10月28日、千葉県の幕張メッセで「Japan IT WEEK 秋 2015」が開幕した。IoT/M2M展、クラウドコンピューティングEXPO、情報セキュリティEXPO、Web&デジタルマーケティングEXPO、スマートフォン&モバイルEXPO、データセンター展、ビッグデータ活用展、通販ソリューション展など複数の展示会が、30日まで開催される。ビッグデータ活用展では、UBICの執行役員 CTO 行動情報科学研究所所長の武田秀樹氏が「人工知能によるビッグデータ解析のポイントとは?」というテーマのセミナーを行ったので、その模様をお届けしよう。初めに、武田氏は研究成果について説明し、人工知能は2012年頃からディープラーニングというキーワードとともに改めて注目を集め、分析対象となるデータの存在(ビッグデータ)や技術の成熟(機械学習など)、インフラの成熟(クラウド)などの条件が整い、産業において人工知能の活用が進んでいるとした。同氏はビッグデータ解析について「干草の山の中から1本の針を見つけ出すことに例えられるが、実際は価値のあるデータが針であるとは限らず、従来の手法では抽出が困難な場合が多々あるほか、言語データは人間が意図する微妙なニュアンスの違いを見分けることが不可能といった課題がある」と述べた。同社では2013年にビッグデータの解析を自動で行うソリューションとして「バーチャルデータサイエンティスト」を発表。同ソリューションは人の行動を学び、判断をサポートするほか、学んだ人の直感に基づいて評価軸を形成し、対象人物の趣味嗜好に合致した情報抽出を行うことができる。また、自由に記述したテキストデータを含むビッグデータの中から、必要なデータを迅速かつ正確に見つけ出すことが可能だ。そして、同氏は「人工知能を使うことで、学習と判断の自動化や少量の学習から大量のデータ判断、判断の継続性・制度の維持、人間の行動や判断の特徴の捕捉、専門家の業務サポート、一般ユーザーの感覚の学習といったメリットを得ることができる」と語った。続いて、国際訴訟支援やビジネスデータ分析支援、電子メール監査などにおける同社のソリューションの活用事例が紹介された。国際訴訟支援ではテキストマイニング技術、人工知能技術などを応用した同社独自の自動文書解析技術「Predictive Coding」がeDiscoveryにおける工程の1つであるReviewの労力、時間、コストを削減することできるという。すでに32件の案件(2015年8月時点)で採用されており、機械学習によるレビュー事例としてPredictive Codingとクラスタリングを活用した結果、使用前のレビューファイル数は平均スピード32.35ファイル/時だったが、使用後は74.93ファイル/時と2倍以上に増加。また、重要文書の発見数も増加したという。また、ビジネスデータ分析支援では「Lit i View AI助太刀侍(AI助太刀侍)」が業務上のメールや日報などの電子データを解析し、潜在的なチャンスやリスクを知らせる。AI助太刀侍を導入した企業で米国の顧客から受けたメールに「遺憾」という単語が含まれていた際、同システムはこれまでの学習から「遺憾」という単語の出現がトラブル発生の前兆と判断し、該当メールに高スコアを付与。これを見たスタッフが優先的に対応し、トラブルになる前に事態が終息したという事例も紹介された。さらに、近年では情報漏洩/不正競争防止法違反、価格カルテル、収賄など、企業を取り巻くさまざまなリスクが大きな社会問題になっている。そのような状況から、企業では電子メール監査が求められていることから、同社では情報漏洩を「醸成」「準備」「実行」の3段階をへたうえで発生すると定義。会社の方針に異を唱えていた社員が退職し、すぐに同業の新会社を設立したケースでは、同社員のPCを調査した結果、業務に不可欠な社内データの持ち出しを準備するメールが多数発見されたほか、社外サーバにそれらのデータをコピーした痕跡も発見されたそうだ。同氏は、「この企業がナレッジ(知識・知見)を駆使して監査をサポートするソフトウェア「Lit i View EMAIL AUDITOR」を導入していれば防止できていたケース」と指摘した。従来の電子メール監査サービスでは捕捉率を上げると目視監視すべきメールが大量にヒットし、キーワードを絞りすぎると重要なメールが漏れる可能性があるほか、キーワードを目的に応じてメンテナンスする必要がある。また、ヒットしたメールの中で優先度が付けることができないことに加え、社員が社員を監視することへの強い抵抗感といった問題点がある。一方、同ソフトウェアによるメール監査を行えば高い捕捉率を保ちつつ適切な数量のメールを抽出可能でキーワードの設定・メンテナンスが不要なほか、メールに優先度が付けられ、社員の監視をサポートすることができるという。そのほか、セミナーではトヨタテクニカルディベロップメントの特許支援調査システムやNTT東日本関東病院の転倒・転落防止システム、電通国際情報サービスのデジタルキュレーションサービスなどの事例が紹介され、人工知能が企業において実用が進んでいることがうかがえた。
2015年10月29日日立製作所は10月26日、人工知能技術を活用して、企業の売上向上やコスト削減といった経営課題の解決を支援する「Hitachi AI Technology/ 業務改革サービス」を11月2日から販売開始すると発表した。価格は個別見積もり。同サービスは、日立が開発した人工知能技術の1つである「Hitachi AI Technology/H」を活用して、ビジネスに関連する大量かつ複雑なデータの中から、組織の重要な経営指標(KPI)との相関性が強い要素を発見し、業務改革施策の立案を可能にするもの。Hitachi AI Technology/Hは、従来、専門家の知見ではKPIとの関係が薄いと考えられ、分析や仮説の立案に使用されていなかったデータからも重要な要素を発見し、専門家の思考に頼らない革新的な改善施策を立案できるという。同社によると、同サービスは研究開発の段階も含めて、金融、交通、流通、物流、プラント、製造、ヘルスケアなどの多くの業種で、売上向上、リスク低減、コスト削減を実現しているとのことだ。例えば、小売業において、顧客の来店から購買に至るまでの行動に関する購買行動データや、購買の結果である販売データなどから、顧客の購買単価を向上させる施策を導き出すことができたという。
2015年10月27日●人工知能のIQは1万!?ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、そのプレゼンを「Singularity」(シンギュラリティ)というテーマで切り出した。同代表によれば、人工知能が人間の脳の限界を越える日も近いという。そのとき、人類には何がもたらされるのだろうか。本稿では、都内で22日に行われた「ソフトバンクアカデミア特別講義」で孫正義代表が語った内容の一部を紹介したい。○人工知能のIQは人間の100倍に?孫正義代表は「人間のIQの平均値は100で、200もあれば天才とされる。ところがコンピューターの人工知能は、今後30年ほどでIQが1万に達する。40億年とも言われる地球の歴史上で初めて、人類の知能を越える存在が出現する」と説明した。同氏によれば、コンピューターに組み込めるトランジスタの数は、2018年に人間の脳細胞の数(300億個)に到達。さらに、その後30年かけて人類の脳細胞の100万倍にまで増加し続けるという。コンピューターは人間に勝てるはずがない――。従来はそう考えられてきた。人間は見て、聞いて、触ってという経験を通じて自己学習(ディープラーニング)し、それに基づいて考え、予測し、創造する。一方でコンピューターは、人間がプログラミングして動かす。だからコンピューターは人間に勝てるはずがない、という理屈だ。しかしそれは、コンピューターを数少ないトランジスタで動かしていた時代の常識。孫代表は「有り余るほどのトランジスタをもってすれば、コンピューターにもディープラーニングさせることが可能になる」と分析する。つまり“コンピューターが勝手にどんどん賢くなっていく”、そんな時代がやって来るという。西暦2040年前後には、ロボットの数も地球上の総人口を上回ると予測。孫代表は「ロボットと言っても身近なIoTから、自動操縦できる乗用車、Pepperのようなスマートロボットまで色々あるが、人間の知能を遥かに越えたスマートロボットがウジャウジャしている、そんな時代が来る」と語った。●ロボットが溢れる世界は素晴らしいのか○ロボットと人間の関係性はどうなる?そうなると気になるのが、ロボットと人間の関係性だ。Singularityは、人類にとって良いことなのか悪いことなのか、進化なのか破滅なのか。孫代表は「私は楽観的に考えている。人類にとって、きっと素晴らしいものになると信じている。人類の知能を越えたコンピューターだから、この地球を破滅に導くようなことは避けるだろう。人類は知的ロボットと共存し、より良い社会をつくっていくだろう」と話した。ここで舞台には、ソフトバンクグループの代表取締役副社長であるニケシュ・アローラ氏が招かれた。孫代表は「情報革命は人をより幸せにしてくれる」とし、Singularityの訪れも楽観的に捉えている。これに対して、ニケシュ・アローラ副社長は慎重派。「IQが1万に到達したコンピューターを誰がコントロールするのか」「コンピューターが人にやかましくアドバイスするようになったら」と懸念材料を並べた。