2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「将来はグラフィックデザイナーになって、ロゴや商品パッケージをデザインしたいと思っています。できればオリンピックのロゴなんかも作ってみたいです。蛭子先生、なにかアドバイスをお願いします」(勘太67号さん・21・山形県・学生)【A】「オレが描いたデジタル庁のロゴ、採用してもらえませんか?」(蛭子能収)えっ、「アドバイスしろ」と言われても……。(マネージャー〈以下、マ〉「若いときは横尾忠則さんに憧れて、グラフィックデザイナーを夢見ていましたよね」)でも長崎商業高校を卒業した後、デザイナーになろうと就職した先は看板屋さん。しかも、仕事は看板の設置でしたからオレに聞かれても困るし、そもそも「先生」って言われるようなことはしてないんだけど……。(マ「この前、出版した新刊『認知症になった蛭子さん』で20冊以上も本を出してるんだから立派に先生ですよ」)でも、そんなに売れた本がないから、やっぱり先生じゃないですよ。横尾さんのように、大きな仕事をしたこともないし……。(マ「そういえば、今年9月に設置される予定のデジタル庁が、ロゴを作成するデザイナーを募集しているようですよ。作ってみたらどうですか?蛭子先生!」)え〜……まあ、国がやってるなら、採用されたらいっぱいお金がもらえそうだから、ちょっと描いてみましょうか。
2021年05月31日「相続した実家が買い手も借り手もつかず空き家状態に」と、親の家をもてあます人が増えている。’18年、総務省の「住宅・土地統計調査」を見ても、空き家は過去最高の約7軒に1軒、これが’33年には約4軒に1軒が空き家になるというのだ。資産になるとせっかく手に入れた不動産は、これから少子化が進むと、買い手や借り手がつかない家あまり状態になり、資産価値がなくなってしまう。「今の70〜80代は、マイホームを手に入れるために働いてきた世代で、子どもに家を遺したいと思う人も多いのですが、実際に相続してみると、それぞれ家庭の事情があって住まないので空き家になってしまったというケースも少なくないのです。空き家を放置しますと、維持費がかかるうえ、さらに、売却できないといった悪循環に陥ります。“負”動産を背負わないように、早めに対策を講じる必要があります」相続・不動産コンサルタントの藤戸康雄さんはそう話す。相続する前に、実家がどういう不動産なのか、親が元気なうちに知っておくことが肝心。「特に、実家を相続したら、父だと思っていた名義が祖父のままだったことがわかるなど、話がややこしくなる場合があります。名義が祖父のままですと、祖父の相続人としてお父さんの兄弟姉妹などに実印を押印してもらい、印鑑証明書を添付して遺産分割協議書を作成する必要が出てきます。人数が多いほど手間と費用がかかるので、実家のある自治体の法務局で登記簿謄本を入手して、名義人を確認しておきましょう」(藤戸さん・以下同)気をつけたいのは、親が認知症になったら相続の対策が一切できなくなるということ。「親が認知症になり、実家を売却した費用で高齢者施設に入ってもらいたいと思っても、家族は手続きができませんので親が亡くなるまで家は売れません。元気なうちに介護の問題をふまえて家の処分の方法を相談しておきましょう」
2021年05月26日コリン・ファースとスタンリー・トゥッチが共演した話題作『スーパーノヴァ』。メガホンをとったのは、俳優業もこなすイギリス出身のハリー・マックイーン。本作が長編監督2作目となる期待の新星監督に注目した。マックイーン監督は、リチャード・リンクレイター監督の『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』(08)で俳優デビューを飾り、2017年には『愛欲のプロヴァンス』でマドリード国際映画祭最優秀助演男優賞を獲得するなど、俳優業でも高い評価を受けている。2013年からは製作も手掛け始め、脚本・プロデューサーも務めた監督デビュー作『Hinterland』(原題/15)は、イギリスのレインダンス映画祭、北京国際映画祭など世界中で評価され、そのマルチな才能に期待がかけられている。映画はスタンリー・トゥッチ扮するタスカーの若年性認知症が大きな軸として描かれるが、マックイーン監督は自身と身近な人たちの体験から本作の着想を得たという。売れない俳優時代、複数のバイトをかけ持ちしていたマックイーン監督は、バイト先の1つである女性と出会った。初めは社交的で感じのいい人だったが、1年の間に徐々に気難しく怒りっぽい人に変わっていき、仕事でも失敗が多くなり解雇されてしまった。半年後、道端で偶然再会した彼女は夫が押す車いすに座っていた。そこで彼女が若年性認知症だったことを知り、衝撃を受けたという。同時期に友人から、父親が若年性認知症と診断され介護施設に入れるという相談を受けた。監督は「この2つの経験から、映画監督としてというよりは1人の人間として病気や周囲への影響についてもっと知りたいと思ったのです。さらに以前から人が死に直面した時、どんな選択肢や権利があるのかに興味を持っていました。だから2つのテーマを融合させて種にして、本作のアイディアを育てていったのです」と語っている。認知症を描こうと決意したマックイーン監督は、物語をよりリアルなものにするためリサーチを長期的に行った。「3年以上、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に在籍する認知症の第一人者たちや、イギリスの医療系公益団体であるウェルカム・トラストと密に連絡をとったり、認知症患者を家族に持つ人や介護をしている多くの人々の協力を得ました。認知症には多くの種類があり、医学的にも生物学的にも非常に複雑なものであることを学びました」と言う。「また、認知症と向き合っている人々だけでなく、認知症のために愛する人を失った人々と時間を共にする機会も得ることができました。今までで最も感動的で、人生を変えるような経験になりましたよ」とリサーチが大変有意義であったことを明かしているが、その反面「多くの人と関わるほど、認知症を描くことに緊張も感じるようになりました。説得力のある物語を作り出すことで、私に時間を分けてくれた人々に対して敬意を表そうと自分に誓いました」と、リサーチによって得た知識をサムとタスカーの人生に細かく投影していったと明かす。さらに、本作ではコリン・ファースとスタンリー・トゥッチという人気俳優の2人が同性カップルを演じている。それについてマックイーン監督は、「同性愛をごく自然で普通なものにしたかったのです。そういう映画がまだまだ足りていないと思うから」と言及。入念なリサーチのもとに描かれたサムとタスカーの旅路は、誰かを心から愛したことのある人、そして愛する誰かを失ったことのある人々にも共感できるものとなっている。『スーパーノヴァ』は7月1日(木)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スーパーノヴァ 2021年7月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2020 British Broadcasting Corporation, The British Film Institute, Supernova Film Ltd.
2021年05月24日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日健康的な食べ方『まいにちタマゴ』身近な食材である鶏卵で、上手にたんぱく質を摂ろうというタマゴ科学研究会による新刊『まいにちタマゴ 専門家が教える最高の食べ方』が発売された。また、お茶の水女子大学名誉教授で医師、医学博士の近藤和雄氏と、東京家政大学栄養学科教授の峯木眞知子氏が監修を務め、A5判、128ページ、1,430円の価格にて池田書店より発売中となっている。肉や魚よりも高いたんぱく質の利用効率「物価の優等生」といわれ、いつも手軽に手に入る鶏卵。調理法のバリエーションが豊富で、栄養面でもたんぱく質が豊富に含まれており、たんぱく質の利用効率は肉や魚よりも高いとされる。鶏卵にはメタボを抑制し、認知症の発症率低下、疲労解消、美肌効果が期待でき、子どもの発育にもおすすめである。新刊『まいにちタマゴ 専門家が教える最高の食べ方』では、鶏卵の特長である美味しさ、安さ、手軽さ、たんぱく質量、栄養バランスなどの魅力が詰め込まれており、健康情報やレシピに加え、文化や歴史まで楽しむことができる。タマゴを落とす高さが重要だという目玉焼き、40回混ぜて作る玉子焼きといった最高に美味しいタマゴ料理の作り方などを掲載している。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※まいにちタマゴ 専門家が教える最高の食べ方 - 株式会社 池田書店
2021年05月19日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの”介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学、高校と陸上競技部で、目標に向かって努力すれば結果がともなうことを知りました。社会人になって先輩から、懸命に力を尽くしても報われないことばかりと言われました。努力家は損ですか?」(オリサイさん・23・愛知県・会社員)【A】「オレの好きな言葉は、印税。座右の銘は、CMです!」(蛭子能収)努力が無駄かどうかはわかりませんが、努力しているフリは大事だと思います。オレは漫画でも手を抜いていましたが、作品を編集者に出すときはすごく大変だったことをアピールしていました。それで原稿料をもらえましたから(マネージャー〈以下、マ〉「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のロケで足腰が鍛えられたから認知症になっても元気。努力は報われると思いますよ」)。ギャラが出れば頑張ります。でも基本的にオレはただで頑張りたくありません。本(蛭子さんの新著『認知症になった蛭子さん』)が出て「大変でしたね」と言われますが、「まあちょっと大変でした」と答えていますが、本自体ではオレはまったく力を尽くしていません。それでも大好きな印税が入ってくるからうれしいです。もっといいのが「ちょこっと働けば、いいギャラが入る」CMの仕事です。もっと努力して、オレをCMに起用してくれる会社を見つけてきてくださいよ。(マ「努力する気が失せました!」)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日今年も暑い夏がやってきます。お子さんの熱中症対策は十分に行っていると思いますが、忘れてはいけないのが、大人の熱中症対策です。テレワークが続き、外に出る時間が減っている。ついついお酒を飲みすぎてしまう。仕事が忙しくて十分な睡眠時間が確保できないなど、大人ならではの事情が、熱中症に影響を及ぼすこともあるようです。そこで今回は「熱中症予防 声かけプロジェクト」実行委員であり、筑波大学体育系准教授の渡部厚一さんに「大人の熱中症対策」について、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)夏場の熱中症リスク、子どもより大人の方が高い?