本木雅弘主演の特集ドラマ「流行感冒」の地上波初放送が11月6日(土)に決定した。3月にBS4Kにて、4月にBSプレミアムにて放送された本作は、志賀直哉の同名小説の映像化。スペイン風邪流行の中、人間不信に陥った主人公が、人への信頼を取り戻し日常に帰るまでの心理的な綾が描かれる。また本作は、「東京ドラマアウォード」単発ドラマ部門で優秀賞に選ばれた。本木さんが私役で出演するほか、安藤サクラ、仲野太賀、古川琴音、松田るか、石橋蓮司らが本作に参加している。本木さんは「今回、地上波にて放送していただけるとのこと、大変ありがたく思います」と放送を喜ぶ。また「『流行感冒』という堅苦しいタイトルではありますが、非常にささやかで、しかし、とても大切な人間愛に触れるストーリーです」と説明し、「是非、多くの皆さんにご覧いただき、一家族の危うく滑稽な出来事を通して、どんな状況に陥っても、“人は人を愛おしいと思える力を持っている” そんな 小さく輝く希望の光のようなものを感じていただければと、素直に願っております」とコメントを寄せた。特集ドラマ「流行感冒」は11月6日(土)16時45分~NHK総合テレビにて放送。※NHKプラスでも配信本木雅弘関連番組「聖徳太子」は11月6日(土)19時30分~BSプレミアム/BS4Kにて放送(90分×全2回)(cinemacafe.net)
2021年10月29日大雨が降りしきるなか、華やかにアレンジメントされた供花を手に車から降り立つ男性。漆黒のスーツに身を包んだその主は、本木雅弘(55)。本木に続いて、妻の内田也哉子(45)、長男の雅樂(23)、次男の玄兎(10)も姿を見せた。正装した家族全員の左襟には「Rock’n Roll内田裕也」と書かれた白い缶バッジが光っている――。春の嵐に見舞われた3月中旬の正午過ぎ。東京の光林寺では内田裕也さん(享年79)の三回忌法要が行われていた。「光林寺は内田家の菩提寺で、妻である樹木希林さん(享年75)の葬儀もここで行われました。何があっても裕也さんと離婚はしなかった希林さんは、かねて『死ぬまでこのお墓を守りとおす』と語っていました」(芸能関係者)’18年9月に希林さんが亡くなった半年後の’19年3月に後を追うようにこの世を去った裕也さん。ぜいたくを嫌い、質素な生活を好んだ希林さんと派手な私生活を貫いた裕也さんという対照的な夫婦だった。昨年9月、雅樂は本誌に希林さんの三回忌は家族だけで静かにしのぶことを明かしていたが、本木一家は裕也さんの“遺志”も尊重したようだ。「不倫や逮捕騒動など数々の事件を起こしてきた裕也さんですが、根はさみしがり屋で純粋な人。亡くなった際のお別れ会は青山葬儀所で多数の芸能人を招いて盛大に行われました。しかし、三回忌はコロナ禍ということもあって、密葬に参加した約20人を中心に行うことに決めたといいます。また、本木さんとしては久しぶりに家族そろって希林さんにも顔を見せるいい機会になると考えていたそうです」(裕也さんの知人)■次男の作曲家デビューにファッション業界も騒然30分ほどで本堂での法要を終えた一行は、敷地内にある裕也さんと希林さんがともに眠るお墓へ向かう。気づけば、先ほどまでの大雨がぴたりとやんでいる。まるで2人が喜んで出迎えているかのようだ。お墓に着くと、軽く掃除し、供花を置く本木。裕也さんと親交の深かったロッカーの鮎川誠(72)が先陣を切ると、親族や知人が次々と合掌。そして、最後は本木一家が祈るように墓前に手を合わせていた――。実は今回の三回忌には、本木家から希林さんと裕也さんへの“近況報告”も兼ねられていたという。この数日前、次男の玄兎が“作曲家デビュー”していたのだ。「3月にイギリスの人気高級ブランドであるステラ マッカートニーと日本の芸術家・奈良美智さんによるコラボアイテムが発売されたのですが、そのキャンペーン動画の音楽を玄兎さんが手掛けたのです。すでにファッション業界でも“何者!?”と話題を呼んでいます」(ファッション関係者)’10年には長女・伽羅(21)が女優デビューし、雅樂は’18年にUTAとしてパリコレでモデルデビュー。玄兎も加わり、名実ともに“芸能一家”となった本木家。生前、本誌に雅樂について「タレントとか俳優には全然向いてないね」と語るなど、孫にも容赦のなかった希林さん。だが、その陰で才能豊かな孫たちを優しく見守り続けていた。「突き放した教育方針で知られる希林さんですが、孫にも同じ。ベタベタせず、『そんな考え方おかしい』と批判して、泣かせることもしばしば。雅樂くんたちも小さいときは怖がってあまり寄り付かなかったそうです。しかし、雅樂さんがモデルを始めようか悩んでいるときに、『新しい視点で勉強になるよ』と背中を押すなど、孫たちの才能にずっと注目していました。’15年には伽羅さんに、所有していたマンションの一室を譲り、才能を伸ばす支援もしています。本心ではずっと応援していたのでしょう」(希林さんの知人)■也哉子も次男に太鼓判「裕也の血がいちばん入っている」昨年、本誌は希林さんから受け継いだ愛車を運転する雅樂の姿を目撃。雅樂は希林さんからの“遺産”について、本誌にこう打ち明けている。《よく言っていた『なんでも面白がりな』という言葉は今でも強く、僕の胸に残っています》そして、今回、デビューした玄兎にも希林さんの“遺志”は受け継がれているようだ。「玄兎くんは2歳から5年間ロンドンで生活していたこともあり、自宅の会話はほとんどが英語。幼少期から落ち着いていて、希林さんを自宅で看取る際、慌てている也哉子さんに『体はここからいなくなっても、魂はずっとそばにいるから。マミー、大丈夫だよ』と話しかけたそうです。泰然自若としたところは希林さんそっくりですね」(前出・希林さんの知人)さらに玄兎の中には裕也さんの“ロックな魂”も息づいているという。「玄兎くんが裕也さんと会う機会は少なかったですが、亡くなる数日前には見舞いに訪れていたそうです。小さいころから芸術に興味を示し、今回、提供した曲はピアノを激しく弾くという前衛的な内容でした。昨年、也哉子さんはテレビ番組で『すごくフリースピリットというか、もしかしたら裕也的な血がいちばん入っているのかも』と語っていました」(本木の知人)三回忌後のお墓には裕也さんが好んでいた赤いカーネーションが1輪ずつ供えられていた。その花言葉は「無垢で深い愛」。希林さんと裕也さんは、天国から孫たちの活躍を“深い愛”で見守り続けることだろう――。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月24日女優の芦田愛菜が、俳優の本木雅弘と共にサントリー緑茶「伊右衛門」の新CM「伊右衛門ひとめ惚れ」編に出演することが分かった。CMは2日から全国で放送される。本木演じる“伊右衛門さん”が、芦田が通う高校の校庭から校舎に向かって「あんたの緑茶、何色や」と問いかける。芦田は、教室を飛び出し屋上へ。芦田の爽やかなセーラー服姿が印象的な、透明感にあふれたCMとなっている。元気いっぱいで撮影に臨んだ芦田は、階段を駆け上がるシーンで「勢い余って一段飛ばしちゃった!」とお茶目な一面も。透き通る青空の下、「一目惚れしちゃうような緑です」と答えるシーンは、青春の1ページを切り取ったかのような仕上がりになった。そんな芦田が一目惚れしたものは最近飼い始めた猫だといい、「お店で目が合った時に一目惚れしたというか。『連れて帰って』って言っているような気がして。思わず一目惚れをしてしまいました。本当にいま私の癒しで、おうちに来てくれて『ありがとう』っていつも思っています」と語った。また、この春新しく挑戦したいことについては「今年の抱負は趣味を見つけることにしようと思っています。読書は好きなんですけど、私にとって読書は一日のうちで、歯磨きをしたりお風呂に入ったりするのと同じくらい生活の一部なので、趣味じゃないなと感じて。何か他に打ち込めることを見つけたいと思っています」と、展望を話す。伊右衛門さんを演じた本木からは「普段の勉強や遊びの中で、芦田さんがいま一番興味のあることは何ですか」と質問が。芦田は「最近ラジオに興味があって、洋楽のチャンネルだったり色々と聞いているんですけど、お便りを出すことに憧れていて」と明かし、「葉書を出して『それではリスナーさんからのお便りです。ラジオネーム●●さん』って自分のお便りが読まれたら楽しいなと思って。密かにお便りを出したいなと思って聞いています」と回答した。
2021年03月02日住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう!わかる」って盛り上がれるのが、青春時代に夢中になったアイドルの話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。「もう、40年近く前の曲なのに、歌詞も忘れていないし、ぜんぜん歌えちゃいますよね。今の歌は、たとえば繰り返しがなかったり曲の構成も複雑だったりするけど、昔の歌謡曲はすごく入りやすいんですね。ねっ、これで合ってますよね?」宝塚歌劇団月組の元トップスター・紫吹淳さん(52)が、透き通るような声で、シブがき隊の『100%…SOかもね!』(’82年)を口ずさんだ。「’80年代初めは、バレエ以外のことに興味を持っていなくて、’84年に宝塚音楽学校に入学してからは寮生活。でも、中2の1年間だけは、バレエから遠ざかっていて、宝塚の存在もまだ知らなかった。同級生と同じくらいにテレビを見て、アイドルに夢中になった、唯一の時期なんです」バレエを始めたのは3歳のとき。3歩進むと、すぐに転んでしまう紫吹さんを見かねた母が、体のバランスを整えようと、教室に通わせたのがきっかけだ。「おかげで“体育座り”をしているときも、やたら姿勢がきれいだって、友達から言われていました。将来、バレリーナになることだけを夢見ていたんです」’80年代に入り、たのきんトリオを筆頭としたアイドル全盛期を迎えたとき、ほかのクラスメートたちは少ないお小遣いでドーナツ盤のレコードやアイドル誌を買っていたが。「私はトーシューズなど欲しいものはそのつど、買ってもらっていたので、お小遣いとは無縁だったんです。それに、バレエに関わるもの以外に欲しいものはとくになかったので、お小遣いがもらえなくて困ったこともありませんでした。恥ずかしながら、たのきんトリオのことも、かろうじて知っていたのはマッチさんだけ。いま思い返すと、ちょっと浮世離れした子どもでしたね」友達と遊びに行く機会も、ほとんどなかった。「土日でも関係なく、毎日レッスンや発表会。たまに『今度○○に行かない?』と友達に誘われるんですが、直後に『あ、ごめん、バレエだよね』って。返事をする前に断られていました(笑)」それほど頑張っていたバレエから、距離を置いたのが中2のとき。「まわりより背が高いことに悩み始めたんです。中1で160センチ近くありましたから。『白雪姫』を演じると、王子様よりも私のほうが大きかったり、『白鳥の湖』でも、3〜4羽の群れで踊ると、私だけ目立ってしまって恥ずかしかったり……。それで一時期、バレエをやめてしまったんです。自分に欠けていた“バレエ以外のこと”を知りたいという思いもありましたね。そんなとき、ちょうどデビューしたのが、シブがき隊だったんです」シブがき隊はドラマ『2年B組仙八先生』(’81〜’82年・TBS系)に生徒役で出演した薬丸裕英(ヤックン)、本木雅弘(モックン)、布川敏和(フックン)の3人組。’82年『NAI・NAI 16』でデビューし、同年発売の『100%…SOかもね!』で日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞した。トシちゃんやマッチが祝福に駆け付けた授賞式のステージを覚えている人も多いはず。それまでバレエひと筋だった紫吹さんは、行き場のない情熱をシブがき隊、なかでもモックンに注いだという。「どハマりしたとはいえ、当時は子どもで、コンサートに行くなんて発想はなく、やれることといえば『平凡』や『明星』(どちらもアイドル雑誌)を買ってもらって、切り抜きを透明の下敷きに挟んだりしたくらい。『ザ・ベストテン』(TBS系)、『ザ・トップテン』(日本テレビ系)は毎週必ず見ていました。誕生日かクリスマスのプレゼントだった自分専用のラジカセで録音して、アイドル雑誌の付録だった、横長サイズの“歌本”を見ながら、一緒に歌ったりもしましたよ。イケメンのモックンがとにかく好きでした。それで、宝塚を引退してからテレビ番組で薬丸さんとご一緒する機会があったときも、つい『私、シブがき隊のファンでした。でも、ごめんなさい。モックンのファンでした』と言ってしまって……。