栗本薫名義で主に小説を、中島梓名義では評論やエッセイなどを手がけ、生涯で400冊以上の著作を発表した。2019年はそんな彼女の没後10年、彼女の代表作にして世界最長の物語『グイン・サーガ』(正篇130巻、外伝22巻、著者の逝去により未完)誕生から40年という節目に当たる。その偉業や素顔を知れる2冊『世界でいちばん不幸で、いちばん幸福な少女』と『栗本薫と中島梓世界最長の物語を書いた人』が立て続けに刊行された。夫であり、元担当編集者で、天狼プロダクション代表。彼女の最大の理解者だった今岡清さんは、「ほかに類がないといえば、中島梓という人ほど類のない人はいないと思います」と振り返る。「1時間に400字詰め20枚の原稿を書き、ときには長編1冊を1週間足らずで仕上げました。それもSF、ファンタジー、ミステリー、時代小説、ハードボイルド、評論などジャンルも多岐にわたります。音楽に手を染めてからは、ミュージカルの挿入歌を含めれば恐らく400曲は作曲もしていたと思います。それだけを見れば希有な才能に恵まれた成功者に見えることでしょう。ところが、日常生活は精神的な葛藤にさいなまれ続けて、それから脱するために苦闘しているという人でもありました。成功者の評伝ではなく、私の奥さん、中島梓/栗本薫がこんな人であったという思い出を綴った本です」尽きない泉のような才能を持ちながら、日常生活では繊細すぎ、また摂食障害などに苦しんだ女性を、心から愛していたことが伝わってくる。里中高志さんは大学1年で『グイン・サーガ』に出合い、傾倒したそう。熱意で出版許可にこぎつけ、3年の月日をかけて取材、執筆した。「家族、同級生、元恋人、編集者、舞台関係者……各人の知る彼女の姿は、みな少しずつ違っています。その証言の数々と、膨大な著作からの引用を積み重ねるのは、広大な浜辺の砂から神殿を作っていくような、果てのない作業でした」なかでも、常に自分の居場所探しをしていたような孤独感を持ち続けたことに触れていたのは印象的だ。「これだけの時間を費やしても、まだまだ私が迫れなかった彼女の内なる宇宙があったかもしれませんが、それでも、いまの私にできた精一杯です。アンアンを読む若い女性たちにも、自らの夢を全力で追い求め、こんなにも濃密な人生を送った人がいたことを知ってほしいと思います。現実よりも美しい世界が、人々の想像の中に存在するのでは……。彼女はいつまでも、そんな夢見がちなすべての人たちの味方なのですから」ファンはもちろん、彼女を知らなかった人も、きっと夢中になるはず。敬愛する妻を見守り続けた夫からの長いラブレター。『世界でいちばん不幸で、いちばん幸福な少女』今岡 清共に暮らし始めたころから死別するまで、主に結婚生活について綴ったエッセイ。彼女の心の中の赤ちゃんを拾い上げ、ふたりで育てたような結婚だったと綴っている。早川書房1500円著者の生涯を知りたいならまずはこちらがおすすめ。『栗本薫と中島梓世界最長の物語を書いた人』里中高志幼少期から最晩年までを、時代の変遷とともに追う。母親に対する複雑な思いが創作や人生にどう影響したかなど知られざる一面に驚き、作品を読む目も変わるかも。早川書房1900円くりもと・かおる/なかじま・あずさ本名は今岡純代。1953年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、執筆活動に入る。他の代表作に『魔界水滸伝』(正伝20巻、外伝4巻)、ミステリー作品「伊集院大介」シリーズなど。2009年死去。※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月11日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第34回アクマの辞典ナ行【ノ】➤「残り物」(のこりもの)…人も物も表示をよく見ないで食うのは良くない今回のテーマはナ行から「残り物」だ。「残り物には福がある」と言うが、我が家の冷蔵庫の残り物は大体腐っているし、腐っているとわかった上で捨てないから残り続けるという、ただの増殖する凶でしかない。しかし、時間を置くと腐る、劣化するというのはあくまで物の話である。人間は死ぬかボーイズラブに目覚めない限りは腐らない。それにも係わらず我々は、ある程度の年齢になって独身でいると「残り物」などと、経年で劣化した「物」扱いされてしまう風潮が未だに残っている。また、これは女のほうが言われる率が高い。つまり、令和になった今でも、女は売り物として選ばれるほうで、男はそれを選んで買うほうという考えが残っているのである。二次元ならば、ヒト×モノというカップリングもありだ。拙者も無機物をイケメンに擬人化したゲームとか大好物でござる。しかし、リアルの結婚というのはあくまで「ヒト×ヒト」のカップリング固定である。相手にモノと思われてした結婚など、幸せになれるはずがない。まだゴリラと思われて結婚したほうがリスペクトを感じる。だからと言って「残り物」という言葉を使わなかったら「人間として人間に選ばれなかった人」というもっと深刻な感じになってしまうので、もしかしたらキツいようで「残り物」というのはオブラートに包んだ優しい言い方なのかもしれない。だがここでも誤解がある。選ばれなかったとか以前に「そもそも陳列棚に並んだ覚えがない人」も、そこには含まれているのだ。誰もが結婚や恋愛、パートナーを求めているわけではない。そういう人は「選んでください」と棚に並ぶこともない、非売品なのである。そういう非売品の人の年齢だけを見て「売れ残りだ!」とスーパー玉出の割引シールを貼ろうとするのは、失礼以外の何ものでもない。逆に言えば、結婚する気がなかった魅力ある非売品の人が、考えを変えて婚活市場に入って来ることだってあるのである。それを年齢だけで「ワケアリの残り物」と判断するのは早計だし、もったいない。ひと昔前なら「この年で結婚していないのは、何かあるに違いない」と思われていたようだが、今だと「むしろ何もなかった(機会が)から独身」という人のほうが多いように思える。だがもちろん「何か問題があって独身」の人もゼロではない。つまり「残り物」が福か凶かというのは「よく見ろ」としか言いようがないのである。【ナ】➤「ナルシスト」(なるしすと)…本物は、他人ごときに認めてもらう必要がないので自撮りはしない【ニ】➤「匂わせ」(におわせ)…相手を一切写さず、デート、ケンカ、仲直りの過程を見せる表現のプロ【ヌ】➤「脱いだらすごい」(ヌイダラスゴイ)…冬から春の変わり目に女を突然脱がせるとすごいときがある【ネ】➤「寝言」(ねごと)…「推しと猫がいれば良い」的な発言は、起きて正気で言っていることなので目を覚まさせようとすると殴られます【ノ】➤「残り物」(のこりもの)…人も物も表示をよく見ないで食うのは良くないプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年06月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第33回アクマの辞典サ行【シ】➤「失恋」(しつれん)…失えるところまでいけるのは恋愛エリート今回のテーマはサ行から「失恋」だ。この世の中には、カップ焼きそばの麺を三角コーナーに全部ボッシュートしたり、湯切りには成功したがかやくを入れ忘れていたり、逆に後から入れるソースを先に入れていたりと、様々な悲しみがある。カップ焼きそば一つでこれだけ悲しめるのだから、その数は計り知れない。その中でも失恋の悲しみは別格と言われている。しかし私自身は、失恋らしい失恋をしたことがない。勘の良い読者はすでに気づいてショウ・タッカーに殺されていると思うが「失恋したことがない」=「モテる」ではない。逆に真にモテず、恋愛に縁がない奴というのは失恋するところにまでいけないのだ。ない袖が振れないように、したことない恋を失うことはできないのである。モテない自信がある人間というのは、「成就確率0%」と気象庁に発表されている自分が恋をしたところで、失恋して無駄にダメージ負うだけと思っているので、恋自体を徹底的に避け、老人のように、ときめきは全部不整脈だと思って生きている。モテない人間だけではなく、人間は年を取るにつれ「失恋を恐れて恋をしなくなる」傾向にあるという。年を取ると身体的に傷の治りが遅くなり、かさぶたが剥げた後にかさぶたができるという無限かさぶた製造機となり、一向に傷が癒えない。心の傷の治りに年齢が関係あるかどうかは不明だが、大人になると「そうそう心を負傷するわけにはいかなくなる」のは確かだ。中高生なら失恋しても勉強が手につかなくなるぐらいで済むかもしれないが、大人が失恋して仕事や家事ができなくなったら生活が破綻する。恋などという決して不可欠でないものに、生活を狂わされるわけにはいかない、という思いが人を恋から遠ざけるのだ。婚活サイトやマッチングアプリが流行っているのもそのせいかもしれない。出会いを求めている人間が集まるところなら成功率も高いし、そういう媒体を挟めば上手くいかなくても「失恋」とは言わず「ご縁がなかっただけ」として、ダメージを減らすことができる。恋愛からできるだけ恋部分を省略しようとしているのが、現代の大人の恋愛なのかもしれない。最近は中高生でも、直接「好きだ」などと面と向かって告白することは少なく、LINEやメールなどで済ますほうが多いのではないだろうか。対面ではないため、告白のハードルが下がるし、断られたら「ナンチャッテσ(^_^;)」と突然おじさんになって、冗談でした、と逃げることもできる。しかし、LINEやメールでの告白のほうが実はリスクが高い。昔ラブレターが回し読みされたように、おもしろLINE告白は即スクショを取られて回されるだろうし、最悪SNSで全世界に晒される。一番そういうリスクがないのは「対面口頭」なのである。最近は24時間で投稿が消えるインスタグラムのストーリーが人気だそうだが、それよりも早く消えて、データも残らないのが口頭なのだ。何でも保存されて拡散される世の中においてはこのアナログ方法が一番頭の良い告白とも言える。ただ相手がボイレコで録音している可能性もあるので、告白の際には相手のボディチェックも忘れないようにしよう。【サ】➤「財布」(さいふ)…スムーズに奢られるために「払う意志はある」を演出するアクセサリー【シ】➤「失恋」(しつれん)…失えるところまでいけるのは恋愛エリート【ス】➤「好き避け」(すきさけ)…推しに会うと推しの目の前で発狂してしまうのであえて会いにいかない人のこと【セ】➤「セロトニン」(せろとにん)…太陽の光を浴びると出て幸せになるらしい、美白至上主義国家日本の女が不幸なのは自然の流れ【ソ】➤「尊敬できる人」(そんけいできるひと)…「理想の結婚相手は?」