ニューヨーク発のティーブランド、ハーニー&サンズ(HARNEY & SONS)は、東京にて開催の展覧会「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」を記念して、メトロポリタン美術館とのコラボレーションティーを、国立新美術館内特設ショップをはじめ、ハーニー&サンズ表参道、ジェイアール名古屋タカシマヤなどにて発売。ハーニー&サンズとメトロポリタン美術館が共同開発ニューヨークを本拠地とするハーニー&サンズは、同じくニューヨークに位置し、世界屈指のコレクションを所蔵しているメトロポリタン美術館と様々な交流があり、美術館の魅力や芸術性を表現するティーを共同開発した。今回、東京にて「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」が開催されるのを記念し、ハーニー&サンズとメトロポリタン美術館によるオリジナルティーが満を持して本格的に日本上陸する。茶葉を入れる缶には絵画のプリントを施し、アートな佇まいに仕上げている。甘くスパイシーなフレーバーティーなど3種コラボレーションティーは3種類を用意。ハーニー&サンズのシグネチャー「ホット・シナモン・スパイス」にアップル・ピースをブレンドした「HOT APPLE SPICE BLACK TEA」は、甘さとスパイシーな風味の両方を感じられるフレーバーティーだ。また、カモミール、ペパーミント、バーベナをブレンドしたハーバルティー「GARDEN THERAPY HERBAL TEA」は、1800年代後半のモネが描いた風景画の情景を思わせる風味に。紅茶と緑茶をベースに、ベルガモットオイルをプラスした「TASTE OF BRITISH HISTORY BLEND」は、メトロポリタン美術館ブリティッシュ・アート・ギャラリーのリニューアル・オープンを記念して作られた、ベーシックなフレーバーを楽しめる。表参道で期間限定スペシャルメニューもさらに、ハーニー&サンズ 表参道では、「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」開催を記念した期間限定スペシャルメニューを2022年2月16日(水)から提供。桜のアイスクリームや桜のバームクーヘンといった春を感じるスイーツや、華やかな彩りのサラダ、クロワッサンサンドイッチなどを、ハーニー&サンズのティーとともに味わうことができる。【詳細】ハーニー&サンズ「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」コラボレーションティー「HARNEY & SONS×THE MET」発売日:2022年2月9日(水)販売場所:国立新美術館 企画展示室1E メトロポリタン美術館展会場内特設ショップ(東京都港区六本木 7-22-2)、ハーニー&サンズ 表参道、ジェイアール名古屋タカシマヤ 地下2階、ハーニー&サンズ 公式オンラインショップ※ジェイアール名古屋タカシマヤでは2022年3月1日(火)~発売。・HOT APPLE SPICE BLACK TEA 20サシェ入り 3,240円・GARDEN THERAPY HERBAL TEA 20サシェ入り 3,240円・TASTE OF BRITISH HISTORY BLEND 20サシェ入り 3,240円■スペシャルメニュー「ハーニー&サンズ スプリング スペシャル」提供期間:2022年2月16日(水)~場所:ハーニー&サンズ 表参道住所:東京都渋谷区神宮前4-2-14メニュー:トマトと生チーズのミニガーデンサラダ、3種類のクロワッサンサンドイッチ、ハーニー&サンズ スウィーツお重~2022年春バージョン(ダージリンゼリー&ムース、桜のアイスクリーム、桜のバームクーヘン、チョコケーキ、アールグレイマカロン)、好みのハーニー&サンズティー
2022年02月13日大阪市の中心地・中之島に、2月2日に「大阪中之島美術館」がオープンした。近代的なビルが立ち並ぶエリアの中に、黒くて四角い建物。それが、美術館建設構想から約40年を経て開館する、誰もが待ちに待った「大阪中之島美術館」だ。開館記念『Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―』展覧会場5階展示室入口開館記念展は、『Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―』と名付けられた。これまで収集してきた6000点以上のコレクションの中から、近現代の絵画、彫刻、写真、ポスターなどを中心に、選りすぐりの作品を見ることができる。佐伯祐三 《郵便配達夫》1928 年、大阪中之島美術館蔵この佐伯祐三のコレクターだった、大阪の実業家である山本發二郎のコレクションが大阪市へ寄贈されたことから、「大阪中之島美術館」の歴史がスタートした。山本發二郎コレクションは、書やアジアの染織といったものも含まれている。展示室の様子書と染の作品が同じ展示室、なんてユニーク!それどころか、いずれの展示室も、扱うジャンルの幅はとても広い。大阪は、洋画家、日本画家、写真家など多く活動した町。だから実に多くの、バリエーション豊かな作品が並んでいる。展示室の様子例えば、近代の大阪では、女性画家の活躍があった。こうしたことは長らく忘れられていたが、大阪市は1990年に美術館準備室を設置して、作品収集と同時に調査研究も深めてきた。作家の名前は知られていなくても、美術史や大阪にとって重要な作家や作品がある。戦後日本を代表する芸術運動「具体美術協会」(具体)もそうだろう。展示室の様子具体は、この作品の作者、吉原治良を中心に活動をしていた。彼らの活動拠点「グタイピナコテカ」は、この大阪中之島美術館が建つ中之島にあったことを知る人は多くない。展示室の一部を黒い壁にしたのは、「グタイピナコテカ」の壁が黒かったからで、具体をより深く知る機会となっている。展示室の様子同展は、デザインや複製芸術の作品も充実。家具のようなインダストリアルデザイン、サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)のポスターが展示されている。担当学芸員のおすすめは、この並んだ椅子の、影!椅子そのもののフォルムもさることながら、シルエットで見る椅子に、また違った魅力を感じられる。美術館の中も紹介しよう。エスカレーターや階段、歩道が交差する美術館内部「館内案内」には、3階がない!美術館の中心の大きな吹き抜けを「3階はどこ」と見ると、人が行き来するためのエスカレーターや階段、歩道が交差していて、その構造に近未来なイメージを受けるはず。ミュージアムショップミュージアムショップは、明るく、開放的だ。作品のポストカード、書籍やグッズなどが販売されている。親子休憩室子供を連れて来館したいとき、この親子休憩室は便利。プレイルームはもちろん、授乳室が3室あり、子供用トイレも備わったトイレも広々としている。芝生広場を5階の窓から臨む美術館2階からつながる芝生広場は、にぎやかな大阪の街にぽっと生まれたゆとりのよう。大阪出身のアーティスト、ヤノベケンジによる2021年の作品《シップス・キャット(ミューズ)》も必見!ヤノベケンジ《シップス・キャット(ミューズ)》2021年、大阪中之島美術館蔵春にオープン予定のワークショップルーム春以降、ワークショップルーム、アーカイブズ情報室、レストランなどがオープンする。この写真で分かるように、美術館内のピクトグラムはシンプルで分かりやすい!ぜひチェックしてみて!まだまだ厳しい世の中において、大阪中之島美術館のオープンは、アートファンの心を明るく灯す光のよう。感染防止を徹底して、ぜひ実際の美術館に足を運んで、本当に盛りだくさんの作品を目に入れてほしい!取材・文:藤田千彩【開催概要】大阪中之島美術館 開館記念『Hello! Super Collection 超コレクション展―99のものがたり―』会場: 大阪中之島美術館() (大阪府大阪市北区中之島4-3-1)会期:2022年2⽉2⽇(⽔)~ 3⽉21⽇(⽉・祝)休館日:月曜日(3月21日は開館)開館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)美術館公式サイトは こちら()※日時指定事前予約《優先》制
2022年02月02日諸橋近代美術館では、2022年4月27日から展覧会「ヒストリア~神話と物語の世界~」を開催いたします。神話や物語から着想を得て生まれた作品にフォーカスし、神秘と幻想の世界をオリジナリティ溢れる表現で描いた20世紀を代表するスペイン出身の芸術家サルバドール・ダリの作品を中心に、美しくも生々しい物語の世界をご覧いただきます。4月27日開幕「ヒストリア~神話と物語の世界~」西洋絵画史において、ギリシャ・ローマ神話やキリスト教は代表的な主題として扱われ、多くの芸術家が物語を着想源に作品を描いています。神話や宗教などの古典主題の原典が近現代に至ってどのように受け継がれ、またどのように表現されたのか、その変遷の“ヒストリア”をご紹介します。本展では、ダリとともに、ピカソやボナールなど、諸橋近代美術館がコレクションする様々な神話や物語をテーマにした作品をお楽しみください。【展覧会概要】「ヒストリア~神話と物語の世界~」会期 :2022年4月27日(水)~7月3日(日) ※会期中無休会場 :諸橋近代美術館(福島県耶麻郡北塩原村桧原剣ヶ峯1093-23)観覧料:一般 1,300円/高校・大学生 500円/中学生以下 無料 <常設展示も含む>※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保険福祉手帳のご提示で所有者と付添者(1名のみ)は無料です。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月25日1982年11月3日、『開館記念展印象派からエコール・ド・パリへ』の開幕とともに開館した埼玉県立近代美術館。以来、多彩な時代・ジャンルの美術や文化を紹介する独自のテーマの展覧会を多く開催してきた。そんな埼玉県立近代美術館の活動とコレクション形成を収蔵作品とアーカイブ資料によって振り返る『開館40周年記念展 扉は開いているか―美術館とコレクション 1982-2022』が、2月5日(土)より開催される。これまで、埼玉県ゆかりの作家の作品を中心に、約3,900点を数える国内外の近現代美術の作品資料を収集。MOMASコレクション(所蔵品展)や企画展、教育普及事業などで紹介してきた。同展では、今年、2022年に開館40年を迎える埼玉県立近代美術館そのものに焦点を当て紹介。同館の原点ともいえる、埼玉県ゆかりの洋画家を軸に始まった美術館の初期の活動、黒川紀章の設計による美術館建築のほか、美術館の活動と結びつきながら成長するコレクション、コミッションワークやプロジェクトなど、様々な視点から40年間の活動を紹介。美術館が築いてきた土台を検証するとともに、これからの美術館を展望する。斎藤豊作《フランス風景I》1910年頃制作:黒川紀章建築都市設計事務所《埼玉県立美術館(仮称)建設工事基本設計図(立面図)》1979年瑛九《雲》1959年宮島達男《Number of Time in Coin-Locker》1996年【開催概要】『開館40周年記念展 扉は開いているか―美術館とコレクション 1982-2022』会場:埼玉県立近代美術館会期:2022年2月5日(土)~5月15日(日)※会期中展示替えあり時間:10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)休館日:月曜(3月21日、5月2日は開館)料金:一般1,000円、大高800円美術館公式サイト:
