「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日中村光の同名漫画を福田雄一監督が実写映画化する『ブラックナイトパレード』の描き下ろし現場ルポ漫画が解禁。併せて、特典満載の「ブラックナイトパレード 1~3巻新卒採用スターターセット」も12月1日(木)に発売されることが決定した。本作は、“受験失敗・就活失敗・彼女無し”と何をやってもダメな情けない主人公の男が、ブラックサンタとなり奮闘する姿を描くコメディ作。ブラックサンタとしてクリスマスの世界で大活躍を見せる日野三春を、福田監督作品初主演となる吉沢亮が熱演し、三春の同僚で超個性的なキャラクターたちに橋本環奈、中川大志、渡邊圭祐ら豪華キャストが名を連ねる。今回解禁となったのは、猛暑の中行われる撮影現場に自ら足を運んだ原作者・中村光が描き下ろした、超貴重な現場ルポ漫画の一部。初めてキャスト陣と対面した中村は、三春姿の吉沢に「三春には美しすぎるのでは…と思っていたのですが、演技に入られると、三春にしか見えない…!」「気絶寸前の叫び声すらもめっちゃ三春でした…!」と、その演技力とビジュアルの再現度に、原作者も思わず大絶賛。また、「ブラックナイトパレード 1~3巻新卒採用スターターセット」に付いてくる特典ブックレット(全8ページ)には、中村光と吉沢亮が映画化決定時の想いから子供の時のクリスマスのエピソードまでを語るスペシャル対談を掲載。更には他メインキャスト3名の現場ルポを収めた描き下ろし漫画、吉沢のリクエストで中村が自ら描き下ろした“本邦初公開となる三春のあの姿“が描かれた、ここだけでしか見れない内容となっている。「ブラックナイトパレード 1~3巻新卒採用スターターセット」12月1日(木)発売定価:1,874円(税込)集英社ヤングジャンプコミックス刊※パックされている内容はYJC『ブラックナイトパレード』通常版①~③巻と同じ内容です。『ブラックナイトパレード』12月23日(金)公開
2022年11月24日背徳感あふれるソウルフードの数々。ユニークな、旅グルメのルポマンガ。原作・青木潤太朗さん、作画・森山 慎さんによる『鍋に弾丸を受けながら』。〈危険な場所の方がとんでもなく美味いものにぶち当たっていることが多いかも〉。『鍋に弾丸を受けながら』の原作担当・青木潤太朗さんは、友人との会話の中でふとその事実に気づく。そんな青木さんの実体験がマンガになり、これが滅法面白い。「もともと釣りが大好きで、釣果を求めて、趣味を同じくするアメリカやブラジルなどの友人たちをガイドに釣り旅行に出かけていました。一般の観光では行かないような場所で食べたものの中には衝撃的に美味しいものがあって、その思い出はマンガになるかもと思ったんです」青木さんがメキシコの第二サンマルコス村で食べた「ロモアールトラボ(マフィアの拷問焼き)」や、下のコマで紹介している、ブラジルの「豚足(ハム)のファビュラ(いわゆるスラム)風」等々。紹介されているのは、ソウルフードの数々だ。「どこで何を食べるかについては、知っていたものも知らなかったものもありました。塊の牛肉をオーガニックコットンで包んで火に投げ込んで焼く“マフィアの拷問焼き”は、南米やスペインなどではポピュラーな調理法らしいのですが、僕は初めて知りました。一方、シカゴ名物のイタリアン・ビーフ(サンドイッチ)は、旅行前にYouTubeで調べて率先して食べたいと思っていたもの。初体験は、釣り友だちのロブさんおすすめの店でした。九州のとんこつラーメンが店によって味が違うのと同じで、同じサンドイッチでも、グレービーの味などすごく特色があります」日本人にとっての美食の概念を一変させるカオスなグルメレポート。食欲もそそるが、カルチャーの断片を知る上でも興味深い。現地に行って現地の人と交流したからこそ感じた、青木さんの視座からのリアルであり、そこも本書の大きな魅力だ。このマンガに登場するのは全員が美少女(別途説明を参照されたし)なのだが、ワイルドな釣りに出かけるわ、野性味あふれるサンドイッチにかぶりつくわで、そのギャップも愛らしい。