“えー!?”というような、ちょっと複雑な反応をされていました(笑)」「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年02月20日住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう!わかる」って盛り上がれるのが、青春時代に夢中になったアイドルの話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。「『ザ・ベストテン』(TBS系)、『ザ・トップテン』(日本テレビ系)は毎週必ず見ていました。誕生日かクリスマスのプレゼントだった自分専用のラジカセで録音して、アイドル雑誌の付録だった、横長サイズの“歌本”を見ながら、一緒に歌ったりもしましたよ」宝塚歌劇団月組の元トップスター・紫吹淳さん(52)が、透き通るような声で、シブがき隊の『100%…SOかもね!』(’82年)を口ずさんだ。「’80年代初めは、バレエ以外のことに興味を持っていなくて、’84年に宝塚音楽学校に入学してからは寮生活。でも、中2の1年間だけは、バレエから遠ざかっていて、宝塚の存在もまだ知らなかった。同級生と同じくらいにテレビを見て、アイドルに夢中になった、唯一の時期なんです」バレエを始めたのは3歳のとき。3歩進むと、すぐに転んでしまう紫吹さんを見かねた母が、体のバランスを整えようと、教室に通わせたのがきっかけだ。「おかげで“体育座り”をしているときも、やたら姿勢がきれいだって、友達から言われていました。将来、バレリーナになることだけを夢見ていたんです」それほど頑張っていたバレエから、距離を置いたのが中2のとき。「まわりより背が高いことに悩み始めたんです。中1で160センチ近くありましたから。『白雪姫』を演じると、王子様よりも私のほうが大きかったり、『白鳥の湖』でも、3〜4羽の群れで踊ると、私だけ目立ってしまって恥ずかしかったり……。それで一時期、バレエをやめてしまったんです。自分に欠けていた“バレエ以外のこと”を知りたいという思いもありましたね。そんなとき、ちょうどデビューしたのが、シブがき隊だったんです」シブがき隊はドラマ『2年B組仙八先生』(’81〜’82年・TBS系)に生徒役で出演した薬丸裕英(ヤックン)、本木雅弘(モックン)、布川敏和(フックン)の3人組。’82年『NAI・NAI 16』でデビューし、同年発売の『100%…SOかもね!』で日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞した。トシちゃんやマッチが祝福に駆け付けた授賞式のステージを覚えている人も多いはず。それまでバレエひと筋だった紫吹さんは、行き場のない情熱をシブがき隊、なかでもモックンに注いだという。だが、中3になると紫吹さんは、再びバレエを始めることに。「中2の1年間、遠ざかっていたからこそ、私が私らしくいられるのは、バレエをしているときだと強く感じられたんです。そんなときに、バレエの先生に勧められたのが宝塚でした」中学を卒業後、日本一競争率が高いといわれる宝塚音楽学校へ。コンプレックスだった背の高さも武器に変え、男役トップスターに上りつめた。大好きなモックンをはじめ、ジャニーズのアイドルには、宝塚時代に影響を受けたという。「とはいえ、世の女性とは、ちょっと違う観点で。ジャニーズや、雑誌の“抱かれたい男”企画で選ばれる人は、私にとっては“教材”でした。なぜ女性からキャーキャー言われ、心を捉えられるのか、そのしぐさや表情を分析して、宝塚での男役に取り入れるんです。当然、モックンからも私は、その要素を吸収しています。映画『シコふんじゃった。』でモックンが日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(’92年度)を受賞したときは、“さすが、私が好きになった男だわ。私の目に間違いはなかった!”って、勝手に喜んじゃいました(笑)」「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年02月20日「どんなCMをやりたいかと聞かれたとき『ギャツビーをやりたいです』と答えていた」そう話すのは、念願かなって、ギャツビー新イメージキャラクターに就任した佐藤健(31)。これまで、萩原健一さん(享年68)、松田優作さん(享年40)、吉田栄作(52)、森脇健児(54)、本木雅弘(55)、木村拓哉(48)と、時代を象徴する男性がCMに起用されてきた。現在配信中のブランドムービーは、映画『るろうに剣心』スタッフのサポートで行われたワイヤアクションも話題だ。「カッコいいは、誰かが変わろうとするチカラだ」。そして最後に「で、つぎは誰が変える?」と言って佐藤は去っていく。価値観は時代によって更新されていく。旧態依然とした発言で笑われないよう、変化を恐れず生きたいものだ。「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年02月20日育った場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう!わかる」って盛り上がれるのが、青春時代にはやったドラマや歌の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。「’80年代のエンタメがあったからこそ、この世界に興味を持てたのかなと思います。歌番組は欠かさず見ていましたし……。なかでも’80年代を象徴するアイコンは、浅野温子さん(59)と浅野ゆう子さん(60)のダブル浅野かな。お2人が共演したドラマ『抱きしめたい!』は、主題歌の『アクアマリンのままでいて』(カルロス・トシキ&オメガトライブ)が耳に入るたび、今でも映像が浮かびあがるほど印象に残っています」そう語るのは、’80年代、多感な中・高時代を過ごした藤原紀香さん(49)。当時の思い出の作品である『抱きしめたい!』は、’88年夏にフジテレビ系のナショナル木曜劇場の枠で放映された。スタイリストとして自立しているキャリアウーマン・麻子(浅野温子)と、幼稚園時代からの腐れ縁で、麻子に甘え、ときには麻子のボーイフレンドも誘惑する自由な専業主婦・夏子(浅野ゆう子)の2人の主人公が、バブル景気に沸く都会的なライフスタイルのなかで織りなすラブコメドラマ。平均視聴率は18.5%で、当時の『女性自身』でも《「抱きしめたい!」ダブル浅野気になるファッション・カタログあの服はここで買える!》《3週連続浅野温子大研究》という特集記事が組まれているほどの社会現象となり、連続ドラマ放送後も、スペシャル版が4作も放送された。「ダブル浅野のお2人はカッコよく、都会の大人の女性に憧れるきっかけにもなったドラマです」ダブル浅野のファッションはもちろん、ドラマで描かれる女性の生き方にも感銘を受けた。「温子さんは、当時時代の先端をいく大きな携帯電話を使っていたり、外車を乗り回して、自立したキャリアウーマンを演じていて、岩城滉一さん(69)や本木雅弘さん(55)など、色気のある男性が、ダブル浅野と恋愛模様を繰り広げるのも見どころでした。ドラマのあった翌日は、友人と『これからの時代はフローリングでコンクリートのマンションなのね~』と都会での洗練された生活や、常にワクワクさせてくれる芸能界への憧れも湧きました」神戸の大学進学後は、ロングヘアにして、ボディコンスタイルで鎖骨も出したファッションにもチャレンジしていたそう。そのころ、母親が“お見合いの箔付けに”と内緒で応募したミス日本コンテスト大会の書類審査を通過。ついには見事グランプリに。「東京のテレビ局から、アナウンサーにならないかというお話もいただきました。でも、女優の道を目指そうと思ったのは、このドラマの影響があったからかも」しかし大学卒業後、芸能界を志して上京したいという紀香さんに両親は大反対。「“娘がへんなことを言いだした”と親族一同の騒ぎになり、連日話し合い、諦めるよう説得を受けました」ダブル浅野が演じた、思いのままに生きる“強い女性”像が、芸能界を望む紀香さんの背中を押したのだろう。’95年の阪神・淡路大震災も、夢への思いを強くした。父親は断固として反対したが、母親にはなんとか認めてもらえて、上京への道が開けたのだった。その後の活躍は、誰もが知るところ。今年4月から上演予定の舞台『魔界転生』では、人生の道標でもあったダブル浅野の1人、浅野ゆう子との共演があるという。「ゆう子さんが淀殿役、私は天草四郎の姉“お品”として、初めて共演させていただける機会に巡り合いました。稽古はこれからなのですが、素敵なお役をいただき、とてもワクワクしています。まだコロナ禍は続きそうな世の中ですが、素敵な先輩方やエネルギッシュな世代の役者陣とともに、見に来てくださる皆さんが、少しでも元気になれるような作品をつくるべくつとめたいと思います」「女性自身」2021年2月2日号 掲載
2021年01月22日本年度シカゴ国際映画祭にて、観客賞&最優秀演技賞の2冠を達成した西川美和監督最新作『すばらしき世界』が、来年2月11日(木・祝)より公開。この度、公開に先駆けて、著名人からコメントが到着した。本作は、直木賞作家・佐木隆三の小説「身分帳」を原案に、その舞台を約35年後の現代に置き換え、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して、「社会」と「人間」の“いま”をえぐる問題作。『パラサイト 半地下の家族』が大きな話題となり、西川監督とかねてより親交のあるポン・ジュノ監督は、本作について「私たちが生きるこの世界は、適応すべき価値がある場所なのか?と突きつけられた。とにかく実に深く、遥か先まで進んだ映画だ」と絶賛。前作『永い言い訳』の主演を務めた本木雅弘は「幸福と鉛とを交互に飲み込む西川さんの作品には、他にはない滋味深さがある。現実を転写したスクリーン上にみるみる零れる切なさと愛おしさ、、、観るべき、知るべき、この “ すばらしき世界 “」とコメントした。ほかにも、「誰かが空を見上げ、美しいと感じる瞬間がある。その瞬間の空には、わたしを含め個々の行動が反映されているのかもしれない。素敵な映画でした」(小泉今日子)、「ただしいもまちがいもない、このようにしか生きられないひとりの人の姿が在る。その静かな重みに圧倒される」(角田光代)、「終盤、走っている三上を見て、笑いながら泣いた。こんな風に、祈るような気持ちで映画を観たのは初めてだった」(尾崎世界観)など、本作を称賛する声が届いた。さらに、ポン・ジュノ監督のコメントを挿入したショートバージョンの予告編も併せて公開された。『すばらしき世界』は2021年2月11日(木・祝)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:すばらしき世界 2021年2月11日より全国にて公開©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
