自閉症のたつきくんは、家ではモリモリ食べるのに、発達支援センターの給食はまったく食べません。お母さんのNEGIさんはなんとか食べさせたくて、給食の時間だけ毎日通うことに。けれどもまったく食べないたつきくん。NEGIさんは不安に襲われてしまって――?先生方がいろいろな工夫をしてくれましたが、たつきくんは食べないまま時が過ぎました。そして1カ月ほどたったある日、大好物のスイカが! けれどもたつきくんは手で払いのけてしまいます。その姿に、漠然とした不安に駆られてしまうNEGIさん。そこへ追い打ちをかけるように先生がNEGIさんに声をかけてきました。 先生が放った言葉とは……? お母さん、これからどうしますか? たつきくんは感覚的な問題で食べられないのであって偏食ではないと考えているNEGIさん。 「ほかで食べられるのであればそれでいい」「健康に問題があるわけじゃないし」 第三者にそう言われるなら、そうなのかもしれないと思っています。 けれど、NEGIさんは、スイカが大好きなたつきくんを知っていました。だからこそ、好きな物を食べられなくする自閉症のこだわりが、ただ、にくらしかったのです。 どうにかいつも通り食べられるようにしてあげたいNEGIさんは、たつきくんにとっての不安要素を取り除こうと考えます。 しかし「給食を食べない」ということがたつきくんの中でこだわりとなってしまっているたつきくん。 NEGIさんは、 「このままおなかが空いても通園の3年間食べないままだったら」「小・中学生になっても続いたら」「このこだわりはいつまで続くの……?」 などとわからないことが多すぎて、漠然とした不安に駆られてしまいます。 食べられるようになんとかしたいけれど、どうしたらいいかわからなかったNEGIさんは、母親として情けないと思いつつ先生に相談することに。すると、そう思った矢先に先生から声をかけられました。 「お母さん、(これから)どうしますか?」 未来を絶たれたような気持ちになってしまったNEGIさん。どうしたらいいのか私が聞きたい、と絶望的になったのでした……。 補足を読むと、実際にはこの先生の声掛けには続きがあったようですね。そしてやさしい先生のようです。きっと、このときNEGIさんは不安に駆られていたあまり、先生から質問をされて、突き放されたような感覚になってしまったのでしょうね。声をかける側は、相手の状況や気持ちを察して、声のかけ方やタイミングなどの工夫が必要なのだと、考えさせられますね。 著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月06日自閉症のたつきくんは家ではモリモリ食べるのに、療育に通う発達支援センターではまったく食べません。食べてもらいたいと試行錯誤するお母さんのNEGIさん。どうにかして食べられるようにしたいNEGIさんは、漠然とした不安に駆られてしまい……。家では食べることが大好きなのに、発達支援センターでは給食を食べないというたつきくん。自分の目で見るまでは信じられないとの思いをもって、支援センターへ様子を見に行ったNEGIさんが目にした光景は……。 大好物のスイカなら…!? 給食を拒否し続けるたつきくんの様子を見にたまねぎ園へ通ったNEGIさん。家では食べることが大好きなたつきくんが、給食を拒否するなんて信じられなかったNEGIさんでしたが、実際に目の当たりにすることに。 たつきくんは、給食を食べるどころか、席にもついていない状態でした。 自閉症は、不安を抱いたり自信をなくすと、自分の中で落ち着くためのルーティンやこだわりが強くなったりするということを、以前医師から聞いていました。そんな状況をなんとか打開しようとNEGIさんは毎日たまねぎ園へ通うことに。 たまねぎ園は療育中、親も出入り自由で他の子どもたちも保護者が来ることには慣れている様子。そして、食事についての悩みがあるのはNEGIさん親子だけではないことがわかりました。NEGIさんが目の前にいる状態だと、席に座ったたつきくん。 これは食べてくれるんじゃないかと思うNEGIさんでしたが、30分以上ねばってもたつきくんが給食を食べることはありませんでした。先生は、たつきくんがいつも通り食べられるようにいろいろ工夫してくれました。しかし、食べない日が1カ月続き……。 夏を迎え、デザートにたつきくんの大好物スイカが出る日が訪れます。スイカさえ食べられたら、給食を食べる流れに持っていけるんじゃないかと希望を抱くNEGIさんでしたが、あえなく撃沈。たつきんはスイカを手で払い落としてしまったのでした……。 食事の時間はおいしく食べて、楽しく過ごしてほしいと、親としては思いますよね。NEGIさんとだったら家にいるような感覚に近くなって食べるのではないかと、NEGIさんは毎日支援センターへ通いました。しかし、たつきくんはどの食べ物も拒否。NEGIさんはチャンスと思った好物のスイカまではらいのけられてしまい、ショックだったのではないでしょうか。著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月05日イギリスに住む夫婦に、2人目の赤ちゃんが誕生しました。赤ちゃんは女の子で、夫婦の息子さんにとっては妹ができたことになります。この日、息子さんが生まれたばかりの妹と初対面をすることになりました。息子さんは自閉症をもっているのだそう。両親は息子さんが初めて会う妹に対してどんな反応を示すのか、まったく予想ができなかったといいます。両親はその記念すべき瞬間を残そうと、動画を撮影することにしました。母親が待つ病室に入って来る息子さん。母親に会えたのが嬉しいのか、笑顔ではしゃいでいます。そこで母親が赤ちゃんを見せると、息子さんは…こちらをご覧ください。初めて会う妹の顔に優しくキスをした息子さん。愛情あふれる行動に、両親は驚き、涙ぐんでいます。母親が「あなたは妹のことが好きなのね」というと、息子さんは「そうだよ」というように、もう一度妹にキスをしました。親子の喜びは、動画を見た人たちにも伝わったようです。・お父さんが泣いているのが愛おしい。・なんて美しい瞬間。心温まる動画だ。・この子は赤ちゃんが自分の妹だと分かっているんだろうね。はしゃいでいた息子さんは、妹を見た瞬間に静かになり、ためらうことなくキスをしました。言葉で説明しなくても、赤ちゃんが自分の妹だと理解していたのかもしれませんね。こんなに優しいお兄さんがそばにいてくれたら、妹さんは幸せに成長していくことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年02月24日多動だった太郎Upload By まゆん太郎が3歳のころの保育参加。太郎は教室内での催しの際、いきなり教室を1人飛び出して大好きなお兄ちゃんがいる年長クラスへ駆け出した。その行動は注意したからといっておさまるものではないとすぐに分かった。根本的に周りの状況を理解していないのが分かった。私は一応太郎のあとを追いかけたが、私にとめられるような多動ではなかった。その後、なんとか教室へ戻って来た太郎。だが。固まる太郎Upload By まゆん次は保護者と子どもがペアになりスキンシップをとりながら運動をするという時間があった。私のところに太郎が来ないので私はポツンと座っていた。太郎はというと長机の下に隠れて黙って教室のみんなを見ていた。呼んでも、手招きしても出てこない。私とも目を合わさない。ずっと教室にいるたくさんの人をみていた。そしてそのまま固まって動かなかった。そんなとき、私の膝に保護者が保育参加に来ていない園児が座りに来た。それでも太郎は私のことを見向きもしない。Upload By まゆんつらかった。なぜつらかったのだろうか。明らかに周りと違う太郎をまだ受け入れられていなかったのかもしれない。周りとの違いを目の当たりにし衝撃を受けたのは事実であった。そして「ひとり」を感じる私がいるのに、私の存在がないかのような様子の太郎を見るのもきつかった。あまりにもつらく、当時夫に「保育参加に一緒に参加してほしい」と言ったが、夫は1度も参加することはなかった。さらに「ひとり」を感じた。Upload By まゆん感情があふれた瞬間保育参加は4ヶ月に1回ほど行なわれていた。別の保育参加の日も、太郎は変わらず自分のペースで動いていた。もうつらくて私も呆然としていた。そのとき。「太郎ちゃんママ、大丈夫?」声を掛けてくれたのはママ友だった。誰にもこのつらさを伝えられてなかったのにママ友は気づいてくれた。自分の子どもが可愛いくて、夢中で見ていたいはずなのに私のことを気にかけてくれた。