『さみしさサヨナラ会議』(宮崎哲弥と共著)という著書もある月読寺住職の小池龍之介さん。前回、“さみしい”という感情は脳内物質による錯覚が引き起こすもので、人間関係では満たすことができないと伺いました。後編となる今回は、そんな“さみしさ”とうまく付き合う具体的な方法や、「“おひとりさま”はかわいそう」という世間の偏見に負けないための心得を教わりました。さみしさを埋めようとすると“心の借金”が増えていくだけ――そもそも“さみしい”と感じてしまうのは、悪いことなのでしょうか?何を良い/悪いとするかにもよりますが、仏法的な観点からすると、苦しみが増えるのはよくないこと、苦しみが減るのは好ましいこと、とします。ですから、さみしいと感じると苦しみは増えるので、悪いことだと言えそうですね。ところが、これにはカラクリがあって、多くの人は自分のしていることが“悪いこと”だとわかると、自己嫌悪や罪悪感が湧いてきて、苦しみが増えてしまうんです。だから、「さみしくなっている自分はダメだ」と自分を責めたり、抜け出そうともがくことで、余計に苦しみが増えてしまっては本末転倒です。――では、どう対処すればいいのでしょうか?さみしさは、抜け出そうとするとうまくいかないんです。たとえば、さみしいと感じているとき、私たちは「さみしさの部屋」にいるとしましょう。そこで、“さみしさポイント”10Pを受け取ります。でも、その部屋の中にとどまってじっとしていれば、さみしさはやがて消えてなくなり、10Pは返済できるんですよ。ところが、となりに「友達に電話する部屋」があると、多くの人はつい安易に移動して「さみしさの部屋」を抜け出そうとします。でも、そうすると10Pは返済されずに借金として残る。しかも、電話が終わるとまたさみしくなって10Pが発生してしまい、さみしさの総量が増えてしまうんです。――さみしさを埋めるために、別のことをしてはいけないということですか?さみしさを何か別の手段で紛らわそうとする行為はすべて、「さみしさの部屋」から別の部屋へ移動しただけです。つまり、“さみしさポイント”という借金を返済するために、別のところから借金をしている状態なんです。特に、電話やメール、SNSといった人とのつながりや恋愛など、人間関係で孤独を紛らわそうとするのはおすすめしません。自分の欠損を満たしてくれる相手を求めると、特別扱いしてもらおうと傲慢な態度を取ったり、過剰に卑屈になって相手に従属しようとしたりと、ろくでもない行動を引き起こしてしまいます。だから、さみしいときは人に会うべきではないし、新しい出会いも求めてはいけないんです。さみしさも怒りも、必ず消えていくもの――では、具体的にはどうすればいいんですか?何もしないことが大事です。まず、さみしさを感じている自分を、「かわいそうだ」とか「ダメな人間だ」などと一切“評価”しないでください。さみしい自分を、ただ“認めて、受け入れる”だけでいいんです。ざわざわ、もやもやするような、なんらかの身体感覚に意識を向けて、さみしさに寄り添うイメージを持ってください。――さみしさに寄り添うとは…?心の中で、自分自身に声をかけてあげましょう。「さみしいんだね、わかるよ、大丈夫だよ」とか、「じっと待っていればそのうち消えるからね」とか、小さい子どもをなだめるような感じです。他のことで紛らわすのではなく、さみしさのエネルギーそのものと一緒にいてあげて、消えてなくなるまで待つようにしてください。――では、寝て忘れちゃうというのもアリですか?それも「寝て忘れる部屋」という別の部屋に移動して、借金を増やすことと同じになってしまいます。もし、起きていると何かしたくなってしまうなら、楽な状態でゴロゴロと寝転がって天井の木目を数えたり、公園で空を眺めたりして、さみしさが収まるのを静かに待ってあげましょう。意識のある状態で、さみしさが減っていくのを体感しきることが大事なんです。――なぜ、“さみしさポイント”の借金は増えてしまうのでしょうか?前回お話しした通り、“ドーパミン中毒”が原因です。さみしさを別の手段で満たすということは、刺激が入力されることでドーパミンが発生し、脳が快楽を得るということです。ところが、次はもっと強い刺激や快感でないと物足りなくなるため、どんどん耐性ができてしまいます。昔は手紙や電話くらいしか手段がなかったので刺激自体も弱かったし、ドーパミンが切れても、次の刺激を受け取るまでにそれなりの時間がかかりました。そのため、そこまで重いドーパミン中毒にはならずに済んでいたんです。ところが現代のSNSは、刺激が入力される頻度や速度、その強度もケタ違いに大きいですよね。不特定多数の人から一度に注目され、圧倒的な承認を得られますが、私たちの脳には刺激が強すぎるんですよ。一度に受け取るドーパミンが多すぎてすぐに飽和してしまい、耐性がついてどんどんさみしくなっていく。借金がものすごいスピードで増えていくということです。――でも、“さみしさ”には終わりがくる、とは思っていませんでした。この方法はさみしさに限らず、“怒り”に対しても有効です。「物に当たる部屋」や「怒鳴りちらす部屋」、「怒りを我慢する部屋」に移動してしまうと、“怒りポイント”は返済されないまま借金としてどんどん溜まっていきます。だから、必ず「怒りの部屋」にとどまって、「そうか、イライラしてるんだね、大変だね」と怒りの感情に寄り添ってあげれば、怒りポイントのゲージは減っていき、そのエネルギーも自然と収まっていきます。安心感が諸行無常であるように、さみしさも怒りもすべては無常で、必ず消えていってしまいますから。“たまたまひとりでも大丈夫”と思えばいい――無理して恋愛や結婚をしなくていい、と思っている人でも、周囲からの「ひとりなんてさみしい人だ」という価値観にさらされて、考えがグラついてしまうこともあると思うのですが…。いまや、ひとりで生きていくこともひとつのスタンダードですから、以前と比べれば「ひとりなんてかわいそう」という視線の圧力はだいぶ弱まっているとは思います。むしろ、圧力をかけてくる人たちに「他人の愛情に頼って依存する価値観でしか生きられないのね」と心の中で見返してやることもできるでしょう。ただ、味方や仲間がいるとか、“おひとりさま”というグループに所属していることに安心している、という意味では、孤独やさみしさを受け入れているとは言えないでしょうね。――でも、周りの目がどうしても気になります。それは、幼い頃に親の視線を自分の中に内面化するクセがついているからです。子どもは、親に同調することで愛情や承認を得て、庇護やお世話をしてもらう戦略を取ってきました。そのせいで大人になってからも、相手や世間の規範を内面化しないと、見捨てられ見放されてしまうんじゃないか、という恐怖が残っているんです。――自分の身を守るために、周りに同調してしまうんですね。そういった心の仕組みをわかっていれば、「ひとりってさみしくない?」と言われて心がグラついてしまいそうなときに、「ああ、私は今、この人に嫌われたくないという“さみしさ”を抱えているんだな」と自己分析できるようになるのではないでしょうか。まあ、こうなるとほとんど修行の域ですけどね。ただ、“おひとりさま”として生きていこうとしている人が、他人から言われて不安になってしまうようでしたら、その人はたぶん強がりで“おひとりさま”を選んでいる可能性があると思うんです。前の恋愛で痛い目を見たからもう嫌だとか、どうせ他の男もそうに違いないとか、何かしらの強い感情によって孤独を抑え込んでいるのだとすれば、あまりよくない状態だと思います。それは、「強がってやせ我慢する部屋」に移動しているだけですから。――心から“おひとりさま”であることを受け入れていないと、それも借金を増やしていることになるわけですね。私たち人間は、そもそも生まれたときから孤独でさみしい存在なんです。恋愛相手であれ、自分の親であれ子どもであれ、ある特定の人間関係に自分のさみしさを預けて解消してもらおうとすると、必ず痛い目に遭います。まずは「さみしいから」という理由で人とつながるのをやめてみましょう。「さみしい自分はかわいそう」などと評価せず、さみしいという感情にただじっと寄り添い、受け入れることができるようになると、ちょっと大袈裟な言い方ですが、人生が変わります。つまり、人間関係に過剰な期待をしなくなって、精神が自立した状態になります。――かなり強い心が必要になりそうですね。だからといって、一生ひとりぼっちになるわけではありません。むしろそういう状態のときに出会い、関わる人とのほうが、強烈に求め合うような刺激はない代わりに、ほどほどに満たされた、安定した人間関係を築けるようになるでしょう。さみしさとうまく付き合って自立できるようになれば、わざわざ「自分はこの先ずっとひとりで生きていく」と頑なに決めなくてもいいんです。“たまたまひとりでも大丈夫”なだけであって、運良くいい人が現れたら好きになればいいし、結婚してもいい。いなければ、それはそれで「ひとりでもいいや」と思える。そういう精神状態を保っていられるなら、相手がいてもいなくても、どちらでもハッピーなのですよ。Text/福田フクスケ■プロフィール小池龍之介(こいけ・りゅうのすけ)1978年生まれ、山口県出身。東京大学教養学部卒。2003年、ウェブサイト「家出空間」を立ち上げる。同年、寺院とカフェの機能を兼ね備えた「iede cafe」を展開(〜2007年まで)。現在は、鎌倉にある月読寺の住職として、宗派仏教を超えた立場で自身の修行と一般向けの座禅・瞑想指導を続けている。『考えない練習』(小学館文庫)、『超訳 ブッダの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『しない生活 煩悩を静める108のお稽古』(幻冬舎新書)など著書多数。特集「さみしさは敵か」もあわせてご覧ください!・さみしさは“人とのつながり”では満たされない/月読寺・小池龍之介さん(前編)・美しいさみしさの奥にあるグロテスクな本音と向き合う
2016年12月05日寂しくなくなったのは一人になったからby Flash Bros矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、3年前に離婚してからというもの、全然寂しさを感じなくなった。それは別に、寂しさの回路がショートした、みたいな絶望的な理由ではなくて、本当に、離婚したら寂しくなくなったのだ。だって、結婚していたときなんて、一年のうちの4分の3くらいは寂しかった。一つ屋根の下に住んでいるはずの家族が、なぜだかほとんど家にいないのだから。初めのうちは私も遅くまで起きて、夫の帰りを健気に待ったりもしていた。代わり映えしないSNSのタイムラインを延々とリロードし続けたり、漫画アプリに課金し続けたり、だらだらと時間をやり過ごす合間に「まだ帰ってこないの?」なんてメールを送ってみる。一向に返事がないことにイラっとして、今度は少し悲しい口調でメールを送ってみる。それでもやっぱり返事がないので、今度はちょっと、むっとした感じでメールする。一人、寂しさを持て余す時間に、家のリビングから繰り出すあの手この手は、自分では全て正当性のあるものだったけど、客観的に見れば情緒不安定な、“触るなキケン”な人だっただろう。そのうち、珍しく夫が家にいるときだって、いないときと全く何も変わらずさみしい、ということに気がついた。家にいないからさみしいと思っていたのに、一緒にいたってさみしいのだ。結婚生活の終盤には、とにかくそんな粘着質なさみしさが、一度手に付いた納豆の糸みたいに、何をやっても、どこにいっても、しつこくまとわりついてきた。そんな期間が結構長く続いたので、たかだか離婚ごときでは逃げきれないと腹をくくっていたけれど、意に反して、あのときほどのさみしさには、離婚してから一切お目にかかることがなくなったのだ。このことを考えてみると、少なくとも私にとってのさみしさとは、本来埋まっているべき隣の席が埋まっていないこと、ぽっかりと空いていること。そのことへの、耐え難い空虚さなのだった。離婚して、一人になることを選んだ今の私の隣には、そもそも誰かのための椅子なんてない。だからもう、あのときのように空虚にならない、さみしくないのだ。「さみしい」という便利な言葉の奥にあるものつい先日、友人がこんなことを言っていた。「僕は“かわいい”という言葉を極力使わないようにしてる。行き場のない軽い性的な興奮を“かわいい”というと、それ以外に表現できなくなるから」これには唸らされた。猫も赤ちゃんも老人も、総じて「かわいい」存在は「かわいい」。そしてこの「かわいい」という言葉があまりにも便利過ぎるので、その奥にあるべき自分にとっての意味を、個別に定義することを怠けてしまっている。そんな真実は確かにある。これと同じことが「さみしい」にも言える。何しろ社会にはいまだに、成人はツガイになってしかるべき、といった考え方がしぶとく残っている。恋愛したり、結婚したり、子供を生んだりするのが当然という無言の圧力もある。そんな中、おひとりさまであることはそれだけで、何かが不足している、不完全な自分を作る動機になる。そしてあらゆる物足りなさは、大体「さみしい」で表現できてしまうのだ。だけどざっくりと「さみしい」と表現したその気持ちの正体は、本当は「人肌恋しい、セックスしたい」なのかもしれない。あるいは「毎日が退屈でつまらない」かもしれない。恋人がいたり、結婚したりしている女性と自分を比べて、つい本来不要な劣等意識を持ってしまっているのかもしれない。幸せそうなあの子への嫉妬かもしれない。もしくは、案外仕事のストレスが思わぬ形で影を落としているだけかもしれない。本音って大体グロテスクで、エゴイスティックで、自分ですら向き合うのを避けたくなるようなものだ。だけど、一度わかってしまえば、案外、なんだ、そんなことだったのか、と理性や論理で片が付くことはよくある。もし生理前でもないのにただ無性にさみしいと感じるとき。本当は、その言葉のもっと奥にある何かが、“ここをケアしてほしい”と、しきりにSOSのサインを出している。一見綺麗なベールの内側にある本音と覚悟を持って向き合うことで、そのときの自分に必要なものが、見えてくるのだろうと思うのだ。Text/柴原明子特集「さみしさは敵か」もあわせてご覧ください!・さみしさは“人とのつながり”では満たされない/小池龍之介さんインタビュー
