●17年越しで打ち上げられたDSCOVR米国のスペースX社は2月10日、地球・宇宙天気観測衛星「DSCOVR」を搭載した、「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。この打ち上げは2つの点で大きな注目を集めた。ひとつは、DSCOVRがかつてアル・ゴア元米副大統領の肝いりで開発が始まったものの、打ち上げ中止などの紆余曲折の末に、実に17年越しで打ち上げられた衛星であったこと。そしてもうひとつは、ファルコン9の第1段機体が海上への着水に成功したことだ。○17年越しで打ち上げられた「ゴアサット」DSCOVRは米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気庁(NOAA)が開発した衛星で、太陽から放出される荷電粒子や、磁気嵐の状況といった「宇宙天気」を観測すること、また地球の昼側(太陽光が当たる側)を常時観測することを目的としている。DSCOVRは「Deep Space Climate Observatory」の略で、直訳すると「深宇宙の気象観測所」といった意味になる。またDSCOVRという略語は、「発見する」という意味の「Discover」に掛けられている。打ち上げ時の質量は570kgで、設計寿命は約2年が予定されている。軌道は、太陽・地球系のラグランジュ第1点と呼ばれる場所に投入される。下図にあるように、この場所は常に太陽と地球の間に存在しているので、太陽と地球の間の環境や、お互いがお互いに与える作用を観測したり、また地球の昼側を観測し続けるのに適している。DSCOVRには、大きく3種類の観測機器が搭載されている。まず「PlasMag」は、太陽から地球に向かって飛んでくる荷電粒子や電子、そして磁場などを観測する。「NISTAR」は地球のエネルギー収支を観測する。そして「EPIC」は、地球表面からのエネルギーの放射量やエアロゾル、オゾン、雲の動きなどを観測することを目的としている。DSCOVRは実に17年越しに打ち上げられた衛星だ。DSCOVRの開発は、もともと1998年に開発がはじまったトリアーナ(Triana)計画をその源流に持つ。トリアーナという名前は、1492年にコロンブスの艦隊がアメリカ大陸に訪れた際、最初に船から大陸を発見した乗組員の名前にちなんでいる。そしてトリアーナにはもうひとつ、「ザ・ブルー・マーブル」のような青く輝く地球の写真を、ほぼリアルタイムで世界中に配信するというミッションも課せられてた。「ザ・ブルー・マーブル」というのは、1972年にアポロ17の宇宙飛行士たちが撮影した、太陽の光を全面に受けて、宇宙に浮かぶビー玉のように輝く地球の写真のことだ。トリアーナを使い、現代の、そして常に最新のブルー・マーブルの映像を世界中に配信することで、環境問題や世界平和への意識を高めることが期待されていた。これは当時のアル・ゴア米副大統領の肝いりで進められたもので、後の証言によると、トリアーナはそもそも、このゴア副大統領の提案が発端となって計画が立ち上がり、他の科学機器はその後に徐々に付け加えられていったのだという。また、ゴア副大統領は太陽・地球系のラグランジュ第1点の持つ価値や、衛星からの観測で分かることなどについて、深い知識を持っていたという。しかし周囲からの評判は芳しくなく、「高価なスクリーンセーバーに過ぎない」と非難されたり、必要性を強固に訴えるゴア氏の名前を取り「ゴアサット」などと揶揄される始末だった。また、他の機器による科学ミッションについても「すでにある気象観測衛星からのデータで十分」という批判が集まるようになり、すでに衛星はほとんど完成していたにもかかわらず、2001年に計画は中止されることになった。トリアーナはスペースシャトルで打ち上げることが予定されていたが、国際宇宙ステーションの建設や、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションの方が優先順位が高かったために中止され、打ち上げ手段がなくなったのだ。ちなみに、打ち上げが中止される直前の時点で、トリアーナは、2003年2月1日に空中分解事故によって悲劇的な結末となった、STS-107コロンビアで打ち上げられることが計画されていた。また、この中止の背景には政治的な事情があったといわれることもある。ゴア氏は2000年の米大統領選挙に民主党候補として出馬し、激しい選挙戦の末、共和党候補のジョージ・W・ブッシュに破れている。トリアーナが中止されたのは、まさにブッシュ政権が誕生したのと同じ2001年のことであり、当時のことについて触れられた記事などでは「ブッシュ大統領はゴアサットを見せしめとして潰したのだ」などと書かれることもある。だが、スペースシャトルの運行予定が詰まっていたことは事実であり、かといって別のロケットで打ち上げるには追加予算が必要になること、さらに衛星の必要性が疑問視されていたことから、たとえゴア氏の息のかかった衛星でなかったとしても、打ち上げは中止されていたと見るのが自然だろう。トリアーナは打ち上げ中止となったが、しかし解体されることにはならなかった。NASAは、ゴダード宇宙飛行センターの窒素が充填された箱の中でトリアーナを保管し、いつか打ち上げの機会が巡ってくるときを待ち続けた。2003年には、トリアーナからDSCOVRへと名称が変更された。そして2009年、トリアーナ改めDSCOVRに、NOAAが救いの手を差し伸べた。当時NOAAは、NASAが打ち上げたACE(Advanced Composition Explorer)という太陽風の観測衛星に観測機器を提供し、宇宙天気の研究や、大規模な太陽嵐が発生する可能性があるときには警報を出すといったミッションを行っていた。しかしACEは1997年に打ち上げられた衛星であり、老朽化が進んでいたことから、NOAAでは後継機を欲していた。そこで目をつけたのが、ほぼ完成した状態で保管されていたDSCOVRだったのだ。NOAAの資金提供によって、約8年ぶりに保管庫から出されたDSCOVRは、まず各機器が正常に動くかが確かめられた。また搭載する観測機器はトリアーナ時代と変わらないが、NOAAの要求に合わせて再調整が行われた。こうしてDSCOVRは、姿かたちこそ変わらないものの、ミッションの主役はNASAからNOAAへ移り、新たに宇宙天気の観測を目的とした衛星として生まれ変わった。また、DSCOVRには米空軍も資金を提供している。これには2つの狙いがあった。まず1つ目は、宇宙天気の情報は米空軍の活動、特に弾道ミサイルの発射などを探知するための早期警戒衛星の運用にとって重要であること。そして2つ目は、新興企業のスペースX社が開発した新型のファルコン9ロケットに、1回でも多くの打ち上げの機会を提供することで、「育てる」という狙いがあった。ロケットに打ち上げ機会を提供するために衛星を新しく造るのはお金がかかるし、かといって単なる重りを打ち上げたり、あるいは空荷で打ち上げるのはもったいない。