こんにちは、島本薫です。男性がチュチュやトウシューズを身につけて躍る、男だけのコメディ・バレエがあるという話、どこかで聞いたことはありませんか?聞いたことはあっても、「観た」ことはない人が多いのではないでしょうか。ううん、それはもったいない。彼らの踊りはキワモノと決めつけるにはあまりに楽しく、意外な美しさがあるものなのですから……!今回は、爆笑しながら元気と感動をもらえるバレエ、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の魅力をお届けしましょう。■男だけのコメディ・バレエ「トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団」とは?“誰もが気軽に楽しめるバレエ”を目指し、1974年にニューヨークのオフ・オフ・ブロードウェイで産声を上げたトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団(通称トロックス)。彼らがつくりあげたのは、世界初の「コメディ・バレエ」でした。舞台に上がるのは男性だけ。入念なメイクで女性に扮し、艶やかなチュチュをまとい、トウシューズを履いてポアント(つま先立ち)で舞う男性バレリーナに、世界が目を見張り、称賛の声を送りました。そこに繰り広げられていたのは、ただの女装バレエにとどまらない、バレエへの愛とリスペクトと遊び心あふれるステージだったからです。踊りをおろそかにすることなく、笑いの要素を取り入れる。女性のつもりで踊るのではなく、男性として、自分らしく女性の役を踊る。観客を楽しませ、自分たちも存分に楽しむ。そんな彼らの評判はすぐに海を越え、国内はもとより国外でのツアーもスタート。1982年には初の日本公演が行われ、追加公演を余儀なくされるほどの大盛況に。それ以来、日本はほぼ毎年ワールドツアーに組み込まれるようになりました。2006年には名誉ある「英国批評家協会ダンス賞」最優秀賞を受賞するなど、実力も折り紙付き。2016年にはトロックスのダンサー、チェイス・ジョンジーが「英国ナショナルダンスアワード最優秀男性ダンサー賞」に輝きました。性別を超えた役で評価を受けたのは、史上初のことです。そんな彼らが、どんなおもしろマジメな舞台を届けているのかといいますと……。■爆笑しながら元気と感動をもらえるバレエステージいっぱいにずらりと並ぶ、白い衣装のバレリーナたち。これから夢の舞台が始まるのかと思いきや、舞台袖から出てきたダンサーが男性役の隣でポーズをとるダンサーに歩み寄り、「ちょいとアンタ、そこはアタシの場所よ!」と、ひと騒動かましてくれるではありませんか。さすがはトロックス、出だしからやってくれます。音楽が鳴り、いざ踊りが始まると、誰もがトウで立つ男性バレリーナの迫力に圧倒されることでしょう(どう考えても2メートル以上はあるのですから……)。なのに、意外なほどの軽やかさとバレエらしさで魅せてくれるかと思うと、わざとドタドタ舞台を踏み鳴らしてみたり、すまし顔で女性役が男性役をリフトしてみたり。舞台の片隅には決めポーズで蹴飛ばされたダンサーがいたり、「何すんのヨ!」と小競り合いが始まったりと、踊りに笑いに全力投球。さあ気を取り直して、と言わんばかりにポーズを取り直すしぐさなど、もう爆笑もの。ただすべてがバレエとしての流れとテクニックの中で鮮やかに表現され、コメディでありながらアートと言うにふさわしいのです。頼りない王子様や、筋肉ムキムキのお姫様。女性顔負けのしなやかさを見せる白鳥の姫君もいれば、美しくも笑いあふれる踊りで観る者を瀕死の状態にいざなう白鳥もいて、バレエってこんなに楽しく素晴らしいものなんだと素直に思えてくるのです。トロックスの2017年オフィシャルサポーター、美川憲一さんは、その魅力をこのように述べています。「バレエはお行儀よく鑑賞するもの、という常識をぶっ壊したのが“トロ”なのよね。でもあそこまで壊しても成り立つのはやっぱり、基礎がちゃんとできているから」「好奇心が強い方が生きていて楽しいわよ。『バレエなんて』じゃなくて、そういうモノを一回見てみようっていう刺激って、生きてく中でとっても大切なことなのよ」隅々までバレエの愛と遊び心とファンサービスのあふれるトロックスの舞台。劇場で、あなたも愛と笑いと感動をもらってみませんか。トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団 2017年日本公演9月9日(土)~10月1日(日)まで、東京・大阪・九州など日本各地で公演オフィシャルサイト:
2017年09月23日東京バレエ団公開リハーサルより(C)Kiyonori Hasegawaまもなく開幕の〈20世紀の傑作バレエ〉公演、『アルルの女』上演をもってローラン・プティの作品に初めてのぞむ東京バレエ団が、ゲストのロベルト・ボッレを迎えてのリハーサルを公開、その後の記者懇親会で、ボッレとヒロイン役を演じる同団プリンシパル上野水香が公演への思いを語った。東京バレエ団 チケット情報「来日できてとても嬉しい」と笑顔のボッレ。ミラノ・スカラ座バレエ団のスターとして世界的に活躍するボッレだが、「プティとの出会いは19歳か20歳の頃、『シャブリエ・ダンス』を踊った時でした。プティは私を成長させ、進化させ、バレエという芸術の深みを追求させてくれた振付家。プティ作品における表現はとても難しいが、自分の芸術的成長を助けてくれた。全編を踊るのは2008年以来2度目ですが、この10年、私もいろいろな経験を経て成長した。ぜひ舞台を楽しみにしていただきたい」と話す。ビゼーの音楽で踊られる『アルルの女』は、アルルの闘牛場で出会った女性に心を奪われるあまり徐々に正気を失っていく青年フレデリと、彼に献身的な愛を注ぐ婚約者ヴィヴェットの悲恋を描くプティの代表作だ(1974年初演)。リハーサルでは、次第に狂気にのみこまれていく青年の苦悩を鬼気迫る演技でみせたボッレ。その傍らには、報われない愛に苦しむヴィヴェット役の上野が常に寄り添う。「プティ先生に習ったことは、とても重大なことでした」と上野。ボッレとは「初めて踊ったプティ作品が『シャブリエ・ダンス』、と共通点が。2年前のモスクワでのガラで初共演が叶い、それがプティの『アルルの女』の抜粋であったことも運命では、と思う。“悲しむ人”を表現するのはとても難しいことだけれど、悲しみも人生の中の美しいこと──そういう表現を、したいと思っています」。当日はイリ・キリアン振付『小さな死』のリハーサルも公開。これも、今回が東京バレエ団初演だ。スタジオではプリンシパルの川島麻実子、柄本弾はじめ6組のカップルたちが、キリアンならではの複雑な振付、その独特の世界に真摯に取り組む様子が見られた。「キリアンの振付は天才的」とボッレ。「今回の公演では、プティとともにイリ・キリアン、モーリス・ベジャールの作品を上演されますが、これは三大振付家の、非常にレベルの高い、美しさでも抜きん出た3作品」と、このプログラムに太鼓判を押す。同時上演のベジャール作品は『春の祭典』。同団の代表的レパートリーのひとつであり、海外の劇場でも成功を収めてきた作品だけに、今回実現する新世代の主役ダンサーたちの活躍に、大いに期待したい。公演は9月8日(金)から10日(日)、東京文化会館 大ホールにて。チケット発売中。取材・文加藤智子
2017年09月04日指揮者・西本智実が芸術監督を務めるイルミナートフィル&イルミナートバレエが、2014年の『白鳥の湖』、2016年の『くるみ割り人形』に続く3作目の全幕バレエとして『ロミオとジュリエット』に挑む。「音楽・バレエ・言語」の融合の試みとして2010年に初演したコンサート形式の『ロメオとジュリエッタ』を軸に、新たな演出・振付によるグランド・バレエを生み出すという。【チケット情報はこちら】西本は今回、指揮および演出を手がけるにあたり、こう意気込む。「2008年にスイスのダボス会議に招待されて参加した際、会議を通じて、150年前と今とに共通する“地図”のようなものを感じました。それ以降、私が制作するオペラやバレエでは常に、“今は何をすべきか”という問いかけを入れています。ですから『ロミオとジュリエット』では、平和を持続させることの難しさが重要なテーマのひとつ。なぜこの悲劇が生まれたのか、悲劇を未然に防ぐことはできたのではないかといったことを、遠い国の昔の話ではなくリアルな世界として感じていただける舞台にしたいと考えています」作曲のプロコフィエフは、西本とは縁の深いロシアの作曲家。彼がリムスキー=コルサコフに管弦楽法を学んだサンクトペテルブルク音楽院指揮科に西本は留学し、リムスキー=コルサコフの孫弟子にあたるイリヤ・ムーシンに学んでいる。「音楽院図書館には学生時代のプロコフィエフの写真が掲げられていて、とても美しい顔立ちなのですよ。彼は『ロミオとジュリエット』の中で、若者ふたりの性急でピュアな愛を、どこまでも上昇・飛躍するかのように巧みに転調しながら描き、また、ふたりの命を事切れさせる『運命の女神』などは素晴らしい不協和音で表現しています。音域で言えば音響的な振り幅がとても広く、弱音から突然の強音、めまぐるしい転調に、演奏者である私の感覚も揺さぶられながら指揮しています」イルミナートフィル&バレエの公演では、作品の既存のイメージに留まらない新しい解釈が見られるのも特長だ。「私が演出するバレエでは、音楽とバレエを有機的に融合させるため、楽曲分析した音楽から台本を作り直し、それを基に振り付けしていきます。さらにこの舞台では、必要最小限で言葉を字幕に表示します。ロミオと出会ったジュリエットは間もなく14歳という年頃。彼らの恋が、愛となり、そして死を迎えるまで、たった5日間の出来事ですが、そのジュリエットを、人生の全てを集約した象徴的な存在として演出しています。舞台には虚構もありますが、映像と違って全て生で表現します。命の煌めきや燃焼を、出演者総力をあげて表しています。2日間しか上演しない舞台です。ぜひ一緒に感じ合いましょう」公演は9月9日(土)・10(日)、東京・新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2017年08月31日民族舞劇や歌舞、器楽などを融合してオリジナル作品を上演する総合芸術団体・上海歌舞団が、2年前の日本ツアーで大好評を博した『朱鷺』で待望の再来日中だ。『羽衣伝説』や『白鳥の湖』などの伝承・民話をモチーフに、村の青年ジュンと朱鷺の精ジエの時空を超えた愛を描いた物語。8月29日、東京・Bunkamuraオーチャードホールで全国公演の幕が開いた。