宮藤官九郎作・演出のオリジナルロックオペラシリーズ“大パルコ人”。2009年のメカロックオペラ『R2C2 (アールツーシーツー)~サイボーグなのでバンド辞めます!~』、2013年のバカロックオペラバカ『高校中パニック!小激突!!』に続いてついに第3弾が上演される。大パルコ人③ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』と題して贈るのは、瑛太と、ロックバンド「怒髪天」の増子直純がヤクザの兄弟となって描かれる物語。歌に乗せて、今度はどんなバカバカしさが繰り広げられるのか!?【チケット情報はこちら】瑛太と増子のキャスティングの理由を宮藤は、「前回の『高校中パニック!小激突!!』を観に来てくれたなかで、感じのいい、接しやすいふたりを選びました(笑)」と冗談めかして打ち明ける。だが、何が飛び出すかわからないこのシリーズ。確かに、どんなことにも応えてくれるという信頼が必要そうだ。実際、応える側になるふたりも、柔軟な構えを見せる。まず、舞台で歌を披露するのはこれが初めてという瑛太は、「今年の2月に、原田芳雄さんの追悼ライブで歌わせてもらったんですけど、手が震えて仕方ありませんでした。だから、不安はありますけど。楽器も弾くのかなと思うと大変ですけど。でも、練習をいっぱいしたいと思います」と前向きだ。片や、芝居の経験が少なくこれが初舞台となる増子。「今年50歳になったんだけど、50にして新しいことをやれるのが楽しみだよね。音楽は自分がやることが全部正解だけど、芝居は自分の解釈が正しいわけじゃないというのも面白い。『それ違うよ』って叱られたい(笑)」このふたりを真ん中に据えることで宮藤のなかに浮かんだのは、『ブルース・ブラザース』の世界。「めちゃくちゃなことをやるんですけど、ふたりはそれが正解だと信じて突き進み、周りが巻き込まれていく。そんなバカ兄弟にしたいなと思ったんです」。そこで生まれたのが、かつて“池袋のサンバイザー兄弟”と恐れられた伝説のヤクザの兄弟が、衰退した組を立て直すためにバンドを始めるという突拍子もない筋立てだ。「思い切りバカになりたいですね。普段できないことができるから僕はお芝居が好きなんです。だから思い切りはじけたいと思います」と瑛太が言えば、「バカバカしいことにお金と労力をかけられるのはそれこそステキなこと。無駄なものこそ芸術だからね」と、増子もバカに徹する覚悟はできている。そして、「音楽とお芝居が合わさってバカみたいでっていうものが、とにかく大好きなんです!」と宮藤。作り手自身が楽しいと思うものを自由に純粋に追求していく。そうして生まれるものが楽しくないわけがない。東京公演は11月13日(日)から12月4日(日)サンシャイン劇場にて。その後大阪、仙台を巡演。なお、チケットぴあでは、東京・大阪公演は9月15日(木)午前11時まで、仙台公演は9月21日(水)午前11時までそれぞれ先行抽選プレリザーブを受付中。取材・文:大内弓子
2016年09月14日エンターテインメントからスポーツ、学問まで、様々な分野の第一線を張る人物の魅力に迫るドキュメンタリー番組「情熱大陸」の7月31日(日)放送回に井上芳雄が登場。ミュージカル界の“プリンス”と呼ばれる彼の3か月に番組が密着した。小学4年生の時に「キャッツ」を観てミュージカル俳優を目指し、東京藝術大学音楽学部声楽科在学中の2000年にミュージカル「エリザベート」の皇太子ルドルフ役でデビューすると、その後は「ミー&マイガール」「モーツァルト!」など舞台を中心に活躍しながらストレートプレイにも挑戦。また最近はユニットを結成、CDリリースやコンサートなども行いつつテレビ・映画などにも進出。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞をはじめ数々の受賞歴を誇る井上さん。井上さんといえば色気溢れる歌声と演技力、端正な顔立ちで“プリンス”と呼ばれ、楽屋口には“出待ち”の女性ファンが並ぶ“プリンスロード”ができるほどの人気。そのファン一人ひとりと握手し言葉を交わすファンサービスの手厚さも人気の秘密だと言われている。だが「この仕事は人気商売。これからどうなるかわからない、歳をとっていくばかりだし、結婚すれば、ファンから愛されなくなる可能性もある。そうなったら今までと同じではいられない」と自らの置かれた状況を冷静に分析する。今回番組では井上さんがディズニーソングを歌うソロコンサートのほか、6月からの東京公演を皮切りに福岡、大阪、名古屋と全国で上演されるミュージカル「エリザベート」で黄泉の皇帝・トート役に挑む3か月間に密着。人気の理由や活躍の裏にある葛藤、秘めた想いをカメラが追った。また先日28日にはかねてより交際中だったという歌手で女優の知念里奈との結婚が発表された井上さん。井上さんと知念さんは2004年のミュージカル「ミス・サイゴン」で共演。その後2010年の再演をきっかけに交際をスタートさせたという。知念さんは28日に更新したブログで「これまで、家族に支えてもらいながら息子と二人で歩んできた道を、公私ともに尊敬する彼と三人で進んでいけることに感謝の思いでいっぱいです。誰よりも息子が喜んでくれていることを、母親としてとても幸せに思います」と結婚を報告している。番組で語られるという井上さんの“結婚観”についても注目が集まる。井上さんが主演を務めるミュージカル「エリザベート」は福岡公演が8月6日(土)~9月4日(日)まで博多座で、その後大阪公演が9月11日(木)~30日(金)まで梅田芸術劇場で、そして名古屋公演が10月8日(土)~23日(日)まで中日劇場でそれぞれ上演される。これからの日本のミュージカル界を背負って立つ“プリンス”の胸中に迫る今夜の「情熱大陸」は7月31日(日)23時~TBS系で放送。(笠緒)
2016年07月31日歌手で女優の知念里奈(35)が28日、自身のブログを更新し、27日にミュージカル俳優の井上芳雄(37)と結婚したことを報告した。知念は「7月27日に、井上芳雄さんと入籍しました」と報告。「これまで、家族に支えてもらいながら息子と二人で歩んできた道を、公私ともに尊敬する彼と三人で進んでいけることに感謝の思いでいっぱいです。そして、誰よりも息子が喜んでくれていることを、母親としてとても幸せに思います」と喜びをつづった。そして、「いつも温かく見守ってくださり、応援してくれる皆様に報告ができて嬉しいです。本当に本当にありがとう」とファンに感謝。「未熟な私ですが、表現者として、一人の人間として、これからも誠心誠意頑張って参ります」と誓った。知念は、2005年にモデルと結婚し、翌年に第1子となる男児を出産したが、2007年に離婚。井上は初婚となる。
2016年07月28日オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』が6月30日(木)より東京・新宿 シアターサンモールで開幕。上演に先がけて、ゲネプロと会見が行われ、演出の原田優一、キャストの鯨井康介、田村良太、増田有華、川崎麻世が出席した。【チケット情報はこちら】同作は2000年にアメリカで初演。日本での初演は2014年12月に今回と同じく俳優の原田優一が演出を務め、大きな反響を呼んだ。今回、新たなキャストを迎え再演される。物語の舞台は全寮制のセント・セシリア高校。平凡な生徒ピーターにはある秘密があった。それは、学校一の人気者であるジェイソンという同性の恋人がいること。いつかは自らを―bare―さらけ出し、愛し合いたいと強く願っていた…。この日行われたゲネプロでは生バンドによる演奏で、力強く疾走感溢れるロックから、ラップやダンスミュージック、聖歌などジャンルを越えた音楽が、登場人物のそれぞれの葛藤を表現。ラップに合わせたブレイクダンスはパーティーシーンを盛り上げる。また、入絵加奈子演じるシスター・シャンテル扮するブラックミュージックの歌手のシーンも必見。一見、「同性愛」「宗教」「ドラッグ」というセンセーショナルな題材だが、「周りに理解してもらえない」「もっとキレイになれたら」「自分の方に目を向けて欲しい」など登場人物の抱える不安や悩みは、誰しもに通じるものがある。観るものをbare(=さらけ出す)するきっかけになる作品だ。開幕を前に、ジェイソン役を務める鯨井は「文武両道、人気者のジェイソンが抱える秘密、これがどうストーリーに作用していくかが見どころ。キャスト・スタッフ含め素晴らしいカンパニーなので、仲間たちと一瞬一瞬をきちんと演じていきたい」とコメント。増田から「緊張してない?」とツッコミが入ると、「普段は緊張しないんですが…確かに緊張してます(笑)。少し不安なんですが、逆にこの不安定さがジェイソンの持つ気持ちの不安定さとして良い作用を持たせられたらと思います」と話した。対照的にピーター役を務める田村は「僕は全然緊張してないんですが…(笑)。演出の原田さんの素晴らしい導きもあったし、キャストも信頼できる方々なので、皆さんを信用して思い切りやりたいと思います」と意気込んだ。ジェイソンに好意を寄せる女性アイヴィ役を務める増田は、今回初のキスシーンに挑戦。「凄く恥ずかしいけど、この作品のようにさらけ出して行かないとダメだなと思った」と照れながら語ると、鯨井が「(キスの相手は)私です!光栄です!」と挙手し、笑いを誘った。鯨井は「(増田は)稽古ではそんなに構えている様子はなかった。僕のほうが心臓がバクバクしていると思います(笑)」と語った。オフブロードウェイ・ミュージカル『bare -ベア-』は7月10日(日)まで、東京・新宿 シアターサンモールで上演。なお、ぴあでは原田優一のファンクラブを好評受付中。詳しくは下記関連リンクより。
