実話を基に家族の愛を知らずにいた女性と、まもなく命が尽きようとしている母親を取り巻く一家との出会いと別れを描いたメキシコ映画『マルタのことづけ』が、10月18日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開となる。メキシコといえば、昨今、国境を越えて活躍するメキシコ出身の監督は数多い。『アモーレス・ペロス』でカンヌ国際映画祭・批評家週間部門「グランプリ」を受賞し衝撃の長編デビューを果たした、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、ブラッド・ピットや役所広司、菊地凛子などの日本人俳優も出演した『バベル』、ハビエル・バルデムが第63回カンヌ国際映画祭「主演男優賞」を受賞した『BIUTIFULビューティフル』でも知られている。また、『パシフィック・リム』で世界的に活躍する、日本のマンガ・アニメ・特撮が大好きなギレルモ・デル・トロ。さらに、メキシコ出身の俳優ガエル・ガルシア・ベルナルを主演に迎えた『天国の口、終りの楽園。』や、ヴェネチア国際映画祭のオープニング作品であった『ゼロ・グラビティ』で、第86回アカデミー賞最多7部門を受賞したアルフォンソ・キュアロンなど、いまやワールドワイドに活躍する名監督ばかり。そして、メキシコの新星女性監督クラウディア・サント=リュスが手がけた本作『マルタのことづけ』もまた、『髪結いの亭主』や『ぼくの大切なともだち』で知られるパトリス・ルコントが審査員長をつとめたヒホン国際映画祭で「審査員特別賞」を受賞するなど、各国の映画祭で高い評価を受け、注目を集めている。ひとり暮らしで友だちも彼氏もいないクラウディアは、ある日、虫垂炎で緊急入院。偶然、隣同士のベッドになったことから知り合った、4人の子どもを持つシングルマザーのマルタから、退院後、自宅に招かれる。しっかり者の長女・アレハンドラ、フリーターの二女・ウェンディ、思春期真っ直中の三女・マリアナ、末っ子の男の子・アルマンド、それぞれが強烈な個性を持つ子どもたちと、自分を娘のように扱うマルタに戸惑いながらも、クラウディアは初めて家族の温もりと母の愛を知る。一方、死期の迫るマルタは、日々を生きることに全力を注いでいた…。本作は、メキシコ第2の都市・グアダナハラを舞台に、クラウディア監督が自らの実体験をもとに、“遺していく母”と“遺される子どもたち”を描いた感動作。「メキシコ映画あまり観たことない…」という人も多いかもしれないが、実はメキシコ映画の歴史はとても深く、20世紀初頭から今日まで、映画界をけん引してきた監督や俳優を多く輩出。日本でも、メキシコなどラテンアメリカの映画をいち早く紹介してきた「ラテンビート映画祭」は今年で開催11年目を迎え、年々盛況となっている。■映画界に大きな影響を与えたメキシコが育んだ巨匠たち先に挙げた監督たち以外にも、メキシコには世界の映画界に影響を与えた巨匠が多く存在する。特に、サルバドール・ダリとの共同監督作『アンダルシアの犬』(’28)や、第28回ヴェネツィア国際映画祭「金獅子賞」受賞し、あの人気ドラマの基にもなった『昼顔』(’67)のルイス・ブニュエル監督は、スペイン出身でありながらメキシコに帰化し、世界各国をまたにかけて映画を撮り続けた。また、ケティ・フラドは、メキシコ出身の女優として、メキシコやハリウッドで活躍。『真昼の決闘』(’52)でゴールデングローブ賞「助演女優賞」受賞。そして『折れた槍』(’54)でメキシコ人俳優として初めてアカデミー賞「助演女優賞」にノミネートされ、晩年まで両国の作品に意欲的に出演していたことでも知られている。『エル・トポ』(’69)、『ホーリーマウンテン』(’73)などの代表作で知られるカルト映画の鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、チリ出身だが20年以上、メキシコシティに在住。最新作『リアリティのダンス』(’13)は日本でも公開され、さらに、志半ばで企画が頓挫したSF大河小説「デューン」の映画化の裏側を、ホドロフスキー本人を始めとする関係者の証言と貴重な資料で描いたドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』(’13)も各界から大絶賛を受けている。