昨年6月に発売され、大ヒットを記録した『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)。その第2弾『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら青のりMAX』(宝島社)も絶好調で、話題となっている。 今回は第2弾の発売を記念して、著者の神田桂一氏と菊池良氏に「もし坂本龍一が“もしそば”著者を取材したら」という設定で対談してもらった。 坂本売れているみたいだね、この本。何万部いったんだっけ? 神田累計で15万部です。いやあ、文豪とカップ焼きそばにここまで需要があったとは。 菊池予想以上に売れましたね。 坂本神田くんはこれが1冊目で、菊池くんは2冊目。 菊池そうですね。3年前に『世界一即戦力な男』(フォレスト出版)という本を出しています。 坂本僕の初めてのアルバム『千のナイフ』は、当初の実売が200枚だったわけ。で、その次に出したYMO『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』が120万枚。この差には驚いたな。 菊池そこまで売れたわけじゃないですけど……。 坂本僕はYMOをやる以前はわりかし匿名(アノニマス)な存在だったわけね。非常に個人的な存在でさ。それがコマーシャリズムに巻き込まれて、急激に顔と名前を知られるようになると、まず身体にガタがきたの。外出するのも嫌になって。1年くらい慣れなかったな。君たちにはそういう変化はなかったの? 菊池そこまでの人気は……。 神田僕はいつも利用している名刺店のおばちゃんが新聞広告をスクラップしていて。「見たよ!」って言われましたね。ぜんぜん本を出したって言ってなかったんですけど。 ■文体とは言語という「制度」を越えた存在 坂本たくさんの文豪を文体模写してみて、わかったことはあった? 菊池これはけっこう僕の中ではすごい発見だったんですけど、似ている文体が1つもないんですね。 坂本どれも独自の文体を確立していた? 神田そうです。そこはわりに、素直にすごいと思いましたね。 坂本それは面白いな。というのも言語っていうのは非常に強固な制度だからさ、言ってみれば有限的な文字の組み合わせなわけじゃない?猿がタイプライターを打ち続けたらシェイクスピアが出来上がるっていう話もあるし。220人の文豪を模写してみて、1つも重複がないというのは興味深い発見だと思う。僕らの世代は「作者の死」から出発しているわけだしさ。 神田逆に言うと、独自の文体を作れた人が作家として生き残るんだと思います。 坂本僕の父親は出版社の編集者をやっていて。家にもいろんな作家が来るわけ。小田実や高橋和巳が朝まで飲んでワーワー言っていたりするの。埴谷雄高なんかが電話してきてさ。彼らを見ていると確かに自分の語り方というのを持っていた気がする。 ■ベストセラー後に生まれるもの 坂本もう聞かれ飽きたと思うけどさ、今後はどうしたいの? 菊池僕はもっと「書き方」というのを研究したいと思っています。今、日本語の書き方がとても画一的になってきているんじゃないか、というのを感じます。それを壊したい。それこそデリダの「脱構築」かもしれませんけど。 坂本今のをフォローすると、デリダは前期、中期、後期とわけることができて、前期は「脱構築」という自分の理論をわりかし論理的に書いていたわけね。でも、自分の理論を自分が実践していないのはおかしいだろうと、中期は自分の理論を実践した文章を書いた。そしたら、非常に難解な文章ができあがった。後期になると今度は講演が中心になるんだけど。僕ができる忠告としては、よくわからない文章にはならないように、ということかな(笑)。 菊池もっと一瞬で伝わって、楽しい書き方があるんじゃないか。何かヒントはないかと思って、江戸時代の滑稽本を読んだりしていますね。 坂本確かにもっと自由な、マニュアル的じゃないやり方というのはあると思う。神田くんは? 神田僕はノンフィクションの単著を出します。“もしそば”でくだらないものを書いたので、今度はわりに真面目なものを。硬軟どちらもいけるというのを示したいですね。
2018年01月23日ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)によるヴァレンティノ(VALENTINO)が、1月17日、パリの旧ロスチャイルド邸を会場に2018-19年秋冬メンズコレクションショーを開催した。ロマンティシズム、アリストパンク(貴族とパンクの折衷造語)といったキーワードを掲げながら、スポーティーな要素を加え、オートクチュールブランドとしての技術力を最大限に生かした、絶妙なバランスを見せる美しいコレクションとなっていた。ジャパン、デヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)、坂本龍一、ヴィサージ(Visage)などの80年代の曲をバックに登場したのは、スウェットにジャージーのブルゾンを重ね、ダブルフェイスのコートを羽織ったモデルたち。足下にはスニーカーを合わせ、コートの袖ぐりや裾にはスタッズを打ってパンキッシュに。スポーティなブルゾンもダブルフェイスカシミア製で、VLTNのロゴをアップリケし、ほぼすべての行程に手作業を要し、ハンドクラフトの美しさをさりげなく見せている。前シーズンから登場しているVLTNのロゴは、特にスポーツアイテムに多用され、モンクレール(MONCLER)とのコラボレーションジャケットにも登場。細かなパーツをつなぎ合わせてモチーフを描いたインレイ仕様のコートやブルゾンは、ヴァレンティノならではのクチュールテクニックを駆使。モチーフとしては花やカモフラージュの他に、タイガーやドラゴンが登場。特にタイガーとドラゴンは、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)による1967〜68年のオートクチュールコレクションからインスパイアされたもので、バッグなどのアクセサリーにも転用され、コレクション全体に華を添えている。スタッズ、インレイ、ビーズ刺繍といった装飾的な側面はしっかりとあるものの、シルエットをシンプルにし、ダブルフェイス素材使いで軽く仕上げているのが今シーズンの特徴。どのルックにもモダニティーを感じさせ、限りなくフレッシュな印象を与えるコレクションとなっていた。
2018年01月19日今回の「やさしいママのひみつ」は、「暮らしかた冒険家」として幅広く活躍する、クリエイティブディレクターの伊藤菜衣子さん。北海道札幌市で暮らしながら、各地を飛び回り、広告、編集、映画制作を手がける、3歳の男の子のママです。伊藤菜衣子さん息子さん:墾(こん)くん(3歳)クリエイティブディレクター。暮らしにまつわる常識を作りなおし、伝えるため、広告、編集、映画制作などを手がける「暮らしかた冒険家」として活動。ゲストディレクターの、音楽家・坂本龍一さんによる指名により、札幌国際芸術祭2014にて札幌に引っ越して暮らすプロジェクト「#heysapporo」を発表。以来、札幌にて築30年の自邸を断熱リノベーションしながら、自給自足の暮らしを模索する。冊子『よむ暮らしかた冒険家』の発刊や、映画『別れかた暮らしかた』を監督。HP: 暮らしかた冒険家 | 21世紀の冒険家 Instagram: saikocamera 家族が笑顔で暮らすため、試行錯誤の上、ちょっと変わったスタイルを模索中だという伊藤さん。その暮らしかたとは? お話をたっぷりと伺いました。■大黒柱として働き、家事と育児はパートナーに早速、伊藤さんの月曜から土曜までの、1日のスケジュールを見てみましょう。8:30 :墾くん保育園。9:00 :伊藤さん起床 朝食10:00 :スタッフが自宅兼事務所にやってくる12:30 :昼食17:30 :パートナーが保育園にお迎え18:30 :墾くんが帰宅19:00 :スタッフもみんなで夕食。墾くんと遊ぶ20:30 :お風呂21:30 :墾くん就寝。仕事25:00 :伊藤さん就寝睡眠時間はたっぷり取るという伊藤さん。朝は起きて、息子の墾くんをお見送りするのが理想だといいますが、できないことも多いのだそう。「紆余曲折あって、わが家は今は、私がメインで働いています。私は夜型人間で、睡眠時間は8時間必要だから、仕事を続けるためにこのサイクルに。自分の睡眠時間を削ると悪循環だし、よく寝た後の仕事の集中力は高いから。その代わり、夕食は一緒に食べるので、仕事は18:30までに切り上げるようにしています」家事を分担するのではなく、家事と育児はパートナーが担当というスタイルをはじめたのは、今年に入ってからだといいます。「これまでは二人で、ウェブ制作などの仕事をしてきましたが、同じ時期に忙しいので家が荒れるし、喧嘩になってしまいがちでした。そこで、あまり二人でしなくてもいい仕事を増やそうということになって。私の方が一人でできる仕事が多いから、メインで働いて、彼が家でできる仕事と家事をするようになりました」「家事をする、または一人でできる仕事をするという2択で、彼は仕事より育児をしたいというのが最優先でした。彼は子どもの頃、お父さんが忙しくて、ほとんど家にも帰ってこなかったらしく、“そんなお父さんにはならない、子育てをしたい”という気持ちがびっくりするくらい強いんです。妊娠したときから、子どもは絶対、僕が育てたいと言っていましたね。欧米ではこういう役割分担はよくあることみたいですが、日本だと珍しいですよね。でも、子どもに大学に行かせるまで、私はいくら稼がなきゃいけないんだろうと思うと、世のお父さんって本当にすごいなと思います」最初は保育園にも行かせたくないと、子育ての理想も高かったのだそう。「それは彼のこだわりでした。でも実際は、子育てってとても大変。産後はびっくりするくらい自分の体調も悪かったし、産休も育休もほぼないまま、とにかく目の前のことをやるので精一杯。それで喧嘩になるという悪循環でした。そんな状況を見た友人から、『保育園に入れて、とりあえずこの家の仕事と二人の状況を立て直しなよ』とアドバイスされたのを機に、保活を始めたんです」家事はパートナーにまかせてすべて譲り、仕事に専念することにしたのだとか。あえて何もしないのがうまくいく秘訣なのだそう。「彼は何をするのも初めてなので、洗濯も色移りや縮んでしまったり、びっくりするような失敗をするんです。最初は分担していたのですが、やり方が違うから見てしまうと気になって、『なんでこんなにぐちゃぐちゃになるの?』って、ついお小言が出てしまう。できるだけ目を瞑れる状況にするには、100%家事をお願いしないとだめだと思って、私は立ち入らないことにしました」■気合いで乗り越えていたことが通用しない「子育て」ウェブや広告の仕事から幅を広げ、現在は本の編集から映画の監督、トークショーなど大活躍の伊藤さんですが、仕事との関わり方に関して悩みも大きかったと言います。「私の仕事って、環境にいいとか、もっと広がればきっと社会がよくなるという仕事が多いから、仕事のクオリティが少しでも上がれば、もっと広がっていくと思っていました。クオリティの高さを求めて採算度外視するくらい、仕事が本当に好きだったんです。でも子どもができると、今まで気合いで乗り越えていたことも全く通用しないんだなと思い知らされました。働き方を変えないと、自分が頑張ってもどうにもならないことがある、と思うようになりました」「妊娠、出産の時期って、2年半くらい100%で働ける自分がないんですよね。それが本当に想定外でした。妊娠中はずっと眠いし、つわりもあるし、出産前に仕事を片付けようと思っていたけど追いつかなかった。出産したらきっと仕事ができるだろうと思ったら、眠いし、ちょっと無理をすると体調を崩したり。それでスタッフを雇うことにしたんです。最初はどうにも慣れないので、自分でするよりも納得感は少ないのですが、世の中的にはなんの問題もなくて、自分が100%でやったものに社会的にどのくらいの価値があったのか、自分の自己満足だったのか、と考えさせられる機会にもなりました」■地方で暮らしながら、子育てすること現在、9歳まで住んでいた元実家をリノベーションして暮らしている伊藤さん。坂本龍一さんがディレクションする札幌芸術祭に、アーティストとして招集されたことを機に札幌へ移住することになり、会期中は家を改装しながら土日にオープンハウスとして開放していたそう。「もともとは東京で、カメラマンの仕事をメインにしていました。結婚してすぐに震災があって、熊本に移住しました。