本を読むことは知識を蓄えるだけでなく、相手の気持ちになったり、想像力を膨らませることができたりと、成長過程の子どもにとって多くのメリットがあります。多くの親が「我が子は本好きになってほしい」と願うのではないでしょうか?今回は現役保育士に聞いた、本好きな子どもを育てる工夫を3つお伝えします。リビングに絵本を配置する子どもが小さい場合、一般的に遊ぶ時間の長いのはリビングですよね。一番過ごす時間の長い部屋に、絵本を配置するといいようです。はじめは興味を示さないかもしれませんが、近くにあるだけで絵本を手に取るきっかけを作ることになるとのこと。いつでも触れられる場所に絵本があることが大切です。無理に読ませようとする必要はなく、無理強いはかえって本離れを加速させる危険性があるんだとか。「リビングに本棚を置くスペースなんてない…」という方は、おもちゃ箱と一体になっているものや、壁収納を利用してみてはいかがでしょうか?本棚には大人が読む本を一緒に置く子どもは大人がもっているものに興味津々。うちの子も親が読むような本を引っ張りだして、「これ読んで」とせがみます。本気で読むと、絵がなく内容も難しいので、飽きて別の遊びをしだすのですが、私はそのあとその本を黙々と読んだりします。その姿を子どもに見せるのも効果的だそうです。読書に限らず、親が楽しそうにしている姿を見せるだけで子どもは興味をもつようになるんだとか。大人の本を置くこと、楽しそうに読む姿を見せることで、本への意識を変えることができるようですよ!図書館に足を運ぶ日常生活の中に本との出合いの機会を設けるのもおすすめ、とのこと。例えば週に一度、子どもと一緒に図書館に足を運んでみる日を作ってみるといいでしょう。本に興味のない子どもに対しては、身近に本を感じられる空間があればいいだけなので、やはり無理に読んだり借りたりしなくもいいそうです。帰り道に一緒にお菓子を食べながら帰るなど、ポイントは“図書館に行くこと=楽しい”と思えることなんだとか。もう一つのポイントとしては、時期相応だと思わないときに習慣化しないこと。「滞在時間は長い必要はないのですが、短時間でも騒いだり走り回ったりしてしまう場合はまだ時期として早いのかもしれません。そういった子どもには習慣にせず、時々訪れて様子を見てみるといいでしょう。周りに迷惑をかけるからと、そこで怒ったり行くのをやめるのは逆効果です」焦らずに、子どもの成長に合わせて習慣化できるといいですね。本好きな子どもを育てるために大事なのは、子どもの生活の身近なところに本があることということですね。ぜひ参考にしてみてください!<文・写真:フリーランス記者沖田かへ>
2019年05月19日「子どもの集中力が続かない」というのは、子育て中によく聞かれる悩みのひとつです。また、集中力はあっても「自分が興味のあること限定」というお子さんも少なくありませんよね。今回は「子どもの集中力が続かない原因と改善方法」についてご紹介しましょう。子どもの集中力を低下させる原因は?子どもの集中力が低下する原因には、さまざまものがあります。代表的なものは以下の通りです。・長時間のゲームやテレビ鑑賞ゲームやテレビ、スマートフォンを閲覧する時間が長くなってしまうと、脳の中で記憶や学習、感情のコントロールに深くかかわっている前頭前野という部分が疲れてしまい、注意力散漫になったり、集中力が低下してしまったりするといわれています。・不規則な生活夜ふかしをして十分な睡眠時間がとれていないと、イライラしやすくなったり、ケアレスミスが多くなったりしやすいといわれています。また、朝起きるのが苦手でいつも遅刻ギリギリの時間まで寝てしまい、朝食をとる時間がないと、集中力が足りなくなるともいわれているのです。不規則な生活の中に、集中力が低下する原因がいくつも潜んでいるといえるでしょう。集中力のある子とない子の違い一般社団法人教育デザインラボ代表理事で、都留文科大学特任教授の石田勝紀氏は、集中力に関して「人間は『集中タイプ』と『拡散タイプ』の2つに分かれている」と述べています。「集中タイプ」は、先天的に集中力が高いケース、自分の興味のあることに関しては抜群の集中力を発揮するケース、「習い事や部活動で忙しく、短時間で宿題をこなさなければいけない」など必要性に迫られることで集中力を発揮するケースがあるといいます。勉強は好きではないものの、歴史小説や歴史漫画が好きで、歴史の成績だけは常にトップクラスであるという子どもや、趣味に没頭すると誰かが話しかけてもまったく反応しない子どもなどはこのタイプです。一方の「拡散タイプ」は、周りの人々や環境のことが常に気になりやすく、集中力があまり高くありません。それゆえに「落ち着きがない」と思われることも。しかし、見方を変えれば、「よく気がつく」「他の人の様子を察知できる」ということでもあり、将来的にサービス業などで活躍する可能性が高いのだそう。集中力があるに越したことはありませんが、集中力がないからといって子どもを否定的に判断したりせず、「この子はこういうタイプなのだ」と見守ることも大切だと言えますね。子どもの集中力をアップさせる方法子どもの集中力をアップさせるためには、普段の生活の中に以下を取り入れましょう。・集中モードへの切り替えを促す何かに集中するためには、「集中モード」に入ることから始まります。大人の場合でも、就業時間になったからといってすぐに仕事に没頭できるわけではなく、今日のタスクをチェックしたり、デスクの上をキレイにして仕事をしやすい環境を作ったりして、徐々に集中モードに切り替えていくという方が多いのではないでしょうか。ぜひそれを子どもにも習慣づけてみましょう。具体的には、テレビやスマートフォンから離れる、机に向かってノートや鉛筆を準備する、ひらがなや漢字の書き取りといった簡単な勉強から始めることなどが効果的です。・子どもに「集中力がない」と言わない教育評論家の親野智可等先生によると、親に「集中力がないんだから!」と言われ続けた子どもは、無意識のうちに「自分は集中力がないんだ」と思うようになります。その結果、子どもは「どうせ自分は集中力がないから」と何事もすぐに諦める癖がついたり、自己肯定感が低くなったりしてしまいます。そうならないためにも、子どもが何かに集中していたときは、「集中力があるんだね!」と褒めてあげましょう。勉強ではなく、遊びでもかまいません。親に集中力があると認めてもらえた子どもは、たとえ集中力が切れそうになったときでも「自分には集中力があるんだから、まだやれる!」と自分自身を奮い立たせることができるようになります。・ゲーム機はルールを設けて楽しむ2017年に朝日学生新聞社が小学1年生~6年生の男女457人を対象に行なった調査によると、「“ゲーム機を持っているが使用を禁止されている子ども” よりも、“ゲームをしてもOKな子ども” の方が勉強への集中力が高く、宿題にも自主的に取り組み、親との会話も多い」という結果が出ています。長時間の使用によって集中力を妨げる可能性があるゲームですが、だからといって禁止するのではなく、家庭内でルールを決めて使用することでメリットがあるようです。***子どもの集中力がないと、親はつい焦ったり、時にはイライラしてしまったりすることもあります。でもそれは、子どもが本来持っている集中力が発揮できない状態になっているだけかもしれません。生活環境を整えたり、普段の言葉がけを意識したりすることで、子どもの集中力を育てるためのサポートをしてあげましょう。文/田口るい(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|子どもの「集中力」を養う方法。遊びや習い事を活用しよう!東洋経済オンライン|子どもの集中力は、こうやって作り出せる!ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]All About|学習集中力の高め方!ゲームと勉強で態度が違う理由ITmedia NEWS|「ゲームOK」の子の方が勉強に集中し、親との会話も長い……朝日小学生新聞調査
2019年05月18日いま地震がきたら、保育園にいる子どもはどうする? …働くママにとって地震をはじめ、台風や豪雨などの自然災害は心配の種ですよね。先ごろ発売された 『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』 は、離れているときに子どもを災害から守るためにどうすればよいかのヒントがいっぱい詰まった1冊。被災パパママの声をもとに作られたリアルな防災本です。災害から子どもの命を守るためには、物を備えるハード面に加えて、災害時の行動のルールを作るソフト面もとても重要だそう。本を手がけたNPO法人ママプラグ代表の冨川万美(とみかわ まみ)さんに詳しい話を聞きました。NPO法人ママプラグクリエイティブな視点で家族の未来を設計する事業型NPO法人。自ら考えて動く「 アクティブ防災 」を提唱し、全国で防災講座を展開するほか、女性のキャリアを豊かにする「キャリア事業」などを中心に活動。企画した書籍に『被災ママ812 人が作った子連れ防災手帖』(つながる.com)、協力した書籍に『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(アベナオミ著)など。 twitter: @active_bousai ■親は子どもを守れない?!子ども一人で対応するスキルとは「子どもは自分が守ろうと思っている」。 YESか、NOか。「この質問は全国の防災講座で、ママたちにいつも聞くんですが、毎回100%手が挙がるんですよ。でも、本当は違っていて、『あなたはお子さんを守れないかもしれません』。そう話すとみなさん、“どういうこと?”という顔をしますが、実際子どもが手の届くくらい近くにいるのなんて1日のうちのほんの数分くらい。同じ部屋にいても地震の揺れがひどければ動けませんし、自分がケガをしてしまうかもしれません。子どもの名前を呼んだら、お母さんに近寄ろうとしてうっかりガラスの上を歩いてケガをしたという子もいました。ただこれは、ガラスの上を裸足で歩くと危険だと知っていれば防げたケガなんですよね。親としては、子どもが自分で自分を守れるように知識を与えて、体で覚えさせることが大切です」子どもと離れ離れになったとき、子どもが一人で対応できるスキルがあれば、生存の可能性も高まります。一例として、頭を両手で抱えてまるまって身を守る「だんごむしのポーズ」は小さな子に教えるのにもおすすめ。ポーズと合わせて、頭をケガすると危ないということも伝えましょう。教えるときは恐怖心を与えないよう遊びの中で一緒に練習するのがよいそうです。このほかにも今すぐ簡単にできるのは、トイレをがまんしないこと。子どもはギリギリまでがまんしがちですが、行けるときに行っておく習慣をつけておくと災害時にも役立ちます。■災害時はトラブルが3倍に!「家族の問題」が顕著に現れる災害時には、心や身体にさまざまな問題が出ることも認識しておきたい点です。DMAT(災害派遣医療チーム)/DPAT(災害派遣精神医療チーム)/日本赤十字医療センターメンタルヘルス科/半蔵門のびすここどもクリニック副委員長の河嶌譲先生は、本の中で次のように語っています。「子どもが、突然の意識消失を引き起こしたり、頭痛や腹痛をうったえたり、手足が動かなくなったりするなど、さまざまな身体症状が現れることがあります。年齢にそぐわない甘え方をしたり、わがままになったり、現実にはないことを言い出したりします。これらはすべて異常な状態に対する正常な反応です。ムリにやめさせようとせず、子どもの言葉に耳をかたむけるようにしてみてください」災害時は誰もが心の余裕がなく、トラブルは平時の3倍程度になると心得ておくとよいのだとか。親は「いきなり性格が変わった」と感じるかもしれませんが、普段からストレスに感じていたことが、大きな災害によるストレスで表面化するだけ。これは災害時に限らず学校のトラブルなどでも起こるので、普段でも子どもに大きな変化があれば「学校で何かあったのかな」など、気づくきっかけにもなります。人間関係のトラブルも同じで、ママ友や夫婦間のぎくしゃくも災害時は増幅するそう。実際に「震災によって家族のきずなが強まった」という家族もいれば、「夫婦仲が悪くなって離婚に至った」という家族もいます。日頃から気になっている人間関係は、解決しておけるとよいですね。■災害時の家族のルールは、より具体的に決めておく避難所は、明かりも消せないし、いつもと違うことばかりで落ち着きません。震災後のストレスで子どもが泣いたり騒いだりすることもあり、子連れファミリーが過ごすには、実はとても過酷な場所。子連れの場合、やはり自宅避難が基本となることが多いと冨川さんは言います。「家屋が倒壊の恐れがあるなど、やむをえない事情で家に帰れないこともあると思いますが、避難所に長く生活するというのは、子連れには難しいと思ったほうがいいですね。被災地の外、たとえば実家などに避難することも考えたほうが気持ちに余裕ができます。罪悪感やセキュリティの不安などから被災地に残る人も多いのですが、非常時はなにかを割り切る必要がありますね。 “パパは仕事や復旧のために残るけれど、子どもとママは○日経ってもライフラインが復旧しなかったら実家に帰る”など、なるべく具体的に決めておくとよいと思います」非常時に冷静な判断をするのは難しいですし、家族の意思や決断のズレは夫婦の溝を深め、ときとして離婚につながることも。災害時の家族のルールを決めることは、家族で防災に関して話し合い、意識を高めるきっかけにもなります。■保育園へ迎えにいけないときはどうする?働くママは、1日のかなりの時間を子どもと離れて過ごしています。自分が会社にいて、子どもは保育園。そんなときに災害が起きたらどうすればよいのでしょうか。東京都では大規模地震が発生したとき、みんなが一斉帰宅をすると緊急車両の通行の妨げ等になることから、災害時は72時間帰らない「一斉帰宅抑制」を推進しています。つまり、帰りたくても帰れない、ということも起こりえます。「パパもママも都心で働いている場合は、ムリをして帰宅しないことも大事。保育園にも3日間は帰ってこられないかもしれないということを話しておく必要がありますね。夫婦どちらが迎えに行きやすいかは話しておいて、どちらも難しいときは誰が迎えにいってくれるのかを考えておく。保育園ママでも職場が近いなどの理由で迎えに行ける人はいるので、やっぱりママ友ネットワークは大事ですね。日頃からLINEグループなどでつながって、“こういうときはお願いします”とお互い協力しあえるように話しておくとよいですね」本にはこのほかにも具体的な家族の防災ルール作りのポイントや医療従事者による災害時のアドバイスなど、知っておきたいのにこれまであまり情報がなかった子連れ防災のノウハウが満載。レジャーの延長線上で防災意識を高める防災ピクニックや防災キャンプのポイントも紹介されています。「ピクニックやアウトドアなどは防災とリンクする知識が多く、キャンプをやっている家庭は災害にも強いですよ。震災のときもキャンプ気分で楽しんで子どもが泣いたりしなかったというファミリーもいます」親子のアウトドアはいい思い出になるし、パパの活躍シーンもいっぱい。ママ友と家族ぐるみで防災を意識したピクニックやキャンプを楽しむのもよそさそうです。「子どもを守るためにパパやママがやっていくべきことは、恐怖におびえながらストイックに防災に取り組むのではなく、“楽しみながら、日常生活の質を底上げすること”」と冨川さん。この本を読むと、防災が「ちょっと面倒くさそうなもの」から「やってみようかな」というものに変わります。 『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』 NPO法人ママプラグ(祥伝社)1,300円(税別) 「子連れ」に焦点を当て、防災バッグの考え方や必要なグッズはもちろんのこと、防災に強い家族になるために必要な、家族間の連携を図るための方法や遊びながら防災力を身につける方法などを、イラストを交えて楽しく紹介。全災害に対応日本に暮らすすべての子連れ家族に役立ててもらいたい1冊。
2019年04月09日「EQ」とは、知能指数と呼ばれる「IQ」に対して、「心の知能指数」と呼ばれる概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したのが、EQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生です。EQが高いと、なぜ「子どもの未来が輝く」のでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)「頭の力」をうまく使うにも「心の力」が必要そもそもわたしがなぜ、「EQ」に注目することになったのか――。今回はそんな話からはじめてみます。わたしは学生時代から能力開発に興味を持っていました。つまり、「人間はどこまで伸びるのか」ということを突き詰めてみたかったのです。日本の教育は、どちらかというと「どうやって底辺にいる子たちの力を伸ばして全体の底上げをするか」という発想に基づいたものです。そうではなくて、トップ層にいる人間の能力はどこまで伸びるのかということに興味があった。そんな経緯もあり、そういう研究を国内でも大きな規模でおこなっているEQWELチャイルドアカデミーに入社することになったわけです。そして、幼児や小学生、中高生の能力開発トレーニングに携わるうち、学力をはじめとしたさまざまな能力向上のベースにあるものこそEQだということに気づきました。学力を向上させる「頭の力」には思考力や記憶力などがありますが、それらをうまく使うにも「心の力」であるEQこそが必要なのです。EQの高低によって人生はまったくの別物になるEQには、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力……など、さまざまな要素があります。これらの力に優れているかどうかで子どもの人生はまったく別のものになるということは、容易に想像できるものでしょう。EQが低ければ、まず自分の感情をうまくコントロールすることができません。そうすると、学校でも家でも問題を起こすことになる。友だちとはしょっちゅう喧嘩をするし、親のいうこともまともに聞かない。あらゆることに対するやる気も持てなくて、やるべきこともやれない。自己肯定感が低ければ、なにをやろうにも「自分はどうせ駄目だから」とマイナス思考に陥って、せっかく持っている才能を活用することもできないでしょう。一方、EQが高い子どもはどうなるか。人間関係が穏やかで、やるべきことをしっかりやれるので、まずは学校生活にすんなり順応できます。そうなると、当然、学力も向上していくことになる。興味を示して「やりたい」と思った趣味やスポーツも、すいすい身につけられる。結果的に、「優秀な子」といわれる子どもに育ちやすいということになります。そういう子どもが大人になったとき、社会に出たときのいちばんのメリットは、なにかをしようと思ったときにそれらをスムーズに実現できるということです。しかも、EQのさまざまな力を生かして、自分とまわりの人間の能力を最大限に引き出し、いいかたちで早く実現することもできる。自分の思いをかたちにできる、「自己実現」できる人間になれるのです。「自己実現」がこれからの時代のキーワードこれからの時代は、高いEQによる「自己実現」が重要なキーワードになると感じています。というのも、あらゆる状況がそう指し示しているからです。まずひとつが、「人生100年時代」に入ってきたということ。平均寿命が延び、60年も70年も仕事を続けなければならない人が増えていく。