2020年12月25日「また、お願いしますね!」12月上旬の夕方、都内のセレクトショップで、本木雅弘(54)が男性スタッフと談笑していた。隣には長男でモデルのUTA(23)の姿がーー。「そこは本木さんが結婚以来、20年以上愛用する人気ブランド店なのです。祖母の樹木希林さん(享年75)は彼が使わなくなった服や小物をもらって、着こなしていました。本木家では希林さんの物を孫が愛用したり、質の高い物を買って長く大切に使うことが家訓になっています」(本木家の知人)店を出た2人は歩いて駐車場へ向かいクラシックカーに乗った。運転はUTAで本木は後部座席へ。実はこの日、2人が乗っていたクラシックカーも、希林さんから受け継いだものだ。「クラシックカー好きの希林さんが約770万円で買った『トヨタオリジン』です。亡くなった後も本木さん一家が大事に乗っているんです」(前出の知人)UTAは今年9月、祖母の愛車について本誌にこう語っていた。「父と母が『家にあるこの車を使ったら』と言ってくれて。おばあちゃんが亡くなった後に自分も日本で免許を取って、それで乗り始めました。やっぱりおばあちゃんのぬくもりを感じましたし、とても懐かしい気持ちになりました」希林さんの“遺志”は、UTAだけでなく、当の本木にも色濃く流れていたーー。「埼玉県内にある彼の母校の中学校で先月、創立50周年の記念式典が行われました。彼は在校生458人のために、お祝いと激励のビデオメッセージを送ったのです」(学校関係者)上映された映像で本木は後輩たちにまず、こう語りかけたという。《自分の中学時代はSNSなどもなくのんびりした平和な時代でした。毎日毎日瞬く間に過ぎてはいるけれども、何かに追い立てられる窮屈感はない時代でした》“便利な世の中になり、進化の恩恵を受けた時代になった”と語りながら、本木は真顔で訴えかけた。《今年は誰もが立ち止まらざるをえない、そういう時を過ごしています。とらえ方によっては、生き急ぎすぎた世の中を休ませようとしているのではないか。物事の成り行きやサイクルが忙しすぎたところを、本来の人間らしい緩やかな自然のペースを思い出してほしいと神様が用意してくれた試練だと受け止めようとしています。こんなときこそ、自分や身の回りを見つめ直す、物事の本質について考えてみることが必要なのではないでしょうか。現在、仕事としてお芝居をしている自分は、感じること、考えること、つまり想像力を使うことを大切にしています。中学生の皆さんにとっても、想像力をふくらませる、働かせることが大事なことと考えています》そうすることにより、自分の枠が広がり、相手の気持ちや立場も想像することで理解や信頼が生まれることにつながると熱弁。《こんな不自由な時代となったけれども、想像力だけは自由にたくましく広げていってほしいと思います。いろんな自分の姿を想像してみてください。みんなはまだ何者でもないのですから、そんな時代は想像力を豊かにできるはずです》後輩たちは皆、最後まで本木のスピーチに熱心に耳を傾けていたというーー。今年1月、本木は大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)の取材会で、希林さんの死後、遺された雑記帳に大きな影響を受けたことを明かしていた。「自分で感じたり、分析したようなことがランダムに綴られている中でお芝居についての文があって、その最後に《『芸を見せる』のではなく、『自分を出す』のではなく、心を込めて『無念の魂を鎮めていただくように』演じる》と書いてあったんです。つまり、《演じるということは鎮魂だ》ということを言っているのだと思います」前出・本木家の知人は言う。「本木さんは、同じ役者として希林さんの“鎮魂の教え”に感銘を受けたそうです。この夏、希林さんも妻・也哉子さんもよく訪れていた伊勢神宮に参拝していました。このご時世ですから、命に寄り添い、祈るような気持ちで真摯に日々向き合うことが大事だと強く思うようになったそうです。それを踏まえ、母校の後輩たちにも、立ち止まったこの時期だからこそ、自分自身と対峙できる意義を伝えたかったのでしょう」希林さんの金言を胸に本木は大河ドラマで斎藤道三を見事に演じ切り、大絶賛を受けた。そんな彼が母校の後輩たちへ贈った希林さん直伝の“鎮魂の教え”は、彼らの想像力を広げ、後世に語り継がれることになるだろう。「女性自身」2020年12月22日号 掲載
2020年12月09日シンガー・ソングライターの瑛人が、その年に圧倒的な活躍をみせた人を称えるアワード「GQ MEN OF THE YEAR 2020」に選出され23日、都内で行われたフォトコール・表彰式に出席した。瑛人は、「ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。「うれしいです。かっこいいのをもらえて、信じられないです」と笑顔全開で喜んだ。「香水」が大ヒットした反響を聞かれると、「とにかく今年は信じられないことがいっぱい起きて、まだ反響を振り返れていないというのが現実です。ただこの経験ができているなという実感はあります」と答えた。そして、「今年は『香水』をきっかけに知ってもらえたので、来年はほかの瑛人という一部をもっともっと届けていきたいと思います。1月31日に初めてのワンマンライブをします。そこから全国、地元を含めて、音楽を楽しく届けていきたいです」と来年の抱負も語った。○「GQ MEN OF THE YEAR 2020」受賞一覧EXITベスト・コメディ・デュオ・オブ・ザ・イヤー賞瑛人ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー賞大坂なおみアクティビスト・オブ・ザ・イヤー賞黒沢清監督フィルム・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞SixTONESポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞Snow Manポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞田中みな実ブレイクスルー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞NIGOファッション・デザイナー・オブ・ザ・イヤー賞福澤克雄TVドラマ・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞星野源インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞本木雅弘アクター・オブ・ザ・イヤー賞
2020年11月24日歌手で俳優の星野源が23日、都内で行われた「GQ MEN OF THE YEAR 2020」のフォトコール・表彰式に登場した。メンズファッション・ライフスタイル誌『GQ JAPAN』(コンデナスト・ジャパン刊行)がその年に圧倒的な活躍をみせた人を称える同アワード。星野は「インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。「俳優として主演を務めたドラマ『MIU404』が大ヒット、音楽家としてもソロデビュー10周年を迎えた。コロナであらゆるモノが大打撃を受け、エンターテインメント界にも大きな影響がある中、インスタグラムに投稿した楽曲『うちで踊ろう』の動画が一躍話題に。日本中を元気づけた」との理由で選出された。星野は「本当に本当にうれしいです。今年ずっと働き通しの1年でとても忙しかったので、『お疲れ様、よく頑張ったね』と言っていただけたような感じがします」と受賞を喜び、「本当に働いたなあという感じ。外出自粛期間も含めて、音楽を作ったり、『MIU404』というドラマの撮影をしたり映画の公開があったり、お正月のドラマの撮影があったり、ずっと何かしらで動いていた1年だった。いろんな意味であっという間でした」と今年を振り返った。この日は珍しいひげ姿を披露し、表彰式でひげについて聞かれると「伸ばし始めたら楽しくなっちゃって、伸ばしてみました」と説明。オンラインで視聴している人たちからは、「かっこいい」という声が続出した。○「GQ MEN OF THE YEAR 2020」受賞一覧EXITベスト・コメディ・デュオ・オブ・ザ・イヤー賞瑛人ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー賞大坂なおみアクティビスト・オブ・ザ・イヤー賞黒沢清監督フィルム・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞SixTONESポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞Snow Manポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞田中みな実ブレイクスルー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞NIGOファッション・デザイナー・オブ・ザ・イヤー賞福澤克雄TVドラマ・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞星野源インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞本木雅弘アクター・オブ・ザ・イヤー賞
2020年11月23日フリーアナウンサーで女優の田中みな実が23日、都内で行われた「GQ MEN OF THE YEAR 2020」のフォトコールに登場した。メンズファッション・ライフスタイル誌『GQ JAPAN』(コンデナスト・ジャパン刊行)がその年に圧倒的な活躍をみせた人を称える同アワード。田中は「ブレイクスルー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。以前、同アワードの司会を務めたこともあり、「まさか受賞者としてこの場に登壇できるとは思わず、大変感慨深い思いです」と心境を語った。この日は田中の34歳の誕生日。報道陣からそのことに触れられると、「ありがとうございます」と照れながら感謝し、「事務所も変わりまして、新しい環境でどんなことにも臆せずに挑戦していけたらいいなと思っています」と抱負を語った。女優として挑戦したいことを聞かれると、「需要があればどんな役でもやらせていただきたいと思いますが、純度の高いラブストーリーをやりたいです。ちょっとエキセントリックな役柄が多いので…」とラブストーリー出演を希望し、「でも、いじめる役でもいいです」と笑った。なお、19時30分から授賞式を開催。『GQ JAPAN』公式YouTube、Twitter、TikTokアカウントにて生中継される。EXITはフォトコールは欠席、授賞式のみ参加。大坂はどちらも欠席、授賞式はビデオ出演する。授賞式では、トロフィー贈呈やスピーチ、トークセッション、瑛人による「香水」のパフォーマンスなどが予定されている。○「GQ MEN OF THE YEAR 2020」受賞一覧EXITベスト・コメディ・デュオ・オブ・ザ・イヤー賞瑛人ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー賞大坂なおみアクティビスト・オブ・ザ・イヤー賞黒沢清監督フィルム・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞SixTONESポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞Snow Manポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞田中みな実ブレイクスルー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞NIGOファッション・デザイナー・オブ・ザ・イヤー賞福澤克雄TVドラマ・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞星野源インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞本木雅弘アクター・オブ・ザ・イヤー賞
2020年11月23日アイドルグループ・Snow Manが、その年に圧倒的な活躍をみせた人を称えるアワード「GQ MEN OF THE YEAR 2020」に選出され23日、都内で行われたフォトコールにラウールと目黒蓮が代表して出席した。メンズファッション・ライフスタイル誌『GQ JAPAN』(コンデナスト・ジャパン刊行)が選出する同アワード。15周年を迎える今年は「CELEBRATION OF OUR HEROES」をテーマに、EXIT、瑛人、大坂なおみ、黒沢清、SixTONES、Snow Man、田中みな実、NIGO、福澤克雄、星野源、本木雅弘が受賞した。Snow Manは、「ポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。ラウールは「こんな立派な鏡付きの盾をいただいて信じられないです」と“鏡付き”と表現し、会場から笑いが。目黒は「17歳なんです」とフォローしつつ、「デビュー1年目でまさかこんな賞をいただけるとは。ジャニーさんも喜んでくれていると思います」と語った。自身にとってのヒーローを聞かれると、目黒は「僕はずっと憧れの先輩を『滝沢くん』とジュニアの頃から言っていたので、僕にとってのヒーローは滝沢くん。たくさんのことを教えていただいて、僕たちこの場に立てていると思うので、今回の賞をいただいて滝沢くんも喜んでくれていると思います」と滝沢秀明氏をヒーローに挙げた。一方、ラウールは「『ドクターX』が大好きで、大門未知子先生もヒーローかなと。シリーズ全部見ました」とテレビ朝日系ドラマ『Doctor-X 外科医・大門未知子』シリーズで米倉涼子が演じた主人公を挙げ、目黒は「だそうです。すみません」と笑った。なお、19時30分から授賞式を開催。『GQ JAPAN』公式YouTube、Twitter、TikTokアカウントにて生中継される。EXITはフォトコールは欠席、授賞式のみ参加。大坂はどちらも欠席、授賞式はビデオ出演する。授賞式では、トロフィー贈呈やスピーチ、トークセッション、瑛人による「香水」のパフォーマンスなどが予定されている。○「GQ MEN OF THE YEAR 2020」受賞一覧EXITベスト・コメディ・デュオ・オブ・ザ・イヤー賞瑛人ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー賞大坂なおみアクティビスト・オブ・ザ・イヤー賞黒沢清監督フィルム・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞SixTONESポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞Snow Manポップ・アイコン・オブ・ザ・イヤー賞田中みな実ブレイクスルー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞NIGOファッション・デザイナー・オブ・ザ・イヤー賞福澤克雄TVドラマ・ディレクター・オブ・ザ・イヤー賞星野源インスピレーション・オブ・ザ・イヤー賞本木雅弘アクター・オブ・ザ・イヤー賞