「人気のTVドキュメンタリー『ハイパーハードボイルドグルメリポート』に例えられることもありますが、ここに出てくる料理は、あんな危険地帯に行かなくても街や家で気軽に食べられるものが多いですよ(笑)」たとえば、プレスリーの好物だったというエルビス・サンドイッチ。確かに自宅でも作れそう。そのカロリーにひるまなければ、だが。原作・青木潤太朗作画・森山 慎『鍋に弾丸を受けながら』1〈長年に亘る二次元の過剰摂取〉により、タトゥーもりもりの屈強な男性すら美少女に見えるという主人公・ジュンタローが楽しむスペシャルな味。KADOKAWA924円©Juntaro Aoki 2022/KADOKAWA©Sin Moriyama 2022/KADOKAWAあおき・じゅんたろうマンガ原作者、小説家。福岡県出身。釣りと料理が趣味。元々は友人の森山さんと釣り師のアイドルの話を作ろうとしていたそう。※『anan』2022年4月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年04月24日好奇心旺盛なイラストレーター・福田玲子が、話題のモノ・コトを実際に見てやって確かめてイラストにしてお伝えします! 6回目は、東京・自由が丘『クオカスタジオ自由が丘』で定期開催されている超人気パン教室『ロティ・オラン』の堀田誠先生によるレッスンに行ってきました! 毎回、予約開始後瞬時に席が埋まってしまうという噂の現場を目の当たりにし、見えてきたものとは……?猛烈に人気なんですって!【話題をさらうイラストルポ】vol. 6いま、超絶人気のパン教室があることをご存知ですか。その名は『ロティ・オラン』。主宰者の堀田誠先生が2010年、東京都狛江市に開いた教室です。自由が丘にあるお菓子・パンレッスン教室『クオカスタジオ自由が丘』でも、約5年前のオープン当初から堀田先生のレッスンが3か月に1度ほど開催されており、クオカ担当者の方いわく、「HPに告知をすると、20分ほどで予約が埋まってしまう」ほどの盛況ぶりだそう。東北や関西など遠路はるばるやってくる生徒さんのなかには、「普通のパン作りから、ワンランクアップを目指した方」も多いのだとか。「なぜそんなに人気なのか」。むくむくと好奇心が沸いた私、福田は、パン作りど素人のくせして、その話題のレッスンに潜入してきたのでありま~す!全部、疑ってかかってね!今回のレッスンは、「ヨーグルト酵母を使用した毎日食べたい絶品食パン」。ヨーグルト酵母という聞きなれない名前に加え、「毎日食べたい」とか「絶品」とか、テーマだけでも、食指が動きます。いざ、先生が登場! ヨダレがあふれ出るのをおさえつつ、耳を傾けますと……。「単純なことをさも偉そうに言っているだけなんで。全部疑って、あやしいと思ったら、質問をバンバンしてくださいね」と意表をつくトークでスタート。とはいえ、先生は、学生時代に酵母の生物学を専攻し、池尻にあるかの有名店『シニフィアンシニフィエ』の志賀勝栄シェフに師事。その後、有名ベーカリーの新規店舗展開に関わったあとに現在の教室を開いたという、知識と実績を持ち合わせたプロ中のプロ。理にかなった独特の説明で、多くの生徒さんはうなずきっぱなしです。例えば、本日の主役、ヨーグルト酵母について。堀田先生自分好みのパンの味にしたいから自家製酵母を使うよね。で、おいしく、できれば日持ちがするものがいいと考えると、それには酸味を使えばいい。食事にも合うしね。そんなときに、ヨーグルトを使うと安心な酸味になるんだ。ヨーグルト酵母というのは、小麦にくっついているかもしれない酵母をヨーグルト(乳酸菌)という場所で育てたもの。発酵させると小麦はおいしくなるからね。そして、天然酵母というとブドウをはじめとしたフルーツのイメージがあるけれど、ヨーグルトを使ったほうが、間違いなく粉の酵母が増えるんだ。それは、乳酸のおかげでpHの酸性が増えて、酵母が居心地いいと感じる弱酸性に保たれるから。酸性によって雑菌も減るし、いいとこだらけなんだ。乳酸菌はお腹にもいいしね。それは成形の場面でも然り。