2022年01月24日近鉄グループの文化事業である大和文華館では、1月5日(水)から2月13日(日)まで、「日本のやきものー縄文土器から近代京焼までー」展を開催いたします。この展覧会では、館蔵の縄文時代から江戸時代までのやきものと、特別出陳の近代京焼を展示します。日本のやきものの歴史は、縄文土器より始まります。土器の時代が長らく続いた後、古墳時代にはろくろ成形し還元焼成する須恵器が、奈良時代には人工的に釉薬をかける施釉陶が登場します。中世には、素朴な焼締陶が多く作られ、日常の雑器として広く用いられました。桃山時代には、茶の湯の隆盛にともない、斬新な茶陶が盛んに作られ、やきものの世界が活性化します。江戸時代には、まず有田において磁器の焼成に成功し、日本各地で様々な陶磁器が生産されました。特に京焼では、江戸時代前期、野々村仁清によって陶器に上絵具で絵付けする色絵陶器の技術が大成されます。多くの典雅な色絵陶器が作られるとともに、江戸時代後期には磁器の焼成も可能になり、文人趣味的な清雅な器も好まれました。明治維新後には衰退の危機もありましたが、技術やデザインを磨いて進化し、多様な魅力を持つ近代京焼の作品が生み出されました。日本のやきものの悠久の歴史とあくなき創造にご注目ください。<1> 展覧会について1.名称 「日本のやきもの―縄文土器から近代京焼まで―」2.会期 2022年1月5日(水)~2月13日(日)月曜日休館(ただし、1月10日〈月・祝〉は開館し、11日〈火〉が休館)3.開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)4.入館料 一般 630円 高校・大学生420 円 小学・中学生 無料5.主催 大和文華館6.出陳品数 82件◎=重要文化財【やきもののはじまり】・縄文大壺(縄文)◎埴輪鷹狩男子像(古墳)【古代の須恵器・施釉陶】・須恵器長頸壺(奈良)・二彩碗(奈良)【中世の焼締陶・施釉陶】・灰釉壺 丹波(鎌倉)・白天目茶碗(室町)【桃山茶陶とその展開】・志野柳文鉢 美濃(桃山)・赤織部瓜文角皿 美濃(桃山)・奥高麗茶碗 唐津(江戸前期)【有田磁器とその展開】◎染付山水文大皿 有田(伊万里)(江戸前期)・色絵菊花文八角瓶 有田(柿右衛門)(江戸中期)【京焼とその展開】・色絵おしどり香合 京都 野々村仁清作(江戸前期)・光琳筆銹絵菊図角皿 京都 尾形乾山作(江戸中期)・色絵鳥文鉢 淡路 賀集珉平作(江戸後期)【近代京焼】・色絵龍文蓋付壺 丹山青海作(明治) 個人蔵・金地色絵鶴文角皿 初代伊東陶山作(大正) 個人蔵・青磁石蕗文瓶 七代錦光山宗兵衛作(大正) 個人蔵<2> 展覧会会期中のイベントについて1.特別講演「京焼って何?これを知っていれば京焼マスター」(1)日時・場所 2月6日(日)午後2時から講堂にて(2)講師 京都女子大学准教授 前崎信也氏2.日曜美術講座「京焼と琳派の意匠」(1)日時・場所 1月30日(日)午後2時から講堂にて(2)講師 大和文華館 学芸部課長 宮崎もも3.列品解説(1)日時・場所 毎週土曜日午後2時から(2)解説 大和文華館 学芸部※新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、スライドによる展覧会解説となる場合があります何れのイベントも参加は無料ですが、入館料が必要です。新型コロナウイルス感染症対策について 以上 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年12月24日日本初のタロットカード美術館「東京タロット美術館」が、東京・浅草橋に誕生。2021年11月16日(火)よりオープンする。日本初!タロットカード専門の美術館「東京タロット美術館」は、日本で最初にタロットカードの輸入販売をはじめたニチユーが手掛ける、日本初のタロットカード専門美術館だ。ニチユーの直営施設としてオープンする美術館は、同社が保有する約3,000種類のタロットカードのコレクションをもとに、企画展示を実施。普段はなかなか出会えない希少なタロットカードの公開をはじめ、絶版品を含む約500種類のタロットカードの展示販売も常時実施する。ライブラリースペースを併設また併設のライブラリースぺースでは、約1,000種類のカードの絵柄をオリジナルのカタログで閲覧できるほか、カードサンプルや関連書籍も自由に読むことが可能。そのほか手土産にもぴったりなオリジナルグッズや、セレクト商品の販売も行われる。原画展示や占星術のセッションなどなお「東京タロット美術館」では、今後タロットカードの原画展をはじめ、タロットや占星術を用いた対面セッションなど、タロットにまつわる様々な企画を計画中。来館の際は日時指定の予約制となっているため、気になる人は是非チェックしてみてほしい。【詳細】「東京タロット美術館」オープン日:2021年11月16日(火)住所:東京都台東区柳橋2-4-2 Ubase浅草橋6階営業時間:平日 10:00~20:00、土曜日 9:00~18:00 ※公式ウェブサイトから予約制。入館料:500円定休日:日曜日(イベント開催日は除く)、祝日、年末年始、他季節休業有
2021年11月18日2017年に約30年間活動した旧八戸市美術館が閉館し、生まれ変わった八戸市美術館が11月3日(水・祝)にオープンした。新しい美術館は、建築家の佐藤慎也館長のもとに「種を蒔き、人を育み、100年後の八戸を創造する美術館〜出会いと学びのアートファーム〜」をコンセプトとしている。「もの」としての美術品展示を中心とした従来の美術館とは異なり、アートを介した人の活動に焦点を当て、「もの」や「こと」を生み出す新しい形の美術館となる。同館では、美術館活動に主体的に関わる人を「アートファーマー」、美術館活動を一緒に行う市民や団体、教育機関、企業などを「共創パートナー」と呼ぶ。アーティストや美術館スタッフ、市内外から訪れる多様な人々がともに活動し、新たな文化が創造され、八戸市全体の活性化にもつながることを目指している。テープカット。手前が佐藤慎也館長、隣が開館記念「ギフト、ギフト」のディレクター、吉川由美。老朽化していた建物は、西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体によって全面的に建て替えられた。美術館を象徴する面積約834㎡、天井高約17mの巨大空間「ジャイアントルーム」では、プロジェクトで話し合ったり、つくったり、ライブイベントが行われたりと、多様な動きが同時多発的に起こる。9mのカーテンや家具で自在に空間を仕切ることができるジャイアントルーム。また、展覧会を行う「ホワイトキューブ」やコレクションを展示する「コレクションラボ」、映像展示に適した「ブラックキューブ」、パフォーミングアーツや展示、講演を行う「スタジオ」など、それぞれの機能に特化した「個室群」が並ぶ。その時々でこれらの部屋を自由に組み合わせることも可能だ。開館記念「ギフト、ギフト、」は、アートプロデューサーの吉川由美をディレクターに迎え、八戸のシンボル「八戸三社大祭」を出発点として企画された。9組のアーティストと、共創パートナー「八戸クリニック街かどミュージアム」の浮世絵コレクションからなる展覧会、向井山朋子によるパフォーマンスプロジェクトで構成されている。八戸では、お年寄りから子どもまでが山車造りに参加するなど、世代を超えて祭りが受け継がれている。そうした創造活動を、過去から未来へ、人から人へと循環する「贈与」=ギフトとして展覧会が構想された。大西幹夫「八戸三社大祭絵巻」展示風景切り絵作家、大西幹夫が八戸三社大祭300年の歴史を描いた「八戸三社大祭絵巻」の切り絵とアニメーション映像から始まり、写真家の浅田政志が祭りを支えるコミュニティを撮影した写真群へと続く。山車からイメージを膨らませた桝本佳子の陶器や半磁器。田附勝が八戸発祥といわれるデコトラ(電飾で飾ったトラック)を撮影した写真。いずれも八戸を賑わす音や声が聴こえてくるようだ。浅田政志の新作写真14点と膨大なスナップ写真(市民より提供)を展示桝本佳子《波濤/皿》2021年田附勝が撮影したデコトラ写真の展示風景三社大祭に使われた山車彫刻を、市民から集めた柄毛布で包み、彩った江頭誠のインスタレーションは圧倒的だ。また、美術館を建築した西澤徹夫、浅子佳英、森純平がアーティストとしても参加。八戸の文化をリサーチして制作した「八戸文化資源相関図」では、漁業や遊郭、消防屯所などの解説の合間に、八戸市美術館の所蔵作品が組み込まれている。また、田村友一郎、KOSUGE1-16が現代社会の中のギフトのありように問いを投げかけてもいた。江頭誠《おやすみのあと》2021年西澤徹夫、浅子佳英、森純平《八戸文化資源相関図》展示風景KOSUGE 1-16《インバウンドおじさん》2021年八戸を知ることから、日本及び世界にも通じる問題や提案が、明るさやユーモアを交えて表現された展覧会だった。今後、美術館にどのような景色が繰り広げられていくのか楽しみだ。取材・文・撮影(外観以外):白坂由里【開催情報】『八戸市美術館開館記念「ギフト、ギフト、」』11月3日(水・祝)~2022年2月20日、八戸市美術館にて開催