その間、技術革新はどんどん進み、つねに新しいことを学び続ける必要があります。そこで心が豊かでなければ、働き続けるモチベーションを保てないということになってしまうでしょう。もうひとつが「グローバル化社会」です。日本でも外国人労働者が急激に増えているように、これからは多種多様な人たち、異文化を持つ人たちと一緒に仕事をしていかなければなりません。さまざまな人たちとうまく協働していくには、コミュニケーション能力をはじめとしたEQの高さが求められます。加えて、とくに日本では「少子高齢化」が急激に進みます。人口が減り一人ひとりの重要性が増していくなかで並行して進むのは、「AI時代」。ちょっと考えればできるような仕事、マニュアル化できる仕事はAIが担うことになります。わたしたち人間がやるべきことは、それこそAIにはできないことしかありません。EQを生かして粘り強く考え、創意工夫し、問題解決をして、本当に自分がやりたいことを実現していくことなのです。そうできれば、新しいことを学び続け、働き続けるモチベーションも保てますし、そうするために、多種多様な人ともうまく協働しようとするでしょう。幸せとは、社会とかかわらなければ得られないそして、「自己実現」は人間としての幸せにもつながるものです。いま、「ウェルビーイング」と呼ばれる「幸福感」の研究が進んでいます。その研究によると、人が幸せを感じるためには3つの要素が大切だとされています。まずは、「体の健康」。病気がちであるより、体が元気であるほうが幸せというのは当然のことですね。ふたつ目は「心の健康」。毎日、うつうつと過ごすより、機嫌良くいきいきとしているほうがいい。これもあたりまえのことです。3つ目が大きなポイントで、これは「社会的な健康」といわれます。人間はただ心身が健康であっても、本当の意味での幸せは得られません。一人ひとり異なる自分の能力を生かして世のなかとかかわる、もしくは社会貢献をする。それができてはじめて本当に幸せだと感じることができるのです。「自己実現」とは、ただ身勝手に自分がやりたいことをやるというものではありません。幸せを得るためには、自分の能力を見定め、それを最大限に生かし、どうすればまわりの人たちによろこんでもらえるのかと考えなければならない。本当の意味での「自己実現」とは、自分が幸せになると同時に、周囲も幸せにするものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月04日本日ご紹介のアイテム、実はとってもこだわり満載の商品なので、「すごいでしょー、すごいでしょー」 と、ズラズラと語るつもりでいたのですが、実際に、目にした瞬間。「これからの勉強=きっと楽しい冒険になる!!」と、心が震えるほどの衝撃を受けたので、お話していきます。エッ、これが見慣れた図鑑?この照明のスイッチを入れると、パーーーッと色鮮やかな世界が生まれるんです。それは「本来の色」 との出会い。きっと、子どもは「興味が湧いて、グッと惹き込まれる。」「大好きな図鑑が、いつもと違って見えてくる。」「お絵描きに夢中になって、集中力が続く。」「字の練習も折り紙も、コツがつかみやすい。」「ページをめくる楽しみが止まらない!」「好奇心が無駄にならない。」我々大人もワクワクしますが、とにかく子どもに知ってほしい、子どもだから知ってほしい。と願う、本当の色の世界。そこには、集中力を妨げる薄暗さや不要な影はありません。なぜなら、子どもの目(視界)のために作られた特別な照明だから。徹底的なこだわりのカギは、2つのテクノロジーにありました。【1】 影のない光の作り方。子どもの頭の位置は低いから、その手元には、部屋の照明による自分の頭の影が生まれてしまう。確かに子どもの手元には影ができがちですよね。そのお邪魔フィルターを取り除くために、医療用の手術灯をヒントにした独自構造を、国内シェアNO.1の山田医療照明と共同開発。その視界は?というと、もうエイヤーッと邪魔モノ(影)をやっつけた感。気が散ることなく、思いっきり創作&勉強に励めるー!【2】 目に優しい太陽光LED。美術館や医療現場など、色の正確さを求められる環境で用いられる、太陽光LED。それは、まるで自然光の下で見ているかのような、最高レベルの演色性。★本来の色が見えるクレヨンも、絵本も、図鑑も、ビーズも、写真も、植物も、虫も。「こんな色してるんだ。」と知る。=色を見る力を、育てることができるんです。★眼が疲れにくくなる一般的な白色LEDと比べて、ブルーライトのピーク波長の強さが約半分。=目に優しく、疲労を抑えて子ども達の目を守ります。つまり、「色」を見る力を育てて、目もシッカリ守る。子ども達の目をどこまでも考えて作られた照明なんですね。リビング学習を、より良い環境で。いまどきのリビング学習。オシャレ重視な照明の下では、子どもの目が疲れないかちょっと心配。より良い学習環境づくりのためにも、学習机に代わる入学祝いとして、この照明を候補に入れてみてはいがでしょうか?選べるホワイト/ブラックのシンプルデザインは、インテリアに馴染みやすくほどよい存在感。リビング学習を、優しく正確な灯りで見守ってくれます。子ども達よ、冒険の隊長になろう!入学して始まる、長い、長い、勉強生活。知らないことを吸収し、知っていることがドンドン増えてゆく。そんな冒険の隊長は、子ども自身。◎隊長は、付属ステッカーでカッコよくカスタマイズできるのである。◎隊長は、お気に入りのペンや文具をそこに収納できるのである。◎隊長がくじけそうな時も・・・太陽光がドレミの音階で照らしてくれるのであ〜る。いざ、お勉強デビュー! 子どもたちの溢れる意欲と、自発的な学習のために。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「バルミューダライト/BALMUDATheLight」 文・T.Kitahara作って食べて、会話が弾む。家族との大切な日常に、ほんのひと手間、幸せの仕掛けを。 ■こどもと暮らす ■暮らしのはなし
2019年03月17日「有名大学に入学し、有名企業に就職すれば一生安泰」という時代は過去のものとなりました。いまの子どもたちは、親には想像もできない「新たな時代」を生き抜いていかなければなりません。そのためには、これまでの「学力」とはちがう力も必要となることでしょう。それには「3つの力」があると、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは語ります。「3つの力」とはどんなもので、また、どうすれば伸ばすことができるのでしょうか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「やり抜く力」がIQの差を飛び越えさせるこれから長い人生を歩んでいくいまの子どもたちが身につけておくべき力――。教育ジャーナリストという立ち場上、わたしもよく聞かれることです。これには次の3つの力があると考えています。【1】そこそこの知力と体力【2】やり抜く力【3】自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力ちょっとあいまいないい方になりますが、ひとつは「そこそこの知力と体力」です。さすがに人並みの知力と体力がなければ、人生において成功を収めることはそう簡単ではありません。でも、人並みでいいのです。偏差値50を切っていても、ボリュームゾーンに入っていれば十分。子どもなら、人とコミュニケーションが取れて、落ちこぼれじゃない学力があって、友だちと一緒に遊べる体力があればいい。もうひとつは、「やり抜く力」。最近、アメリカのある心理学者が「GRIT(グリット)」という呼び名で提唱しているのも「やり抜く力」です。これは、「Guts(度胸)」「Resilience(復元力)」「Initiative(自発性)」「Tenacity(執念)」の頭文字を取ったもの。これを日本では「やり抜く力」と訳しています。このGRITをめぐって、「IQが高いよりGRITが高いほうが人生で成功している割合が高い」という研究結果が出ています。その「成功」とはなにかという疑問もあるのですが、おそらくは「社会のなかで一定の成果を出している」ということでしょう。たしかに、IQは体力ほど大きな差を生むようには思えません。普通の人間は「超人ハルク」にけんかを挑んでも勝てませんが、努力次第ではIQがはるかに高い人より大きな成功を収めることもできるでしょう。その努力の要になるものこそ、自分が定めた目標に向かって諦めない、「やり抜く力」です。個性があるゆえに個人の力は限られているこれらふたつは個人の力です。加えて、これからの時代には、「自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力」も求められるとわたしは考えています。たとえば、すごく頭の回転が速くてぱっとものごとを決めてしまう人が、慎重で「いやいや、ちょっと待って」とじっくりものごとを考えられる人とチームになることにも大いに意味があるでしょう。いままでは個人の力を高めていけば生き残れる時代でした。誰もが個人の力を高めて世のなかで勝ち組になろうとしていたのです。でも、これからはちがいます。孤立する人間にとっては厳しい時代になるでしょう。個人個人が持っている能力は、それぞれに個性があるがゆえに限られています。どれだけ個人の力を高めても、できることはたかが知れたものでしょう。そう考えれば、自分にはない力を持っている誰かとチームにならなければなりません。さまざまな力を持った人間が集まったチームの一員となって、あらゆる課題に対応できるかどうか――。それこそが、今後の世界で伸びていく、自身の能力を存分に発揮するためのキーとなるのではないでしょうか。習い事をする意味は挫折を乗り越えることでは、子どもがこれら3つの力を伸ばすにはどうすればいいか。「そこそこの知力と体力」に関しては、きちんと学校に通っていれば問題ありません。義務教育とは、まさに「そこそこの知力と体力」を身につけさせるものですからね。残りのふたつに関しては、本来、親御さん自身がその力の使い方を実生活のなかで見せてあげることがいちばんです。でも、仕事で「やり抜く力」や「チームになる力」をどんなに発揮している人も、会社勤めをしていれば、その姿を子どもに見せることは難しいかもしれません。そういった場合、子どもの「やり抜く力」を伸ばすためには、なんといっても習い事が効果的です。習い事の種類は問いません。重要なのは、「親がやらせたい」ものではなく、「子どもがやりたい」ものにすること。この場合の習い事の目的は、「やり抜く力」を伸ばすことであって、「子どもになにかのスキルを身につけさせること」ではないからです。自分がやりたい習い事なら、子どもは夢中になって取り組むでしょう。だから、はじめた当初はすぐに成果が出る。けれど、レベルが上がってくれば、そのうち壁にぶつかります。「もうやめたいな……」という気持ちも出てくるでしょう。でも、そのネガティブな気持ちを乗り越えたときに、それまでとはちがう新たな達成感を得ることができます。夢中、達成、挫折、そして乗り越える――。この一連の経験こそが子どもの「やり抜く力」を育ててくれるものであり、習い事をする意味でもあるのです。また、「チームになる力」を伸ばしてあげたいのなら、学校や塾以外の人間が集まる集団に子どもを入れることが効果的でしょう。たとえば、夏休みにいわゆる「子どもキャンプ」に参加させる。そうすると、年齢や出身、文化もちがう見ず知らずの子どもやその親たちと過ごすことになります。同じ学校や塾に通っているという「前提」を共有していない人間とともに活動することが、「チームになる力」を伸ばしてくれると期待していいと思います。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月13日子どもが幼少期のうちからつけておきたいのが、「伝える力」です。相手に自分の意思をしっかりと伝えることができれば、良好な人間関係を築いたり、精神的に安定したりすることにつながるでしょう。そのためには、親が子どもとの関わり方やコミュニケーションを工夫する必要があります。今回は、伝える力の重要性や、子どもに伝える力を身につけさせるためのコツについて紹介していきましょう。「あれ食べたい」が友だちに伝わらない理由日常生活の中では、自分の意思を相手に伝える場面がたくさんあります。例えば、食べたいものや欲しいものを親にリクエストするとき、友だちと遊ぶ約束をしたいとき、先生に忘れ物をしたことを報告するとき。自分の意思を伝える相手が親や祖父母などの身近な存在であれば、「この前テレビで見た、あれが食べたい!」といった断片的な伝え方をしても、ある程度は真意を汲み取ってもらえることも多いでしょう。しかし、友だちや先生に同じような伝え方をしても、相手の理解を得られない可能性が高いのではないでしょうか。もし子どもが友だちに「明日、公園で遊ぼうね!」と伝えたとしても、その友だちは「何時に、どの公園で遊ぶんだろう?」と不明点が残り、結局遊べなかったり、親同士で改めて連絡を取ったりすることになります。自分の意思を伝えるためには、相手が必要とする情報が何なのか、どんな言い方をすれば正確に伝わるのかを理解することが前提にあるのです。気持ちをうまく伝えられないから「相手を叩く」伝える力が乏しい場合、自分の意思がうまく伝わらないことにイライラしたり、イライラが暴力などに変わったりすることもあります。小さな子どもが自分のおもちゃを他の子どもにとられたとき、相手を叩いたりしてしまったり噛んでしまったりすることがあります。これは「とらないでほしい」という気持ちをうまく伝えられないから。伝える力があれば、「とらないでほしい」と言葉にできるため、こうした状況にも落ち着いて対処することができるようになります。また、伝える力があれば、非行などのネガティブな誘いがあっても、しっかり断ることができます。大人の中にも、断るという行為が苦手であることから不本意な状況に陥る人が少なからずいますよね。そのような人には伝える力が十分に備わっていないことが多いのです。伝える力は、トラブル回避に役立ち、ひいては自分自身を守ることにもつながります。伝える力を養うためのコツ子どもの伝える力は、家庭内でのコミュニケーションを工夫して伸ばすことが可能です。子どもが自分の意見をしっかり伝えられるように、また余計なトラブルを避けるためにも、以下の点を意識してみましょう。■子どもの感情を言葉にしてあげる子どもは語彙力が乏しいため、自分の気持ちをうまく言葉にできないことも多いです。そんなときは、子どもの様子や話の内容から「それは〇〇っていう気持ちだと思うよ」と感情を言葉にしてあげましょう。他の子どもにおもちゃをとられてイライラしているようだったら「おもちゃをとられて『悔しい』って思ったんだよね」などと子どもの気持ちを汲み取ってあげるのです。そうすることで、子どもは「悔しい」という感情がどんなものなのかを理解し、言葉として伝えられるようになっていきます。■「そのとき、どう思ったの?」と聞く何かを伝えたいときには、まず「自分がどう思っているか」がベースになります。そのため、子どもに自分がどう思っているかを意識させる習慣を作ることが大切です。「どう思ったの?」と聞いても、最初は「嫌だった」「楽しかった」といった簡単な答えしか返ってこないかもしれません。しかし、感情を言葉にすることに慣れていけば、「くやしかった」「もっと頑張りたいと思った」などの表現ができるようになっていきます。また、自分の意思と向き合う習慣を付けることは感情のコントロールにもつながります。■5W1Hに沿って質問をする5W1Hとは、Who(誰が)When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を表す言葉です。何かを伝えたいときにこれらの項目を意識すると、伝えたいことがより明確になります。子どもは断片的な情報のみで何かを伝えようとしたときは、これらに沿った質問をして伝えたいことの全体像を共有するようにしましょう。また、親が子どもに何かを伝えるときも、「明日の朝、公園に砂遊びをしに行こう。ちょっと遠い公園だから自転車で行こうか」など、5W1Hに則って話すようにすれば、徐々に子どもが真似するようになることも期待できます。■「断ること」「断られること」はネガティブなことではないと伝える伝える力が弱い人の特徴として「断ること・断られることを恐れてしまう」というものがあります。その場合、何かを伝える前に「こんなことを言って断られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう」「断って相手を傷つけたらどうしよう」と不安になってしまい、最終的に自分の本意ではない状況に巻き込まれたり、我慢を強いられたりします。そうならないためには、断ることや断られることに対して、親自身がポジティブに捉えることが大切です。例えば、子どもに何かを断られた際には「自分の意見を言ってくれてありがとう」と言い、子どもの頼みを断る際にはその理由をしっかりと説明しつつ、「来週ならできるよ!」などの具体的な妥協案を出しましょう。***子どもの伝える力を養うことができれば、友だち付き合いがうまくいくようになるだけでなく、親子のコミュニケーションも取りやすくなります。将来、子どもが社会に出た後にも必ず必要となる力なので、積極的に伸ばしていきましょう。文/田口るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|自分の気持ちを相手に伝える力を育てよう[ソーシャルスキル]東洋経済オンライン|家庭内の会話で、国語力を上げる2つの方法学研キッズネット|子どもの伝える力を育てる2つのチャレンジNHKエデュケーショナルすくコム|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」ecomam|人に頼むことは、相手への信頼を伝えること