熊本では築100年の町屋をセルフリノベーションしながら、3年弱暮らしていましたが、賃貸だったので斜めになった床や、隙間風がすごく入ることまで直せませんでした。芸術祭が終わってからも札幌に住むことを決めたのは、子どもが生まれて、祖母もまだこちらにいることや、母が手伝いに来てくれやすいというのが大きかったですね」近くにある畑を借りて5家族でシェアし、2、3日分の必要な野菜だけ収穫するなど、食生活も豊かです。「フルーツも安いですね。野菜はほぼ買わず、お肉やきのこだけお店で買っています。幼なじみの農家さんが届けてくれる野菜も、たくさんあります。庭に生ゴミを撒くと、自然と肥料になっていて、じゃがいもなどはすぐにできますね。北海道は寒くなるので、害虫が少なく、無農薬で育てやすいんです。生産者が近いから、子どもはどこにおいしいものがあるか、誰が作った何を食べているかを知っているというのが、面白いなと思います」また、仕事の対価を貨幣ではなく、物(ぶつ)や技(わざ)で交換する「物技交換」(ぶつわざこうかん)を実践する伊藤さん。さまざまな人の協力を得て、このエコハウスを完成させたのだとか。「この家は断熱性能がとても高いのですが、新築戸建と比べると、だいぶお金をかけずに作ることができました。そういうことができたらエコハウスを選ぶ人も増えるんじゃないかな、と思っていて。『どうしたらできるだけ安くできるかを一緒に考えたい』と工務店に相談すると、『今は儲かるかわからないけど、確かにリノベーションのニーズも増える』と思った人たちが一肌脱いでくれたりするんです。私たちがアイデアと実験場所を提示して、コンペに出すのもOKだし取材対応もする。“手伝ってくれてラッキー” ではなく、関わってくれた人にいいことがあるように、ちゃんと交換して “お互いにメリット” になるように、というのは必ず考えています」 豊かな食材に囲まれ、エコハウスに暮らす、とてもうらやましい環境に思える、伊藤さんの暮らし。地方移住というブームに対しては、どうお考えですか?「都心には都心で、地方都市は地方都市でできることがあるから、どちらでもいいと思っています。どちらにいても大変だし、人生の目的と自分の状況がどうかによると思うんですよね。私の場合は札幌に元実家があったし、勢いで移住したわけではないんです。周りの人たちが2005年くらいからどんどん地方に移住しているのをずっと見てきて、これならできるんじゃないかと、確かめてからのジャッジでした」「ブームには流されなくていいと思うんです。仕事が変わったり、夫婦の関係性が変わる人もいるし、自分ができると思ったタイミングでしないと、本当に辛いと思います。私は冒険家と名乗ることで、これが普通ではなくて、結構危険なことをやっているというリマインドにもなっています。普通の人ができると思ってやったらできないようなことを、冒険家としてやっているだけですから」■これからの環境をまもる「みんなができる方法」「暮らしかた冒険家」として、 “暮らしの常識と思われていることに対して、ほかにやり方はないか? いつも疑っていきたい” と話す伊藤さん。「これまでは、自分が楽しければいいと思っていたけど、子どもが生まれてからは環境に対する考えについても、 “社会全体に広まらないと、子どもが大人になるまでもたない” と思っているんです。だから、みんなができる方法を考えるようになりました」環境や未来の社会について “みんなができること” を常に考え、「100万人のキャンドルナイト」をはじめ、環境を考えるムーブメントを数々手がけてきた伊藤さん。日々使うものも、環境への影響を考えているといいます。「そもそも洗剤の香料が苦手なんです。自然の香り、もしくは匂いがしないものを選んでいくと、自然派の洗剤にたどり着きますよね。逆に、環境にやさしい、自然由来のものを選んでいると手荒れもしない。そこがいいなと思います」天然素材を使っている上に、売上の1%が原料の産地であるボルネオ島の環境保全に役立てられている、ヤシノミ洗剤の「サラヤ」の取り組みには、とても共感するという伊藤さん。もともと「ヤシノミシリーズ」を使っていたそうですが、改めてご体験いただきました。使い心地はいかがでしょうか?「近所のお店では『ヤシノミシリーズ』を扱っていないので、なかなか買えず、よっぽどのことがない限り、アクリルたわしで乗り切っていましたが、やっぱり便利ですね。『ヤシノミ洗剤』は、ほかの自然派洗剤と比べて、汚れがすっと落ちるので洗い残しもなくて安心です」何よりも香料が苦手な伊藤さんは、これまで柔軟剤は使っていなかったのだとか。「肌触りよりも、においがないことを優先していました。無香料の柔軟剤って、ほとんどないですよね。でも『ヤシノミ柔軟剤』を使ってみたら、香りもなく、乾燥機にかけてもふわふわで、すごくいいなと思いました。やっぱり肌触りがいいと、気持ちがいいですね。今度から柔軟剤をも使ってみたいと思います」■母から教わった「甘やかさず、考える力を身につける」子育て環境や社会にやさしいことを心がけている伊藤さん。子育てで気をつけていることは、甘やかさないこと、「やさしいママじゃない」と笑います。「 “暮らしかた冒険家”って変わっていますよね。仕事を兼ねて、海外に1ヶ月行くこともあるし、親がいつも家で働いている。これが普通だと思って育ったら、世の中でまったく使いものにならないと思うんです。人がよく来るのでちゃんと挨拶ができるように、人見知りをしないようにとは思っています」時間は限られますが、集中して仕事をすることで、お子さんとの時間をたっぷり作るのが伊藤さんのやさしさ。そして厳しく接することで、自分で考える力をつける子育てを心がけているそう。「仕事をやりきった感がないと、子どもと遊びたいのに、もやもやしてどっちつかずになってしまうんですよね。私ができるのは、食後に一緒に遊ぶこと。できるだけ全力で遊びます。私自身、『自分が始めたくてやったことは、自分で辞めろ』と言われて、甘やかされないで育ってきました」「母から勧められて始めたクラシックバレエでさえ、途中で『ステージママやりたくないから、続けたいなら自分でなんとかして』と言われ、発表会の情報収集をしたり、衣装にスパンコール縫い付けたりしていました。お金は必要最低限は出してくれるのですが、レオタードは1着あれば十分とファッション的に何着も持つのはNG。辞めたいときも先生にどう切り出すかというのを、小学生で考えなきゃいけなかった。でも苦労していると、先生がお下がりをくれたり、頑張ってちゃんとやっていれば、誰かが見てくれて、助けてくれるんです。誰のお母さんと仲良くなれば情報をもらえるかなど、処世術を学んだんですね(笑)」「泣いてもわめいても変えてくれない。親の方針というのは、本当に強いなと思います。この人に言っても仕方がないから、『じゃあどうする?』と自分で考えるようになるんです。うちの母と同じように、厳しいかもしれないですが、徹底的に説明して納得させようと思っています。お母さんだから当たり前じゃなくて、お母さんでもやりたくないことはやりたくない、やらなくていい。そんな母の子育てが今の私を作っているから、感謝しているし、自分の子どもにも引き継いでいきたいですね」取材/文:赤木真弓 撮影:林ひろし[PR]サラヤ株式会社 【やさしいママのひみつ 一覧】 記事をもっと見る >>
2017年12月06日ケンゾー(KENZO)の2018年春夏コレクションの世界観を体感できる期間限定イベント「KENZO celebrates JAPAN」展が、東京・表参道で開催される。国内先行発売のコレクションアイテムもストアへ並ぶ。会期は、2017年12月7日(木)から2018年2月24日(土)まで。クリエイティブディレクターであるキャロル・リムとウンベルト・リオンが手掛けるケンゾーの2018年春夏コレクションが期間限定で表参道「EYR OF GYRE」に登場。「KENZO celebrates JAPAN」というイベント名に相応しく、ケンゾー創始者・高田賢三の出身国である日本を讃えた内容となっている。2018年春夏コレクションのミューズとなったのは、日本を代表する二人、音楽家・坂本龍一とスーパーモデル・山口小夜子。2人の魅力を讃えて、コレクションでは「坂本龍一の生まれ変わりである男性と山口小夜子の生まれ変わりである女性が出会う」ストーリーを、ケンゾーの色鮮やかなファッションを通して表現した。会期中には、2018年春夏コレクションのテーマで彩られたケンゾーの世界観を堪能できるほか、ギャラリースペースにて、最新コレクションのモチーフをアート作品として展示。また、コレクションアイテムの国内先行発売をはじめ、スニーカー「KENZO Move」のGYRE限定カラーが店頭へ並ぶ。【詳細】期間限定イベント「KENZO celebrates JAPAN」展期間:2017年12月7日(木)~2018年2月24日(土) 11:00~20:00会場:EYE OF GYRE /GYRE 3F住所: 東京都渋谷区神宮前5−10−1 ※期間中に27,000円(税込)以上購入した人には、限定ピンバッチをプレゼント。【問い合わせ】TEL:03-3498-6990
2017年12月02日ケンゾー(KENZO)のポップアップイベント「KENZO celebrates JAPAN」展が、表参道のアートスペース、アイ オブ ジャイル(EYE OF GYRE)にて、12月7日から2018年2月24日まで開催される。1964年、高田賢三は国際的なファッションデザイナーになる夢を抱き、日本からパリへ船で海を渡った。1970年に、現ケンゾー本社の近隣にあるGalerie Vivienneに「ケンゾー(KENZO)」を創業。彼の作品は、当時からファッション業界に大きな影響を与え、今もなお、業界の枠を超えて多くの人々の記憶に刻まれ続ける。本展は、KENZOのクリエイティブ・ディレクターであるウンベルト・レオンとキャロル・リムが手掛けた、ケンゾーのクリエーションを紹介。最新コレクションのモチーフをアート作品として展示する。また、2018年春夏シーズンの最新コレクション国内先行発売をはじめ、スニーカー「KENZO Move」のジャイル限定カラーを展開。イベントストアで販売する最新コレクションは、「KENZO celebrates JAPAN」というタイトルにふさわしく、高田賢三の出身国である日本を讃える。2018年1月中旬から国内先行発売する2018年春夏コレクションのミューズは日本を代表する2人。1人はブランドの観点を象徴する現代の人、音楽家であり活動家でもある坂本龍一。そしてもう1人はこの世が生み出した偉大なスーパーモデル山口小夜子。この2人の感性。計り知れない坂本龍一の才能、そしてパターン、プリント、シルエット、カラーのミックスの可能性を体現した山口小夜子の魅力 - 2人の偉業を讃えたコレクションが、日本国内ではこのイベントストアにて先行発売される。期間中、税込2万7,000円以上の購入者を対象に、限定ピンバッチをプレゼント。【イベント情報】KENZO celebrates JAPAN会期:12月7日〜2018年2月24日会場:EYE OF GYRE住所:渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F時間:11:00〜20:00