と聞いて、これが返ってきたら「お前にそんなこと答えるつもりはない」の意プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年05月07日ニット帽にサングラス姿で、猫との“会話”を楽しんでいたのは女優・八千草薫(88)。東京都内で1人暮らしをしている彼女は犬と猫を1匹ずつ飼っているが、彼らと過ごす時間は何よりの“やすらぎの刻”なのだろう。路上での語らいが終わり自宅に戻る八千草の後ろ姿を猫は名残惜しそうにじっと見つめていたが、その視線に気づいた八千草が手を振る姿もなんとも可愛らしかった。4月8日からドラマ『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)がスタートした。’17年放送の『やすらぎの郷』の続編であり、来年3月まで続く大作だが、すでに八千草の撮影は終了しているという。「『やすらぎの刻』で八千草さんは2つの役に出演予定でしたが、今年に入り肝臓がんが発見されたためヒロイン役は降板することになったのです。前作でも登場した九条摂子としてのシーンは、脚本家・倉本聰さんが大幅に台本を書き換えることで対処し撮影済みです」(テレビ局関係者)現在、八千草はどういった治療生活を送っているのだろうか?八千草のマネージャーに聞いた。「おかげさまで治療は順調で病状も良い方向に向かっております。『やすらぎの刻』撮影終了後にいったん入院しましたが、ちょうど自宅に戻ってきたところです」ドラマスタートにあわせて帰宅したということのようだ。「また入院する予定ですが、あくまでも治療のためで体調が悪化したためではありません。『やすらぎの刻』ですか?毎日放映時間にテレビの前にいるのは難しいので、テレビ局から送ってもらったDVDで視ているようですね。禁じられている食べ物などもなく、ふだんどおり生活しているのですが……」実は困ったことがあるという。「本人は出かけてみたいところもたくさんあるのですが、外出を控えざるをえない状態なのです。皆さんが八千草の闘病のことをご存じで、ずっと入院していると思い込んでいらっしゃるのです。だからデパートなどで買い物をしていても、『八千草さん、なんでこんなところを歩いているんですか!?大丈夫ですか!?』という感じになってしまうんですよ」いまの楽しみは治療スケジュールが終わった後の旅行先を考えることだという。旅行計画と愛犬・愛猫たちとの“やすらぎの刻”が、闘病の励みになっているようだ。
2019年04月19日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第31回アクマの辞典ア行【ウ】➤「受け身」(うけみ)…全部受けとめるのも、受け流すのも疲れるのでこれからは「避け身の女」がくる今回のテーマはあ行より「受け身(の女)」だ。このサイトは見ての通り、占いコンテンツが充実している。むしろ何故「占い」をテーマに選ばなかったんだと言うぐらいだ。吉牛に行こうと提案しておいてカレーを頼む奴ぐらい不可解である。しかし、全く無関係というわけでもない。占い好きな女は「受け身」の傾向があると言われているそうだ。「受け身」とは決して、現代的な女の生き方とは言えなくなってきている。自活し、結婚するも出産するも自分で決めるのが今の時代の女であり、「受け身」などという、うすらボンヤリした生き方では、自称「グイグイ引っ張って行くタイプ」の男が運転する軽トラの荷台にしがみついて生きる羽目になる、というわけだ。しかし「受け身」な態度が全て従属的かというと、必ずしもそうではない。私は数年前、家を建てた。注文住宅なので、敷地面積と予算の許す限り自由にすることができた。なんでも自分の思い通り、と言えば聞こえは良いが「なんでも」の中には便所のドアノブの色とかも含まれているのだ、正直どれでもよい。しかし施工主は、どうでもいいことまで全部決める義務があるため非常に疲れた。「なんでも自分で考えて決める」というのは、意外と面倒くさいのだ。それよりもっと楽なのは「誰かに決めさせ、気に入らなかったら文句をつける」ことだ。夕飯はなんでもいいと言いながら「そうめん」と言ったら「え~」と言うポジションである。「あなたに任せる」と、一見受け身な態度で面倒くさいことは下々にやらせ、最終決定権は自分が持つと言う「従属的」どころか完全に「貴族の思想」だ。時には他人に決断を委ねたほうが効率的なこともあるし、「乗るしかない、このビッグウェーブに!」という名言があるように世の中の流れに身を任せたほうが良い結果になることもある。受け身な女は現代的ではないかもしれないが、だからと言って「総攻め」という同人誌でしか見ないような、攻め一方の女も柔軟性がないし、何より疲れてしまう。戦況によって受けと攻めを変えられるバランス型ファイターが現代的な女と言えるのではないだろうか。恋愛に関しては「受け身」のほうがモテるらしい。何故なら、モテというのはまず相手に「イケそう」と思わせるのが大事だからだ。つまり、いくらイイ女でも、難攻不落の要塞の如く攻め入る相手全員を大砲で撃ち落としてそうだと「ムリめ」と思われて挑戦者自体がそうそう現れない、つまりモテない。逆に「受け身の女」は門が半開きで「来るものは拒まず」「押しに弱い」雰囲気である。そこに「イケるのでは」と思った男が寄って来るのだ。しかし、このモテは、毎度おなじみ「雑魚モテ」である。鍵をかけてない家に泥棒が入って来るのと同じ原理だ。よって恋愛においては、意中の男は「受けとめ」、そうでない男は「受け流す」二種類の「受け」を使いわけるのが、デキる受け身の女である。【ア】➤「頭ポンポン」(あたまぽんぽん)…漫画やドラマで使うときは「これで喜ぶ女はフィクションです」と明記したほうがよい【イ】➤「インフルエンサー」(いんふるえんさー)…インフルエンザのインフルエンサーと言うのを我慢するのに骨が折れる存在【ウ】➤「受け身」(うけみ)…全部受けとめるのも、受け流すのも疲れるのでこれからは「避け身の女」がくる【エ】➤「遠距離恋愛」(えんきょりれんあい)…同居していても浮気する奴はするので距離は関係ない【オ】➤「押しに弱い」(おしによわい)…自分の押しで倒れた相手は、他の奴の押しにも倒れると思ったほうがいいプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年04月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第29回アクマの辞典バ行【ビ】➤「美人だけどモテない」(びじんだけどもてない)…美人のくせに男に興味がないのは許せないという圧も感じる我々は時々実体不明の敵と戦ってしまう時がある。実際見たわけでもないのに「いるよね、こういう奴」と言って、いるかどうかわからない生き物に対し延々悪口を言ったり腹を立て続けたりしてしまうのだ。一日中ネッシーにムカついているのと同じで、極めて無益である。こういった「いそうだが実際見たことはない未確認生物」の話で、便利づかいされがちなのが「ブス」だ。ブスの見た目がUMAっぽいからではない、例えば「好きな映画は『セックス・アンド・ザ・シティ』という女」を「好きな映画は『セックス・アンド・ザ・シティ』とかいうブス」と、ちょい足しアレンジするだけで「いるいる、そういうブス~!」とその場に失笑混じりの共感の嵐が吹き荒れてしまうのである。もちろん、全員そういうブスを見たわけでもなく、いたとしてもブスが『SATC』を好きで何が悪いという話なのだが、世間は頻繁に「とかいうブス」という架空の生物を作り出し、袋叩きにしたがるのである。どうせ幻と戦うなら、刃牙のように巨大カマキリと戦ったほうがまだ有益だ。そして今回のテーマも、ひょっとして架空の生き物では、という存在である。遅くなったが今回のテーマはバ行から「美人だけどモテない」だ。「モテない美人」いそうだし、いるんだろうけど、イマイチ「いる」と断言しにくい存在である。己の美人を妬む心が生み出した幻なのではないかとさえ思える。美人を妬む心が見せる幻覚には他にも「性格の悪い美人」「幸の薄い美人」「悲報!あの美人が劣化!」などが挙げられる。まず、美人が劣化するなら、同じ時を経た自分はもっと腐っているし、そちらのほうがリアルだ。このように美人もブスと同じぐらい「架空の生き物」を作られがちな存在なのだが、ブスとの違いは、実在していてもその存在を認めてもらえないことが多い、ということである。例えば本当にモテない美人が「私モテないの」と言っても「うそつけ、モテない美人などいない」と悩みも存在も否定されてしまうのである。モテるモテないだけでなく、この世には「幽霊否定派」と同じように「不遇な美人否定派」がいる。そういう人間に美人がどんな苦悩や苦労を語っても「でもあなた美人じゃないですか」「美人なんですからそんなことないでしょ」と言って全く取り合わない。このように美人にとっては「美人は性格が悪い」などネガティブな美人像を作り出す人間より「無敵の生物・美人」という架空の生き物がいると信じて疑っていない人間のほうが厄介なのである。「美人は色仕掛けで仕事を取っている」などと言う人間は、美人を妬んでいる人間より、むしろこの「美人無敵説」を信じている者だったりする。美人もブスも美醜以前にまず人間である、「適当なイメージで語られたら傷つく」というのは覚えておいたほうが良いだろう。【バ】➤「爆弾発言」(ばくだんはつげん)…「爆弾発言していい?」という奴の発言は大体不発【ビ】➤「美人だけどモテない」(びじんだけどもてない)…美人のくせに男に興味がないのは許せないという圧も感じる【ブ】➤「VIO脱毛」(ぶいあいおーだつもう)…介護する側もされる側も楽になるらしいので、腕毛すね毛よりマストかも【ベ】➤「ベスト体重」(べすとたいじゅう)…ダイエットを成功させるより必要なのは「俺のベスト体重は俺が決める」という強い意志【ボ】➤「母性」(ぼせい)…カビのように自然発生するものではないプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年03月07日冷え込みが厳しい朝7時、東京都内の自宅から姿を現したのは女優・八千草薫(88)だった。彼女は数日前の2月9日に事務所のHPを通じてがん闘病と仕事の休止を公表したばかり。