2019年03月04日「これからの子どもには『考える力』が必要だ」という言葉をここ数年よく目にするようになりました。しかし、その「考える力」とはどういうものなのでしょうか。お話を聞いたのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。小川さんによると、「『考える力』とは明白なる『技術』」なのだとか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「考える」と「悩む」はまったく別のもの「考える力」とひとことでいっても、人によって定義はばらばらです。いま、大学入試改革に伴っていわれている「考える力」とは、「自分なりの価値観を明確にして社会との関係づくりをしていける力」。いわば、自己決定力のことです。わたし個人としては、これを「考える力」と呼ぶのはちがうように感じています。では、わたしが定義する「考える力」とはなにか――。それは、事象を正確にとらえて分析し、課題を設定する。そして、情報など自分が使えるあらゆるものを組み合わせることでなんらかの変化を生み出していく。その一連のプロセスを進めていける力こそが、「考える力」なのだと思います。はっきりお伝えしておきたいのは、「考える」と「悩む」はまったく別のものだということ。なにかを目の前にして「うーん」とうなって止まってしまう。これは、「考える」ではなく、ただ悩んで苦しんでいるだけです。なぜそこで悩んで苦しむかというと、先に述べた一連のプロセスを経ていないからです。なにが課題なのかを見つけようとしないままに、「答えらしきもの」が浮かんでくることを追い求めているだけ。だから、もやもやとして苦しいわけです。ものごとを明確にすることには、いまなにが起きているのかを見る、情報を集めるというステップ、あるいは、時系列に並べ直す、重要度を整理するといったファクターがある。そして、そういうものを割りつけていきながら、ものごとを徐々に分解しまとめていく必要があります。つまり、「考える」とは明白なる「技術」なのです。親子の会話で子どもの「考える力」を伸ばすでは、どのようにその技術を身につけさせればいいのでしょうか。ここでは、家庭での親子の会話でできることを紹介します。たとえば、ヨーロッパの難民問題のニュースを親子で見たとします。子どもに「これってなに?どういうこと?」と聞かれた。そこでただ教えてしまっては、子どもは考えるプロセスを身につけることはできません。かといって、いきなり「どう思う?」と聞いても、まだ考えていないのですから、自分なりの答えは返ってこないでしょう。そうではなく、順を追って問いかけるのです。まずは「難民って知ってる?」と問いかけ、知らないのなら一緒に調べてみる。そして、「なにが起きているのか」という現状を一緒に確認します。難民にはどんな事情があり、なぜヨーロッパの人たちは怒っているのか、ニュースのコメンテーターはどう解説したかといったことです。次に、「もし自分が難民の側だったらどう思う?」「逆にヨーロッパの人だったら?」と、立ち場を変えて想像させてみます。こうしてようやく、「じゃ、あなたはどう思う?」「どうしたらいい?」という問いかけの段階に至ることができ、「もっとよく話し合ったらいい」といった子どもなりの答えにたどり着かせることができるわけです。もしかしたら、結局「わからない」という答えが返ってくるかもしれません。でも、そこに至るまでの問いかけによって、考えることに必要なプロセスを経ているのですから、子どもにとっては「考えるトレーニング」になっているのです。一様に国語の勉強を押しつけるのはよくないいまの例で、まず難民という言葉を調べるとお伝えしました。考えるという行為は言葉を使ってするものですから、考えるためには考えるべきことに関連する言葉の意味を知っている必要があります。つまり、「考える力」を伸ばすためには、国語力が重要なキーワードとなります。とはいえ、幼い子どもに一様に国語の勉強を押しつけるのは間違いです。というのも、子どものタイプによって言葉にあまり関心を示さない、「言葉に反応したくない」という時期があるからです。それは、一般的に小学校1~2年生の頃に表れます。比較的女の子に多いのが、いろいろな言葉を覚えることが好きなタイプ。一方で男の子に多いのは、「同じ内容を表せるならどの言葉でもいい」と考えるタイプです。前者はものごとが定まっていくことですっきりしたいタイプで、言葉を知ってものごとがはっきり見えてくることで安心できるということ。すると、自然にコミュニケーション力も上がるので、その子どもにとっては単語力の重要性がさらに増していくことになります。後者は、いわば「算数タイプ」。言葉にあまり反応しない代わりに数字に強い、算数が得意な傾向があります。数字というのは抽象化されたものですよね。みかんが3個でも本が3冊でも、同じ3です。算数が得意な子どもは、ものごとをまとめていく抽象化能力に長けているのです。そして同時に、表現の広がりに対して関心を示さないということでもあります。さらに、「言葉も数字もまどろっこしい、直接見たい」「わからないことはとりあえずやってみたい」と考える、「体感タイプ」といえるタイプの子どももいます。算数タイプ、体感タイプの子どもに無理やり国語の勉強を押しつけると、確実に国語が嫌いになってしまいます。もちろん、コミュニケーション力はどんなタイプの子どもにも必要なものです。「言葉に反応したくない時期」を過ぎる9歳くらいになれば、タイプを問わずコミュニケーションに必要な国語力を伸ばしてあげないといけません。とはいえ、大前提としては、それぞれのタイプや成長段階を踏まえてその教育をする必要があります。まず親が国語力の4要素を知るでは、子どもの国語力をアップさせるためにはどうすればいいのでしょうか。やみくもに問題集をこなせばいいわけではないし、たくさんの本をただ読めばいいわけでもありません。重要なのは、国語力というものがどのように成り立っているかを親が知ることです。国語力は4つの要素にわけられます。「語彙力」がベースにあり、その上に「読む力」「解く力」「答える力」があるという構成です。ひとつのテーマを与えられたときに、それに関連する情報をどれだけ頭のなかに広げられるか。それが「語彙力」。「読む力」は「内容を理解し要約する力」。「解く力」は「情報を分析する力」です。随筆や小説を扱う場合なら、登場人物の立ち場や心情を理解する「共感する力」も「解く力」に含まれるでしょう。そして、「答える力」はいわゆる「表現力」です。「答える力」は、2段階にわけられます。自分のなかにあるものをなんらかの言葉にいったん置く第1段階。表現する相手を想定してさらに言葉を置き換えていくという第2段階です。国語力にはこういう要素があることをまず親御さんが理解することが大切です。というのも、国語が苦手な子どもがどこでつまずいているのかを知らなければ対処できないからです。そもそも言葉を知らないのなら、意味を調べることを教えないとならない。言葉を知っていて読むこともできているのにテストの点数が悪いのなら、「解く力」が足りないと考え、どのように問題をとらえたか、どう思ってその答えにしたのかを子どもに聞いて、「解く力」をつけてあげなければなりません。どの段階でつまずいていて、その原因がどこにあるのか。子どもと一緒に分析して対処してほしいと思います。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由(※近日公開)第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月04日親ならば、「子どもには頭が良くなってほしい」と願うことはあっても、「頭が悪くなってほしい」と願うことはありません。では、そもそも学力を高めるためにはどんな力が必要なのでしょうか。素人だと教科によってちがうと思ってしまいがちですが、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「学力を高める力とは言語能力」だと断言します。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強ができるということは言語能力が高いこと親御さんが子どもに「勉強ができるようになってほしい」と願うのなら、「言語能力」を伸ばしてあげることを心がけてください。「勉強ができるということは言語能力が高いことに他ならない」というのが、教育に長く携わってきたわたしの結論です。言語能力というと国語というひとつの教科に限られた力だと思われるかもしれませんが、あらゆる勉強は言葉を使ってするものです。数学だって言語で説明されて理解できればいいのですからね。言語能力は、大きくふたつにわけられます。耳にした、目にした言語を正しく受け取る「了解能力」と、自分の意志を正しく相手に伝える「運用能力」です。これらを伸ばすには、実践するしかありません。つまり、「本を読み、文章を書く」ということ。ただ、どちらもまだ難しいような幼い子どもの場合、まずは「聞かせる」ことからはじめます。子どもにきちんと言語を理解させるには、「読み聞かせ」が重要です。人間というのは知能がすごく発達した動物です。それこそ、親が話していることを聞いているだけでしゃべれるようになるのですから、本当にすごいことですよね。赤ちゃんは、言葉を覚えようと大人以上に注意深く親の言葉などの周囲の音を聞いている。その前提を思えば、幼少の時期に正しいリズムの日本語を聞かせてあげる必要があります。言語能力を高めるには過去の名作を音読する正しいリズムとは、例を挙げると石焼きいもの移動販売車から聞こえてくる「いしや~きいも~」の呼び声。「たけや~、さおだけ~」もいいですね。これらに共通する特徴とは「一音一音切っている」ということ。これが日本語の音読のベースなのです。「ショッピング」という言葉も、英語の正しい発音だと日本人には「ショピン」に聞こえますよね。英語は子音で終わることが多い言語であることに対して、日本語は一音一音に母音がつく言語なのです。幼い子どもには、きちんと一音一音切って遠くに話しかけるような日本語に触れさせることが大切です。では、具体的になにを読み聞かせればいいのでしょうか。わたしは、「古典」を聞かせることを提唱しています。もちろん、子どもが言葉を理解しはじめれば、本人に音読をさせます。古典を読み聞かせること、音読させることに驚いた親御さんもいるでしょう。ただ、これには明白な理由があります。『徒然草』をきちんと一音一音で切って音読すると、子どもの国語の力はぐっと伸びます。どういうことか説明しましょう。言葉は時代につれ徐々に変化していますが、当然、その変化は前の時代の言葉を受けたものです。『徒然草』は、江戸時代に寺子屋と藩校でもっとも音読された随筆で、当時の役人や作家など文章を書く人間に『徒然草』を知らない人はいません。つまり、前の時代にテキストとしてよく読まれたものを音読すればするほど、その後ろの時代――この場合であれば、現代の言葉の力が高まるというわけです。では、『源氏物語』や『枕草子』を楽に読めるようになるにはどうすればいいのか。その答えは、その前の時代の『古今集』を音読することです。そしてさらに、『古今集』を楽に読めるようになるには、その前の時代の『万葉集』を音読するのです。読み方の手本は「宮中歌会始」です。新春恒例の行事ですから、ニュース等で目にしたことがある人も多いでしょう。そのイメージで、『徒然草』なら「つ、れ、づ、れ、な、る、ま、ま、に」と一音一音切って読んでみてください。読むだけで子どもの頭が良くなる本があるわたしは、実験として幼い子どもがいるお母さんばかりを集めて古典の音読会を2年間ほど続けたことがあります。その結果、子どもたちの国語力は爆発的に伸びました。まだ小さいのに、みんなが長いセンテンスでしゃべることができるようになったのです。とはいえ、古典にとっつきにくさを感じる親御さんもいるかもしれません。でも安心してください。戦後に生まれた文学作品や絵本のなかにも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品はたくさんあります。それらは、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」として紹介しています。これは、400冊を超える作品のなかからわたしが実際に音読して選びました。選んだ本は、一音一音切って読んで、意味が綺麗に伝わってくる作品ばかりです。作家、絵本作家のなかにも日本語本来のリズムがきちんとわかっている人がいるのです。ただ、「何歳のお子さんにはこの作品」と、年齢別におすすめ作品を紹介することはできません。子どもはそれぞれ成長に差があるので、一概にどの本がいいと決められないからです。とはいえ、著書で紹介した145冊はいずれもわたしが自信を持っておすすめできるいい作品ばかり。そのなかから気になる作品を選んで子どもに読み聞かせをしてあげたり、子どもに音読させたりしてみてください。間違いなく、子どもの国語の力は大きく伸びていくはずです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月01日「先行きが見えない」と異口同音に語られる時代。これから長い人生を歩まなければならない子どもたちは、どんな力を身につけておくべきなのでしょうか。V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、子どもたちに必要なものとして、7つの力を掲げています。そして、そのなかでも根幹となり得るのが「感受性」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「判断力」と「創造力」の礎となる「感受性」子どもに必要な力として、わたしはまず「判断力」と「創造力」を挙げます。判断力がなければ、知識を持っていたとしてもそれを正しく使うことができません。それから、「他の誰もやっていないことをやりたい」「つくりたい」「描きたい」といった願望はいつもわたしたちのなかにある。いわば、創造力は、人間らしくあるための力といえるでしょう。ただ、それらふたつの力に先行して必要なものが「感受性」です。ものを感じ取る力がなければ、正しい判断もできないし、新しいものを生み出すこともできません。判断力、創造力、それに先立つ感受性――この3つが、子どもにとってもっとも大切な力です。それらに加えるなら、「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」も大切な力になります。観察は目だけでなく頭でもおこなうもの。言葉がなければ、鋭く深い観察はできません。動物は、人間が仕掛けた罠を観察して見破るということはそうできませんよね?でも、人間なら「あれは罠じゃないか?」と言葉で考えて罠の存在を見破ることができる。動物よりはるかに優れた観察力を持つのが、人間という生き物なのです。そして探究心。ものごととは、目に見えている部分ではなくその下に重要なものが埋まっているものです。だとすれば、なにかに興味を持ったら立ち止まってとどまりそれを突き詰める必要があります。着想力は創造力のベースになる力です。なにかをつくりあげる力があったとしても、そもそもその「なにか」を思いつく力がなければつくる課程に進めません。そして、いうまでもなく、考える動物である人間には思考力が求められます。「7つの力」を伸ばすには家庭環境が重要でも、残念ながら、いまの学校教育はこれらの力を伸ばそうとしているようには思えません。何十人かでまとめてクラス分けされ、先生の話をちゃんと聞くことが求められ、たくさんの宿題を課される。わたしには、近い将来AIに取って代わられる仕事の訓練をされているように見えるのです。では、先に述べた「判断力」「創造力」「感受性」「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」はどんなものかというと、これらは「AIが持てない力」です。「AIにできないことはなにか」と考えたわけではありません。「これからの人間にとって大切なものはなにか」と考えると、結果的にAIにできないことに行き着くのです。そして、これらの力を学校教育で伸ばしてくれないのであれば、家庭環境の在り方こそが重要になります。たとえば、感受性というものは、誰かに壊されることなくゆっくり育まれて徐々に良くなるものであって、ある教育によって突然良くなるものではない。「これから感受性を伸ばす教育をします」といった具合に伸ばすことはできません。ということは、子どもの感受性を向上させることは親にしかできないことなのです。感受性を伸ばすには「甘いお菓子」はNG!?子どもの感受性を伸ばしてあげたいのなら、まず「甘いだけのお菓子」をあげることをやめましょう。甘みというものは強烈な味覚ですから、甘いものを口にし続けると他の味を感じる力が鈍くなってしまいます。同じ甘みを持つものでも、果物だったらどうでしょうか?甘いけど酸っぱさも含むなど、味わいが多重です。そういった複雑さを感じ取れる力こそ感受性でしょう。子どもの感受性を伸ばすには、甘いお菓子ではなくて果物を与えるべきです。もちろん、これは一例です。他のさまざまなことについても、刺激が強いものを受け取って反応するのではなく、できるだけ余計な刺激物がない、いい自然環境に触れることが大切です。たとえば、同じことが聴覚についてもいえます。人間の耳は20キロヘルツまでの音しか聞き取ることができません。でも、自然界には20キロヘルツ以上の高周波の音がたくさん存在します。じつは、人間というものはこれらの高周波音を肌で感じ取っているのです。そして、その経験が豊かであるほど感受性も豊かになります。そう考えると、土があって草が生えていて海や川から心地いい風が吹くような環境に子どもを置いてあげる必要がある。ただ、特に都会の子どもだとそういう場所にひとりで行くことはできるものではありません。つまり、自然に囲まれた場所に子どもを連れて行ってあげるのが親の重要な役割なのです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方(※近日公開)第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月28日子どもにはたくさんの経験を通して心も体も成長してほしい。そう考えている親御さんも多いことでしょう。しかし、子どもたちがこれからするであろうたくさんの経験のなかには、うまくいかないことやできないこと、失敗なども数多くあるはず。こうした困難に向き合うには、子どものメンタルは強いに越したことはありません。今回は、子どもにとって「メンタルが強い」とはどんな状態のことをいうのか、メンタルが強いとどんな利点があるかを考えてみます。また、メンタルが強い子どもは、普段どのようなことを習慣にしているのかも紹介します。逆境や困難に適応する「レジリエンス」メジャーリーグで活躍するイチロー選手、サッカー日本代表の長友佑都選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、スポーツ選手が逆境を跳ね返して活躍する姿には、彼らの強靭なメンタルを感じます。メンタルの強さは超一流のスポーツ選手だけでなく、子どもたちにも必要となってきます。なぜならば、この先、子どもたちにはさまざまな逆境や困難が立ちはだかり、それを乗り越えていかなければならないからです。メンタルの強さというと、「負けず嫌いな性格」や「苦手なこと立ち向かう勇気」、「泣きたい気持ちを堪える我慢」のような強気な心と思われがちです。しかし子どもたちに必要なのは、もっとしなやかで折れない心なのです。最近注目されている「レジリエンス」をご存じでしょうか。レジリエンスは、ストレスのかかった状態に耐え、ほかの誰かに心ない言葉を投げられても傷つかず、トラブルに臨機応変に対応できるような生きのびる力です。レジリエンスは、勉強、スポーツ、人間関係、仕事などで、私たちの心が「折れない」ようにしてくれる心の筋肉のようなもので、誰もが持っているのだそうです。「レジリエンス」が高い人の特徴3つ海外では、レジリエンスについてすでに40年近く研究されています。欧米の学校では、子どもたちに心の強さを教える「レジリエンス教育」を取り入れているところも2,000校にのぼり、国内でもレジリエンスを育成しようという動きが学校や会社で広まってきています。国内でレジリエンスを活用した人材育成に携わっている久世浩司さんは、レジリエンスが高い人の特徴として、「回復力」「弾力性」「適応力」の3つが備わっているといい、それぞれについて次のように述べています。・「回復力」困難に直面しても、すぐに元の状態に戻ることができる、心のしなやかさをもっています。柔軟な心理は、レジリエンスの高さの証です。・「弾力性」これは、予想外のショックやストレスなどがあっても、弾力性をもって耐えることができる精神を表します。人から批判され、嫌なことを言われても、心の傷とならずに守ることができます。・「適応力」予期せぬ変化に抵抗するのではなく、それを受け入れて合理的に対応することができる思考をもっています。