2016年12月01日無理して恋愛や結婚をしなくてもいい。頭ではそう思っていても、どうしようもなく襲いかかる“さみしい”という感情。ときに家族との関係や友達付き合いまでも面倒なものにしてしまう“さみしさ”の正体はどんなもので、その対処法はあるのでしょうか?『考えない練習』『超訳 ブッダの言葉』など数々の著書や、新聞の人生相談でも活躍されている、月読寺住職・小池龍之介さんにお話を伺いました。人の心はさみしさを“自転車操業”のように埋めている――「一人でいるとさみしい」とか、「誰かとつながりたい」といった気持ちは、私たちの心のどういった仕組みで発生するのでしょうか?足りていないから、なんとか足りるようにしたいと思い悩む欠乏感や欠落感のことを、すべてまとめて“さみしさ”と私は定義しています。本来、さみしさって人間関係とはまったく関係なく生じるものなんです。いつも楽しめているものが楽しめないとか、あってほしいと思っているものがないとか、そういうことだけでも“さみしい”という気持ちは生じますからね。――たしかに、さみしさの原因は人間関係だけとは限りませんね。ですから、“人とつながる”こと以外でも、さみしさを満たすことは可能です。たとえば、何か足りないという渇望感を抱いたとき、食欲に走る人は多いですよね。性欲もそう。セックスの快楽も一時的には満たしてくれます。このように、さみしさの代替行為は実はたくさんあるのです。しかし、私たちはそれらよりも、人とつながることで他人から受け入れられたり、重要な存在として扱われたりするほうが、よりレベルの高い永続的な満足が得られると思いがちです。――俗に“人のぬくもり”と言われるものですね。そのため、“さみしさ”は人間関係において足りてない状態を指すことが多いんです。だから、多くの人は誰かと会ったり、電話したり、メールしたり、SNSに投稿したり、そういった“人とつながる”ことでさみしさを解消しようとします。でも、人間関係によって得られる満足も、食欲や性欲と同じで、すぐに消えてしまう一時的・刹那的なものにすぎないんです。人から愛情や承認を受け取ると、脳内ではドーパミンが分泌されるので、一瞬は満たされます。ただその快感は長持ちせず、すぐに色あせてしまうので、また満たし直さなければいけないという、すごくあやうい零細企業の経営のように“自転車操業”で回っているんです。満たされると感じるほど、余計にさみしくなってしまう――自転車操業を続けてしまった場合どうなってしまうのでしょう?快感が切れてしまったあとは、「もっと愛されたい」「もっと受け入れられたい」という、禁断症状が出てきます。そうやって、刺激(愛情・承認)→快感(満たされた気持ち)→渇望感(やっぱりさみしい)というパターンを繰り返すうちに、脳に耐性がついてしまう。すると、前よりも強い刺激でないと満たされなくなり、より強いさみしさが引き起こされ、結果、常に人とつながっていないと不安になってしまう、というわけです。人の心は、満たされれば満たされるほど、余計にさみしくなるようにできているんですよ。――なんとも皮肉なものですね……。では、自分の親や家族、恋人のように、より強い愛情や承認を得られるような相手には、より強いさみしさを感じてしまう、ということですか?その通りだと思います。私たちは、とりわけ家族やパートナーに対して、過剰な期待を抱きがちです。そして、それが叶わないと他の人よりも強い怒りや、憎しみを抱くので、よりさみしくなります。特に恋愛は、「愛されたい」「求められたい」という渇望感を強烈に満たしてくれますからね。すると、脳はもっと強い快感を欲しがって、その反動で、より強い「さみしい」「満たされない」という不安を引き起こそうとする。だから人は、恋愛すると不安になりたがるんです。――特別な期待や要求をしてしまうからこそ、相手にネガティブな感情を抱いてしまいやすいんですね。私たちは、目の前の相手の言動が原因で怒ったり不安を感じたりしているように錯覚していますが、本当はもともと自分の中に怒りや不安といった“感情のエネルギー”があって、たまたま目の前にいる人をそのターゲットにしているだけなんです。人は自分の世界の中に閉じこもっていて、そもそもすごく孤独なんですよ。相手が自分を愛してくれないから、腹を立てたりさみしくなったりしているのではなくて、私たちはそもそもさみしくて、それを満たしてくれるはずだと思い込んでいる相手が満たしてくれないことに勝手に腹を立てている。因果関係が逆なんです。「自分がさみしいから、相手に腹を立ててしまうんだ」と理解していれば、むやみにイライラしたり不安になったりしても無意味だと気付くはずですよ。それを自覚できている人はほとんどいませんが…。結婚でさみしさは解消されない――家族やパートナーに対して、なぜ過剰な期待や要求をしてしまうのでしょうか?そこに、“特別な絆”や“無償の愛情”があると信じているからでしょうね。しかし、残念ながら人間関係というのは、多かれ少なかれ「自分がしてあげたから、相手も返してくれる」という交換関係なんです。打算や利害関係が一切なくて、無条件に自我を肯定してもらえる人間関係なんてありません。それは家族やパートナーであっても同じです。でも多くの人は、自分が何もしなくても特別扱いしてくれる相手、というのを求めてしまうんですね。――親子やカップルの間には、“特別な絆”や“無償の愛情”が成立しているように見えますが…。それは、“幸せホルモン”や“愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌されるからでしょう。このオキシトシンの分泌によって、相手に対する献身的な愛情が無条件に湧いてきて、相手の欠点が見えなくなります。ところが、やっかいなことに、このオキシトシンの分泌は、長い人でも3年で終わってしまうそうなんです。“無償の愛”は、刺激が新鮮な間だけ生じる、およそ3年間の幻想なんです。――それが幻想なら、多くの人は恋愛や結婚なんてしなくなってしまうのでは?結婚生活は、“特別”だった3年間が終わった後のほうが遥かに長いから、特別な関係なんて幻想だとわかっていて、相手に過剰な期待や要求を抱かない人のほうが、かえって安定したパートナーシップを築けるんですよ。ところが、得てして「結婚したい」と強く望んでいる人ほど、特別扱いしてくれる相手と結婚すれば一生さみしさから解放されると思っています。だから、3年経ってオキシトシンが切れたとき、さみしさを満たしてくれない相手に失望や怒りを抱くようになってしまう恐れがあります。――さみしさを動機に結婚するのは、よくないですね…。結婚でさみしさを解消しようとする人は、その期待が大きすぎるので、満たされずにますますさみしさが増幅してしまう。逆に、結婚に過剰な期待をしていない人は、さみしさを解消したいと思っていないからこそ、結果的にさみしさから解放されることができるんです。どんな人間関係であっても、一度得られた安心感や充足感が永続するということは絶対にありません。どんな感覚や刺激も、脳の神経に一定の影響を与えたら、やがて必ず薄れて消えていくからです。でも、消えていくからこそ、また次の感覚や刺激を受け取ることができる。もしも安心感が薄れなかったら、脳がそれ以外考えられなくなり、他に何もできない病気のような状態になってしまいますからね。――どんな感情も長続きしないのは、脳に必要な機能なんですね。永続するものなんてどこにもないのですが、だからこそ人はいろんなことに意識を向けて、絶えず変わっていくことができる。それを“諸行無常”と言うんですよ。(後編に続く)Text/福田フクスケ■プロフィール小池龍之介(こいけ・りゅうのすけ)1978年生まれ、山口県出身。東京大学教養学部卒。2003年、ウェブサイト「家出空間」を立ち上げる。同年、寺院とカフェの機能を兼ね備えた「iede cafe」を展開(〜2007年まで)。現在は、鎌倉にある月読寺の住職として、宗派仏教を超えた立場で自身の修行と一般向けの座禅・瞑想指導を続けている。『考えない練習』(小学館文庫)、『超訳 ブッダの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『しない生活 煩悩を静める108のお稽古』(幻冬舎新書)など著書多数。
2016年11月29日ひとり焼肉が楽しめるお店『ニクアザブ』のおひとりさま人気の秘訣は、お肉一切れからでも注文できるシステムや、店員さんたちとのトークと焼肉を楽しめるカウンターにあり。半分の量を半額で頼むこともでき、平日は5時まで営業していて0時以降の入店も可能なので、女性ひとりでも仕事帰りにふらりと立ち寄れるのが◎です。その居心地の良さから、最近では女性の常連客も多いのだとか。一切冷凍なし、新鮮なA4ランク以上の黒毛和牛もちろん、お肉にも並々ならぬこだわりがあります。なんとA4ランク以上の黒毛和牛がメイン! 日本中のブランド肉が集まる芝浦市場から毎日仕入れる新鮮なホルモンも必食です。一切冷凍していないさばかれたばかりのお肉が届くので、さっとあぶるだけでOKなお肉もあり、ジューシーでフレッシュな肉汁の滴りをたっぷり堪能できます。さらに、スタッフが開発したタレも要チェック! 10種類以上に及ぶタレは素材や味付けにこだわり抜いた一級品です。これだけ味にバリエーションがあれば、どんなお肉を食べても飽きません。味の変化を楽しみながら、最高の焼肉時間を過ごしましょう!取材・文/萩原かおり店舗情報店名:ニクアザブ 六本木店TEL・予約:03-5411-2929住所:東京都港区六本木4−10−7 2Fアクセス:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅出口6から50m営業時間:平日 18:00~翌5:00(L.O.翌4:30)日祝 18:00〜翌3:00(L.O.翌2:30)定休日:年中無休
2016年11月26日なんとなく爪を塗ったら「つめさん」になった転機と転機の間。誰かと出会い別れてから、また、出会うまでの間。その間に生じる一人の時間は「自分のためだけの時間」とは限らない。私は前職をやめた次の日に、それまで全く興味のなかった「爪に色を塗る」ということをはじめた。その後、今の会社で働きながら、あくまで趣味としてつけ爪を作るようになり、とりあえず分かりやすいから、というだけで「つめをぬるひと」という名前をつけた。その後、一人になるタイミングがあって、より一層自分の活動と向き合うことになった。ただただ、やりたいことに奔走した数年間。人に爪を塗る企画を開催したり、Dommune(ライブストリーミングサイト)の番組内容を爪に描く“Dommune爪”をはじめたり。その奔走がなければ、今現在の活動や、周囲にいる人には会えなかった。「初回だから自己紹介にしたほうがいいだろうか」と、さっそく駄文を書いてしまっているこのコラムだって、その奔走がなければなかったお話。転機と転機の間に生じる一人の時間は、自分のためだけのように見えて、実は意外なところで次の転機に作用し、誰かと共有する時間になることがある。少なくとも、なんとなくはじめた爪塗りで、「つめさん」と呼ばれるようになった人は実在する。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年11月14日「隙がないからモテない」女性へby picjumbo.com世間でモテないと自認している女性で、「隙がないっていわれるんです」っていう人、いますよね。SOLOを読んでくれているような、一人で自立した生活を送っている女性にも、こういう人は多いかもしれません。かくいう私も、隙があるかないかでいえば、圧倒的に隙がないタイプ。小学生のときに親友から「性格がドライだ」と言われたのを皮切りに、笑顔が少ないとか、表情の変化が乏しいとか、冷静だとか、愛想がないだとか、今までも散々言われてまいりました。そんな私が「魅力的な隙の作り方」という大見得を切ったタイトルの文章を今回書こうとしているわけですが、これは私が思う「魅力的な隙の作り方」をみなさんにレクチャーしよう、という主旨のものではありません。一種の思考実験として、「隙がない」といわれてしまう女性が、隙がある女性になるためにはどうすればいいのかを、一緒に考えてみようという試みです。そしてこの思考実験は、「隙がない→作る」以外の様々なシーンでも、応用が可能だと私は考えています。「隙を作ったほうがいい」という助言はほとんど無効まず大前提として、自分が「隙がない」タイプか、「ある」タイプか、どちらなのかを自覚しておくことは大切です。自分だけでは気付きにくい点を指摘してくれる人、またその助言は受け入れるべきだし、この時点までは有効でしょう。だけどその先、「あなたには隙がない。だから隙を作りなさい」という助言は、隙がない私たちにとってほとんど無効なんじゃないかと思います。なぜか。野球の野村克也監督の言葉で、「『ボール球を打つな』という指導はダメ。かえって注意がボール球に行ってしまうから。そういうときは『ストライクを打て』と言わなければ」というものがあります。これは野球の世界ではけっこう有名な教訓みたいなのですが、人間の脳はネガティブな刺激に対してとても敏感です。「(打ち損じが多いとされる)ボール球を打つな」と指導されると、人間の注意はとにかくボール球を避けることに向いてしまい、打てるはずの球も打てなくなってしまう。体が動かなくなって、攻めではなく現状維持の守りの姿勢に入ってしまうのです。これと同じ原理で、「隙を作りなさい」と助言を受けた女性は、自分のネガティブな要素である「隙のなさ」に意識が向いてしまい、余計に肩の力が入ってしまう。これが私の仮説です。仮説というか、実体験ですけどね。「隙がない」人間というのは、いない!ではどうすればいいのか。「隙がない女性」が考えるべきは、「ボール球を打たない」ことではなく、「ストライクを打つ」ことです。つまり、ないものを創造しようとすると「ない」ことに意識が向いてしまうので、「もともとあるものを効果的に出す」という方向に考え方を切り替えればいいのです。私見ですが、本当にまったく一分の隙もない人間、というのはいません。みんなそれぞれ、隙、それも魅力的な隙がある。これが大前提です。あとはその隙がどこにあるのか、本人が自覚すればいい。たいていは、自分が好きなものの話をしているとき、楽しいと思う瞬間に立ち会っているとき、こういうときに人は隙だらけになります。あとは逆に、何かに対してものすごく妬みを持っていて、その嫉妬を素直に表明しているときとか。ようは、感情が強く出ているシーンですね。繰り返しますが、「ないものを創造しなければ」と考えると肩に力が入って悲しくなってしまうので、「もともとあるものを拡大する」と考えたほうが、自分もまわりも幸せなのではないかと思います。そしてこれは、「隙がない」といわれ悩んでいる女性以外にも、私が広く伝えていきたい考え方です。今の社会は、広告にしろ漫画にしろSNSにしろ、「ボール球を打つな」という助言が溢れかえっているように思います。だけど、一度問題が自覚できたらいつまでも「ボール球の見極め」をやっている必要はありません。ストライクを打ちに行かなければ。読書の秋……というにはもう随分寒くなってきてしまいましたが、私が秋の夜長に考えていたのは、そんなことです。みなさんはこの命題、どう考えますか?Text/ チェコ好き