2016年07月04日斎藤工と阪本順治監督が映画『団地』の公開を記念して6月11日(土)、ガチトーク“しゃべくりナイト”と銘打ってのトークイベントを行い、10年以上前の衝撃の出会いなどについて語り合った。斎藤さんはこの日もいつものように(?)、独創的なコーディネートで登場。白いシャツに下はジャージで、しかも裾を赤い靴下の中に入れ、足元は革靴という出で立ちで、早速、阪本監督から「これ、アディダス?」といじられる。さらに監督から「(中の下着は)トランクスではないんですよね?」と振られると、斎藤さんは「ボクサータイプです。本当はトランクスの方がいいらしいです。寝るとき、熱が1か所にこもると支障があるらしいので。なので、寝るときはノーパンかトランクスです」と自らの下着事情を明かし、会場を笑いに包む。斎藤さんは本作で阪本作品初参加だが、監督との出会い自体は10年以上前だったそうで『この世の外へ クラブ進駐軍』の打ち上げに、知り合いのスタッフに誘われて顔を出したという。そこで「映画よりも映画的だった」という衝撃的な“事件”に遭遇。ある俳優と監督が突然、殴り合いのケンカを始めたという。当時、斎藤さんがその場にいたことを覚えていないという阪本監督だが、ケンカのことはもちろんよく覚えているようで「大ゲンカで、それを止める原田芳雄がいたり、(殴られた)僕のために大楠道代がお店の厨房からおしぼりを持ってきてニコニコしていたり…。お店の人が『警察呼びますよ!』と言ったら、原田芳雄が『警察呼ぶな!』と言って(笑)」と述懐。当時、20代前半だった斎藤さんは「瑛太さん、新井浩文さん、僕が止める側で…」とふり返る。さらに斎藤さんは、その後の展開にも驚愕したそうで、騒動後「監督とその人が肩を組んで夜の街に消えていった。素晴らしいなと思いました」としみじみと語った。気になるケンカの相手に関して、2人とも実名は出さなかったが、阪本監督はケンカの原因と顛末について「“ロクヨン”でおれが正しい(笑)」とさりげなくヒントを口にしニヤリ。阪本作品の常連で、ロクヨンといえば…?察しのいい観客からは驚きの声が上がっていた。ちなみにその『この世の外へ クラブ進駐軍』の劇中音楽と俳優陣への楽器指導をデビュー前の大橋トリオが担当しており、その現場には大橋トリオさんもいたという。斎藤さんは、大橋トリオのミュージックビデオを担当するなど縁が深いが、そんなところに意外なつながりが!「最近になって、大橋トリオさんもあの場にいたという話になって」と驚きを明かし「あの場からいろんな人が巣立っていったんですね(笑)」と感慨深げだった。それから十数年、念願かなって阪本組の一員となった斎藤さんだが、阪本作品への思い入れについた改めて「父親が映像制作の側の人間で、思春期に父と会話がなくなった時、唯一の会話が映画だった。そのとき、阪本監督の作品についてものすごく話しました。僕のデビューの年に『顔』が劇場公開されたんですが、今回、父に出演を伝えたら飛び上がって驚いていました」と嬉しそうに明かしていた。阪本監督は現場での斎藤さんについて「藤山直美さんに遊んでもらってた」と語り「本番前に難しいセリフを斎藤くんが一生懸命、確認してるのに、藤山さんはずっと話しかけてて、斎藤くんが物陰に逃げても追いかけてた(笑)」と指摘。斎藤さんは「藤山さんが話しかけてくるのは阪神の調子がいいとき。阪神の調子が現場に反映されてました」と楽しそうに語っていた。『団地』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年06月12日ミュージカル俳優・井上芳雄が10日、都内で行われた舞台『エリザベート』博多座公演の取材会に出席した。同作はオーストリア=ハンガリー帝国の皇后・エリザベートの生涯を描いた、ウィーン・ミュージカル。日本では1996年より宝塚歌劇団によって上演、また2000年から東宝版として上演され続けている人気演目で、井上と城田は"死"の概念である黄泉の帝王・トートを演じる。井上は、9日に女優・知念里奈との結婚報道が出たばかり。公私順調な中、トートという役への向き合い方を問われると、「公私が出てしまっているので、自分が頑張らなきゃいけないなと思うのは、あまり自分たちの日常を透けて見えないようにすること」と苦笑しつつ答えた。井上は「トートという役は非日常で神秘的な役だから。もう僕なんか普段も隠しきれてないですが、劇場に入ってからはお客さんに夢を見ていただきたいし、その世界にひたっていただきたいので、切り替えですかね」と現在の気持ちを表現した。さらに井上は「私生活、実人生はあるんだけど、そこを舞台上では感じさせない。それはもう、じぶんの腕次第だと思うんですけど、あとは周りのみなさんに協力してもらって、その世界に入って、しっかり役割を果たしたい」と、意気込みを語った。舞台『エリザベート』は28日より東京・帝国劇場で初日をむかえ、8月6日より福岡・博多座、9月11日より大阪・梅田芸術劇場、10月8日より愛知・中日劇場と四都市での公演を予定している。
2016年06月10日『海街diary』の脚本執筆のさなかの2013年の夏、是枝裕和監督は以前から温めてきた、団地を題材にした脚本の第一稿を書き上げた。執筆の時点で、団地にひとりで暮らす老いた母として、樹木希林をイメージしていたという。2人が初めて作品を共にしたのはお盆に両親の家で顔を揃えた家族の姿を描いた『歩いても 歩いても』(’08)。その後も『奇跡』、『そして父になる』、『海街diary』において、主人公たちの祖母、義母、大叔母という立場で、出演シーンは多くないが絶妙な存在感を見せてきた。『歩いても 歩いても』は、いしだあゆみのヒット曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」の一節を用いたタイトルだが、今回の最新作につけられた『海よりもまだ深く』というタイトルもまた昭和歌謡の名曲でテレサ・テンの「別れの予感」の歌詞に由来しており、阿部寛が息子役を演じているという点も同様!作家崩れで探偵として暮らすダメ中年の良多とそんな息子をそれでも愛する母、良多に愛想をつかし彼の元を去った元妻と妻に引き取られた息子の4人が、台風の一夜をひとつ屋根の下で過ごすことになるが…。約8年の歳月の中で是枝監督はどのように変化し、5本もの作品を共にした樹木さんは何を感じたのか――?――脚本の執筆段階で樹木さんをイメージしていたそうですが、ここで描かれる団地に住まう母親には、是枝監督ご自身の亡きお母さまが反映されているのでしょうか?是枝監督:似てる部分はあります。ただ、『歩いても 歩いても』のときもそうだったけど、「僕の母親を演じてほしい」とお願いしたわけじゃなく、あくまでキャラクターとして別人格で作られてます。僕の母のいろんなところ――すごく“世間”であるところや“毒”である部分になっていただいてるのは間違いないですね。――樹木さんは、是枝作品における“母親像”について、どのようにお感じですか?樹木:私も監督の母親として捉えているわけじゃなくて、女の人、母親であれば誰もが持っているであろう、かわいらしさとちょっと意地悪なところ、そういうのを含めて「母親になるとああなるんだろうな」と感じるところはあります。――映画の中では、真木よう子さんが演じた良多の元妻を例に「いまの母親」について少し批判的な部分もありますが…樹木:女の人の生活力が上がるのは素晴らしいことだけど、その分、自由になるので、昔の「食べていけないので我慢する」ということの良い部分まで捨てているんだなとは感じますね。自分の意思通りに進むことで、逆に女の人が持つ忍耐強さが磨かれないままに終わってしまうところもある。それを含め、女性の地位が向上するというのは、良いことであり、一方で損している部分もあるのかもしれませんね。是枝監督:ただ、映画はそれが正しいとか間違っているとかジャッジするわけじゃなくて、そういう育ち方をしてきた老いた母親は、おそらくいまの若い母親たちをそう見ているんだろうという描き方をしています。――監督が最初に本作を構想したのは2001年とかなり早い時期だったそうですが…是枝監督:「団地を撮りたい」と考えたのはそれくらいですね。――『歩いても 歩いても』以降、『奇跡』『そして父になる』『海街diary』とほぼ一貫して“家族”の物語を紡いでいますが、2001年に頭に浮かんだ団地の物語をいまこのタイミングで形にしたのは…是枝監督:この作品のノートを作り始めたのが2009年で『歩いても 歩いても』の公開のすぐ後なの。その段階で(キャストは)阿部さんと樹木さんだったんだけど、実際に、きちんと物語になったのは撮影の1年前くらい。その間に、僕も阿部さんも父親になったというのが、一番大きいと思います。『歩いても 歩いても』は息子から見た親の話で、原田芳雄さんが演じる父が生きてたけど、そこに父親から見た息子という視点を加えたのは、やはり僕が父親になったからでしょう。――『歩いても 歩いても』以降のご自身の各作品の影響、テーマの連続性という部分はありますか?是枝監督:ほかの作品との関連付けは観る側がすることで、自分の中で、別の作品を引き継いだりというのはあまりないんですよね。テーマや関連性は意識してというより、自然に出てくるんですよね。樹木:時代背景とか、あとは誰が映画製作にお金出してくれてってところで作る順番が変わったりもするからね。結果的にこうなったというもんなのよ。是枝監督:そう(笑)。ただ、『海街diary』の脚本と並行してこの作品も書いていたので、向こうは原作があり、僕がそこにどうコミットするかという作業だったし、あっちは背筋を伸ばして生きようとする人たちの物語だから、自分の中のバランス感覚として、こっちは背中を丸めた人たちの話をやりたいというのはあった気がします。樹木:あっちは憧れの美人女優がいっぱいいて背筋が伸びたっていう夢の映画作りで、こっちは(現実の世界に)密着した映画作りなの(笑)。――樹木さんは、作品ごとに監督を見ていて変化は感じますか?樹木:それは感じないけど、ただ、監督にも失敗作ってあるわけですよ。本人は「全部が代表作」とか言うかもしれないけど。是枝監督:言ってませんよ(笑)!樹木:私は「この作品はちょっと…」なんて文句を言うんですけど、ただ、そうは言っても、その都度、人間を見る目というのは成熟してるなと感じますね。上から目線ではなく、(登場人物たちの目線にまで)下がって一緒に生活しているというか。一緒に物を作っているという感覚が魅力的ですよね。――役者に対する接し方に関しては…樹木:それは最初から変わらず平等です。子どもだろうが、何十年やっている役者だろうが、態度が豹変することもない。それは人間として基本的なことだけど、そうじゃない監督、現場って多いから。そういう意味で信用が置けるんです。ただね、時々、私のような何十年もやってるに人間に遠慮がちなことがあるから、もっとズバっと言ってくれていいわね。この顔立ちじゃ、いくらいばっても偉そうになんて見えませんから。もっと大胆にね。