(引用元:久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.)※太字処理は編集部で施したこの3つの特徴は、特別な能力として一部の人にだけに備わっているものではなく、誰にでもあるものです。そして、レジリエンスは心身の疲労によって衰えることもありますし、反対に大人になってからでもトレーニングで十分に高められるといわれています。メンタルは強くできる!レジリエンスを鍛える4つの習慣お子さんのメンタルを強くするには、日頃の考え方や行動を変えてあげることが重要です。今回は、心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱した「自己肯定感」を高める4つの要因にフォーカスした、レジリエンスを鍛える方法をご紹介します。【習慣1:成功体験を積みかさねる】小さな成功体験が「やればできる」の大きな原動力になります。例えば、「漢字テストで100点を取る!」という目標を立てたら、まずは出題範囲をいくつかに分けて、小分けにした範囲でパーフェクトを目指します。縄跳びで100回跳べるようにするには、いきなり100回達成にチャレンジするのではなく、まず10回、20回と小刻みに目標を立てて、クリアしていきます。【習慣2:お手本を見せる】私たちの脳には、誰かが上手にやっているのを近くで見ることで「自分にもできそうだ」と共鳴する運動神経細胞「ミラーニューロン」があります。スポーツでもピアノでも、「自分にもできる」と思えるようになるきっかけはお手本を見ること。ぜひ、プロのパフォーマンスを実際に見せてあげましょう。また、動画を見せることでも十分な効果があります。コンサートDVDを活用したり、日本代表選手のプレーをテレビ観戦したり、積極的に取り入れてみてください。【習慣3:プロセスを励まし、褒める】家族や先生からの「あなたならできると思うよ」という言葉は、子どもの背中を押してあげる効果があります。このとき、できるかできないかを重視した励ましではなく、到達できたところまでのプロセスを励まし、褒めることが大切です。プロセスで励まされた子どもは、「自分は前と比べてここまでできるようになった」と振り返ることができるようになり、やればできるという気持ちに自信がつきます。【習慣4:前向きな気分で盛り上げる】グループ学習やチームスポーツでは、ポジティブな気分や感情が自己効力感をアップさせます。「ドンマイ」「次は成功するよ」「1勝したらお祝いしよう!」と盛り上げることで、子どもは「もしかしたら、やればできるのかもしれないぞ!?」と考えることができます。本人に自信がないようなときでも、「〇〇君ならきっとできるよ!」と子どもを信じて言い続けましょう。どの方法も、最初から子どもひとりでできるものではなく、家族や先生など周りの大人のサポートが必要となります。しかし、考え方の習慣化が定着すれば「やればできる」の自己効力感は高まりますし、それが「回復力」「弾力性」「適応力」を備えたメンタルの強さにつながります。***この習慣は、大人も取り入れることが可能。自己効力感がアップし、レジリエンスを高めることができます。メンタルを強くしたいと思っている親御さんは、お子さんと一緒に取り入れてみてはいかがでしょうか。(参考)久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.NHK クローズアップ現代+|“折れない心”の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1)
2019年02月26日「子どもが話を聞いてくれず、困っている」「他の子に比べて落ち着きがなく、人の話を聞く力が弱い気がする」というのは、子育て中によくある悩みのひとつです。「聞く力」は、他者とのコミュニケーションには欠かせないものであり、学習能力に関わってくる部分でもあります。今回は、子どもの聞く力の必要性や、聞く力を育てるために家庭の中でできるコツについて紹介しましょう。コミュニケーション能力が高い人は「聞く力」がある聞く力は、人間が生きていくうえで欠かせない、さまざまな能力の土台となります。その代表的なものは、コミュニケーション能力でしょう。会話を通したコミュニケーションでは、当然ですが相手の話を聞く場面が出てきます。その際に的確な返しをするためには、相手の話をしっかりと聞いて理解することが前提です。話が理解できていないと、的外れな返答をしてしまったり、会話がスムーズに進まなかったりしてしまいますよね。話が上手な人のことを「コミュニケーション能力が高い」と褒めることがよくありますが、話が上手な人は同時に聞き上手でもあります。相手の話をしっかり「聞いて」いるからこそ、相手に伝わる話ができるのです。また、思いやりの気持ちや共感能力を持てるかどうかにも、聞く力がかかわっています。人の話をじっくり聞くということは、話の背景や前提条件を想像したり、ちょっとした言葉尻や話し方の抑揚から相手の本音に気づいたり、その話を自分の立場に置き換えて考えたりすることにつながるのです。相手の気持ちを的確に汲み取ることができれば、さまざまな人に愛され、信頼されるようになるでしょう。「聞く力」と「学力」は関係している!話をしっかりと聞けるというのは、ただ話に耳を傾けることではありません。話を聞いて、その内容を理解し、自分なりに考えるということです。また、話をしっかり聞くためには、話をしている相手に意識を傾ける必要があります。これは学習するうえでとても大切なことです。聞く力が育っている子は、以下の能力も伸びていくとされています。■思考力・理解力言葉をしっかり聞くことができれば、聞いた分だけ知識を増やすことができます。クラスの中でも先生の話をきちんと聞いている子は、テストの点が高かったり、間違いや勘違いが少なかったりすると思いませんか?聞く力は、学力を伸ばすために非常に重要な条件のひとつなのです。■読む力・書く力集中して人の話を聞ける子どもは、言葉の世界が豊かです。聞いた言葉はいつか必ず、その子のものになります。そして、その言葉は、学校生活が始まったときの「読み言葉」や「書き言葉」の基礎になるのです。読解力は国語だけでなく、算数の問題理解にも役立つはずです。言い方を変えれば、聞く力を養うことで、これらの能力も身につきやすくなり、学習能力の向上が期待できるのです。幼児期の今こそ、家庭で「聞く力」を伸ばそう学習面のみならず、生活面でも役立つ聞く力は、子どもの頃の生活習慣を工夫することで育てることが可能です。そのために、家庭では以下のことを意識しましょう。1.「話すこと」に注目するのをやめる最近の子どもたちは、「人の話を聞けない」「聞かない」傾向があるようです。その理由のひとつは、幼少期の子どもの発達過程で「どれだけ話せるようになったか」が注目されてしまうから。そして、その次の段階では「自分の意見をしっかりと言えるかどうか」に重点が置かれてしまうからです。話す力も大切ですが、その根底には聞く力があります。「しっかりお話を聞けたね!」と子どもを褒めるなど、「聞くこと」も意識してみましょう。2.絵本の読み聞かせをする子どもの教育や発達に良い影響があるといわれている絵本の読み聞かせですが、聞く力を育てるうえでも非常に有効です。子どもが絵本の楽しさを知り、もっと物語の続きを聞きたいと思えるようになれば、集中力もついていきます。そのためには、親も一緒に絵本を楽しむ姿勢を示しましょう。たくさんの言葉を聞くことで「読み言葉」や「書き言葉」の基礎ができるというメリットもお忘れなく。3.「あとで聞くね」の約束は必ず守る忙しいときに子どもに話しかけられて「今は忙しいから、あとで聞くね」と言ったことのある親は多いのではないでしょうか。子どもの話はできる限りその場で聞いてあげるのが望ましいですが、実際にはなかなか難しい場合もあります。そんなときは、「あとで聞くね」という約束を必ず守り、話を聞く時間を作りましょう。自分の話をしっかりと聞いてもらう習慣のある子どもは、人の話を聞くことも大切にするようになります。4.子どもの話を聞く余裕を持つ聞く力を育てるためには、まずは子どもの話を聞くことが基本です。しかし、親もひとりの人間であり、ストレスが溜まっていたり、疲れていたりする場合は子どもの話を聞く余裕がなくなります。そうならないためにも、ストレス解消や休息の機会を十分に設けましょう。家族や祖父母に協力してもらったり、行政や民間のサービスを使ったりするのも良いでしょう。子どもとしっかり向き合うためには、親のコンディションが整っていることが前提です。***聞く力を大切にすることは、子どもが持つさまざまな可能性を広げるきっかけにもなります。吸収力の高い幼児期のうちから積極的に育てていきましょう。文/田口るい(参考)PHPファミリー|幼児期が大切です「聞く力」で伸びる 7つの能力NIKKEI STYLE|絵本の読み聞かせ 子どもの「自己肯定感」を伸ばすベネッセ教育情報サイト|子どもが話を聞かないのはなぜ?原因と可能性をプラスに変える方法とは船津 徹 著(2017),『世界標準の子育て』,ダイヤモンド社.
2019年02月12日「素敵な男性と出会いたいなぁ…」と嘆いているだけでは、現状は変わりません。今一度、子どもの頃にやった恋愛力があがるおまじないを試してみてはいかがでしょうか?おでこを出すおまじない子どもの頃、「おでこは恋愛力をあげるパーツ」だという噂が広まったことがありませんでしたか?確かに開運的な視点で見ると、おでこは恋愛運を呼び込むパーツだといわれています。だからこそ、恋愛がうまくいかないときは、おでこを出した髪型にチェンジして状況打破をしようとするおまじないが広まったのです。ただし、子どもの頃は、パッツン前髪でもかわいく見られますが、大人の女性がそれをやってしまうと子どもっぽい印象を与えてしまうので、あまりおすすめできません。大人女性は前髪を上手くアレンジして、おでこを出す工夫をしましょう。方角を重視するおまじないまた、部屋の中の東南の方角に花を飾るというおまじないもハヤりましたよね。東南という方角は、季節でいうと春にあたります。花が咲いていい香りで満たされる春は、まさに新しい出会いの季節なので、このようなおまじないが誕生したのです。このおまじないに年齢は関係ありませんので、出会いを増やして恋愛力を上げたい大人女性は、東南の方角を意識してみませんか。花は造花ではなく、生花が出会い運を呼び込んでくれるとされています。ちなみに、恋愛に効くといわれている赤い花を取り入れるのがおすすめですよ。さらに恋愛力をあげるために赤い花の中でも前向きで強い恋愛力を発揮するのがバラです。バラを飾るのがおっくうなときは、ローズの香水を東南の方角に置くというおまじないをしている女の子もいました。風水的にはローズの香水でも、良縁を引き寄せる効果はあるそうです。そして、気になる男性と連絡先を交換することができたら、スマートフォンを東南の方角に置いてスタンバイしましょう。うれしい連絡が届く可能性がアップするかもしれませんよ。
2019年01月23日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日「もしも」を使うと作文が書きやすくなる!?途中で書くことに詰まってしまう。子どもにはよくあることです。そんなときは、子どもに魔法の言葉「もしも」をふりかけてあげてください。「もしも」をきっかけに想像の世界へ飛び立つことで、意識下にある、その子の考えや気持ちが表に出てくることも少なくありません。そうして表に出てきたものが、作文を魅力的なものにしていきます。魔法の言葉「もしも」には、大きく“変身する役割”と“願望達成の役割”のふたつがあります。どちらも、作文を書くうえで有効です。作文を書く子どもの手が止まったら「もしも」を使って、親がさり気なく誘導してあげてください。「もしも」で他の誰かに大変身!?ひとつ目の「もしも」は“変身するためのもの”です。あたり前のことですが、子どもは、子ども自身の視点で物事を考えようとします。そうすると、自分の意見や考えを書いた段階で「もう十分に書いた」「もうこれ以上は書けない」とブレーキをかけ始めます。そんなときに、変身の「もしも」を使えば、子どもは迷い込んだ袋小路から抜け出して、新たな世界へと旅立つことができます。◆「もしも」を使った変身例・もしも、わたしがママだったら〜・もしも、わたしがこの本の作者だったら〜・もしも、わたしが、ケーキ屋さんの店長だったら〜・もしも、ボクが日本でいちばんえらい人だったら〜・もしも、ボクが宇宙飛行士だったら〜・もしも、わたしが校長先生だったら〜・もしも、わたしが動物園の飼育員さんだったら〜・もしも、わたしがディズニーランドのスタッフだったら〜・もしも、ボクがユーチューバーだったら〜・もしも、わたしがAKB48のメンバーだったら〜「もしも」を使って、自分以外の何者かに変身することで、子どもの想像力が一気に活性化します。変身した立場から、それぞれ個性的な考えや提案を書き始めることでしょう。もしもボクが、日本でいちばんえらい人だったら、おじいちゃんとおばあちゃんに、広くて安全なおうちをプレゼントします。おじいちゃんやおばあちゃんが転ばないようにせっけいした家で、ボクやお父さん、お母さんともいっしょにくらせる大きなおうちです。それから、まちにゴミをすてる人からは「ばっ金」をとります。ふけつな町になると、みんなが気もちよくないからです。あと、歩きながらスマートフォンをいじっている人からはスマートフォンをとりあげます。じこがおきるとあぶないからです。もしも、ボクがユーチューバーだったら、まい日、コンビニやスーパーでうっているおかしを食べて、しょうかいしたいと思います。日本のおかしを食べつくしたら世界のおかしもしょうかいしたいです。今までに見たこともないおかしをしょうかいできたら、見てくれる人たちも楽しいと思います。味だけではなく、おかしの形や、おかしの入ったふくろや箱、おかしの名前なども、しょうかいしたいです。どちらの作文も、変身先の世界で、自由に想像力を発揮しています。作文を読んだ親は、作文の内容がどうであれ、ホメてあげてください。「スマートフォンを取り上げるのは、ちょっと厳しいんじゃない?」「毎日、お菓子を食べたらお金がかかるよ」などという正論やジャッジは無粋です。子どもの想像力を讃えて共感してあげることが大切です。「もしも」で願望が達成する!?もうひとつの「もしも」は“願望を叶えるためのもの”です。どんな子どもにも「こうなったらいいなあ」と思っている願望があるはずです。「もしも」を使って、その願望が満たされた状態を作り出します。すると、子どもの感情が動き、新たな発想が生まれやすくなります。◆「もしも」を使った願望達成例・もしも、ママがボクにガミガミおこらなくなったら〜・もしも、九九がすらすらと言えるようになったら〜・もしも、かん字テストで100点とれるようになったら〜・もしも、クラスでいちばん背が大きくなったら〜・もしも、かけっこがはやくなったら〜・もしも、夏休みのしゅくだいがひとつもなかったら〜・もしも、学校に行かず、一日中、好きなだけゲームをしてもいいなら〜・もしも、わたしがお姫さまだったら〜・もしも、お兄ちゃんと別々の、自分だけの部屋があったら〜・もしも、この世からびょうきがなくなったら〜願望の裏側にあるのは、その子の思想・価値観のようなものです。「もしも」で願望を叶えることによって、その子が大切にしている“宝物”が見えてきます。もちろん、願望が達成した状態ですので、子どもも活き活きと言葉を紡いでいくはずです。もしも、夏休みのしゅくだいがひとつもなかったら、ボクは朝から晩まで野山をかけまわりたいです。昆虫さいしゅうをするためです。まい日、山や林に行ってカブトムシやクワガタをつかまえます。お昼はおにぎりをたべます。川ではザリガニやカエルをつかまえます。海に行くことができたら、パパといっしょにつりをしたいです。海にもぐって貝をとるのも楽しそう。おおきな魚をつったら家にもちかえって、おさしみにしてみんなに食べてもらいます。もしも、お兄ちゃんと別々の、自分だけの部屋があったら、どんなにうれしいかわかりません。本だなには、大好きな「ワンピース」のマンガをならべます。いっしょうけんめいに作ったひこうきとクルマのプラモデルはつくえの上におきます。青色が好きなので、カーテンとまくらは青色にしたいです。ともだちがあそびにきたら、いっしょにマリオのゲームをします。お兄ちゃんに「うるさい!」「外であそんでこい!」といわれるしんぱいがありません。そうなったらうれしいです。いずれの作文も“その子らしい”言葉で書かれています。願望が達成した状態をイメージすることは、大人だけでなく、子どもにとってもワクワクすることなのです。それゆえ筆も進みやすくなります。「もしも」という乗り物で自由に旅させよう!もちろん、「もしも」は、ネガティブなアプローチで使うこともできます。たとえば、「もしも、大きなじしんがおきたら〜」「もしも、おさいふをおとしてしまったら〜」「もしも、たいようが消えてなくなってしまったら〜」「もしも、テストで0点をとってしまったら〜」という具合です。親としては少しドキっとするかもしれませんが、ネガティブなアプローチも“その子らしさ”であり、“個性の片鱗”に違いありません。したがって、ネガティブなアプローチで「もしも」を使ったとしても、とがめずに見守ってあげてください。くり返しになりますが、子どもが「もしも」という乗り物でどこへ行こうとも、大人がその事実を受け止めてあげることが肝心です。「もしも」には、子どもの想像力や発想力のスイッチを“オン”にするパワーがあります。ふだんから「もしも」で考えるクセをつけておくと、いざというきに(作文を書くときに)オリジナリティが生まれやすくなります。「もしも」という乗り物で旅することは、子ども自身にとっても、楽しく刺激的なはず。きっと今まで以上にワクワクしながら作文を書くようになるでしょう。