そこで、ある程度製造が終わっていたDSCOVRに資金提供が行われ、DSCOVRの復活を後押しした。米空軍が提供した分の金額は、ほぼすべて打ち上げ費用に充てられた。こうした紆余曲折を経て、DSCOVRは米東部標準時2015年2月11日18時3分(日本時間2015年2月12日8時3分)、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-40から旅立った。ロケットは順調に飛行し、約35分後に予定通りの軌道にDSCOVRを投入した。DSCOVRは現在、太陽・地球系のラグランジュ第1点に向けて飛行を続けている。2月24日にはその道程の半分を通過している。観測が始まれば、宇宙に浮かぶ、青く輝く地球の画像が、毎日のように送られてくる。それはきっと息を呑むほど美しいものに違いない。DSCOVRの打ち上げに立ち会ったゴア氏は、自身のblogの中で次のように語っている。「DSCOVRは、地球に関する私たちの理解を深め、市民や科学者たちに異常気象の現実を教え、その解決策を考えるためのミッションへ旅立った。そしてDSCOVRはまた、この地球の美しさと、そして脆さを映し出し、このたったひとつの地球を守る義務を思い起こさせてくれる、すばらしい機会を与えてもくれるだろう」。●ファルコン9ロケットは着水に成功○ファルコン9の第1段は精度10mで着水今回の打ち上げにおける世間の注目は、どちらかというと積み荷のDSCOVRよりも、それを打ち上げるファルコン9ロケットの第1段機体の回収試験に集まっていた。スペースX社は、ロケットを再使用することで、打ち上げにかかわる費用を大きく引き下げることを目指しており、その最初のステップとして、打ち上げを終えて地球に戻ってきたロケットの第1段機体を、広い甲板を持つ船で回収する、という試験を進めている。同社はこれまで、垂直離着陸実験機による試験飛行や、打ち上げ後に第1段を海上に降ろす着水試験を行い、今年1月10日には船の上に着地する試験に初挑戦した。ロケットは巧みに制御されつつ船の真上まで舞い戻りはしたものの、甲板に激しく衝突するように着地し、残念ながら完璧な成功には至らなかった。その詳細については、拙稿『隼は舞い降りられるか? - 再使用ロケットに賭けるスペースXの野望と挑戦』を参照していただければと思う。今回のDSCOVRの打ち上げでは、1月の試験と同じく、太平洋上に用意した回収船の上にロケットの第1段機体を着地させることを目指していた。しかし、打ち上げ当日に着地予定海域を嵐が襲い、船が出せなくなってしまった。また船自体も、エンジンの1つに問題を抱えていたという。あくまで主目的はDSCOVRを打ち上げることにあったので、回収船が出せないからといって打ち上げが延期されることはなかった。しかし、スペースX社は転んでもただでは起きなかった。船こそないものの、本番さならがらに、海のある一点を目指して着水させることを試みた。その結果、約10mの精度で垂直に安定して降下することに成功したという。同社のイーロン・マスクCEOは「天気が安定していれば、船の上に降り立つことは可能だろう」とTwitterで述べている。もちろん今回がうまくいったからといって、次の試験で成功するとは限らないが、それでも可能性は高くなったと言ってよいだろう。ファルコン9の次の打ち上げは3月1日以降に予定されているが、この打ち上げと、さらにその次の打ち上げでは、ロケットの持つ能力を最大限に使う必要があり、着地に使うための追加の推進剤や着陸脚を積む余裕がなく、回収試験は実施されない見通しだ。次に回収試験が実施されるのは、今年4月に予定されているドラゴン補給船運用6号機の打ち上げの際となる予定なので、今しばらく待たねばならない。なお、同社は1月27日に、「ファルコン・ヘヴィ」ロケットの打ち上げを描いたCGアニメを公開した。ファルコン・ヘヴィは、ファルコン9の第1段を3基束ねて、より重い人工衛星を打ち上げられるようにしたもので、現時点で今年中に初の打ち上げが行われる予定だ。ファルコン・ヘヴィも機体の再使用することが考えられており(再使用しなければもっと重いものを打ち上げることができる)、このアニメでも、3基の第1段機体が打ち上げた場所にきれいに舞い戻ってくるという、にわかには信じられないような光景が描かれている。次の回収試験に向けて、期待は高まるばかりだ。参考・ ・ ・ ・ ・
2015年02月27日iPhoneを装着できる天体望遠鏡、サンコーの「ライブビュー天体望遠鏡 for iPhone 5」が、このたびiPhone 6とiPhone 6 Plusに対応した。iPhone 5専用ケースに加えて、iPhone 6とiPhone 6 Plusの専用ケースが付属する。直販価格は19,800円で、対応機種はiPhone 5 / 5s / 6 / 6 Plusだ。同製品は、単独の天体望遠鏡として使えるほか、iPhoneを装着して天体観測を楽しめる。iPhoneの画面を通して天体を見るため(ライブビュー)、望遠鏡の接眼レンズを覗き込む必要がない。また、家族や仲間など複数人で同時に天体観測したり、iPhoneのカメラ機能で天体写真を撮ったりすることも可能だ。iPhone装着時の倍率は約100倍となる。主な付属品は、iPhone用ケースのほか、2種類の接眼レンズ(SR4mmとH20mm)、望遠鏡に映る像を正立像にする地上観察用の正立レンズ、天頂付近を楽な姿勢で観察する天頂プリズムなど。iPhoneに直接セットする12倍望遠レンズも付属している。望遠鏡の本体サイズは約直径95×長さ755mm、高さは800~1,260mm、重量は2,226g、有効径60mm、焦点距離は700mm。倍率は、SR4mm接眼レンズの通常時が175倍で正立レンズ使用時が262倍、H20mm接眼レンズの通常時が35倍で正立レンズ使用時が52倍となっている。
2015年02月18日ニコンは2月10日、天体撮影に特化したデジタル一眼レフカメラ「D810A」を発表した。5月下旬の発売を予定しており、価格はオープン。推定市場価格は税込420,000円前後。D810Aは、有効3,635万画素のニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載した「D810」をベースに開発された製品だ。D810AはD810に比べ、CMOSセンサー前面にある光学フィルターのHα(エッチアルファ)線透過率を4倍に高めたことが特徴。Hα線の波長で赤く発光する星雲をより鮮やかに撮影できる。天体撮影向けの機能として、長時間露光マニュアルモード「M*」を新搭載。最長900秒のシャッター速度設定を可能としたほか、設定秒時を実制御秒時として比較明合成写真を撮影しやすくした。また、夜間の撮影環境を考慮して、ファインダー内に撮影設定情報を表示。水準器の表示設定時は常時赤く点灯させる。ライブビュー撮影では、30秒のシャッター速度を想定したプレビューを表示できる。リモートコードやマルチパワーバッテリーパックなど、天体撮影に便利なアクセサリー類もオプションとして用意する。