《一昨年の年末にすい臓に癌が見つかりまして、昨年1月に手術致しました。術後は順調で去年は連続ドラマと舞台に出演させて頂きました。ところが今年に入りまして肝臓にも見つかり……》’47年に宝塚歌劇団に入団してからすでに72年。ほとんど仕事を休んだことがないという八千草の休養宣言は世間を驚かせた。しかし本誌が目撃した彼女の足取りはしっかりしており、元気そうだった。右手には小さな食品保存容器を持っている。近年は自宅に出入りする猫にエサをあげるのも朝の日課になっているそうだが、その日課もきちんと続けているようだ。八千草の夫・谷口千吉氏は’07年に逝去し、彼女は1人暮らしを続けている。知人男性は言う。「八千草さんは動物が大好きで、いまは犬と猫を飼っています。がんの治療についてはよくわかりませんが、88歳なのに本人はいたって元気ですよ。今年になって車も買い替えたばかり。車高が高いので、『眺めがいいのよ』なんて喜んでいました」肝臓がん闘病中という八千草だが、続けているのは猫のエサやりばかりではない。4月スタートの連続ドラマ『執事西園寺の名推理2』(テレビ東京系)は降板したものの、なんと同じく4月スタートの『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)には出演していくというのだ。八千草のマネージャーは言う。「『やすらぎの刻~道』は(’17年放映のドラマ)『やすらぎの郷』の続編にあたります。今作では八千草はもともと2つの役に出演予定でした。そのうちヒロイン・しの役は降板しましたが、前作でも登場した九条節子役としては出演します」1月に肝臓へのがん転移が発覚した後、倉本聰さんは台本を大幅に書き換えたのだという。「昨年すでに撮影したシーンもありますし、今後は体調と相談しながら、無理をしない程度に撮影を続けていきたいと考えています。本人は仕事がとても好きですので、(九条節子役以外の)降板も苦渋の選択でした。しかし体調が悪化して共演者やスタッフの皆さんにご迷惑をかけるのも申し訳ありませんので、この度のような選択となったのです」「ちょっとゆるやかに、でも少し無理をして」を信条としている八千草はインタビューなどでも“できる限り仕事は続けていきたい”と語っており、さらにHPでも次のようにつづっている。《また番組を楽しみにして頂いておりましたファンの皆様には体調を整えまして、より一層楽しんで頂ける作品に参加できるように帰って参ります》文面からは“女優として、もっといろいろな役を演じてみたい”という、強い意志が伝わってくる。今年買ったばかりだという新車のこともマネージャーに聞いた。「そうなんです。実は車を買い替えるほど、『やすらぎの刻』には意欲を燃やしていたんですよ。山梨県などでのロケも多いので、“もっと乗り心地の良い車にしましょう”と本人がパンフレットも取り寄せて色とか座席とかを選んでいたんです。車高の高いミニバンにしたのも、ロケ先で景色を楽しむためでした。しかし車が届いた矢先に、転移が発見されてしまって、いまはもっぱら病院に通うときに使っています」すい臓がんの際は数時間もの摘出手術に臨んだというが、今後の治療計画はまだ検討中だという。「いまは調子が良いので、しばらくは自宅療養を続けます。しかし、がんのステージによっては入院しての療養に切り替えることになると思います。手術ですか?やっぱり手術は痛みも感じますし、なるべく避けてあげたいですね」八千草の自宅には愛犬や愛猫がいるだけではなく、大切なものも置いてある。彼女の一日は、イーゼルに飾られた亡き夫の大きな写真に挨拶をすることから始まるのだ。2度目のがん闘病でもゆるがない不屈の女優魂を支えているのは、天国の夫の優しいまなざしなのだろう。
2019年02月22日“スーパーリアリズムの巨匠”上田薫の個展「-画集刊行記念-上田薫展」が、2019年3月20日(水)から26日(火)まで東京・日本橋高島屋S.C. 本館 6階美術画廊にて開催される。上田薫は“スーパーリアリズムの巨匠”として親しまれているアーティスト。東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業後、アンフォルメル絵画の影響をうけた作品を制作するも、1970年頃より本格的に写実絵画を描き始めるように。90歳も今なお現役で作品を描き続け、本物そっくりなスーパーリアリズム作品を展開している。2018年夏には、自身初となる集大成としての画集を刊行。その画集刊行を記念して行われる本展では、とろ~ととろけた卵が印象的な「サラダD」や滴り落ちる白身をリアルに描いた「なま玉子」など、ユニークな作品が勢ぞろいする。ぜひ足を運んで、上田作品を鑑賞してみて。【詳細】上田薫展開催期間:2019年3月20日(水)~26日(火)※最終日は16:00閉場会場:日本橋高島屋S.C. 本館 6階美術画廊住所:東京都中央区日本橋2丁目4-1【問い合わせ先】日本橋高島屋S.C.本館TEL:03-3211-4111(代表)
2019年02月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第23回アクマの辞典ラ行【リ】▶「理想が高い」(りそうがたかい)…顔によって言っていい条件の数が変動する、ブスは1個でも「高い」と言われる今回のテーマはラ行から「理想が高い」だ。日本は「理想の相手は?」と聞かれて二項目以上答えると「ブスのくせに理想高い」「だから結婚できないんだよ」と口を極めて罵倒される国なので、多くの女が「優しい人」という薄らぼんやりした返答をすることを余儀なくされている。特に相手に「年収いくら以上」を求める女は嫌われがちだが、ここを完全に不問にしろと言われたら、結婚生活以前に人間生活が破綻してしまう。相手に「結婚生活をやっていける年収」を求めるのは当然だろう。では「やっていける年収」「毎日見ても健康を害さない顔」程度の相手ならそこで妥協すべきでありそれ以上を求めるのは贅沢で、理想が高い身の程知らずということになってしまうのだろうか。そんなことはない。何故なら、交際も結婚も妥協してまでしなければいけないことではないからだ。「とにかく日本国籍が欲しい」「何がなんでも姓を変える必要がある」という特殊事情があるなら妥協もやむなしだが、そうでないなら理想を下げてまでするほどのことではないだろう。むしろこの「妥協」のせいで「しないほうがマシだった」な結果になることもままある。しかし世の中には「女は30までに結婚しないと」などという脅迫が満ち溢れており「結婚はしなくてはいけない」→「結婚するためには妥協が必要」→「妥協できない理想が高い女は結婚できない」→「そういう女は地獄の業火に焼かれて死ぬ」ということにしたい人間が多いため、妥協は必要で理想が高いのは悪という考えが蔓延してしまっている。ともかく「結婚」の称号を得ることが最重要で、その内容に関しては細かく問い過ぎるな、ということである。そんな世の中において、それでも「理想が高い」人間はそう言った脅迫や一般論に屈しなかった鋼のメンタルと確固たる自分を持っている人間と言える。脅迫に屈し、妥協に妥協を重ねた相手と結婚し野垂れ死ぬより「年収1000万以下の男と結婚するぐらいなら野垂れ死んだほうがマシ」という高潔な精神の持ち主である。同じ野垂れ死にでも後者のほうがその死に顔は安らかだろう。「結婚すれば安泰」というのがもはや都市伝説であると判明している昨今、むしろ理想は高く持ち結婚に対しては「結婚?まあ俺のお眼鏡にかなう相手が見つかったらしてやってもいいけどな?」と乙女ゲーに出てくる俺様野郎みたいなスタンスを取ることが、妥協づくめの結婚をするより幸せになれるのではないだろうか。【ラ】▶「ラブホテル」(らぶほてる)…女子会や外国人旅行客の宿泊先として活躍、カップルはヤれればどこでもいいだろうから譲るべき【リ】▶「理想が高い」(りそうがたかい)…顔によって言っていい条件の数が変動する、ブスは1個でも「高い」と言われる【ル】▶「ルックス重視」(るっくすじゅうし)…毎日見るなら形が良いものが良いだろう。【レ】▶「連絡を待つ女」(れんらくをまつおんな)…連絡が来たら来たで「すぐに返信しないほうが良い」というしゃらくさいテクを使おうとする【ロ】▶「ろくな男がいない」(ろくなおとこがいない)…自分ですらわからない自分の魅力をわかってくれる男がいないことプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年12月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■アクマの辞典ハ行【ハ】▶「腹黒女」(はらぐろおんな)…女から見て気に入らない女は全部「腹黒」ということになる今回のテーマはハ行から「腹黒女」だ。腹黒とは、表面上は白を装いながら、その振る舞いは全て自分の利益のためという、腹の中は真っ黒のイカみたいな奴のことである 。しかし、デキ婚のことを本人たちや新婦の親が「授かり婚」と言い変えたりするように、腹黒女たちは自分たちのことを「腹黒」などと言ったりはしない。何と言うのか?「あざとかわいい」だ。これは「なんでもヤバいと言っておけばいいと思ってるだろ」と怒られるの承知で「ヤバい」と言うに等しいパワーワードだ。ちなみに「パワーワード」も最近、多用されすぎの思考停止用語としてよく怒られる。つまり二倍怒られてでも使いたい「ヤバいパワーワード」=「あざとかわいい」なのだ。読んで字の如く、計算しつくされた、あざといファッション、メイク、しぐさをしつつも、男にはそのあざとさを勘づかれてない、もしくは「もう、あざといんだから!」と言われながら飯を奢られている女のことである。昔からよくいるブリっ子じゃねえかと思うかもしれないが、本物のあざとかわいい女はバカを装ったりしない。なぜなら、それが何の得にもならないとわかっているからだ。「バカを装え」は女の鉄板モテテクであり、合コン「さしすせそ」などその代表だろう。確かにそれがヤリコンだというなら、前戯から後戯まで「すごーい」だけでよく「さしせそ」すら不要なのだが、真面目な結婚をしたい女に対して、婚活コンサルタントが「バカを装え」とアドバイスしているところもあるというから驚きである。そこがペットショップなら「バカそうだけどクソカワイイ」で決めても良いと思うが、結婚相手として「バカ」かどうかで女を選ぶ男はそれ以上のバカか「バカだから操りやすい」と思っているかのどちらかだ。