東京大学(東大)は6月25日、1度のプリントだけで、布地に電子回路を形成できる高い伸縮性を有した導体を開発し、それを用いたテキスタイル型(布状)の筋電センサを作製することに成功したと発表した。同成果は、同大大学院工系研究科の染谷隆夫 教授、同 松久直司 大学院生らによるもの。詳細は、6月25日(英国時間)の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。これまで導電率の高い導体や、伸長性が高い導体は存在していたが、その両方を高い値で両立できる伸縮性導体はこれまでなかった。今回、研究グループは、フッ素系ゴムに添加物として銀フレークを添加したほか、さらにフッ素系の界面活性剤を加えることで、伸長性215%と、その際の導電率182S/cmという200%以上の伸縮性導体の中で世界最高クラスの導電率を実現することに成功したという。この界面活性剤を入れることにより、なぜ伸長歪が200%を超えても高い導電率を維持できるかのメカニズムについて染谷教授は、「塗布後の乾燥の際に、界面活性剤の作用により布地の表面に銀が析出し、銀同士の導電性ネットワークを自己形成することで、導電性が向上したのではないか」と説明する。実際に布地にプリントした配線は、縦にも横にも自在に伸縮できることを確認しており、形成された配線も伸縮を繰り返しても性能の劣化がほどないことが確認されているという。また、作製した筋電センサでは、有機トランジスタで作成したアンプを組み合わせることで、筋電信号を18倍に増幅できることを確認したという。なお、これにより生体のさまざまな部位の生体データを取得するセンサを一着の服に搭載することが可能になり、医療や福祉、スポーツ分野でのテキスタイル型ウェアラブルデバイスの実現が可能になるというが、実際にそうした分野に適用するためにはまだ課題があるという。1つ目はさらなる伸縮性の向上。人の関節における皮膚の伸びは100%以上で、その倍となる200%を超えることが今回できたものの、これは最初の目標であり、実際に服と着る際に回路が壊れることがないように、という意味であるとする。また、2つ目は洗濯性などの耐久性の向上で、洗濯をすると回路としての性能の変化はほぼないものの、界面活性剤が抜けて行ってしまい、柔軟性が落ちてくるとのことで、表面活性剤の量の調整や水に溶けない鼻薬の調合、防水性コーティング技術などの開発を進めていくとする。そして3つ目が電力の供給やスマートフォンなどの他のデバイスとの無線通信を実現する周辺技術の確立だとする。こうした周辺技術に関して染谷教授は必ずしも有機半導体のみで実現しようというわけではなく、既存の小型無線通信ユニットなどとの組み合わせも含めて、現実的な解の模索を進めていくとしており、この技術に興味を持ってくれる企業との共同研究なども積極的に行っていきたいとしている。
2015年06月25日東京大学(東大)は、カーボンナノチューブ(CNT)を用いて、レアメタルであるインジウム(In)を含まないフレキシブルな有機薄膜太陽電池を開発したと発表した。同成果は、同大大学院理学系研究科の松尾豊 特任教授、同大大学院工学系研究科の丸山茂夫 教授らによるもの。詳細は「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。従来、有機薄膜太陽電池には透明電極として酸化インジウムスズ(ITO)が用いられてきたが、レアメタルであるInは需要に対して供給量がひっ迫するリスクなどがあった。一方、CNTは元素として豊富な炭素を原料とし、かつ優れた特性を持つ材料として期待されてきたが、太陽電池分野においては、CNT薄膜による透明電極を用いた有機薄膜太陽電池の変換効率は2%程度と低かった。研究グル―プは今回、CNTを有機薄膜太陽電池の透明電極として用いるための方法論を確立した。具体的には、単層CNT(SWCNT)による薄膜に有機発電層からプラスの電荷のみを選択的に捕集して輸送する機能を付与することで、6%以上の変換効率を達成できることを確認したという。また、PETフィルムの上にCNT薄膜を転写して用いることでフレキシブルなCNT有機薄膜太陽電池を作製することにも成功したとする。なお研究グループでは今後、有機材料やデバイス構造の最適化を行うことで、さらなる高効率化研究に取り組む予定だとしている。
2015年06月18日東京大学(東大)は6月16日、これまで存在が不確かであった、電池の充電を早くする「中間状態」を人工的に作り出すことに成功したと発表した。同成果は東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫 教授、西村真一 特任研究員らの研究グループによるもので、6月12日に独化学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。電池には充電状態でも放電状態でもない「中間状態」があり、これが反応中に現れることで充電を早く行うことができるとする学説については、そもそもそのような状態が存在するのか、存在したとしてどのような場合に現れるのかという漠然な議論に留まっていた。今回の研究では、電気を蓄える物質の元素の構成比や熱処理の条件を最適化することで、室温で長時間安定に存在する「中間状態」が人工的に得られることを発見し、その存在を証明した。また、「中間状態」を分析した結果、電子の並びが縞状に規則正しく模様を描き、これを邪魔しないようにイオンが自発的にその位置を柔軟に変えていることがわかった。このような状況下では、通常観測される充電状態や放電状態よりも電子やイオンがはるかに高速に移動できることも判明。これにより、「中間状態」を発現させることが、充電速度を早くする上で重要な方向性となることが明らかとなった。同研究グループは「電池の充電速度を速くするための一般的な指標が得られ、これをもとに材料の開発を行い、充電条件を最適化することで、充電時間の短縮が効率的に行われる。電池の充電時間が短縮されることで、生活の様々な局面での利便性が向上することが期待される」とコメントしている。
2015年06月17日東京大学(東大)は6月16日、遺伝子の改編操作(ゲノム編集)を光を用いて自在に制御することを可能とする技術を開発したと発表した。同成果は、同大 大学院総合文化研究科広域科学専攻の二本垣裕太 大学院生、同 佐藤守俊 准教授らによるもの。詳細は米国科学誌「NatureBiotechnology」オンライン版に「Photoactivatable CRISPR-Cas9 for optogenetic genome editing」というタイトルで掲載された。ゲノム編集を行うためには、ゲノム上の狙った塩基配列をDNA切断酵素(Cas9タンパク質)で切断する必要があるが、従来の技術ではこのDNA切断酵素の活性を制御できないという課題があり、その結果、特定の効果を狙ったゲノム編集を行うことができなかった。今回、研究グループでは、独自に開発した青色の光に応答して互いに結合する光スイッチタンパク質を、分割して活性を失ったCas9の断片に連結。青色の光を照射することで、分割したCas9が、分割前のようにDNA切断活性を回復し、標的の塩基配列を切断できるようになることを確認した。また、光の照射を止めると、結合力が亡くなり、DNA切断活性が消失することも確認したという。さらに、これらの技術をツール化(光活性化型Cas9:paCas9)することで、狙ったゲノム遺伝子の塩基配列を改変、その機能を破壊したり、別の塩基配列に置き換えたりできること、光照射のパターンを制御することでゲノム編集を空間的に制御できることなども確認したとするほか、paCas9に変異を加えてDNA切断活性を欠失させることで、ゲノム上の狙った遺伝子に結合して当該遺伝子の発現を光で可逆的に抑制できることにも成功したとする。なお、今回の成果を受けて研究グループでは、例えば脳における神経細胞のように、組織の中で狙った細胞単位でのゲノム編集が実現できるようになるとコメントしており、この技術が、ゲノム編集の応用可能性を広げることにつながることが期待されるとしている。