2021年11月15日諸橋近代美術館は豪雪地帯のため11月8日(月)から冬期休館いたします。また、今年は一部工事に伴い、例年より早い休館となります。昨年12月初旬の諸橋近代美術館【冬期休館期間】2021年11月8日(月)~2022年4月26日(火)【次年度再オープン予定日】2022年4月27日(水)予定※状況によって日程が変更になる場合がございます。<イベント情報>冬期休館中もリモートイベントなどを開催する予定です。現在確定イベントはございませんが随時更新して参ります。 <各種お問い合わせ>冬期休館中もお問い合わせは承っております。電話:0241-37-1088(9:00~18:00)web問い合わせフォーム: ※土・日・祝日、年末年始を除く 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月04日「美男」をテーマにしたユニークな展覧会『美男におわす』が、埼玉県立近代美術館で11月3日(水・祝)まで開催されている。絵画作品のみならず、アニメやまんがなど日本の視覚文化に表された理想の男性像を探っていくという内容だ。日本美術において「美人画」と呼ばれている作品は、「人」と銘打っているにも関わらず、のほとんどが女性をモデルとして描かれている。もちろん、昔から武士や歌舞伎役者など美しい男性の絵も数多く描かれている。けれども「美人画」というカテゴリーのなかに男性は入ることはなく、そして今日まで「美男画」といった言葉や概念が誕生することもなかった。本展は、これまで描かれてはいたものの、語られることはなかった「美男」について、江戸時代から現代に至るまで、時代やジャンルの壁を越え、さまざまな作品で紹介していくものだ。「美男におわす」という展覧会タイトルは、与謝野晶子が鎌倉の大仏を詠んだ短歌「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな」に由来している。全5章構成で、さまざまな角度から美男を検証する。第2章展示風景より第1章「伝説の美少年」では、聖徳太子や曽我兄弟や源義経、天草四郎など、伝説的に美しいとされた男性たちを紹介する。流れる歴史のなかで、理想化された男性たちは写真もないのに、いつのまにか「美男」であったことにされ、そして描かれていく。本展は、日本画やまんが、現代美術、近代や現代などジャンルや時代区分で区切ることなく、混在させて展示させているのも特徴のひとつだ。現代美術作家の入江明日香《L’Alpha et L’Omega》の屏風も浮世絵や近代日本画とともに展示されている。左:松本楓湖《牛若》1874年右:今村紫紅《笛》1900年入江明日香《L’Alpha et L’Omega》 2019年第2章の「美しい男」は、愛でる対象として描かれた男性イメージを取り上げる。僧侶に仕えた稚児、武将たちに仕えた小姓のように、日本では古くから成人男性の身の回りの世話をする若年男性(若衆)たちの存在があった。近世の絵画でさかんに描かれた若衆たちの姿は、明治期に入ると健康的な肉体を持つ男性として描かれ、大正期には退廃的に描かれるようにもなり、時代によって大きく姿を変えていく。高畠華宵の表紙による『日本少年』1927〜1932年左:金子國義《メッセージ》1983年右:金子國義《殉教》1995年第3章の「魅せる男」はスター性を帯びた男性像を紹介する。江戸時代より人々を魅了したのはなんといっても歌舞伎役者たちだ。彼らが演じる姿は役者絵として描かれ人気を博していく。続く第4章は「戦う男」。男性美のイメージに付随する「力強さ」は、時代を越えて描かれるテーマであり、現代の私達の心をひきつけてやまない。第3章「魅せる男」より左:鳥居清忠《夏祭》大正時代右:山村耕花《梨園の華七世松本幸四郎の助六》第4章「戦う男」より 左:高畠華宵《杜鵑一声》1926年右:高畠華宵《馬賊の唄》1929年そして、展覧会は第5章「私の『美男』、あなたの『美男』」でフィナーレを迎える。伝統的な屏風絵のなかで、14名の若い男性が田植えやバーベキューにいそしむ木村了子《男子楽園図屏風 - EAST & WEST》、整った顔立ちと推察されるものの、その顔が骨に覆われて見ることができない金巻芳俊《空刻メメント・モリ》、日常生活の光に照らされた全裸男性を描く井原信次の作品など、現代に生きる作家たちは、自らが考える美男を特定の様式にとらわれず自由に描く。木村了子《男子楽園図屏風 - EAST & WEST》2011年金巻芳俊《空刻メメント・モリ》2021年左:井原信次《Afterimage》2018年右:井原信次《Daily gate》2012年アーティストが描く美男が多様であるように、鑑賞者の考える美男もまた多様だ。美男を鑑賞しながら、そのなかでも自分の理想の美男とはどのようなものかを考えていくと、より楽しくなっていく、刺激に富んだ展覧会だ。構成・文:浦島茂世【開催情報】『美男におわす』2021年9月23日(木・祝)~ 11月3日(水・祝)、埼玉県立近代美術館にて開催。
2021年10月15日福島県随一のリゾート地、北塩原村(通称・裏磐梯)にあるアジア最大級のダリ作品を所蔵する諸橋近代美術館では、ワーケーションリゾート事業の一環として、9月19日(日)よりライトアップを開催いたします。また、9月25日(土)にナイトミュージアムを開催いたします。裏磐梯の自然に美術館が浮かび上がる!ワーケーションリゾートが注目を集める現在。日中に雄大な自然の中で仕事に集中した後、夜のリゾート地での新しい過ごし方として、美術館もお楽しみいただけます。※悪天候時は、一部中止・延期の場合がございます。最新情報はHPでご確認ください。※福島県に緊急事態宣言が発出された場合または会津地方でまん防が発出された場合において、本イベントを中止といたします。予めご了承ください。<<美術館ライトアップ>>中世の馬小屋をイメージしたシンボリックな美術館の外観が裏磐梯の大自然に浮かび上がります。日程: 2021年9月19日(日)~2021年9月26日(日)時間: 17:00~18:30<美術館内利用は9:30~17:00(最終入館16:30)まで>※9月25日(土)のみ19:00迄料金: 庭園のみの入場は無料(撮影のみOK)詳細: <<ナイトミュージアム>>通常は9:30~17:00(最終入館16:30)の開館ですが、9/25のみ19:00(最終入館18:30)まで延長開館いたします。秋の夜中を美術館でお楽しみください。日程: 2021年9月25日(土)時間: 19:00(最終入館18:30)まで延長開館。料金: 通常展覧会観覧料(一般 1,300円/高校・大学生 500円/中学生以下 無料)※尚、入場を制限させていただく場合がございます。予めご了承ください。※ミュージアムショップ 9:30~18:30/ミュージアムカフェ 10:00~ラストオーダー18:00詳細: 【開催中の展覧会の概要】コレクションテーマ展「ステッピング・アウト~日常の足跡~」会期 :2021年7月13日(火)~2021年11月7日(日)時間 :9:30~17:00(最終入館16:30)※9/25のみ上記に変更料金 :一般 1,300円/高校・大学生 500円/中学生以下 無料アーティスト:サルバドール・ダリ、PJ クルック 他 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月17日人々は何をどのように学んできたのか?19世紀後半以降、日本列島に近代国民国家が成立していく様相を、“学び”の視点から紐解く展覧会『学びの歴史像―わたりあう近代―』が、10月12日(火)より千葉・国立歴史民俗博物館にて開催される。同展では、幕末から明治という怒涛の流れの中にあった「学び」の姿を、対外関係史、文化史、経済史、医療・衛生史、アイヌ史など、さまざまな切り口から読み解いていく。アイヌ民族の歴史や言葉、首里や八重山の近代関係資料など、全国各地の資料を一堂に公開するほか《ブラントン日本図》や《元ト昌平阪聖堂ニ於テ博覧会図》など初公開の資料も含め、歴博の豊富な館蔵資料も紹介。さらに私たちにはなじみのない、唱歌教科書初代の「君が代」のメロディなどを紹介する“聴く展示”もある。伝統と近代、欧米とアジア、中央と周縁、強者と弱者など、教育や学知を通じて「国民」が生み出されていく過程を多面的に明らかにしながら、近代における“学び”の意義を考える。≪ブラントン日本図≫明治9年(1876) 国立歴史民俗博物館蔵≪開成所物産学入学姓名記≫文久2年(1862)国立歴史民俗博物館蔵≪大日本内国勧業博覧会之図≫明治10年(1877) 国立歴史民俗博物館蔵≪疱瘡神の化身≫明治8年(1875)国立歴史民俗博物館蔵【開催概要】企画展示『学びの歴史像―わたりあう近代―』会期:2021年10月12日(火)~12月12日(日)会場:国立歴史民俗博物館企画展示室A・B( )時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)休館日:月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)料金:一般1,000円、大学生500円※会期中展示替えあり※半券の提示で当日に限りくらしの植物苑に入場可※開館日・開館時間を変更する場合があり※土日祝、12月7日(火)~12月12日(日)はオンラインによる事前予約制
2021年09月16日アイドルグループ・King & Princeの神宮寺勇太が、舞台『葵上』『弱法師』 -「近代能楽集」より-の主演を務めることが14日、明らかになった。同舞台では全8編の短編戯曲からなる三島由紀夫の代表作「近代能楽集」の2編を連続上演。謡曲にも親しんできた三島が「能楽の自由な空間と時間の処理や、露わな形而上学的主題などを、そのまま現代に生かすためにシチュエーションを現代化」した作品で、能の物語を現代の設定へと落とし込みながら、現実世界を超越した能の幽玄さが違和感なく融合する独特の世界観が、演劇的にも最大の魅力となっている。『葵上』は、「源氏物語」を原典に能楽、そして近代劇へと移り変わりながらも時代を超えても変わることのない嫉妬や欲望、情念など心の内に秘められた闇を生々しくも幻想的に描いた作品で、三島自身が「一番気に入っている」と語る魂魄の劇。深夜の病院の一室を舞台に、美貌の青年・若林光(神宮寺)が入院する妻・葵の元を訪ねると、かつて光と恋仲であった六条康子(中山美穂)の生霊が現れる。『弱法師』は終末観に腰を据えた青年・俊徳(神宮寺)が、いかに大人の世界に復讐するかを軸に、滑稽にも見える両親とのやり取りと、主人公がこの世の終わりを語る長台詞、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞が印象的な作品となっている。家庭裁判所の一室を舞台に、育ての親、生みの親という2組の夫婦が俊徳の親権を争うことから物語が始まる。演出は、ストレートプレイからミュージカル、近代古典など多方面にわたる作品を手掛け、確固たる演出力で作品を創り上げてきた宮田慶子が務める。これまでトークイベントやリーディング形式の上演で「近代能楽集」の作品を紐解いてきた宮田が、この独特の作品世界をどう表現するのか注目となっている。主演の神宮寺は舞台単独初主演となり、『葵上』では美貌の青年・若林光役、『弱法師』では戦火で視力を失った20歳の青年・俊徳役という、これまで数々の名優たちが演じてきた役に挑む。また2016年の『魔術』以来5年ぶりの舞台出演となる中山美穂が、『葵上』では光のかつての恋人・六条康子を、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子を演じる。さらに『葵上』には、佐藤みゆき、金井菜々、『弱法師』には篠塚勝、木村靖司、加藤忍、渋谷はるかと、若手からベテランまで実力派キャストが結集した。東京公演は東京グローブ座にて11月8日~28日、大阪公演は梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて12月1日~5日。○演出:宮田慶子 コメント美しく格調高い台詞で織り上げられた三島由紀夫氏の戯曲は、同時に人間そのものに対する、冷徹で、時に辛辣なまでの深い洞察力に貫かれています。能の謡曲をもとに、その特色である「自由な空間と時間の処理」を生かして書かれた「近代能楽集」は、時を越えてなお、その演劇的輝きを失いません。『葵上』と『弱法師』は、どちらも魂の自立を求めて揺れ続ける青年がドラマティックに描かれます。一筋縄でいかないこの二人の青年に、神宮寺勇太さんが挑戦します。純粋さと毒気を描き出してくださることを楽しみにしています。そして両作品を、魅力あふれる中山美穂さんが支えてくださいます。時空を行き交う、感性を揺さぶる舞台にしたいと思います。○神宮寺勇太 コメント今回、初めて単独での主演舞台をやらせて頂く事を聞いた時、心臓のビクン! とする音が聞こえました。主演として舞台に立たせていただける喜びと、自分にどこまで出来るのかな?という思いが同時に駆け巡りました。ストレートプレイに挑戦させて頂くのも初めてですし、色んなことが初めてづくしな作品になります。『葵上』と『弱法師』の2作品の役を演じる事は、決して簡単ではないと思いますが、この2つの作品を演じ切ることができた後に演じる事の楽しさや、表現の幅が広がっているように、全身全霊で稽古に臨みたいと思います!来ていただけるお客様に今まで見た事のない、神宮寺勇太を大放出したいと思いますので、よろしくお願いします!○中山美穂 コメント長い芸能生活の中で、お芝居の舞台というのは1度しか経験が無く、正直不安でいっぱいです。古典文学から近代劇にされた三島作品2作ですから、尚更歴史の重みを感じています。人間の奥深い感情を、ストレートに演じることになると思うのですが、演出の宮田さん、キャストの皆さんと丁寧に思いを込めて演らせて頂きます。何より、足を運んで下さるお客様に満足頂ける『葵上』、『弱法師』をお届け出来るよう、努めて参ります。よろしくお願いします。