どんなことに気を付けたらいいのかを聞いた(写真はサカイクキャンプより)■「息苦しさ」を感じたら熱中症の症状かも「熱中症予防 声かけプロジェクト」は2011年に誕生したプロジェクトで、今年で10年目を迎えます。官民一体となり、声掛けを通じて熱中症を予防しようという取り組みです。Webサイトには熱中症対策も含めた情報が掲載されていて、一見の価値ありです。渡部さんは呼吸器内科医として医療活動にあたり、スポーツドクターとして、水泳を中心に選手のコンディショニングなどをサポートしています。「呼吸器内科医の観点から、熱中症の症状としてよく見られるのが、呼吸の乱れです。選手から『息苦しい』と相談され、診察すると、脱水症状が原因で呼吸が苦しくなっているケースがありました。サッカーであれば、夏場の試合終盤に過度に呼吸が苦しくなるのは、代謝が亢進しているうえに汗によって脱水が生じ、体から失われた水分や電解質がうまく補給できていないことが、原因のひとつとして考えられます」■普段汗をかきなれてない人は、高湿度の日も注意熱中症は急に気温や湿度が上昇するときになりやすいと言われています。気温が30度を越えたり、体感として暑い日は熱中症対策にも意識が向きやすいですが、渡部さんは「湿度の高さにも、目を向けたほうがいい」と教えてくれました。「近頃は『暑さ指数』なども発表されますが、気温だけではなく、湿度も関係します。いわゆる蒸し暑い日、熱気がまとわりつくような、モワッと暑い日は注意が必要です」普段の生活で汗をかきなれていない人は、熱中症対策に必要な「暑熱順化」ができていないことがあります。人間は汗をかき、気化熱を発生させることで体温を下げますが、汗腺が開いておらず、体の外へ汗が流れていかないと、体内の温度が上昇したまま、下がっていきません。それが熱中症の原因にもなります。「東京五輪のWebサイトに『暑熱順化には1~2週間かかります』と書いてあるように、少なくとも1週間程度前から、暑い環境に慣れておくことが必要です。それをせず、急に暑くなった日に長時間外に出て運動などをすると、熱中症になるリスクは高まります」■水分補給ではなく、失った汗の成分を補給する感覚で「熱中症予防として、必要なのは水分補給です。暑い中でサッカーの試合を見ていると、じっとしているだけでも汗が出ます。常に飲み物を携帯して、お子さんの試合中に給水タイムなどが設けられていると思いますので、それに合わせて電解質の含まれた飲み物を飲むと良いと思います。最低でも、ペットボトル1本は持っていってほしいです」さらに、こう続けます。「汗の成分には、塩分やミネラルが多く含まれています。そのため、水分に加えてそれらの要素も補給しましょう。水分補給ではなく、失った汗を補給する感覚がポイントです」熱中症には、だるさ、頭痛、嘔吐といった熱疲労の症状や、一過性意識消失といった熱失神の症状のほかに、大量の発汗による脱水時の不適切な補正により、電解質異常、特に低ナトリウム血症に起因する有痛性の筋痙攣(いわゆる熱痙攣)が起きることもあります。これらの予兆が出たら、要注意と言えるでしょう。■睡眠不足も熱中症の大敵熱中症予防の観点からは、サッカー観戦の場所にも意識を向けたいところです。「体の外から入ってくる熱を輻射熱(ふくしゃねつ)と言うのですが、コンクリートの上で観戦するのと、芝生など、熱を吸収してくれるものの近くで観戦するのとでは、熱の伝わり方が違います。なるべく自然の中で、熱を吸収してくれるものの近くで観ることをおすすめします」サッカー観戦時、長時間外にいるだけでも体力を消耗します。そのため、体調管理に意識を向けることも、熱中症予防の観点からは大切なことです。とくに大人は不規則な生活になりがちなので、生活習慣も含めて見直す、いい機会かもしれません。「肥満者は熱中症のリスクが高いので、とくに気をつけていただきたいと思います。体調管理という意味では、睡眠不足も大敵です。自律神経系が滞ってしまいます」■朝ごはんもしっかり食べよう朝食を食べずに外に出て、暑い中で長時間活動するのも避けたほうが良さそうです。「朝食を抜くと血糖値が低いままなので、体が疲れやすくなります。また、食事をしていないと、十分に水分を摂取できていないこともあるので、その観点からも食事は大切だと思います」熱中症予防としては、規則正しい生活をして、食事、水分をしっかりとり、観戦中は日陰で見ながら、こまめに電解質の含まれた飲料を飲む。そうすることで、熱中症のリスクを軽減することができそうです。あわせて暑さに慣れることも忘れず、たまには外に出てウォーキングやランニングなどをしてみてはいかがでしょうか。汗をかき慣れておくことも、暑さが本格化する前の時期に必要なことのようです。後編では「お酒」が熱中症に及ぼす影響や、高齢者の注意点などをうかがっていきます。渡部厚一(わたなべ・こういち)筑波大学体育系准教授筑波大学医学専門学群卒業後、筑波大学附属病院にて医師として勤務。筑波メディカルセンター病院や国立療養所晴嵐荘病院、国立病院機構茨城東病院を経て2012年より国立大学法人筑波大学 体育系に着任。筑波大学水泳部チームドクター。スポーツドクターとして世界水泳選手権大会日本代表水泳チーム(2007)、夏期オリンピック大会水泳チーム(2012)帯同。2011年より「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員を務める。
2021年05月17日「母の遺品整理を少しずつ始めているんですが、お出かけ用のいちばんいいバッグから、昭和61年のコンサートの大入り袋が出てきました。タンスからはきれいに袋に入ったままの(おニャン子クラブの会員番号の)4番と書かれたTシャツが出てきて……。私のことを大事に思っていてくれた母のあたたかさに、触れるたびに、涙がこぼれそうになります」こう語るのは、3月23日に母・ひで子さん(享年92)を亡くしたタレントの新田恵利さん(53)だ。「母の部屋には、もう大きな介護ベッドもなく、がらんとしていて、毎朝、お線香をあげるたびに喪失感に見舞われてしまいます。結婚後はすぐに二世帯住宅で母と同居しましたから、一人暮らしの期間が短くて……母と密接に暮らしてきたからかもしれませんね」ひで子さんの四十九日法要を機に、愛する母の介護について本誌に語ってくれた。介護生活が始まったのは’14年秋。骨粗しょう症による腰椎の圧迫骨折で入院したのがきっかけだった。「退院するとき、タクシーの脇まで車いすで移動した母に『ママ、乗って』と言っても、立たないんです。足首がぐらぐらで、地に足がつかない状態になっていました」まもなく「要介護4」と認定された。「入院前は普通に歩いていたので、寝たきりの介護生活がいきなり始まったようなものでした。兄と一緒にやりながら介護を覚えていくという感じでした」そんな状況にも、ひで子さんは楽天的だったという。「ベッドにあおむけに寝たまま、自転車をこぐように足を動かして、『みてみて恵利ちゃん、なんでこんなに動くのに歩けないんだろうね』という無邪気な母を見ると、涙が出てきました」介護が始まってすぐは、少しでも心地よく過ごしてほしいという思いから、仕事から帰ってくたくたでも、ひで子さんの好きな炊きたてのご飯や煮物を用意したりしていたが……。「それなのに『おなかが痛いから、晩ご飯食べない』って(笑)。がっかりしたし、感情的になって『くそばばあ!』って言ってしまって、後悔したことも。それで、手を抜いたり、“今日は無理”っていう日は母を兄に任せて退避したり、ストレスをためないやり方を覚えていきました」ひで子さんも懸命にリハビリに取り組み、屋内の車いすでの移動、トイレ、立ち上がり、2〜3歩なら歩けるまでに回復した。ただ、認知症も進行していき、車いすのストッパーをかけずに立ち上がり、転倒してしまうことも。2年前には再び骨折し、完全に寝たきり状態になってしまった。まだ心の整理はついていないが、6年半に及ぶ介護生活には、苦労以上に母との幸せな時間があった。「腹の立つこともありましたが、やっぱり楽天的で、いつも私を気遣ってくれた母に、逆に支えられたりしました。私には子どもがいないので誰が介護して看取ってくれるのかわかりませんが、私も母のように周囲への感謝を持って逝きたいですね」「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月14日今年2月、国の医療機関が共同で健康のための提言を発表した。そこに書かれていたのは、わかってはいてもついついクリアできていないものばかり。一つひとつ見直してみようーー。人生100年時代、できるだけ最期まで健康な状態を維持しながら生きたいと誰もが願っている。「日本人の平均寿命は延び続けていますが、自立した生活が送れる“健康寿命”との間には隔たりがあるのが現状です。がんや心疾患、脳卒中、糖尿病には共通の要因があるので、長生きするためにまず心がけるべきことをまとめました」そう語るのは、国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究部の井上真奈美部長。今年2月、国立がん研究センターや国立循環器病研究センターなど6つの国の医療機関(※)が健康で長生きするための「10の提言」(9項目+S)を発表した。さまざまな病気にまたがっての予防の提言は、国内初となる試みだ。「“健康によい”という情報はたくさんありますが、不確かなものも多いため、394のエビデンス(科学的根拠)をピックアップしました。今すぐにできることから実行に移してみてください」(井上部長・以下同)国の医療研究の最先端を行く6つの機関が議論を重ねて厳選した「10の提言」から5つを見ていこう。■たばこは吸わない、ほかの人の煙も避ける「日本人を対象とした研究では、喫煙によるがんの死亡リスクは、男性で2倍、女性で1.6倍高くなります。メタボで喫煙の習慣がある女性と、メタボがなく非喫煙者の女性と比べると、循環器の疾患にかかる確率は5倍も高くなるという報告がありました」また、他人のたばこの煙を吸う“受動喫煙”にも注意。夫が喫煙者の妻は、自分がたばこを吸わなくても肺腺がんにかかるリスクは約2倍、肺がんは約1.3倍高くなる。加熱式たばこも、目に見えないエアロゾルが有害という指摘があるため避けるようにしたい。■お酒を飲む量を減らす。飲めない人に強要しない長引く巣ごもりで“家飲み”がはやっているが、飲みすぎには気をつけよう。「飲酒によって大腸がん、肝がん、食道がんのリスクが確実に増加します。またアルコールを習慣的に摂取すると血圧が上昇します。1日に12.5グラム(日本酒で1合の半分)以下の飲酒は認知症のリスクが低下するものの、1.7合以上飲むと逆にリスクが高まるという報告があります」飲む量は女性であれば日本酒で1日1合の半分程度が目安。そして「休肝日」を必ず設けるようにしよう。■毎日の食事で塩分は最小限に日本人の食卓に欠かせない「塩」だが、胃がん、高血圧、脳卒中を招く要因にも。「厚生労働省『日本人の食事摂取基準』では、1日あたりの食塩摂取の推奨量は女性で6.5グラム未満となっています。食事の量は多すぎず少なすぎず、バランスよく取ることが基本です。牛や豚の赤肉や加工肉の食べすぎ、ジュースなどの飲みすぎは控えましょう」1日に野菜は350グラム、果物は200グラムを取ることが目標。DHAやEPAが含まれる魚介類、タンパク質が豊富な大豆製品も意識的に摂取しよう。■やせすぎない、太りすぎない「太りすぎが病気のリスクを高めます。逆に栄養失調を伴うやせ方は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。