もちろんホンモノのバカの方でいらっしゃるなら、そのようなお相手と結婚しても「ベストマッチング」かもしれないが、コンサルのアドバイスに盲従し「バカを装って」結婚した場合、その相手はちょっと口答えしたり自分の意見を言ったりしただけで怒りだす可能性が非常に高い。「バカ(自分より下)と思って結婚した」のだから当然だ。それも、カワイイだけのバカ女が1人、2人肩に乗っていても余裕で歩ける、むしろちょうどいいハンデという、手足に重りをつけて生活しているサイヤ人のような真の高スペック男ならまだ良いかもしれないが、そこまでの甲斐性もなく「バカな女(共働き必須)希望」の男はもはや結婚相手を探しているとも言い難く、素直に「お母さん希望」と言ってくれたほうが助かる。よってモテるために「バカを装う」というのは、そういう男を寄せ付ける「雑魚モテ」をするだけである。本当に「あざとかわいい」女はそんなことはせず、むしろ平素は「しっかりした女」、ともすれば「1人で生きていける女」のようにふるまうという。それでは男を寄せ付けないと思われるかもしれないが、もちろんツッパリ倒した女ではなく、弱みやバカさも見せる、ただその弱みやバカさを見せる相手を「厳選」するのだ。そうすれば相手は「俺にだけ本当の自分を見せてくれている」「頼られている」思うのである。あざとかわいい女は「一本釣り」なのだ。いらぬ雑魚に時間をかけないのが、その「あざとさ(頭の良さ)」の所以である。【ハ】▶「腹黒女」(はらぐろおんな)…女から見て気に入らない女は全部「腹黒」ということになる【ヒ】▶「姫扱い」(ひめあつかい)…王族に生まれなくても高いシャンパンを入れればなれる、良い世の中【フ】▶「不意打ちキス」(ふいうちきす)…性犯罪【ヘ】▶「平成」(へいせい)…自分が平成だったら二十代のうちに終わらせてほしかったと思う【モ】▶「モラハラ男」(もらはらおとこ)…「間違ってるお前」を正しにやってきた間違ってる男プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年11月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第17回アクマの辞典カ行【カ】▶「格差婚」(かくさこん)…した瞬間に「上手くいきっこない」の呪いをかけられる今回のテーマは「カ行」から「格差婚」である。みなさんは「格差婚」と聞いて何を思い浮かべるだろう、『永遠にともに』だろうか。このように「格差婚」というのは、女の収入が男のダブルスコア以上だったり、女はハリウッド女優のようで豹を飼っているが、男はネルシャツをパンツインしてヤモリとルームシェアしている場合だったりと「女のレベルが男より遥かに高い」時に使われているような気がする。それも「ハイスペックな女」と結婚したのだから「ハイスペック婚」と呼ばれても良いようなものだが、何故かそうは言われない。おそらくこれは「男の収入は女より上で当たり前」なる考えが残っているからだろう、よって「女がハイスペック」という部分に焦点を当てず「男が女より格下」という部分をフィーチャーした「格差」などという厳しい言葉が使われている気がする。割と女に対しても男に対しても失礼な言葉であるしかし、世間の「なんか気に入らねえと思われてる度」からすると、ハイスペック婚も、格差婚も大差はない。「ハイスペック婚」は「上手いことやりやがって地獄に落ちろ」と思われているし、格差婚は「女の下でヘラヘラしやがって恥知らず地獄に落ちろ」と思われている。つまり両方、ゴートゥーヘルを願って止まれない関係である、この辺は男女平等なので安心できる。このように、男が上だろうが女が上だろうが、お互いに差がありすぎる結婚は、妬みの対象であり好奇の目にさらされる関係である。そして決まってこう言われる「どうせ長続きしない」と。もちろん全ての格差婚が上手くいかないわけではないが、“永遠にとも”にいなかった例も多いので格差が別れを招く可能性はある。しかし「部屋が暗い時、諭吉に火をつけて灯り代わりにする」など、第一次世界大戦中の成金みたいな金銭感覚と価値観についていけねえ、という場合もあるが、格差離婚の原因は、その格差に対し「俺の嫁は稼いでいてすごい」と認められるか「こいつは稼いでいることを鼻にかけて俺を見下している」と卑屈になるかの違いだという。また稼いでいるほうも「自分がこれだけ働けるのは夫のおかげ」と感謝するか「こいつは私が食わせてやっている」と見下すかでは大きな違いがある。つまり、どっちのスペックが上だろうが下だろうが、リスペクトがなければ上手くいかないということである。また、どこを買うかも人によって違う「こいつは無職のヒモ野郎だが、野菜にすら“さん”づけするところが推せる」ということもある。それを、たかだか収入や社会的地位、容姿の差だけでお他人様の結婚を「格差」呼ばわりするのは良くない。そんな言葉で自分の妬みをオブラートに包むぐらいならドストレートに「なんか気にいらねえ婚」と言ってしまったほうがいい。【カ】▶「格差婚」(かくさこん)…した瞬間に「上手くいきっこない」の呪いをかけられる【キ】▶「聞き上手」(ききじょうず)…聞いているフリが上手い人【ク】▶「黒歴史」(くろれきし)…自分の歴史のみならず「あいつとつきあったのは黒歴史」と他人の歴史の一部になっている場合がある【ケ】▶「ケチ」(けち)…そいつはケチな男じゃない、君に金を使いたくないだけだ【コ】▶「小室哲哉」(こむろてつや)…彼の人生に文句を言うより、曲を聞いたほうがとても有意義プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年09月06日大勢の学生や仕事を終えた会社員たちが、ひっきりなしに行きかう東京・渋谷の繁華街を、ゆったりと歩いていたのは女優・八千草薫(87)だった。 彼女が入っていったのは、いまはやりの“肉バル”。おいしい肉をおしゃれに、かつ豪快に食べられるのがセールスポイントのレストランだ。87歳という年齢と肉バルは、ややミスマッチにも思えるが、あるテレビ局関係者は言う。 「連続ドラマ『執事西園寺の名推理』(テレビ東京系)の打ち上げが行われたのです。『執事〜』では、上川隆也(53)が演じる“完璧すぎる執事”と、彼が仕える優雅で上品な“奥様”が、殺人事件に直面していきます。2人の絆も効果的に描かれていて、視聴率も好評です」 本誌が八千草を目撃したのは5月21日だったが、彼女が入店した直後、主演の上川が、個人事務所の社長を務める19歳年下の妻を伴って打ち上げ現場に到着した。ドラマ収録の様子について、制作関係者は次のように語る。 「八千草さんが収録現場に入ったとたん、その場にいい意味での緊張感が生まれるんです。場が締まるという感じでしょうか。八千草さん自身は、ゆったりとした雰囲気をまとっているのに、進行は流れるようにスムーズになるのが不思議でした」 出演者たちにとって八千草はアイドル的存在でもあったという。出演者の1人であり佐藤二朗(49)は、こんなツイートを。 《最初のご挨拶で「初めてご一緒させて頂けるのに最初の僕の台詞、“おばあちゃん、なぁおばあちゃん”で申し訳ないです」と言ったら、「だっておばあちゃんだもの」と満面の笑みを返された時、完全に胸を射抜かれた》(5月11日付) 大ベテランにも関わらず、気さくに打ち上げにも参加していた八千草の姿にも新鮮な驚きを感じたが、所属事務所の担当者は次のように語った。 「『作品は、仲間みんなでつくるもの』というのが、八千草のスタンスです。彼女は『最後まで、仲間たちと時間を共有したい』と、常に考えているのです。だから映画やドラマの打ち上げにも、いつも参加させていただいています。もちろん若い方たちのように3次会で朝まで、といったことまでは難しいのですが」 打ち上げは皆勤を目指すというのが、八千草の女優哲学なのだという。 この日、1次会終了後に帰路についた彼女だったが、顔には満足そうな笑顔が浮かんでいた。“仲間たちと過ごすひととき”も、彼女が壮健であり続ける理由なのかもしれない。
2018年05月31日「平野薫―記憶と歴史」展が、箱根・ポーラ美術館で開催。会期は、2018年7月22日(日)から9月24日(月)まで。「平野薫―記憶と歴史」展を手掛ける平野薫は、古着や布製小物などを糸の一本一本にまで解き、それを展示空間の中で再構成する繊細なインスタレーションを制作するアーティスト。ドレスや下着、傘、シューズといった身の回りのモチーフは、元々の素材であった"糸"に戻ることで、ヨレや色褪せをより一層顕在化させ、かつてその糸を纏っていた者の気配や記憶までをも強く感じさせる。本展では、新作3点を含む全4点を展示。繊細な作品に潜む個人の記憶や経験を扱いながらも、それを歴史の中に還元していくことをテーマとした作品を発表する。例えば、3点の傘を組み合わせたインスタレーションでは、平野薫が留学時代に暮らしていたドイツ(旧東ドイツ)の傘や、故郷の長崎、現住地の広島で入手した傘を使用。異なる3都市で出会った傘のインスタレーションが重なることで、作者を形成した歴史的に深い意味のある場所であることを連想させる。また、工業用のミシンや糸を使用した新作インスタレーションも見どころのひとつ。戦時中の重機製造にルーツを持つメーカーのミシンを使用することで、戦後日本の高度経済成長を支えた工業機器と、人々が日々消費する衣服や繊維との関係性、そして近代日本の歴史の流れを暗示するかのような作品に仕上げている。【詳細】ポーラ美術館「平野薫―記憶と歴史」展会期:2018年7月22日(日)~9月24日(月)開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)休館日:無休※展示替えのための臨時休館あり会場:ポーラ美術館住所:神奈川県足柄下群箱根町仙石原小塚山1285【問い合わせ先】ポーラ美術館TEL:0460-84-2111