舞劇『朱鷺』チケット情報一幕は、淡いグラデーションで水墨画のように描かれた山々を背景に、古代の農村の様子が綴られる。村の青年ジュン(王佳俊)が薪を拾いに山の奥深くに入ると、湖のほとりで仲間たちと無邪気に集う朱鷺の精ジエ(朱潔静)がいた。朱を含めて朱鷺を演じるダンサーたちは細くしなやかで、羽衣とも朱鷺の羽根とも見える布をなびかせながら踊る姿は、まさに『羽衣伝説』に登場する天女のイメージだ。ジュンとジエはひと目で恋に落ち、夕陽が落ちるまでのひと時を睦まじく過ごす。だがジュンがふと目を覚ますと、ひとひらの羽根を残してジエの姿はなく……。ジュン役の王は、薪を村人に分け与えるほどの誠実さをもった青年が、初めて出会ったジエにもまっすぐ惹かれていくさまを好演。一方、「佐渡島で朱鷺の様子を観察しました」という朱は、朱鷺らしい動きを巧みに取り入れつつ、ジュンへの想いを優美に表現している。それは儚い女性性の表れのようでもあり、疲れて眠るジュンを包み込む、母なる大地の象徴のようでもある。壮大でドラマチックな楽曲に乗せて、朱鷺の精たちが一糸乱れぬアンサンブルを繰り広げるシーンも必見だ。一幕のラスト、消えたジエを探してさまようジュンの後ろを、朱鷺たちが滑るように次々と横切って消えてゆく場面は神秘的ですらある。物語は二幕で、産業革命を迎えて朱鷺が絶滅の危機に瀕した近代、さらに21世紀の現代へと続く。ジュンとジエの魂が時を越えて出会い、別れてゆく中で、次第に浮かび上がってくるものとは。観終わった後、観客それぞれの胸にその答えが残るだろう。初日公演を前に行われた囲み会見では、オフィシャルサポーターとして谷村新司と草刈民代が登壇。「初めてDVD(で舞台映像)を観た時、アンサンブルの凄さにビックリしました」というのは谷村だ。「朱さんの踊りは素晴らしいし、王さんはチャーミングなので、日本でもファンがとりこになりそう(笑)。この後、ナマで観られるのでワクワクしています」と話した。草刈は「『白鳥の湖』の群舞は有名ですが、『朱鷺』の群舞はそれとは全く別の凄さがあり、心が奪われます。なかなかこういう出合いはないと思うので、ぜひ堪能してください」と、元ダンサーならではの視点で魅力を語ってくれた。オーチャードホール公演は本日8月30日(水)まで。その後、9月2日(土)・3日(日)愛知県芸術劇場 大ホール、9月6日(水)から10日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、9月13日(水)・14日(木)大阪・オリックス劇場を巡演。取材・文佐藤さくら
2017年08月30日パリ・オペラ座の元エトワールの中でも、特に名演の数々が記憶に残る大スター、マニュエル・ルグリ。そんな彼がオペラ座引退後、ウィーン国立歌劇場の芸術監督に就任して早8年、その間にウィーンは、彼の手腕で格段に良いバレエカンパニーに成長したように見える。芸術監督としても素晴らしい彼が、信頼を置くダンサーたちをセレクトし、彼自身も新作を含め踊るというこのガラ、期待に胸を膨らませながら大阪・フェスティバルホールに向かった。ルグリ・ガラ チケット情報まず実感したのは、美しい脚のダンサー達ばかり、ということ。ベテランから新人まで男女ともに脚の甲が美しい、小さなパでもポーズでも惚れ惚れするライン。そこにそれぞれの魅力、表現が加わる。ルグリが選ぶダンサーは、まず、そうでないと、ということなのだろう。演目は、クラシックから現代作品までバランスの取れた構成。大阪で上演されたのはAプロで、幕開けは、昨年ルグリが全幕振付を手掛けた『海賊』よりオダリスク。ウィーンの若手、ニキーシャ・フォゴ、ナターシャ・マイヤー、芝本梨花子の3人が踊った。肌の色が違う3人がメソッドに正確に、揃った魅力を伸びやかに見せたのに、世界の平和を願うヨーロッパの知性を感じるような気がしたのは私だけだろうか。同じルグリの『海賊』から第2幕のアダージョを英国ロイヤル・バレエのマリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフが。恋人たちの幸せが劇場じゅうにフワーッと広がるようだった。『グラン・パ・クラシック』は、ボリショイ・バレエのオルガ・スミルノワとセミョーン・チュージン。余裕を持った高テクニックに、優雅なたたずまい。今回、出演者達は早めに大阪入りしてルグリとともにリハーサルを重ねたと聞くが、パリ・オペラ座の香りが伝えられているように感じられた。そして、ルグリ。イザベル・ゲランとの『フェアウェル・ワルツ』は、終わりを意識した男女の切ない感情を深みを持って。また、ローラン・プティの『アルルの女』より、もゲランと。心を病んだ男性と献身的に寄り添う女性──言葉がないからこその、静かな感情の起伏がじみじみと客席に伝わった。最後は、世界初演のルグリのソロ『Moment』。J.S.バッハの曲(F.ブゾーニ編曲のものも)に、ナタリア・ホレツナが振り付け、滝澤志野の生ピアノ演奏で。まるで、今の彼そのものを踊るような……確かなバレエのメソッドで作られた身体だからこその動き、それが途中、それを捨てて自由に、そしてまた……。身につけたものは、脱ぎ捨てても、また着ることができる衣服のよう。踊り重ねたからこそ表現できる境地、そんな風に思えるルグリの踊った3演目だった。東京だけのBプロでは、ルグリはローラン・プティの『アルルの女』にかわって『ランデヴー』を、豪華ゲスト達の演目も変わり、そちらも期待出来る。東京公演は8月22日(火)から25日(金)まで東京文化会館 大ホールにて。チケット発売中。当日券は各開演1時間前から会場にて販売。取材・文:菘(すずな)あつこ(舞踊評論家)
2017年08月22日ひと昔前は、女の子の憧れの習い事だったバレエ。それが今ではグッと身近な習い事となりました。バレエが好きで、娘に習わせているママも多いのでは?そんなバレエ人気を受けてか、今年の夏休みはバレエ映画が目白押し! バレエ公演をみに行くのはとてもお金がかかるけれど、バレエ映画ならお手頃に楽しめる上に、モチベーションアップやバレエへの理解を深めることにもつながりそうです。今年の夏休みは、親子でバレエ映画に出かけませんか? バレエ大好き少年少女なら見ておきたい、バレエ映画3本をピックアップしてみました。■小さな子どもでも楽しめる、フランス発のアニメ『フェリシーと夢のトウシューズ』バレエを始めたばかりの小さな頃は、まだピンクのバレエシューズやキラキラの衣装がお目当てだったりします。しかし、華やかな世界とは裏腹に、バレエは単調で地味。まだまだ集中力もガマンも足りない時期は、先生に厳しくされただけでイヤになってしまうことも。そんな時、施設育ちの不遇の環境から、持ち前の情熱で様々な困難を乗り越え、パリ・オペラ座のバレリーナを目指すフェリシーの姿をみたらモチベーションが上がるかも。バレエの本場、パリが舞台だけあって、バレエシーンの振付は、パリ・オペラ座の芸術監督のオレリー・デュポンとエトワールのジェレミー・べランガールが担当するという徹底ぶり。日本語吹き替え版も、自身もバレエ経験者の女優・土屋太鳳、日本バレエ界を牽引する熊川哲也が声優で参加しています。▼『フェリシーと夢のトウシューズ』 2017年8月12日から新宿ピカデリー他 にて全国公開■海外留学を夢見るバレリーナには『パリ・オペラ座バレエ 夢を継ぐ者たち』そして、こちらはまさに本物のパリ・オペラ座の舞台裏を描いたドキュメンタリー。これだけ日本でバレエ人口が増えた背景には、海外で活躍する日本人ダンサーたちの存在があります。みんなが憧れてやまないパリ・オペラ座ってどんなところ? その舞台裏をのぞかせてくれるこのドキュメンタリーは、海外のバレエ団に憧れる子どもたちの胸をときめかせてくれるでしょう。日本人ハーフのバレリーナ、オニール八菜さんの美しさにもウットリ!▼『パリ・オペラ座バレエ 夢を継ぐ者たち』 Bunkamuraル・シネマ他 公開中■小学生高学年以上&アーティストタイプには『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』もう少し大きくなってバレエに本格的にハマってくると、甘い世界ではないことに気づき、思うように踊れない、コンクールの結果が出ないなど、悩みも大きくなっていきます。「才能がないのでは?」「何のために踊っているの?」とバレエの苦しみもわかり始めたそんなバレリーナの卵たちには、もがき苦しみながらダンサーとしての自分と向き合う元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのセルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーがオススメ。19歳の時、史上最年少でロイヤル・バレエ団のプリンシパルまで上りつめた天才バレリーナは、キャリアの頂点であっさりとその座を捨てます。一体彼に何があったのか? 彼の壮絶な心の葛藤もさることながら、その美しすぎる踊りと肢体に、子どもよりもママが夢中になりそう!?▼『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』 2017年7月15日よりBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館他 全国順次公開 ■おまけ:バレエ男子だって負けてはいない──ミュージカル『ビリー・エリオット』の日本版がついに完成!「バレエは女の子のもの」は過去の価値観。今や日本のバレエ男子の活躍にはめざましいものがあります。ついこの間行われたユース・アメリカ・グランプリでも、日本人男子が2人も一位になるという快挙を成し遂げました。バレエ男子の映画といえば、貧困に喘ぐイギリスの炭坑町に住む少年ビリーがバレエに目覚め、ロイヤル・バレエ団を目指す『リトル・ダンサー』が有名ですが、そのミュージカルの日本版がついにこの夏誕生。バレエにタップ、さらに歌までをイキイキとこなす子どもたちのエネルギーは圧巻。バレエ男子のカッコよさに釘付けになります!▼ミュージカル『ビリー・エリオット』 ■親子でバレエ映画を楽しむときの注意事項 堅苦しくない映画といえども、マナーはあります。子ども連れで映画館に行く時は、特に次の点に気をつけましょう。▼字幕:『フェリシーと夢のトウシューズ』のような子供向けのアニメは、吹き替え上映がありますが、ドキュメンタリー映画などは日本語字幕での上映になります。まだ漢字がたくさん読めないお子さんには少し厳しいかも。ダンスシーンも多いし、それでもみに行きたいという場合は、事前にお子さんに内容を少し話しておくといいでしょう。途中でお子さんはいろいろママに聞きたくなるのもわかりますが、終わってから聞くよう事前に伝えておきましょう。また、下のお子さんを連れて行く場合はなるべく端の席に座って、グズったら席を立つようにしましょう。▼服装:特にドレスコードはありませんが、芸術の映画を観に行く上に、東急文化村など大人な雰囲気の映画館での上映が多いので、普段より少しオシャレをしていくと、テンションも上がります。映画のあとは、ヨーロッパの雰囲気をそのままに、クロックムッシュやガレットや食べながら、お子さんとバレエ談義に花を咲かせるのもいいですね。なんでもそうですが、おけいこはいいものをたくさんみなければ始まりません。時間がたくさんある夏休みは、お子さんが成長できるチャンス! バレエ映画が花盛りな今年の夏休みこそ、親子ででかけてバレエへの理解をもっと深めてみては?ライター:まちとこ出版社 狩野綾子