2021年09月14日諸橋近代美術館では週に一度、諸橋近代美術館をより近くに感じてもらいたいという思いから『モロビ全開』を配信テーマに、学芸員、ミュージアムカフェ・ショップの担当者など、さまざまな美術館の"人"が登場し、展覧会・作品解説・グッズなど、幅広い情報を紹介するライブ配信を開催しています。その模様をアーカイブとして諸橋近代美術館の公式YouTubeチャンネルで公開しています。直近では、2021年9月4日(土)に第6回目のライブ配信を開催し、アーカイブは編集した後、約1週間ほどで公開を予定しております。『モロビ全開』をコンセプトにスタッフが美術館を紹介。【過去の配信内容】(1)8月1日 (日)17:30~『展覧会はどうやって生まれた?』(2)8月7日 (土)17:30~『学芸員の作品解説』(3)8月15日(日)17:30~『ミュージアムグッズ紹介』(4)8月22日(日)17:30~『注文が多い美術館(美術館マナー解説)』etc..(5)8月29日(日)17:30~『自然と西洋近代絵画』(6)9月4日 (土)17:30~『その道具なに?展示室ってなんで暗いの?』今後、美術館がある福島県北塩原村の自然にもフォーカスし、美術館を飛び出してのライブ配信も予定しています。未だ気軽に外出できない状況が続いています。これをきっかけに、おうちにいながら美術館という非日常的な空間を、より日常的に身近に楽しんでいただければ幸いです。【ライブ詳細】・諸橋近代美術館公式Facebookからライブ配信・週1回(曜日未定、日程が決まり次第Facebook等でお知らせします)・1回20分程度・ライブ配信後、編集した動画を後日公式YouTubeでも公開【諸橋近代美術館公式Facebook】 諸橋近代美術館-ダリコレクション-235657389795063【諸橋近代美術館公式YouTube】 ▼『モロビ全開』プレイリスト 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月07日展覧会「コミュニケーションの部屋」が、2021年8月15日(日)から10月10日(日)まで、和歌山県立近代美術館にて開催される。「いま・ここ」を共有するコミュニケーション「コミュニケーションの部屋」は、“コミュニケーション”をテーマにした展覧会。メールやSNS、オンラインミーティングといったデジタルベースのコミュニケーションが活発な現代の中で、“情報を伝え共有する”というコミュニケーションの本来の意義に立ち返り、その最もシンプルな方法である、ひとところに集まって対話し「いま・ここ」を共有することにフォーカスする。展覧会という「場」における様々なコミュニケーションとは「コミュニケーションの部屋」では、展覧会を、同じ場に集って「いま・ここ」を共有するというコミュニケーションの生まれる「場」として定義。鑑賞者と作品をはじめ、作品を介した鑑賞者同士、鑑賞者と作者、もしくは鑑賞者と美術館とのコミュニケーションなど、展覧会という空間そのものや作品を通して、様々なコミュニケーションのかたちを模索する。展示作品は、和歌山県立美術館のコレクションを中心に構成。野田哲也による版画作品 《日記 1971年5月15日》や、トーマス・ルフの写真作品《肖像(P. フリース)》など、見る者に対話を促すような作品が揃う。また、所蔵作品に加え、前川紘士と那須大輔による協働制作の作品も特別出品。奈良県障害者芸術祭「HAPPY SPOT NARA 2011‒2012」を契機に作られた映像作品などのアーカイブ展示を行う。【詳細】コミュニケーションの部屋会期:2021年8月15日(日)~10月10日(日)会場:和歌山県立近代美術館 2階展示室住所:和歌山県和歌山市吹上1-4-14開館時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで休館日:月曜日 ※9月20日は開館し、翌21日休館観覧料:一般 520円(410円)、大学生 300円(260円) ※( )内は20名以上の団体料金※高校生以下、65歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料※8月28日、9月25日(毎月第4土曜日)は「紀陽文化財団の日」として、大学生無料※9月5日、10月3日(毎月第1日曜日)は入館無料
2021年08月15日熊本市現代美術館は、展覧会「こわいな!恐怖の美術館」を2021年9月25日(土)から12月5日(日)まで開催する。“恐怖や不安”をアートを通して受け止める「こわいな!恐怖の美術館 展」は、無意識を揺さぶる恐怖や不安を理知的に受け止め、「それ(恐怖や不安)」をテーマにした作品を紹介する展覧会。本展では、天災や疫病など、日常生活の様々なところに偏在する多様な“恐怖と不安”を、人間の持つ自然な感情の1つとして捉え、作品として昇華したアーティスト達の独自のセンスとユーモアを体感できる。作品を通して、恐怖や不安に対する発想の転換や、“こわい”ことに向き合って新たなアイデアを促すポジティブな内容となっている。“恐怖”から“安心”までのお化け屋敷体験迷路のような「お化け屋敷」に象徴されるように、出口がどこかわからない“恐怖”を体感できるのが、会場入口に登場する「南無サンダーの演劇お化け屋敷@大學湯」。恐怖と不安を抱えながら出口を目指し、最後に「あー怖かったね」と安心するまでの“お化け屋敷体験”をセットで楽しめる。尚、「お化け屋敷」が苦手な人には回避ルートも用意する。また、屋敷という場所そのものが悪しき場所であり「化け物」だととらえる西洋型お化け屋敷を見て取れる、オディロン・ルドンが描いた幽霊屋敷の絵画作品、出口の見えなさを“行き止まり”で表現した浜田知明の《行き止まり》なども登場する。恐怖の対象を可視化する「お化け」人々は、得体のしれない“恐怖の対象”に不安を感じ、「お化け」という可視化された存在を求める心情を持っている。実際に、江戸時代から伝わる怪談「百物語」や、都市伝説上の口裂け女、人面犬、人面魚、疫病除けのアマビエなど、数々の「お化け」を定義することで、不可解な存在を受け止めて理解しようしてきた。そんな人々の心情に共鳴するかのような、“得体のしれないもの”に形を与えた田名網敬一や浜田知明の立体作品などが登場する。恐怖と結びつく暗闇、夜の時間さらに、恐怖をあおる暗闇や、ホラー映画で恐怖の出来事が起こる“夜の時間”に着目した作品も展示。薄暗いタッチで描かれた暗闇の作品を紹介する一方で、恐怖とは対照的な“夜の楽しさ”を思わせる田名網敬一のカラフルアートや夜をモチーフにしたコーダ・ヨーコの「ヨルのキオク」シリーズなども登場。様々な真夜中のイメージを目の当たりにすることができる。【詳細】こわいな!恐怖の美術館開催期間:2021年9月25日(土)~12月5日(日)会場:熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館 3階休館日:火曜日、11月24日(水) ※ただし11月23日は開館開館時間:10:00~20:00(展覧会入場は19:30まで)観覧料:一般 1,100(900)円、シニア(65歳以上) 900(700)円、学生(高校生以上) 600(500)円、中学生以下 無料※( )内は前売/20名以上の団体/各種障害者手帳を提示した人と付き添い1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等)、電車・バス1日乗車券、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証/美術館友の会証を呈示した人。前売の販売は9月24日(金)まで。※10月10日(日)は熊本市現代美術館開館記念日を祝して入場無料。チケット取扱い:熊本市現代美術館、イープラス(e+)、ローソンチケット“ローチケ”[Lコード:81992]、セブンチケット[セブンコード:090-328]※開催内容の変更、入場制限の実施などの可能性あり。最新情報は、公式ホームページを確認。【問い合わせ先】熊本市現代美術館TEL:096-278-7500
2021年08月13日絵画をはじめとする日本の視覚文化に表された美少年、美青年のイメージを追い、人々が理想の男性像に何を求めてきたかを探る展覧会『美男におわす』が、9月23日(木・祝)より埼玉県立近代美術館にて開催される。与謝野晶子が鎌倉の大仏の姿に自分なりの「美男」を見いだしたように、人々は男性像に理想を投影し、心をときめかせてきた。同展は、「伝説の美少年」「愛しい男」「魅せる男」「戦う男」「わたしの『美男』あなたの『美男』」の5章で構成され、江戸時代から現代まで、日本の視覚文化のなかの美少年・美青年のイメージを、浮世絵、日本画、彫刻、挿絵、マンガ、写真といった幅広いジャンルの作品で紹介。歌川国芳、喜多川歌麿、鈴木春信ら江戸の浮世絵師から、四谷シモン、山口晃、森栄喜、よしながふみ、入江明日香ら現代のアーティストまで、バラエティに富んだアーティストによる約190点が展示される。これまで美術史の分野において、美しいものとして表現すること、見ること、そして語ることが十分ではなかった男性像。人々の理想が投影された多様な男性像を、「美人画」ならぬ「美男画」として提示することで、男性を美しいものとして表現すること、見ることに光を当てる。山村耕花 《梨園の華 初世中村鴈治郎の茜半七》 1920、島根県立美術館 [後期展示]木村了子 《男子楽園図屏風 − EAST & WEST》(左隻) 2011、作家蔵 撮影:宮島径森栄喜 《"Untitled" from the Family Regained series》 2017、作家蔵 Courtesy of KEN NAKAHASHI【開催概要】会場:埼玉県立近代美術館会期:2021年9月23日(木・祝)~ 11月3日(水・祝)時間:10:00 ~ 17:30(展示室への入場は17:00まで)休館日:月曜日料金:一般1200円、大高生960円※会期中、一部作品の展示替えがあり(前期は10月10日(日)まで、後期は10月12日(火)から)公式サイト:
2021年08月10日特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」が、滋賀の佐川美術館にて、2021年9月14日(火)から11月7日(日)まで開催される。なお、鹿児島市立美術館では9月5日(日)まで開催される予定であったが、8月19日(木)をもって終了。フランス近代絵画の充実したコレクションスイス・ジュネーブに1968年に開館したプチ・パレ美術館は、19世紀後半から20世紀前半にかけて芸術の都・パリを中心に制作された、フランス近代絵画を主としたコレクションを所蔵する美術館。1998年以降は休館しているものの、充実した所蔵コレクションから、国外の大規模美術展に継続的に出品協力を行っている。日本では30年ぶり、鹿児島では初となるコレクション展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」は、プチ・パレ美術館の主要コレクションが来日する、日本では30年ぶり、鹿児島では初となる本格的なコレクション展だ。印象派のルノワールからナビ派のモーリス・ドニ、フォーヴィスムのヴラマンク、キュビスムのアンドレ・ロート、エコール・ド・パリのユトリロ、スタンラン、藤田嗣治まで、38作家による油彩画65点が一堂に集結する。19世紀後半に“光の描写”に挑んだ印象派が現れて以来、フランスでは画家たちによって次々と革新的な絵画が生み出されてきた。「プチ・パレ美術館」では、時代を象徴する巨匠の作品のみならず、その他多数の優れた周辺作家の作品も所蔵。実験的な精神に満ちた画家たちによる多彩な作品を通して、時代の活況を見て取ることができる。印象派からナビ派/ポン=タヴァン派、新印象派、フォーヴィスム、キュビスム、そしてポスト印象派やエコール・ド・パリに至るまで、フランス近代絵画の全体像とダイナミックな時代の潮流を体感できそうだ。【詳細】特別企画展「スイス プチ・パレ美術館展―珠玉のフランス近代絵画―」会期:2021年9月14日(火)~11月7日(日)場所:佐川美術館住所:滋賀県守山市水保町北川2891開館時間:9:30~17:00 ※最終入館は16:30まで。休館日:月曜日(9月20日は開館)、9月21日入館料:一般 1,200円、高大生 800円(要学生証提示)、中学生無料 ※ただし保護者の同伴が必要。※専門学校・専修学校は大学に準じる。※障害者手帳の持参者(手帳の提示が必要)、付添者(1名のみ)は無料。■終了した会場・鹿児島市立美術館会期:2021年7月23日(金・祝)~8月19日(木)※当初は9月5日(日)までの会期を予定していたものの変更(チケットの払い戻しについては、後日美術館ホームページにて案内)住所:鹿児島県鹿児島市城山町4-36問い合わせ先TEL:099-224-3400
2021年07月09日フランス・シャンパーニュ地方にあるランス美術館は、ルーヴル美術館に次いでカミーユ・コローの作品を多く所蔵するなど、19世紀の風景画が充実していることで有名。本展『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』では、このランス美術館のコレクションから厳選した約80点の名作を通して、印象派の中核ともいうべきフランス近代風景画の歴史をたどる。18世紀以前の西洋美術において、風景画は崇高な神話や歴史画の背景にすぎなかった。けれど18世紀末から19世紀初頭にかけて、その風景画に注目が集まり始める。この動きは革命後の社会の変化、新興ブルジョワジーの台頭、産業革命と都市化による田園風景への憧れなど、当時新しく生まれた価値観を受けて引き起こされたもので、画家らはアトリエを出て屋外で風景をスケッチし始めた。そんな風景画家の中でも特に注目を集めたのは「バルビゾン派」と呼ばれる画家たち。彼らはパリ郊外にあるフォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村に滞在し、大作を生み出してゆく。その写実的な作風がモネやルノワール、シスレーなど19世紀後半に活躍する印象派の画家たちに受け継がれていったのだ。こうしたフランス印象派の成り立ちを余すところなく紹介したのが本展。近代画家の先駆者であるミシャロンやベルタンに始まり、コローやクールベ、ブーダン、さらに印象派のモネやルノワール、ピサロまで、19世紀フランス絵画の巨匠の作品が一堂に会する。会場では時系列に章が展開し、関連する資料も数多く登場。例えばチューブ式絵の具や、エッチング(腐食銅版画)の発明が風景画の発展を加速させたことなど、文明が美術に大きく影響を及ぼしている様子がよくわかる。いま話題となっているデジタルアートも、過去の名作も、技術の発展が新しい芸術を生んでいるという事実は変わらない。心が洗われるような異国の美しい風景画とともに、そんな普遍性にも気づかせてくれる、発見のある内容だ。コンスタン・トロワイヨン《ノルマンディー、牛と羊の群れの帰り道》1856年Inv. 907.19.234ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerジャン=バティスト・カミーユ・コロー《湖畔の木々の下のふたりの姉妹》1865‐70年Inv.887.3.82ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerクロード・モネ《べリールの岩礁》1886年Inv. 907.19.191ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.Devleeschauwerピエール=オーギュスト・ルノワール《風景》1890年頃Inv. 949.1.61ランス美術館©MBA Reims 2019/Photo : C.DevleeschauWer『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ』SOMPO美術館東京都新宿区西新宿1‐26‐16月25日(金)~9月12日(日)10時~18時(入館は17時半まで)月曜休(8/9は開館)一般1500円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2021年6月30日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年06月29日日本を代表する建築家のひとり、隈研吾。彼のこれまでの活動を「公共性」を軸に振り返る展覧会、『隈研吾展新しい公共性をつくるためのネコの5原則』が、東京国立近代美術館で9月26日(日)まで開催されている。これまでにない大規模な個展だ。隈研吾は1954年生まれ。1964年開催の東京オリンピックの際に見た丹下健三の国立屋内総合競技場(現・国立代々木競技場)に衝撃を受け、幼少期より建築家を志した。コロンビア大学客員教授を経て、90年に隈研吾建築都市設計事務所を設立した後は、20か国を超す国々でその土地の環境や文化に溶け込む建築を手掛けている。国立競技場の設計への参画はもちろんのこと、根津美術館やサントリー美術館、角川武蔵野ミュージアムに富山市ガラス美術館など数多くの美術館建築を手掛けていることから、美術ファンにも知られた存在だ。本展は、彼の手掛けた建築の「公共性」という部分に着目。隈自身がピックアップした建築と映像作品、前庭に展示されるトレーラーハウスを合わせ、合計74件を5つのキーワードで読み解いていく。第一会場エントランス本展は、有料の第1会場と入場無料の第2会場からなる2部構成。第1会場では、序論として、隈も参画した国立競技場のディテール模型が並ぶ。国立競技場ディテール模型国立競技場ディテール模型以降は彼が手掛けた68件の建築が怒涛のように並んだ展示が続く。本展は、時系列ではなく、自身が考える建築の5つの原則「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」で分類され、構成されている。「孔」のセクションで紹介されている「V&Aダンディー」は、日本の鳥居に着想を得て、街と川をつなぐ孔を作っている。スコットランド《V&Aダンディー》2018年の模型栃木県に建設された《那珂町馬頭広重美術館》は、建物内にトンネル状の孔を明けて、街と建物の背後にある里山をつなげようとしている。《那珂町馬頭広重美術館》2000年の模型《那珂町馬頭広重美術館》2000年の模型「粒子」の項目では、細かいパーツを組み合わせて全体を形作る建築物を紹介している。国立競技場はこの粒子の概念を象徴した建物だ。青山《サニーヒルズジャパン》部分 2013年代々木《国立競技場》2019年の模型このほか、「斜め」や「やわらかい」、「時間」のカテゴリーで隈研吾の建築が語られている。キャプションに添えられた作品解説も隈本人によるものだ。なお、展覧会のタイトルにちなみ、会場内にはネコが時々出現しているのでお見のがしなく。浅草《浅草文化観光センター》2012年の模型よく見ると…浅草《浅草文化観光センター》2012年の模型(部分)かわいいネコがいる注意書きにもネコ第2会場では、人間ではなく、「ネコ」の視点から都市のあり方を見直すリサーチプロジェクト《東京計画2020(ニャンニャン)ネコちゃん建築の5656(ゴロゴロ)原則》(Takramとの協働)とVR展示が行われている。ネコにGPSをつけた記録や、ネコの習性、生態を取り入れた新しい都市の考え方だ。国内外に数多くの建築物を残してきた隈研吾。彼の建物の魅力と本質に迫ることができる重厚な内容の展覧会だ。『隈研吾展新しい公共性をつくるためのネコの5原則』6月18日(金)~9月26日(日)、東京国立近代美術館にて開催取材・文:浦島茂世
2021年06月22日東京都世田谷区にある、『世田谷美術館』。砧(きぬた)公園内にある同美術館は、豊かな自然とアートを楽しむことができ、近隣住民の憩いの場となっています。そんな憩いの場に訪れるのは、どうやら人間だけではないようです。美術館に現れた『小さな訪問客』が話題に!ある日の夕方、美術館の職員用通用口の前では、警備員と客の攻防が行われていました。何かの侵入を必死に防ぐ警備員。中に入ろうとしていたのは…!通用口の前にいたのはなんと、赤ちゃんタヌキ…!出典:世田谷美術館母親とはぐれてしまったのでしょうか。ちょうどスタッフが通用口を行き来する時間帯だったため、ドアが開く度に侵入を試みようとしていたそうです。まだ体の小さな赤ちゃんタヌキは、階段を下りるのが怖い様子。その後、スタッフに見守られながらゆっくりと階段を降り、最後は茂みへ帰っていきました。美術館に現れた珍客に、ネット上ではこのような声が寄せられています。・かわいい…!無事お母さんの元へ帰れるといいな。・きぬた公園に、『たぬき』が現れたのか!・なんてかわいいお客様…。ずっと見ていられる。美術館に現れる珍しい客といえば、広島県尾道市の『尾道市立美術館』へやって来る猫も有名ですよね。美術館にやってきた『珍客』警備員とのやり取りに、心がポカポカどうやら美術館には、人間だけではなく動物も引き寄せる不思議な力があるようです…![文・構成/grape編集部]