孫代表は「コンピューターは、コンピューター自身がコントロールする」「人はコンピューターに依存するようになる。すると、人間が行う知的作業の生産性を高められる」と回答。ニケシュ・アローラ副社長が「人類はコンピューターに支配されてしまうのではないか」と質問すれば、孫代表は「いや、共存できると思っている」。好対照なこの2人だが、ニケシュ・アローラ副社長も最後には折れて「孫社長は楽観的ですね。それで2人でバランスがとれている」と楽しそうに笑った。●Pepperは「良い」ロボット○悪いロボットも必要?情報革命が人を幸せにする例として、孫代表は「医師が行うアドバイスは今後、DNAや血液情報などをもとに、コンピューターが行えるようになる」と説明。ニケシュ・アローラ副社長が未来の交通事情について尋ねると、孫代表は「今後も四輪車は残る。でも人間がコントロールしない方が安全。コンピューターと一緒にドライブを楽しむ、というシチュエーションになるのではないか」と持論を展開した。IQの点では、人類より頭の良いスマートロボットが開発される。だからこそ、孫代表はロボットに「心」を持たせることにこだわっている。「IT業界で叫ばれているような、生産性向上の一辺倒には陥りたくない。だからこそ、私たちは優しい心を持ったPepperを開発した」と孫代表。ここでニケシュ・アローラ副社長が「人間でも冷たい人はいる。そうすると、悪い感情を持ったロボットも必要になるのでは」と問うと、孫代表は「人間と同じで、バランスは必要」。この回答に、ニケシュ・アローラ副社長は「では良いPepperはソフトバンクが開発して、悪いPepperはほかの会社に任せましょう」と応じて、会場の笑いを誘った。「Pepperを迎えた家族が、ハッピーになれるようにしたいんです」と孫代表。未来のロボットについて話題は尽きないようで、「会社を300年存続させるには」「リーダーシップとは」といった別のテーマに移った後も、度々、Singularity後のロボットについて熱く語り合う2人の姿があった。
2015年10月23日国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は10月16日、低酸素ストレスにさらされたラット胎児の発育不良を人工赤血球で予防することに成功したと発表した。同研究はNCNP精神保健研究所知的障害研究部の太田英伸 室長、神経研究所疾病第二部の李コウ 研究員、奈良県立医科大学の酒井宏水 教授、東北大学、早稲田大学、崇城大学、理化学研究所によるもので、10月16日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。同研究では、妊娠高血圧症候群で低酸素ストレスが加わる胎児への治療法を開発した。妊娠高血圧症候群は約5%の妊婦に発症し、重症例では母体死亡、胎児・新生児死亡を引き起こす。特に、高齢出産が進む日本では増加傾向にある。これまで同症候群の原因物質として胎盤由来の可溶型VEGF受容体-1(sFlt-1)などが発見されており、これらの物質が胎盤血管を狭小化し血行不全を引き起こすため、胎盤の血液循環が妨げられ母子間のガス交換、栄養物質の運搬、老廃物の代謝が低下し、胎児が低酸素状態・子宮内発育不全になることがわかっている。そこで同研究グループは、狭小化した胎盤血管を通過できる小粒径(250nm)でかつ高い酸素運搬機能をもつ人工赤血球を用いて、母体胎盤および胎児の低酸素状態を改善。その結果、妊娠高血圧症候群の原因物質である母体血中のsFlt-1が低下し、胎児発育も促されることを確認した。また、低酸素ストレスが与えた胎児の脳へのダメージも人工赤血球の投与で抑えられることがわかった。今後、人工赤血球をベースとした新しいタイプの輸液を作製することで、妊娠高血圧症候群の治療法として帝王切開や早産など妊娠の終了だけでなく、その症状を軽減させる輸液療法も選択肢の1つとなる可能性が期待される。
2015年10月16日ソフトバンクは10月14日、AI(人工知能)を利用したサイバー攻撃対策プラットフォームを提供する米サイバーリーズン(Cybereason)に対して出資を行ったと発表した。Cybereasonは、イスラエルの情報機関でサイバーセキュリティーに携わったメンバーらによって設立。AIを利用した独自の分析技術によりサイバー攻撃を探知し、被害を未然に防ぐ。出資は総額5900万米ドル(約70億8,000万円)、ソフトバンク主導の下、Cybereason既存株主であるCharles River VenturesとSpark Capitalと共に行っている。今回の出資に合わせて両社は、Cybereasonのサイバー攻撃対策プラットフォームの日本市場での展開について、共同で検討することに合意。2016年前半の日本市場における商用サービス提供開始を目指して、検討を進めていくという。
2015年10月15日人工知能(AI)を活用したアプリを提供するHEROZ(ヒーローズ)は、アニメやゲームキャラクターの録り下ろしボイスが聴ける国内最大級のカードコレクションアプリ「嫁コレ」声優部に、10月13日より"伊藤美来"を追加する。「嫁コレ」は、アニメやゲーム作品に登場する「嫁にしたい」キャラクターのカードをコレクションして楽しむアプリで、キャラクター画像や、声優による録り下ろしボイスを収録。ダウンロード数は170万ダウンロードを突破し、登場する作品・キャラクターは国内最大級の160作品、500キャラクターを超え、男性女性問わず、さまざまなキャラクターをコレクションすることができる。カードを表示した画面上で、「なでる」「キスする」「プレゼント」「起こしてもらう(目覚まし)」などの操作をすることで、キャラクターの"愛情度"が向上。"愛情度"に応じて、ボイスの数や、「嫁」として選べるキャラクターの上限数が増えていく。本アプリのダウンロードと、1キャラクターあたり2枚のカードは無料で、さらに有料でカードを購入することもできる。なお、今回の追加によって、「嫁コレ」アプリで遊べるキャラクターは、162作品、514キャラクター、声優20名となる。■追加された声優について・伊藤美来 (スタイルキューブ所属)・東京都出身。10月12日生まれ。2012年、第1回スタイルキューブ声優オーディション合格。声優業のほか、StylipSのメンバーとしても活躍中。【主な出演作品】・「レーカン!」(井上成美)・「普通の女子高生が【ろこどる】やってみた。」(宇佐美奈々子)・「マンガ家さんとアシスタントさんと」(足須沙穂乃)・「世界でいちばん強くなりたい!」(望月悠歩)収録されている画像とボイスは、すべて新規に撮影・収録したオリジナルの内容となっている。<"伊藤美来"の収録ボイス例>はじめまして! 伊藤美来です。美来でも、みっくでも好きに呼んでください!あなたと会えてうれしいです♪ これからよろしくお願いします!○直筆サインプレゼント! キャンペーン実施抽選で担当声優のサイン色紙が当たるキャンペーンも実施。キャンペーンの詳細は「嫁コレ」公式サイトにて。■愛情度ランク上位を目指せ! キャラクター声優の直筆サインプレゼント! キャンペーン【期間】2015年10月13日~2015年11月9日24:00まで【参加条件】下記の条件を満たしている利用者・「嫁コレ」にTwitterアカウントを登録・「嫁コレ」公式Twitterアカウント(@yomecolle)をフォロー・期間中に"伊藤美来"をアプリにダウンロードし、愛情度がランキング上位100位以内にランクイン【賞品】伊藤美来直筆サイン色紙 …… 1名
2015年10月13日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月8日、米国IPsoftと提携し、人間の自然な会話や書き言葉を高い精度で解析する人工知能(AI)を活用した対話業務支援サービス「Virtual Assistant」を2016年夏より提供開始すると発表した。同サービスにより、コールセンターの一次受付や店頭窓口、アウトバンド要員をクラウド上のAIに置き換えることが可能で、オペレーター/販売員の後方支援としても利用できる。また、自動応答に加え、請求書発行業務やメール送信、資料の発送など、応対に伴って発生するビジネスプロセスの処理も行いながら、一人称で応対を完了することができる。例えば、コンタクトセンターなら、エンドユーザーの予約受付/トラブル相談/各種手続きなどを、自然言語による対話を通じて一人称で応対し、曖昧な質問には最適な問い直しを行い、問題を特定できる。問い直しは同サービスが自動的に判断して行うため、従来必要だった問い直し部分のシナリオの作成は不要となるという。解決できない問題や複雑な要請は人間のオペレーターに自動エスカレーションするとともに、オペレーターの応対を自動学習し、次回以降の応対に生かす。同社は商用サービスの提供に先立ち、2016年2月より開始予定のPoC(Proof of Concep)における参加企業を募集し、さまざまな利用シーンでの活用実証実験を重ねることで、サービス品質の向上を進める。