2017年08月07日中国の伝統舞踊や歌舞、声楽、器楽にクラシックバレエやモダンダンスを融合させた総合芸術団体として、世界中で上演を重ねている上海歌舞団。日本でも2005年に『覇王別姫』、2007年には『WILD ZEBRA』と公演のたびにファンを増やしており、今回は2年前の日本ツアーで絶賛を浴びた『朱鷺』が待望の再来日だ。日中国交正常化45周年を祝う記念公演でもある本作。8月の公演を前に、7月19日、メインダンサーの朱潔静と王佳俊、オフィシャルサポーターを務める草刈民代を迎えて制作発表会が行われた。舞劇『朱鷺』-TOKI- チケット情報本作では『羽衣伝説』や『白鳥の湖』などの異類婚姻譚をモチーフに、村の青年ジュンと朱鷺の精ジエの時空を超えた出会いと別れが描かれる。朱と王の表現力豊かな踊りはもちろん、東洋の切り絵を思わせる舞台美術や、切なくドラマチックな楽曲、美しいグラデーションの衣装、一糸乱れぬアンサンブルなど見どころも満載だ。物語は終盤、自然破壊を繰り返す人類と消えゆく朱鷺の姿も描かれ、現代社会に警鐘を鳴らす作品となっている。上海歌舞団団長・陳飛華は「今年は総勢70名と、2年前より大きな規模で来日いたします。本作のテーマは“地球、生命、人類”。細かいところまで手を加えており、さらに良い舞台になっていると思います」と話した。「セットや衣装など、すべての面でアジアの美学を込めた作品。必要なのは、とても細かい動きや表現です」と言うのは、スラリとした美女の朱だ。「こういう朱鷺の動きを踊りに取り入れています。実際に朱鷺の様子を一日中観察したんですよ」と、立ち上がって腕を背と頭に巻き付けるような動きを披露した。王も「最後のほうの現代の場面では、無機質なセットに、踊りもコンテンポラリーダンスに近いものになります」と、叙情的な古代の場面とは異なる面もあることを解説。「日本のアニメやラーメンが大好き。終演後の楽しみです」と照れ笑いするなど、端正な横顔に若い青年らしい素顔をのぞかせた。オフィシャルサポーターとして登壇した草刈は、上海歌舞団の魅力を「中国文化のテイストが土台にある上で、素晴らしい舞台が展開されているところ。それはこの舞踊団にしか表現できないものです」と語る。「ダンサーも国によって特徴や魅力があるんですよ。王さんは美しくてたくましいですが、けしてマッチョではない。朱さんも優しいたたずまいですが、強さも感じさせるのが魅力です。アンサンブルのフォーメーションがビシッと揃っているところも、東洋のカンパニーならではと感じますね」と、海外での舞台経験も多い元ダンサーならではの視点で話した。草刈も太鼓判を押す、唯一無二の舞台。公演は8月29日(火)・30日(水)東京・Bunkamura オーチャードホール、9月2日(土)・3日(日)愛知県芸術劇場 大ホール、9月6日(水)から10日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、9月13日(水)・14日(木)大阪・オリックス劇場にて。取材・文佐藤さくら
2017年08月04日20世紀を代表する振付家、モーリス・ベジャール没後10年を迎える今秋、彼が率いたモーリス・ベジャール・バレエ団が日本公演を行う。7月24日、一般の観覧者約500人を招いての特別記者会見および秘蔵映像上映会が開催され、ジル・ロマン芸術監督、ダンサーの那須野圭右が公演への抱負を語った。モーリス・ベジャール・バレエ団 チケット情報ベジャールについて、「モーリスの作品を稽古していると、彼がいつもそばにいるように感じる」と話すロマン。11月の日本公演では、Aプロはベジャールがモーツァルトのオペラに振付けた『魔笛』を、Bプロではロマン振付の『アニマ・ブルース』『兄弟』、ベジャール振付『ピアフ』、またバレエの金字塔と言われる『ボレロ』も上演する。このうち『兄弟』は「ふたりの日本人ダンサー、那須野と大貫真幹にインスピレーションを得て創った」とロマン。主演の那須野は「お前らいつも一緒にいるな、兄弟みたいだな、というところから始まりました。ジルが僕をメインに創ってくれた初めての作品。日本で上演できてとても嬉しい」と笑顔を見せた。「このプログラムには複数の関係性が紡ぎ出されています。『兄弟』では美空ひばりさんの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を使っていますが、これはモーリスの作品『ピアフ』に繋がる。ラヴェルの音楽も用いているが、これは『ボレロ』と響き合う──。ベジャール作品と現代の新作をふたつの柱として上演していく、私たちの姿を映しています」(ロマン)ベジャールの命日にあたる11月22日と翌23日に開催される、東京バレエ団との特別合同ガラ〈ベジャール・セレブレーション〉の内容も明らかに。今回はその稽古のための来日でもあったロマンだが、第1部の『テム・エ・ヴァリアシオン』では、「日記を綴るように、現在のカンパニーの姿をモーリスに伝えたい」。さらに第2部『ベジャール・セレブレーション』はベジャール作品の傑作集で、ここに東京バレエ団のダンサーたちが参加。那須野は彼らの指導を担う。「ベジャールは東京バレエ団を愛していた。没後10年にここでコラボレーション行うのは、不可欠で重要なことです」(ロマン)。秘蔵映像上映会では、これまでの日本公演の映像、また次回上演予定作品のハイライト映像が披露され、ベジャールの多様で鮮やかな作品世界が蘇った。「秋の公演を楽しみにしていてください」と締めくくったロマン。那須野も、ダンサーとしては「これが最後の舞台になると思う。ぜひ観に来ていただきたい」と思いを明かし、充実の舞台を予感させた。公演は11月17日(金)から26日(日)まで、東京文化会館、11月28日(火)・29日(水)に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールにて。なお、東京公演のインターネット先行を7月27日(木)午前10時より受付。取材・文:加藤智子
2017年07月26日英国ロイヤル・バレエ団のスターとして活躍したタマラ・ロホが2012年より芸術監督を務め、大躍進を続けているイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)、その日本公演が間もなく開幕する。7月6日に開催された開幕記者会見には、ロホ芸術監督と、彼女のもとに集った選りすぐりのダンサー5人が登壇、16年ぶりとなる日本公演への意気込みを語った。【チケット情報はこちら】「私が芸術監督になってから、ENBはいろいろな変革を遂げてきました。新しいダンサーも迎え入れています。ぜひ、私たちの今の姿を見ていただきたい」と自信たっぷりの笑顔を見せるロホ。今回彼らが上演するのは、ENBの伝統的レパートリーの『コッペリア』と、ロホのもとで進められた画期的プロジェクトのひとつ、『海賊』だ。後者は2013年にカンパニー初演、英国のバレエ団による初の『海賊』全幕上演と注目された。現役ダンサーでもあるロホは両作品に主演。芸術監督との両立について彼女は、「私が踊ることで、カンパニーに注目していただき、ほかの素晴らしいダンサーたちを知っていただくいい機会になれば」と話す。また「自分の身体で示し、技術を、思いを継承することはとても重要なこと」とも。世界中からロホのもとに集まったダンサーたち。その個性は実に多彩だ。「ラテンならではの情熱的なダンサー」と彼女に紹介されたのは、セザール・コラレス。「『海賊』は花火みたいな作品。僕も出演しない日はチケットを買って客席で観たいくらいなんだ」とジョークをとばす。「今のENBは、タマラ自身。彼女がキャリアを通してやりたかったことを、このカンパニーで実現している」と話すのは、英国人プリンシパルのローレッタ・サマースケールズ。リード・プリンシパルの高橋絵里奈は、「ENBは私にとって家族。皆とともに母国日本で踊ることをずっと夢見ていた。嬉しい、いえそれ以上のことです」と感無量の様子だ。つい先日、ENBへの正式入団が発表されたユルギータ・ドロニナは『コッペリア』に主演。「コメディ・タッチのバレエを楽しんでいます。軽やかなバレエで、お子さんにも楽しんでいただけると思うわ」。イサック・エルナンデスはメキシコ出身。「ENBは前進あるのみ。タマラを中心に、つねにアイデンティティを表現し、皆で力を合わせ、新しいバレエの形を見出すことができるところ」と、カンパニーの特別感を強調した。「私の出身国、スペインはバレエの伝統が浅いけれど、逆に自由にいろんな伝統を取り込む機会に恵まれた。いいところをあわせて皆に伝えていきたい」と、未来を見据えるロホ。勢いに満ちた彼らの、エネルギッシュな舞台を楽しみたい。公演は7月8日(土)より、東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2017年07月07日バレエシューズブランド「プリティ・バレリーナ(Pretty Ballerinas)」は、2017年秋冬コレクションを2017年8月10日(木)より発売する。スペインの地中海に浮かぶメノルカ島で生まれた「プリティ・バレリーナ」は、スペインの土地の民族や建築、芸術、歴史などからのインスピレーション受け、毎シーズン新しいデザインを提案している。2017年秋冬のキーカラーは、レッドとパープル。インパクトの強い2色を部分的に使用してアクセントカラーにしたり、全面に施して刺激的なデザインを作り出したりして、シーズンテーマを楽しんだ。また、秋冬らしい素材使いもキーポイント。温かみのあるベルベット、ファー素材などをボディやデコレーションに使用している。ポインテッドトゥパンプスは、光沢あるパテントレザーを組み合わせて、異素材をコンビネーション。デザインはバリエーション豊かに揃えて。小さな星を散りばめたスター柄やレオパード模様、フラワープリントなど。またアッパー部分に、フリンジやファー、リボンをあしらったものもある。さらに、今季はバレエシューズだけでなく、プラットフォームシューズも展開。気分や装いに合わせて、様々な靴を取り入れて足元コーディネートを楽しんでみては。【アイテム詳細】プリティ・バレリーナ 2017年秋冬コレクション発売日:2016年8月10日(木)価格帯:20,000〜50,000円取り扱い店舗:プリティ・バレリーナ青山、銀座、百貨店・セレクトショップ【問い合わせ先】F.E.N.TEL:03-3498-1642