2015年06月16日東京工業大学(東工大)や東京大学(東大)、放射線医学総合研究所(放医研)などで構成される研究グループは6月10日、日帰りがん治療の実現に向けたナノマシン技術を開発したと発表した。同成果は、東大大学院工学系研究科/医学系研究科・教授の片岡一則氏(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)・センター長兼任)、東工大 資源化学研究所・教授、ナノ医療イノベーションセンター・主幹研究員の西山伸宏氏、ナノ医療イノベーションセンター主任研究員のMI PENG氏、放医研 分子イメージング研究センター・チームリーダーの青木伊知男氏らによるもの。詳細は米国化学会発行のナノテクノロジー専門誌「ACS Nano」に掲載された。今回開発された技術は、骨の成分であるリン酸カルシウムの内部に、造影剤として用いられるガドリニウム(Gd)-DTPAをナノ化し、取り込み、ドラッグデリバリシステム(DDS)としてがん組織に送り込むというもの。Gdは中性子線が当たると核反応によりガンマ線やオージェ電子を放出、これでがん細胞などを破壊することでがんの治療を実現する。具体的には、がん細胞に確実に届けるために、リン酸カルシウムの表面にポリエチレングリコールやアスパラギン酸を組み合わせた直径55nmのナノ結晶集合体(ナノマシン)を構築。この大きさは、正常な血管の場合、血管周辺の組織につながる孔では狭く通らないが、がん細胞が周辺にある血管の場合、100nmまでその孔が拡大するため通り、がん細胞の近辺に到達するサイズだという。また、リン酸カルシウムは正常の細胞ではほぼ中性のpH7.4程度では比較的安定しているが、pHが酸性になると溶ける性質があり、がん細胞は部位によって異なるがpHが6.5~5程度であり、さらに細胞内に取り込まれた場合は酸性度が向上するため、内部のGd-DTPAががん細胞およびその周辺組織にダイレクトに届けられることとなる。Gd-DTPAはこれまでの研究から、がん組織に選択的に集積されることが確認されており、実際に研究グループの研究でもMRIを用いて、固形がんを選択的に造影できていることが確認されているほか、ナノマシン化により、Gd-DTPA錯体のMRI造影剤としての性能を表すT1緩和能をGd-DTPA錯体と比べて、5~6倍に増大させる効果を有することも確認したという。研究では、大腸がん細胞を皮下に移植したマウスを複数例作成し、ナノマシンを投与した結果、ナノマシンが血中に長期滞留し、がん組織に選択的に集積することを確認。これらの結果を受けて研究グループでは、この技術を応用していくことで、MRIによるがんのイメージングの容易化、熱中性子線の照射によるがん組織のみのピンポイント治療の実現の可能性が示されたとしており、将来的な切らない手術の実現と、入院不要の日帰り治療も可能になると期待されるとコメントしている。なお研究グループでは、今後は関係機関などとの調整、ならびに中性子線を発生させるための加速器の設置、病院で実施する場合の設備の検討などを行う必要があるとするが、数年以内にそういった次の段階に進みたいとしている。
2015年06月10日東京大学(東大)と国立天文台は6月9日、アルマ望遠鏡と重量レンズのかけ合わせで、117億光年の距離にある銀河の内部構造を解明したと発表した。同成果は東京大学理学系研究科の田村陽一 助教と大栗真宗 助教および国立天文台の研究グループによるもので、6月9日付けの「日本天文学会欧文研究報告」に掲載された。重力レンズとは、質量が時空の歪みを介して光を曲げる減少で、非常に重い天体の周囲で生じ、その向こう側の天体の見かけの姿を拡大・増光する性質がある。今回の研究では、今年2月にアルマ望遠鏡がとらえた117億光年の距離にあり、爆発的に星を生み出しているモンスター銀河「SDP.81」の画像を、同研究グループが提案した重量レンズ効果モデルを用いて解析した。その結果、「SDP.81」では差し渡し200~500光年の塵の雲が、およそ長さ5000光年の楕円状の領域に複数分布していることがわかった。この塵の雲は、巨大分子雲と呼ばれる、恒星や惑星が生まれる母体だと考えられるという。また、重力レンズ効果を引き起こしている手前の銀河に質量が太陽の3億倍以上におよぶ超巨大ブラックホールが存在することも判明した。今後、アルマ望遠鏡と重力レンズの組み合わせで、なぜモンスター銀河が形成されるのか、どのように超巨大ブラックホールが成長するかの解明につながることが期待される。
2015年06月09日東京大学(東大)や理化学研究所(理研)などで構成される研究グループは、スピントロニクス材料として期待される巨大磁気抵抗を示すコバルト酸化物「SrCo6O11」に、スピン配列の周期として理論的に考えられるすべての状態が存在し、それらが磁場の変化とともに磁化が階段状に増加していく様子「悪魔の階段」を確認することに成功したと発表した。同成果は、東大 物性研究所の和達大樹 准教授、同大学院工学系研究科の石渡晋太郎 准教授、同大学院工学系研究科の十倉好紀 教授(理化学研究所創発物性科学研究センター センター長)、京都大学化学研究所の齊藤高志 助教、独Leibniz Institute for Solid State and Materials Research Dresde とHelmholtz-Zentrum Berlin らによるもの。詳細は米国科学誌「Physical Review Letters」の6月8日オンライン版に掲載される予定。実際の観測は、ドイツの放射光施設「BESSY II」において共鳴軟X線回折実験として行われ、その結果、ほとんどすべてのスピン配列の周期性に対応する分数値の回折ピークが観測され、各々の温度でさまざまな周期の磁気秩序が共存している様子が確認されたとのことで、これについて研究グループは、磁気的な相互作用の正負が距離によって変化するモデルを理論的に解くことで得られる「悪魔の階段」の状態が、実際の物質で実現している事が示されたとしている。また、さらなる解析により、磁化の測定で見られたステップを生み出す磁気構造の様子の解明にも成功したとのことで、これにより、「悪魔の階段」を生み出す磁気構造の詳細が判明したとしている。なお研究グループでは今後、こうした「悪魔の階段」型の磁気構造をさらなる系統的な研究により他の物質にも見つけることを目指し、単純に磁場により電気抵抗を増減させるだけでなく、電気抵抗や磁化が階段状にとびとびの値をとることを活かした、新しいタイプのスピントロニクス材料の開発などにつなげたいとしている。
2015年06月05日東京大学(東大)とベネッセホールディングスは6月4日、2014年1月に立ち上げた「子供の生活と学び」の実態の解明に向けた共同研究プロジェクトの第1回調査を2015年7月に実施すると発表した。同調査は、小学1年生から高校3年生までの親子約2万1000組に対し、10年程度の長期にわたり、追跡調査を行い、その結果から、子供の生活や学習の状況、保護者の子育ての様子などにより、子供の成長がどのように変わるのかを明らかにしようというもの(毎年、小学1年生が補充されていく予定)。調査の内容については、子供(小学4年生~高校3年生)に向けては、日頃の生活(生活時間、生活習慣、遊び、ICTの利用状況、学校生活)、人間関係(親子関係、友だち関係)、学習(学習実態、学習習慣、受験、勉強についての意識)、意識・価値観(悩み、社会観、職業観)、身につけている力などとなっており、保護者に向けては、子供への働きかけ(子育て・しつけの実態、家庭のルール、親子の会話)、子育て・教育に関する意識(教育方針、教育観、子供に対する希望、将来像、受験)、教育費(習い事、学習塾)、保護者自身の生活(仕事や生活の状況)などとなっている。プロジェクトの代表者は、東京大学社会科学研究所の石田浩 教授ならびにベネッセ教育総合研究所の谷山和成 所長となっており、研究結果については東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所にて広く公表する予定としているほか、元データについては東京大学社会科学研究のデータアーカイブ(SSJDA)に寄託し、研究・教育目的で公開を行う予定だとしている。なお、第1回目の調査結果については2016年2月に公表される予定だという。