「きっちり(生地を)張らせてしめる(ねじる)」という独自のやり方に、常日頃からパン作りをしているであろう生徒さんでも「なるほど~」という感嘆の声をあげていました。クオカ担当者の方も「通常のやり方ではなく、先生のテクニックを学びたい、という方が多いんです」とおっしゃっているだけあり、試行錯誤のうえで築き上げられた手法は、一切の無駄がないという印象で、とても合理的でした。堀田先生なぜそれをやるのか、そこに疑問を持って自分の “こだわり” を見つけてほしい。ひとつひとつの工程にそれぞれ意味がある。ただやみくもにマニュアル通りに行うのではなく、目的を意識して取り組んで自分なりのベストな方法を見つけてほしいーー。これはパン作りに限ったことではなく、さまざまなことにもいえますよね。先生のお言葉が私の心にガツンと響き、広い意味での学びも得ることができました。お待ちかね試食タイム本ごね、一次発酵、成形、二次発酵、焼成とひととおりレクチャーを受けたあとは、約2時間弱のレッスンも終盤、いよいよ試食タイムです。ヨーグルト酵母の絶品食パンは、キメが細かく、しっとり柔らか。お口に入れると、わずかに酸味を感じられますが、まさに食事パンにぴったり。いくらでも食べられるおいしさでした。これがおうちでいつでも食べられたら……。さて、なぜ堀田先生のパン教室はこんなにも人気なのか。私が思ったのは下記の通り。●根拠に基づいた説得力あるレクチャー●堀田先生の独特なキャラクターと口調●研ぎ澄まされたオリジナルテクニック●とてもおいしい以上のことから、絶品食パンだけでなく、レッスンも病みつきになる、と思ったのでありました。先生のご指導を受けたいならば、クオカHPを逐一チェック!Information堀田誠さん『ロティ・オラン』クオカスタジオ自由が丘東京・自由が丘にある人気のお菓子・パンレッスン教室。ほかにも公開講座がたくさん! HPをこまめにチェックしてくださいね!文・伊藤順子
2018年03月18日好奇心旺盛なイラストレーター・福田玲子が、話題のモノ・コトを実際に見てやって確かめてイラストにしてお伝えする新連載! 4回目は、SNSで話題沸騰の、あのエンターテインメントを観てきました! マンネリぎみのカップルや、何か刺激を求めたい人、ブルブル震えます!刺激に飢えている人はぜひ! 話題のショーを観てきた!【話題をさらうイラストルポ】vol. 4彼氏「今度の土日どーする?」彼女「…どうしよっか」彼氏「じゃ、おれんちでいいか。適当に来て」彼女「わかった…」。季節は晩秋を迎えます。あんなに避けていたギラギラの太陽が、いつの間にか求めたくなるほどの心地よい日差しに変わり、気付いたらもう少しで年末、イチャイチャできるクリスマスです。なのに先のカップルったら……。四季の移り変わりのように、付き合い当初はイタいくらいにアツかったのに、いまや体感温度ゼ~ロ~。それはずばり、マンネリ、倦怠期。でも、まだ好きなんでしょ? 離れたくないんでしょ? ならば、ふたりに必要なのは、ドキドキ体験です♡そこで、ふたりの仲を再燃させるのにぴったりな刺激を与えてくれる、話題のショーをご紹介します! どういうものかというと……。常識と重力を凌駕する! 体験型エンターテインメント!その名も、フエルサ ブルータ 『Panasonic presents WA ! - Wonder Japan Experience』……長い! 解説致しますと、フエルサ ブルータとは、「獣のような力」を意味する、2003年に誕生したアルゼンチン発のパフォーマンス集団。ニューヨークで約10年間におよぶロングラン公演をはじめ、これまでに世界30か国60都市以上で500万人以上の観客を魅了しているといいます。そして、満を持して上陸した日本公演は、なんと8年の歳月をかけて構想を練った、日本をテーマにした新作なんだとか。ちなみに、タイトルの「WA」には、和風であり調和、平和であり輪、驚きのWAと、さまざまな意味がこめられているのだそう。月並みな言葉ではありますが、とにもかくにもすごいんです! ってことで、内容に迫りましょう。