血管の壁がもろくなり、脳出血を起こしやすくなることも知られているように過度なダイエットは危険です」死亡リスクが最も低くなるのは男女とも、BMIが21〜27あたりだという。年齢に応じて適正な体重を維持しよう。■活発な身体活動を心がける巣ごもり生活で体を動かす機会が減ったという人は多いが、運動不足は健康の大敵だ。「日本人を対象とした研究では、仕事や運動などの活動量が高くなるほど、がんにかかるリスクは低くなることが示されています。まずは今より10分でも多く体を動かすことから始めましょう」目標にしたい運動の目安は1日60分のウオーキングだ。つい自分を甘やかしてしまうのが人間のさがだが、健康長寿をかなえるためにも、自分の生活習慣ときちんと向き合ってみよう。※「10の提言」執筆者/国立がん研究センター、国立循環器病センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月13日ギャンブル好きで、空気を読まない自分本位の発言を連発。でもなんだか憎めないキャラで、お茶の間に笑いを届け続けた、あの蛭子能収さん(73)が認知症になった。「まさか」と思ったその現実に、誰よりも戸惑い、葛藤しているのは妻・悠加さん(54)だ。蛭子さんと悠加さんの出会いは03年。01年に前妻の貴美子さん(享年51)を亡くした蛭子さんが、再婚相手を探していると聞いた本誌は誌上お見合いを企画。それに悠加さんが応募したのだ。蛭子さんといえば、テレビで見せる空気を読まない独特な天然キャラで自由奔放な言動をするイメージが強いが……。交際から3カ月ぐらいたったころには、2人で佐賀県唐津市に2泊3日で旅行へ。「仕事が終わった翌朝、よっちゃんは『競艇をしたい』と言いだし、2日目も競艇場に行ってしまいました。さらに3日目の朝にも『大事なレースがあるから』とさっさと競艇に出かけてしまい、旅行中、私はホテルにずっと1人きり。さすがに帰りの車中で『どういうつもりなのよ!』と怒りが爆発しました」やりきれない表情で詰め寄った悠加さんに、蛭子さんは「前の女房は、こんなことでは怒らなかった」と言い返したという。「前の奥さんを信用するのにも、交際してから3年かかったとも言われました。私は、よっちゃんにとって気が許せる相手になるために、とにかく誠実に尽くして、それを積み重ねていこうと思いました」07年に悠加さんと蛭子さんは入籍。「よっちゃんの様子がなんだかおかしい」と、悠加さんがそう思い始めたのは17年のある晩のことがきっかけだった。「横で寝ていたよっちゃんに、突然、たたかれたのです。一瞬何があったのかわからなかったし、翌朝には本人もケロッとしていたから仕事の疲れがたまって寝ぼけたのかなあと思っていました」レビー小体型認知症の典型的な症状で、存在しないものが見える「幻視」が現れたのは、19年秋のこと。夜は1時間おきに起こされ、睡眠不足のまま過ごす日中には、幻視に加え、物忘れや時間と場所がわからなくなる症状も。蛭子さんの介護が悠加さんの心と体にずっしりとのしかかっていく。「幸いにも仕事先ではひどい症状はあまり出ていないようでした。だからこそ余計に、よっちゃんが“おかしい”のは私の前だけなのかと孤独感が募っていきました。誰かに相談しようと何度も思いましたが、タレントであるよっちゃんの症状がおもしろおかしく伝わって、芸能ネタになってしまってはいけない、と思っていたので、友達にさえ悩みを打ち明けられませんでした。すべて片づけて、いっそのこと死んでしまおうかと思ったことも……」本誌記者は、そのころの悠加さんに会っている。くぼんだ目、こけた頬。いらだちを隠せない視線を蛭子さんに向けていた。17年から3年間で、悠加さんは4回、救急病院に駆け込んでいる。ストレスからくる急性胃腸炎だった。20年7月に認知症であることをテレビで公表したのは、悠加さんの心のSOSからだった。「最初、介護サービスを利用することにひるんでいました。家族のケアを人に任せるなんて。妻である私がしっかりやらないといけない、と思い込んでいました」ケアマネジャーは、蛭子さんのためにショートステイ(短期入所生活介護)を受けることを提案。とにかく悠加さんの睡眠時間を確保することを優先させた。次第に悠加さんにも余裕が生まれ、二人の関係は穏やかなものへと変化していった。──それから半年が過ぎた。最近の蛭子さんは、週に数回、ショートステイを利用し、定期的に通院していることで、症状がだいぶ落ち着いている。混乱することが少ない昼から夕方にかけては仕事も問題なくこなせる。今年4月27日(火)には単行本『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社)が発売。病気は世間に公表され、悠加さん一人が抱え込むこともなくなった。とはいえ、認知症の症状はあり、悠加さんにとっては、まだまだ大変なことばかり。「心と体が健康でなければ介護はできないということを知りました。最近は、とくにソファに座ってテレビを見ている姿なんか、くまのプーさんに見えてくるんです。介護も、よっちゃんにならって私も“自分ファースト”の姿勢を持つようにしています」蛭子さんに、少し厳しい質問をしてみた。記憶力がなくなることに恐怖はないのだろうかと。「そう考えればたしかに怖いですね。ちょっとずつ物忘れはひどくなっているというか……、どんなことを忘れたかについては、忘れてしまいましたけど(笑)。でも女房がいるから大丈夫なんじゃないかな……と思いますけど」それを受けて悠加さんが語る。「そう大丈夫、よっちゃんが何もかも忘れても、私が全部、覚えておいてあげるからね!」「それはありがたいね」そう答えた蛭子さんに、悠加さんはふわりと笑いかけた。一時は自死さえも考えたという悠加さんの心の持ちようが変わったきっかけは、“自分ファーストの介護”の大切さに気づいたこと。そう、介護ではときに「蛭子さんみたいな考え方」が役に立つのだ。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日昨年7月、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している初期の認知症であることを公表した漫画家でタレントの蛭子能収さん(73)が、読者からの相談に答える!題して、「蛭子能収の人生相談!?」ーー。【Q】「小学4年生の息子は、ユーチューバーになるのが夢だと、いつもYouTubeを見ています。自分がなりたいことを目指せばいいと思っていますが、さすがにユーチューバーは……心配です。何かアドバイスを」(ウケももさん・38・長崎県・自営業)【A】「ユーチューバーが何かはわからないが、たくさんお金を稼げるなら最高の職業」(蛭子能収)オレはユー、なんとかというのがさっぱりわかりません。(マネージャー〈以下、マ〉「さっき川沿いを散歩したとき、女子学生がシャボン玉をしていた様子を動画撮影していたじゃないですか?あれですよ」)なんかキャッキャと楽しそうでしたね。あのあたりは、昔は水害でたくさん人が死んだ場所だったと思うんですけどね、フフフ……。でも、どうやって稼ぐんですかね。広告が入る?それやったら最高ですよ……あれ?この人、長崎の人やね〜。(マ「福山雅治さんがやっている長崎県の魅力を伝えるYouTubeの動画に蛭子さんも出演していますよ」)あれ〜そうやっけ?とにかく長崎の人は奇抜なアイデアを持っている人が多くて、それを面白がる土地柄も。だまって見ていれば、この息子もいい動画を作るかもしれんね。オレも何か映像を作ってお金を稼げませんかね。オレが競艇をしている動画なんてどうですか?(マ「アイデアが平凡だからウケないと思います」)「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日花曇りの平日の昼下がり。多摩川の川べりに広がる公園の緑は次々と輝きだし、その香りを穏やかな風が運んできた。シャボン玉を飛ばす数人の女子学生の姿が遠くに見える。ポリポリと頭をかくのはタレントで漫画家の蛭子能収(73)。傍らにいる妻の悠加さん(54)がその様子を見て目を細める。紺のジャケットをそれぞれ羽織った2人は、ゆったりした時間が流れる緑地公園を巡る。菜の花畑が見渡せる橋で足を止めて、「うわーキレイや」蛭子さんが声を上げる。「キレイだね。花なんて興味なかったのにね、よっちゃんは……」悠加さんはつぶやき、グレーのキャスケット帽のつばを上げて春の空を見上げた。悠加さんが「よっちゃん」と呼ぶ蛭子さんは20年7月に放送されたテレビ番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)でレビー小体型とアルツハイマー病を併発している初期の認知症と診断された。それに伴い、今年4月27日(火)には単行本『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社)が発売。病気は、世間に公表された。蛭子さんの肩にすでに散りきった桜のがく筒が落ちてきた。悠加さんは指先でそれをつまみ、肩口を軽く手で払った。「悪いね」と口にする蛭子さん。「このごろ、よっちゃんは『ありがとう』と言ってくれるようになったんです。これまで『ごめんね』や『ありがとう』という感謝の言葉を聞いたことがありませんでした。この前は、どら焼きをおやつに出したら『いつもありがとう』と言ったから、思わず聞き直してしまいました。これも認知症の症状の1つだとしたら……よかったんですよね」悠加さんはそう語ると、蛭子さんの手を握って再び歩きだした。17年から3年間で、悠加さんは4回、救急病院に駆け込んでいる。ストレスからくる急性胃腸炎だった。さらに、彼女より30kgも重い蛭子さんの入浴やトイレの介助を1人でこなしたことで、ひざの半月板はボロボロの状態に……。20年7月に認知症であることをテレビで公表したのは、悠加さんの心のSOSからだった。「かかりつけ医にあらためてテストしてもらったところ、認知症を発症した可能性が高いことを指摘されました。それについて所属事務所の社長とマネージャーさんと相談したところ、お世話になったテレビ番組のなかで公表することになったのです。病気を売り物にするなんてと批判されるかもしれません。でも、私だけではギリギリの状態。3年間ずっと睡眠はろくに取れずに、日中も混乱したよっちゃんがそばにいる。私の何がダメだったからこんなことになってしまったんだろうと自問自答しては悩むばかり。共倒れになる寸前でした」蛭子さんが認知症と診断された様子がオンエアされた2日後、要介護認定が下り、公的な介護サービスを受けられるようになった。ケアマネジャーは、蛭子さんのためにショートステイ(短期入所生活介護)を受けることを提案。とにかく悠加さんの睡眠時間を確保することを優先させた。──それから半年が過ぎた。蛭子さんは、当初、介護施設に泊まることに戸惑っていたが、最近は慣れてきたという。薄曇りの空から優しい光が差してきた。遠くで蛭子さんが満開の笑顔で写真に納まっている。その様子を見ながら悠加さんが語る。「実は、認知症になる直前まで、2人で連日のように離婚に向けた話し合いをしていました。出会ってから20年近く、私なりに“蛭子能収の妻”になろうと努力してきました。でも、よっちゃんの心のなかには亡くなった前妻の貴美子さんの存在がいつまでもあり、どんなに私が尽くしても夫婦にはなれない。あるとき、ふと、よっちゃんは私ではなくて貴美子さんと添い遂げたかったんだろうな、と思えることがあり、それで別れようと考えたのです。