2017年12月01日「監督から’12年の夏にオファーをいただいたとき、それほど深く考えないでOKしたんです。監督の能力と人柄がよかったから。それに、ちょうど’12年の夏は、前年の福島原発事故を受けて、原発再稼働反対のデモが各地で続いていた。めずらしく日本でも社会が変わるような雰囲気があったので、その激動を、僕を通して記録しておくのは意味があるかもしれないと思ったんです」 そう話すのは、世界的音楽家の坂本龍一さん(65)。’14年に中咽頭がんを患ったが復帰し、現在もニューヨークを拠点に活躍している。そんな坂本さんの半生を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』(以下・『CODA』)が、11月4日から公開され、話題を呼んでいる。 『CODA』は、’12年から5年間にわたって坂本さんに密着。がんの発病後、食事療法に取り組む様子など、坂本さんの自宅や仕事場でのプライベートな姿が収められている。さらにイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のライブ映像、映画『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』など、世界に活躍の場を広げていくまでの貴重なアーカイブ映像もふんだんに使用されている。 「僕は、以前から環境問題に強い関心があったから、ほかの人より自然のことはわかっているという自負が多少あったんです。でも、3.11の巨大な地震と津波が起こったことで、自然の力がこれほど大きいことを知らなかった、と強いショックを受けました。人間の文明は自然の力の前に、こんなにもろくも崩れ去るんだと」 3.11とがんを経験した坂本さんは、改めて人間が持つ本来の性質、“本性”(ほんせい)を見つめ直し始めた。 「人間はやっぱり、自分ひとりでは太刀打ちできないような巨大な問題を前にしたとき、そこから目を背けて、自分がこうであってほしい、ということに耳を傾けてしまうんです。だから、原発事故後の福島の場合でいうと『放射能は怖くない』とか、『笑っている人には放射能の害はないよね』なんていう、見え透いたウソにも、恐怖心が強ければ強いほど耳を傾けてしまう。これは“人間の本性”なんじゃないかと強く思うようになってきました。そういう本性に対して、『あなたは現実を見ていない』などと僕は軽々しく非難できません」 最近、日本で高まっているナショナリズムについては、人間の本性に、より注意しなければならないという。 「’12年の春に、石原元都知事が尖閣諸島を購入すると言いだして、急速に日本人のナショナリズムに火がついた。あれから、国民の関心が、脱原発から国境問題に移っていったと思うんです。その年の12月に第2次安倍政権が誕生すると、さらに加速して、現在に至っています」 ナショナリズムが高まっていくと、戦争に突き進んでしまう恐れもある。 「このままいくと、憲法改正です。その後は、徴兵制になって、戦争に突っこんでいってーー。あなたたちのお子さんが、兵隊に取られて死ぬんですよ、と。それがわからない人は、そんなに多くないはずなのに、あまりにも巨大な歯車が回っていて、ひとりでは止められないとなると、その問題から目を背けてしまう。こういう弱さも、ある意味、人間の本性なんじゃないかと思うんです。でも、本性だからどうしようもないとあきらめてしまったら、政治の暴走を認めてしまうことになるんですよ」 回り始めた巨大な歯車をどう止めたらいいのか。ナショナリズムの危険性については、他者を認めることが大事だという。 「僕だって、自分が生まれ育った国を愛していますよ。ある意味、いま日本をズタズタにしている人たちよりも、僕ははるかに“愛国主義者”だと思う。でも、“ナショナリスト”ではありません。日本は素晴らしいけど、他国はダメなんて思わない。お互いの違いをリスペクトしあって、生きていきたいです」
2017年11月22日「僕は、以前から環境問題に強い関心があったから、ほかの人より自然のことはわかっているという自負が多少あったんです。でも、3.11の巨大な地震と津波が起こったことで、自然の力がこれほど大きいことを知らなかった、と強いショックを受けました。人間の文明は自然の力の前に、こんなにもろくも崩れ去るんだと」 そう話すのは、世界的音楽家の坂本龍一さん(65)。’14年に中咽頭がんを患ったが復帰し、現在もニューヨークを拠点に活躍している。そんな坂本さんの半生を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』(以下・『CODA』)が、11月4日から公開され、話題を呼んでいる。 『CODA』は、’12年から5年間にわたって坂本さんに密着。がんの発病後、食事療法に取り組む様子など、坂本さんの自宅や仕事場でのプライベートな姿が収められている。さらにイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のライブ映像、映画『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』など、世界に活躍の場を広げていくまでの貴重なアーカイブ映像もふんだんに使用されている。 「監督から’12年の夏にオファーをいただいたとき、それほど深く考えないでOKしたんです。監督の能力と人柄がよかったから。それに、ちょうど’12年の夏は、前年の福島原発事故を受けて、原発再稼働反対のデモが各地で続いていた。めずらしく日本でも社会が変わるような雰囲気があったので、その激動を、僕を通して記録しておくのは意味があるかもしれないと思ったんです」 実際に『CODA』の前半では3.11後に改めて自然の力を思い知った坂本さんが、首相官邸前で再稼働反対のデモに参加するシーンがある。さらに自身で、津波や原発事故で廃虚となった町を訪れる。そんなさなかの’14年、坂本さんを病魔が襲う。 「がんがわかったのは3.11から3年後。これは、人間の体という“自然”の中に起こった“がん”という一種の“災害”のようなものでしょう。それでまたショックを受けたんです」 坂本さんは、自分の健康には自信があった。 「僕は、40代ごろから食や健康には十分、気を使ってきたつもりだったんです。整体や足湯なども、みんなが言いだすはるか前からやっていたので、『そんなことは、もう昔からやっている』という自負もあった。それでも、がんになってしまうんだ、と。だから、ちょっとした自信や知識なんて、なんの役にも立たない。病気になるときはなるんだ、自然のことも体のことも、自分はわかっていなかったんだ、と気づいてね。自然に対する畏敬の念、かなわないという気持ちは強くなりました」 3.11に東北を襲った地震と津波。それから3年後に坂本さんを襲った“がん”。両者は、坂本さんにとって同じ“自然の力”を思い知らされる出来事だった。 「僕は、ここ20年くらい西洋医学は拒否して、風邪をひいても薬は飲まないで足湯で治していました。その延長でいけば、がんになっても代替医療や民間療法だけで治そうとしていたかもしれない。でも、そうしていたら、僕は今ごろ生きていないかもしれない。これはわかりませんよ。治る人もいるけど、治らない例もたくさんありますから」 そこで坂本さんは、西洋医学と民間療法、それぞれのいいところを取り入れていく。 「自分の信念とか、そういうものをちょっと低くしようと思ってね。だって、3.11のとき自分の信念だ、知識だ、自負だ、というのがことごとく役に立たないとわかって、ガツンとやられましたから。だから僕は、自分を生かしてくれた現代医療に、とても感謝しているんです」
2017年11月22日今から半世紀前に計画された「石木ダム建設計画」が本格化している。長崎県と同県佐世保市が1962年から推し進めるこの共同事業は、ダム建設に際して住居を追われる地域住民の反対運動もあり、長年停滞したままだった。(参照元:毎日新聞)しかし、2013年に国が建設計画を事業認定*1したことから自体が急変。地域住民の財産を法の下に強制収容できるようになった長崎県側が事業を加速。2015年には実際に一部農地が強制収容を受けた。 ダム建設の主な理由として挙げられているのが、佐世保市の「水源確保」と地域一帯の「洪水防止」である。だが計画立案当時から半世紀が経ち、周辺の環境は大きく変わった。計画自体の意義に疑問を投げかける声も上がっている。建設費用538億円のダムが本当に必要なのか。シンプルに両者の意見を同時に聞いてみたい。そう考えた長崎県民、NGO、企業、そして著名人が参加し、長崎県に対して公開討論会の開催を訴えるための「#いしきをかえよう」*2プロジェクトが動き始めている。(参照元:佐世保市水道局, 長崎県庁)(*1)公共性の高い事業であることを認めること(*2)いしき=石木=意識ダムの建設予定地は、長崎県川棚町に流れる川棚川の小さな支流「石木川」。夏には蛍が飛び交う石木川の流域は、川棚川の11%。ここに縦55メートル幅234メートルのダムを建てようというのが、石木ダム建設計画の概要である。計画した当時は建設理由や需要も理にかなっていたものの、時を経てその有用性が疑問視されているのが実情だ。「100年に1度の洪水がいつ起こるかは分からない」「ダムを造らないと今後水が足りなくなる」という建設賛成派と、「流域11%の石木川にダムを建設しても効果は薄い」「人口が減っているのに水の需要が上がるだろうか」という反対派が存在しているが、問題なのは建設の可否だけではない。実はこのダム建設計画、当事者となる長崎県民の理解がほとんど進んでいないという。#いしきをかえようプロジェクトを支援するアウトドアブランド、「パタゴニア」が行ったアンケートを受けた長崎県民の2人に1人が、計画のことを「よくわからない」、約8割が「県の説明が不十分」だと回答している。(参照元:patagonia_jp)その建設費用の多くに長崎県民の税金が投入される石木ダム建設。公共の福祉、つまりそこに住む人々にとって有意義な開発を担う公共事業の内情としては、いささか不安が残る結果だ。そんな現状のなかでも建設は進みつつあり、反対運動を続ける地域住民と長崎県側の緊張関係は日ごとに不安定さを増している。このままではお互いにとって不幸な結果になりかねない。※動画が見られない方はこちらそこで#いしきをかえようプロジェクトは、長崎県に公開討論会の開催を訴えるための署名活動を始めた。俳優の伊勢谷友介氏、音楽家の坂本龍一氏を始め、各界の著名人が賛同者として支援を表明している。建設賛成派と反対派の亀裂を広げるのではなく、あくまで対話の場を求めるというこのプロジェクト。単純な反対運動ではなく、ダムが本当に必要なのかどうかをみんなで考えるための活動とあって、少しずつ石木ダム建設問題の存在が当事者の外にも知られつつある。前々からパタゴニア辻井さんが聞かせてくれていた石木ダムの話。「そんなこと、ほんとにあるの?」ということがほんとにあるそうで。何の話?と思った方はHP覗いてみてね、とってもわかりやすい説明が。そしてサイトかっこいいいしきをかえよう pic.twitter.com/dvzWaGBM7G— 鎌田 安里紗 (@arisa_kamada) November 2, 2017本当に必要?未来に残すべきもの?#いしきをかえよう #ダム #環境問題 Spinna_B-ILL (@Spinna_B) November 2, 2017石木ダム水没予定地の人たちの粘り強いダム反対運動を支援する輪は、川棚町民、長崎県民はもとより、全国に広がっています。#いしきをかえよう : 石木川まもり隊 八ッ場あしたの会 (@yambatomorrow) November 3, 2017 ダム建設予定地では、家屋移転対象(ダム建設が実施された場合水の底に沈む家屋)である13世帯53人が今も日々を営む。長崎県には今一度、ダム建設のメリットとデメリットを天秤にかけた上での判断を期待したい。#いしきをかえよう実行委員会によるキャンペーンポスターPhoto by #いしきをかえようそもそもこの問題は対岸の火事ではなく、日本に住む上では避けては通れないものである。日本は世界的に見ても自然災害が発生しやすい国であり、近年も水害が多大な被害を各地域にもたらしている。直近では茨城県を常総市を中心に大きな被害をもたらした鬼怒川の氾濫や、広島市北部を襲った大規模な土砂災害が思い浮かぶだろうか。(参照元:国土技術研究センター, 国土交通省)日本にとって、水害をいかに防止するかは積年の課題なのである。そのためのダムでもあるが、その有用性を巡って騒動になる建設計画は後を絶たない。反対運動もあり最終的には着工されなかった熊本県の川辺川ダムや、逆に反対運動が行われながらも現在完成間近である群馬県の八ッ場ダムなど、全国に問題の火種は燻る。 今年も年末に向けて、忙しさは増してゆくばかりだ。今日のできごとを振り返る余裕もないそんな日常のなかで、何か大切なものを見逃してはいないだろうか。いつの間にかあなたの大切な何かが変わってしまわないように、立ち止まり考えてみよう。意識を変えよう。無関心でいられるのは、今だけかもしれない。Cover photo by Kees StreefkerkText by Yuuki HondaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!54杯目:「セックスのこと、教えて」。担当医も教えてくれない、病気や障害を持つ人の“性教育”を話す場を作る若者 #ChronicSex|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 慢性的な疾患、あるいは生まれつき障害を抱えた人たちが、どのようにセックスと向き合っているか考えたことはあるだろうか?当事者としてかつてセックスライフのあり方に悩みを持...