2017年07月06日上海歌舞団による舞劇「朱鷺」の世界観を垣間見ることができる動画が公開中だ。同作は2015年に全国30会場12万人を動員、今夏には再演が東京、名古屋、大阪で決定している。舞劇「朱鷺」チケット情報地上に舞い降りた朱鷺の精ジエと青年ジュンが1000年の年月の間、時空を越え、国境を越え、心を通わせる儚くも美しい愛の物語。メインダンサーの朱潔静(ジュ・ジエジン)と王佳俊(ワン・ジヤジュン)は、共に中国で映画・テレビドラマ、舞台、オペラなどの分野で活躍。「国家一級演員」の称号を持つダンサーだ。このふたりを擁する上海歌舞団は中国の伝統舞踊に、クラシックバレエやモダンダンスを取り入れて、多彩な踊りの要素を融合する独創性に富んだ舞台作品を創作。アメリカ、カナダをはじめ海外でも公演を重ね、世界的に評価されているカンパニーだ。公演は8月29日(火)・30日(水)東京・Bunkamura オーチャードホール、9月2日(土)・3日(日)愛知県芸術劇場 大ホール、9月6日(水)から10日(日)まで東京国際フォーラム ホールC、9月13日(水)・14日(木)大阪・オリックス劇場にて。
2017年06月29日「ダンス×演劇×J-POP」をコンセプトに、ユーモアと感動あふれる独自の世界を展開する、男性だけのジャズダンスエンターテイメント集団「梅棒」。彼らがダンスヴォーカルグループ・w-inds.の千葉涼平らをゲストに迎えて送る第7回公演『ピカイチ!』が6月23日、東京・Zeppブルーシアター六本木で開幕。初日に先立ってゲネプロが行われた。梅棒 チケット情報物語の舞台は「青梅英雄学園」。そう、今作は、青春をテーマにし続けてきた梅棒にはうってつけの学園モノなのだ。オープニングでの校長(伊藤今人)のトークに続いて、舞台は朝の登校風景に。個性豊かな生徒達が学校にやって来る。野球部員、かっこつけメンズ、コギャル、オタク……。中でも目を引くのが、溌剌とした女の子、浅香尚子(吉川友)。彼女はクラスのアイドルだ。そんな浅香に、生徒のひとり、道玄坂光徳(鶴野輝一)は思いを寄せ、彼女もまんざらではない様子。お色気たっぷりの蝉時雨貂子先生(suzuyaka)と熱血体育教師の蒙古斑彦摩呂先生(一色洋平)が温かく見守る中、学園には賑やかながらも平和な時間が流れていた。ところが、学園の日常は、転校生、豪徳寺孟(千葉涼平)が現れたことで一変する。容姿端麗、頭脳明晰にして、強烈なスター性と色香を振りまく豪徳寺。誰もが彼を前にすると理性を失ってしまう。実は彼は、ある恨みを隠し持って学園を訪れていた……。さて、道玄坂は浅香から、生徒会長選挙に立候補して当選したら、浅香のあるものをもらう約束を取りつける。ところが、これを盗み聞きした生徒が周囲に言いふらした結果、そのあるものを目当てに、男子達が次から次に立候補。学園は仁義なき戦いに突入する。票を巡り、様々な交渉や駆け引きを行う生徒達。さらに、浅香の荷物を漁る謎の覆面男、そして学校には妖怪たちまで姿を現し、学園はかつてない大混乱に見舞われる。果たして、熾烈を極める選挙戦の行方は、覆面男の正体は、恋の結末は、いかに??梅棒と言えば、毎回、誰もが知るJ-POPや懐メロなどの名曲を独自のストーリーに当てはめ、書き下ろし楽曲のようなマッチングを生み出すのも特長だが、今回もその趣向は健在。お馴染みの曲が、驚くようなシチュエーションに生かされるさまをご堪能いただきたい。さらに、魅惑の新曲も!そして勿論、最大の見どころはダンス。超絶的なオーラを放つ千葉、とある役としてパワフルな技を見せる魚地菜緒をはじめ、キャラクターそれぞれが、個性を活かした躍動感ある踊りを披露してくれる。梅雨の憂鬱も吹き飛ばす梅棒の快作を、お見逃しなく。公演は7月2日(日)まで。その後、大阪、福岡、愛知を巡演。取材・文:高橋彩子
2017年06月26日先日、土屋太鳳や黒木瞳らが日本語吹き替えを担当することが発表された、バレリーナになることを夢見る少女の物語を描く『フェリシーと夢のトウシューズ』。この度、バレエ学校のカリスマ指導者の日本語吹き替えを、世界的バレエダンサー・熊川哲也が務めることが決定した。19世紀末のフランス、ブルターニュ地方の施設で暮らすフェリシーは、バレリーナになることを夢見る踊ることが大好きな少女。ある日、偉大な発明家を志している親友のヴィクターに誘われ、エッフェル塔が建設中の憧れの街パリを目指して施設を抜け出すことに…。やっとの想いで辿り着いたパリで、フェリシーはヴィクターとはぐれてしまうが、偶然にも夢にまでみたオペラ座を見つける。そこには、美しく踊るエトワールの姿があった…。元バレリーナで、いまはオペラ座の掃除婦のオデットとの出逢い、お金持ちの一人娘カミーユや数々のライバルたちの熾烈な競争。まだ、バレエを習ったことさえないフェリシーは、情熱と勇気だけを胸に、夢の舞台に立つことができるのか…!?『最強のふたり』の製作陣が初のアニメ映画に挑み、『カンフー・パンダ』『マダガスカル』などの名作アニメーションを世に出してきたアニメーター、パリ・オペラ座の芸術監督が集結し製作した、花の都パリを舞台にバレリーナになることを夢見る少女の物語を描く『フェリシーと夢のトウシューズ』。字幕版では、主人公のフェリシーの声をエル・ファニングが務めるほか、デイン・デハーン、カーリー・レイ・ジェプセンらが参加することでも話題。さらに日本語吹き替え版では、主人公の少女フェリシー役を土屋さん、フェリシーにバレエを教えることとなる元バレリーナのオデット役を黒木さん、オデットの雇主でフェリシーの夢に立ちはだかる、ライバル・カミーユの母親ル・オー夫人役を夏木マリが担当。そして今回、新たにフェリシーの情熱と可能性を見い出し、厳しくも見守り続けるパリ・オペラ座バレエ学校のカリスマ指導者メラントゥ役として、熊川さんが出演することが決定。東洋人として初めて英国ロイヤル・バレエ団に入団し、史上最年少でソリストに昇格、プリンシパルに任命。これまで数々のバレエ団に客演で話題を呼び、英国ロイヤル・バレエ団を退団後は、「Kバレエカンパニー」を創立。バレエダンサーとしてのみならず芸術監督としても日本のバレエ界を牽引し続ける熊川さん。今回のオファーに関して熊川さんは、「声優は経験したことがなかったので興味はありましたけれど、僕の全てであるバレエという題材と、僕自身も沢山の生徒を教えていますので、フェリシーのバレエへのひたむきな情熱や、夢や希望へ向かっていく姿が心に染みました」と話し、「いちばん驚いたのがダンサーの動き。作品のクオリティの高さは感じましたが、デフォルメをしつつ、非常にしっかりしていながらも可愛らしい動きに驚きました」とプロから見ても納得のクオリティー。演じる役柄については、「根底に愛がなくてはいけないと思う。バレエに対する愛はもちろん、人間愛が必要だと思います。子どもたちは敏感なので嘘をつけないし、バレエの厳しさや現実を教えるのは自分自身も苦悩している場面があり、同じような経験をしています。この映画は、そんな中でも奮闘するフェリシーがとても可愛らしく、ほっこりして癒されました。子どもだけではなく教育に携わる人、芸術家、子どもをもつ親、すべての大人たちが共感できるシーンがあると思います」と熱い思いを語っている。『フェリシーと夢のトウシューズ』は8月12日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年06月16日w-inds.の千葉涼平らをゲストに迎えた梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」が6月23日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。ストーリーのある演劇的な世界観をジャズダンスとJ-POPで創り上げる、男だらけのエンタテインメント集団・梅棒。最近ではミュージカル『キューティーブロンド』や舞台『刀剣乱舞』義伝 暁の独眼竜など人気作の振付を手掛け、俳優としてもさまざまな舞台で活躍中の梅棒だが、その単独公演は、ほぼ言葉を使わずにJ-POPや懐メロなどヒット曲にのせ、ダンスで物語を表現する独自のステージが人気。回を重ねるごとに注目が高まり、今回は過去最大規模となっている。この日は、舞台セットの入った状態で初めての稽古。梅棒公演初の学園モノ、そして梅棒らしいコメディ作品となる今作のセットは、あちこちに学校らしい小道具があり、見た目もにぎやか。説明を聞いた後、出演者たちはそれぞれセットの幅をチェックしたり踊ってみたりして感覚を確かめる。真剣だが楽しそうだ。その後、梅棒の塩野拓矢(梅棒)が担当する曲の稽古に。その曲に乗せる感情を丁寧に説明していく。振りを確認し、まずは踊ってみるメンバー。それを見て再び、より場面が伝わるようにダンスならではの動きの追加や、芝居としての目線など、修正が加わっていく。ダンスのレベルの高さは言うまでもないが、感動するのはストンとストーリーが伝わってくることだ。基本設定を把握しないままで、衣裳も着ていないのに、これがどんなシーンで、それぞれがどんなキャラクターで、今どんなことを思っているかがわかる。それは演出と振付と演者の表現力の賜物だろう。このシーンは千葉を中心に展開していたが、千葉のやんちゃさが新鮮だった。1曲通すと稽古場からは笑い声が。このときは後藤健流がキメのポーズでキャラを全開にしていた模様。ある程度できてくるとそれぞれのオリジナリティが見え始めるのも楽しい。総合演出を手掛ける伊藤今人(梅棒)からの修正や、メンバーからのアイデアも取り入れながらシーンをつくりあげていく。次は伊藤が担当する本作1曲目の稽古に。ほぼ全員が登場するこのシーンでは、個性豊かな面々がそのキャラクターを発揮。遠山晶司(梅棒)に伊藤から「キャラ作りを濃くするのはやめて!」とダメ出し(?)が飛ぶと、稽古場は笑いに包まれる。その後、楢木和也(梅棒)がオープニングの振りを教え始めると空気は一変。誰もが真剣に取り組んでいた。この日みられたのは1.5曲分ほどだが、本作の楽しさは濃厚に伝わった。本番を期待して待ちたい。公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木ほか、大阪、福岡、愛知にて上演。取材・文:中川實穗