2015年06月05日東京大学(東大)は5月28日、悪性度の極めて高い小細胞肺がんを移植したマウスに、がん細胞にのみ結合する抗体「90Y標識抗ROBO1抗体」を投与したところ、腫瘤が著明に縮小することを確認したと発表した。同成果は、東大医学部附属病院 放射線科/東大大学院 医学系研究科核医学分野 准教授の百瀬敏光氏、東大医学部附属病院 放射線科 特任助教/東大大学院 医学系研究科核医学分野 博士課程学生(当時)の藤原健太郎氏、東大先端科学技術研究センター 計量生物医学 教授の 浜窪隆雄氏、東大先端科学技術研究センター システム生物医学 特任教授の児玉龍彦氏らによるもの。詳細は「PLOS ONE」に掲載された。肺がんは、がんの中で最も罹患率・死亡率が高く、その内、成長が早く、転移しやすい小細胞肺がんが約15%を占めているが、身体の他の部位までがんが広がってしまっている段階の進展型小細胞肺がんは、悪性度が高く、有効や治療法が確立されていない。今回、研究グループは、放射性同位元素で標識した「がん細胞にのみ結合する抗体(90Y標識抗ROBO1抗体)」を開発し、実際に、小細胞肺がんを移植したマウスに投与したところ、がん細胞を殺傷し、腫瘤を縮小させる効果があることを確認したという。また、こうした抗体を投与して、がんに集積させることで、小細胞肺がんを移植したマウスの体内から放射線治療をする「放射免疫療法」が、進展型小細胞肺がんの根治や余命の改善に向けた治療法の確立につながることが期待できるとしており、今後は、同薬剤の治療効果と副作用に関する詳細な評価に加え、治療効果や副作用のさらなる改善を目指して、化学治療との併用治療や、別の治療用放射性同位元素の導入、抗体の小分子化などを検討していくとするほか、抗体の体内動態を可視化することで、SPECT/PETイメージング用診断薬の開発にもつなげたいとしている。
2015年06月01日宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学(東大)は4月20日、理論的には金属だと考えられていたホウ素が、実は金属ではなく、半導体的性質を強く持つことを明らかにしたと発表した。同成果は、JAXA宇宙科学研究所の岡田純平 助教、石川毅彦 教授と東大の木村 薫 教授を中心とする研究グループによるもので、米国物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載される予定。元素は大きく分けると金属と非金属(半導体、絶縁体)に分類され、ホウ素やケイ素(シリコン)などは金属と非金属の境界に位置しているとされる。こうした元素は固体と液体とで性質が異なり、例えばシリコンや炭素は固体では半導体だが、溶けると金属になる。ホウ素も溶けると金属になると考えれられていたが、融点が2077℃と非常に高く、極めて反応性が高いため、安定して保持できる容器が存在しないことが研究の障害となっており、実際に金属になるかどうかは確認されていなかった。同研究では、国際宇宙ステーションでの実験に向けてJAXAが開発した静電浮遊法という技術を採用することでこの課題を克服。同技術では静電気によって材料を浮かせて保持するため、容器を用いる必要がなく、溶融状態のホウ素でも他の物質と反応することがない。同研究グループは、大型放射光施設SPring-8内に静電浮遊溶解装置を設置し、ホウ素融体中の電子の挙動を観測・解析することで、ホウ素融体中の電子の分布を求めた。その結果、大半の電子が原子間に拘束されていたことから、ホウ素融体は金属ではなく、半導体であることがわかった。今回の研究で2000℃以上の超高温状態のホウ素を調べることに成功したことで、今後、これまでは調べることが困難とされていた超高温状態における物質の性質を調べることが可能になる。また、超高温状態の性質がわかっていない物質を正確に理解し、利用することで新たな材料開発につながることが期待される。
2015年04月20日東大発のベンチャー企業・エルピクセルは4月20日、生命科学分野の学術論文の画像を中心に、人工知能を用いた研究画像不正検査サービス「LP-exam Cloud」の販売を開始すると発表した。同サービスでは、研究画像に対する加工の有無を自動で推定するために画像自動分類の特許技術を採用。大学や研究機関が画像をアップロードするだけで安易な不正・加工の有無を検査することが出来きるという。加工が推定された画像についてはライフサイエンス研究と画像解析の専門家が確認・解析し、レポートを作成する。料金は定額制で月額約3万円、1画像約500円から解析ができ、研究室単位で導入することも可能だ。エルピクセルは「LP-exam Cloud」を提供することで、これまで膨大な時間がかかるとされ敬遠されていた不正加工の検査にかかるコストを削減し、画像不正が生じない環境の構築を支援するとしている。
2015年04月20日東京大学(東大)は4月16日、フロー精密合成という新しい手法によって医薬品有効成分であるロリプラムを高収率、高選択収率で合成することに成功したと発表した。同成果は東大大学院理学系研究科の小林修 教授らの研究グループによるもので、4月16日付け(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載された。医薬品原薬・化成品・農薬などの化学製品は、その99%以上がバッチ反応法という手法で合成されている。同手法は複雑な構造の化合物を作製できる一方、各段階で中間体の単離・精製操作を繰り返すため、余分なエネルギーが必要となり、廃棄物も大量に排出されるという課題があった。より省エネルギーで無駄の少ない流通法という手法もあるが、こちらは合成が難しく、アンモニアなど簡単な気体の合成に利用されるにとどまっていた。小林教授らは流通法によって高収率、高選択収率を実現する合成手法を「フロー精密合成」と提唱し、その実現のために触媒や合成手法の開発を進め、さらに、個々の反応を組合せて、多段階流通システムを構築し、構造的に複雑な化合物を合成することを目指して研究を行ってきた。今回の研究では、新たに開発した触媒を充填した4本のカラムに、市販の原料を順次通すだけで高純度のロリプラムを得ることに成功。同手法は中間体の単離や精製などが一切不要で、物質の反応に必要なエネルギーもバッチ反応法に比べて低く、触媒と生成物の分離操作が不要という特徴がある。また、医薬品に限らず、香料や農薬、機能性材料などの付加価値の高いファインケミカルの合成に適用できる可能性もある。ファインケミカルの合成は日本の得意分野であったが、近年中国、インド、東南アジアに多くのシェアを奪われており、今回開発された手法はこれらの国との価格競争にも対抗しうる高度技術となることが期待される。
2015年04月16日Ryo-MAとダイレクトマーケティングゼロ(DM0)は4月8日、事業提携を締結し、EC通販企業が自社KPIを手軽に診断することのできるツール「ECドクター」の提供を開始した。ECドクターは、ECや通販事業を運営する企業が自社のKPIの相対的な評価を診断することができるサービス。CPO(コストパーオーダー)やLTV(ライフタイムバリュー)など26個の質問に答えるだけで、自社の強みと弱みを数値で確認することが可能だ。また、DM0のコンサルティング経験から蓄積したEC通販企業約100社のデータベースを基に基準値をひき出しているため、自社の状況を相対的に数値化することができる。今後、Ryo-MAの運営するポータルサイト「ECのミカタWEB」内やメルマガ、「ECのミカタ通信」にて「ECドクター」の登録と利用を案内する予定だ。
2015年04月10日東京大学(東大)などは、リチウムなどの希少元素を使用しない次世代電池の候補であるナトリウムイオン電池のマイナス極を開発したと発表した。今回の成果は、東京大学 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫 教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の大久保將史 准教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の王憲芬 特任研究員、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の梶山智司 特任研究員、同大 工学部 化学システム工学科の飯沼広基 学部生、長崎大学 大学院工学研究科の森口勇 教授、同大 大学院工学研究科の小路慎二 大学院生らによるもの。同研究の詳細は「Nature Communications」に掲載された。リチウムイオン電池は、希少元素であるリチウムやコバルトを使用しており、さらなる低コスト化などを図るためにはリチウムをナトリウムに置換したナトリウムイオン電池の実現が求められている。しかし、その実現のためには、ナトリウムイオンを吸蔵・放出する化合物の対(プラス極/マイナス極)が必要であった。プラス極は、これまでの研究からナトリウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる化合物が多数報告されるようになっているが、マイナス極については、急速充電、長時間の電流供給、充放電の繰り返しに対する安定性などの条件を満たす化合物が見つかっていなかった。今回、研究グループは、新たにチタンと炭素で構成されるシート状の化合物を合成し、それをマイナス極に応用したところ、多量のナトリウムイオンを吸蔵・放出する特性を示し、ナトリウムイオン電池の長時間の電流供給を可能とするマイナス極であることが確認されたほか、急速充電にも対応できることが示されたという。実際にすでに研究グループが発見していた安価な鉄と硫黄で構成されるプラス極と組み合わせることで、ナトリウムイオン電池のプロトタイプを試作。長時間の電流供給が可能であり、充電・放電を繰り返すことによる劣化もないことが確認されたとする。なお、研究グループでは、今回の成果について、試作したナトリウムイオン電池はナトリウム、鉄、硫黄、酸素、チタン、炭素などの汎用元素のみで構成され、まったく希少元素を使用する必要がないものであり、この結果を受けて、低コストな電池の実用化が加速していくことが期待されるとコメントしている。