2017年11月22日写真家・鋤田正義のドキュメンタリー映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』が、2018年5月19日(土)より全国にて公開。デヴィッド・ボウイ、忌野清志郎を撮影した写真家鋤田正義は、デヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、マーク・ボラン、忌野清志郎、YMO等著名なアーティストの撮影を手掛けた写真家。鋤田を追ったドキュメンタリー映画は本作が初となる。今までの創作活動から鋤田の人柄まで、鋤田の軌跡を辿っていく。デヴィッド・ボウイは、鋤田に対して信頼を寄せていたアーティストの1人だ。ボウイが亡くなる2ヶ月前の2015年11月、ニューヨークで行われた写真展に向けて「SUKITAはまったく献身的で素晴らしいアーティストである。私は彼を“マスター(巨匠)”と呼ぶ。」とコメントするほどである。また、イギー・ポップも『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』制作に際し、「今まで出会ったすべての写真家の中で、SUKITAを最も信頼している。」と発言している。YMOの細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏に関しては、グループ結成前より鋤田が撮影を担当しており、作中では3人それぞれと鋤田が語らう場面も。YMOのアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のジャケット撮影時のエピソードや極め付きの秘話が披露されている。また、布袋寅泰、MIYAVI、ジム・ジャームッシュ、ポール・スミス、山本寛斎など、世界的なアーティストたちが鋤田との仕事や思い出を語り、鋤田正義の人物像を解き明かしていく。予告動画では布袋寅泰のライブ会場で撮影する鋤田やMIYAVIとのフォトセッションに臨む姿も収められてる。あらすじデヴィッド・ボウイをはじめイギー・ポップ、マーク・ボラン、YMO、寺山修司、忌野清志郎など、時代の寵児たちのきらめく瞬間を捉えた写真家・鋤田正義の創作活動から人柄までを追った初のドキュメンタリー。布袋寅泰、山本寛斎、永瀬正敏、糸井重里、リリー・フランキーをはじめとする鋤田と親交のある様々な人の証言による多くのアーティスト達に愛された鋤田の人としての魅力に迫る。【作品情報】映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』公開日:2018年5月19日(土)より新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー監督:相原裕美出演:鋤田正義、布袋寅泰、ジム・ジャームッシュ、山本寛斎、永瀬正敏、糸井重里、リリー・フランキー、クリス・トーマス、ポール・スミス、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏、MIYAVI、PANTA、是枝裕和、立川直樹、高橋靖子 他配給:パラダイス・カフェ フィルムズ2018年/日本/カラー/ビスタ/Digital/5.1ch/115分 ©2018「SUKITA」パートナーズ
2017年11月16日第30回東京国際映画祭が11月3日(祝・金)に最終日を迎え、トルコ人のセミフ・カプランオール監督による近未来SF映画『グレイン』が最高賞の東京グランプリを獲得。日本映画『勝手にふるえてろ』が観客賞を受賞した。クロージングセレモニーはまず、今年から新設された、全出品作品を対象に新進の若手俳優に贈られる「東京ジェムストーン賞」からスタート。『勝手にふるえてろ』主演の松岡茉優、『夜空はいつでも最高密度の青空だ』の石橋静河、『マリリンヌ』のアデリーヌ・デルミー、『アケラット-ロヒンギャの祈り』のダフネ・ローの4人が受賞した。日本映画を対象にした「日本映画スプラッシュ部門」の作品賞には、同部門で唯一のドキュメンタリー作品であり、大阪の下町で弁護士事務所を営むゲイカップル、彼らの元に社会での生きづらさを感じてやってくる依頼者たちの姿を描いた『Of Love & Law』(戸田ひかる監督)が受賞した。アジア映画を対象にした「アジアの未来」部門では、まるでドキュメンタリー映画のようなリアルなタッチで祖国を離れて日本で暮らすミャンマー人一家の姿を描いた『僕の帰る場所』(藤元明緒監督)が国際交流基金アジアセンター特別賞」と作品賞を受賞。同作と共に高い評価を得た中国映画で、内モンゴルを舞台にした家族映画『老いた野獣』にスペシャルメンション(審査員特別賞)が贈られた。俳優部門では、東京ジェムストーン賞に輝いたアデリーヌ・デルミーが最優秀女優賞との2冠を獲得! 本人はパリで舞台に出演中で来日はかなわなかったが、喜びのビデオメッセージが寄せられた。最優秀男優賞には中国映画『迫り来る嵐』のドアン・イーホンが輝いた。『迫り来る嵐』は芸術貢献賞も受賞しており、こちらも2冠を達成!最優秀監督賞は、『アケラット-ロヒンギャの祈り』のエドモンド・ヨウ監督が受賞。ヨウ監督は壇上で涙ながらに関係者、俳優陣への感謝の言葉を述べると共に、映画でも描いており、国際的な人権問題となっているミャンマーの少数民族であるロヒンギャ族への虐殺に触れ「彼らは過酷な運命を送っています。正解はありませんが、私も大きな疑問を抱えています。映画を通じて感じていただければと思いますし、世界は平和であらねばと思っております」と呼びかけた。そして最優秀作品賞にあたる「東京グランプリ東京都知事賞」に輝いたのは、トルコ、独、仏、スウェーデン、カタールの合作による近未来SF『グレイン』。現代社会が抱える移民問題や食糧危機をモチーフに、白黒の映像で描き出す。審査委委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズは、本作について「美しい撮影、神話を現実としたような部分に感銘を受けました」と称賛し、全会一致でグランプリ受賞が決まったと明かす。カプランオール監督は「ドウモアリガトウ」と日本語で喜びを口にし、5年の歳月をかけて本作が完成したと明かし「これが世界へと羽ばたく出発点になることと信じています」と語る。そして、映画のテーマに触れ過剰な消費や資本主義社会への警鐘を口にし「私はこの映画を種子、大地、創造への敬意を持って作りました。我々は自分たちがどこから来て、どこに向かうのか把握し、理解しなくてはいけません」と呼びかけた。授賞式後にはクロージング作品として、10年前に世界的な話題を呼んだ環境映画『不都合な真実』の続編となる『不都合な真実2 放置された地球』が上映。映画に出演している、アル・ゴア元アメリカ副大統領が来場した。ちなみにゴア氏とトミー・リー・ジョーンズは50年来の友人であり、壇上でガッチリと抱擁を交わした。また、セレモニーと舞台挨拶には、かつて環境大臣を務め、日本におけるクールビズの仕掛け人としても知られる小池百合子東京都知事も来場。2020年の東京五輪に向け、環境問題に関しても積極的に取り込んでいく所存であると語った。<第30回東京国際映画祭受賞一覧>【コンペティション部門】東京グランプリ/東京都知事賞:『グレイン』審査員特別賞:『ナポリ、輝きの陰で』最優秀監督賞:エドモンド・ヨウ(『アケラット―ロヒンギャの祈り』)最優秀女優賞:アデリーヌ・デルミー(『マリリンヌ』)最優秀男優賞:ドアン・イーホン(『迫り来る嵐』)最優秀芸術貢献賞:『迫り来る嵐』最優秀脚本賞 Presented by WOWOW:『ペット安楽死請負人』観客賞:『勝手にふるえてろ』【アジアの未来部門】作品賞:『僕の帰る場所』スペシャル・メンション:『老いた野獣』国際交流基金アジアセンター特別賞:藤元明緒監督(『僕の帰る場所』)【日本映画スプラッシュ部門】作品賞:『Of Love & Law』SAMURAI賞:坂本龍一東京ジェムストーン賞:石橋静河、松岡茉優、アデリーヌ・デルミー、ダフネ・ロー劇場動員数:63,679人/上映作品数:231本(text:cinemacafe.net)
2017年11月03日「YMO」結成前からの細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏や、デヴィッド・ボウイらを撮影してきた写真家・鋤田正義氏の初のドキュメンタリー映画『SUKITA』が、2018年5月より全国公開されることになった。本作は、2018年5月で満80歳を迎える“写真家・鋤田正義”(すきた まさよし)の創作活動から人柄までを追った初のドキュメンタリー映画であり、鋤田氏の今後の写真家としての人生をも予感させるもの。日本が誇る世界的音楽家・坂本龍一に5年間密着し、「YMO」時代からアメリカの同時多発テロ、東日本大震災を経て現在に至るまでを記録した『Ryuichi Sakamoto:CODA』の公開も控える中、本作では「YMO」の細野さん、坂本さん、高橋さんそれぞれと語らう鋤田氏の姿が映し出され、アルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のジャケット撮影時のエピソードを愉しそうに3人が披露し、その秘話も明かされている。鋤田氏といえば、「YMO」以外にも、2016年に急逝したデヴィッド・ボウイとの40余年に及ぶコラボレーションが有名。また、イギー・ポップ、マーク・ボラン、寺山修司、忌野清志郎など、時代の寵児たちをカメラに収めたことでも知られる。1938年に福岡生まれ。高校生のころに母親にカメラを買ってもらったことで「もう一つの“時”」があることを知ったと語っている。1960年代から頭角を表し、1970年には活躍の場を世界に広げ、そのフィールドは広告、ファッション、音楽、映画まで多岐にわたっている。現在もイギリス、フランス、イタリア、アメリカなどの世界各地で、自身の写真展を展開中だ。劇中では、坂本さんをはじめ、布袋寅泰、MIYAVI、ジム・ジャームッシュ、ポール・スミス、山本寛斎、永瀬正敏、リリー・フランキー、是枝裕和など、世界に名だたるアーティストやクリエーター、映画監督たちが鋤田氏との仕事や思い出を語っており、かなり貴重なドキュメンタリーといえそうだ。『SUKITA』は2018年5月より新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月02日音楽家の坂本龍一が、第30回東京国際映画祭のSAMURAI(サムライ)賞に選出され1日、東京・TOHOシネマズ六本木で行われた授賞式に出席した。第27回東京国際映画祭より新設されたSAMURAI賞は、比類なき感性で"サムライ"のごとく、常に時代を斬り開く革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を称える賞。今年は、『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞を受賞するなど、映画音楽家としても世界で名を馳せる坂本龍一が選出された。同映画祭の久松猛朗フェスティバル・ディレクターからトロフィーを受け取った坂本は、「刀の絵が描いてある」と"刀"デザインを発見。「映画に関わった最初の作品『戦場のメリークリスマス』では、役者として刀で居合いをするシーンがあり、撮影の前に居合道場に通って刀の使い方を習ったのを思い出しました」と懐かしそうに話した。また、「撮影現場でも刀を振り回して刀が曲がっちゃったり」と続け、「こういうのを持つと切りたくなっちゃうんですよね、人間って」と、やんちゃにトロフィーを刀のようにして振り回す動きも。「そんな思い出が頭をよぎって思わず振り回したくなっちゃった」と笑い、「侍という名に私がふさわしいか、大いに疑問がありますが、ありがとうございます」とネーミングと自身のギャップにやや戸惑いつつ、受賞を喜んだ。授賞式に続いて、特別招待作品として出品された坂本龍一のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』(11月4日公開)の舞台挨拶も行われ、坂本とスティーブン・ノムラ・シブル監督が出席した。なお、SAMURAI賞の第1回受賞者は北野武とティム・バートン、第2回受賞者は山田洋次とジョン・ウー。第3回受賞者はマーティン・スコセッシと黒沢清となっている。