Upload By まゆんそんな声かけに一気に涙があふれた。「大丈夫じゃない」「だよね、つらいよね」Upload By まゆん太郎は4歳のときに、自閉スペクトラム症の診断がおりました。3歳のころは「発達障害ではないか」という不安を感じていたものの診断前だったので周りの人にも伝えられておらず、というかまだママ友らしき人もほぼいない状態だったので相談する相手もいませんでした。みんな働いている保護者だったこと、交流の場が少なかったことも要因だったと思います。今回の「大丈夫!?」の声かけは忘れられない言葉の一つです。この一言は私をいっきに癒すものとなりました。「ひとり」を感じて、自分でもわけが分からなくなっている感情を表に出させてくれたものとなりました。その後、保護者との交流も自然と増えていき太郎について理解をしてもらうきっかけが多くなりました。そうなることで私の気持ちも楽になり、保育参加へのつらさも次第に軽減されていきました。保育参加へのつらさの原因はなんだったのか…今振り返ってみると、ほかの園児と違う行動をする太郎をどんな風にみたらいいのか分かからなかったからだと思います。どんな風に対応したらいいのか悩みました。保護者として「おちついて」と注意しなければという問題でもないし、でも周りは「なんであのお母さん自分の子どもなのに注意しないの?」なんて思われてないだろうかとか。太郎を見る目、周りの目、いろいろと悩む時期でした。(執筆/まゆん)(監修:藤井先生より)ママ友からの問いかけに「大丈夫じゃない」と言ったまゆんさんの言葉は、悩んでいるまゆんさんのSOSだったのかもしれませんね。そこから、少しずつほかの保護者さんとの交流も増え、保育参加のつらさも軽減されてよかったですね。保育参加、運動会見学、お遊戯会を見るのがつらいという相談は発達外来でもよく聞かれます。周りからどう見られているかという不安、パートナーが一緒に育児をしてくれない寂しさ、子どもの特性を受け入れいれられない自己嫌悪など、さまざまな感情が混ざっていて、親御さん自身でもどうしたら良いのか分からないということもあると思います。今回はママ友と話すことをきっかけに、感情を表に出すことができ、ご自身の気持ちの整理が少しついたのかもしれませんね。パートナー、友人、園の先生、療育先のスタッフ、主治医などに、お子さんを見ていてつらいことを話すことで、親御さん自身の気持ちが整理できて、一歩前に進むことができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日寝寝(@kelumaru_123)さんは、Twitterに自閉症の友人に描いてもらったという『似顔絵』を投稿しました。公開された作品には、18万件以上もの『いいね』が付き、こんな声が上がっています。「こういう人を、天才っていうんだよね」見る人を驚かせた、寝寝さんの『似顔絵』を、ご覧ください。自閉症の友人に似顔絵描いてもらったらこうなった。 pic.twitter.com/5G38g6v24J — 寝寝 (@kelumaru_123) January 24, 2023 異次元に迷い込んだかのよう…!一見すると、模様のようにも見えますが、クローズアップしていくと、たくさんの小さな顔が緻密に描き込まれています。一般的な『似顔絵』とは異なりますが、いろいろな表情や感情を描いた結果、この絵になったのかもしれませんね。作品を見た人たちからは、さまざまな感想が寄せられていました。・似顔絵の認識が違いはするが、細かくて面白い。見ていて飽きません。・ただただ、すごい!一つひとつの顔がそれぞれに空虚ながらも、どこか表情があるように見える。・鳥肌が立ちました。間違いなく天才ですね。感じられたことすべてを描いて表現できるって素敵。・全体をみると怖い雰囲気なのに、近付くと一つひとつの顔がかわいく見える。不思議な絵だな~。独特な世界観の『似顔絵』に、多くの人が圧倒されました![文・構成/grape編集部]
2023年01月30日自閉スペクトラム症のある娘は「一緒に遊ぶこと」が難しい娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害があります。幼児期の早いうちからおもちゃを横に並べる様子が見られ、それを邪魔されると怒るために一緒に遊びたくても手出しができませんでした。一緒に遊ぼうとして泣かれたことは一度や二度ではありません。4歳半となった現在も人からのはたらきかけに応じて一緒に遊ぶことは困難ですが、それでもどうにか人との関わりを持ってほしい、社会性が芽生えてほしいと願い、おもちゃを通してまゆみと関わる方法を模索してきました。そんな中で気づいたことがあります。親が遊ばせたいおもちゃとは違う、娘が遊んでくれるおもちゃを求めて1歳半ごろ、積み木を積み上げられるようになったまゆみ。喜んだ私は毎日のように積み木遊びを促しました。私が積み木を二つ重ねて積むと、まゆみもその上に新たな積み木を追加してくれるのです。積み木はまゆみが私のはたらきかけで遊んでくれる数少ないおもちゃの1つでした。Upload By にれただ、積み木はどちらかといえば「私がまゆみに遊ばせたいと思っているおもちゃ」でした。家にはほかにもいろいろな種類のおもちゃがありましたが、まゆみはどれも最初だけ楽しんですぐに飽きてしまうらしく、集中して遊ぶという様子があまり見られませんでした。まゆみは外遊びが大好きだったため、暇さえあれば外に連れ出していましたが、室内遊びとなるとそんな様子だったので、雨の日などはどうやって遊んだらいいのか私は困っていました。まゆみの好きなものは何だろう?何ならもっと興味を持ってくれるんだろう?おもちゃ売り場で好きなものを選ばせようと思っても、「ものを選ぶ」という行為が難しく、たくさんのおもちゃを尻目に売り場を走り回ってしまうまゆみ。私はまゆみが自分から遊んでくれるようなおもちゃを探していました。まゆみが初めて強い興味を示したおもちゃは、3歳の誕生日にメインのプレゼントに添えて渡した幼児向けキャラクターのぬいぐるみ2体でした。夫にまゆみを頼み、一人で訪れたおもちゃ売り場でセット売りのワゴンセールになっていたためついでに購入したものです。Upload By にれメインだったおもちゃは早々に飽きられてしまったのですが、まゆみは家の中でその2体のぬいぐるみを小脇に抱えて移動するようになりました。明らかに今までのおもちゃとは反応が違い、大事にしているのが見て取れたのです。まゆみの前にはよく2体が横並びに座らされていました。あるとき私は、「このぬいぐるみたちから遊びの幅を広げるチャンスなのでは!?」と、まゆみの見ていない隙に積み木で2体のぬいぐるみに合わせたテーブルとイスをつくりました。テーブルの上にはおままごとのケーキやご馳走を並べ、ぬいぐるみは向かい合わせにして着席。そのまま待っていると、ぬいぐるみたちの「お食事会」に気づいたまゆみがやってきてじっと見つめ…そして、うれしそうに声を上げて拍手したのです。Upload By にれ興味が広がると娘の世界も広がって結果的に、そのときのぬいぐるみたちの「お食事会」からおままごとに遊びの幅が広がったようで、いつの間にかまゆみが自分で積み木のテーブルセットを組むようになりました。親に遊ばされていた積み木が、まゆみ自身の手によって遊ばれるようになったのです。今まで飾られるだけだったほかのぬいぐるみたちも引っ張り出されてテーブルを囲み、いつしか小さな「お食事会」は楽しい会話が聞こえてきそうな「パーティー」に変わっていました。Upload By にれそのうち、ブロック遊びのセットに付属していた小さなブロック人形も10体ほど加わり、まゆみのお茶会はどんどん賑やかになっていきました。今ではまゆみが一人で「アイスクリーム屋さん」という新たなおままごとの舞台をつくり出していて、遊びの発展の仕方に感動を覚えました。困惑していた「一列に並べる」も違って見えるように。娘の遊びを観察していて気づくことまゆみを見ていて気づいたのは、一見して無意味に思えるような遊び方をしていても、「まゆみの中にはちゃんとストーリーがあるんだな」ということです。高い声や低い声を使い分けてお人形にセリフらしきものを言わせたり、同じ場面や配置を繰り返したりしていて、本人にしか分からない内容であっても何か表現したいものがあって遊んでいるのだと思いました。また、まゆみのつくる世界はとても平和で温かい雰囲気に包まれていることにも気づきました。