの大ファンで、秋葉原の「AKB48劇場」に通い、握手会にも参加するなど「わかりやすく言うと、人生で一番課金した相手です(笑)」と打ち明け、「自分がやっていた役を前田さんに演じてもらえて本当に幸せです」という喜びのコメントを寄せている。『もっと超越した所へ。』は10月14日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:もっと超越した所へ。 2022年10月14日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©2022『もっと超越した所へ。』製作委員会
2022年08月18日7月25日に亡くなった女優の島田陽子さん(享年69)。さみしいことに、亡くなった後も実妹たちが遺体を引き取らなかったと本誌は8月2日発売号で報じたが、その直後、編集部に衝撃的な情報が寄せられた。「島田さんの遺体はまだ火葬されていません。渋谷区の施設に安置されたままなんです」電話の主は、島田さんの元マネージャー・福島浩一朗氏だった。「遺体は毎日ドライアイスを詰め替えて、保管していると区の担当者から聞いています。私が引き取ろうにも、渋谷区の場合は三親等以内の親族に限られているそうです。2人の妹のどちらかが私に委任してくれれば、渋谷区は私に遺体を渡すと。その後は、ハリウッド女優らしくきらびやかな葬儀をして送り出してやれたらと思っています。そんな話をケント・ギルバートさんにしたら『絶対に呼んでください』と言っていましたよ」福島氏は島田さんが生前、埼玉県にある長泉寺に墓地を購入していたと言う。住職にも話を聞いた。「島田さんがここにお墓を建てると決めたのは’20年2月のことです。墓石はまだありませんが、すでにお金はいただいています」本誌が渋谷区役所に確認したところ、福祉部管理課民生係の担当者は困惑しながらも「火葬はまだ行われていません」と認めた。8月5日時点でも2人の妹から福島氏に委任状は届いていない。今後、島田さんの遺体はどうなるのか。終活カウンセラー協会の代表理事・武藤頼胡さんによれば、今回のように遺体の引取り手がいないケースは日本全体でも増えているという。「病院で引取り手が見つからなかった遺体は自治体が管理します。第三者でも引き取れますが、委任状はあったほうがよいでしょう。腐敗等の問題で、火葬までの期間は決して長くはとれません。遺骨はしばらく保管されますが、その後合葬され無縁仏として埋葬されると、同じような遺骨と交ざってしまうので、島田さんの骨だけを返すことは難しくなるかもしれません」実は編集部には、さらに別の人物からも連絡があった。島田さんが出演したボイスドラマ『Romeo,Juliet』を演出・プロデュースした水野哲氏だ。9月から電子チケットサイト「ZAIKO」で販売される同作では、島田さんはジュリエットを演じたという。「『10代の役でも私はできる。ほかの人には決して負けませんよ』なんて言っていました。体調が悪くて録音が何度か中止になることもありましたが、『点滴を一日やれば楽になるから大丈夫』なんて女優魂を見せていましたね。やっぱり声はちょっと出にくかったり、苦しい感じもあったけど、セリフなんかしっかりしてて、今聞くとすごく感動しますね。国際女優の彼女の一面をちゃんと残せたというのは良かったです」晩年も演技で仕事関係者をも魅了し続けた島田さん。しかし、プライベートでは寂しげな姿も見せていたという。「お金があるように振る舞う場所ではめちゃくちゃ使っていました。フランス料理を豪勢に奢って振る舞うこともあれば、そうでない場所では実にお金がないという一面も見せます。ジュース代の小銭を財布から出すのに10円、20円を数えて『あるかな、あるかな』なんて不安そうなときがありました。妹さんと縁が切れて『きょうだいなんてそんなもの。私はもう全く一人になりました』とも言っていました。本当に変わった方でね、一言ではいえないですよ。サービス精神がありすぎて誤解されることもありましたが、優しい方であったことは確かです」(水野氏)そんな大女優の遺体の行き先が宙に浮いてしまっている事実に愕然とせざるをえない。元マネージャーにより供養される日は来るのだろうか。
2022年08月09日タレントの村田倫子、前田希美が4日、京セラドーム大阪で開催された「EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN & WINTER」に出演した。村田と前田はディズニープリンセスをイメージしたウエディングドレス姿に身を包み、華やかなショーを展開。約500人以上が参加した「17LIVEライバーオーディション」を勝ち抜いた人気ライバーたちと共にランウェイを飾った。村田はシンデレラ風のウエディングドレスで頭にはティアラを思わせるキラキラの髪飾り。前田は腕の部分の膨らみが特徴的な白雪姫風ウエディングドレスを着用。色はリンゴのように真っ赤で、リンゴのような丸いイヤリングも添えていた。「KANSAI COLLECTION」(関西コレクション)は、2011年2月に大阪で誕生したファッションとエンターテインメントのイベント。23回目となる今回は、「meet new japan culture」をテーマとし、変わりゆく文化や美しき良き伝統などを発信する。撮影:蔦野裕
2022年08月04日演劇界の最先端をひた走る劇作家・根本宗子が傑作舞台を自ら映画脚本にし、主演に前田敦子、彼氏役に菊池風磨を迎えた『もっと超越した所へ。』。この度、前田さんのナレーションが誘うブチ切れ&ブチ上がりの恋愛バトルの予告編映像が解禁となった。シンガーソングライターのaikoが作詞・作曲も手掛けた主題歌「果てしない二人」が流れる予告編では、久しぶりに再会した衣装デザイナー・真知子(前田さん)の部屋に早々と上がり込んだストリーマー・怜人(菊池さん)が「ちょっと横になる?」と誘い込むところから始まる。「手とか洗ってないから」「俺も洗ってないから大丈夫っしょ」と、なし崩しにされる真知子…。また、ボンボン男・富(千葉雄大)は子役上がりタレント・鈴(趣里)に甘えつき、落ぶれ俳優・慎太郎(三浦貴大)は、風俗嬢・七瀬(黒川芽以)に虚勢を張る。「好き」と笑い合うフリーター・泰造(オカモトレイジ)とギャル・美和(伊藤万理華)。仲睦まじく幸せなはずなのに、うなだれる彼女たちの姿と「なんでこんな人を好きになっちゃうんだろう」という言葉が浮き上がる。「自分の罪悪感減らさないでよ!」「毎日生活して暮らしていくってラクじゃないことだから!」と訴え、「泣いてないで早く出てってよ!」とブチ切れた彼女たちから追い出された彼らは“全員クズ男”。この恋愛、これで終わっていいの?後悔しない明日のために、いままでと同じにしないために、何かを飲み込めば、多くを望まなければ…。彼女たちは、自分たちだけのハッピーエンドをつかみとることができるのか!?最後は、前田さんがナレーションを担当し「私たち4人の意地と根性でもっともっともっと超越した所へ!」という力強い言葉で締めくくられ、物語の期待が膨らむ予告編となっている。『もっと超越した所へ。』は10月14日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:もっと超越した所へ。 2022年10月14日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©2022『もっと超越した所へ。』製作委員会