そのうち認知症の症状がひどくなり、離婚どころの話ではなくなりましたけどね」悠加さんがまぶしそうに空を見上げながら、さらにこう続ける。「でも、しっかり睡眠を取れるようになり、ひざの治療にも行けるようになり、心に余裕ができたのかもしれませんね。今なら、よっちゃんのことも理解できます。離別ではなく死別でしたからね……。それに認知症が進行していくにつれて、亡くなった奥さんの存在が主人のなかで薄まってきたのかもしれません……。いずれ、私のことも忘れていくかもしれません。でも、認知症になって、ようやく夫婦になれた気がします」悠加さんは前妻をライバル視していたわけではない。蛭子さんが運転できたころは、月に一度の墓参りに欠かさず付き添い、その後も、近くの大師で毎月、護摩供養をしている。ただ、悠加さんはいない相手と闘っていた。理想の妻になる。いや、ならなくてはいけない──。蛭子さんの認知症は、そんな悠加さんの呪縛を解き放したのかもしれない。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日株式会社主婦の友社は2021年4月14日(水)に『猫がいてくれるから』を発売いたしました。一話一話に泣けて癒やされる、実話17本書には、「主婦の友社読者ネットアンケートクラブ」に寄せられた、猫との体験談による実話を収録。引きこもりの息子を暗闇から連れ出してくれた子猫。認知症の母が忘れず愛し続けた猫。コロナ禍の中での不安を猫に救われる日々。我が子に先立たれて嘆き悲しむ母猫。ガンに侵された愛猫との最後の3カ月。急逝した母の飼い猫と本当の家族になるまで。。。飼い主さんから寄せられた17のエピソードは、猫を飼っている人、かつて飼っていた人、地域猫と関わりのある人、飼えないけど猫好きな人……猫を愛する人なら心に残るものばかり。猫たちとのかけがえのない日々、出会いや別れ、猫同士の愛情など、一話一話に泣けて、癒やされ、生きる力をもらえます。各話の最後に付くそれぞれの猫の「プロフィール」にも、改めてホロリとしたり、ほっこりしたり。それぞれの「猫生」がリアルに思い浮かびます。それぞれの猫たち&エピソードを通し、猫という存在がいることの喜びを改めて感じられる一冊です。書誌情報タイトル:猫がいてくれるから編者:主婦の友社イラスト:深尾竜騎定価:本体1430円(税込み)仕様:四六判256ページ発売日:2021年4月14日(水)ISBN:978-4-07-447333-5『猫がいてくれるから』メディア関係者のお問い合わせ先【主婦の友社広報窓口】株式会社C-パブリッシングサービス広報宣伝部pr★c-pub.co.jp(★は@に変換してお送りください)『猫がいてくれるから』企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2021年05月05日「高齢者施設探しはいわば情報戦。単にお金をたくさん持っている人より、良質な情報を得られる人に有利なのです」そう話すのは新聞・雑誌、ウェブなどに多数の連載を持つ、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんだ。最近は「高齢者の住まい」に関する相談も多く、畠中さんが実際に足を運び「ここなら!」と思った施設を、相談者に紹介する機会も増えているという。「独身で働いてきた方や、配偶者を亡くした方が70歳前後になり、だんだんと家事をするのがつらくなって施設を探し始める、というケースが多いですね。介護認定を受けてから探そうとしても、認定後にたくさんの施設を見学するのは難しいため、少し早めに70歳前後から準備することをおすすめしています」年を取ってからの共同生活にはさまざまな戸惑いも予想されるが、高齢者施設を選ぶ際は、どんなポイントに気をつければよいのだろう。シニアライフ情報センター代表を長年務めてきた池田敏史子さんは次のように話す。「まずは何より体験入居してみることをおすすめします。実際に施設に足を踏み入れて、何か違和感があったらやめたほうがいい。施設の方同士の会話にも耳を傾けてみてください」ケアが不適切で職員や入居者の不満が多い施設は雰囲気が暗く、どんよりしているという。そして、気になることは遠慮なく確認するのが鉄則。「尋ねることはいくらでもあります。最期までいられる施設なのか、医療との連携はどうか。元気な方は認知症の入居者比率が高いとつらいかもしれません。あと大切なのは、入居後の自分のライフスタイルをイメージすることです。趣味を大切にして静かに過ごしたいのか。新しい友人を作って楽しく過ごしたいのか。あるいは、施設から足を延ばしてアクティブに行動したいなら、そのための足回りも確保できなくてはなりませんから」(池田さん)いずれにしても、自分の“過ごしたい老後”に合った施設を選ぶことが肝心なようだ。前出の畠中さんは、高齢者が集まるケアハウスならではの注意点も教えてくれた。「性格的に協調性の低い方には向いていないかもしれませんね。あとは、つい人に嫌みを言ってしまうような方も。ケアハウスでは食事は食堂に集まっていっせいにいただきますが、人間関係がもつれてしまうと1日3度の食事で顔を合わせることすらストレスになってしまいますから」もちろん慎重のうえにも慎重を期したつもりでも、“ハズレ”のケアハウスを選んでしまうことはあるかもしれない。それを避けるための簡単な見分け方を、前出の田村さんが教えてくれた。「バックに健全な医療体制があるか否かを確認すること。それと、頻繁に広告を出しているところは注意が必要です。いつも空き室があるというのは、何かしら問題がある可能性がありますから」施設選びのポイントを知って、満足できる“終のすみか”を見つけよう!「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年05月03日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【レシチン】摂取すると、脳からの命令を神経に伝えるアセチルコリンが増加。記憶力低下や物忘れの予防に効果がある。また脳の神経細胞が集中する白質の代謝を促進し、脳の神経細胞のネットワークが強化されるという。大豆、ウナギ、鶏レバー、ピーナツなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できます。サケは塩サケや切り身のサーモンなど、お好きなものを選んで調理してみてください」サケを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■認知症撃退オールスターが勢ぞろい!「サケのおにぎり」〈材料〉・塩サケ(切り身)…3切れ・ご飯…おにぎり6個分・じゃこ…60グラム・白ごま…小さじ1〈作り方〉(1)フライパンで、じゃこと白ごまを軽くいる。(2)塩サケはグリルで焼き、ほぐしておく。皮の部分はみじん切りにしておく。(3)ボウルにご飯を入れ、(1)と(2)を加えて、よく混ぜる。(4)おにぎりにして完成。じゃこと白ごまを炒めることで風味がUP。塩サケだけでは塩分が足りない場合は、適量の塩をまぶして。■小松菜のビタミン&カルシウムで脳を活性化「サケと小松菜の味噌チーズ焼き」〈材料〉・サケ(生切り身)…3切れ・小松菜…6株・エリンギ…3本・にんにく…1かけ・とろけるチーズ…3枚・A(白味噌、酒、みりん…各大さじ3)〈作り方〉(1)サケは2つに切る。(2)小松菜は4センチ大にそろえて切る。エリンギは短冊切り、にんにくはスライスにする。(3)Aを入れた耐熱皿に小松菜を敷き、エリンギをのせ、にんにくを散らす。(4)(3)の上にのせたサケにチーズを重ね、オーブントースターで10分間焼く。(5)サケに火が通り、チーズが溶けたら完成。味噌とチーズが絶妙にマッチ。オーブントースターはサケに火が通ったかを確認しながら、こまめに時間設定して。■大豆のレシチンが脳の神経細胞を強化「サケと大豆のトマト煮」〈材料〉・サケ(切り身)…300グラム・大豆(水煮)…1袋・玉ねぎ…1個・にんにく…1かけ・パセリ…1本・水煮トマト…1缶・油…適量・A(砂糖…大さじ1、コンソメ顆粒…小さじ1、ケチャップ…大さじ2)・オリーブオイル…適量・小麦粉…大さじ3・塩、こしょう…各少々〈作り方〉(1)一口大に切ったサケに軽く塩をふり、小麦粉をはたいて、油を熱したフライパンで両面を焼く。(2)玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。(3)鍋にオリーブオイルを熱し、(2)を入れてしんなりしたら、トマト缶とAを入れ、軽く煮詰める。(4)(3)に(1)と大豆を加え、塩、こしょうで味を調え、ひと煮立ちさせる。(5)(4)を器に盛り、葉の部分だけみじん切りにしたパセリを散らして完成。脳の栄養素といわれるレシチンが豊富な大豆やサケと相性抜群のトマトを使い、おしゃれなイタリアンに。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の2つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、タコは入手しやすいボイルした足でもOK」タコを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■チーズのカルシウムが脳の伝達能力UP「タコのカナッペ」〈材料〉・タコ(ボイル)…150グラム・クリームチーズ…150グラム・クラッカー…15枚・わさび、白ごま…各少々〈作り方〉(1)タコは一口大にスライスしておく。(2)15枚のクラッカーにクリームチーズ(1枚につき10グラム程度)を塗る。(3)(2)にタコをのせ、お好みでわさびと白ごまを散らして完成。クリームチーズのカルシウムが脳の伝達経路を活性化。わさびが苦手な人はのせなくてもおいしくいただけます。■きくらげでプラズマローゲンの効果を増強「タコときくらげの春雨ピリ辛サラダ」〈材料〉・タコ(ボイル)…90グラム・きくらげ…6枚・春雨…60グラム・きゅうり…1本・A(砂糖、しょうゆ、酢…各大さじ1、ごま油…大さじ1/2、ラー油…適量)〈作り方〉(1)きくらげは水で戻し、沸騰したお湯で30秒ゆでてから千切りにする。(2)春雨は沸騰したお湯で5分間ゆでて、水気を切っておく。(3)タコはぶつ切り、きゅうりはタテ半分に切りスライスする。(4)サラダボウルに(1)(2)(3)を入れ、よく混ぜたAをかけて完成。きくらげに含まれるビタミンDがタコのプラズマローゲンをさらに補強。ラー油の量で好みの辛さに調節して。■えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸をチャージ「タコとオイルサーディンのくるみあえ」〈材料〉・タコ(刺身用)…150グラム・オイルサーディン…1缶・セロリ…1本・くるみ(ロースト)…30グラム・A(えごまオイル…100ミリリットル、ワインビネガー…大さじ4、塩、こしょう…各少々)〈作り方〉(1)タコはぶつ切り、セロリはスジを除きスライス、くるみは粗みじん切りにする。(2)Aをすべて合わせ、くるみを入れて、よく混ぜる。(3)タコとセロリ、油を切ったオイルサーディンを皿に盛りつけ、(2)であえて完成。えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸を重点的に補給。タコはボイルしたものを使ってもOK。