2020年11月23日主婦業の傍ら、ハリウッドで腕を磨き、大河ドラマ『麒麟がくる』の“坊主メーク”などで、邦画・ドラマ界でのパイオニア、第一人者として活躍し続ける特殊メークアップアーティスト・江川悦子さん。短大卒業後はファッション雑誌「装苑」の編集部に入った彼女が、特殊メイクの職を志したのは、夫のアメリカ転勤がきっかけだったという。到着したアメリカで、夫婦で見たのが、81年公開のホラー映画『狼 男アメリカン』。映画館の暗闇の中、主人公の青年が狼男に変身するシーンが、江川さんをくぎ付けにした。「主人公がアアーッとうなりながら、手や顎がズンズン伸びていき、毛むくじゃらに変身していく。CGのない時代ですから、どうなってるんだろう、どうやってこんなシーンを作るんだろう、って」そのシンプルな驚きは、すぐに確固とした夢に変わっていた。「私も、これ、やってみたい!」江川さん、27歳の夏だった。しかし、特殊メイクの学校に通い、いざ就職!となっても、アメリカ人の方が職が見つかりやすい。映画スタジオから何度も門前払いされる江川さんだが、決して諦めなかった。そうして掴んだ、最初の大きな仕事は84年公開の映画『デューン/砂の惑星』。同年には、あの『ゴーストバスターズ』でマシュマロマンの製作スタッフに抜擢された。「とはいえ、最初はパーツ作りから。『なんでもやります』で、実績を積みました。よく『日本人は器用だ』とも言われました」そんな、怒涛の7年間のアメリカ生活を終えて帰国した江川さんを待っていたのは、女性の特殊メークアップ・アーティストがゼロという日本の現状だった。作品作りをしながら営業しようと決めたが、そのためには、工房が必要になる。江川さんは、日活のスタジオへ談判へ向かい、東京・調布の日活撮影所の一角に、特殊メーク制作会社メイクアップディメンションズを設立したのが86年のこと。日本映画初参加となったのは、『親鸞白い道』(87)。「ハリウッド仕込みの技術を持つ女性がいる」との口コミから声がかかった。依頼されたのは、生首の造形。その後はバブル経済を追い風に、映画やCMなどの仕事が次々と舞い込んだ。「子供を保育園に預けながらでしたから、いつも私がお迎えがいちばん遅くて、娘には『ごめんなさい』の気持ちでいっぱいでした。私が地方ロケのときには、義母が四国から出てきてくれたり。頼れるところは頼る、というのもアメリカで学んだことです」メークを手がけたなかには、NHKドラマ『トットてれび』(16)で100歳メークを施した黒柳徹子さんのように、「私が100歳になったら、こんな感じになるのね」と、喜んでくれる人もいる。「ありがたかったし、そんなやりがいを次につなげていきました」00年代に入ると、『ハリー・ポッター』(01年)や『ロード・オブ・ザ・リング』(01年)などの世界的人気で、特殊メークはますます注目されるようになる。08年には、オフィスを現在の場所に移転。このころには、業界では「坊主メークは江川さんに」の評価が定まっていた。ドラマ『あの戦争は何だったのか』(08年)で、初めて坊主メークを施した北野武さんは言った。「すごいね。痛くないし、軽いし、つけてるのを忘れるよ」同じころ、前出の『おくりびと』にも参加。主人公の納棺師を演じる本木雅弘さんが遺体と向き合うシーンも多いが、実はこれも一部はダミーだ。そして今、大河ドラマ『麒麟がくる』で、旧知の本木雅弘さんらの坊主頭などを担当。「斎藤道三を演じた本木さんや、足利義昭役の滝藤賢一さんなど。かつらピースと俳優さんの地肌の境目をなくす手法が、私たちの腕の見せどころです」こんな逸話がある。本木さんの大河での坊主頭を見た『おくりびと』の滝田洋二郎監督が、「あれ、メークなの!?本木君のことだから、てっきり本当に頭を剃ったかと思ったよ」と驚嘆したというのだ。プロ中のプロの目をも完璧にあざむく高度なテクニック。それこそ「してやったり」の思いだろうか。江川さんに問えば、「ビミョーですね。ありがたいんだけど、『もしかして、あれ特殊メーク?』くらいは気づいてほしかったり……フフフフ」技巧を尽くすほど、周囲にはそれとわからない。まさに職人仕事ならではの醍醐味なのだろうーー。(撮影:田山達之)「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月09日2020年10月28日、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で、お笑いコンビ『ハリセンボン』の近藤春菜さんと、エッセイストの内田也哉子さんが対談。その内容が反響を呼んでいます。内田也哉子「夫婦ケンカは隠さない」内田さんは俳優・樹木希林さんと、ロックシンガー・内田裕也さんのひとり娘。夫は俳優の本木雅弘さんで、夫婦の間には2男1女の3人の子供がいます。インタビューで家族や子育てについて語った内田さん。夫の本木さんについては「私よりもはるかに気が利く小姑です」と語っていました。私よりもはるかに本木のほうが気が付くし、お母さんのようなきめ細やかさがある。旦那さんというよりも、小姑。お姉さんがいるという感じがしてします。スッキリーより引用普段、本木さんと衝突することがあるかと尋ねられると「しょっちゅうですね」と回答。夫婦がもめていると、長男が「2人とも悪くないから!」と止めに来ることもあるそうです。しかし、子供の前で夫婦のケンカを隠すようなことはしていないといいます。その理由について内田さんは次のように話していました。子供たちの前ではぴしっとしてて、急に影でっていうのではなくて、常にそれはもうもれてしまっているだけなんですけど、そこの中からもう学んでもらうしかない。こうやって、他人の2人は一生懸命すり合わせながら、家庭を築いていくんだなと。スッキリーより引用「夫婦ゲンカを子供に見せてはいけない」とよくいわれますが、時に意見がぶつかったとしても、それを乗り越えようと試行錯誤する夫婦の姿を見て、子供たちも感じるものがあるのかもしれません。また、子育てでは、子供それぞれの個性を尊重するようにしているといいます。若い時の子育てからいろんな試行錯誤の末、今はやっぱり一人ひとりの『持って生まれたたち』っていうのはあるから、それを見極めて、親のやらせたい方向に閉じ込めるのでなく。世の中に迷惑をかけないというのは大前提ですけど。裕也みたいになったら困っちゃう。スッキリーより引用「結局、自分を育ててるということに返ってくる。この世を去る時に1ミリだけ大人になれたのかなって思う瞬間が来たらいいな」と考えを語っていました。ネット上では、インタビューを見た人からさまざまなコメントが寄せられています。・グッときた。『子育てが、自分育て』という言葉、すごく納得です。・内田也哉子さん、言葉選びがとても素敵。話し方とかすごく好きだ。・親の立場を経験してないけど、「1ミリだけでも成長したかな」と思える生き方をしたいと思いました。・夫婦ケンカは子供に見せちゃだめっていうけど、そういう親の姿から学ぶものもあるよね。2018年に亡くなった母・樹木さんの人柄について「母はどんな状況でも、おかしみを拾う人だった」と表現していた内田さん。物事の『面白い側面』を見て、前向きにとらえる樹木さん流のスピリットが、母から子へ脈々と受け継がれているのでしょう。夫婦関係や子育てにまつわる内田さんの考え方は、多くの人の心に響きました。[文・構成/grape編集部]
2020年10月28日「とにかくいろんな話を聞かせてくれたし、知識がものすごくあった人でした。10歳の子たちが聞けないような話をよくしてくれていましたね。それは、おばあちゃんが今やっている映画での出来事の話だとか、それこそ日常のちょっとしたことだとか……」目を細めながら樹木希林さん(享年75)との思い出を振り返るのは孫の雅樂(22)。’18年9月15日に希林さんがこの世を去ってから2年。死後に発売された希林さんの言葉をまとめた書籍が軒並みヒットを記録するなど、その深い人生観はいまも多くの人々に影響を与えている。ぜいたくを嫌い“モノを持たない生活”を貫いた希林さんだったが、数少ない趣味が車だった。長年の知人は言う。「希林さんの車好きは有名で、過去には愛車を紹介する番組に出演したことも。“車は顔”がモットーで、丸目が特徴のクラシックカーを10台以上乗り継いできました。なかでも’01年に購入した『トヨタオリジン』は新車価格で770万円と高い買い物でしたが、希林さんは“最後の愛車”と大切にしていたようです」そんな最愛の車をモデルとしても活躍する孫である雅樂が最近、受け継いだというのだ。「モデル名はUTAで、190cm以上ある身長を生かして’18年のパリコレでデビュー。パリのモデル事務所と契約し、世界中で活躍しています。バスケット選手としても優秀で、高校はアメリカのスポーツ名門校、大学はカリフォルニアのバスケ強豪校に進学しました。彼は12歳のときにスイスに留学したのですが、その際に現地まで希林さんが連れていったそうです」(ファッション関係者)希林さんの三回忌数日前の9月上旬、生前の希林さんも暮らし、今は父・本木雅弘(54)ら家族と住む二世帯住宅から件の愛車に乗って出てくる雅樂の姿が――。車を少し走らせ、トランクから荷物を取り出そうと停車した雅樂に本誌は話を聞いた。──希林さんの愛車を受け継いだとお聞きしまして。お話を伺ってもよろしいでしょうか?「ええ、確かにおばあちゃんが生前から乗っていた車ですが、正式に頂いたわけではないんです。新しい車は買わないので、父と母が『家にあるこの車を使ったら』と言ってくれて。おばあちゃんが亡くなった後に自分も日本で免許を取って、それで乗り始めました」突然の取材にも、希林さん譲りの堂々とした語り口で真摯に応じてくれた雅樂。受け継いだ車には希林さんとの代え難い思い出がたくさん詰まっているようだ。「僕らきょうだいの送り迎えや、一緒にご飯を食べに行くときはおばあちゃんがこの車でよく連れていってくれて。僕はずっと助手席に乗せられていました。(初めてハンドルを握ったときは)やっぱりおばあちゃんのぬくもりを感じましたし、とても懐かしい気持ちになりました」「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載