2022年08月03日女優の島田陽子さんが、がんのため都内の病院で亡くなった(享年69)。彼女と長年親交があったという友人Aさんが悔やむ。「がんの告知は、遺作となってしまった映画『エヴァーガーデン』の撮影中のことでした。本人も悩んでいましたが、髪が抜けたら女優業に差し支えると、治療に踏み切れなかったんです。医師から手術するよう勧められていましたが、人工肛門になることもあってか拒否していました」突然の訃報に、映画プロデューサーも肩を落とした。「4月に一緒に福島へ行き“復興の映画を作りましょう”と話していたばかりでした……」8歳のときに熊本から上京し、中学1年生で「劇団若草」に入団した島田さん。’70年にドラマデビューすると、翌’71年放送のドラマ『続・氷点』(TBS系)で注目され、人気女優へと駆け上がっていく。’80年にはアメリカのテレビドラマ『将軍 SHOGUN』(米NBC)でヒロインを演じ、国際女優と呼ばれるなど幅広い活躍を見せた。その一方で、数々のスキャンダルを巻き起こした“恋多き女”でもあった。当時を知る芸能記者が振り返る。「’88年に故・内田裕也さんとの不倫が発覚。内田さんは妻・樹木希林さんとの離婚届を’81年に役所に提出していましたが、希林さんが離婚無効の訴訟を起こして勝訴。島田さんは内田さんと結婚できなかったと言われています」’96年に照明ディレクターだった夫と結婚するも’19年に離婚。また、仕事が激減し2億5千万円で購入した豪邸のローンを払えなくなったり、ヘアヌード写真集を出版するなど、常に話題を振りまいた女優であった。そんな彼女の訃報は、やはり“想定内”では済まなかった。報道後に突然、所属事務所からマスコミ各社に異例の内容のFAXが送られてきたのだ。《実のところ弊社は知人の報道の方からご一報戴き、亡くなられた事実を知ることとなりました》《闘病期間や入院の時期、大腸癌の発症時期など親族や近しい友人、葬儀におけるスケジュールなどに関する情報は皆無の状況にあります》では、島田さんの弔いはどのように行われたのだろう。前出の友人Aさんからも、決して安らかとは言えない状況が伝えられた。「島田さんは両親が亡くなっており、家族は妹2人だけなのですが、その彼女たちが遺体の引き取りを拒否したと聞き、驚きました。そのため遺体は区役所が管理していて、会えないとも……」親しい友人たちも弔うことのできない混乱の中、なんとか葬儀は行われたという。遺族が姿を見せない中で、その中心となったのは、島田さんが設立した映画製作会社のスタッフだった。窓口となった男性が葬儀の様子をこう話す。「密葬は私も含めて十数人で行いました。病院の方にも女優さんだからと配慮してもらって、ドレスを持ってきてご遺体に着させたんです。ただ、妹さんお2人とは連絡が取れず、葬儀に出席もされていないのは事実です。身元引受人は、生前の島田さんが一筆書いてお願いしていた方となりました。長年、彼女の面倒を見ていた方です。遺骨はいま、島田さんの自宅に祭壇を設けて安置してあります」芸能界で華々しく活躍しながら、その葬儀には家族の姿さえもなかった島田さん。なぜこのような孤独な最期となってしまったのか。前出とは別の、彼女と近しい友人Bさんが、真相を明かしてくれた。「陽子さんは3姉妹の長女。お父さんが亡くなった後は、自分が一家の大黒柱として家族を養うという気持ちが強かったそうです。デビュー以来ずっと順風満帆だった陽子さんですが、うまくいかなくなったのは内田裕也さんとの交際がきっかけで借金を背負うようになってから。そこから自転車操業になって、妹さんたちに無心することもあったそうです」金銭がもとで亀裂が生じていた姉妹関係が破綻したのは、母の病いがきっかけだという。「お母様は脳梗塞になり、車いす生活を余儀なくされていました。3姉妹持ち回りで世話をしようという約束でしたが、陽子さんは芸能活動もあるため、主に費用の面でバックアップするという話になっていました。しかし、借金の返済に追われ、ままならなくなってしまったそうなんです」それでも、2年ほど前に亡くなる最期まで母親の介護をしていたのは、島田さんだった。前出の友人Aさんは後悔まじりに話す。「この数年間はとても苦しかったと思います。妹と疎遠になり母を失い、『これで本当にひとりきりになってしまった』としみじみ言っていたことを思い出します。実は彼女には、ニューヨークのブロードウエーで『将軍 SHOGUN』に主演したリチャード・チェンバレンと二人芝居をするという企画もあったんです。さぞ無念だったでしょう」近年も女優として並々ならぬ意欲を見せていた島田陽子さん。天国でもやり残した夢を追い続けているに違いない。
2022年08月02日7月25日、女優の島田陽子さんが大腸がんによる多臓器不全のため、都内の病院で亡くなった。69歳だった。「サンスポ」によると、島田さんは亡くなる直前に主演映画『Evergarden(エヴァーガーデン)』の撮影を終えていたという。本作は島田さん自ら企画、プロデュースも手がけた作品だが、惜しくも遺作となった。撮影した横山浩之監督(61)は、年内公開の意向を示しているという。’71年にドラマ『続・氷点』のヒロイン役で注目を集め、映画『砂の器』(’74年)『犬神家の一族』(’76)などに出演し人気を博した島田さん。’80年にはアメリカの連続テレビドラマ『将軍 SHOGUN』に出演。主人公と恋に落ちるヒロインを演じ、その演技力が評価されゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門の最優秀女優賞を受賞。これを機に、“国際女優”として脚光を浴びた。輝かしい女優人生を歩むいっぽう、島田さんのプライベートは波乱万丈だった。NHK大河ドラマの急きょ降板騒動や金銭トラブルも何度か報じられている。’80年代には樹木希林さん(享年75)の夫でロック歌手の内田裕也さん(享年79)との不倫が発覚。これによって、内田さんと希林さんは離婚騒動にまで発展し、世間を騒がせることに。その後、内田さんと島田さんは関係に終止符を打っていた。そんな経緯はあったものの、島田さんの内田さんへの敬愛の念はなくなっていなかったようだ。内田さんが亡くなって約9カ月経った’19年12月、島田さんは本誌に登場し在りし日の思い出を語ってくれた。