本作で長編デビューを飾ったクラウディア監督も、メキシコで映画を学んできたひとり。デビュー作にして、ルコント監督にも太鼓判を押され、トロント国際映画祭など数々の映画祭で受賞を重ねているのも、メキシコ映画界の歴史ある土台が影響しているといえるだろう。隠れた“映画大国”メキシコが育んだ新しい才能による本作を、ぜひあなたもその目で確かめてみて。『マルタのことづけ』は10月18日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マルタのことづけ 2014年10月、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開
2014年10月01日メキシコでは、12月1日、7月の大統領選挙で勝利したペニャニエト氏が大統領に就任し、約12年ぶりとなる政権交代が実現しました。これに伴ない、同国経済の安定成長に向けて課題とされてきた、エネルギー改革に代表される構造改革の進展に注目が集まっています。メキシコは、世界第8位の原油生産量(2011年、出所:BP)を誇るものの、その産油量は、2004年をピークに減少傾向となっています。憲法において炭化水素資源の国家帰属が定められている同国では、エネルギー関連分野の上流から下流まで、ほぼ全てを国営企業が担っています。ここ数年の産油量の減少傾向は、重い税負担を課せられている国営企業が、資金不足などを理由に、探査や発掘に向けた技術導入や生産拡大につながる設備投資を十分に行なえなかったことなどが背景と考れられます。現状のままでは、原油の可採年数が11年と見積もられている(2011年、出所:石油連盟)こと、そして、同国では、原油のみならず、大量の埋蔵が確認されているシェールガスの開発に向けても資金や技術が必要になるとみられること、さらには、歳入の約3割を石油関連収入に依存しており、エネルギー産業の今後の動向が国家財政に大きく影響を及ぼすことなどを考え合わせると、エネルギー改革は同国の持続的成長を実現させるための重要課題といえます。ペニャニエト氏は、大統領選挙戦を通じて、国営企業への民間資金導入を含むエネルギー改革に前向きに取り組む姿勢を示してきました。また、今回、大統領選挙と同時に実施された議会選挙の結果、これまでみられていた議会のねじれ現象の緩和も見込まれています。こうしたなか、新政権の政策運営を通じて、エネルギー改革の実現性が高まるようであれば、同国経済成長の期待も一段と増すと考えられることから、今後の株式市場や為替相場の動向を見極めるうえでも、新政権の舵取りが注目されます。(※データは過去のものまたは予想であり、将来の運用成果などを約束するものではありません。)(2012年12月3日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月05日10月13日(土)から公開される映画『キック・オーバー』で主演を務めるメル・ギブソンが、本作の舞台となった“メキシコ一ひどい”と言われる刑務所を訪れたときの印象を語った。その他の写真『キック・オーバー』は、マフィアから大金を強奪した主人公のドライバー(ギブソン)が、金さえあれば何でも可能な史上最悪の刑務所“エル・プエブリード”から決死の脱獄を試みる姿を描いたノンストップ・アクション。本作の舞台となるのは、メキシコに実在した凶悪犯用の刑務所“エル・プエブリート”。政府も介入できないというこの場所では、看守に賄賂さえ渡せば、誰でも訪れることができ、酒や麻薬などあらゆるモノが売り買いされる無法地帯だったという。この“エル・プエブリート”がまだ刑務所として機能していた頃、視察のために訪れたというギブソンは「この場所ではひとつのビジネスが成り立っていた」といい、「人で溢れていて、そこまで厳しくなく、全員が厳重に閉じ込められていたわけじゃない。女性がいて子供も走り回っていた。そこら中で小さな商売が行われていて、仕事をして、自分で稼ぐことで、時間を持て余さず、悪さをしないようにしていた」と振り返る。さらに「枕にヤクを詰めて密輸しようとした5人組の中国人が捕まったけど、数週間後にはムショの中でレストランを始めた。