2020年09月15日樹木希林さん「コロナのせいで会うことはできないけれど、也哉子ちゃんとは連絡をとり合っていて。希林さんの話になると“懐かしいねぇ”って。“もしも今、希林さんが元気だったとしたら、コロナだろうが平気で外に出かけそうだよね”なんて也哉子ちゃん笑っていたけれど、ホントにそうですよ」そう語るのは、東京・西麻布にあるセレクトショップ『PRESS601』のオーナー・遠藤勝義さん。’18年9月15日にこの世を去った女優・樹木希林さんとは、30年来の親交があり、娘の内田也哉子やその夫の本木雅弘ら内田家とは今も親しい間柄だ。希林さんは客として遠藤さんのショップに足を運んでいただけでなく、お互いが、最近見た映画の感想を言い合うためだけに電話をかけるほどの“親友”だった。「そういう人がいなくなってしまって、この2年、ずっと寂しいんですよ。今でも映画を見ていると、ふと“希林さんなら、どんな感想を言うかな”なんて」(遠藤さん)■カンヌから帰ってきたあとに……同じように希林さんが長年にわたって通い続けていたヘアサロン『カットアンドカットヒラタ』。希林さんを担当していた男性従業員も「まだ実感が湧かない」と口にする。「今でもひょっこりお店にやって来そうな気がするんですよ。普段から、とてもお茶目な人でね。希林さんが声優をやっていたジブリの『借りぐらしのアリエッティ』の話をしたら、その場で突然セリフを演ってくれたり。『ユニクロ』で買ったという帽子に、某高級ブランドのタグを自分で縫いつけてきて“コレ、いいでしょ”なんて(笑)」希林さんの生前の面影を求めて、今も全国からファンが訪ねてくるという。「40、50代くらいの女性がウチの店にわざわざ髪を切りに来てくれるんです。中には遠く九州からいらっしゃった方もいてびっくりしたことがあります。みなさん決まって“希林さんと同じ髪型にしてほしい”とおっしゃるんです。実は、希林さんのヘアスタイルはそんなに難しいカットではないので、どのヘアサロンでもやってくれると思うんですが(苦笑)。やっぱり“みんなから愛されていた方なんだなぁ”と改めて感じました」(男性従業員)行きつけの店の中でも、特に希林さんが通い詰めた店がある。神奈川県横浜市内にある地元では名の知れた老舗の居酒屋『叶家』だ。昭和27年に希林さんの両親が創業したという、いわば希林さんの“実家”。希林さんの実兄の妻─義姉がずっと店を守ってきたが、昨年から自宅を離れて介護施設で暮らしているという。その義姉に代わって現在、店を切り盛りしているのが娘の谷川不二映さん。希林さんの姪にあたる不二映さんによれば、希林さんは亡くなる2、3か月前まで店に顔を出していた。「最後に来たのは……カンヌから帰ってきた後だったかな……。ひとりで寄ってくれることもありましたけど、たいてい誰かを連れてきて、そういうときはお連れの方々をテーブル席に座らせて、自分はひとりでカウンター席に座っては、私たちとおしゃべり」(不二映さん、以下同)希林さんは義理の息子である本木雅弘もしばしば連れて来たという。「私、モックンの大ファンで。だから叔母がモックンを連れて来てくれたときは、思わず一緒に写真を撮らせてもらっちゃいました。叔母は、モックンのことをすごく信頼していたんです」“芸能人との遭遇”では、こんなこともあった。「叔母から“あなたに似合いそうだから”と、浅田美代子さんが着ていたという服をもらったこともあるんです。浅田さんにお会いしたことなんて、もちろんないんですけれどね(笑)」■孫のUTAの手を引いて晩年、「全身がんだらけ」と公表していた希林さんだったが、義姉もまた同じ病で闘病生活を続けていたそう。そんな義姉を、希林さんはわが身を差し置いて気にかけた。「叔母が“いい先生がいる”と鹿児島にある治療院を紹介してくれて、連れて行ってくれたんです。そのおかげで、母のがんは手術もせず完治。だから、母は叔母が亡くなったときはガックリと落ち込んでしまってね。“私だけ生き残っちゃった……”って小さな声で寂しそうに。叔母は母のことを“お姉ちゃん!お姉ちゃん!”と慕ってくれていたので……」しかし、希林さんを偲ぶ一周忌の法要は行われなかった。この三回忌も、親族が集まる予定はないという。「それが家族の考え」なのだとか。「一周忌のときは也哉子さんと手紙でやりとりして、ウチからはお線香だけ送りました。三回忌も家族でささやかにやるみたいです。法要のかわりというわけではないんでしょうけれど、春先に也哉子さんから叔母の本が送られてきましたっけ」少しだけ寂しそうに語った不二映さんには、忘れられない思い出の光景がある。「亡くなる1年くらい前でしたか。孫の雅樂くんをこっちに連れて来たときのことで」希林さんにとっての初孫、也哉子と本木夫妻の長男・雅樂。“UTA”名義でモデルとしてパリコレにも出演した身長195センチのイケメンだ。「彼がバスケットボールでひざをケガしたそうで。その治療院を叔母が紹介して、その帰りに私と叔母と雅樂くんの3人で外で食事をしたんです。びっくりしたのは帰り、駅まで見送ったときです。駅前の大通りの横断歩道に差しかかると、スッと雅樂くんが叔母に手を差し出したんですよ」希林さんは差し出された孫の手を握った。「ふたり仲よく手をつないで、横断歩道を渡って電車に乗って帰っていきました。なかなか若い男の子にはできないことだと思うんですけど、すごく自然にね。“普段からこうしてるんだな”って感動しちゃって。このときばかりは、あの叔母もごく普通のおばあちゃんに見えました。叔母の本当に幸せそうな笑顔と、ふたりの後ろ姿が忘れられないんです」店内には希林さんの写真と、彼女が自らしたためた色紙が今も飾られている。「その写真を見るたびに叔母のことを思い出すんです。いつも見守ってくれている気がするの」希林さんは、今も、大切な人たちの心の中に─。
2020年09月11日京都市東山区にある「ライカギャラリー京都」では、発売中の本「硬派の肖像」の写真展が8月1日(土)より開催されることが決定した。「硬派の肖像」は、真摯、ひたむき、ぼくとつ、実直――そんな言葉がよく似合う、筋の通った生き方をしている男性31人の内面がにじみ出る写真と、人生訓ともいえる示唆に富んだ言葉から、“硬派な生き方”に迫るインタビュー集。遠藤憲一や岸谷五朗、松山ケンイチ、佐藤浩市、豊川悦司、本木雅弘、松田龍平ら俳優陣をはじめ、作家、ダンサー、ミュージシャン、映画監督など、様々なフィールドで活躍する男性たちが登場している。本書の発売に合わせて、昨年11月よりライカプロフェッショナルストア東京で開催された写真展の好評を受け、今回は京都での開催が決定。KEI OGATAが本書のために撮影した写真の中から、15作品を厳選して展示。東京展とは異なるセレクトの写真が並ぶ。KEI OGATAさんは「印刷やWEB上の写真とは違い、フォトグラファー自らがプリントした作品からは、作家の思いがストレートに伝わってくるはず。また被写体がカメラの前で自分を表現している、その情熱や息づかいまでも感じられると思います」と見どころを解説している。「『硬派の肖像』写真展」は8月1日(土)~11月5日(木)ライカギャラリー京都にて開催(火曜~日曜日11時~19時※月曜定休)。「硬派の肖像 ぶれない男、31人の人生訓」(小学館)は発売中。(cinemacafe.net)
2020年07月26日現在、出演中のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で演じる斎藤道三の迫力ある怪演ぶりが話題になっている本木雅弘。すっかり名優のイメージが定着しているが、出発点はアイドルグループのメンバー。ときに過激に、表現者としての道を歩いてきた俳優・本木の半生を週刊女性秘蔵カットでプレーバック。当時のアイドルたちが水着姿で出演し、大人気だった『アイドル水泳大会』で。ビジュアルに似合わずグループの中ではお調子者だった主役以上の存在感を放っていると話題なのがNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で本木雅弘が演じる“美濃のマムシ”こと斎藤道三。油売りだった亡き父とともに美濃一国を手に入れた、勝つためなら手段を選ばない人物を、まさに怪演している。実は、本木が悪役を、さらにわき役で演じるのは初めて。「選ばれた人間だと思っていない。“どこかでどんでんがえって、とんでもない人になるかもしれない”ということを自分に期待している」初めて出演した密着番組『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)で、こう語った本木。ジャニーズ事務所から『シブがき隊』としてデビューし国民的アイドルとなるも、幼いころからの夢だった“俳優業”にまい進したいと6年で解散。すぐに挑戦したのが潔く丸刈りになった映画『ファンシイダンス』(’89年)、まわし姿の『シコふんじゃった。』(’92年)。ヘアヌード写真集を発売し、紅白ではエイズ撲滅のメッセージを込めたサプライズパフォーマンスで驚かせるなど、攻め続けた20代の最後に内田裕也さんを父に樹木希林さんを母に持つ也哉子と結婚した。父となり、大河ドラマ『徳川慶喜』に抜擢され、着実にキャリアを築き上げてきた本木の名前が国内外から注目されたのが映画『おくりびと』。みずから企画を発案し主役を務めた。この作品で数々の映画賞を獲得。映画人としての印象が強くなった本木が、テレビの世界で、しかもダークヒーローとして『麒麟がくる』で一層の輝きをみせている。夢を追い続ける美しき怪優は、いまなお途上の人なのだ―。
2020年04月19日タレントの黒柳徹子、女優の芦田愛菜、お笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次が、サントリー緑茶「伊右衛門」の新テレビCMに初出演。「伊右衛門 やっと緑になったのね」篇(黒柳出演)、「伊右衛門 キレイな色」篇(芦田出演)が 4月13日から、「伊右衛門 ニュースでしょ」篇(加藤出演)が5月18日から全国で放送される。「伊右衛門」は、“淹れたてのような緑茶”が楽しめるペットボトル緑茶を目指し、発売以来最大のリニューアルをし、4月14日に発売する。新テレビCMでは、本木雅弘演じる伊右衛門が世の中を見渡し、「なんで今の緑茶は茶色なんや」「日本の緑茶に足りないものは何やろう」と自問。黒柳、芦田、加藤がそれぞれ新しくなった「伊右衛門」と出会い、その変化に気が付いて味わいを伝え、「答え、緑」というメッセージと共に、新生「伊右衛門」の幕開けを表現している。今回のCMは計6カ所で撮影が行われた。その内、5カ所がロケでの撮影。晴れるかな…と心配するスタッフだったが、撮影日は毎回素晴らしい天気に。本木のシーンは風がビュービューと吹く高所での撮影だったが、本番になるとピタッと風が止み、本木の風を操るパワーにスタッフは驚かされていたという。黒柳、芦田、加藤は今回初めての「伊右衛門」CM出演。撮影前に新・旧「伊右衛門」を手に取り、色の違いに3人とも驚いた様子。その自然なリアクションがCMでもたっぷりと表現されている。また、芦田が「伊右衛門」を飲むシーンでは「神々しい…」とスタッフが声を漏らしていた。
2020年04月08日NHK総合で放送されている「プロフェッショナル 仕事の流儀」の3月28日(土)放送回は「本木雅弘スペシャル」をお届け。現在放送中の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」に斎藤道三役で出演中の本木さんに半年にわたりカメラが密着した。1981年に「2年B組仙八先生」で俳優デビュー、その後「シブがき隊」メンバーとして88年までトップアイドルとして活動。解散後は俳優、ソロアーティストへと転身を図り、坊主姿を披露した『ファンシイダンス』が話題となると、『シコふんじゃった。』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。その後も『ラストソング』『双生児』などが高評価を受け、2009年、自らの企画で製作され主演を務めた映画『おくりびと』が米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞。本木さん自身も国内の映画賞を総なめにするなど、日本を代表する俳優となった。そんな本木さんに初めてカメラが密着。1998年放送の「徳川慶喜」以来の出演となる大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台裏はもちろん、自宅もテレビ初公開。実に半年にわたる取材から本木さんの知られざる素顔に迫っていく。大河ドラマ「麒麟がくる」は大河初の明智光秀をメインにした作品となり、若き明智光秀、織田信長、斎藤道三、今川義元、豊臣秀吉や徳川家康ら戦国武将たちの天下取りを描くもの。明智光秀を長谷川博己が演じ、光秀が京で出会う駒には門脇麦。織田信長に染谷将太。信長の父・織田信秀に高橋克典。本木さん演じる道三の娘・帰蝶(濃姫)に川口春奈。道三の嫡男・斎藤義龍(高政)に伊藤英明。足利義輝に向井理といったキャスト。さらに“越前編”からはユースケ・サンタマリア、間宮祥太朗、本郷奏多、安藤政信らも出演する。3月29日(日)放送の11話では非力ぶりを露呈した信秀が道三に援軍を頼むも、高政や稲葉(村田雄浩)らが尾張との和議を独断で決めた道三を糾弾。光秀は兵が出せない由を尾張に伝えにいく。人質同然の帰蝶が犠牲になってしまうことを恐れる光秀だが、信長がかつて京の将軍家の取りなしで美濃の内紛が収まった話を思い出す…という展開に。大河ドラマ「麒麟がくる」は毎週日曜20時~NHK総合にて放送。BSプレミアム、BS4Kでも放送。プロフェッショナル 仕事の流儀「本木雅弘スペシャル」は3月28日(土)19時30分~NHK総合で放送。(笠緒)