■「私が尊敬していたのはあの人の才能です」2人の出会いは、’88年公開の島田さん主演映画『花園の迷宮』での共演だった。本作にはオールヌードシーンがあり、島田さんは監督との話し合いを続けながらも葛藤していたという。そのような時、宿泊先のホテルのドアに内田さんからのメモが挟んであったといい、励ましの言葉がこう綴られていたという。《今、大変悩んでいらっしゃると思います。自分の意見をひと言言わせてください。裸になることで、あなたの品位は1ミリたりとも傷つきません》内田さんの優しさに背中を押された島田さんは、こう振り返っていた。「世間の内田さんのイメージとは真逆な、繊細で思いやりにあふれた文章でした。ようやく心を決め、私がスタジオに向かうと、雨の中、内田さんは傘もささずに私が来るのをじっと待っていてくれました」世間的にはロックンローラーとして型破りなイメージがあった内田さん。しかし、島田さんが知っている内田さんの性格は、正反対だったという。「内田さんは他人の目があるとロックンローラーを演じてしまいます。人からどう思われているか常に評価を気にして、日常を忘れにハワイに行っても、毎日、日本の新聞と週刊誌を買い込んでチェックしているような人でした」そんなギャップのある内田さんについて、島田さんはこう語った。「私が尊敬していたのはあの人の才能です」島田さんが内田さんと最後に再会したのは、’17年8月。都内のホテルのカフェで偶然会ったといい、その日の夜遅くに内田さんから電話がかかってきたという。「私といた8年間が内田さんが輝いていた人生のピークだったようで、『あの時代が懐かしい』と。『そうね、楽しかったわね』と私が言うと、『あの時期は自分は幸せでした』と。それが最後の言葉になりました」若かりし頃に内田さんと過ごした時間は、島田さんにとってかけがえのない思い出だった――。
2022年07月27日2021年8月に急逝した作家・魚住陽子が綴る、静謐でありながら、自らの感情に向き合う強さを感じさせる珠玉の短編集。魚住陽子を知っていますか?1951年に埼玉で生まれた魚住陽子さんは書店や出版社に勤務するかたわら同人誌に詩を発表、カルチャースクールで小説を学び、35歳の時に作家デビュー。「水の出会う場所」「菜飯屋春秋」など、その独自の世界観は多くの読者を魅了し、根強い人気を獲得します。1989年には「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞を受賞し、その他芥川賞をはじめとする文学賞へも幾度となくノミネートされました。しかし腎臓の病を患い、残念ながら2021年8月、69歳でその生涯の幕を閉じました。短編集『夢の家』本作は彼女が遺した作品から、6編を収録した短編集です。画家の女性と彼女がかつて共に暮らした男性との愛憎を互いの心情描写で綴る表題作「夢の家」、家族を喪った一人暮らしの中年女性と彼女が関わる整体院を中心に、彼女を取り巻く人間模様を描く「シェード」、往復書簡というかたちでの師弟ふたりのやりとりによってそれぞれの感情や生活の変化を描く「郭公の家」、そして、作者の母校の創立記念の冊子に収録されていた、女子高生たちの日常のやりとりをいきいきと描いた「物置に蝶が来ている」、その他2編を加えた全6編を収録。静謐でありながら、その奥に潜む生々しい感情(後悔、諦め、憎しみ、愛、失望、希望など)をしっかりと見つめ、自らに向き合う強さを感じる作品群は、作者独自の世界観にあふれています。また、病を抱えながら暮らし、創作を続けてきた作者ならではの死と生についての鋭敏な感覚も、そこここに散見され、はっとさせられるものがあります。作者が晩年取り組んでいた俳句のエッセンスやどの作品にも登場するたくさんの草花、そして何気ない生活風景の描写にも魚住ワールドともいうべき美意識が感じられる短編集。ファンの方はもちろん、足を踏み入れたことのない方にもぜひこの世界観に触れていただきたい一冊です。推薦のコメント遠ざかってゆく者と残される者。魚住文学はその間に横たわる暗がりへと読者を誘い込む。他のどこにもない小説が、そこに映し出されている。ーー小川洋子 (帯コメントより)<目次>-----------------------------・物置に蝶が来ている・萌木色のノート・夢の家・シェード・郭公の家・旅装・あとがき(加藤閑)夢の家 | 魚住 陽子 |本 | 通販 | Amazon : 【著者紹介】魚住 陽子(うおずみ・ようこ)1951年、埼玉県生まれ。埼玉県立小川高校札業後、書店や出版社勤務を経て作家に。1989年「静かな家」で第101回芥川賞候補。1990年「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞受賞。1991年「別々の皿」で第105回芥川賞候補など。2000年頃から俳句を作り、『俳壇』などに作品を発表。2004年、腎臓移植後、2006年に個人誌『花眼』を発行。著書に『奇術師の家』(朝日新聞社)、『雪の絵』、『公園』、『動く箱』(新潮社)、『水の出会う場所』『菜飯屋春秋』(ともに小社)がある。2021年8月に腎不全のため死去。書誌情報『夢の家』魚住 陽子著2022年6月29日 発売A5変形判/並製272頁ISBN:978-4-909646-55-2定価:1,980円(税込)発行元:駒草出版(株式会社ダンク 出版事業部) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月28日日本を代表するチェリスト長谷川陽子が、デビュー35年を迎えた記念演奏会を開催する(5月19日:東京文化会館小ホール)。この記念すべきコンサートのプログラムに選ばれたのは、ベートーヴェンの「チェロ・ソナタ」(全曲)だ。数あるチェロの名曲の中からこの作品を選んだ理由についての長谷川陽子の言葉がとても素敵だ。「今年は、私にとってデビュー35周年の年となる。この節目にベートーヴェンのソナタ全曲に臨みたいと考えた。ベートーヴェンの音楽の本質とは何だろう。コロナ禍のこの数年、ベートーヴェンが残した作品に触れながら考えを巡らせるのは、幸せな時間だ。この問いの答えはまだ出ていない。けれど、今現在の私が考えるベートーヴェンの本質は潔さ、迷いのない力強さ、誠実さ…この3つの要素を強く感じる。ふと思う。人間として、音楽家として、そのように生きてゆきたい。チェロ・ソナタ全曲に取り組むことでベートーヴェンへの憧れを、みなさまと共有したい。応援して下さるお客様と、支えてくれた周りの人たちへの感謝の気持ちとともに」共演者に、名手松本和将(ピアノ)を迎えたこの公演は、音楽家として1つの節目を迎えた長谷川陽子の決意の表れのようにも感じられる。新たな未来に向けた希望の調べに耳を傾けたい。●公演概要5月19日(木)東京文化会館小ホール「長谷川陽子 チェロ・リサイタル」 ●長谷川陽子Yoko Hasegawa (チェロ, Cello)色彩豊かな音色と音楽性を持ち合わせた、日本を代表するチェロ奏者の一人。2022 年デビュー35周年を迎える。1987年音楽之友社主催「フレッシュ・アーティスト・シリーズ」にてリサイタル・デビュー。1988 年小林研一郎指揮、日本フィ ルとの共演で協奏曲デビューした。その後、フィンランドのシベリウス・アカデミーに留学し、1992年首席で卒業後帰国。これまで、国内外の主要オーケストラとの共演、全国各地でのリサイタル、室内楽、朗読との共演などその活動は多岐に わたる。霧島国際音楽祭賞、ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール特別賞、新日鉄フレッシュ・アーティスト賞、第9 回齋藤秀雄メモリアル基金賞等、受賞多数。後進の指導にもあたり、現在、桐朋学園大学音楽学部准教授を務めている。オフィシャルホームページ
