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夜尿症とは?おねしょとは違うの?子どもの夜尿症(おねしょ)は「5歳以上で、おねしょが1ヶ月に1回以上の頻度であり、それが3ヶ月以上続いている」ことが診断の定義となります。7歳児の約10%程度に夜尿症があると言われています。その後、自然と治ってくることが多いですが、0.5~数%の人は成人しても夜尿症の症状が続くことがあります。夜尿症は睡眠中に膀胱がいっぱいになっても尿意で目を覚ますことができない「覚醒障害」に加え、膀胱の容量が小さい、尿がたまると勝手に膀胱が収縮してしまうなどの「膀胱の働きの未熟さ」、夜間の尿量が多い「夜間多尿」の重なりなどが原因と言われており、保護者の育て方や子どもの性格などとは関係ありません。このコラムでは、・夜尿症の病院受診の目安、受診する科・夜尿症の治療法・おねしょをした子どもへの声掛け・宿泊学習対策・布団の後始末方法・発達障害と夜尿症の関連性など、夜尿症やおねしょにまつわるギモンから、対応方法まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【医師回答】夜尿症の受診基準は?何科に行った方がいい?子どもへの声掛け方法や発達障害との関係など夜尿症専門医が回答!ここからは夜尿症専門医の大友義之先生に夜尿症の原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)小3の子どもがいますが、週に1回くらいおねしょをします。どのくらいの頻度でおねしょがあると病院を受診した方がよいのでしょうか。また、何科を受診すればよいのでしょうか。(回答)小3で週に1回の夜尿が続いているお子さんは10%ほどおられます。毎晩夜尿があるお子さんよりも自然治癒できる可能性が高いと思いますが、小児科のかかりつけ医にまずは相談してみましょう。ただし、昼間のちびりもあるようでしたら、急いで治療を考えた方が良いと思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)夜尿症にはどのような治療法があるのでしょうか。薬などが処方されるのでしょうか?(回答)まずは、就寝2時間前には飲水量を200ml以内に抑えて、就寝前に必ずトイレでの排尿を励行することが必要です。夜間の尿量が多い7割の患者さんには抗利尿ホルモン薬(薬物治療)が有効です。それ以外の患者さんにはアラーム治療が有効です。Upload By 発達障害のキホン(質問)小学生になってもおねしょを頻繁にするので、よくないと思いつつもつい叱ってしまいます。どのような声をかければよいのでしょうか。(回答)夜尿を来すことはお子さんのせいではないので、叱るのは逆効果です。夜間の飲水制限が守れたこと、就寝前にちゃんと排尿していること、また、治療が行えていることを褒めるほうが効果的です。Upload By 発達障害のキホン(質問)おねしょの多い小4の息子がいます。もうすぐ学校で宿泊学習があるので心配です。家庭でできる対策が知りたいです。(回答)宿泊行事まで数ヶ月の余裕があるのであれば、抗利尿ホルモン薬の効果が期待されます。おそらくクラスに2~3名は夜尿が続いていると思いますし、担任は慣れているので、あらかじめ相談しておき、夜中に一旦起こしてもらう、もし失敗したときに周りに気づかれないようにサポートしてもらいましょう。また予備の下着や、可能であれば、尿吸収パットがついた下着を用意すると宜しいでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)仕方ないと思っていても、夜中や忙しい朝におねしょの後始末をするのがストレスになってしまいます。良い対策方法などあれば知りたいです。(回答)紙パンツを装用し、さらに布団の上におねしょシーツを掛けて眠ってもらうのが良いでしょう。夜尿の頻度が減るまでは、「濡れて気づかせる」というやり方は逆効果です。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもに発達障害があります。小学生になってもおねしょが続いているのですが、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすいのでしょうか?(回答)夜尿は、尿意や漏れてしまった場合の濡れた感覚で覚醒できないことが最大の問題です。従来は「眠りが深い」からと考えられてきましたが、昨今は、夜尿のある子どもはむしろ質の悪い睡眠がダラダラ続いていることが問題視されています。発達障害、特にADHDのある子どもは、そうでない子どもに比べて4~5倍夜尿の頻度が高いと言われています。理由としては、中枢神経系の問題で、通常尿意の認識能力の低さや未成熟さ、睡眠障害の併存などがある場合が多く見られることが挙げられます。またADHDがあると水分制限や就寝前の排尿、処方薬の内服の継続などが苦手だったり、睡眠障害などが原因でアラームの治療の効果が悪いこともしばしばあり、その場合ADHD自体の治療を積極的に行うことにより夜尿が速やかに改善する場合もあります。※夜尿があるからと言って必ずしも発達障害があるというわけではありません。Upload By 発達障害のキホン夜尿症、おねしょ、トイトレにまつわるコラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月09日排尿習慣が整ってくる5歳前後でも、就寝前に飲み物を多く摂ったりするなど、たまに“おねしょ”をするのはよくあることです。ただ5歳を過ぎても1カ月に1回以上、3カ月続けてみられるようなら、それは夜尿症の可能性があります。今回は、夜尿症の症状や受診の目安、治療法などを詳しく紹介していきます。 夜尿症ってどんな症状? 夜尿症の定義は? 夜尿症とは、夜の睡眠中に無意識に尿が漏れてしまう、いわゆる“おねしょ”がみられる病気のこと。昼の排尿習慣が整った5歳を過ぎても1カ月に1回以上、3カ月以上続くと夜尿症と定義されます。おねしょ以外の症状は見られず、睡眠中に無意識に排尿が起こるため、痛みなどの苦痛はないと考えられています。年齢を重ねるごとに改善するケースも多いですが、5歳で15~20%、10歳で5~10%の子どもにみられます。まれに成人まで続くケースもあります。 睡眠中に作られる尿の量が多いことやストレスなどが原因 原因は、睡眠中の尿の量が多い、睡眠中に膀胱にためられる尿の量が少ない、睡眠、もしくは覚醒障害があるという3つです。通常なら脳下垂体から出る抗利尿ホルモンによって、睡眠中の尿の量は日中より減少します。尿がたまったとしても、膀胱の壁が刺激されると就寝中でも尿意を感じて目が覚めるので、おねしょをすることはありません。