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「三つの食材に共通するのは、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった、脳のために有用なほかの栄養素も多く含まれていることです」さらに加藤先生によれば、この三大プラズマローゲン食材を効果的に取るうえで、大切な「食の心得」があるという。【1】「かむ」「嗅ぐ」「かむという行為は脳を活性化させます。大切なのは同じ歯でかむのではなく、左右や前後など、使う歯を意識的に変えることで、脳の頭頂葉が活性化し、脳の空間認知能力が高まります」料理の匂いを嗅ぐという行為も重要だ。「認知症になると、香りを認識する能力が弱まってしまうことが知られています。食事の際、食べながら、匂いも楽しむようにすることで、脳の働きを活性化することができます」【2】意識的に両手を使って食べる「ふだんは利き手に箸を持って食べるだけかと思いますが、脳のためには、食事中、意識して両手を使うことをおすすめします」たまには利き手でないほうの手で箸を使ってみたり、ナイフとフォークを同時に使って食べたりすることで脳が刺激され、認知症予防になるという。【3】食事は「脳トレ」である「食感や香りを楽しんだり、食べる順番を考えたりするなど、食事というのは、じつに脳をフル回転させている一日三回の“脳トレ”なんです。それを意識するだけで、脳は徐々に若返ってきますよ」最後に加藤先生から、こんなアドバイスも。「どんな人にも好き嫌いはあるもの。いくら脳に効くからといって、嫌いなものを無理に食べると脳がストレスを抱え、逆効果になってしまいます。じつは私も肉類が苦手なのですが、新潟出身ということもあって、サケは子どものころから慣れ親しんだ大好きな食材です。みなさんもまずは三大プラズマローゲン食材のなかから、とくに自分が好きなものを選んで、それを優先的に食べてみてください。より効果的に脳を老化から遠ざけてくれると思います」「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【ヨウ素】認知機能が低下する原因の一つである、甲状腺ホルモンの異常を抑えるとされる。おもに海藻類に含まれるため、献立に一品は海藻類を加えるとよいとされている。代表的なものとして、のり、ワカメ、ヒジキ、メカブなどが挙げられる。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、ホタテは新鮮な刺身用がおすすめ」ホタテを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■ビタミンDの王様・しらすとのW効果「ホタテしらす丼」〈材料〉・ご飯…3杯分・ホタテ(刺身用)…6個・釜揚げしらす…100グラム・青しそ…6枚・卵黄…3個分・しょうゆ…適量〈作り方〉(1)ホタテは2〜3個にぶつ切りにする。(2)器に盛ったご飯の上に、青しそ、しらす、ホタテの順で盛りつける。(3)卵黄を中央にのせて完成。卵黄のビタミンB群と、青しそに含まれる血管の老化を防ぐβカロテンが合わせて取れるスペシャル丼。■ビタミンB、C、Eを漏れなくカバー「ホタテのマリネ」〈材料〉・ホタテ(刺身用)…9個・アサリ…9個・パプリカ黄色、赤色、玉ねぎ、レモン…各1/2個・クレソン…4〜5本・酒…大さじ2・A(オリーブオイル、ワインビネガー…各大さじ4、塩…少々)〈作り方〉(1)ホタテを2〜3枚にスライスする。(2)レモンはくし切り、玉ねぎ、パプリカは薄切りにしておく。(3)砂抜きしたアサリを小鍋で酒蒸しにし、汁とともに冷ましておく。(4)(3)から汁を取り出しAと混ぜる。(5)(1)(2)と(3)のアサリ、クレソンをざっくりあえ、(4)をかけてさらにあえてから、冷蔵庫で30分ほど冷やして完成。アサリだけでなく、ハマグリやムール貝などを加えると、よりうま味が濃厚になり、認知症予防にも効果的。■ヨウ素たっぷりのヒジキを薄味で堪能「ホタテとヒジキの煮物」〈材料〉・ベビーホタテ(ボイル)…12個・乾燥ヒジキ…20グラム・にんじん…1/3本・こんにゃく…1/2枚・だし汁…300ミリリットル・A(しょうゆ…大さじ2、砂糖…大さじ1、酒…大さじ1、みりん…大さじ2)・油…適量〈作り方〉(1)乾燥ヒジキを水で戻しておく。(2)にんじん、こんにゃくは細めの短冊切りにする。(3)鍋に油を中火で熱し、にんじん、ヒジキ、こんにゃくの順で入れて炒める。(4)にんじんがしんなりしたら、ホタテとだし汁、Aを加える。(5)弱火で、汁けがなくなるまで炒め煮して完成。認知症の要因とされる甲状腺ホルモンの分泌低下を正常に保つ、ヨウ素を含むヒジキがたっぷり取れる。味付けは薄めで。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日4月中旬、東京都内の住宅街にある介護施設。その入口でワンボックスカーのスライドドアが開くと、グリーンのトレーナー姿の戸田恵子(63)が降りてきた。続いて奥からゆっくりと高齢の男性が現れた。戸田は慣れた様子ですぐさま手を貸し、転ぶことがないようしっかりと支えながら、彼が車から降りるのを手伝った。運転手から手荷物を受け取ると、男性の手を引き、一緒に施設の中へ入っていった――。「男性は戸田さんのお父さんです。彼女は50年間離れて暮らしていた90歳になるお父さんを昨夏、名古屋から東京に呼び寄せたんです。お父さんはふだんは施設で生活していますが、この日は病院に行くのを、戸田さんがサポートしていたようです」(戸田の知人)戸田は俳優・井上純一(62)と’06年に離婚。独身を貫いている。このコロナ禍、“ワンオペ”で実父の介護生活を送っていたのだ。「幼いころから名古屋の児童劇団に所属し、子役として活躍していた戸田さんですが、ご両親は、彼女が小学生のとき離婚しました。ひとりっ子の戸田さんは、父母のどちらと一緒に暮らすか選択する際、お母さんの涙を目の当たりにして、お母さんとの2人暮らしを決めたといいます。16歳のときに歌手デビューし、上京して以来は、お父さんとは年に1回会う程度だったと聞いています」(前出・戸田の知人)苦楽を共にした母親も16年前に74歳で他界。戸田はかつてインタビューで約4年におよぶ在宅介護生活についてこう語っている。《母は14年ほど肝臓を患って最後の4年はがんと認知症のダブルでした。撮影の合間に少しでも時間があったら家に戻って、食事の世話をしたり、母がつまずかないように部屋の掃除をしたり》《私は自宅で介護をしたけれど、母にはもっといろいろなことをしてあげられたんじゃないかなと、よく思います。一緒に暮らすとやっぱりイライラしちゃうし、怒りが湧いてくる》(ともに『婦人公論』?’16年4月26日号)■母の死後、今度は離別の父が脳梗塞に…彼女を知る舞台関係者は言う。「戸田さんが仕事のロケなどで数日外出する際は介護施設のショートステイを利用したこともありました。ただ、お母さまはもともと人と一緒にいるのが得意ではなかったそうで、施設に順応するのは難しかったと聞いています。ヘルパーさんにお願いするのもお母さんが気を使うからと最終的に在宅介護を決心したそうです」母親が亡くなった翌年、戸田は井上と離婚している。「当時、母親の介護による別居も、離婚の一因だったのではと報じられました」(スポーツ紙記者)母親の死を、戸田はなかなか受け入れられず、母親の遺品整理にかなりの時間を要したそうだ。《最近になってようやく、母の部屋にあった小さな冷蔵庫を処分しようかな、という気になりました。死後10年って、少しずつ受け入れられるようになったのでしょうね》(前出『婦人公論』より)母を亡くした心の傷が少しずつ癒え始めたころ、名古屋在住の父親が脳梗塞で倒れたという。「病気が再発したこともあり、視野狭窄で視界がかなり狭まってしまったそうなんです。お父さんはかつて料理の仕事をしていた時期もあり、家事全般を自らできる方だったのですが、ひとり暮らしを心配した戸田さんは、お父さんにケアハウスやサポート施設への入所を相談。地元のそうした施設へ頼ることを決めたそうです」(前出・戸田の知人)定期的に父親の様子を見に、地元に戻っていた戸田だったが、新型コロナの感染拡大により、父親と会えなくなってしまったという。戸田は4月14日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)でこう語っている。「そのうち“東京からの人とは接触してほしくない”ということになりまして。それもわかります、高齢者の施設なのでね。これはどうしたものかなと思って……。それで東京の施設で面会ができるところもあると知り、まさかとは思ったんですけど『東京に来る気はある?』と(父に)聞いたら『来る』って言ったんですよ!」■「母のことに関してはいつも後悔がたって…」冒頭の都内の介護施設には昨夏、入所したという。「週に2回は面会、月に1回は通院の付き添いをしています。心配なので、お父さんに会えない日は毎日電話をかけているそうです」(前出・戸田の知人)戸田は『徹子の部屋』でこうも語っている。「あのころ(母の介護時代)は私もいっぱいいっぱいの感じで。今だったらこうできたのになあって、母のことに関してはいつも後悔が先立ってしまって……。両親は別れた2人だから母は上(天国)からどう思って見てるかなと思います。今では母が別れた父を、私が見るという面白い図になってるなと。母にはおおらかに見ていてもらえればと思います」今度は実父の介護に奮闘する戸田。「株式会社ねこの手」代表で、介護コンサルタントの伊藤亜記さんも今回の彼女の決断を支持する。「お母さまを在宅介護でひとりで看取るのは肉体的にも精神的にもつらい思いをしたはずです。ただ、人の手を頼るからこそ優しくできる面もあります。戸田さんがその経験を生かしていて、お父さまとの向き合い方を考えて実行していることは非常に素晴らしいです」《家族は愛を、介護はプロに》の心構えを持つ勇気も大切だという。「コロナ禍で面会もままならず、『親に本当はこうしてあげたかった……』と嘆く人は多いです。コロナ禍は家族のあり方を改めて考える契機。悔いの残らない選択をすることが肝要です」(伊藤さん)戸田は、こんな“夢”を周囲に打ち明けているという。「3年前、彼女は三谷幸喜さんの脚本で一人芝居に挑戦した際、その重圧に『もう二度とできない』と思っていたそうです。ただ、最近になって“もう一度一人芝居を”という気持ちが芽生えてきたようです。お客さまの前で直接拍手をいただけるありがたさを、このコロナ禍で改めて感じたそうです」(前出・舞台関係者)仕事現場では太陽のように笑っているという彼女。天国の母親、そして呼び寄せた父親のためにも、戸田は前を向いて歩み続ける――。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年04月29日「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。【ホタテ】おすしのネタやバター焼きなど、子どもから大人まで人気の二枚貝。貝柱の主成分はタンパク質で、なんと、ハマグリの倍量にもなるとか。「ホタテのプラズマローゲンにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)も含まれており、脳の老化を防ぐ栄養を効果的に摂取できます」またアミノ酸のタウリンやアスパラギン酸が多く含まれることも特長。