2015年10月09日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月7日、同社が提供する総合リスク・マネジメント・サービスである「WideAngle」のマネージド・セキュリティ・サービスの運用基盤(SIEM)において、人工知能の要素技術の1つとされる機械学習機能などを用いて攻撃者との通信を検知する自社開発した機能により、企業ICT環境へのサイバー攻撃に対する検知・分析力を2015年10月から強化すると発表した。同社は、数多の未知のセキュリティ脅威をリアルタイムに検知・判別する人工知能を自社開発し、SIEMに組み込んだ。独自開発した人工知能では、DGA(Domain Generating Algorithm)という計算手法や、自動生成していく悪性サイトのURL生成特性を自律的かつリアルタイムに機械学習し攻撃者との不正な通信のみを検知する検出ロジックなどを利用し、過去のブラックリストに無い悪性サイトへの通信検知を実現するとのこと。このような悪性サイトとの不正通信を人工知能の利用によりリアルタイムに検知できるサービスは同社によると世界初といい、誤検知率0.5%と高精度の検知が可能としている。迅速な攻撃サイトとの通信検知の実現により、「WideAngle MSS」ではユーザー企業への精度の高い迅速な報告や感染エンドポイントの隔離・遮断、IPS(Intrusion Protection System)やURLフィルタなどを用いた即時での悪性通信遮断へのアクションとの結び付けが可能になるという。同社はこれらの人工知能利用による高度な攻撃検知に加えて、エンドポイント・セキュリティ対策として攻撃の証跡データを利用した全ての感染エンドポイントの確定とネットワークからの遠隔での切り離し、IPS/URLフィルタなどを利用する即時遮断の実施などの総合的なサービスを提供しているという。同社は現在、企業のICT環境をサイバー攻撃から守る手段として人工知能に関わる研究・開発活動を継続しており、対象企業ごとにカスタマイズした巧妙な攻撃に対して不審な通信・振る舞いを検知する、機械学習機能の開発にも着手しているという。また、通信情報を基に、ボットネットやAPT(Advanced Persistent Threat)攻撃特有の振る舞いを観察する機能や、情報詐取方法の特長を学習・検知する機能の開発に着手しており、同機能は2016年春を目処にマネージド・セキュリティ・サービスの自動分析基盤に組み込む予定とのこと。今後も同社は、人工知能を利用したサイバー攻撃の検知機能の向上に継続して取り組む予定としている。
2015年10月08日日本航空(JAL)と日立製作所(日立)は10月5日、同日から約3カ月間、日立グループが開発したIoT(Internet of Things)と人工知能の技術を活用して、JALの従業員満足度の向上を目指す共同実証実験を開始すると発表した。実証実験では、ワークスタイル変革の施策や従業員満足度の関係性の発見に取り組む。具体的には、JALの間接部門で働く従業員約80名を対象に、日立グループが開発したIoTデバイス(名札型ウェアラブルセンサー)を用いて従業員の身体運動を把握。その身体運動の特徴パターンから集団の活性度を定量的に算出した「組織活性度」、従業員の属性や担当業務の特性、ワークスタイル変革施策の実施状況などのデータを組み合わせ、日立の人工知能を用いて分析を行う。日立の人工知能は、従来は人手で行っていた仮説設定・検証の自動化を実現するもの。実証実験により、「組織活性度」に影響する要素とその影響度を算出することができるため、JALグループにおけるワークスタイル変革施策の成果に関する分析や新たな施策の検討に役立てることが可能としている。JALグループは、ITツール導入などによる業務の効率化だけではなく、従業員一人一人が成長し、それにより得られる従業員満足度の向上をワークスタイル変革の最終的な目標としている。
2015年10月06日スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め、オスカー女優のハル・ベリー、さらに国際派俳優の真田広之が参加した海外ドラマ「エクスタント」。このほど、スピルバーグが本作のタイトルに込められた壮大なテーマについて語る特別映像が到着。また、ハル・ベリーも、スピルバーグだからこそ引き受けたという本作への思いを明かしていることが分かった。宇宙飛行士のモリー(ハル・ベリー)は、宇宙で13か月間にも及ぶ単独任務の後、家族のもとに無事生還するが、その後、妊娠していることが発覚。宇宙での任務中には、死んだはずの元恋人が目の前に現れるのも気にかかっていた。一方、夫のジョン(ゴラン・ヴィシュニック)は“人間性を持つアンドロイド”の試作品開発に成功し、自分たちの“息子”イーサンとする。彼の研究に大富豪ヤスモト(真田広之)が融資を申し出るが、本当の狙いはアンドロイドではなく、モリーだった…。これまで、人工知能や地球外生物というテーマで、『E.T.』『未知との遭遇』『A.I.』など、数々の傑作を生み出してきたスピルバーグ監督。そんな彼が近未来を舞台に、謎が謎を呼ぶ先の読めない展開でTV 業界を席巻したのが本作。本国では、第1話が2014年夏のドラマシリーズでNo.1(Nielsen Galaxy Explorer、7/10~9/17)となり、2015年7月からはシーズン2が放送。日本でも、WOWOWで今春に初放送され、大ヒットとなった。主演を務めるのは、アカデミー賞女優ハル・ベリー。数多くの謎と巨大な陰謀に立ち向かう宇宙飛行士モリーを演じているが、届いた映像では、主人公モリーのキャラクターにすぐに共感し、「SFと人間ドラマが絶妙なバランスで描かれていた」映画のような脚本に魅せられたことを語っている。さらに、最近のTVドラマシリーズのクオリティの高さから、スピルバーグがかかわる本作はまたとない「チャンスだった」とも明かしている。続けて、スピルバーグは「私の大好きな二つの分野の融合だ。ひとつは人工知能。そして地球外生物がテーマになっている」と、自身の映画製作でも長年追い続けてきた本作のテーマについて言及。また、「エクスタント(EXTANT)」というタイトルは、「生き延びた」「実在する」という意味であり、人間を含むこの世に生きている全ての種、アンドロイド、そして地球外生物であることを匂わせている。人工知能と地球外生物、そして少年と家」と、スピルバーグらしいテーマが詰まった本作は、「LOST」「アンダー・ザ・ドーム 」を上回る謎解きに中毒者が続出しそうだ。<「エクスタント」リリース情報>「エクスタント」DVD-BOX価格:9,300円+税発売日:10 月14 日(水)「エクスタント」vol.1-6レンタル同日スタート発売・販売元:パラマウント・ジャパン(C)2015 CBS Studios Inc. and Amblin Films, Inc. All Rights Reserved. EXTANT TM is a Trademark of CBS Studios Inc. CBS and related logos aretrademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.(text:cinemacafe.net)
2015年10月02日人工知能を駆使したビッグデータ解析事業を手がけるUBICは10月1日、業務上のメールや日報などの電子データを解析し、潜在的なチャンスやリスクを人工知能が知らせる、ビジネスデータ分析支援システム「Lit i View AI助太刀侍(AI助太刀侍)」の提供を開始すると発表した。「AI助太刀侍」は、ビジネス上の膨大なデジタルコミュニケーションの中から、たとえば「最近お忙しそうですね?」と営業担当者の来訪を緩やかに期待する顧客からのメールのような、まだ顕在化していない「予兆」をいち早く人工知能が捉えることでビジネスチャンスの獲得と機会損失の防止、リスクの回避など行うもの。まず、顧客の経験や暗黙知に基づいて、検知が必要か不要かに仕分けられた一定数のデータを「教師データ」として「AI助太刀侍」に学習させ、次に同社のクラウド環境「Intelligence Cloud」上の「AI助太刀侍」に、顧客のメールサーバーやファイルサーバーからメール、日報などの調べたい電子データをインポートする。その電子データを「AI助太刀侍」で解析し、検知したい教師データとの関連性が高い順にスコアリングして、上位から順に表示。一定のスコアを超えたデータが発生した場合は、「AI助太刀侍」からその顧客の管理者に自動でアラートを出したり、高スコアのデータの詳細を表示させる。さらに、検知状況の統計レポートや、今後の発生を予測する分析レポートも作成する。再学習による人工知能の強化も可能で、「AI助太刀侍」の「Central Linkage(セントラルリンケージ)」の機能では、より深く調査したい対象者について、「誰から誰に宛ててメールが送られ、誰にCC:されているか?」などを相関図で表示することができ、情報が渡る経路や、送られるべき人に情報が出ていなかったり共有すべき情報が共有されていないケースなどを把握できる。今後、APIの提供による、外部のシステムと「AI助太刀侍」との連携を行う予定があり、販売代理店が独自に開発したレポートの出力、分析機能との連携も可能になるという。