2015年04月06日東京大学(東大) 生産技術研究所の竹内昌治 教授と李源哲 特任助教の研究グループは、無機ナノマテリアルがグラフェン上に自発的に規則正しく整列する(自己組織化する)現象を応用して、単層グラフェンの帯状構造(グラフェンナノリボン)を独自の手法で形成することに成功したと発表した。同手法によるグラフェンナノリボンの作製は、シリコンに代わる半導体素材として注目されているグラフェンの利用可能性を大きく高めると期待される。竹内教授らは、まず、常温の水溶液中でシアン化金がグラフェン上にナノサイズの繊維状構造(ナノワイヤ)を自己組織化することを発見した。従来、グラフェン上に有機物を自己組織化させることは可能だったが、無機物を自己組織化させるにはグラフェンの表面を加工するか、高温下で無機物を蒸発させて付着させるなどの特殊な方法を用いる必要があった。今回、竹内教授らは、金を含む室温の水溶液に表面を加工していない純粋なグラフェンを浸すことで、温和な条件下でグラフェン上にシアン化金が自発的に整列し、ナノワイヤが自己組織化されることを見出した。作製されたナノワイヤは、グラフェンの結晶構造に沿って整列しており、これを観察することで間接的にグラフェンの結晶構造を知ることができる。ナノワイヤはグラフェンに比べて簡単に観察できるため、これを利用することでグラフェンの結晶構造解析にかかる手間と時間を減らすことができると期待される。次に、このナノワイヤをもとにしてグラフェンをエッチングすることで、ナノリボンを作製することに成功した。ナノリボンは幅が約十nm、厚さが炭素原子1個分の極めて薄い帯状の構造体。グラフェンナノリボンは、半導体デバイスやバイオセンサなどとして利用できる可能性があり、次世代の半導体素材として期待されているグラフェンの応用可能性を大きく広げるものとして期待される。同成果は、学術誌「Nature Nanotechnology」にて公開される。同研究は、カリフォルニア大学バークレー校、蔚山科学技術大学校、ハーバード大学、建国大学校、ローレンス・バークレー・ナショナル・ラボラトリーとの共同研究により行われた。なお、同研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「竹内バイオ融合プロジェクト」の一環として行われた。
2015年03月26日ホテル大阪ベイタワー(大阪市港区)は山陽新幹線全線開業40周年と3月14日の北陸新幹線開業を祝して、「ドクターイエロー」をかたどったケーキ「0系新幹線ドクターイエロー(T3)ケーキ」を予約販売する。ドクターイエローこと「新幹線電気軌道総合試験車」は、新幹線の軌道や電気設備、信号設備を検査する車両で、"新幹線のお医者さん"としても知られている。時刻表が非公開となっているため見ることが難しく、「見ると幸せになれる」との呼び声も高い。この「0系新幹線ドクターイエロー(T3)ケーキ」はホテル大阪ベイタワー1Fロビーラウンジで販売し、3月14日から4月27日まで予約を受け付けている。引き渡しは店舗にて3月14日~4月30日の各日10:00~19:00で、4日前までに予約が必要となる。なお、配達での引き渡しは行っていない。料金は1台税込2,800円。
2015年03月13日東京大学(東大)、キリン、小岩井乳業は3月12日、カマンベールチーズの摂取にアルツハイマー病の予防効果があることを確認し、その有効成分を同定したと発表した。同成果はキリンR&D本部基盤技術研究所、小岩井乳業、東大大学院農学生命科学研究科の中山裕之 教授らの研究グループによるもので、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。これまでの研究で、チーズなどの発酵乳製品を摂取することで老後の認知機能低下が予防されることは知られていたが、それがどのような成分とメカニズムによるものかはわかっていなかった。同研究グループが今回、市販のカマンベールチーズの摂取によるアルツハイマー病への作用を検証した結果、アルツハイマー病モデルマウスにカマンベールチーズから調製した餌を摂取させると、アルツハイマー病の原因となる脳内物質であるアミロイドβの脳内沈着が減少し、脳内の炎症が緩和されることがわかった。さらに、オレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールとう物質が、脳内で異物の排除を担うミクログリアという細胞のアミロイドβを除去する機能と抗炎症活性を促進していることを特定した。これらの物質は乳の微生物による発酵過程で生成されたと考えられている。
2015年03月13日東京大学(東大)とアメリカ航空宇宙局(NASA)は3月12日、土星の衛星であるエンセラダスに原始的な微生物が発生し得る環境が存在すると発表した。同成果は東大大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の関根康人 准教授らの研究グループと、米コロラド大学のSean Hsu 博士を中心とする研究グループによるもので、3月12日付けの科学誌「Nature」に掲載された。エンセラダスは直径500km程度の天体で、地表の割れ目から地下の海水が間欠泉のように宇宙に噴出していることで知られ、生命存在の期待も高まっていた。NASAの探査機カッシーニはこれまで、海水に塩分や二酸化炭素、アンモニアなどのガス成分、有機物が含まれていることを明らかにしてきたが、地下海に生命が利用できるようなエネルギーが存在するかどうかはわかっていなかった。今回、関根准教授らは、エンセラダスの間欠泉に含まれていたナノサイズメートルのナノシリカ粒子に注目した。研究を進めたところ、エンセラダス内部の反応でナノシリカ粒子が生成されるためには、90℃以上という熱水環境が必要であること、熱水のphが8k~10のアルカリ性であることが判明した。また、ナノシリカ粒子は数年以内に大きな粒子に成長してしまうことから、こうした粒子が長くても数年で宇宙に噴出していることが分かった。地球上の生命は太陽からの光エネルギーや地球からの熱エネルギーに依存して生命活動を送っている。太陽光の届かない深海の海底熱水噴出孔では、地球の熱エネルギーを使って生きる原始的な微生物が存在しており、初期の地球において生命が誕生した場所の有力候補とされる。今回の結果は、エンセラダスでは地球の海底熱水噴出孔に似た熱水環境が広範囲に存在し、現在でも活発に活動していることを示すもので、同研究グループは「今回の成果は『生きた地球外生命の発見』という自然科学における究極のゴールに迫る大きな飛躍である。これまで火星に集中していた太陽系生命探査は、エンセラダスという新たな候補天体を得て、今後大きな広がりを見せることが期待される」とコメントしている。
2015年03月12日東京大学(東大)と科学技術振興機構(JST)は2月23日、室内の光で発電し、音で発熱を知らせる有機集積回路を用いた腕章型フレキシブル体温計を開発したと発表した。同成果は東大の桜井貴康 教授、染谷隆夫 教授らの研究グループによるもので、2015年2月22日~26日の間、米サンフランシスコで開催されている「国際固体回路会議(ISSCC)2015」で発表される。この腕章型体温計は、有機集積回路、温度センサー、フレキシブルな太陽電池とピエゾフィルムスピーカーで構成されている。上腕部に取り付け、体温が設定値を超えると周囲に音で知らせる機能を持つほか、電力を太陽電池で賄うことができるため、電池交換などのメンテナンスが不要だ。フレキシブルな有機集積回路とスピーカーを用いて音を発生させたこと、部屋の明るさに応じて電圧を調整する有機電源回路を有機トランジスタだけで実現したことは世界で初めてだという。今回の研究成果は水分や圧力などさまざまなセンサーへの応用が可能で、ブザー音だけでなく数値などの情報を音に乗せて送ることも原理上は可能としており、発熱したかどうかだけでなく体温などの測定結果を送信する技術への応用も期待されるという。一方、太陽電池の電力だけで動作するため、夜間や暗い環境では使用できないという課題があり、フレキシブルな充電池やキャパシタが将来的に開発されることで夜間でも動作することも可能になると考えられている。