2017年06月15日東洋人が欧米のバレエ界で“差別的扱い”を受けることは多かっただろう。悔しい思いをしたこともあったに違いない。だが、彼女はバレエへの情熱とたゆまぬ努力で、頂点まで駆け上がってきた。その悔しさや涙を、語るはずもないだろう。彼女は主役(プリマ)なのだから。彼女は今日も英国ロイヤル・バレエ団の舞台に立ち、華麗なる跳躍で私たちを魅了する--。 15歳で日本人初のパリ・オペラ座バレエ学校留学、スイス、オランダを渡り歩き、現在、英国ロイヤル・バレエ団でファースト・ソリストを務める世界的バレエダンサー・小林ひかるさん(40)。留学当時のパリ・オペラ座バレエ学校では、生徒全員が寮生活。周りに日本人は一人もいなかった。 「踊りのレベルが高いので、みんなについていくのに必死で、ホームシックにかかっている時間なんてなかった(笑)」(小林さん) 最初は言葉もわからず、普通の授業についていくだけで大変だった。そのうえ、3年間のバレエ学校卒業後、パリ・オペラ座バレエ団に入団できるのは、1学年でわずか2人という狭き門。ライバルのバレエブーツの爪先に縫い針を仕込んで、ケガをさせた話まで聞こえてくるほど、同級生同士の足の引っ張り合いは熾烈だった。 「いじめられたか?と、よく聞かれるのですが、私は一度もないんです。そもそもバレエ団に入る枠には、非欧州人である私は、最初から入っていなかったんですね。最初から、ライバル視さえされていませんでした」(小林さん) なんと、学年終わりの進級テストは、フランス人でなければ受けられず、外国人留学生は校長が審査するという、いわば蚊帳の外扱いなのだ。バレエ学校卒業後は、1年ほど、若者だけのバレエ団に所属し、’95年、給料が出るスイスのチューリヒ・バレエ団に入団した。現在、英国ロイヤル・バレエ団一番人気のプリンシパル(最上位ダンサー)で夫のフェデリコ・ボネッリ(39)さんとは、チューリヒで出会った。 プロになった小林さんは、クラシックからモダンまで、幅広い演目に挑戦し、さらなる技術の向上と豊かな表現力を目指して、ボネッリさんとともにバレエ団を渡り歩いた。チューリヒに3年在籍し、オランダ国立バレエ団へ移り、さらに世界5大バレエ団の一つ、英国ロイヤル・バレエ団に挑戦することを決意する。 とはいえ、移籍はすんなりとはいかなかった。ボネッリさんは、プリンシパルとしてすぐに採用されたが、女性の採用枠がなかったのだ。彼女は諦めなかった。バレエ団の採用は年1回のため、今年空きがないなら来年も挑戦しようと考えていた。ところが運よくシーズンの終わりに空きが出たため、夫と一緒に移ることができた。 しかし、オランダでは、主役級の役を踊るようになっていたにもかかわらず、空きが出たのはランクが2段階も下のファースト・アーティスト。うれしかった半面、さすがに即答はできなかった。そのとき小林さん27歳。ロイヤルに入団すれば、それまで積み上げてきたキャリアを、最初からやり直すことになる。ソリストに昇格するためには、30作以上あるロイヤルの全レパートリーをすべて覚えることから始めなければならなかった。 「バレエマスターや友人に相談すると、みんな口をそろえて『このチャンスを逃してはダメ。最初はつらくても絶対、乗り切れる』と励ましてくださって。3日後には、喜んで契約すると返事をしました」(小林さん) ソリストになるまで3年かかり、’09年、ついにファースト・ソリストに昇進した。ファースト・ソリストに昇進したばかりの’09年12月、小林さんは、多くのプリンシパルを押しのけて、『眠れる森の美女』の主役オーロラ姫に抜擢された。長年、憧れてきた大役を得たと同時に、恐ろしいほどのプレッシャーがのしかかった。イギリス人は、日本人同様、含んだもの言いをして、直接、何も言ってこないが、誹謗中傷は間接的に聞こえてくる。 「悔しい思いをしたことは何度もあります」(小林さん) 出番が来たのに、舞台にたどり着けない。踊っているのに、振付がわからず、手も足も出ない。そんな悪夢を毎晩のように見た。さらに、彼女は男女カップルで踊り、愛を語り合う“パドゥドゥ”で悩んだ。 「ラブストーリーを演じる際、相手を心から愛せるかが非常に重要です。相手を本気で愛せないと、ほとばしるような演技ができませんから」(小林さん) 悩む彼女を力づけたのは、ボネッリさんの「僕はイマジネーションを使うんだ。踊る相手を、自分の愛する人に頭のなかで置き換えて、踊り続けるんだよ」という言葉だった。オーロラ姫を踊る小林さんの脳裏には、ボネッリさんの面影があったのだろうか。また、夫婦で、主役として共演することも2人の共通の夢だった。その夢は、ロイヤルの『眠れる森の美女』で、これまで3回、かなえている。
2017年06月04日ロンドンの中心部、コヴェント・ガーデンにある英国ロイヤル・オペラ・ハウスでバレエ『マイヤリング』のオーケストラ演奏が格調高く始まった。英国のロイヤル・バレエ団のシンボルカラー、クリムゾンレッドの緞帳が上がると、豪奢なウィーン・シェーンブルン宮殿のボールルームのセットが現れる。 舞踏会に出席する王侯貴族役のダンサーが2人1組で列をなし、舞台奥から蛇行しながら、華やかなパレードを見せる。その中盤で、黄金のマントを軽やかに羽織った女性ダンサーが、舞台を横切った。ファースト・ソリストの小林ひかるさん(40)だ。西欧人がほとんどのダンサーのなかで、オリエンタルな彼女の姿は、舞台から飛び出してくるかのように際立った。 彼女が演じたのは、主役3人のうちの1人、ラリッシュ伯爵夫人。オーストリア皇太子・ルドルフの元愛人の役だ。激しいパドゥドゥ(男性ダンサーと女性ダンサーが一緒に踊るデュエット)を踊るシーンで、小林さんはベッドに倒れこむルドルフの手を握り、右足で爪先立ち、左足を後ろに真っすぐ180度開いて上げ――一瞬、止まった。 その美しさに、記者は息をのむ。複雑な女心の襞をなんと巧みに表現するのだろう。「ブラバ!(女性に贈るブラボー!)」。アンコールで、緞帳のセンターから躍り出た小林さんを、感嘆を含んだ喝采が包み込む。万雷の拍手に、ロイヤル・オペラ・ハウスが揺れた。 終演後のステージドア(楽屋口)にも、大勢のファンが詰めかけていた。花束を手に、ステージドアを出てきた小林さんは、にっこりほほ笑み、ファン一人一人の目を見つめ、言葉を交わし、全員にサインをする。 「ありがたいですよね。雨の日でも雪の日でも、出待ちしてくださるんです。励まされますし、元気をもらえます」(小林さん) 実は、彼女は前日に、右足を捻挫し、その日はテーピングをして踊っていたという。舞台上の彼女は優雅で軽やかだっただけに、驚く。痛みをこらえていたようにはとても見えなかったのだ。 「私たちにとって、本番がすべてですから」(小林さん) ステージドアに面した裏通りで、スラリとしたイケメン男性が待っていた。ロイヤル・バレエ団一番人気のプリンシパル(最上位ダンサー)、フェデリコ・ボネッリさん(39)だ。小林さんの夫である。彼女がファンから解放されると、そっと近づき、2人は肩を並べて帰っていった。長身、スレンダーな美男美女。鍛えた体は、後ろ姿こそ美しい。その場に佇んでいたファンたちの間から、憧憬のため息が漏れてきた。 「昨年、日本全国で約35万8,000人がバレエを習っているという統計を昭和音大で出しました。彼女はその頂点に立っているんです」 そう語るのは、昭和音楽大学教授の小山久美さん。 「技能的に優れているだけでは、英国ロイヤルで主役を張り続けることはできません。顔が小さく、つぶらな瞳の小林さんでさえ、アジア人的な容姿はハンディキャップになる。そこを乗り越え、逆にアジア的な容姿が武器になるまでもっていけたのは、彼女が誠実にバレエと向き合い、技術を高め、精神的にも相当な強さがあるから。人間的に成熟していないと、到達できないことです」(小山さん) 英国ロイヤル・バレエ団に入団して14年。小林さんはプリンシパルに次ぐファースト・ソリストとして、ときにプリンシパルをも飛び越えて主役に抜擢され、極上のバレエを披露してきた。彼女は、これからも「諦めない」「挑戦し続ける」をモットーに、バレエの王道を歩み続ける。
2017年06月04日240年余の歴史を誇るモスクワのボリショイ・バレエが、6月2日から、広島を皮切りに東京、大津、仙台、大阪の全国5都市で、2年半ぶりの日本公演を行う。公演に先立ち、ロシア大使館で記者会見が開かれた。ボリショイ・バレエ チケット情報今年は同バレエ団の初来日から60年。また、ロシア政府が自国の文化芸術を紹介する “RUSSIAN SEASONS”の最初の開催国が日本に決まり、この公演がオープニングを飾ることになって、二重の意味で注目が集まる。プログラムは、ユーリー・グリゴローヴィチ振付の『白鳥の湖』と『ジゼル』、アレクセイ・ラトマンスキー振付、日本初演となる『パリの炎』の3作で、出演者には、世界的な舞姫スヴェトラーナ・ザハーロワをはじめ、エカテリーナ・クリサノワ、来日直前にブノワ賞受賞が決まったデニス・ロヂキンらスターダンサーに加え、将来を担う有望な若手も名を連ねる。会見に出席したマハール・ワジーエフ監督は、「ボリショイ・バレエの監督として来日するのは初めてですが、日本に来る時はいつも特別な思いがあります。今回のツアーは我々ボリショイ・バレエにとっても特別で、60年間来日し続けられたのは、日本の皆様に認めてもらえたからだと思います。これからさらに新しい歴史を紡いでいけるのではと期待しています」とにこやかに語った。「また日本に来られて嬉しいです。『パリの炎』を踊るのは初めてで、『ジゼル』も日本では初めてで責任を感じますが、同時にワクワクもしています。回を重ねるごとに気分が高揚して、素晴らしい舞台を作れるのではないでしょうか」と期待を込めるのは、プリンシパルのエフゲーニヤ・オブラスツォーワ。その2作で相手役を務めるリーディング・ソリストのイーゴリ・ツヴィルコは、「来日は2度目です。素晴らしい先輩たちの舞台に引けをとらないように、誇りを持って踊っていきたい」と力強く話す。入団1年目で抜擢されたアリョーナ・コワリョーワは、「初めて日本に来ることができ、喜びと共に責任と名誉も感じています。バレエを愛する日本のお客様の前で『ジゼル』のミルタを踊ることになり、とても緊張していますが、気持ちを込めて踊りたいです」と初々しく話した。世界最高峰のバレエを堪能できる贅沢な時間が始まる。東京公演は6月4日(日)に『ジゼル』にて開幕。6月7日(水)から12日(月)まで『白鳥の湖』。6月14日(水)・15日(木)は『パリの炎』を東京文化会館にて上演。チケット発売中。文:原田順子