みんなでケーキを囲んでハッピーバースデーを歌うところ、大繁盛のアイスクリーム屋さんでそれぞれ好きなアイスを食べて大喜びしているところ、縦一列に列を組んでおうちに帰るところ…。最初は困惑してしまっていた『横一列に並べてあるだけの光景』すら、今では仲良く横並びで手をつないでいるかのような、平和でハッピーなものを感じます。Upload By にれ遊びの幅が広がりつつある今でも横一列に並べることは好きなようで、気づくと人形達がズラリと整列していたりしますが、「まゆみにはまゆみの理由があってこの子たちを並べているんだな」と、自然にそんな風に思えるようになりました。以前、自閉スペクトラム症のある息子さんとの生活をつづったエッセイを読んだのですが、小さなフィギュアのヒーローも悪役もみんな仲良さげに並べられる様子が紹介されていたことを思い出しました。その男の子やまゆみの心に広がる世界は、平等で平和で純粋なものかもしれない、と感じました。本人の世界を大切に最初は横に並べるだけだった世界が、ふとしたきっかけで遊び方を学んで発展していき、やがてサイズの小さなものでも遊べるようになり、さらにごっこ遊びが多様化していく。「自閉スペクトラム症のある子どもは、創造的な遊びが苦手」と以前読んだ本には書いてありましたが、好きなものを前にしたときに大人がとっかかりを示してあげれば、模倣から始まって徐々に世界を広げていける場合もあるのだと学びました。以前は「人との関わりを持ってほしい」とまゆみの世界に首を突っ込んでいましたが、今はまゆみが描く世界の広がりを感じられることがとても尊いものに思え、邪魔しないように彼女のごっこ遊びを眺める程度になっています。まゆみの場合は、2体のぬいぐるみからお人形やおままごとが好きになりましたが、どんなものが好きかはお子さんそれぞれに好みや個性があると思います。車や電車が好きな子もいるでしょうし、パズルや数字が好きな子もいるでしょう。まゆみもこの先どんな風に好みが変わるか分かりません。ただ、どんなものであっても、わが子の好きなものや世界観を尊重して見守ろうと思いました。と、一人遊びは見守ることに決めたのですが、「応じる力を遊びの中で育むことができれば…」という願いは未だにあるため、もしそうした力を育む遊びなどがあれば知りたいと思っています。まゆみの世界は広がっているけれども、未だにものを介したやりとりは難しいなぁ、と娘を見ていて感じています…。執筆/にれ(監修:新美先生より)お子さんとお母さんのとても素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございます。遊び方が独特で、なかなか広がらないとき、親としてやきもきするかもしれません。にれさんはお子さんの遊び方をじっくり観察して、何に興味を持つのか、何を楽しそうにするのかを大事にされて、お子さんの興味にちょっとだけお邪魔する姿勢で関わりを持つことで、お子さんの遊びを広げて発展されていかれたのですね。またお子さんの興味の持ち方、世界観を尊重して見守るというにれさんの姿勢がとても素敵で素晴らしいと思いました。大人がこれをやらせたいと思うことを押しつけるのではなく、子どもの興味あること、好きなことを、子どもの行動から見つけて、ほんの少しお手伝いして興味関心を広げていくというのは、まさにこういうタイプのお子さんの関わり方の基本形です。お子さんがどんなことを感じて考えているのかなということを観察して、お子さんの独自ワールドを尊重して子育てをすることは、お子さんにとって何より、心地よくストレスの少ない生活につながり、お子さんなりの好奇心を発揮していくことにつながると思います。
2022年12月24日初めて尽くしの子育て奮闘記ーー『シンママのはじめて育児は自閉症の子でした』この本の著者は、発達ナビの連載ライターでもある、まるさんです。まるさんの息子リュウくんには、自閉スペクトラム症と軽度知的障害があります。2歳ごろ、保育園の先生から「リュウくんの発達が気になる」と伝えられたことをきっかけに、まるさんはリュウくんに発達障害があることに気づきます。発達支援センター、発達外来、療育…初めて聞く言葉に初めて行く場所、初めてのことばかりで不安になりながらも、「今できることを少しずつ」と奮闘するまるさんと、一歩一歩確実に成長していくリュウくんの姿がたっぷり詰まった一冊です。児童精神科医の岡田俊先生からのアドバイスや解説にも勇気づけられます。発達障害の特性は一人ひとり違います。育児の中で、不安や孤独感を感じることもあるかもしれません。そんなときはぜひこの本を開いてみてください。マイペースで予測不可能、でも楽しい!そんな家族の日常ーー『自閉スペクトラム症 マイペースなきみに家族はすったもんだ』自閉スペクトラム症がある子どもの特性はさまざま。子育てをしていると、振り回されることもあれば、「そんな風に考えるのか!」と新たな気づきが得られることもあるでしょう。この本では、自閉スペクトラム症がある子どもたちとその家族の日常生活でのエピソードがたくさん紹介されています。本書は、「全国手をつなぐ育成会」の機関紙に掲載されていた4コマ漫画をもとに作成されました。「学校」「施設・病院」「行事・外出」「家・日常生活」の4つの章ごとに、困ったこと、できるようになったこと、ほのぼのしたことなど、さまざまなエピソードが掲載されているほか、発達ナビにもご寄稿いただいている井上雅彦先生のコメント、アドバイスも読むことができます。子どもの行動に「すったもんだ」しながらもなんだかんだ楽しい、そんなエピソードに「あるある!」「なるほどそういう視点もあるのか!」など、子どもや自分自身の生活を重ねながら楽しめる一冊になっているのではないでしょうか。自閉スペクトラムとメンタルヘルスの理解と支援ーー『おとなの自閉スペクトラムーメンタルヘルスケアガイド』子どもの自閉スペクトラム症(ASD)については、比較的情報が得やすい時代になったものの、大人の自閉スペクトラム(AS)については、知りたい情報になかなかたどり着けないなんてこともまだまだあるのではないでしょうか。この本では、大島郁葉先生編集、本田秀夫先生監修のもと、数々の先生により、大人の自閉スペクトラム(AS)とそのメンタルヘルスの問題について詳しく記されています。本書では、「障害(disorder)」から切り離して特性をとらえるために「自閉スペクトラム(AS)」という言葉が用いられており、前半では、自閉スペクトラムの感覚、アイデンティティ、パーソナリティ、スティグマなどについて、後半では自閉スペクトラムのトラウマ、不安、抑うつ、依存などのメンタルヘルスの問題と必要な支援について、理解を深められる構成になっています。この本は、当事者にとっても支援者にとっても、知りたかった情報が幅広く網羅されており、かなり読み応えがある一冊になっています。自閉スペクトラムの特性がある成人の方が直面する課題について理解を深めたいと思ったとき、この本は救いの手を差し伸べてくれるのではないでしょうか。子どもと親に向き合う児童精神科の思いーー『僕の児童精神科外来の覚書』精神障害や発達障害、不登校、虐待、子どもたちが抱えるさまざまな課題に向き合う児童精神科とはどんなところなのでしょうか。この本では、児童精神科にはどのような人が来るのか、児童精神科医はどのように子どもや親に向き合うのか、関係機関とどう連携しながら支援を行うのか、就学前、小学校入学時、学校生活、不登校、それぞれの時期に必要な関わり方などについて詳しく書かれています。カルテを見て想像し、診察室に入ってくる子どもを見る。そして実際に話を聞き、面談や検査を通して「診立て」を行い、その後も長期的に関わり続けていく。その一連の流れの中で直面する、難しさや葛藤などについて、児童精神科医の田中康雄先生の率直な思い、言葉がつづられています。児童精神科では、子どもの抱える課題にのみ焦点を当てるのではなく、そこに付随する問題や親が抱える課題にも同時に向き合っていく必要があるそうです。田中康雄先生の言葉と共に、子どもの抱えるさまざまな課題について考えてみてはいかがでしょうか。児童精神科を利用したことがある方も、利用を考えている方も、さまざまな方におすすめの一冊です。科学的な視点から正しくHSPを理解するーー『HSPの心理学』「HSP」という言葉は、近年、国内でも急速に認知度が高まってきました。しかし、さまざまな情報があふれており、いったい何が正しいのか判断することが難しくなっているのが現状です。