江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ち(ネルソンズ)らをキャストに迎えた、『恋人たち』の映画監督・橋口亮輔の9年ぶりの最新作『お母さんが一緒』が7月12日(金)公開決定。本ポスタービジュアルおよび予告編が解禁された。第89回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、第70回毎日映画コンクール日本映画大賞、第58回ブルーリボン賞最優秀監督賞など数多くの映画賞を受賞した名作『恋人たち』(2015)から9年ぶりとなる稀代の映画監督・橋口亮輔の最新作。本作は、脚本家・劇作家・演出家・映画監督など、マルチに活躍するペヤンヌマキが2015年に主宰する演劇ユニット「ブス会*」で発表した同名舞台を橋口監督自ら脚色し、CS「ホームドラマチャンネル」(松竹ブロードキャスティング)の開局25周年ドラマとして制作されたオリジナルドラマシリーズが再編集され、映画となった。親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな2人を冷めた目で観察する三女・清美。三姉妹に共通しているのは、「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。温泉宿の一室で爆発する三姉妹の母親への愚痴は徐々にエスカレートし、お互いを罵倒する修羅場へと発展。そこに三女がサプライズで用意していた彼氏・タカヒロが現れ、物語は思わぬ方向へ――。長女・弥生役は、映画やドラマなど多方面で活躍し、主演作の公開も相次ぐ実力派・江口のりこ。次女・愛美に、原作舞台や『恋人たち』にも出演していた舞台・映画・ドラマで独自の存在感を発揮する内田慈。そして、いま最も注目される若手俳優の1人であり話題作への出演が続く古川琴音が三女・清美に。その彼氏・タカヒロにお笑いトリオ「ネルソンズ」のメンバーとしてバラエティ番組で活躍する青山フォール勝ちが抜擢され、人気・実力を兼ね揃えた個性豊かなキャストが勢揃いした。家族という一番身近な他人だからこそ湧いて出てくる不満や苛立ちを、ユーモラスに描いたホームドラマの新たな傑作が誕生した。キャスト・監督よりコメント到着【橋口亮輔監督】江口のりこさんはじめ、内田慈さん、古川琴音さん、青山(フォール勝ち)くんと、人気、実力ともに申し分のない出演陣を得て、僕も気合いを入れ直して現場にのぞみました。たまらなく可笑しくて、少し痛がゆい、そんな人間たちの物語をぜひお楽しみください。【江口のりこ】橋口さんの撮ったドラマが劇場版になりました。やっぱり映画にしなきゃ!というのは、誰もが思ったことだと思います。是非映画館でご覧になって下さい。【内田慈】「2015年に出演したペヤンヌさんの舞台作品を橋口さんが映像作品にする。しかも当時と同じ次女・愛美という役で。しかも江口のりこさんと古川琴音ちゃんとの三姉妹」というオファーをいただいた時は色んなびっくりと嬉しさでご褒美みたいだなと感じました。舞台版と映像版どちらにも出演する唯一の俳優部として何ができるかなぁと考えながら取り組んだ時間は、楽しく且つ挑戦の日々でした。登場人物たちのそれぞれの言い分は置いといて(笑)、「なんかこの感情知ってるな」と見つけることで浄化されたり、または蓋をしていたモヤモヤと改めて向き合う時間になったり……。観てくださる方にとって、笑いながらそんな機会になる作品であったらいいな……。【古川琴音】あの三姉妹を、大きなスクリーンで、より多くのお客さんに観ていただけることがとても嬉しいです。いびつで愛おしい家族の姿を、橋口監督、スタッフのみなさん、江口さんと内田さん、そして青山さんと、たくさん笑いながら作りました。公開をお楽しみにお待ちください。【青山フォール勝ち(ネルソンズ)】橋口監督のドラマに出演したことが夢のような出来事だったのに、映画化なんて夢のまた夢です。面白い作品になってますので全国の映画館でたくさんの方々に現実かどうか確認していただきたいです。『お母さんが一緒』は7月12日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年04月26日『恋人たち』『ぐるりのこと。』の橋口亮輔や、『娼年』『愛の渦』三浦大輔、『私をくいとめて』『勝手にふるえてろ』大九明子、そして新鋭・谷口恒平といった映画監督陣を迎えた異色の恋愛オムニバスドラマ「初情事まであと1時間」が放送決定。1~4話に出演するキャストも明らかになった。恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間。近づきたいけど近づけない、近づかないはずだったのに近づいた。心も体も裸になってつながるまでの、めくるめく恋と性の駆け引き。可笑しくて切ない、不器用でメンドクサイ、だけどどうしようもなく愛おしい、アノ瞬間を切り取った恋愛オムニバスドラマが誕生した――。演出は豪華監督陣、多彩な恋愛事情を赤裸々に描き出す6年ぶりの新作となる橋口監督は第89回キネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位をはじめ数々の映画賞に輝いた『恋人たち』、報知映画賞最優秀監督賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(木村多江)を受賞した『ぐるりのこと。』など、国内外で高い評価を受けている。ドラマの脚本を手掛けるのはNHKドラマ「みちくさ」(06)以来、15年ぶりとなる。橋口亮輔コメント一線で活躍する若手人気俳優から無名の役者までヴァラエティに富んだキャストとのお仕事を楽しみに撮影に臨みました。可笑しくて切ない、少しだけHな肩の凝らないドラマを目指しました。三浦監督は、作・演出を手掛けた舞台を自ら映画化した『娼年』や『愛の渦』が話題となり、舞台「物語なき、この世界。」(今夏上演)や同名舞台の映画化『そして僕は途方に暮れる』の公開が2022年に控えるなど、劇作家・演出家・映画監督として躍進を続けている。三浦大輔コメント橋口亮輔監督からお声掛け頂き、これはやらないわけにはいかないと二つ返事でOKしましたが、脚本執筆、撮影、編集、全てが時間との戦いになりました(苦笑)厳しいスケジュールの中、素晴らしい演技をして下さったキャスト、そして、尽力して下さったスタッフの皆様にこの場をお借りして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。自分らしい「初情事」をポップにエロく、描けたような気がしています。是非、ご覧下さい。また、『勝手にふるえてろ』、そして『私をくいとめて』が東京国際映画祭で観客賞に輝き、さらに『私をくいとめて』は第30回日本映画批評家大賞で監督賞・主演女優賞(のん)をW受賞。松雪泰子主演で40代独身OLの日々を描いた『甘いお酒でうがい』など、現代社会を生きる主人公のリアルをユーモラスに描く作風に定評がある大九監督。大九明子コメント人に触れるのも、触れられるのも、実際すごく難しい。それをこの1年、ウイルスに振り回されながら再認識している。こんな時代にセックスなんていう恐ろしいものに挑む二人を応援したい。だから今回ほど、描いたカップルたちの幸せを祈ったことはないかもしれない。おかげさまで、私史上初めて、この二人きっと一生別れないな、と思えるカップルも生み出すことができた。幸甚です。そして、『やりたいふたり』がピンク映画ベストテン2019で年間1位を獲得、監督賞に輝いた期待の新鋭・谷口監督が参加。この豪華監督陣が同名コミックを原作に、脚本を書き下ろし監督陣が演出を手掛けている。谷口恒平コメントノッツさんによる「物語の最後に必ず初情事を迎える」という発明的なアイデア。そこから生まれた二次創作を、偉大な先輩監督達とともにお送りします!私は一昨年、登場人物のほとんどがパンツを脱ぐピンク映画を監督しましたが、今回はテレビドラマで裸になるまでのエロスを描きます。キャプチャされた静止画なんかじゃ伝わらないエロさを、視聴者の皆さんと一緒にドキドキしながら見守りたいと思います。原作は「月刊コミックフラッパー」で2016年10月号~2018年7月号まで連載され、情事に向かうカップルのリアルな感情の機微がネット上でも話題となったノッツによる同名漫画。オフ会で意気投合したドール愛好家、人生初めてのH、地元で再会した幼なじみ、姉と妹と姉の恋人、不倫に悩む先輩と恋する後輩、浮気カップル、超不幸体質の女性、片想い渦巻く鍋パーティーなど、多彩なSEX事情を通して浮かび上がる人間模様を赤裸々に描き出す。原作者(ノッツ)コメント原作を元にしたものからドラマオリジナルまで、実写化していただくにあたり各監督の素敵な持ち味を出していただいています。きっとより生々しいいろんな「初情事まであと1時間」が…。自分も今からドキドキです…。初めての愛の営みを目前に控えるカップルに最旬キャストが集結第一話「心の容れ物」(橋口亮輔監督)カスタムドール愛好家の男女を演じるのは工藤阿須加と臼田あさ美。オフ会で出会った2人が互いのドールを前に交わす愛を描く。工藤阿須加(高山聡役)橋口監督とはいつかご一緒したいと思っていたので、とても光栄でした。僕が演じた高山はカスタムドールが趣味で、人形と向き合ったときに初めて自分を知ることが出来た人間です。人には色んな出会いがあって、それぞれ嗜好があって、それは日常に溢れている。人の心が動く瞬間は見ていてすごく面白いですし、スピーディーな展開も見所なのできっと楽しんでもらえると思います。臼田あさ美(相田美智子役)短い撮影時間の中で、ひとつひとつ大事に、自分の知らない世界に心の違和感を無くすような気持ちで過ごしました。橋口亮輔監督の作品に参加できたこと、監督の演出を感じられたことは、これからも私の中で特別なものになります。第一話「心の容れ物」楽しんで頂けたら幸いです。よろしくお願いします。第二話「初体験まであと1時間」(三浦大輔監督)初めて同士の大学生を演じるのは萩原利久と木竜麻生。お互い頭の中はソノことでいっぱいなのにうまく切り出すことができないフレッシュなカップルの物語。萩原利久(隆司役)とてもデリケートなテーマでしたが、なんだか笑ってしまう楽しい台本でした。現場では木竜さん、三浦監督と1つのセリフ、1つの動きまで細かく細かく話しながら撮影していきました。こんなことあったなぁ、こんなやついるのか~ くらいの優しい目で観てもらえたら嬉しいです。ぜひ、観てください。木竜麻生(香苗役)短い時間の中で大きな出来事が起こるわけではないけれど、本人たちにとってはとても切実な問題にフォーカスしたお話です。男の子だけじゃなく女の子も、あまり口には出さないけど興味があったり、わからないけどわからないと言えないとか、なかなかここまで本気で間抜けに一生懸命悩んでいる人たちを見られる機会はないので、これから経験する人にも経験がある人にも、楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。第三話「ビフォア」(大九明子監督)故郷で再会した大人の幼なじみを演じるのは、松雪泰子と大森南朋。