夜尿症の場合は、寝ている間に作られる尿の量が多いうえ、眠りが深いため尿意を感じても覚醒できず排尿してしまうわけです。 また、膀胱の大きさや機能が未熟なため、多くの尿をためられず尿意を感じる前に膀胱が収縮し排尿してしまうことがあります。そのほか、精神的なストレスや環境の急激な変化も原因となることがありますが、はっきりとした関連は解明されていません。 自然に治る? 医療機関への受診は必要?夜尿症は一般的には成長とともに自然に治ることが多いのですが、1週間で夜尿が3回以上ある場合は、3回未満の場合と比べ自然に治りにくいようです。そのため、小学校に上がっても週に3回以上夜尿が続く場合は、早めに小児科、または泌尿器科を受診するようにしましょう。治療は、問診や尿検査、画像検査などをおこなっています。 簡単に取り組める! 具体的な生活習慣の改善方法を提案 自宅ですぐにおこなうことができる夜尿症の対策を紹介します。下記に具体的な生活改善方法をまとめてみました。 日々の生活習慣を改善しましょう!①規則正しい生活…早寝早起きをして、3食を摂り、夕食後から寝るまでの時間は2時間程度空けます。 ②水分の摂り方…日中はしっかり水分を摂って、夕方から水分は少なめにして、夕食後はコップ1杯程度にします。 ③塩分を控える…塩分が高い食事はたくさん水分が欲しくなるので、塩分は控えめに。 ④便秘解消…腸に大量の便があるなど、便秘は膀胱内の容量を小さくしてしまう可能性があります。普段から野菜など食物繊維が多く含まれる食べ物を摂るようにしましょう。 ⑤寝る前にトイレへ行く…膀胱内の尿をできるだけなくしておきます。 ⑥寝ているときの寒さ(冷え)対策をする…体が冷えると汗をかかず尿の量が増えます。 ⑦無理に夜中に起こさない…「おねしょが続いているから」という理由で、夜間に無理やり子どもを起こし、トイレに行かせようとするのはやめましょう。子どもの膀胱の容量を考えずに起こすことは良くないです。無理に起こすことは成長ホルモンの分泌に影響を与えるほか、夜尿症では膀胱の容量を増やしていきたいので、おしっこがたまる前にトイレに行くことは、かえって逆効果になってしまいます。 ⑧怒らない…朝におねしょが判明しても、ガミガミ怒ることは避けましょう。本人も無意識にしてしまっていることですし、ストレスで夜尿が悪化する恐れもあります。 年齢や症状に応じた治療法! アラーム療法や薬物療法など夜尿症の治療法ですが、生活改善で効果がみられない場合や、年齢、症状に応じて薬物療法やアラーム療法がおこなわれる場合もあります。薬物療法では、尿の量を調節する薬や膀胱の収縮を抑える薬が処方されます。 また、アラーム療法というのは、尿漏れを感知するセンサーを下着などにつけ、尿でパンツが濡れるとアラームが鳴ることで本人に気付かせ、起こしてトイレで残りを排尿させるというもの。効果が出てくると、寝ている間にためられる尿の量が増え、夜尿を減らしていくことにつながります。 夜尿症は、膀胱の機能の未熟さなど体の機能によって起こるものなので、子どもがおもらしをしないように意識することで治ることはありません。ただ、積極的な生活指導や治療で症状改善が早まるとも言われています。ママやパパはあせったり、しかったり、ほかの人と比べたりしないで、おおらかな気持ちで見守りましょう。 著者:アキモトスズ監修者:医師 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師 保田典子 先生医療法人アドベンチスト会東京衛生病院小児科医師。株式会社メドイース代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。
2020年08月31日しつけとは関係ない!夜尿症の治療と対策Upload By 田村 節子治療の原則は「起こさず、焦らず、怒らず、ほめる、比べない」です。夜尿症は、子どもの症状であり、性格やしつけとは関係ありません。「我慢しなさい、気を付けなさい」などの精神論や根性論でどうにかなるものでもありません。お子さんをしかったり、夜尿症は自分(保護者)のせいだと責めないでください。発達障害のあるお子さんは、多動や衝動性、強いこだわりなどから、治療に必要な水分制限や生活リズムの適正化、就寝前にトイレに行く習慣が定着しにくいため、治療には時間がかかる場合もあります。焦らず根気よく治療をサポートしてあげてください[1, 4]。夜尿症の治療には、「生活改善(ダイアリー記録)」、「お薬による治療」、「夜尿アラーム療法」などがあります。詳しくは、おねしょのサイト(おねしょ.comなど)をご覧ください。ポイントいずれの治療法にしても、まずは簡単に達成することができるレベルの目標を設定し、お子さんに分かりやすい言葉で目標を指示することを心がけてください。そして、お子さんが指示した目標を達成したり、夜尿がなかった日は、しっかりと、そのときに褒めてあげましょう。目標達成を繰り返すことと保護者の方の協力が治療を長く継続する秘訣です[1]。おねしょ卒業!プロジェクト実際の治療方法や期間には、個人によって違いがありますが、大まかな流れをご紹介します。Upload By 田村 節子夜尿症治療では、「生活改善」が基本となります。しかし、元来こだわりが強く、嫌なことは絶対嫌と言いがちなお子さんの場合、生活改善を徹底しようとすればするほど、隠れて水を飲んだり、親子げんかが増えるなどで、かえって夜尿症が悪化するケースもあります[1]。また、生活改善だけでは夜尿症の改善がみられないことも少なくありません。そのような場合には、お子さんの発達特性に合わせて、環境整備やお薬による治療を積極的に取り入れることで、治療効果やお子さんの治療意欲が向上する可能性があります[3, 10]。病院の先生と相談しながら進めていきましょう。Upload By 田村 節子規則正しい生活をする夜更かしや不規則な生活は夜尿症を悪化させます。早寝、早起き、決まった時間の食事を心がけましょう。朝食と昼食はしっかり食べましょう。夕食は少し控えめにして早めに取り、夕食後から寝るまでは、可能なら2~3時間あけましょう。水分の取り方に気を付ける寝る前に水分を取り過ぎると、夜尿症につながります。ただし、水分は身体にとても大切ですので、朝食と昼食ではたっぷり取ってください。昼食の後からは水分(ジュース、お茶、牛乳など)を控えめにし、夕食時から就寝まではコップ1杯(200cc)程度までの水分摂取にとどめましょう。塩分を控える塩分のとり過ぎは、のどの渇きから夜尿症の原因となる水分のとり過ぎにつながります。また水分をとり過ぎていない場合でも、夜尿症の原因になります。寝る前にトイレにいくトイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。