2017年11月01日第30回東京国際映画祭において、音楽家の坂本龍一が時代を切り拓いていた映画人に贈られる「SAMURAI賞」を受賞。11月1日(水)に授賞式が行われ、坂本さんは映画『戦場のメリークリスマス』撮影時の思い出などを語った。今年で4回目を迎えるSAMURAI賞。大島渚監督作で、音楽のみならず、俳優としてビートたけし、デヴィッド・ボウイらと共演を果たした『戦場のメリークリスマス』、アカデミー賞受賞の『ラストエンペラー』、また近年では山田洋次監督作品『母と暮せば』、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督『レヴェナント:蘇えりし者』、李相日監督作品『怒り』など、そのキャリアにおいて数々の映画音楽に携わってきた坂本さんに贈られた。■坂本龍一、『戦場のメリークリスマス』撮影時をふり返り「当時はそんな意識も高くなくて…」侍の刀をイメージしたトロフィー受け取った坂本さんは、自らに突き刺すようなしぐさを見せるなど、壇上でも茶目っ気たっぷり。「思い起こすと『戦場のメリークリスマス』では、役者として居合いをするシーンがあり、撮影前に道場に通って、文字通りの付け焼刃で刀を振り回すのを習いました。現場でも、みんな軍人の役で刀を持ってるんですが、振り回して曲がっちゃったり…(笑)。こういうのを持つと、振り回したくなっちゃうんですよ。危ないですね、人間って(笑)。いまでこそ森林保全の運動とかやってますけど、当時はそんな意識も高くなくて、撮影が行われた南太平洋の島の木をバッサバッサと切ってました(笑)」と明かし、会場は爆笑に包まれた。坂本龍一/第30回東京国際映画祭■5年にわたるドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』について言及この日は授賞式に加えて、坂本さんに密着し、その活動を5年にわたって追いかけたドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』の上映も行われた。坂本さんは「僕は、自分の素顔をさらけ出すとか、そういう趣味はないんです。ではなぜ撮影を承諾したのか?ひとえに監督の人柄、人間性に惹かれて、任せてもいいかなと思ったから」と同席した本作のスティーブン・ノムラ・シブル監督を称賛する。坂本龍一&スティーブン・ノムラ・シブル監督/第30回東京国際映画祭5年におよんだ撮影について「当初、監督も何か『こういうものに…』という計画があったと思うけど、だんだん収拾がつかなくなっていきました(笑)。そのうち僕が病気(※2014年7月に中咽頭癌の罹患を発表。その後、1年にわたって治療、療養を行なった)になって『やった!』と思ったでしょ(笑)。『これでドラマチックになる!』と。思ったに違いないです(笑)。計画通りじゃなく、起こることを追ってるうちにこうなって、気がついたら5年経っていました」とふり返った。坂本龍一にとって“映画音楽”とは?大島渚、ベルトルッチ、ペドロ・アルモドバル、イニャリトゥなど、これまで錚々たる名匠たちと仕事をしてきた坂本さん。改めて「坂本さんにとっての映画音楽とは?」と問われると「難しい質問だな…(苦笑)」と思案しつつ「映画にはルールはない。自分の仕事を否定するみたいですが、必ずしも映画に音楽は必要なくて、あってもなくてもいいと思っています。映画が(音楽を)必要とするかどうか?映画が主人公であり、作っているうちに、必要とされる場所、いい場所に必要とされる“音”があれば、映画音楽の役割として、最高に幸せなケースだと思います」と語った。『Ryuichi Sakamoto: CODA』は11月4日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月01日坂本龍一のライブパフォーマンスを収録した映画『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async』が、2018年1月27日(土)に全国劇場公開される。監督はドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』と同様にスティーブン・ノムラ・シブルが務める。幻のライブパフォーマンスを収録『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async』には、2017年4月にニューヨークのパーク・アベニュー・アーモリーで行われた限定ライブの様子が収められている。2日間にわたって行われた限定ライブは、各日100人ずつしか見ることのできなかった“幻の”パフォーマンスだ。「非同期的な音」を表現限定ライブは、8年ぶりに発売されたオリジナルアルバム「async」を記念して行われた。これまで映画音楽やテクノといった“同期”を前提とする楽曲を手掛けてきた坂本龍一が、「async」で表現するのは「非同期的な音楽」。通常は音を組み合わせ、調和させて音楽を形成していくが、「音」そのものを中心に据え“非同期的な”音楽を作り上げていく。ライブでは、「アンドレイ・タルコフスキー監督の架空の映画音楽を書く」というコンセプトの下、ピアノやガラス板を使って、感じるがままに「非同期的な音楽」が演奏された。「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくなかった」という鮮烈なキャッチコピーで締めくくられる予告編からは、ライブならではの緊張感と、観客も坂本龍一本人も「音」そのものと集中して向き合う様子が見てとれる。ドキュメンタリーと連続でプレミア上映も2017年11月3日(金・祝)には、2017年11月公開の『Ryuichi Sakamoto: CODA』と2本連続でプレミア上映される。坂本龍一の人物像とパフォーマンスを一度に体感することが出来る機会となっている。作品情報『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async』公開日:2018年1月27日(土)角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国の劇場料金:全国共通観賞券 2,200円(税込)、当日窓口料金 2,500円(税込)均一(各種割引・招待券不可)チケット販売:チケットぴあ、イープラスオンラインチケット予約 ※11月4日(土)10:00から発売原題:RYUICHI SAKAMOTO: asyncAT THE PARK AVENUE ARMORY監督:スティーブン・ノムラ・シブル『Ryuichi Sakamoto: CODA』出演:坂本龍一配給:ライブ・ビューイング・ジャパン©KAB America Inc./SKMTDOC, LLC■プレミア上映上映作品:Ryuichi Sakamoto: CODA』『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』※2作品連続上映(途中休憩なし)日時:2017年11月3日(金・祝) 19:00場所:角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、大阪ステーションシティシネマほか料金:5,000円均一※来場者には当日のみの限定オリジナルチケットホルダーをプレゼントチケット販売:チケットぴあ
2017年10月27日2012年から5年間という長期間に渡る密着取材によって実現した、世界的音楽家・坂本龍一のドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』。ワールドプレミアを果たしたヴェネチア国際映画祭でも大好評を博した本作から、坂本さんの“いま”を捉え、 繊細な“音”が“音楽”になる瞬間を捉えた予告編が到着した。坂本さんの代表作にして、映画音楽家としての出発点でもある『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲、「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」の美しい旋律が印象的な予告編では、坂本さんの音楽的変化のきっかけにもなった、3.11の津波をかぶったピアノとの出会いのシーンからスタート。また、予期せぬガン告知を受けた後に坂本さんからこぼれた本音や闘病生活、そして“音”への憧れを語る姿や、森の中や自宅の庭、北極など様々な場所で“音”を集め、それが坂本さんの紡ぎ出す“音楽”とひとつになる様子がこの映像から確認することができる。さらに細野晴臣、高橋幸宏と組む「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)の1979年ロサンゼルスでのライブ映像や、『ラストエンペラー』製作当時に坂本自身が撮った本邦初公開となる秘蔵フィルムなど、貴重な映像の一部も収められている。『Ryuichi Sakamoto: CODA』は11月4日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年09月21日10月25日~11月3日に東京・六本木ヒルズを中心に開催される第30回東京国際映画祭(TIFF)の「特別招待作品」のラインナップが16日に発表された。オープニング作品は、荒川弘氏の人気漫画をHey! Say! JUMP・山田涼介主演で実写映画化した『鋼の錬金術師』。クロージング作品は、元アメリカ副大統領アル・ゴア氏が地球温暖化問題に警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画『不都合な真実 2:放置された地球』に決定した。また、今年は第30回オープニングスペシャルとして、巨匠チェン・カイコー監督作品、日中共同製作映画史上最大のビッグプロジェクトとして注目される『空海-KU-KAI-』の特別フッテージがオープニングセレモニーにて上映される。オープニング作品『鋼の錬金術師』のほか、日本からは「牙狼<GARO>」シリーズ最新作『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA』、全国高校写真部の日本一を決める実在の大会「写真甲子園」に焦点を当てた『写真甲子園 0.5秒の夏』、関ジャニ∞・丸山隆平の映画単独初主演作『泥棒役者』、広瀬アリスが巫女役で主演を務める『巫女っちゃけん。』、伊吹有喜の小説を原田泰造主演で映画化した『ミッドナイト・バス』が選出された。また、世界的音楽家・坂本龍一を追った日米合作のドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』も上映される。○第30回東京国際映画祭 「特別招待作品」ラインナップ一覧オープニング作品『鋼の錬金術師』(監督:曽利文彦)クロージング作品『不都合な真実 2:放置された地球』(監督:ボニー・コーエン/ジョン・シェンク)『エンドレス・ポエトリー』(監督:アレハンドロ・ホドロフスキー)『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA』(監督:雨宮慶太)『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(監督:トラヴィス・ナイト)『スリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』(監督:マーティン・マクドナー)『シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』(監督:ギレルモ・デル・トロ)『写真甲子園 0.5 秒の夏』(監督:菅原浩志)『泥棒役者』(監督:西田征史)『巫女っちゃけん。』(監督:グ スーヨン)『Mr Long/ミスター・ロン』(監督:SABU)『ミッドナイト・バス』(監督:竹下昌男)『MUTAFUKAZ』(監督:ギヨーム・ルナール)『Ryuichi Sakamoto: CODA』(監督:スティーブン・ノムラ・シブル)『ローガン・ラッキー』(監督:スティーヴン・ソダーバーグ)
2017年09月16日アメリカ占領下の沖縄で米軍に挑んだ男、瀬長亀次郎を描いたドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』。8月12日(土)より先行公開された沖縄・桜坂劇場では、大ヒットを記録。そして8月26日(土)より東京・ユーロスペースでも公開されると、公開3日目の2回目までの10回の上映が全て満席となる大ヒットスタートとなった。それでも勢いは衰えず、公開4週目の9月2日(土)までには、全国の興行収入累積1,500万円を突破。また来週末には、沖縄の観客動員累計が1,000万人を突破する見込みとなっている。沖縄だけでなく、東京をはじめとする全国公開劇場で話題となっている本作。公開規模はさほど大きくはないが、なぜここまで人々を引き付けるのか?本作の注目すべき点を挙げていく。■沖縄の知られざるヒーロー・瀬長亀次郎第二次大戦後、米軍統治下の沖縄で唯一“弾圧”を恐れず米軍に「NO」と叫んだ日本人がいた。「不屈」の精神で立ち向かった沖縄のヒーロー・瀬長亀次郎。民衆の前に立ち、演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させた。彼を恐れた米軍は、様々な策略を巡らすが、民衆に支えられて那覇市長、国会議員と立場を変えながら亀次郎は政治家として闘い続けた。本作ではその知られざる実像と、信念を貫いた抵抗の人生を、稲嶺元沖縄県知事や亀次郎の次女など関係者の証言を通して浮き彫りにしていく。■反響を呼んだTV番組を追加編集したTBSの集大成2016年、TBSテレビで放送されたドキュメンタリー番組「米軍が最も恐れた男~あなたはカメジローを知っていますか」の映画化を熱望する声を受け、追加取材・再編集を行って映画化した本作。JNNだけが持つ貴重な未公開映像やインタビューを盛り込み、そしてアメリカ取材を交えて製作された。■沖縄の原点をたどり、歴史の点と線を結ぶ沖縄返還45年、日本国憲法施行70年、瀬長亀次郎生誕110年と、節目ともいえる今年に制作された『カメジロー』で監督を務めたのは、TBSニュース番組「筑紫哲也NEWS23」でキャスターを務め、筑紫哲也氏の薫陶を受けたという佐古忠彦。佐古監督は初監督作が異例のヒットを記録しているが、9月2日(土)に実施された舞台挨拶では「初めて映画制作に挑戦しまして、上映後に拍手を頂くというこんなに嬉しいことはありません。本当にありがとうございます」と一言。さらに「瀬長亀次郎を取り上げようと思ったきっかけは?」というMCからの問いに対し佐古監督は、「日々、沖縄の基地問題をお伝えする中で、中々瞬間瞬間を切り取るだけで、全体像が伝わらないなという想いがずっとあり、当時の沖縄で一体何があったのか、沖縄の戦後史が本土の人の認識からすっぽり抜け落ちているんだなという気がずっとしていた。あの時代の主人公の1人である瀬長亀次郎さんを通して、戦後史を見つめることで、本土の人の一面的な批判がなくなり、『なぜ、沖縄の人が声を上げ続けるのか』その核心を感じ取ってもらえるかもしれないと思った」と切り出し、「亀次郎さんという人はたくさんのエピソードを持っていて、そこをどんどん掘り下げていきたいという想いと、沖縄の戦後史を見ないといけないという想いもありましたから、そこをどう編み込んでいくか、作り手としては、一番悩ましいところではあった」と苦労も語った。本作では、作品の主旨に共感した坂本龍一によるオリジナル楽曲書き下ろし、さらに語りには、名バイプレイヤー、大杉漣が参加している。沖縄は、リゾートや観光目的で世界中から毎年多くの人が訪れている。温暖な気候、美しい自然や、優しい現地の人々に癒される人も多くいるのではないだろうか?しかし、現地に住む沖縄の人々は“米軍基地問題”で、いまも人々は危険と隣り合わせで生活を送っている。それにも関わらず、沖縄の人々と私たちとの間の基地問題に対する温度感は、もはや“他人事”レベルに離れてしまってはいないか?本作は、いまの日本の現状を問いただすためにも、観る意義があると言える。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』は全国にて順次公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年09月05日アダム・ドライバーが“インディーズ映画の雄”ジム・ジャームッシュとタッグを組み、昨年のカンヌ国際映画祭でも絶賛された『パターソン』。