海辺の町を舞台に酸いも甘いも知ったふたりの静かな愛が紡がれる。松雪泰子(青木役)大九監督の台詞を、一つ一つ大切に紡ぐ様に撮影が進んでいきました。人生の一つのタームを終えた男と女の再会。美しいロケーションの中、穏やかに優しく浸透していく物語…。ふわりとした、優しい余韻が胸に残る、そんな物語です。素敵な大森さんと丁寧に紡ぎました。お楽しみください。大森南朋(上田役)大九監督の作品に出演するのは初めてですが、今回の脚本はセリフが活き活きしていて生々しく、松雪さんと一緒に演じられるのがすごく楽しみでした。現場では安心感のある松雪さんに頼もしさすら感じました。他の「初情事まであと1時間」たちと並んで、この作品がどのように佇むのか、僕らも楽しみです。第四話「姉と妹」(谷口恒平監督)姉の恋人と姉妹を演じるのは望月歩と青山美郷と中田青渚。一つ屋根の下で繰り広げられる姉と妹と姉の恋人の微妙な三角関係を描く。望月歩(芳樹役)「姉と妹」で芳樹役をやらせていただきました、望月歩です。情事の直前を描く作品の中で、姉と妹という少し危ない雰囲気の題材です。その中でも姉妹の考えてることや関係性だったり、その二人と僕の関係だったりを楽しんでいただければ嬉しく思います。是非、ご覧ください。青山美郷(瑞穂役)繊細な心の動きが重なり合う台本で、物語の世界に吸い込まれました。今回、共演させていただいた望月歩さんと中田青渚さん、そして谷口監督の素晴らしい感性に沢山心が動かされ、とても刺激的な時間でした。中田青渚(菜摘役)「この二人がこうなるんだろうな」という作品が他の話では多いと思うのですが、 「姉と妹」は主人公の芳樹が姉と妹、どっちとくっつくかという三角関係のドキドキ感が見どころだと思います。 ぜひこのドキドキを味わってもらえると嬉しいです。ドラマ特区「初情事まであと1時間」は7月22日(木)MBS・テレビ神奈川で初回放送、チバテレ・テレ玉・とちテレ・群馬テレビでも順次放送(全8話)■TVer、MBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり(全8話)■TELASA&J:COMオンデマンドほかにて見放題独占配信(全12話)(text:cinemacafe.net)
2021年06月09日9月12日(土)から東京・国立映画アーカイブにて開催される「第42回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」のオープニング作品と第25回目のPFFスカラシップ作品の上映が発表された。オープニングには、石井裕也監督の最新作『生きちゃった』を世界最速上映。ぴあフィルムフェスティバルのメインプログラムである自主映画のコンペティション・PFFアワード2007『剥き出しにっぽん』でグランプリを受賞し、第19回PFFスカラシップの権利を獲得し制作された『川の底からこんにちは』で第53回ブルーリボン賞監督賞、『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀監督賞を史上最年少で受賞した石井裕也監督のプロデュースによる本作は、アジアの俊英が集う国際プロジェクト「B2B (Back to Basics) A Love Supreme(原点回帰。至上の愛)」の1作で、仲野太賀、大島優子、若葉竜也演じる3人の幼馴染が、ある出来事をきっかけに、想像もしなかった未来に飲み込まれていく姿を描き出す。上映は、映画祭初日の9月12日(土)。終映後には、石井監督、出演の仲野、若葉他キャストによる時間たっぷりのトークを予定している。「PFFアワード」の受賞監督からオリジナル企画を募り、毎年1名が権利を獲得する「PFFスカラシップ」。PFFが製作から劇場公開までをプロデュースし、これまでに、石井監督の他、園子温、橋口亮輔、矢口史靖、熊切和嘉、李相日、荻上直子、内田けんじなど、第一線で活躍する監督たちの商業映画デビュー作を世に送り出してきたPFFアワードの第25回目では、自身の人生経験を活かし、リアルな家族関係をシニカル且つコミカルに描いた『食卓』で、「PFFアワード2016」グランプリを獲得し、バンクーバー国際映画祭に正式出品された新星・小松孝監督の『猫と塩、または砂糖』が選ばれた。本作でもシニカルでオフビートなユーモアを活かし、「幸せ」とは何かを模索する家族の物語を撮り上げる。お披露目上映は、9月24日(木)。上映前に、小松 孝監督、出演の田村健太郎、宮崎美子、吉田凜音、諏訪太朗による舞台挨拶を予定している。●石井裕也監督からのコメントコロナはもちろんですが、仮にコロナがなくても大変な世の中です。困ったり悩んだりしたら原点に立ち返る必要があると思うのですが、僕にとっての原点は自主映画でありPFFです。映画を愛するPFFファンの皆さんと共に、これからの映画や生き方について真面目に改めて考えるきっかけにするために、新作の世界初上映をPFFでやってもらうことにしました。この場所でなら、きっと映画についての本当の話ができると思うからです。『生きちゃった』は、衝動と魂だけで撮ったほとんど自主映画のような映画です。僕にとっての原点回帰の映画だからこそ、PFFで上映できることに深い意義と喜びを感じています。ですがそれ以上に、若い作り手たちの情熱と観客の方々のために、無事に映画祭が開催されることを心から願っています。●小松孝監督からのコメント折しもこのコロナ禍の中、『経済と人命が同じ天秤にある』という『常識』の一面にハッとした方も多いのではないでしょうか。そんな理不尽で窮屈な社会にはうんざりだという価値観の主人公・一郎を中心に、幸か不幸か『常識』から逸脱した2家族5人の『幸せのベクトル探し』の模様を、悲哀とユーモアを込めて描きました。とても素晴らしいキャスト陣に恵まれて、魅力的に立ち上がった登場人物達。そして、多肉植物や小物ガジェットや主題歌を担当してくれた『NILKLY』など、僕の好きなものを詰め込んだ一軒家を、ぜひ覗き見て頂けたら幸いです。映画祭「第42回ぴあフィルムフェスティバル」【会期】2020年9月12日(土)から26日(土)まで※月曜休館【会場】国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)★映画祭チケットは、8月15日(土)よりチケットぴあにて発売開始
2020年08月03日社会現象を巻き起こした『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督による長編劇映画第2弾『スペシャルアクターズ』が、10月18日(金)に公開決定。すでに5月14日よりクランクインしていることが分かった。300万の製作費で、31億強の興行収入を得る大ヒットを記録した映画『カメラを止めるな!』。これに続く上田監督長編劇映画第2弾は、内容はまだ明らかにされていないが、奇想天外なエンタテインメント映画となる予定だという。なお、本作は松竹ブロードキャスティング製作「作家主義」と「俳優発掘」をテーマに上げるオリジナル映画プロジェクトの第7弾作品となるもの。過去には、『恋人たち』(第2弾/橋口亮輔監督)、『鈴木家の嘘』(第6弾/野尻克己監督)などがある。今回、プロアマ問わず公募をかけ、書類選考を経て1500名のオーディションを実行。選ばれた15人のキャストを上田監督があてがきしてオリジナル脚本を作り上げ、編集も手掛ける。上田監督は「『カメラを止めるな!』に続く監督作…。企画開発を始めた頃、正直、想像以上のプレッシャーに襲われ、一時期、大スランプに陥りました。しかし、仲間に助けられながら、その暗黒期を乗り越え、なんとかクランクインまで辿り着くことができました」とクランクインまでは苦労したと明かし、「映画の内容はまだ言えないのですが、このタイトルとロゴから妄想を膨らませてお待ちください。本作も自分の『好き』や『最高』がギッシリ詰まった映画になることは間違いありません」と自信を見せている。『スペシャルアクターズ』は10月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:カメラを止めるな! 2018年6月23日より全国にて公開©ENBUゼミナール
2019年05月16日映画『鈴木家の嘘』の公開記念舞台あいさつが17日、都内で行われ、岸部一徳 、原日出子、木竜麻生、加瀬亮、岸本加世子、大森南朋、野尻克己監督が出席した。この日は、劇中で鈴木家を演じた岸部らキャスト陣と本作が監督デビュー作となる野尻克己監督がお揃いのTシャツ姿で登壇。鈴木家の家長・幸男役の岸部は「鈴木家は家族ですけど、こうやったら家族に見えるかな、とか一切考えませんでした。この映画は衝撃的なところから始まりますが、どんな家庭にも問題があって、改めて自分の家庭を見ると何かあるなとも思います。そういう環境の中で撮影が始まったので、本当に鈴木家という感じでいられたと思います。それが自然にチームワークみたいになったのかもしれませんね」と振り返った。幸男の妻・悠子を演じた原日出子も「何の努力もいりませんでした。いい雰囲気になるのに特別なことをしなくて良かったのは、出演者の皆さまの人柄だと思います。私も抵抗なく鈴木家の母にスッとなれました」と自然体で母役を演じられたという。本作は、第31回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門の作品賞を、ヒロイン・木竜麻生が同映画祭で東京ジェムストーン賞を受賞。長女・富美役を400人の応募者から抜擢された木竜は「作品に関わった皆さんといただいた賞だと思っています。賞をいただいたことが映画に貢献できればうれしいです」と喜びをかみしめた。そんな木竜に向けて、原が書き記したという手紙をMCが代読することに。「あなたは宝石の原石。これから磨きかけてどういう女優になっていくのか本当に楽しみです。心で芝居ができる素敵な人でしたよ」という原の絶賛の言葉に、目頭を熱くして涙を流した木竜は「こんなに幸せで、これから良いことないかも(笑)。今日こうやってごあいさつを皆さんと迎えられて嬉しいです」と笑顔。最後に岸部が「俳優に一番大事なことは人柄。彼女はご両親の元で育って良い人柄を持っているので、これからテレビとか派手な場所で染まらないで映画女優として大成して欲しいと思います」と期待を寄せていた。橋口亮輔監督(『恋人たち』)、石井裕也監督(『舟を編む』)、大森立嗣監督(『セトウツミ』)など、数多くの作品で助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作となる本作。4人家族の鈴木家だが、ある日突然、長男の浩一(加瀬亮)が亡くなる。ショックのあまり記憶を失った母(原日出子)のため、遺された父(岸部一徳)と娘(木竜麻生)は一世一代の嘘をつくのだった。家族の死とそこからの再生という重厚なテーマを温かい眼差しで描く。