2019年01月09日幼稚園や学校が長期休みに入るタイミングで、帰省や旅行を計画するご家族も多いのではないでしょうか。「おじいちゃんやおばあちゃんと何をして遊ぼうかな~」「行った先でどんな美味しいものを食べようかな~」と、ワクワクした気持ちでいざ出発したものの、長時間の移動で子どもはぐずり親はぐったり……。小さいお子さんをお持ちのご家族なら、長距離移動が旅の楽しみを半減させてしまったこともあるかと思います。そこで今回は、長時間の移動に備えて、子どもが楽しめて知育にも役立つグッズや遊びをご紹介します。「これならうちの子も楽しめそう!」と思えるものがきっとあるはずですよ。2時間おとなしくしていられる子どもなんていない2018年にソニー損保が行った調査によると、帰省の際に利用する交通手段の割合は「自家用車:88.4%」「鉄道(電車・新幹線):13.6%」「飛行機:6%」(回答者1,000名)という結果でした。そして、帰省にかかる片道の移動時間の平均は、自家用車2.3時間、鉄道3.5時間、飛行機4.4時間でした。もちろん住んでいる地域や目的地にもよりますが、旅行に置き換えてみても、日常から離れるということは長距離・長時間の移動を覚悟しなければなりません。2時間~4時間、同じ場所でじっとできる子どもはほとんどいないでしょう。また、年齢が下になるほど、飽きて騒ぎ出してしまう子や、退屈から不機嫌になってしまう子、おしゃべりが好きなのにそれを止められてストレスが溜まってしまう子……さまざまなパターンで親御さんの悩みのタネになっているのではないでしょうか。また、「前回は効果があったのに、今回はまるでダメだわ……」と途方に暮れることも。そんな親御さんの不安を少しでも解消できるヒントをご紹介します。4歳までは道具を使う4歳くらいまでのお子さんは、絵本やおもちゃなどに頼りましょう。その際には、子どもだけにわたすのではなく、親子で一緒に楽しむことが鉄則です。持っていくおもちゃや絵本は、何度遊んでも飽きていない「実績のあるもの」と、念のため用意した「目新しいもの」の両方を持っていくと安心です。■磁石ブック磁石仕様の本ならば、乗り物でもパーツをなくしにくく、貼って剥がして長時間楽しめます。シールブックも同様に、何度でも繰り返し遊べます。■探し絵絵本『ウォーリーをさがせ!』シリーズなど、たくさんのキャラクターの中から指定された一人を見つけ出す絵本は、大人も夢中になってしまうほど集中して楽しめます。親子で一緒に探すだけではなく、「○○はど~こだ?」と問題を出してあげてもいいでしょう。■リングカードあたたかく優しい画風が魅力の人気絵本作家・いもとようこさんが手がける『あいうえおシリーズ』(金の星社)。お子さまが “あいうえお” を覚えるのにぴったりのリング式カードは、手に持ちやすい形でお出かけにも便利です。「まマma」というように、ひらがな以外の書き方も教えられます。■巾着袋おもちゃコンサルタントやあそびプランナーとして活躍中のツバメさんがおすすめするのは、巾着袋を使った「何が入っているかな?」ゲームです。巾着袋におもちゃやお菓子などを入れて、手の感触だけで中身を当てっこすると子どもは大喜び!出先で拾った石やどんぐりなどを入れて、「何個入っているかな?」と応用することも。指先を使うことで集中力がつきますよ。■紙とペン/ホワイトボード小さなメモ帳やスケッチブックと、携帯しやすい色鉛筆、クーピーなどをかばんに入れておけば、持ってきたおもちゃに飽きたときに役立ちます。ホワイトボードやマグネット式のお絵かきボードなどでもいいでしょう。・お絵かきしりとり親子で交互に「りんご」→「ゴリラ」→「ラッパ」……と、次の人にわかるように絵を描きます。しりとり遊びをしながら、伝える力と表現力も身につきます。・親と子でひとつの絵を完成させる子どもに○をひとつ描かせて、次に親が髪の毛を描く。次は……と順番に書き加えていくと、想像もしなかった不思議な絵が完成します。それは旅の思い出とともに、ずっと残しておきたい親子の宝物にもなるかもしれません。・シンプルですが、9マスのマルバツゲームも一緒に楽しめます。簡単なので、ルールを教えれば子どもでもすぐに覚えられるでしょう。5歳以降は頭を使う言葉の読み書きや意味への理解が進むこの時期は、子どもでもわかる簡単な単語をたくさん使って、“ことば遊び” を楽しみましょう。特別な道具がいらず、思い立ったらすぐできることば遊びは、楽しみながら子どもの成長を感じることもできます。■車窓から見えるものを探す移りゆく景色を眺めながら「一番背が高い建物はあるかな?」「赤いものは見える?」など、ゲーム感覚で競争しましょう。親御さんに褒めてもらおうとして、必死になって探すはずですよ。また、子ども自身に問題を考えてもらってもいいでしょう。■限定しりとりただのしりとりよりも、テーマを決めることで難易度が増し、子どもの思考力が高まります。「動物」「食べもの」といったオーソドックスなテーマに限らず、たとえば「ポケモンのキャラクター」など、お子さんが得意なジャンルでもいいでしょう。■最後から2文字目しりとり「やかん」→「かんきり」→「キリギリス」……と、最後の2文字を使ったしりとりです。普通のしりとりよりも、語彙力の豊富さや頭の回転が試されます。小学生からは想像力をフル回転させる小学生になると、乗り物のマナーは身についていることがほとんどでしょう。自分で選んだ本をじっと読んで過ごしたり、時間を決めてゲームで暇つぶしをしたりと、子どもなりに移動時間の過ごし方を考えることができるようになります。この時期からは、子どもの自主性に任せるといいでしょう。ただし、移動時間も家族の大切な思い出のひとつです。楽しみながら一緒に過ごしたい方には、想像力を使う遊びがおすすめです。■旅のわくわくクイズどんな所へ行き、どんな乗り物に乗り、どんなものを食べるのか、これから起きることをクイズにしてみましょう。このゲームは、国立青少年教育振興機構の理事長を務める鈴木みゆきさんも「先のことを見通せる年齢ならではの遊びです」と太鼓判を押しています。「このあと飛行機を降りたら、次に乗るのはな〜んだ?地下鉄?バス?タクシー?」と、子どもが答えやすいように質問することがポイントです。子どものイマジネーションを刺激することで、この行動の先にある楽しみを想像させて、より充実した移動時間を過ごすことができるでしょう。■連想ゲームあらかじめ答えを決めておいて、「それは動物ですか?」「それは大きいですか?」と、どんどん質問してもらいます。質問者と回答者を交互に演じることで、質問力や交渉力、伝える力を鍛えることができるでしょう。大人にとっても、いい「脳トレ」になりますよ。***不安で憂鬱だった長距離移動も、見方を変えれば濃密な「親子時間」です。目的地に着くまでの時間も、楽しい思い出づくりができるといいですね。(参考)リサリサ|2018年お盆の帰省に関する調査All About|帰省で長時間移動中の子どもの退屈にどう対処する?Study Hacker こどもまなび☆ラボ|絵本のさんぽみち|“はじめてのひらがな”はこれで決まり!人気絵本作家いもとようこさんの「あいうえおシリーズ」ベネッセ 教育情報サイト|年齢別・乗り物での過ごし方いこーよ|「スキマ遊び」で長距離移動も待ち時間も怖くない!(3歳以上編)TOKYO GAS ウチコト|【もう焦らない】電車で子供が飽きないための3つの方法とは
2018年12月27日日常の遊びや何気ない会話の中で、子どもの「発想力」に驚かされることはありませんか。子どもは、常識にとらわれない斬新なアイデアや遊びを思いつく天才かもしれません。社会の常識や固定概念に縛られてしまった大人たちには、なかなか真似できないことですよね。実はこの「発想力」、これからの時代に特に求められる能力と言われています。「知識の量」はもう武器にはならない!「発想力」とは「ものごとを考え出す力」、「これまでにない新しい考えやアイデアを思いつく力」。「創造力」という言葉とセットで出てくることも多いかもしれません。厳密には、「創造力」=「新しいものを初めて作りだす力」のことを指すようですが、どちらもこれからの時代に必要とされ、注目されています。調べたいことは何でもインターネットで検索でき、数秒で知識を得ることができる今、「知識の量」は武器にはならなくなっています。AIの発達により、定型化できる仕事や知識中心の仕事は、今後どんどん価値が低下していくと言えるでしょう。そんなこれからの時代に求められるのは、AIにはできない仕事や能力。つまり、ビジネスで言えば、新しく事業を考えたり、製品やサービスを考えたりすることです。そんなときに必要になってくるのが、先ほど述べた「発想力」なのです。未来を明るく生き抜いていってもらうためにも、お子さんの発想力をさらに磨いて伸ばしてあげませんか?日常生活の中で簡単に取り入れられる方法をいくつかご紹介していきましょう。発想力を伸ばすために実践したいこと経営コンサルタントを経て、現在はK.I.T(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授を務め、人材育成について取り組んでいる三谷宏治氏も、今後は「発想力」が重要だと説くひとり。自身も3人の娘を育てる、人材育成のプロである三谷氏が、子どもの発想力を伸ばすために実践したいことをいくつか挙げているのでご紹介しましょう。【その1他人と違うことを褒める】誰も考えたことのないような発想力を育むには、人と違うことに挑む能動性が必要です。そのために、他人と違うことをどんどん褒めてあげましょう。「周囲から1人だけ浮いてしまうのでは」「からかわれたり、いじめられたりしないか」と不安になり、常に周りと合わせたり、同じ行動をとっていては、発想力は磨かれないのです。子どもが「誰も言わなかったことを言えてうれしかった、楽しかった」と思えるよう、親は「よくやった、おもしろい」と褒めるべきなのです。【その2ヒマな時間を作る】三谷家では、「週末にお父さんが家族サービスをする」という概念がなかったため、子どもたちはヒマな時間を埋めるために自分たちで様々な工夫や遊びを編み出していたのだとか。人が最大限の創造性を発揮し、熱意を持つのが遊び。遊ぶためには、ヒマな時間が必要です。習い事をたくさん詰め込んでヒマな時間がないというのは、一見、時間を有意義に使えているように見えますが、発想力を育むという点ではあまり好ましくありません。土日などは予定を詰め込みすぎず、あえてヒマな時間を作ってあげましょう。ヒマな時間をどう使うか、そこで子どもが考えた知恵やアイデアが発想力に繋がるのです。【その3定期定額制のお小遣いを与える】子どもの発想力、創造性を発揮して遊ぶためには、「ヒマ」も必要ですが、「制約」も必要なんだそう。子どもに与えるべき制約の大きなものがお小遣い。子どもは、決まった時期に決まった金額だけもらえるお小遣いで、何を買うか買わないかを考えたり、我慢したり、創意工夫を始めます。親が気をつけたいのは、使い道に関してあれこれ口を出さないこと。子どもが変なものを買ってきても、見て見ぬフリをしましょう。発想力を伸ばす本、おすすめ2冊発想力を伸ばすのにおすすめの本をご紹介しましょう。未就学児~小学校低学年のお子様が楽しめる内容です。子どもだけでもいいですし、親子で楽しんでもいいですね。『発想力が豊かになるおえかきアート』鈴木あきこ著(主婦の友社)クレヨン、色鉛筆、画用紙、新聞紙、段ボール、お菓子の包み紙、ペットボトルなど容器のフタやキャップ……。身近にある様々な道具や廃材を使って作るお絵描き遊びやアート遊びのアイデア集。ちょっとした工夫をするだけで、立派なアート作品が完成。ぜひお部屋に飾って子どものやる気も引き出しましょう。『コップってなんだっけ?』佐藤ナオキ著(ダイヤモンド社)身のまわりにあるものに対し、視点を変えて見ることを提案する絵本。絵本の中でコップはさまざまな形に変わっていきます。コップ=こういう形、という既成概念をとっぱらって自由に発想する楽しさを教えてくれます。世界的に注目されているデザイナーの佐藤さんならではの発想法ですね。発想力に特化したデザイン教室も東京・文京区にある「こどもデザイン教室りねあ」をご存じですか。子どもの発想力を引き出すことに着目したデザイン教室です。実際のレッスン内容や様子について、以下の記事でご紹介していますのでぜひ見てみてくださいね。■“発想力”と“プレゼン力”を重視する『こどもデザイン教室りねあ』、アイデア無限の「陶芸レッスン」決まった曜日に定期的に通う以外に、1回ごとの受講もできるので試してみるのもいいかもしれません。***少しずつ確実に高めていきたい子どもの発想力。将来、ビジネスはもちろん、さまざまな場面で役立つのではないでしょうか。文/鈴木里映(参考)東洋経済ONLINE|要注意!その「親心」が子どもの発想力を奪うDIAMONDonline|子どもの発想力・自立心の鍛え方(1)Study Hacker こどもまなびラボ|“発想力”と“プレゼン力”を重視する『こどもデザイン教室りねあ』、アイデア無限の「陶芸レッスン」鈴木あきこ(2018),『発想力が豊かになるおえかきアート』,主婦の友社佐藤ナオキ(2018),『コップってなんだっけ』,ダイヤモンド社
2018年12月20日子どもが勉強に対する意欲を持ってくれない、集中力が続かない……。小さな子を持つ親御さんであれば、そんな悩みを抱えているはずです。その悩みを解消してくれるのは、脳科学者の篠原菊紀先生。「やる気になる」「集中できている」ということはどういう状態なのか、どうすればそうなるのか、脳科学の観点から教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強への集中力が持続する時間は15分まず、集中力が「どのくらい持続するか」という話からはじめましょう。じつは、集中力の持続時間はテストの内容によって異なりますから、一概には言えません。たとえば、クレペリンテスト。就職、転職時の適性検査に採用している企業もありますから、受けたことがあるという人もいるでしょう。1列に並んだ隣り合う1桁の数字をひたすら足し算していくもので、計算能力、集中力などを測定するテストです。このクレペリンテストの場合、だいたい7分くらいを過ぎるとパフォーマンスが落ちて、休憩を挟むとまた上がってくるということが研究結果からわかっています。また、テレビ番組などの映像コンテンツに対する集中力が持続するのはだいたい15分くらい。10分から15分ごとに1回CMが入るというのは、脳科学の観点からすれば正しいのです。そして、肝心の勉強に対する集中力が持続するのもだいたい15分くらいですから、15分をひとつの目安に休憩を挟んであげるのがいいかもしれません。ただ、「手慣れた」科目の勉強への集中力はより長く持続します。20代くらいの若い人のほうが、集中力が続きそうなイメージを持たれがちですが、マサチューセッツ工科大学の調査によると、じつは集中力のピークは43歳くらい。これも、その年齢に至るまでの人生のなかでさまざまな経験を積むうち、知識やノウハウが蓄積し「手慣れ」てくることが関係します。年齢と集中力に関連することとして、もうひとつお話をしておきましょう。ビジネス書等で「朝のほうが勉強や仕事に集中できる」というようなことを見聞きするかと思います。じつは、これも年齢によって変化するもの。中高年層だと午前のほうがパフォーマンスは高い。でも、若者となると、午後~夜のほうが集中できる傾向にある。もちろんこれには個人差もあります。結局のところ、集中できる時間帯というものは人それぞれちがうということです。であれば、集中力を高めるためにはどの時間帯に集中力が増しているのか、集中力が減っているのか――時間によって変化する「やる気曲線」を本人に書かせてみてはどうでしょうか。これには、「この時間帯には集中力が増している」と自己認知することで実際に集中力を高めるという効果が期待できます。もちろん、小さい子どもにあまり遅い時間に勉強させるわけにはいきませんが、今後の学習のためにも知っておいていいことだと思いますよ。「行動」をイメージさせてやる気スイッチを入れる子どもの集中力を高めたいのなら、「集中できている」というのはどういう状態なのかを知っておく必要もあるでしょう。脳科学の観点から説明すると、「集中できている」というのは、脳の線条体(せんじょうたい)という部分が活動している状態。線条体とはいわゆる「やる気スイッチ」です。行動と快感を結びつけている器官で、移動する動物のすべてが持っているものとされます。というのも、行動に快感を感じられなければ、動物は生き抜くことができないからです。わたしたちの祖先が獲物のマンモスを見つけて追いかけはじめた。でも、あっさりと追跡をあきらめてしまったらどうでしょうか。獲物を捕らえることができず、餓死してしまいますよね。追いかけはじめたら、追いかけ続けられなければならないのです。実際にそうして獲物を確保して、生き延びることができた。つまり、一度「やる気スイッチ」が入ったら行動に快感を感じるという仕組みを人間は持っているのです。であれば、子どもを勉強に集中させるためには、「やる気スイッチ」を入れる方法さえ知ればいいということになる。その方法とは、「行動」をイメージさせることです。「勉強しよう」「やる気を出そう」と思って線条体の活動がはじまるのならそもそも苦労はありません。どんなにそう思っても線条体にその命令が届かない、その場合が問題なのです。「やる気を出そう」と思っているときの脳活動を調べると、じつは言語野と呼ばれる部分は活発に動いています。勉強をしないでだらけている子どもに「勉強しなさい」と言うと、「いましようと思ってたのに」なんて答えませんか?それは嘘ではないのです。そういうときには、子どもに、立ち上がって机に向かって歩いて椅子にドンと座って教科書をガバッと開いてガシガシと勉強するというようなことを映像のようにイメージさせる。先にお伝えしたように、線条体は行動と快感を結びつける器官ですから、「行動」をイメージすることで重い腰も浮きやすくなるのです。いま、「ドン」「ガバッ」「ガシガシ」という言葉を使いましたが、オノマトペ(擬声語)を使うと線条体の活動がはじまりやすくなります。また、実際には楽しくないことも口角を上げて取り組めば楽しくなるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。1980年代頃から感情心理学において言われてきたことですが、これは脳科学の点からも正しいと言えること。口角を上げると脳のなかでドーパミンという快楽物質の分泌が盛んになり、記憶効率が高まりスキルアップしやすくなることがわかっているからです。苦手な科目の勉強に取り組む際には、子どもにニコニコしながら楽しそうにやるよう教えてあげる。とはいえ、小さい子どもなら理屈で理解することは難しいかもしれません。であれば、親御さん自身も、面倒なことをニコニコしながらやってみる。そういう姿を子どもに見せてあげてください。『男の子がさいごまでできる めいろ』『女の子がさいごまでできる めいろ』篠原菊紀 監修/KADOKAWA(2018)■ 脳科学者・篠原菊紀先生 インタビュー一覧第1回:記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」第2回:子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック第3回:子どもの気質をテストで診断。脳のタイプ別「“勉強好き”に育てる方法」(※近日公開)第4回:「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「褒め方」メソッド(※近日公開)【プロフィール】篠原菊紀(しのはら・きくのり)1960年生まれ、長野県出身。東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て、現在は諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長、学生相談室長。「茅野市縄文ふるさと大使」という肩書も持つ。応用健康科学、脳科学を専門とし、「遊んでいるとき」「運動しているとき」「学習しているとき」など日常的な場面での脳活動の研究をしている。教育関連の他、アミューズメント、自動車産業などとの共同研究も多数。子どものための「脳トレ」に関する著書も数多い。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月18日これからの時代には「考える力」が必要とされ、学校の教育内容も以前の詰め込み型から変化していきます。ただ、学習していくためには「記憶力」は欠かせないもの。子どもの記憶力を伸ばしてあげたいと思う親御さんが多いなかで、そのためにはどんな教育が必要なのでしょうか。脳科学を専門とする篠原菊紀先生は、「まず記憶の仕組みを知らないことにははじまらない」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「記憶力がある」ということは「記憶の仕方を知っている」ということ当然ながら、子どもの能力には遺伝が大きく関係しています。IQでいえば、じつは7〜8割くらいは遺伝で説明できてしまうほどです。残念ながら、努力でIQを上げるということはなかなかできるものではありません。