2015年02月10日東北大学は12月4日、新型鉄系高温超伝導体のモデル物質である鉄セレンにおいて、超伝導を担う電子が、異常な秩序状態を形成することを観測したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、谷垣勝己教授、および同大大学院 理学研究科の中山耕輔助教らによるもの。詳細は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。鉄セレンは、鉄系超伝導体の中で最も単純な結晶構造を持つことから、超伝導機構の解明に向けた基礎科学的な面でも、モデル物質として期待を集めている。高温超伝導が起こる起源を解明するためには、超伝導を担う電子の状態を調べることが重要だが、高品質の鉄セレン結晶を作成することが極めて困難だったため、この物質の電子状態はこれまで明らかになっていなかった。今回、研究グループは、鉄セレンの高品質単結晶の育成に成功し、外部光電効果を利用した角度分解光電子分光という実験手法を用いて、鉄セレンから電子を直接抜き出して、そのエネルギー状態を高精度で調べた。その結果、超伝導が発現するよりも高い温度(110K)で電子のエネルギー状態に大きな変化が起こり、伝導面を縦方向に動く電子と横方向に動く電子で、動きやすさに違いが生じることを明らかにした。さらに、このような異常な状態が、鉄セレンの結晶構造の変化が起こる温度(約90K)よりも高い温度(110K)で起こっていることも明らかにした。これは、電子軌道の変化が、結晶構造の変化という外的要因によらず、自発的に引き起こされている可能性が高いことを示している。鉄セレンでは、高温超伝導をはじめとする興味深い超伝導特性が報告されているが、今回の研究によって、その背後に異常な秩序状態が存在することが明らかになったとコメントしている。
2014年12月09日気象庁は12月2日、、「東京」の観測地点を千代田区大手町から北の丸公園へ移転し、 9時40分から新たな地点において気温、相対湿度などの観測を開始したと発表した。「東京」での気象観測は1875年に開始され、過去に3回移転している。観測地点の移転は、気象庁本庁舎の移転計画に伴う措置で、移転する観測要素は、気温、相対湿度、気圧、降水量、積雪の深さなど。風(風向・風速)、日射量、日照時間は平成19年11月より北の丸公園で観測しており、また、大気現象などの目視観測は、引き続き気象庁本庁舎で行う。移転による観測値の変化は、最高気温はほとんど変わらないが、 最低気温はこれまでより約1.4℃低くなるという。この変化傾向に基づき、日々の天気予報で利用される「東京」の平年値が更新される予定。
2014年12月03日日本ユニシスは11月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星データの利用拡大に向けたビジネス・インキュベーション施策「衛星データを活用した新たなビジネスソリューション構築のためのパイロットプロジェクト」において「EMS(Energy Management System)サービスへの衛星データ活用」を提案し、「新規に開拓する利用分野」のエネルギー分野において採択されたと発表した。同プロジェクトでは、地球観測衛星センサーと地上センサーから取得したビッグデータを解析し、外部環境による再生可能エネルギーの電力変動に対応した高精度な発電量の予測を行うシステムの開発を目指す。さらに、同社のEMSサービスに適用することで、より付加価値の高いサービスの実現につなげていく。複数の地球観測衛星から得られる大量のデータを解析し、リアルタイムな電力管理を行うEMSへ適用する国内初の取り組みとなる。なお、再生可能エネルギー発電予測モデルの開発およびフィールド検証は、研究機関や発電所を持つ事業会社などと協業するとのこと。今後日本ユニシスは最長で3年間、JAXAから衛星データや技術アドバイスの提供を受け、JAXAと連携しながら協業企業との実証実験を通し、ビジネスモデル・技術の構築を図っていくことになる。また、同プロジェクトを通して、分散電源の効果的かつ安定的な運用にも取り組んでいく。
2014年11月28日博報堂生活総合研究所(生活総研)はこのたび、22年間にわたり隔年で実施している生活者意識の定点観測調査「生活定点」を無償で一般公開した。同調査データは、フリーダウンロードや二次利用が可能。同調査は、1992年から22年間にわたり隔年で実施している生活総研のオリジナル定点観測調査。首都圏と阪神圏に住む3201名の対象者(20~69歳の男女)に対し、訪問形式で同じ質問を継続して実施し、同回答の変化を時系列で分析したものとなる。項目数は約1500項目で、「衣・食・住・健康・遊び・学び・働き・家族・恋愛・結婚・交際・贈答・消費・情報・メディア接触・社会意識・国際化と日本・地球環境」など、生活者のありとあらゆる領域を網羅する。生活総研は、今回の公開に伴い特設サイトをオープンした。同Webサイトでは、蓄積された回答値をさまざまなグラフやランキング形式にまとめ、時系列の変化が直感的に分かるデータを約1500ページにわたり掲載しているほか、折れ線グラフの形状から22年間で変化のあった日本人の意識や行動を一覧できる「グラフの形から見る」コーナー、回答の増減が似ている意識や行動を、約4200万件の組み合わせの中からプログラムが抽出し表示する「似てるかもグラフ、紹介します!」コーナーを設ける。加えて、時系列グラフを自動で簡単に作成できるプログラムを提供。複数の折れ線グラフを同時に出力することで、過去22年分のすべての回答値を全体・性年代別・地区別などに一覧できる集計表を無償でダウンロードできるほか、生活者の意識や欲求の変化を多面的に分析することができる。ユーザーは、登録の必要はなく、日本語と英語での利用が可能だ。生活総研では、データ分析が身近ではない人にも、データに触れて、意外な発見や発想のヒントを得てほしいとしている。