2018年11月17日映画『鈴木家の嘘』が2018年11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開される。家族の再生を描くオリジナル作品『鈴木家の嘘』は、監督・沖田修一による『滝を見にいく』、監督・橋口亮輔の『恋人たち』、監督・坂下雄一郎の『ピン カートンに会いにいく』などを生み出した松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第6弾だ。ユーモアたっぷりに家族の再生を描く、感動のストーリーが展開される。『恋人たち』『舟を編む』『セトウツミ』など、数々の話題作で助監督を務めてきた野尻克己の、劇場映画初監督デビュー作となる。また、過去に『百円の恋』なども出品された、「第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門」への出品もすでに決定しており、注目を集めている。記憶喪失の母に父&娘がつく嘘物語は、鈴木家の長男・浩一の突然の死にショックを受け、倒れた母・悠子が記憶を失うことから始まる。記憶を無くした母親に、娘・富美がとっさに「お兄ちゃん、ひきこもりやめてアルゼンチンで働いてる!」と嘘をつき、家族全員が巻き込まれていく展開へ。母を悲しませないため必死に嘘をつき続ける家族だったが、段々と後悔の念が生まれ始める。岸部一徳、加瀬亮、原日出子など出演鈴木家の家長である父・幸男役は岸部一徳、母・悠子役は原日出子が演じる。ひきこもりの長男・浩一役に加瀬亮、鈴木家の長女・富美役は、400名もの応募者から選ばれ、瀬々敬久監督の『菊とギロチン』でもヒロインを務めた注目の新星・木竜麻生が務める。その他、岸本加世子や大森南朋らが出演。豪華演技派キャストが集結し、個性的なキャラクターを魅力的に演じている。なお、第31回東京国際映画祭では、映画スプラッシュ部門作品賞を受賞。ヒロインを務めた木竜麻生は東京ジェムストーン賞を受賞している。あらすじあまりにも突然に訪れた長男・浩一の死。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。ひきこもりだった浩一は、扉を開けて家を離れ、世界に飛び出したのだと―。母の笑顔を守るべく奮闘する父と娘の姿をユーモラスに描きつつ、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようともがく家族の姿を丁寧に紡ぐ感動作。詳細映画『鈴木家の嘘』公開日:2018年11月16日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー出演:岸部一徳、原日出子、木竜麻生、加瀬亮、岸本加世子、大森南朋監督・脚本:野尻克己音楽・主題歌:明星/Akeboshi「点と線」(RoofTop Owl)
2018年09月28日俳優・生田斗真の演技の幅広さに驚かされる。『彼らが本気で編むときは、』で彼が演じるのは、トランスジェンダーの女性リンコ。見た目はどこからどう見ても格好いい生田さんだが、女性らしい美しさとなるとハードルは上がる。荻上直子監督からは「リンコをきちんと女性として見せたい」と言われ、生田さんは外見も中身も美しいリンコとなり、この映画のなかで生きた。「リンコ役の話をもらったときは、うわぁ大変な役がきたなって思いましたけど、同時にどうやって演じようか考えていて…だから僕のなかで“やらない”という選択肢はなかった。たじろぎはしたけれど迷いはなかった。それに大変だなぁと思う作品こそ火事場の馬鹿力が出るものなんですよね」。役作りとしては“知る”ことから始まった。LGBTといっても人それぞれ。テレビで活躍するオネエ系の人たちもいれば、容姿や声はそのままの人もいる、性別適合手術をして全身変えている人もいる。そういった(何人かの)人たちに話を聞きながら生田さんがリンコを演じるために取り入れたのは、髪型や衣装のこだわりはもちろん、女性としての仕草や居方。声のトーンも「こんなに声を研究したのは初めてですね」というほど、悩んで、試して、あのリンコの声にたどり着いた。「仕草や居方については日本的なことも参考にしました。舞踊とか歌舞伎の女形にヒントがたくさんあって、どこか古風な女性を目指したというか…。編み物をすることも大きかったです。ただ僕は本当に無器用だし編み物をやったことはなかったので、早い段階から先生に教えてもらったんです。最初、あまりにもできなくて愕然としましたね。手はつるし、できないから楽しくないし(苦笑)、毎日家で練習しました。荻上監督はワンカットで撮影することが多いというのを耳にしていたので、セリフを言いながら、演じながら、手元を見ずに自然と編める──そのくらいできるようにならなきゃいけないと思って。最終的にはとても速く編めるようになりました(笑)」。リンコが編んでいるのはある形をしたもので、それを彼女は「アタシの煩悩」だと言う。悔しいことがあるたびに煩悩を編み、ある数に達したときに叶えたいことがあった。リンコはそんなふうに悔しさや怒りを編み物に込めているが、生田さんは?「僕も日々のなかで溜息をつきたいときはありますよ。でも、プライベートで怒りを感じることはあまりないですね。あったとしても持ち越さない。お酒を飲んでやり過ごします(笑)」。また「生田斗真とリンコのスイッチのオンオフは急には無理だ…」と、この映画の撮影中はなるべくスカートを履くようにしたり、ほかの仕事が入らない限りネイルもしたままで生活していたと明かす。そうすることで新たな発見もあった。「理にかなっていると思いました。ネイルの色が剥がれないように気をつけていると手の動きが丁寧になるんです。たとえばコップの持ち方とか。リンコを演じるにはこういうことを日常化していかなければならないんだなと。最初はどうしたら女性に見えるか身体の動きばかりを気にしていたけれど、ある日、荻上監督から“現場に入るときからリンコちゃんでいてください”って。スタッフが“この女性を綺麗に撮りたい!と思わせたいので、絶対に生田斗真で入ってこないでください”と。そこからは、現場に入るときからリンコでいるようにしたというか、静か(おしとやか)にしていました(笑)。あと、トモの前では男が出ないように、男を感じさせないようにしていましたね」トモはリンコの恋人マキオ(桐谷健太)の姪。母親が家出してしまったため、叔父であるマキオの家で暮らすことになる。最初はリンコがトランスジェンダーの女性であることに戸惑いつつも徐々に仲良くなり、まるで母と娘のような関係になっていく。そのなかで生田さん自身もリンコを通して自分のなかの母性を感じた。「自分のなかの母性と出会う瞬間が…あったんですよね。トモとマキオとリンコの3人が川の字になるシーンで、トモが寂しくてリンコの布団に入ってきて(リンコの)おっぱいをもみもみして、リンコはトモを抱きしめる。何とも言えない不思議な気持ちになりました。なんだ、この感情は…と。愛おしくて胸が苦しくて、これが母性なのか…と。ほかにもトモの同級生カイの母親(小池栄子)とスーパーでばったり会って、差別的なことを言われるんですが、その帰り道にトモの方から手を握ってくれるシーンは涙が出てくるほど嬉しかった。トモにとってリンコは叔父さんの家にいる変わった人だったのに、どんどん心を開いてくれて頼ってくれるようになる。嬉しかったですね」。何をもって家族というのか、家族の定義を考えさせてくれる映画でもある。そんな荻上監督作は「ワンカットで撮ることが多い」と生田さんが言うように、クライマックスに印象的な長回しシーンがある。荻上監督が好きだという橋口亮輔監督作『ハッシュ!』のラストシーンへのオマージュとも言える描き方だ。「長回しで、しかも引きで撮るというのは、僕としては久々。その緊張感がドキドキしていいなぁと。荻上監督はカメラの横で演技を見てくれる監督で、そういうタイプの監督と仕事をするのは『人間失格』の荒戸源次郎監督以来。荻上監督は俳優の演技を生で見ないと芝居の善し悪しが分からないからカメラの横にいるのだと言っていましたけど、それが長回しとなると役者としてはより緊張感が増します。クライマックスのそのシーンは積み上げてきた積木を崩す瞬間でもあって──引きで撮る、全体の画で見せる、なんて格好いいんだろう!男前だなって。僕だったら全員の寄りの画が欲しくなると思うのに(笑)。ものすごく映画らしい現場でした」。(text:Rie Shintani)■関連作品:彼らが本気で編むときは、 2017年2月25日より新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国にて公開(C) 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
2017年02月23日現在、第38回PFFぴあフィルムフェスティバルが開催中の東京国立近代美術館フィルムセンターで9月13日、「PFF講座シリーズ 映画のコツ~こうすればもっと映画が輝く~」が行われ、スタジオジブリの鈴木敏夫氏と、昨年『恋人たち』が絶賛を浴びた橋口亮輔監督が“新しい表現”をテーマに対談。鈴木氏は「今の日本映画は表現が説明過多で、うんざりしちゃう」と苦言を呈した。その他の写真また、2年前に公開された『思い出のマーニー』に関しては、「誇張して言えば、決定稿の厚さが初稿の3倍くらいになっていて、がく然とした。あらゆることを説明していて、心の声もセリフにしてしゃべっている。なんで、いちいち説明するのかなと思った」と振り返った。ジブリにとって、初の海外共同製作となる最新作『レッドタートルある島の物語』(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)に話題が及ぶと、橋口監督は「過剰な表現をしておらず、セリフもない。シンプルだからこそ勇気が要ったはず。よくジブリでお作りになったと思うし、話題になっているヒット作の対極にある、ストイックな美しさがある」と同作を絶賛。「よく東宝が150館で公開しますね」(橋口監督)、「僕もびっくりしている。そもそもはマイケル監督の長編が心の底から見てみたいという出来心だったんだけど」(鈴木氏)と話していた。この日はアンドリュー・ヘイ監督(『さざなみ』)が2011年に製作し、ゲイクラブで出会った青年2人の奇跡の週末を描いた『ウィークエンド』が上映され、橋口監督は「この作品と『さざなみ』を見比べると、表現のレベルアップを感じる。やはり、作家としての根っこがある人はグーンと飛躍する」と感嘆の声。鈴木氏も「すごくいいラブストーリー」と高く評価していた。第38回PFFぴあフィルムフェスティバル9月10日(土)から23日(金)まで東京国立近代美術館フィルムセンター(月曜休館)10月29日(土)から11月4日(金) まで京都シネマ11月3日(木・祝)から6日(日) まで神戸アートビレッジセンター11月11日(金)から13日(日) まで愛知芸術文化センター2017年4月福岡市総合図書館取材・文・写真:内田 涼