2015年02月23日キーエンスは、FA(ファクトリーオートメーション)における静電気対策のノウハウを学べるWebサイト「静電気ドクター」を公開した。製造業の現場では、静電気は部品の根詰まりや異物付着など、様々な問題の原因となっている。しかし、静電気は目に見えないため確認し難く、トラブルの原因特定や対策機器の選定についてノウハウが必要とされるため、検討の仕方がわからないというケースも多い。「静電気ドクター」はこうしたニーズに応えるべく開設されたWebサイト。「静電気対策」について初心者でもわかるような解説が加えられているほか、静電気の性質、静電気による障害、静電気対策機器の選定などについての解説や、専門用語の解説ページも用意されており、製造ラインで静電気に悩まされている担当者にとって役立つ情報が掲載されている。同Webサイトの主なコンテンツは、同社が顧客に出向いて実施している「静電気セミナー」の内容やユーザーから人気の高かった技術資料をベースに構成されており、静電気について発生のメカニズムから除電器による対策まで体系立てて解説している。Webサイトの内容をまとめたPDF資料も無料で提供され、今後は静電気の測定についての項目などを追加していく予定だ。キーエンスは「現場に根差した現実的な提案力」で評価されており、静電気対策に関するソリューションも、世界直販体制で現場を知るキーエンスならではのコンテンツとなっている。同社は「製造業に対し、生産性・品質向上・コスト削減に役立つコンサルティング提案により、今後も貢献していく」としている。
2014年12月22日東京大学(東大)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月5日、小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げに相乗りする超小型衛星「PROCYON(プロキオン)」を報道向けに公開した。小さいながらもイオンエンジンを搭載しており、小惑星のフライバイ観測を目指すという。11月30日、H-IIAロケット26号機で打ち上げられる予定だ。PROCYONの大きさは約63cm×55cm×55cm、重さは約65kg。太陽電池パドルは4枚搭載しており、軌道上で展開後、衛星の大きさは縦横がそれぞれ1.5m程度になる予定だ。2013年9月に相乗り衛星の1機に選定されて開発がスタート。東大とJAXAが中心となって開発を進め、ほぼ1年という短期間で探査機を作り上げた。開発費は総額5億円。○1台3役の統合推進系を搭載PROCYONの大きな特徴は、これが超小型の深宇宙探査機であることだ。100kg以下の超小型衛星は従来に比べ開発費が2桁ほど小さいため、大学や民間で活用が進んでいるが、そのほとんどは地球を周回する衛星だ。地球圏を脱出した例としては、過去、金星探査機「あかつき」に相乗りした大学衛星「UNITEC-1」があるものの、「探査機」となると、今回のPROCYONが世界初になるだろう。自力で目標天体に向かうために、PROCYONにはイオンエンジン「I-COUPS」(アイクーズ)が搭載される。イオンエンジンは電気推進の一種で、化学推進に比べ燃費(比推力)に優れるのが大きな特徴だ。反面、パワー(推力)が小さいという弱点もあるが、長期間噴射することで、最終的には大きな加速を得ることができる。あまりたくさん推進剤を搭載できない超小型衛星にとって、これは大きなメリットだ。ところでI-COUPSという名称は"Ion thruster and COld-gas thruster Unified Propulsion System"の略なのだが、これが示すように、I-COUPSはイオンエンジンとコールドガスジェットが統合された推進系である。イオンエンジン部は超小型衛星「ほどよし4号」に搭載された「MIPS」とほぼ同じで、これに姿勢制御スラスタ(RCS)としてコールドガスジェット部を追加した形になる。PROCYONの姿勢制御は基本的にリアクションホイールで行うのだが、リアクションホイールのアンローディングのためにはRCSが必要。I-COUPSのRCSはそのためのもので、イオンエンジンの推進剤であるキセノンをプラズマ化せず、高圧ガスとしてそのままスラスタから噴射する仕組みだ。PROCYONの機体の周囲8カ所にコールドガスジェットのスラスタが搭載されており、3軸制御が可能となっている。またイオンエンジンの推力が小さいことは前に述べた通りだが、このRCSの推力はイオンエンジンよりも大きいので、すぐに動きたい小惑星近傍などでの軌道制御にも利用できる。RCSの比推力は24.5秒と、イオンエンジンの1,000秒からは2桁も落ちてしまうものの、推力は逆に300μNから22mNへと、70倍以上もアップする。「はやぶさ」シリーズの場合、RCSには2液式の化学推進系を別途搭載していたが、I-COUPSは推進系をキセノンで統合化することで、合計で約10kgという軽量化を実現している。なお、キセノンの搭載量はそのうちの2.5kgだが、半分以上はコールドガスジェットで使われ、イオンエンジンで利用するのは3~4割程度になる見込みだという。○小惑星探査のための様々な機能PROCYONは11月30日に打ち上げられた後、12月末にイオンエンジンを始動。「はやぶさ2」と同じように1年かけて太陽のまわりを1周し、2015年12月に地球に再接近する。ここで地球スイングバイを行い、軌道を変えて、小惑星に向かう予定だ。目的地となる小惑星はまだ決まっていないが、すでにメインの候補として2つ、サブの候補として4つの天体が検討されているとのこと。超小型衛星はサイズが小さいので、搭載できる観測装置も限られる。そんな制約の中で、気になるのは「どんなことができるのか?」「何か役に立つのか?」ということであるが、1つのメリットとして注目されているのは「よりリスクが大きなミッションにチャレンジできる」ことだ。たとえばPROCYONでは小惑星のフライバイ観測を行うのだが、より近づくことが可能になる。大きなお金がかかっている通常の探査機だと、万が一にも小惑星にぶつけて壊すわけにはいかないので、距離を取る必要がある。通常はその距離は100km以上にもなるが、PROCYONは小惑星からわずか数10kmのところを通過する計画。近くから観測できるので、小型の望遠鏡でも、高い分解能の画像が取得できるわけだ。ただ、距離が近ければ近いほど、小惑星の撮影は難しくなる面もある。自動車で走っているとき、遠くのビルよりも、近くの電柱の方が早く動いて見えるだろう。小惑星のフライバイ観測もこれと同じで、距離が近いと小惑星が早く通り過ぎるため、探査機の姿勢制御が追いつかず、カメラで追尾できなくなってしまう。この問題に対応するため、PROCYONでは開口部の鏡を駆動することで、見る方向を変えることができる望遠鏡を開発。鏡を回転させるだけなら高速にできるので、小惑星の動きが速くても追従できるわけだ。地球からの遠隔操作だと間に合わないので、鏡の制御は探査機が画像認識で自律的に行うという。また超小型衛星で難しいのは遠距離での通信だ。大きなアンテナは搭載できないし、使える電力も少ない。そこで、PROCYONの通信系は、深宇宙探査の経験が長いJAXAが担当。小型ながら、「はやぶさ」などの深宇宙探査機と互換性のあるXバンド通信系を開発した。臼田、内之浦などの地上局が利用でき、たとえ2AUという超遠距離からでも8bpsの通信が可能。地球近傍では32kbpsの高速通信に対応する。○超小型探査機の先駆けとなるかどうしてもメディア的には「小惑星探査」という点が目立ってしまうが、世界初の超小型探査機ということで、PROCYONのミッションではまず、バス技術の実証が大きな目的となる。地球から離れた深宇宙で、電源、通信、姿勢制御、軌道制御などがちゃんと機能するのか、1年をかけて確認していく。今後、PROCYONクラスの超小型探査機の用途としては、「大型探査機に複数搭載して目的地で分離する」とか、あるいは「大型探査機の前に飛ばして先行調査する」などの使い方が考えられている。米国ではPlanetary ResourcesやDeep Space Industriesなどの宇宙開発ベンチャーが小惑星からの資源採掘を計画しており、民間での活用も十分有り得るだろう。ちなみにこの「PROCYON」という名前は、こいぬ座の1等星に由来するという。こいぬ座のプロキオンは、おおいぬ座のシリウスに先駆けて東の空から昇ってくる。大型探査機の前に超小型探査機で調査するというイメージがピッタリということで、こう名付けられたそうだ。「はやぶさ2」とともに、こちらにも注目してもらいたい。