2015年10月02日神奈川大学は9月30日、「何世代にもわたって細胞分裂できるモデル人工細胞」の構築に成功したと発表した。同成果は同大学理学部の菅原正 教授らの研究グループによるもので、9月29日の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。菅原教授らはこれまでの研究で、細胞膜に見立てたジャイアントベクシルという直径3~10μmの人工分子膜でできた袋が、外部から膜分子の原料を取り込み、膜内でその原料から膜分子を作り出すことで自らを成長・分裂させ、さらに内部で染色体のモデルであるDNAを増幅することを報告していた。しかし、分裂後はDNAの複製に必要な原料分子が枯渇し、親細胞と同様の効率よい分裂を行わせることができなかった。今回の研究では、DNA複製の原料を外部から摂取する方法を開発し、DNAが枯渇した子供細胞に、内部でのDNA複製能力を回復させ、孫細胞を作らせることに成功。さらに、この人工細胞では現実の細胞と同様に摂取期、複製期、成熟期、分裂期を巡回する周期性が存在することを確認した。今後、この人工細胞が繰り返し分裂していく中で優れた形質をもつ「変異種」が出現し「進化」するモデル人工細胞が誕生する可能性もあるという。同研究グループは今回の成果について「物質からどのようにして生命が誕生したかの謎の解明に通じる研究であり、原始地球での生命誕生や、原始生命からどのような形で萌芽的な進化の仕組みを備えるに至ったかを知る手がかりになる」としている。
2015年09月30日NTTデータは2015年10月1日付けで、同社グループにおける人工知能(AI:Artificial Intelligence)の応用ビジネスを推進するための組織として、「AIソリューション推進室」を技術開発本部サービスイノベーションセンタ内に設置すると発表した。AIソリューション推進室は、NTTの研究所が保有する人工知能技術(音声認識、画像認識、自然言語処理、知識処理、機械学習など)と、NTTデータが保有する情報活用ノウハウ・プラットフォームを組み合わせ、人工知能を活用した幅広いシステム・サービスの創出などを目的としたもの。当初は、人工知能技術のスペシャリスト20名の体制で活動を開始し、順次体制を拡大していく。同社はすでに、「融資審査やマーケティング分析のミドルオフィス業務における意思決定・知的判断の支援 」「窓口やコンタクトセンターの顧客対応業務における手続き、商品などの相談支援」「オフィス、公共施設、店舗などでのグローバルなコミュニケーションの支援」「スマートフォンなどのモバイル端末や人型ロボットを介したコンシューマー向け対話型サービス」において、人工知能の応用を進めている。同社は人工知能関連のシステムおよびサービス提供で、2018年度までに累計200億円の売上を目指す。
2015年09月30日UBICは9月25日、人工知能の成長を可視化することに成功、人工知能の成長過程を視覚的に把握し、テキスト解析の精度を効率的に向上するコンサルティングサービスの提供を開始すると発表した。同社は、人工知能によるEメール自動監査システム「Lit i View EMAIL AUDITOR(以下、EMAIL AUDITOR)」により、企業内の大量のメールを自動的に監査し、企業が防ぎたいリスクを発見するソリューションを提供している。「EMAIL AUDITOR」に搭載された人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(以下、VDS)」が、豊富な経験をもつ監査人(社内外の監査スタッフや弁護士など)から不正を判断する特徴を学び、監査人がすべてチェックすることが不可能な大量の電子メールのテキストから、情報漏洩やカルテルなど不正行為への関与の疑いがあるコミュニケーションや行動を、監査人に代わって見つけ出すというものだ。今回提供開始となったサービスは、EMAIL AUDITOR導入企業に対するコンサルティングサービスとして提供される。人工知能の成長を測定するポイントは、監査人が「不正に“関連する”と判断した文書」と「不正に“関連していない”と判断した文書」が、正しくスコア付けされているかどうかで判断。成長プロセスは、「成長初期」、「成長期」、「成熟期」の3つの段階に分けることができ、成熟期に到達すると、安定したメール監査機能としての稼働が確認できたことになる。同社では、VDSの学習機能が適切に働いているかどうか分析するコンサルティングを行ってきたが、今回の可視化の手法を用いることによって、従来よりも、より直感的に人工知能の成長過程を把握することが可能になり、成長の精度やスピードが適正であるかどうかを容易に判断することができるようになったという。
2015年09月25日○人工知能という鉱脈ソフトバンクが発売したロボット「ペッパー」。ユーザーの感情を理解するという触れ込みに、「そんなものは存在しない」と指摘をするのはKDDI総研のリサーチフェロー小林 雅一氏。ネットメディアの連載で、ペッパーを「チャットボット」と分類します。問いかけた内容に応じて返事をする「ボット」のようなものだというのです。ソフトバンク VS KDDIの代理戦争かと邪推の一つもしたくなりますが、「感情」の定義には哲学的なテーゼが残され、私は小林説を支持します。一方で、テレビ東京の子供向け番組「おはスタ645」で、お笑いトリオ「ロバート」と上手に絡むペッパーの実力も評価しています。それぞれ「AI(人工知能)」への解釈や、期待度の違いといっても良いでしょう。人と同等以上の知能を求めるのか、擬似的で良いとするのかです。AI研究における世界の主流は前者で、「ディープラーニング」により研究は加速しています。しかし今、日本の「AI業界」に暗雲が垂れ込めています。○中国に持って行かれる自動運転や介護ロボ、より便利なスマホOSなど、AIへの期待は、多くの産業で高まっています。AIの研究は古く、コンピュータが開発された当初からスタートしていました。当時のアプローチは、あらかじめ「考え方」を与えておくか、ボットのように多くの「解答例」を用意するものでした。これらは良くも悪くも、人間の想像の枠内に収まり、「知能」と呼べるかという議論もありました。「ディープラーニング」はまったく別の発想です。語弊を怖れずにひと言で説明するなら、コンピュータ自身が「考え方」を見つけ出すというアプローチです。認識方法や評価基準といった「考え方」そのものを見つけ出すので、より人間に近づく可能性どころか、平成57年(2045年)には、人工知能は人間の知能を越えると囁かれております。そして現時点のAI研究において、日本は世界に劣っている訳ではありません。特許の数では米国に負けても、コンピュータ開発におけるノウハウがあり、それを支える人材がいるからです。ただし、現時点です。○東ロボくんまでが9月18日の日経新聞2面に見つけた見出しです。中国も「東大合格ロボ」開発デッサンの狂ったドラえもんが確認される「石景山遊園地」のように、中国得意のコピー商品かと思いきや、「東大合格ロボ」の開発を手がける教授 新井 紀子氏に誘いがあり、中国との連携を決めたというのです。2011年より開発が始まった「東ロボくん(愛称)」は、大学入試センター試験の合格を、AIが目指すというもので、発表当時は失笑が漏れるほど荒唐無稽と思われたプロジェクトでした。これが今では8割の私大で合格可能性が80%に越えるまでに成長しています。そして中国との連携。日経新聞は理由の一つに「お金」を挙げます。新井教授が勤める国立情報学研究所から、割り当てられる研究予算は年間数千万円であるのに対し、中国側の予算は30億円で桁が二つ違います。○お詫びと訂正当初、「国立情報学研究所」を「国立情報科学研究所」と誤記していました。また、「中国側の(新井氏らへの)オファーは30億円」としていましたが、ただしくは中国の研究開発費の予算が30億円の誤りでした。お詫びして訂正します。文部科学省も手をこまねいている訳ではなく、来年度予算の概算要求でAI研究計画を打ち出し、100億円を投じて研究施設を整備すると記事は続けますが、読了後、ある社長を思い出します。○第二、第三のありまぁすWeb制作の新規事業を立ち上げようとした運送会社のI社長。まず、手がけたのは、新規事業用の部屋の増設。「箱を作れば、中身はあとからついてくる」という発想は、トラックを買えば仕事が入り、仕事を請けてから勉強を始めても、どうにかなったバブル期に創業したI社長の経営哲学。社内でWeb制作ができる人物は、営業マンとして中途入社してきた新人のただひとり。面接で語った趣味の「Web制作」に白羽の矢を立てたのです。素人同然だという抗弁も「勉強すれば良い」で却下されます。いわば「研究員」のような立場ながら、営業マンとしての仕事は免除されません。営業マンとしての業務と両立させるため、「研究員」は寝る間も惜しみますが、営業マンは「裁量労働制」の契約のため、残業や早朝、休日出勤への割増賃金が支払われることはありません。そしてなんとか一人前のWeb制作者になったとき、研究員はそっと辞表を置いて会社を去りました。より良いオファーがあったからです。彼は言います。「場を与えられたことには感謝している。しかし、技術は自分の努力で身につけた」社内に技術は残されず、増設された部屋は物置となります。文科省の取り組みに同じ影を見つけます。予算要求にある「AI研究の拠点」とは、埼玉県和光市の「理化学研究所」。あの「ありまぁす」といった女性のためだけに、ピンクに塗られた研究室を用意したあの「理研」です。騒動を経てもなお、日本最高水準の研究機関ではあります。しかし、「2位じゃダメなんでしょうか?」と蓮舫氏が問うたスーパーコンピュータ「京」も理研の施設内にあり、AIの研究に高機能のコンピュータは不可欠。のはずなんですが、「京」があるのは神戸市の理研「計算科学研究機構」。果たして100億円は研究のためだけに使われるのでしょうか。「ハコモノ0.2」「適材適所 0.2」の匂いがします。先の研究員は、当時をこう締めくくりました。