2018年05月20日テレビ東京ほかにて4月よりスタートするドラマ「執事 西園寺の名推理」この度、主演の上川隆也演じる“パーフェクトな執事”が仕える奥様役を、八千草薫が演じることが決定。八千草さんがテレビ東京の連続ドラマに出演するのは、1998年放送の主演作「魚心あれば嫁心」以来20年ぶりとなる。八千草さんが演じる優雅で上品な奥様の伊集院百合子は、好奇心旺盛で少しだけ天然キャラで、守ってあげたいオーラいっぱいの人物。しかしそれでいて実は芯が強く、人や物事の本質を見抜く直観力も持ち合わせているという。百合子は夫が亡くなる前から仕えている西園寺と、深くて厚い信頼関係で結びついており、2人は言わば阿吽の呼吸で通じ合う関係。百合子が用件を言わずとも、西園寺はその意図を汲み取り、たちどころに望みを叶えてしまうのだ。そんな2人が殺人事件に出くわすことで物語が展開。事件に疑問を感じた百合子の意思を汲み、西園寺は独自の捜査を開始。有能な執事とはいえ、事件捜査は素人のはず…ところが、その知識と能力で鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。2人のコンビネーションも見どころのひとつとなっていく本作だが、共演は今回が初めて。八千草さんは、「主演の上川さんは、ずっと以前から素敵な方だな、素敵な俳優さんだな、と思っていましたので、今度ご一緒させていただくのは、とってもうれしいです」と話し、一方上川さんは「西園寺がその全能力を尽くして仕える伊集院家の“奥様”として、八千草薫さんというこの上ない方が名を連ねてくださいました。八千草さん演じる奥様に仕えるにふさわしい執事になれるよう、全力で努めたいと思います。西園寺一と奥様とのやり取りや、伊集院家に関わる人々との間に描かれていく空気が、ご覧になる方にとって癒やしとなるような時間になればと思います」と意気込み。そして、本作がミステリーの連続ドラマ初出演となった八千草さん。「ミステリーって私、あまり出たことがなくて、連続モノはこれが初めてなんですね。単発では出たことあるんですけれど…」と言い、「ミステリーだけど、生々しさとかそういうのではなくて、なんかちょっと変わったドラマだな、と思っていまして、どんな風になるのかなといまから楽しみです」とコメントしている。「執事 西園寺の名推理」は4月13日より毎週金曜日20時~テレビ東京ほかにて放送。(cinemacafe.net)
2018年03月07日直木賞受賞作家、北村薫原作の小説を舞台化した『スキップ』が、13年の時を経て、今春、サンシャイン劇場での上演が決定した。高校2年の主人公、一ノ瀬真理子がある日、うたた寝から目を覚ますと25年後の夫と娘がいる高校教師になっていたという設定で、大人になった真理子役を霧矢大夢が演じることは既に発表されていたが、今回、17歳の真理子役に、元乃木坂46の深川麻衣が決定したと発表された。なお、深川は舞台初主演で霧矢とのダブル主演となる。舞台『スキップ』チケット情報その他のキャストは、真理子の娘・美也子役をキャラメルボックスの木村玲衣、密かに真理子に思いを寄せる新田役を碓井将大のほか、柿喰う客の深谷由梨香、長濱慎、範宙遊泳の熊川ふみ、キャラメルボックスの原田樹里らの出演が決定している。全キャスト発表に伴い、メインヴィジュアルの公開と原作の北村薫、主演の霧矢大夢、深川麻衣よりコメントが寄せられた。■北村薫(原作者)コメント前回の公演は新聞の劇評でも絶賛されました。しかし、世評以上に、観客の方々が舞台にぐいぐいと引き込まれ心をふるわせていたことが記憶にあざやかです。もう一度観たいと願っていました。夢がかなって本当にうれしいです。■霧矢大夢コメントこの作品は、ある日、高校生だった真理子が、目覚めると突然大人になっている。しかも高校教師という立場になっている、というストーリーです。気が付くと夫がいて、娘もいる。見た目は大人なんだけど、中身は17歳。その現実を自分なりに受け入れて、健気に、ピュアに、その状況に立ち向かっていく。そんな一生懸命な真理子を表現したいなと思っています。演出の成井豊さんとも初めてですし、キャラメルボックスのエネルギッシュなお芝居に刺激を受けて、自分なりの真理子像を作っていきたいと思います。■深川麻衣コメント今回の舞台『スキップ』では、主人公の一ノ瀬真理子役を、霧矢大夢さんと一人二役ではなく、二人一役で演じさせて頂くということで、どんな風になるのかとても楽しみにしています。稽古はこれからですが、脚本を読ませて頂いて、面白くなること間違いないと確信しています。大きな役で、個人的にはもの凄く緊張しているのですが、みなさんと力を合わせて、毎日の稽古を励んでいきたいと思います。ぜひぜひ観に来てください。■NAPPOS PRODUCE『スキップ』原作:北村薫『スキップ』(新潮文庫刊)脚本・演出:成井豊(キャラメルボックス)2017年4月26日(水)~5月5日(金・祝)サンシャイン劇場(東京・池袋)出演:霧矢大夢深川麻衣岡田達也粟根まこと木村玲衣碓井将大深谷由梨香長濱慎熊川ふみ原田樹里関根翔太石森美咲大滝真実山崎雄也元木諒チケット一般発売:2月25日(土)
2017年01月23日2004年、キャラメルボックスの成井豊により、舞台化された北村薫原作の『スキップ』が13年の時を経て、来春、サンシャイン劇場で上演される。物語の主人公・一ノ瀬真理子は高校2年の17歳。ある日、うたた寝から目を覚ますと25年後、夫と娘がいる高校教師になっていた……。直木賞受賞作家、北村薫の名作を舞台化した本作では、大人になった真理子と高校生の真理子がダブル主演となり、ひとりの人物を二人の女優が演じる趣向もみどころのひとつ。その「大人の真理子役」を霧矢大夢が演じる。公演は4月27日(水)から東京・サンシャイン劇場にて上演。高校生の真理子役ほか、詳細は公式サイト等で順次発表予定。■NAPPOS PRODUCE『スキップ』2017年4月27日(水)~5月5日(金・祝)サンシャイン劇場(東京都)原作:北村薫『スキップ』(新潮文庫刊)脚本・演出:成井豊(キャラメルボックス)出演:霧矢大夢、ほか
2016年12月28日アジア各国でも旋風を巻き起こす「深夜食堂」の劇場版第2弾『続・深夜食堂』の公開記念舞台挨拶が11月24日(木)、都内で行われ、主演の小林薫をはじめ、安藤玉恵、宇野祥平、金子清文、須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子、オダギリジョー、松岡錠司監督が登壇した。安倍夜郎の人気漫画を原作に、ドラマ、動画配信、映画と世界観を広げる人気シリーズ。新宿ゴールデン街を思わせる繁華街の路地裏で、経歴も年齢も不詳なマスター(小林さん)が佇む深夜営業の食堂「めしや」を舞台に、夜な夜な集まる個性豊かな客たちが、悲喜こもごもの人生を交錯させる。この日はステージ上に、撮影で使われた「めしや」の実物のれんが設置されたり、写真撮影時に登壇者全員がビールピッチャーを手にしたりと、映画のヒットを祝う演出が施された。公開3週目も好調をキープしており、主演の小林さんは「トランプさんが大統領になったり、重大な事件もあるなかで、自分の息子や彼女の話、過去のあやまちが棘のように刺さった市井の人たちのドラマこそ、共感してもらえるのだと思う」とヒットの理由を分析。ステージ端に立つ松岡監督に視線を送り、「第2作目というプレッシャーのなかで、細やかな部分にも気を配っていた。松岡監督は良くも悪くも、評判が良いといい気になるから、立ち振る舞いを心配するところもあるんですけど(笑)。でも、今回に限っては調子に乗るのもいいんじゃないかなと」を苦言(?)をこめて、労をねぎらった。当の松岡監督は「そういうの、いいから」と照れ笑いを浮かべ、「日本独自の話を作っているつもりですけど、言語も食文化も違うアジア圏で評価が高いのはうれしいですね」と手応えは十分。「映画が始まって割と早めから、お腹が鳴ると思いますが、皆さん同じ現象だと思うので、気になさらないで」と“飯テロ”を警告していた。「実は今日、二日酔いなんです」と告白したのは、オダギリさん。今週末には松岡監督とともに、台湾キャンペーンに出かけることになっており、主演の小林さんは「いま、初めて聞いた」とうらやましそうに話していた。『続・深夜食堂』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:続・深夜食堂 2016年11月5日より全国にて公開(C) 2016 安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会
2016年11月25日今月1日に入籍した柔道の松本薫選手が、きょう7日(21:00~21:54)に放送される日本テレビ系バラエティ特番『くりぃむしちゅーの!THE★LEGEND最強レジェンドが集結 超ぶっちゃけSP』に出演し、試合前は夫の前でも「女性を捨てている」と明かす。試合前に集中する姿が"野獣"と呼ばれる松本選手だが、その"野獣モード"に入ったときは、夫となった1学年上の彼の前でも「女性を捨てている」と告白。さらに、「彼は試合前は(自分との距離を)半径30㎝は絶対に空けます」と、ストイックになる様子を語る。今回の番組では、そんな松本選手が恋愛について語る場面もあり、恋愛になるとどのような雰囲気になるのか、スタジオは興味津々。レスリングの吉田沙保里選手から「自分だけ幸せになりやがって!」と責められる。番組ではほかにも、登坂絵莉選手をはじめとするレスリング女子日本代表の寮へ潜入。リオ五輪金メダリスト土性沙羅選手の部屋は漫画だらけ、川井梨紗子選手の部屋はピアスなど女性らしいものが飾られている。この女子寮では、恋愛トークにも花が咲くといい、土性選手は「今年は今までで一番最高の彼氏が欲しい」と宣言する。吉田沙保里選手は、この寮から巣立っているため、後輩選手たちは「食レポが下手」「早くお嫁に行ってほしい」などと吉田への不満を爆発。しかし、そのVTRが終わったところで、吉田選手がスタジオに現れる。
2016年11月07日「ぴあ」調査による2016年11月3日、4日、5日のぴあ映画初日満足度ランキングは、小林薫主演の人間ドラマ『続・深夜食堂』がトップに輝いた。その他の画像『深夜食堂』は、安倍夜郎の人気コミックを基に、路地裏にひっそりとたたずむ“めしや”に訪れる人々の悲喜こもごもを描いた作品。2009年にスタートしたTVドラマは第3部まで放送され、2015年には劇場版1作目も公開された人気シリーズだ。劇場には「TVドラマからすべて観ている」というファンが多く来場。出口調査では「いい意味でいつも通り。期待を裏切らない作品」「ほっとする映画」「人間味あるエピソードが心地よい」「キャスト全員に味があり、しみじみできた」「今後もシリーズを続けてほしい」といった声が聞かれ、シリーズ最新作もファン納得の仕上がりとなったようだ。長く愛され、多くのファンを獲得している本シリーズは、観客に“安心”や“癒し”を与える人情味あふれるストーリーはもちろん、小林扮する“めしや”のマスターが作る、数々の料理も見どころのひとつになっている。観客からは「おいしいものが食べたくなった」「食事がとてもおいしそうで、五感に訴えかけられた」といったコメントも寄せられた。なお、満足度ランキングは、実話を基に、閉園の危機を迎えた幼稚園の再生に挑む園長先生の奮闘を描いた『小さな園の大きな奇跡』が2位に、戦うために生まれてきた少年少女の死闘を描くロボットアニメ『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』が3位に入っている。(本ランキングは、11/3(木)、4(金)、5(土)に公開された新作映画13本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)『続・深夜食堂』公開中