2014年10月24日ポーラ美術館(神奈川県箱根町)は11月1日、「宇宙祭」を開催する。実施期間は11月3日まで。同イベントは、2015年3月29日まで期間している企画展「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」(以下、紙片の宇宙)の特別企画で、天体観測やコンサート、ワークショップなど、「アート」「詩」「音楽」をテーマにしたさまざまなイベントを実施する。1日の17時~19時には、閉館後の美術館の敷地内にて、Vixen社の天体望遠鏡を用いて夜空の星を眺める「秋の星空観測会」を実施する。当日は、天体の星々をわかりやすく解説するほか、昼間とは違う美術館の一面も楽しむことができる。参加は無料。2日の13時~14時30分には、講堂にて同館館長・木島俊介氏による記念講演会「紙片の宇宙-絵と言葉が生み出す世界(コスモス)」を予定している。同講演会では、挿絵本の魅力や歴史、企画展の見どころについて紹介する。参加は無料。2日の17時~18時には地下1階「カフェTUNE」にて、モダン・ポップ・アコースティック楽団「Banda Planetario」によるコンサートを開催する。会場は、企画展の展示作品のジョアン・ミロ「あらゆる試みに」をイメージしたモチーフを、同作品の原著であるポール・エリュアールの詩を交えたライトアップで演出する。定員は先着70人。参加は無料。また、B1ショップ前ではワークショップを開催する。プログラムは、かぶって話すと声が変わる不思議なマスク「WA!SK」のデザイン(1日/11時~15時)や、オリジナルの「空気の器」を作る紙のワークショップ(2日、3日/11時~15時/参加料金500円/税別)を用意している。開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は大人1,800円、シニア割引(65歳以上)1,600円、大学・高校生1,300円、中・小学生700円(中・小学生は土曜日は無料)。※入館料は全て税込
2014年10月22日2014年10月8日、2011年12月10日以来となる日本での皆既月食が観測された。前回は皆既の開始時刻が23時過ぎということもあり、時間的に、ちょっとだけ見ておこう、というような人には難しかったが、今回は18時過ぎから部分月食が始まり20時前後に1時間近く皆既月食が起こっていたので、見ることができた人も多かったと思う。そんな皆既月食の様子はどんなものであったか、写真で振り返ってみよう。なお、次回の日本での皆既月食は2015年4月4日の21時ころで、皆既の時間は10分程度と短いので、もう一度皆既月食を観たいと思った人はチェックをしておくと良いだろう。ちなみに今回、月は地球の本影領域の中心でなく北辺付近を通過したため、上辺が多少青みがかって見えるターコイズフリンジ(TurquoiseFringe)を観察することができた。ターコイズフリンジの色は地球大気の成層圏のオゾン層を通過した光のうち赤色吸収されるからで、詳細はNASAのWebサイトが詳しいので、興味を持った人は一読しておくとよいだろう。また、国立天文台では今回の皆既月食中の色のレポートを募集しているので実際にご覧になられた方は報告してみるとよいだろう。
2014年10月09日冥王星は惑星か。一度は決着がついたこの問題を再度検討すべきという声が上がっている。冥王星が太陽系の惑星から除外されたのは、観測精度の進歩とともに似た大きさの天体が多数発見されたため。2006年に開かれた国際天文学連合(IAU)総会でそれまで曖昧だった惑星の定義が投票によって定められ、冥王星は惑星ではなく準惑星に分類された。しかし、「太陽の周りを周回すること」と定義されたため、他の恒星系には適用できず、準惑星と惑星の違いが明確でないことなどから、依然として異議を唱える者が後を絶たなかった。そこで米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)がこのほど、より汎用性のある定義を見出そうと、著名な天文学者3名を集めて公開討論を実施、インターネット上に公開した。討論後、会場の観客にどの学者の定義が一番納得がいくか、そして冥王星は惑星かどうかについて投票をさせたところ、最も観客の支持を集めたのは冥王星は惑星であると主張する学者の「惑星とは、恒星またはその残骸の周囲で形成される、物質が球状にかたまったもの」という定義だった。この結果を受けてアメリカ航空宇宙局(NASA)のAlan Stern氏は、2006年のAIU総会には全天文学者の5%以下しか参加していなかった点を指摘し、投票自体の有効性に疑問を呈した上で「定義に照らすと、同じ公転軌道上に隕石がある地球や火星も惑星ではなくなってしまう」とコメントしている。
2014年10月03日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月30日、2014年5月に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」により、9月27日に噴火した御嶽山の緊急観測を行い、噴火により発生した窪みや降灰堆積の様子を捉えることに成功したと発表した。同観測は、JAXAと防災関連機関との間の、災害に関する衛星情報提供協力の枠組みにより、火山噴火予知連絡会および内閣府からの要請により行ったもの。今回の観測では、「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)を用いた噴火前後の山頂付近の比較から、長さ210m、幅70mほどのくぼみが新たに発生していることを確認。これが新たに形成された噴出口(火孔)であると考えられるとする。また、噴火前後の御嶽山山頂部を同じ軌道から観測した画像の変化を比較したところ、衛星画像においても御嶽山山頂の火口の周辺に降灰堆積が多く分布することが推察される結果を得たという。なおJAXAでは引き続き防災関連機関と連携しながら、御嶽山の観測を継続する計画だとしている。
2014年10月01日日本原子力研究開発機構(JAEA)とJ-PARCセンター、東北大学は9月26日、高温高圧力下において鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を観測することに成功したと発表した。同成果は、JAEA 量子ビーム応用研究センター、J-PARCセンター、東北大 金属材料研究所の研究グループによるもの。東北大 原子分子材料科学高等研究機構、中央大学 理工学部、愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センターと共同で行われた。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。水素は鉄などの金属中へある温度、圧力条件で溶け込む。溶けた水素は、例えば材料強度を弱めるといった機械的な特性変化(水素脆性)を引き起こすが、その現象を理解するには、水素がどこにどのくらい存在するのか、という情報が重要になる。鉄中に水素は、数万気圧という高圧力下でしか高濃度に溶け込むことができない。材料中の水素を観測する方法は限られ、また高温高圧力下での測定は技術的に困難なため、これまで実験的に観測できなかった。今回、水素を観測することができるJ-PARCの大強度中性子線を利用して、高温高圧力下の鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を、実験的に決定することに成功した。そして、これまで面心立方構造の鉄中においては、鉄原子が作る八面体サイト(隙間)の内部のみに水素が存在すると考えられていたが、高温高圧力下における中性子回折実験により、八面体サイトに加えて鉄原子の作る四面体サイトの内部にも水素が存在することを明らかにした。今回の成果によって、鉄中に溶けた水素に関係する特性の変化に対する理解がより一層進むと期待される。また、各種鉄鋼材料の高品質化・高強度化に向けた研究開発や、地球内部のコア(核)に存在する鉄の研究などの進展にも役立つことが期待されるとコメントしている。