ところが、学力となると話は別。遺伝で説明できるのは5割程度に落ちてくるのです。記憶力も同様。記憶力こそ遺伝が大きく影響しそうなものじゃないですか?でも、じつはそうではない。記憶力は、環境、教育による影響を大きく受けるものなのです。つまり、「記憶力がある」ということは、「記憶の仕方を知っている」ということが大きい。なにかを覚えようとするとき、覚えるべきものをただ眺めているのか、そうではなくて記憶するためのスキルを使うのか。復習のタイミングは適切か。これこそ記憶力の本体と考えてもいい。となると、親御さんが気になるのは「記憶の仕方」でしょう。まず、それ以前のスタート地点として、「見れば覚えると思っている」という誤解を排除してあげることからはじめてほしい。人間は、ただ見ただけでものごとを覚えられるようにはできていません。記憶の仕組みをごく簡単に説明しましょう。記憶には大きくわけて2種類の記憶があります。一時的に必要な情報が保持される「短期記憶」。そして、この短期記憶のうち、強い刺激を伴ったり、重要だとされたりした情報が長時間にわたって保持される「長期記憶」となる。勉強における記憶とは、長期記憶でなければ意味がありません。では、そうするためにはどうすればいいか。記憶は繰り返して情報を使わないと脳に定着しません。繰り返しチェックテスト、つまり、復習をする必要があるということです。ただ年がら年中するわけにはいきませんから、どういうタイミングでチェックテストをするのがいいのかということを知る必要もあります。ひとつは記憶の作業をおこなった直後、そして12時間後、1日後、1週間後、1カ月後というふうにチェックテストをする。そうするなかで、どのくらい記憶の作業をしてどういうタイミングで復習すれば覚えることができるのかを知る。これは、親御さんというより子ども自身が知っていくべきことです。「記憶の仕方を身につける」とは、「自己モニターができるようになる」ということでもあります。「僕はこれくらい勉強しないと覚えられない」「こういうタイミングで復習をしないと覚えられないんだ」と子ども自身が知ること。それが、「記憶の仕方を身につける」ための大きなステップとなります。また、チェックテストには大きな意味がもうひとつあります。それは「アウトプットする」ということ。脳には出力依存性というものがあるので、「インプットしよう、記憶しよう」とするだけでは情報はなかなか入っていきません。逆に、「情報を使おう」「表現しよう」とすれば入っていきやすくなる。記憶するために「情報を使う」ことは、「アウトプットする」ことですよね。これが重要になるのです。もちろん、アウトプットの方法はチェックテストだけに限りませんよ。たとえば、覚えたことを友だちに説明する。これもまた、立派なアウトプットです。そもそもの話をすれば、インプットとアウトプットを独立させて考えないほうがいいでしょうね。それらは記憶のネットワークにおいてはセットのものだからです。インプットだけなんて現象は起きませんし、情報をアウトプットしてみないと記憶のネットワーク化はできません。アウトプットできないものは、極論すれば、記憶のネットワークとしては「ない」に等しいのです。記憶すべきことではなく、記憶の「手順」を教える「子どもの記憶力を伸ばしたい」と考えている親御さんに、もう少しアドバイスをしておきましょう。どういうときに記憶の定着が起きやすいかということについて、いくつか研究によってわかっていることがあります。ひとつは「強い刺激」を伴うとき。「感情を絡める」と言い換えてもいいかもしれません。みなさんも、強く感動したことや怒りを感じた出来事ははっきりと覚えているはずです。脳は、強い感情と結びついて記憶されたことは記憶し続けるようにできているのです。つまり、勉強のための暗記という単純な作業にもどこかで感情を絡めてあげると、記憶に定着しやすくなるということ。たとえば、暗記作業中に感じたことをノートに記すということでもいいかもしれません。「感情」に着目して、いろいろと工夫してみてください。それから、「複合する」ということも記憶の定着を促すために重要なキーワード。ある事柄を単体で覚えようとするのは、じつは脳にとってはすごく記憶しづらいものなのです。そうではなくて、覚えようとする事柄にいくつもの別の事柄を絡めてあげると覚えやすくなる。たとえば、鎌倉幕府ができた1185年という年を覚えるにも、それ単体で覚えようするのではなく、同時期にどこでどんなことが起きていたというようなことを絡めて覚える。そうすれば、記憶効率が格段に上がります。これは、単体での記憶が稠密(ちゅうみつ)化してつながりを持ちはじめると、新しく加わったことも覚えやすくなるという脳の仕組みによるものです。そういう意味では、子どもがなかなか暗記できないからといって、親御さんも子ども自身もがっかりする必要はありません。なぜなら、子どもが暗記作業をはじめたばかりのときは、脳のなかにはまだ記憶がまばらにあるだけなのです。それが徐々に増えてつながりを持ちはじめると、量質転化的とでもいいますか、暗記の質が一気に上がる。粘り強く頑張れば、いずれ結果が出ることを知っておくべきだと思います。最後に「寝る前の復習」についてもお話しておきましょう。睡眠の直前に復習すると記憶に定着しやすいということを耳にしたことがある人も多いはずです。ただ、幼い子どもの場合、明るい光の下で机に向かって復習するような必要はありません。というのも、寝る直前に興奮して睡眠の質が下がると記憶の定着が阻害されるからです。子どもなら、布団に入って、その日に勉強した内容を少しだけ思い出しながらそのまま寝る習慣をつけてみる。その程度でいいと思います。『男の子がさいごまでできる めいろ』『女の子がさいごまでできる めいろ』篠原菊紀 監修/KADOKAWA(2018)■ 脳科学者・篠原菊紀先生 インタビュー一覧第1回:記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」第2回:子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック(※近日公開)第3回:子どもの気質をテストで診断。脳のタイプ別「“勉強好き”に育てる方法」(※近日公開)第4回:「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「褒め方」メソッド(※近日公開)【プロフィール】篠原菊紀(しのはら・きくのり)1960年生まれ、長野県出身。東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て、現在は諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長、学生相談室長。「茅野市縄文ふるさと大使」という肩書も持つ。応用健康科学、脳科学を専門とし、「遊んでいるとき」「運動しているとき」「学習しているとき」など日常的な場面での脳活動の研究をしている。教育関連の他、アミューズメント、自動車産業などとの共同研究も多数。子どものための「脳トレ」に関する著書も数多い。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月16日その子にとって、“それ” は何に見えるのか?子どもの作文の醍醐味といえば、大人には到底思いつかないような、自由な表現力ではないでしょうか。みんながあたり前のように使っている表現で書いても、おもしろい作文にはなりません。みんなが使っていない表現で書いたとき、初めてその子の魅力が伝わります。【例文】かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。決して悪い文章ではありません。「ツンツン」という具合に、前回(第5回)の記事でお伝えしたオノマトペを使って、表現力豊かに書いています。読む人は、個性的なヘアスタイルの(髪の毛を逆立てた)男性の姿を思い浮かべるでしょう。一方で、この文章をさらに魅力的にする方法もあります。それが「比喩」です。「比喩」とは「物事を説明するときに、他の何かに置き換えて表現すること」。つまり、“たとえ”です。先ほどの例文であれば、ツンツンに立ったかみの毛を“他の何か”にたとえることで、作文の魅力がアップします。【「たとえ」を使った例】【1】かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。まるで、あたまの上にパイナップルをのせているかのようでした。【2】あたまの上で大ばくはつがおきたみたい、と思うくらい、かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。【3】男の人が歩いていました。その人のかみの毛は、いきおいのいい「ふん水」のようにツンツンに立っていました。【4】あっ、超サイヤ人だ!かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていたのを見て、わたしはそう思いました。【1】パイナップル【2】大ばくはつ【3】いきおいのいい「ふん水」【4】超サイヤ人あなたの子どもの目には「ツンツンにかみの毛が立った頭」は、“他の何” に見えるでしょうか。どんな比喩表現も間違いではありません。見えたものが、その子にとっての正解です(=個性です)。ましてや、子どもがせっかくたとえたモノを、親や大人が否定・批判してはいけません。子どもたちがやる気をなくしてしまいます。比喩を使うと表現力が豊かになるもしも、子どもが比喩(たとえ)らしき表現を書いたことがなければ、子どもに質問する形で、親がさり気なく誘導してあげましょう。【例文】かぞくでやき肉の食べほうだいに行った。たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にポッコリふくらんでいた。仮に、子どもが、このような文章を書いたなら「そのポッコリしたおなかは何に似ていた?」のような質問をしてあげましょう。「ママには『プクっとふくらんだ焼き餅』に見えたなあ」という具合に、親子で一緒に考えてもいいでしょう。子どもは、楽しみながら、いろいろとアイデアを出すはずです。ユニークな比喩表現が口をついたら「それは、おもしろいね。せっかくだから、それも作文に書いてみようよ!」と伝えてあげればいいでしょう。【「たとえ」を使った例】【1】たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にポッコリふくらんでいた。ぼくには、それが、やきゅう場のマウンドに見えた。【2】たくさん食べたパパのおなかは、なかから小人が100人くらいでおし上げているのかと思うくらいポッコリふくらんでいた。【3】たくさん食べたパパのおなかは、まるでサッカーボールをかくしているんじゃないかと思うほどポッコリふくらんでいた。【4】たくさん食べたパパのポッコリおなかは、ふじ山のようにうつくしかった。【5】たくさん食べたパパのおなかは、まるでデッカイふうせんみたいだ。はりでつついたら、きっとバン!とわれるだろう。作文を書くときだけに限りません。普段から目に映ったモノを “他の何か” にたとえるエクササイズをくり返すことで、子どもの作文力はもちろん、観察力や発想力もどんどん磨かれていきます。【比喩なし】ものすごくあつくて、ふくが汗でびしょびしょになりました。【比喩あり】ものすごくあつくて、まるでプールにとびこんだかのように、ふくが汗でびしょびしょになりました。【比喩なし】はじめて白い砂はまを見ました。とてもきれいでした。【比喩あり】はじめて白い砂はまを見ました。おさとうをたくさんまいたかのようで、とてもきれいでした。【比喩なし】キャンプファイヤーの火がはげしくもえていました。【比喩あり】キャンプファイヤーの火が、まるで怒ったときのママのかおのように、はげしくもえていました。比喩表現を用いた文章のほうが、一人ひとりの子どもの感性や性格が伝わってきます。何よりも読んでいて楽しく感じられます。まじめなことをまじめに書く作文もありますが、10歳未満の子どもには、書く楽しさ、表現する楽しさを味わわせることが最優先です。そうでないと作文嫌いになりかねません。自分の気持ちも比喩で表現しようなお、比喩は、子ども自身の感情を表現するときにも使えます。たとえば、喜怒哀楽を表現するときに、あえて「うれしい」「おこった」「かなしい」「たのしい」などの表現を封印して書くと、文章のオリジナリティが高まります。【比喩なし】きょうのばんごはんは、大すきなカレーです。いえにかえるのがとてもたのしみでした。【比喩あり】きょうのばんごはんは、大すきなカレーです。学校からいえまで、ずっとスキップしてかえりました。【比喩なし】このまえ、かっていたカメが死んでしまいました。かなしかったです。【比喩あり】このまえ、かっていたカメが死んでしまいました。その日は、おなかがすかず、たべ物もうまくのみこめませんでした。ばんごはんは、大こうぶつのハンバーグだったのに、ふしぎです。【比喩なし】友だちにおもちゃをとられると、その子がおこりだしました。【比喩あり】友だちにおもちゃをとられると、その子のかおが「赤オニ」にかわりました。ありきたりな表現で書いた文章よりも、比喩を用いて表現した文章のほうが、活き活きと輝いています。子どもには「できるだけ、みんなが使わない表現で書いてみよう!」と伝えてあげましょう。比喩を使って自由にたとえられるようになった子の作文能力は、その先も、ぐんぐん伸びていくでしょう。
2018年12月12日子どもは3歳を過ぎると、ごっこ遊びなどの空想力を活かした遊びをするようになります。子どもの空想力は非常に豊かで、大人が想像もつかないような生き物を生み出したり、突拍子もない展開を引き起こしたりします。空想の内容によっては、親が「空想の世界ばかりに入り浸っているようで心配」「現実との違いがわからなくなったらどうしよう」と感じることもあるようですが、空想力は子どもが成長するうえで欠かせないものです。今回は、空想力によって身につく力や、空想力向上のための方法について紹介します。空想力が子どもにとって大切な理由『本物の学力は12歳までの「作文量」で決まる!』の著者、樋口裕一氏は、毎日の会話から空想力を鍛えることをすすめています。例えば、テレビドラマを活用し、「犯人は誰だと思う?」「主人公はこれからどうすると思う?」などの会話が、作文力、国語力をつけるのです。また、JAPAN絵本よみきかせ協会代表理事であり、こどもまなび☆ラボ絵本部顧問でもある景山聖子先生は、子どもの空想力について以下のように話しています。幼児期は人生の中で唯一、空想の世界で見たり聞いたりしたことを「現実」の出来事として体験できる、貴重な時間――。幼児期の子どもは、絵本での出来事を実際に体験したかのように感じるのだそうです。たとえば、パパと一緒に魚釣りに行き、日が沈むまで存分に遊び尽くす様子が描かれた絵本を読み聞かせたとしたら……?「パパ、またおさかなつかまえに行こうね。おもしろかったね、おいしかったね。」こんなふうに言うのだそうですよ。そして、この空想力を使った疑似体験が、子どもの様々な力を養ってくれるのだそうです。空想力でこんな力が身につくでは、空想力によって身につく力を見てみましょう!【1】思いやり空想力を使ってごっこ遊びなどをする子どもは、自分以外の誰かになりきります。例えば「ヒーローになって悪者を退治する」「犬や猫など人間以外の動物になる」などです。そうすることで「ヒーローになって悪者を退治すると、誰かに感謝される」「犬や猫はこうすると楽しい気持ちになる」など、行動次第でさまざまな感情を呼び起こすことへの気づきにつながります。このとき、親が「こんなふうにしたらもっと感謝されるんじゃない?」「こうしたら、もっと喜んでくれると思うよ」などとポジティブな感情を導くためのアドバイスをすると、思いやりの気持ちが養われます。【2】体系的思考空想力がある子どもは、例えばバナナがあった場合、その購入者や生産者、調理法や売っているお店など、さまざまなことを疑問として親に投げかけたりします。これは物事に対して付随する多くの情報を分析・分類する体系的思考を養うことにつながります。親としては、子どもに質問攻めにされるのに飽き飽きしてしまうこともあるかもしれません。しかし、空想力向上のためには大切な過程です。できる限り向き合い、一緒に考えてみましょう。【3】プレゼンスキル子どもが空想上のストーリーなどを話すことは、自分の考えをプレゼンしているという意味もあります。親にとっては支離滅裂な内容だったとしても、子どもの空想にしっかりと耳を傾けてあげましょう。時々、内容についての質問するのもおすすめです。そうすることで、自分の意見や考え方をしっかりと相手に伝えるプレゼンスキルの向上につながります。【4】対人能力空想上でさまざまな人物を演じる子どもは、立場によって感情や役割が変わることを自然と覚えていきます。例えば、おままごとでお母さん役の子どもは、赤ちゃん役の子どもを優しくあやし、お父さん役の子どもは堂々とした振る舞いで家族の中心人物になったりします。この場合、子どもの家族の言動を真似ているケースも多いです。自分とは違う立場の人物になりきり、それに合った振る舞いをしていくことで、人との関わり方を学ぶきっかけとなり、やがて対人能力の向上につながります。空想力を身につけるためのポイント子どもの空想力をアップさせるためには、以下の工夫が効果的です。■子どもの空想を否定しない時に子どもは、残酷で暴力的な空想をすることがあります。親としては心配になるかもしれませんが、それを頭ごなしに否定してしまうと、子どもは空想すること自体が楽しくなくなる可能性があります。そうならないために、空想そのものは否定せず、残酷さや暴力がネガティブな感情をもたらすことを教えましょう。例えば、誰かを叩いたりする空想をしている場合は「もし〇〇ちゃんが誰かに叩かれたら、どう思う?」と、その後を想像させるような問いかけをします。子どもが良くない空想をしていた場合は、物事の善悪を教えるチャンスとして捉えるようにしましょう。■大人ならではの空想で一緒に遊ぶ子どもの空想が大人には思いつかないようなものであるのと同じように、大人の空想は子どもにとって新鮮なものです。子どもが空想のストーリーについて教えてくれたり、ごっこ遊びに誘ってきたりしたときには、ただ子どものペースに合わせるのではなく、親独自の空想で対応しましょう。大人ならではの空想は子どもにとっては意外なものであり、大きな刺激になることがありますよ。■親子で絵本を作る子どもの空想を絵本にしましょう。子どもが絵を、親が文章を担当して、1冊の絵本を作り上げます。空想上の物語を絵として表現する作業は、表現力・空想力アップに有効です。また、絵本作りを通した親子の共同作業は絆を深めることや思い出作りにもなります。***子どもの空想力は、その時期ならではの視点や考えが詰まった貴重なものであり、情緒面の発達に大きく影響します。親は子どもの空想を見守りつつ、思う存分空想できる環境を整えてあげましょう。文/田口るい(参考)Gymboree|「ごっこ遊び」は子どもの成長に不可欠なものだった!?あそびのもりONLINE|赤ちゃんの育ちと空想遊び保育ing|空想の世界を持っていて、お友達とうまく遊べない様子おむつのパンパース|幼児の活動:幼児のゲームと遊びの種類Study Hacker こどもまなび☆ラボ|現実と空想を区別できるのは6歳以降?親の”救世主”読み聞かせで、子どもは絵本を「体験」する樋口裕一著(2016),『本物の学力は12歳までの「作文量」で決まる!』,すばる舎.