2016年11月04日俳優の松山ケンイチが2日、東京・EXシアター六本木で行われた第29回東京国際映画祭クロージング作品『聖の青春』(11月19日公開)の舞台挨拶に登壇。自身が演じた実在の棋士・村山聖の生き様に「自分の人生も考えさせられた」と明かした。本作は、天才棋士・羽生善治と"東の羽生、西の村山"と並び称されながら29歳にして亡くなった実在の棋士・村山聖の生涯を、師弟愛、家族愛、ライバルとの友情を通して描く実話。主演の松山が村山聖を、東出昌大が羽生善治を演じた。松山は、本作がクロージング作品に選ばれたことについて「とても光栄に思っています」と感激。「日本の伝統的な文化でもある将棋、日本独特の粋な美しさが存分に描かれている作品。世界中の方々に見ていただきたい」と話した。そして、演じた村山と自身の共通点について「将棋…僕で言う俳優という仕事が"生きる"ということと直結しているところが似ている」と言い、「その中でも、将棋だけが人生、俳優だけが人生ということではなく、(映画の中で)お酒を飲んでいるシーンや麻雀しているシーンも出てくる」と説明。「病に左右されずに自分の人生を自分の好きなように燃やしていく生き様が好きで、自分の人生も考えされられました」と感慨深げに語った。さらに、「人生の中に何かを与えてくれるような、背中を押してくれるような村山さんの生き様を堪能していただければ。そして、将棋の静かではあるんですけど斬り合っている様を楽しんでいただければと思っています」と呼びかけた。舞台挨拶には、羽生善治を演じた東出昌大、森義隆監督、そして、スペシャルゲストとして、リオ五輪メダリストの吉田沙保里選手、三宅宏実選手、羽根田卓也選手も登壇した。
2016年11月02日サイバーエージェントが手がけるクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」にて、アーティスト「逗子三兄弟」の生き様をドキュメンタリーフィルム『湘南の三兄弟』として製作し、11月19日(土)イオンシネマ茅ヶ崎にて限定公開するプロジェクトが始動した。本作は、神奈川県の湘南・逗子で生まれ育った長男・優己、次男・大雅、三男・翔馬からなる実の三兄弟シンガーソングライターユニット「逗子三兄弟」の激動の1年を記録したもの。映像監督の佐々木晃太は、アーティスト「逗子三兄弟」としての記録映像を撮影していく中で、富や名声に執着せず、生きたいように生きる、表現したいように表現する…そんな彼らの価値観や生き様に魅せられ、映画化したいと熱望。この度の映画製作に至ったという。「逗子三兄弟」は、湘南という地域性とプロドラマーだった父親の影響で幼い頃から音楽・海と隣り合わせの生活を送り、それぞれバンド活動や作曲家などのキャリアを経て2009年にデビュー。 2011年リリースからロングヒットを記録し、いまや現代のウェディングソングの定番となった「純白の花嫁」をはじめ、「父へ」や「家族レター」など”家族愛”を歌う楽曲も多く、家族へのリアリティー溢れるメッセージがたくさんの感動と共感を呼んでいる。 家族愛と地元愛を持って、現代の「ニュー・ミュージック」を生み出し続ける”次世代の湘南サウンドの継承者”、それが「逗子三兄弟」なのだ。彼らの楽曲は、とにかく自由で力強い。 特定の音楽ジャンルにこだわることなく、ときに激しく、ときにやさしく、ときに哀愁も込められている。 そして3人の個性のぶつかり合いと融合、実の兄弟ならではのコーラスワークが、独自の音楽観を創り上げている。彼らの作品の根底に流れているのは「家族、仲間、湘南」への揺るぎない想い。確固たるバックグラウンドがあるからこそ、彼らは常に自由な音楽を生み出す。「生きたいように生きる」彼らの価値観を通じて、多忙な生活の中で忘れそうになっていた“何か”を思い出して欲しい…今回の映画にはそんな想いが込められている。本作の監督を務めるブランディングディレクターの佐々木さんは、「逗子三兄弟」のMVを2012年に初監督して以降、「Shonan Broadway The Movie」や「サンタクロースの正体は…」「joyful drive」「ノスタルジア」などのMVを担当。佐々木監督は「ぜひ多くの方に湘南の三兄弟の価値観や生き様を見ていただきたいと願っています」とコメントを寄せた。なお、今回集まった資金については映画製作費の一部へ補填するほか、DVD制作、ポスター制作などに使われ、集まった資金によっては各都市での限定上映&ライブも予定されているようだ。そして支援者には、「逗子三兄弟」&監督からの御礼のメッセージ、映画本編ラストに流れるエンドロールに氏名が表記されるなどの特典を受けることができる。『湘南の三兄弟』は11月19日(土)よりイオンシネマ茅ヶ崎にて限定公開予定。(cinemacafe.net)
2016年09月15日~家族でもひとりの別の人間と思うことが愛情〜 悩み相談の中で一番多いのが、家族間のトラブルです。親・子・血縁など情念に取りつかれ、「人は人」「家族と言えども一人の人間同士」とは簡単に割り切れないようです。とはいえ、「親はこうすべき」「子は親に対してこうあるべき」などと考えるよりも、「お互いが良い人間同士で居よう」と考える方が、相手に敬意と愛情がしっかり持てるもの。親子という文字にとらわれず、冷静に俯瞰して見て、常にほど良い距離感で接する方が、お互いを思いやる的確な行動がとれ、良好な関係が長続きします。「家族と言えども違う人間同士」とは、他人行儀で冷たい関係になるのではなく、相手を大切に思うがゆえに、冷静にほど良い距離感でお互いを立て合い大切にする関係であり続けるということです。べったりとした情念ではなく理性でスパッと割切ることができれば、知性も働きます、 そうなれば怖いものなしです。親しき仲にも礼儀あり、家族を大事に思うならば、情念を外し、理知で向かい合うことからです。
2016年09月07日「純喫茶は店内の様子が分からないから少し入りにくい」「マスターが怖い人だったらどうしよう」「実は珈琲が苦手…」と純喫茶に興味をもっていらっしゃる方でも、通い慣れるまでにはそのような葛藤があることが少なくないようです。そのような初心をすっかり忘れてしまった今日この頃ですが、「1人では入りにくい」という方に対しては、出来ることなら同行してそのひとときをご一緒したいところが本音です。しかし、なかなかそうもいかないため、少しでも不安を取り除いて扉を開けるきっかけを作れたらと思います(何軒か通っていくうちに次第に慣れ、様子が分からないことさえも楽しめるようになる時期がくると思います)。こちらの連載をご覧下さっている方の大半を占めていると思われる女性に向けて、1つアドバイスしたいと思います。それは「店主が女性の店を選ぶこと」です。絶対というわけではないですが、今までの経験を基に考えると、女性店主が営む空間は純喫茶ならではの「素っ気なさ(慣れてきたらこれは本当に良いものです)」が少し薄れ、初めての人でも訪れやすいような雰囲気を醸し出しているところが多いような気がします。例えば、神保町駅近くの交差点からすぐの地下にある「トロワバグ」。店内の様子は地上からは分からないのですが、扉を開けた時に漂う清潔感のある雰囲気にほっとすることと思います。赤いベロアの椅子が並ぶきちんと掃除された店内には活き活きした花が飾られ、珈琲の注文が入る度に良い香りが漂うのです。何を食べても美味しいですが、人気メニューのグラタントーストは現在の店主である三輪さんのお母様が大切にしていたメニュー。今は亡き初代ママさんの思い出の味を求めてやってくる人たち、また初めてやってくる人たちに美味しいトーストを提供すべく、三輪さんは日々手間と時間のかかる仕込みをこなしています。そして、やわらかい雰囲気をまといながらもカウンターの奥で珈琲を淹れる様子は凛としていて見惚れるほど格好良いのです。まったり美味しいかぼちゃムースもおなかの余裕があれば是非食べて頂きたい一品です。「変わらないものを大切にしながらも、今に寄り添っていきたい」と以前話して下さった三輪さん。現在では、ご自身もお好きなワインも楽しめる空間となるそうです。Text/難波里奈
2016年09月02日知りたくなかったのに知ってしまった!? 驚愕したお義母さまのヒ・ミ・ツとはお義母さまとの何気ない会話や行動から、夫もお義父さまも知らないような「お義母さまの秘密」を知ってしまった!!なんてことはありませんか。今回は、それって妻として、母として、女として、人としてどうなの??という「お義母さまの秘密」をリサーチ! みなさんから寄せられた驚きのエピソードを大公開します。イラスト:春吉86%気まずすぎ… 驚愕の瞬間!!夏になり短めのズボンを履いていた時、お義母さまのスネ毛がとんでもなくボーボーで衝撃を受けた! しかも、お義父さまのひげ剃りで剃っていて、それは私しか知らない…!(ムム)トイレの前を通ったら、全裸で扉を開けて用を足していた…! 思わず言葉を失った(きゃむ)簡易的な鍵がついた扉一つでつながった二世帯住宅で一緒に暮らしていた時のこと。姑が私たちがいない時に、こっそり侵入していた。何の意味があってこちらの世帯にこっそり侵入するのか意味不明で気持ち悪かった。それがきっかけでその二世代住宅を出た(わんこ)誰にも言えない… 心の奥にしまっておきますいつもオシャレで若々しい義母。ヘアスタイルがコロコロ変わり、すごいなぁと思っていたが、なんとカツラだった! 義母と家族旅行に行った時、寝るまで義母の部屋で楽しくおしゃべりしたのち解散。自分の部屋に戻ってから携帯を忘れたことに気が付き、再び義母の部屋を訪ねると、そこにはカツラをとったばかりのお姿が! 気まずい雰囲気になり「携帯忘れちゃって…」と言ってそそくさと逃げるように退散した(ねねでぶ。)食べ物を大切にするお義母さま。キャベツのバリバリに固くて虫食いだらけの外葉を、「ジュースにしたら分からないから」と家族に飲ませていた! 野菜の虫食いが大嫌いな夫だが、まさか日常的に口にさせられていたなんて、気の毒で本人には絶対に言えない(ウーフママ)びびびっくり〜!! 衝撃の真実…義父のことが大好きだと周囲に公言していた義母。ある日義母宅を訪れ、テーブルの上にあった電子辞書を何気なく開いたら、「離婚届」の検索結果が表示されていた…。おしどり夫婦だと思っていたが、外からは分からないものだなぁと感じた(オレンジ)うちの義母は、実は夫の産みの母親ではなかった…。血は繋がっていないけど、とってもやさしくしてくれたと夫から聞いた(るかっぴ)ずっと仕事一筋だった義母は預金額がすごいらしく、ウンゼン万などとうに超えているとか。古い家は耐震に不安があると自身が寝るためのマンションを買い、娘の結婚祝いにもマンション部屋を買い与え、息子が不動産投資をしたいと言ったら我が口座を担保に差し出す…。誕生日にはみんな(子ども、嫁、孫みんな)に諭吉を1枚ずつ配るが、これといった趣味もないので貯まる一方らしい!(Saya24)お義母さまだって女ですもの!?お義母さまと車の中でぶっちゃけトークをしている時に教えてくれた話。昔、大変モテたそうで4人と同時交際していたらしい。女だな〜と思った(匿名)義母がよく会っている○○さんと抱き合っているところを見てしまった!(とど)ぶっちゃけちゃった! お義母さまの告白自力で頑張ってダイエットに成功した!と言っていた義母だが、実はエステに通っていたことが判明(笑)! だいぶ経ってからカミングアウトされた(akieeeen)外貨の運用を家族に内緒でしていた。円高になった時にソワソワしていたのでどうしたのか聞くと、外貨の運用をしていると告白した。とても慎重派でそういうものとは無縁だと思っていたので驚いた(ぽっちゃりん)義父の悪口を言いまくっている。まぁ楽しく聞いているが(りょうちゅ)