2016年09月13日キギと青木むすびとFH(=FASHION HEADLINE)と親交のあるクリエーター達と様々なジャンルのイベントを開催する“HOHO” Smile EVENTS presented by KIGI/FH/MUSUBI。3回目となる“HOHO ”Smile EVENTS presented by KIGI/FH/MUSUBIでは、10月2日(日)に、H.P. DECOでキギの植原亮輔さんと写真家・新津保建秀さんをホストに迎えた「HOHO#003 iPhoneで撮る写真のワークショップ」を開催します。HOHO #003では、「写真を撮ることは日常を観察すること」と置き換えらえるという二人が、iPhoneのアプリを使ってスマホで撮影した画像に様々な表現を加えていく手法をレクチャーします。日常の中にあるシーンを、表現方法の一つにしてみたい方。iPhoneで撮った写真での表現の幅を広げてみたい方。ホストの二人が、そのヒントをお教えします!【詳細】※定員に達したため、受付は終了いたしました※2016年10月2日(日)受付13:45、イベント14:00~16:00#003「iPhoneで撮る写真のワークショップ」HOST:植原亮輔、新津保建秀場所:H.P.DECO〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-2-11定員:10名※多数のご応募があった場合は抽選とさせて頂きます。ご了承ください。参加費:3,500円参加条件:「Snapseed(バージョン2.9)」がダウンロードされたiOS8.0以上のiPhoneをお持ちの方「Snapseed(バージョン2.9)」のApp Storeのリンクはこちらお申し込み募集開始日:9月11日(日)お申し込み方法:hpdeco_contact@hpgrp.com(北濱)まで、メールをお送りください。件名に「10月2日 HOHO#003予約」と記載し、本文に 1)お名前、2)お電話番号をご記入の上お申し込みください。後日、予約確認のメールをお送りいたします。【Profile】植原 亮輔(うえはら りょうすけ)アートディレクター。北海道生まれ。DRAFTを経て、2012年渡邉良重と共にKIGI.Co.Ltdを設立。グラフィック、プロダクト、ブランドデザイン、映像等を手掛ける。2014年滋賀の職人たちと共にプロダクトブランドKIKOFを立ち上げるほか、2015年にオリジナルショップ&ギャラリーOUR FAVOURITE SHOP(東京・白金)をオープン、また作品を制作し美術館等で発表するなど、クリエイションの新しいあり方を探し活動を続ける。作品集『KIGI_M』をリトルモアより出版。ちなみに、お気に入りのカメラは新津保さんから教わったα7R(ソニー)+ライカのレンズ。新津保 建秀(しんつぼ けんしゅう)1968年、東京生まれ。写真家。写真、フィールドレコーディング、ドローイングなどによる制作とともに、企業、音楽家、研究者、ファッションブランド、デザイナーらと共同作業を数多く手がける。主な作品集に『\風景』(角川書店)『Rugged TimeScape』(池上高志との共作、FOIL)、関連書籍に『複雑なトポグラフィー庭園』(東京藝術大学)、『MTMDF』(HAKUHODO DESIGN)、『建築と写真の現在』(TNプローブ)など。日頃は愛娘をスマホでも撮影しているよきパパ。【今後の、HOHOイベントスケジュール】※定員に達したため、受付は終了いたしました※2016年10月2日(日)#003「 iPhoneで撮る写真のワークショップ」HOST:植原亮輔、新津保建秀場所:H.P.DECO問い合わせは、各ショップまでお願いします。【OUR FAVOURITE SHOP】〒108-0072東京都港区白金5-12-21営業時間:12:00~19:00月・火休み(祝日の場合営業)TEL:03-6677-0575(寺田)MAIL:shop@ofs.tokyoURL:【H.P.DECO】〒108-0072 東京都渋谷区神宮前5-2-11営業時間:11:00~19:30不定休TEL:03-3406-0313(担当:北濱)MAIL:hpdeco@hpgrp.comURL:www.hpdeco.com/
2016年09月10日ギギ(KIGI) の植原亮輔さん・渡邉良重さん、スロー・ア・キッス(THROW A KISS)ブランドデザイナーの青木むすびさんとFASHION HEADLINEが始めた「HOHO Smile EVENTS」。10月2日に開催される第3回のHOHOでは「iPhoneで撮る写真のワークショップ」を開催します。そこで、ホストであるクリエイティブディレクター・植原亮輔さんと写真家・新津保建秀さんに、イベントのことから写真のこと、クリエイションのことまで語ってもらいました。■写真を撮るということは“観察する”ということーー次回のHOHOのテーマは「iPhoneで撮る写真」です。このテーマを選んだのはどうしてでしょう。植原亮輔(以下、植原):スマホで写真を撮るというのはいまや誰でもする行為ですけど、意外と上手く撮れない。単純に構図の問題とか、加工の仕方とか、ちょっとした知識だと思うんですけど、そのあたりを共有できたらなと思います。実は、HOHOプロジェクトを一緒にやっている(青木)むすびさんに「知りたい!」って言われたのもあるんですけどね(笑)。ーー確かに今は誰でもスマホで簡単に写真を加工できたりしてある程度の質の写真が撮れますが、プロのクリエーターとの一線って必ずあると思います。植原:例えば、インスタグラムってボタン一つでいい感じになるじゃない。でも、僕はあの感じってあまり好きじゃないんですよ。何故かな、と考えると、みんな一緒で均一的になってしまうところなのではないかと。意志をもって変換されたものじゃないから。キギの植原亮輔さん新津保建秀(以下、新津保):SNS上の植原さんの写真を見ていると、それぞれのよさもさることながら、日常で積み重ねた考えの痕跡を辿ることができて、漠然と「いい感じと思う今」だけを撮っているのとは違う気がしますね。継続して考えていることの集積によるイメージが独特のアーカイブを形成しているというか。自分なりに植原さんの作品から読み取ったアイデアと、アップされている写真を対比させて見ると、とても興味深いです。写真家・新津保建秀さん植原:確かに、新津保さんのインスタグラムとかフェイスブックを見ていても、たまに絶対に素人じゃ分からないだろうなという写真がある。これまでの新津保さんの作品とつなげて見るから面白いんだろうね。ーーインスタグラムやフェイスブックといったSNSの位置付けは?新津保:仕事では常に不特定多数の方にむけた撮影が多いので、いまのところSNSでは特定の友人を想像して撮影しています。以前、ドミニク(・チェン)さんたちが開発した、撮影するだけで写真と動画を共有するアプリ「Picsee」が開発段階にあったとき、テストユーザーのひとりとして、彼と共通の友人とともに3人でグループを作って年単位の長期間にわたる実験をしました。このとき経験した画像のみを介したコミュニケーションを経てから、画像によって伝達されるイメージ全般への見方が大きく変わって、フェイスブック上の友人たちによる写真を注視するようになった。すると、植原さんの写真はうまい按配にセレクトされているなと思って。植原:新津保さんにカメラを教わったからですよ。実は、デジタルカメラを使ってマニュアルで撮っていることも多いんです。スマホだとめちゃめちゃ広角じゃないですか。なんでこんなにテンションが高いんだろうって(笑)。モノを見るときって、スッとそのものだけを見ていることも多いはず。マニュアルだとピントを合わせるところが明確だから、どう撮りたいという意志が表現できるんです。スマホで撮ると全部にピントが合うからつまらない、って言いながらスマホで撮るワークショップをやるわけですけど(笑)。新津保:これは一緒にフラワーベースの撮影をしたときなのだけど、植原さんがクリエイティブをディレクションするときや、写真を撮るときのアプローチでは、10代から20代に取り組んだデッサンのなかで獲得した、対象を丁寧に観察する姿勢がとても大きいのでは、と思いました。デッサンでも写真でも対象をよく観察して何かに置き換え、また観察してゆく過程を繰り返すなかで、自分はいま何を見ているのかということに自覚的になって、それまで気がつかなかったものを発見する瞬間がありますよね。植原:あと、そのときの偶然性とか、変わっていくものをどう捉えるか。新津保:今、そこで起きていることにどれだけ心が開いているかは大きいですよね。植原:そんな話とともに、今回のワークショップで僕は、写真加工アプリを使った僕なりの表現の方法をお伝えしながら、写真についての考え方をお話しできたらと思っています。新津保:僕は写真で色彩を扱う際の基本的なところをお伝えできればと思います。写真加工アプリは割と細かなパラメーターが豊富に揃っているのですが、それらに振り回されることなくなるべくシンプルに使っていければ。ワークショップでは、iPhoneで撮影した写真の加工を行う■二人を繋ぐ?ドットの世界―― 新津保さんは以前ドミニク・チェンさんとの対談で、20代のころ、初期ゲームボーイのドット絵を用いて絵画制作をするフランス人アーティストとの出会いがイメージとメディアの関係を考えるようになった契機だとおっしゃっていて、植原さんもシールで描いたドットの作品(「implosion←→explosion」)を発表されています。もしかしたら二人をつなぐキーワードはドットなのかな、と勝手に想像していました。新津保:確かに、そんな話もしたかも(笑)。この友人はインターネットのかなり初期の頃から、これを自覚的に使った制作方法を実践していたのですが、その様子を見て、これからイメージの共有の在り方が大きく変わるのだろうなー、と考えるようになったんです。植原:僕の作品「implosion←→explosion」には、写真をミクロの世界まで見ると1つの点になる、そこに立ち返りたいという思いがあります。原子の周りを電子が回るミクロと、太陽の周りを惑星が回るマクロの構造は一緒だから、ミクロとマクロは一緒だという。じゃ、人間も絶対に同じ構造なんだと思えて、そうすると、ミクロとマクロはこんなに整然としているのに、なんで僕はこんなに欲望にかき回されて生きているんだろうって。僕の人生のテーマは「集合と拡散」なので。ーーでは、植原さんが太陽だとしたら、周りを回っているものは何なんでしょう?植原:それは、僕が愛情をあげる人たち。太陽って愛情だと思うんです。磁場にエネルギーがギュッと溜まってプンと噴出す炎があるじゃない。それが周りの惑星に愛情を与えているんだと思っていて、人間も同じようにギュッと詰まったエネルギーがないと人に愛情を与えられない。だから自分を成長させるとか、自分自身が幸せになろうという気持ちを持つことが大切だと思います。でも100%じゃなくていいの。80%とかで(笑)。新津保:いい話になってきた(笑)。なぜ植原さんの作品がこんなに人気があるのか、その理由の一端を垣間みた感じです。なるほど、愛情かぁ。ーー写真の話からクリエイションの真髄までお聞きできた気がします。ワークショップでも意外な話が飛び出しそうですね。楽しみにしています!ありがとうございました。【Profile】植原 亮輔(うえはら りょうすけ)アートディレクター。北海道生まれ。DRAFTを経て、2012年渡邉良重と共にKIGI.Co.Ltdを設立。