2014年11月13日「ワイズ(Y’s)」は、「ドクター マーチン(Dr.Martens)」とのコラボレーションブーツで新たなカラーバリエーションを展開する。この10ホールブーツは13SSコレクションで登場したもの。14-15AWコレクションでは、スエードレザーにスネークパターンをエンボス加工した新色「オフホワイトスネーク」を追加。エアクッションの配色もワイズ独特のスモークブラックに変更し、アイレットは最上部のみシルバーを使用するなど、細部までディティールにこだわっている。バックジップにはスムーズに開閉出来るよう、“Air Wair”のタグを取り付けた。価格は4万4,000円で、11月から全国のY'sショップで取り扱われる予定。
2014年10月15日最近はあんまり学歴主義って感じじゃなくなって、東大生ってだけで女子が群がることはあまりなくなっているみたいですね。それでもなかには、将来の旦那さん候補として東大生をひそかに狙っているという女子もいるはず。そこで今回は、知られているようであまり知られていない東大男子の実態について、それぞれ10人の現役東大生・東大生OBにアンケートをとりました。聞いてみたのはズバリ「東大男子が未経験なモノ」。アナタと付き合うことで、東大男子クンが初体験していくことになるいろんなものを、さっそく見ていきましょう。■1.セックス「入学時点でだいたい8割、大学卒業時点でも半分くらいが童貞って聞くね。僕は2年生のときに卒業できたけど、東大男子が未経験なことの代表格として、セックスははずせないと思う」(公務員/25才)これはワタシとしても予想通りって感じです。セックス未経験でいわゆる童貞クンが多いわけですが、童貞クンの手ほどきというのはどうでしょう・・・・・・。ワタシはちょっと大変そうで、イヤかなぁ・・・・・・。■2.そもそも恋愛が・・・「そもそも、恋愛自体未経験の人も多い。見た目とかはだんだん他の大学生とかと比べても同じようになってきてるけど、やっぱり真面目な高校時代を過ごした男子が多いのは変わらない」(出版/28才)もしかしたら、男子校出身の人が多いことも影響しているのかもしれませんね。ただでさえ同い年の女子は男子よりませているというのに、恋愛経験なしの男子と、恋愛経験ありの女子、うまく付き合っていけるか心配になりますね。■3.ファッション「服装に無頓着な人が多すぎる。ちょっとでもオシャレをすると本当にそれだけで浮いてしまう。ダサい人が多いというより、平均的なファッションが多すぎる」(法学部/22才)メガネに、チェックシャツの東大生を、いかにも東大生ということで「イカ東」なんて呼ぶそうです。まぁ、下手なファッションセンスが身についたよりも、アナタ好みの服を着せられるからそこはいいかも。■4.挫折「人生ノーミスって人がほとんどだよ。それってある意味怖いよね。自分の思い通りに行かない経験があんまりないから、そういう意味で特殊な人間」(新聞/26才)だとしたら東大男子は、きっと恋愛でとっても苦労するでしょうね。恋愛は正しいことを言えばいいわけでもないし、相手がいるので自分の思い通りにもなりません。東大男子に恋愛を通して人生の大変さを教えてあげるのはアナタかもしれません。■5.リア充「恋愛に限らず、とにかくリア充というものにあこがれてる人が多い。高校時代も、体育祭とか文化祭とか部活とか恋愛とか、いわゆる青春みたいなものを多少は犠牲にしてきた人たちだから」(教養学部/21才)東大に入って、無理にキャラと合わないチャラめのサークルに入って、髪を染める男子が多いんだとか。でも、なんだか大学に入ってから一生懸命に青春を取り戻そうとしているのは、健気でかわいくもありますね(笑)。■おわりにどうでしたか?やっぱり東大生は、とくに恋愛面での未経験が多いですね。もしもみなさんも付き合うことなどがあれば、彼らの初恋をゲットできるわけですから、大事にしてあげてくださいね!(遣水あかり/ハウコレ)
2014年08月17日東京大学(東大)は、ショウジョウバエを用いて、正常な老化に伴い嗅覚神経細胞死が生じると、特定の匂いを感じることができず、異常な行動をとる原因となることを発見したと発表した。同成果は、同大大学大学院薬学系研究科 薬科学専攻の千原崇裕 准教授、同 三浦正幸 教授、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のJing Wang教授、米スクリプス研究所のRonald Davis教授らによるもの。詳細は「PLOS Genetics」に掲載された。老化に伴って記憶学習や認識などの脳機能が低下することの要因の1つとして、老化に伴う神経細胞の細胞死が挙げられるが、正常な老化と神経変性疾患の双方において起きており、神経変性疾患における細胞死の研究は行われてきたものの、正常な老化の過程における細胞死の研究はこれまで、ほとんど研究されていなかった。今回、研究グループはショウジョウバエをモデル動物として用いて、正常な老化における脳内の細胞死の観察を試みた。その結果、老化したショウジョウバエの神経細胞のうち、特に匂いを感知するのに重要な神経細胞「嗅覚神経細胞」で細胞死に必要な酵素「カスパーゼ」が活性化していることを確認した。ショウジョウバエには約50種類の嗅覚神経細胞があり、それぞれの神経細胞ごとに感知する匂いが異なるが、カスパーゼの活性は、「リンゴ酢や酵母の匂い」を感知する「Or42b神経細胞」に見られ、実際に老いたショウジョウバエでは、同神経細胞の数が減少していることも確認したほか、嗅覚中枢の活性化とショウジョウバエのリンゴ酢に対する行動の調査では、老化したショウジョウバエではリンゴ酢を与えても嗅覚中枢がほとんど活性化せず、リンゴ酢がある場所に集まらない(誘引されない)ことを確認したとする。また、Or42b神経細胞でカスパーゼが活性化できないようにしたショウジョウバエでは、たとえ老化してもリンゴ酢の方向へ誘引されることも確認したとする。一般に、老化に伴って匂い感覚能(嗅覚機能)は低下するほか、パーキンソン病を含む神経変性疾患においても運動機能障害に先だって嗅覚機能低下が現れることが知られている。そのため研究グループでは今回の成果について、正常な老化における神経細胞の細胞死の意義、分子機構に迫るとともに、神経変性疾患時における神経細胞の細胞死の原因、ひいてはその発症機序の理解にもがることが期待されるとコメントしている。
2014年07月03日東京大学は4月3日、運動による脂質代謝改善に関わる新たな分子機構を明らかにしたと発表した。成果は、東大大学院 農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、3月18日付けで「American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism」に掲載された。メタボリックシンドロームの発症には、影響として運動習慣の有無が大きい。特に運動による脂質代謝改善においては、骨格筋で「リポタンパク質リパーゼ(LPL:Lipoprotein lipase)」発現が上昇することが重要だとされる。LPLは運動により発現上昇した後に血中に分泌され、「キロミクロン」や「VLDL」などのリポタンパク質中に含まれる「トリグリセリド」を分解。その後、分解産物である脂肪酸を骨格筋細胞が積極的に取り込むことで脂質代謝が改善する仕組みだ。しかし運動後の骨格筋でなぜLPL発現が上昇するのか、分子レベルで明確にはわかっていなかった。そうした中、近年、運動による代謝改善効果を担う因子として「エネルギーセンサタンパク質(AMPK:AMP-activated protein kinase)」が注目されている。AMPKは運動によって生じる細胞内エネルギー枯渇を感知し、その回復に努める機能分子だ。今回の研究では、AMPKが核内受容体「PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)γ1」の発現亢進を介してLPLの発現上昇を誘導することが新たに見出され、さらにAMPKによるPPARγ1の発現亢進の一部は、mRNAの安定化という一風変わった機構により調節されていることが明らかにされた(画像1・2)。今回の研究では、斜度10°のトレッドミルを用い、マウスに対して毎分15mの速度で30分の走行運動を週5回、4週間にわたる負荷がかけられた。その結果、非運動群のマウスに比べ、運動群マウスでは骨格筋におけるPPARγ1およびLPLのメッセンジャーRNA(mRNA)量が有意に上昇することが認められたという。