2022年04月20日今年デビュー35周年を迎えたチェロ奏者・長谷川陽子。記念公演でベートーヴェンのチェロ・ソナタ全5曲を弾く[5月19日(木)東京文化会館 小ホール]。これまでどちらかというと避けてきたというベートーヴェン。「楽譜のあちこちに、暗号のように、いわば〝ベートーヴェン・コード〟が埋め込まれているのですけど、それを読み解く面白さがようやくわかってきました。それを理解したうえで弾くと、やはり作品がものすごく生き生きしてくるんです。いろんな経験を積み重ねて、やっとベートーヴェンを弾く入り口にたどり着いたように感じています」2020年。ベートーヴェンの生誕250周年はコロナ禍と重なり、音楽家は人々の前で演奏する機会さえ奪われた。「チェロ・ケースを開くことさえない時間が続いたのはショックでした。そんな中で、やっぱり自分には音楽しかないのだと再確認させてくれたのがベートーヴェン。彼の意思の強さ、メッセージの深さ、そして人類愛。知識や情報としては知っていたことを、その作品から自発的に感じることができたのです。あの時期、たぶん自分の力だけでは這い上がることができなかった。ベートーヴェンが引っ張り上げてくれました」共演のピアノは松本和将(かずまさ)。新しい扉を開けてくれる、と信頼を寄せる。「音があたたかくてどこにも力が入っていない。飄々としていて、でもどんな球を投げてもうまくキャッチしてくれる。それがすごく魅力的です。音楽性は私と正反対かもしれないのですが、それがかえって互いの長所を引き立てあうのだなあと実感しています」高校1年生で日本音楽コンクール第2位入賞。2年後の1987年にデビュー・リサイタルを開いた。「ずっと手ほどきを受けた井上頼豊先生は、音楽をゼロから作る力を身につけなさいと、レコードで聴くような有名曲はあまり弾かせませんでした。真似をしてしまわないように。ところがデビューしてお仕事で弾かせていただくのは有名な曲ばかり。刺激的でした。憧れだった曲を次々に弾けて、とにかく楽しかったという記憶しかありません」弾くのが楽しい。彼女はそのピュアな感覚をずっと変わらず持ち続けている人だと思う。ナチュラルな音楽家だ。ベートーヴェンはリサイタルに合わせてCDもリリース。充実した録音ができたと手応えを語る。経験を重ねて初めて正面から向き合ったベートーヴェン。ライヴもCDも、名演奏・名盤の予感が漂う。(取材・文:宮本明)
2022年03月02日上白石萌歌が主人公を吹き替える映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。この度、新たに日本語吹き替え版声優として、高山みなみ、朴ロ美、木内秀信、日笠陽子の参加が明らかになった。4名の豪華声優陣が演じるのは、主人公フィービーを取り巻くキャラクターたち。江戸川コナン、鬼太郎、ムーミントロールなどの声でお馴染みの高山さんが、フィービーの唯一の友達となり、共にゴーストたちに立ち向かう仲間ポッドキャスト。舞台「千と千尋の神隠し」の上演を控える朴さんが、フィービーと兄トレヴァーの母親であり、初代ゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラー博士の娘・キャリー。フィービーが通う学校の教師グルーバーソンは、『アントマン』や『思いやりのススメ』など数々の作品でポール・ラッドの声を担当してきた木内さん。フィービーとトレヴァー、ポッドキャストと共に<新生ゴーストバスターズ>の一員となるラッキーを、「けいおん!」「はたらく細胞BLACK」の日笠さんが務める。科学オタクのフィービーと意気投合する重要なキャラクターを演じた高山さんは「『彼が出て来ると、ちょっと和む…』音響監督と相談しながら、ポッドキャストくんの雰囲気を作りました。不可思議なことが大好きで好奇心旺盛。背伸びしつつも、フィービーちゃんの良い相棒なのだと思います」とポッドキャストの魅力を語り、『ゴーストバスターズ』2016年版のホルツマン役でも声優を務めた朴さんは「観終わったあと、とても洗われた気持ちになり、気がつくと温かな涙が頬をつたっていました。初代ゴーストバスターズ監督の息子ジェイソン・ライトマンが今回監督したこともあるのか、まさに『家族の物語』だと思いました」と作品の感想を語る。フィービーとポッドキャストに初代ゴーストバスターズの存在を教える物語のキーマンを演じた木内さんは「演出も時代の変化も感じつつ懐かしい部分もあり思わずニヤけてしまいます。もちろん前作品を知らなくてもお楽しみいただける作品になっています」とメッセージ。シリーズファンだったという日笠さんも「まさか自分が子供の頃見ていたゴーストバスターズの世界に関われる日がくるとは思っていなかったので非常に嬉しいです。当時見ていた方は思わずホロッと涙してしまう胸が熱くなるような展開ですし、親から子へ、子からまた子へ...、今に繋がっていて、さらにきっとこれからも繋がっていくのだと思わせてくれる希望の物語です」とコメントしている。『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は2月4日(金)より全国にて公開。※朴ロ美の「ロ」は、正しくは「王偏に路」(cinemacafe.net)■関連作品:ゴーストバスターズ/アフターライフ 2022年2月4日より全国にて公開