2017年06月02日Kバレエカンパニー『海賊』が開幕した。マリウス・プティパの原振付に、主宰の熊川哲也が演出・再振付を施し、07年に初演。以来、一貫性あるストーリーと、ふんだんに散りばめられた踊り、深い色合いの美しい装置・衣裳などが好評を博し、再演を重ねてきた名プロダクションだ。今回、初演から10年という記念すべき節目に上演される本作の、初日のもようをお届けしよう。【チケット情報はこちら】開幕すると、地図が描かれた斜幕の上を、サーチライトのような光が動き回る。そして、斜幕の向こうに浮かび上がるのは、船に乗った海賊の首領コンラッド、その部下であるビルバント、アリらの姿ーー。熊川版『海賊』は冒頭から、わくわく感いっぱいだ。海賊達は大海を舞台に大いに暴れ回るが、やがて嵐に遭い、トルコ占領下のギリシャに打ち上げられる。彼らをみつけて介抱したのが、美しい姉妹、メドーラとグルナーラ。コンラッドとメドーラは恋に落ちるが、メドーラ、グルナーラら女性達は奴隷商人ランケデム達に捕らえられ、市場に売りに出されてしまう。果たして、コンラッドらは彼女達を救えるのか??熊川版『海賊』の大きなテーマは“男たちのロマン”。海賊たちの勇壮な踊りや強い絆が前面に押し出された、心躍るアドベンチャー大作となっており、殊にコンラッドに対してアリが見せる忠節は特長的だ。コンラッド役の遅沢佑介はリーダーにふさわしい堂々たる踊りを見せ、アリ役の伊坂文月は陽性のオーラと直向きなパワーでその場を盛り上げたり撹乱したり。一方、途中でコンラッドに反旗を翻すビルバント役の杉野慧は独特の陰影や鬱屈を踊りに昇華させ、卑劣なランケデム役の堀内將平は狡猾さを巧みに表すと共に軽やかな跳躍でも観客を魅了。それぞれに多彩な男性像を造形した。一方、女性陣も負けてはいない。今回、神々しい輝きで観る者の心を引きつけたのは、メドーラ役の中村祥子。長い四肢を活かした伸びやかな踊りは息を飲むほど美しく、ヒロインに相応しい気高さに満ちている。また、グルナーラ役の小林美奈は、確かな技術に裏打ちされた、可憐で表情豊かな動きが光る。奴隷となってランケデムやパシャを相手に繰り広げる踊りには、悲嘆と苦悩が滲み出て秀逸だった。コンラッド、メドーラ、アリが踊るパ・ド・トロワは活気にあふれ、会場の熱気も最高潮に。前日に行われた囲み会見で熊川は「うちの海賊達はジャック・スパローズよりカッコいい」と胸を張り、「この作品は10年やっている鉄板作品。非の打ち所がないと思っています。それを新しいダンサーが踊ることでまた色が変わる。どういう相乗効果、化学反応があるか、監督として見ていきたい」と語った。その言葉を裏付けるかのように、10年という歳月での作品の成熟とダンサー達の成長とが、躍動感みなぎる鮮やかな舞台を作り上げていた。取材・文:高橋彩子
2017年05月25日東京バレエ団はこの秋、〈20世紀の傑作バレエ〉と題した公演で初めてローラン・プティ(1924ー2011)の作品に取り組む。ビゼーの音楽に振付けられた傑作、『アルルの女』だ。このほど振付指導のルイジ・ボニーノらを迎えての公開リハーサルおよび記者懇親会が開催され、ボニーノはじめ、斎藤友佳理芸術監督、主演の上野水香、川島麻実子、柄本弾が公演への思いを語った。【チケット情報はこちら】懇親会冒頭から「『アルルの女』についてだね!この作品は実にディープで、受け取ることが難しいところがあるんです」と熱く語りはじめたボニーノ。婚約者がありながら、別の女性の幻影に心を奪われ、次第に正気を失っていく青年フレデリと、彼に献身的な愛を注ぐ婚約者ヴィヴェットの悲恋を描く作品だが、とくに終盤のフレデリのソロは、見る者の心をこれでもかと激しく揺さぶる。「世界じゅうで上演された、素晴らしい作品」と、愛情たっぷりだ。「35年間プティと一緒にいて、彼にすべてを学びました。最初は『コッペリア』の兵士役でしたが、始めた瞬間、恋に落ちました。ステップ、音楽性、感情、愛、ユーモア……。やりたいと思っていたまさにそのものだ、と。彼が亡くなって本当に寂しいし、こうして指導することは責任重大です」とボニーノ。稽古場では、コール・ド・バレエの指導を担うジリアン・ウィッテンガムとともに、実に緻密で、妥協のない指導を繰り広げた。初日と3日目に主演する上野は、昨年秋、モスクワでの〈クレムリン・ガラ〉でこの作品の抜粋を踊っている。パートナーは今回と同じく、イタリアの貴公子として名高いロベルト・ボッレ。この上演が今回の取り組みに繋がったと、斎藤芸術監督は話す。「求められるのは、99パーセントが“内面”。ダンサーたちには、この作品を通して変わっていってもらいたいのです」牧阿佐美バレヱ団在籍時よりいくつものプティ作品を踊ってきた上野だが、「以前客席から観たドミニク・カルフーニのヴィヴェットが本当に素敵だった。感情表現を、自分だけのものをつくっていきたい」と話す。2日目のヴィヴェット役、川島は「女性ダンサーの、感情的な意味での役割はとても大きいと感じた。どう掘り下げ、どう打ち破っていけるかが課題」という。彼女と組むのは柄本。数年前、ボニーノは彼に「『アルルの女』をやるといい」と声をかけたことがあるという。それがついに実現、「体力的にハードな作品と痛感。内側からストーリーを語れるようになりたい」と柄本も意欲的だ。〈20世紀の傑作バレエ〉公演は、9月8日、(金)から10日(土)まで、東京・東京文化会館にて。チケットは5月27日(土)午前10時より発売。取材・文:加藤智子
2017年05月25日ダンス×J-POP×演劇という独自路線で快進撃を続けるダンス・エンタテインメント集団「梅棒」。J-POPや懐メロなどのヒット曲で構成し、その歌詞と曲の世界観で描き下ろしたオリジナルの物語を繰り広げる。セリフはない。でも、まるでセリフをしゃべっているよう。音楽の力をもとに、ドラマをダンス×演劇で表現する新ジャンル。わかりやすく、楽しい。ダンスファン×演劇ファン×J-POPファンが客席に入り乱れ、エンタメ業界も大注目だ。梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』チケット情報演劇界デビューは2012年。大阪には14年に初登場、徐々に公演劇場が大きくなり、参加ゲストも増えた。今回は、東京、大阪、福岡と、初めて愛知へ上陸を果たす4都市ツアー。総合演出・出演の梅棒のリーダー・伊藤今人と共に、今作『ピカイチ!』にゲスト出演するw-inds.の千葉涼平が来阪、意気込みを語った。千葉は、昨年梅棒を初体験。「周囲から『最近、梅棒の舞台がヤバイ』って聞いていて、やっと昨年、観に行けました。すごくおもしろかった!」。今回の物語は、転校生によって、楽しく平和な学園に大騒動が巻き起こる!という、青春学園モノ。「僕らは基本的にお客さんに喜んでもらえるものを目指したいんです。だから今回、ファンの人が既に知っている千葉君ではなく、やったことのない役がいいだろうなと、ちょっと悪い役にしました。これまで観たことのないブラック千葉君です(笑)。で、ガッツリ踊ってもらいますよ!」と伊藤。千葉は「悪役は初めてなので、新しい自分を引き出していただけるのかなというワクワク感があります。でも、梅棒さんの世界観に自分が入ったらどうなるんだろう、どんなキャラクターができ上がるんだろうって、楽しみなんですけど、まだ想像がつかなくて(笑)」。千葉はヒールなカリスマ役とは言え、「コミカルなところも担ってもらおうと。行き過ぎたカリスマって、ちょっとおもしろいじゃないですか。今回はドタバタバカバカアクションですから(笑)。コメディ集団としての梅棒を楽しみに来てほしいですね。使う曲はいつものように20曲ぐらい。w-inds.の曲も生かせたらいいんですけどね~。今回は、オレとか千葉君とか、昭和最後の世代はみんな楽しめる曲が並んでます(笑)。初恋した時、振られた時、部活頑張ってた時にかかってた曲とか…ノスタルジーに浸って、曲と一緒に学生時代を思い出してもらえると思いますよ」。ゲストには千葉のほか、吉川友、後藤健流らも出演。「ギリギリまでかかりましたけど、いいのできました。おもしろいっす!」(伊藤)。公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、7月4日(火)・5日(水)大阪・森ノ宮ピロティホール、7月8日(土)から9日(日)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、7月12日(水)・13日(木)愛知・名古屋市青少年文化センター アートピアホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2017年05月18日梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」がこの夏に上演される。<ダンス×J-POP×演劇>という独自のステージが人気を集め、公演を重ねるごとに注目の高まる梅棒。これまでの最大規模となる7作目は、梅棒ワールド全開のコメディ作品。総合演出を手掛ける伊藤今人(梅棒)、ゲストの千葉涼平(w-inds.)に話を聞いた。梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」チケット情報今作は“学園モノ”。伊藤は「前作『GLOVER』がいい話で感動したっていうお客様もいると思うんですけど、今回は男の子だなって思ってもらえるような、めちゃくちゃなコメディをやろうとしています。前作で好きになった人はズッコケるかもしれませんが、もともと梅棒はこんだけバカな奴らだよっていう。こんなぶっ飛んだ梅棒もまたおもしろいなと思ってもらえたら!」。その中で千葉が演じるのは、意外にも悪役(予定)。「悪役を演じたことはあまりないです」と言う千葉に、伊藤は「きっとないだろうなと思って」とニヤリ。「せっかく出てくれますからね!ちょっとドキッとするような悪さとか、むちゃくちゃぶっ飛んだ役を千葉さんが演じたら面白い」(伊藤)。梅棒作品への初参加を「自分に今までなかったものを引き出してくれるんじゃないかってすごく楽しみ」と喜ぶ千葉。梅棒の舞台の印象を聞いてみると「面白かったです。J-POPを中心に使われてたのもすごく印象的でしたし。僕は前作の冒頭で今人さんが語り部的なお芝居をされてたのがすごく印象に残っているんですよ。あれでぐっと惹きつけられましたから。“ダンス舞台”というイメージがあったので意外でしたね」。千葉に出演をオファーした理由は「舞台上の千葉くんを観て、楽しんでいろんなことに挑戦してくれる人なんじゃないかと感じて。それにパフォーマンスが全力だったので梅棒に合うなと思ったんですよね」(伊藤)。「千葉くんはブレイクダンスをはじめいろんなダンスが踊れますし、大きな劇場でも学園モノのドタバタ感がある派手な動きが映えそう」と期待する伊藤だが、それに加え今作で千葉に踊ってもらいたいダンスがあるという。「梅棒のジャズダンスを!優雅に踊る一般的なジャズダンスと違って、我々のはゴリゴリに力で振り回すみたいな(笑)、特徴的な動きをしますので。それを千葉くんが踊ると思うと楽しみ」(伊藤)。今作では東京、大阪、名古屋、福岡と全国4か所を巡演する。伊藤は「名古屋に行けるのが初なので嬉しいです。福岡も前回、歓迎してくれてる感が半端なかった。満員ですごい熱気だったんですよ。大阪もコメディへのリアクションが大きいし…楽しみしかないです!」公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木ほか、大阪、名古屋、福岡にて。取材・文:中川實穗