布団に入り30~1時間経っても寝付けないときには、もう一度トイレに行きましょう。夜中、無理にトイレに起こさない夜中に無理にトイレに起こすと、寝ている時間におしっこをする習慣がつき、夜尿症が治りにくくなることがあります。寝ているときの寒さ(冷え)から守る冷えは、尿量の増加や膀胱の縮小につながります。特に冬は、下着を重ね、靴下を履き、体を冷えから守り、温かくして寝ましょう。お薬による夜尿症治療では、抗利尿ホルモン薬、抗コリン薬、三環系抗うつ薬、漢方薬などが使用されます。生活改善を行ってもよくならない場合には、夜尿症を診てくれる病院に相談してみましょう。夜尿をアラームで知らせてお子さんに認識させ、それを繰り返すことにより膀胱が尿をためられるようになります。皮膚感覚や音に敏感なお子さんには不向きかもしれません。Upload By 田村 節子Upload By 田村 節子負担に感じる布団の対策夜尿症のあるお子さんをもつ保護者がもっとも負担に感じるのは、濡れた衣服や寝具の後始末です。特にお布団は、時間がたつほどにアンモニア臭がしみつき、いやな臭いがなかなか取れません。ここではお布団を濡らさないための対策、濡れてしまったお布団の洗い方、乾かし方を紹介します。Upload By 田村 節子オムツ赤ちゃん用のオムツの大きい版、または大人用より一回り小さい版として、多くの商品が売られています。オムツは、夜尿の頻度が減ったら速やかに外すこともあれば、下着やお布団の後始末を考慮して保護者の判断で継続することもあります。オムツをしていた方がよく眠れるとの報告があるため、睡眠の質が低い場合には有用だと考えられます。皮膚感覚が敏感なお子さんには不向きかもしれません。パンツ「おねしょパンツ」でインターネット検索するとたくさん出てきます。消臭素材、吸収素材、防水素材を組み合わせた専用パンツがあります。宿泊行事の際の対策にも有効です。シーツレジャーシートの表面にタオル地を貼り付けたような構造で防水性でないものが多く販売されています。防水機能があるタイプは洗濯が可能か確認ください。「おねしょシーツ」でインターネット検索するとたくさん出てきます。Upload By 田村 節子おねしょした布団にお湯をかける1. おねしょした布団をお風呂場などに持っていき、おねしょの部分にだけ、40度くらいのぬるま湯をろ過する要領でゆっくりかけます。2. 2~3回、臭いが消えるまで繰り返します。3. 乾いたタオルでたたくようにして水分を取っておきます。Point!布団にかけるお湯の温度は40度くらいで。熱湯はNGです。おしっこの成分であるたんぱく質は70度くらいで固まってしまうため、臭いを取るためにはぬるま湯で洗い流します。重曹を利用する1. 重曹をおねしょした布団にふりかけ、尿を吸い取らせます。2. 完全に吸い取ったら重曹を払います。3. ビネガースプレー(スプレーボトルにホワイトビネガー(食用酢)と水を1対4の比率で入れる)を吹き付けながら、乾いたタオルでたたくようにして水分を取ります。Point!おねしょをしてから間もない場合に有効です。クエン酸を利用する1. スプレーボトルに入れたクエン酸水(クエン酸の粉末小さじ2杯と水400ml)を用意します。2. クエン酸水をおねしょした布団にスプレーします。3. 乾いたタオルでたたくようにして水分を取ります。Point!クエン酸水をスプレーすることで、おしっこのアルカリ性が中和されます。オムツを利用する1. 市販のオムツをおねしょした布団に当て、その上で足踏みします。2. 40度くらいのお湯をかけておねしょを洗い流します。3. 洗った布団の上にまた同じようにオムツを当て、その上で足踏みします。Point!オムツを使うことで、おしっこが素早く吸収されて逆戻りもありません。天日干し、時には丸洗い1. 午前10時から午後2時くらいまでの間に両面を干します。2. できれば、3時までには取り込みます。働いているので3時までの取り込みは無理という場合は、室内の日当たりのよいところに干しておきます。3. シーズンの変わり目に布団専門のクリーニング店で丸洗いをすると、よりすっきりします。Point!しっかり乾かすには、天日干しがいちばん。また、太陽の光には殺菌・消臭効果があります。お子さんの心理的ダメージを防ぐためにUpload By 田村 節子発達障害のあるお子さんは、夜尿症を合併することで、さらに自尊心や自信をなくすなどの心理的ダメージが増えると考えられています。その上、夜尿症の治療のため水分制限などが必要となり、お子さんの中にはストレスや不満、怒りなどのマイナスな感情が生じやすくなります。週に1~3回、10~15分、子どもの話を聞くための時間「○○ちゃんタイム」を設け、落ち着いた環境でお子さんと向き合うことで、お子さんを理解し、マイナスの感情から解放してあげましょう。お子さんに話してもらう内容はおねしょのことだけでなく学校生活、家庭生活のことなど何でもかまいません。具体的には、以下のように聞いていきます。「今日、いやだったこと、むかついたことがあったら教えてね。」(導入)「そう、そうだったの。弟にからかわれてとってもいやな思いをしたのね。分かったよ。」(お子さんの話を繰り返し、感情を返す)発達障害のあるお子さんは、嫌なことや疲れがあると夜間の水分制限や寝る前の排泄を行いにくくなり、夜尿が増えることがあります。おだやかな気持ちで就寝できるよう就寝直前の叱責はできるだけ避け(叱責する場合は朝昼夕とする)、夜尿がなかった日にこまめに褒めることを心がけることで、水分制限や寝る前のトイレ習慣のモチベーションを継続できるようにサポートしましょう[12]。病院のサポートを受けましょうこれまで子どもの夜尿症については、「仕方がない」などの認識からあまり注目されてきませんでした。しかし、現在では医療の進歩により、適切な治療を行えば大多数の夜尿症は改善することが分かってきました[11]。発達障害のあるお子さんにとっても夜尿症が改善されることは、単なる排泄行動の改善だけでなく、子どもの自信や行動を向上させ、成長を促す効果があると考えられています[6]。一度、専門医を受診して、お子さんにとって最適な治療法を相談してみましょう。「おねしょ.com」のような夜尿症専門サイトで、相談できる病院を探すことも可能です。おねしょ卒業!プロジェクトUpload By 田村 節子東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科教授。東京成徳大学大学院心理・教育相談センター長。学校心理士スーパーバイザー。公認心理師・臨床心理士。学校心理学に基づく研究、および実践の専門家。現在、家庭、教育、医療との連携について夜尿や発達障害の子どもに焦点をあてて研究と実践を行っている。【引用文献】1. 