その公開を記念して行われたジャームッシュ監督初期3部作の投票の結果、カンヌでカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した『ストレンジャー・ザン・パラダイス』が第1位となり、劇場上映が決定した。最新作の『パターソン』は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『沈黙-サイレンス-』に出演し、いまや次世代ハリウッドを代表する俳優となったアダムが、“パターソン”という街に住む、バスの運転手パターソンを演じる珠玉作。「君のことを思いながらこのシーンを書いた」という監督たっての希望で、永瀬正敏が『ミステリー・トレイン』(’89)以来ぶりにジャームッシュ作品に再出演していることでも話題を呼んでいる。そこで、「もっとジャームッシュを若者にも知ってもらいたい!」と、ヒューマントラストシネマ渋谷主催で今回の投票&上映キャンペーンを実施。80年代の公開以来、現在もカルト的な人気を誇る初期3部作『パーマネント・バケーション』(‘80/卒業制作)、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(’84)、『ダウン・バイ・ロー』(’86)の中から、ファンたちが好きな1作品に投票。ジャームッシュ作品のTシャツを着た熱狂的なファンを思わせる方から感度鋭い若者たちまで、10代~60代近くの幅広い層から票を得て、最後は『ダウン・バイ・ロー』と得票数を競り合った結果、1位は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に決定!8月22日(火)の1夜限りの上映で、渋谷のスクリーンに公開当時の興奮が蘇る。この結果に際し、ヒューマントラストシネマ渋谷の支配人は「投票期間中は、たくさんの方にご参加いただき誠にありがとうございました。過去に某アパレルブランドで販売されたジャームッシュの作品Tシャツを着て投票してくださった方もいて、企画側の人間として目頭が熱くなりました…!イベント当日が楽しみです!」と喜びいっぱいにコメント。1986年4月19日より日本公開された『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は、ミニシアター・ブームの草分け的作品としてロングランヒットに。ニューヨークに住む若者ウィリーとハンガリーからやって来た彼の従妹エヴァ、ウィリーの相棒エディという3人の若者の触れ合いを描く。印象的な音楽を手がけたのは、主演を務めたジョン・ルーリー。「新世界」「一年後」「パラダイス」の3部構成で、全編モノクロで撮影。35ミリ長編映画としては第1作目。同作の公開当時には、錚々たる面々からコメントが寄せられた。※1986年公開時パンフレットより転載(敬称略/順不同)■山田洋次(映画監督)とても感心しました。三人の貧しい若者たちに熱い愛情のまなざしをなげかけながら、自由への憧れをせつせつと謳った作品。素晴らしい才能です。■村上春樹(小説家)とても面白い映画で、知人にも勧めております。ゴダールをもっとポップにしたみたいな感じだけど、嫌み・臭みがないのが良かったです。■坂本龍一(ミュージシャン)ワンカット、ワンカットが昔のアルバムを見るときの様に甘酸っぱいものを漂よわせている。アメリカという国への愛、小津の反映、ウィリーたちのライフ・スタイルetc。どれをとっても好感がもてる。ジャームッシュの初期作にして、永遠の代表作ともいわれる1本。集大成的作品『パターソン』とともに堪能してみては?『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は8月22日(火)18時40分の回のみ、ヒューマントラストシネマ渋谷にて上映。『パターソン』は8月26日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2017年08月17日未婚の女性は、たいてい女性が書いた「結婚本」を読んでいるのではないでしょうか。でもそれだと、テクニック的なことは学べても、男性の気持ちはわからないかも。今回は男性、しかも経験豊富な大人の男性が書いた、結婚の本をご紹介します。◆カリスマ編集者が語る男の本音まずは『結婚』(末井昭/平凡社)。著者はカリスマ編集者の末井昭さんです。奥さまは写真家の神蔵美子さんで、お二人はW不倫から結婚しています。当時の神蔵さんの旦那さまも文芸評論家として活動していて、文化人の三角関係と話題になりました。神蔵さんも写真集に、末井さんと不倫していた頃の気持ちや、結婚生活を赤裸々に書いているのですが、今回は末井さんのエッセイです。内容はかなり重いけれど、不倫の末に離婚した元妻のことなども綴られていて、恋に苦しむ男性の本音がよくわかります。結婚ってそんなにキラキラしてないのかも…と、あえて現実を見たい人におすすめ。なお、女性には理解し難い男性の性欲、浮気、嫉妬などについても記載されています。男心がわからない!と悩んでいる人は手に取ってみては。◆自分に合う相手を考えるきっかけに次は『結婚への道』(岡村靖幸/マガジンハウス)。人気ミュージシャン岡村靖幸さんの対談集です。岡村さんは50代ですが、結婚歴のない独身男性。たくさんのファンがいてモテモテかと思いきや…。でも“結婚したい”ということで、いろいろな著名人と結婚について話をしています。対談の相手は糸井重里さん、坂本龍一さん、堀江貴文さん、藤井フミヤさん、ロンブー田村淳さんなどモテそうな男性や、東村アキコさん、YOUさん、夏木マリさんのような大人の女性たち。岡村さんの「結婚っていいものですか?」「セックスは大事ですか?」「どうして何度も結婚するのですか?」といった素朴な疑問に、ゲストも本音で答えています。個人的には「岡村さんにはこんな女性と結婚したらいいと思う」という何人かの発言が面白いなと思いました。故・大島渚監督の奥さまで女優の小山明子さんは「明るい性格の人がいいわ」と言い、作家の吉本ばななさんは「岡村さんには結婚相手を見た目だけで選んでほしい!」と意外な一言。さらに放送作家の鈴木おさむさんは「16歳の女子高生がいいと思います」との衝撃発言!自分に合う結婚相手ってどんな人だろう?と悩んでいる人には、特におすすめです。◆独女も既女も心の重荷が軽くなる最後は『困難な結婚』(内田樹/アステルパブリッシング)。思想家・倫理学者で神戸女学院大学の名誉教授でもある内田樹さんが、結婚について書いています。内田さんは現在既婚ですが、離婚歴があり、以前はお嬢さんを引き取ってシングルファーザーとして子育てしていたそうです。大学でたくさんの女子大生と接してきたこともあってか、女性の気持ちに対して細やか。結婚するのは何のためか?結婚式はしたほうがいいのか?夫婦間のコミュニケーションとは?など、未婚女性だけではなく、既婚女性にも読んでほしい1冊となっています。著者の「結婚前の人は、結婚がしたくなる。結婚している人は気楽になる。そのためにこの本を書きました」という言葉が印象的でした。◆あなたにフィットする1冊は?編集者、ミュージシャン、学者…大人の男性たちが書いた結婚本のうち、あなたが読んでみたいと感じたのはどの本でしょうか?「結婚したいけどできない」「自分が本当に結婚したのかわからない」などとモヤモヤしたら、恋や婚活をちょっとお休みして、読書でもしてみてはいかがですか?ライタープロフィール天野りり子ライター/編集者大学在学中からライター&編集稼業をスタート。女性誌ではビューティ&ヘルス企画、男性誌では恋愛記事を多数執筆、書籍編集も手がける。趣味は読書とタロット占い、そして恋バナを収集すること。
2017年08月14日世界的音楽家・坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画が、この度、8月30日(現地時間)にイタリア・ベネチアで開幕する「第74回ベネチア国際映画祭」のアウト・オブ・コンペティション部門に公式出品されることが発表。あわせて映画の正式タイトルが『Ryuichi Sakamoto: CODA』に決定し、11月4日(土)より公開されることが明らかになった。坂本さんは、1978年「千のナイフ」でソロデビューし、細野晴臣、高橋幸宏の3人でイエロー・マジック・オーケストラ「YMO」を結成し世界的人気に。80年代には『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』に出演しその音楽も手掛け、多くの賞を受賞。以後、作曲家、演奏家、音楽プロデューサーとして幅広いジャンルで活動。90年代後半になると、社会問題・環境問題に意識を向けるようになり、その変化は音楽表現にも表れるように。そして2014年、中咽頭がんと診断され、1年近くに及ぶ闘病を経て復帰。今春には8年ぶりのオリジナルアルバム「async」をリリースした。本作は、2012年から5年間という長期間に渡る本人への密着取材によって実現。さらに膨大なアーカイブ素材が映画を彩っている。震災以降の坂本さんの音楽表現の変化に興味をもち、密着取材を始めたのは、本作が劇場版映画初監督となるスティーブン・ノムラ・シブル。坂本さん自身が「全てさらけだした」という本作は、過去の旅路をふり返りながら、新たな楽曲が誕生するまでの“坂本龍一の音楽と思索の旅を捉えたドキュメンタリー”となっている。坂本さんにとって本映画祭は、2013年にコンペティション部門の審査員として参加したゆかりの深い映画祭。今回は自身の出演作品が、日本での公開に先駆けてワールドプレミアを果たすことになった。『Ryuichi Sakamoto: CODA』は11月4日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年07月27日ケンゾー(KENZO)の2018年春夏コレクションが、パリファッションウィーク最終日の2017年6月25日(日)に発表された。5日間にわたって開催されたパリコレクションもついに最終日。ラストショーはケンゾーだ。今シーズンもメンズ・ウィメンズ統合で発表。そのシチュエーションを活かし、今回は坂本龍一の生まれ変わりである男性と山口小夜子の生まれ変わりである女性の出会いを描いたという。サイケデリックなモチーフは、70年代~80年代の2人が若かった当時を想わせる。メンズではテーラードの打ち出しからはじまり、様々な色柄を乗せてスポーティーなニュアンスを匂わせた。特に、顕著に表れたのはモーターサイクルのテイスト。ジャケットはパッチワークでポップに表現し、シャツはまるで架空のチームを想わせるロゴ入りだ。ボトムスは一貫してハイウエストで提案している。フォーマルでもタックによって大きく膨らんだペグトップ・パンツや、インパクトのあるテキスタイルは緩いシルエットのハーレム・パンツを合わせるのが、今シーズンのムードらしい。一方ウィメンズでは、エッジィなスタイルをグラマーなドレスを中心に表現している。光沢のあるドラスティックなワンピースは、フリルやラッフルをあしらい、シアーなブラウスをプラス。まるでトルネードのようにあしらわれた波打つディテールの存在感は大きく、ドレスをより躍動的に見せてくれる。ストライプは、自由気ままに洋服を走り抜け、シースルーの素材でセンシュアルなテイストも加味する。それらはまさしく、山口小夜子の繊細さと力強さをそのまま見ているようでもある。2人の出会いに際して登場したポップな花柄は、セットアップで提案。そして、独特のペイズリー柄、斜めにも縦にも走るストライプ、立体的な絞りのプリーツ。多彩なテキスタイルは、組み合わせることでより一層、パワーをみなぎらせている。
2017年06月29日今年8年ぶりにソロアルバム「async」を発表した音楽家の坂本龍一が、6月3日(土)今夜放送の「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」に出演、「動的平衡」の概念を提示、生命の謎を探求する生物学者の福岡伸一と活動拠点のニューヨークで語り合う。東京藝術大学に在学していた頃からスタジオ・ミュージシャンとして活動、細野晴臣、高橋幸宏らと結成したテクノポップユニット「YMO」として発表した「ライディーン」や「君に、胸キュン。」などが大ヒット、『戦場のメリークリスマス』では音楽を手がけただけでなく俳優として作品にも出演、日本人初の英国アカデミー賞作曲賞を受賞。その後1987年公開の『ラストエンペラー』では日本人初のアカデミー作曲賞を受賞したほか、世界的な音楽賞を数多く受賞。その音楽性が国内のみならず世界で高く評価された坂本さん。2014年に中咽頭がんを公表、1年近くにおよぶ闘病生活を経て山田洋次監督作『母と暮せば』、第88回アカデミー賞で3部門の受賞に輝いたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『レヴェナント:蘇えりし者』の音楽を同時期に手がけて復帰。昨年は芥川賞作家・吉田修一と鬼才・李相日監督、そして渡辺謙をはじめとする超豪華キャストが競演を果たした映画『怒り』の音楽を担当したのも記憶に新しい。一方、分子生物学の見地から「生命とは動的平衡にある流れである」という「動的平衡」の概念を提唱した福岡さんは、BSE問題で独自の見解を発表、生物学界だけでなく社会全体から大きな注目を集め、2007年の「生物と無生物のあいだ」がベストセラーとなった。今回は坂本さんがコンサートを行ったホールと福岡さんが研究活動を続けるロックフェラー大学で、秩序や論理の限界を知ったうえで自然を見つめ直すことの重要性と、音楽と生物学の意外な共通点についてトークを繰り広げる。最新アルバムで街の雑音などの“ノイズ”を取り込んで既製の音楽像と異なる音楽の形を提案した坂本さんと、「動的平衡」について考察するなかで論理を越えた自然の力の大きさに魅せられてきた福岡さんの2人の語り合いから見えてくるものとは!?「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」は6月3日(土)22時~NHKEテレで放送。(笠緒)