あまりに美味しいとの評判で、刑務所の外からも食べに来る人がいたくらいだ。だからあそこは金が回るビジネスの場でもあるのさ」と当時の様子を語っている。“エル・プエブリート”は2002年に閉鎖されたため、実際の撮影はメキシコにある別の刑務所で行われたが、すでに閉鎖している刑務所だったため、カオスに満ちたこの世界を映画のために作り直すのは、相当骨が折れる作業だったという。近年では、私生活でも話題を振りまくギブソンだが、本作は彼の映画出演35本目(カメオ、声優出演を除く)を飾る記念すべき作品でもある。ギブソン演じるドライバーがこの“エル・プエブリート”でどう生き残っていくのか注目したい。『キック・オーバー』10月13日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
2012年09月12日切手や世界のコインの販売および、金融機関との取り次ぎ委託販売を行う泰星コインは、8月10日から、「メキシコ アステカカレンダー・1キロ銀貨」と、「メキシコ リベルタード1オンス銀貨発行30周年記念 銀貨2種セット」の日本国内予約販売を開始した。「メキシコ アステカカレンダー・1キロ銀貨」は、謎に包まれたアステカの暦のレリーフを、品位99.9%、重量1キログラムの銀貨に再現したもの。発行数は1,500枚で、価格は195,000円。”アステカカレンダー”あるいは”太陽の石”と呼ばれる遺跡は、1790年、メキシコシティで発見された石柱に彫刻されていたもので、アステカの暦と宇宙論の関連を示す絵文字や記号が刻まれていた。それによると、暦の最後の日とされているのが2012年12月21日ということで、さまざまな臆測をよんでいるという。「メキシコ リベルタード1オンス銀貨発行30周年記念 銀貨2種セット」は、メキシコシティにある独立記念塔の頂上を飾る「勝利の翼を広げる女神」が刻まれたコイン(リベルタード)の発行を記念したものだ。1オンス銀貨と1/2オンス銀貨(いずれも品位99.9%)、24金メッキ付のブロンズ製女神像をセットにした特別なコレクションとなっている。発行セット数は1,500セットで、価格は15,000円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月13日本格的TEXMEX(メキシコ料理)店「ジャンカデリック」は、通販専用の商品を開発。インターネット通販を開始するほか、7月31日までの期間限定で、タコスセット半額キャンペーンを実施する。ジャンカデリックは、中目黒、赤坂、渋谷松濤の有名プライベートダイニング&カフェバール。その本格派のメキシコ料理を取り寄せで楽しめるよう、通販専用商品を開発した。商品は店舗で丁寧に手作り。具材やソースは無添加で家庭向専用に開発し、素材本来の味を大事に調理した。ホームパーティやBBQ、宅飲みはもちろん、惣菜やソースを他の料理と組み合わせるなど柔軟なメニューが用意され、人数やTPO、パーティーシーンに応じてカスタマイズも柔軟に行える。現在、通販開始記念キャンペーンとして、タコス12個に加え、スパイシーチキンなどのサイドメニューも入ったお買い得セットを、定価の50%オフとなる3,000円で先行予約販売中。申し込み期間は7月31日まで。予約は「注文ページ」から。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月26日本格的TEXMEX(メキシコ料理)店「ジャンカデリック」は、通販専用の商品を開発。インターネット通販を開始するほか、7月31日までの期間限定で、タコスセット半額キャンペーンを実施する。ジャンカデリックは、中目黒、赤坂、渋谷松濤の有名プライベートダイニング&カフェバール。その本格派のメキシコ料理を取り寄せで楽しめるよう、通販専用商品を開発した。商品は店舗で丁寧に手作り。具材やソースは無添加で家庭向専用に開発し、素材本来の味を大事に調理した。ホームパーティーやBBQ、宅飲みはもちろん、おかずやソースをほかの料理と組み合わせるなど柔軟なメニューが用意され、人数やTPO、パーティーシーンに応じてカスタマイズも柔軟に行える。