HSPは「繊細で生きづらい人」というイメージ、ネットにあふれる「HSPあるある」、HSPは「能力」なのか「遺伝」なのか、○○型HSPなどの分類…「HSP」という言葉が、「生きづらさ」の代名詞として使われるほど、そのイメージはどんどん科学的知見からかけ離れたものになってしまっています。そんな現状の問題点を整理し、科学的な根拠をもって改めて「HSPとは何か」について理解を深めるため、書かれたのがこの本です。本書では、HSP研究の第一人者である飯村周平先生により、本来のHSPの定義やHSPの考えられる原因、「環境感受性が高い」「良くも悪くも影響を受けやすい」とはどういうことか、また必要なケアなどについて詳しく説明されています。何らかの生きづらさや困りごとを抱えているとき、その生きづらさの原因に名前が付くと少し安心することもあるかもしれません。しかしそれだけでは、何かが改善するわけではありません。情報があふれている「HSPブーム」の今だからこそ。HSPを科学的な視点から理解することで、自分の困りごと、生きづらさに対する適切な知識、ケアの方法が見えてくるのではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年12月11日ママ友から相談された、抑揚のない話し方自閉スペクトラム症と知的障害がある息子を育てていると、同じように自閉スペクトラム症がある子どもを育てている親御さんたちから相談されることがあります。昔からの友人に、自閉スペクトラム症の診断を受けている女の子がいます。3歳当時、言葉はたくさん出ていましたが、独り言の一方通行の言葉ばかりでした。友人は「抑揚のない感情を感じられない一本調子の話し方は、どうすればなおるもの?」と聞いてきました。私は医師でも専門家でもないのでためらいましたが、21年間自閉スペクトラム症のある息子を育ててきた経験から次のように答えました。「コミュニケーションをとりたい、人と関わりたいと思うようにならない限り、抑揚をつけて話すようにはならないと思う。人は『相手にこうしてほしい』という働きかけをしたいという動機があって言葉が出たり、声を大きくしたり、強弱や抑揚をつけたりするものだと思うんだ。だから、独り言の状態にいる限り、抑揚をつける必要もないから一本調子のまんまなんじゃないかな」親の価値観は子どもとは違うかもしれないから私の答えを受けて、友人はこう言いました。「じゃあ、友達をたくさん作って遊ばせたらいいんだ。友達と遊ぶと楽しいから、話し方も変わるかもしれないよね」私は「それは親の価値観であって、子どもが楽しいと感じて、しゃべり方まで変わるかどうかは分からないよ。友達と遊ぶことがストレスになり、1人で遊んでいるのが楽しいことなのであれば、それを潰さないほうがいいんじゃないかな。まだ3歳なんだからこれから経験を重ねていくうちに、自然と育ってくるからそのとき抑揚がでてくるかもしれないし…。」また、加えて次のように話をしました。「その時の言葉がたとえ『触っちゃダメ!』とか『嫌!』といった、拒否する言葉であっても、自分の気持ちをしっかり伝えている言葉であるなら、立派なコミュニケーション。それでよしとすればいいんじゃないかなとも思う」と伝えました。友人とは信頼関係もあるので、ここまで言うことができました。息子の初めてのコミュニケーションUpload By 立石美津子息子は5歳になるころまで、言葉を話しませんでした。発語するようになっても、スーパーではリンゴの棚の前で「ジョナゴールド・津軽・紅玉・シナノゴールド・秋映・王林…」と覚えている品種を順に言うばかり。けれども、「ママ、このリンゴ美味しそうだね。買って~買って~」と言うことはありませんでした。21歳になった息子は、会話はできるようにはなりましたが、相手に共感を求めるこういった言葉は今も言うことはありません。そんな息子でしたが、初めての言葉らしい言葉は5歳のとき、デパートの讃岐うどんのお店に連れて行ったときのこと。息子が食べていたうどんの器には、あと1本だけ、うどんが残っていました。その器を、店員が「お下げいたします」と持って行こうとした瞬間、店員に向かって「まだ食べる!」と大きな声で叫んだのです。自分の意思をはっきりと示し、まっすぐと相手に届く言葉でした。オウム返しはコミュニケーションではない?息子が特別支援学校高等部のころ、自閉スペクトラム症があるクラスメートの親御さんとお子さんと一緒に動物園に行きました。するとそのお友達は、パンダの檻の前で「友達の眼鏡をとってはいけません」「友達の眼鏡をとってはいけません」「友達の眼鏡をとってはいけません」と、授業中に担任から注意された言葉をずっと唱え続けました。なぜずっと先生の言葉をオウム返ししているの?なぜ以前言われた言葉を、動物園という状況で言うの?なぜずっと繰り返し唱えるの?「これはコミュニケーションではない。聞いた言葉をただ繰り返しているだけ」と親御さんは悲しそうに言いました。確かにそうだったのかもしれませんが、もしかしたら、一緒に動物園に来たクラスメートと並んでパンダを見ながら先生に言われた場面を思い出し、「お母さん聞いて、先生が『友達の眼鏡をとってはいけません』と言っていたよ」と伝えたかったのかもしれません。息子やほかの自閉スペクトラム症のある子どもたちのことを知れば知るほど、「抑揚とか声の大きさまで含めた会話を要求したり、期待したりすることは難しいのかな…」「そもそもそうした話し方を期待すること自体、親のエゴなのかな」と思うのです。執筆/立石美津子(監修鈴木先生より)言葉を発せなくとも、お子さんが「あー」とか「いー」とか何か声を出したら、それに反応するように親御さんも「あー」とか「いー」と言うように心がけてみてくださいと、健診の時にお伝えしていました。難聴がなければ母音は認識しているからです。新生児期でも名前で呼んであげることが大切です。例えば、「なおちゃん」と呼ぶと最初の「な:NA」の母音である「A」の音に反応することが分かっています。自閉スペクトラム症のオウム返しは聞いたことを確認する行為とも言われています。「私はこう聞いたけどそれでいいですか」という確認を繰り返し行っているともとらえられます。食べたいときに「まだ食べる」と言えたことは、どこかでそういうシチュエーションがあって記憶されていたのかもしれませんね。いろいろな場所へ連れて行っていろいろな経験をさせることが重要なのです。
2022年12月01日『自閉症児のいる家族の、特別ではない日常のエッセイ』と題し、日常の出来事をInstagramに投稿している、beth(3beth_gm)さん。長男のハルくんは自閉症を抱えており、bethさんは外出中、周囲に迷惑をかけないかと不安にかられることが多いといいます。ハルくんが通学のために使うバス停でも、bethさんはハラハラする出来事がありました。週に3回ほど、バス停で会う女性とは会話をするような仲ではなく、ハルくんのルーティンが迷惑をかけているのではないかと、bethさんは心の中でその女性に謝罪していました。しばらく経った頃、ハルくんのルーティンが崩される出来事が起きます。ハルくんが女性に対してとった行動は…女性を凝視するハルくんを制止し、代わりに謝罪したbethさんですが、その場はなんとも気まずい雰囲気になってしまったといいます。すると次の日…。女性の行動に、bethさんが驚いた理由女性は、昨日の一件を受けてか、ハルくんが座る場所を空けておいてくれていたのでした。その気遣いに感謝の言葉を述べたbethさんは、女性の返答にさらに嬉しくなったといいます。ハルのルーティンを理解してもらえたこと、受け入れていただけたこと、とても嬉しかった出来事でした。自閉症であるハルくんが、周囲から特別な目で見られたり、誤解されたりすることもあるという、bethさん。しかし、この女性は、ハルくんを『自閉症児』としてではなく、『ハルくん』として見て、また、受け入れてくれたのでした。その女性の思いに「温かな気持ちになった」「素敵です」「読んでいて涙が」と、bethさんが投稿したエピソードは、多くの人を幸せな気持ちにさせています。また、ハルくんと一緒にいると、bethさんは、多くの人の縁に恵まれるのだそう。この出来事をきっかけに、他愛もない話をする仲になったという女性との出会いもまた、ハルくんがつないでくれた縁なのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年11月26日自閉症スペクトラムの娘、あきちゃんとの日常をマンガで紹介しているさやこさん。ある日、アイスを食べていたときのことです。コーンの部分がポロっと地面に落ちてしまいました。「あ」と思わず声をあげたあきちゃん。さやこさんは「しょうがないね」と声をかけました。するとあきちゃんは……!? 娘の反応にビックリ アイスのコーンの部分を落としてしまったあきちゃん。ギャン泣きを覚悟したさやこさんは、少しでも落ち着かせようと、「落ちたらしょうがないね」と声をかけました。 けれど、そのフォローは必要ありませんでした。 あきちゃんは自ら 「だけど、まあいいや」 そう言って、コーンのことは諦めたのです。 そして、「まあいいや」ができたことを褒められると、あきちゃんはきっぱりとなでなでを要求してきました。さやこさんは「しますします、いっぱいします」となでなでしたのでした。 ◇◇◇ アイスのさくさくのコーンは、あきちゃんの大好きな部分なのだそうです。失敗をあっさり受け入れたあきちゃん。ちゃっかりなでなでを要求するところが、またかわいいですね♡ さやこさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター さやこ娘と夫の3人暮らし。自閉症スペクトラムの娘との日常を中心にいろいろと過去の出来事などエッセイマンガを描いてます。