2016年08月24日「店の名前から勝手な想像をしてしまって入ったことがなかったから、こんな素敵な店だとは思わなかった。これからは1人でもたくさん通いたいな。」一緒に夕飯を食べるために連れていった友人が、ふとこんなことを言いました。訪れたのは、亀戸駅の目の前にある「珈琲道場 侍」。ホームから看板は見えるものの、店は階段を上がった二階にあるため中の様子がすぐには見えない。それが理由なのか、「気になってはいたもののまだ入ったことがない。」という話を今までに何度も聞きました。店名のインパクトだけでなく、メニューも一筋縄ではいかない興味深いものばかりであるこちら。一杯ずつ丁寧に淹れられるあたたかい珈琲や8時間かけて抽出される特選水出しブレンド(夏場は注文に対して生産が追い付かなくなるため、泊まり込んで様子を見ているそう!)、ストレートコーヒーやアレンジコーヒーの種類も豊富で、ブルーベリーやバラの香りのついたフレーバーコーヒーなど珍しいものも揃っています。更に、食事メニューのネーミングも他では見かけないセンスです。例えば、こちらの店のカレーやハンバーグはどちらもご飯の上にルーがかけられ、熱々に焼かれたドリア方式なのですが、それぞれ「殿様カレー」と「将軍ハンバーグ」と名付けられています。メニューを見ているだけでいくらでも時間が過ぎてしまいそうなくらい楽しいのですが、更なるサービスとして特筆すべき点から3つ紹介します。1つめは、入口の扉を開けるとすぐに目が合ってしまう大きな甲冑。まるで中に誰かが入っているような存在感です。2つめは、カウンターのテーブルにそってずらりと並んだロッキングチェア。ゆらゆら揺れながらリラックスした時間を過ごすことが出来ます。こちらは公園のブランコに乗りながら煙草を吸っていた社長の思いつきにより取り入れられたそう。3つめは、なんといっても働く店員さんたちのユーモアあふれる接客。男前な店員さんたちの中でも特にお薦めしたいのは、出会えたら思わず嬉しい気分になる社長。「ほらほら、ちゃんと書いた?『ここは男前喫茶です』って。僕は口下手だからね、自信があるのは顔だけだよ、あっ、今日は化粧ノリが悪いから写真はやめてね。」など愉快なやり取りをしながらも店全体に気を配る丁寧な接客と迅速な作業が素晴らしいのです。まるで「大人の遊園地」のようにわくわくした気持ちを味わえる侍でいつもとは違った時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。Text/難波里奈
2016年08月19日14名のアーティストによる動物作品が集結する展覧会「生きとし生けるもの」が、7月24日から11月29日まで静岡県にあるヴァンジ彫刻庭園美術館にて開催される。大切な家族や友として、生命を脅かす危険な敵として、人知を超えた聖なる神やその使いとして、いつでも人とともにあり続けた“動物”。同展では、淺井裕介、Eatable of Many Ordersの新居幸治、高木正勝、西島大介、ミロコマチコ、三沢厚彦ら多様な領域で表現活動を行う14名のアーティストが、“動物”と“生命”をテーマに制作した作品の数々を展示。絵画、彫刻、写真、映像、マンガ、詩などアーティストの想像力が生み出す作品が、美術館と庭園の空間を活かして展示される。多彩な作品を通して、人間社会の規範や固定観念を解きほぐし、現代の多様な動物と人間の関係を見つめ直す機会となっている。会期中には、シンポジウムやトークイベントなども開催。8月13日の18時からは、世界的に活躍する音楽家・映像作家の高木正勝が一夜限りのコンサートを実施。10月30日の12時30分から17時までは、展覧会参加作家の活動や作品に まつわる声に耳を傾け、様々な芸術の表現から現代の人と動物の関係を考えるシンポジウムが行われる予定だ。その他、子どもと大人も楽しめるワークショップも開催。幼児から小学生を対象とした動物のお面を作るワークショップや、白線素材を使って三島市内に動物と植物の地上絵を作るワークショップ、大人を対象とした木彫のワークショップなどが行われる。また、14年にヴァンジ彫刻庭園美術館での「イケムラレイコ PIOON」展に関連して行われた東日本復興支援チャリティプロジェクト「PIOON プロジェクト2016」も、地域と協力しながら展覧会会期中に開催される。【イベント情報】「生きとし生けるもの」会場:ヴァンジ彫刻庭園美術館住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1会期:7月24日~11月29日時間: 10:00~18:00(9・10月は17:00まで、11月は16:30まで、入館は閉館の30分まで)料金:7~10月は大人1,200円、高大生800円、小中学生500円、11月は大人1,000円、高大生500円、中学生以下無料休館日:水曜日(祝日の場合は翌日休)(c)Manabu Miyazaki
2016年07月25日(c)zoetnet全長13メートルのタイガー・シャーク、巨大なサメが大きな水槽に入れられ、ホルマリン漬けにされている。これまた巨大なガラスケースの内部に牛の頭部が入っており、それに蛆虫から孵った大量のハエがたかっている──などなど、「死」を連想させるグロテスクな作風で知られ、存命中の美術家としては最高額で作品が取引されるともいわれている、デミアン・ハースト。美術館で作品を目にする機会はあっても、そんな人の作品を実際に購入して家に飾って置いておく、なんてことは普通あまり考えません。……考えないのですが、実は数ヶ月前、都内ギャラリーでこのデミアン・ハーストの版画展がやっていたんですよね。作品自体は版画なので、ハーストの代表作にあるようなグロテスクさはほとんどなかったのですが、それでも、あのデミアン・ハーストの作品です。版画たちに付けられていた値段は、1枚だいたい40~60万円ほど。40~60万円といったら、もちろん気軽にポンと出せる金額ではないですけど、まったくもって手が届かないわけでもないじゃないですか。デミアン・ハーストの作品って、買えるんだ!? と思ったのが、私にとっては静かな衝撃だったのです。後悔しない買いもの、3つのコツ女性も30代が近くなると、不動産であったり車であったり、あるいは時計であったりブランドバッグであったりと、大きな買いものを経験する人も増えてくると思います。一方、幸か不幸か私はこれまでの人生で、まだ大きな買いものをする機会には恵まれていません。しかし、そんな私がいつかしてみたいと夢見ている大きな買いものが、現代アート。一部の専門雑誌以外では特集されることもあまりなく、まだまだ一部の人の趣味に留まっているアートの購入ですが、私はこの趣味がもっと一般に普及したらいいのにと思っています。その理由はというと、現代アートは多くの場合、世界にたったひとつの一点モノか、写真などでも数点しかこの世に存在しないからです。どういうことか。もちろん私もまだまだ経験値不足ではありますが、最近なんとなくわかってきたこととしては、後悔しない買い物のコツは3つあります。1つは、「たくさんの人の声を参考にする」こと。昨今はどんな製品でも、ネットで簡単に口コミを調べることができます。もちろん、口コミやレビューに頼りすぎるのはどうなんだと考えもするんですが、たくさんの人が「いい」といっている商品は、やはり「いい」確率が高いのは否定できません。2つは、「自分と価値観の似ている人の声を参考にする」こと。作家やブロガー、友人知人、上司に親戚などだれでもいいのですが、自分と考え方が似ているだれかが買った商品を参考にすると、これもけっこう当たります。私は最近、「お金の使い方とモノの買い方で、人生観というやつがわかってしまう……」で紹介した山内マリコさんのエッセイ 『買いものとわたし~お伊勢丹より愛をこめて~』に載っていた、レインファブズというメーカーのゴム製のスニーカーを買いました。そしたらこれが、歩きやすいし、デザインもいいし、ゴム製だから梅雨も気にせず外出できるしで、大当たりだったのです。いい買い物をした!そして最後、3つめが、「自分の思考力と直感力を使うこと」です。そしてこれがいちばん難しい。一億総レビュー社会も現代アートの前では用をなさずレビューや他の人の情報に頼りにすると、確かに買いものにおける失敗は少なくなります。だけどそのぶん「自分で考えて買う」力は衰えていってしまう。しかしその点、現代アートの購入は、そもそも一点モノか数点モノですから、「他の人の声を聞く」という手が封じられています。「たくさんの人の声」も、「価値観が似ている人の声」も、モノが一つしかないのだから参考にならない。となると、これはもう自分でとことん考えて判断するしかないのです。前述した山内マリコさんのエッセイには、この「現代アートを買った話」も実は登場します。「買う(かも)」という目線でギャラリーや美術館、あるいは街中へ出ると視点が変わるし、もっといろいろなことを調べたいという気にもなってきます。現代アートの購入は、思考力と直感力を使うから、いつか来るそのときに備えて、それらを鍛えるようにと頭が動くんですね。アートの購入、実際やるかどうかは別にして、候補としてだけでも頭に入れておくと、モノに対する新たな価値観が獲得できるかもしれませんよ。Text/ チェコ好き
2016年07月07日大人の魅力と若々しさを兼ね備えた大人女子。そして、大人女子だけでする旅行のことを大人女子旅といいますが、他の旅とどこが違うのでしょうか?今回はそんな大人女子旅の魅力についてのお話です。癒やしを求める大人女子ほとんどの大人女子達は仕事をしています。周囲にも気を配ることができる彼女達は、体力的にも精神的にも疲れることが多く、とにかく毎日クタクタ。連休を使って旅に出たくなるのも納得です。大人女子旅でよく選ばれるのが海外ですが、大人女子が海外旅行に求めるのはこんなこと。・旅行の目的1位のんびりすること2位現実逃避・ストレス解消3位思い出づくり・旅行で得たいもの1位癒やし2位パワーチャージ3位リセットやっぱり、旅行の目的はリフレッシュのようです。自立していて金銭面に余裕がある大人女子が多いので、せっかくの旅行だから♪と、素敵な景色の見えるホテルで美味しい食事を楽しんだり、スパを受けたり…と、リッチなプランを立てることもあります。1人でも楽しめる大人女子リフレッシュするための旅行なのに人に気を使うなんてイヤ!と、1人で旅行する大人女子も少なくありません。1人で行く大人女子旅のメリットとはなんでしょう?・自分のタイミングで行ける誰かと休みを合わせるとなると、スケジュールなかなか決まらなくて、本当に行きたかった時期とズレてしまうことも。1人なら好きなときに好きなだけ休みを取って行けますし、思い立った翌日に行くこともできますよね。・人の意見に左右されない1人なら行きたいところに行けます。本当は行きたいけどみんなは興味なさそうだからやめておこう、といったことがありませんし、その逆もしかりで、相手に合わせて興味のないところに付き合う必要もありません。また、天気や気分によって急にスケジュール変更しても、誰にも迷惑がかからないので、気軽に予定を変えられるところも良いですね。・新たな出会いがある誰かと一緒にいると、新たな出会いがあっても長く話をすることは難しく、仲良くなることはなかなかできませんが、1人旅ならできます。おわりに贅沢な旅だけを大人女子旅と呼ぶわけではありません。せっかくの連休を、家でひとり暇だ暇だとぼやきながら過ごすくらいなら、のんびり羽を伸ばせる場所へ行ってみてはいかがでしょう?各旅行会社からも、大人女子旅にオススメのプランはたくさん出ています。見ているだけでもワクワクしますよ♪
2016年06月22日(c)Traveloscopyお買い物と女性。女性といえばお買い物が大好きな生き物であるとされ、世の中には女性作家による「お買い物エッセイ」という一大ジャンル(?)まで存在しています。山内マリコさんの『買い物とわたし〜お伊勢丹より愛をこめて〜』も、そんなお買い物エッセイのなかのひとつ。ただ私は正直、この手のお買い物エッセイに共通して見られるある語り口が、今までいまいちしっくり来なかったのです。たとえば、『買い物とわたし』で取り上げられた記念すべき最初の一品は「プラダのお財布」なのですが、こういう素敵なものを買った後の女の人は(彼女が仕事ができる人であればあるほど)こういうのです。「またこういう素敵なものを買えるように、お仕事がんばろう!」。だけど、「こういう素敵なものを買うためには、また汗水流して働かないといけないのね……それならもう素敵なものはいらないから、家で寝てたい」と思ってしまうアラサー女性だって、いるはず。というか、ここにいます! 山内マリコさんのお買い物エッセイは、従来通りのお買い物エッセイが好きな女性にもおすすめだけど、そんな家で寝てたい系のお買い物で大きな喜びを得にくい女性にもおすすめなのです。プラダのお財布を買った山内マリコさんさて、それまで使っていたイルビゾンテの二つ折り財布に別れを告げ、伊勢丹新宿店で約9万円するプラダのお財布を買った山内さん。高揚した気分で店を出たあと心中でつぶやいたのは、「仕事がんばろう……」という一言だったようです。「仕事がんばろう!」と「仕事がんばろう……」の間には、越えられそうで越えられない高い壁が存在していると思うのは、私だけでしょうか。後者には、そこはかとない「トホホ感」があり、私などでもちょっと共感できます。プラダのお財布の後に『買い物とわたし』に登場するのは、たとえば〈「冷え知らず」さんの生姜トマトチキンカレー〉。山内さんはこのレトルトカレーが大変好きだったそうなのですが、なんと販売が終了してしまい、自宅にただ一つ残った賞味期限切れのトマトチキンカレーを前に「開封しようか、それともいっそオブジェとして飾っておこうか」と悩むのです。そう、私が読みたいお買い物エッセイはこれだった。ブランド物、長く使えるこだわりの品、オーガニックの洗剤、そういうのももちろん素敵なのだけど、人がものを買うのはいつも伊勢丹なわけではないじゃないですか。いつも行っているコンビニで売っていたレトルトカレーが好きだとか、「富山のお土産シリーズ」のます寿司のピアスだとか、そういうものについて書いているお買い物エッセイが私は読みたかったわけです。あと、「私が選び抜いたこだわりの品」ばかりを書いているわけではないところも読みやすいですね。たとえば、セレクトショップで1万円もする白くておしゃれな傘を購入した山内さん。しかし、その日のうちに汚れがすごく目立つということに気付き「白は失敗だった」と悟ります。気分が高揚していると、「白は汚れる」というだれでも知っているような事実が意外な盲点になってしまうこと、ありますよね……。「仕事がんばろう!」の瞬間お買い物で素敵な品を買うことによって「仕事がんばろう!」という気にはなかなかならない私ですが、よくよく思い返してみれば、「ああ、この瞬間のためにまたがんばって働かなければ……」と思うときが、そういえばあることはありました。それは、旅行に出かけるときの飛行機が離陸する瞬間。旅行真っ只中の、観光地巡りをしているときは特に何も思わないのですが、飛行機が滑走路を走って機体がふわっと浮くあの瞬間、そうあの瞬間だけは、確かに「働かなければ……」と思います。航空券のチケットが高いからかもしれませんが、あの「ふわっ」がもたらしてくれる開放感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。私は何のために働いて、何が欲しくてお金を使うんだろう? ある人にとってそれはブランド物のお財布や鞄なのかもしれないし、ある人にとってそれはコンビニのお菓子やレトルトカレーなのかもしれません。お酒を飲む瞬間、ギャンブルで儲ける瞬間、飛行機が離陸する瞬間、美味しいものを食べる瞬間。『買い物とわたし』は、自分の欲しい物と、お金の使い方と、働き方を考え直す上で、なかなか示唆をあたえてくるエッセイだったように思います。今日、あなたは何にお金を使いましたか?Text/ チェコ好き