「誰も助けてくれなかったし、理解もしていなかった。そして結果だけを求められた」○エンタープライズ1.0への箴言まず、箱物という発想がダメ宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年09月24日モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統――。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定通りの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。連載の第1回では、イプシロンが先代のM-Vロケットからどう変わることを目指して開発されたのかについて紹介した。第2回では「強化型」でイプシロンはどう変わるのかについて紹介した。最終回となる今回は、強化型の次に予定されている「イプシロン最終形態」の検討と、そしてイプシロンが真にロケットとして成功するために必要な条件について見ていきたい。○イプシロン最終形態イプシロンの高性能化、低コスト化に向けて、段階的に改良が行われていくということは第2回で触れたが、それでは「強化型」の次、最終的な真の姿はどうなるのだろうか。現在はまだ決まっていないが、いくつかの検討が進められている。なお、JAXAはこの機体を「イプシロン最終形態」、もしくは「進化型イプシロン」と呼んでいる。その検討例の一部が、『ISASニュース 2014年7月号』で紹介されている。たとえば「例1」(中央)は、当初計画されていた「E-1」に近い。「例2」(右から2番目)は機体のすべてが大きくなり、M-Vロケットに近い規模になる。「例3」(一番右)は少し冗談のような形をしているが、まず両脇のブースターだけで離昇し、燃焼を終え、分離されると同時に、中央のモーターに点火するという飛行シーケンスを取るという。この検討例は、右に行くほど打ち上げ能力が大きくなる。たとえば「例3」であれば、小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げられた軌道に向けて、800kg以上の探査機を打ち上げることも可能になる。「はやぶさ」の打ち上げ時の質量は510kgだったから、それと比べるとはるかに大きな探査機を打ち上げることができるわけだ。さらに、2014年8月に開催された『28th Annual AIAA/USU Conference on Small Satellites』の発表では、ブースターを3基、4基もつ案も示されている。ただ、2015年1月に発表された、新しい宇宙基本計画の工程表によると、中型(「はやぶさ」などと同クラス、あるいはそれよりも大きな規模)の科学衛星については「H3」ロケットを使用することとし、イプシロンは「公募型小型」と、さらにそれよりも小さい規模の「革新的衛星技術実証」といった、小型の衛星の打ち上げに使用されることとなった。したがって、「例3」ほどの規模にまで進化する可能性はあまりないかもしれない。現在のところ、この最終形態は、2016年度内に開発に着手し、2020年代初頭に打ち上げることを目標にしているという。○H3ロケットとイプシロンイプシロンの今後について忘れてはならないのが、H3ロケットの関係である。現在のイプシロンは、第1段にH-IIAロケットの固体ロケット・ブースター(SRB-A)を流用している。このことはSRB-Aの量産数を増やすことになるため、低コスト化を裏打ちする要素のひとつにもなっていた。だが、すでに周知の通り、H-IIAロケットは2020年代の前半に運用を終え、後継のH3ロケットに切り替わることが計画されている。H3では固体ロケット・ブースターも変わり、現在のSRB-Aではなくなるため、イプシロンのためにSRB-Aを製造し続けるか、あるいはH3のブースターと共通できるように設計を変えるかを選ばなくてはならなくなった。これについて、どちらが得策かの検討が行われ、最終的に後者が選ばれた。文部科学省によると、「新型基幹ロケットの固体ロケットブースタを、イプシロンの1段モータと共用せず、現行のH-IIA/Bロケットの固体ロケットブースタを継続使用とする場合、イプシロンの専用部品として製造することになる部品単価の高騰による機体コストの大幅な上昇に加え、製造治工具についても専用品となることで、共用する場合に比べて維持コストの増加が甚だしく、固体ロケット技術の維持の観点からも非効率になると見込まれる」としている。なお、2013年ごろにも「新型基幹ロケットの固体ロケット・ブースターと、イプシロンの第2段とを共通化する」という話が出たことがある。イプシロンの第2段、というのが少し奇妙に思えるが、これは当時、新型基幹ロケットのブースターがSRB-Aよりも小さくなることが検討されていたためである。その後、検討が進められる中で、H-IIAのSRB-Aと同じ規模、すなわち現在のイプシロンの第1段と同じ規模になったことで、この話は幻となった。ただ、いくらSRB-Aと同規模とはいえ設計は変わるため、イプシロンの第1段として使うには改修が必要となる。特に、SRB-Aにはあったノズルを動かして方向を制御する機構が、H3用のブースターではなくなることになったため、イプシロンのために新しい制御機能を開発しなくてはならない。また、H3のブースターはまだ設計が固まったわけではないので、今後検討や開発が進められる中で計画の変更などがあれば、その影響を大きく受けることになる。たとえば、もしブースターのサイズが再び小さくなることがあれば、第1段ではなく第2段と共有するという案が復活する可能性もある。また燃焼パターン(どのようにしてモーターを燃焼させるか)に変化が出れば、SRB-Aを第1段に使う場合と比べ、打ち上げ能力が多少変化することもあるだろう。(編注:2015年6月発表の資料ではH3と固体ロケットブースターを共有化することで600kg級の打ち上げ能力とする方針を打ち出している。)実質的に主導権をH3が握っている状態で開発を進め、さらにH-IIA/BからH3に切り替わるのと同じタイミングで、イプシロンもH3のブースターに対応したヴァージョンに切り替わらなければならないことは、開発する側にとっては大きな負担になり、その性能や、また最終形態の検討などにも影響が出る可能性がある。○打ち上げ数をどう確保するかH3のブースターを使ったイプシロンや、最終形態が完成したとして、次に目指すべきなのは、安定した数を継続して打ち上げることだろう。特に、当初目標とされた、1機あたり30億円前後という打ち上げコストを実現するには、とにかく数多く量産し、打ち上げなくてはならない。しかし、小型の科学衛星については2年に1回、またさらに小さな規模の革新的衛星技術実証プログラムも2年に1回ほどの頻度しか計画されておらず、これでは少ない。特に革新的衛星技術実証プログラムは、1回の打ち上げで超小型衛星を複数搭載することも考えられているため、純粋に1回につきイプシロン1機を使うということにはならない。小型科学衛星と革新的衛星技術実証プログラムとは別に、2016年度には経済産業省の小型地球観測衛星「ASNARO-2」、さらにその後には、ヴェトナムの小型地球観測衛星「LOTUSAT1」と「LOTUSAT2」の打ち上げも計画されている。LOTUSATはASNARO-2の同型機で、日本がヴェトナムに対して行う円借款によって造られる。ただ、それでも合計3機で、また毎年発生する需要でもないため、打ち上げ数が不足することには変わりない。小型の科学衛星の数が増えたり、ヴェトナムがさらに10機や20機とASNAROを発注してくれれば話は別だが、そんなことは望むべくもない。したがって、ASNAROシリーズを商業衛星として広く展開し、他国や国内外の企業に売り込んでいき、またヴェトナムのような例をさらに別の国でも作り出していく必要がある。さらに、ASNAROとは別の、他の小型衛星の打ち上げも受注できるようにしなければならないだろう。だが、小型衛星がブームと言われたのも今は昔、すでにそのブームは過ぎつつある。米国の小型ロケットも、最近ではNASAや軍関係の小型衛星の打ち上げばかりで、商業衛星の打ち上げはほとんどない。商業ロケットの雄と称されているスペースX社も、かつては「ファルコン1e」という小型ロケットの開発計画をもっていたが、需要なしと判断され、中止されている。もちろん小型衛星の需要がゼロになったわけではなく、また今後盛り返す可能性もないわけではない。しかし、現在ある需要は、インドの「PSLV」ロケットや、ロシアの「ドニェープル」ロケットがそのシェアの大半を握っており、最近では欧州の「ヴェガ」ロケットも登場した。これらはいずれもイプシロンの2倍以上の打ち上げ能力をもつ中型ロケットだが、主となる衛星を2機同時、あるいは複数の超小型衛星と同時に打ち上げるといった方法で、イプシロンがターゲットにしているクラスの衛星打ち上げを行っている。また、今後数年のうちには、中国や韓国も小型、中型ロケットを送り出してくる予定となっている。米国やロシアなどでは、小型ロケットを開発している企業もいくつか出てきている。イプシロンの打ち上げ数を増やすためには、すでに他のロケットがもっているシェアを奪い、そして今後出てくる新しいロケットをも跳ね除け、さらに衛星とのセット販売などで、新しい顧客を開拓していかなければならない。イプシロンの将来は、商業ロケットとして成功できるかどうかにかかっている。