2021年06月04日上質な日本美術のコレクションで知られるアメリカのミネアポリス美術館の名品がならぶ展覧会『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』が、サントリー美術館で6月27日(日)まで開催されている。ミネアポリス美術館(通称 Mia)は、アメリカ中西部にあるミネソタ州最大の都市・ミネアポリスに1883年に設立された美術館。約9万点のコレクションのうち1割を超える約9500点が日本美術のコレクションだ。本展は室町時代から近世までの日本絵画の流れを、Miaの充実したコレクションでたどっていくもの。また、展示作品の3分の1以上が日本に初めて里帰りするものだそう。展示風景より展覧会は、日本絵画の主要ジャンルを8章構成で紹介していく。第一章「水墨画」では、躍動感あふれる描写で鳥を描いた雪村のほか、迫力とかわいらしさが同居する山田道安の屏風などを展示する。雪村周継《花鳥図屛風》室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》室町時代、16世紀とくに、山田道安《龍虎図屏風》は、虎の表情や吹きすさぶ風の描写など、細部まで楽しめる作品だ。山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀山田道安《龍虎図屏風》部分室町時代、16世紀続く第2章「狩野派の時代」では、当時の主流派であった狩野派の作品を展示。仙人と童子を描いた狩野山雪の《群仙図襖》は、9名の仙人と童子が描かれた襖。それぞれの仙人の表情やポーズを描き分けている。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》江戸時代、正保3年(1646)画面右端にいる仙人は「劉海蟾(蝦蟇仙人)」。糸を通した小銭を使ってガマガエルと遊んでおり、その姿が愛らしい。狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》部分江戸時代、正保3年(1646)第3章の「やまと絵―景物画と物語絵―」では、日本独自の絵画様式となったやまと絵を紹介。もともとは中国的な主題の「唐絵」に対して、日本の風俗や事物を主題にした絵を指していた「やまと絵」は、時代を経ていくうちに日本独自の絵画様式として発展していった。武蔵野の平野を描いた《武蔵野図屛風》はその一例だ。第4章の「琳派」も日本で生まれた独自の様式である琳派を紹介している。作者不詳《武蔵野図屛風》 江戸時代、17世紀第5章の「浮世絵」は、江戸時代に花開いた大衆芸術、浮世絵を紹介。葛飾北斎や東洲斎写楽などの誰もが知る浮世絵版画のほか、肉筆浮世絵も展示。江戸の文化がいかに豊かであったかを垣間見ることができる。三畠上龍《舞妓覗き見図》江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》部分江戸時代、19世紀三畠上龍《舞妓覗き見図》は、謎が多い対幅の作品。左幅には美しい舞妓、右幅にはまぶたをこじ開けている丁稚姿の少年の図が描かれている。作品の主題はなんなのか、現時点ではわからないが、インパクトが強い作品だ。そして、第6章の「日本の文人画〈南画〉」、第7章「画壇の革新者たち」、最終章「幕末から近代へ」と続く。とくに第7章の「画壇の革新者たち」は、伊藤若冲や曾我蕭白など近年人気が高い奇想の絵師たちの作品が並んでいる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》は若冲が好んで描いた鶏が並ぶ屏風。筆の濃淡を巧みに使った躍動感あふれる鶏が描かれている。曾我蕭白の《群鶴図屛風》は、若冲とはまた異なるスタイルで鶏を巧みに描いており、両者を見比べると、絵師の特徴をわかりやすく捉えることができる。伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》江戸時代、18世紀曾我蕭白《群鶴図屛風》江戸時代、18世紀本展は室町時代から近代に至るまでの日本絵画の魅力がわかりやすくまとめられている展覧会。豊富なジャンルの日本絵画のなかから、お気に入りの絵師や作品を見つけ出しにいってみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』4月14日(水)~6月27日(日)、サントリー美術館にて開催
2021年06月02日「いわさきちひろ展」が、茨城県近代美術館で2021年7月24日(土)から8月29日(日)まで開催される。子どもを描き続けた画家・いわさきちひろいわさきちひろは、生涯にわたって子どもを描き続けた画家。新聞や絵雑誌などの挿絵を描き、1956年に小学館児童出版文化賞を受賞。1957年には、絵と文が一体となった創作絵本『あめのひのおるすばん』を発表するなど、絵本画家として活躍した。初期作品から絵本の原画などの代表作まで本展では、いわさきちひろの生涯と作品を豊富な資料を交えて紹介。油彩画や素描など稀少な初期作品から、絵雑誌やカレンダー、絵本の原画などの代表作まで網羅的に展示する。たとえば、いわさきちひろが描く愛らしい“あかちゃん”の絵は、何気なく描かれたようにも捉えられる作品だか、実は巧みな“描写力”と水彩絵の具やパステルなどの“画材を自在に操る技”によって描かれたもの。そんな高度な技法については、VI章の「ちひろの技―感じたとおりに描くこと」で紹介する。観客参加型のメディア・アート作品もさらに、観客参加型の作品制作を行うアートユニット・plaplaxが、いわさきちひろ作品とのコラボレーションにより制作したメディア・アート作品も用意。描く楽しさが体感できる作品《絵の具の足あと》や、絵の中に入りこんだような感覚を味わえる《絵のなかの子どもたち》を展示する。展覧会概要「いわさきちひろ展」会期:2021年7月24日(土)~8月29日(日)休館日:月曜日※ただし、8月9日(月・振休)は開館、8月10日(火)は休館。開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)会場:茨城県近代美術館住所:茨城県水戸市千波町東久保 666-1入館料:一般1,100 (1,000)円/満 70 歳以上 550 (500)円/ 高大生 870 (730)円/小中生 490 (370)円※( )内は、20 名以上の団体料金。※障害者手帳 ・指定難病特定医療費受給者証等の所有者は無料。※ウェブ予約を推奨。「日時指定ウェブ整理券」(無料)取得者が優先入場となる。来館日の1ヶ月前よりオンラインにて予約可能。詳細は公式HPを確認。【問い合わせ先】茨城県近代美術館TEL:029-243-5111
2021年05月28日『京都市京セラ美術館開館1周年記念展「上村松園」』が、2021年7月17日(土)から9月12日(日)まで開催される。上村松園の最初期から絶筆に到るまで、100点あまりの作品を見ることができる貴重な回顧展だ。上村松園(1875~1949)は、京都市生まれで、近代の京都画壇を代表する女性日本画家。絵画の伝統を踏まえて、女性ならではの視線で描いた女性像を数多く残した。展覧会では、松園の代表作のみならず、文展、帝展、新文展に出品された作品が、日本各地50カ所以上の国公私立美術館および個人所蔵家から集められる。日本初公開や、長らく出品されていなかった作品も数多く並ぶ。とりわけ、大正期の松園の名作のひとつ、《清少納言》(1917~18年頃、個人蔵)は本邦初公開。その存在は知られていたものの、作品発表時以来、初めての展示となる。また、《人形つかい》(双幅)(1910年、個人蔵)は1999年以来、《姉妹三人》(1903年、個人蔵)は2005年以来の出品となる。さらに、木村伊兵衛が撮影した写真作品《上村松園》も出品。松園の描いた絵とは異なる、松園の一面を見ることができるだろう。展覧会は前期展示(7月17日(土)~8月15日(日))と後期展示(8月17日(火)~9月12日(日))がある。それぞれ見ることができる作品も異なるため、この機会にあますことなく松園ワールドに浸りたいものだ。【開催情報】京都市京セラ美術館開館1周年記念展「上村松園」2021年7月17日(土)~9月12日(日)、京都市京セラ美術館にて開催【関連リンク】京都市京セラ美術館《初夏の夕》1949年 京都市美術館蔵◎通期展示《人生の花》1899年 京都市美術館蔵◎通期展示《清少納言》1917-18年頃個人蔵◎通期展示《草紙洗小町》1937年東京藝術大学蔵 ◎前期展示《長夜》1907年福田美術館蔵◎後期展示
2021年05月20日東京・六本木の森美術館が、2021年4月22日(木)にリニューアルオープンします。森美術館がリニューアルオープン森美術館が、約3か月の改修工事期間を経てリニューアルオープン。オンラインでのチケット販売やQRコード認証などを活用するとともに、土日休日料金やオンライン事前購入料金を設定し、より快適な鑑賞環境を整えます。ミュージアムショップ旗艦店「森美術館 ショップ」リニューアルにあわせて、ミュージアムショップの旗艦店となる「森美術館 ショップ」を六本木ヒルズウェストウォーク3階にオープン予定。森美術館オリジナルのロゴグッズや展覧会カタログ、森美術館ゆかりのアーティストの限定グッズ、限定作品を展開するほか、花器や酒器といった若手陶芸家が手がける陶磁器、デザイン雑貨なども取り揃えられています。また、「森美術館 ショップ」のオープンを記念して、同店ではモレスキン(Moleskine)のノート「カイエジャーナル」に奈良美智のドローイングをプリントした限定版を展開します。展覧会「アナザーエナジー展」を開催なお、森美術館のリニューアルオープンにあわせて、展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」がスタート。本展では、世界各地で創作活動を続ける70代以上の女性アーティスト16名を取り上げ、それぞれの初期作から代表作、そして本展のための最新作などからそのキャリアを多角的に紹介。