パフォーマンスは、舞台だけでなく観客のいるスペースや天井でも!2階は座席ですが、1階はオールスタンディング。パフォーマンスは舞台だけでなく、時に天井、時に観客が立っている1階スペースでも行われ、シーンが変わるたびに1階の観客は移動し、視線を変えることになります。次はいったいどこから何が現れるのか、ちょっとしたスリルを味わえるので、鑑賞はぜひとも1階をおすすめします。また、ショーといっても、キャッチコピーにもあるように、ただ観るだけではない体験型というのがこちらの大きな特徴のひとつ。天井から吊るされたパフォーマーが観客に手を差し伸べ、観客もそれに応えたり、なんと一緒に天井までのぼったり、セットに上がって踊ったりと、参加できる場面もあります。そして、肝心のパフォーマンスは……。まじで、重力を凌駕してた!パフォーマーは壁を飛び跳ねるように上ったり、天井から逆さまにクルクル踊ったり、空中を自在に駆け巡ったり。その動きは、ここは地球ではないんじゃないかと錯覚するほど。肉体の限界にこれでもかと挑戦するパフォーマンスの連続に、口は開きっぱなし、息もし忘れそうなほどに引き込まれました。ショーのスタイルは、ノンバーバル・パフォーマンスといって、セリフが一切ないもの。声や表情、動作などから観客はテーマというか、何かを読み取るわけなのですが、多くのシーンが静から動へと変化していて、個人的な見解としては、全体を通して、負を抱えていた人々が、段々とそこから解き放たれる、もしくは自ら解き放つ様子を表現しているのかなと思いました。負の殻を破り、吹っ切れた感で雄叫びをあげるさまは、まさにフエルサ ブルータ=獣のような力。迫力ある強さを感じ、観客の心も解放してくれるかのような一種の爽快感を覚えました。特に、斬新かつ圧巻だったのは、目玉のひとつといえる、観客の真上に透明なプールが降りてきて、そこで数人の女性パフォーマーが、大きな水たまりに絡みながら美しくも力強い動きを見せるシーン。観客は見上げてその神秘的で妖艶な姿を観ます。最初は、女性の体が水にとろけてしまうようなエロティシズムさえも感じる静の動きだったのですが、徐々に激しさが加わり、プールにダイブをしはじめます。バシーン!、ダーン! と体を水に打ちつける音が幾重にも重なってドラムのように鳴り響き、こちらも大胆になって思わず歓声をあげました。ほかにも、武士の格好をしたパフォーマーが歩いているかと思うと、徐々にスピードをはやめ、全力疾走になり、そこに突如壁が出現し、豪快に突き破るなど、心揺さぶられるシーンが盛りだくさん。立ちっぱなしだったけれど、あっという間の1時間半でした。公演後には、演者が観客のもとに来て話をしたり、写真を撮らせてくれたりと粋な計らいも。そうそう、おもしろいのは、公演中でも自由に写真や動画を撮っていいこと。SNSなどにどんどん投稿してほしいとのことです。いま隣りにいるちょっと見飽きた彼の顔も、一緒にここでドキドキすれば、前みたいに愛おしさを感じられるかも。イベントが多い年末はもうすぐそこ! 今度の週末、彼氏を誘ってみませんか。Informationフエルサ ブルータ 『Panasonic presents WA ! - Wonder Japan Experience』ロングラン決定!会場: 品川プリンスホテル ステラボール料金(税込):フロア・ムーブアラウンド(1階 スタンディング)4350円〜 ほか 問い合わせ: キョードー東京 0570-550-799文・伊藤順子
2017年11月03日夏休み、どこに出かけるか迷っている人へ、強力にプッシュしたい一冊がある。三浦しをんさんが各地の博物館を探検したルポエッセイ『ぐるぐる♡博物館』だ。「学生の頃、国内をぶらぶら旅するのが好きだったんです。夜は居酒屋に行くとして、昼間することがない。美しい景色には興味がないし、美術館も芸術的素養がないので躊躇する。それで、その土地の博物館に行くことが多かったですね」今回訪れたのは、茅野市尖石縄文考古館や奇石博物館、めがねミュージアム、ボタンの博物館…等々10館。思えば小さい頃から博物館が好きだったという三浦さん。