石崎優子. 夜尿症研究 . 2011; 16: 11-152. Robson WL, et al. South Med J. 1997; 90: 503-505 夏苅郁子. 児童青年精神医学とその近接領域. 2008; 49: 336-3534. 夏苅郁子. 夜尿症研究. 2011; 16: 63-665. 平谷美智夫. チャイルド ヘルス. 2011; 14: 1333-13366. 大野友子. 小児看護. 2007; 30: 112-1157. Equit M, et al. Acta Paediatr. 2014; 103: 868-878 Elia J, et al. J Pediatr. 2009; 155: 239-244 田村節子. 小児科臨床. 2016; 69: 1263-127110. 田中幸代. 大阪小児科学会誌. 2011; 28: 1211. 池田裕一. 特別支援教育研究. 2016; 16: 29-3112. 石崎優子. 外来小児科. 2013; 16: 364-367
2020年04月07日はじめにーー最近の研究と活動私は東京成徳大学で心理学を教え、特に学校心理学を研究しています。子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則・「親と子が幸せになるXとYの法則」を発見し、教師と親が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱しています。子どもの気持ちを代弁しながら心理学研究の経験をもとに分かりやすく伝えられるようカウンセリング教育に携わり、“チーム援助”は広く学校現場で実践され始めています。最近では、LD、ADHD等の当事者団体の協力を得て援助方法を研究したり、夜尿症とADHDの疫学調査を学校と協働しながら行っています。小学生になっても続いたら治療の対象に?「おねしょ」というと皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。小学生になってもおねしょが続く場合に「おねしょは病気じゃない。子どもが根性を出せば治る」「親のしつけが悪いから治らない」など、このようなイメージをお持ちの方が少なからずいらっしゃると思います。これは間違いです。しかし、「おねしょは小学校を境に夜尿症ととらえられ治療の対象となる」ということを知っていらっしゃる方は少ないと思います。さらに、おねしょは発達障害のあるお子さんにはかなり高確率でみられるということもあまり知られていないことと思います。そこで今回は、おねしょについて理解を深めていただき「おねしょの知識を得ることで気持ちが軽くなり、何をどうしたらいいのか分かる」ことを目指してお伝えしたいと思います。おねしょで悩んでいらっしゃるお子さまやご家族の皆さまはもちろんですが、学校の先生方やスクールカウンセラーなど援助者の方々にもお役に立てたら幸いです。注意:このコンテンツは皆さま方への情報提供のみを目的とするものです。一般的な事項であり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。また、医学的状態やその治療に関する情報が一部記載されていますが、それらの情報は、医師の治療アドバイスの代わりになるものではありません。現在お困りの事象がある場合は、すみやかに病院に相談してください。Upload By 田村 節子生まれて2歳ごろまでの子どもは毎晩おねしょをしますが、その頻度は年齢とともに減っていきます。しかし、5~6歳以降でもおねしょが月に1回以上、3ヵ月続く場合は病気ととらえて、「夜尿症」と呼びます。一般に、ときどきおねしょをしてしまう程度の子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%、10歳で約5%程度といわれており、成長とともに減少します。また、成人まで続くケースはまれです。発達障害のある子どもでは、発達障害のない子どもに比べて夜尿症の頻度が高いことが知られています。夜尿症との関連についての報告が多いのは注意欠如・多動性障害(ADHD)ですが、ADHDで夜尿症を合併する割合は20~30%に上ると報告されています[1]。カナダで行われた調査では、6歳児の夜尿症の割合は、ADHDのない子どもで7.8%、ADHDのある子どもで20.9%と、ADHDのある子どもの方が2.7倍多いことが示されています[2]。 おねしょ(夜尿症)の原因と発達障害との関係Upload By 田村 節子おねしょ(夜尿症)の原因は、「夜間に尿をためる膀胱のサイズが小さい」や「夜間につくられる尿の量が多い」ことと合わせて、「就寝中に膀胱に尿がたまったときの目覚めの悪さ」だと考えられています[3]。成長に伴って中枢神経機能やホルモン分泌が成熟すると、就寝中の膀胱のサイズが大きくなり、作られる尿の量も少なくなるように調整されるため、夜尿症は徐々に改善します。発達障害のある子どもでは中枢神経機能の発達遅延により尿意切迫や膀胱の過活動などの排泄機能の異常が生じやすいこと[1]、睡眠の質が悪く、成長期に成熟する成長ホルモンや抗利尿ホルモンの分泌の発達が遅延しやすいこと[4]、感触の鈍麻によって下着が濡れても気持ちが悪いと思わない、お漏らししたことに気付きにくいこと[5]などが報告されており、研究段階ではありますが夜尿症に関係する染色体が発達障害とも関連する(夜尿症に関連する染色体8、23、13、22番がADHDでも関与)ことから[1]、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすく、高学年まで続くケースも多いと考えられています。夜尿症が子どもや家族に与える影響次に、夜尿症が発達障害のある子どもや家族に及ぼす影響についてです。夜尿症が高学年まで続き、修学旅行などの宿泊が伴うような共同行事が増えてくると、夜尿症は自尊心の低下や劣等感などの心理的ダメージの原因になります[3]。夜尿症は一般に「そのうち、よくなるだろう」とされがちですが[6]、発達障害のある子どもにとっては、発達障害の症状に加えて、夜尿症があることによる心理的ダメージが加わるため、軽視してはいけません[6]。また、夜尿症は発達障害の病態にも影響を及ぼすことが指摘されています。聴性脳幹反応(音を出して脳の活動状況を確認すること)では、夜尿症のみの児やADHDのみの児よりも、夜尿とADHDを併発している児においてもっとも強く反応しており、ADHDのある子どもに夜尿症が合併すると、中枢神経の感情反応が強まり、反抗的な行動をとるなど感情コントロールの悪化を招く可能性があります[7]。