2015年09月18日クーロンは9月10日、人工知能を搭載したコメントシステム「QuACS(クアックス)」を採用するWebメディアを対象に行ったユーザーの動態調査結果を発表した。QuACSは人工知能を搭載したコメントシステム。Webメディアに数行のコードを埋め込むだけで、読者が自由に意見や感想を投稿できるコメント欄を設置できる。読者がコメント欄に投稿した言葉や文章の意味を解析する「文章評価」機能のほか、誹謗中傷や罵詈雑言、差別用語、人権侵害、公序良俗に反する内容、違法取引、出会い目的などの内容を自動的に判別する人工知能「フェアプレイアルゴリズム」を搭載する。調査は8月1日~8月31日の期間で実施した。調査では、コメントシステム「QuACS」を採用したWebメディアにおけるユーザーを3つに分類。「QuACS」を通して記事にコメントを投稿している「コメント投稿ユーザー」と、コメントに対して「Agree」ボタン「Disagree」ボタン押下のアクションを実施した「アクションユーザー」、コメント投稿もアクションもしない「一般ユーザー」の3つとなる。調査内容は、「1ページあたりの平均滞在時間」「1ユーザーあたりの月間平均PV」。調査結果によると、1ページあたりの平均滞在時間をユーザー分類ごとに見ると、「コメント投稿ユーザー」「アクションユーザー」がともに長時間滞在することがわかった。「一般ユーザー」と比べ、「アクションユーザー」は5.54倍、「コメント投稿ユーザー」は8.46倍とそれぞれ高い平均滞在時間を示した。1ユーザーあたりの月間平均PV数は「一般ユーザー」と比べ、「アクションユーザー」が3.85倍、「コメント投稿ユーザー」が6.29倍となった。調査結果を通じて、コメントシステム「QuACS」を通してコメントやアクションを起こしたユーザーは、Webサイトに長時間にわたって滞在する傾向があるだけでなく、エンゲージメントが高くなる傾向があることがわかった。クーロンでは今後も、コメントシステム「QuACS」導入効果やユーザーとのエンゲージメントを測る指標を示すなど、Webメディアのマーケティングサポートを充実するとしている。
2015年09月17日モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統——。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定どおりの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。連載の第1回では、イプシロンが先代のM-Vロケットからどう変わることを目指して開発されたのかについて紹介した。第2回となる今回は、いよいよ本題となる「強化型」でイプシロンはどう変わるのかということについて見ていきたい。○あくまで試験機だった1号機2010年から開発が始まり、その後わずか3年で開発された「イプシロン」は、こうして無事に初打ち上げを迎えた。しかし、これでロケットとして完成したわけではなかった。もともとJAXAでは、段階を踏んで開発し、徐々に当初の目標に近付けていくという方法を採っていた。まず自己診断機能やモバイル管制といった新しい技術を実証を行う試験機の「E-X」を開発し、続いて高性能化と低コスト化を狙った試験機「E-I´」(イー・ワン・ダッシュ)を開発、そして最終的にその高性能化と低コスト化を実現させた完成形「E-I」(イー・ワン)を開発するという流れである。当初の計画では、2014年9月に打ち上げられた1号機がE-X、続く2号機と3号機がE-I´、そして4号機以降がE-Iになるとされていた。E-Iがどういう形態のロケットになるかは、さまざまな検討がされていたが、おおむねE-Xよりも打ち上げ能力は大きくなり、一方でコストは低くなると見積もられていた。たとえばE-Xでは、地球低軌道へは1200kg、地球観測衛星などが多く打ち上げられる太陽同期軌道へは450kgの打ち上げ能力をもっている。打ち上げコストは約38億円だった。しかしE-Iでは、地球低軌道へは最大1800kgほど、太陽同期軌道へは最大で750kgの打ち上げ能力をもち、コストは30億円前後にまで下がるとされた。○2号機対応と高度化ただ、最近発表される資料などでは、E-X、E-I´、E-Iといった呼び名は使われなくなっている。その代わりに「イプシロン2号機対応開発」と「イプシロン高度化開発」といった言葉が使われるようになった。「2号機対応開発」は2012年度から始まったもので、イプシロンの2号機で打ち上げられる「ジオスペース探査衛星」(ERG)に対応するための改良のことである。ERGがイプシロンの2号機で打ち上げられるということは、ずいぶん前から決まっていたが、同時に試験機(E-X)と同じ能力ではERGが打ち上げられないこともわかっていた。そこで、ERGのために打ち上げ能力を上げるための開発が行われることになったのである。もうひとつの「高度化開発」は2014年度から始まったもので、E-Xから打ち上げ能力を向上させると共に、衛星フェアリングの内部を広くし、より大きなサイズの衛星も搭載できようにするなど、さまざまな改良を加える開発のことである。これは主に、経済産業省が開発している小型のレーダー衛星「ASNARO-2」に合わせたもので、ASNARO-2も試験機の能力では打ち上げられず、またフェアリング内部に収めることすらできないため、その対応のために開発が必要となった。イプシロンにとっては、科学衛星だけでなく、ASNARO衛星も主要な「お客さま」になることが予定されているため、この対応は必要不可欠なものだった。また、ASNARO-2の打ち上げに対応できれば、他の小型衛星の打ち上げも可能であることが確認できているという。2号機対応開発と高度化開発は、「打ち上げ能力の向上」という点で被っているようにも思えるが、事実そのとおりで、「2号機対応開発の打ち上げ能力向上は、3号機以降にも適用する」とされていた。一方で、高度化に含まれる、衛星フェアリングの内部を広くするといったのいくつかの改良点については、ERGの打ち上げでは必要なかったことや、またERGの打ち上げが2015年度中に予定されていたため、高度化開発の完成が間に合わないという事情もあり、両者はこのように別のプロジェクトとして進められていた。ところが2014年8月27日に、JAXAは「ERGの開発中に、事前に予見していなかった技術的課題が発生し、その解決のために、打ち上げ時期を2016年に延期する」と発表する。さらに打ち上げ時期の見直しと共に、ERGの軌道の要求も変わったことで、打ち上げ能力をさらに上げる必要が生じた。そこで高度化開発の内容もイプシロンの2号機から適用されることになった。そして2号機対応開発と高度化開発を合わせ、ひとつのプロジェクトにすることが決定され、2014年10月、新たに「強化型イプシロン・ロケット・プロジェクト」が立ち上げられた。○強化型イプシロン強化型イプシロンが完成すれば、打ち上げ能力が増え、たとえば高度500kmの太陽同期軌道への打ち上げ能力は、試験機の450kgから590kgへとなる。また衛星フェアリング内の広さも増える、これによりERGやASNARO-2を打ち上げることが可能になる。もう少し細かく見ていくと、まず目立つ変化としては、全長が24.2mから26.0mへと少し伸びることが挙げられるだろう。特に、第2段機体のある部分の印象はずいぶん違うはずだ。第1回で触れたように、試験機の第2段機体にはM‐Vロケットの第3段機体を改良したものが用いられたが、第1段(H-IIAロケットのSRB-A)よりも直径が小さいため、衛星フェアリングの内部に収められていた。試験機の写真を見ると、SRB-Aの第1段のすぐ上に、衛星フェアリングが載っていることがわかる。この中に第2段、第3段、そしてPBSと衛星がすべて入っていたのだ。しかし強化型では、2段機体の直径を太くし、フェアリングの外部に出すことでフェアリング内部の広さを拡大させると共に、第2段の推進薬量も増加させる、「2段エクスポーズ化」という改良が行われる。もちろん改良点はそこだけではない。たとえば第3段の機器が搭載されている部分の構造が軽量化され、さらに使用する部品も簡素化されるなど、細かい部分も含めると、とてもここでは取り上げきれないほど数多くの改良が各所に施される。これにより打ち上げ能力の向上と、フェアリング内部の拡大の両方が実現する。また衛星を分離する際の衝撃も小さくなり、衛星にとって乗り心地が良くなる他、内之浦でのロケット組み立て作業や、打ち上げに向けた準備作業などにも手が加えられ、作業時間の短縮や、低コスト化につながるとされる。強化型の開発は順調に進んでおり、JAXAは2015年8月6日、2015年3月末に上段のサブサイズ・モーター(実機よりも小さな試験用のモーター)の地上燃焼試験が実施され、計画どおり終了したこと、そして6月18日にはJAXA相模原キャンパスで衛星分離試験が行なわれ、分離時に発生する衝撃や衛星分離挙動が確かめられたことなどを明らかにしている。このまま開発が順調に進めば、強化型イプシロンの1号機は2016年度に、ERGを積んで打ち上げられる予定となっている。また同年度中にはASNARO-2の打ち上げも計画されている。ただ、この強化型イプシロンは、あくまでASNARO-2など、当面の小型衛星の打ち上げ需要に対応するための、喫緊の技術課題を解決するための開発であり、E-I´として呼ばれていたものに近く、まだ完成形——いわゆる「E-I」——ではない。現在のところ、完成形のイプシロン(ISASは「最終形態」と呼ぶ)の姿はまだ決まっていない。そして、さらにこの先、イプシロンには大きな壁が待ち構えている。(続く)