「今回思ったのは、博物館ってきれいなものだけでなく、“え、なぜこれを集めたんだろう”というものがたくさんある。それを集めて館まで作った人の息吹や、展示に工夫して伝えようとしている人たちの情熱が感じられるんですよね。自分はそこが好きなんだなと分かりました」博物館は、誰かの熱い思いを保管している場所でもあるのだ。「その人が生涯をかけた思いの結晶がいつか学問を進展させることがあるし、まったく世の役に立たなかったとしても、こうして時を経て見る者の胸を打つものなんですね」そしてその思いに励まされた様子。「石を集めるなんて変わった人もいるんだなと奇石博物館に行ったら、古代から石を集めた人がいたと知って驚くと同時に、心強く感じました。自分にも説明できないけれど譲れない好みはありますが、きっとこれまでの人類で自分と同じ趣味を持った人はいたんだろうと思うと、時空を超えて“お前は一人じゃない!”って言ってもらえた気がする(笑)」それにしても三浦さん、文章はもちろんインタビューも上手で、各館そのものの妙味や見どころ、そして案内役の学芸員さんの魅力を見事に引き出している。みなさんの静かな情熱の激しさといったら!「これまでは一人で展示を眺めていただけですが、学芸員の方に話を聞いたほうが、その博物館の魅力が具体的に感じられますね。ガイドツアーに参加するのもいいし、分からないことがあったら積極的に聞くといいんだなと気づきました」この夏お出かけできない人も、本書を読めば旅気分になれます。『ぐるぐる♡博物館』国立科学博物館、大牟田市石炭産業科学館、雲仙岳災害記念館などのほか、寄り道編として熱海秘宝館や日本製紙石巻工場なども探訪。実業之日本社1600円みうら・しをん1976年生まれ。‘00年『格闘する者に○』でデビュー。‘06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、‘12年『舟を編む』で本屋大賞、‘15年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞受賞。※『anan』2017年8月2日号より。写真・土佐麻理子(三浦さん)水野昭子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2017年07月26日好奇心旺盛なイラストレーター・福田玲子が、話題のモノ・コトを実際に見てやって確かめてイラストにしてお伝えする新連載! 2回目は、開催間もないのにはやくも話題を集めている渋谷ヒカリエ ShinQsのイベントに行ってきました!【話題をさらうイラストルポ】vol. 2いまは昔、ある夏祭りの日。星が瞬く空の下、アタシは浴衣、そして隣は彼氏! 耳に届く軽快なまつりばやしはもちろん、出店の裸電球も、けだるそうなテキ屋の兄ちゃんも、煙を放出しているイカ焼きだって、氷の上で気取っている水あめでさえも、アタシたちのデートを盛り立ててくれているよう。夜風がいくら涼しくても、ふたりの心はヒートアップ♡ ハイテンションのまま特別な一夜を過ごしたい!……ってなラブラブカップルを横目に、私は女友だちとリンゴ飴をひたすら舐めてたんですけどね。チッなんて舌打ちなんかしてませんよ。でも、それでも、縁日はみんなが胸高鳴るイベントですよね。そんなドキドキワクワクを渋谷のド真ん中で体験できると聞いて訪れたのは……。感度の高いモノが揃う渋谷ヒカリエ ShinQs!駅直結でアクセスしやすく、流行最先端のショップが集まると幅広い層から支持されている渋谷ヒカリエ ShinQs。2017年夏のイベントとして、大人女子に向けて、お買い物の楽しさに加えて、非日常のドキドキ感を味わってほしいと “DOKI DOKI 大人の縁日” が開催中です(8月16日まで)。地下3階から5階までのショップを出店に見立てて、フォトジェニックな食べ歩きフードや、夏を彩る雑貨が種類豊富にスタンバイしてるとか。見てみると、どれもこれも本当にかわいくて、なんならすべてを描きたいところですけど、独断と偏見で超絶いい!と思ったものを選んでみました。