グラフィック、プロダクト、ブランドデザイン、映像等を手掛ける。2014年滋賀の職人たちと共にプロダクトブランドKIKOFを立ち上げるほか、2015年にオリジナルショップ&ギャラリーOUR FAVOURITE SHOP(東京・白金)をオープン、また作品を制作し美術館等で発表するなど、クリエイションの新しいあり方を探し活動を続ける。作品集『KIGI_M』をリトルモアより出版。ちなみに、お気に入りのカメラは新津保さんから教わったα7R(ソニー)+ライカのレンズ。新津保 建秀(しんつぼ けんしゅう)1968年、東京生まれ。写真家。写真、フィールドレコーディング、ドローイングなどによる制作とともに、企業、音楽家、研究者、ファッションブランド、デザイナーらと共同作業を数多く手がける。主な作品集に『\風景』(角川書店)『Rugged TimeScape』(池上高志との共作、FOIL)、関連書籍に『複雑なトポグラフィー庭園』(東京藝術大学)、『MTMDF』(HAKUHODO DESIGN)、『建築と写真の現在』(TNプローブ)など。日頃は愛娘をスマホでも撮影しているよきパパ。【イベント情報】※定員に達したため、受付は終了いたしました※2016年10月2日(日)受付13:45、イベント14:00~16:00#003「iPhoneで撮る写真のワークショップ」HOST:植原亮輔、新津保建秀場所:H.P.DECO〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-2-11定員:10名※多数のご応募があった場合は抽選とさせて頂きます。ご了承ください。参加費:3,500円参加条件:「Snapseed(バージョン2.9)」がダウンロードされたiOS8.0以上のiPhoneをお持ちの方「Snapseed(バージョン2.9)」のApp Storeのリンクはこちらお申し込み募集開始日:9月11日(日)お申し込み方法:hpdeco_contact@hpgrp.com(北濱)まで、メールをお送りください。件名に「10月2日 HOHO#003予約」と記載し、本文に 1)お名前、2)お電話番号をご記入の上お申し込みください。後日、予約確認のメールをお送りいたします。
2016年09月10日米アカデミー賞の前哨戦ともいわれる北米最大規模の映画祭、第41回トロント国際映画祭に出品される本木雅弘主演、西川美和監督の『永い言い訳』。このほど、さらに10月6日より開幕する第21回釜山国際映画祭「A Window of Asian Cinema」部門に招待されることが決定。西川監督は、アジア最大級の本映画祭に初めて参加することになった。妻・夏子(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、亡くなった人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)。だが、まさにそのとき不倫相手の編集者(黒木華)と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、同じく亡くなった妻の親友の遺族、トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子どもたちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る――。西川監督が『おくりびと』以来7年ぶりに映画主演を務める本木さんを中心に、ミュージシャンの竹原ピストル、池松壮亮、黒木華、山田真歩、堀内敬子、深津絵里ら、屈指の実力派俳優とともに贈る、観る者すべての感情をかき乱すラブストーリーとなる本作。今回、1996年の創設から近年に至るまで、急速に規模を拡大、成長している釜山国際映画祭への招待が決定。2015年は、75か国302作品が上映されており、日本映画では是枝裕和監督『海街diary』がガラプレゼンテーションで、そのほか黒沢清監督『岸辺の旅』、行定勲監督『ピンクとグレー』、橋口亮輔監督『恋人たち』など、話題作ばかり20作品が上映。また、年間を通してアジア映画業界に与える多大な貢献を称える「アジアン・フィルムメーカー・オブ・ザ・イヤー賞」をスタジオジブリが受賞した。その一方、2014年には釜山市の映画祭への政治介入が問題となり、一時は存続が危ぶまれたことも。しかし、それに対して全世界の映画人が反発、昨年「I Support BIFF」と題した支援キャンペーンが展開され、今年5月に晴れて本映画祭の実施が決定した。その支援者の中には、西川監督やその師匠にあたる是枝監督も名を連ねている。西川監督は、10月8日に釜山へ向け出発、現地9日での上映に登壇し、Q&Aを行う予定だ。『永い言い訳』は10月14日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月07日新鋭・坂下雄一郎が監督を務める映画『エキストランド』が来年公開されることが決定。今月中旬にはクランクインされる予定だという。本作は、過去の大失敗から映画を撮れなくなったプロデューサーが、映画で地元を盛り上げたいと思っている市民たちを騙して、自分のためだけに映画を作ろうと画策するストーリー。最初は指示されるがままだった市民たちも、その横暴な立ち振る舞いに疑問を感じ始める。撮影最終日、自分たちが利用されてるだけだったと気付いた市民たちは一矢報いようと、前代未聞の計画を企てる――。本作の監督坂下氏は、東京芸術大学大学院映像研究科の修了作品である「神奈川芸術大学映像学科研究室」が高い評価を得て、その後松竹ブロードキャスティングによる『滝を見にいく』(沖田修一監督)、『恋人たち』(橋口亮輔監督)に続くオリジナル映画プロジェクト第3弾『東京ウィンドオーケストラ』の公開を控えている。そして出演するキャストには、吉沢悠、戸次重幸、前野朋哉といった個性派実力俳優陣が結集!自らの成功のために地方を悪用し映画を作ろうとするプロデューサーには、「動物のお医者さん」や大河ドラマ「平清盛」の吉沢さん。それに追従する映画監督に、舞台はもちろん、映画やドラマにも出演し、『永い言い訳』『疾風ロンド』『一週間フレンズ。』などが公開を控える戸次さん。そして、対峙する地元の観光課職員を、auの三太郎シリーズCMにて、”一寸法師役”として話題を集める前野さんが好演する。本作は、地方創生、ご当地映画などがうたわれる時代を逆手に取った風刺を鋭いユーモアで描き、映画制作、モノづくりに大事なコトをメッセージとして、コメディタッチで表現した作品となる予定だという。なお、撮影は関東近郊と長野県の上田市で、信州上田フィルムコミッション全面協力のもと行われる。『エキストランド』は2017年、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年09月01日第八回下北沢映画祭が、しもきた空間リバティと下北沢トリウッドにて2016年10月8日(土)から10月10日(月・祝)までの3日間開催される。下北沢映画祭とは、ジャンルを問わず、一般募集した映画作品のなかから10作品程度を上映しグランプリを決定するコンペティションをメインプログラムに、トークショーや音楽や演劇、グルメなど下北沢の独特なカルチャーが楽しめるイベントだ。8回目となる今年のテーマは「ニュートーキョー、ニューシモキタザワ」。東京オリンピックに向けて変化していく東京の街並みを背景に、映画を通して、新しい変化と向き合い、変わらないものの魅力を再認識するため5つのプログラムを用意。コンペティションの応募作品は297作品で過去最多となった。ゲスト審査員として、映画『セトウツミ』を手掛けた、大森立嗣監督が登場する予定だ。期間中は、映画『スーパーローカルヒーロー』を招待上映。広島県尾道にある伝説のレコード店「れいこう堂」の店主に密着し、私財をなげうってアーティストを支援する彼の音楽への情熱を追ったドキュメンタリー作品だ。その情熱は音楽を愛する人々やアーティストが集う下北沢の街にも通じ合うものがある。他にも、橋口亮輔監督の最新作『恋人たち』を上映。本作は、変わりゆく東京で中々変わる事が出来ず、もがき苦しんでいる個々のキャラクターがリアルに描かれている。上映後は、監督が普段どのように脚本を執筆しているか、その脚本づくり神髄を披露する。また、“ロトスコープ”という、実写映像を1コマずつトレースして絵画を制作し、アニメーション映像化する技法で作られた長編&短編を通して「これからの映像風景」を考えるプログラム「実写じゃない! アニメでもない! ロトスコープによる新しい映像風景」も。岩井俊二監督作『花とアリス殺人事件』やルミネCMなどを手がけるアーティスト、シシヤマザキの短編作品、 そして大橋裕之の原作漫画をアニメーション化した『音楽』 制作過程映像を一挙上映する。上映後は、制作者2名によるロトスコープの可能性についての対談も行われる。【開催概要】第八回下北沢映画祭期間:2016年10月8日(土)~10月10日(月・祝)会場:・しもきた空間リバティ 世田谷区北沢2-11-3イサミヤビル4F・下北沢トリウッド 世田谷区代沢5-32-5-2F※チケットは9月10日(土) 10:00から公式サイトにて発売開始。■プログラム・『スーパーローカルヒーロー』招待上映開催日程:10月8日(土) 19:30~(19:15開場)会場:下北沢トリウッド参加費:1,500円・実写じゃない!アニメでもない!ロトスコープによる新しい映像の風景開催日程:10月9日(日) 10:30~(開場10:15)会場:下北沢トリウッド参加費:2,000円上映作品:シシヤマザキ全6作品「YA-NE-SEN a Go Go」「ああ/良い」「⽉夜&オパール」「YAMASUKI YAMAZAKI」・映画が繋ぐ、着物との縁。開催日程:10月9日 13:30〜(13:15開場)会場:しもきた空間リバティ参加費:2,000円(チケットと着物&帯のプレゼントと着付けのサービス付きで4,900円)上映作品:『化粧師』 ・橋口亮輔、脚本を語る ~『二十才の微熱』から『恋人たち』まで~開催日時:10月9日(日) 18:00~(開場17:45)会場:しもきた空間リバティ参加費:2,000円・コンペティション開催日程:10月10日(月・祝) 13:20〜(13:05開場)会場:しもきた空間リバティ参加費:1,500円上映作品:『I CAN SEE YOU』『こんぷれっくす×コンプレックス』『おもかげたゆた』『世界の終わりの、そのあとで』『より道』『サヨナラ、いっさい』『お姉ちゃんは鯨』『I think you’re a little confused』『加賀谷だけが好き』