2017年05月08日おでかけが多くなるこれからの季節。「ヒールを脱ぎ捨てて楽チンぺたんこシューズでお出かけしたいけれど、スニーカーはカジュアルすぎて…」そう思っている方はいませんか?もしそんな風に思っていたら、女性らしいシルエットのバレエシューズ「farfalle(ファルファーレ)」がきっとそのお悩みを解決します。日本人女性の足を知り尽くした、職人さんのバレエシューズ日本の30年来の靴職人さんによって作られているバレエシューズ「farfalle」。その素材から縫製までしっかりと「Made in Japan」にこだわっています。日本人女性である私たちの足を知り尽くして作られているから、足全体にフィットして履き心地もとても軽く感じますよ。NASAが開発した技術を応用した「楽チン」高機能素材を足元に「マザータッチ」と呼ばれる中敷きは、固いアスファルトから受ける衝撃を和らげて、歩くごとにフワフワっとする履き心地。宇宙計画のためにNASAが開発した技術を応用した、衝撃吸収と荷重分散に優れた高機能素材は、お仕事やお出かけに忙しい私たちの1日の疲れをも和らげてくれますよ。スタッフもお気に入り!farfalleのある毎日楽チンでお洋服に合わせやすく、そしてコーディネートが女性らしくまとまることから、アンジェスタッフの中でも人気のシューズfarfalle。今日はアンジェスタッフたちの、そんなfarfalleのある毎日をご紹介しますね。【スタッフ苅谷(広報)の場合】シューズ: ラウンドトゥエナメルバレエシューズfarfalleブラック 普段のサイズ:22.5cm購入サイズ:36「幅は細身のバレエシューズ。でもエナメルが柔らかいので締め付け感がなく、履き心地がとっても快適なんです。」【スタッフ近郷(バイヤー)の場合】シューズ: ポインテッドトゥバレエシューズfarfalleホワイト 普段のサイズ:23.5cm購入サイズ:37「足入れをした時ちょっと窮屈に感じましたが、少し歩いていると馴染んできました。女性らしいコーディネートにも、カジュアルコーディネートにも、どんなコーディネートにも合わせやすくてお気に入りです。」【スタッフ池田(バイヤー)の場合】シューズ: ラウンドトゥエナメルバレエシューズfarfalleネイビー 普段のサイズ:23.5cm購入サイズ:37「とっても軽やかな履き心地が気に入っています。Made in Japanなのに、外国のブランドのような中敷きのデザインも好き。色違いで2足持っています。」どんな素晴らしいシューズでも、オンラインショッピングだときっとご不安なことも。そんなご不安を少しでも取り除けるように、商品ページには足の形や足囲などにも触れながらスタッフ試着コメントを掲載しています。ぜひ商品ページも覗いてみてくださいね。暖かくなってきたこの季節。「farfalle(ファルファーレ)」のバレエシューズで、足元に女性らしさを纏ってお出かけしてみませんか?
2017年05月07日古代インドの舞姫と戦士の悲恋を描く古典バレエの傑作、『ラ・バヤデール』を上演する東京バレエ団が、ゲストのダニエル・カマルゴ(オランダ国立バレエ団プリンシパル)を迎えてのリハーサルを公開。その後設けられた記者懇親会では、彼とともに、斎藤友佳理芸術監督、ヒロインを演じる上野水香、川島麻実子らが舞台への意気込みを語った。東京バレエ団 チケット情報東京バレエ団は4月上旬、ドイツのシュツットガルト州立劇場で『ラ・バヤデール』を上演し、大成功をおさめたばかり。同団の代表作のひとつとして上演のたびに評判を呼ぶ作品だが、斎藤芸術監督は「ゲネプロの幕があいた時、私はなんて無防備なことをしてしまったんだろうと、すごく後悔した」と明かす。カマルゴも在籍していた名門、シュツットガルト・バレエ団を擁し、熱心な愛好家が多い当地でクラシックの大作を上演する。それゆえのプレッシャーを乗り越えての大成功だ。「受け入れてもらえたことは、とても大きな喜び」と斎藤。貴重な体験を得て舞台にのぞむ団員たちに、初の客演となるカマルゴが加わり、よりいっそう美しく、パワフルな舞台が生み出されようとしている。ニキヤ役上野水香のパートナーとして招かれたカマルゴは、伸びやかかつダイナミックな踊りで日本でも観客の心を掴む若手スター。東京バレエ団が上演しているナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』のソロル役は昨年、オランダで初めて踊り、マカロワ自身から直接指導を受けたという。「光栄なことでした。彼女はとても具体的に、スペシフィックな指導をされる方。それぞれの役の関係をとても明確に教えてくださいました」。初共演となる上野は「若くて才能があり、素晴らしいダンサー」とカマルゴを大絶賛。「私は2009年のバレエ団初演の時から、毎回違うパートナーと踊ってきました。今回もさらに違ったニキヤ、違った自分をお見せできるのではないかと思います」と話す。一方、2日目に主演する川島麻実子は、シュツットガルトでニキヤ役デビューを果たしたばかり。最終日にはガムザッティ役で出演する。「コール・ド・バレエ、ソリスト役とほぼすべての役を踊ってきました。それは私の財産。挑戦できるのはとてもありがたいことです。経験を活かしていきたい」と前向きだ。海外公演という大きな壁を乗り越えた彼らの、力に満ちた充実の舞台に期待したい。公演は6月30日(金)・7月1日(土)・2日(日)、東京文化会館にて。チケット発売中。取材・文:加藤智子
2017年04月25日一人の天才バレエ少女の、輝かしくも数奇な運命を描いた話題のフランス・グラフィックノベルの映画化『Polina, danser sa vie』(原題)が、『ポリーナ、私を踊る』の邦題で10月28日(土)より日本公開されることが決定した。ボリショイバレエ団のバレリーナを目指すロシア人の女の子ポリーナ(アナスタシア・シェフツォワ)は、厳格な恩師ボジンスキー(アレクセイ・グシ ュコフ)のもとで幼少の頃から鍛えられ、将来有望なバレリーナへと成長していく。かの有名なボリショイバレエ団への入団を目前にしたある日、コンテンポラリーダンスと出会い、全てを投げ打ってフランスのコンテンポラリーダンスカンパニー行きを決める。新天地で新たに挑戦する中、練習中に足に怪我を負い、彼女が描く夢が狂い始めていく…。ダンスを通して喜びや悲しみ、成功と挫折を味わい成長していく少女。彼女が見つけた自分らしい生き方とは――。本作は、BD書店賞、ACBD批評グランプリを受賞した、いまもなお人気の高い原作バスティアン・ヴィヴェスの「ポリーナ」を基に、よりリアリティと躍動感、そして伏線が張られたままのストーリーの空白部分に肉付けし、アーティスティックな作品へと昇華された意欲作。監督を務めるのは、ドキュメンタリーやショートフィルム、長編映画など幅広いジャンルの作品を手掛けているヴァレリー・ミュラーと、自身もバレエダンサーでありコンテンポラリーダンスのコレオグラファー(振付家)アンジュラン・プレルジョカージュが共同で担当。アンジュランはバレエ界の権威ある賞を数多く受賞し、パリ・オペラ座バレエ団をはじめ多くのバレエカンパニーへ作品を提供、1985年には自身のバレエカンパニーも設立している。そして今回、映画化にあたり主人公のポリーナを演じるのは、本作で映画デビューを飾ったアナスタシア・シェフツォワ。また、ポリーナが新しい道を模索する中で出会うコンテンポラリーダンスカンパニーの振付家を、フランスが誇る名女優ジュリエット・ビノシュ、さらにパリ・オペラ座エトワールのジェレミー・ベランガール、グザヴィエ・ドラン主演・脚本・監督作『マイ・マザー』や『胸騒ぎの恋人』にて、その美貌と存在感を放ったニールス・シュナイダーらが出演。本作でしか観ることのできない、華麗なダンスシークエンスを創り上げている。『ポリーナ、私を踊る』は10月28日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年04月23日ダンス・エンタテインメント集団の梅棒が6・7月に東京・大阪・福岡・愛知の4都市で、新作舞台『ピカイチ!』を上演する。梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』チケット情報J-POPのヒット曲にのせたパワフルなダンスで、笑いと感動のストーリーを綴る。その独自のステージが注目を集めるカンパニー、梅棒。今回はリーダーの伊藤今人が脚本を書き下ろす、とある高校を舞台にした熱血青春ドラマ。ゲストに千葉涼平(w-inds.)や吉川友、後藤健流を迎え、熱量満載のステージを届ける。梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、7月4日(火)・5日(水)大阪・森ノ宮ピロティホール、7月8日(土)・9日(日)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、7月12日(水)・13日(木)愛知・名古屋市青少年文化センター アートピアホールにて上演。東京公演のチケット一般発売は4月22日(土)午前10時より。
