●Ingressの世界を展示で再現文化庁メディア芸術祭実行委員会は4日より、「平成26年度(第18回)文化庁メディア芸術祭受賞作品展」を開催している。会期は2月15日まで(2月10日休館)、メイン会場の開館時間は10:00~18:00(金曜日は20:00まで)。東京・六本木の国立新美術館をメイン会場に、東京ミッドタウン、シネマート六本木、スーパー・デラックスをサテライト会場として展開され、いずれの催しも入場無料となっている。本稿では、会期前に行われた内覧会の様子をお届けする。○Ingressの世界を展示で再現内覧会には各部門大賞の受賞者が出席し、作品解説や受賞の抱負を語った。エンターテインメント部門大賞のゲーム「Ingress」の開発会社「Google’s Niantic Labs」からは、Dennis Hwang氏と川島優志氏が出席。史上初となるIngressの"リアル展示"について解説を行った。本件とはやや話が逸れるが、この両名、今やおなじみとなったGoogleトップページの記念日ロゴ「Doodle」のデザインを手がけてきたことでも知られている。Ingressは壮大なバックストーリーが魅力のひとつではあるだが、ゲーム内容をごく単純化して説明すれば、現実世界を舞台に陣取り合戦を行うもの。スマートフォンで取得したGPS情報を利用して、青陣営(レジスタンス)と緑陣営(エンライテンド)が陣地を奪い合うのが基本的なルールだ。メディア芸術祭の会場では、ゲーム内に登場する「Power Cube」を立体オブジェとして制作、Ingressの世界観を再現した。これまで世界各地でイベントを行ってきたIngressだが、こうした展示を行うのは今回が初めて。アート部門優秀賞を受賞したメディアアーティストで、大のIngressファンでもある真鍋大度氏が協力し、IngressのAPIを活用して場内演出を手がけた。ブース内には3つのポータル(会場である国立新美術館から2カ所、展示ブース)の様子が投影されており、この3つのポータルの状態がある条件を満たした場合、条件に応じた映像が上映される仕掛けが施されている。また、このゲームの初期ビジュアルやUIを手がけたHwang氏は、マクロスシリーズ、鉄人28号など「日本のアニメ」の影響を多分に受けてきたといい、Ingressのデザインを手がけた際は、大好きだという「攻殻機動隊」などがインスピレーションの源になっていたとも語った。●6mの巨大な"三脚"がうねるパフォーマンス○アート部門今年度は大賞該当なしとなったアート部門。入り口から入ってすぐのところに、優秀賞のメディアインスタレーション「センシング・ストリームズ-不可視、不可聴」(坂本龍一/真鍋大度)を展示。携帯電話やラジオなどから発せられる電磁波を音と映像で表現したもので、札幌国際芸術祭2014で展示されたものをそのまま東京へと移設した。六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、青山公園、東京タワーから取得したレコーディングデータを元にしており、来場者が周波数を自由に変更し、東京を飛び交う電磁波を「可視・可聴」にした映像を見ることができる。また、同じく優秀賞の「Nyloid」は、兄弟で結成したアートユニット「Cod.Act」による作品。6メートルもの巨大な構造物が目を惹きつけるが、これは単なるオブジェではなく「音響彫刻」。会期中複数回設けられているパフォーマンスタイムには、巨大なトライポッド(三脚)がエンジンの回転によりのたうちまわり、肉声を分解した音源が動きに合わせて発せられるさまは圧巻だ。公式サイトにタイムスケジュールが掲載されているため、合わせて来場することをお勧めしたい。○エンターテインメント部門大賞「Ingress」の特設展示のほかにも、意欲的な作品が多く展示されていたエンターテインメント部門。優秀賞のインタラクティブインスタレーション作品「3RD」は、来場者が実際に作品を体験することができる。鳥を模したデザインのヘルメットをかぶると、その内部にあるモニターで、外部のカメラを通じて俯瞰された自らの姿が映し出されている。ゲームのように感じられる風景だが、紛れもなくそこに映っているのは自分自身。係の方にうながされるまま歩き回ってみたが、奇妙なズレや浮遊感があり、筆者は2度ほど壁にぶつかった。頭にかぶって異なる視点を得る、という点では、近年活用めざましいヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を活用したコンテンツを連想させるが、この作品がもたらすのは、同デバイスによる没入感とはまた異なる体験だった。そのほか、「のらもじ発見プロジェクト」では現地でタイピングした任意の文字列を「のらもじ」で表示できる展示ディスプレイが用意され、スライムを楽器にしたサウンドデバイス「Slime Synthesizer」は実際に演奏してみることができるなど、体感型の展示が複数見られた。○アニメーション部門アニメーション部門は、作品(あるいは予告映像)の上映のほか、手描きの原画や設定資料などが展示されているブースが作品ごとに設けられていた。短編アニメーション『The Wound』はモニターでの上映ではなくシアタースペースが設置され、来場者が腰掛けて鑑賞することができるようになっていた。また、新人賞の劇場アニメーション『たまこラブストーリー』コーナーでは、さまざまなシーンの原画を複数用意するのではなく、特定のシーンの原画を複数並べて展示。そのほか、キャラクター設定画を詳細に掲示するなど、鑑賞後のファンの視線を意識した展示構成となっていた。○マンガ部門マンガ部門もアニメ―ション部門と同様作品ごとにブースを設けた展示形態だが、各々の作品性を強く押し出した挑戦的な展示が行われていた。大賞「五色の舟」(近藤ようこ/原作:津原泰水)では同作を構成する膨大な直筆原稿に着目し、第1話~第4話までを直筆原稿で読ませる仕掛けが展開された。デジタル作画が普及してきた漫画界において、これだけの量の直筆原稿を読む機会というのは非常にまれだといえる。また、ドラマ化もされて話題となった優秀賞「アオイホノオ」(島本和彦)は、作品テーマとなっている「80年代のマンガ業界」の熱気を演出する意味あいで、作者の仕事机や使用している画材、ネームと完成版の比較などが行われている。今年度は展示の密度が濃く、体験型の企画も多く用意されるなど、来場者が楽しめるインタラクティブなものとなっていた。4分野で話題を呼んだ注目作品が無料で一覧できる機会となっているため、ぜひ足を運んでみてほしい。
2015年02月04日平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展が、2月4日から15日まで、六本木地区にて開催される。3日にはメイン会場の六本木美術館にて内覧会が行われた。会場では、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門3,853点から選ばれた受賞作品、審査委員会推薦作品、及び功労賞受賞者の功績が紹介される。会場内は部門ごとに緩やかに区切られ、ブース内には制作の際に使用された模型や原画資料なども豊富に展示された。アート部門において優秀賞を受賞した坂本龍一と真鍋大度のコラボレーションによる「センシング・ストリームズ―不可視、不可聴」は、札幌国際芸術祭2014のために制作されたもので、携帯電話などから発せられる様々な周波数帯の電磁波を収集し、自発光型超高精細大型ビジョンとスピーカーを通じて可視化、可聴化するという作品。本展では、札幌展での大スケールはそのままに、新たに東京バージョンが発表される。ブース内に設置されたコントローラーを操作し、東京都内の地区別の周波数帯を選択することで、時に輝くように明るい色彩の渦として、時に重厚なサウンドとして、刻々と変化する電磁波を知覚情報に置き換える。本来知覚できない電磁波によって成立している身近なスマートデバイスの存在を、新たな視点から意識するきっかけとなるだろう。その他、エンターテインメント部門ではGoogleの社内ベンチャー、ナイアンテックラボ(Niantic Labs)の「Ingress」が、アニメーション部門では、アンナ・ブダノヴァ(Anna Budanova)の「The Wound」が、マンガ部門では近藤ようこによる津原泰水原作小説のコミカライズ「五色の舟」が、それぞれ大賞を受賞した。また期間中はメイン会場の他、シネマート六本木及びイベントバー「スーパー・デラックス」にて、受賞作品の上映、トーク、パフォーマンス、シンポジウム、ワークショップ、ガイドツアーなど様々なプログラムが実施される。【イベント情報】平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展メイン会場:国立新美術館(その他シネマート六本木、スーパー・デラックスでも開催)住所:東京都港区六本木7-22-2会期:2月4日から15日時間:10:00から18:00(金曜日は20:00まで)休館日:2月10日入場無料