是枝監督:なるべく子どもにも、橋爪(功)さんにも、希林さんにも同じように接したいと思ってるけど、それは希林さんがまさにそうですからね。誰にでも同じなんです。樹木:子どもと本気でケンカしてるから!是枝監督:全然、遠慮しないですから。かっこいいんです、それが。それがかっこいい大人なんだって、希林さんを見てると思います。――『歩いても 歩いても』と同じように昭和歌謡が出てきますが、最初の構想の段階から歌ありきで?それとも物語が先だったのでしょうか?是枝監督:歌ですね。樹木:好きなんですって、あの曲(テレサ・テン「別れの予感」)。私は初めて聞いたんだけど、なかなか覚えられなくて(苦笑)是枝監督:どこかのタイミングで、映画の中で一曲かけるってことを決めたんです。そことは全然関係ない、探偵のシーンから書き始めたんだけど、どうやってテレサ・テンにたどり着くのか?自分でも楽しみにしながら書いてました。樹木:へぇ、そんな書き方するのね?――監督の中で、そもそも昭和歌謡が好きというのが大きいんですね。ちなみに一番お好きな曲は?是枝監督:沢田研二かな(笑)?樹木:「壁ぎわに寝がえりうって背中できいている」って是枝監督:そう、やっぱり「勝手にしやがれ」ですかね。子どもの頃に見てかっこいいなって。かっこよかったんですよ、あの頃の沢田研二やショーケン(萩原健一)。子ども心に「色っぽいな」ってわかったんだよね。※余談だが、向田邦子脚本のTVドラマ「寺内貫太郎一家」で樹木さん演じる祖母が沢田研二の大ファンという設定で、壁のポスターに向かって「ジュリー!」と叫ぶ名シーンが!――ではあの当時のTVドラマなども?是枝監督:「前略おふくろ様」、「傷だらけの天使」(どちらも萩原健一主演)で育ってるからね。原点だね。――本作の中には、何気なく発せられるセリフに深い含蓄があります。子どもが口にする「フォアボールを狙ってる」や「パパはなりたいものになれた?」といった言葉にドキッとさせられたりします。脚本段階で樹木さんにあて書きしたということですが、樹木さんに「これを言ってほしい」という思いで書いたセリフなどはありますか?是枝監督:セリフありきではなく、書いていくうちに出てくるんですよね。だから最初から「このセリフを言ってほしい」というのはなかったかな…?ただ「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」というのは、阿部さんがどこかで言うと決めてました。でも、ジーンと来るような感じで言いたくないので、笑っちゃうようなシチュエーションでと決めてました。――あえて、あのひどいシチュエーションで…(笑)?樹木:それはね、そういうもんなの。いいセリフほどそうなのよ!是枝監督:あのセリフは、よくない状況で言わないと。樹木:「さあ、いいセリフを言うぞ!」ってわかってて言うのは…高倉健にしかできないわよ!是枝監督:あの状況はひどいでしょ?ひどいからいいんだよね。阿部さんが言った後、隣にいる池松(壮亮)が吹いちゃう(笑)。「お前がそれ言うか?」って感じで。あのシーン以外でも、希林さんが良いセリフを言った後で「私、いまいいこと言ったでしょ?」と言う。そこは崩さないと、本当にいいこと言ったと思っちゃうから。自分でいいことを言った後に崩すのが、あのお母さんの品なんだよね。樹木:品なのよ、そこは。余談だけど「寺内貫太郎一家」で(自身が演じた)ばあさんが、食べてる最中にグシュっとやったり、汚いことするの。でもそれをその中にいる人間が「きたねーな、ばあちゃん!」って言う。そう言わせないと、作品自体が下品になっちゃうのよ。中の人間に言わせて解決する。それが日常生活のシーンの鉄則なの。是枝監督:面白いですね。――逆に、監督ご自身が書いたセリフなのに、樹木さんが現場で発することで、イメージを超えたものになったシーンなどはありますか?樹木:それはないわよ。やっぱり台本の段階でしっかりと…是枝監督:ありますよ(笑)!孫が「宝くじが当たったら、またみんなで一緒に暮らしたい」と言うところ。書くときはサラッと書いたけど、お芝居でそのひと言が出てきたら、自分で書いたセリフなのに、ウッときたんだよね。樹木:へぇ…。是枝監督:それは、希林さんもそうなのか…あの映画の中のおばあちゃんもウッときてるんだよね。「こんな風にセリフが立つのか!」と思いました。孫はどこかでそれを信じたくて、でもおばあちゃんはそんなこと起きないってわかってる。でも、そのズレを孫に気づかせちゃいけないと思ってて、そうやって互いに間接的に思いやっている様子がすごくよかった。樹木:あれは孫のいる女優じゃなきゃできなかったかもしれないわね…。是枝監督:ああいうこと、あるんでしょうね。そんなに深く考えていない孫のひと言にグッときちゃうことが。――阿部さんが演じた良多は、これまでの是枝監督の作品の中でも、類を見ないほどのダメ男として突出しているように思います。監督の中でいつも以上に踏み込んだという意識は?是枝監督:ギリギリまで攻めてみようかと。樹木:ただ、私は「あそこまで」と特別なものとは感じなかったわね。もっとすごい人を周りでいっぱい見てきたし…。是枝監督:いろんなことを時代のせいにして、背中を丸めながら生きてる男。――ただ、そこまで特別な悪い男という思いは…是枝監督:なかったかな…。ひとつひとつの行動を撮りだすと、息子としても、父親としても、夫としても弟としてもダメなんだけど…。――子どもへのプレゼントを無理やり値切ろうとしたり…結構、サイテーですが…(苦笑)是枝監督:でもね、そこまではやるよ、きっと(笑)。樹木:誰でもそういうところ、持ってますよ。是枝監督:高校生から金をゆすろうとするのが、行為としては一番最低かもしれないけど…。無理やり値切ろうとするというのは、人間の“小ささ”としてはあるかな。樹木:ありますよ。――「悪さ」ではなく「小ささ」?是枝監督:そう、人間の小ささ!樹木:自分を見つめていけば、ある種の状況に置かれたら出てくるものですよ、みんな。是枝監督:でもね、そこは確かに難しいところでもあった。自分ならどこまで可能か?「あるな、これくらいは」と思えるのはどこまでか?すごく微妙なところで、女の人が見てどこまで許せて、どこから「ナシ」なのか?いや、そもそも「ナシ」なのはいけないのか?――せめぎあいが…是枝監督:阿部さんもそこは苦労してやってました。真木さんに触れるシーンで、最初脚本には「足首に触る」ってあったんです。阿部さんは「足首かぁ…」ってずっと言ってて「おれの体の大きさで、小柄な真木さんの足首に触るってどう見えるのかな?」って。考えた末に、ひざのあたりにスッと行ったんです。それが笑えるんだけど、足首だったらまた芝居が違ってたかもしれない。そこはすごく考えて、自分の役のキャラクター、大きさ、おかしみとか…ギリギリまで攻めたり、やめたりして面白かったです。――最後に「団地」について監督なりの想いを聞かせてください。是枝監督:どちらの想いもあるんですよね。「なりたいものになれなかった」哀感もあるし、でも、そこで20年を暮らして、団地は原風景でもあるから、無機質なものでは決してない。いろんな情感、表情、陰影があって、それをきちんと愛をもって撮りたかったんです。樹木:最初はね、団地に当選するってすごくラッキーだったわけですよ、当時。NHKのニュースになるくらい。団地に住むのが憧れの的だった時期もあったんですから。是枝監督:良い悪いってジャッジじゃないんですよね。小3の9月に引っ越してきて、台風が来て、家族で喜んだの(笑)。「今年はどんな大きいのが来ても、鉄筋コンクリートだから大丈夫だ」って。翌朝、台風が去って、外に出た時、すごくキレイだったんだよね。そういう読後感のある映画にしたかったんです。あそこであの母親は死んでいくんだろうし、息子があそこに戻ってくることはないだろうけど、それでも台風がやってきて、翌朝の芝生がキレイで…そういう映画がいいなって。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年05月20日毎週月~金曜朝8時からTBS系で放送の「白熱ライブ ビビット」での特集枠「密着 ビビット」の4月11日(月)放送回に、ミュージカル俳優の井上芳雄が登場する。大学在学中の2000年にミュージカル「エリザベート」でデビューした井上さん。主にミュージカルを中心に活動しており、近年では今年2月より放送していたドラマ「わたしを離さないで」の出演や、来年2月には渋谷・Bunkamura シアターコクーンにて、「シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2017」の上演が決定したばかり。今回、番組では一緒に暮らす“相棒”や中学時代からの親友、そして井上さんを慕う後輩の俳優・浦井健治、山崎育三郎も登場し、井上さんの素顔に迫っていく。また、自称“ミュージカル・マニア”だという井上さん。当番組MCの真矢ミキには並々ならぬ思いが…。熱すぎるミュージカルトークはファンならずとも必見!「白熱ライブ ビビット」は4月11日(月)8時~TBS系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年04月11日ミュージカル俳優の井上芳雄が、劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)の新作舞台に主演することが8日、わかった。公演は2017年2月、Bunkamuraシアターコクーンにて上演予定で、ヒロインは女優の小池栄子が務める。井上は"ミュージカル界のプリンス"と呼ばれ、数々のミュージカルに主演、近年はドラマやストレートプレイ、バラエティ番組での活躍も増えている。"ナンセンスコメディの旗手"と言われるKERAは、劇団ナイロン100℃の主宰を務め、数々の賞を受賞しており、"プリンス"井上とは異色の組み合わせと言える。井上は「一見接点がなさそうな僕に興味を持ってくださった事に、半信半疑というかうれしい驚きでした」と心境を語った。また、ミュージカル俳優ながらさまざまな作品に出ることについては、「今、自分の中で"ミュージカル"と"ストレートプレイ"の垣根がどんどん無くなって来ています。その決定打として『こいつ本当に芝居をやりたいんだな』と思っていただける作品になればと思います」と、舞台への思いを明かした。ヒロインの小池は、2015年にKREAとタッグを組んだ舞台『グッドバイ』で第23回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞、作品自体も最優秀作品賞に輝くなど、既に大きな結果を残した組み合わせ。小池は「『グッドバイ』に続き大好きなKERAさんの演出を受けられる事、しかも初めてのシアターコクーン、そしてお相手は才能あふれる王子様、井上芳雄さん。今から興奮で鼻血が止まりません(笑)」と気合を語った。脚本・演出を務めるKERAは「もう何年も前に井上芳雄くんにオファーしました。ストレートプレイだということ以外にはまったく、何一つ、共演者すら誰ひとりとして決まっていないにも拘わらず、彼は快諾してくれました」と経緯について語った。更に、『グッドバイ』から続けてのタッグとなる小池について「今回はもっとずっと複雑な女性を演じてもらうことになるでしょう。難役をあてがいたくなるのは抜群にうまいからです」と期待を寄せた。