2016年04月28日旬なアスリートの生きざまに迫っていく関西テレビの番組『イキザマJAPAN』(関西ローカル)では、24日(8:30~9:00)の放送で、リオ五輪出場を決めたマラソンランナー・福士加代子選手を取り上げる。福士選手は、初マラソンの2008年・大阪国際女子マラソンでの19位という挫折から、3度目の選考レースでついに五輪の切符を手に。この10年間にわたる独占映像と、リオ五輪代表決定後の最新映像で、知られざるドラマを描いていく。MCの小籔千豊は「福士さんがVTRで『マラソン嫌、練習も嫌、何もかも嫌。でもそれをやらない自分が1番嫌』みたいなことを言うてはって。一流のアスリートの明るい笑顔と内に秘めたる闘志を感じました」と感想。「僕の場合は、"しかめっ面と内に秘めたる怠惰"なので、福士さんを見習いたいです!」と感化されたようだ。ゲストには、元マラソンランナーの千葉真子と、ビビる大木、MEGUMIの3人が出演する。
2016年04月22日純喫茶のマスターというとどのような方を思い浮かべるでしょうか?蝶ネクタイを締めた白いシャツと黒いパンツスタイルで正装した物静かな方、トレードマークになっているエプロン姿が見慣れた元気な方、清潔でパリッとしたシャツに身を包んだ穏やかな方…。今回は立ち寄れば思わず元気になってしまうような明るくてユーモアあふれるマスターのいる純喫茶を紹介します。足を運んでくれる人たちには応えたい難波里奈『純喫茶へ、1000軒』難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年04月15日本格料理が味わえるリトルアジア記念すべき第1回は、スタイリッシュなみなとみらい地区……の裏手にある、横浜飲みの聖地・野毛から。呑兵衛おじさんの街として近寄り難かったエリアだけれど、最近はおしゃれなバーも増えて人気急上昇中の注目スポット。とはいえ、初見参ではどこへ足を踏み入れていいのやら!? と、尻込みしちゃう。ましておひとりさまで「誕生日を祝いたい!」なんて言いだす勇気も、正直ない。▲過去に提供したケーキの一例。無料で名入れもしてくれますなお、リョウちゃんのバースディスイーツは当日だと「スイーツの盛り合わせ」(1,000円~)になりますが、3日前までの予約であれば「スタンダードショートケーキ」、1週間前なら「オリジナルケーキ」(3,000円~)も可能。好きなキャラクターをあしらったデザインや、ケーキ屋さんでは頼みにくいオリジナルメッセージも承ってくれます。友人を驚かしたいときにもオススメです!※表記はすべて税込み価格です。【店舗情報】■151‐A(イチゴイチエ)住所:神奈川県横浜市中区野毛町1‐50‐1 A1野毛壱番館A号室電話番号:045‐325‐7967営業時間:18:00~翌2:00定休日:第3日曜日
2016年04月15日学校がある街には必ず素敵な純喫茶がある?難波里奈『純喫茶へ、1000軒』難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年04月08日いま、ひとり海外旅を楽しむ大人女子が増えています。独身のみならず、結婚していてもひとりの時間は大切。ひとりぼっちの旅ではなく、むしろ「おひとりさま旅」ともいわれるようになった、大人のひとり旅のすすめです。 ■ひとり旅におすすめの国は?女性に人気のヨーロッパ。そのなかでもフランスやドイツ、ベルギーなどは女性のひとり旅に人気でおすすめです。ローカルな気分を味わえるよう、気ままにカフェでのんびりしたり、目的もなく街をブラブラするなど、とくにプランをつくらない旅もひとり旅の醍醐味です。メジャーな都市なら、公共の交通機関が整っているので、電車でいろいろまわるのも便利でおすすめです。その他のおすすめはアジアの台湾。とくに首都台北は電車でどこにでも手軽に行けて、とても便利。治安も比較的よく、ひとりで食べ歩きやスパ、温泉などのリゾート的要素も楽しめます。■SNSでつながる旅最近はSNSを利用する人がますます増え、ひとり旅をしていても孤独に感じません。現地からFacebookやInstagramなどのSNSで、いつでもどこでも誰かとつながることができます。旅先で撮影した写真を載せれば、オンタイムで家族や友人とコメントで話せるのも楽しいですよね。旅の近況を知らせることもでき、また現地の情報なども入手しやすいSNSはひとり旅には最高のツール。そのために、事前に海外旅行用のポケットWiFiレンタルなど、リサーチとお申し込みは忘れずに。■ひとりだからこそ充実の旅に仕事をしているとなかなか長期の連休は取れないですよね。そのため、急に仕事が落ち着いて連休が取れそうになったときには、思いきって有給消化をするもの大事。前から計画していた旅ではなく、弾丸旅行を決行するのもなかなか楽しいものです。そんなとき、ひとりならフレキシブル。急な休みでも旅に出れちゃいます。忙しい大人女子にとって旅行は、行けるときに行くのが鉄則です! 貴重な時間を無駄にせずに、自分のために時間を使ってみましょう。ひとり旅では何をメインにするかをざっくり決めておくとよいでしょう。ゆっくりスパを楽しむ旅、おいしいものを食べる旅、ミュージアムをまわる旅、友達に会いに行く旅。目的をひとつに絞ることで、じっくりと気楽に楽しめる旅になります。あれもしたい、これもしたいとプランをたててかけ回る旅もよいですが、ときには自分のペースで予定変更もどんどんできる、欲のない、気楽なひとり旅をしてみませんか。
2016年04月03日1人1人に向き合った高架下の純喫茶難波里奈『純喫茶へ、1000軒』難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年04月01日私はこのまま結婚しないかも。ご縁があったらしたいけど、良い人がいなければずっと“ひとり”かもしれないな…。アラサー、アラフォーになると、そのような考えが頭をよぎり始める女性も多いよう。『毎日がおひとりさま。』をはじめとするコミックエッセイが人気のフカザワナオコさんは、少し前までそういう独女の代表格ともいえる存在でした。そんな彼女がついにご結婚!晴れておひとりさまを卒業したフカザワさんの今の心境とは?◆アラフォーおひとりさまが結婚…!フカザワさんといえば、前述の『毎日がおひとりさま。』に続き、『おひとりさまの京都ひとり旅』(共に主婦の友社)、『おひとりさまの「はじめまして」』(幻冬舎)、『おひとりさまのはじめて料理』(KADOKAWA)など、とにかく“おひとりさま”関連の本をたくさん出している漫画家さん。だから「職業=おひとりさま」というイメージが強く、結婚前、彼氏がいると話しただけで女友達にびっくりされたこともあるそうです。そのフカザワさんが約1年前に入籍し、今月、『アラフォーおひとりさま、結婚しました。』(KADOKAWA)を刊行。こちらの本には、友人だったご主人からのプロポーズ、同棲、親との対面、ちょっとしたケンカやトラブルなど、結婚を決めてから婚姻届を提出するまでのあれこれが詰まっています。過去には良縁にご利益のあるパワースポットを訪れたり、出雲大社に縁結びの御祈祷を受けに行ったりと、結婚に憧れはあったものの、「もしかしたらこのままひとりかも」と頭のどこかで思っていたという彼女。長年ひとりでいた分、結婚にはそれなりの覚悟も必要だったようです。◆結婚はふたり編成のチームを作ること【Q.1】結婚を決めたとき、一番不安だったのはどんなことですか?「家が仕事場でもあるので一緒に 生活することで仕事するペースが崩れないかな?っていうのがすごく不安でしたー。実際は夫がサラリーマンなので規則正しい生活に私も必然的になり、仕事もちゃんとペース配分できてすごくいい感じです。」【Q.2】「結婚して幸せ」「結婚してよかった」と思える瞬間を教えてください。「毎日の晩酌で飲み相手がいること。ひとりでだらだら飲むのも楽しいけど、飲み相手が身近でいるというのはとても楽しいです。(そして飲み過ぎます…)」【Q.3】入籍から約1年経ってみての感想(印象?)を教えてください。「なんだかあっという間だなぁ!という印象です。思ったより起伏もなくとんとんとーんと日々が過ぎていくので、いつのまにもうすぐ1年!?って感じです。」【Q.4】ズバリあなたにとって“結婚”とは?「結婚前は『結婚とは人生のパートナーを見つけること!』って思ってたのですが、結婚してみると『結婚とはふたり編成のチームを作ること!』だなって思います。いろんなことに一緒に立ち向かう感じがチームっぽいなって。」結婚前はいろいろ思い悩むことがあっても、一緒に暮らしてみれば意外と平気!ということもあるものなんですね。そして、「結婚はチームを作ること」って回答は本当に魅力的!「昨日より今日、今日より明日」とふたりで日々、成長していけそうなイメージが湧いてきます。ひとりでは越えられない壁も、ふたりでなら乗り越えられそうな…。◆フカザワさんからのメッセージ最後に、そんな楽しくも穏やかな新婚生活を送るフカザワさんより、読者のみなさんへのメッセージをお届けします。『四十路の細道』連載時は大変お世話になりました!おかげさまで昨年春入籍しましてなんとかもうすぐ結婚1年って感じです。アラフォーなりの結婚までの道のりがつまった新刊『アラフォーおひとりさま、結婚しました。』ぜひぜひ読んでくださいね〜。それにしても、長年友達だった人との自然な形での結婚って憧れちゃう…!幸せの青い鳥は意外と近くに?みなさんの周りにも、もしかしたらそういう相手がいるかもしれませんね。「いい人いないかな」とため息が出そうになったときは、身近な人たちを見渡してみてはいかがでしょうか?フカザワナオコ1973年生まれ、愛知県在住のイラストレーター&漫画家。独身、彼ナシ、金ナシの楽しくて切ない毎日をつづった「毎日がおひとりさま。」はシリーズ化され、台湾や中国でも翻訳されるほど人気のコミックエッセイ『おひとりさまのはじめて料理 おひとりさま10年め、でもお料理1年生』(KADOKAWA)も人気。毎日更新される絵日記ブログ『ひとこま作者』も常にブログランキング上位。
2016年03月29日(c)by @sage_solar「君みたいなスカスカ女には限りなくうんざりだよ。はっきり言わせてもらえればね」おいおいおい。こんなことを男性にいわれたら、普通はブチ切れますよねこっちだって。実際、これをかのホールデン・コールフィールドにいわれたガールフレンドのサリー・ヘイズは、この後むちゃくちゃにキレてさらに泣いています。そりゃそうだ、だれがスカスカ女だよ。唐突に話を始めてしまいましたが、ホールデン・コールフィールドとはもちろん、『ライ麦畑でつかまえて』の主人公である、高校生の男の子です。それで、今回はこれに基づいて、少し(だいぶ)変な話をするのですが、もし地球に隕石が衝突して恋愛のプロと称される方々が全員この世を去ってしまい、私がアラサー女性のための婚活塾を始めなければならなくなったとしたら、私はもう真っ先にこの『ライ麦』を課題図書に指定します。パートナーが欲しい女性は、この小説を5回くらい通読してください。ホールデン・コールフィールドは、モテないさて、物語のなかのホールデン君は16歳です。高校生に手を出すわけにもいかないし、なぜいい年になった我々がパートナー欲しさにこの小説を読まなければならないのか、と疑問に思う方もいることでしょう。しかし、私はみなさんに、この神経質で融通が利かなくて、さらにガールフレンドに暴言を吐いたり唐突に泣き出したりするこの扱いづらい少年が、15年後、どんな男に成長しているかちょっと想像してみて欲しいのです。15年後、31歳の男になったホールデン君は、まあ間違いなくモテないです。たとえルックスが良かろうと、お金を持っていようと、有名企業に勤めていようと、神経質で融通が利かなくて何を考えているのかよくわからないところは、きっと16歳の頃とあまり変わっていないだろうから。女性って、そういう男性を敬遠しますよね。まあ、せっかく行ったデートでスカスカとかいわれたらこっちだってちょっと黙ってはいられません。だけど31歳のホールデン君、たしかに厄介なやつであることは変わりないんですが、でも確実に、悪いやつではないんですよ。それは、この『ライ麦畑』という小説を読めばわかります。なぜ彼はこんなに神経質なのか。なぜ彼はこんなに融通が利かなくて、不器用なのか。その心理は、小説のなかにすべて書いてあります。そしてそれは決して他人事というわけでもなく、あなた自身もかつてどこかで、少なからず経験してきた感情でもあると思うのです。なぜ彼が面と向かってスカスカなんていったのか、その背景にあるものが、小説を読めばおぼろげながら理解できることでしょう。『ライ麦畑でつかまえて』は、パートナーへの要求水準を下げる!?私が主催する架空の婚活塾において、なぜ課題図書が『ライ麦畑でつかまえて』なのか、そろそろわかっていただけたでしょうか。架空の生徒さんたちにお伝えしたいのは、神経質で、融通が利かなくて、スマートさの欠片もないような不器用な男でも、悪いやつじゃないんだから別にいいじゃんってことです。気がよく回って話が面白い男性もたしかに魅力的ではありますが、彼らとはまたちがった魅力が、31歳になったホールデン君たちにはあるように、私は思います。悪いやつじゃないし、ちょっと頭の中身を解剖させてもらってのぞいてみれば、彼らだってそこまで複雑なことを考えているわけじゃありません。きっと、こちらが理解を示して話合えば、そこそこわかりあえる仲になれるんじゃないかと思います。だから、いわゆる「結婚向きな」「モテる」「明るい」男性じゃなくたって、十分にパートナーとして考えることはできるよ、って私は生徒さんに伝えたいのです。妙齢の女性が『ライ麦畑をつかまえて』をはじめとするサリンジャーの小説を読むことで、パートナー候補となる男性の間口を広げることができるのではないか、というのが私の仮説です。もちろん、独身街道を爆走していたって本人が楽しかったらそれはそれで別に全然いいんですけどね。まあしかし、婚活塾の課題図書に何を選ぶか、というのは考えてみるとけっこう意見が分かれて面白いかもしれません。あなただったら何を選ぶでしょうか、塾長さん?Text/ チェコ好き