また、夜尿症を合併したADHDは夜尿症のないADHDよりも、不注意の度合いが強くなり、夜間覚醒や自分で朝目覚める能力が低下しやすくなる場合があることも分かっています[8]。Upload By 田村 節子こうしたことから、発達障害があるからこそ、夜尿症を積極的に治療する必要性があると考えています[6]。夜尿症は治療することが可能な疾患です。夜尿症を治療することで明るさと自信を取り戻し、発達障害への対処や治療にも取り組みやすくなります[6]。夜尿症は、子ども自身だけではなく、その家族、特に母親の心理状態にも大きな影響を与えます。子どもの夜尿が続くことで、日常のイライラ(デイリーハッスル)が蓄積し、感情的になり子どもを強く叱ってしまうことはありませんか。そして、そうした行動を起こしてしまったことを省みて、深く落ち込んだことはありませんか。子どもは夜尿をなかったことにしようという心理的な防衛機制が働くため、実際は落ち込んでいても平気な顔でとりつくろうとすることがありますが、デイリーハッスルが蓄積してしまった母親は、夜尿をしたのに平気な顔をしている子どもを見ると、夜尿を治す気がない、反省もしていない、親の言うことを聞かないと誤解し、やがて子どもを受容できないという嫌悪感をもってしまうリスクがあります。また、家族や祖父母から子どものしつけ方が悪いと言われてしまうと、より自責感も抱きやすくなります[9]。発達障害のあるお子さんの保護者は、いろいろな事象に加え夜尿があることで、より親の責任であるかのような錯覚に囚われ、悩みが深刻化することがあります。このような嫌悪感、自罰感、自責感は「母親失格」という負の心理的刻印[9]としてお母さんを傷つけています。このように、夜尿症と発達障害の両方があるご家族では、お子さんとその親の両方が負の感情を持ちやすく、お互いの負の感情が連鎖して、より深刻な状況を引き起こすこともあります。この負の感情の連鎖を断ち切るためにも、夜尿症と発達障害の特性(原因や対応法など)を理解することが重要です。Upload By 田村 節子次回は、夜尿症の治療/対策、家族や周囲の望ましい対応、病院のサポートの受け方についてご紹介します。Upload By 田村 節子東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科教授。東京成徳大学大学院心理・教育相談センター長。学校心理士スーパーバイザー。公認心理師・臨床心理士。学校心理学に基づく研究、および実践の専門家。現在、家庭、教育、医療との連携について夜尿や発達障害の子どもに焦点をあてて研究と実践を行っている。【引用文献】1. 石崎優子. 夜尿症研究 . 2011; 16: 11-152. Robson WL, et al. South Med J. 1997; 90: 503-505 夏苅郁子. 児童青年精神医学とその近接領域. 2008; 49: 336-3534. 夏苅郁子. 夜尿症研究. 2011; 16: 63-665. 平谷美智夫. チャイルド ヘルス. 2011; 14: 1333-13366. 大野友子. 小児看護. 2007; 30: 112-1157. Equit M, et al. Acta Paediatr. 2014; 103: 868-878 Elia J, et al. J Pediatr. 2009; 155: 239-244 田村節子. 小児科臨床. 2016; 69: 1263-127110. 田中幸代. 大阪小児科学会誌. 2011; 28: 1211. 池田裕一. 特別支援教育研究. 2016; 16: 29-3112. 石崎優子. 外来小児科. 2013; 16: 364-367
2020年04月06日子育て中の大きな悩みとなることも多い“おねしょ”。兄弟・姉妹でも、スッと夜おしっこをしなくなる子もいれば、なかなかうまくいかず、“おねしょ”との付き合いが続いてしまう子もいるほど個人差の大きいものです。そこで今回は、「何歳までおねしょはOKなの?」「おねしょにうまく対処する方法はある?」などの“おねしょ”にまつわる疑問を解消するお話をまとめました。おねしょしてしまった子にはどう対応したらよいのか、おねしょ布団のケア方法など気になるあれこれもご紹介します。おねしょとは?寝ている間におしっこをしてしまうことを“おねしょ”といいます。排泄のコントロールがまだうまくできないうちは、寝ている間におしっこを膀胱に溜めておくことができないため、常におねしょをしているような状態ですが、身体の発達が追いついていない時期には“おねしょ”とは呼びません。それが段々と、成長とともに寝ている間におしっこをせずに過ごせるようになっていき、膀胱におしっこを溜めておけるようになっても、寝ている間におしっこをしてしまうと“おねしょ”と言うようになります。日中のお漏らしがなくなっても、夜間のおねしょがなかなか卒業できないのは時間にも関係があります。日中は2〜3時間ごとにトイレに行くことでお漏らしせずに過ごせるようになりますが、夜間は8〜10時間の睡眠時間中、ずっとおしっこを溜めておかなければなりません。夜のおむつはずしは昼間よりも時間がかかって当然なのです。そのため、日中はすっかりパンツで過ごせるようになっても、夜はおねしょをしてしまうケースも多く見られます。ある程度大きくなると“夜尿症”の疑いも出てきますが、就学前であれば基本的には「おねしょはするもの」と考えていてよいとされています。夜尿症との違いって?夜、寝ている間におしっこをしてしまうおねしょが長く続くと“夜尿症”という泌尿器疾患が疑われることがあります。大人にも見られることがある症状で、1週間に1回以上のおねしょが続いていると「夜尿症」として診断されるケースが多いです。夜尿症かどうかの判断基準は、昼間のおしっこの回数やにおい、夕方以降の水分摂取量などで、保護者にそれらの状況をヒアリングすることで医師が診断します。もし、子どものおねしょが気になったら、かかりつけの小児科や泌尿器科、泌尿器科を專門とする小児科などで診察を受けるようにしましょう。単なるおねしょとの違いは、日本泌尿器科学会によると以下のように定義されています。子どものおねしょ(夜尿症)は、「5歳を過ぎて週に2回以上の頻度で、少なくとも3か月以上の期間において夜間睡眠中の尿失禁を認めるもの」と定義されます引用元: 日本泌尿器科学会-The Japanese Urological Association (JUA) こんな症状があったら - 『おねしょ』(夜尿症)が治らない - 一般のみなさま向けサイト ただし、就学前(小学校に上がる前)の子どもであれば、夜尿症と安易に判断せずに様子を見ることが多く、小学生以上になると夜尿症も疑って診察されることが多いようです。夜尿症と診断されても、基本的には生活習慣の改善によって変化をゆっくり見ていくスタイルがとられることが多いようです。