これらは、脳の発達を助けるだけでなく、疲労回復や目の疲れに効果的。スマホなどで、目を酷使したときなどにも食べるとよい食材だ。【タコ】お正月の酢ダコやたこ焼きでおなじみ。「タコにはプラズマローゲンはもちろん、年齢を重ねるごとに増えてくる、シミやシワといった肌の悩みに効果があるビタミンEや、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれている。高タンパク質で低脂肪・低カロリーの魚介類のため、肥満防止にも効果が期待できます」またタコもタウリンが豊富で、目や脳の発達を助けてくれるという。ただプリン体を多く含むため、尿酸値が高めの人は食べすぎに注意が必要だ。【サケ】ひとくちにサケと言っても、最近のスーパーでは、塩サケの切り身から、刺身でも食べられるトラウトサーモン(海で養殖されたニジマスの一種)まで、さまざまな種類が販売されているが、プラズマローゲンはそれらすべてのサケに含まれている。「サケも低カロリーかつ、老化予防に効果があるとして注目されている食材です。サケのタンパク質は消化吸収がよく、プラズマローゲン含有量はホタテやタコほど多くありませんが、魚のなかでは多いといえます。何よりサケの身のピンクの色素(アスタキサンチン)は、抗酸化作用が強く、老化の原因となる活性酸素から脳や体を守ってくれる働きがあります。そして脳の健康に欠かせないEPAやDHAも豊富に含まれています」まずは“三大プラズマローゲン食材”のなかから、とくに自分が好きなものを選んで、それを優先的に食べてみよう。より効果的に脳を老化から遠ざけてくれるはず。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「三つの食材に共通するのは、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった、脳のために有用なほかの栄養素も多く含まれていること。残念ながら鶏肉には、こうした栄養素がとても少ないのです」まずは“三大プラズマローゲン食材”のなかから、とくに自分が好きなものを選んで、それを優先的に食べてみよう。より効果的に脳を老化から遠ざけてくれるはず。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日「親の介護でやっていけないことは2つあり、1つはなんでもお金で解決しようと思わないこと。仕事や家事に追われていると、『手続きが面倒』『急いでいるから』といって、親の病院への支払いや介護費をつい立て替えてしまう人が多いようで、自分たちの生活にしわ寄せがきます。2つは、1人ですべて背負わないこと。介護はプロに任せるのが基本です。介護保険で使えるサービスを知っておくと“もしも”のときにも安心できます」そうアドバイスするのは、『残念な介護楽になる介護』(日経プレミアムシリーズ)の著者で、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。介護が必要になったとき、ほとんどの親は「住み慣れた家で過ごしたい」という希望を持つが、支える家族の負担は増える。介護にかかる費用を抑えながら、家族の負担を少なくするツールを知っておくことが、「楽になる介護」につながるという。「在宅介護を続けていると、一時的に介護が難しくなるときがあります。たとえば、介護者の残業が続くようになった。親戚や親しい友人の冠婚葬祭に出席するために、泊まりがけで出かけなければならない、また、介護疲れをリフレッシュするために旅行に行くということもときには必要でしょう。そんなとき使いたいのがショートステイです。さらに、日常的に介護が楽になるサービスは、あまり知られていませんが、小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護が便利です。自治体にこれらの介護サービスがあるかどうかは、介護保険の小冊子で調べるほかに、介護のよろず相談所の『地域包括支援センター』などで聞いてみましょう」(井戸さん・以下同)骨折など長期入院したときは、病院内の医療ソーシャルワーカーが、退院後の生活について相談してくれることもある。そんな介護サービスを使って“楽”になった実際のケースを井戸さんが解説してくれた。【ケース1】80代の両親を同時に同居介護専業主婦のB子さん(61)は同じ敷地内に住む両親の“同時介護”をしていた。3年前に父(享年86)をみとり、認知症の母(89)は今は要介護2。元々、父が母の介護をしていたが、父にがんが見つかり自宅で療養をすることに。父は要介護1だが、母の世話をする体力はなかった。2人とも「最期まで自宅で過ごしたい」と願い続けたので、1階の居間に介護ベッドを2つ並べて、B子さんが世話をし始めた。「母はトイレに行ったことを忘れてしまうので、1日に何度もトイレ介助の呼び出しをしてきたそうです。つきっきりで介護をする状態が続いたので、B子さんは体調を崩してしまいました」このままでは「親子共倒れになってしまう」と、心配したケアマネジャーが提案したのが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」というサービスだった。【サービス】「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を使おう定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、1回につき15分程度の訪問介護サービス「定期巡回サービス」を1日に3〜4回行い、このほかに具合が悪くなったときや室内で転倒したときなど、24時間対応の「随時対応サービス」で、貸与されたケアコールで呼び出すと、介護事業所のオペレーターにつながり、看護師やヘルパー、ケアマネジャーが対応してくれるという仕組み。さらに、医師の指示のもと、訪問看護が受けられるというように、24時間体制で在宅生活を支えてくれる。「利用できるのは要介護1〜5の人で、利用料金は定額制です。B子さんの両親は1カ月3万9,749円で済んだそうです。ケアプランは、入浴のために週2回デイサービスに通い、定期巡回サービスの訪問介護を1日3回、3度の食事の世話のために来てもらいました。利用枠は1回で2人分、30分サービスが受けられるようにプランを組んでもらったそうです」このプランのおかげで、B子さんは食事の世話や母のトイレ介助のコールから解放されて、ようやくパートに出られるようになった。父をみとってからも安心した介護生活が続いているという。【ケース2】介護者がどうしても家を空けるとき契約社員のC子さん(55)は、母(79)と、夫と子どもの4人暮らし。母は心臓に持病があるため運動ができず、入退院を繰り返すたびに足腰が弱っていき、要介護3になってしまった。「介護者がどうしても家を空けるときにショートステイを使いますが、施設に空きがあれば、利用日数いっぱい使う方法もあります。C子さんの場合、母が留守番をしているときに倒れたら心配なので、ケアマネジャーに相談したところ、在宅介護で使えるサービスをショートステイのみにするプランを立ててもらいました」そんな使い方ができたとは知らなかったとC子さんはいう。【サービス】「ショートステイ」を活用しようショートステイとは、介護施設に短期間滞在して、生活援助やリハビリなどを受ける。「特別養護老人ホームや特定施設の認可を受けている有料老人ホーム(短期入所生活介護)で利用すると、食事や入浴などの生活援助を受けることができ、介護老人保健施設(短期入所療養介護)では、生活援助のほかにリハビリが受けられます。利用できる日数の目安は、要介護度によって異なります」C子さんの母は要介護3なので、26日使えるが、施設の都合で、3週間特養のショートステイで生活をして、1週間自宅で過ごす、というプランを立てた。「ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、2泊など体験入所を経て契約。料金は介護保険の1〜3割と食事代などです」施設サービス費、居住費、食費代込みで、月3万8,575円(1割負担)。母の年金で支えた。介護はいつ終わるかわからないので、親も介護する家族も“楽”になれるプランを選ぼう!「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月28日「最近、知り合いの名前が思い出せなくて困った」「一日中家にいるので、人と会う約束や行事をすっかり忘れていることがある」ーー。コロナ禍にあって一人で過ごす時間が多くなったことから、物忘れや「頭がぼーっとする」などの症状から認知症を心配し、受診する中高年が増えているという。「ご自身で受診するならほとんどは大丈夫なケースで、むしろ自覚のない人のほうが心配です。対策のために自宅で脳トレに励む方もいますが、それよりも、必要な栄養素をしっかり取ることで認知症の予防をすることができます」こう話すのは『1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)が話題の脳神経内科医・内野勝行先生だ。医師になったのは、祖母の認知症に直面した経験から。認知症の診断治療はライフワークと言い切る、そんな内野先生によると、加齢に伴い、人の名前や出来事が思い出せなくなるのは自然のことだという。「脳はいわばクローゼットのような構造。若いころは何でも蓄積できますが40代になると不要なものはあふれてしまう。多少の物忘れであれば、気にしないことがいちばんです」認知症についてはまだ解明されていないことも多いが、近年、認知症を誘引する「脳にたまったゴミ」といわれる脳内に発生するアミロイドβというタンパク質を除去することが、早期認知症に有効であることがわかってきている。そしてこれを受けて、内野先生が考案したのは、アミロイドβをためないために、1日1杯飲むだけの「脳のおそうじスープ」だ。忙しい現代人のため、簡単な一手間で作り置きでき、安価で何よりも「脳に効く」ことを目指して試行錯誤の末にできあがったのが「脳のおそうじスープ」なのだ。「使う食材や調味料は普通のスーパーで買えるものばかりです。これらに含有する栄養素を効率よく、定期的に取ることでアミロイドβを除去するようにしましょう。サプリメントより安価で、必要な栄養素がしっかり取れます」脳のおそうじスープで使う食材と栄養素は次のとおり。■トマト=リコピンなど「トマトといえば脳にゴミをためる原因となる『活性酸素』を除去する働きをするリコピンが豊富。毎日しっかり取りたい食材の代表格ですね」(内野先生・以下同)■ツナ缶=DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)「魚の脂に含まれる油で血液サラサラ効果のほか、DHAは脳をはじめ神経系の発達を促す。脳機能の活性化には不可欠な成分です」■ごま=セサミン「ごまに含まれるセサミンは、酸化しやすいDHAの酸化防止作用がある。高い抗酸化作用があるので脳の活性化が期待できます」■くるみ=α-リノレン酸「ごまやくるみに含まれるα-リノレン酸は、体内で生産できるDHAやEPAの材料にもなる潤滑油。血液の凝固を防ぎ、血のめぐりを促し血栓を防ぐ役割もあります」■蒸し大豆=レシチン、タンパク質、リン「大豆にはさまざまな栄養成分があります。レシチンの一種ホスファチジルセリンという成分は記憶力や抗ストレス作用、集中力を高める力を補います。