2022年11月20日自閉症スペクトラムの娘、あきちゃんとの日常をマンガで紹介しているさやこさん。ある日あきちゃんは間違って紙を破ってしまいました。目には涙があふれていて、感情を抑えられないように見えました。このまま大泣きになるかなと、思いきや……!?娘がとった行動は… あきちゃんは失敗や間違いを受け入れるのが苦手。この日、紙を破ってしまったことで目には涙があふれていました。「これは大泣きになるな、仕方ない……」と、さやこさんは待ち構えました。 ところがあきちゃんは、クッションに顔をうずめたのです。 そして、 「いま、ひとやすみなの。ひとやすみちゅう、なの」 と涙を必死でこらえ、体を震わせながら言いました。 あきちゃんは大泣きをしまいと、自分の気持ちをコントロールしようと頑張っていたのでした。 ◇◇◇ 失敗や間違いを受け入れるのが苦手なあきちゃんが、自分で自分に休憩中なのだと言い聞かせて、泣くのを耐えていたようです。感情のコントロールは大人でも難しいことがありますよね。あきちゃんの頑張り、見習いたいですね。 さやこさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター さやこ娘と夫の3人暮らし。自閉症スペクトラムの娘との日常を中心にいろいろと過去の出来事などエッセイマンガを描いてます。
2022年11月19日自閉症スペクトラムの娘、あきちゃんとの日常をマンガで紹介しているさやこさん。今回は娘の癇癪がひどくなって、さやこさんが疲れていたときのこと。さやこさんがある行動に出ると……!?母、思わず涙… 自我が出るとともに、娘の癇癪がひどくなって疲れていたさやこさん。今日は、癇癪を起こす娘の手がさやこさんの顔面を直撃しました。 するとさやこさんは、「いいですか。お母さんはもうあなたが落ち着くまで相手をしません」と言って、娘の見えないところに隠れました。 5分ほどすると、 「おっかあっさーんっ、おちっついったー」 と、娘の呼ぶ声が。その声から頑張って泣き止もうとしているのが伝わってきます。 さやこさんが急いで戻ると、甘えてくる娘。その様子を見て「苦しいのはこの子だ」と思い、さやこさんは目に涙をためながら、娘に離れたことを謝りました。 そして同時娘の成長を実感し、成長を見守ろう、もう少し頑張ろう、と思えたのでした。 ◇◇◇ いつもは1時間ぐらい泣き続ける娘さんが、このときは5分で泣き止んだので、頑張って泣き止もうとしていることがわかったのだそうです。そして娘さんが少しずつ成長していることを感じたのだとか。自分の行動を娘にしっかり「ごめんね」と言えるさやこさん、とても素敵ですね。 さやこさんのマンガは、このほかにもブログやInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター さやこ娘と夫の3人暮らし。自閉症スペクトラムの娘との日常を中心にいろいろと過去の出来事などエッセイマンガを描いてます。
2022年11月17日くるくる回る自閉スペクトラム症のある太郎。回るときはほぼ無言。ときにはスローモーションで回ったりもする。寝る前にはくるくる回り、その後はコミック本をひらいて数分で眠りにつく。それが太郎のここ数年のルーティンだ。くるくると回ってるときの太郎はだいたい穏やかな顔をしている。ときには汗も出るほど回っている。Upload By まゆんあまりにも穏やかな表情で回るものだし、それがもう私たち家族の中では当たり前となっている。発達検査を受けた際、心理師さんやほかの専門家の方から「常同行動を止めたりすることはありますか?」と聞かれたことがある。この質問があるということは、止めてはいけないってことだなと先を読めた。それは私も分かっていたし、ほぼ止めることは今までもしなかった。過去に一度、激しく高速で回ってたときは流石に落ち着くように声がけはした。表情も強ばってたし、心の整理がついてないのが丸見えだったからだ。太郎は大人なしで友達と外で遊ぶことをしなかった。理由は私にもハッキリとは分からないが、外への不安があるのか、家が好きなのか、太郎にしか分からない理由がたくさんあるのだろうと思った。Upload By まゆんくるくるを解釈するある日の休日、家のインターホンがなった。ピンポーン。モニターに写ってたのは太郎の友達だった。私は太郎に声をかけた。「太郎、○○君だよ、対応してー」太郎の顔がこわばった。そして高速でクルクルと回り出した。「太郎とりあえず、ほら、インターホンに答えよう」太郎はカチンコチンにかたまりながらインターホン越しに友達の対応をした。「は、、は、、はいーー!」「太郎ちゃん、遊ぼーー公園行こーー」太郎はしばらくかたまった…。「む……無理!!!」Upload By まゆん友達は少し残念そうな顔をしたが「OK!分かった」Upload By まゆんそう言ってインターホン越しの会話は終わった。くるくるくるくる。くるくるくるくる。どんどんどんどん加速する。太郎はリビングをくるくる高速で回った。いろいろな感情が私には見えた。友達と遊びたい、外へ出るのが不安、遊び方が分からない、突然の誘いで驚いた、友達の誘いを断ってしまった。太郎は口にはしないが私にはそんな風にそのくるくるから勝手に解釈した。あまりにも表情が強ばってるし、高速くるくるだったものだし、見るに見兼ねて太郎に声をかけた。「太郎、急な誘いはびっくりしちゃうから、学校で友達と約束してみたら?準備とかしたら大丈夫かもだよ?」この声掛けに太郎のくるくるがピタッと止まった。「約束!!!してみる!!」名案だ!!的な表情を太郎はした。それからくるくるはゆったりとなり表情も穏やかになった。そして数時間後に太郎はこう言った。「お母さん、チャレンジのチャンスはまだあるよね」なんだか心が癒された。あとがき太郎のくるくるは、寝る前や手持ち無沙汰なときに見かけます。何かに集中してるときは静止してますが、なにをしていいか分からないときや空いた時間にはくるくるくるくると回ってます。本人は「落ち着くのと、回りたいから回る」と言ってました。もう一つのパターンが、イレギュラーな何かが起きたときもくるくると回ります。心の整理をするためなのか気持ちが行動にあらわれてるのか、突然の出来事をその場で言葉にすることが苦手なため、くるくると回るのかなぁと母の私は思いました。常同行動にはさまざまな説がありますが、ホントのところは本人にしか分からないわけで…私にも本当のところは分かっていませんが、私から見た太郎のくるくるはこんなところです。何度か一緒にくるくる回ってみましたが、目が回って気持ち悪くなりました(笑)ある意味すごいと感心しました。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは自己刺激としてくるくる回ったり、ジャンプしたりすることがよくあります。手をひらひらさせる常同運動のあった成人の自閉スペクトラム症のある方は何かを話すタイミングでやっているので止めないでほしいと以前話されていました。よほど他人に迷惑をかけていない限り止める必要はないようです。自閉スペクトラム症・発達性協調運動症の診断の一つとして、OT(作業療法士)が、お子さんを回転盤に乗せて左右に回すことがありますが、自閉スペクトラム症のあるお子さんは回転後に眼振が見られず目が回らないことが多いようです。