2014年09月30日アメリカ航空宇宙局(NASA)は9月24日、ハッブル、スピッツァー、ケプラーという3つの宇宙望遠鏡を用いた観測で、地球から120光年の距離に位置する惑星「HAT-P-11b」の大気中に水蒸気を発見したと発表した。これまでは木星かそれ以上のサイズの惑星しか大気の組成を観測することができておらず、海王星ほどの大きさの「HAT-P-11b」は大気の組成を調査できた惑星としては最小となる。従来も同サイズの惑星の大気を調査しようと試みられていたが、雲や塵に覆われていたため観測することが難しかった。「HAT-P-11b」はそれらの惑星とは異なり、澄んだ大気をもっていたことが観測成功につながった。同局の研究グループは「今回の発見によって『HAT-P-11b』と同じ大きさの他の惑星についても大気を観測できる可能性が大きく広がった」とコメントしており、今後、地球と同じように主に岩石で構成されながら地球の約10倍の質量をもつ「巨大地球型惑星」についても同様の手法で大気を調べることを目指すという。太陽系には「巨大地球型惑星」は存在しないため、ケプラーでの捜索に加えて、2018年に打ち上げが計画されているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も投入する予定だ。
2014年09月26日東北大学は9月24日、惑星大気観測専用望遠鏡T60観測施設をハワイ・ハレアカラ山頂に開所し、ハワイ大学天文学研究施設と科学協力合意書を締結したと発表した。同大学は1999年より福島県飯舘村において、国内唯一の惑星大気観測専用60cm望遠鏡を用いた観測・教育活動を実施してきた。しかし、2011年3月の原子力発電所事故により、空間放射線量が毎時6.5マイクロシーベルトに達し、長時間滞在を要する望遠鏡観測が困難となっていた。そのような背景から代替の観測地を検討し、観測条件が最適であったハワイに福島県にある望遠鏡を移設することとなり、2014年9月8日に、ハワイ・ハレアカラ山頂においてT60観測施設の開所式を行った。また、同日に科学協力合意書の署名式をハワイ大学・天文学研究施設・マウイ先端技術研究センターにて実施した。同施設はすでに観測を開始しており、ファーストライトデータを取得することができたとのこと。
2014年09月24日東京大学は、マルチフェロイック物質におけるスピンネマティック相互作用を実験的に観測したと発表した。同成果は、東大 物性研究所附属中性子科学研究施設の左右田稔助教、益田隆嗣准教授、静岡大学 理学部の松本正茂、Paul Scherrer Institute/スイス連邦工科大学ローザンヌ校のMartin Månsson研究員、大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設(J-PARC/MLF)の河村聖子研究員、中島健次研究員、新潟大学 工学部 機能材料工学科 材料物性工学の椎名亮輔准教授らによるもの。詳細は、「Physical Review Letters」に掲載された。スピンと電気分極が同時に秩序化するマルチフェロイック物質は、電場によってスピンが直接制御可能な新しいデバイス材料として注目を集めている。これまで多くの物質では、複雑な磁気構造におけるスピン相関と電気分極との関係に注目が集まっていたが、分極間相互作用と磁気相互作用の関係は明らかにされていなかった。その中で、「Ba2CoGe2O7(Ba:バリウム、Co:コバルト、Ge:ゲルマニウム、O:酸素)」は、電気分極がスピン演算子の対称2次テンソル(いわゆるスピンネマティック演算子)というシンプルな形で表される珍しい物質として、また、分極間相互作用と磁気相互作用の関係を解明できる物質として着目されていた。今回、研究グループでは、中性子磁気散乱と磁化測定を行うことにより、スピンネマティック相互作用の存在を観測することに成功した。さらに、中性子磁気スペクトルの解析により、電気分極の誘電エネルギーを決定するという試みが行われた。誘電エネルギーの大きさも示すスピンネマティック相互作用定数は、電場によるスピンの制御のしやすさを表しているため、マルチフェロイックデバイスの性能示数となっているとした。今後、Ba2CoGe2O7を用いて電場によるスピン制御の実験や、小さな磁気異方性を有するマルチフェロイック物質の探索などを行っていくことが重要になるとコメントしている。
2014年03月28日国立環境研究所(NIES)は2月6日、朝日航洋と共同で、サンゴ礁や藻場などが分布する浅海域を効率的に調査する浅海底観測システムを開発したと発表した。近年、サンゴの白化や死滅、藻場の衰退など、浅海域の生態系の変化が観察されており、同域を反復して詳細に観測し、変化を定量的に明らかにして原因を究明する必要性が高まっている。従来、浅海域海底の詳細な観測は、スノーケリングや潜水調査により行われ、広域を対象とした調査には限界があった。また、水中ではGPSなどの衛星測位システムが利用できないため観測対象の精確な測位が困難であり、これが反復調査の妨げとなっていた。このため、サンゴ礁や藻場など浅海域の生態系においては、海底地形やサンゴ・海藻の3次元形状と現存量の把握や、生息位置の特定および経年的な変化に関する情報が乏しいのが現状である。そこで、群体の判別を可能とする高解像度画像の撮影、ステレオ解析による海底地形や生物の3次元情報と現存量の取得、生物の生息位置を特定するための地理座標の付与、撮影画像を接合することによる詳細かつ3次元的な浅海底の広域画像の作成など、反復して調査を行い変化を定量的に明らかにできる観測システムの開発が求められていた。今回、開発されたシステムは、小型フロートボートの左右に配置した水中ビデオカメラで海底の撮影を行うというもの。フルHD(1920×1080画素)のビデオカメラを用いることで、水深5m程度での観測時には1cmよりも細かい解像度で撮影が可能。また、同一の観測対象を左右のビデオカメラでステレオ撮影することにより、対象の3次元形状を数値化し、3次元モデル(DSM:Digital Surface Model)を作成することができる。またビデオカメラの撮影と同期してGPSによる位置座標と姿勢センサ(ジャイロ)によるフロートボートの傾き情報を収録する。DSMに撮影画像を投影し3次元化するとともに、同時収録したGPSおよび姿勢センサの情報に基づき、3次元化した画像に緯度・経度を付与する。小型フロートボートにシステムを実装したことにより、小型漁船でも座礁する危険のある極めて浅い海域でも観測できる。これまで浅海底の反復調査では、GPSが使えないことから、調査対象を特定するために目印などを使う必要があったが、同システムによる撮影画像は全画素に位置情報を持つことから、精確な反復調査が容易になる。また、高さ情報も同時に得られることから海底地形やサンゴ・海藻などの3次元形状と現存量の経年変化の抽出も容易となる。今後、地球温暖化で注目されるサンゴ礁の白化現象や再生状況のモニタリング、藻場をはじめとした浅海域の漁場評価、河川・湖沼の水底調査、さらには水中構造物の点検などへの活用が期待されるという。また、ナビゲーションシステムの搭載などにより、自動航行と観測を行うシステムへと発展させ、手軽な調査やモニタリングを実現することが期待されるとコメントしている。