2016年04月08日歌手で俳優の福山雅治が、西村寿行原作『君よ憤怒の河を渉れ』の再映画化となるジョン・ウー監督最新作『追捕 MANHUNT』で、中国の俳優チャン・ハンユーとW主演を務めることが明らかになった。16日に香港で開催された香港インターナショナル・フィルム&テレビマーケットにて発表された。本作は、約2億元(日本円で約35億円)の制作費を投じる香港・中国合作映画で、日本でのタイトルや公開時期、配給会社は未定。原作は、故・高倉健さん主演で1976年にも映画化され、当時、中国でも上映されて大ヒットを記録した。シーンによって、中国語・英語・日本語の3カ国語のセリフが用意される予定で、高倉さんが演じた杜丘検事役(本作では杜秋弁護士役へ設定変更する予定)をチャンが、原田芳雄が演じた矢村警部役を福山雅治が演じる。オール日本ロケで、今夏、大阪と九州で撮影を予定している。香港インターナショナル・フィルム&テレビマーケットでは、ウー監督と福山のコメントを発表。福山は「僕自身、これだけ激しいアクションがある映画に出させていただくという事は初めての経験ですし、それがジョン・ウー監督作品であり、しかも日本が舞台となっているという事で心からやりがいを感じております」と伝え、「この映画が中国、日本、そしてアジア全体で楽しんでいただきながら、さらに、世界に発信できればうれしいですね」と期待を示した。ウー監督も「昔からずっと高倉健さんとお仕事をしたかった。躊躇(ちゅうちょ)なくこの映画のオファーを受けた」と感激の様子。福山が演じる役は「人情も義理も厚く、とても人間味のある役」であるとし、「福山雅治さんはこの役の特質にとてもマッチしていて、ずっと僕の心の中で思い描いていた唯一の人選だったので、彼がこの役を演じていただけると聞いてとてもうれしかった」と起用理由を明かした。
2016年03月16日本日3月16日(水)、香港にて開催中の「香港インターナショナル・フィルム&テレビマーケット(FILMART)」において、香港・中国合作映画『追捕 MANHUNT』の製作が決定。本作で、中国の俳優チャン・ハンユーと福山雅治がW主演を果たす事が発表された。このたび製作が発表となった『追捕 MANHUNT』は、1976年に故・高倉健が主演した日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』の再映画化で、『ミッション:インポッシブル2』や『レッドクリフI&II』などを手掛ける世界的に有名なジョン・ウー監督がメガホンをとることが決定。中華圏映画のリーディングカンパニー「メディアジア映画」より、約2億元(日本円で約35億円)の制作費を投じる超大作で、日本でのタイトルや公開時期などは未定となっている。また『君よ憤怒の河を渉れ』は当時、中国でも上映され、大ヒットを記録したことから、今回も日本と中国共に大きな反響が期待される。主演には、2009年に日本でも公開された『戦場のレクイエム』でも知られる中国の俳優・チャンと、主演を務める4月期放送のドラマ「ラヴソング」の放送も控える福山さん。シーンによって、中国語・英語・日本語の3か国語の台詞が用意される予定で、高倉さんが演じた杜丘検事役(今作では杜秋弁護士役へ設定変更する予定)をチャンが、原田芳雄が演じた矢村警部役を福山さんが演じる。また本作は、オール日本ロケで、今夏、大阪と九州で行われる予定だ。さらに今回行われた発表会にて、ウー監督と福山さんはコメントを発表。ウー監督は「メディアアジアからの映画『追捕 MANHUNT』のメガホンをとってほしいというオファーを受けたのは、僕にとってはただの新しい作品というだけではなく、特別な意味が含まれている。昔からずっと高倉健さんとお仕事をしたかった。高倉健さんが70年代においてアジアを風靡した作品を再映画化するチャンスをいただいて、躊躇なくすぐこの映画のオファーを受けた。そして僕は『追捕 MANHUNT』の題材がとても好きだった」と喜びを見せ、また福山さんの役については「僕から見たこの人物は人情も義理も厚く、とても人間味のある役で、福山雅治さんはこの役の特質にとてもマッチしていて、ずっと僕の心の中で思い描いていた唯一の人選だったので、彼がこの役を演じていただけると聞いてとてもうれしかった」と大きな期待を寄せている。また福山さんは「僕自身、これだけ激しいアクションがある映画に出させて頂くという事は初めての経験ですし、それがジョン・ウー監督作品であり、しかも日本が舞台となっているという事で、心からやりがいを感じております」と語り、「圧倒的存在感のあるお芝居をされる張涵予さんとご一緒できることも心から楽しみにしています。この映画が中国、日本、そしてアジア全体で楽しんで頂きながら、さらに、世界に発信できれば嬉しいですね」と意気込みを語った。約40年の時を経て再映画化される本作。世界的名匠の手により、どのような作品が誕生するのか期待して待ちたい。(cinemacafe.net)
2016年03月16日ミュージカルや演劇を中心に活躍している俳優、井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎によるユニット「StarS」が人気クリエイター・福田雄一とタッグを組み、ミュージカルコメディに挑戦することが8日、明らかになった。今回、脚本・演出を手がける福田をして"エンターテインメントの帝王"と言わしめるミュージカル。そのミュージカルでトップスターとして活躍する3人だが、実は今までStarSとしての音楽活動以外で共演がないという。はたして3人そろってのミュージカルコメディーでどのような化学反応が起こるのか? それぞれの魅力を大いに引き出し、歌&ダンスあり、笑いあり、涙あり? の福田節がさく裂する極上のコメディーになることは間違いない。ミュージカルファンだけでなく、誰もが楽しめる懐かしくて新しい番組に期待したい。ミュージカルコメディ『トライベッカ』は4月放送予定。
2016年02月09日綾瀬はるかが主演を務めるTBSにて現在放送中のドラマ「わたしを離さないで」。この度、第4話から登場する立花浩介役に、ミュージカル俳優の井上芳雄が出演することが明らかとなった。世間から隔離された施設・陽光学苑で「良質な」教育を与えられて育てられてきた恭子(綾瀬はるか)、友彦(三浦春馬)、美和(水川あさみ)。子どもらしい生活、教育を享受し「普通の子ども」であったはずの彼らはある日、生まれながらにある氏名を与えられた「特別な子ども」であると教えられ、自分たちの「本当の運命」を知らされる…。本作は、イギリスで100万部を超えるベストセラーとなったカズオ・イシグロの衝撃作を世界で初めてドラマ化したもの。2010年にはキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演で映画化され、2014年には多部未華子主演により舞台化もされた。1月15日の初回の放送では、主人公の恭子たちが“他人に自らの臓器を提供するために創り出された存在”ということが明らかになった第1話。自分たちに課せられた過酷な使命を知った彼らだが、しかし、自分たちの運命のすべてを知らされないままに成長、やがて生まれ育った陽光学苑を卒業していく。生活の場を「コテージ」と呼ばれる一軒家での共同生活に移し、自分たちと同じく“提供者”となる先輩住人たちと暮らすことになった恭子、友彦、美和は学苑では教えられなかった自分たちの進むべき道を知ることになる――。今回明らかとなった井上さん演じる立花浩介は、2月5日放送の第4話から、恭子たちが「コテージ」にやってくるそのコテージのリーダー的人物。カップルとなった友彦と美和の行動や、美和の言動に振り回され、次第にコテージで孤独を深めていく恭子たちのいびつな三角関係を察し、浩介の存在が3人の関係に新たな波紋を生み出していくという新たな展開を見せていく重要な役どころだ。現役大学生ながらミュージカル「エリザベート」でデビューして以来、舞台・ミュージカルを中心に活躍し、“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれ、その存在感を示している井上さんは、「普段は舞台をやっていることが多く、長い期間ドラマに出られる機会が少ないので、一部分だけでも参加させていただけるというお話をいただいたときはうれしかったですね。ただ面白いだけの話ではなく、『これが自分だったら』と考えたときに、そこからの日常が変わってしまうぐらい力のある作品です」と語り、「そんな作品を連続ドラマでやるのはすごく意義があることだと思うので、僕が演じる浩介という役を通して、見てくださっている方々が何かを考えるきっかけになれば嬉しいです」とファンにメッセージを贈った。また、同じくコテージの住人として、白羽ゆり、阿部進之介、川村陽介、松岡恵望子、そしてコテージの管理人として梶原善が出演することも決定した。第1話から衝撃な内容の本作。日本のドラマ界を牽引するこの実力派俳優に加え、ミュージカル界のプリンスがドラマではどういった演技をみせてくれるのか、さらなる話題を集めそう。「わたしを離さないで」は毎週金曜日22時~TBSにて放送。(cinemacafe.net)