2022年09月20日■前回のあらすじ子どもたちの入園・入学準備に追われる「卒園・卒業シーズン」を迎えた我が家。娘の療育園への進路は決まったものの、周囲との壁を感じ…!?■家族が見守れない療育園での生活は…!?桜が咲く4月。どんちゃんは療育園に入園しました。通い始める半月ほど前から少しずつ発語の兆しがあり、発音は少し不明瞭ではありますが、しっかりと挨拶ができるようになりました。1ヶ月間の親同伴による慣らし保育を終え、始めてのバス通園の日。意思疎通ができた兄のぽこちゃんの幼稚園入園のときとは違い、さまざまな不安を抱えながら私はどんちゃんを療育園へ送り出しました。私がいない初めての環境につまづかないだろうか? ひどい癇癪を起こさないか? お友だちはできるだろうか? と、考え始めたら止まりませんでした。しかし、心配したのも束の間…。 ■もし幼稚園入れていたら今の娘の姿は見られなかったかも現在はすっかり療育園に慣れ、今まで使えなかったスプーンやコップを使えるようになったり、先生やお友だちとの関わりで2語文を話せるようになったり。通い始めて半年弱ですが、大幅な成長を見せてくれています。私は、先生方の手厚いサポートのおかげで、「どんちゃんの中に眠っていた力が、まさに今、開花している最中なのでは」と思っています。休み明けに、登園を渋ることもありますが、どんちゃんは先生やお友だちがいる療育園がとても大好きで、楽しく通えている様子です。この先、きっと今以上に悩むことや、苦しいことも、数え切れないほどあるでしょう。そのとき、どうなるのかは正直、想像もつきませんが、さまざまなところから力や知恵を借りつつ、どんちゃんと家族が一緒になって歩んでいきたいと思っています。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月18日■前回のあらすじ娘の園庭開放への参加を受け入れてくれた幼稚園。園庭開放のなかで、少しずつ成長する娘を見て、やめなくて良かったと思いました。■娘の進路が決定後は手続きの山!どんちゃんの療育園への進路が決まり、次にやってきたのは、ぽこちゃんの幼稚園入園時の数倍にもおよぶ大量の書類でした。もはや、書類の「山」を通り越して、書類の「海」。本当にすごい量なんです…!住所や園児氏名はもちろん、出生体重、出産方法のほか、通院歴、診断名、普段どのように過ごしているか、食べものの好き嫌いなどを、書かなければいけませんでした。書くのは大変でしたが、そのくらいしっかり先生に見ていただけるんだと思い、できるだけ細かく書きました。それと並行して、どんちゃんの入園グッズの準備に加え、ぽこちゃんの入学グッズや書類の準備もあり、なかなか大変ではありましたが、どうにか乗り切りました。 ■周りの子たちとの壁を感じ始める…時は3月。幼稚園の年長さんのぽこちゃんは卒園シーズンを迎え、どんちゃんが通っていた園庭開放のクラスの子たちも、幼稚園への入園を待つばかり、という状況でした。今もときどき遊んでくれる子はいますが、ジワジワと「定型発達の子」と「障がいのある子」の壁を感じ始めた時期でもありました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月17日■前回のあらすじおちびさん教室の先生にも娘の診断結果を報告。そしてついに娘の療育園への進路が決まり安心したのも束の間、最後の報告先があって…。■最後に娘の診断結果を伝えなければいけないのは…最後にどんちゃんの診断結果を報告したのは、兄ぽこちゃんの幼稚園の先生でした。けっして障害に関して偏見がある先生というのではありません。ぽこちゃんがずっとお世話になってきた先生なので、話しやすいのですが、長年、多くの定型発達の子を育てて送り出してきた先生に、どんちゃんのことを報告するのは、憂うつでした。でも先生は、「そうだったんですね…」と親身になって話を聞いてくれました。そして私には伝えなければいけないもうひとつのことが…。■「お母さん、それはダメです!」当時のどんちゃんは、発語もほとんどゼロで、家族以外とのコミュニケーションがかなり難しく、園庭開放の活動を妨げてしまうことも少なくはありませんでした。「もうどんちゃんがここでやっていくことは難しい」そう思った私が、先生に「園庭開放へは今後参加しない」と伝えたところ、先生は「それはいけない」と言われて…。「園庭開放の初回よりもきちんと活動に参加できている」「周りの子とも少しずつやりとりができるようになっている」「どんちゃんを見て新しいことができるようになった子も少なくない」と言われたのです…。 ■迷惑をかけてもいいの…?「園庭開放にもう来ないとは言わないでほしい」と、涙ながらにおっしゃってくださいました。「ここにいるお友だちはみんな、どんちゃんが大好き」という先生のお言葉に甘え、私とどんちゃんは園庭開放の最終日まで休むことなく通わせていただきました。そのおかげで、片手で数えられるほどではありましたが、どんちゃんが発する言葉も少しずつ増えて、現在につながっていると私は思っています。あのとき、やめてしまわなくて本当によかった!次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月16日■前回のあらすじ娘の診断結果を私と夫さん両方の実家へ報告し、娘が周囲の人たちから愛されていることを再確認。無事に第一関門を乗り越えたわが家だったが…!?■診断結果で親子のメンタルが変わる…!?両実家にどんちゃんの診断結果を報告し終わった翌日、市の親子通園事業である「おちびさん教室」の登園日だったので、どんちゃんの担当の先生に報告をしました。私の思い込みかもしれないのですが、療育センターで正式に診断されてから、どんちゃんがとてもイキイキとした表情をするようになったことに気づきました。「診断の翌日で?」と思うかもしれませんが、これまでの症状の原因が明らかになったことで、もしかしたらどんちゃんも安心したのかもしれません。そして進路については…。 ■療育園への入園を決めたが…!?療育センターの先生からも「療育園の方がいいかも」という話があり、ついに進路が決定! 「療育園」とは、知的などの障害がある子向けの幼稚園・保育園のような場所で、どんちゃんが通っている「おちびさん教室」は療育園の一室を借りて行われているため私たちにとっても慣れた場所です。療育園で、どんちゃんに合うペースで刺激をもらいながら、ゆっくり少しずつ、将来のために成長していってくれれば、と思ったのです。さらに心配していた就学に関しても、療育園はサポート体勢がバッチリ整っているそうで、ひとまず安心しました。どんちゃんは、幼稚園へ3年間通った兄のぽこちゃんとは別の道を行くことを決めました。こうしてどんちゃんは、春からの新生活に向けて動き出したのですが、じつはその前にもうひとつ、診断結果を報告しなければいけない場所があったのです。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月15日■前回のあらすじ少しずつわかってきた娘の状態。初めての療育センター受診を終え、夫も娘の状態を受け入れてくれた。しかし次にやらなければいけないのは、娘の診断結果を身内に報告することで…。■まずは私の実家へ報告することにどんちゃんの診断名がついたことで、身内に報告することに。まずは私の実家へ結果を報告することにしました。実家なので気を使わなくていい反面、「父親と母親の世代には、どんちゃんの障害を受け入れるのが難しいかもしれない…」と思うと、正直、気が重かったのですが…。母は、どんちゃんの診断結果を、私たちと同じように前向きにとらえてくれました。 ■娘が周囲の人から大きな愛情をもらっていることを再確認この頃は、コロナ禍ということで、新幹線を使わないと往復できない場所にある実家には、子どもたちを預かってもらうことはできませんでしたが、それでも精神面で心強い味方になってくれました。お義母様へは夫さんから連絡してもらい、こちらも「何かあればすぐ連絡してね!」と寄り添ってくれました。「受け入れてもらえるだろうか?」と心配していた診断結果の報告でしたが、どんちゃんが、周囲の人たちから大きな愛情をもらっていることを再確認することができた一日でした。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月14日■前回のあらすじ療養センターから娘の診断結果で心配されたけれど、以前からスマホで調べていたため、逆にスッと腑に落ちるような感覚に。しかし先生からは小学校就学が一番の鬼門と言われて驚きながらも、次回の検査は半年後になり…。