2020年03月28日2020年3月に50周年を迎えるananを30年以上間近で見てきた作詞家の秋元康さん。なぜananは50年続いてこられたのか、分析していただきました!劇的に効く“抗生物質”とゆるやかに効いていく“漢方薬”。ふたつのバランスをとりながら、新しいヒットを作ることが宿題。売れる雑誌を作り続けるというのは、想像以上に至難の業。「毎号毎号売ろうと思うと売れないものです。売れ続けるためには、“漢方薬”で長期的に体質改善を試みつつ、ここぞという時に“抗生物質”を投与することが肝心です」と、なんとも大胆な分析。「占いの特集や35年間も巻末を守り続ける、林真理子さんの書くエッセイは、読者の心にゆるやかに効いていく“漢方薬”なのかなって思います。一方で、ここぞという時は、King & Princeのようなスターで度肝を抜くという、“抗生物質”を投薬するのが編集の手腕」“抗生物質”を連続投与するのでは読者が疲れるし、何より効かない。そのさじ加減も長続きの秘訣のようで……。「これから先はじゃあどうする?と聞かれたら、そのふたつのバランスをとりながら、新しいスタンダードを作ることが宿題です。雑誌を手に取らせるためにはきっかけが必要。日頃はananを読まない人が手に取るような新鮮な特集や、例えばデビュー前の新人発掘などが課題なのかな」予定調和を崩すのも得意。「あり」と「なし」の間の「なしではない」を取り上げていく勇気が思わぬヒットを生む。50年続くanan。それはある意味、読者に飽きられなかったという証拠?「予定調和を崩してきたってことも、飽きられなかった理由の一つでは?この話をすると大抵の人は“奇を衒(てら)う”ことと勘違いする。でも予定調和を崩すと奇を衒うは似ているようで、同じじゃない」「あり」と「なし」の間の「なしではないのでは?」を取り上げる勇気が、予定調和を崩し、思わぬヒットを生むという。アナウンサーという職業でありながら、服の下に隠されていた豊満な美ボディをさらけ出した田中みな実さんの起用がその一例。「女性にとってそれまでは違う立ち位置にいた彼女が、美しい体を見せつつ、美しくなるためにこんな努力をしていますと堂々と語ったことで、女性たちから支持を集め、憧れの存在になったんです」誌面で女性モデルとの濃厚なラブシーンを演じた高橋一生さんも然り。ananが仕掛ける予定調和の崩しが、時に読者を強烈に引き寄せる吸引力なのだ。アイドルが好き、セックスに興味ある――。堂々としたミーハー視点。なにをやってもゲスにならないので、読者が安心して読むことができる。「ananは堂々とジャニーズのタレントが好き、恋愛やセックスにも興味があると表紙でアピールしてきた。これがファッション誌になると、今さらそんなことを言うのは格好悪いとか、恥ずかしいみたいなスタンスをとる。それじゃあ、視野が狭くなるんです」ananの良さはミーハーを堂々とやること、と秋元さん。そこに少しでも気取りが見えては、大衆ウケはしないと手厳しい。「例えば、ル・コルビュジエの建築の中でカツ丼を食べるから、皆の興味が集まる。そこで高級懐石料理を出すのでは、大衆は集まらず、一部のマニアな人にしかウケないことになる」ミーハー心を最大に生かし、旬のタレントを絶妙なタイミングで起用するのも強みだと。「外国人モデルばかりを使い、ファッションの最先端を強気に投げかける時代もありましたが、今は編集部全体で『ジャニーズがかっこいい!』と言っている。その潔さがむしろウケている」さらに何をやっても「ananだから」と、誌面が下品に転ばない強みもあると。「過去、ananで本木雅弘くんがヘアヌードになった時もそうでしたが、若いタレントが下着姿になっても、俳優が裸でラブシーンを誌面で演じても、ゲスにならない優位性がある。だからこそ読者も安心して手に取るんです」その優位性を保つために、今後は何を仕掛けていけばいいのだろうか?「ぜひ女の子の表紙でヒットを飛ばしてほしい。世間では無名でもananが目をつけた女優なりタレントが、表紙に起用される。なんでこの子が?と世の中がざわざわし、でもいいよね!と認められ、雑誌がヒットする。その揚げ句に、ハイブランドがその子と契約するなんて図式が作られた時に、ananはまた次の次元に行けると思う。ananという媒体力を世間に見せつけてほしい」50年続いた信頼やブランド力を強みに、今後も次の50年を目指したいanan。秋元さん、これからもananを見守り、支えてください!あきもと・やすし1958年、東京都生まれ。作詞家。高校時代から放送作家として活躍し、’83年以降、作詞家として、美空ひばりの「川の流れのように」など数々の大ヒット曲を生む。昨年、企画・原案の日曜ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)は高い注目を集め、最終回には同枠最高視聴率を記録。※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀取材、文・今井 恵(by anan編集部)
2020年03月07日第70回ベルリン国際映画祭が3月1日(現地時間)に閉幕した。最高賞であるコンペティション部門の金熊賞には、イラン出身モハマド・ラスロフ監督作『There Is No Evil』(英題)が選ばれた。同作は死刑制度をテーマとした作品。ラスロフ監督作は今作以前の作品が問題視され、イランからの出国を禁じられているため、今作に出演もしている娘のバランが代わりにトロフィーを受け取った。次点の銀熊賞は、イライザ・ヒットマン監督が17歳の少女を主役としてアメリカ国内における中絶問題を描いた『Never Rarely Sometimes Always』(原題)に贈られた。今年はエンカウンターズ部門という新部門が設けられた。公式サイトによると、この部門では「映画界における新しい声や多様性のある物語やドキュメンタリーをサポートする」とのこと。3人の審査員によって最優秀作品賞、最優秀監督賞、審査員特別賞が選ばれる。初の最優秀作品賞には、加瀬亮や本木雅弘が出演する『The Works And Days (of Tayoko Shiojiri in the Shiotani Basin)』(原題)が選ばれた。アメリカ、スウェーデン、日本、イギリス合作。C・W・ウィンター&アンダース・エドストロームがメガホンを取った。京都の集落で27週間かけて撮影されたドキュメンタリー調の作品。480分の長編で、3回の休憩をはさんで上映されたという。(Hiromi Kaku)
2020年03月02日サントリー緑茶「伊右衛門」の公式ツイッターで1月27日に投稿されたツイートが、話題を呼んでいる。同商品のCMで妻役を務める宮沢りえ(46)の写真を添えて、こうツイートした。《昨晩は、主人が熱演のあまり、皆様をお騒がせしましたようで、すみません。まずは心を落ち着け、茶などお召し上がりくださりませ。妻より》これは26日に放送された、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の第2話を受けてのもの。本木雅弘(54)演じる“蝮(マムシ)”の斎藤道三が、矢野聖人(28)演じる娘婿の土岐頼純をお茶で毒殺するシーンがあったのだ。本木といえば、11年から務めている同商品のCMキャラクターでお馴染み。そのことから「#伊右衛門」がトレンド入りするほど、視聴者から“ツッコミ”が続出した。《こんな恐ろしい伊右衛門があるか!》《伊右衛門が茶の湯で土岐頼純をおくりびと》《蝮がお茶で一服盛って殺したから伊右衛門飲む度に思い出すじゃないか!》同社のツイートは、このような反響を呼んだ本木への“助け船”だったのだ。そのため、《流石、サントリー 大人の対応》《粋な対応さすがです》と称賛の声が上がった。さらに「伊右衛門」シリーズの「特茶」公式アカウントもTwitterを更新。ハッシュタグに「#毒茶 でなく #特茶」と添え、本木をフォローした。《伊右衛門が話題になっているようですね。ちなみに、特茶にはケルセチン配糖体が入っていますが、体脂肪を減らすのを助けてくれる成分ですので、ご安心を》そんななか、本木は番組公式ツイッターを通じて出演シーンを述懐した。《「主君であり娘婿でもある土岐頼純を毒殺するシーンは、かなり緊張感のある現場でした。実人生でも特異な父を持つ娘の婿である自分としては、もしあの時代に生きていたらと思うと他人事とは思えず(汗)」(本木雅弘)》本回の平均視聴率は17.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と好調をキープしている『麒麟がくる』。まだまだ視聴者を惹きつけそうだ。
2020年01月28日(写真左から)吉田鋼太郎、川口春奈、長谷川博己、本木雅弘「初回放送の視聴率が19%を超えたというのは、大河ドラマ関係者にとって何よりも勇気づけられることだったと思います」そう話すのは、スポーツ紙記者だ。予定より2週間遅れのスタートとなったNHK大河ドラマ『麒麟がくる』が2020年1月19日に放送され、初回平均視聴率が19.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の好発進。キャストはじめ、関係者らも胸をなでおろしたに違いない。■吉田鋼太郎ら“イケオジ”も好評初回の注目は何といっても、麻薬取締法違反容疑で逮捕され、降板した沢尻エリカに代わって帰蝶役を演じる川口春奈の登場シーン。ドラマ終盤に尾張の織田信秀(高橋克典)が美濃を攻めてくる、という緊迫したシーンで、馬にまたがり駆け抜ける雄姿を見せた。「12月から撮り直しを始めましたが、もっとも心配されていたのは、時代劇が初めてとなる川口の所作でした。わずか2週間の準備期間しかなかった中で、セリフを覚えることから衣装合わせや顔合わせ、本読みなどまでこなす苦労は、並大抵のことではなかったと思います。でも、わずかなシーンながら初回で川口が見せた“帰蝶らしさ”は、これまでの不安が杞憂(きゆう)に終わったことを証明していました」(同前・スポーツ紙記者)放送中もSNSでは川口へエールを送るコメントが目立ったが、それ以上に話題になったのは、色彩鮮やかなまばゆい衣装や“イケオジ”たちの存在、そして、テンポがよく無駄のない、池端俊策氏の重厚な脚本についてのコメントだった。「目がチカチカする」などの声もあがった衣装について、テレビ誌ライターは次のように解説する。「ドラマの舞台となる室町時代の衣装を再現したそうですが、当時は原色などの服が多かったため、カラフルなものになったそうです。制作を手がけたのは、黒澤明監督の長女で衣装デザイナーの黒澤和子さんですが、撮影も4Kカメラを使用しているため、よりビビッドになったのでしょう」また、視聴者を喜ばせた“イケオジ”たちといえば、松永久秀役の吉田鋼太郎、刀や鉄砲を扱う『辻屋』の店主・宗次郎役の声優・大塚明夫、斎藤道三役の本木雅弘、三淵藤英役の谷原章介、そして名医・望月東庵役の堺正章らだ。「特に、吉田と大塚のツーショットはファンを歓喜させましたね。また、今回は大河特有の子ども時代から始めたのではなく、明智光秀の青年時代からスタートしているのでわかりやすく、光秀のキャラクターがイメージしやすい。しかも、光秀の置かれている立場や今後、影響を受けるであろうキーマンが一話から登場するというテンポのよさが、視聴者を飽きさせない。さすがの池端脚本でした」(同前)池端氏は「透明感と緊張感を併せ持つ光秀役は長谷川博己しかいない」と語っているが、座長としての長谷川は沢尻の一件があった後も、大きなハードルを乗り越えるためにキャプテンシーを見せていたという。「長谷川さんは光秀の役についてだけでなく、『人』としての考え方や生き方を池端氏と細かく語り合ってアドバイスを受けていたそうで、とにかく“みんなで作り上げていく”という気持ちを大事にしていますね」(NHK関係者)東京五輪・パラリンピック期間中の5週間は休止になり、全44回で放送されることが決まったが、出遅れも“沢尻ショック”もはねのける破壊力を持った大河になりそうな予感だ。(取材/文・小窪誠子)