2017年06月03日「"無限"とは"時間"や"時空"ではなく、"想い"なのだと感じています。限りの無い"想い"。それは"永遠"と呼んでもいいものだと思います」俳優・木村拓哉にとって『武士の一分』(06年)以来、約10年ぶりの時代劇主演となる映画『無限の住人』。沙村広明氏の人気漫画が初の実写化、さらに木村と三池崇史監督の初タッグということもあり、メディアは大々的に取り上げた。SMAP解散騒動で日本中に激震が走った2016年1月、木村は不死身の侍・万次をようやく演じ終える。2015年10月5日、映画化が発表されたあの日から、どれだけの人がこの作品を話題にしてきたのだろうか。冒頭にあるのは、「無限とは?」に対する木村の答えだ。公開初日を迎えた2017年4月29日、舞台あいさつの壇上で「客席の皆さまのものになりました」と引き締まった表情で呼びかけた木村。今回の連載は「∞」になぞらえ、8名のスタッフの証言をもとに、『無限の住人』が「皆さまのもの」になるまでの「無限の想い」をまとめた取材記録である。3人目・連載第8回は、『戦場のメリークリスマス』『ラスト・エンペラー』『BROTHER』など数々の名作を手掛けてきたイギリス人プロデューサー、ジェレミー・トーマス氏。三池監督作は、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)に続いて3度目。同氏が代表を務める「Han Way Films」が本作の海外セールスを担っている。世界的に活躍する敏腕プロデューサーは、木村拓哉と三池崇史をどのような人物として捉えているのか。○パーフェクトなキャスティング――いよいよ公開を迎えます(4月に取材)。三池監督と木村さんのタッグについては、どのような印象ですか。パーフェクトなコンビネーションではないかと思っています。三池監督はとても素晴らしい監督で、技術的な面でも芸術的な面においても巨匠と呼べる監督です。非常に優れた映画作りをすることが出来て、今回の現場では、シングルカメラでセットアップが多くなってしまう状況を見事にこなしたことは彼の力量を証明していますし、木村さんは現場でも監督と常にタッグを組んでいて、それは文章で表される以上に素晴らしいものであったように感じています。――三池監督は木村さんが不死身の侍・万次を演じることについて、運命的なキャスティングだったとおっしゃっていましたが、そのことについてはどのように思われますか?キャスティングというのは私も長年大切にしてきたことですが、今回の場合はパフォーマー、例えば木村さんが音楽をやってきたことや市川海老蔵さんが歌舞伎をやってきたこと、様々な形で役者としてやってきたことを踏まえた上でこの作品でも素晴らしい演技をみせてもらう、そういった意味においても、とても良いキャスティングであったように感じています。大島渚監督と働いた『戦場のメリークリスマス』という作品では、坂本龍一さん、デヴィッド・ボウイさんらは音楽家であるにも関わらず演技が素晴らしくて、三池監督もそういった部分を見抜いた上でキャスティングしたのではないでしょうか。監督はポップカルチャーに造詣が深く、キャスティングに関しては木村さんのみならず、色々なところから才能を上手く組み合わせて作り上げていく。パーフェクトなキャスティングだと思いますし、そのことがこの映画にパーソナリティ、性格を付与しているではないでしょうか。海外に目を移せば、SMAPの木村さん、歌舞伎の市川さんらの名前の方が知られているのかもしれませんが、他のキャスティングに関しても素晴らしいと考えています。またキャスティングというと役者のことばかり考えがちですが、この映画の場合、音楽を含め、スタッフも素晴らしいキャスティングでした。はじめMIYAVIさんが音楽を担当されると聞いた時は、ポップソングであることに少しだけ抵抗を感じました。時々、どうしてこの映画にこの音楽なのだろうと思うことがあるからです。しかし実際にMIYAVIさんの曲を聴いてみると本当に素晴らしく、独特の世界観を持っていて、この映画の物語にピタッとはまる、そういう楽曲になっていたように思います。○日本映画を世界に届けたい――世界中の名だたる巨匠達の作品をプロデュースしてこられましたが、三池監督とはどういった経緯で関わるようになったのでしょうか?私は谷崎潤一郎が大好きで、村上龍さんの『オーディション』や『イン ザ・ミソスープ』等を読んでいました。そこから三池監督の『オーディション』を観ることになって、元々三池監督の『中国の鳥人』等は拝見していて素晴らしいと思っていたのですが、『オーディション』を観てこれぞマエストロだと感心しました。今の若い人達はあまり谷崎文学を知らないかもしれないですが、私は谷崎が大好きで、当時是非脚色したいと考えていた作品がありました。その話をヴェネツィア映画祭に参加していた三池監督とお会いした時にお話ししたのですが、その数カ月後、『十三人の刺客』の中沢敏明プロデューサーから電話がかかってきて、それをきっかけに三池作品の製作に関わるようになりました。そしてその後も続投したのは、やはり三池崇史という才能と是非組みたいと思ったからです。思い起こすのは大島渚という本当に素晴らしい監督で、リスクを負って非常に強いものを持った作品を作っていった、それと同じようなものを感じますし、その後も北野武監督といった素晴らしい日本の監督と働かせていただく中で、私にとっての三池監督は、そういった日本に連なっている映画的才能を受け継ぐ監督であると考えています。三池監督だからこそコラボレーションしたいと思うのです。人は私のことを変わったプロデューサーと呼びます。それは何故かというと、私が一番大切にしているものが、テイスト(自分の趣味にあうかどうか)、であるからです。そういった意味においても私は三池監督が大好きですし、『無限の住人』に関わりたいと思ったのも、三池監督の作品だったからです。その時にはまだ木村さんのキャスティングも出ていませんでした。映画の世界というのは私が業界に入ってから随分と変わりました。1967年からずっと映画に関わり続けていますが、当時の日本映画の重要な監督といえば、今村昌平、溝口健二、黒澤明、小津安二郎、こういった監督達が常に何かしらの作品を発表しているという状況がずっと続いていましたが、それがある時期を堺に止まってしまいました。しかし私は今、日本映画というものを世界の観客に届けることができる、そういった監督の一人が三池監督であると考えています。『十三人の刺客』でまさにそれを証明していると思いますし、世界の観客が日本映画を求めている、そして三池監督も自分の作品を世界に届けたいと思っていらっしゃるから、是非私も力添えしたい、こういったタイプの日本映画を観たことのない人に、是非観てほしいと思っています。また、日本映画を外国に持っていくと、どうしても字幕が入ってしまいます。そうすると作品は日本でいう所謂アートハウス系の映画館に入ってしまい、色々な人にたくさん観てもらうといったことが難しくなってしまうのですが、だからこそ私はカンヌ映画祭のような場所に『無限の住人』を持っていきたい。そうすることによって、世界中の映画を愛する方々にこういう映画があるということを伝えることができるからです。○海外メディアの高評価確信「本当のこと」――木村さんの存在は、世界でどのように受け止められると感じていますか?木村さんは非常に才能があり、知的な人です。私にとっては坂本龍一さんを思い起こさせます。とても素晴らしい役者ですし、強烈な存在感。主演として出演時間も長いですし、ハンサムな顔も映される、そしてスタントを使わず全てのアクションをこなしているわけですから、『無限の住人』を通して世界からも注目されるようになるのではないでしょうか。サーファーとしてかなり腕があると聞いていますが、やはり肉体的な強靭さや身体能力の高さがその演技力と相まっていて、そういった意味においても世界から認知される資質はあると思いますし、そうなると思っています。私は、『無限の住人』がニューヨーク・タイムズ等といった世界的に権威のあるメディアから「すばらしい侍映画である」、そういったレビューが出ることを待っています。なぜならそれは、本当のことですから。■プロフィールジェレミー・トーマス1949年7月26日生まれ。イギリス・ロンドン出身。映画プロデューサー。これまで、『戦場のメリークリスマス』(83)、『ラスト・エンペラー』(88)、『リトル・ブッダ』(94)、『BROTHER』(01)、『裸足の1500マイル』(03)、『十三人の刺客』(10)、『一命』(11)などを手掛ける。(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
2017年05月26日映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞に並ぶ、演劇、ミュージカルの世界における世界最高峰のトニー賞。この度、「V6」の坂本昌行が、WOWOWにて放送される「第71回トニー賞授賞式」のスペシャルゲストとして出演することが明らかになった。6月11日(現地時間)にアメリカ・ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで開催される「第71回トニー賞授賞式」。アメリカ演劇界で最も権威のある賞とされており、該当期間中にニューヨークのブロード ウェイで上演された演劇、ミュージカル作品を対象に贈られる賞で、まさに1年のブロードウェイを総括するアウォード。今回、スペシャル・ゲストの坂本さんはNYを訪れ、ブロードウェイにて今年のトニー賞を賑わす最新のミュージカルを観劇しレポート。その模様は、トニー賞授賞式の事前番組「トニー賞がやってくる!#2」「坂本昌行 ブロードウェイ・リポート トニー賞直前SP in NY」にて無料放送。また、12日(日本時間)授賞式当日は、日本のスタジオに生出演し、番組での歌唱も予定されている。なお、案内役は宮本亜門と八嶋智人、スペシャル・サポーターは井上芳雄が務める。「毎年、この時期になるとそわそわします」といつもトニー賞授賞式はテレビで見ていたと話す坂本さん。「今年はなんとその番組にゲストとして初参加させていただきます。出演者のお三方とともに楽しみたいと思います」と心待ちにしていると語っている。「トニー賞がやってくる!#2」(無料放送)は5月27日(土)9時50分~「坂本昌行 ブロードウェイ・リポート トニー賞直前SP in NY」(無料放送)は6月3日(土)19時~「生中継!第71回トニー賞授賞式」(2か国語・同時通訳) は6月12日(月)8時~「第71回トニー賞授賞式」(字幕版)は6月17日(土)19時~※すべてWOWOWプライムにて放送。(cinemacafe.net)
2017年05月12日横浜の「MARINE&WALK YOKOHAMA」では、ゴールデンウィーク中の5月2日(火)~ 6日(土)の5日間の期間限定で、「SEASIDE CINEMA~夜の海辺にたたずむ映画館~」と題した映画上映イベントを行うことになった。夜の横浜みなとみらいの、夜景と海を感じる特別なロケーションの中に特設会場を設置、海と音楽をテーマにした名作・傑作映画を観ながら、MARINE&WALK内の飲食店舗からテイクアウトメニューを楽しめるという本イベント。ブレイク・ライヴリーがほぼスタントなしで巨大サメに挑んだ『ロスト・バケーション』に、映画監督の北野武にもインタビューを行った写真家・宮澤正明によるドキュメンタリー『うみやまあひだ伊勢神宮の森から響くメッセージ』、ジャック・ブラック主演のミュージカル青春コメディ『スクール・オブ・ロック』、ビヨンセ・ノウルズ主演の『キャデラック・レコード~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』ほか、「こどもの日」の5月5日(金)には『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』、最終日6日(土)には坂本龍一&デヴィッド・ボウイ&ビートたけしが共演した大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』の上映が予定されている。心地よい夜の潮風を感じながら、子どもから大人まで、カップルからファミリーまで、心とお腹を満たす野外上映を楽しんでみては?「SEASIDE CINEMA~夜の海辺にたたずむ映画館~」は5月2日(火)~5月6日(土)各日19時~21時まで「MARINE&WALK YOKOHAMA」にて開催。(text:cinemacafe.net)
2017年04月26日モデルとして活動し、『秘密 THE TOP SECRET』ではヒロイン・露口絹子役でスクリーンデビュー、大河ファンタジー「精霊の守り人II 悲しき破壊神」にも出演する織田梨沙が、6月下旬から沖縄で先行公開、8月上旬より東京にて公開となる映画『STAR SAND ─星砂物語─』で主演を務めることが決定。本作は沖縄を舞台に、いままでにない側面から「太平洋戦争」を描いていく。1945年の沖縄。戦禍からは遠く離れた小さな島に渡って独り暮らし始めた16歳の 少女・洋海(織田梨沙)は、洞窟で脱走兵である日本人・隆康(満島真之介)とアメリカ人・ボブ(ブランドン・マクレランド)という2人の青年に出会う。戦うことが厭になって軍を離れた“卑怯者”同士の日本兵と米兵は、洞窟の中で暮らすうちに心を通わせ合い、彼らを気に掛ける洋海は足しげく洞窟を訪れ、3人の間には不思議な関係が築かれてゆく。しかしある日、隆康の兄・一(三浦貴大) が洞窟にやって来る。足を怪我した一は養生のために隆康やボブらと共に暮らすことになるが、アメリカ兵であるボブは敵であり、隆康は国の裏切り者でしかなかった。ボブと隆康に対する一の敵意は、洋海の目の前で悲劇を引き起こしていく。2016年東京。友人らともあまり馴染めず、大学にも何となく通っているだけの志保(吉岡里帆)は、卒業論文の題材として戦時中の沖縄をテーマにしてはどうかと教授に示唆され、一冊の日記を手渡される。そこには1945年の沖縄の小島で暮らしていた16歳の少女の見聞きしたことが書かれていた。志保はそれを読み、そこに封印されていた過去の出来事とその真実に迫っていく…。本作は数々の書物を著し、日本と豪州の各地において舞台を手掛け、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』で助監督を務めるなど、日本映画に造詣が深いロジャー・パルバースが、日本の沖縄を舞台に平和への想いを込めて書いた小説を、自身の監督&脚本で映画化。撮影は、昨年太平洋戦争の激戦地の一つ、沖縄県・伊江島にて行われた。ベトナム戦争を嫌い、若い日に米国を去ったパルバース監督にとって、「“戦わない”という裏切り」は生涯の主題に。そんなパルバース監督が2012年に初めて日本語で書いた小説「星砂物語」は、太平洋戦争中の沖縄で「“戦わない”という裏切り」を犯す「卑怯な」米兵と「卑怯な」日本兵とその2人を見つめる少女の物語。劇作家・井上ひさしの絶賛を受け本作を公表したときから、パルバース監督は「この物語を自らの手で映画化したい」と思い始め、ついに実現。映画は、監督自身がかつて助監督を務めた『戦場のメリークリスマス』の小さな姉妹篇で、星砂のように、小さく、美しい、戦争映画であり、自身の「“戦わない”という裏切り」の最終章なのだ。今回、そんな監督が主演にと見出したのが織田さん。パルバース監督は、「40年にわたって芝居の演出や映画関係の仕事をしていますが、織田梨沙さんほど演技の深さとエモーションの広さを表現する若い女優は見たことがありません」と話し、さらに「彼女は、星砂いっぱいの空に新しい星をもたらした大スターだ」と絶賛している。織田さんのほかにも満島真之介、吉岡里帆、三浦貴大、そしてオーストラリアでケイト・ブランシェットらとの共演も果たし、躍進著しいブランドン・マクレランドといったフレッシュで才能きらめく若手俳優、さらに寺島しのぶ、渡辺真起子、石橋蓮司、緑魔子といった日本のみならず世界でもその実力が認められたベテラン陣が本作に集結。また、主題曲には坂本龍一の「Star Sand」が起用。『戦場のメリークリスマス』以来、監督の長らくの友人である彼もまた、この作品のテーマに深い理解を示し、美しい旋律を奏でる。『STAR SAND ─星砂物語─』は6月下旬沖縄先行公開、8月上旬東京公開予定。(cinemacafe.net)