【詳細】森美術館 リニューアルオープン開館日:2021年4月22日(木)住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階■森美術館 ショップオープン日:決まり次第告知※2021年4月28日(水)のオープンを予定していたが、4月25日(日)からの臨時休館に伴い延期場所:六本木ヒルズウェストウォーク3階営業時間:11:00〜21:00TEL:03-6406-6280限定グッズ例:奈良美智 モレスキン カイエジャーナル(3冊セット) 3,300円(税込)■展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」会期:2021年4月22日(木)〜9月26日(日)会場:森美術館【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2021年05月19日皇居や千鳥ヶ淵、北の丸公園といった桜の名所エリアに立地している東京国立近代美術館にて、毎年恒例の春にちなんだ催し「美術館の春まつり」が3月23日(火)より開催される。所蔵作品展『MOMATコレクション』では、年に一度この時期だけ公開される、桜を描いた重要文化財の川合玉堂《行く春》、しだれ桜ほか40種類を超える希少な桜を描いた跡見玉枝《桜花図巻》や、川瀬巴水などの「新版画」における桜、染織では釜我敏子《型絵染着物春の野》など、花を描いた名画約20点が会場の一室に並ぶほか、13,000 点を超える所蔵作品の中から選りすぐりの約200点を紹介。岸田劉生や安井曽太郎、セザンヌなどおなじみの作品も3フロアにわたって展示される。船田玉樹《花の夕》1938年川瀬巴水《井の頭の春の夜》1931年釜我敏子《型絵染着物春の野》 1992年撮影者:アローアートワークス © 1994同時期開催として、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現を紹介する企画展『あやしい絵展』、写真のもう一つの側面を探るコレクションによる小企画『幻視するレンズ』 のほか、桜を見ながらひと休みできるよう、前庭に床几台によるお休み処が設置されるなど春らしい企画も。前庭の様子(2018年撮影)千鳥ヶ淵をはじめ、美術館周辺に咲きほこる桜との競演を楽しみながら、自分だけの花を見つける散策に出かけよう。【『美術館の春まつり』展 開催概要】会期:3月23日(火)~4月11日(日)会場:東京国立近代美術館開館時間: 10:00~17:00(金・土曜は20:00、入館は閉館30分前まで)※企画展『あやしい絵展』は9:30開場休館日:月曜日(3月29日は開館)※コロナ感染症の感染拡大防止のため、開館時間・開催内容を変更する可能性あり東京国立近代美術館公式サイト( )
2021年03月02日スウォッチグループジャパン株式会社スウォッチ事業本部は、ミュージアム・ジャーニーシリーズの一環として、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) とのスペシャルエディションのデザインを2021年3 月4日より、全国のスウォッチストア、オンラインストアにて販売を開始いたします。このコレクションには、MoMA のコレクションにインスパイアされた 6 つのユニークな作品が含まれています。 The Starry Night (1889 Vincent van Gogh/フィンセント・ファン・ゴッホ)、 Hope, II (1907-1908 Gustav Klimt/グスタフ・クリムト)、The Dream (1910 Henri Rousseau/アンリ・ルソー)、Composition in Oval with Color Planes 1 (1914 Piet Mondrian/ピエト・モンドリアン)、The City and Design、The Wonders of Life on Earth、Isamu Kurita (1966 Tadanori Yokoo/横尾 忠則 )、New York (1968 Tadanori Yokoo/横尾 忠則)。これらの時計は、個別に購入することも、コレクターズエディションとして購入することもできます。コレクターズエディションは、MoMAの象徴的な建築である Blade Stair にインスパイアされたスペシャルボックスに収めらます。「MoMA とスウォッチ との関係を、MoMA のアート作品からインスパイアされた新しい時計のコレクションを通じて継続できることを誇りに思います。MoMA の日常的なグッドデザインへの取り組みが、スウォッチの時計によって証明されています」と、MoMA のビジネス開発担当アソシエイトディレクター、Robin Sayetta は述べています。「スウォッチは、MoMA とのすばらしい歴史の中で新たな一歩を踏み出せたことをたいへん嬉しく思っています。MoMa の常設コレクションにはスウォッチも含まれています。Vincent van Gogh、Gustav Klimt、 Piet Mondrian の名画を再解釈できることは本当に名誉なことであり、20 世紀の芸術と芸術家に対する私たちの真摯な姿勢を表しています」と、 Swatch Art Peace Hotel (スウォッチ アートピースホテル) のCEOある Carlo Giordanetti (カルロ・ジョルダネッティ) は述べています。「また私たちは、高い評価を得ている現代アーティスト、Tadanori Yokoo (横尾 忠則) と Beatriz Milhazes (ベアトリス・ミリャーゼス) の作品がデザインされた時計をお届けできることを嬉しく思います。 Beatriz Mihazesの作品は、 Swatch X You (スウォッチ バイ ユー) のアートとして登場します」またスウォッチは、Swatch X You にてアーティストの Beatriz Milhazes とコラボレーションいたしました。彼女の MoMA のコレクションから Suculentas Beringelas (Succulent Eggplants)(1996)、O Espelho (The Mirror) (2000)、Meu Bem (2008) の 3 作品が登場します。Swatch X You では、自分だけのカスタマイズされたウォッチを作成できます。スウォッチの 3 つの時計、GB100 (1983)、GK100 Jelly Fish (1985)、SFK100 Jelly Skin (1998) は、MoMA の常設コレクションとなっています。そしてスウォッチは、MoMA の 4 つの展覧会で紹介されました。Humble Mas-terpieces (2004)、Architecture and Design: Inaugu-ral Installation (2004-2005)、Standard Deviations: Types and Families in Contemporary Design (2011-2012)、Items: Is Fashion Modern? (2017-2018)。THE CITY AND DESIGN, THE WONDERS OF LIFE (SUOZ334) 1万3,200円HOPE, II BY GUSTAV KLIMT (GZ349) 9,900円COMPOSITION IN OVAL WITH COLOR PLANES 1 (GZ350) 9,900円NEW YORK BY TADANORI YOKOO (GZ351) 9,900円THE DREAM BY HENRI ROUSSEA (SUOZ333) 1万3,200円THE STARRY NIGHT BY VINCENT VAN GOGH (SUOZ335) 1万3,200円問合せ先:スウォッチ コール 0570-004-007スウォッチ 公式オンラインストア: スウォッチ Instagram: 企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2021年02月22日11月25日(水)より東京国立近代美術館で開催中の『眠り展:アートと生きること』は、その名のとおり、眠りをテーマにした展覧会だ。生物にとって生きていくために欠かせない「眠り」を芸術家たちはどのように表現してきたのだろうか。2021年2月23日(火・祝)まで開催されている。展示風景より人類は、人生の約3分の1の時間という膨大な時間を「眠り」に費やしている。それだけ時間をかけているのにもかかわらず「眠り」の時間に何が起こっているのか、未だに解明されていない部分も多い。そんなミステリアスな「眠り」の世界は、芸術家にも多くのヒントやサポートを与えてきた。この展覧会は、そんな「眠り」についてゴヤやルーベンス、塩田千春や河原温など33名、約120点の作品を通して迫っていこうとするものだ。ちなみにこの展覧会は6つの国立美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブ)の収蔵品を使った合同企画展でもある。これまで、合同企画展は2010年の『陰翳礼讃』、2015年の『No Museum, No Life? ―これからの美術館事典』と5年の1回のペースで開催されおり、今回が3回目の展覧会となっている。それぞれの館の収蔵品を活用することで、ジャンルも年代などの枠を飛び越えた幅広い展示が可能となった。フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス「ロス・カプリーチョス」より《睡魔が彼女たちを圧倒する》1799年一口に「眠り」といっても、様々な側面や要素を持っている。目を閉じるという動作、夢を見ること、夢から生まれた想像力や不安、死のメタファーとしての眠り、目覚めの前段階……。芸術家たちにより、それらのどこに重きを置くかは大きく変わってくるのだ。本展は、その眠りを7つの章に分け、さまざまな「眠り」を紹介していく。展示風景よりたとえば序章の「目を閉じて」の章は、瞳を閉じた状態の人物画ばかりが制作年代を問わず並んでいる。目を閉じるということの無防備さや、無邪気さ、見る人と見られる人との関係性など、いろいろなことを考えさせられる。展示風景より河口龍夫《関係—種子、土、水、空気》1986〜89年第4章の「目覚めを待つ」は、覚醒の前段階として「眠り」を扱っている。河口龍夫のインスタレーション《関係—種子、土、水、空気》は、麦やたまねぎなど30種類の植物の種子が30枚の鉛の板に閉じ込められ、壁にかけられた作品だ。床に置かれた金属管のなかに入っているのは、種子を発芽させるための土や水、空気だ。つまり、この作品は現在進行形で眠り続け、そして目覚めを待っているのだ。展示風景よりそして、第5章「河原温 存在の証しとしての眠り」は、その日の日付をキャンバスに書き込む作品で知られる河原温に焦点を当てている。彼は、“I GOT UP AT ◯◯”と、自分の希少時刻を絵葉書に印字し、友人たちに送り続ける作品でも知られたアーティストだ。自分の存在を証明するときに「起きる」という動作を採用した彼の作品は、ミニマムながら現在も強く私達に訴えかけてくる。さまざまな切り口で「眠り」にまつわる本展は、いままで私達が気づかなかった「眠り」の効用にも気づかせてくれそうだ。なお、カーテンやベッドを想起される展示室の設計デザインはトラフ建築設計事務所によるものだ。本展はサスティナビリティもテーマとして盛り込まれており、先日まで開催されていた「ピーター・ドイグ展」で制作した壁面の多くを再利用しているのも特徴のひとつだ。作品だけでなく、展示空間全体をしっかりと鑑賞しておこう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『眠り展:アートと生きること』11月25日(水) ~2021年2月23日(火・祝)、東京国立近代美術館にて開催