まずは、巷で大流行のカキ氷! 『Gelateria TIE-AN』(B2F)では、凍らせたミルクにたっぷりのイチゴをミックスして削った「けずり苺ミルク」641円をいただけます。このふわふわカキ氷の滑らかさが半端ない! 優しい甘さのミルクと爽やかなイチゴが舌の上でとろける幸福感ったら! ひと口ほおばればそのおいしさにうっとりすること間違いなしです。トッピングのジェラートは「練乳ストロベリー」が定番なのですが、お好きなものにも変えられるから、リピーターが続出しそう♡ そうそう、アイスはつい食べちゃうけど冷えは女性の大敵。こちらはなんと鉄器で沸かした白湯を自由に飲めるという嬉しいサービスがあり、冷えた体をリセットして次のお買い物に臨めます♪続いて目にとまったのが、食べちゃうのがもったいないくらい見事なアイシングが施された『ベリーデコ』の「縁日スティッククッキー」357円(金魚のほか、カキ氷、ヨーヨーなど全4種)。こちらといえば、子どもが奪い合うほどのかわいいイラストで有名ですが、縁日クッキーに限っては幼さを封印。イベント「大人の縁日」にふさわしく、リアルを追求したのだそう。確かに、金魚はかわいいだけでなく美しいという表現がぴったり。大人の男女向けにおもたせとしても喜ばれそうです。お味はほっとする甘さと香ばしさで美味でした。お土産といえばもうひとつオススメしたいのが、『ドルチェフェリーチェ レガロ』の「キューブゼリー(金魚 BOX 入り)」1000円。このボックス、金魚すくいで取った持ち帰り用の金魚をイメージしていて、じめじめした暑さが吹き飛んでしまうほど爽やかでキュートです。友だちや彼氏に「金魚とったどー!」って渡すのはどうですか(笑)? なかのゼリーは、以前からある人気商品で、白桃やピオーネなど全6種類あるなかから、アラカルトで4種類が入っています。主に国産のフルーツがゴロリと入っていて味は濃厚。ひと口サイズでも大満足のひと品です。冷蔵庫でキンキンに冷やしてどうぞ♪おみくじうちわとお花のヘアードも激ヤバです!スイーツ3つをざっと紹介しましたが、縁日といえば神社、神社といえば…おみくじです! こちらもちゃんとおみくじがあるんです。しかも、コンパクトサイズでおしゃれなデザインのうちわ型。その名も「OTOMEみくじうちわ」! しかも無料というのが嬉しいポイントです(イベント期間中、各日1000枚限定、先着順)! 場所は 2階正面口にあり、うちわには大吉や吉などの運勢のほかに、乙女心をくすぐるメッセージが書かれています。気分がさらに高まり、暑さに負けないパワーがチャージされました!最後に、こんな私だってかわいくなれるかも♡ と思ったのが『ヒビヤカダン スタイル ヴィフ』の「ワンコインヘアード」500円。生花の髪飾りなんて、浴衣にぴったり、しかも他の子と差がつくかわいさじゃないですか。お花はひまわりとガーベラの2種類が選べて、ガーベラは白、黄色、オレンジの3色があります。このバリエなら、どんな浴衣にもマッチしそう。花火大会やお祭りへ行く前に立ち寄って、彼氏や友だちをドキリとさせるのはいかがでしょう。あ~青春時代に戻りたい! いえいえ、すべての乙女に捧げる企画です。私だって、この夏はこのヘアードをつけて浴衣デビューしてみせる! と忘れがちだった女子力が満ち溢れてきたようでした♪以上、渋谷ヒカリエ ShinQsイベント“DOKI DOKI 大人の縁日” をお届けしました! 館内のいたるところで見られる風鈴アートもポップでより涼しさを演出してくれます。すべての乙女をドキドキさせてくれる縁日体験、ぜひ行ってみてくださいね! 次回はどこへ行こう!? お楽しみに♪Information渋谷ヒカリエ ShinQs営業時間10:00~21:00(一部店舗により異なる)問い合わせ先03・3461・1090(代表)アクセス東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15番出口と直結。JR線、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」と2F連絡通路で直結。DOKI DOKI 大人の縁日のインスタグラムもチェック!アカウント名@hikarie_shinqs