2015年09月16日信州大学は9月14日、独自の人工タンパク質を用いた「タンパク質ナノブロック(PN-Block)」を開発し、複数種類の超分子ナノ構造複合体を創り出すことに成功したと発表した。同成果は同大学大学院総合工学系研究科博士課程3年の小林直也氏、同大学学術研究院繊維学系の新井亮一 助教、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の雲財悟 助教らの共同研究グループによるもので、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」の9月9日発行号に掲載された。同研究グループは、独自の二量体人工タンパク質と三量体ファージタンパク質を融合することで「PN-Block」を開発し、樽型(ラグビーボール型)や正四面体(テトラポッド型)などの超分子ナノ構造複合体を自己組織化により同時に創出することに成功した。同技術は将来的に次世代半導体のための有機無機ハイブリッドナノ材料開発、次世代医薬品のためのドラッグデリバリーシステムや人工ワクチン開発などへの応用が期待されるという。
2015年09月14日電通は9月11日、ワン・トゥー・テン・ロボティクス(1-10Robotics)と業務提携し、最先端のコミュニケーションロボット用AI(人工知能)や会話エンジンの開発を推進していくことを発表した。電通は2014年11月に社内横断組織「電通ロボット推進センター」を立ち上げ、「開発」「エージェンシー」「コンテンツ」の3つのビジネス領域から顧客が抱えるさまざまなロボットに関する課題解決のためのソリューションを提供してきた。1-10Roboticsは1-10HOLDINGSが、コミュニケーション分野でのロボットの市場規模が2020年までに少なくとも現在の3倍となる6,000億円超に拡大するとの予測から設立した子会社で、ロボット関連テクノロジーの専門会社として最先端のコミュニケーションロボット用AIや会話エンジンの開発を行っていく。すでに、1-10HOLDINGSの子会社ワン・トゥー・テン・デザインは、ソフトバンクの感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」の開発にも携わるなど、ロボット開発分野で多くの実績を残しており、1-10Roboticsはその事業を継承する。
2015年09月11日トヨタ自動車はこのほど、米国のマサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間で同社は、合計約5000万米ドルの予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。今回設立される両連携研究センターでは、人工知能をクルマやロボットへの応用を目指し、「様々な環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。CSAIL所長のダニエラ・ラス教授は「我々の研究チームでは、周囲の環境を認知し、安全な走行を実現するための先進的なクルマのアーキテクチャーを研究する。一連の研究は、交通事故死の低減や、事故を予防するクルマの開発にも大きな役割を果たすと考えている」と述べた。SAIL所長のフェイフェイ・リ教授は「我々は、スタンフォード大学が誇る視覚情報処理および機械学習、大規模データ解析などの技術に基づいて、クルマが様々な状況下で物体や人の動きを認識、予測し、安全で適切な判断をするための技術に取り組んでいく」と語っている。また、トヨタは、米国国防総省の国防高等研究計画局が主催する災害救助用のロボット競技大の元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究を強化していく。本連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。トヨタは、今後の産業技術の基盤を担う人工知能に関する研究開発をより一層強化し、本連携研究の成果は自動車やロボット、情報サービスなど将来の製品開発に幅広く応用していくとのこと。
2015年09月07日BI.GarageとUBICは9月7日、BI.Garageのソーシャルメディアマーケティングに関する知見と、 UBICが保有する人工知能技術を組み合わせ、人工知能を活用したSNSマーケティング支援サービスの提供に向け協業したことを発表した。サービスの第一弾として、BI.Garageが2009年より開発・提供しているTwitterアカウント運用支援ツール「Tweetmanager」に、UBICが開発した人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(Virtual Data Scientist、以下VDS)」およびVDS関連技術との連携機能を追加する。VDSがTwitter上に投稿される大量のテキストを短時間で解析し、その結果から導かれるユーザーの属性情報などをマーケティング戦略に取り入れることで、Tweetmanagerの利用企業はより効果的な施策を実施することが可能となる。両社は今後、連携をより一層深め、Twitter運用を行ううえでリスクになる可能性のあるツイートを自動監査し通知するシステムの開発を進めるなど、ソーシャルメディア領域でのサービス展開を継続して推進していくという。
2015年09月07日トヨタ自動車は9月4日、米国マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:SAIL)と、人工知能に関する研究で連携することに合意したと発表した。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。同社は、DARPA Robotics Challenge(米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助用のロボット競技大会)の元プログラムマネージャーであるギル・プラット(Gill A. Pratt)博士を招聘し、同博士の協力の下、クルマやロボットの知能化研究を強化していく。連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。
2015年09月07日トヨタ自動車(トヨタ)は9月4日、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間でトヨタは、合計約5000万ドル(約60億円)の予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」といった技術の研究を推進するとしている。また、トヨタはDARPA Robotics Challengeの元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究に取り組んでいく。両連携研究センターで今後実施する研究やその活用もプラット博士の助言を得ながら進めていくこととなる。今回の連携研究に関し、トヨタは「今回の連携では、クルマに留まらず、お客様の暮らし全般をより良いものにすることを目標に、研究に取り組んでいく。人工知能研究の最先端を走る米国のトップ2大学および、プラット博士との協力のもと、これまでにない新たなテーマに挑戦し、トヨタの研究開発を大きく飛躍させていきたい」とコメントしている。
2015年09月07日伊勢丹新宿店では、9月16日より、カラフル・ボード株式会社が提供する人工知能を使ったファッションアプリ「SENSY(センシー)」を活用した“人工知能接客サービス”を開始する。同店内では、このプロジェクトの一環で、8月26日から「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。「SENSY」とは、慶応義塾大学と千葉大学との共同開発でリリースされた人工知能が搭載された無料のファッションアプリ。同アプリ内にインプットされている提携ブランドの服を、ユーザーが“好き”“嫌い”で分類していくことで、人工知能がファッションセンスを学習し、好みにマッチした商品を提案してくれる。同アプリと提携しているファッションブランドは、2,500以上で、モデルやスタイリストなど、有名人のファッションセンスも手に入れることができる「センスリンク機能」も搭載。選んだ商品を実際に購入できるECサイトへアクセスすることもできる。“人工知能接客サービス”は、自身のスマートフォン等や店頭販売員がタブレット端末にインストールされた「SENSY」を使って接客するサービスで、「SENSY」が来店客の好みを解析、よりパーソナルなアイテム提案を行うというもの。同店担当者によれば、「将来的には、『SENSY』をヒト型ロボットやデジタルサイネージにインストールさせ、“人工知能に相談しながら買い物する”という新しいショッピングの形を実現したい」と話す。現在、同店本館2階ウエストパーク、同店メンズ館インターナショナルクリエーターでは、「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。9月16日からは、メンズ館1階プロモーションスペースで、実際に「SENSY」を体験できるサービスを実施する。この際は、「SENSY」と連動するブランドは30を超え、雑誌『SENSE(センス)』との連動企画も用意している。10月28日からは、メンズ館2階、6階、7階の商品を中心に、コーディネート提案できるサービスを開始予定。またレディスフロアでも、9月16日から雑誌『SPUR(シュプール)』と「SENSY」が連動した企画「SPUR MUSEUM~モードの頭のなか展~」も実施するという。