2016年11月07日俳優の小林薫が10月3日(月)、都内で行われた『続・深夜食堂』の完成披露試写会に出席。国内を飛び越え、アジアでも人気を博す「深夜食堂」の根強い人気について、「うれしいけど予想外」と語り、「可能性はまだまだある」とさらなる飛躍に期待を寄せた。新宿ゴールデン街を思わせる繁華街の路地裏に、ひっそりと佇む深夜営業の食堂「めしや」を舞台に、夜な夜な集まる個性豊かな客たちが、悲喜こもごもの人生を交錯させる。安倍夜郎の人気漫画をドラマ化し、続く映画『深夜食堂』は全国80館ながら、興収2.5億円、動員数20万人超を記録。さらに中国、韓国、台湾でも人気を集め、アジア各国で一大ブームを巻き起こした。食堂のマスターを演じる小林さんは、「ドラマの4作目も含めて、こんなに続くと思っておりませんでした。めでたく映画の2作目が完成し、グレードアップした『深夜食堂』の味わいが繰り広げられている。お店もお料理も主役です」と駆けつけたファンにアピールした。完成披露試写会には小林さんをはじめ、河井青葉、小島聖、キムラ緑子、渡辺美佐子、多部未華子、不破万作、安藤玉恵、金子清文、須藤理彩、小林麻子、光石研、松岡錠司監督がズラリ勢ぞろい。前作映画にゲスト出演し、本作では常連客として登場する多部さんは、「取材を受けると、『レギュラーとして』と言われるんですが、まだ慣れないし、恥ずかしいですね」と照れ笑い。一方、ドラマシリーズでおなじみの常連客を演じる光石さんは、「現場に行けば薫さんや監督がいらっしゃって、『また帰ってこられたな』とホッとします」と喜びをかみしめていた。『続・深夜食堂』は11月5日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:続・深夜食堂 2016年11月5日より全国にて公開(C) 2016 安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会
2016年10月03日今回のテーマは「親の期待のかわし方」である。誠に残念かつ遺憾、慙愧の念に堪えないのだが、当方、親にこれといって期待をされた記憶がない。この連載では、今まさにゴミ箱に頭を突っ込んでいる最中の人に対し「成功の秘訣は?」と聞くようなテーマがたまに寄せられるのである。○かんぴょうと酢飯からフレンチは生まれるか子どもに大した期待をかけない親のことは後ほど触れるとして、その対極にある「子どもへ過度な期待を寄せる親」というのも、何を考えているのかわからない。もちろん、自分たちが博士や大臣、松坂牛であるというのなら、子どもに同じような将来を望むのもまあわかる。だが、父がかんぴょうで母が酢飯なら、子はかんぴょう巻になることは大体予想できることであり、「シェフの気まぐれフォアグラテリーヌ~季節の野菜を添えて~」になれ、というのは酷なことである。原材料が自分たちであるということを忘れているんじゃないかと思う。もちろん、材料はともかく調理(教育)次第でどうとでもなるという意見もあるだろう。確かに、平凡な両親から偉人が生まれる例もあるが、残念ながらかんぴょうをフォアグラにするより、フォアグラを残飯にする方が簡単なのである。むしろ過度な期待と教育でかんぴょう巻にすらなれなれず、もはや「料理」というより「一般には理解されない系アート」みたいになってしまうこともままある。しかし親バカと言う言葉があるように、可愛さ故に、自分の子どもが実際より優れて見えてしまうのは、ある程度仕方のない事なのかもしれない。その点、私の両親が私に望んだことは一貫して「安定した職につき、豊かでなくていいから食べるに困らない生活をしてほしい」という、実に最低限かつ堅実なものであった。この決して高くないハードルを「売れない漫画家になる」という形で華麗にくぐって見せたものだから、もはやうちの親は私に何も期待していないだろう。おそらく、元々低かったハードルの高さが「逮捕はされるな」もしくは「実刑だけは食らうな」くらいにまで下がっていると思う。親の期待通りに育つことも親孝行かもしれないが、親に期待させすぎないことも立派な孝行であると思う。とはいえ、突然親の期待を裏切ってはいけない。どこに出しても恥ずかしくない自慢の息子がいきなりパンツ泥棒で捕まってニュースに登場するのは、これ以上ない親不孝だ。徐々に、親自身もいつ諦めたかわからないぐらい、自然に諦めさせなければいけない。つまり、何かやってしまった時、親に「まさかうちの子に限って!」などと言わせるようでは親不孝なのだ。無表情で「やはり…」と言わせるのが真の親孝行である。○親孝行はコツコツと、が鉄則正直に言うと、私は中学生の段階では勉強ができた。この「中学生まで」できた、モテた、という実績がいかにその後の人生の足を引っ張る要素であるかはまたの機会に言いたいと思う。とにかく、中学生時点ではまだ親に期待されてもいいぐらいだった。しかし、もうその時点で、親は私に期待というより不安を抱いていたのだ。何故なら、中学に入ってすぐ、担任が抜き打ち家庭訪問に来るという珍事が起こったからだ。それも、「いつも一人でいる」という理由で。一切仕込みナシの訪問だったためもちろん私も家におり、担任が親に「私には友達がいない」と話すのを、隣室からライブで聞いていたのだ。その時、手近なところに金属バッドがなくて本当に良かったと思う。本件、私も痛かったが、親にとっても激痛だっただろう。例え成績が学年1位でも、「こいつはヤバい」と思わせるのに十分な惨事であった。親にとって、自分の子が「勉強ができない」あるいは「運動ができない」と言われるよりも、「友達が作れない」と言われたほうがダメージは大きいのだ。本当に親を期待させたくなかったら、いかに人間的にヤバいか、社会性がないかをアピールすることが肝要なのである。その点、私は齢7歳で、親に「お前は被害妄想が強い」と断じられたエリートである。もちろん7歳であるが故に意味はわからなかったが「おっ! 今何かすごいこと言われた!」という記憶だけはある。他にも、友達がいないことはもちろん、片づけができない、もらった小遣いをすぐ使うなどまともな大人になれない要素満載であり、実際まともにならなかった。成人するころには、「頼むから他人に迷惑をかけないでくれ」くらいにまで親の期待値は下がっていたと思われる。時は流れて現在。私は前科もなく、屋根のあるところに住み、リボ払いやキャッシングはまだしていない(数十年の住宅ローンはある)状態である。つまり今、親は「思ってたよりは良く育った」と思っているはずなのだ。幼少のころからコツコツ親をがっかりさせたおかげで、今では立派な孝行娘というわけである。しかし、世の中には、意識しなくても成績優秀、運動神経抜群、人望も厚く異性にもモテてしまい、親にどうしても期待させてしまうという人もいるだろう。そういう方は、一点だけで良いので、親に不安を抱かせる要素をチラ見せしておけば良いと思う。男性ならお母さんより年上の熟女が登場するDVDを大量に隠し持つとか、女性なら男児用白ブリーフ(未使用)をコレクションしてみるとか、「法には触れてないが、そのうち何かしでかしそう」な雰囲気を出すのだ。つまり、親を安心させきってはいけないということである。いつか悪い意味で新聞に載ってしまう日に備え、平素は孝行者でも「いつ爆発するかわからないニトロを積んでいる」ということだけは、ちょくちょくアピールしておくべきなのだ。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月29日(火)掲載予定です。
2016年03月22日NTTドコモは、代表取締役社長である加藤薫氏の年頭所感を発表した。内容は以下のとおり。○加藤薫氏の年頭所感謹んで新年のご挨拶を申し上げます。振り返りますと、昨年は競争ステージを「サービスによる付加価値競争のステージ」へ変えていくため、邁進した1年でした。まずサービスでは、3月に「ドコモ光」の提供を開始し、簡単・おトク・便利をキーワードに、屋内で最大1Gbpsの高速通信をワンストップで提供するとともに、主に屋外でご利用いただくスマートフォンや携帯電話と合わせて、おトクにご利用いただけるような環境を整えました。「ドコモ光」は昨年12月21日に契約数が100万を超えて、順調に推移しております。また、4月にはパートナー企業の皆様との協創により、新たな価値を創造する「+d」の取り組みを発表しました。小売、医療・健康、教育・学習、農業、IoTなど様々な分野における取り組みを加速させております。さらに、12月から、日本最大級のポイントサービスである「dポイント」を開始いたしました。これまで主にドコモのサービスを中心にご利用いただいていたポイントが、街のお店やネットのお買い物などで、貯めたり、ご利用いただけるようになりました。また、「DCMXカード」も「dカード」に名称を変えるとともに、よりポイントが貯まりやすくいたしました。今後も「通信」、「dカード(決済)」、「dポイント」の3つを三位一体で拡大してまいります。dマーケットも着実に成長を続けており、約1400万のお客様にご利用いただいております。5月に「dグルメ」を追加し、60万を超えるお客様にお楽しみいただいている他、「dマガジン」については1年3カ月で250万契約を超えるなどご好評いただいております。その他「すきじかん」や「ギフトコ」などの多様なサービスも展開してまいりました。ネットワークでは、昨年10月から、「PREMIUM 4G」で国内最速となる受信時最大300Mbpsを実現し、東名阪のドコモラウンジ等では337.5Mbpsの通信を可能とするなど、お客様に快適に通信いただける環境を整えるとともに、エリアの「広さ」「速さ」および「快適さ」をさらに実感いただけるよう取り組みました。