2016年03月25日by gabofrいきなり変な話から始めますが、みなさんは「トペス(TOPES、TOPE)」って聞いたことありますか?これは、メキシコをはじめとする中南米の国々の道路にある、「人工の隆起物」のことを指すのだそうです。なぜ道路にそんなおかしな隆起物があるのかというと、ラテン系の方々って車を運転するときにあまり制限速度を守らないらしいんですね。そこで、道路にわざわざ隆起物を作って、標識などで「この先にトペスあり」みたいな警告をする。それを見たら、速度をゆるめないと、トペスのせいで車体がものすごい衝撃を受けてしまいます。だから、ラテン系の方々もトペスの標識が目に入ったら、仕方なく車の速度を落とすのだとか。このトペスという隆起物、中南米の国々の道路には、本当にたくさんあるんだそうですよ。UFO村、カピージャ・デル・モンテさて、ラテンアメリカを代表する小説といえば、コロンビアの作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』がありますよね。祖父と父と息子と3代にわたって同じような名前の登場人物が出てきたり、超現実的なことが次々に起こるので、少々読みにくい小説としても知られています。かくいう私も、実は大学生の頃から幾度となく挫折を繰り返してきていたのですが、新しい名前が登場するたびに家系図を見て本に線を引く、という地道な作業を行なったら、このたびなんとか通読することに成功しました。いやー面白かった!近年稀に見る達成感です。この『百年の孤独』でいちばん有名なシーンといえば、小町娘のレメディオスが、庭先でシーツに包まれながら空へと舞い上がり、そして消えてしまうところでしょうか。しかし、東洋の国に住む我々からするととても幻想的に思えるこのシーンも、ラテンアメリカの世界では普通にあること、つまり「現実」である──我々の考えている「幻想」と「現実」は、別世界へ行くとしばしばその枠組みを失ってしまう。そんなことを、イギリスの批評家は「マジック・リアリズム」と呼んだりもしました。いまいちピンと来ないという方がいるかもしれないので、もう少し補足しましょう。あのですね、アルゼンチンの中部に、「カピージャ・デル・モンテ」っていう村があるらしいのです。「カピージャ・デル・モンテ」、通称UFO村。村の東にそびえるウリトルコという山の頂上付近にしばしば謎の発光物体が現れることで知られ、村の人のほとんどがUFOの目撃者であるといいます。私たちがまわりに「UFOを見た!」なんていおうものなら年不相応の不思議ちゃんと見なされ避けられるのが関の山ですが、この村では、タクシーの運転手さんも、レストランのおばちゃんも、子供たちも、みーんな普通にUFOを見ているらしいのです。このUFO村の話を聞いたとき、私は「これぞラテンアメリカ、マジック・リアリズム!」と心が躍りました。みなさんも、UFO見たくないですか?リナ・ボ・バルディの魔術的建築真面目な話をすると、文学や芸術、それから旅行のすごいところは、自分が当たり前の「現実」だと思っているものでも、地球の裏側らへんまでいくと実は全然そんなことなかった、と気付かせてくれるところにあります。世間は狭いですが、地球はやっぱり広いのです。もう1つ、ワタリウム美術館で3月27日まで開催されている、『リナ・ボ・バルディ展』。リナはブラジルの女性建築家ですが、彼女の設計した「サンパウロ美術館」は、無機質な高層ビルが立ち並ぶなか、突如現れる巨大な赤の建築が目を引きます。こんな夢に出てくるみたいな建物が、本当に存在するんだろうか?私は、これもやはりラテンアメリカが生んだセンスであり、マジック・リアリズム的だ、と展示を見て思ったのです。ちなみに、冒頭で紹介したトペス。標識があると思って速度をゆるめたら結局なかったり、標識がないので特にスピードを落とさずに運転していたらドスンと来た、なんていう話も聞いたことがあります。なんだか傍迷惑な話にも思えますが、トペスのあるべきところにトペスがなかったり、ないはずのところにあったり、シーツに包まれて昇天したり、UFOを目撃したり、夢みたいな現実の建築があったり──たぶん私たちは、もっと自由に、もっと広い世界で思考してもいいのです。もしあなたが、ストレスで肩がガチガチに凝っちゃったりしたときは、意識をラテンアメリカのあたりまで、ぽーんと飛ばしてみるといいかもしれませんよ。Text/ チェコ好き
2016年03月18日年をとると、どんどん病気や怪我をしやすくなります。そんなこともあり、「65歳すぎたら働けないんじゃないか」と心配しているおひとりさまも多いのではないでしょうか。いつ、なにがあるのかわからないのが人生ですから。しかし、きょうはそんな方にちょっと厳しい現実をお伝えしなければなりません。将来が気になるおひとりさまは、心して受け止めてください。■老後シングルが生涯独身シングルと同じくらい増加中まずは、日本のおひとりさま事情から確認していきましょう。全日本人世帯の32.3%が単独世帯、つまり、おひとりさまです。要するに全世帯の3分の1がおひとりさま世帯ということになります。ところで「おひとりさま」と聞くと、どうしても「一生涯結婚しない人」というイメージが先行しがちですね。それほど「結婚しない・できない人」が身の回りに増えているからかもしれません。しかし、このことについては「生涯未婚率」という指標を意識する必要があります。生涯未婚率とは、「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したもの。生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。ただ、50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われています。国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2012)」によると、その生涯未婚率が2010年は男性が20.14%、女性は10.61%。特に男性の場合、2005年から2010年の間に約4%も上昇しています。すでに男性の5人に1人は、一生涯未婚だということになるわけです。推移をみると増加の一途をたどっているので、一生涯独身という人はめずらしい状態ではなさそうです。しかし、おひとりさまについては、「離別」「死別」を要因とするケースも十分に考えられます。「死別」と聞くと、「そんなにいないのでは?」と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。2世帯で一緒に生活する家族が激減しているということは、夫婦のどちらかに先立たれれば、その後は確実にシングルになるわけです。つまり、生涯独身シングルが増える一方、老後シングルも同じくらい増えているのです。予測では、2035年には単独世帯が37.2%まで増加し、「ひとり親と子」の11.4%を合計すると48.6%「夫婦のみ」「夫婦と子」との合計44.5%を超えることになります。つまり、お子さんがいるかどうかは別としても、全体の半分がパートナーのいない世帯だということになるのです。■老後に働けない場合は2000万円以上の貯蓄が必要すると問題になるのが、お金です。生涯独身でも老後シングルでも、自分が働けるうちはそれほど心配がありません。しかし働けなくなり、自分以外に頼る存在がいなくなったら、いったいどうすればいいのでしょうか?たとえば、以下のような条件で老後に必要なお金について確認してみましょう。(1)年金は、悲観的に考えて現在の80%で考える(2)生活費は、現状の生活費から−2万円ぐらいしか減らない(3)医療費は、生命保険次第だが貯畜50万円あれば充分(4)介護費用は、多めに計算して420万円貯蓄で準備する(5)住居費は、家賃を払い続けることを基準に考えるあくまでもファイナンシャルプランナーである私の考えですが、年収350万円のシングルが65歳までに準備しなければならないお金は、約3,975万円となります。[生活費]月々13.5万円(15万円から住居費1.5万円を除いた金額)/65歳から80歳までの15年間の必要金額2,430万円[医療費準備金]45万円[介護費用準備金]420万円[家賃]月々6万円(定年後、家賃の低い物件に引っ越した場合)/65歳から80歳までの15年間の必要金額1,080万円【合計】3,975万円一方、年収350万円のシングルが65歳からもらえる年金は、たった1,890万円。[年金収入]月々10.5万円(現状13万円の80%)/65歳から80歳までの15年間の受取総額1,890万円差し引きすると、2,085万円も不足してしまう計算になるのです。つまり、65歳の段階で2,000万円以上の貯蓄を準備しないといけないということ。2,000万円とは、途方もない金額ですよね。年収350万円のおひとりさまなら、年収の約6倍です。しかし、これだけのお金を準備しないと安心できないのが事実。「将来、働けなくなったらどうしよう」と気になっているかたは、まずこの厳しい現実を知ることがはじめの一歩となります。この2,000万円をどうやって用意すればいいのかについては、次回お話ししましょう。(文/ファイナンシャルシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※岡崎充輝(2014)『知らないとヤバイシングルのためのお金の話』彩図社
2016年03月15日20代後半、年収250万ちょっと、恋人なしのおひとりさま女性・沼越さんが、“運命の物件”を求めてモデルルームを巡り歩く日々を描いた漫画『プリンセスメゾン』。『モチイエ女子web』との連動企画として『やわらかスピリッツ』に連載され、女性読者を中心にあたたかい共感とささやかな勇気を与えている本作の作者・池辺葵さんに、女性の人生と住みかの関係について前後編でお話を伺いました。 今回は後編です。■前編「おひとりさまが家を買ったっていいじゃない!」はこちら家を買うという決断には損得ではないその人だけの理由が必要『プリンセスメゾン(1)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――『プリンセスメゾン』で“運命の物件”を探す沼越さんは、20代後半で年収250万ちょっと。住んでいるのも古いアパートの1階と、かなり地に足の着いた設定ですね。池辺葵さん(以下、池辺)最初から、マンションが買えるぎりぎりの年収の人の話にしたいと思ってました。『モチイエ女子web』の人にもかなり取材や試算をしてもらったら、“年収250万”という表現でもダメで、“年収250万ちょっと”が本当にぎりぎりの最低ラインらしいです。――作中には「単身女性の住宅ローンは審査が下りにくい」とったセリフがあったり、シビアな現実も描かれていますが。池辺でも、ローンってもっと組みづらいものだと思ってたんですけど、取材をしてみて、思ってたよりなんとかなるんだとも思いました。銀行にもよると思いますが、派遣社員でも3年以上勤めていればローンが下りるとか、頭金をいくら払えるかによってもだいぶ変わるとか。持ち家は買った家自体が担保になるから、保証人に関してはむしろ賃貸のほうが厳しかったり、単純にスペックや数字だけで決まるわけじゃないんだなって。――1巻で「努力すればできるかもしれないこと、できないって想像だけで決めつけて、やってみもせずに勝手に卑屈になっちゃだめだよ」という沼ちゃん(沼越さん)のセリフがありましたが、本当にそうなんですね。池辺でも、実際のところ20〜30代の若いうちに自分の家を買う決断ができる単身女性ってそう多くないと思うんです。仕事が中心で家には寝に帰るだけとか、将来どうなるのかまだわからないって人なら、買う必要ないと思うし。沼ちゃんがそこまでして家を買おうとしていることに、どうやって説得力を持たせるかは悩みました。――2巻で、沼ちゃんが持ち家にこだわる理由というか背景が、初めて明かされたのはそのためですか?池辺それも実は後付けの設定なんですけどね(笑)。持ち家は将来的に資産になるから、長期的に考えると賃貸のほうが高くつきますよ、とか言われても、じゃあ買おうとは思えないじゃないですか。結局、損得ではなくて、たとえ高くても家を持ちたいという、その人だけの強い理由が必要だなと思って。自分の生き方や幸せの価値観を見直す作業、それが家探し ――そんな沼ちゃんの姿を見て、不動産屋の人々も次第に応援を始めて、沼ちゃんと深く関わるようになっていくんですよね。