2016年01月21日東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで11月20日から、ロンドンを拠点に展開する帽子ブランド・ミサハラダ(misaharada)のデザイナー・原田美砂の日本初個展「『HATS OFF!』- 賛美の帽子 -」が開催される。原田はロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(王立芸術学院)を卒業後、帽子ブランドのフレデリック・フォックス(Frederick Fox)にデザイナーとして勤務。エリザベス女王在位50周年記念式典では、パレードで女王が着用する帽子に選ばれ、大きな話題を呼んだ。その後、98年に自身のブランドmisaharadaをスタートしてからは、ジャネット・ジャクソンのワールドツアー用の帽子をはじめ、ジェニファ ー・ロペス、クリスティーナ・アギレラ、ブリトニー・スピアーズ、マリア・シャラポアなど多くのセレブリティーを顧客に持ち、また『Sex and the City』や『アリー my Love』などの TVドラマでも使用されるなどして一躍有名となった。現在は、本国イギリスの老舗百貨店フォートナム & メイソン(Fortnam & Mason)や、パリのボン・マルシェ(Le Bon Marche)、アメリカのブルーミングデールズ(Bloomingdales)など、世界約10ヶ国、およそ200店舗で展開されイギリスを代表する帽子デザイナーとして地位を確立している。同展のタイトル「HATS OFF!」は日本語の「脱帽する」という言葉に近い「お見事!」や「感心!」という意味を表す。会場は「Creation」「Collection」「Client」「Collaboration」の4パートに分けられ、コンセプトスケッチ、帽子作りの仕事部屋(再現)などの製作工程から最新の作品まで、原田が作る帽子とそのクリエーティブの裏側を知ることができる。【イベント情報】原田美砂「HATS OFF!」- 賛美の帽子 -会場:ポーラ ミュージアム アネックス住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階会期:11月20日~12月27日(会期中無休)時間:11:00~20:00(入場は19:30まで)料金:無料
2015年11月18日女優の樹木希林と原田眞人監督が9日(金)、都内の日本外国特派員協会で「Japan Now 監督特集<原田眞人の世界>」のPR記者会見を行い、3度目のタッグ作となる新作映画の構想を明かした。「Japan Now」は、10月22日(木)から31日(土)まで都内で行われる第28回東京国際映画で新たに設立された部門。近年の日本映画界の多様性を象徴する作品および監督を選んで上映するもので、映画『ラブ&ピース』『恋人たち』『野火』などを紹介するほか、特集上映<原田眞人の世界>では『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』『日本のいちばん長い日』など5本の原田監督作品を上映する。『わが母の記』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど原田監督とはゆかりの深い樹木さんは「今日は原田監督を持ち上げながら、時々足を引っ張りにやってきました」と笑わせながら「原田監督は、黒澤明監督、小津安二郎監督、岡本喜八監督の作品の話をするときは満面の笑みでずっと語っている。その喜びのようなものが映画作りに反映されている。それを乗り越えようとして色々頑張るんです。時には失敗する事もあるけれど……。でもやはり腕がある。そんな事を一俳優が言ってはいけないけれど、上手いのよ」と絶賛と共に紹介した。樹木さんと原田監督は映画『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』と2度タッグを組んでいるが、「3度目の構想は?」と聞かれると、樹木さんは「まったくありません」と即答。すると原田監督は「一応あるけれど、オフィシャルには言えないんです」とフォローしながら「とりあえず樹木さんには歴史上の重要な人物で、まさか樹木さんがやるとは誰も思わないような役をやってもらいます」と時代劇映画の構想を明かした。またトム・クルーズ主演の映画『ラストサムライ』(2003)などで俳優としても活動している原田監督は、イギリス人記者から「俳優と監督、どちらが楽しい?」と聞かれると「もちろん監督。セリフを覚えなくて済むから」とジョーク交じりに答えつつ「『ラストサムライ』の時は前日にセリフを変えられてパニックになりました。普段から自分も役者に対してやっているけれど、それはいけない事だと思いましたね」と苦笑いで当時を振り返った。第28回東京国際映画祭は10月22日(木)~10月31日(土)開催。(text:cinemacafe.net)
2015年10月09日飛騨高山・日本酒「飛騨の酒 山車」醸造元の原田酒造場はこのほど、「山車 飛騨牛地酒カレー」を、原田酒造場本店直営店(岐阜県高山市)にて販売開始した。Webサイトでのオンライン販売は、10月12日より開始予定となる。○カレーのコクに飛騨牛の旨み+日本酒&酒粕使用同商品は、カレーのコクと旨みを"飛騨牛の旨み+日本酒&酒粕"でさらに深くしたレトルトカレー。子どもから年配者にまで好まれ、さらに広く世界に広がる日本の食「カレーライス」をさらにおいしくすべく開発。カレーのコクにこだわり、「飛騨牛」の肉の旨みをルーに溶け込ませ、日本酒と酒粕が持つ「旨み」でさらに味わい深いコクのあるカレーに仕上げたという。使用した日本酒には6年連続モンドセレクション金賞受賞酒の「山車 辛くち」をリッチに使用。スパイスを効かせた辛口な味わいがコクと共に後引く味わいになっているとのこと。具材は、飛騨牛・じゃがいも・にんじん。内容量200gで、価格は680円(税込)。
2015年10月02日オサムグッズを生み出したイラストレーターの原田治によるエキシビジョン「OSAMU GOODS TRIBUTE」が、8月28日から9月16日まで東京・原宿のトーキョー カルチャート by ビームスにて開催される。80年代から90年代に日本中のティーンエイジャーから絶大な人気を集めたオサムグッズ。弁当箱やマグカップ、バッグ、傘、キーリングなど、シンプルな線で描かれたユーモラスなキャラクターが描かれた様々なアイテムが展開されていた。同イベントでは、古き良きアメリカへの憧憬が反映されたレトロなデザインの空間に、過去のアーカイブからピックアップされた貴重なオサムグッズの数々を紹介。同時に、イラストレーションなど平面作品も展示される。また、原田治に影響を受けた、または原田作品のファンであったデザイナーやイラストレーターによる“原田治リスペクトTシャツ”も販売される。その他、8月28日の18時から20時までは、作家を招いたレセプションパーティーを開催。9月13日の15時から17時までは、原田治本人に加え、「Groovisions」の伊藤弘と「OVERHEAT MUSIC」の石井志津男を交えたトークセッションも行われる。【イベント情報】「OSAMU GOODS TRIBUTE」会場:トーキョー カルチャート by ビームス住所:東京都渋谷区神宮前3-24-7 3階会期:8月28日~9月16日時間:11:00~20:00(最終日は18:00まで)休館日:木曜日入場無料
2015年08月17日大泉洋主演×原田眞人監督の人情エンタテインメント『駆込み女と駆出し男』のブルーレイ&DVDが11月26日(木)に発売されることが決定した。これを記念して、原田監督が映画に関することなど、さまざまな質問に答えるWEB版ティーチインが開催される。監督への質問は、本日から9月27日(日)まで公式サイト内のQ&A特設サイトで受け付けている。その他の画像映画は、井上ひさしの時代小説『東慶寺花だより』を原案に、江戸幕府公認の縁切寺に、さまざまな事情を抱えながら離縁を願う“駆込み女”たちと、その手助けをする“駆出し”の医者が、悲喜こもごもの離婚調停を繰り広げる人情時代劇。大泉のほか、戸田恵梨香や満島ひかり、樹木希林らが出演している。「小学校3年生の頃、太秦の東映、大映、松竹の撮影所で初めてみた時代劇撮影の現場から数えれば、構想55年といった初の時代劇です」という原田監督。ブルーレイ&DVDリリースにあたり「丹念に作った作品です。見どころは全篇。ひとつふたつ抽出するのが困難なほど全シーン、全カット、全登場人物に愛着があります」と話し、「京都で生まれ育ったスタッフを中心に、第一級のスタッフ、キャストが勢揃いして、文句なしの時代劇デビューを飾ることができました」と語った。さらに今後の映画制作を野球に例え「とりあえずは、俊足の一番バッターを打席に送り、足で稼いで二塁まで行けたというところでしょうか。これをホームに帰すための強打の二番、三番も既にユニフォームを着て出番を待っています。『駆込み女と駆出し男』から始まる原田時代劇の大きな波に乗ってください」とコメントを寄せている。原田監督への質問は、メールやTwitter、Facebookなどで募集しており、本作に関することはもちろん、幅広い内容を受け付けるという。回答は8月上旬より特設サイトにて随時発表されていくほか、ブルーレイ&DVDに収録される本編オーディオコメンタリーでも、寄せられたいくつかの質問に監督が回答する予定だ。『駆込み女と駆出し男』ブルーレイ&DVD:11月26日(木)発売※12月2日(水)レンタル開始ブルーレイ【特装限定版】:6800円+税通常版:4800円+税DVD【特装限定版】:5800円+税通常版:3800円+税発売・販売元:バンダイビジュアル※レンタルBD&DVDはポニーキャニオンより