2017年03月25日「坂本龍一 | 設置音楽展」が、東京・神宮前にあるワタリウム美術館で開催される。期間は、2017年4月4日(火)から5月28日(日)まで。「坂本龍一 | 設置音楽展」は、8年ぶりの新作アルバム『async』の世界を音と映像、インスタレーションで多角的に紹介するもの。このニューアルバムは「あまりに好きすぎて、 誰にも聴かせたくない」という坂本本人の思いをそのままに、リリース以前の試聴やサンプル盤の配布が一切行われていなかった。ワタリウム美術館では、その音の全貌が明らかになる数日後の4月4日より、独自のインスタレーションを展開する。≪会場 2F - drowning - (仮)≫では、坂本龍一の「整った環境で音楽に向き合ってもらえたら」という思いと、新アルバムが「映像喚起力の強い音響作品である」という点から、坂本龍一が最も信頼するムジークエレクトロニクガイサイン製スピーカーにて、アルバム全曲の5.1ch サラウンドを再生するインスタレーション空間を創造。さらに、長年のコラボレーターである高谷史郎(空間構成・映像)の手を借りて空間を提供する。≪会場 3F - volume - (仮)≫では、映像・音響をzakkubalanのもと、ソロアルバム制作時に多くの時間を過ごした空間を映像で抽象的に捉え、その空間が持つ環境音とアルバム楽曲の中の音素材を混ぜたシンプルな映像とで構成するインスタレーション空間を展開する。≪会場 4F - path - (仮)≫は、バイオグラフィカルなアイテムの展示や、音楽と映像の視聴ブースで、世界的に注目されるタイ出身の映画監督・映像作家のアピチャッポン・ウィーラセタクンがアルバム『async』からイメージした映像を上映。さらに、ファンとの双方向交流のための「COMMUNICATION WALL」を設置した開かれた空間となっている。来場者から坂本への質問や、作品への感想など書き込み、坂本からその質問への回答や、あらたな問いを掲示する壁を設置。他にも、複数のターンテーブル+ヘッドフォンを設置し、新アルバムも含め、坂本のソロの作品のほとんどをアナログ盤で揃え、来場者が自由に視聴するブースを整える。また、過去の映像作品なども視聴可能だ。新作制作過程にインスピレーションを与えた書籍、モノ、写真、メモ、譜面なども展示予定なので、新アルバムを待ち望む坂本ファンには、必見のイベントになるだろう。【展覧会情報】「坂本龍一 | 設置音楽展」会期:2017年4月4日(火)~5月28日(日)会場:ワタリウム美術館入場料館料:大人 1,000円/学生[25歳以下] 500円/ペア券割引:大人2人 1,600円住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6【音源情報】坂本龍一 / asyncCD:RZCM-86314 3,780円(税込)/発売中アナログ盤:RZJM-86312~3 7,020円(税込) /2017年5月17日発売収録曲:01. andata アンダータ02. disintegration ディスインテグレーション03. solari ソラリ04. ZURE ズレ05. walker ウォーカー06. stakra スタークラ07. ubi ユビ08. fullmoon フルムーン09. async アシンク10. tri トゥリ11. Life, Life ライフ、ライフ12. honj ホンジ13. ff エフエフ14. garden ガーデンアナログ盤ボーナストラック15. water state 2 ウォーター・ステート2
2017年03月11日音楽家・坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』が、2017年11月4日(土)に角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開される。5年にわたる楽曲制作に密着『Ryuichi Sakamoto: CODA』 は、2012年から5年の長期間に渡る本人への密着取材、そして膨大なアーカイブ素材から実現している。2014年患った大病を経て、過去の旅路を振り返りながら新たな楽曲が誕生するまで、坂本龍一の音楽的探求に正面から向き合った作品だ。2017年3月には、8年ぶりとなるオリジナル・アルバム「async」がリリースされたが、カメラはその楽曲制作の現場にも密着。アルバム制作の様子の一部始終を捉えた本作は、坂本龍一の最終楽章の始まりとしてスクリーン上で奏でられる。また、第74回ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に公式出品されることが決定。坂本龍一本人も2013年にコンペティション部門の審査員として参加したゆかりの深い映画祭で、日本での公開に先駆けてワールドプレミアを果たすことになった。坂本のこれまでの音楽的探究作中では、過去の坂本龍一の音への探求の描写が、積み重なるコラージュのように現在の坂本の作曲プロセスと交差。その一部始終を捉えた映像がスクリーンに映し出される。坂本龍一は、1978年に『千のナイフ』でソロデビューし、同年に細野晴臣、高橋幸宏とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成。散解後も、音楽・映画・出版・広告などメディアを越え活動してきた。1984年には、自ら出演し音楽を担当した『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞、映画『ラストエンペラー』の音楽で米アカデミー賞ほかを受賞し、活動の中心を欧米に移行させた。こうして彼の革新的なサウンドを追求する姿勢は、世界的評価を得てきた。そして、世界に衝撃が走った2001年9月11日、米同時多発テロ。彼は、ニューヨークの自宅近くで起きた圧倒的な暴力、それが生み出す世界の不均衡と非対称を感じつつも、人間の暴力性の生物学的なルーツを追い求め、音楽の原点を探究したのだ。3.11以後には、宮城県名取市で被災ピアノと出会った坂本。自然の猛威によって水に溺れたピアノの音を聞いて、坂本は「痛々しくてその鍵盤に触れるのも辛かった」と語っていた。しかし、今ではその壊れたピアノの音色がとても心地良く感じるという。時と共にその被災ピアノの「自然の調律」の音は、サンプリングを通じて作曲プロセスの一部となり、新たな表現へと生まれ変わる。初公開となる秘蔵フィルム含む予告編予告編では、坂本の音楽的変化のきっかけにもなった、津波をかぶったピアノとの出会いのシーン、予期せぬガン告知を受けた後にこぼれた本音や闘病生活、様々な場所でを集め、それが坂本の紡ぎ出すとひとつになる様子など、“坂本龍一の今”が捉えられている。さらに、『ラストエンペラー』製作当時に坂本さん自身が撮った本邦初公開となる秘蔵フィルム、本編に盛り込まれている貴重な映像の一部も盛り込まれた。代表作にして、映画音楽家としての出発点でもある『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」の美しい旋律も印象的だ。【作品詳細】『Ryuichi Sakamoto: CODA』公開日:2017年11月4日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開監督/プロデューサー:スティーブン・ノムラ・シブル出演:坂本龍一配給:KADOKAWA
2017年03月03日先日、グラミー賞にもノミネートされた世界的音楽家・坂本龍一に、2012年から5年間に渡り密着取材を行ったドキュメンタリー映画『RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT』(仮題)が、11月に公開されることになった。3.11以後、宮城県名取市で被災ピアノと出会った坂本さん。自然の猛威によって水に溺れたピアノの音を聞き「痛々しくてその鍵盤に触れるのも辛かった」とふり返る彼は、いまはその壊れたピアノの音色がとても心地良く感じると語っている。時と共にその被災ピアノの「自然の調律」の音は、サンプリングを通じて坂本さんの作曲プロセスの一部になり、新たな表現へと生まれ変わっていく。そして、過去の音への探求の描写が、積み重なるコラージュのように、現在の作曲プロセスと見事に交差していく――。坂本さんといえば、どこか脆い幻想のようなバブルの時代、「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」の一員として日本のエレクトロニクスやテクノロジーを象徴するポップアイコンとなった。そして『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』に出演、その映画音楽をも手がけ、前者では英国アカデミー賞、後者では米国アカデミー賞をそれぞれ受賞した。2001年9月11日、ニューヨークの自宅近くで起きた米同時多発テロによる圧倒的な暴力、それが生み出す世界の不均衡と非対称を感じつつ、人間の暴力性の生物学的なルーツを追い求め、音楽の原点をも探すことになった坂本さん。また、震災から3年を経た2014年3月11日には、自ら防護服を着用し福島第一原発を囲む特別警戒区を訪れ、無人の地と化した集落の残像の音にも触れる。テクノロジーに頼る現代人の営みが、自然環境を蝕み、人間の“生き場所”をも奪ってしまうことへの悲しみが、本作内における作曲プロセスの根底を流れていくかのよう。さらに、2014年7月には中咽頭がんを公表。1年近くにおよぶ闘病生活を経て、山田洋次監督作『母と暮せば』、第88回アカデミー賞で3部門の受賞に輝いたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『レヴェナント:蘇えりし者』の音楽を同時期に手がけて復帰。まもなく3月には、8年ぶりとなるオリジナル・アルバム(タイトル未定)がリリースされる。カメラは、5年におよぶ密着の最終楽章として、楽曲制作の現場にも潜入し、その最新アルバム制作の様子の一部始終を捉える。併せて、幼少からの膨大なアーカイブ素材も劇中を彩る。大病を経て、新たな楽曲が誕生するまでの音楽家・坂本龍一の音楽的探求を、正面から描いた本作。坂本さんは、「官邸前のデモや、東北ユースオーケストラとのコンサート、がんがわかって映画制作のスケジュールに大きな変更が余儀なくされても、僕の側にはいつもカメラがあった。(監督の)スティーブンは僕に何を見たんだろう?プライベートスタジオも、自宅のピアノ室も、全てさらけ出した。こんな映画に坂本の私生活を覗くという以上の意味はあるんだろうか?果たして映画として“見れる”作品となっているんだろうか?いま、僕は完成が待ち遠しい」とコメント。一方、スティーブン・ノムラ・シブル監督は「震災後、坂本龍一さんの音楽表現がどのように変わるのか、新たにどのような曲を書かれるのか、もしそこまで密着可能であれば、何かカタルシスが生じるのではないかとの思いが、この映画を作り始めるきっかけ」とコメント。「映画を通じて、映像と共に音楽や音の魅力を表現できればと、いまも願っております。是非皆さまに劇場で音楽的カタルシスを体験していただきたく思います」と期待を込めている。『RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT』(仮題)は11月、角川シネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年02月27日第59回グラミー賞授賞式が12日(現地時間)、ロサンゼルスで開催され、ピアニストの内田光子が最優秀クラシック・ヴォーカル・アルバム(ソロ)賞を受賞した。対象作はドイツのソプラノ歌手、ドロテア・レシュマンの伴奏を務めたライブアルバム「シューマン:リーダークライス、女の愛と生涯/ベルク:初期の7つの歌」。内田さんは2011年に最優秀器楽ソリスト演奏賞を受賞していて、これが2度目のグラミー賞受賞となる。『レヴェナント:蘇りし者』で、アルヴァ・ノトと共に候補になっていた坂本龍一は惜しくも受賞を逃した。『ラスト・エンペラー』(デヴィッド・バーン、コン・スーと共作)に続く2度目の受賞はならなかった。『レヴェナント:蘇りし者』は昨年のアカデミー賞で作曲賞候補にもなっていた。このときも受賞は『ヘイトフル・エイト』のエンニオ・モリコーネに譲ったが、今回グラミー賞に輝いたのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のジョン・ウィリアムズだ。(text:Yuki Tominaga)
2017年02月13日