2022年01月18日女優の前田敦子が22日、都内で行われた『ホークアイ』マーベルクリスマス・トークイベントに、声優の小野賢章とともに登壇した。マーベル・スタジオによるオリジナルドラマシリーズ最新作『ホークアイ』が、毎週水曜17時にディズニー公式動画配信サービス・Disney+(ディズニープラス)で独占配信中。このたび最終話の配信を記念してマーベルクリスマス・トークイベントが開催された。前田は、本作について「盛りだくさん。すごい贅沢で、ホークアイの戦闘シーンはかっこいいです。まだ何も腑に落ちてなくて、誰が一番の黒幕なのか気になって仕方ないです」と熱く語り、最終話を「早く見たいです」と声を弾ませた。また、マーベル作品の魅力について、「本当にこの世界にいるんじゃないかと思わせてくれる。いろんな意味で心のヒーロー。会えるんじゃないかなって。すごいリアルに感じられる。もともとはコミックの世界なんでしょうけど、現実にいてほしいなと思っています」と熱弁。「大好きです」とにっこり笑った。家族との平和なクリスマスを目前に大事件に巻き込まれ、愛する家族の元を一時離れて戦いへと挑むホークアイの姿が描かれる本作にちなみ、クリスマスについてもトーク。予定を聞かれると、前田は「私は子供と“夢の国”に行こうと思っています」と話した。
2021年12月22日南野陽子が、16年ぶりの新曲「空を見上げて」「大切な人」を含むベストアルバム『Four Seasons NANNO Selection』を本日12月8日にリリースした。1980年代にアイドルとして活動し、現在は女優としてドラマや舞台で活躍している南野。今作は四季をテーマに本人が選曲した、季節感に溢れた南野の新たな魅力を引き出した作品で、ジャケットや歌詞ブックレットにも南野のビジュアルが満載となっている。また待望の新曲「空を見上げて」「大切な人」は、南野との信頼関係も強い日本歌謡界の巨匠・萩田光雄がサウンドプロデュースを手がけている。また『Four Seasons NANNO Selection』発売にあたり、南野本人からのコメントが届いている。■南野陽子 コメント詞や音から季節や物語を感じていただけるように、色彩感豊かにお気に入り曲を36曲、集めてみました。当時の私の楽曲を知らなくても楽しんでいただける内容だと思います。皆さまに青春時代のその頃、その刻を懐かしんでいただきたいです。そして、南野陽子ワールドには欠かせない萩田光雄さんに、久々の新曲2曲をプロデュースして頂きました!こちらもぜひ聴いて下さい。<リリース情報>南野陽子 ベストアルバム『Four Seasons NANNO Selection』2021年12月8日(水) リリース価格:3,600円(税込)南野陽子『Four Seasons NANNO Selection』初回仕様(三方背スリーブケース)南野陽子『Four Seasons NANNO Selection』ジャケット※CD2枚組 / 34曲収録 / 高品質Blu-spec CD2規格※初回仕様は、CDケース本体のジャケット写真とは違うビジュアルの三方背スリーブケースに収納※南野陽子セルフライナー付『Four Seasons NANNO Selection』特設サイト:
2021年12月08日いまや“まえだまえだの…”なんて前置きなど必要ないくらい、ドラマに映画にと活躍を見せ、俳優として高い評価を集める前田旺志郎さん。現役大学生でもある彼の、いま思うこと。連続テレビ小説『おちょやん』をはじめ、『夢中さ、きみに。』『DIVE!!』『珈琲いかがでしょう』…。今年出演したドラマを挙げるだけでも、その活躍ぶりが見て取れる。そんな状況に言及すると、少しはにかみつつ「ありがたいです」との言葉を何度も口にした。精悍さと愛らしさの両方を持ち、聡明さの中に無邪気さと謙虚さを漂わせる、前田旺志郎さんという人とは。――目前に舞台『愛するとき 死するとき』が控えていますが、公演が発表になったとき、これまであまりやったことのないような作品でドキドキしてます、というコメントを出されていました。そこから心境の変化はありました?前田旺志郎さん(以下、前田):最初脚本を読んだとき、悪い意味じゃないんですけど、すごく読みづらかったんです。3幕あるんですが、どれもテイストが違うし、モノローグと会話が混在していたりもして。でも実際稽古が始まってみると、いろいろ演劇的な演出があってすごく楽しいです。自分が出てない場面も舞台上にいて、着替えもそこでしたり、着替えながら歌を歌ったり。道具を役者が運んできたり、舞台にメインで立っている人に僕らが服を渡したり。出演者全員で舞台を作っている感じが、すごく演劇っぽい。題材的に重たい作品なるかなと思っていたけれど、今は面白い作品になると確信しています。――前田さんは舞台という場所を、どうとらえています?前田:自分が生き生きできる場所というか、幸せな空間って印象が強いですね。舞台は今回で3回目ですが、毎回毎回すごい楽しみで。――なにが魅力なんでしょう。前田:お客さんがいる生の空間というのもそうですし、やっぱりみんなで稽古しながら少しずつ作り上げていく過程がすごく面白いし、幸せだなって感じるところですね。――本番もお好きなんですね。前田:お客さんが入ると、やっぱり稽古のときとは全然お芝居が違うんですよ。みんなのモチベーションも変わりますし、変えようとしなくてもお客さんとの無言の対話の中で自然と変わっていく。今までなかった感情が出る日もあります。――お芝居が楽しいなって思ったのは、どんなときですか?前田:直近で言うと、去年の夏頃コロナで最初の緊急事態宣言が解除されたときです。撮影が全部止まって家にいる生活になって…撮影が再開したときに、「うわっ、こんなに芝居をするってことが幸せだったんだ」って実感したんです。今までもちろん感じてはいたけれど、そのときにもう一つギアが上がったというか、頑張ろうって思いました。――その後くらいの撮影だったと思うのですが、『おちょやん』で注目度がグッと上がりましたよね。前田:『おちょやん』は、周りのキャストさんとか監督さん、スタッフさんも含めた座組み自体が本当に恵まれていて、天国みたいでした。その中で4か月近く作品に携われたのは、すごく貴重な経験でしたし、(杉咲)花ちゃんや成田(凌)さんから、お芝居の中だけでなくプライベートでも本当にたくさんのことを学べた現場でした。――得たものの中で、とくに印象的なことというと。前田:なんですかね…言葉とかより、3人で一緒にシーンを作っていく過程の中でのことですかね。なかなか言語化するのは難しいんですけど、おふたりと芝居のキャッチボールしていると…うわぁーって瞬間があるんです。おふたりとも、僕にすごく優しい球を投げてくれて、それをキャッチするだけで、僕の感情が一つずつ上がっていくような。そういう…人に何かを与えられる芝居をつねにされていたので、そこからもらうものも学ぶことも多かったです。――『おちょやん』でもありましたし、ドラマ『猫』でも、前田さんが感情をうわーっと出すシーンがとてもリアルでした。計算のないまっすぐな感情があふれ出してきている感じがして…。前田:確かに、あんまり計算はしてなかったかもしれないです。映像作品の場合、撮ろうと思えば何回でも撮り直しができる。だから駄目なら駄目で監督から言われるだろうという気持ちで、こうしたほうがいいかなということはあまり考えず、まず自分の感じたストレートな気持ちでとりあえずやってみるっていうことが多いです。