お客様満足度では、国際的な満足度調査の専門機関である株式会社J.D.パワー アジア・パシフィックのお客様満足度調査で満足度No.1を受賞しました。今後もより多くのお客様からご愛顧いただけるよう、より一層努力してまいります。今年は、昨年に引き続き、競争ステージを変えるため、様々な取り組みを行ってまいります。当社は、一昨年6月に新料金プランを導入し、あわせて過度なキャッシュバック等の販売方法の是正にも取り組んでまいりました。これからも行き過ぎた販売方法について、さらに段階的に見直しを図るとともに、料金についてもお客様の多様なニーズにお応えできるよう、順次見直しを図ってまいります。「ドコモ光」では、お客様の生活をより便利で楽しくするため、サービスを充実させていきます。また「+d」の取り組みについては、「オープン&コラボレーション」でさらに強力に推進します。パートナー企業の皆様とともに、IoT、社会的な課題の解決、地方創生、2020といったテーマに沿って新たな価値の協創に取り組んでまいります。さらにネットワークでは、お客様に「最高の快適さ」をお届けするため、10月には「PREMIUM 4G」で受信時最大370Mbpsを提供する予定です。第5世代移動通信方式の実証実験や標準化の活動においても、2020年度以降を見据え、世界中のパートナーと協力しながら積極的に取り組みを進めてまいります。また、中期目標を着実に達成するため、昨年に引き続き一層の事業の効率化を図り、経営体質を更に強化してまいります。ドコモは、企業の基本使命である「お客様サービスの向上」と「企業の持続的発展」の両面から、今年も取り組んでまいります。
2016年01月05日現在当媒体で連載中の兼業作家・カレー沢薫氏が、日常と創作にまつわるエピソードをつづるコラム「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」。このコラムの挿絵にも使われている漫画制作ソフト「ComicStudio」の販売終了が発表され、デジタル漫画制作に関わるクリエイターたちの間で大きな話題となっている。そこで今回は同コラムの番外編として、カレー沢氏にこの知らせを受けた所感を率直に語っていただいた。○ノストラダムスとコミックスタジオ現在漫画制作に使っているソフト「ComicStudio」(以下、コミスタ)の販売が、ついに2015年6月30日をもって終了することになってしまった。※編集注:カレー沢氏の漫画制作については、コラム「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」第4回を参照のこと。前々からコミスタが終了することはわかっていたのだし、それまでに後継ソフトである「CLIP STUDIO PAINT」(以下、クリスタ)に移行すべきだとは思っていたが、今でも私は完全にコミスタしか使っていない。そういう状況の作家は私だけではないだろう。1999年地球が滅亡する、とあれだけ予言されていたにも関わらず、結局みんな地球に住み続けていたのと同じように、みんなコミスタも何だかんだで終わらないんじゃないかと思っていたのではないだろうか。しかし、地球は木っ端みじんにならなかったが、コミスタは予定通り終わってしまった。もちろん終わったのは販売だけで、6月30日になった途端、コミスタが入っているパソコンが爆発するというわけではない。未だにGペンとインクで漫画を描いている作家が存在するように、コミスタで漫画を描き続けることも可能だが、これ以上コミスタが進化することもないし、サポートだっていつまで続くかはわからない。しかし、セルシスだって、コミスタ終了で悶え苦しみ地面をのたうち回る漫画家を笑いたくて、コミスタを終了させたわけではないはずだ(確かに私が泣き叫ぶ顔は面白いが)。後身であるクリスタで、すでにコミスタと同じか、それ以上の働きができると判断して、コミスタを終了させたのであろう。○クリスタ移行への苦難と障壁実は、私のパソコンにもクリスタ自体は入っている。コミスタが近々終了との報を受けて、一応、クリスタに移行しようとしたことはあるのだ。しかし、コミスタとクリスタ、大体同じようなものだろうと思ったら大分勝手が違う。まず、最初の原稿用紙サイズや枚数の設定の仕方がわからない、同じ「Gペン」という機能でも、コミスタのような線が描けずガタガタしてしまう。トーンはどう貼るのか、集中線は…などわからないことだらけなのだ。しかし上記のことはクリスタの機能が悪いわけではなく、私が使い方を理解していないのが悪いのだろう。ダブルクリックのスピードが遅すぎて、シングルクリックになってしまっているジジイと同じく、「おい、これ壊れてるぞ!」と憤慨しているようなものだ。しかし、コミスタだってイチから使い出したのだし、マニュアルをそんなに読んだ記憶もない。よって、描いていく内にクリスタだって使いこなせるはずなのである。○どんなソフトも●●へと変える魔法だが私がクリスタ移行を諦めて、依然コミスタを使っていた理由は機能の問題ではない。単純にクリスタが「重い」のである。「重い」というのは、クリスタのみならず、どんなに優れたパソコンツールをもクソへと変える魔法である。同じパソコンでも、コミスタは滑らかに描けるが、クリスタだと「おや 線画 遅れて 画面に表示されるよ」と、誰も覚えてなさそうなギャグを言ってしまうほど、動作が緩慢なのだ。これではいくら機能が優れていてもダメだ。普通のエロ動画と、超ドエロだが3秒に1回止まる動画があったら、とりあえず普通のエロ動画で事をすませるだろう。このように、漫画家の作業とは、夜の一人遊びと同じぐらい、迅速に滑らかにテンポよくやりたいものなのである。しかし、上記の問題は私のパソコンが低スペックすぎるせいでもある。何せ電気店で「一番安いのをくれ」と言って買ってきたノートパソコンだ。仮にも絵を生業としている者がふざけているにもほどがある。これを機にクリスタが滑らかに使えるデスクトップパソコンを購入すべきなのかもしれないが、机自体が小さく、さらに液晶ペンタブレットが場所をとるので、ノートパソコン以外は置くことすらできないのだ。ならば、パソコンと同時に机も新調すれば良いと思われるかもしれないが、仕事部屋がせまいので、でかい机は入らない。つまり、自分がクリスタに移行しようと思ったら、家を改築するか、ツルハシで部屋の入り口をぶっ壊して広げるしかないのである。以上の設備投資費と労力を考えると「まだコミスタでいいや」という結論に達してしまうことも致し方なしと言えるだろう。○カレー沢氏からセルシスへの提案それに加えて、動作環境を整えられたとしても、今度はまた「使いこなすことができない」という問題がやってくる。コミスタを使い始めたのは20代半ばだったが、今は30代。年々新しいことを覚えることが出来なくなっている。もはや、最新エロ動画を面倒くさい手順でダウンロードするより、使い古したカピカピのエロ本を使い続けることの方が楽と感じる年である。しかし、私はとにかく楽をしたい作家だ。終了してしまうコミスタを使い続けるより、これから進化するクリスタを使った方が、もっと楽をできるようになるはずである。よってセルシスは、新しいことについていけない中高年作家を対象に、クリスタ講座を開設すれば一儲けできるのではないだろうか。しかし相手はなまじ長年にわたってコミスタを使ってきた人間である。ことあるごとに「コミスタではこうだった」と言い続けるだろうが、それこそ高齢者が戦争体験を繰り返し話すのと同じだと思って聞き流してほしい。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。2015年2月下旬に最新作「やわらかい。課長起田総司」単行本第1巻が発売され、全国の書店およびWebストアにて展開されている。
2015年04月28日人気TVシリーズの待望の劇場版となる『深夜食堂』が1月31日(土)に公開を迎え、主演の小林薫を始め、高岡早紀、柄本時生、多部未華子、筒井道隆、菊池亜希子、オダギリジョー、松岡錠司監督が初回上映後の舞台挨拶に臨んだ。安倍夜郎の人気漫画を原作に2009年より連続ドラマとしてスタートしシリーズを重ねてきた人気作の映画化。深夜にひっそりと営業する食堂のマスターと、そこに集う個性的な客たちの人間模様を描き出す。“深夜”食堂ながら、朝8:45開始の初回上映は満席で松岡監督は「朝早くに起きて、午前中に観るために駆け付けてくださったみなさんに深く感謝します」と頭を下げる。小林さんは「監督が舞台そでで目頭を押さえていました(笑)」と暴露したが、これに対し松岡監督は「僕は目頭を熱くしてたかもしれないけど、トイレで号泣していたのは小林さん」とうそか真実かは不明だが(※小林さんは『なんで泣かないといけないの?』と否定)、いいトシの大人たちの暴露合戦の様相を呈し、会場は笑いに包まれる。小林さんは映画公開初日を迎え「今日がお正月のようなもの。こんなにたくさんの方に来ていただいて、“大吉”を引き当てた気分です」と笑顔を見せた。高岡さんは『バタ足金魚』以来となる実に二十数年ぶりの松岡監督の作品への出演。「感慨深かったです。(『バタ足金魚』での演技の)どこが悪かったのか…?呼んでくれなかったので(苦笑)」と苦情を言いたて、今回の現場についても「私には文句ばかり言うんです!」と語り、これには松岡監督も「小林さんといい、僕のことイジリに来たの…(苦笑)?」と困惑していた。TVシリーズから出演のオダギリさんは松岡監督について「普段から仲良くしていて、家族というと言い過ぎですが、親戚のおじちゃんのようなもの」と語り、本作に関しても「飲みながら『次はどうやろう?』という話をしていた」と明かす。「そうした過程を踏みながらこうして初日を迎えて、あのダラダラ飲んでた時間が少しは作品のためになったのならよかった。感慨深いです」と笑顔を見せた。映画にちなんで忘れられない一品について話を尋ねると、小林さんは一時期、納豆とネバネバ系の食べ物を混ぜて作る“五色納豆”に凝っていたことを告白。普段、納豆が食べられない友人も小林さんの作った五色納豆なら食べられたとのことだが、その友人の妻がそれで気分を害してしまったそうで、それが原因かは不明だが「しばらくしてその方は離婚しまして…(苦笑)」と申し訳なさそうに明かし、会場は爆笑!さらに「いまは別の方と再婚されて幸せになったんですが…」と近況まで明かし、自身の料理が引き起こした…かもしれない数奇な運命に首をひねっていた。