■初めての療育センター受診が終わったこの日、どんちゃんのことがちょっとずつわかってきました。そして必要書類に戸惑いながらも、初めての療育センター受診は終わりました。本当は当日、夫さんも同席する予定でしたが、新型コロナウイルスの対策のため、療育センターからは「付き添いはひとりまで」と指示されていました。このため私から報告すると…。 ■夫に娘の診断結果を報告すると…夫さんにもどんちゃんの診断名や発達の状況も伝えました。すると、とくに抵抗なく、どんちゃんが抱えるものを受け入れてくれました。さらに診断書が届いたときも、じっくり読んで「この状態でぽこちゃんと同じ進路を選んでいたら、どんちゃんを潰してしまっていたかも」と話していました。私もそれには同意し、夫婦で考えが似ていることを、あらためてありがたく思いました。そして、つぎにやらなければならないのは、どんちゃんの関係各所への結果報告。発達障害が広く知られるようになったとはいえ、世の中のすべての人に理解されているわけではない。正直言えば、私はあまり気が進みませんでした…。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月13日■前回のあらすじ療養センターで診察したところ、発達は実年齢の半分ぐらい。そしてどんちゃんの診断名は、「全般性発達遅滞」「自閉症スペクトラム」「ADHD」でした。■先生に「お母さん大丈夫?」と心配されたけど…私は「ショックすぎる!」ということはなく、スッと腑に落ちるような感じでした。これまでやめればいいのに、発達障害について夜な夜なスマホで調べては、「きっとこれだ…」「間違いなくこれがある…」と思っていたのです。だからある程度ですが、結果を想定できていました。 ■3歳になったばかりの娘に小学校の話!?3歳になったばかりのどんちゃんに、「もう小学校の話!?」と思いましたが…。今後は兄のぽこちゃんとは違う道をどんちゃんはたどることになるのかな?そう思いながら、次回の予約を取って、この日は帰路につきました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月12日■前回のあらすじついに迎えた療育センターの診断日。診察室で私たちを迎えてくれたのは優しそうな女性の先生でした。■うちの子が「他の子と違う気がする…」と思ったこと療育センターでは、どんちゃんを妊娠してから今日までの「なんかちょっと気になる…」「ほかの子と違う気がする…」といったことを先生にすべてお話しました。検査をしてもらったところ、まさかの「実年齢(3歳)の半分程度の発達」という結果に。以前、受けた「おちびズ検診」のときよりも、少しだけ伸びてはいましたが、それでも大きくは変わりませんでした。 ■娘の診断結果は…!?これまでのどんちゃんの話や、今回の検査結果をもとに、先生から診断名が言い渡されました。「全般性発達遅滞」「自閉症スペクトラム」「ADHD」苦節3年と4ヶ月…ついにどんちゃんの状態が明らかになったのです。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月11日■前回のあらすじ幼稚園入園拒否によりあらためてどんちゃんの進路を考えることに…。おちびさん教室の先生には、療育園への入園を検討していることを伝え、そして療育センターからの診断の結果を待つことに…。■療育センターの診察前日は…落ち着かない!障害のある人や成長・発達に不安のある子のために専門的な医療・療育・支援を行ってくれる「療育センター」。その診察日がいよいよ明日に…。前日、緊張してどうしようもなかった私。子どもたちが寝静まったあと、夫さんと笑える映画を見たのですが、びっくりするほど話が入ってこず、ドキドキのまま朝を迎えました。そして翌日…。■診察室の先生は…?受付や診察待ちの間、初めて訪れる場所で、なかなか落ち着かず、ウロウロしてしまうどんちゃんでしたが、ついに診察室へと呼ばれました。診察室で待っていたのは、優しそうな女性の先生でした。先生は私にはもちろん、キョロキョロと辺りを見渡しながら、ウロウロするどんちゃんにも、あいさつをしてくれました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月10日■前回のあらすじ入園希望の幼稚園から、面接日の前に入園を断られてしまった娘。このまま娘は、お友だちの輪に入れないのかと打ちのめされてしまう。■療育の先生が一緒に泣いてくれた…非常事態ということで、まずは「おちびさん教室」のどんちゃんを受け持ってくださっている先生に連絡しました。事の顛末を聞いてくださった先生は、自分のことのように涙を流してくれました。入園を断られたことはもちろんショックだったのですが、私が一番ダメージを受けたのは、幼稚園の園長先生が言った「どんちゃんの発達が追いついたらまた入園を考えましょう」という言葉でした。このとき、療育センターの初診日は少し先で、どんちゃんは未診断の状態。どんちゃんが何を抱えているのかが、はっきりとはわかっていなかった時期でした。だから園長先生の言葉の裏に「どんちゃんは、入園しないでほしい」と言われていると私は受け取ってしまったのです…。でも時は秋口。クヨクヨしているわけにもいかず…。 ■娘にあっている進路とは…?幼稚園に入園を断られた直後に、私がしたことは…。どんちゃんが通っている「おちびさん教室」は、療育園の建物の一室を借りて行われているので、私もどんちゃんも慣れた場所でした。入園できるかは、ギリギリまでわからないのですが、療育園でゆっくりとどんちゃんが成長していけたらと思い、先生と今後について練っていくことにしました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月09日■前回のあらすじついに発達の専門機関である療育センターへ連絡することにした私。考えていたよりも早く初診の日が決まり、少し安心していたものの…!?■幼稚園からの厳しい連絡時は11月。どんちゃんの兄、ぽこちゃんの通う幼稚園では、入園面接が始まる時期です。幼稚園の入園面接よりも、専門機関の受診は後の日程になってしまうため、動き出しが遅かったことをとても後悔していました。しかし…。どんちゃんは、兄・ぽこちゃんの通う幼稚園の面接を受けさせてもらう予定でした。この幼稚園では、在園児に兄・姉がいて、入園希望者が定員以上の場合は、優先的に入園させてもらえることになっていたからです。しかし、残念ながら、どんちゃんは入園面接がある日よりも前に、園長先生からじきじきに入園を断られてしまったのです。 ■娘は「いらない」子なの…?どんちゃんは、定期検診で発達に心配なところがある子どもに勧められる市の親子通園事業「おちびさん教室」と並行して、幼稚園に入園希望の子向けに行われている園庭開放に毎週通っていたのですが…。これまで私は、どんちゃんに関して「心配なこと」はあれど、「打ちのめされること」はほとんどありませんでした。でも、これには大いにヘコみました…。どんちゃんがまるで除け者のように扱われているような気がして…。どこへもぶつけられない気持ちを抱えたままこの日は帰宅しました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月08日■前回のあらすじ「おちびさん教室」に通い始めてから、表情が豊かになり、明るくなっていった娘。しかし、3歳を過ぎても発語がないことが気になって…。■3歳で発語がない…おちびさん教室に通い始めて、定期的に行われる担当の先生との面談で、娘に発語がないことを先生に相談することにしました。「3歳」という年齢を我が家では、一定のラインに設定しようと夫と決めていました。それは以前に、もし何か診断される場合には3歳頃からという話を聞いたことがあったからです。担任の先生に話を聞いてもらい、背中を押してもらったことで、ついに専門機関に連絡してみることに…。■専門機関に連絡してみると…療育センターとは、すべての障がいのある人や成長・発達に不安のある子のために専門的な医療・療育・支援を行ってくれるところです。 電話応対してくれた方は、10分ほどの短い時間の中で、親身になって、かなり詳しくどんちゃんの様子や、私の心配事などを聞いてくれました。そして、「初診の日は後日連絡」ということでその日は終了。発達関係の専門機関は、「予約が取りにくい」「かなり待つことになる」と聞いていたので、もしかしたら半年くらい先になるかもしれない…そう覚悟していました。ですが、思っていたよりも早く専門の機関へつながることができました。