――演じるときは、役に入り込んでいる感覚ですか?それとも少しずつ役に歩み寄っていく?前田:今の言葉を借りるならば、少しずつ役に歩み寄っていくほうが近いです。脚本をもらったら、自分の役の特徴的な部分が描かれてるシーンをヒントにしながら作り上げていく感じです。何も考えずにスッて役に入れたらいいんですけど、それこそ泣かないといけないシーンで、そこまで感情を持っていくには、それなりに積み上げていくものが必要で。ただ、ある段階までいけたら、そこから先はもう…感情に任せています。――今回の舞台は、舞台がドイツですしヒントが少なそうですね。前田:もう想像力です。脚本に書いてない役の空白の部分を自分で埋めていく作業。少ないセリフの中や、シーンへの関わり方、作品の中でのポジションなどから、どういうバックグラウンドなら成り立つかを考えます。それが合っているかはわからないんですけどね。言い方とか口調、感情の操り方とかから生まれ育ちを想像して、それを紙に書いたりしています。前田旺志郎さん出演の舞台『愛するとき 死するとき』は、ベルリンの壁崩壊前後のドイツを舞台に、3部構成で愛すること、生きることを描いた人間ドラマ。翻訳・演出は小山ゆうなさんが手がける。11月14日(日)~12月5日(日)三軒茶屋・シアタートラムほか、愛知、兵庫で公演あり。世田谷パブリックシアター TEL:03・5432・1515まえだ・おうしろう2000年12月7日生まれ、大阪府出身。子役の傍ら、兄・航基と共にお笑いコンビ「まえだまえだ」として活動。’15年の映画『海街diary』などさまざまなドラマや映画で活躍。’17年には『レミングスの夏』で映画単独初主演。近作に映画『キネマの神様』など。出演映画『彼女が好きなものは』は12月3日に公開予定。オーダーデニムスーツ¥53,900納期約1か月(IKSTILE TEL:080・3472・7868)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年11月17日号より。写真・成田英敏スタイリスト・九(Yolken)ヘア&メイク・佐藤健行(HAPP’s.)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年11月13日10月1日公開の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のバーチャルイベントが27日、都内で行われ、片岡愛之助、前田敦子が出席した。前作『007 スペクター』から6年の時を経て、シリーズ最新作となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が10月1日に待望の初日を迎える。公開に先立って行われたこの日のイベントは、主演のダニエル・クレイグをはじめ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、キャリー・ジョージ・フクナガ監督のいるロンドンと東京を繋いだバーチャルイベントで、日本からは片岡愛之助、前田敦子が東京会場に駆けつけてダニエル・クレイグらとの時間を共有した。『007』シリーズの熱狂的な大ファンだという片岡は「ドキドキですよ。まさかお話できるなんて思ってもいませんでしたし、このお話をいただいた時は何が何でも来たい! と思い、今日は舞台の稽古の最中なのに早く終わらせて来ました」と気合十分。対する前田も「うれしいですし不思議な感覚です」と笑顔。2人がイギリスにいるダニエル・クレイグらに質問するコーナーもあり、片岡が「ダニエルさん、私は歌舞伎でも同じ役を務めるというのがよくあります。時代を超えて同じ役を演じてますが、今回ダニエルさんが16年間務めてきたダニエル・ボンドをどう評価しますか?」と質問すると、ダニエル・クレイグは「最初の『カジノ・ロワイヤル』は原作第1作目でジェームズ・ボンドがジェームズ・ボンドになったところからスタートしました。自分の考えや感情などを入れ込むことができたし、このキャラクターは非常に複雑で面白いキャラクターだと思います。色んな感情を自分の中でジェームズ・ボンドは誰なのか? ということを考えながら16年かけて誰なのか分かったような気がします」と回答した。また、前田もダニエル・クレイグに対して「今回でラストのジェームズ・ボンドと聞いてすごく寂しいなと思います。本当にラストになってしまうんですか?」と問いかけると、ダニエル・クレイグは「本当に最後です。そして本当に今は色んな思いがあります。甘酸っぱい思いですね。でも十分やり切ったと思います。ですから私は前進していく、次のことに挑戦していくという気持ちですよ。もちろん悲しさや寂しさはありますが、次のボンドに託したいですね」と次世代のボンドに期待を寄せていた。中継ではあるが、ダニエル・クレイグらとの時間を共にした片岡は「夢のようです。ただただファンの1人として呆然と見てましたね」といまだ信じられない表情で、前田も「分かります。ボーッとしちゃいました」と片岡に納得顔。また、前田はジェームズ・ボンドを16年間務めてきたダニエル・クレイグについて「目の前にいると恋するに決まってますね。ボンドガールの気持ちがよく分かります。私は今までのボンドはダニエルさんが一番セクシーだと思いますね」と心を奪われたようで、「映画館で見るのがすごく楽しみです」と公開が待ち遠しい様子だった。映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、10月1日より全国公開。
2021年09月28日8月19日、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった千葉真一さん(享年82)。本誌に見せていた野際陽子さん(享年81)との日々を本誌秘蔵写真で振り返るーー。60年を超える芸能キャリアでも、常にマスコミをにぎわせてきた千葉さん。その中でも本誌の取材がとりわけ多かったのは、野際さんとの夫婦生活だった。東映アクションドラマ『キイハンター』での共演がきっかけで、’73年に結婚した2人。日の出とともにエーゲ海の船のうえであげたという結婚式の思い出とともに、1カ月余りの旅行から帰国すると、「指輪とヒゲがお土産なのよ!」と報告してくれた。その後、のちに女優となる真瀬樹里(46)が生まれ、おしどり夫婦として知られたが、SONNY CHIBAとしてハリウッドでの活動を本格化したい千葉の思いによって離婚。2人そろって記者会見を行った。野際さんは’17年に死去。千葉と同じく、晩年まで精力的に活動していた。天国で再会し、残した家族や俳優仲間たちをいつまでも見守ってくれるだろう。