2020年01月26日大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合)の第1話が1月19日に放映された。時事ドットコムニュースによると視聴率は関東地区で19.1%を記録。初回で19%を超えるのは16年の「真田丸」以来4年ぶりだという。主演・長谷川博己(42)を筆頭に、豪華俳優陣の共演が大きな話題を呼んでいる「麒麟がくる」。さらにTwitterでは色鮮やかな衣装に注目したこんな声が上がっている。《今回の大河、色彩がとてもカラフルで新鮮 渋い色合いの衣装も良いアクセントになってる気がする》《とにかく映像がめちゃめちゃキレイだな~ 衣装も今までにないパステルカラーが効いてる感じ》《衣装も華やかで出演者も豪華 一年間楽しく見させてもらいます》同ドラマの衣装を手がけたのは黒澤和子氏(65)。黒澤氏は言わずと知れた名監督・黒澤明さん(享年88)の長女だ。「和子さんは02年の映画『たそがれ清兵衛』や’06年の『武士の一分』、さらにNHKでは’16年の朝ドラ『とと姉ちゃん』や’18年の大河ドラマ『西郷どん』の衣装を手がけています。’19年には『万引き家族』の衣装デザインで芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。その仕事ぶりは、是枝裕和監督(57)が『演出の参考になる』と評するほど。信頼は業界内でも厚いです」(映画関係者)黒澤氏は「麒麟がくる」のホームページで「映画でもドラマでも『映像は監督のものだ』という環境で育ってきた」と話す。そして「監督と相談しながら全体の色彩イメージを決めて、次に登場人物のキャラクターに合わせて一人ひとりの衣装デザインに落とし込んでいます」と方法論を明かしている。その衣装は出演俳優たちにも大好評のようだ。ドラマの公式Twitterアカウントでは本木雅弘(54)の《今回は衣装にも力があって、役の複雑さを布と柄の重なりが表現してくれています》というコメントを紹介している。また高橋克典(55)は《黒澤和子さんの手がける衣装は役者を触発します。信秀という役をひも解いていける部分がふんだんにあり、非常に深みがあります》と絶賛している。“カラフルな衣装の時代劇”で思い出すのは、まさしく父・明さんの制作した’85年の映画「乱」だろう。「和子さんはスタイリストになったものの、いったんは主婦になりました。そして復帰した直後にお母さんが亡くなったのです。それは明さんが『乱』を撮影しているときのことでした。和子さんはお母さんの代わりに家事を担当し、明さんの映画人生を支えるように。そのことがキッカケで黒澤プロダクションにも誘われ、90年の映画『夢』で再び衣装を手がけることになったそうです。今回の『乱』を彷彿とさせる衣装も、ありし日のターニングポイントを思い出す感慨深いものになったのかもしれません」(ドラマスタッフ)「麒麟がくる」のホームページで「作っている私たちが楽しまなければ見てくださる方にも楽しんではもらえないはずです」「ぜひ皆さんに楽しんでいただけたらと思います」と語っている黒澤氏。演技と衣装に注目しながら、今回の大河を堪能してみては。
2020年01月20日本木雅弘(c)NHK「最初は浦島太郎状態でした。大河はその時代の最先端技術を導入して番組作りをするのですが、今回はいきなりドローンの登場です(笑)。(ヘリとかの)空撮でもクレーンでもない距離を鳥のように、カメラが飛んでいる様子なんて以前は想像もつかなかった。ほかにも、専門的知識と技術を持ったスタッフたちが相当に集結していて、やはり特別規模のドラマ作りなんだと改めて感じました」『太平記』(’91年)、『徳川慶喜』(’98年)以来、3度目の大河ドラマに挑む本木雅弘(54)。演じるのは、美濃の守護代で明智光秀の主君である斎藤道三だ。「恥ずかしながら歴史に疎いので、斎藤道三がどんな人物か知りませんでした。最近は便利だから、ネットで調べればさまざまな情報が得られますよね(笑)。例えば、道三の言葉をまとめたサイトに《人間思いあがらず何ができようか!》とか“なるほど道三らしい”と思えるような面白いものが多々あって。その人間力の強さなどを感じながら、印象的な言葉を、ノートに書き出したりしています」主演の長谷川博己とは、ドラマ『運命の人』(’12年)でも共演した。「当時の長谷川さんは、爽やかで素直で一見、柔らかそうだけど、自信が奥に感じられる人だと思っていて。それが、今回お会いしたときにふと蘇ったと同時に、謎が多いとされている明智光秀の若いころを想像するのにぴったりだなって思ったんです。私は出番が少ないのでときどきの参加ですが、撮影のたびに長谷川さんの中で光秀がむくむくと育っていっている感じがしてとても頼もしいんです。役者としても刺激し合えたらという思いで、負けじと道三なりの変化球をぶつけたいと思います」■撮影のココが楽しみ!「道三のハゲかつらです(笑)。今回、4Kでフル撮影するので、鮮明な画像に耐えうる特殊メイクで頭をツルッとさせて、シワを入れ60代の道三に。どうなるのか楽しみです。あと、これは楽しみではなく……この先の極寒の時期に合戦シーンの撮影があるんです。それに耐えうるのか、年齢、体力的にもつのか?が、いまから心配です(笑)」
2020年01月19日イギリスと日本を舞台にした英国ドラマシリーズ「Giri/Haji」から、主演の平岳大、窪塚洋介、本木雅弘ら日本人キャスト陣と、『トレインスポッティング』などのケリー・マクドナルドら英国キャストが集結する緊迫の予告編が完成、併せて危険な雰囲気が漂うキービジュアルも解禁された。本作のタイトルには、日本語の“義理”(Giri)と“恥”(Haji)がそのまま使われており、東京とロンドンという異なる2つの都市をまたいで起きた殺人事件が、裏社会の重大な権力抗争へと波及していく様を描くドラマシリーズ。この度解禁となった予告編は、常に不穏な空気と張り詰めた緊張感が漂い、巻き起こる事件と衝撃の展開を予感させている。ある夜、刑事の健三(平岳大)の元に現れたヤクザの組長の福原(本木雅弘)。彼の放つ「遥か遠くに誰かが池に石を投げ、その矢がようやくここまで届いたわけだ...」という言葉が疑問を投げかける。健三は疎遠になっている行方不明の弟、勇人(窪塚洋介)を探し出すべくロンドンへ。勇人を捜索する中で、健三は徐々にロンドンの闇社会へと巻き込まれ、「一体何人が死んでるんだ?東京で!ロンドンで!お前のために!」と勇人に激高する健三の姿もあり、手に汗握るような緊迫のシーンが連続する。果たして、タイトルの“義理”と“恥”が持つ意味とは…?本作について、主演の平さんは「非常に練られていて、翻訳にも時間をかけ、我々も意見を述べました。そういったクリエイティブな関係の良い前例を作った、という感じはします」と自信を覗かせる。窪塚さんは「リアリティがあって凄いです。普通の日本の人が観てもすごくリアリティがあるように見えると思うんですよ。そして、見たことのある日本の景色だったり、触れたことのあるカルチャーも描かれているのに、観たことのない作品が出来上がっていると思います。すごく不思議な体験をしてもらえるんじゃないかなと思います」と、これまでにない新感覚の作品になっているとコメント。さらに本木さんは「家族の絆や人間の繋がりや心の闇という普遍的なテーマに重きを置いているのが新鮮でした」と語っており、単なるサスペンスにはとどまらない、様々な登場人物の心情が絡み合う濃密な人間ドラマを交えていることに言及、加えて「物語の展開や回想の入り方にスピード感と独特なリズムがあって、どんな映像になるのだろうとワクワクさせてくれる脚本でした」と撮影前の時点から期待を寄せていたことを明かしている。言葉や文化を越えて複雑に絡み合う人間模様と、息もつかせぬ緊迫感。英国発の濃厚なサスペンスに注目だ。Netflixオリジナルシリーズ「Giri/Haji」は2020年1月10日(金)よりNetflixにて独占配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年12月23日『Shall we ダンス?』(96)や『それでもボクはやってない』(07)で知られる周防正行監督にとって、『舞妓はレディ』以来5年ぶりとなるオリジナル作『カツベン!』。今から100年前に映画が「活動写真」と称されていた時代、無声映画の上映中にその内容を解説しながら登場人物の声色までを演じる「活動弁士」は華やかな存在である一方、時代と共に必要とされなくなっていく「光と影」も描かれている。漫画や小説をもとに実写化される「原作モノ」が全盛の中、オリジナル映画に果敢に挑んだ人々を取材する連載「オリジナル映画の担い手たち」。第12回は、周防正行監督が「映画監督の未来」について語る。――時代の流れと共に消えていく職業として、活動弁士が描かれていました。「映画監督」という職業については、どのようにお考えでしょうか。変わっていっていると思います。それぞれのやり方も違うし、今はiPhoneでも映画を撮れる時代。「今日から自分は映画監督です」といつでも誰でも言える。YouTubeだってあるわけです。監督になるための方法が全く異なっています。僕が監督になろうと思った時なんて、日本映画なんか誰も相手にしていない時期。一般の映画会社も、演出部の募集なんかしていない。かろうじて、ロマンポルノを量産していた日活が演出部を募集をしているぐらいで。どうやったら映画監督になれるんだろう。そんな時代に映画監督になろうとしました。今の若者は、自分で撮ってYouTubeに上げてアピールできる。作品を見せる場所は、テクノロジーによって変わってきています。活動写真初期のカメラは、電動ではなくて手回し。1秒間に16コマ回すのは、カメラマンにとって必須のテクニックでした。だから、みんな回す練習をするんです。でも、そんなことはもう必要ない。今は、「そんな技術必要ない」の連続です。フィルム編集できる人も意味がない。デジタル撮影が主流になると、「ネガ編」という今までネガの編集を仕事にしていた人が職を失いました。これは映画界に限ったことではありません。技術革新と共になくなる仕事もあるし、新たに生まれる仕事もある。それは歴史上、明らかなことです。映画監督も、変わらざるを得ないでしょうね。その時に必要なこと、その時にできないことは必ずある。そこをAIが取って代われるぐらいの技術革新が進んだら、AIは映画監督に代わる存在になる思います。――AIが人の仕事を担う時代が迫っているとして、「映画監督」という職業がなくならないためには何が必要なのでしょうか。分からない。なぜならば、上映のスタイルそのものも変わっていくだろうし、例えばCGの使い方1つとっても全然変わっています。今回もCGをたくさん使っていますが、何に使っているかというと「消す」ため。新たなものを作り出すためではなく、余計なものを消すためにCGを使っているんです。そんな発想なんて、最初はありませんでしたよね。例えば、ハリウッド大作のメイキングを見ても、最近のアクションシーンは複数台のカメラで好きなアングルから撮っていることが分かります。昔は、別のカメラのアングルに入らないポジションでベストなアングルを探す必要がありました。だから、メインのカメラが一番良いポジションで、別のカメラは「しょうがない場所」から撮るしかなかった。今はすべてのカメラが、最適な場所から堂々と撮ることができます。あとで映ってしまったカメラを消せますから。ライティングも同じです。ショックだったのは、ベテランの照明技師さんが、助手さんに「おい! そこの照明バレてるから! もっと上手上手!」と指示してたら、「消せるから大丈夫です」と言われたという話があります(笑)。プロデューサーもデジタルならあとである程度光の強さや色合いを調整できることが分かっているから、今までの照明部としての仕事を全うさせないこともあります。コストを考えると、撮影が早く終わることの方が圧倒的に良いわけだから。こうやって時代と共に、現場は変化しています。だから、未来がどうなるかなんて僕には分からない。そこまでの想像力は、僕にはありません。ただ、20世紀が映像の時代だとすると、21世紀はライブの時代だと思います。応援上映なんかまさにそうで、映画館でみんなが声出したり、何かを鳴らしたり、「みんなで盛り上がろうぜ」という上映は、以前は考えられなかった。そもそも映画は静かに見るものですから(笑)。でも、活動写真の時代の映画館は観客も騒がしかったんですよ。――創作はご自身の「驚き」や「人々を驚かせること」が動機になっているとおっしゃっていましたが、取り巻く環境の変化も驚きの連続ですね。そうですね。映画が音を持っていない時代の映画館はにぎやかで、映画が音を持った時代の映画館は客がサイレントになった。これって不思議なことですよね。今回撮りながら、それを一番実感しました。応援上映は、活動弁士が活躍していた時代の「ライブパフォーマンス」と似ています。みんな、ツイッターで「いいね」を押しているけど、本当は肌で感じる共感が最も魅力的だということに気づき始めたようです。21世紀は生身で実感することの方が価値がある時代になっています。人々が映像で驚くことは、どんどん少なくなっていくのかもしれません。■プロフィール周防正行1956年10月29日生まれ。東京都出身。1989年、本木雅弘主演の『ファンシイダンス』で一般映画監督デビュー。本木との再タッグとなる1992年公開『シコふんじゃった。』では、第16回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、数々の映画賞を受賞し、1996年公開の『Shall we ダンス?』では、第20回日本アカデミー賞13部門を独占。その後も、『それでもボクはやってない』(07)、『ダンシング・チャップリン』(11)、『終の信託』(12)、『舞妓はレディ』(14)などの話題作を手掛けている。