2015年02月04日3月25日~29日に開催される「第7回沖縄国際映画祭」が、「島ぜんぶでおーきな祭(さい) 第7回沖縄国際映画祭」に名称を変更し、メインポスターの制作に漫画化・鳥山明氏が参加することがこのほど、明らかになった。名称は、より多くの人たちに積極的に楽しんでもらいたいという願いを込めて変更。沖縄の全地域の人たちにとって、より身近で、何でもありで、今まで以上にワクワクするような祭りへとスケールアップを目指す。また、メインポスターのシンボルデザインは、「お!chan」に決定。「お!」とは沖縄の「お」、おーきなの「お」、驚きの「お!」を意味し、それに一人一人が思い思いに描いた「目」を付けて、「お!chan」が完成する。ポスターの制作には、『ドラゴンボール』、『Dr.スランプ』などで知られる漫画化・鳥山明氏が参加。鳥山氏は、真ん中にある一番大きな「お!chan」の目を描き、その周りを沖縄県内の人たちが描いた「目」を持つ69個の「お!chan」が囲んでいる。なお、同映画祭を支える県内各地の「応援団」は、14団体になり、さらに広がっていく見通し。そして、よしもとクリエイティブ・エージェンシーは、「よしもと沖縄41市町村全力応援芸人」を県内全41市町村に配置し、文字通り「全力で」サポートしていく。
2015年01月29日文化庁メディア芸術祭事務局は、「平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展」を開催する。会期は2月4日~2月15日。会場は東京都・六本木の国立新美術館、シネマート六本木、スーパー・デラックス。入場無料。同展は、昨年度(平成26年度[第18回])の「文化庁メディア芸術祭」に応募された世界71ヶ国・地域からの3,853作品の中から選ばれた、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の受賞作品や功労賞受賞者の功績等を一堂に展示・紹介するもの。「展示会場」となる国立新美術館 2階 企画展示室2Eでは、「アート部門」優秀賞に選ばれたインスタレーション作品『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』を、札幌国際芸術祭2014で展示された大迫力のスケールのままで体験できるほか、同部門 優秀賞を受賞したメディアパフォーマンス『Nyloid』のパフォーマンスを2月4日~8日までの5日間限定で実施するとのことだ(実施時間は公式ウェブサイト参照。事前申込不要)。さらに「エンターテインメント部門」 大賞を獲得したスマートフォン向けゲーム『Ingress』のAPIを活用した映像空間が出現し、ゲーム中に登場する「Power Cube」のオブジェを展示するほか、同賞 新人賞を獲得したサイクリスト向けアプリケーション『Auto-Complain』の作家が来日し、同展のために特別に制作された"東京バージョン"を使用した街の様子を紹介するということだ。このほか、「アニメーション部門」大賞の短編アニメーション『The Wound』の上映スペースや直筆スケッチ、ビデオコンテなどの展示、同賞 新人賞の劇場アニメーション『たまこラブストーリー』の代表的なシーンを集めた特別スペース、「マンガ部門」大賞の『五色の舟』の直筆原稿(原画)や原作テキスト、優秀賞『アオイホノオ』の原画や作者の仕事机なども展示・紹介されるとのことだ。また、「上映会場」となるシネマート六本木(3階 スクリーン4)、国立新美術館(3階 研修室A・B)では、全部門の受賞作品と審査委員会推薦作品の映像53点を上映。受賞作家や監督を招いたトークイベントの開催を予定。さらに「マンガライブラリー会場」となるシネマート六本木(1階 エントランス)においては、今年度のマンガ部門の受賞作品、審査委員会推薦作品の全巻(オンライン作品を含む)を自由に読むことができるマンガライブラリーがオープンする予定となっている。開設時間は10:00~19:00(2月10日は休み、2月15日は18:00まで)。このほか、「関連イベント」として、海外から来日中の受賞作家が出演するラウンジトーク&ライブパフォーマンスをはじめ、受賞者によるプレゼンテーションやテーマシンポジウム、視覚・聴覚障害者向けのNyloid鑑賞ワークショップ、Ingress講習会、ガイドツアーなどのプログラムが多数予定されている。なお、これらの関連イベントには事前申込が必要なものもあり、プログラムによって申込み方法が異なる。参加希望者は公式ウェブサイトで詳細を確認してほしい。
2015年01月26日日本・韓国・ヨーロッパを舞台にボーダレスな活躍を続けている女優・玄里が主演を務め、昨年8月に公開された映画『水の声を聞く』。このほど今年2月に開催される、第65回ベルリン国際映画祭に正式出品されることが決定した。玄里さんを始め、村上淳や趣里など個性派俳優を迎え、大根仁の監督作『恋の渦』でプロデューサーを務めた山本政志が、同作で得た収益を全て注ぎ込み製作したという本作。物語は、宗教団体「真教・神の水」の教祖になってしまった偽物の巫女・ミンジョンを通して、すがるもののない不安定な現代社会に生きる人々の姿を描いたドラマが展開する。ベルリン映画祭といえば、2002年に金熊賞を受賞した宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』を始め、2010年には『キャタピラー』で寺島しのぶが「主演女優賞」を受賞、そして昨年には山田洋次監督の『小さいおうち』で黒木華が「主演女優賞」を受賞、本年度は橋本愛の主演作『リトル・フォレスト』が「キュリナリー・シネマ」部門に出品されるなど日本人にとって縁深い映画祭。今回、本作は新人の発掘、実験映画やより前衛的な作品を選出することを目的に設立された「フォーラム」部門に正式招待されることとなったが、気鋭の女優・玄里さん、監督の山本政志は『闇のカーニバル』『ロビンソンの庭』『ジャンクフード』に続く自身4度目の選出とあってどのような視点から評価されるのか注目だ。本作は2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テン「日本映画ベスト・テン」にて9位に選ばれ、今年3月に開催される香港国際映画祭への正式招待も決定している。『水の声を聞く』は1月24日(土)から横浜・シネマ ジャック&ベティ、2月14日(土)より大阪シネ・ヌーヴォなど全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年01月14日2015年3月から5月にかけて、京都で初めての大規模な現代芸術の国際展、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」の開催が発表された。京都市美術館の全館と京都府京都文化博物館を主会場に、2ヶ月にわたり京都市内の複数の会場で、世界の第一線で活躍する美術家約40名が、新作を中心に作品を発表する。PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015のチケット情報参加作家は、北京オリンピック開会式の花火の演出を手がけた中国出身の蔡國強、京都賞を受賞した南アフリカの映像作家ウィリアム・ケントリッジ、イラン出身でベルリン在住の女性彫刻家ナイリー・バグラミアン、ベトナム出身でデンマーク国籍のヤン・ヴォーなど、様々な国籍の気鋭の美術家が京都に集う。PARASOPHIAは、paraとsophiaを結合した造語で、paraは「別の、逆の、対抗的な」という意味を、sophiaは叡智や学問体系を意味している。そしてその言葉の優しい音感は、都市・京都そのものを暗示する。今回のアーティスティックディレクターを務める河本信治は、「京都は歴史的にも、社会が激変した第二次世界大戦後から現代まで、市内の各種施設や社寺、篤志家たちが国内外の多様な芸術家たちを支えてきた土地であり、現代芸術に対しても寛容であり続けた都市です。PARASOPHIAは、明日の文化の生産と蓄積を目指す知のワークショップとして都市・京都を際立たせます。そして、幅広い層が楽しめる軽やかな外見の展覧会であると同時に、国内外の専門家たちの知的共感を集められる奥深い内容を目指します」とコメントを寄せた。「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」は、2015年3月7日(土)から5月10日(日)まで、京都市美術館、京都府京都文化博物館ほかで開催される。チケット前売り開始は2014年12月11日(木)。