2021年08月27日沢田研二と菅田将暉がW主演を務める、映画『キネマの神様』が現在公開されている。小説家・原田マハ氏の同名小説を原作に、「松竹映画100周年記念作品」として山田洋次監督がメガホンを握った同作は、映画監督を目指し夢を追っていた若き日のゴウ(菅田将暉)と、ギャンブル漬けで借金まみれとなった現在のゴウ(沢田研二)に起こった奇跡を描き、映画愛溢れる作品となっている。現代パートで、沢田演じるゴウこと円山郷直の孫・勇太を演じたのが、俳優の前田旺志郎だ。小学生の時には兄・前田航基とお笑いコンビ・まえだまえだとしても活躍、現在は20歳となり現役大学生として勉学に励みながら俳優として精力的な活動を行っている。今回は前田にインタビューし、同作への思いや、俳優として思うことなどについて話を聞いた。○■今の時代にはいない「トップスター」との共演――今回松竹映画100周年記念映画で、主演の沢田さん演じるゴウの孫としてキーになる役でしたが、お話を聞いた時にはどのような気持ちでしたか?もう、「うおお! 頑張るしかないな」という感じでした(笑)――沢田さんについては、どのような印象だったんでしょうか?ゴウは勇太の前ではとても自然体ですし、沢田さんが役の内側の部分で会話してくださっているのを感じました。この役は2人とも少し変わったところがありますが、互いに周りの情報にあんまり左右されず、偏見なく人として向き合えるところがあって、相性が良かったんじゃないかと思います。沢田さんも大先輩で大スターで、緊張もしましたが、お芝居の中ではゴウとして向き合っていましたし、おじいちゃんとしての優しさも、常に感じていました。撮影現場にいる時は僕も「ゴウおじいちゃん」という気持ちで接していました。――前田さんの世代だと、沢田さんについてはどのようなイメージを持たれていたんですか?父親がよく車で沢田さんの曲を流していました。共演が決まってから若い頃の動画も見させてもらって、すごくかっこよかったですし、今の時代にはいないトップスターだと思いました。現代は自分を表現する媒体が良くも悪くも多いので、色々なフィールドの中でのスターはいますけど、誰もが共通認識として知っているスターは生まれづらいと思うんです。みんながスターだと思える存在というのは、やっぱりすごいなと。――そういう存在って、改めて欲しいと思いますか?それぞれが自分の得意なことで自分を表現できる媒体が増えるのは、めちゃくちゃいいことだと思っています。多様性はすごく大事なので、いろんな人がメディアに出ることによって、見る方の認識も自然と養われていくでしょうし、そういう意味では現代の情報社会になって良かったです。でもそれはそれとして、やっぱりみんなが共有できるものがあった時代への憧れみたいなものもあります。どちらがいい、という話ではないんですけど、メディアはその時代に合ったものが流れるのでしょうし、社会全体として見たときに、今はこれがベストなんだろうと思ったりはします。○■同世代に「負けてられへんな」――前田さんは現代パートに出演されていますが、過去パートを観て何か感じたことはありましたか?ゴウがまっすぐに進んでいるのが、すごくいいなと思いました。今は情報が入りすぎて、夢を抱く前に諦めてしまうこともあるけど、実際にやってみないとわからないこともありますし、ゴウのように夢を持てるのはすごくいいな、と。――前田さんはもちろん子役の時から活躍されていますけど、もし今から役者を目指そうとしていたら無邪気に夢を抱くのは難しい、と思うところもあるのでしょうか?大変だろうなあ、と思います。だからこそ、今、同世代で役者を始めた人、夢を追いかけてる人たちの熱量はすごいですし、その熱量に対して「負けてられへんな」という気持ちもあります。――今は大学で演劇教育をテーマに学ばれてるんですよね。はい。でも舞台の演出やお芝居自体を学んでいるというよりも、演劇を教育に導入することの可能性を探っていて、教育の色の方が濃いかな、という感覚です。演劇を通して学べることはたくさんあって、多様性や行動力、創造力、主体性もそうです。演劇に触れることで、他人の普段見られない部分に触れたり、その場でコミュニケーションが取れたり、それから演劇を完成させた時の成功体験が自己肯定感を上げてくれたりと、色々なことにつながるんじゃないかと、僕は思っています。2020年に学習指導要領が変わって、今までは詰め込み型教育だったところへ、問題解決力の重要性が提唱されだしていて、色々なアクティブラーニングも導入されているので、PBL(Project Based Learning)の1つとして、演劇の可能性もあるんじゃないかと思っています。――お話を聞いていると地に足がついているというか、本当にしっかりされているんですが、長く芸能活動をされていて、そういったことは意識されているんでしょうか?「真面目に生きよう」「地に足をつけよう」と考えているわけではないんですけど、僕に唯一あるのは「調子に乗らない」です(笑)。調子に乗るなんて、絶対にありえないことなんですけど、自分がそうありたいという理想ではあります。――では最後に改めて、作品について感じたところを教えてください。僕はこの作品を観ると「いろんな愛に溢れた作品だな」と思うんです。山田監督がずっと描かれてきた家族の愛情はもちろん、恋愛もあれば友達への愛もあり、映画への愛情もある。誰が観てもどこかで共感できたりとか、何か励みになったり学べたりすると思うので、あまり映画を観ない人、よく観る人、色んな方に観ていただけたら嬉しいです。■前田旺志郎2000年12月7日生まれ。大阪府出身。子役としてデビューし、2007年からは兄の前田航基とともにお笑いコンビ「まえだまえだ」として活動。俳優として活躍の幅を広げ、是枝裕和監督作品の映画『奇跡』(11年)では主演を務める。 近年の出演作に映画『キネマの神様』(21年/山田洋次監督)、『彼女が好きなものは』(21年/草野翔吾監督)、『うみべの女の子』(21年/ウエダアツシ監督)、ドラマ『猫』(20年/TX)、連続テレビ小説『おちょやん』(20-21年/NHK)など。