体のあらゆる組織の材料となるタンパク質も豊富で、筋肉や脳、神経の材料として欠かせないリンも多く含まれます」■桜エビ=アスタキサンチン「エビやカニ、サケなどに含有する赤み成分がアスタキサンチン。体をさびつかせない優れた抗酸化力があることで注目されています」■こめ油=γ-オリザノール「こめ油には脳機能を活性化するγ-オリザノールが含まれ、この成分には血中脂質の低下に有効だという研究報告もあります。脳の血管のつまりを防ぐためにも毎日取りたい成分です」■中濃ソース=スパイス「ソースはスパイスやしょうがなどで作られていますが、スパイスの香りは記憶をつかさどる海馬を生き生きさせます」以上の栄養素はふだんの食事でも取れるが、DHAのような酸化しやすい栄養素を抗酸化作用のある食材と一緒に取ると、さらに効果を補い合うという。内野先生のYouTubeチャンネル『ドクターうっちー論!』では、さまざまなメニューを更新中だ。「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月28日8つの食材を混ぜ合わせて冷凍保存。朝や好きな時間にお湯をかけて溶かせばできあがり!簡単に作れる脳にいい栄養たっぷりのスープを毎日の習慣にーー。コロナ禍にあって一人で過ごす時間が多くなったことから、物忘れや「頭がぼーっとする」などの症状から認知症を心配し、受診する中高年が増えているという。「ご自身で受診するならほとんどは大丈夫なケースで、むしろ自覚のない人のほうが心配です。対策のために自宅で脳トレに励む方もいますが、それよりも、必要な栄養素をしっかり取ることで認知症の予防をすることができます」こう話すのは『1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)が話題の脳神経内科医・内野勝行先生だ。認知症についてはまだ解明されていないことも多いが、近年、認知症を誘引する「脳にたまったゴミ」といわれる脳内に発生するアミロイドβというタンパク質を除去することが、早期認知症に有効であることがわかってきている。そしてこれを受けて、内野先生が考案したのは、アミロイドβをためないために、1日1杯飲むだけの「脳のおそうじスープ」だ。「使う食材や調味料は普通のスーパーで買えるものばかりです。これらに含有する栄養素を効率よく、定期的に取ることでアミロイドβを除去するようにしましょう。サプリメントより安価で、必要な栄養素がしっかり取れます」脳のおそうじスープで使う食材と栄養素、基本スープのレシピは次のとおり。〈材料〉約8杯分・トマト(=リコピンなど)…大1個(200グラム)・蒸し大豆(=レシチン、タンパク質、リン)、くるみ(=α-リノレン酸)…各50グラム・桜エビ(=アスタキサンチン)…10グラム・すりごま(=セサミン)…小さじ3杯(18グラム)・ノンオイルのツナ缶(=DHA・EPA)…2缶(140グラム)・塩…小さじ1杯(6グラム)・中濃ソース(=スパイス)…大さじ1杯(6グラム)・こめ油(=γ-オリザノール)…少々〈作り方〉(1)トマトはおろし金ですりおろす。(2)蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れて、くるみを砕きながらもむ。(3)(2)に(1)とそのほかの材料を入れる。(4)もみ混ぜてから平らにして冷凍保存する。大きめの製氷皿で凍らすと便利。(5)スープの素(60グラム)に熱湯150ミリリットルを注ぐ。こめ油(分量外)を少々垂らして完成。続けるコツは、時間があるときに基本のスープの素を作って冷凍庫に保存すること。あとは毎朝、湯を注ぐだけ。時間があるなら、キムチを加えてチゲ風、玉ねぎとトマトを加えてチーズで仕上げてグラタン風などアレンジも自在。「まずは毎日1杯は飲んで、最低2週間は続けてみてください。食事どきに限らず、小腹がすいたときに食べても、ナッツや大豆など腹持ちのよい具材が入っているので1杯で満たされます。毎日のスープ生活で脳をおそうじしながら規則正しい生活や適度な運動、質の高い睡眠をとることも心がけてくださいね」まずは1杯のスープから、脳のおそうじ習慣を身につけよう。「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月28日昨年7月、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している初期の認知症であることを公表した漫画家でタレントの蛭子能収さん(73)が、読者からの相談に答える!題して、「蛭子能収の人生相談!?」ーー。【Q】「結婚して3年。お互い仕事が忙しくてすれ違いばかり。休日は家で休みたい旦那と、どこかに行きたいと思っている私とは意見が合わず……。夫婦ってなんなんですかね。最近そう思っちゃいます」(おてもやーんさん・31・会社員・静岡県)【A】「夫婦とは、野に咲く花を一緒に見て『キレイだね』と言い合える関係」(蛭子能収)この前、女房と近くの公園に花見に行ってきました。そこの公園には桜だけでなくチューリップも咲いていて「キレイだね」とか話しながら散歩しました。思えば認知症になるまで、花をキレイだと感じたことがありませんでした。夫婦とはよくわかりませんが、すれ違いばかりでも、ちょっとした時間でも「いいよね」と話し合ったり、おいしいものを食べて「うまいね」とか言い合えたりすれば何よりですよ。おいしいと言えば、花見した公園で太鼓饅頭が打っていて売っていて、2人で買って食べました。大阪出身の女房は「これは回転焼き」だと言い張るんです。(マネージャー〈以下、マ〉「東京では今川焼きと言いますよ」)回転焼きでも今川焼きでもなくて、太鼓饅頭だとオレは思っていますが、争いになるから反論しません。夫婦でいるなら、そんな妥協も大事だと思いますよ。(マ「蛭子さん、どうしたんですか?今日はずいぶん“いい人”ですね」え?じゃあ、オレにもCMの話が来ますかね?「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが、2度目となる主演男優賞に輝いた。世界30か国以上で上演された傑作舞台の映画化。先日12月31日に83歳を迎えたホプキンスが自身と同名、同年齢、そして同じ誕生日の認知症の主人公を演じている。この物語を手掛けたのは、ロンドンのタイムズ紙が「現代において最も心躍る劇作家」であると謳う、フランス人のフロリアン・ゼレール。原作である舞台作品は、フランス演劇界最高位のモリエール賞で脚本賞を受賞し、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30か国以上で上演。ゼレール自身が長編初監督作としてメガホンをとり、『危険な関係』でアカデミー賞を受賞した脚本家クリストファー・ハンプトンが共同脚本を務める。アンソニーが主演男優賞を受賞するのはハンニバル・レクターを演じた『羊たちの沈黙』(1991年)に続き2度目。アンソニーは自身のinstagramを更新し、「おはようございます。故郷のウェールズにいます。83歳でこのような賞を受賞するとは思ってもみませんでした。アカデミーに感謝します。そして、あまりにも早くこの世を去ってしまったチャドウィック・ボーズマンにこの賞を捧げます。ありがとうございます。予想外でした。光栄で名誉なことと思います」とコメントした。本作は、アンソニーの記憶と現実を追体験する迷宮のような世界観で描かれている。5月14日より全国にて公開される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
2021年04月26日ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「今日は暖かいですね」「3月ももうおしまいですからね」ゴンちゃんの言葉に、サポート役の小島成裕さんが相槌を打つ。と、すかさず高齢の女性の声が割り込んできた。「うちの男衆は皆、3月生まれやけん。アニキやらおったらせわしいて。口うるさいけんね」酒井清子さん(87)だった。レギュラー出演者の女性トリオ「あめちゃんず」の1人だ。ちなみに「あめちゃんず」の由来は「キャンディーズ」だとか。酒井さんのおしゃべりをやんわりかわしてゴンちゃんは続ける。「さ、今日も生放送でお届けしてまいります。まず、自己紹介からいきましょう。中村さん」しかし、呼びかけられた中村文子さん(90)は、ヘッドホンを装着したまま身じろぎもしない。「うちの兄は来たことないでしょ」と、またまた酒井さん。「そうですかねぇ」と、さらりと受け流しながら、ゴンちゃんは中村さんの目の前で手を振った。ハッと中村さんは覚醒!手を振り返して、姿勢を正す。中村「はい。中村文子と申します」ゴン「何歳ですか?」中村「は?90歳(笑)」ゴン「ここではいちばん年上のお姉さんですねじゃ、天神さ~ん」ところが、天神ツキミさん(88)は、呼ばれたことに気づかない。中村さんが「天神さん」とささやいて、彼女の肘を軽く突ついた。それまで天神さんは小声でブツブツ独り言を繰り返していたが、突然、スイッチが入ったように高々と片手を上げると、大きく張りのある声で話し出す。天神「はーい!昭和8年2月5日生まれ、天神ツキミでございます。よろしくどうぞ」ゴン「今日も元気ですね」天神「元気バリバリ!」あめちゃんずの3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。お話しするのが大好きで、全く脈略のない話が飛び出し、同じ話題がループし続けたりするけれど、3人ともに短期記憶に若干の難ありだから、そんなことは問題なし。互いの言葉に「それ初耳よ」とばかりに「へえ~」と感嘆の声をあげ、ケラケラと乙女のように笑い合うほほ笑ましいやりとりが、リスナーの心をつかんでいる。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。「ラジオ@オレンジカフェがスタートしたのは’19年1月。いまのメンバーに落ち着いたのは、去年の春ぐらいからですね」と、話す小島さんは、あめちゃんず3人が暮らす認知症対応型共同生活介護施設「グループホームもやい」の管理者だ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」施設に来るのは、入居者と職員、たま~に家族、年数回のボランティア慰問のみという、従来の特養の暗く寂しいイメージを払拭すべく、権頭さんは、建物の1階にラジオ・スタジオとカフェ、5階に貸しスペースや学習室を作った。スタジオ完成は12年。コミュニティFM局から放送枠を買い取って、FM放送を開始した。そんなとき、グループホームの入居者が権頭さんにこう言った。「私ね、まだ、元気だから、働きたいんよ」「みなさん、お仕事をして、やっぱり社会とつながっていたいんだな」そう改めて痛感したとき閃いた。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。そうして、レギュラーに落ち着いたのが、現在のあめちゃんずの3人なのだ。放送では終始、三人三様のキャラクターが光っていた。同じことを何度も繰り返したり、脈絡がなかったり。でも3人の会話はとても楽しそうで、そこがリスナーの心を和ませる。現代の日本において、認知症は、介護される世代にも介護する世代にも、最もおそれられているといっても過言ではない。だが、認知症になっても、それは決して絶望ではない。