2014年12月01日文化庁メディア芸術祭実行委員会は、平成26年度[第18回]メディア芸術祭の受賞作品・受賞者を発表した。「文化庁メディア芸術祭」は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰すると共に、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル。今年度の同芸術祭には、前述の4部門に対して過去最多となる世界71カ国・地域から3,851作品が寄せられた。例年は部門ごとに大賞1作品、優秀賞4作品、新人賞3作品が選出されるが、本年度は「アート部門」の大賞が「該当なし」となったことで、同部門のみ優秀賞が5作品選出された。また、功労賞として、メディア芸術分野に貢献のあった4名を決定した。アート部門以外の大賞について、エンターテインメント部門は、スマートフォンのGPS機能を使った仮想世界の陣取りゲーム『Ingress』(グーグルズ ナイアンティック ラボズ = 米国)。同社の創業者・ジョンハンケ氏はビデオレターで「千と千尋の神隠し」や「ゼルダの伝説」、ソニーの「AIBO」など、アートやエンターテイメント、テクノロジーの世界を、新しい、革新的な方法で広げてきた偉大な業績と同列に並べたことを恐縮するとともに光栄に思います」と述べるとともに、「世界の何百万のプレイヤーたちに感謝したい」とコメントした。なお、同賞をゲームが受賞したのは、第11回の「Wii Sports」以来6年ぶりで、通算5作品めとなる。アニメーション部門では、心の傷に苦しむ少女と、彼女が空想の中に棲息する毛むくじゃらの生き物が繰り広げる、悪夢のようでありながらも美しい友情を描いた9分21秒の短編アニメーション『The Wound』(アンナ・ブダノヴァ氏 = ロシア)が受賞した。監督のアンナ・ブダノヴァ氏はビデオレターで「こんなに素晴らしい賞をいただけるなんて夢にも思いませんでした。この賞が次のプロジェクトのための力になってくれることを願っています」と感謝の意を表した。また、マンガ部門は、戦時下に見世物小屋の一座として生計を立てる異形の者たちの哀切な運命を描いた『五色の舟』(近藤ようこ氏/原作:津原泰水氏 = 日本)が選ばれた。マンガを描いた近藤氏は「原作の評価を損なわないように、マンガとしての表現をどのようにしていいのかを考え、35年間学んできたことを投入して描いたつもりです。このような形で評価して頂き、大変嬉しいです」とお礼を述べた。原作者の津原氏は、「マンガのために書いた原作ではありませんが、近藤さんによるマンガとしての的確な演出があっての結果だと思います」とコメントした。なお、各部門の「優秀賞」について、アート部門はメディアインスタレーション『これは映画ではないらしい』(五島一浩氏 = 日本)、同『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』(坂本龍一氏/真鍋大度氏 = 日本)、グラフィックアート、ウェブ『Drone Survival Guide』(ルーベン・パーテル氏 = オランダ)、メディアパフォーマンス『Nyloid』(コッドアクト氏 = スイス)、同『《patrinia yellow》for Clarinet and Computer』(福島論氏 = 日本)の5作品が受賞。エンターテインメント部門は、ウェブ、オープンソースプロジェクト『のらもじ発見プロジェクト』(下浜臨太郎氏/西村斉輝氏/若岡伸也氏 = 日本)、ガジェット『handiii』(近藤玄大氏/山浦博志氏/小西哲哉氏 = 日本)、映像作品『Kintsugi』(アポトロピア アントネッラ・ミニョーネ氏/クリスティアーノ・パネプッチャ氏 = イタリア)、インタラクティブインスタレーション『3RD』(ヘドウィッヒ・ヘインスマン氏/ニキ・スミット氏/シーモン・ファン・デル・リンデン氏 = オランダ)が、アニメーション部門は、劇場アニメーション『映画クレヨンしんちゃん「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」』(高橋渉氏 = 日本)、同『ジョバンニの島』(西久保瑞穂氏 = 日本)、短編アニメーション『PADRE』(サンティアゴ・ブー・グラッソ氏 = アルゼンチン)、同『The Sense of touch』(ジャン チャルル・ムボッティ マロロ氏 =フランス)が選ばれた。また、マンガ部門では、『アオイホノオ』(島本和彦氏 = 日本)、『チャイニーズ・ライフ』(李昆武氏/フィリップ・オティエ氏/訳:野嶋剛氏 = 中国/フランス/日本)、『春風のスネグラチカ』(沙村広明氏 = 日本)、『羊の木』(いがらしみきお氏/原作:山上 たつひこ氏 = 日本)が受賞した。
2014年11月28日文化庁メディア芸術祭実行委員会は、平成26年度[第18回]メディア芸術祭の受賞作品を発表した。今回は「アート部門」の大賞作品は「該当なし」という結果となった。「文化庁メディア芸術祭」は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰すると共に、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル。今年度の同芸術祭には、前述の4部門に対して過去最多となる世界71カ国・地域から3,853作品が寄せられた。その注目すべき「アート部門」だが、本年度の「大賞」は「該当なし」と発表された。「アート部門」は2004年の部門改組から設定されたものだが、それ以前の「デジタルアート(インタラクティブ)部門」、「デジタルアート(ノンインタラクティブ)部門」含め、「アート」を対象とした部門の大賞受賞作品が選出されなかったのは初めてとなる。部門の審査委員・三輪眞弘氏はこの理由について、「今年の応募作品の質が低かったわけではなく、優秀賞や新人賞に選ばれた作品は非常に高いクオリティだった」としながらも、「僕が審査に携わった過去2回は、大賞に選ばれるべき突出した作品があり、ほかの審査委員らも意見が一致することが多かったが、今年はどれも素晴らしい作品でありながらも、コレだという決め手が感じられなかった」と述べた。これは、ほかの審査員も同様の意見だったという。さらに、「一年間で技術はさらに進歩したものの、今年はアップデートにとどまり視点そのものは動いていないと感じている」と続けた。今回の決断について、三輪氏は「最後の最後まで、大賞にするならばこの作品というのはあったし、そうなっても決しておかしいことではなかったが、むしろ審査員が何を感じたかを伝えることも重要だと考え、今回はこのような結果になりました」と述べ、審査委員の実感を率直に反映させた結果であることを明かした。なお、同部門の大賞が「該当なし」となったことで、本年度の「優秀賞」には1作品が追加され、メディアインスタレーション『これは映画ではないらしい』(五島一浩、日本)、同『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』(坂本龍一/真鍋大度、日本)、グラフィックアート、ウェブ『Drone Survival Guide』(ルーベン・パーテル、オランダ)、メディアパフォーマンス『Nyloid』(コッドアクト、スイス)、同『《patrinia yellow》for Clarinet and Computer』(福島論、日本)の5作品が選出された。
2014年11月28日10月に開催された「第27回東京国際映画祭」コンペティション部門でWOWOW賞と最優秀芸術貢献賞のダブル受賞を果たしたロシア映画『草原の実験』が、11月22日(土)に開催するWOWOWの放送イベント「TOUCH!WOWOW2014」の中で一度限りのプレミア放送をすることが決定した。大草原に立つ小屋で父親と暮らす少女・ジーマ。平和な日々を突然襲う暗い影と彼女の運命を描いたこの作品はカザフスタンでロケを行い、登場人物のセリフが一切なく、観客にストーリーの解釈を委ねた野心作。WOWOW賞の選考委員は「セリフを排した本作品の映像・音の持つ力は、言語・国境を越える強さを感じます。この作品をここ 東京から世界に発信することが、監督、俳優、作品関係者それぞれの可能性をさらに広げるきっかけになることを願い、WOWOW賞選考委員満場一致で決定しました。この新しい挑戦に敬意を表します」選出理由を述べている。透明感あふれる魅力を持った主演女優のエレーナ・アン、風や水などの自然が奏でるシンフォニーも見どころだ。監督・脚本はアレクサンドル・コット。第27回東京国際映画祭<WOWOW賞>受賞作『草原の実験』はWOWOWシネマにて11月22日(11:45~)放送。