2018年12月06日お子さんと話していて、「この話し方、私にそっくり!」「いつの間にかパパの口癖がうつってる!」と驚いたことはありませんか?それもそのはず。子どもは家庭の中で言葉を覚え、家族の会話を聞いて言葉の使い方を学びます。だからこそ、親御さん自身も気づかないうちに話し方の癖が身についてしまうのです。小学校低学年の子どもは、これまで親やお友だちとの会話で使ってきた言葉とはまた違う “きちんとした言葉” を学び始めます。でも、はたして、授業で学ぶような言葉の意味をちゃんと理解できているのでしょうか?今回は、子どもの語彙力を向上させるために家庭でできること考えていきましょう。就学前の語彙力は入学後の成績を左右する!?小学校入学直前の6歳児200人を対象に語彙力調査を実施したところ、子どもたちの間で深刻な『語彙力格差』が生じていることがわかりました。たとえば、「礼儀」「蔵書」といった11歳レベルの語彙力が身についている子がいる一方で、2歳児レベルの語彙力しか習得できていない子もいたそうです。その差はなんと9歳分!(StudyHackerこどもまなび☆ラボ|ついに子どもたちにも「語彙力」ブーム到来!語彙力格差に負けないためにできることより)なぜこのような語彙力の格差が生まれてしまったのでしょうか?四天王寺大学の今井進氏は「家庭における教育力の格差が顕著になったと言われる昨今、ますます子どもたちの言語能力にも個人差が生じている」と述べています。幼児期の言語や知識の獲得が、自らの体験・経験を通じて行われるがゆえに、その体験・経験の差が保護者の意識や経済的な条件に依存していることは重大な問題である。(引用元:四天王寺大学紀要 第50号(2010年9月)|小学校国語科教育における授業研究の意義についてーまどみちお「きりかぶのあかちゃん」の事例研究ー)それぞれの家庭の事情、保護者の教育力、その子どもの特性など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、家庭内における教育への意識の高さに差が生じるのは仕方ありません。ただし、「やばい」「ウケる」「マジ」「ムカつく」……といった言葉を身近な大人が多用している環境であれば、子どもたちにその影響が色濃く出てしまうのは間違いないでしょう。就学前の子どもは話し言葉が中心の「生活言語世界」です。しかし小学校へ入学すると、書き言葉も加わった「文字言語世界」へと移行していきます。もし簡単な話し言葉だけしか使えなければ、授業で学ぶ多くの単語や表現を理解するのに困難をともなうでしょう。「つまずきことば」ってなに?小学校1年生の教科書には、次のような言葉が登場します。「たたきつける」「こらしめる」「こわごわ」このような表現をすんなりと理解できる1年生は少ないかもしれませんね。しかし、先生や親御さんの説明を聞いて自分なりに納得し、使い続けることでいずれ理解できるようになるでしょう。熊本大学の茂木俊伸准教授によると、このような言葉を『つまずきことば』と呼ぶそう。■「つまずきことば」とは?各教科において、学習者(児童)にとってスムーズな意味の理解が難しく、指導者による何らかの手当てを必要とする(と予想される)語または語彙を指す。実は、この『つまずきことば』、理解できないまま放っておくと大変なことになるのです。子どもにとって「つまずき」が生じる言葉というのは、決して難しい言葉だけを意味するのではなく、自分の日常生活からの距離(普段使わない言葉)も含まれます。その問題点として、そもそも子どもにとって見慣れない言葉は、その理解自体が学習活動に含まれる、ということ。つまり「言葉」に「つまずく」と、学習がそこから先に進まなくなる可能性があるというわけです。2007年~2009年度の科学研究費基盤研究による「幼稚園・小学校の全領域における国語力の向上を図るカリキュラム開発の基礎研究」をもとに調査した『つまずきことば』の具体例を挙げていきましょう。まず、子どもたちにとって最も「つまずく」言葉は動詞が多く、とくに「動詞+動詞」形の『複合動詞』が多いということがわかりました。「たたきつける」「なりわたる」(1年)「ねむりこむ」「弱りはてる」(2年)「食いちがう」「見立てる」(3年)複合動詞は前後の動詞どちらかでも意味がわからなければ理解できないため、つまずきやすい傾向にあります。そして次に、「ひやり」(1年)「いそいそ」(3年)といったオノマトペ(擬音語・擬態語)が多いことがわかりました。日本語のオノマトペは感覚的な理解が求められる語彙であり、本質的な理解や説明の難しさをともなうため、大人でも使用や説明が困難である特殊な言葉だと言えるでしょう。ほかにも「しょうじ(障子)」「土間」「やぶ(藪)」「びょうぶ(屏風)」「霜柱」「床の間」など、現代ではあまり馴染みのないものや、「こっけい」「おおかた」「きょとん」「ほんのり」「そっぽ」といった、子どもたちが意味を捉えられない「つまずきことば」も教科書に登場します。読書以外で有効な “語彙を増やす工夫”『つまずきことば』を減らすには、語彙力を上げるほかありません。ここでは、“読書以外で” 語彙力をアップさせる方法をいくつかご紹介します。教育評論家の親野智可等氏は、勉強の敵とも思える「テレビ」が語彙力アップに有効であると述べます。例えば、水田耕作の場面を映しながら「いまは代掻き(しろかき)」の真っ最中です」というナレーターがあったとする。代掻きといっても大人でさえ知らないかもしれない。これは、水田に水を引き込んで、土をかきおこしならす作業である。こうして文字で説明しても、水田耕作のやりかたを見たことがなければピンと来ないだろうが、テレビはまさに映像で説明してくれる。代掻きを理解するのに、図鑑や国語辞典よりもはるかに役に立つ。(引用元:親力講座|「語彙力」が学習の源。「勉強の基本・国語力」会得にも「豊富な語彙」は必要不可欠。「日常生活」で楽しみながら「身につける方法」とは。)もちろん、ダラダラと長時間視聴するのではなく、観る時間と番組の内容を選んであげることが大前提です。日常生活では縁がない言葉も映像を通して視覚情報を得ることにより、子どもの記憶に残りやすくなります。ほかにも、「しりとり」や「なぞなぞ」が語彙を増やすのに役立つと親野氏は述べます。もし親が使った言葉を子どもが理解できなければ、その場ですぐに辞書を引くようにするとより効果的です。また、花まる学習会代表の高濱正伸氏は、「見たこと、感じたことを「比喩」で表現する」ことをすすめています。比喩が使えると表現に奥行きが出るだけでなく、その状態を相手に印象的に伝えることができるのです。たとえば、「今朝は寒いね」だけで終わってしまうところを、「今朝は凍えるような寒さだね」「今朝は身体が縮こまるような寒さだね」と表現することから始めてみましょう。慣れてきたら、少し難しい比喩表現にもチャレンジしてみます。「燃えるような夕焼け」「抜けるような青さ」「水を打ったような静けさ」など、何かにたとえると表現に深みと味わいが加わることを、子ども自身に身をもって学ばせるのです。本をたくさん読むこと以外でも、日常会話のなかで語彙を増やすことは可能です。そのためにも、親御さん自身もさまざまな表現方法を使って子どもとの会話を楽しみましょう。***大事なのは「日常的に」「さまざまな」言葉を使うように意識すること。そうすることで教科書の中でたくさんの言葉に出会ったとしても、「この言葉、知ってる!」とつまずかずに前に進むことができるでしょう。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|ついに子どもたちにも「語彙力」ブーム到来!語彙力格差に負けないためにできること四天王寺大学紀要 第50号(2010年9月)|小学校国語科教育における授業研究の意義についてーまどみちお「きりかぶのあかちゃん」の事例研究ー鳴門教育大学研究紀要 第28巻 2013|小学校国語教科書における「つまずきことば」の分析親力講座|「語彙力」が学習の源。「勉強の基本・国語力」会得にも「豊富な語彙」は必要不可欠。「日常生活」で楽しみながら「身につける方法」とは。DIAMOND online|子どもの日本語力が危ない!?家庭で国語力を高める6つの方法
2018年12月04日子どもが読書好きになることで、読解力や想像力、論理的思考や感受性が向上するなど、多くのメリットが期待できることは耳にしたことがあるかもしれません。それに加えて、近年では「数学の基礎知識」と「ITスキルの高さ」に影響を及ぼすこともわかってきています。国語以外の教科への理解度にもつながるからこそ、早いうちから読書習慣を身につけさせたいものです。子どもに読書を習慣づけるには、まずは家庭環境から。では、いったいどうやって読書を日常に取り入れていけばいいのでしょうか?ある調査から導き出された読書と成績の関係性いつも読書をしている友人に、「どうしてそんなに本が好きなの?」と聞いたことはありませんか?すると「小さいころからの習慣」「家にたくさん本があったから」「親が読書好き」といった返事が返ってくることが多かったはずです。それはあながち偶然ではなく、育った家庭での読書環境が成長してからの読書習慣につながることは、さまざまな調査から明らかになっています。さらに最近では、読書環境にまつわる “ある調査結果” が話題となりました。それは「16歳の時に家に何冊本があったか?」という調査から判明したのです。オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちによるこの調査は、かなり大規模なものでした。まず、2011~2015年に31カ国の国と地域で、25~65歳の16万人を対象に行われた「国際成人力調査」の参加者に「16歳の時に家に何冊本があったか?」と質問しました。その後、読み書き能力、数学、情報通信技術(ICT)のテストを受けてもらいました。その結果、本がほぼない家庭で育った人たちは、読み書きや数学の能力が平均よりも低いことがわかったのです。調査対象者の国や性別、年齢層は幅広く、現在の職業もバラバラであるにもかかわらず、本がある家庭 / ない家庭で育ったことによる影響が、この調査によって表面化されました。そして、自宅にあった本の数とテストの結果は比例する、と結論づけたのです。ちなみに、「16歳の時に家に何冊本があったか」の、国別のランキングと平均冊数は以下の通りです。1位エストニア218冊2位ノルウェー212冊3位チェコ204冊4位デンマーク192冊5位ロシア154冊6位ドイツ151冊7位オーストラリア148冊8位英国143冊9位カナダ125冊10位フランス117冊上位は北欧が占めていますね。日本は、というと「14位/102冊」という結果でした。世界全体の平均は「115冊」なので、平均よりも少し少ないといったところです。家に置いてある本を思わず数えてしまった人もいるのではないでしょうか。この調査は「16歳の時」というのもポイントのひとつです。親が所有している本、親が子どものために選んで買ってあげた本に加えて、「子ども自身が自分の目で選んだ本」も含まれるからです。幼い頃に培った読書経験や読書習慣は、確実に「16歳の本選び」にもつながります。読書量は算数の成績を左右する!?またこの調査結果からは、「言葉の読み書き」(文系の能力)と「数学」(理系の能力)、さらにITスキルの高さは決して別物ではない、ということがわかりました。その結果を裏付けるように、ベネッセが行なった調査でも「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」傾向が見られたのです。2016~2017年にかけて、4万2696人の小学5年生を対象にベネッセが独自に行なった調査は、読書量と学力テスト(国語、算数、理科、社会)の結果を分析するというものでした。その結果、10冊以上読んだグループはいずれの教科でも偏差値が平均1.9ポイント上がりました。なかでも注目すべきは算数の結果です。どの教科よりも、「読書量が多い」グループと「まったく読書をしない」グループの偏差値に大きな差が開いたのです。(画像引用元:時事ドットコム|読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」ー民間調査)この結果を受けて、ベネッセ教育総合研究所は「(読書によって)与えられた問いや条件を正確に読み取る力を高めているのではないか」という見解を示しています。自分の子どもについて、「ちゃんと勉強しているのに、算数のテストでなかなか点数が上がらない」とお悩みではありませんか?もしかしたら、算数の問題集をたくさんこなすよりも、読書量を増やして読解力を高めることで、効果が出てくるかもしれませんよ。子どもを本好きに!おすすめは “親子読書タイム”学研ホールディングスが2015年に行なった「子どもの読書実態調査」によると、“親の読書量”と“子どもの読書量”には深い関係があることがわかりました。その調査結果では、親が本をまったく読まない子どもは1ヶ月の読書量が平均2.1冊であるのに対し、親が本を1ヶ月に6冊以上読む子どもは1ヶ月の読書量が平均6.9冊にものぼったのです。つまり、親自身が本を読む習慣がなければ、いくら子どもに「本を読みなさい」と言ったところで効果は期待できないでしょう。逆に、親が読書をする習慣があり、本を読む姿を子どもに見せてさえいれば、生活の中に本が存在していることが “当たり前” になるのです。教育評論家の親野智可等氏は、子どもを本好きにするためには「親子で毎日決まった時間に読書をする」ことをおすすめしています。子どもだけの読書タイムでもいいですが、圧倒的に大きな効果があるのは家族みんなが同じ時間に読書する「家族読書タイム」です。お父さんもお母さんも、おじいさんもおばあさんも、この時間は本を読みます。こういう状態なら、子どもも自然に読むようになりますし、気も散りません。この時間は読書をするのが当たり前、という雰囲気にすることが大事です。(引用元:東洋経済ONLINE|子どもが自動的に「本好き人間」になる仕掛け)家族みんなで、というのは慣れるまでは大変かもしれません。しかし親野氏は、「1日10分でも1ヶ月で300分。まったくのゼロの状態に比べれば大きな違いです」と述べます。たとえば夕飯の後、ただなんとなくテレビを観るのではなく、リラックスした気持ちで本を開いてみてはいかがでしょうか。家族みんなで読書を習慣づけることができれば、子どもにとってそれが「日常」となります。本を読むことを無理強いするのではなく、本を通じて家族のコミュニケーションタイムを作ることから始めませんか?***本を読むのはいいことだと頭ではわかっていても、忙しい日々に追われて心に余裕がなくなると、つい読書から遠ざかってしまいますよね。1日5分でも10分でも、親子で一緒に読書を楽しむ時間を作ることで、ストレスが解消されたり、子どもの話に耳を傾ける余裕が生まれたりするのではないでしょうか。(参考)Newsweek日本版|子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査時事ドットコム|読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」ー民間調査ダ・ヴィンチニュース|子どもの読書量と家庭のコミュニケーションには深い関係がある!?円満家庭の秘訣とは…東洋経済ONLINE|子どもが自動的に「本好き人間」になる仕掛け
2018年12月02日これからの子どもたちに必要とされるのは、テストだけでは測ることができない力――「非認知能力」だとされています。もちろん、将来の夢を子どもが叶えるためには、いわゆる学力である「認知能力」も必要でしょう。ただ、子ども教育のプロフェッショナル育成に携わる増田修治先生は、「認知能力を育むためにも非認知能力が重要」だと語ります。まずは、現在の教育現場が直面する問題から語ってもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)日本の教育が抱える「見えない貧困」問題いま、日本の教育は「貧困」という大きな問題に直面しています。「世帯収入が高いほどその家庭の子どもの学力も高い」という調査結果は、ニュースなどを通して耳にしたことがある人も多いことでしょう。貧困にはふたつの種類があります。ひとつは「絶対的貧困」で、もうひとつが「相対的貧困」。絶対的貧困にあたるのは世帯年収が約60~70万円を下回る世帯。月収が5万円以下で、食べものや着るものにも困るほどです。一方の相対的貧困は、世帯年収が120万円ほどの世帯。この相対的貧困は「見えない貧困」ともいわれていて、わたしは大きな問題だととらえています。この世帯の子どもは、食べものは食べているし衣服に困るほどではない。つまり、見た目は普通なのです。でも、その世帯の子どもたちは、さまざまな機会を奪われている。どんな機会かといえば、サッカーをしたくてもサッカーシューズは買ってもらえないし、バレエを習いたくても月謝を払ってもらえない。当然、学習塾に行くこともできません。この相対的貧困にあたる世帯の割合が、いまの日本ではどんどん増加しているとされています。「子ども食堂」というものを聞いたことはありますよね。貧困世帯の子どもたちを集めて食事を与え、同時に勉強も見てあげるという社会活動です。そこに来る子どもたちは、やはり学力が低い傾向にある。貧困世帯の子どもは、先にお伝えしたように学習塾には通えません。となると、自分で勉強しなければならない。でも、学習教材など自分で勉強できる環境が整っているわけでもないわけです。となると、その子どもにとって勉強できる唯一の場所は学校です。ところが、子ども食堂に来る子どもたちのなんと約8割が学級崩壊を経験しているというではありませんか。学級崩壊したクラスでは、まともに授業を受けることができません。そういう子どもたちは、勉強する機会を完全に奪われているのです。逆に、学級崩壊によって勉強する場所がないから、子ども食堂に通っているとも言えます。非認知能力の育成に欠かせない、子どもの声に耳を傾ける姿勢では、貧困家庭に育つと学力を伸ばすことができないのかというと、そうではありません。貧困世帯の子どもにも、貧困ではない世帯の子どもと遜色ない学力を持つ子どもたちがいます。彼らの共通点はなにかというと、「非認知能力が高い」ことです。非認知能力には、「朝ごはんを毎日食べる」といった生活習慣、「毎日の勉強時間の目安を決めている」といった学習習慣、あるいは、つらいことや困ったことがあったときに学校の先生に相談できるなどのコミュニケーション能力といったものも含まれます。これらは、一般的には貧困ではない世帯の子どものほうがしっかりと身につけている傾向にあるのですが、貧困世帯に育ちながら学力が高い子どもも、こういった基本的な習慣、非認知能力を身につけているのです。これがなにを表しているかというと、「非認知能力が認知能力を発達させる」ということです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者、ジェームズ・ヘックマンらは、40年にわたる長期追跡調査の分析により、「非認知能力がその後の認知能力の発達を促し、その逆は確認できない」と結論づけました。非認知能力が高い子どもはテストの点数もあがるが、テストの点数がいいからといってその子どもの非認知能力が伸びるわけではないのです。となると、今後の乳幼児教育や小学校教育は大きく変わっていく必要があります。いつまでもテストで高得点を取ることだけが素晴らしいと評価する教育では駄目なのです。もちろん、これは学校などの教育現場だけの問題ではありません。家庭教育も、「非認知能力を伸ばす」ことを意識しておこなうべきでしょう。とはいえ、身構えるような必要はありません。大事なのは、「子どもの話をきちんと聞く」こと。教育に熱心な親ほど、子どもの言うことに耳を貸さず、「これが子どものためになるんだ」と勉強や習い事を押し付ける傾向にあります。それでは、まったくの逆効果。まずは、「なにかやりたいことある?」と子どもに聞いて一緒に考えること。そのなかで、互いに折り合いをつけていくべきでしょう。宿題ひとつ取っても、「●時になったから宿題をやりなさい」では駄目。「何時になったら宿題に取り掛かれる?」と子どもに聞いてください。そうして決めた時間は、親が決めたものではありませんよね?これはつまり、子どもに選択権を渡しているということ。そうすれば、親からすれば「あなたが決めたことでしょう?」と言えるし、子どもからすれば「自分で決めたのだからやらなくちゃ」と、自発性や意欲、責任感を養うことにもなる。多くの親は、その過程を省いてしまっているように感じます。そうではなくて、親と子どもそれぞれが納得する「一致点」をつくるコミュニケーションをたくさん取ってください。