現在、通販開始記念キャンペーンとして、タコス12個に加え、スパイシーチキンなどのサイドメニューも入ったお買い得セットを、定価の50%オフとなる3,000円で先行予約販売中。申込期間は7月31日まで。予約は「注文ページ」から。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月26日2012年に入り、投資家の過度な悲観が和らいだことなどを背景に、資源国通貨や高金利通貨などが米ドルに対して反発しています。なかでも、メキシコペソの対米ドルでの上昇率は、2012年2月16日時点で昨年末比+8.9%と、ブラジルレアルやオーストラリアドルなど代表的な資源国通貨を上回る大きな上昇となっています。これは、米景気指標の改善などを受け、米国と経済的な結びつきが強いメキシコの景気の先行きに期待感が拡がったこと、そして、リーマンショック以降、米ドルに対するメキシコペソ上昇が、資源国通貨などと比べて抑えられた水準にとどまっており、今後の上昇余地が意識されたことなどが背景にあると考えられます。メキシコ経済は、輸出全体の約80%が米国向けであることや米国を中心に海外で就業する労働者からの送金が内需を支えている側面があることなどから、米国景気の影響を受けやすいと言われています。そのため為替市場では、2011年夏の米国債の格下げなどに伴ない、米国景気の先行き不透明感が強まると、メキシコ経済が内需主導で経済が堅調に推移していたのにもかかわらず、メキシコペソは大きく下落しました。2012年に入ってからのメキシコペソの大幅反発が、米国景気の回復期待の高まりなどに支えられたものであることなどを考え合わせると、今後も、メキシコペソは、米国景気の動向に左右されると考えられます。さて、その米国経済ですが、足元では、回復の兆しがみられつつあり、そのテンポは、2012年後半以降、徐々に高まっていくとの見方が拡がっています。このようななか、為替市場では、この先、米国景気との連動性の高さや対米ドルでの為替水準、さらには金利水準の魅力などに後押しされ、メキシコペソへの関心が高まっていくものと期待されます。(※グラフ、データは過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。)(2012年2月17日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月20日ジョージ・クルーニーが新恋人のステイシー・キーブラーや共通の友人とメキシコのリゾート地、カボ・サンルーカスへバカンスに出かけた。ステイシーは元女子プロレスラーで、ジョージがエリザベッタ・カナリスと破局後、8月頃に2人のデートが目撃された。その時点では恋人というより女友達のひとりという感じだったが、デートを重ねるうちに親しさは増したようで、「ジョージはステイシーにとても優しいです。いつも彼女のことを気にかけて、褒めています」と情報提供者は「People.com」に語っている。来る14日はステイシーの32回目の誕生日だが、18歳年上のジョージも彼女もまだ始まったばかりの恋のゆくえについては深く考えずにいるという。「2人ともこの先どうなるのか全然分かっていないけど、彼女はそんなことを気にしていません。一緒に楽しんでるんです。ステイシーは一瞬一瞬を満喫していますよ」と彼女の友人は語る。そして1年ほど経つと、やがて結婚を考え始めるようになり、非婚主義を貫くジョージと気持ちのすれ違いが生じて破局に…というのが、エリザベッタやその前の恋人で元ウエイトレスのサラ・ラーソン、モデルのリサ・スノウドンがたどった道だった。果たして今回はどんな展開が待っているのだろうか。(text:Yuki Tominaga)© Startraks/AFLO■関連作品:ザ・ディセンダンツ (原題) 2012年、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2011 Twentieth Century Fox■関連記事:ジョージ・クルーニーらがU2ボノ主催の飢餓撲滅チャリティ・ビデオに出演ブランジェリーナにG・クルーニー、マドンナなどトロントに豪華スター集結!早くもアカデミー賞最有力と絶賛の声G.クルーニー最新作、トロントで上映決定!