2014年11月09日ドワンゴ及びニワンゴは、両社が運営する動画サービス「niconico」の「ニコニコ生放送」で、11月1日から、全国の大学学園祭の模様を生中継する学園祭企画を開始する。同企画で学園祭を生放送する大学は、早稲田大学、立命館大学、東京大学、防衛大学、京都大学(開催日時順)の5大学。早稲田大学の学園祭「早稲田祭」には、約16万人が訪れるという。生放送では1日目の模様を中継し、数々のイベントでバンザイをするユニークな団体、「バンザイ同盟」の活動風景や、ゼミナールの研究報告会の様子を伝える。放送日時は、11月1日の14:30~。立命館大学では、毎年、滋賀県のびわこ・くさつキャンパス(BKC)で「BKC祭典」、京都府の衣笠キャンパスで「衣笠祭典」を開催する。計4日間にわたる学園祭の様子を、立命館大学放送局(RBC)が立命館大学放送局チャンネルで中継。放送日時は、11月1日、2日の12:00~(BKC祭典)、11月8日、9日の12:00~(衣笠祭典)。防衛大学では、「第62回開校記念祭」を開催する。伝統競技の「棒倒し」やパラシュート部による記念降下を中継。さらに11月8日に行う10式戦車が現れる「訓練展示」の収録映像も放送する。放送日時は、11月9日の10:30~。京都大学は、11月21日~24日まで「11月祭」を開催。その2日目を中継し、同大学の卒業生であるドワンゴ会長・川上量生(かわかみ のぶお)氏による講演「変わりゆくネット社会を見つめて」をメインに、学園祭の模様を伝える。放送日時は11月22日の13:00~。東京大学では、11月22日~24日まで「第65回駒場祭」を開催する。3日目のミス&ミスター東大コンテストをメインに、学園祭の模様を中継する。放送日時は、11月24日の13:00~。
2014年10月31日大阪の京阪電車なにわ橋駅「アートエリアB1」は10月18日より、第4回鉄道芸術祭「音のステーション」を開催する。鉄道芸術祭とは鉄道の文化や歴史に着目する中で、芸術の新たな可能性を見出すことを目的としたイベント。第4回目となる今年は鉄道を取り巻く“音”にフォーカス。音を多角的に捉えたアート作品を展示する他、様々なアトラクションが展開される。会場には蛍光灯の放電ノイズを使用する楽器「OPTRON」、ワイパーモーターが獣の咆哮のような音を放つ「エレメンタリー・デュエット」などを展示。鈴木昭男や藤本由紀夫といったサウンドアーティストも作品を出展する他、鉄道の金属片や改造ドラムセットを使った新たな音楽作品の創造も模索される。また、館内に配置された京阪電車の警笛用ラッパは自由に鳴らすことが出来、こうした会場内の作品が放つ音や来場者の声は集音されて、“音の中継”としてネット上で公開される予定だ。また、開場期間中には様々なイベントが催される。音楽家の江南泰佐による公開ラジオが全6回に渡って収録され、老舗クラブの「METRO」ではトークプログラムやライブが開催される。作曲家の野村誠はワークショップ「京阪沿線46駅の音楽」で各駅をテーマとした音楽を創造し、それらをクロージングイベントとしてコンサート形式で演奏する予定だ。その他、有料イベントとしては11月23日に、パフォーマンスアクトとサウンドスカルプチャーを融合させた「HOUSEHOLD AFFAIRS」を公演。光と映像による芸術と、ロックンロールを融合させたパフォーマンスが展開される。一方、12月6日には走行する車内で、電車の音と車窓の光景、ゲストのパフォーマンスを融合させた「ノイズ・トレイン」を開催。12月19日には鉄道から着想を得た現代音楽コンサート「鉄道と音楽の夕べ」が催される。【イベント情報】鉄道芸術祭 vol.4「音のステーション」会場:アートエリアB1住所:大阪市北区中之島1-1-1京阪電車なにわ橋駅地下1階会期:10月18日から12月23日時間:12:00から19:00(12月14日から23日は21時まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
2014年10月18日(画像は里田まいオフィシャルブログ「里田まいの里田米」より)里田まい、ニューヨークで奮闘中今世界で最も活躍している日本人の1人が、田中将大投手でしょう。現在MLBニューヨークヤンキースで大活躍中の彼は、アイドル好きなことでも有名で、2012年にアイドル「カントリー娘。」の里田まいさんと結婚したことが話題になりました。田中投手を虜にした里田まいさんは、可愛らしい外見と天然キャラで、日本のお茶の間を楽しませてくれていましたが、現在は夫の田中投手についてニューヨークで生活しています。彼女のオフィシャルブログ「里田まいの里田米」では、慣れない生活に奮闘する彼女の様子がつづられています。洗練されたニューヨーク・ファッション引っ越し当初は言葉の壁もあり、なかなか外出もままならなかった彼女ですが、4月19日のブログでは、1人でタイムズスクエアにある牛角へ行ってきたと報告しています。アップされている写真では、スリーブレスの白のトップスに、ちらりと胸元に除くネックレスで、ラフな中にも洗練を感じさせるニューヨーク・ファッションを公開しています。同ブログを見ると、彼女がニューヨーク生活で頼りにしているのは、ブログ読者からのニューヨーク情報。様々な人が、彼女のためにコメントを寄せています。華やかな暮らしをアピールするのではなく、外国生活に四苦八苦しながら、等身大の生活をブログにアップする彼女。彼女の気取らないピュアな魅力は、ニューヨークでも健在のようです。【参考リンク】▼里田まいオフィシャルブログ「里田まいの里田米」
2014年04月24日2015年3月7日から5月10日に掛けて開催されるアートイベント「パラソフィア(PARASOPHIA): 京都国際現代芸術祭2015」の参加作家第1弾が発表された。国内外の約40名による先鋭的な作品や芸術表現を紹介する同イベント。今回発表された作家は、北京オリンピック開会式の花火の演出や火薬で描く「火薬絵画」などのダイナミックな作品制作や奇抜なプロジェクトで世界的に知られるツァイ・グオチャン(蔡國強)、ベルリンを拠点に活動し、都市環境下の建築と居住の問題を過激なユーモアを盛り込んだ美術的手法で表現するユニット・ヘフナー/ザックス(Hoefner/Sachs)、映画監督のみならず美術、音楽、映像が融合するグループ「キュピキュピ」を主宰し、作品制作やパフォーマンスも行う石橋義正、家具や日用品などを取り込む大型のビデオインスタレーションを多く手がけるピピロッティ・リスト(Pipilotti Rist)、“動くドローイング”とも呼ばれる素描をコマ撮りした手描きアニメーション・フィルムで世界的に知られる美術家ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)、サウンドインスタレーションを多く手掛けるスーザン・フィリップス(Susan Philipsz)、イメージとフィクションの関係を様々なメディアを使ってパフォーマンスや映像作品を制作するドミニク・ゴンザレス=フォルステル(Dominique Gonzalez-Foerster)、制服姿のエレベーターガールの写真シリーズなど現代社会に生きる女性を扱った作品で知られるやなぎみわら8人。ピピロッティ・リストとスーザン・フィリップスについては、4月に行われるオープンリサーチプログラムにも参加。オープンリサーチプログラムとは、芸術祭に向けて行う調査研究の公開のことで、制作の準備と調査のために来日する作家から直接構想や活動について話を聞くことができる。