2014年02月07日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月26日、2013年9月14日にイプシロンロケット試験機にて打ち上げられた惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)に搭載された極端紫外線分光装置(EUV)による木星および金星の分光観測を11月19日に実施した結果、EUVが正常に機能し、科学観測に供することができることを確認したと発表した。また、EUVによる観測に先立ち、視野ガイドカメラ(FOV)の機能確認も行っており、対象天体を高精度に追尾する機能の正常動作も確認したとのことで、今回のEUVによる観測と併せて、ひさきの初期の軌道上機能確認が終了となり、今後、定常観測運用が始まる予定だという。なおJAXAでは、ひさきを用いて惑星の長期間観測を行うことで、惑星環境に関する新たな知見を得ることができるようになることから、今後、人類の知の増大に貢献することが期待されるとコメントしている。
2013年11月26日群馬県立ぐんま天文台は、月明かりでできる虹「月光虹」の観察に成功したと発表した。観測されたのは、2013年10月16日の18:20ころ。月明かりは太陽に比べると暗く、また雨が降るような天候では月が見えないことが多いことから、月光虹はまれにしか見ることができないが、今回、台風26号が通過した後、晴れているものの、北からの強い風で雨が飛んでくる状況と、月齢11の月(満月の少し前)の明かりが合わさることで、虹が出現したものと考えられるという。なお、同天文台では、2006年10月7日にも月光虹の観測に成功しており、今回の観測は約7年ぶりのものになるという。
2013年10月21日精密機器の製造・販売などを行うリコーエレメックスは、アウトドア向けの男性用腕時計「COMMANDER(コマンダー)」から、天体観測などに適した機能を搭載した新モデル「COMMANDER REMINDER(コマンダー リマインダー)」(丸型・1タイプ4モデル)を発売する。希望小売価格は、いずれも34,650円。同モデルは、ミリタリーテイストの文字板デザインと、耐久性の高いNATOバンドタイプのナイロンバンドを採用し、アウトドアを意識したデザインになっている。また、天体観測や、夜行性動物の観察といった夜間の活動を想定し、外部照明用のライトには赤色LEDを使用した。明るい照明で目がくらむのを防ぎ、星図などの確認が可能な明るさを確保しているという。さらに、文字板のインデックスや針には、長時間光る「蓄光」を採用し、インデックスはナチュラルグリーン(蓄光本来の色)、針はブルーに光ることで、夜間や暗闇でも時刻の確認ができるようになっている。そのほか、5つの時刻がセットできるアラームや、ボタン1つでアラームをセットできる「ワンショットアラーム機能」(1回限りアラーム)などを搭載。電池には、専用充電器の上に置くだけで充電できる「電磁誘導充電方式」を採用しているとのこと。発売日は、品番「660102-91」、「660102-92」、「660102-93」が12月15日、「660102-94」が12月23日。詳細は、同社ホームページで確認できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月14日フジッコは「カスピ海ヨーグルト」を家庭で手軽に手作りできる「カスピ海ヨーグルト手づくり用種菌」を、11月25日に南極へ向けて出国する第54次南極地域観測隊に寄贈した。カスピ海ヨーグルトは、独特の粘りと酸味の少なさが特長のヨーグルト。「カスピ海ヨーグルト手づくり用種菌」は、純粋培養した「カスピ海ヨーグルト」の種菌を凍結乾燥(フリーズドライ)したもので、常温で持ち運びが可能。牛乳と混ぜて常温で発酵させることで、「カスピ海ヨーグルト」を作ることができる。今まで南極地域観測隊は、持ち込んだヨーグルトは賞味期限内で食べ切るか、そのヨーグルトを種菌をもとにヨーグルトを手作りしていたという。しかし、一般的なヨーグルトに含まれるブルガリクス菌やサーモフィラス菌の発酵温度は40℃。温度調整に手間がかかる上、電力も必要だった。そこで同社は、常温で発酵可能のカスピ海ヨーグルトの種菌を寄贈。カスピ海ヨーグルトに含まれるクレモリス菌は、発酵温度が20℃~30℃と低い。そのため、南極地域観測隊の基地内でも特別な保温器を使用することなく、ヨーグルトを手作りできる。できたヨーグルトを種としても使えるので、常にできたてのヨーグルトを食べることができるという。南極地域観測隊は、同社が寄贈したカスピ海ヨーグルトの種菌と、常温保存が可能なロングライフ牛乳、冷凍保管した牛乳を用いて、ヨーグルトを作る予定とのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月16日東京では173年ぶりの金環日食が観測された5月21日、東京・渋谷の金王八幡宮で映画『天地明察』の公開を記念した金環日食観測会が行われ、滝田洋二郎監督と原作の冲方丁氏が出席。映画の舞台となる江戸時代の着物に身を包んだ小学生の観測隊も参加して、江戸時代の観測を疑似体験した。その他の写真本作は第31回吉川英治文学新人賞、2010年本屋大賞に輝いた同名小説の映画化。江戸時代前期を舞台に、それまで800年にわたり使用されてきた暦の誤りを見抜き、日本独自の暦“大和暦”を作り上げた安井算哲(後の渋川春海)の青春物語を、滝田監督の視点で再構築していく。主演は岡田准一で、岡田演じる算哲は江戸時代に日食の日付を言い当てたとされる実在の人物だ。劇中では金環日食を予報するシーンがあり、この日は劇中にも登場する江戸時代の観測機が用意された。滝田監督は「映画のクライマックスにも日食が現れます。今日は、まるで映画の世界に入り込んだみたい」と予定時刻を前に、早くも興奮気味。全国の様子がユーストリームの中継車で映し出される中、午前7時半頃には東京上空にも“金のリング”が現れた。あいにく雲が広がった状態だったが「素晴らしい。雲のおかげで肉眼でも見ることができた」(滝田監督)、「感動しますね。雲が憎い演出をしてくれた。金王八幡宮のご利益ですね」(冲方氏)と感激しきりだった。観測会が終わると、滝田監督ら関係者は映画のヒット祈願を行うために本殿へ。滝田監督は「映画が公開される9月15日、映画館にもう一度金環日食が現れるので、ぜひよろしく」とアピールしていた。『天地明察』9月15日(土)全国ロードショー