池辺最初は、沼ちゃん以外にもいろんな人が出てくる群像劇にしようと思っていて、不動産屋さんの人たちもあんなにずっと出てくる予定じゃなくて。でも、描いてるうちにみんながんばって生きてほしいなってかわいく思えてきちゃって、沼ちゃんが不動産屋さんの人たちと徐々に関係を築いていく展開に自然となっていきました。――最初はファミリー向けの物件や、都心の高層マンションを見ていた沼ちゃんが、だんだん自分に本当に必要な条件を絞っていきますよね。なんだかそれが、人生における就職や結婚に似ているなと思いました。池辺そうなんですよ。家探しって、自分の生活や生き方を見直したり、自分にとっての幸せって何か考える作業にもなるんだなと、描いていて思いました。実際に東京でかなりの賃貸物件を見て回ったんですけど、東京の住宅事情にカルチャーショックを受けて。――え、どんなところにショックを受けたんですか?池辺私の実家の方だと十分いい部屋に住める値段でも、びっくりするくらい狭くて。東京の人は、家に関してはみんなすごく優しいんだなーと思ってしまったんですよね。でも、家ってそこまで気に入ってなくても実際住んでみたら慣れちゃうし、どこに住んでも自分が受け入れさえすれば馴染んでいくんだろうなって。それは持ち家を買うにしても同じで、どんなに気に入った理想の物件でも、暮らすうちに絶対何かしらの欠陥はあって100点にはならないと思っていて。何かひとつ自分にとって譲れない魅力があれば、あとは我慢できるのかなと思うんですよ。担当編集K(以下、担当K)すごい、まるで好きな人と結婚する話をしてるみたいですね(笑)。そういえば、20代のうちは家を買うことにリアリティを持てないけど、40代になるともうローンが組めなくなる、というのも出産のリミットに似ていますね……。今どう生きたいかを考えたら持ち家もいいかも、と思えた『プリンセスメゾン(2)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――家を買うつもりがない人も、もし自分が家を買うとしたらというのを真剣に考えてみると、自分の人生にとって大事なものや生き方を見つめるいい機会になりそうですね。担当K実際に家を買った単身女性にも取材をしたんですけど、みなさん「いざとなったら最終的には売ればいい」と言っていたのに驚きました。私はどうしても、持ち家を資産や投資と考えることができなくて、愛着を持って一生愛でるものだと思ってしまうので。池辺ただ、持ち家も自分の人生を彩るツールのひとつにすぎないから、そこまで一生ものと考えて情を持つ必要はないのかなって思ったりもするんです。自分の状況が変わって要らなくなったら、売って明け渡せばいいのかなと。これまで家を買うなんて興味もなかったけど、この連載を始めてから、家を買えるっていいなって思うようになりました。――そこをもう少し軽やかに考えられるようになったら、生き方のパターンも増えそうですね。池辺今住んでいる家は賃貸なんですけど、カウンターキッチンで選んだんです。私にとってはそれだけでテンションが上がって毎日が楽しくなる。あとすっごいつらくても、幸せな気持ちになれるんですよ。家賃は希望より少し高かったんですが、少しの間だけ、と思い切りました。すごく貯金したところで、人間死ぬときは1円も持って行けないんだって思って。将来のために、今少しの不自由さを我慢するのもいいことだと思うけど、上手に使って今を楽しく生きるのもいいのかなとも。どんなに大変なことになっても、絶対なんとかなるってどこかで思ってるところがあって。浪費に気をつけないとですね。本当の贅沢とは高価なものを持つことではなく、心の有り様だとおっしゃる(そして贅沢とは悪いことではない)森茉莉さんの「貧乏サヴァラン」を再読して原点に戻らないとです。――家を持つことを、将来への投資とか、老後のための保険と言われても、正直ピンとこない人は多いと思います。池辺私も少し前まで老後のことを考えてたんですけど、最近はもう死を考えるようになって(笑)。どこでどんなふうに死ぬんだろうと思ったら、自分が今どう生きたいのかをすごく考えるようになりました。そう考えたとき、ふと、自分が死ねる家があったらいいなって思って。まあ、実際は病院で死ぬことのほうが多いやろうけど。サスペンスとか見てると、ご年配の方が「死ぬ時は自分の家で死にたい」と言うシーンをたまに見るんです。それ、前までは何でやろって思ってたけど、最近、その気持ちがちょっとだけ分かるようになりました。――家のことに限らず、人の目を気にせずに、今の自分の幸せのためにがんばれる沼ちゃんのような生き方ができたらいいですね。今日はどうもありがとうございました!(プロフィール)池辺葵2009年、『落陽』でデビュー。洋裁店で働く女性が主人公の『繕い裁つ人』(講談社)は、2015年1月に中谷美紀主演で実写映画化もされた。他の作品に、喫茶店を舞台とした群像劇『サウダーデ』(講談社)、老婆の夢と現実を描いた『どぶがわ』(秋田書店)などがある。現在、『やわらかスピリッツ』(小学館)×『モチイエ女子web』にて、『プリンセスメゾン』を連載中。2月12日に最新刊第2巻が発売された。
2016年03月14日ブロガー・イケダハヤト氏との出会いをきっかけに高知へ移住したフリーライターの小野好美さん。最終回では、ゆるいつながりが魅力の「沢田マンライフ」を経て、イケダ氏も提唱している「2段階移住」(いったん地方都市に住んでから、山や海などの自然に恵まれた移住先を探す方が失敗が少ないという説)を実行に移します。数々の決断の先に小野さんが見つけたものとは−−?東京よりも高知の方が気の合う人とつながれて寂しくない高知にえいやと移り住んだものの、「県外から来たばかり」、「高知には身内もいない」、「独り者」、「仕事はフリーランス」という悪条件てんこ盛りでなかなか家が借りられなかった私ですが、沢田マンションだけは違いました。“沢田マンション”に住みたいがために他県からやってくる人もいるため、大家さんにとって、他県出身者や独り者は慣れたもの。もう一つの懸念事項「フリーランス(=収入が不安定)」に関しても、「それなら家で仕事ができてえいね(いいね)」と大家のお母さんはニッコリ。思わずお母さんに抱きつきそうになる衝動を抑え、私は30号室の賃貸契約を結びました。「沢マン」には、大家さん一家や住人同士のほどよくゆるいつながりがあり、たくさん食材をいただいた時には分け合ったり、時には誰かの部屋で自然と一緒にごはんを食べたり…。一人暮らしだと近隣とのつながりがほとんどない都会と、親戚のようにつながりの濃い田舎生活のちょうど中間という感じが、「ベタベタしたくないけど、完全に放っとかれるのはイヤ」という非常に面倒くさいメンタリティを持つ私にもすごーくちょうどいい空気感でした。都会から地方への単身移住について聞かれる質問ナンバーワンが「寂しくない?」というものですが、私の感触では、人口が多い東京よりもなぜか「沢マン」をはじめとした高知生活の方が、気の合う人とどんどんつながれて、寂しいと思う暇がなかったくらい。これは高知の人たちが皆ラテン気質で、フレンドリーだからでしょうか。もしくは人口が過密でない分、風通しがよくて、気の合う人にすぐアクセスできるから? それとも私の性格が高知にドハマリしているの? 曖昧な結論になりますが、自分をオープンにさえしておけば、ご縁ある場所では縁は広がり深まっていくもの。高知の人や自然に感化された私は、自ずと東京にいた時よりもオープンマインドだったのかも知れません。生活コストの低い“地方”「おひとりさま」ならどうにかなるまたよく聞かれる質問ナンバー2の「仕事はどうするの?」問題についても、(「あなたはフリーランスだからいけたんでしょ」という声もちらほら)乱暴な言い方になりますが、おひとりさまなら、どうにかなります。周りの移住者を見ると、「半農半X(エックス)」の人が多いかな、という印象。やりたかった農業を小さな規模でしながら、何かアルバイトをしたり、法人化しているような大きな農家を手伝ったり。「地方には仕事がない」という根強い呪縛がありますが、それは会社勤めをしたい人の話。飲食店、農業、農産物の加工・販売など、何らかの仕事はあるので、生活コストの低い地方ではそこまでがんばらなくとも、充分に生活していくことができます。もちろん自分でお店をやりたいとか、制作活動をしたいとか、そういう目的意識を持って移住してきて、実現している人も多々。イケハヤさんのブログでもよく論じられていますが、特に高知は元々企業が少なく、自営業が多い場所。商売を始めることのハードルが低いので、借金をせずに小さな規模でお試し的に商売を始めて、徐々に軌道に乗せていっている人が多いように思います。私が高知に来て感動し続けていることの一つが「自分で作って(やって)いいんだ!」ということ。都会では既に飽和しているインフラが地方では手薄。生まれた時から既存のシステムを充てがわれるのが当たり前だった東京生活に対し、地方ではイベントやお店や仕組みを、自分たちで作り出す余白があります。この能動的な姿勢に慣れてしまうと、システムに合わせる受動的な生き方では幸せを感じられない身体に…。リスクもあるのである意味キケンですが、圧倒的におもしろいのは確か。音楽、アート、お店、イベント、服、野菜や米、加工食品、そして家。あらゆるものを自分たちの手で作ってしまう人びとに囲まれていると、どうしてこれを買わないといけないと思い込んでいたんだろう? と思うこともしばしば。その分、もしも何かを買うなら、今まで以上に厳選するようになったのも収穫と言えましょう。さて、快適で順調に見えた私の沢マンライフですが、やはり拭うことができなかったのが「自然が足りない」という思い。そして、男と別れて仕事もフリーになって、仕事もプライペートもおひとりさま、四面楚歌状態で移住した私でしたが、移住から丸1年を前にしてその状態に変化が。恥ずかしながら帰ってまいりました…ラブのある暮らしに。えぇ、そうなんです。ありがとうございます。体の声を聞いて導き出した答えはおなかに…? 高知の海辺の町出身の彼が、その頃、仕事の関係で移り住んだのが四万十町は十和(とおわ)という地区でした。十和は高知県北西部に位置する山間の地域で、「道の駅」の成功モデルとして注目されている場所。移住者が多く、地域の人も移住者に対しとても柔軟です。どこを見ても山というこの地に何度か足を運ぶうち、私も彼と一緒にここに住むという話が持ち上がったのです。便利過ぎる沢田マンションから、「いちばん近いコンビニは隣の愛媛県」という山間の地に引っ越すには、またも激しい、葛藤がありました(激しすぎて体調を壊し、寝込む始末…!)。ですが、ここでも私の人生の根幹をなす「いくら考えても本当のところは分からない。やってみてダメだったらそこで考えよう」精神で思考を放棄。最終的にはまたしてもえいや、と勢いのみで引越しを敢行。沢田マンションのお母さんなどは、東京から来た私が田舎に引っ越すということで本当に心配してくれて、「何かあったらいつでも戻っておいで」と言ってくれました。入居のときはガマンした衝動を今回ばかりは抑えきれず、お母さんとがっしりハグを交わして私は四万十町にやってきました。そして現在。窓の外は一面の緑。聞こえてくるのは鳥の声。そしてそして、私のおなかには…猫が乗っていますね。3匹。すみません。重いので降りていただいてよろしいですか。かように彼と猫3匹との楽しい共同生活@四万十がスタートしました。ついに5年来、体の奥底で鳴りつづけていた「自然が足りない」という声に、「四万十移住」というアンサーを返したのです!四万十で“プラダの財布”は必要か?現在、東京で借りたら家賃6ケタの1戸建てを、4ケタ(!)で借りており、食材もよくいただくのでお金を使う機会はさらに激減。お金のために、と仕事をムリに抱え込む必要がなくなるので、余裕を持って仕事ができています。東京、そして高知市と比べて生活はさらにシンプルになりました。遊び方は料理とお酒を持ち寄って、誰かの家でパーティーするとか、気になる映画があったら上映会を自分たちで企画するとか、皆で餅つきや味噌作りをしてみるとか、そういう毎日で、意外と忙しいのです(笑)。パーティーの場にミュージシャンがいれば歌い、ダンサーがいれば踊り(四万十にはなぜかアーティストが多い)、料理も「玄人はだし」の人が多いので(田舎では美味しいお店ができるのを待っていても仕方がないので、自分たちで作るという姿勢のなせる技!)、気づけば四国の山奥にいるとは思えないクオリティの高い料理に囲まれていたり。ジビエもここでは当たり前。また、ときどきは街に行き、カフェやTSUTAYAでここぞとばかりに文化の香りを吸い込みます(笑)。暖かくなったらキャンプやカヌーに釣り、とアウトドア遊びが日常になることでしょう。「おひとりさま」のフットワークが軽さは武器になる そんな風にお金を使う機会が減って思うのは…なんというか、無人島に行く時にお気に入りのブランドのワンピースを着ていく人ってあまりいないですよね。もっと破れてもいいようなジーンズとか、履いて行きませんか?何が言いたいかというと、いかに私たちは人の目のための消費をしているかということ。私もフリーになった時に、自分に気合を入れようとプラダの財布など買ってみたのです。あくまで自分のためだと思っていましたが、でも、もしも自分以外誰もプラダを知らない国にいたら、その財布を買ったかどうか自信がありません。やっぱり周りからの「いいね」を欲しい気持ちがなかったと言ったらウソになる。他人からの称賛や羨望が欲しいという自分の気持ちも見つめたうえで、ファッションという遊びに昇華できていたら健全です。でも、自分を省みるとまったく自覚的じゃなくて、いつの間にか「これぐらいは持っていないと」という無意識の思い込みに振り回されていたな、と思うのです。借りていた部屋も、買っていた服や小物も。地方のいいところは、東京とくらべて圧倒的に「人の目」が少ないところ。人目を気にせず「自分の心身が心地よいかどうか」という一点のみにおいてすべてを選択できることが、どれほど幸福なことか−−。おひとりさま、東京から高知市を経て、四万十へ。また何か新しくておもしろそうな流れが来たら、乗るとは思いますが、とても心満たされる居場所を見つけました。もしもあなたが東京的な生活に疲れているなら。地方移住という手もありますよ。「おひとりさま」でも、いけました。おひとりさまであることは、フットワークが軽いという武器になります。私は前の恋人と別れてから「新しいパートナーができたら移住しよう」と思っていました。でも友だちに「彼氏が東京での仕事を手放せなかったら、移住できなくなるのでは?」と言われて至極納得。それに、先に一人で移住を果たして、のびのび暮らしていた方がパートナーもできやすいのかもしれません。極端な例かもしれませんが、高知に単身移住して1年を待たずに恋人ができて結婚、もうすぐママという友だちも。周囲のムードに流されず、「自分の心身が心地よいかどうか」をニュートラルに感じられる健やかさが、皆さまにも私にも、いつも共にありますように。読んでくださってありがとうございました! 今度は「田舎で消耗してるの?」にならないためのtipsとか、いろいろ書き足りませんが、すでに文字量を相当オーバーしているのでひとまずここで。またどこかで!Text/ 小野好美