そしてその受診時期は、どんちゃんが3歳4ヶ月になる頃。この年齢はもし何か診断されるのなら、いい時期だと私は思いました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月07日■前回のあらすじ市の親子通園事業「おちびさん教室」で大泣きした娘。しかし先生に「泣くのはいつもと違うということがわかっているということ」と言われます。そして娘と先生で初めてコミュニケーションが成立して…。■表情の乏しかった娘に起こった変化おちびさん教室を見学に行った翌週、私と娘は正式におちびさん教室に加入することに…。おちびさん教室に通うまで、どんちゃんは周囲への要求らしい要求をすることもなく、また周囲に興味を持つこともありませんでした。いつも表情も固くて、まるでどんちゃんは自分の脳内の世界でだけで生きているような状態だと思っていました。でも少しずつ周りへの関心が持てるようになってきたように見え、私はとてもうれしく思っていたのですが…。 ■3歳になっても発語がない…おちびさん教室で3歳のお誕生会をしてもらったどんちゃん。でも「3歳になっても発語がない」ことにあらためて気づかされ、新たな心配の種になっていたのです。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月06日■前回のあらすじ市の親子通園事業「おちびさん教室」に初めて行ったものの、どんちゃんは不安から大泣きをし始めて、収拾がつかなくなってしまい…。■ここもダメなの…!? マイナスな考えがよぎったとき初めての場所、初めての人たち、何をするのかわからない不安…。そんな恐怖からパニックとなり、どんちゃんは大泣きしてしまいました。ココもどんちゃんがいるのは難しい場所なのか…。ココへ通うことが難しいとなったら、一体どんちゃんはこれからどうしていったらいいのか…。どんちゃんが大泣きする中、マイナスなことばかり考えていた私に…。私とどんちゃんの元へ、どんちゃんの担当となる先生がきてくれました。障がいのある子、ない子にかかわらず、大勢が集まる場所で子どもが大泣きしたら、「どうにかして1秒でも早く泣き止ませなければいけない」、私はずっとそう思っていました。でもこの場での先生の対応はそれとは真逆なものでした。■コミュニケーションが初めて成り立った!「初めての場や人見知りで泣いてしまうのは、いつもと違うということがわかっているということ。とても賢いことなんですそれに大きな声で泣けるのは、すごくいいこと。だって発語の基盤なんですから」と担任の先生は言ってくれました。どんちゃん本人は、何が起きているのかわからない、というような顔をしていましたが、先生の言葉に今度は私が泣きそうに。いつの間にか、泣き止んでいたどんちゃんは、周囲の先輩たちをじっと観察していました。そして、先生から「どんちゃんもやってみる?」とボールを渡され、ボールを受け取るどんちゃん。初めての「おちびさん教室」で、コミュニケーションが成り立った瞬間でした。そのとき、私はどんちゃんの居場所はきっと見つけられると確信しました。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年09月05日パトカーや消防車、ショベルカーなど『働く車』と呼ばれる乗り物は、いつの時代も子供に大人気。アメリカに住む11歳のアベルくんは、トラックの中でも、特にゴミ収集車が大好きです。ゴミ収集車の大ファンの男の子にサプライズが!そんなアベルくんにとって、待ちに待ったゴミの収集日がやってきました。母親と弟と家の前でゴミ収集車の到着を待つアベルくん。そこへやってきたゴミ収集車のドライバーが、「お待たせ!」というように軽快にクラクションを鳴らします。実はこの日、作業員たちはアベルくんにサプライズを用意していました。アベルくんたちにトラックのボタンを押させてあげたり、クラクションを鳴らさせてあげたりと、サービス精神旺盛な作業員たち。さらに彼らは、アベルくんにゴミ収集車のおもちゃをプレゼント!自閉症をもつアベルくんは感情表現がとても豊かで、興奮すると片足で飛び跳ねたり、手をバタバタと動かしたりするのだそうです。思いがけないプレゼントをもらって、全身で喜びを爆発させました。そんなアベルくんを見つめる作業員たちも、とても嬉しそうですね。このほほ笑ましい交流は、動画を見た人たちまでも笑顔にしたようです。・男の子の喜びようが最高だね!・作業員の男性たちの優しさに感動した。・なんてこった。俺は何事でも泣かないが、この動画を見て泣いちゃったよ。・こういう思い出って一生忘れないんだよなぁ。今後の人生の支えになると思う。大きなゴミ収集車に乗って颯爽と現れ、ボタン1つでトラックのアームなどを動かす作業員たち。そんな彼らはアベルくんにとって、かっこいいスーパーヒーローそのものなのでしょう。憧れのヒーローたちからもらったプレゼントを、彼は一生大切にすることでしょうね![文・構成/grape編集部]
2022年08月29日4人家族、子どもふたりの我が家。じつは、娘・どんちゃんに障がいがあることが最近わかりました。今回の連載では、どんちゃんが幼稚園ではなく、療育園に通うまでのことを描いていきます。■娘が生まれたときは…!?「兄とは何かが違う…?」そう感じ始めたのは、どんちゃんが1歳を過ぎた頃でした。次回に続く(全21話)毎日10時更新!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2022年08月29日自閉スペクトラム症のある太郎と学校のテスト自閉スペクトラム症のある太郎は、小学校の低学年から中学年のころ、学校でテストを受けるときに強いこだわりがありました。そんな当時の太郎の様子と、自分の気持ちを振り返ってみたいと思います。空白はすべて埋めたいUpload By まゆんテストで出された問題は全て分かりたい。でも分からない。空白は全て埋めたい。でも埋まらない。分からないや。まぁいいか、次の問題へ進もう。太郎にそういう考えはなかった。書きたい、分かりたい、全部埋めたい。そういう思いがあってもテストの1問目からつまずくことが多かった。Upload By まゆん先生がずっと1問目の問題を見つめ、フリーズしてる太郎に声をかけてくださった。それでも太郎は解かなかった。目の前の問題が気になるから次の問題は視界に入らない。そうして時間はいつも過ぎていった。テストは名前だけ書いて終わることも多かった。点数の意味も分かってはいた。でも点数が低いことを悪いことと認識はしていない。それが私としては救いだった。私も点数が低いことで怒ったり注意したりもしなかった。そう育ててきたし、何よりも太郎は家でも学校でも努力はしていたから。出された宿題は時間がかかっても悶えながらも必ず全てしていってた、そういう努力や真面目な太郎を私は見ていた。「正解」を書きたいそしてもう1つ。太郎は間違うことが嫌だった。「正解」を書きたかった。間違うことをおそれて少しでも自信がないと答えを書かなかった。家で宿題を解いていても1問1問、間違えていないかを確認してきた。Upload By まゆん間違えることはできない。正解を書きたい。それが太郎の世界だった。あとがきこの状態はいまだに続いています。小学校高学年のころからずいぶんと柔軟にテストを受けられるようにはなりました。きっかけは、特別支援学級の先生がしてくださった工夫でした。テストを個室で受けられるようにしてくださったり、太郎が大好きなぬいぐるみを目の前に置いて「次へ進もう」と先生が腹話術などもしてくださいました。そうしているうちに、ある日ひょんと初めて100点を取ってきました。そのときの喜びを知ったのか「高い点数を取りたい」という気持ちが芽生えてきたように思います。ときと場合によりますが…晴れの日もあれば曇りの日もあるように、太郎の世界も同じです。私はそんな太郎の成長を傍でゆっくり見守れたらいい…。そう思っています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症特有のこだわりがあって問題を飛ばせないお子さんを、ときどき見かけます。音に敏感なお子さんは個室で静かな環境の中でテストが受けられるのが理想です。一方、投薬でこだわりを軽減することも可能です。初めのうちはトークン法の利用も効果があります。人生で初めての受験になる可能性が高い高校進学までにテストが柔軟に受けられるよう、できるだけ早期に学校側や教育委員会と相談して対策を練る必要があります。
2022年08月09日