2017年07月22日好奇心旺盛なイラストレーター・福田玲子が、話題のモノ・コトを実際に見てやって確かめてイラストにしてお伝えする新連載! 初回は、みなさまに “私” を知ってもらうために自己紹介をさせていただきます!イラストルポ、始めます!【話題をさらうイラストルポ】vol. 1イラストレーターをしている福田玲子といいます。好きなことはバドミントン、お酒を呑むこと、魚を捌くこと。年齢を重ねているので渋くてすみません。20代の頃の私はananの誌面に度々イラストを描いていました。基本は挿絵を描くことが多いのですが、特集によってはイラストルポを描くこともあります。実際に取材に行って、体験して見て感じたことをイラストと文章で構成するお仕事です。普段は机に向かいっぱなしの生活なので、外に出てお仕事をすることがナント楽しいこと!!合羽橋やコストコでお買い物したり、運動もしたし、原宿で朝からゴミ拾いもしました。血液型特集では血液型別合コンを覗き見しました。取材後は私も混じって楽しんじゃったりして(笑)。sex特集ではsexに関することなら何でもOKと編集部からの嬉しい丸投げにより、熱海の秘宝館に行ったっけ!ほかにも、同じマガジンハウスの女性誌のスピリチュアル特集では自分の前世を占ってもらいました。同行した編集者も一緒に見てもらったのですが、二人とも修道女だったとか言われちゃって(ホントかなあ!)。ananでやっていたイラストルポ、場所を変えてananwebでupしていきます。話題になっていることをいろいろ描いていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!さっそく次回は、あの人気商業施設の夏イベントに潜入した模様をお伝えします! 忘れかけていたあの頃のドキドキと新たなワクワクを体験してきましたよ!すぐにアップするのでお楽しみに♪
2017年07月20日幻冬舎は1月30日、新書『ルポ中年童貞』(中村淳彦 著/税別800円)を発売した。同書は、「幻冬舎plus」に連載されていたルポルタージュに大幅な書き下ろしを加えたもの。「20代未婚男性の40.5%が童貞、30歳を超えても4人に1人(26.1%)は童貞のまま」という衝撃的な事実が綴られている。「性交経験の有無や頻度、回数は、極めてパーソナルな問題であり、個人の自由だ。秘めたる性交経験が社会に影響を及ぼすわけがないじゃないか、と思われがちだが、性交未経験の男性は婚姻率の低下や少子化はもちろん、アイドルやアニメなどの娯楽産業、アダルトビデオや性風俗などの性産業の動向と密接に関わるだけでなく、職場においてはパワハラやセクハラなどの人間関係、労働の長時間化、離職率など、社会の根幹に関わるネガティブな問題に繋がっている、というのが私の仮説だ。」(「はじめに」より)。「中年童貞」がどのような存在で、社会にどのような影響を及ぼしているのかを可視化するのが同書の第一の目的という。「秋葉原は中年童貞天国」「妄想に生きる高学歴中年童貞」「ネット右翼と中年童貞」「女への絶望から男で童貞喪失」「童貞喪失を目指す学校」「中年童貞の受け皿となる介護業界」「中年童貞はこの社会が生んだ」の7章で構成されている。秋葉原のオタクシェアハウスに住む32歳、貞潔でなければ好きなアイドルを応援する資格がないと思う33歳、大学時代の好きな人が忘れられない高学歴大手塗料メーカー勤務 34歳、童貞でAV男優に合格したが性交できないまま自殺した33歳、潔癖な正義感ゆえにネトウヨ活動を続ける44歳、女性に相手にされず同性愛を偽る36歳、ハローワークで勧められ介護職にたどり着いた44歳らが登場。「まじめ」「正義感が強い」「不遇だった中高時代の記憶に現在もとらわれている」「処女信仰が強い」「過剰なプライドの高さ」「コミュニケーション不全」「潔癖な女性観」といった彼らの共通点が、取材を通して描かれる。
2015年01月30日