おねしょは何歳までOK?夜尿症と診断される年齢は“5歳”というのがひとつの目安となっているようです。しかし、5歳というと年中〜年長児の年齢で、排泄機能が未完成の場合も多く、「おねしょ」である可能性もあるので、小学校に上がった年齢頃から治療等を進めることが多いようです。また、5歳になる頃には「おねしょをすると恥ずかしい」「おねしょのためにおむつをして寝るのはイヤだ」という気持ちも芽生えはじめる時期です。なるべく本人の気持ちを尊重してあげながら、子ども心を傷つけない形でおねしょ対策をしていくようにしましょう。おねしょが気になるときは…子どものおねしょが気になり始めたら、まずは以下の5つのポイントを軸に対策してみましょう。1.水分補給は寝る2〜3時間前までにおねしょが多いなと思ったら、まずは寝る前の水分補給量をチェックしてみましょう。おねしょが気になる子の場合、できれば寝る2〜3時間前までに水分補給を済ませ、そこから寝るまでの間には最低限の水分補給のみで過ごします。たとえば、寝る時間が20時であれば、夕飯は遅くとも18時までに済ませ、お風呂上がりの水分補給も子ども用の小さいコップに1杯程度にして様子を見てみましょう。ただし、「寝る前2〜3時間は絶対に水分を補給してはいけない!」というわけではないため、お風呂上がりなど水分補給が必要なタイミングでは、しっかり飲ませるようにしてくださいね。2.寝る前のトイレを習慣づける寝る前には必ずトイレに行くという習慣を作りましょう。子どもが「出ないから行きたくない」と言っても、トイレに行かせるとしっかり出ることも多いものです。“寝る前は歯磨きをしてトイレに行って布団やベッドに入る”など、寝る前にやるべきことをルーティン化して、毎日同じように過ごさせることで習慣づけることができますよ。3.おねしょをしてしまっても怒らないおねしょ対策で大切なことは「起こさないこと・怒らないこと・焦らないこと」です。おねしょをされると、片づけや洗濯も大変になるのでついつい「またなの!」と怒りたくなってしまうものですが、本人もおねしょをしたくてしているわけではないので、グッと堪えて怒らないようにしてあげましょう。おねしょをする度に怒られていると「またおねしょをしてしまって怒られるかも」という不安感やストレスからおねしょをしてしまう悪循環に陥ってしまう可能性もあります。4.成功したらほめてあげよう朝起きたときにおねしょをしていなかったら…。「それが当たり前だ」という対応をせずに思いっきりほめてあげましょう。子どもはほめられると嬉しくなって、寝る前のトイレ習慣や水分補給を最低限にしておくことなど、嫌がりそうなこともすんなり受け入れてやってくれるようになっていきます。「よかったね、すごいね」と一緒に喜びを分かち合うような気持ちで声をかけてあげるとより効果的です。5.対策グッズの使い方片づけや洗濯が大変でイライラしてしまうときには、おねしょをされても大丈夫なように布団やベッドまわりに対策をすることで、怒らずに対応できるような環境を作っておくのがおすすめです。おねしょ対策グッズとして、布団の上に敷くシートや防水のパジャマなどさまざまな物が販売されています。片付けや洗濯の手間がかからなくなるため、ママやパパにとってはとてもありがたいグッズですが、子ども心を傷つけてしまう可能性もあるため、利用の際は注意が必要です。シーツの下にこっそり敷いておいたり、「新しいパジャマだよ」とおねしょグッズであることを告げずに着させたりなど対策グッズを使うときにも子どもの気持ちに寄り添ってあげるようにしましょう。ただ、本人がおねしょを兄弟や姉妹に知られたくないと思っているようなときには、「これでおねしょしてしまっても周りにはわからないから安心だね」とママやパパと本人だけの秘密という形で取り入れるのもひとつの手です。おねしょ布団の洗濯方法を知っておこう子どもにおねしょをされてしまった布団は、自宅の洗濯機には入りませんし、ベッドの場合には干すのも難しく、どう対処していいかわからず困ってはいませんか。 おねしょ布団やおしっこ汚れのついたベッドのマットレスはそのままにしてしまうとニオイがキツくなってしまい泣く泣く捨てなければならなくなることも。できるだけ、その日の朝にサッと対応して汚れを落とせるようにしておきましょう。■布団の洗い方布団におねしょをされてしまったときの効果的な洗い方は“ぬるま湯をかける”です。熱湯はNGです。熱湯をかけるとおしっこの中のタンパク質が固まってしまうため、繊維に固着し、落ちにくくなってしまいます。おねしょをされた部分にだけぬるま湯をかけ、そのまま天日干しをするだけでニオイが取れ、キレイになります。床が濡れてしまうのが心配なときにはその部分にタオルを敷いておき、上から多めにぬるま湯をかけるようにしましょう。雨の日や布団を干しても共働きで夜までしまえないようなときには、緊急対策として重曹を撒いてそのままにして、夕方帰宅したときに掃除機で重曹を吸い取ることでニオイや水分を取ることができます。ただし、緊急対策の方法となるので、時間が取れたときにぬるま湯をかけて天日干しをして、スッキリキレイにする機会を設けるようにしましょう。雨の日で布団が天日干しできない場合は、布団乾燥機や浴室乾燥、ドライヤーなどを使って乾かすとよいでしょう。■ベッドの場合ベッドのマットレスにおねしょをされてしまうと、洗うことも干すこともできないため困ってしまいますよね。ベッドにおねしょをされてしまったときは、紙おむつやペットシート、タオルなどでおしっこを吸い取り、クエン酸水(または酢水)や布用消臭スプレーなどをかけて乾燥させる方法がおすすめです。ポイントは、おしっこをしっかり吸い取ってから、クエン酸水などをスプレーすることです。紙おむつなどを置いた上に乗って足踏みするとしっかり吸い取ることができます。また、その後、防水シートをシーツの下に敷いておくなど、できるだけマットレスを濡らさないようにしておくと安心です。ママやパパが心がけておきたいことおねしょが気になるときの対策方法に「怒らないこと」というものがありましたが、子どもは気にしていないようで、意外とおねしょを気にしています。むしろ、おねしょが気にならない年齢のうちは、おねしょというよりも「夜間のおしっこは生理現象で仕方がないこと」であるため、ママやパパも気にしないことが多いです。「おねしょが気になる年齢=本人も気にしている」と考えて対応してあげましょう。■イライラしてしまうときは…それでも、やはり布団やベッドでおしっこをされてしまうと洗濯物が増えてしまい、イライラしてしまいがちです。一緒に寝ていると夜中におねしょで冷えた布団に気がついて、眠いなか対応しなければならなくなることもあり、余計にイライラが募ってしまうこともあると思います。それでも、怒らないで対応してあげたいのが“おねしょ”。