2014年04月10日2月5日から16日まで「平成25年度[第17回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展」が東京・六本木地区で開催される。前日4日にメイン会場の国立新美術館で内覧会が開かれた。会場ではアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門で国内外4,347点の応募から選ばれた受賞作品と審査委員会推薦作品、功労賞受賞作品などを展示。会場は仕切りが無く、各作品が点在し、奥行きのある風景を見せる。天井には無数の白い糸が張られ、緩やかに下がり天井を作っている。会場構成は建築家の中村竜治が担当した。内覧会には、各部門の受賞者達が出席。マンガ部門大賞を受賞した「ジョジョリオン-ジョジョの奇妙な冒険Part8-」の作者・荒木飛呂彦氏は、「ジョジョは連載25年を超えた。その重みもあってうれしい」と感想から始めた。ファッショナブルなキャラクター、極彩色の色使い、そして「グッチ(GUCCI)」とのコラボレーションなどファッション界でも話題の同作だが、「ファッションはキャラの一部。キャラクターは海中でも帽子を脱がない。色使いは連載が始まった80年代に流行っていたヴェルサーチやモスキーノ、ミッソーニなどのイタリアブランドから影響されている」と説明。最後に「読む人の生活面、精神面に何かしらの影響を与えていると思う。間接的に日本が良くなることにつながればうれしい」と53歳とは思えない相変わらずの若々しい表情でコメントした。因みに何部まで構想があるかは未定とのこと。会場には原画やインスパイアされた音源などが展示されている。他部門の大賞は、アニメーション部門はユン/ローラン・ボアローによる「はちみつ色のユン」、アート部門はCarsten NICOLAIの「crt mgn」、エンターテインメント部門は菅野薫、保持壮太郎、大来優、キリーロバ・ナージャ、米澤香子、関根光才、澤井妙治、真鍋大度らによる「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」が受賞。それぞれ会場に姿を現した。会期中同館の他、東京ミッドタウン、シネマート六本木、イベントバー「スーパー・デラックス」で上映会、トークイベント、ライブパフォーマンスなど様々なプログラムが実施される。【イベント情報】平成25年度[第17回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展メイン会場:国立新美術館(その他、東京ミッドタウン、シネマート六本木、スーパー・デラックスでも開催)住所:東京都港区六本木7-22-2会期:2014年2月5日から16日時間:10:00から18:00(金曜日は20:00まで)休館日:2月12日入場無料
2014年02月04日この11月、新橋演舞場で上演される山田洋次演出の舞台『さらば八月の大地』は、終戦間近の満州で映画づくりの夢を追う人々を描く物語。主役の中国人助監督を演じ、昨年2月の襲名以来初の現代劇に挑むこととなる勘九郎に話を訊いた。『さらば八月の大地』チケット情報戦時中の満州に生きる男を演じるため、稽古に入る前から戦争に関する資料を読み込むなど役づくりに余念がない勘九郎。さらに、満州を知るにあたって彼には心強い助っ人がいるのだという。「うちには小山三さんという93歳のお弟子さんがいるんですが、彼はかつて私の祖父とともに満州へ慰問に行っているんです。だから小山三さんからその時の話を直接聞いています。当時は歌舞伎俳優が来るということで待遇もすばらしく、街並みも素敵だったそうです。ただ日本人にとってはいい場所でも、中国の方の思いはまた違ったかもしれません。私は今回中国人を演じますから、そんなところを想像しながら役に挑みたい」勘九郎演じる張と篤い友情を築くこととなる日本人役の今井翼とは初共演となる。「制作発表記者会見でほぼ初めてお会いしたのですが、その数日後、初めて行ったレストランでまた翼さんに会ったんです。お互いあまりの偶然に笑いながら『頑張ろう』と言い合いました」と不思議な縁を語る勘九郎。「翼さんはフラメンコなど、いろんなところに目を向けてらっしゃるのが素敵ですよね。僕も歌舞伎だけでなくこうして現代劇に出演させていただいたり、面白いことにはどんどんチャレンジしたいと思っているのが似ているかな」とふたりの共通点に言及した。脚本を担当する鄭義信は、勘九郎にとって特別な思い入れのある相手。「僕が読売演劇大賞の杉村春子賞をいただいたとき、大賞が鄭さんの『焼肉ドラゴン』だったんです。それをきっかけに鄭さんの作品を観るようになりました。人間の深いところを描く方ですよね。今回ようやく彼の脚本で演じることができるのはうれしい限り」。また、演出の山田洋次は自身も満州からの引き揚げ経験をもつ。「山田監督の思いをしっかりと受け止めて、実際に戦時中や戦後の記憶がある方たちから、戦争を知らない若い方たちまで、心に響く作品をつくることができたら、と思います」。さまざまな人の気持ちを背負いながら難役に立ち向かう勘九郎の雄姿をぜひ目撃したい。公演は11月1日(金)から25日(月)まで東京・新橋演舞場にて。チケット発売中。取材・文/釣木文恵
2013年10月23日芸術の秋! 都内のアートスポットを巡って、気分に浸るデートはいかが? この秋開催中のオススメアートイベントをご紹介します。 ■森美術館が10周年六本木ヒルズの森美術館では2014/1/13まで、森美術館10周年記念展 「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」を開催中。日本のアートシーンを総覧する3年に一度の展覧会シリーズ「六本木クロッシング」の第4回目。今回は日本の現代アートの「いま」を、歴史やグローバルな視点とともに見つめます。森美術館「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」 公式サイト tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)■アメリカン・ポップ・アート!アメリカン・ポップ・アートの個人コレクションとしては世界最大級の“パワーズ・コレクション”の全貌を、世界で初めてまとまった形で紹介する「アメリカン・ポップ・アート展」が、国立新美術館で10/21まで開催中。日本初公開のアンディ・ウォーホル『200個のキャンベル・スープ缶』をはじめ、必見の作品が満載です!国立新美術館「アメリカン・ポップ・アート展」 公式サイト tel.03-5777-8600■チェコの映画ポスターに注目!絵本、人形劇、アニメーションなど、心惹かれる作品の多いチェコスロヴァキア。映画ポスターも注目すべき名作が数多く生み出されています。東京国立近代美術館では12/1まで、「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」を開催中。82点に及ぶチェコ映画ポスターのほか、ヨーロッパ各国、アメリカ、日本の映画ポスターにも注目した展示会です。東京国立近代美術館「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」 公式サイト tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)■国際的プロダクトデザイナーゆかりの品々世界的な工業デザイナーとして有名な柳宗理さんが、約30年間にわたり三代目館長を務めた日本民藝館。11/21まで、「柳宗理の見てきたもの」を開催中。柳宗理さんが蒐集してきた日本民藝館 コレクションの逸品をはじめ、陶磁器や染織品、仮面などを展示。柳宗理さんがどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介します。日本民藝館「柳宗理の見てきたもの」 公式サイト tel.03-3467-4527
2013年10月01日渋谷・鹿児島おはら祭実行委員会は5月19日に、南九州最大の祭である「おはら祭」を東京・渋谷で再現する「第16回 渋谷・鹿児島おはら祭」を開催する。同イベントは、鹿児島市と渋谷区が歴史的に深い縁があることから、1998年より開催。「おはら祭」はもともと鹿児島県で行われている祭りで、その由来は鹿児島の代表的な民謡「おはら節」からきているという。今回は58組の踊り連、総勢約2,000人の踊り手が、「おはら節」、「ハンヤ節」、「渋谷音頭」の3曲に合わせ、渋谷の道玄坂と文化村通りで「踊りパレード」を実施する。パレードは小雨決行。第一部パレードは13時20分から、第二部パレードは14時50分から実施する。また、5月18日、19日の2日間、鹿児島名産の食品や焼酎などを販売する「さつまの食品展」を開催。東急百貨店本店正面口前、渋谷マークシティ(1F イベント広場とウェーブ広場)、ユニクロ渋谷道玄坂店前 、ソフトバンク渋谷店前、渋東シネタワー前(5月19日のみ実施)で実施する。更に渋谷ハチ公前広場では5月18日・19日に、渋谷と鹿児島の魅力を紹介する「渋谷・鹿児島観光案内」を実施。5月16日~22日までは、「東急フードショー 鹿児島の味覚特集」を渋谷駅・東急東横店地下1階東急フードショーで開催する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年04月03日瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代美術の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」。2013年に行われる第2回目の日程などがこのほど決定した。第1回「瀬戸内国際芸術祭」は2010年7月19日から10月31日までの105日間にわたって行われ、8つの国と地域から75組のアーティスト、プロジェクト、16のイベントが参加し、93万人の来場者があった。