2015年07月30日映画『日本のいちばん長い日』の完成披露試写会が7月15日に開催され、主演の役所広司、本木雅弘、松坂桃李、原田眞人監督が舞台あいさつに登壇した。舞台あいさつその他の写真半藤一利のノンフィクション小説を原作に終戦間際、阿南惟幾陸相、鈴木貫太郎首相、昭和天皇を中心にしたポツダム宣言の受諾を巡るやりとり、陸軍将校による決起事件を描く。「(戦後)70年。たった70年で日本はだいぶ変わった」としみじみと語る役所。「戦闘シーンは出てきませんが、この映画の背景には広島、長崎への原爆投下があり、戦地では兵士たちが飢えに苦しみながら戦っている。それを感じながら見てほしい。戦争って本当に嫌なものです。二度と繰り返さないようにと感じていただければ」と訴えた。本木は昭和天皇を演じたが、そのプレッシャーはやはり並大抵のものではなかったよう。「公開が近づくにつれて『責務を果たせたのか?』という問いが重くのしかかってきます。賛否は全て受けるつもりですので、叱られながら、早く楽になりたい…(苦笑)」と劇場公開を待ちわびる。松坂は陸軍の永遠を信じ決起する将校を演じたが「若者たちを“動”とするなら役所さんや本木さんは“静”。それぞれが国を思い、どうなっていくのか? スピード感のある物語の中で、僕はその静と動が変わっていくさまを『怖いな』と思いました。どうして怖いと思ったのか? みなさんに、観て感じていただければと思います」と呼びかけた。戦後70年を迎え、原田監督は「戦争体験者がどんどん亡くなっている」と当時を知る人間がいなくなり、記憶や歴史が風化してしまうことを危惧し「いま、こういう政治状況にあり、戦後70年の根っこで何が行われたのか? もう一度検証するいい時期であり、この映画の歴史的価値を感じています」と語る。この日も、安保法案が衆院平和安全法制特別委員会で採決され、大きなニュースとなったが原田監督は映画でも描かれる、70年前に阿南陸相、鈴木首相、昭和天皇が国の行く末を案じ、民意を無視した政治と軍の暴走を命がけで止めたという点に言及し「安倍首相の答弁の言葉を借りれば、能力のない政府が総合的に判断し、民意を無視するという事態になっている。国民を救うということ、“民意”とは何か? 日本はどこから来てどこへ向かって行くのか? 自問し行動に移してほしい」と訴えた。『日本のいちばん長い日』8月8日(土)全国ロードショー
2015年07月15日昭和の人気人形劇を初めて舞台化する『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』が12月、井上芳雄、安蘭けいの出演で上演される。原作は1964年から69年の5年間、NHK人形劇シリーズとして放送され、個性的な登場人物、奇想天外な物語で人気を博した大ヒット作。故井上ひさしが脚本に携わったことでも知られている。舞台版の脚本は宮沢章夫と山本健介が書き下ろし。演出と美術を串田和美が手がける。ギャングのマシンガン・ダンディ役に井上芳雄、こどもたちを率いるサンデー先生役に安蘭けい。そのほか、山下リオ(博士役)、小松和重(テケ役)、山田真歩(プリン役)、内田紳一郎(ダンプ役)、小松政夫(トラヒゲ役)、白石加代子(ドン・ガバチョ役)らが出演する。公演決定にあたり串田は「『ひょっこりひょうたん島』はひょっこり現れて、ひょっこり消えていったような気がする。それがみんなの心に残っている。観なかった人たちの心にも。まだ生まれていなかった人たちの心にも。それは気づかぬうちにそっと、しかし、したたかに成長しているような気もする。再会するのが楽しみな、成長する記憶のような舞台をつくってみたい。それは飛びっきり楽しく、飛びっきり贅沢な芝居の姿になるだろう」とコメントを寄せている。公演は12月15日(火)から28日(月)、2016年2月3日(水)から11日(木・祝)まで、東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンにて。12月公演のチケット一般発売は9月26日(土)より。
2015年07月08日井上芳雄が、1994年にトニー賞を受賞したミュージカル『パッション』で、ソンドハイム作品に初めて挑む。演じるのは19世紀イタリアの軍人で、美しい人妻クララ(和音美桜)と、自分を執拗に追いかける醜いフォスカ(シルビア・グラブ)との間で揺れるジョルジオ役。「『オペラ座の怪人』の男女逆バージョンで、僕がクリスティーヌだと思っていただけると分かりやすいかと」と解説する井上。ジョルジオは、ふたりの対照的な女性との出会いを通じて、本当の愛とは何かを探っていく。新国立劇場演劇『パッション』チケット情報「僕はふたりから同時に愛されたことも、しつこく追いかけられたことも、もちろん人妻と恋に落ちたこともないですから(笑)、経験としては全くない役。ただ、愛をダメ出しに置き換えると分かる気がするんですよ。演出家以外の方にダメ出しをされると、本当に僕のことを思って言ってくれているのか、何かほかに目的があるのかを考えたりする。それの愛情版というか、その人の愛が相手を向いているのか、それとも愛している自分自身を向いているのかを見極めるお話だと思います」その見極めの末、ジョルジオはある決断を下すわけだが、井上は「それが正解というわけではなく、僕たちは不確かな愛の定義のなかで生きているということ」とも。そうしたひと筋縄ではいかない人間の機微を描かせたら、ミュージカル界でソンドハイムの右に出る者はいない。「彼の楽曲で音が予想と違うところにいくのは、人生そのものを表しているからじゃないかな」と分析する井上にとっても、ソンドハイム作品はいつか挑戦してみたい憧れの存在だった。「クロウト受けするというか、業界内人気の高さを以前から感じていました(笑)。ミュージカル俳優の方のアルバムにもよく入っているので、僕も20代中盤くらいからコンサートでは歌ってたんですが、手応えは全くなくて。こういう歌です!ってひと言でいえないようなものすごく深い内容なので、自分にはまだまだ表現しきれないと思ったんです。今回とてもいいタイミングでお話をいただいたので、僕もそろそろソンドハイムを歌っていいぐらいになってきていると信じて挑みたいですね」そんなソンドハイムが男女の愛を真っ向から取り上げた作品だけに、セクシーなシーンも大きな見どころとなりそう。「僕も和音さんもシルビアも、普段から色気ムンムンってタイプではないと思うんですけど(笑)、女優さんはひとたびメイクをしてドレスを着るとものすごく変わるんですよね。チラシ撮影の時もおふたりともとても素敵で、女優って怖いなと(笑)。僕も舞台では、おふたりに負けないぐらい変化できたらいいですね。“セクシー”は、僕の今年のテーマでもありますから!」公演は10月16日(金)から11月8日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演。チケットの一般前売りは8月1日(土)10時より。なお、11月6日(金)の【ぴあスペシャルデー】ではスペシャルカーテンコールが付く。取材・文:町田麻子
2015年07月07日『ビリギャル』が大ヒット中の有村架純が連続ドラマ初主演を務める「連続ドラマW海に降る」。このほど、ミュージカル界のトップスター・井上芳雄が、有村さん演じるヒロインと深海の謎に挑む地質学者役でWOWOWのドラマに初出演することが決定!自身の誕生日の本日7月6日(月)、ファン約2,000人の前で発表した。朱野帰子による同名小説をドラマ化した本作の舞台は、海洋科学に関する研究機関、JAMSTEC(海洋研究開発機構)。先日発表されたとおり、有村さん演じるヒロイン・天谷深雪が、潜水調査船「しんかい6500」の日本人初となる女性パイロットとして、成長する姿を描く。本日誕生日を迎えた井上さんは、現在出演しているミュージカル「エリザベート」のファンクラブ貸切公演にて、本作への出演を報告。これまでに、映画初出演の『宇宙兄弟』で小栗旬のよきライバル役を演じ、ディズニーアニメ『プレーンズ』で声優初挑戦を果たすなど、映像作品にも活躍の場を広げてきたが、連続ドラマWへの出演は初。今回井上さんが演じるのは、ヒロイン・深雪をサポートしながら共に深海の謎に挑む地質学者である、高峰浩二。「深海という馴染みのなかった世界でしたが、物語に触れるに従って、どんどん興味が沸いてきました。 まだ分からないことも多く、それゆえに限りない可能性が広がっている海の底は、もの凄く魅力的でロマンがあります。そんな中、僕の演じる高峰は偏屈と言われながらも、信念をもって研究を進めていく。その彼に恥ずかしくない姿勢で、僕もこの作品に向かい合いたいです」と深海の魅力と、自身の役どころについて熱く語ってみせた。また、「WOWOWでは、トニー賞のサポーターやディズニーコンサート、舞台中継、『僕らのミュージカルソング』といろんなことをやらせてもらっていますが、遂にドラマにも出演させてもらいます!ありがたいことです。素敵なキャスト、スタッフの皆さんとの現場は刺激に溢れていて、幸せです。ご期待下さい!」と、集まったファンに、充実した日々に対する感謝の気持ちを報告。“日本ミュージカル界のプリンス”の新たな一歩に、帝国劇場に集まった約2,000人のファン達からも喜びの声があがった。JAMSTECの全面協力を得て、有人潜水調査船「しんかい6500」を始めとした潜水船・研究船で撮影を行ない、神秘的かつ驚異的な、前代未聞の深海の映像美を実現した本作。神秘的な深海の世界に挑む、海洋ロマンあふれるヒューマンドラマに挑戦する井上さんの姿を楽しみにしていて。連続ドラマW「海に降る」は、10月よりWOWOWにて放送。井上芳雄がホストを務めるWOWOWオリジナルのミュージカル・ソング コンサート「僕らのミュージカル・ソング」は8月29日(土)20:30より放送。(text:cinemacafe.net)
2015年07月06日集英社『ヤングジャンプ』で連載中の人気漫画『テラフォーマーズ』の13巻が発売されることを記念して、資生堂トップヘア&メーキャップアーティストの原田忠が同漫画のキャラクター、アドルフ・ラインハルトを“3次元化”した。原田忠はこれまでに、『ジョジョの奇妙な冒険』や『テラフォーマーズ』といった漫画のキャラクターを、モデルで実写化したヘア&メイクアップとファッション、CGを掛け合わせることで“3次元化”してきた。今回の共同プロモーションでは、『テラフォーマーズ』のアドルフ・ラインハルトを3次元化。さらに、これまでに原田忠が手掛けてきた『ジョジョの奇妙な冒険』と『テラフォーマーズ』の3次元化したキャラクターを、1冊のブックレットに収録。資生堂の商品を取り扱う一部の理美容室に数量限定で配布され、サロン顧客は店内で閲覧できる。更に、5月18日から24日にかけて東京メトロ銀座駅構内の2か所に、原田忠による『ジョジョの奇妙な冒険』と『テラフォーマーズ』のキャラクターをモチーフにした「集英社×資生堂プロフェッショナル」の交通広告を展示している。原田忠は資生堂トップヘア&メーキャップアーティスト。宣伝広告を始め、パリコレクションでのヘア&メイクアップ、ヘアスタイリング剤の商品開発など幅広い活動を行っている。13年には『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボレーション作品を発表し、14年には『テラフォーマーズ』のキャラクターを3次元化した。その他、「東京ワンピースタワー」クルーのヘアメイクディレクションや、映画『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の主題歌『「Z」の誓い』を歌う「ももいろクローバーZ」のMVヘアメイクディレクションなども手掛けている。