起こされてしまってイライラするのはなかなか止められませんが、本人に「どうしておねしょが治らないの!」と言わないように気をつけて、寝室から出たところで深呼吸をするなどの対処法を身につけていくようにしましょう。また、洗濯物が増えることでイライラしてしまうようなら、なるべく洗濯物が出ないように対策グッズなどを積極的に取り入れて、気軽に対応できるようにしておくことをおすすめします。朝からイライラするのは、ママやパパにとっても気持ちのいいものではありません。しかし、「イライラしないようにしなきゃ!」と自分を責めてしまっても毎日の生活がつらくなっていってしまいます。イライラする原因はどこにあるのか、その理由を改善できる方法はないのかと前向きに考えて対策を取るようにしていきましょう。「昼間のおむつははずれたのに、いつまでも夜のおむつが取れない」「すっかりパンツ生活になっているのに、おねしょだけはしてしまう」そんなときには、ついつい子どもを怒ってしまいがちですが、生活を見直して対策しながらゆっくり見守ってあげましょう。また、おねしょが小学校にあがる頃まで続くようなら、一度かかりつけの小児科などで相談してみるのもおすすめです。“おねしょ”対策は、家族みんなが笑顔で気持ちよく朝を迎えられるように、根を詰めすぎずゆったりとした気持ちをもって取り組むようにしましょう!
2017年03月31日夜尿症とは出典 : 夜尿症とは、5~6歳を過ぎた(あるいは精神年齢がそれと同等の発達水準の)子どものおねしょのことです。有病率は、5歳児で約5~10%、10歳児で約3~5%と、珍しい疾患ではありません。また、成長していくなかで自然となくなっていく場合もあります。目安として、小学校入学時に夜尿の頻度が週1~2回だったら、自然となくなっていく可能性は大きいと言われています。アメリカ精神医学会のDSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、遺尿症という疾患のうちの1つとして、以下のように診断基準を定めています。A.不随意的であろうと意図的であろうと、ベッドまたは衣服の中への反復性の排尿B.その行動は臨床的に意味のあるものであり、週に2回以上の頻度で少なくとも連続して3カ月間起こり、または、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、学業的(職業的)、または他の重要な領域における機能の障害が存在することによって明らかとなるC.歴年齢は少なくとも5歳(または、それと同等の発達水準)であるD.その行動は物質(例:利尿薬、抗精神病薬)または他の医学的疾患(例:糖尿病、二分脊椎、けいれん疾患)の生理学的作用によるものではない夜間のみ:夜間睡眠週のみに排尿がある昼間のみ:覚醒時間中に排尿がある夜間および昼間:上記2つの下位分類の組み合わせ遺尿症には、夜間に生じる場合でけだはなく、昼間に生じる場合もあります。この記事では、夜間の睡眠中に生じる夜尿症について紹介していきます。小児科 夜尿症について|阿南共栄病院夜尿症のタイプと原因出典 : 夜尿症の原因として、主に以下の2つがあります。■夜間の尿量が多い(多尿型)夜間の尿量が多い要因として抗利尿ホルモンの不足があげられます。抗利尿ホルモンは尿量を調整するホルモンで、分泌リズムは成長とともに落ち着いていきます。通常、昼間より夜間に抗利尿ホルモンは多く分泌されるため、夜間の尿量は昼間より少ないです。抗利尿ホルモンの分泌が不足することで夜尿につながります。■膀胱(ぼうこう)が小さい(膀胱型)膀胱容量は成長とともに発達していきます。しかし、膀胱型の場合、膀胱自体の大きさが小さいということではなく、膀胱が硬いことで大きく膨らまないため、尿を溜めることができず、夜尿につながります。これに加え、夜尿症と関連のある疾患・障害の一つとして発達障害があります。■ADHDが関連している場合ADHD(注意欠陥・他動性障害)は、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。ADHDでは約3割で夜尿症との合併があるとされています。中枢神経の発達が未熟な上、夜間の水分制限や排泄習慣を守りにくい、下着が濡れている感覚が鈍いなどのことから夜尿症が治りにくいことも指摘されています。また、6ヶ月から1年以上なかった夜尿が突然始まった場合は、心的ストレスが関わっている場合があります。強いストレスが加わると自律神経が不調になるため、夜尿につながるのです。このように夜尿症は、親の子育て方法、子どもの性格の問題、おむつの着用などが原因ではありません。夜尿法(おねしょ)・尿失禁|桐友クリニック新松戸夜尿症の原因である多尿型と膀胱型のどちらに該当するかは家庭で見分けることができます。睡眠時に使用したおむつと使用前のおむつの重量差が「体重×睡眠時間×0.9」(ml)よりも重かったら多尿型の可能性、昼間の最大1回排尿量(ml)を測り、それを体重(kg)で割った値が5ml/kg以下だったら膀胱型の可能性があります。原因の見分けがつくことで、家庭でもそれに合った方法で対処することができます。『おねしょ』(夜尿症)が治らない|日本泌尿器科学会夜尿症の対処法出典 : 夜尿症の改善には、規則正しい生活習慣も大切になってきます。また、子どもの原因に合った方法で対処をすることで改善できる場合もあるので試してみましょう。■睡眠前の水分制限就寝2~3時間前の水分制限が大切になります。この時間に多く飲ませすぎないことに加え、塩分濃度の高い味噌汁や、尿量を増やす牛乳を夜には避けることも夜尿の対策としておすすめです。■起こさない夜尿を防ぐために夜中にトイレに行かせようと子どもを起こすと、睡眠リズムが乱れてしまいます。それによって、夜間尿量を調整する抗利尿ホルモンの分泌を減らしてしまい、尿量が増え、夜尿につながってしまいます。■体を冷やさない夜尿の原因が膀胱型の場合、体を冷やすことで膀胱がより硬くなってしまい、尿を溜めたまま朝まで保つことが難しくなってしまいます。ゆっくりとお風呂につかり、体を温めてから寝るようにしましょう。夜尿症のある子どもとの向き合い方出典 : 夜尿症は子どもの意思にかかわらず生じてしまう疾患です。無意識におねしょをしてしまうことに不安を感じていたり、外泊行事などでおねしょをしてしまい自信をなくしてしまったりする子どももいます。そこで、子どもと接する上で大切になってくることがあります。■焦らない夜尿の原因は子どもによって異なります。他の子やきょうだいと比較しないようにすることが大切です。また、治すには時間が必要になるので焦らず、夜尿がなかった日などは、子どもの自信にもつながるのでほめてあげましょう。■怒らない夜尿は子どもの意思にかかわらず起きてしまうことです。