2011年10月12日メキシコの保険業連合会がこのほど発表したデータによると、メキシコの4人家族がいる2700万世帯のうち180万世帯のみしか経済活動(保険購入を含む)に従事していないという。また全国1億人以上いる住民のわずか17%しか生命保険に加入しておらず、全国の生命保険収入が「国民総生産」中に占める割合は0.9%にしか過ぎないという。低い保険加入率は経済的リスクを増加させる専門家によると、このような保険加入率の低さは一般市民の経済的リスクを増加させる可能性が大きいという。万一、突発的な事件が発生した場合、56%のメキシコ人家庭の一人当たり収入が減少すると見込まれている。連合会では、保険適応範囲や販売チャネルを拡大し、メキシコ国民にシンプルかつ迅速で信頼性の高い保険を提供していきたいと述べている。
2010年10月12日アンジェリーナ・ジョリーが主演作『ソルト』のプロモーションでメキシコのカンクンを訪問、30日にフォトコールに応じた。共演のキウェテル・イジョフォー、フィリップ・ノイス監督と、イベント「Summer of Sony」の一環として『ソルト』プロモーション中のアンジーはこの日、ヴェルサーチの白いドレスにフェラガモの靴、自身がデザインしたアクセサリーという装い。シンプルなコーディネートで美しさが際立っていた。28日の月曜にはカリフォルニア州カルヴァー・シティで2人の娘・ザハラとシャイロを連れてパーティに出かけていたというアンジー。最近は息子たちはブラピと、娘たちはアンジーと、と別れて行動することも増えてきた。成長した子供たちそれぞれの好みの違いもあるし、みなをハッピーな気分にさせるためにはブランジェリーナもさぞ心を砕いていることだろう。もうすぐ夏休み到来。今年のバカンスはどんな予定を立てているのだろうか。(text:Yuki Tominaga)© REUTERS/AFLO■関連作品:ソルト 2010年7月31日より丸の内ピカデリー1ほか全国にて公開© 2010 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.■関連記事:アンジェリーナ・ジョリーが「世界難民の日」公共広告に出演アンジー来日決定!『ソルト』ポスター画像&最新予告編が解禁!ブランジェリーナが家族や友人とビーチ・パーティブランジェリーナ、小規模の結婚式を計画中?家族サービスに慈善活動…、大忙しだったブランジェリーナのイースター休暇
2010年07月02日ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが惚れ込み、揃って製作総指揮に名を連ねた映画『闇の列車 光の旅』。中南米・ホンジュラスから“夢の国”アメリカを目指し、列車で危険な旅をする移民たちを題材に、移民の少女とギャングとして列車に乗り込んだ少年の美しく、そして切ないドラマが展開する。監督を務めたのは32歳の新鋭キャリー・ジョージ・フクナガ。日本人の血を引き、カリフォルニアで生まれ育った彼が、なぜ移民を扱ったこの作品でデビューを飾ることになったのか?サンダンス映画祭では見事、監督賞を受賞した本作について話を聞いた。学生時代から短編映画を撮っていたというフクナガ監督。現実に起こったニュースを題材に短編映画を撮ろうとリサーチしていたときに、この中南米の移民の現実に出会ったという。「彼らは貨物列車に乗ってメキシコを通過し、アメリカを目指すわけだが、その間、あらゆる危険に直面する。盗賊、ギャング、そして警察に自然環境。僕が聞いたこともないようなことばかりで強い興味を持ったんだ。それに、画としても“列車”は古きよき時代を思わせる。僕にすれば、この題材でまだ誰も映画を撮っていないということが信じられないほどだったよ」。実際に、映画制作に当たっては様々なリサーチを敢行した。「まずは学術的な調査から入り」、その後、実際に列車に乗り込んだという。「旅に出るごとに新たな発見があった。移民の人々と時間を共有し、理解し、彼らが自分の人生について話してくれる内容に耳を傾けたよ。そして、リサーチのほかに学んだことは、罪の意識だ。