2016年02月24日dee_dee_creamer大きな二重の目になりたかった。こんな剛毛ではなく、しなやかで柔らかい髪質に生まれたかった。もっと鼻が高ければよかったーー女性なら、一度は抱えたことがあるであろう容姿へのコンプレックス。しかし、美の基準は絶対的なものではなく、国や時代によって変わるものであるということは、みなさん頭ではわかっているかと思います。社会における美の基準がどのようにして決まるのかというと、時の権力者の容姿が基準になっていることが多いと聞きます。大きくて二重の目、柔らかい髪質、高い鼻、これらは端的にいえば白人の顔立ちですね。今後何十年、何百年の間でまた変化があるかと思いますが、近代〜現代社会というのは、白人社会が権力を持った時代です。だから、我々の美の基準というのも、白人の顔立ちが基本になっているんですね。と、話は変わりますが、現在〜2016年3月6日まで、六本木の森美術館にて『村上隆の五百羅漢図展』が開催されています。会場内での撮影が全OK&SNSでのシェアも可能という、なんとも現代的な展示なので、これまでにない刺激的な体験ができる人も多いはず。現代アートに興味のある方がいたら、ぜひとも足を運んでほしい展示です。村上隆ってどんな人?村上隆といえば、オタクカルチャーを日本の現代アートのなかに戦略的に取り込み、海外で高い評価を得てきた美術家です。2007年にNYのメガギャラリーであるガゴシアン・ギャラリーで最初の個展を行ない、2008年にはオークションに出品した作品が1500万ドル(約16億円)という最高値を記録、美術家としての名声の頂点を極めました。ルイ・ヴィトンとコラボレーションしたバッグや、女の子が自分の胸から出ている母乳で縄跳びをしている巨大フィギア『HIROPON』などの作品を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。彼の作品を表す言葉として「スーパーフラット」というものがありますが、これは簡単にいうと「キャラクター」を作品の中心に据える、ということです。村上隆と聞いて真っ先に連想するニコニコしたお花とか、大きな耳を持った「DOB君」なんかが、それに当たります。我々日本人の多くは、幼い頃から漫画に親しみ、キャラクターの笑っている/怒っている/泣いているなどの表情を表す記号、また漫画表現独特の文法を習得しています。通常、美術館は芸術家や批評家、その他独自のコードを学んだ者しか楽しむことができない空間であることが多いですが、村上隆はこのなかに「キャラクター」という概念を導入し、ハイコンテクスト/ローコンテクストの関係を混乱させたわけです。キーワードは『奇想の系譜』。「異端」と「正統」の関係を考えるさて、話はもどって今回の展示『五百羅漢図』です。横幅100メートルにもなる極彩色の絵画がいくつも並ぶ光景は、溢れ出るエネルギーのあまり頭がクラクラするほどです。ところでこの『五百羅漢図』、制作の発端となったのは「奇想」を論じた『奇想の系譜』の著者である美術史家・辻惟雄氏と村上隆が『芸術新潮』上で行なっていた連載企画なんだそう。昨今、伊藤若冲展や鳥獣戯画展、春画展など、日本画ブームが起こりあちこちで興味深い展覧会が開催されていますが、人気のある日本画の展覧会に共通しているのが、この「奇想」という言葉です。日本美術史のなかで長く「異端」として扱われていた絵師たちの、エキセントリックであったりグロテスクであったりする斬新な表現が特徴的です。しかしちょっと覚えておきたいのは、これらが「異端」とされていた理由です。日本美術史の草創である明治初期、正統とみなされたのは狩野派などの「官画」で、浮世絵などの「民画」はその表現の斬新さや美術的完成度の高さをよそに、権威がないため勝手に「異端」、傍流とされてしまっていたんですね。長く美術史のなかで無視されてきたものが、現代になってその価値を再発見された、というわけです。女性の美しさの基準や、既婚であること未婚であること、恋人の有無、仕事や育児、自分が世間で「正統」とされる生き方をまっとうできていないことに、悩む女性は多いかもしれません。私もその1人です。だけど、村上隆の『五百羅漢図』や日本の「奇想」の画家たちは、いわゆる「正統」が、常に時の権力者によって恣意的に選択されたものに過ぎないということを思い出させてくれます。時代が変われば、「正統」は変わります。まわりとちがう人生を送っていたり、まわりとちがう価値観を持っていたって、年配の人に注意されたって、何の問題もありません。『五百羅漢図』に渦巻く力強い生命力は、そんな勇気をおひとりさまの女性にあたえてくれるはず。というわけで、首都圏にお住まいの女性は、ぜひ森美術館に行きましょう。「奇想」ならではの美しさや面白さが、きっとあなたの刺激になるはずです。Text/ チェコ好き
2016年02月24日20代後半、年収250万ちょっと、恋人なしのおひとりさま女性・沼越さんが、“運命の物件”を求めてモデルルームを巡り歩く日々を描いた漫画『プリンセスメゾン』。『モチイエ女子web』との連動企画として『やわらかスピリッツ』に連載され、女性読者を中心にあたたかい共感とささやかな勇気を与えている本作の作者・池辺葵さんに、女性の人生と住みかの関係について前後編でお話を伺いました。沼ちゃんは偏見や思い込みを打ち破る私にとってのスーパーヒーロー『プリンセスメゾン(1)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――そもそも、理想のマンション購入を目指すおひとりさま女性を漫画の題材にしようと思ったきっかけや経緯を教えてください。池辺葵さん(以下、池辺)もともと『モチイエ女子web』さんから、単身女性が家を買うことをテーマに漫画を連載したいという話があって、担当のKさんが私に企画を持ち込んでくれたんです。担当編集Kさん(以下、担当K)池辺さんはこれまで『繕い裁つ人』や『サウダーデ』などの作品で、衣食住の“衣”と“食”は描いてこられたので、「次は“住”はどうですか?」と。池辺私自身は、これまで家を買おうなんて考えたことがなかったんですけど、『サウダーデ』を描いたときに、家がないということや、帰るところがないということを、もう少し深く描きたいなと思って。『プリンセスメゾン』では、“ふるさと”や“居場所”をテーマにしていると自分では思っています。――沼越さんは、居酒屋に勤務しながら古いアパートの1階に住み、こだわりを持って地道な貯金とモデルルーム巡りを繰り返しています。恋愛や結婚とは関係なく、自分のためだけに家を買いたい、と主体的に行動する女性を描いているのが新鮮でした。池辺沼ちゃん(沼越さん)は、私にとって憧れのスーパーヒーローなんですよ。はたから見たら「沼ちゃんってかわいそうじゃない?」と思われてしまうような恵まれない状況でも、凛としていて、すごくいきいきと美しく生きている。独身で家を買う女性に対する、世間の偏見や思い込みをとっぱらってくれる存在なんです。――2巻には「まずは自分の人生をちゃんと自分で面倒みて、誰かと生きるのはそのあとです」というセリフがあって、とてもかっこよかったです。池辺沼ちゃんは、それはそれで極端だとは思いますけどね。もちろん、人は恋愛を通して成長したり、自己を確立したりすることもできるけど、そうじゃない人も魅力的に描きたいなと思っていて。共感を頼りにしか描けないからいろんな人の孤独に寄り添いたい『プリンセスメゾン(2)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――作品では沼ちゃん以外にも、さまざまな家で、さまざまな生き方をしている女性が描かれていますが、職業や地位やキャリアにかかわらず、人知れずみんなどこかに孤独を抱えている気がしました。池辺恥ずかしいことですけど、私はゼロから物語を作るのが苦手で。共感だけを頼りに描いているというか、自分が日々感じている感情をもとに膨らませないと、話に入り込めないんです。――でも、読んでいて決して寂しい気持ちにはならず、むしろ励まされて温かい気持ちになります。2巻に出てくる、旅をするOLの豊田さんが印象的でした。池辺実は、温泉で倒れたのは実話なんです(笑)。北海道へ一人旅に出かけたとき、札幌から帯広まで電車で3〜4時間かけて移動するのが大変で、疲れてたんでしょうね。温泉に入ったら気を失って浮いてたみたいで……。私、このまま死んでたかもしれないと思ったらなんかおかしくなっちゃって、これ絶対漫画に描こうと思いました。――最後、オフィスの屋上でタバコをふかしながら「さて、どこで生きようか」と見栄を切るのもいいですよね。池辺意地っ張りというか、虚勢を張っている女の人を描くのが好きなのかな。見栄を張るのって別に悪いことじゃないと思っていて。全然かっこよくないけどかっこつけてる、それが本当にかっこよく見えたらいいなと思って描いてます。担当K池辺さんの描く女の人は、ダウナーだけど読んでいて心地いいんです。テンションの高い超元気な人が出てきたら、「ああ、こっちも頑張らなきゃ……」みたいに思わされてつらいじゃないですか(笑)。池辺でも、ちょっと偏っているかなと思うときもあります。家を買う単身女性を応援するwebサイトなのに、持ち家やマンションの魅力をあんまり描けていないんじゃないかと心配で。『モチイエ女子web』さんがよく我慢してくれてるなって(笑)。――マンション購入をことさらよいものとしてゴリ押ししたりせず、ひとつの価値観を押しつけるようなところがないのがこの漫画のよさだと思いますよ。池辺ただ、買うか買わないかはともかく、「こんな暮らしが私にもあったら」と素敵に思えるように描いてほしい、とは担当さんからお願いされています。それに、登場人物たちがどんな境遇であっても、最終的には自分のことを肯定して前向きに生きているように見えたらいいな、と思って描いてますね。描きたい景色が先に浮かんでから物語が下りてくるのを待ちます――池辺さんは、描きたいシーンから話を考えたり、先にセリフが浮かんだり、というのが作品によって違うそうですが、本作ではどうですか?池辺『プリンセスメゾン』はシーンが先に浮かびます。たとえば、すごくきれいな景色を見たときに、「これを眺める女の人が描きたいな」と思ったり、あるいは「こういうところがふるさとだったらいいな」「でも、自分にはあそこに帰りたいと思えるような場所がないな」と思ったり。そういうところから発想していきますね。――描きたいと思った景色や感情は、普段から意識して覚えておくようにしているんですか?池辺以前はそういうのをスマホにメモしてたんですけど、あるできごとに感情を揺さぶられたら、そのとき感じたことはそのとき描かないとものにならないということがわかって。今は、ぎりぎりまで発想や衝動が下りてくるのを待つ感じです。待っていれば絶対に下りてくると言い聞かせて、自分を信じるようにしています。――毎回、見開きの絵がとてもきれいで素晴らしくて、息を呑みます。この景色を見開きで見せたいな、と考えて話を作ることは?池辺話の流れの中でこれが見開きにきたらいいな、と自然発生的に生まれるものなので、見開きで描きたいシーンから話を作ったことはないです。見開きの絵ってすごくインパクトがあるし、読む人に訴えかけるパワーがあるぶん、その力に頼ってしまっている気がして、最近は控えるようにしてるんです。――そうなんですか?毎回、どんな流れでどんな光景が見開きでバンとあらわれるのか、楽しみにしていました。池辺それまでデジタルデータで描いていたのを、2巻の途中からアナログ原稿に戻したんですよ。デジタルをうまく使いこなせなくて。そしたら、見開きはを描くのがすごくしんどくて、頭に浮かんでいるイメージをちゃんと表現できる画力が、自分にはまだないと思い知らされました。だから、見開きはもっと考えて使わないとなって。担当Kでも、アナログに戻してから書き込みが細かくなって、原稿がすごくよくなってると思います。コマの外に絵や書き文字をはみ出させたり、小さな遊びを入れてくださることも増えてきていて。タッチも変わっていると思うので、そこも味わいながら読んでほしいですね。後編「家探しとは自分の人生を見つめ直す作業である」につづく(プロフィール)池辺葵2009年、『落陽』でデビュー。洋裁店で働く女性が主人公の『繕い裁つ人』(講談社)は、2015年1月に中谷美紀主演で実写映画化もされた。他の作品に、喫茶店を舞台とした群像劇『サウダーデ』(講談社)、老婆の夢と現実を描いた『どぶがわ』(秋田書店)などがある。現在、『やわらかスピリッツ』(小学館)×『モチイエ女子web』にて、『プリンセスメゾン』を連載中。2月12日に最新刊第2巻が発売された。
2016年02月23日