「夜尿がないのは当たり前」と子どもを責めたり注意しても、解決しません。水分を取りすぎないよう配慮するなど、子どもの成長を見守りながら、その時に合った対応をすることが大切です。子どもが夜尿症に対して不安を抱えていたら、「夜尿症は治るもの」と安心させ、一緒に治していきましょう。医療機関での受診出典 : 夜尿症は、加齢とともに自然治癒していくことが多いと言われていますが、子ども自身が悩んでいる場合や学校行事での外泊などに不安を感じている場合、医療機関での治療を検討してもよいでしょう。小児科や泌尿器科で受診することができます。不安なことや外泊行事などの心配なことがあったら、治療には時間が必要になるため、なるべく早めに相談しにいきましょう。初診時に医師へ現在の状況をわかりやすく伝えるため、おねしょの状態を客観的に記録するために日誌を活用するのもおすすめです。眠りが深くて尿意に気付けないなど、睡眠障害が関わっている場合は睡眠外来を受診するのもよいでしょう。お近くの医療機関はこちら|おねしょ卒業!プロジェクト資料ダウンロードはこちら|おねしょ卒業!プロジェクト夜尿症の治療までの流れ出典 : 初回受診では、現在の状態を確認するために尿検査と問診を行います。尿検査では「臓器そのものの疾患でないこと」と「薬物治療に適応していいるか」を確認し、問診では「生活改善のために現在の生活習慣」と「昼間のおもらしや便を漏らしてしまうといった臓器そのものの疾患がないか」を確認します。この段階で専門的な治療が必要と判断されれば、専門医を紹介される場合があります。その後、生活習慣の改善を行います。期間は2週間~1ヶ月で、夜尿が改善しない場合はアラーム療法や薬物療法を用いた治療を開始します。Upload By 発達障害のキホン夜尿症の治療法出典 : 夜尿症の治療法には、主にアラーム療法と薬物療法の2つがあります。行動療法のうちの1つです。一定時間での覚醒療法、心理療法、排尿訓練などを過去に行ったうえで、効果が不安定だという場合、夜尿アラームを用いて治療が実際される場合があります。夜尿アラームとは、夜尿の水分を感知する装置で、下着や体に直接装着し、尿が漏れ始めたころにアラームで子どもを起こします。アラーム療法は、自分でトイレに行けるように夜中に起こすためではなく、アラームによって、夜尿を子ども自身に自覚をさせることを目的としています。それを繰り返すことで、夜間膀胱容量を増やし、夜尿量や夜尿回数の減少へつながり、朝まで保つことができるようになるのです。睡眠時間中でのアラーム療法なので、家族の理解が大切になってきます。夜間睡眠中の尿の産生を減らす薬や、膀胱の緊張を和らげて尿を溜めることができるようにする薬などが処方されます。薬のタイプも点鼻薬のものや内服薬があり、手軽で速効性がありますが、治療を中止すると再発の可能性があります。効果があったからやめるのではなく、徐々に減らしていくことが大切です。薬物療法は治療期間が2週間~3ヵ月と長かったり、小児への使用に対する安全性も現在はまだ確立していないものもあるため、まずはお近くの医療機関へ相談してみましょう。まとめ出典 : 子どもの意志とは関係なく起こってしまう夜尿症は、珍しい疾患ではありません。無意識におねしょをしてしまうことに対して不安を感じてしまったり、外泊行事などでおねしょをしてしまい自信をなくしてしまう子どももいます。夜尿が治らないからと子どもを叱るのではなく、一緒に生活習慣を改めたりなど、子どもの状態に寄り添った方法とペースで治していくことが大切です。もし、不安や悩みがあったら、お近くの医療機関で相談してみましょう。
2016年09月06日お子さんの夜尿(夜間のおねしょ)がいつまで経っても治らないとお悩みの方は多いと思いますが、子どもはわざとお漏らしをしているわけではなく、それにはちゃんとした原因があります。今回は子どもの夜尿にお悩みの方に向けて、「夜尿症(やにょうしょう)」に関する情報をお伝えします。場合によっては医師に治療をしてもらったほうがいい場合もあるので、ぜひ最後まで読んでみてください。夜尿症とは一体何?夜尿症とは、通常であれば夜尿をしなくなる年齢である5~6歳を過ぎたにもかかわらず、夜におねしょをしてしまう症状のことで、別名「夜間遺尿症」とも呼ばれています。普通の子どもであれば、ある程度の年齢になると脳と膀胱の連携関係が成熟するため、膀胱に尿が溜まってくると自然と眠りが浅くなって漏れる前に目を覚ましトイレに行くことができるようになります。しかし夜尿症の子どもは尿が溜まっても眠りが浅くならないため、睡眠中に膀胱内が尿でいっぱいになって漏らしてしまうのです。夜尿症の種類と重症度夜尿症は「膀胱の容量」と「夜間尿量の多さ」によって、いくつかの種類に分けられます。多尿型夜尿症膀胱容量は正常なのですが、その容量を上回る尿が夜間につくられることで生じてしまうタイプの夜尿症です。多尿型夜尿症の原因としては「起きているときの水分の過剰摂取」と「抗利尿ホルモン(尿をつくる量を抑えるホルモン)の分泌低下」の2つが考えられます。膀胱型夜尿症膀胱の容量が小さいために、正常な夜間尿量でもすぐに容量がいっぱいになってしまう夜尿症です。このタイプの人の膀胱容量については「夜寝ているときだけ小さくなる人」と「常に小さい人」が半々くらいいると推定されています。混合型夜尿症膀胱の容量が小さくて夜間の尿量が多いという、特に夜尿をしやすいタイプの夜尿症です。夜尿症の人のなかには、このタイプが最も多いと考えられています。夜尿症の重症度夜尿症の重症度については、眠り始めてからどのタイミングで夜尿をするかで判断することができます。基本的に夜尿をするタイミングが早いほど症状は重症で、毎日繰り返す可能性も高くなります。就寝してからすぐに夜尿をしてしまうような子どもは、長いと完治するまでに5~6年かかることもあるので、その両親にはしばらくの間、我慢が必要になることでしょう。一方で朝方の起きる直前に夜尿をする子どもは軽症で、1~2年くらいで完治する可能性が高いといえます。夜尿症の重症度は、おねしょをした時間帯で判断するようにしましょう。両親は夜尿症が治るまで待つことが大事今回は子どもの睡眠と関係が深い症状である、夜尿症について紹介しました。基本的に夜尿症は放っておいても治るものですが、医師のなかには夜尿症の治療を専門としている人もいます。治療をすることで、自然治癒よりもずっと短い期間で治せることもあるので、子どもの夜尿症にお悩みの方は医師による治療も選択肢のひとつに入れてみてください。医師の治療を受ける場合も自然治癒に任せる場合も、大事なのは夜尿をしたからといってすぐに子どもを怒らないことです。夜尿症の子どもを持つ親は「叱らず・焦らず」の気持ちで、夜尿症が治るのをじっくりと待つようにしてあげてくださいね。
2016年06月28日