2020年12月11日すみだ北斎美術館で、11月25日(水)より『GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ』が2021年1月24日(日)まで開催されている(途中展示替えあり)。江戸時代の北斎や国芳などの浮世絵版画から、明治期以降に次々と生まれた漫画雑誌や漫画本とのつながりや発展、変遷に着目した展覧会だ。展示風景より世界共通言語「MANGA」としても扱われるようになった漫画。この表現のルーツをさかのぼれば、江戸時代の浮世絵の表現にたどりつく。この展覧会はこの「漫画のルーツ」を時代の枠組みを越え、総数約270点もの資料や作品をもとに紐解いていくものだ。展示は3つの章立てで構成されている。第1章は、「商品としての量産漫画の誕生」と題し、江戸中期からの戯画が大衆化された過程をたどる。葛飾北斎《北斎漫画》《北斎漫画》より印刷技術が発展した江戸時代、さまざまなジャンルの浮世絵が流通していくなかで、世相を諷刺する「戯画」が、民衆の人気を集めるようになっていく。ときにはユニークに、ときには辛辣に、幕府の改革や幕末の動乱、大事件などを伝える諷刺の精神はこの頃から生まれていたのだ。葛飾北斎の《北斎漫画》は、門人希望がひきもきらなかった北斎の絵手本帳。単なるポーズ集、図案集にとどまらず、ページの中にもユーモラスな諷刺精神が宿っている。歌川芳藤《心夢吉凶鏡》歌川広重《教訓人間一生貧富区両道中之図》興味深いことに、江戸時代にはすでに「吹き出し」や「コマわり」など、今日のマンガ表現の基礎的な表現が登場している。コマは仏教の教えを説く手段として古くから使われていた表現でもある。まんがの表現や伝え方の礎が江戸時代にすでにあったことを受け、第2章、「職業漫画家の誕生」、第3章「ストーリー漫画の台頭」で、近代の漫画の発展を検証していく。ヨーロッパの画家たちが浮世絵に大きな影響を受けたように、日本の絵師たちも幕末から明治期にかけて、海外の表現手法や伝え方に大きな影響を受けた。それまでの戯画は挿絵や漫画へと姿を変え、やがて漫画雑誌が刊行されるに至る。展示風景より北沢楽天が表紙を描いた雑誌『東京パック』現在でも使われる「ポンチ絵」という言葉の語源とも言われるチャールズ・ワーグマンの《THE JAPAN PUNCH》や、風刺漫画家として明治から大正、昭和に一世を風靡した北沢楽天など、貴重な資料も多数展示されている。漫画が、なぜここまで人々の心を掴むのかを知ることができる楽しい展覧会だ。取材・文:浦島茂世【開催情報】『GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ』11月25日(水)~2021年1月24日(日)、すみだ北斎美術館にて開催
2020年12月08日国内の近代美術館のなかでも、優れた20世紀美術コレクションに定評のある横浜美術館、富山県美術館、愛知県美術館が協働する展覧会『トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館20世紀西洋美術コレクション』展が横浜美術館にて11月14日(土)に開幕。2021年2月28日(日)まで開催される。来年3月から約2年間の長期休館に入る横浜美術館にとっては休館前の最後の展覧会だ。トライアローグとは、3者による鼎談(話し合い)を意味する言葉。この展覧会は3館のそれぞれのコレクションを用いて20世紀の美術を概観するもので、3館の担当学芸員が濃密な議論を重ね、ラインナップが構成されていった。このタイトルにちなみ、「3」をキーワードに、3章立て、30年区切りで展開されていく。横浜美術館第1章「1900sーー アートの地殻変動」は1900年から1930年前後にかけての美術を概観していくもの。印象派やポスト印象派などが新しい表現方法を提示した18世紀後半の芸術家たちの地ならしを受け、この時代はフォービズムにキュビズム、表現主義、抽象絵画にダダや構成主義など新しい表現が同時多発的に噴出する激動の時代だった。展示されている作品もバラエティ豊かで濃密な時代であったことが伺える。第1章「1900sーーアートの地殻変動」展示風景展覧会は、美術の流れを概観できるだけでなく、随所に「Artist in Focus」と題された各館の収蔵品を並べるコーナーも展開されている。すべてフェルナン・レジェの作品 左から《緑の背景のコンポジション(葉のあるコンポジション)》1931 愛知県美術館、《コンポジション》1931 横浜美術館、《インク壺のあるコンポジション》1938 富山県美術館たとえば、レジェのコーナーでは3館の所蔵によるレジェの作品をそれぞれ鑑賞できる。同じ年に描かれた愛知県美術館、横浜美術館の作品にくらべ、7年後に描かれた富山県美術館の作品は輪郭線が太くなっていることがわかる。このほか、ピカソやクレー、エルンストなどの作品が並べられ、見比べられるようになっており、作家の画風の変遷だけでなく、各美術館の審美眼などにも想いを馳せることができる。第2章「1930s——アートの磁場転換」 展示風景続く第2章「1930s——アートの磁場転換」では、美術のみならず、映画や文学など芸術全般に大きな渦を巻き起こしたシュルレアリスムからスタートし、1960年代までを俯瞰する。すべてジュアン・ミロの作品 左から《花と蝶》1922-23 横浜美術館、《パイプを吸う男》1925 富山県美術館、《絵画》1925 愛知県美術館第2章「1930sーーアートの磁場転換」 展示風景第2章もまた激動の30年だ。この期間に、第二次世界大戦が勃発。その影響により多くの芸術家たちがヨーロッパからアメリカへと渡り、結果、戦後の美術シーンの中心地はヨーロッパからアメリカへとなっていく。シュルレアリスム作品が多くあった展示室から、サム・フランシスやルーチョ・フォンタナらの作品のある展示室へ移動した瞬間、雰囲気がガラリと変わり驚かされる。通常の美術展では、1945年前後を区切りとして扱うものが多いなか、あえて戦前と戦後を一緒のくくりで扱うことで、美術の大きなながれが見えてくる。第3章「1960sーー アートの多元化」 展示風景そして、最終章である第3章「1960sーー アートの多元化」では、より多様化していく美術のあり方を紹介する。美術作品の表現や考え方がどんどん多様化し、展示場所もギャラリーや美術館を飛び出し、壮大なものに発展していく。3館の収蔵品だけで、約90年の美術の流れを学び取ることができる刺激的な展覧会。現在、海外美術館から作品を借り入れることが難しい状況において、国内の名品を持ち寄るという新しい形の展覧会の作り方は、今後の大きな指針となりそうだ。長期休館に入る横浜美術館に、ぜひ刺激をもらいにいこう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館20世紀西洋美術コレクション』展11月14日(土)~2021年2月28日(日)、横浜美術館にて開催※日時指定予約制。詳細は公式HPを参照。
2020年11月20日国宝7件、重要文化財88件を含む、日本と東洋の古美術約7400件を所蔵する根津美術館で特別展『根津美術館の国宝・重要文化財』が11月14日(土)よりスタートした。12月20日(日)まで開催されている。根津美術館は、国宝7件、重要文化財88件を含む、日本と東洋の古美術約7400件を所蔵している。同展はそのタイトルのとおり、指定された95件(展示替えあり)をすべて鑑賞できる豪華絢爛な展覧会だ(展示替えあり)。そのコレクションの大半を収集したのは初代 根津嘉一郎(1860~1940)。東武鉄道の社長などを務めた実業家であり、稀代の美術コレクターであった。2020年は根津の生誕160周年に当たる年であり、なおかつ同館の財団創立80周年、そして現在の文化財保護法が制定されてから70年目にあたる年。展覧会はこの節目となる年を記念したものだ。根津美術館のコレクションの核となるのは、初代嘉一郎が特に晩年にこよなく親しんだ茶の湯の道具、そして、大寺院建立を目指して収集した仏教美術の数々だ。これは、本人の好みももちろんあったが、当時日本で進んでいた古美術品の海外流出をくい止めたいという使命感に駆られたものでもあったという。ちなみに95件の国宝・重要文化財の大半は、初代嘉一郎が購入したのちに新たに指定されたものだ。国宝だから、重要文化財だからという理由ではなく、自分がいいと思ったものだから収集していた嘉一郎の優れた鑑識眼が推察できる。展示風景より左から重要文化財《金剛界八重一尊曼荼羅》 鎌倉時代 13世紀、重要文化財《愛染明王像》 鎌倉時代 14世紀、重要文化財《愛染明王像》 鎌倉時代 14世紀、重要文化財《大威徳明王像》 鎌倉時代 13世紀、重要文化財《大威徳明王像》 鎌倉時代 13世紀、重要文化財《大日如来像》 平安時代 12世紀すべて重要文化財!国宝《那智瀧図》 鎌倉時代 13〜14世紀日本の神々は仏が化身したものとして現れている、本地垂迹説(ほんちすいじゃくせつ)に基づいて描かれた垂迹画の作品。熊野三山の御神体でもある那智瀧が壮大に描かれている。本地垂迹説は平安時代から鎌倉時代に盛んになり、この時代に様々な垂迹画が描かれているが、瀧そのものを描いた垂迹がは、現在発見されているものではこの作品のみとなる。重要文化財鈴木其一《夏秋渓流図屏風》 江戸時代 19世紀※11月29日まで展示酒井抱一に師事した江戸琳派の絵師、鈴木其一によるもの。右隻(右側の屏風)が夏、左隻(左側の屏風)が秋を表す。木々や川の濃厚な色彩のなかに、白百合や色づいた葉が優しく佇んでいる。初代 嘉一郎が晩年に入手した作品で、今年になり新たに重要文化財に指定された。茶道具の一部展示品は実際の茶の湯でどのように使われたかをイメージしながら鑑賞することができる。茶道具同士の組み合わせの妙なども楽しめる。そして、人気の青銅器《双羊尊》ももちろん展示されている。あいらしい表情の双羊尊は根津美術館のアイドルとしても知られており、ミュージアムショップでは双羊尊のオリジナルグッズも販売されている。重要文化財《双羊尊》 中国・おそらく湖南省紀元前13〜14世紀重要文化財《双羊尊》 中国・おそらく湖南省紀元前13〜14世紀自然にあふれた庭園は紅葉がすでに始まっている。美術館から外を見ると、すでに葉が色づき始めている。隈研吾設計の建物や、自然豊かな庭園もまた根津美術館の至宝。展示室を出たあとも、たっぷりと根津美術館を散策して楽しみたい。取材・文:浦島茂世【開催情報】『根津美術館の国宝・重要文化財』11月14日(土)~12月20日(日)、根津美術館にて開催※会期中展示替えあり※日時指定予約制。詳細は公式HPを参照
2020年11月19日