2021年08月16日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。社会を見つめるヒントをたくさんくれた、田嶋陽子さんの登場も、今回がラスト。第4回は、これからの未来の日本について、語ります。男も女も、互いにラクになれる方法を見つけよう。高度経済成長期、日本経済は右肩上がりでしたが、それは家庭に専業主婦という“無料で家事をしてくれる人”を抱え込むことで、男性が長時間働けた結果のこと。その一面、男は過剰な残業に苦しみ、女は家事を押し付けられて自活できなかった。現在、日本の経済は残念ながら下降線をたどっており、男だけが働き、男だけがトップにいるという既存の社会構造は、限界が来ています。確かに、出産は女にしかできないことだけれど、あとは男女ではなく人間としての個性の問題。お互いに参画し、お互いの重なり合わない部分を補え合えば、世界は1+1=2ではなく、何層倍も豊かになるはず。女性もフルタイムで働けば、男性の負担も減る。みんなで5時に仕事を切り上げ、家族で食事を作って一緒に食べられる。子育て支援事業を充実させれば、経済も回り、子供を産みたい人が増える。それが本当の意味での豊かな社会だと思います。イヤになっても、投げ出さず向き合うことが大事。イギリスに留学していたとき、毎朝ホストファミリー親子が政治の話をしていたの。当時のサッチャー首相に対して「こんなことをしていた」とか「あれは良くない」とか、意見を交わす。イギリス人にとって、政治はごく身近なものなんです。一方、日本では政治が“自分とは関係ない人がやるもの”になっている。でもコロナ禍でわかったでしょ?政治は自分の命に直結しているものなんです。良い社会にするために若い女性がまず何をするべきか?大事なのは、みんなが自分の責任で、自分の人生をしっかり生きることです。そうしたら、何が自分の邪魔をしているのか、何を変えるとラクになれるか、どんな国になったら生きやすいのか、少しずつわかってくるのでは?古い制度や法律が自分たちの足を引っ張っていたら、異議を唱えて変えていく努力をする。ちゃんと自分と社会と国と向き合って、生きていく。その気持ちがあるだけで、世界は確実に変わります。たじま・ようこ1941年生まれ、岡山県出身。英文学・女性学研究者、元法政大学教授、元参議院議員。‘90 年代、テレビ番組に多数出演し、“フェミニズム”をお茶の間に広めた。著書に『愛という名の支配』(新潮文庫)など多数。※『anan』2021年7月7日号より。写真・小川朋央(by anan編集部)
2021年07月03日人生の先輩的女性をお招きし、お話を聞く「乙女談義」。今月のゲストは、英文学・女性学研究者の田嶋陽子さんです。第2回の今日は、ご自身が最初に“理不尽さ”を感じた経験と、そこから得た教訓を伺います。“世の中は理不尽”、初めてそう思ったのは…。私が生まれた年の12月に太平洋戦争が始まりました。その後私は新潟の母の実家に疎開。当時は人がいっぱい死んであちこちでお葬式があったから、ある日私は従姉妹と“お葬式ごっこ”をして遊んでいたわけ。祖母の腰巻き…って、当時の女の人にとっての下着をお坊さんの袈裟に見立てて肩から斜めに掛けて、お茶碗をチンチン叩きながら村中を練り歩いた。そうしたら祖母にものすごく怒られて!で、文字通り、手にお灸を据えられたの。私は、悪い子として怒られたんだから…と熱くても我慢していたんだけど、なんと従姉妹はモグサを払いのけて逃げたの。びっくり!でも祖母は「(従姉妹は)すばしっこくていい子」と褒め、「それに比べて陽子はのろま」と…。なぜ素直に叱られた私ではなく、それを拒否し、逃げた従姉妹が褒められるのか。それが、私が人生で“理不尽”を感じた一番最初の記憶。それを長年考え咀嚼した結果、一つの結論にたどり着きました。その、幼い頃の経験をしゃぶり尽くした結果出てきた結論、それは、抑圧関係からは逃げていい、ということ。逃げるって、卑怯?それは互いの力関係が同じなら、逃げるのは卑怯かもしれない。でも例えば最初から格差があったり、こちらがきちんと扱われていない、そういった“対等ではない相手”からは、弱い立場の者は逃げていいんです。それは全然悪いことではない。私自身も、小さい頃はそういった理不尽から逃げられなかったけれど、大人になって職を得て、自分の人生を作れるようになり、やっと逃げられた。でも、女の人は逃げないですよね。というか逃げられないんです。それはなぜかというと、逃げた先で生きる術を持っていないから。自活ができなければ、結局は痛めつけられるまま、家庭や職場にいるしかない。だからこそ、自分の食い扶持を自分で稼ぐくらいの力を、女の人も持ってほしいと私は思います。いつでも逃げられるよう、力をつけましょう。たじま・ようこ1941年生まれ、岡山県出身。英文学・女性学研究者、元法政大学教授、元参議院議員。’90年代、テレビ番組に多数出演し、“フェミニズム”をお茶の間に広めた。著書に『愛という名の支配』(新潮文庫)など多数。※『anan』2021年6月23日号より。写真・小川朋央イラスト・菜々子(by anan編集部)
2021年06月19日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、ジェンダー問題が課題である今の日本で、再び注目が集まっている、田嶋陽子先生。第1回はフェミニズムについてお聞きしました。“女”から解き放たれたら、人生はもっと広がる。大化の改新以降、女性の社会的地位は下がり続け、女の人は、“一人前の人間”として扱われたことはほぼありませんでした。江戸時代までは、極端な言い方ですが、“子産みの道具”。明治になると“良妻賢母”であれと言われたものの、それも妻や母という“役割”であって、“私という人間”の存在が認められたわけではなかった。ずっと役割の中だけで生きさせられてきた女の人たちが、人間として生きる権利を取り戻そうとする動き、それがフェミニズム。女も、男と同じ人間である。たったそれだけ、簡単なことなんです。女だからこうしろ、女だからそんなことするな。私が若かった頃に比べたら、女らしさの呪縛はかなり減りましたが、まだ今の日本の女性も、それを押し付けられている。でもその決めつけから解き放たれ、“人として”物事を考え、決められるような世の中になったら、人生はものすごく広がる。それを若い皆さんに知ってもらいたい。働き稼ぎ、家を持つ。それの何が悪い!(笑)私が通った女子大は、仕事を持ち自己実現をし、人や社会に尽くすことを教えてくれた学校。でも’60年代初頭、私と一緒に卒業した人たちは、ほとんどが就職することなく、あるいは短期間だけ働きお嫁に行きました。ただ、今の女性たちは、学校を出たら働いて、稼いで、そのお金で生きている。私からすると、それだけでも大きな変化。お金を稼ぐことは、おのれの足で立つこと。つまり、自由に好きに、自分の人生を生きる力なんですよ。お給料をもらってまず私は家の頭金を貯め始め、35歳で家を買ったの。誰にもとがめられず、自分らしくいられる場所があるっていい。しかも追い出される心配ないから、恋愛がイヤになったり、結婚に行き詰まったら躊躇なくやめられる(笑)。えっ?!今でも独身女性が家を買うことにウダウダ言う人がいるの?信じられない!カタツムリだって家を持ってるでしょ?働いてるなら、家買っちゃいなさい。あとがラクよ、おすすめ。たじま・ようこ1941年生まれ、岡山県出身。英文学・女性学研究者、元法政大学教授、元参議院議員。’90年代、テレビ番組に多数出演し、“フェミニズム”をお茶の間に広めた。著書に『愛という名の支配』(新潮文庫)など多数。※『anan』2021年6月16日号より。写真・小川朋央(by anan編集部)
2021年06月13日