2016年07月31日富士山の麓で映画を見る「湖畔の映画祭」が山梨県富士五湖・本栖湖キャンプ場にて開催される。期間は2016年8月5日(金)から8月7日(日)まで。大自然と星空の下で映画を見る「湖畔の映画祭」では、個性的な日本のインディペンデント映画が30本以上も上映されるほか、映画監督や出演者たちのトークイベントも行われる予定だ。上映作品は、カンヌ国際映画祭で注目を浴びた新世代の監督、深田晃司の作品や、「踊る大捜査線」シリーズで知られる本広克之らによる「Anniversary アニバーサリー」などがある。本イベントはアウトドアフェスでもあるので、テントやバンガローでの滞在やバーベキューも魅力の一つ。ほかにも、昼間はDJによる音楽イベントが開催されるので、滞在中は朝から夜まで楽しむことができそうだ。【イベント詳細】「湖畔の映画祭」開催日:2016年8月5日(金)~8月7日(日)会場:山梨県富士五湖・本栖湖キャンプ場住所:山梨県南都留郡富士河口湖町本栖18アクセス:・車の場合 東京より車で2時間半 河口湖ICより40分・電車/バスの場合 河口湖駅下車 路線バスにて60分チケット(通し券のみ):・一律前売り 3,500円(税込)・当日券 4,000円(税込)※18歳未満は当日券2,000円(税込)※親1名につき小学生以下1名無料購入方法:・チケットぴあ 湖畔の映画祭(Pコード:990-504)TEL:0570-02-9999店頭:ぴあ店頭、サークルKサンクス、セブン-イレブン宿泊:・各自で予約のこと・テントゾーンあり。キャンプ場利用料1,500円から・公式Webサイトにて本栖湖キャンプ場バンガローの予約を先着で受付上映作品一例:・『恋人たち』(監督:橋口亮輔)・『Anniversary アニバーサリー』(監督:本広克行ほか)・『下衆の愛』(監督:内田英治)・『黒い暴動』(監督:宇賀那健一)・『ケンとカズ』(監督:小路紘史)・『INNOCENT15』(監督:甲斐博和)ほか30作品以上
2016年07月11日加瀬亮主演のWOWOW『ドラマW この街の命に』の完成披露試写会が、3月25日に大阪市内で行われ、メガホンを執った緒方明監督と、俳優の黒田大輔と篠原篤が舞台あいさつに登壇し、撮影時のエピソードを語った。『この街の命に』完成披露その他の写真本ドラマは、ある街の動物愛護センターを舞台に、殺処分される動物たちを救おうと踏み出した職員たちを描く人間ドラマ。行政獣医の牧田役に加瀬、同僚の行政獣医・幡枝役に戸田恵梨香、センターの所長・高野役を田中裕子が演じている。行政獣医で係長の前川役を演じた黒田は、実際の施設で行われた撮影を振り返り「田中裕子さんと現場でのほほんとしていたら、軽トラックで白い犬が運ばれてきた。ふたりで『あの犬可愛いですね』と話していたら、職員の方が『2、3日後には処分されてしまうんです』と仰って……命を処分する現実が目の前にあって、切実に考えさせられた現場でした」と神妙な面持ちで話した。同センターの作業班で、心を持たずに、日々の業務にあたる寡黙な職員・木崎役を演じた篠原は、「それぞれが自然に役に対する考えや、殺処分に対する意見を言い合ったり、実際の職員の方たちとのコミュニケーションを図ることによって、いいグルーヴ感が生まれた現場でした」とコメント。加瀬については「すごく不思議な方」といい、「お会いして開口一番『どうなのよ!?』と聞いてきて、何が『どうなのよ』なのか全然わからなかったです(笑)」と明かすも、「ただ、ここまで役柄に対して真摯な方は中々いらっしゃらないので、ご一緒して尊敬もするし、刺激にもなりました」と語った。映画『恋人たち』(橋口亮輔監督)以来の共演となった黒田と篠原。緒方監督は「黒田さん篠原さんは、撮影時は何も賞をとっていなかったのに、黒田さんは高崎映画祭助演男優賞を、篠原さんは日本アカデミー賞新人賞、キネマ旬報新人男優賞、高崎映画祭優秀新進俳優賞を受賞して、今後、僕の作品に出てくれないかもしれない」と話すと、黒田は「そうですね」と返し、会場から笑い声があがる一幕もあった。本作について緒方監督は「犬猫に振り回されてみようと思った作品」といい、「ハリウッドではCGでどうにでもなるが、とにかく振り回されようと思った。3秒のアップを撮るのに1時間かかったりしたが、貴重な映像になったと思う」とこだわりを話し、「キャスト、スタッフみんなが試行錯誤しながら撮影した。自分の中では問題作だと思っています。暗い話だけではなく、旬なキャストが集まっています」と語った。WOWOW『ドラマW この街の命に』4月2日(土)夜9時よりWOWOWプライムにて放送関連特集「『ドラマW この街の命に』放送記念!俳優 加瀬亮」4月2日(土)昼1時~『それでもボクはやってない』『劇場版 SPEC~天~』『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇』『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻(コウ)ノ篇』
2016年03月26日今年で70回目を迎える「毎日映画コンクール」の表彰式が2月16日(火)に開催され、最高賞の日本映画大賞が橋口亮輔監督の『恋人たち』に贈られたほか、塚本晋也が『野火』で監督賞、男優主演賞の2冠を達成した。先日行われた「キネマ旬報ベスト・テン」での日本映画第1位の栄誉に続き、70年の歴史を誇るこの毎日映画コンクールでも最高賞に輝いた『恋人たち』。壇上でトロフィーを受け取った橋口監督はこの日、会場に到着するもスタッフから一般の観客と間違われ「整理券を受け取ってください」と言われ、受賞者だと伝えると「『受賞者?』と2回聞かれました(笑)」と自虐気味に明かし笑いを誘う。前作『ぐるりのこと。』は、同コンクールで日本映画優秀賞を受賞したが「その時の大賞は『おくりびと』で、滝田洋二郎監督に『すいませんね』と言われて『いえいえ』と答えましたが、内心は悔しかったです。映画人ならだれでも憧れる賞であり、名誉に感じています」と喜びを噛みしめた。本作はワークショップで募った無名の俳優を中心に低予算で制作されており、公開規模も大きいとは言えないが、各地の劇場で満席が続出するなど口コミで大きな話題に。橋口監督自身の経験を主人公に反映させており「(自身が)どんな目に遭ったかを話すと3時間かかりますが(笑)、お金を一千万以上盗まれまして、『何だこの国は…』と思い、その後、震災も重なって、心の中にいろんな思いを抱えて、表に出せずに耐えている人がいっぱいいるはずで、そんな人に見てもらえたらと思い、作りました」と語った。この日は、主演の篠原篤、成嶋瞳子、池田良をはじめ、キャスト陣も駆けつけ、橋口監督と共に壇上に上がり、喜びを分かち合った。塚本晋也監督は自身がメガホンを握り、主演まで務めた『野火』で監督賞、男優主演賞の2冠を獲得!こうした形での2冠は初の快挙だが、塚本監督は男優主演賞の授与の場で「僕ですいません。ホントにすいません、申し訳ないです!」と不祥事でも起こしたかのように謝罪を連発!過酷な戦地での日本兵の姿を描いた本作は「20~30年前から作りたかった映画」というが「戦争に行った人がどんどんなくなっていく中で、いま作らなければ作るチャンスがない」と考え、私費を投じて制作した。これまでも自作を含め、俳優としても活動している塚本監督だが「自分で出れば交通費を出さなくていいから(笑)。カメラ持って、自分で(現場に)行こうという発想」と低予算ゆえの苦肉の策だったと明かし「想像を絶するものが来た(笑)」と思わぬ受賞に困惑…。最後まで「すいません!」と謝り通しだった。また男優助演賞は、舞台を中心に活動し、山田洋次監督作『母と暮せば』で27年ぶりに映画出演を果たした加藤健一が受賞。久々の映画出演の経緯について「下北沢の劇場の楽屋に山田監督がいらっしゃって『出なさい』と言われ、そのひと言で『はい、出ます』と」と明かした。男優賞には渋い面々が並んだが、女優賞では『海街diary』で4姉妹の長女、次女を演じた綾瀬はるかと長澤まさみが女優主演賞、女優助演賞を受賞!また一般のファンの投票による「TSUYATA映画ファン賞」は日本映画部門で『幕が上がる』が受賞し、主演の「ももいろクローバーZ」の5人がそろって登壇し「喜びを全身で表現した」(百田夏菜子)というド派手な衣装とフェイスペインティングで会場をわかせた。スポニチグランプリ新人賞には人気バンド「RADWIMPS」のボーカルで、『トイレのピエタ』で映画に初めて主演した野田洋次郎と宮部みゆきのベストセラーの映画化『ソロモンの偽証』で役名を女優名として襲名し、女優デビューを果たした藤野涼子が選ばれた。【第70回毎日映画コンクール】受賞一覧日本映画大賞:『恋人たち』日本映画優秀賞:『岸辺の旅』外国映画ベストワン賞:『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』監督賞:塚本晋也(『野火』)脚本賞:原田眞人(『駆込み女と駆出し男』)男優主演賞:塚本晋也(『野火』)女優主演賞:綾瀬はるか(『海街diary』男優助演賞:加藤 健一(『母と暮せば』)女優助演賞:長澤まさみ(『海街diary』)スポニチグランプリ新人賞:野田洋次郎(『トイレのピエタ』)スポニチグランプリ新人賞:藤野涼子(『ソロモンの偽証前篇・事件/後篇・裁判』)アニメーション映画賞:『百日紅~Miss HOKUSAI~』大藤信郎賞:『水準原点』ドキュメンタリー映画賞:『沖縄 うりずんの雨』TSUTAYA映画ファン賞【外国映画部門】:『ミッション・インポッシブル/ローグネーション』TSUTAYA映画ファン賞【日本映画部門】:『幕が上がる』田中絹代賞:桃井かおり(text:cinemacafe.net)
2016年02月17日「第89回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式が2月13日(土)に開催され、『恋人たち』が日本映画第1位に輝き、橋口亮輔監督が監督賞と脚本賞、篠原篤が新人男優賞を獲得。キャストの8割が無名の俳優の低予算映画が高評価を得て、各映画賞でも存在感を発揮している。『ぐるりのこと。』の橋口監督の久々の長編映画で、理不尽な事件で妻を亡くした男、日常に退屈した主婦、同性愛者の弁護士らのドラマが展開していく。昨年11月14日に公開され、小劇場中心で公開規模は大きいとは言えないながらも各劇場で満席が続出するなど大きな話題を集めており、現在も全国各地で公開中。公開時期が11月で小規模公開ということもあり、日本アカデミー賞では篠原篤が新人俳優賞を受賞したものの、作品賞、監督賞、脚本賞などの優秀賞獲得には至らなかったが、今回のキネマ旬報での4冠をはじめ、毎日映画コンクールでも日本映画大賞、ブルーリボン賞では監督賞に輝いた。授賞式で橋口監督は自身の監督賞・脚本賞の2冠よりも篠原さんの新人賞獲得を大喜び。「8割は無名の俳優を使うということで撮る前から『作品賞を獲る映画にはなりませんよ。その代わり、俳優たちに新人賞を獲らせます』と言っていたので、役割は果たせたかなと思います」と嬉しそうに語る。「『ぐるりのこと。』が7年前で、その後、人生のどん底を経験したんですが、映画の中のように、そんな私の元をプロデューサーはお弁当を持って通ってくれた。雀の涙のようなギャラで、一流のスタッフが映画に献身してくれました」とプロデューサー、スタッフへの感謝を口にした。ワークショップで作り始めた作品ということで「そこでの俳優たちのリアルな言葉を脚本に盛り込んでいるので、みんなで獲った脚本賞だと思います」と語る。ワークショップを振り返り「スターになるっていうような人、スポットライトが当たっているような人は一人もいなかった(笑)。でも、地味な人もじっくりと見ると、気持ちのかすかな揺れが見えてきて愛おしくなった」としみじみと語っていた。新人賞の篠原さんは「先日、33歳になりまして…」と三十路での新人賞獲得に苦笑を見せつつ、20代を振り返り「才能なんて何一つないけど必死で、30代までやれることやろうと思ったけど30を過ぎても芽が出ず、やめる才能もなかったんですが、あきらめずに続けてよかったです」と喜びを語る。クライマックスの妻の位牌の前でのシーンのために、セットに泊まり込んだそうで、撮影当日は「終日やって、OKの瞬間に監督が泣きながら飛び込んできて、抱きしめてくれました。その日のことは生涯忘れません」と語った。橋口監督は、篠原さんの晴れの舞台でのスピーチを温かい目で見守る。主演男優賞の二宮和也と篠原さんがいすを並べて座ってる光景が信じられないようで「だってニノだよ!片やジャニーズのニノ!片や無所属のシノ!3年前に想像できた?」と驚きを口にし「これがスタートでここから始まるので頑張ってほしい!」とエール。司会者に促され、壇上で二宮さんと篠原さんは握手を交わし、会場は温かい拍手と感動に包まれた。(text:cinemacafe.net)