核内受容体であるPPARファミリーはα、β/δ、γの3種類のサブタイプが存在し、さまざまなエネルギー代謝に関わることが知られている。骨格筋においてはPPARファミリー中のPPARα、およびPPARβ/δが脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を調節する機能を持つ。一方、PPARγは脂肪細胞において重要な働きをしているが、骨格筋における発現量は脂肪組織の10%以下であることから、その機能については不明な点が多く残されていた。そこで筋細胞におけるPPARγ1の機能を明らかにするため、培養筋管細胞「C2C12」にPPARγ1を過剰発現させ、種々の遺伝子発現応答の追跡が実施されたのである。その結果、LPL mRNAおよびタンパク質の突出した上昇が確認されたことから、PPARγ1がLPL発現を調節する因子であることが明らかになった。さらに研究チームは、運動時にPPARγ1発現を上昇させる上流因子の同定を試みることにし、そこで着目した因子が運動により活性化するAMPKというわけだ。C2C12をAMPK活性化剤である「AICAR」や「メトフォルミン」、AMPKを間接的に活性化する「H2O2」を含む培地で培養すると、PPARγ1mRNAならびにタンパク質の上昇が確認された。この上昇は、同時にAMPK阻害剤を培地に加えると解除されたことから、AMPK活性化によりPPARγ1mRNAが上昇することが明らかになったのである。さらにマウスに対して3日間にわたるAICARの投与が行われたところ、やはり骨格筋においてPPARγ1、LPL mRNAの有意な上昇が確認された。以上の結果より、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかにされたのである。運動刺激により骨格筋はLPL分泌を上昇させ、エネルギー源となる遊離脂肪酸を細胞内に積極的に取り込む適応をしていると考えることができるという。続いて、AMPK活性化によるPPARγ1発現上昇の分子機構の解析が行われた。その結果として興味深いことに、PPARγ1mRNAは通常およそ4時間の半減期で分解するのに対し、AMPKを活性化することで半減期が12時間程度まで延伸することが判明。ここで見られたmRNA安定化は、AMPK阻害剤により抑制された形だ。PPARγ1mRNAの「3’非翻訳領域」には、半減期の短いmRNAに特徴的な「AU-rich配列」が5カ所存在し、いずれもヒト、マウス、ラットで保存されている。この結果は、AMPKがAU-rich配列を介したmRNAの分解機構を抑制する作用を持つことを示唆しているという。今回の成果により、骨格筋における、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかとなった。AMPKは、運動のみならず食品に含まれる種々のポリフェノールなどによっても活性化されることが知られている。来るべき高齢社会において、運動が十分にできない高齢者の健康維持に、AMPK活性化能を持つ食品が活用されることが期待されるとした。
2014年04月07日東京大学は、マルチフェロイック物質におけるスピンネマティック相互作用を実験的に観測したと発表した。同成果は、東大 物性研究所附属中性子科学研究施設の左右田稔助教、益田隆嗣准教授、静岡大学 理学部の松本正茂、Paul Scherrer Institute/スイス連邦工科大学ローザンヌ校のMartin Månsson研究員、大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設(J-PARC/MLF)の河村聖子研究員、中島健次研究員、新潟大学 工学部 機能材料工学科 材料物性工学の椎名亮輔准教授らによるもの。詳細は、「Physical Review Letters」に掲載された。スピンと電気分極が同時に秩序化するマルチフェロイック物質は、電場によってスピンが直接制御可能な新しいデバイス材料として注目を集めている。これまで多くの物質では、複雑な磁気構造におけるスピン相関と電気分極との関係に注目が集まっていたが、分極間相互作用と磁気相互作用の関係は明らかにされていなかった。その中で、「Ba2CoGe2O7(Ba:バリウム、Co:コバルト、Ge:ゲルマニウム、O:酸素)」は、電気分極がスピン演算子の対称2次テンソル(いわゆるスピンネマティック演算子)というシンプルな形で表される珍しい物質として、また、分極間相互作用と磁気相互作用の関係を解明できる物質として着目されていた。今回、研究グループでは、中性子磁気散乱と磁化測定を行うことにより、スピンネマティック相互作用の存在を観測することに成功した。さらに、中性子磁気スペクトルの解析により、電気分極の誘電エネルギーを決定するという試みが行われた。誘電エネルギーの大きさも示すスピンネマティック相互作用定数は、電場によるスピンの制御のしやすさを表しているため、マルチフェロイックデバイスの性能示数となっているとした。今後、Ba2CoGe2O7を用いて電場によるスピン制御の実験や、小さな磁気異方性を有するマルチフェロイック物質の探索などを行っていくことが重要になるとコメントしている。
2014年03月28日「リミフゥ(LIMI feu)」は11月27日、「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の定番8ホールブーツをカスタマイズしたダブルバックルブーツ(5万400円)を発売した。アッパーのレザーは柔らかめの素材をセレクト。アンクルに施されたベルトパーツには揉み柄を型押ししたシュリンクレザーを使用し、オリジナルのロゴ入りバックルを付けた。ネイビー、エンジ、ブラックの3色展開。それぞれベルトパーツの異なる色のベルトパーツが付き、グレー、ブラック、マットブラックがあしらわれる。全国のリミフゥショップにて販売。
2013年11月27日東京大学(東大)は11月6日、液体の水の水素結合が作り出すネットワーク構造は「ミクロ不均一モデル」であることを裏付けることに成功したと発表した。同成果は、東大物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設・東京大学放射光連携研究機構 准教授の原田慈久氏、同 丹羽秀治 特任研究員、理化学研究所放射光科学総合研究センターの德島高 技師、同 堀川裕加 基礎科学特別研究員、東大物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設・東京大学放射光連携研究機構 教授で理研放射光科学総合研究センター チームリーダーの辛埴氏、および広島大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、アイスランド大学、ストックホルム大学、SLAC国立加速器研究所らによるもの。詳細は「Physical Review Letters」に掲載された。水分子(H2O)が持つ、同様な構造の分子と比べた時の沸点、融点の高さ、あるいは固体が液体より密度が小さいなどの独特な性質は、水分子を引き付ける水素結合により説明されるが、水素結合が作り出すネットワーク構造については良くわかっておらず諸説入り乱れており、中でも歪んだ水素結合で水全体がつながっているとする「連続体モデル」と、異なる水素結合の状態の混合であるとする「ミクロ不均一(混合物)モデル」が有力とされてきたが、どちらのモデルがより的確に液体の水の水素結合を表したものであるかは明らかになっていなかった。今回、研究グループは、大型放射光施設SPring-8の東京大学放射光アウトステーションビームラインBL07LSUおよび理研ビームライン物理科学III BL17SUを利用して、水素結合の切れた水分子のみを選択して観測する手法を用いることで、この謎の解明に挑んだ。水分子(H2O)は酸素原子(O)と2つの水素原子(H)で構成され、1分子あたり合計4つの水素結合を形成することができ、その結合の特性が複雑かつ多様な性質の根源となっていると考えられている。例えば氷の場合は、水素結合がしっかりと結びつき水分子をきれいに整列させているが、液体の場合は、水分子同士がさまざまな距離、角度で隣接し、場合によっては水分子同士を結び付けている水素結合の紐が切れたものもある。すでに研究グループは、これまでの研究から、液体の水の中に水素結合に違いのある2成分の構造が存在するというモデルを提唱し、「氷によく似た微細構造」が1nm程度の大きさを持つミクロ不均一構造を持っていることを報告してきていた。