2012年05月21日2012年5月21日に観測が期待されている金環日食。日本国内で25年ぶり首都圏では実に173年ぶりとなり、「世紀の天体ショー」として注目されている。その金環日食もあと2日後に控え、準備を始めている方も多いのではないか。みんなの期待度はどのようなのであろうか。この金環日食についてフォートラベルが会員を対象に意識調査を行ったところ、約半数が「金環日食を観る」と回答している。観測場所は「自宅付近」が51.6%。50~60代の関心が高い傾向にある。今回の日食は2012年5月21日午前6時頃から9時頃にかけて日本各地で観測でき、その中でも国内の太平洋側に広がる「中心食帯」というベルト状の地域では、リングのように光り輝く金環日食が観測できるとされている。■金環日食を観る?「金環日食を観る」と回答した人は52.2%。内訳をみると51.6%の人が「自宅付近で観る」と回答、「金環日食を観るために旅行する」という回答は0.6%にとどまった。「自宅付近で観る」と回答した人のコメントをみると「自宅付近で観測できるので観たい」「通勤途中で観る」「出勤後、会社で観る」といった意見が多く、中心食帯に首都圏、関西圏など大都市圏があることから、わざわざ観に出かけるというよりも、自宅近辺や勤務先近辺など身近な場所で観測を楽しむ人が多いようだ。その他、展望施設などで金環日食を観るというコメントもあがっていた。年齢別にみると、「金環日食を観る」と回答した人は50~60代で特に多く、関心が高いことが伺えた。男女別では男性が50.3%、女性が53.7%「金環日食を観る」と回答しており、女性の方がより関心を持っていることがわかった。 一方で、金環日食を「観ない」と回答した人は42.9%だった。選択理由として「仕事中・通勤途中なので観られない」「自宅周辺からは部分日食しか観られない」「あまり関心がない」というコメントが多かった。月曜日の朝という時間帯から、通勤時間や勤務時間と重なっており観ることができない人が多いようだ。また、金環日食が観られるエリア以外に住む人にとってはあまり身近な話題であるとはいえず、金環日食に対する関心の高さは地域差があると推測される。情報提供:旅行のクチコミサイト フォートラベル」公式サイト 日食画像提供: shehal
2012年05月18日フォートラベルは、同社の運営する旅行のクチコミサイト フォートラベルで、5月21日に観測が期待される「金環日食」に関するアンケートを実施した。「金環日食を観る」と回答した人は52.2%。その内訳として、51.6%の人が「自宅付近で観る」と回答、「金環日食を観るために旅行する」という回答は0.6%にとどまった。「自宅付近で観る」と回答した人のコメントでは、「自宅付近で観測できるので観たい」「通勤途中で観る」「出勤後、会社で観る」といった意見が多い。中心食帯に首都圏、関西など大都市圏があることから、自宅近辺や勤務先近辺など、身近な場所で観測を楽しむ人が多いようだ。年齢別にみると、「金環日食を観る」と回答した人は50~60代で特に多かった。さらに男女別では、男性の50.3%、女性の53.7%が「観る」と答えており、女性の方がより関心を持っていることもわかった。一方で、金環日食を「観ない」と回答した人は42.9%。理由は「仕事中・通勤途中なので観られない」「自宅周辺からは部分日食しか観られない」「あまり関心がない」等が挙げられる。今回の金環日食は、日本国内で25年ぶり、首都圏では実に173年ぶり。そのため、「世紀の天体ショー」として注目されている。午前6時頃から9時頃にかけて日本各地で観測でき、その中でも国内の太平洋側に広がる「中心食帯」というベルト状の地域では、リングのように光り輝く金環日食が観測できるとされている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月16日5月21日(月)の朝、「金環日食」が東京で観測できる。日食とは月によって太陽の一部が隠されること。なかでも太陽の外側がリング状に見える金環日食は非常にめずらしく、なんと本州では129年ぶり!そんな神秘の天体ショーをホテルの最上階でゆっくり観測できる「金環日食をホテルで見よう!観測メガネ付き宿泊プラン」を東京・日本橋のロイヤルパークホテルが発売。観測に必要な“観測メガネ”と“天体観測ガイドブック”が1人に1セット付いた、5月20日(日)1日限定の特別プランだ。観測前日はエグゼクティブフロアに宿泊でき、常駐のゲストリレーションズオフィサーがサポートしてくれるので小さな子連れでも安心。プランには、オーガニック食材にこだわった朝食ブッフェ、カクテルなどのドリンクサービスのある専用ラウンジ、フィットネスクラブの利用特典も含まれ、観測以外の時間も快適に過ごすことができる。金環日食が見られるのは月曜の朝。日食は6:18~9:00、金環日食は7:31~7:37。観測場所であるホテル最上階フレンチレストラン「パラッツオ」には6:00から入場できる。また、当日の状況にもよるが、チェックアウトは15:00まで無料延長できるので、観測後はゆっくり休んでから帰宅するのもよさそう。平日ではあるが、数百年に一度といわれる金環日食。子どもが小さければ予定も入れやすく、ホテルステイはママの育児リフレッシュにもなるはず。ぜひ家族みんなで楽しんでみては。金環日食をホテルで見よう!観測メガネ付き宿泊プラン期間:2012年5月20日(日) ※1日限定料金:スタンダードツイン/ダブル2名利用16,000円、 デラックスツイン3名利用15,000円 (お一人様・朝食付、観測メガネ・天体観測ガイドブック・消費税・サービス料含、宿泊税別)※小学生以下のお客様は添い寝であれば無料です。ただし、朝食をお召し上がりになる場合は別途料金を頂戴しております(4~12歳1,575円/税込・サ別 ※3歳以下は無料)。※金環日食は自然現象のため、当日の天候により観測できない場合もありますが、ご宿泊代金はお返しできませんので予めご了承ください。※天候により観測できない場合は、1階コーヒーショップ「シンフォニー」のランチブッフェ券をお一人様につき1枚差し上げます予約・問い合わせ:03-3667-1111(代表)ロイヤルパークホテル 取材/古屋江美子