2015年05月19日日本映画界を代表する名匠・原田眞人監督が5月16日(土)に、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行われた『駆込み女と駆出し男』の初日舞台あいさつに出席。「素晴らしいキャストとクルー、全員が大傑作を作ったと思っております。今後、この大傑作を皆さんの力で名作に育てていただければ。長い目で応援願います」と初の時代劇に強い自信を示した。初日舞台挨拶その他の写真江戸幕府公認の縁切寺に、さまざまな事情を抱えながら離縁を願う“駆込み女”たちと、その手助けをする“駆出し”の医者が、悲喜こもごもの離婚調停を繰り広げる人情時代劇。井上ひさしの時代小説「東慶寺花だより」を原案に、原田監督がメガホンをとった。舞台あいさつには原田監督をはじめ、主演の大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、キムラ緑子、内山理名、武田真治が出席。苦労したシーンを問われると、「首をつられるシーンですね。監督の『カット』の掛け声が遅くて、スタントマンさんがいらっしゃるのに、僕自身がつられてしまって」(大泉)、「ひかりちゃんを背負って、石階段をかけあがるシーンで、足がガタついちゃって。でも監督のカットが遅くて…」(戸田)と同様の“クレーム”が原田監督に届く場面もあった。これに対し、原田監督は「モニターを見ていると、いい表情をしているから、もっと膨らませたくなってしまう。こちらとしては『もう少しで主演賞!』と応援しているつもり」と釈明。すでに続編の構想もあるといい、「ちょうど映画のPRで大泉さんが出ていた番組をヒントに、江戸の学者たちに大泉さんが囲まれて、それが夢だと気づくシーンで始まる」と具体的なアイデアも披露していた。この日は現在、第68回カンヌ国際映画祭に出席中の樹木希林から、ビデオメッセージが届いた。『駆込み女と駆出し男』公開中取材・文・写真:内田 涼
2015年05月16日私たちは日常、人と接するとき、相手の表情からどれほどの情報を読み取っているだろう?内に秘められた悲しみ、目の奥に映る恋心、滲み出る嫉妬心…。実のところそうした感情は、いかにポーカーフェイスを装えど隠しきれるものではない。そして端々から溢れる感情に、相手の思想や過去の思い出を垣間見たとき、人は相手に強い興味を覚えるのだ。表参道ヒルズ本館地下3階「スペースオー」にて開催中の荒木経惟写真展「男-アラーキーの裸ノ顔―」で、むきだしの心のままレンズに向かう男たち1人ひとりの“裸ノ顔”と向き合っていると、ふと、そんなイメージが浮かんでくる。雑誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)にて連載中の「アラーキーの裸ノ顔」書籍化にあたり開催される運びとなった同展では、北野武、王貞治、原田芳雄、山崎努、桂歌丸ら大御所から、松田龍平、染谷将太、瑛太ら若手著名人に至るまでの男たちの顔とじっくり向き合うことができるのだ。作品背景はすべて白バック。鑑賞者のみならず荒木本人も、一切の装飾を排除した空間で、「裸ノ顔」と向き合ってきた。「背景も被写体が作るもんだから。俺はね、カメラを構えて“背景が出てくる”のを待ってるだけなんだよ」。そう明かす荒木が撮影空間にこだわるのには理由がある。「例えばTVの仕事だとかの合間に楽屋でぱぱっと撮影しちゃったら、楽屋の空気が写真に映りこんじゃうんだよ。そうじゃなくて、この作品を作るための時間を持って、“2人だけの関係”になんなきゃだめだよね」懐かしい時間、譲れない想い、望む未来…。それぞれが生み出した景色の前で、被写体たちはいかなる表情を湛えているのか。ぜひ、自身の目で確認してほしい。写真展会期は4月24日から5月6日。入場無料。会場内の特設ショップでは、「アラーキーの裸ノ男」でこれまでに撮り下ろした作品をまとめた写真集『男―アラーキーの裸ノ顔-』(KADOKAWA/4,930円)の他、トートバッグやTシャツなどのオリジナルグッズも販売している。
2015年04月24日井上芳雄が主演する舞台『正しい教室』が3月21日にZeppブルーシアター六本木で開幕した。ミュージカル界のプリンスが、気鋭の演出家・蓬莱竜太とともにガッツリと骨太なストレートプレイに挑む注目作。前日の20日には井上、共演する鈴木砂羽、近藤正臣が意気込みと見どころを語った。舞台『正しい教室』チケット情報井上が蓬莱の書いたストレートプレイをやりたい、とラブコールを送ったことから実現した今回の作品。とある地方の小さな町、小学校の6年2組の教室に、かつて一緒に学んだ同級生たちがやってくる。現在はその学校で教師をやっている元クラス委員長の男の企画で、事故で息子を亡くしたかつてのマドンナを元気付けようと同窓会が開かれるのだ。思い出話に花を咲かせる同窓生たちだが、そこに厳しい指導で生徒たちに嫌われていた当時の担任教師がやってきて空気は一変。険悪なムードの中、思いもよらない過去の出来事が次々と暴かれていく…。会見では井上が「僕は本当にやりたいと熱望して、今回の舞台をやらせてもらった。出来上がった台本もとても面白いと思いましたし、何度も何度も繰り返す百本ノックのような蓬莱さんの稽古も楽しかった」と振り返ると、嫌われ者のかつての教師を演じる近藤は「俺は苦しかったよ…」とポツリ。「もっと嫌われて、もっと嫌われてと繰り返されて…。物語のためだからいいんだけど、やっぱり精神的にキツかった!」と言う近藤に、マドンナ役の鈴木も「私の役もかなり傷が深い役。舞台上に居ながらずっと黙っているという、あまりこういう役をやらないので、家でも悶々としていました」と明かす。負けじと元委員長役の井上も「僕もどんどん状況が悪くなるという役なので、追い詰められていきました。この稽古に入ってからずっと胃の調子が悪かった(笑)。この役のような大ピンチになることはそうそうない!」と苦労をアピール。とはいえ「やっている方は大変ですが、観る方は「ちょっと笑えるミステリかな」くらいの気持ちで気楽に、でも注意深く観てください」と近藤が楽しみ方を伝授。井上も「僕らと一緒に同窓会に参加するくらいの気持ちで観に来てください。思いもよらない体験が待っていると思います」、鈴木も「同窓会というテーマは皆さんにも近しい話題だと思います。その題材が蓬莱さんの手で迫力のある会話劇になりましたので、とても見応えのある舞台です」とそれぞれ見どころを語った。どんでん返しの連続から、各々が隠していた裏の顔が見えてくるスリリングな物語。ひと筋縄ではいかない物語を楽しんで欲しい。六本木公演を経て、3月24日(火)には愛知・名鉄ホール、3月26日(木)には福岡国際会議場 メインホール、3月28日(土)には大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。その後ふたたび東京に戻り4月2日(木)から19日(日)にPARCO劇場で上演される。チケットはいずれも発売中。
2015年03月24日井上芳雄と鈴木砂羽。活躍中の俳優ふたりが、蓬莱竜太の作・演出舞台『正しい教室』で初共演を果たす。注目の出会いは、過去に蓬莱作のミュージカル『TRIANGLE』シリーズを経験している井上が「次はぜひ、蓬莱さんの書いたストレートプレイをやりたい」と熱望したことから始まった。その意欲を受けた蓬莱は、かねてより気になる存在だったという女優、鈴木を井上の相手役に指名。かくして、同窓会という興奮のシチュエーションで繰り広げられる、大人の物語が動き出した。舞台『正しい教室』チケット情報「同窓会で再会した人たちの会話を聞くうちに物事がどんどん転がっていって、夢中になるままにクライマックスへと上り詰めます。蓬莱さんの書く台本はどんでん返しの繰り返しで、本当に見事なんですよね。意表をつく展開で、あらためて巧みな作劇だなと感じます」(井上)。井上が演じるのは“かつて委員長だった男”。対する鈴木は“かつてマドンナだった女”。時を経て再会した学友たち、そして当時、生徒に煙たがられていた先生(近藤正臣)も姿を現して……。スリリングで、可笑しくせつない人間模様が描かれていく。「ひさしぶりに故郷に戻ってきた、都落ちした女性ですね(笑)。その人物像は蓬莱さんの見たい鈴木砂羽なのかもしれなくて、どんな新しい発見があるのか楽しみです」という鈴木に対し、井上は「蓬莱さんはいつも“その人のパブリックイメージではないものを演じてほしい”と言っているんですよね。僕の役はかつては委員長で、今は教師になっている男。でも真っ当な道を歩んでいるふうに見えつつ、実は闇がある人物みたいです」と作家の思惑を探る。ひと筋縄ではいかないキャラクター同士のぶつかりあいが期待できそうだ。「井上さんは“華のある人”という印象。蓬莱さんとも初めての仕事になりますが、何かピンとくるものがあったんですよね。インスピレーションによる出会いは大切。必ず新鮮な驚きと勉強を得られますから。私にとって舞台は、たとえ転んだとしても何らかの気づきをもらえる場所ですね」(鈴木)「さまざまな出来事が起こっても最終的には温かい眼差しが向けられる、それが蓬莱さんの生み出すドラマです。同世代なので考えていることがなんとなくわかるんですよね。日々懸命に生きる中、絶望するでもなく、根拠のない希望を持つでもない。でも、どう先に進んでいくか、とにかく自分たちは考え続けよう。そういった蓬莱さんの真摯な視点を感じ取っていただけたらと思います」(井上)ミステリータッチに揺さぶられ、骨太ドラマに泣き笑う。蓬莱ワールドに挑む実力派ふたりの奮闘をぜひ劇場で見届けたい。3月21日(土・祝)からの東京・Zeppブルーシアター六本木公演を皮切りに、東京・PAROCO劇場(4月2日(木)~19日(日))ほかで公演。取材・文:上野紀子