2016年02月14日第89回「キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が13日、東京・文京シビックホールで行われ、受賞者の深津絵里、二宮和也、本木雅弘、広瀬すず、篠原篤、橋口亮輔らが出席した。映画誌『キネマ旬報』が主催する「キネマ旬報ベスト・テン」は、今年で89回目の開催。その年を代表する日本映画、外国映画をそれぞれ10本挙げるほか、主演男優賞や主演女優賞、新人男優賞、新人女優賞などを、映画評論家や映画記者らが選出する。『岸辺の旅』と『寄生獣 完結編』の2作品で主演女優賞を受賞した深津絵里は「このような素晴らしい賞に値するような芝居だとは疑問に思いますが」と謙そんしながら「プロデューサーや監督さん、そしてスタッフさん、ともに戦いに挑んだ共演者の皆さんに心から感謝したいと思います」と笑顔。続けて「特に『岸辺の旅』で夫が浅野忠信さんじゃなければあのような空気感、繊細な表現につながらなかったと思います。浅野さんの底知れぬお力のお陰でこの賞をいただけたと思っています」と共演した浅野に感謝しきりだった。一方、『母と暮せば』で主演男優賞を受賞した嵐の二宮和也は「自分がこの作品に出る役割は、応援してくれる若い方々に戦争というものを改めて学んでいただける機会をという責務がありました。それがちょっとでも叶い、しかも素晴らしい賞をいただけて本当にうれしく思っています」と喜びの声。本作で共演した吉永小百合については「テレビで見ているパブリックイメージはありましたが、それを遙かに超越していて、どんな人でも同じ対応をしている懐の広さには驚きましたね」と語った。新人女優賞に輝いたのは、『海街diary』に出演した広瀬すず。「このような大きな舞台に立てることは自分にとって不思議な感覚ですが、日々『海街diary』という思いが強くなってきて、大人になっても是枝裕和監督やお姉ちゃん(共演した綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)に出会えたことが自分の人生にとって大きいと思っています。これからもお姉ちゃんたちの背中を見ながらこういったところに帰れるように頑張りたいと思います」と更なる活躍に意欲。本作の監督でもある是枝監督とはたまに会う機会があるといい、その度に「ネイルをしたりしているんですけど、『また色気づいちゃって!』とか『大人っぽくなっちゃって!』と言われます(笑)」と明かして会場を湧かせていた。○第89回『キネマ旬報ベスト・テン』受賞者一覧日本映画作品賞『恋人たち』(橋口亮輔監督)外国映画作品賞『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ジョージ・ミラー監督)文化映画作品賞『沖縄 うりずんの雨』(ジャン・ユンカーマン監督)日本映画監督賞/日本映画脚本賞橋口亮輔監督(『恋人たち』により)外国映画監督賞ジョージ・ミラー監督(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』により)主演男優賞二宮和也(『母と暮せば』により)主演女優賞深津絵里(『岸辺の旅』、『寄生獣 完結編』により)助演男優賞本木雅弘(『日本のいちばん長い日』、『天空の蜂』により)助演女優賞黒木華(「『母と暮せば』、『幕が上がる』、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』により)新人男優賞篠原篤(『恋人たち』により)新人女優賞広瀬すず(『海街diary』により)読者選出日本映画監督賞是枝裕和監督(『海街diary』により)読者選出外国映画監督賞デイミアン・チャゼル(『セッション』により)キネマ旬報読者賞川本三郎(キネマ旬報連載『映画を見ればわかること』により)
2016年02月14日第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が2月13日(土)に開催。主演男優賞の二宮和也、主演女優賞の深津絵里、助演男優賞の本木雅弘、新人女優賞の広瀬すず、邦画1位の『恋人たち』の橋口亮輔監督、同作で新人男優賞に輝いた篠原篤らが出席した。映画雑誌「キネマ旬報」の主催で、米アカデミー賞よりも古い歴史を持つこちらの映画賞。批評家や映画記者たちによる投票結果を誌上で公開しているというのも大きな特徴となっている。二宮さんの受賞の影響もあり、この日の会場は例年以上に若い女性の姿が目立つ。二宮さんと深津さんが表紙を飾っている、受賞結果を掲載した発売中の本誌も売れ行き好調だという。『海街diary』で新人女優賞に輝いた広瀬さんは「監督との出会い、お姉ちゃんたちとの出会いは大きかったなぁと日々、改めて感じています」とメガホンを握った是枝裕和監督、姉を演じた綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆の存在の大きさを語り「これからもいろんな役に染まれるよう、お姉ちゃんたちの背中を見て頑張っていきたいと思います」とさらなる飛躍を誓った。最近でも、是枝監督とはメールを交換しているそうで「『また色気づいちゃって』とか『大人っぽくなっちゃって』とか言われます(笑)」と明かした。深津さんは『寄生獣 完結篇』『岸辺の旅』で主演女優賞を受賞。『寄生獣』ではモンスターでありつつも母性を宿す女を見事に演じたが、モンスターを演じるのは初めて?という問いに「初めてで最後だと思います」と笑う。幽霊となった夫と旅をする女性を演じた『岸辺の旅』について「夫を演じた浅野忠信さんがいなかったら、あの繊細な表現には繋がらなかった。浅野さんの底知れぬ力でこの賞をいただきました」と感謝を口にした。二宮さんは山田洋次監督の『母と暮せば』で長崎の原爆で亡くなるも、戦後数年を経て助産師として働く母の前に姿を現す青年を演じ主演男優賞を受賞。マイクの前に立った二宮さんは大きな声で「ありがとうございます!」と語りニッコリ。「僕はこの映画を1月20日に映画館で観ました。サービスデーだったんですけど、すごくいい映画でした」とユーモアたっぷりに語る。「自分の役割は、日ごろ、応援してくださっている若い方に戦争について改めて学んでいただくひとつのきっかけになることだと思ってました。その責務が少しでも果たせたら」と語った。受賞に対する「嵐」のメンバーの反応を尋ねると「朝、4人と一緒だったんですが、授賞式に行くと伝えると『おめでとう』『いってらっしゃい』と言ってくれました」と明かした。助演男優賞は『天空の蜂』『日本のいちばん長い日』の本木さん。挨拶に立った本木さんは数日前に西川美和監督の最新作『永い言い訳』の撮影を終えたことを明かしたが、同作では深津さん、そしてこの日は欠席となったが、助演女優賞に輝いた黒木華と共演していることを明かす。「深津さんが妻で、黒木さんは愛人ということで、今日は映画でも実現しなかった鉢合わせになるかと落ち着かず、罪悪感を感じてたんですが、危険を回避できました…」とほっとした表情で語り、会場は爆笑に包まれた。『日本のいちばん長い日』では昭和天皇を演じたが、引き受ける前に義母であり、原田眞人監督作品への出演経験のある樹木希林さんと話をしたと明かす。「『気楽に引き受けりゃいいのに』と(笑)。日本映画で昭和天皇を描くのは初めてであり、パイオニアになるというおまけ付きであり『できるできないは別として飛び込んでみるべき』と言っていただきました」と振り返った。(text:cinemacafe.net)■関連作品:日本のいちばん長い夏 2010年8月7日より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほかにて公開(C) 2010 NHK アマゾンラテルナ海街diary 2015年6月13日より全国にて公開© 2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン小学館東宝ギャガ天空の蜂 2015年9月12日より全国にて公開(C) 2015「天空の蜂」製作委員会日本のいちばん長い日 2015年8月8日より全国にて公開(C) 2015「日本のいちばん長い日」製作委員会岸辺の旅 2015年10月1日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINEMAS母と暮せば 2015年12月12日より全国にて公開(C) 2015「母と暮せば」製作委員会
2016年02月13日第70回毎日映画コンクールの各賞が決定し、『海街diary』(15年)に出演した綾瀬はるかと長澤まさみがそれぞれ、女優主演賞と女優助演賞を受賞したことが20日、明らかになった。毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が主催する同賞は、1946年から続く映画賞で毎年2月に開催。作品部門、俳優部門、スタッフ部門、映画ファンによる投票で日本映画部門と外国語映画部門の2賞を決定する「ファン賞」(これらの部門もしくは賞は、1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された映画が対象)、諮問委員会が映画人の功績をたたえる「特別賞」などで表彰される。綾瀬と長澤が受賞に至った『海街diary』は、漫画家・吉田秋生氏による同名コミックを原作に、是枝裕和監督がメガホンを取った作品。神奈川・鎌倉の祖母が残した家を舞台に、"異母妹"を加えた4姉妹のリアルな家族の絆を描いた。綾瀬はその4姉妹の長女でしっかり者の香田幸役を、長澤は自由奔放な次女の佳乃役を、それぞれ演じた。日本映画大賞に選ばれたのは、『ぐるりのこと。』(08年)以来、7年ぶりとなった橋口亮輔監督の長編作『恋人たち』。監督が今撮りたい題材で、新人俳優を起用して自由につくるというオリジナルプロジェクトから生まれたことでも話題を呼んだ。監督賞および男優主演賞を獲得したのは、『野火』で1人6役をこなした塚本晋也。このほか、音楽賞は『母と暮せば』の坂本龍一、特別賞は『羅生門』(50年)などの黒澤明監督作品や『日本沈没』(73年) 、『砂の器』(74年)などの大作を手がけてきた脚本家の橋本忍氏が受賞した。○監督賞、脚本賞○スタッフ部門○アニメーション部門