意思は通じないかもしれない。でも「楽しい」と思える瞬間は共有できる。仲間とも、家族とも、あなたとも、そんな絆が確かにある――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.2MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「みなさま、こんにちは~。『ラジオ@オレンジカフェ』の時間になりました」ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。パーソナリティは、3人。酒井清子さん(87)、中村文子さん(90)、天神ツキミさん(88)。3人で、パーソナリティトリオの「あめちゃんず」だ。3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」それから、ひらめいたという。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。メンバーいちのおしゃべり上手で、時おり毒を吐く酒井さんは、昭和8年生まれの87歳。「生まれたのは北九州の若松ね。父は戦争で硫黄島に行って亡くなった。やっぱ泣いたよ、私は」ときには過去と現在が交錯する。「戦時中はこのあたりも空襲はあったよ。ここのスタッフが『ここから逃げなさい』って言ってくれるけん、それで逃げた」母も早くに他界。年の離れた兄が親代わりだった。「でもね、ここは楽しいよ。親のおらん私たちでも丁寧に扱ってくれるしね。幸せと思ったね。父もおらんで、兄と姉と3人だったから、(幼少期は)寂しかった。その点、ここは、いい人ばっかやから。ラジオも楽しいね。私、バカ言うのが好きなんよ。冗談とかがね」一方、天神さんは、自分のことを「テンコ」と呼ぶ。「テンテンテン鞠、テン手鞠♪って歌があるじゃないか。テンコは鹿児島の田舎、川辺郡(現・南九州市)川辺町上山田で生まれました。何歳ですかねぇ。もういい年よ。顔のよかオゴジョって言われよったよ、私は。別嬪さんちゅうこと。それが今は誰一人としてほれてくれる人も、『おまえかわいいのう』と言ってくれる人もおりません!」ラジオでのことを聞くと、すでに記憶にないようだった。「は?私がなんでラジオやる?おしゃべりは多いと。黙っといたら寂しいでないかい。日は長いし、誰もしゃべってくれる人がおらんと『ああ、寂しい』ってなるからね。そうするとボケがくるんだよ。ある程度、年を重ねたら、独り言でもいいから、小さな声でしゃべったり、歌ったりせんとね。しまいにはもう何が何だかわからんことなって、ションベンしかぶるわ!」お姉さんキャラで、世話好きの中村さんは、いつも柔らかな笑みが絶えない。「生まれたのは昭和5年6月3日。だからもう90歳!」と、90歳に力をこめた。生まれは愛媛県。学校を出た後、紡績工場や製鉄会社の電話交換手などをして懸命に働いたという。「働きづめやった。こっち(福岡県)に来て、戦争の真っ最中に国鉄に勤めよってね。切符切りしよったの。みんなが疎開してくるやろ。それを区別せないけんから、貨車から飛び降りよったしね」話の後半は、理解不能。でも、そのままを受け止めればいい。何度も繰り返した言葉は、「楽しい」だった。「ラジオ?楽しいよ。私ね、なんでも参加するの。散歩も楽しい」権頭さんは言う。「あめちゃんずの3人は、ラジオに出るようになって、とても前向きになった気がします。お話も上手になった。聞いている人を意識するようになったからですね。『何が何だかわからない』と言っていた人が、『何か面白いこと言わな』『笑ってくれたらいいな』と、考えているのが伝わってくる。進歩してる。すごいことです」ラジオの生放送を終えた後、近所の公園を出演者5人で散歩した。「ここはええね。明るくて、桜もきれいで」少し前に足首をひねった酒井さんは車いすだが、車いすを押す権頭さんに盛んに話しかけている。中村さんと天神さんは、小島さんに手を引かれ、のんびり歩いた。「あめちゃんずのラジオを通して、認知症になっても、一緒に会話を楽しめるんだよということをもっと皆さんに知ってほしいですね。認知症=不幸せと思ってほしくないんです。認知症を患ったからといって、何もできないわけではない。まして怖い人でも、迷惑かけるばかりの厄介者でもない。一緒にいるだけで、ほっこりした気持ちにさせてもらえる。癒されるし、優しい気持ちにさせてもえる。そのゆったりとした優しい時間を1人でも多くの方に味わっていただいて、正しい認知症の姿を知ってほしいと思っています」と、権頭さん。「あめちゃんずの皆さんには100歳を目指していただきたいですね。3人で、300歳で、ラジオでおしゃべり。そのときどんな会話が飛び出すか。楽しみでしょうがないです」そろって眩しそうに満開の桜を見上げるあめちゃんず。3つの笑顔が明るい春の日に輝いていた――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日アカデミー賞主演男優賞に“史上最高齢”ノミネート、先日の英国アカデミー賞(BAFTA)では史上最高齢で主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンス渾身の『ファーザー』。この度、アンソニーのインタビュー映像が到着した。本作で、半世紀を超える役者人生の最高傑作にして集大成ともいえる演技を披露したアンソニー。演じるにあたり参考にしたのは自身の父だという。「私は父を演じたんです。父は認知症ではありませんでしたが最後の数週はその兆候が見えました。死を恐れるあまりとても怒っていて、目が合うだけで身がこわばりました。そんな父を思い出しながら演じたので実に簡単でしたよ」と驚きの事実を明らかにする。また、助演女優賞にノミネートされているオリヴィア・コールマンとの共演、娘アンという役柄については、「オリヴィアはとにかくすばらしいの一言に尽きます」と話す。「アンは父を愛しているからこそ心を引き裂かれるんです。父の症状が進むほど彼女の絶望は深くなります。私は彼女に対して残酷ですからね。私の父も私に対してそういう態度を取っていました」と言い、「私には父が恐れているのが分かりました。アンに対する私の態度も同じです」と実際の父との経験から、恐れや弱さによって、そういう態度を取ってしまうことへの理解を示した。認知症と死というテーマについて問われると、「この役を通して多くの学びと気づきを得ました。自分自身の人生の終わりを意識するようになり、命が美しいものに思えてきました。なぜ人は生きているのだろうか。自分の“葉”を1枚ずつ失うのはどんな気分だろうか。人生の勉強になりました」と、さすがの人生経験があるからこそ、その言葉は重い。そして、引退について問われると、「私はまだまだ引退する気はありません。私は老戦士ですからね」と力強く現役宣言を行なった。現地時間4月10日に開催されたBAFTAでは、『マ・レイニーのブラックボトム』の故チャドウィック・ボーズマン、『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』のリズ・アーメッド、『アナザーラウンド』のマッツ・ミケルセンといった強豪たちを制して受賞したが、授賞式には登場せず。そのとき何をしていたかというと、自分が受賞するとは思っておらず、滞在先のホテルで授賞式の中継も見ずに絵を描いていたそうで、フロリアン・ゼレール監督からメールが届き自分の受賞を知ったそう。これまで、『羊たちの沈黙』(91)でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、『日の名残り』(93)では同・主演男優賞ノミネート、『2人のローマ教皇』(19)では同・助演男優賞にノミネートされたアンソニー。日本時間4月26日に行われるアカデミー賞授賞式では、史上最高齢主演男優賞ノミネートなど気にすることなくマイペースに、家族とウエールズに滞在予定だという。『ファーザー』は5月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
2021年04月23日コロナ禍で、手洗いとともにうがいを習慣化した人も多いだろう。そのためか、今シーズンはインフルエンザの流行がなかったという。「うがいは感染症対策として有効ですが、それだけではありません。動脈硬化や脳梗塞、糖尿病から認知症までさまざまな病気のリスクを下げる効果が期待できます」そう話すのは歯科医の照山裕子先生だ。怖い病気が並び、うがいとすぐには結びつかないが……。「新型コロナウイルスなども脅威ですが、実は、もっと怖いのが歯周病菌です。歯周病の方はそうでない方に比べ、脳梗塞や心筋梗塞になる確率が約3倍、糖尿病にかかる確率が約2倍、アルツハイマー型認知症を悪化させるというデータもあります。しかも歯周病は、ギネスブックにも掲載された“世界でもっとも患者数の多い感染症”です。日本では、20歳以上の約8割がかかっているといわれます。大病を避けるには、ばい菌や歯周病菌のエサとなる食べかすなどをうがいでかき出し、口内をクリーンに保つこと、歯周病菌を増やさないことが大切なのです」(照山先生・以下同)コロナ以降、うがいの回数を増やした人も多い。「ただ、正しいうがいのやり方を知らない人が多い印象です。やり方を間違えると、ばい菌が残る“ダメうがい”になってしまいます」照山先生に教えてもらった詳しい方法は次の通りだ。■1回35秒!全力うがいのやり方(1)水を口にふくむ。量は少なめの「おちょこ1杯」ほど。(2)上の歯をきれいにする。上の歯に向けて全力で10往復7秒間ブクブクうがいをし、水を吐き出す。(3)下の歯をきれいにする。下の歯も同様、全力で10往復うがいをする。より高速でできればなおよい。(4)左右の奥歯をきれいにする。口の中の中央から右側奥歯に向けて全力でうがいをする。終わったら左側奥歯も同様にする。左右両方とも、10往復を7秒で。(5)最後は上を向いて7秒間ゴロゴロうがいをする。むせない程度に喉の奥まで水を入れよう。これで終了。「なにより力いっぱい全力で、口内に激しい水流を作るのがコツです。口に含む水は少なめで、水流で食べかすやばい菌をかき出すイメージです。できるだけ速く7秒でブクブクを10往復。慣れたら10往復3秒を目指してください。これを歯の上、下、左、右とブロックごとに行い、最後にゴロゴロうがい。トータル35秒で全力うがいの完成です。うがいの後『口の周りが疲れた』と感じたら、じょうずにできた証拠です」なかには、うがい薬やマウスウォッシュを使う人もいるが。「うがい薬やマウスウォッシュにはばい菌を殺す効果がありますが、何度も使うと口内のよい菌まで殺してしまったり、口内粘膜が荒れることも。だから、全力うがいは水だけでOK。もしうがい薬などを使うなら、外出先から帰ったときや、これからマスクをはずして会食しようというタイミングで、1日1回程度がよいでしょう」全力うがいは、いつ行うのが効果的なのだろうか。「外出後はもちろん、食後や歯磨きの後、朝起きたとき、夜寝る前にも。水だけですから、何度やっても副作用はありません。うがいの回数が多いほど、口内をきれいに保てます。また、全力うがいは口周りの筋肉のトレーニングにもなります。1日3回の全力うがいを2週間続けると、ほうれい線が目立たなくなり、ハリが出ますよ」感染症も大病も避けて、ほうれい線も撃退できるなら、「うがいは全力で」やるしかない!「女性自身」2021年4月27日号 掲載
2021年04月21日