第2回目となる2013年は、4月28日(日)から9月23日(祝)までの期間を、「ART SETOUCHI 春(4月28日~5月6日)」「ART SETOUCHI 夏(7月14日~8月19日)」「ART SETOUCHI 秋(9月15日~9月23日)」の3つの期間に分けて開催。会期総計は108日間に及ぶ規模となる。会場も前回の会場となった高松港周辺、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、宇野港周辺に加え、中西讃の五つの島が新たに加わることになった。参加アーテイストもベテランから新進の作家まで、22カ国・地域の175組・プロジェクトが名乗りを上げている。美術家の横尾忠則氏は土庄町の豊島の民家を改修し、絵画などを展示する「豊島横尾館」を整備する。また、写真家の荒木経惟氏も、JR予讃線のラッピング車両を手掛け、来場者の足をアートで彩る計画だ。アーティスト日比野勝彦氏が参加するほか、俳優の南果歩氏が演劇などを計画している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月28日京都市左京区の京都造形芸術大学はこのほど、「芸術教養学科」を通信教育課程に新設。2013年4月より授業を開始する。同学科は、「手のひら芸大」を通称として、卒業までのすべての課程をスマートフォンやタブレット端末によるインターネット学習に特化した通信教育学科。近年急速に進むスマートフォンやタブレット端末の普及に合わせ、まとまった時間が取れない社会人が、自宅、通勤途中などで芸術を学び、仕事やくらしをより豊かにしてもらうことを目的に開発されたものだという。「総合教育科目(一般教養)」「学部共通専門教育科目」「学科専門教育科目」の3つの科目群に、全71科目135単位を用意。1本あたり3~5分の動画教材を1科目あたり75本視聴してレポートを提出する「Webスクーリング科目」と、電子テキストで学習し、レポート提出と単位修得試験の受験で単位取得をする「Webテキスト科目」の2種類の履修方法をベースに、すべての課程をスマートフォンやタブレット端末で履修できる。募集定員は460名。大学入学資格保有者を対象にした芸術学部正規課程で、卒業と同時に学士(芸術)の学位を取得できる。年間授業料は17万円。初年度は入学金3万円および入学選考料2万円が別途必要となる。前期募集期間は2013年2月1日10時~4月15日5時。授業開始は2013年4月1日10時。無料体験講座への参加など詳細は「手のひら芸大公式ページ」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月19日2012年7月14日(土)から新潟県新潟市内で開催中の「開港都市にいがた水と土の芸術祭2012」。当芸術祭の「アートプロジェクト」は閉幕日の12月24日(月・休)までメイン会場「万代島旧水揚場」の入場料が半額になる。「アートプロジェクト」は芸術専門家などから高い評価を得ている。この来場者数が10月末時点で前回の約40万人を超えたことから、閉幕日の12月24日(月・休)まで「水と土の芸術祭感謝月間」とすることになった。これにより、当日入場料通常一般1,000円が500円、学生・65歳以上800円を400円、高校生300円を100円に割引する。中学生以下は無料。ただし、チケットはメイン会場の窓口のみでの販売となる。同会場は、2年前まで魚のせりや水揚げが行われていた施設。漁業や港町の記憶の残る4つの施設全体に、全66作品のうち、20作品を展示している。約5カ月半にわたり開催されている同芸術祭は、2009年に続き2回目の開催。今回は「転換点」をテーマに、メイン会場をはじめ市内48カ所にアート作品を制作・展示する「アートプロジェクト」と、市民の企画実施による「市民プロジェクト」、自然との共生を考える「シンポジウム」を3本柱に、ライブ・パフォーマンス、食のイベントなども数多く開催している。メイン会場での今後のイベントとしては、12月2日(日)に当芸術祭ディレクターでありダンサーの堀川久子によるパフォーマンスや、12月13日(木)には映画『阿賀に生きる』の上映なども控えている。最終日の12月24日(月・休日)には、「大友良英オーケストラNIIGATA」が同市内にあるNEXT21市民プラザホールで開催される。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月03日お菓子メーカーの明治は、「きのこの山」、「たけのこ里」、「きのこの山やきいも味」を対象にした「きのこの山・たけのこの里×スーパーマリオプレゼントキャンぺーン」を開始した。キャンペーン期間は2013年3月28日17時まで。同キャンペーンは、1985年の発売以降、全世界で2億8,356万本以上を売り上げ、12月にも新作が発表されるゲームソフト「スーパーマリオ」シリーズと、1970年代から親しまれている同社のロングセラー商品「きのこの山・たけのこの里」とのコラボ企画。対象商品のパッケージ中面に印字されているシリアルナンバーを、応募ポイント数に応じてキャンペーンサイト内で入力し応募すると、当選がその場でわかるインスタントウィン形式となっている。当選者数は合計3,000名。応募ポイント数に応じて「ニンテンドー3DSLL(ホワイト)」やニンテンドー3DS用ソフト「Newスーパーマリオブラザーズ2」、スーパーマリオとコラボレーションしたパッケージがそのままデザインされた「ニンテンドー3DSオリジナルポーチ」、「QUOカード」などが当たる。なお1つのシリアルナンバーにつき1ポイントで、1人何回でも応募ができる。キャンペーンには同社きのこの山・たけのこの里ホームページから応募できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月21日渋谷芸術祭実行委員会は、東京都渋谷区と共にアート・映像・音楽・ダンスパフォーマンスなど独自の「渋谷カルチャー」を発信する「渋谷芸術祭」を10月27日・28日に開催する。今年のテーマは「キラリ!渋谷は文化の“光”差点」。会場は渋谷ハチ公前広場や渋谷マークシティ、区役所前広場、今年から会場に加わる渋谷ヒカリエ、宮益御嶽(みやますみたけ)神社など、渋谷エリア内の11カ所。計15以上のアートイベントを展開する。ハチ公前広場・東急東横店特設ステージでは、ライブパフォーマンスのほか、ハロウィンにちなんだフォトコンテストを実施。フォトグラファーによる参加者の写真撮影を行い、渋谷芸術祭公式Facebookページに画像をアップ、後日「いいね!」の数が多かった人にはプレゼントを贈呈する。渋谷ヒカリエでは、1階から4階までのイベントスペースにてライブペインティングやアート作品を展示。区役所前広場では、放置自転車を使ったデコチャリのワークショップや、様々なタイプの自転車の試乗会を行う。宮益御嶽神社では野外映画上映を実施する。今年は「東日本大震災復興支援プロジェクト」として、東北と渋谷のコラボーレションペイントアートを企画している。東北の子供たちと渋谷の子供たちがそれぞれ布に絵を描き、その布をオブジェとして縫製。完成作品はハチ公前広場に展示する。また、仙台市にはサテライト会場を設置し、インターネットラジオ番組配信を実施する。区役所前広場には東北3県のアンテナショップ・マルシェを設営して、東北と渋谷の交流を行う。同イベントの入場は無料。詳細は渋谷芸術祭公式ホームページで案内している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月24日第2回目の「EARTHARTFESTA土祭(ヒジサイ)2012」が、陶芸益子焼で知られる栃木県益子町で9月16日(日)の新月から30日(日)の満月にかけての15日間にわたり行われている。どこか懐かしく、そして新しい、「土」をテーマにしたアートイベントの「祭」だ。「土祭」は、2009年秋に益子町の主要産業である窯業や農業に共通する「土」をテーマにスタートした益子町のアートフェスティバル。3年ぶり2回目の開催となる。会場は益子町中心部から東部の大羽地区にまたがる3つのエリア。陶芸店や空き店舗を利用してアート、音楽、映画上映などの展示・イベントが繰り広げられる。町内の陶芸家や彫刻家に加え、国内外で活躍するアーティストも参加。セミナー、ワークショップも多数行われる。「土と風のエリア(益子本通り)」、「土と月のエリア(城内坂・藍の道)」、「土と水のエリア(道祖土・大羽)」に、作品展示、イベント、住民プロジェクト、50あまりのプログラムが展開される。例えば「土と水のエリア」では、サウンドインスタレーションが展開される。