僕はリサーチが終われば、みんなを列車に残し、メキシコのどこかほかのところで執筆作業をするか、ミーティングなどのために去っていかなければならない。2〜3日を一緒に過ごした彼らは僕と別れて、自分たちの旅を続けなければならない。彼らは先へと進み、僕たちはもう二度と会うことはない。それはとても難しいことだった。なぜなら、僕には彼らがその先、もっと多くの困難に出くわすであろうことが分かっていたから。僕自身はまた元の生活に戻るだけだった」。監督はほんの短い時間であれ、共に旅をした人々に思いを馳せ、こう続ける。「(彼らが映画を)誇りを感じる必要はないけれど、もし、仲間の誰かが僕を覚えていて、映画を観て、旅を思い出してくれることがあればとても嬉しいね。彼らともう一度会えたら、それはとても特別なことだよ。でも、僕は目標を掲げてこの映画を作ったわけではないんだ。この映画とはずっと長い間共存してきた。かれこれ5年になるかな。自分と切り離して考えることはできない。この経験にどんな意味があったのかを悟るまでには、あと5年、10年はかかるような気がする。最初に作った長編映画というだけでなく、移民の人たちと一緒に長い旅を経験したし、長期間に渡ってこの題材にのめり込んでいたっていうことも含めてね」。ギャングとして列車に乗り込むも、少女を暴行しようとしたリーダーを殺してしまい、組織から追われることになる少年・ウィリーを演じたエドガー・フローレスは映画初出演。「(エドガーにとっては)辛かったと思うよ。国を離れるのも初めてなら、飛行機も初めてだし、こんな責任がのしかかってくるのも初めてだった。まだ若いし、子供みたいな19歳で、時々キレたりしたので、プロデューサーや僕がエドガーのトレイラーに行って、一緒に腰を降ろしていろいろ助言してやる必要があった。規律を教え込んだりね。すると、エドガーはちょっと泣いちゃったりしてね(笑)。彼はいろんなことで泣くんだ。熱血漢で熱いヤツだからね。ものすごく緊張していて…でも、心は優しい子なんだ」。劇中、エドガー演じるウィリーと少女・セイラ(ポリーナ・ガイタン)が徐々に親密になっていくが…。「うん、エドガーは実際にポリーナのことが好きだったんだと思うよ(笑)。それも助けになったんじゃないかな。2人とも、自分の役柄と共通点がいっぱいあって、それもまたリアリズムを与えていた。ポリーナは、セイラに似た経験をしているし、エドガーは路上生活がどういうものか知っている。2人が演じたことは、実際の経験からかけ離れたものではないんだ」。さらに、監督の中に流れる日本の血、日系人としてのアイデンティティについても聞いてみた。「(日系人のアイデンティティを)確かに感じるよ。僕の家族にはしきたりがあって、それはきっと日本的な古風なものなんだと思う。例えば、僕は新年を必ず家族と一緒に祝うんだ。ガレージで餅つきをしたり、てんぷらを揚げたりとかしてね。仏教的な行事もやっている。僕の祖母が最近亡くなったんだけど、仏教的な儀式が家の中ですぐに始まって、みんなが出席した。カリフォルニアでは、日系の家族の絆はとても強いんだ。それから、21歳のときに半年ほど日本で暮らしたことがあるんだ。北海道でスノーボーディングをするためにね。日本での暮らしはとても気に入ったんだけど、同時に、日本的とはどういうことなのか?という意味で、自分と日本で生まれ育った人たちとの違いを知った。アメリカ育ちの僕には全然分からない(苦笑)、たくさんのデリケートなルールがあるから。でも、文化的には、自分は何よりも、第一に日本人的であると思いたい。特にどんなことが、というのは分からないんだけど…苗字は日本人だよね?」いつの日か日本で、もしくは日本についての映画を撮りたいか?と尋ねると「もちろん!」と即答してくれたフクナガ監督。その日を待ちつつ、まずは彼が切り取った移民の現実、そしてそこからすくい上げた“希望”に目を凝らしてほしい。■関連作品:闇の列車、光の旅 2010年6月19日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
2010年06月18日