2016年01月21日東出昌大主演、石井隆監督最新作『GONIN サーガ』が3月25日(金)にBlu-ray&DVD発売を迎えるが、このほど「第45回ロッテルダム国際映画祭」の正式招待・上映が決定した。1972年から始まったロッテルダム国際映画祭は、毎年1月下旬~2月上旬にオランダのロッテルダムにて開催。世界中から集まったインディペンデント映画、実験映画、視覚芸術分野に優れた映画を輩出している。毎年約30万の来場者を誇り、近年ではカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭などと比肩する重要な国際映画祭のひとつとして知られている。石井隆監督作品では前作の『GONIN』が1995年に、『黒の天使 vol.2』が1999年、『フリーズ・ミー』が2000年に、それぞれ本映画祭にて上映されていて、ゆかりのある映画祭。正式出品される“Genre:DNA”という部門は、昔のジャンル映画を彷彿とさせつつも、現代の新しいスタイルを確立しているジャンルシネマを特集するもので、受賞の行方に注目だ。日本映画では過去に、『冬の河童』(’95/風間志織監督)、『まぶだち』(’01/古厩知之監督)、『山守クリップ工場の辺り』(’13/池田暁監督)が最優秀作品賞の“タイガーアワード”を受賞。また、2016年は本作のほか、『恋人たち』(’15/橋口亮輔監督)、『シェル・コレクター』(’16/坪田義史監督)などが部門違いで出品が決定。現地時間1月27日~2月7日に開催予定。<『GONIN サーガ』リリース情報>GONINサーガ ディレクターズ・ロングバージョン Blu-ray BOX価格:10,800円(税抜)GONINサーガ ディレクターズ・ロングバージョン DVD BOX価格:10,800円(税抜)GONINサーガ 通常版 ブルーレイ価格:4,700円(税抜)GONINサーガ 通常版 DVD価格:3,800円(税抜)発売日:3月25日(金)※レンタル開始:4月2日(土)セル発売・販売:KADOKAWAレンタル発売・販売:ポニーキャニオン(C) 2015『GONIN サーガ』製作委員会(text:cinemacafe.net)■関連作品:GONIN サーガ 2015年9月26日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開(C) 2015『GONIN サーガ』製作委員会
2016年01月14日1月7日(木)に閉館した渋谷の映画館シネマライズの歴史を振り返る特集「ありがとう、シネマライズ」が、映像配信サービス「U-NEXT」にてスタートした。シネマライズは、建築家・北川原温が「機械」をイメージしてデザインを行い、昭和61年6月に東京・渋谷のスペイン坂にて開館。ミニシアターブームの隆盛と共に数々のヒット作や話題作を紹介し、文化の発信地として多くのファンからの支持を得てきたが、渋谷パルコの建て替えに伴い周辺環境が「激変する」ことなどから、1月7日に約30年の歴史に幕を閉じることとなった。「U-NEXT」での特集「ありがとう、シネマライズ」では、80年代から2010年代まで、10年区切りでシネマライズの歴史を紹介。「おしゃれで刺激的な劇場」として知られるようになったデヴィット・リンチ監督作『ブルーベルベット』のヒットや、『トレインスポッティング』の33週のロングラン、「アーティスティックで先鋭的」なイメージを全国区で確立した『アメリ』のスマッシュヒットなど、それぞれの年代を彩った作品と同館の歴史が記されている。また、「U-NEXT」では特集ページ内で同館にて上映された作品を配信。カルト的な人気を誇る『ロッキー・ホラー・ショー』や『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』といったミュージカルをはじめ、『キャロル』の公開を控えるトット・ヘインズ監督作『ベルベット・ゴールドマイン』や、『恋人たち』が公開中の橋口亮輔監督作『ぐるりのこと。』、『リリーのすべて』の公開を控えるトム・フーパー監督作『英国王のスピーチ』など、数多くの作品がラインナップ。名作と共に、シネマライズが辿ってきた歴史に思いを馳せてみては。特集「ありがとう、シネマライズ」はU-NEXTにて配信中。(text:cinemacafe.net)
2016年01月08日オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は、よしひろさんが2015年邦画ナンバーワンと言ってはばからない映画『恋人たち』です。***最近の邦画ってハリウッドや韓流の焼き直しに見えてしまうのはあたしだけ?昔の邦画には世界に打って出るオリジナリティと日本でしか作り得ない傑作がたくさんあるっていうのに、近頃スペクタクルとかラブとかにこだわりすぎてる気がするのよね~。そんなモヤモヤを一気に解消してくれたのが橋口亮輔監督、7年ぶりの新作『恋人たち』よ!通り魔事件で妻を失い、心の傷を癒しきれないアツシ。平凡な生活に飽きているところに、外の世界を教えてくれる男が現れて心が揺れる主婦・瞳子。完璧主義ゆえに人への気づかいには欠ける弁護士・四ノ宮。この3人と、彼らをとりまく人々との関係性を描きながら、現代社会に巣くう絶望と希望をあぶりだしたのが本作。単純な感想は出ないし、人によって見どころも変わる群像劇なんだけど、ホンットこれ大傑作。橋口監督ってこれまでの作品もそうだったけど、人へのまなざしが細かくやさしいのね。『ハッシュ!』なんてすごくマジメなゲイ問題を扱いながらコミカルに描ききってるし、『ぐるりのこと。』だって超絶重い夫婦愛を社会的な事件とからめて、人間のありようってのを描くことに成功しているの。で、この作品も、不器用に生きる人たちをシリアスにもコミカルにも描出して、確実に身近にいる人たちや自分を重ねられるという仕掛け。コレよ、コレ。最近の邦画に足りなかったものってコレ!派手さはゼロなんだけど、観ている人が「あるある」とじんわりやんわりと思うだけじゃなく、お悩み解決とまではいかないまでも「こういう人もいるんだ……」と共感と癒しを与えてくれるのよ。あたしが個人的にキタのは、弁護士の四ノ宮。彼は仕事上はとってもデキる弁護士として辣腕をふるっているんだけど、じつはその裏は我欲のかたまり。「自分が、自分が!」っていうタイプの男、いるでしょ?その典型なのね。ただ、賢いがゆえにそれを表には出さずに、近しい人にだけぶちまけるのよ。これがとてつもなく痛い。痛すぎる。というか、若い頃の自分を見ているようで、気恥ずかしいやら情けないやら。人への思いやりをしてるように見せて、じつは自分のことしか考えていない人ってとても多いと思うけど、その自覚は経験でしか得られないものなのよね。そういった人生の真理、っていうべきものを、映画として表現できるなんて、マジ橋口監督、神!ちなみに四ノ宮がゲイっていうのもまた、我が身を振り返る設定。あぁ、あたしも若かりし頃、男にこういう態度とったかも……と反省ザル。このように、おそらくあたしだけじゃなくて、観た人全員が自分もしくは誰か近しい人を思い出し、反省なり共感なりをできるという映画は、あまり出てくるもんじゃないわ。しかも、どこにもスターがいるわけでもなければ、人が殺されるわけでもなく、えらく平坦な物語構成なのに、なんなの、この観賞後の感動は!?コレこそ、近年の邦画に欠けていた感動よ。こういう映画こそ、日本を代表して世界に打って出るべきだと思うの。地味だからって敬遠するのは、マジもったいないから!特に大人の女性には観てもらいたい、人への思いやりと心遣いにあふれた傑作。さぁ、劇場へ走って!◇主人公を演じるのは無名の新人。脇を固めるベテラン勢に全く引けをとらない演技に、ラストは感涙。監督&脚本/橋口亮輔 出演/ 篠原篤、成嶋瞳子、光石研ほか テアトル新宿ほかで全国公開中。(C)松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ※『anan』2015年12月2日号より。文・よしひろ まさみち(オネエ系映画ライター)
2015年11月27日「ぴあ」調査による2015年11月13日、14日のぴあ映画初日満足度ランキングは、『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督による7年ぶりとなる長編映画『恋人たち』がトップに輝いた。2位に南米ペルーの料理人、ガストン・アクリオの活動に迫ったドキュメンタリー『料理人ガストン・アクリオ美食を超えたおいしい革命』、3位に『牙狼〈GARO〉』から派生したキャラクターを主人公にした秋元才加主演のダークファンタジー『劇場版「媚空-ビクウ-」』が入った。その他の写真1位の『恋人たち』は、通り魔殺人事件によって妻を殺された男・アツシ、退屈な日常にふと訪れた恋にときめく平凡な主婦・瞳子、同性愛者で完璧主義の弁護士・四ノ宮の3人が、不器用ながらも懸命に生きる姿を描いた群像ドラマ。出口調査では「生きていて回収されない感情がこの作品の登場人物たちによって提出されている」「生々しく、映画を観ていることを忘れるほど引き込まれた」「言葉でまとめきれないほど内容が濃かった」「観た後の充実感はとても大きい」「ひとりひとりの人物像がこれほど深く描き出されている作品は他にはないと思う」といった声が寄せられるなど、濃厚な人間ドラマが深い感動を与えたようだ。もがき苦しむ人間の姿がリアルに描かれる本作だが、どこにも救いがないかのように見える主人公たちにも、最後にはわずかな光がさす。「映画を観る側だが、話を聞いてもらえたような気分になった」「生きる意味を失ったアツシに職場の先輩のかけた言葉が印象的」「最後のメッセージが感動的でどれほど追い込まれても諦めなければ道は開けると感じた」「苦しみながらも人とのつながりを通してかけがえのないものに気づいていく姿をみて、大切な人を大切にしようと思えた」など、観客は本作から確かな希望を受け取ったようだ。また映画には光石研、木野花、安藤玉恵らベテラン俳優たちが出演しているが、主演を務めたのは、篠原篤、成嶋瞳子、池田良らオーディションで選ばれた無名の新人俳優たちだ。観客からは「有名な役者ではないのに演技がとてもよく、響いてくる作品だった」「人が生きる上で抱えていかなければならない“寂しさ”を知っている、と感じられる演技だった」など、演技にも高い評価が集まった。(本ランキングは、11/13(金)、14(土)に公開された新作映画10本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)『恋人たち』公開中
2015年11月16日