『深夜食堂』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2015年01月31日安倍夜郎の人気コミックを映画化する『深夜食堂』のキャストと監督による初日舞台あいさつ1月31日(土)に丸の内TOEIで開催される。当日は、小林薫らキャスト7名と松岡錠司監督が登壇する。その他の写真本作は、ビッグコミックオリジナルで連載中の安倍夜郎の人気コミックをドラマ化に続いて映画化するもの。繁華街の路地裏にある小さな“めしや”にやってくるさまざまな客たちの人生模様を描く。ドラマ版に引き続き“めしや”のマスターを小林薫が演じ、愛人を亡くしたばかりの三十路女を高岡早紀、風采が上がらず安月給の平凡なサラリーマンを柄本時生、無銭飲食をしたことを機に、マスターの手伝いを兼ねて住み込みで働くことになったみちる役を多部未華子が演じる。丸の内TOEIで行われる初日舞台あいさつには、小林、高岡、柄本、多部、筒井道隆、菊池亜希子、オダギリジョー、松岡監督が登壇する。チケットは、いち早プレリザーブが受付中。プレリザーブ(先行抽選)は、21日(水)より受付を開始し、一般発売は、24日(土)午前10時よりスタートする。『深夜食堂』初日舞台あいさつ1月31日(土)会場:丸の内TOEI (東京都)開場8:25/開映8:45 上映後舞台あいさつ登壇者(予定):小林薫、高岡早紀、柄本時生、多部未華子、筒井道隆、菊池亜希子、オダギリジョー、松岡錠司監督料金:大人 2000円、大学・高校生 1700円※当日要学生証、3歳~中学生 1200円、シニア 1300円※60歳以上、障がい者手帳お持ちの方 1200円※当日要障がい者手帳いち早プレリザーブ:受付中~1月21日(水)11:00AMまでプレリザーブ:1月21日(水)11:00AMより~23日(金)11:00AMまでチケット発売:1月24日(土)10:00AMより
2015年01月19日ライカギャラリー京都は、小山薫堂とアレックス・ムートン(Alex Mouton)による写真展「KYOTO KOTOKOTO TOKOTOKO」を開催する。期間は2015年1月10日から3月29日まで。小山薫堂は「料理の達人」などを手掛けた放送作家で、人気キャラクター「くまモン」の作者としても有名。現在は料亭「下鴨茶寮」の主人や、アンテナショップ「京都館」の館長を務めている。一方、アレックス・ムートンは写真を愛する旅人で、先日にはパリを訪問したくまモンを撮影したことで話題となった。なお、今回の展覧会は京都市が提唱する“歩くまち・京都”憲章に則り、京都市内を散策中に2人が見つけた魅力的な景色を展示。それぞれの生まれ年に製造されたアンティークレンズを用いて、古都京都の雰囲気が伝わるような作品が撮影された。【イベント情報】KYOTO KOTOKOTO TOKOTOKO会場:ライカギャラリー京都住所:京都市東山区祇園町南側570-120ライカ京都店2階期間: 2015年1月10日から3月29日時間:11:00から19:00休廊日:月曜日入場無料
2014年12月19日小さなめし屋で繰り広げられるユーモラスで、時に切なくなる人間模様を描き、人気を博してきた小林薫主演のドラマの映画化作品『深夜食堂』。このほど、炊きたてご飯や煮込みカレーなど美味そうな“めし”も収められた予告編が到着した。ネオン煌めく繁華街の路地裏にある小さな食堂。夜も更けた頃に「めしや」と書かれた提灯に明かりが灯ることから、人は「深夜食堂」と呼ぶ。メニューは酒と豚汁定食だけだが、頼めば大抵の物なら作ってくれる。そんなマスターが出す懐かしい味を前に、客たちの悲喜こもごもな人生模様が交差する。春夏秋冬、ちょっとワケありな客たちが現れては、マスターの作る懐かしい味に心の重荷を下ろし、胃袋を満たしては新しい明日への一歩を踏み出していく――。今回公開されたのは、深夜食堂ファンおなじみの「赤いウインナー」から始まる予告編。小林さんが焼く卵焼きの音や、炊きたてご飯の土鍋をあけた瞬間の湯気、じっくりとカレーを煮込む音、見ているだけでお腹が空いてきそうな映像だ。そんな美味しい食べ物の中に描かれるのは、登場人物の人生。もちろんカナ・ミキ・ルミの“お茶漬けシスターズ”や常連客の姿も映し出されている。また、「めしや」の二階で煙草を燻らせるマスターや、昼間の路地にいるマスターなど、日常の姿も垣間見え、映画でしか観ることのできないマスターの日常の様子はファン必見!「できるもんならなんでも作るよ」というお決まりのセリフも健在だ。「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載中の安倍夜郎の大ヒット漫画を原作に描かれる本作。キャストには、マスターの小林さんを始め、ドラマ版でもおなじみの常連客に、綾田俊樹、不破万作、松重豊、安藤玉恵、山中崇、宇野祥平、光石研はもちろん、オダギリジョーも前作までとは一変、新たなキャラクターとして登場。さらに、疲れた顔で誰しもがなじみのあるカレーを頬張る謙三役の筒井道隆、至福のときを味わうかのような笑顔でとろろご飯を見つめるみちる役・多部未華子、一見楽しげだが真の心は隠したままのミステリアスに微笑むたまこ役・高岡早紀など大切なメニューとともにそれぞれの人間ドラマを温かく描いていく。『深夜食堂』は2015年1月31日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月15日シリーズ累計230万部発行、国民的“食”コミックがTVドラマに続き、遂に映画化される『深夜食堂』。ドラマ1、2に引き続き、小林薫を主演に、「めしや」の一年間の日々を春夏秋冬、季節感たっぷりに描かれる本作からポスタービジュアルが公開された。ネオンきらめく繁華街の路地裏にある小さな食堂。夜も更けた頃に「めしや」と書かれた提灯に明かりが灯ることから、人は「深夜食堂」と呼ぶ。メニューは酒と豚汁定食だけだが、頼めば大抵の物なら作ってくれる。そんなマスターが出す懐かしい味を前に、客たちの悲喜こもごもな人生模様が交差する――。本作は、「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載中の安倍夜郎の大ヒット漫画を原作に、『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』で日本アカデミー賞を受賞し、ドラマシリーズ「深夜食堂」も手がける松岡錠司がメガホンを取る。今回公開されたビジュアルには、自身が切り盛りする、“めしや”のトレードマーク、暖簾と提灯の前で仁王立ちする小林さんの姿が。一定の距離を保ったまま店へと迎え入れるマスターの器の大きさを表したかのようなビジュアルだ。また、ポスターの下方には今回の映画での「客」となる人々が集結!疲れた顔で誰しもがなじみのあるカレーを頬張る謙三役の筒井道隆、至福のときを味わうかのような笑顔でとろろご飯を見つめるみちる役・多部未華子、一見楽しげだが真の心は隠したままのミステリアスに微笑むたまこ役・高岡早紀などの姿が映し出されている。ほかにもドラマシリーズの風貌とは一変した警察官の恰好をしたオダギリジョーや、田中裕子、余貴美子など実力派のキャストが顔を揃える。映画『深夜食堂』は2015年1月31日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月11日JALは5月より国際線の機内販売にて、同社の新商品・サービス総合アドバイザーである脚本家・小山薫堂との特別企画「JAL スカイ ビスポーク」を開始した。その第1弾として、英高級靴ブランド「ジョンロブ(JOHN LOBB)」の「バッフィンググローブ」を6月まで販売する。価格は1万4,000円。「JAL スカイ ビスポーク」は、伝統あるブランドの高い技術を持つ職人によるアイテムを、JALオリジナル商品として販売するというもの。2015年4月まで、2か月ごとに全6回に渡り新製品を提供していく。「バッフィンググローブ」は靴の表面を磨くためのミトンのこと。表面に貼られたムートンの天然オイルによって、革に傷をつけることなく艶が出せる。クリームなどを必要としないため、旅先に持ち歩けば気軽に靴を磨くことが可能。ジョンロブでは全7色のグローブをラインアップするが、今回はJALオリジナルカラーとしてコーポレートカラーの赤を使った商品となっている。
2014年05月10日八千草薫を主演に迎え、今年101歳で亡くなった詩人・柴田トヨの半生を描く映画『くじけないで』。11月12日(火)に皇后美智子さまが行啓され、本作の試写会が開かれ、八千草さんを始め、共演の武田鉄矢、監督の深川栄洋と共に作品をご鑑賞された。本作は90歳を超えてベストセラー詩人となったトヨさんが、詩を書き始めるきっかけとなったエピソードや、詩集の背景となった家族のドラマなど、明治から平成までを生き抜いた100年の歴史をトヨさんの詩にのせて丁寧に描く感動のヒューマンドラマ。この日の試写会後に、報道陣の取材に応えた八千草さんは、美智子さまから「観終わってすぐに、『とても良いものを見させていただいた』と仰っていました」と嬉しそうにコメント。さらに映画鑑賞前にもお話しましたといい、「『(武田さんが演じた)健一さんと武田さん(ご自身)はよく似ていますか?』と聞かれたので、とても良く似ていますとお話しました。『どのようなところですか?』と聞かれたので、ダメなところが…(笑)、とお話しした後、健一さんのシーンで3、4回笑ってくださっていて感動しました」と楽しそうに明かしてくれた。また、八千草さんは82歳、美智子さまは79歳とあって、同世代の女性として皇后陛下が仰ったお言葉で心に残っていることは?と八千草さんに向けて質問が飛んだが、何故か武田さんが「オレが代わりに答えます」と一歩前へ。「八千草さんのことを『いつまでもお美しい』と仰っていました。作品に関しては、『誰もが憧れるおばあさまが描かれていました』と仰っていました」(武田さん)。これを受けて、八千草さんは恐縮しながらも「皇后陛下は、心からの美しさがあり、本当に優しさが滲み出ていらっしゃいました」と語っていた。『くじけないで』は11月16日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:くじけないで 2013年11月16日より全国にて公開(C) 2013「くじけないで」製作委員会
2013年11月13日