今回の研究では、高分解能の軟X線吸収・発光分光を用いて、軟X線照射によって起こる水分子の振動を精密に観測。水分子の振動は、通常の赤外吸収分光やラマン散乱分光でも観測することができるが、軟X線では照射する光のエネルギーを選ぶことによって特定の水素結合環境にある水分子を選ぶことができ、液体の水の酸素の軟X線吸収スペクトルには、特徴的なピークが確認された。水のミクロ不均一モデルでは、このピークが水素結合のつながっていない水分子に由来すると考えてきたが、その実験的な証拠が掴めていなかったことから、さらにそのピークに照射する軟X線のエネルギーをあわせることで、水素結合がつながっていない水分子を選択し、軟X線発光スペクトルに現れる水分子の振動エネルギーを観測する実験を実施。入射した光のエネルギーを原点にとって表示した軟X線励起の振動スペクトルから、最も低いエネルギーの振動を、既存の振動分光手法で得られる振動エネルギーと比較したところ、はっきりとした違いを確認することに成功。これにより孤立した水分子のOH伸縮振動エネルギーに近く、ピークAで選択された水分子は確かに水素結合が切断されていることが示され、この結果から、水の中に水素結合様式の異なる状態が共存するというミクロ不均一モデルが裏付けられたこととなった。さらに研究グループは、水素結合がつながっていない水分子を選択して観測できるという特徴を活かし、通常の水素で構成される水素結合と重水素(D)で構成される水素結合の違いを調べることを目的に、HとD(重水素)を1つずつ持つHDOの振動スペクトルの測定を実施。H2O(軽水)とHDO、D2O(重水)の振動スペクトルを比べたところ、もしH2OとD2Oで水素結合のしやすさが一緒であれば、HDOの振動スペクトルはH2OとD2Oの1:1の和で表されるはずであったが、実際にはH2Oの寄与が大きく、水素結合がつながっていないHDO水分子は、OH側、つまり通常の水素で構成される水素結合の方がつながっていない確率が高いことが判明したという。これは通常の水素で構成される水素結合の紐が、重水素で構成される水素結合の紐よりも切れている確率が高いことを示唆するもので、研究グループでは、H2OとD2Oを比較すると、H2Oの方が融点や沸点がD2Oに比べて低いことが一般に良く知られているが、今回の結果を用いることで、この水の物理化学的性質をよく説明することができるようになるとしている。なお、研究グループでは今回用いられた軟X線励起による実験手法を活用していくことで、水素結合が重要な役割を果たしている種々の化学反応や触媒反応、生体中の水の研究が進展することが期待されるとコメントしている。
2013年11月13日高橋書店は、東京大学に通う1~4年生に対して、手帳の利用実態について調査した。調査期間は年9月17日~18日、東大赤門前の街頭調査により、有効回答数は100名。東大生が手帳を利用したきっかけは「やるべき事の漏れを減らすため」(68.0%)、「時間を上手に使うため」(45.0%)などで、タスク管理が主な動機となっていた。また男性は女性と比べ「アイデアを書き留める」が高い。3年生になると「資格取得やダイエットの目標を達成するため」が高いなど、就職活動を意識していると思われる項目が増える。○東大生が社会人より手帳に書いているのは…?スケジュール以外に何を書いているのかを聞くと、「タスクリスト」が65.0%でトップと なり、これは手帳利用のきっかけでタスク管理の項目が筆頭にあがっていたことと矛盾しない。社会人の結果と比較すると、「タスクリスト(東大生65.0%<社会人53.1%)」「会議や打ち合わせの内容(東大生27.0%<社会人17.3%)」「思いついたことやアイデア(東大生36.0%<社会人22.8%)」といった項目で、東大生が一般社会人を上回るという結果になった。また、「読んだ本などの引用(東大生8.0%<社会人3.8%)」も社会人に比べて高く、同社は「東大生にとって手帳はスケジュール管理のためだけではなく、様々なアイデアや知識等を書きとめ、参照する重要な役割を果たしているものということが見て取れる」としている。手帳に見られたくないことを書き込むときの工夫については、「誰にも見られるわけではないのでそのまま書き込む」が一般社会人87.8%、東大生58.0%と大きく異なり、東大生の方がセキュリティ意識が高い。「マーク/記号」「隠語/省略語」 「色を使い分ける」などの工夫をしているとの結果になった。ビジネス上の手帳の中味を見てみたい"有名人"を聞いたところ、「教授・教員・先生」がトップという結果に。2位はソフトバンクの孫正義氏、3位は野球選手のイチロー氏。将来のキャリア目標については、「研究者・教授」(32.0%)、「国内有名企業」(30.0%)、「公務員・官僚」(20.0%)と続く。「公務員・官僚」 志望者には「レフト式」の手帳を使う人が多く、「起業」志望者には「その他」の手帳を使うなど、個性が出る結果となった。
2013年10月31日東大合格!ということは……東大というのは、間違いなく「ブランド」でしょう。出身校を聞かれたとき、「一応、東大です」なんて一度は言ってみたいですよね。一方で、どこかしら変わった人が多いというイメージも持たれがち。東大生のイメージについて、マイナビニュース会員の男性377名にうかがいました。>>女性編も見るQ.東大生のイメージを教えてください(複数回答)1位頭がいい62.9%2位変わり者24.4%3位プライドが高い20.2%4位まじめ16.2%5位将来は官僚を目指している14.3%■頭がいい・「頭がよくないと、東大には入れないと思うから」(29歳/商社・卸/秘書・アシスタント職)・「東大OBは将来の日本を背負う立場にあると思う」(29歳/自動車関連/技術職)・「東大生は勉強の仕方がうまいと思う。普通の人が10かかるところを5くらいでこなしてしまいそうなイメージがある」(26歳/不動産)■変わり者・「自分の周りも変人ばかりだった」(26歳/食品・飲料/技術職)・「学力のヒストグラムで、良い方の数パーセントだから、やっぱりどこか変わっているのだろうと思う。偏っているのだろうと思います」(45歳/医療・福祉/専門職)・「男も女もオタク、というイメージ」(24歳/運輸・倉庫/販売職・サービス系)■プライドが高い・「無駄に、できる人オーラを出してそう」(28歳/自動車関連/営業職)・「実体験として、頭もいいが、とにかくプライドは高い人が多かったです」(52歳/電機/技術職)・「職場で、周りの東大生がそんな感じ」(27歳/金属・鉄鋼・化学/営業職)■まじめ・「自分の東大生時代のイメージから」(28歳/金融・証券/販売職・サービス系)・「東大も昔とは雰囲気が変わったと思う。普通の大学生、になってしまった」(54歳/学校・教育関連/事務系専門職)■将来は官僚を目指している・「もともと、そういうための学校だから」(29歳/食品・飲料/技術職)・「日本の中枢が集まっている大学というイメージがある」(45歳/医療・福祉/専門職)・「将来は約束されている人たち、というイメージ」(37歳/警備・メンテナンス/技術職)■番外編:東大生はスーパーマン!?・たくさん資格を持っている「なんでもできそう」(29歳/情報・IT/技術職)・実はあまり勉強をしていない「地頭がいいイメージだから」(22歳/建設・土木/技術職)・お金持ちの家の子「経験上、実際にそうだと思うから」(31歳/機械・精密機器/技術職)総評1位は「頭がいい」でした。東大に入ったのだから、競争試験に強いはず。間違いなく頭はいいだろう、という意見が多数ありました。2位は「変わり者」です。身近な東大出身者は変わっている人が多いというコメントが目立ちます。定番のイメージと思いきや、時代の流れで変わってきているという意見も。3位は「まじめ」。東大はまじめで、京大は変わっている……というユニークな意見もありました。大学のカラーをそれぞれ調べてみるのもおもしろそう。5位には「将来は官僚を目指している」がランクイン。テレビのインタビューなどでは、将来の目標を官僚だと言っている東大生は多いですよね。ぜひアツく優れた人に日本をいい国にしていただきたいものです。(文・OFFICE-SANGA澤井輝一)調査時期:2013年1月12日~2012年1月16日調査対象:マイナビニュース会員調査数:男性377名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【男性編】一匹おおかみで付き合いにくそうなキャラランキング【男性編】大学生をうらやましく思うことランキング【男性編】会社でどこまで出世したいですかランキング完全版(画像などあり)を見る
2013年03月28日