2017年04月21日世界の一流カンパニーとして人気を二分するパリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団のスターたちが集い、それぞれの珠玉のレパートリー、さらには彼らがひとつの作品で共演する合同プログラムを上演するオペラ座&ロイヤル夢の共演〈バレエ・スプリーム〉が、この夏、実現する。3月上旬のパリ・オペラ座バレエ団日本公演期間中、出演者たちがプレス懇談会に出席し、公演への抱負を語った。オペラ座&ロイヤル 夢の競演 〈バレエ・スプリーム〉チケット情報公演に参加する精鋭ダンサーたちとともに現れたのは、パリ・オペラ座チームのスーパーバイザーを務めるオレリー・デュポン(パリ・オペラ座バレエ団芸術監督)。「これはとても野心的なプロジェクト。英国ロイヤル・バレエ団は素晴らしい、豊かなバレエ団で、日本のお客さんにふたつの異なった流派を見比べていただける素晴らしい機会になる」と、自身が選りすぐったダンサーたちを紹介した。パリ・オペラ座バレエ団の最高位、エトワールとして日本公演初日の主役を担ったマチアス・エイマンとミリアム・ウルド=ブラームをはじめ、昨年暮にエトワールに任命されたばかりのレオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェ、懇談会前夜にエトワールに任命され、会場を興奮の渦に巻き込んだユーゴ・マルシャン、デュポンが「素晴らしいショーマン」と太鼓判を押すプルミエ・ダンスールのフランソワ・アリュ。彼らが踊るのは、オペラ座自慢のレパートリーの数々だ。エイマンとウルド=ブラームがAプロで踊るのは、ヌレエフ版『白鳥の湖』第2幕のパ・ド・ドゥ。「新世代のエトワールたちと共演できることは、貴重な経験」(エイマン)、「皆さんに舞台をお見せできるのは幸せ」(ウルド=ブラーム)とふたりは話す。ボラックとルーヴェも、同『白鳥の湖』より第3幕のパ・ド・トロワをAプロで踊る。ともにエトワール任命の日に踊った作品だけに、その思いは特別のよう。「踊れることが楽しみ。ジェルマンは完璧なパートナーです」(ボラック)、「彼女は、私を物語世界へ導いてくれる頼もしいダンサー」(ルーヴェ)。アリュがBプロで踊る『レ・ブルジョワ』(コーウェンベルグ振付)は、テクニックと芝居心が求められるユニークな作品。「個性を発揮できると思います」と自信をのぞかせる。マルシャンが、Bプロの『グラン・パ・クラシック』(クゾフスキー振付)他で共演するのは、日本出身初のプルミエール・ダンスーズとして話題のオニール・八菜。「彼女とともにフランスのバレエを国際的に広めることができ、嬉しい」とコメント。「素晴らしいコラボレーションとなる」と、デュポンも新たな試みへの期待感に胸を躍らせているようだ。公演は7月26日(水)から30日(日)まで、東京・文京シビックホール 大ホールにて。チケットぴあではインターネット先行を3月30日(木)午前10時より受付。取材・文:加藤智子
2017年03月24日パリ・オペラ座バレエ団が実に15回目となる日本公演のために来日。開幕を前に2月27日、都内で記者会見が行われ、ステファン・リスナー総裁をはじめ、マチアス・エイマン、昨年末にエトワールに昇格したばかりのレオノール・ボラックらが出席し、意気込みを語った。パリ・オペラ座バレエ団 チケット情報カリスマエトワールとして活躍したオレリー・デュポンが昨秋、芸術監督に就任。今回の来日公演では、ロマンティック・バレエの代表作と言える「ラ・シルフィード」、さらに「グラン・ガラ」では、「テーマとヴァリエーション」「アザー・ダンス」、そしてバンジャミン・ミルピエによる「ダフニスとクロエ」が上演される。リスナー総裁は冒頭、毎回の日本のファンの温かい歓迎への感謝を口にする。デュポン就任後、初の来日公演となるが「古典は新作に栄養を与え、新作は古典に刺激を与えるもの。歴史を大切にしつつ、現代性を表現することがオペラ座の芸術監督には求められるのです」と語り、特に「ダフニスとクロエ」は1年ほど前に作られたフレッシュな作品。現代的な美術を含めて注目してほしい」と語った。人気エトワールのマチアス・エイマンは「ラ・シルフィード」「ダフニスとクロエ」の両公演に出演するが「『ラ・シルフィード』はロマンティック・バレエの代表作であり、オペラ座のレパートリー。私にとっては演じるのは2度目ですが、再演においても常に探求の余地があり、新たなパートナーを得て再発見をしていくべきものです。特に日本はバレエを愛する人々が多く、熱意を持って迎え入れてくださるので、こうしてみなさんの前で踊れること嬉しく思っています」と語る。これまで同じダンサーとして向き合ってきたデュポンと芸術監督とエトワールという関係で向き合うことについて「彼女の選択を信頼しています。彼女は“継承”と“共有”を目的とし、すでに自分の場所を見つけたと思います。彼女の好奇心が今回も大いに発揮されることと思います」と深い信頼をうかがわせた。レオノール・ボラックは12月31日にエトワールに昇格したばかりの“新星”。「エトワールとしての第一歩を日本で踏み出せること、12月31日の公演でも一緒に踊ったマチアスと今回もパートナーを組めることに、より強い感動を覚えています。エトワールになったということを考え過ぎれば、それは緊張と恐怖の元となるので、プリミエールの頃からやってきたことの継続を心掛けて踊りたいと思います」と意気込みを語っていた。パリ・オペラ座バレエ団2017日本公演は3月2日(木)開幕。撮影・取材・文:黒豆直樹
2017年02月28日レペット(Repetto)から、バレンタインに向けたバレエシューズ「グルーピー(GROUPIE)」が10足限定で登場。2017年2月1日(水)より、銀座フラッグシップストアで発売される。レペットのアイコンである「バレリーナシューズ」が今回バレンタイン仕様に。トゥには真っ赤なハートモチーフがあしらわれ、ヒール部分も真っ赤に染められている。また、インソールには「SAINT VALENTIN」の文字が記された特別デザインだ。世界で100足の限定販売となり、日本では銀座の旗艦店で10足が販売される。【詳細】バレンタイン限定シューズ グルーピー<限定10足>発売日:2017年2月1日(水)価格:41,000円+税取り扱い店舗:銀座フラッグシップストアのみサイズ展開:35.0〜39.0
2017年01月30日プリティ・バレリーナ(Pretty Ballerinas)から、2017年春夏コレクションの新作バレエシューズが2017年2月9日(木)より発売される。プリティ・バレリーナのバレエシューズは、可愛くてロマンティックなデザインと脚を美しく見せる絶妙なカッティングで人気。ケイト・モス、オリヴィア・パレルモ、ミランダ・カーなども愛用している。今シーズンのテーマは「macaroon」。春の足音が聞こえてくるような、ふんわり弾む甘いカラー配色やモチーフ、シースルー素材やグリッターなど・・・フェミニンで上品シューズが多数展開される。フラミンゴや甘いマカロンカラー大人な印象のベージュスエードを使用したポインテッドトゥのシューズには、可愛らしいフラミンゴが描かれた。2匹の首でハート型になったロマンチックなデザイン。他にも、マカロンパープルや春の花々を彷彿させる鮮やかなレッド×オレンジ配色のシューズがお目見え。エッジの効いた大人グリッター全面グリッターのインパクトのあるバレエシューズは、トップにあしらわれたさりげないリボンでバランスが取れた一足。またメッシュ素材のブラックバレエには、つま先とかかとにラメが部分使いされたシックな雰囲気。他にも銀座限定商品として、つま先にスタッズがあしらわれた大人なポインテッドトゥも展開される。涼し気なシースルーバレリーナ暖かな風が吹く春夏に履きたいシースルー素材のシリーズからは、キラキラと輝くストーンが散りばめられた透け感のあるホワイトのバレエシューズや、つま先にフラワーカットを施した一足が登場。他にも、繊細なカットワークで指先が見え隠れするモデルも展開される。【概要】プリティ・バレリーナ 2017年春夏コレクション発売日:2017年2月9日(木)取り扱い店舗:プリティ・バレリーナ ギンザ、アオヤマ / 他、百貨店・セレクトショップ【問い合わせ先】F.E.N.TEL:03-3498-1642
2017年01月21日1月1日よりバレエ・ダンサーのオニール・八菜を起用した三越伊勢丹グループの企業広告が掲出される。同グループは、“基本を大切にしながら、未来へ向かっていく勇気”をテーマに、「this is japan.」を発信していく。「this is japan.」とは、三越伊勢丹グループが日本の伝統・文化・美意識の作り出す価値を再認識し、新しい価値として客に提供する取り組みを深化させ、企業メッセージとして2015年より設定したもの。品ぞろえ、おもてなしの心遣い、立ち振る舞いに、日本の四季で育まれた五感を生かした企業活動を行っている。17年のメッセージは「基本に磨かれて、信頼でかがやく。大切なことはいつも変わらない。」――このメッセージには、日々基礎を磨き上げるダンサーの能力を、信頼する監督や振付家が引き出して表現を輝かせてくれるというバレエの世界に同社が共鳴し、“自分自身を磨くこと、そして人との信頼を大切にしていこう”という想いを込めている。オニール・八菜は、1993年に東京で生まれ、3歳の頃よりバレエを始める。その後2001年にニュージーランドへ移住し、2008年にオーストラリアンバレエスクールに入学、2013年にパリ・オペラ座のシーズン契約を経て正団員に。そして2016年にはプルミエール・ダンスーズに昇格、同年5月には23歳にしてバレエ界のアカデミー賞とも言われる「ブノワ賞」を受賞した経験を持つ。広告ビジュアルでは、世界的に著名な振付家のピエール・ラコットとコラボレーションし、“未来の季節”と“二十四節季”をテーマに、未来と夢に向かって進んでいく勇気を表現したパフォーマンス姿が捉えられている。オニール・八菜は撮影時のインタビューで、「毎日の努力が未来へと通じる、と考えています。少しずつの日々の積み重ねが大切で、近道はなし!そうして到達した未来には、青空が広がり、きれいな光が差していると嬉しいですね」と話している。インタビューの様子は、三越伊勢丹のスペシャルサイト()で公開される。また、2017年2月4日の立春より同スペシャルサイトにて、オニール・八菜とピエール・ラコットが“二十四節季”をダンスで表現した、四季と「this is japan.」を象徴する舞踏が、2週間ごとに二十四節気の時候の挨拶と重ねて随時公開されていく。
2017年01月01日