2015年02月06日人気ミュージカル『モーツァルト!』で2002年の初演以来、4回にわたり、主役のヴォルフガング・モーツァルト役を務めてきた井上芳雄。5度目の今回が主役として最後の出演となる井上に、現在の心境を聞いた。ミュージカル『モーツァルト!』チケット情報「最後といっても別に引退するわけではないですから(笑)。稽古では冗談で『芳雄先生、ここはどうでしたか?』と聞かれるぐらい僕にとっては居心地のいい作品。でも僕はひとつの場所に留まっているのはあまり良しとしない。15年間の役者人生の中ですべてを教えてくれた役ですが、新しいところに行くためには、何かを手放すことも必要だと思っています」。天才音楽家、モーツァルトの一生を青年ヴォルフガングと、彼の才能をつかさどる分身アマデのふたりで表現する。ヴォルフガングの父親との確執や、作曲家としての苦悩を力強い楽曲で描いた力作だ。「初演では、僕は経験も少ないし、ヴォルフガングみたいに激しい人生でもない、分からないことだらけで、なかなか彼に共感できなかった。でも今は、天才ではないけれど、表現者の苦しみは分かりますし、何か運命に導かれてここまでやってこられたと思う。それに、人生が思い通りにいかなかったり、良かれと思ってやったことが裏目に出たり、現状と戦うことは多い。前よりも、今はずっと彼に共感できますね」。井上も35歳で亡くなったモーツァルトと同じ年を迎えた。「モーツァルトは神に愛された人で幸福だけど、同じ分だけの不幸もあったはず。その振れ幅が激しいだけで、結局は凡人である僕たちの人生と変わらないかもと思うんです」初演からモーツァルトの父、レオポルトを演じ、病気で療養していた市村正親が本作で復帰するのも注目だ。「以前よりお元気です。市村さんのすごいところは心のありようと若さ、そのエネルギーですね。『モーツァルト!』でオファーがきたとき、父親役ではなく、ヴォルフガング役と思っていらっしゃったぐらいですから(笑)。今回で辞めると言った僕には、またリターンしろと言って下さっています(笑)」今やミュージカルは井上にとって「運命の相手と結婚しているようなもの」だという。「別れ話も出ていないですし、結婚生活は順調です(笑)。でも、子供ができて、親も年を取り役割が大きくなった。法事を取り仕切る長男の感じですね(笑)」。その結婚相手との幸福な時間をじっくりと見届けたい。ミュージカル 『モーツァルト!』は1月15日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演中。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2015年01月07日“ミュージカル界のプリンス”と称され、その歌声に定評のある俳優・井上芳雄が『アナと雪の女王』の「Let It Go」など、ディズニーの名曲をカバーしたアルバム『井上芳雄・ミーツ・ディズニー ~プラウド・オブ・ユア・ボーイ~』を発売した。それを記念し、2月18日(水)に一夜限りのコンサート「YOSHIO INOUE sings Disney ~One Night Dream!」を開催する。本公演にかける思いを井上が語った。「YOSHIO INOUE sings Disney ~One Night Dream!」の公演情報本アルバムは、井上が自身の好きな曲を中心に選曲。普通のカバー曲集ではなく「ひとつの物語が感じられるような内容にしようと思い、作った」という。2部構成となるコンサートの第1部では、それをいかしストーリー仕立てで贈る。「最初はCDだけの話でしたが、その物語を舞台上で、生のお客さまの前でやれるのは、さらに面白いと思いました。CDにはブックレットが付いていて、曲と曲の間にちょっとした台詞が挟み込まれています。その台詞を自分で声に出して読んで、お客さまに届けたい」。第2部では、スペシャルゲストとして坂本真綾を招く。「デュエットはもちろんありますが、真綾さんの声でこの曲を聞きたいと僕からリクエストしているものもあるんです」。さらに「ディズニーは、舞台のミュージカルもたくさん作っているので、その魅力もお届けできればと思っています。『美女と野獣』にしても『アラジン』にしても、アニメには入っていないけれど舞台版にはあるナンバーも結構多い。あとは『アイーダ』のようにアニメにはないミュージカルも存在するので、いわゆる映画のディズニーファンの方も知らないかもしれない曲も聞いていただけるんじゃないかな」と意欲を燃やす。もともと新譜が出るたびに「日本版が出る前に、輸入盤を買っちゃいます。どんな音楽で、どんな作曲家で、どんな人が歌ってるんだろうとすごい気になります」というディズニーミュージカルのファン。その魅力を「独特の高揚感、幸福感みたいなものがありますよね」と分析する。「夢と魔法の世界を作って、それを守っていくには本当に努力が必要なんだと思います。ここまで徹底して作るからお客さまが入り込んで、こんなにも熱狂するんだということがすごくよくわかって勉強になりました」「ディズニーの力を借りて、タイトルどおり、一夜限りの夢ではありますが、できるだけ極上の夢を見られるような時間にしたいなと思っています」と井上。壮大なファンタジーの世界を、歌を中心に舞台でどう表現していくのか、期待が膨らむ。公演は2月18日(水)に東京国際フォーラム ホールAで上演。
2015年01月05日資生堂トップヘアメーキャップアーティスト・原田忠。同社トップアーティストとして確固たるテクニックを駆使し、ヘアメイク表現の可能性に挑み続ける彼は、『ジョジョの奇妙な冒険』や『テラフォーマーズ』など型破りな作品を世に送り出し、業界を越えたインパクトを起こし続けてきた。その活動はこれまでヘア&メイクに関心が無かった人達の心まで惹きつけている。漫画や映画が好むという彼が生み出す世界観はダークファンタジー。インスパイアされた作品も原田の視点から官能性を孕んだファッションというファンタジーに昇華する。その独特の美意識とクリエーションはどこから生まれてくるのか。 氏にアンケートインタビューを行った。――作品に通ずる構築的な美しさはどのように生まれるのでしょうか。作品のテーマやコンセプトによりますが、一つのエッセンスとして、妖しさや艶かしさを意識し、見る人に感じてもらえるよう表現しています。例えば、男女問わず、体の持つ曲線美や骨格、筋肉の隆起、目元や口元、指先などに意識を払うことで、よりヘアメイク作品としての表現の奥行きや情緒的な感情を醸し出せると考えています。――究極のこだわりがあるように感じます。ディテールフェチなんです。自分はきっと、細部フェチであると思います。自然の造形美や動物、昆虫、絵画や建築などデザインされたもの等々……時間と労力を費やした人の手が作り出した細かい仕事にはとその人の思いを感じて、ついつい魅入ってしまいます。基本的に細かい作業や気の遠くなる作業は嫌いではないです。例えば髪の編み込みは、髪の毛1本1本を丁寧に扱い、制作に時間を要する繊細な作業です。細かいディテールが積み重なって形を成す過程や、作業に集中することで新たな発見に出合える楽しさを見出すことができます。それらのものづくりのエネルギーの結集が作品だと思っています。――妖しい美しさを感じますが、人生で初めてセンシュアリティーを感じた対象はなんですか。1976年公開のアメリカ映画『キングコング』のヒロイン(ジェシカ・ラング)に女性らしい優しさや母性を感じました。時に力強く、時に艶めかしく。キングコングとのコントラストでより際立っていたように記憶しています。その印象は、幼少期の自分の目に強烈に焼き付いた対象と言えます。――原田さんにとってセクシーなアイコンとは?アーマロイド・レディー(漫画『コブラ』のキャラクター)草薙素子(『攻殻機動隊』のキャラクター)キューティーハニー(漫画『キューティーハニー』のキャラクター)キャットウーマン(アン・ハサウェイ、ハル・ベリー、ミシェル・ファイファー)――作品に美しさや官能性を感じるアーティスト・クリエーターがいたら、教えてください。H・R・ギーガー(イラストレーター)空山基(イラストレーター)寺田克也(イラストレーター)荒木飛呂彦(漫画家)池上遼一(漫画家)寺沢武一(漫画家)永井豪(漫画家)――原田さんのクリエーションに裏側にあるものとは?自己に欠けたもの、もしくはまだ見ぬもの、手に入れられないものへの欲求であり羨望。その欲求がより新たな美しさや、価値に向かうことで、自分や周りの他者との美意識の共有化と高次元化を目指すことが、次なるクリエーションにつながる原動力です。――ものづくりをしていて喜びや達成感を得られる瞬間は?作品をイメージし、そのイメージを超える仕上がりと完成度に達した時。また、完成した作品が多くの目に留まるような状況を作り出し、世の中に向けて発信された時。0から1を生み出す一連の流れが、イメージ通り達成できた瞬間です。【原田忠プロフィール】1971年生まれ。群馬県沼田市出身。航空自衛隊航空管制官を経て、資生堂傘下のヘア&メイクスクールSABFA卒業後、2000年資生堂入社。資生堂「ウーノ」の宣伝広告のヘアディレクター、ニューヨーク・パリコレクションでのヘアメイクチーフ、メンズファッショントレンドのヘアメイク分析や予測、ヘア商品開発などを行う。美容業界最高峰の権威を誇るジャパンヘアドレッシングアワードのグランプリを04・12年に2度獲得、その他受賞歴は美容業界内で最多のタイトルホルダー。13年開催した個展「原田忠 全部!! Ver.5.0」(目黒)と、「Japan Original Beauty」展(銀座)の中で発表された『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボレーション作品は、そのクオリティーの高さから国内外で大きな話題になり、来場者数8,000人(10日間)を超える動員、公式HP期間限定の作品公開では300万を超えるアクセス数を記録するなど、ヘア&メイクの枠を超えた革新的なクリエーティブ活動に業界内外から注目が集まる。著書に『一流の男のボディケア』(PHP研究所)がある。
2014年12月23日