2019年12月22日『Shall we ダンス?』(96)や『それでもボクはやってない』(07)で知られる周防正行監督が、『舞妓はレディ』以来5年ぶりとなるオリジナル作品に挑んだ。成田凌が初主演を務める『カツベン!』は、今から100年前に映画が「活動写真」と称されていた時代、無声映画の上映中にその内容を解説しながら登場人物の声色までを演じる「活動弁士」にスポットを当てている。これまで数々のオリジナル作品を手掛けてきた周防監督は、なぜ本作を通して「活動弁士」に注目することになったのか。そこには日本古来より受け継がれている「語り」の文化が関係していた。漫画や小説をもとに実写化される「原作モノ」が全盛の中、オリジナル映画に果敢に挑んだ人々を取材する連載「オリジナル映画の担い手たち」。第11回は、周防正行監督にとって映画化の動機となっている「驚き」を掘り下げる。○■「珍プレー」「神田松之丞」にも通底する“語り”文化――片島章三さんの脚本を読んだことが、映画化のきっかけになったそうですね。『舞妓はレディ』の撮影現場で片島さんから「読んでみてください」と脚本を渡されたのがきっかけです。たぶん、僕の意見を聞きたかっただけだと思いますが(笑)。僕も、片島さんが撮るものとして、「これは面白いね」と感想を伝えて。それからしばらくしてプロデューサーから監督をお願いされたので、「片島さんさえ良ければ」を条件に受けることになりました。自分以外が書いた(脚)本で、初めて「撮りたい」と思った本でした。――これまでそういう機会はなかったのでしょうか?ありましたよ。「この本で監督してくれませんか?」ということが何度かありましたが、なぜか撮りたいという気持ちになれなかったんですよね。「周防は自分で書かないと撮らない」と思われてる節があるみたいですが、全然そんなことないんですよ。「本が面白ければ撮る」がポリシーです。――「面白い」というのは、感覚的なものなんですか?僕自身の「驚き」です。その驚きを世界中の人に伝えたいかどうか。僕の映画で、共通しているのは「驚き」がスタートです。『変態家族 兄貴の嫁さん』(84)は、小津安二郎という人への「驚き」。ワンカットだけで「これって小津さん?」と分かるような映画監督は、世界中でも稀です。ファンとして「何なんだこれは」という驚きがずっとあったので、小津さんについての映画を撮ろうと思いました。大好きな小津さんに対する驚きが始まりです。『ファンシイダンス』(89)は、昨日まで渋谷のセンター街で遊んでいたような若者が禅寺の修行で入山するという現実が実際にあるんだという「驚き」。山に入った若者たちの目は、センター街にいるた若者の目とは違うんですよね。岡野玲子さんの漫画が原作なんですが、それまでのお坊さんのイメージが変わった作品でした。『シコふんじゃった。』(92)は、その日初めて廻しを締めた大学生が、いきなり国技館の土俵に上がるという「驚き」。初めて見た学生相撲の大会で、小手投げをされまいと頑張っている学生がいました。土俵に上がるのは初めての子でしたが、なんと骨折してしまって! 土俵下にいた関係者が「あっ、折れたな……」とつぶやいたんですよ。「なんだこの世界は!」「強豪校ではない学生たちは、こういう相撲を取ってたのか!」という驚きがありました。『Shall we ダンス?』(96)は、本当に映画の主人公のように駅からふと見上げた雑居ビルの窓に「ダンス教室 見学自由」と書いてあって。「そういえば、雑居ビルのダンス教室ってよく見るよなぁ。だけど、そこに通っている人を一人も知らない」と気づいたんです。そんな世間話をしていた時、東宝の方が「一度、東宝ダンスホールに見に来ませんか?」と誘ってくださって。仕事帰りのサラリーマンと思しき人がそそくさと更衣室に消えて出てくると、ピンと背筋を伸ばして、まるで外国人のように女性をエスコートしながら優雅に踊り始めるんです。取材をすると、あのダンス教室の向こうには、ボールルームダンスの聖地、イギリスのブラックプールがあるんだと知り、驚きました。刑事裁判がテーマの『それでもボクはやってない』(07)は、「刑事裁判ってこんなことになっているのか」「嘘だろ?」という衝撃。証拠は全部見ることはできないとか、もう驚きの連続でした。たぶんみんなも知らないことだろうから、映画にしてみんなに知ってほしいという思いがありました。――今回は、活動弁士に驚かれたわけですね。片島さんの本を読んで、僕は活動弁士を無視していたことに気づきました。学生の頃にサイレント映画をよく観ていたんですが、サイレント映画は「サイレント」で観るのが正しい観方だと思っていました。サイレントで観ない限り、その監督の意図は分からないと。以来、活動弁士や生演奏の存在を無視して生きてきました。でも、片島さんの本を読んで、はたと気づくわけです。明治、大正、昭和を通して、サイレント映画をサイレントのまま観ていた人はこの世にいなかった。洋画でいえば、例えばアメリカには音楽の生演奏があったので、やっぱりサイレントではないんですよね。日本ではそこに活動弁士の語りが入る。当時の日本の映画監督は、生演奏や誰がやるか分からない語りを想定して撮っていたという事実に気づかされました。活動弁士を知らなければ、日本映画を観てきたとは言えないのではないか。日本映画の初期、サイレント映画時代を支えたのは間違いなく活動弁士でした。ちなみに、黒澤明監督のお兄さんも活動弁士です。ポール・アンドラさんの著書(『黒澤明の羅生門 :フィルムに籠めた告白と鎮魂』)には、黒澤監督が活動弁士であるお兄さんの影響を受けたことが書かれています。小津安二郎も溝口健二も、どの活動弁士に語られるか分からないことを踏まえて撮っていたんです。稲垣浩監督は当初、「監督になってみると、活動弁士がこれほど邪魔な存在だと思わなかった」と言っていたそうですが、トーキー(発声映画)の時代になると、自分が書くセリフがどれほど活動弁士から影響を受けているかを痛感したそうです。初期の日本映画の監督はそれぞれ違った形で活動弁士に影響を受けたので、それが後の日本映画のスタイルにも大きな影響を与えたのではないか。それがこの映画を撮ってみて、あらためて分かりました。ヨーロッパやアメリカでも、最初の頃はスクリーンの前に人が立って、映画の説明をしていた時期があったそうです。でも職業として確立することなく、字幕と音楽だけで上映されるようになりますが、日本はトーキー全盛になるまで活動弁士がいて発展していきました。世界でも本当に珍しい映画史です。「物語」という言葉からも分かるように、日本人は語りでストーリーを楽しむ人種とも言えると思います。――最近では、講談師の神田松之丞さんや応援上映などが人気なのも、こうした日本人の感性に響いているからでしょうか?日本の「語り芸」の文化を強く感じます。例えば、これは活動弁士ではなくて「語り芸文化」の影響だと思いますが、古舘伊知郎さんのプロレス実況はまさに現代の活動弁士。それから、みのもんたさんの『珍プレー好プレー』のアテレコも。浄瑠璃、能や歌舞伎も「語り」によって人々に受け入れられてきたところがあります。『平家物語』を語る琵琶法師。講談、落語、浪曲、紙芝居……全部「語り」なんですよね。日本にはそうした豊かな「語りの文化」があって、それが活動弁士を生み出した。声色弁士という仕事もあって、スクリーンの横に複数人立って登場人物のキャラクターに合わせて声を演じていました。それはまさにアニメーションのアテレコ。今の声優さんの人気は、実は日本特有の語りの文化の影響を強く受けているからかもしれません。脈々と受け継がれている語りの文化が、今は神田松之丞さんに光が当たっています。そう考えると、日本の語りの文化が腑に落ちるというか。この映画は、語りについての作品なんです。――今回の『カツベン!』は、前作『舞妓はレディ』(14)後にすぐ製作に入ったのでしょうか?いえ。『舞妓はレディ』の後に2年間、別企画の準備を進めていたのですが、流れてしまいました。準備期間は作品やテーマによって違いますが、『Shall we ダンス?』は1年、『それでもボクはやってない』は多くの取材が必要だったので3年ほどかかりました。今回は、活動弁士の語りで映画を観た経験が少なかったので、とにかく活弁付きの無声映画作品を観ることから始めました。○■原作は映画の出来を保証するものではない――周防監督は本作含め、数多くのオリジナル作品を手掛けてこられました。オリジナル作品とは、監督にとってどういう位置付けですか?なるべく、「オリジナルで作りたい」という思いはあります。原作モノがあまりにも多いのは、お金を出しやすいからでしょうか。出資者側の事情もよく分かるんですよ。僕が一般劇場用映画で最初に撮った『ファンシイダンス』は原作漫画がありました。出資者は、どんな映画になるのか、原作があると予測しやすいわけです。「こういうものができるんだ」と想像がつく。『シコふんじゃった。』はオリジナルだったんですが、立教大学はどんな映画になるか不安があったのか、キャンパスを貸してくれませんでした。出資者の判断や撮影許可が取りやすいのが、原作モノの大きなメリットです。でも、そうなると原作モノしかこの世になくなってしまいます。だからこそ、オリジナルを作れる人は、積極的に作るべきです。漫画家は、「漫画として面白いものを」という発想のもと描いています。原作モノは、どんな映画になるのかある程度想像できるので、一定の安心材料にはなりますが、映画の出来を保証するものではありません。だから、オリジナルにお金を出すのも、原作モノにお金を出すのも実は同じなんです。そう思ってもらいたいから、オリジナルで撮れる人……つまり、それだけの説得力を持っている監督はできるだけオリジナルで撮ってほしいと思っています。――監督もその一人ですね。まぁ、今回はお金を出してくれましたからね(笑)。『それでもボクはやってない』なんて、『Shall we ダンス?』があったから撮らせてくれたと思うんですよ。脚本渡してるのに、「とはいえ、監督だからどこかで笑わせてくれるんだろう」とOKする方もいたみたいで。全然、そんなことないんですけど(笑)。シナリオはこうですと伝わっているはずなのに、みんな僕の過去作品にとらわれてしまう。――ということは、『Shall we ダンス?』までが大変だったということですか。そうですね。『シコふんじゃった。』や『Shall we ダンス?』の企画を通す時、「誰がこんなの観るの?」と散々言われましたからね。『シコふんじゃった。』なんて、スタッフも口にするのが恥ずかしそうでしたし(笑)。ある人からは、「ウンコふんじゃった? そんなの受けられない」と断られたこともありました。『Shall we ダンス?』がヒットしたおかげで、その後の話しは通しやすくなりましたよ。出資する側は、何かしらの保険が欲しいんですよね。■プロフィール周防正行1956年10月29日生まれ。東京都出身。1989年、本木雅弘主演の『ファンシイダンス』で一般映画監督デビュー。本木との再タッグとなる1992年公開『シコふんじゃった。』では、第16回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、数々の映画賞を受賞し、1996年公開の『Shall we ダンス?』では、第20回日本アカデミー賞13部門を独占。その後も、『それでもボクはやってない』(07)、『ダンシング・チャップリン』(11)、『終の信託』(12)、『舞妓はレディ』(14)などの話題作を手掛けている。
2019年12月21日