1194年建立の国の重要文化財指定「綱神社」とその周辺ではサウンドデザイナーの川崎義博氏が、人間国宝・濱田庄司がのこした益子参考館では、国内外で活躍の作曲家である畑中正人氏が、それぞれ”歴史ある空間でのサウンドインスタレーション”を行っている。名左官・榎本新吉さんが考案した手法による、益子の土を用いた「光る泥団子」作りのワークショップも29日(土)、30日(日)に開催予定だ。今回の「土祭」のメイン会場と言える「土と月のエリア」では、挾土秀平氏の指導で2009年に完成した「土舞台」で音楽祭を開催。千秋楽の9月30日には、奄美島唄の朝崎郁恵さんのライブが予定されている。また、この「土舞台」のエリアでは、期間中の土日祝日に地酒や地元の食材での手料理を提供する「夕焼けバー」がオープンする。なお、「土祭2012」の各展示やイベント会場への入場には、パスポート(会期中何回でも入場可)が必要。料金は大人700円、小中高生300円。購入は会場内の総合案内所およびパスポート販売所。パスポートは、公式ガイドブック付きで、抽選で「益子焼」や「土祭オリジナルてぬぐい」などが当たるスタンプラリーの台紙も兼ねている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月25日水や土に支えられ、育まれてきた新潟の文化を、アートの力で国内外に発信することを目的に、2012年7月14日(土)~12月24日(月)まで新潟市で開催されている「水と土の芸術祭」。親子で楽しめる見どころも多く、なかでも子どものアート活動の拠点となるのが「みずっちみなとスタジオ」。芸術祭メイン会場である万代島旧水揚場の無料スペースに設置された同スタジオには子どもたちの作品「つながりの円柱画」が飾られ、さまざまなワークショップやイベントが開催されている。(C) 内藤雅子秋からは「ハートがうごくプログラム」と題した4ジャンルのワークショップを展開。第1弾は「どきどき ~つながる よろこび~」と題し、デザインやコミュニケーションをテーマにしたワークショップを実施している。今後の予定は以下のとおり。いずれも申し込み不要で当日直接会場へ行けばOK。すべて無料で楽しめるのも嬉しい。(C) 内藤雅子(1) ”わたしの新潟”を表現しよう、交換しよう♪日時:9月22日(土)、23日(日)10:00~13:00内容:新潟との思い出や出来事、想いや願いなどを大募集!色紙をつかって、”わたしの新潟”を表現したら、”みんなの新潟”と交換できる ※こども・親子での参加やおとなも歓迎(2) ウォーターパズル パート2日時:9月22日(土)13:00~完成次第終了内容:カラフル色水で巨大モザイク絵をつくる(3) 星空マグネット日時:9月23日(日)14:00~16:30内容:粘土できれいな星を作って星座にする(4) 海の仲間たちをつくろう!日時:9月29日(土)10:00~12:00/14:00~16:00内容:さまざまな材料で海の仲間をつくり、海に見立てたビニールテープにはりつけて大きな作品を完成させる次いで10月4日(木)~10月23日(火)の第2弾「わくわく ~つくる おもしろさ~」では、絵・クラフト・建築などのワークショップを実施。さらに、10月25日(木)~11月20日(火)には第3弾「ほっこり ~たべる うれしさ~」として食のワークショップ、11月22日(木)~12月11日(火)には「きょろきょろ ~みつける たのしさ~」と題して鑑賞・実験・写真などのワークショップを集中的におこなう。各ジャンルともに全6回程度開催予定とのこと。 ※詳細は公式サイト( )などでご確認ください。上越新幹線を使えば、東京から新潟まで約2時間と意外に近く、週末旅行にもぴったり。芸術の秋、自然豊かな新潟の地で、親子でアートに触れてみては。(C) 内藤雅子開港都市にいがた 水と土の芸術祭2012会期:2012年7月14日(土)~12月24日(月・祝)会場:万代島旧水揚場、新潟市内各地パスポート:一般2,000円、学生・65歳以上1,500円、高校生600円、中学生以下は鑑賞無料HP: 取材/古屋江美子
2012年09月18日今年も佐渡で和太鼓を中心とした芸術祭、アース・セレブレーション2012が8月17日~19日の3日間、それぞれ10:00から開催される。みどころは、城山公園で行われるメインイベント、和太鼓を中心とした音楽フループ「鼓童」のステージ。期間を通じてコンサートが行われるが、日により内容が違い変化に富んでいる。17日は「まつりはじめ」と題されたステージ。18日は坂東玉三郎演出の「打男DADAN」アース・セレブレーションスペシャル。今年2月にパリ・シャトレ劇場で4日間連続”SOLDOUT”となったステージをアース・セレブレーションのために再構成した。19日は津軽三味線の上妻宏光をゲストに迎える。太鼓と三味線の融合、「祝祭」がフィナーレを飾る。観客席は芝生の上で、まるで花火見物をするかのように気軽に見ることができる。また、ステージ両脇にはダンスエリアもある。太鼓は演奏者のノリがプリミティブに反映される楽器でもある。ノリを感じて自ら歌い、踊り、飛び跳ねるのも可能だ。佐渡は古くから流刑の地で知られている。鎌倉時代では、日蓮や、鎌倉幕府打倒を目指し承久(じょうきゅう)の乱で敗れた順徳上皇、正中の変で捕縛された日野資朝の流刑地だった。また、室町時代には能を大成させた世阿弥もこの地に配流させられた歴史がある。しかし、配流により京の上流階級の人々との間に交流が生まれ、佐渡での能を始めとする芸術文化発展の一因となった。15日と16日には、アース・セレブレーション2012のプレイベントとして、佐渡市内の能舞台で薪能の公演も行われる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月13日東京・池袋の東京芸術劇場が1年半の大規模改修工事を終え、9月1日(土)にリニューアル・オープンする。これに先立ち8月9日、記者発表会と内覧会が行われた。東京芸術劇場のチケット情報1990年10月に開館した同劇場は主に貸しホールを中心に運営を行ってきたが、2009年2月に劇作家で演出家の野田秀樹を初代芸術監督に迎え、創造発信型劇場への転換を目指してきた。開館から20年経ち、建物の老朽化と機能面での見直しが必要となり、大規模な改修工事を行った。リニューアルに要した総工事費は約84億円。野田は今回のリニューアル・オープンについてビデオで次のようにコメントを寄せた。「改修工事の当初より全ての空間に関わりました。大勢の人が集いやすい場所になったと思います。劇場というのは器だけがよくなっても何も変わらないので、中身の作品と、それに関わる人が変わらないといい劇場になっていかないと思います。改修工事をしたから新しくなったということではなく、新しい劇場になるためのキッカケとして改修工事が行われたと考えています。プログラムに関しては大勢の方々と練っていいものを揃えることができました。今後は海外や地方の公共劇場との提携を増やし、また若い才能を支えていくことが公共劇場の役割だと考えています」。今回の改修工事の主なポイントは「イメージの一新」。鉄、木、土の素材をモチーフに各ホールが特徴を持った空間に生まれ変わった。ホールの名称も変え、大ホールはコンサートホール、中ホールはプレイハウス、小ホール1・2はシアターイースト・ウエストとなる。なお今後の主なラインナップは、演劇はハンガリーから招聘する「TACT/FESTIVAL 2012ジャンク・オペラ『ショックヘッド・ピーター ~よいこのえほん~』」を9月1日(土)から9日(日)までシアターイーストにて、野田の作・演出「NODA・MAP第17回公演『エッグ』」を9月5日(水)から10月28日(日)までプレイハウスにて、蜷川幸雄演出のギリシャ劇『トロイアの女たち』を12月11日(火)から20日(木)までプレイハウスにて上演。クラシックは下野竜也&読売日本交響楽団「マーラー交響曲第2番『復活』」を9月1日(土)に、エリアフ・インバル指揮の東京都交響楽団「 [新]マーラー・ツィクルス」を9月15日(土)、29日(土)、10月28日(日)、11月3日(土・祝)、2013年1月20日(日)に、G.ロジェストヴェンスキー&読売日本交響楽団「チャイコフスキー後期交響曲チクルス」を10月6日(土)・7日(日)・8日(月・祝)にいずれもコンサートホールで開催する。