2015年09月03日みずほ情報総研とみずほ銀行は8月28日、共同で実施したIoTと人工知能に関する産業・社会の動向調査の結果として、「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 -IoTと人工知能に関する調査を踏まえて-』」を刊行した。同レポートは、みずほ銀行のWebサイトからダウンロード可能。両社は、今後あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすと想定されるというIoTを中心に、国内外の産業・企業動向の他、先進的なテクノロジーの進展・活用動向などに関する調査を実施。その結果を受けて、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめた。同レポートでは、まずIoTの全体動向としてIoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向などを示した上で、普及に向けた課題や日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示した。次に、IoTの応用分野として移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoTが実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目して人工知能とセキュリティの動向を解説している他、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示した。同レポートはPDF形式であり、表紙・裏表紙を含め全174ページ。
2015年08月31日みずほ情報総研とみずほ銀行は28日、IoT(※)と人工知能に関する産業・社会の動向調査を行い、このたび「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 ―IoTと人工知能に関する調査を踏まえて―』」として共同で刊行したと発表した。なお、同調査レポートは、みずほ銀行のホームページよりダウンロードできる。(※)レポートでは、"モノ、ヒト、サービスの全てを包括したインターネット化による価値創造"と定義。○日本でも重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている近年、モノとインターネットの融合により新たな付加価値を創造するIoTへの注目が高まっているという。米国や欧州を中心に、さまざまな産業や企業において、IoTを戦略に掲げた取り組みが進められていることがその背景にあり、日本でも、6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―」に、重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている。また、ソーシャルコンピューティングの普及やビッグデータ活用の本格化、人工知能やロボットの高度化など、テクノロジーは加速度的に進化を続けており、注目すべき新たな取り組みも次々と登場してきているという。このような新たなテクノロジーの登場・進化とその普及・進展は、産業構造や企業の競争環境の変革にとどまらず、個人のライフスタイル等も含めた社会全体に大きな影響を及ぼすものと考えられるとしている。こうした大きな変革の波の中で、テクノロジーの動向と、テクノロジーがもたらす産業・社会への影響を把握しておくことは、企業が戦略や経営の方向性を決定する上でますます重要だという。こうした観点から、みずほ情報総研とみずほ銀行では、今後、あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすことが想定されるIoTを中心に、国内外の産業・企業動向のほか、先進的なテクノロジーの進展・活用動向等に関する調査を行い、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめたとしている。同調査レポートでは、まず、IoTの全体動向として、IoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向等を示したうえで、普及に向けた課題、日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示。次に、IoTの応用分野として、移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoT が実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目し、人工知能とセキュリティの動向を解説しているほか、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示したという。みずほ情報総研とみずほ銀行は、我が国の産業の発展と、顧客の企業価値向上に貢献するために、今後も協力して取り組んでいくとしている。
2015年08月31日CYBERDYNEとPEZY Computingは8月24日、CYBERDYNEのロボットスーツHAL向けに適用可能な小脳処理機能と学習型汎用AI(人工知能)の共同開発を目的とした業務提携を前提とする資本提携を行ったと発表した。発表によれば、CYBERDYNEは7月10日にPEZY Computingに対し出資を行っており、今後HAL向けの小脳処理機能を含む信号処理技術および小脳機能を実装したプロセッサの共同開発を行っていく。PEZY Computingが2012年に開発したMIMD型では世界最大規模となる1024コアのメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」は、現在の並列処理コンピューティングの主流であるSIMD型と比較して、同時に多種多様な演算処理を多並列に行え、柔軟な処理が可能となることから、運動と姿勢制御に大きな役割を果たす高性能な小脳機能の高度な実現が期待されるほか、高い省電力性により、バッテリー駆動を前提とするロボットスーツへの適用が見込まれている。HALには現時点でも複雑な信号処理技術が導入されているが、人間の小脳と同等以上の信号処理性能、反応速度および適応能力を有した小脳機能が実装されることで、利用者の身体機能や外乱に高速に適応する能力が向上し、より高度な使用と安全な運用が可能になると期待されている。これにより、HALを装着した利用者の小脳機能や医師の指示に従う知能を備えた学習型HALが実現できたり、職場や生活環境で安全かつ柔軟に機能する学習型汎用AIを備えたさまざまなロボットの実現につながっていくとしている。
2015年08月24日NECは8月20日、自動でデータの傾向を学習する人工知能ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習 V1.1」を発売すると発表した。同製品は、高精度な画像認識やデータ関連性の分析を行うディープラーニング技術を搭載しており、事前に手本となるデータを読み込むことで、自動で傾向を学習する。カメラ画像からの不審者の自動検出などが可能となる「画像解析版」と、求職者の適性にあった求人企業の紹介など効果的なマッチングを実現する「人材マッチング版」という2種類のほか、検証評価用の短期ライセンスとして「検証評価版」が用意された。また、メモリに読み込むデータ量を圧縮することで、省リソースで高速処理を実現し、サーバ1台から導入することができるという。初年度年間利用料は「画像解析版」が530万円~(税別)、「人材マッチング版」が560万円~(税別)。「検証評価版」は1カ月間利用料が110万円~(税別)と設定されており、いずれも8月21日の出荷開始を予定している。
2015年08月21日データセクションは8月20日、人工知能(ディープ・ラーニング)を活用した「Web画像フィルタリングサービス」の提供を開始した。利用料金は月額10万円(税別)~となる。同サービスはAPI経由で提供され、Web上に多数存在する画像を自動判定し、ジャンル分類を行う。例えば、裸や事件などの不適切画像を自動で判定することで、自社メディアや掲示板、SNSなどに不適切な画像が投稿された場合でも、掲載前に自動で除外可能となる。また、学習データ(顧客が保有している画像判定したいデータ)を用意することで企業ごとのカスタマイズが可能になり、顧客ニーズに沿ったサービス提供を実現する。これにより、さまざまな画像の中から、性的・官能的な画像や凄惨な画像といった不適切画像を高精度かつ低コストで判定可能となる。同社は今後、さらなる高精度化を図るほか、動画・音声領域への展開や広告などのリコメンド領域での活用を目指す。また、同技術を利用するサービス展開にも取り組んでいく意向だ。
2015年08月21日