2012年04月30日マイナビは23日、マイナビムック『金環日食観測ガイド ~安全に観測できる日食メガネ付き~』を電子書籍化し、電子書籍販売サイト「PuBooks」にて販売を開始した。今回発売した電子書籍版では、目的別に4タイプを用意。すでに日食メガネを購入されている方に向けた電子書籍単体「金環日食観測ガイド」(350円)、日食メガネ1個がセットになった「金環日食観測ガイド~安全に観測できる日食メガネ1個付き~」(450円・送料込み)、デートにも活用できる日食メガネ2個付き「金環日食観測ガイド~安全に観測できる日食メガネ2個付き~」(650円・送料込み)、家族や仲間と楽しみたい方向けの「金環日食観測ガイド~安全に観測できる日食メガネ3個付き~」(850円・送料込み)がラインアップされている。同誌では、日食メガネやピンホール、太陽投影板などを使った安全な観測方法、金環日食の撮影方法、日本各地での見え方MAP、今後の日食カレンダー、流星群&星座の探し方、望遠鏡の選び方、「天地明察」インタビューなど日食についてだけではなく、天体観測を楽しむためのコンテンツを多数掲載。丁寧な解説付きで天文ビギナーにもわかりやすく、親子で楽しめる一冊だ。なお、日食メガネが付属する3製品は5月8日までの期間限定販売。日食メガネの数に限りがあるため、 なくなり次第終了となる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月27日WILLER TRAVELはこのほど、2012年5月21日の金環日食を洋上から観測するクルーズツアーに、乗船港までのアクセスバスをプラスしたセット商品を発売した。25ルームの限定販売。同ツアーでは、大型クルーズ客船「ふじ丸」で神戸港を出港し、四国・室戸岬沖にて金環日食を観測する。船上では、専門家による事前講座や、洋上からの星空鑑賞、天文をテーマとしたトークショーといったイベントなどが開催予定。なお、観測時には、目を保護するための「日食グラス」が全員に配られるとのこと。出発日は5月19日で、出発地には全国各地の23都市を設定する。日程は2泊3日(1日目は車中泊、2日目は船内客室泊)。食事は4食付き。料金は出発地・経由地などで異なり、関東発大阪・梅田経由/客室4名1室利用で4万9,800円となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年02月07日今回の皆既日食は、場所によっては6分以上という長時間にわたり観測できたそうで、天体ファンには絶好の機会だったようですね。とはいえ、あいにくのお天気で場所によって見えたり、見えなかったりと悲喜こもごも。自然のご機嫌ばっかりは、科学の力でもどうにもなりませんね。そんな中、連日行われた報道によって私が初めて知ったのは、日食ハンターの存在。日食が観測できるところがあれば、世界のどこへでも馳せ参じる人々のことだそうですね。仕事は?会社は?ご家族は?と訊ねたくなりますが、何を犠牲にしても見たいものがあるということなのでしょうか。でも、そんな日食ハンターよりも、はるかに多くを犠牲にして、宇宙のロマンを追い続けた人々がいます。そう、宇宙飛行士たちです。今年はガリレオが天体観測を行ってから400年。そして、1969年にアポロ11号が人類初の月面着陸を成功させてから40年。その記念すべき、天文イヤーに公開されるのが、宇宙への夢を追い続けたNASAの歴史をまとめた映画『宇宙(そら)へ。』です。これは、『ディープ・ブルー』、『アース』でヒットを記録し、ドキュメンタリー制作に定評のあるBBCが、NASAの貴重な記録映像に史上初めて無制限アクセスを許されたことから生まれた作品。NASAが設立以来、厳重に保管してきたものをたっぷり使っただけあって、ロケット開発や打ち上げにまつわる緊張の瞬間、失敗や成功の裏側、関係者の表情など、これまでに見たことのない宇宙開発の真実がまるで動く図鑑のようにしっかりと収められています。NASAの資料映像を基にしているので、話はもちろんアメリカ中心。宇宙開発は、アメリカとロシアの冷戦、軍事技術の開発競争と切っても切り離せないものなのに、その辺の話が全く無いな…と思っていたら、どうやらこれは“どんな犠牲を払っても、宇宙探査の夢を諦めない人々の物語”のよう。リチャード・デイル監督によると…。「人類による“宇宙への旅”を調査する過程で、私は現代の英雄たちに会う機会を得ました。実際に月面を歩いた男たちと握手ができたことは私の人生のハイライトと言えます。彼らが放つ圧倒的なオーラには惹き付けられずにはいられませんでした。しかし、彼らは神ではなく、私たちと同じ人間であり、“死”を免れない存在です。“死”を恐れる気持ちがあるはずです。それでも彼らはやり遂げます。そしてそのことこそが、彼らを勇気ある英雄にしているのです。NASAで働く人々を実際に見たときには、その情熱と献身に心打たれました。テレビでロケット打上げのシーンを見るだけでも十分に心躍る感動的な経験です。ロケットが地上から飛び立つ瞬間の力、その爆発、炎、煙、そして爆音はあらゆる想像を超えるものです。その驚異的な爆発的推進力の先端に、ほんの一握りの男女が座っているのだと考えるにつけ、この物語が、科学技術を語るべきものではなく、夢を実現する勇気を持つ人間のドラマであることは明らかなのです」。ご存知の通り、人類は誰かの命を犠牲にしながら、宇宙へと一歩一歩近づいていきました。ロケットやスペースシャトルとともに消えていった命があります。でも、危険を十分承知の上で、彼らは命と引き換えにしてもかまわないと思うほどの“何か”を求めていたのです。そんな勇気ある人々について思いを馳せていると、ある一つの疑問が浮かんできました。どんな犠牲を払っても辿り着きたい、解明したいと思っている宇宙は人類を黙って受け入れざるを得ないのではないかということ。人間は自分たちの住む地球ですら満足に守ることができていないのに、外に目を向けてしまってもよいものかということ。人類は進化せずにはいられない生き物。様々な技術発展により、あらゆるものに手を伸ばしてきました。それと同時に、夢や希望、好奇心だけでなく、多くのものを宇宙へと放ってきました。故障した人工衛星、ロケットの破片など、宇宙開発にともなって、年々その数は増えているのだそうです。推定約数千トンの宇宙ゴミ(=space debris)が、地球の衛星軌道上をどうすることも出来ずに漂っているのだとか。実際に、宇宙ステーションや人工衛星などが衝突の危機にあり、宇宙飛行士たちの命の危険性もあるのだとか。自分たちの行動が、ゆくゆくは自分たちに危機として跳ね返ってくるというのは、まさにどこかで聞いたようなシナリオ。とはいえ、自らが蒔いた種なら自分たちで何とかしなければなりませんが、“受け入れ側”としては迷惑な限りでしょう。人類の行くところにトラブルあり。“ロマンを追求する”と言えば聞こえはいいけれど、行く先々で様々な問題を起こし続ける私たちの行動範囲が広がれば、どんなことになるのか見当はつくというもの。進化の弊害は、前回のコラムでも登場した手塚治虫の「火の鳥」に恐ろしいほどのリアルさで描かれていますし。宇宙を愛すればこそ、考えなくてはならない問題もあります。膨大な資料映像の中からもし『宇宙(そら)へ。』第二弾が作られるならば、美しい話だけでなく、もうちょっと広く公正な視点で眺めたドキュメンタリーを観てみたいなと思います。『宇宙へ。』公式サイト世界天文年2009公式サイト(text:June Makiguchi)
2009年07月24日