2012年08月10日新潟県越後妻有地区で行われているのが、3年に一度の国際的芸術祭である「大地の芸術祭アートトリエンナーレ2012」だ。「人間は自然に内包される」というコンセプトのもと、現代社会の効率化、合理化により環境破壊を引き起こすパラダイムをシフトする契機としようというものだ。そのため、「非効率」を徹底。360近い作品を6地域、200集落、約760平方キロメートルという広大な地域に点在させている。芸術作品を鑑賞するとともに、越後妻有地区の自然豊かな里山の美しさにもふれることができる。作品の配置場所である6つの地域にはそれぞれ特色がある。まずは、織物と農業の町、十日町エリアには越後妻有里山現代美術館「キナーレ」がある。「絵本と木の実の美術館」は廃校になった校舎を修復した美術館だ。次に、稲作を中心とした地域である川西エリアには光のアーティスト、ジェームズ・タレルの作品世界を体感できる「光の館」がある。また、ナカゴグリーンパークには芸術祭の作品はもちろん、パターゴルフも楽しむことができる。さらに、縄文時代中期の火炎型土器が出土したことで有名な沖の原遺跡がある津南エリアには、蔡國強(中国)や金九漢(韓国)、クイビーン・オフラハラ(アイルランド)の作品群が展示されている。日本三大渓谷のひとつ、「清津峡」がある中里エリアにはフィンランドの芸術家グループの手による「ポチョムキン」と名付けられた美しい公園がある。稲作が主体の松代エリアのみどころは、築150年の古民家にのべ3,000人が2年半をかけて彫刻を施した「脱皮する家」や、屋内外に約40のアート作品が点在する「農舞台」がある。山菜やきのこなどの特産品、また、松之山温泉で知られる松之山エリアには、豪農の古民家と庭を博物館にした村山家旧宅があり、芸術祭の展示のほかに小説家坂口安吾の遺品も展示されている。期間は7月29日から9月17日まで。作品鑑賞パスポートは一般3,500円、高・専・大学生3,000円。中学生以下無料。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月08日パリを拠点に活躍中の世界的ヴァイオリニスト諏訪内晶子が芸術監督を務める新たなクラシック音楽祭、国際音楽祭NIPPON」の記者発表会が、7月6日に行われた。諏訪内晶子の公演情報1990年の第9回チャイコフスキー国際コンクールで第1位(史上最年少、日本人初の優勝)の快挙を成し遂げて以来、世界を舞台に活躍を続けているヴァイオリニストの諏訪内晶子。ここ10年来「演奏活動以外に、何か世の中に恩返しができないか。次の世代に伝えていけることはないか」ずっと考えてきたという彼女が、長年温めてきた構想を実現させるのが今回の音楽祭だ。諏訪内が考えるこの音楽祭の柱は3つだという。「まず1つは、現在演奏活動を行っている同世代の方たちと一緒に作ること。2つ目は、音楽祭のための作品の委嘱とそれを世界に向けて発信すること。そして3つ目は教育。マスタークラスを含め、私はまだ日本では教えたことがないのですが、自分が経験してきたことを今後定期的に伝えていきたいです」と思いを語る。音楽祭は、諏訪内自身が10年以上住んだことのある思い入れのある横浜と、仙台を中心に開催。出演者には、諏訪内晶子のほか、エサ=ペッカ・サロネン(指揮)、フィルハーモニア管弦楽団、レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)、ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ)、江口玲(ピアノ)らが予定されている。内容は、リサイタルやオーケストラとの共演、諏訪内初の室内楽コンサートに加え、美術館とのコラボレーション、0歳児から入場できるコンサートや小学生のためのヴァイオリン教室などの子ども向けプログラムも計画中だ。また東日本大震災復興支援として、公演の収益金の一部を被災地へ寄付するほか、仙台でのコンサートやヴァイオリン教室も行われる。「国際音楽祭NIPPON」は、2013年2月2日(土)から16日(土)まで、横浜みなとみらいホール、横浜美術館(以上・神奈川県)、電力ホール(宮城県)などで行われる。公演内容の詳細、チケットの発売日などは随時発表される予定。
2012年07月10日水と土の芸術祭実行委員会は7月14日~12月24日、「転換点~地域と生命の再生に向けて~」をテーマとした「水と土の芸術祭2012」を開催する。万代島旧水揚場をメインに、旧齋藤家別邸、信濃川やすらぎ堤ほか、新潟市内各地が会場となる。同芸術祭は、水や土に支えられてできた新潟の文化を、アートの力で国内外に発信することを目的に開催され、2009年に続き2回目となる。会期中は、開催プロジェクトを「アートプロジェクト」、「市民プロジェクト」、「シンポジウム」の3つのポイントにわけ、芸術祭だけではなく、新潟市民が主体となった地域の魅力を発信するイベントなどを実施。各所でプロジェクトやアート作品の展示が展開される。また、ロゴのデザインはアートディレクター・コミュニケーションディレクターの森本千絵が担当。新潟のクリエイティブチームが、芸術祭を通し、モノやコトをクリエイトし発信するなど、デザインの視点からも楽しむことができる。アートプロジェクトには、石川直樹(作品名「異人 the stranger」)、大友良英×飴屋法水たち(作品名「Smile」)、王文志(ワン・ウェンヂー)(作品名「浴火鳳凰(よっかほうおう)」)など、多数の作家が参加している。同芸術祭の全作品を鑑賞できるパスポートは、前売り(7月13日まで):一般1,500円、学生・65歳以上1,200円、高校生400円、当日:一般2,000円、学生・65歳以上1,500円、高校生600円。中学生以下無料。なお、会期中はパスポートがあれば、新潟市内の文化施設の入館料が割引され、市内の飲食店や温泉でもお得なサービスを受けることができるという。詳しくは、同芸術祭WEBサイトのパスポートのページで確認できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月22日『仮面ライダー』『サイボーグ009』をはじめ、数々の名作を残した漫画家・石ノ森章太郎の作品『大江戸緋鳥808』が、大地真央の主演で初舞台化される。出演は大地のほか、湖月わたる、貴城けい、未沙のえるなど元宝塚のスターたちが顔を揃える。8月の上演に先立ち、6月6日、都内で会見が行われ、大地、湖月、貴城、未沙と共演の東幹久が取材に応じた。「大江戸緋鳥808」チケット情報大地が演じる美貌の花魁・高尾太夫は、誰にも揚げられないことで名を馳せるが、実はかつて緋鳥と名乗った“くノ一”。明るくさっぱりとした人柄で周りから慕われているが、戦うために生きた孤独な過去を抱えている。そんな暮らしをしている中、江戸幕府ではお家騒動が勃発。その背後には、かつて緋鳥が所属し、緋鳥を裏切った忍び集団・卍党の姿が見え隠れしていた。大江戸八百八町で暮らす人々を巻き込みながらも、ふりかかる数々の事件に緋鳥が立ち向かっていく。初めての花魁役を演じる大地は「衣装の重さが何十キロもあって、びっくりしました。本番では工夫が必要ですね。初共演となる宝塚の後輩たちも楽しみだし、同期生の未沙さんとは27年ぶり。いい化学反応が起こる気がしています」とコメント。原作では濡れ場が多いが「(舞台用に)アレンジされているので、残念ながら濡れ場はありません。本当は脱ぎたかったんですが演出家に止められました(笑)」と会場を笑わせた。湖月と貴城は、憧れの大先輩である大地との共演に興奮気味。湖月は、ファン心理が抜けきれず申し訳ないんですがと断りつつも「真央様とご一緒できることが嬉しくて嬉しくて。いま同じマイクを使っているだけでも赤くなりそう。精一杯がんばりたい」と、スターを見つめるファンのように目を輝かせていた。貴城も「(大地に)見とれてセリフを忘れてしまいそう。たくさんのことを吸収できるようにがんばります。大きな懐の中に入った気持ちで、のびのびと演じられたら」と抱負を語った。今年2月に宝塚を退団した未沙は「退団後の初舞台が、27年ぶりの大地さんとの共演となり、女優としてとても良いスタート」と話すと、気心知れた大地から「同期の“三枚目”の誇りです」と紹介され、笑いを誘った。美女に囲まれての出演となる東は「良いに決まってるじゃないですか」とニヤけながらも「政治に無関心な男が、緋鳥という強烈な個性と出会うことで変わっていく様をしっかり演じたい」と意気込みを語った。演出を担当する岡村俊一は「花魁と“くノ一”のふたつの顔をもつ、時代劇版『仮面ライダー』だと思っていただければ」と作品を紹介。特に「ひとりの女性がどんな気持ちで仮面ライダーをやっているのかという素顔の部分を中心に描いていきたい」と構想を語った。宝塚ファンはもちろん、宝塚を知らなくとも十二分に楽しめそうだ。公演は8月4日(土)から27日(月)まで東京・明治座にて上演される。チケットは6月23日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは6月13日(水)11時まで先行抽選・プレリザーブを受付中。取材・文:大林計隆
2012年06月07日