そういったことが、子どもの非認知能力を育んでいくのですから。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月02日こんにちは。ライターの和です。何年も前から話題になっている「女子力」というワード。筆者も「女子力」という言葉をテレビや会話で聞くたびに、「本当の女子力とは・・・?」と疑問に思っていました。今回はそんな誰しも一度は聞いたことがある、「女子力」について考えたいと思います。女子力を上げる方法が知りたい人も、そもそも「女子力」の実態が分からないと行動できませんから、じっくり読んでみてくださいね。■「女子力」は「見た目を磨くこと」だけじゃない「女子力」というと最初に思いつくのが、メイクやファッション、ダイエットなどの外見に力を注いで「かわいくなること」だと思います。もちろんこれも確かに女子力のひとつです。かわいくなると外に出たくなるし、実際に「モテる」というイメージはあります。でも見た目だけ努力することを「女子力」と呼ぶのかというと、それはちょっと違いますよね。■小手先の「女子力アピール」は、割とすぐバレる見た目がかわいくて良い香りがしたら、男性も「この子イイじゃん!」と飛びつきます。食事の席でおしぼりやお皿を配るのも、同じように「優しい!」と良い印象を与えますよね。でもそれも最初のうちだけなんです。話しているうちに「あれ?この子、性格悪いな」「自分じゃ何もできないじゃん」なんて思われてしまうと、彼らもすぐに離れて行ってしまう。しかもみんなが付き合いたいと思うような男性ほど「この子はハリボテだな」とすぐに察知するのです。なぜならモテる男性ほど、たくさんの女性を見てきているから。素敵な男性ほど、中身がしっかりしている。彼らは男女問わず、上辺だけの人には騙されないんですよね。つまりいくら外見を磨いたり、行動を見せつけたりしても、それは一時的なモテにしかなりません。でも私たちが望んでいるのって、一瞬だけ誰かにチヤホヤされることじゃないですよね?ひとりの男性に、長い間愛されたいと願っているんですよね?■女子力って結局のところ「人間力」なんです女子力の根本について考えてみると、結局のところ「人間力」にたどり着くのではないかと思います。つまり普通のことを普通にする。朝起きてご飯を食べて仕事へ行って、色んなことで悩んで、たまに楽しいことがあって。そういうごくごく日常的なことをすることに意味があると思います。逆にどんなにかわいくても、親のスネをかじって遊びまくっている人は、女子力が高いとは言わないと思うんです。話は戻りますがこういう普通のことをしていると、時には辛いことにも出くわします。そういう問題をひとつひとつ乗り越えたり、逆に「自分にできない」と判断する力を身に着けたりしていく。このように経験値が上がっていくと「これは違う」と思ったときに引き返せるようになるのです。そうすればダメ男と出会ったときも、たとえ好きでも「付き合わない」という判断ができますよね。わざわざ棘の道を進まなくて良いので、自分の心も穏やかになっていきます。そして「男子力」って言葉は聞かないけれど、いま書いたような「日常生活を送りながら学び、自分を成長させること」ができる男性って、やっぱりモテるんですよね。私たちがよく言う「誰か良い人いないかな~」「普通の人で良いんだけど!」に当てはまっている。だからやっぱり女子力だろうが男子力だろうが、結局のところ「人間力」につながっているんだと思うんです。■おわりにあくまで「かわいくなる女子力」がダメなわけではありません。でもたったひとりの人に長く愛される女子になりたいのであれば、こういった内面的な部分の「女子力」も並行して意識すると良いのではないでしょうか。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2018年12月01日「言葉」で書いて「絵」で届ける子どもに「表現力のある作文を書かせたい」と思っている親御さんは多いでしょう。実は子どもの表現力を磨くことは、そう難しいことではありません。それどころか、コツさえつかめば、とても簡単です。表現力が磨かれていくと、作文能力も飛躍的に伸びていきます。何よりも子ども自身が書くことを「楽しい」と感じるようになります。ポイントは、「『言葉』で書いて『絵』で届ける」ことです。表現力のある作文ほど、読んだ人の頭のなかで、パっと絵(場面)が思い浮かぶものです。この書き方ができるようになると、読む人が作文の内容に興味をもちやすくなります。もちろん、内容の理解も深まります。「絵」で届ける方法のひとつが「オノマトペ」の活用です。「オノマトペ」とは、「擬声語」のことで「擬音語」と「擬態語」を合わせたものです。【擬音語:物が発する音や声を描写した言葉のこと】例→グラグラ、ガタガタ、ドテッ、クシャ、ドッカーン、ガチャン、チャリン、プップー、ドドドッ、ヒューヒュー【擬態語:状態や心情、様子など、音のしないものを音として描写した言葉のこと】例→びくびく、ハラハラ、そわそわ、グダグダ、イライラ、とぼとぼ、しくしく、うとうと、キョロキョロ、シャキッオノマトペの絶大な効果とは?以下、【1】と【2】の文例を読み比べてください。【1】はオノマトペを使っておらず、【2】はオノマトペを使っています。【1】めのまえに、ふじ山が、あらわれたのです。【2】めのまえに、ふじ山が、ドーンとあらわれたのです。【1】ぼくは、おそばをすすりました。【2】ぼくは、ズズズッと、おそばをすすりました。【1】ごはんを食べたら、げんきが出た!【2】ごはんを食べたら、モリモリッとげんきが出た!【1】足がしびれて立ち上がれなくなりました。【2】足がジンジンして立ち上がれなくなりました。【1】きずがいたむ。【2】きずがズキズキいたむ。【1】クルマが走りぬけていきました。【2】クルマがビューンと走りぬけていきました。【1】犬のなき声が聞こえました。【2】クンクンと犬のなき声が聞こえました。【1】ジュースをのみました。【2】ジュースをゴクゴクのみました。【1】ひとりで家にいたら、しずかで、さみしくなりました。【2】ひとりで家にいたら、シーンとしていて、さみしくなりました。【1】おともだちが、ぼくの手をひっぱりました。【2】おともだちが、ぼくの手をグイッとひっぱりました。いずれの文例も、「絵」としてイメージしやすいのは、【1】よりも【2】ではないでしょうか。もっと言えば、【2】には【1】にはない「躍動感」や「リアリティ」が感じられます。どちらが表現力のある文章かは言わずもがなでしょう。子どもたちが大好きな漫画でもオノマトペは効果的に使われています。主人公の顔の横に「ビクっ」と書かれていると、驚いた顔の表情と相まって、主人公の驚きがより増幅して伝わります。ものによっては、いっさい吹き出し(台詞)がなく、オノマトペだけで、場面説明するようなページも少なくありません。ときにオノマトペは、文章による説明以上に、読む人にリアルな情報を届けてくれるのです。漫画を例にあげるまでもなく、子どもたちは感覚的にオノマトペが大好きです。たとえば、男の子であれば、ヒーローに変装して登場するときに「ジャーン」などと言うのではないでしょうか。あるいは、アクセサリーが好きな女の子であれば、「この宝石はキラキラしていてかわいいでしょ?」などと言うのではないでしょうか。子どもが日常のなかで自然と使っているオノマトペを、作文のなかに取り入れない手はありません。オノマトペに正解はない「あしたはクリスマスだからワクワクする」「さむくてブルブルふるえました」など、オノマトペには、お約束的な表現も少なくありませんが、子どもにオノマトペを書かせるときは、できるだけ子どもの自由な発想・感性に任せましょう。めのまえに、ふじ山が、ドーンとあらわれたのです。先ほど紹介した文例のひとつです。この場合のオノマトペも「ドーン」が正解というわけではありません。・めのまえに、ふじ山が、バキューンとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、バコッとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、ジョジョッとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、ブゥオーンとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、ニョロッとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、ジジッとあらわれたのです。・めのまえに、ふじ山が、ブ~~~ンとあらわれたのです。オノマトペに間違いはありません。くれぐれも「『ジョジョ』なんておかしいでしょ?」などと無粋なことは言わないでください。大事なのは、その子が自分でその言葉を選んだという事実です。人とは違うオノマトペが出てきたときほど「すごいね」「いいね」「かっこいいね」「すてきだね」と子どもを褒めてあげてください。文豪・宮沢賢治も愛したオノマトペもっとも、まだ作文慣れしていない子どもに「オノマトペを使って書きなさい」と言っても、難しいかもしれません。仮に「めのまえに、ふじ山が、あらわれたのです」と書いたとしたら、「どんなふうに現れたのかな?現れた様子に音をつけてみようか!」と自然な形で誘導してあげてください。また、日頃から、オノマトペを使うゲームを、親子で楽しむのもおすすめです。バナナを食べながら「食べている様子を『モグモグ』以外の音で表現してみよう」とか、「お父さんが怒っているときの様子を音で表現してみよう」とか。どんなお題でも構いません。親子のコミュニケーションも促されるうえ、情景や様子、自分の気持ちなどをオノマトペで表現するいいトレーニングにもなります。かの文豪、宮沢賢治は、オノマトペの名手としても知られています。「風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました」(『注文の多い料理店』より)などが一例です。彼の作品が老若男女に愛されたのは、その独特でリアリティのある情景・感情描写にあったのかもしれません。賢治のみならず、世の子どもたちもまたオノマトペの名手です。自由な発想に彩られた子どものオノマトペは、作文の魅力とクオリティを格段に高めます。もちろん、オノマトペで表現する楽しさを知った子どもは、作文を書くことが好きになるでしょう。
2018年11月28日テレビ番組の影響もあって、俳句人気が高まっています。今や全国で子どものための俳句大会が開かれるほど子ども俳人が増えているのです。俳句には、語彙力や表現力を向上させる学びの要素がたくさんあります。短い文の中に思いを込める難しさと面白さ、知れば知るほど奥深い俳句の世界は、子どもの素直な感性を生かすのにぴったりです。「俳諧は三尺の童にさせよ。初心の句こそたのもしけれ。(三冊子)」と、あの松尾芭蕉も子どもに俳句を詠ませることを勧めています。そんな俳句の魅力に迫ってみましょう。俳句の歴史室町時代末期に広まった連歌、俳諧。17世紀に松尾芭蕉の『おくのほそ道』で確立された「蕉風俳諧」が俳諧のその後の流れを大きく変えました。江戸時代末期には衰退していた俳諧でしたが、明治時代に正岡子規を中心に盛り上がった文学運動(俳句革新運動)により、俳諧は俳句へと発展したのです。正岡子規が創刊した文芸誌『ホトトギス』は現在の俳句界の礎を築いたと言われています。俳句の魅力次に俳句を詠むことの魅力を詳しく見てみましょう。■感受性が育まれる俳句には季語があります。季節を表す句を作るためには、まず観察が大事。ものを見て、そのものや季節を感じて、表現する、その細やかな心に感性が宿ります。眺めているうちに愛着が湧いたり、興味が湧いたり、日常にワクワクを発見することで、そこからさらに世界が広がっていくかも知れません。■豊かな言語感覚が身につく俳句は五七五の17音に想いの全てを込めなければなりませんので、無駄を無くし、言葉を選ぶ必要があります。自分の言いたいことにぴったりな言葉を探しながら様々な語彙や表現に出会うでしょう。その過程で言葉の美しさに気づき、豊かな言語感覚が身についてくるのです。■年齢は関係ない俳句は季語などのいくつかの“決まりごと”さえ知れば、誰でも作ることができます。特別な道具はいりませんし、場所も選びません。親子で一緒に楽しむことができるのも魅力ですね。ピクニックに行った公園や、好きな食べ物のことなど、同じお題で句を詠んで、お互いの句を楽しんでみましょう。■心の拠り所になる得る聖路加国際病院名誉院長・日野原重明さんとの俳句の文通で話題になった小林凛くん。彼は壮絶ないじめの苦難を、俳句を綴ることで乗り越えました。俳句に心情を吐き出すことでなんとか自分を保つことができたのです。“表現する”ことは子ども自身の心の拠り所になり得ますし、親がそれを見て、子どもが何を考え、どう感じているのかという心の機微に気づくことができるツールにもなるのです。小学生が俳句を作るときの3ステップ俳句といってもどう始めればいいのか、俳句を作る“コツ”もよくわかりませんよね。子どもが作る俳句の魅力はのびのびと自由なところ。決まりごとがあるといってもあまり難しく考えず、子どもらしい感性で作っていいのです。俳人の金子兜太氏は著書の中で「俳句は遊びの延長であってほしい」と話しています。また最近は俳句を小学校の授業で取り入れている学校もあるようです。実際に小学生に俳句の指導をされた前田正秀先生の例がとてもわかりやすいのでご紹介します。(1)七五調のリズムを味わう「古事記」「日本書紀」の時代から続く日本古来の叙情形式である五七調と七五調は昔から日本人には心地よいリズムなのです。まずそのリズム感に馴染むことが俳句への第一歩。そのためには俳句の音読が有効だそう。手拍子も合わせるなど楽しくリズムを取ってみましょう。江戸時代の3大俳人である、松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶、明治時代の正岡子規の名句を鑑賞することは、俳句を始める際とても役に立つでしょう。ぜひお子さまと一緒に手拍子を取りながら音読してみてください。(2)「自分だけの発見」を俳句に最初は17音に言葉をはめることに集中しますが、慣れてくると内容にもこだわろうとするようになるのだそう。そんな時アドバイスするとしたら、「自分だけの発見」にこだわること。見たものを写生するように言葉する、体験を具体的に、家族や友達を題材にするなど。まずは興味を持った身近な題材から始めてみましょう。(3)気持ちを書かずに気持ちを表す題材が見つかったら、次は表現方法でのコツです。子どもは素直に嬉しかったこと、悲しかったことをそのまま言葉にするかもしれません。しかし俳句では直接表現よりも間接的な言葉でその感情を表して読者に想像してもらう方がいい句となります。初げいこ心も竹刀もまっすぐに(引用元:金子兜太監修(2014),『子どもと楽しむ俳句教室』p102, 誠文堂新光社.)このように場面を詠むだけで清々しい心意気の心情が表せると素晴らしいですね。ポイントは、「気持ちを書かずに気持ちを表す」ですよ。(4)俳句を鑑賞し合う俳句を作った後はお互いの句を鑑賞し合いましょう。友達同士でも親子でも、自分が作った句が褒められれば嬉しいですし、次の励みにもなります。人が作った様々な句に触れれば俳句を見る目も育ちます。子どもの俳句番組に出演した教育評論家の尾木直樹氏は、俳句を作る過程で心が解放され、イキイキと変わっていく子ども達の表情に感動されています。大人のものに比べるとひねりはあまり効いていませんが、率直な表現が心にストレートに響くのです。まずは素直に一句、始めてみましょう!***今の俳句人気の立役者と言える俳人、夏井いつき先生もおっしゃっています。「センスや才能がなくても誰でも簡単にできる。自分が思ったことやしゃべったことを俳句にできるとおもしろくなってくる」。夏井先生の元には小学生からもたくさんのファンレターが届くそうです。俳句は子どもたちをも魅了してしまう証拠ですね。俳句を詠むことで、日本語の幅が広がり、表現豊かになります。国際化が進むいまだからこそ、日本語の美しさを再認識し、言葉を大切にできる人が増えることはとても大事なのではないかと思います。(参考)心揺さぶる算数の授業をめざして|総合的な学習の時間「俳句づくり」Woman excite|感性を磨く俳句づくりのコツ文春オンライン|尾木ママが語る俳句の魅力「思わぬ自分、思わぬ他者を発見できる」毎日新聞|子育て親子 秋晴れに 言葉紡ぐ目 閃閃とコトバンク|三冊子金子兜太監修(2014), 『子どもと楽しむ俳句教室』, 誠文堂新光社.
2018年11月17日子どもの想像力を育むことは大切。でもそれが想定外だとしたら…子どもの行動は、親の想定外の「よくぞここまで!」と思うようなことをやってのけてくれますよね。わが家の3人の子どもの場合も、いろいろ驚かされることがいっぱいです。私自身は、子どもの想像力を育むことはとても大事なことだと常々思っています。先日絵本作家さんの講演会に行ってきました。その人のお父さんは、絵本をらくがき帳代わりにしようが、はさみで切って遊んでも、叱らなかったとのこと。それを聞いて、わが子たちにもそんな環境を作ってあげられたらなぁ、と改めて感じました。ですが、頭で思っていることと実際の私の行動には大きなギャップがあるようで…。今回は私が本気でキレてしまった「わが家の高級枕」についてのお話です。大げさでなく、その事実を知ったときの私、こんな顔だったんじゃないかと思います子どもの誕生日にプレゼントした高級枕みなさんのお子さんは、枕を使っていますか?わが家では、3歳の誕生日、何をプレゼントしようかと悩み、「3歳くらいから枕を使うといい」という情報を得て、どうせ買うならきちんとしたものを!と意気込んで購入しました。高級枕の代名詞のようなテンピュール。子どもたちの成長や体のことを思い、よいものを与えたいという親心でした。しかし、まだまだ3歳児、とんでもない寝相です。「枕ってなんだっけ?」と思うような寝相。枕は早かったのかもしれません。高級枕をわきによけ、妹の上で爆睡中!枕がまさかの!?異変に気付いた私は…ところで、スクイーズってご存知ですか?発泡ウレタンでできた柔らかいスポンジのような素材で、握りつぶして遊ぶグッズです。少し前に子どもたちの間で大流行しました。スクイーズだけを扱う専門店が登場したりもしましたね。スクイーズ。にぎにぎしてその触感を楽しみますある日、私が子どもの枕を触った時、「うん?形が変?」と異変に気づきました。カバーを取り外してみると、この惨状。2か所の角が切り取られていたのです。まぁ、子どもたちも、ばれないよう最小限にしておいたんでしょうが、「子どものために」、「体にいいものを」と奮発して購入した高級枕の姿に母はガクゼンとしました。子どもたち3人を呼びつけ、「なにしてんのー!」大声あげて叱りつけてしまいました。加えて「いくらしたと思ってんの?」という言葉まで添えてお説教。切ったものを持ってこさせたものの、1か所はなんとか出てきたピースでなおりそうでしたが、大きく切りとられた方は、あきらめるしかなさそうです。そこで先ほどの写真にあった食パンのスクイーズ。それを使って母の意地で修復しました。触り心地はいまいちですが、枕へのこだわりと意地でなんとか体裁は整えました子どもの豊かな想像力だと受け止められるようになりたい!子どもたちが、にぎにぎして気持ちいいと思うのもよくわかります。確かに気持ちいいですものね。その気持ちいい感触から、すばらしい想像力で自分たちのおもちゃに変身させた子どもたちってすごい!と思いたいですが、私には枕を切り刻まれてにぎにぎおもちゃと化した惨状を大きな心で受け止めることはできませんでした。子どもの豊かな想像力だと受け止められるようになりたいと思いながらも、こんなことなら、母こそ安眠をもたらす高級枕を買っておけばよかったといまだに少し根に持っている私です。
2018年11月15日専門家・プロ:牧野直子秋の魚といえば「秋刀魚(さんま)」。出回る時期が限られているので、旬の時季には食べたいもの。新鮮なものなら刺身もよいですね。定番は塩焼きですが、小さい子どもは骨に苦戦してしまいます。骨をとりながら食べる練習も必要ですが、食べやすくして魚料理を食べるハードルを下げることも大切です。今回はさんまを3枚におろしたものを使います。もちろん、身の中央の小骨はしっかりとりましょう。また、魚の生臭さが魚嫌いの理由のひとつなので、下味をつけることで食べやすくします。しょうが汁と少量のにんにくを使うのがポイントです。わが家では、肉でも魚でも竜田揚げにするときは、このレシピの下味に漬けます。下味に漬けた食材の汁気をふけば、冷凍しておくこともできます。揚げるときには、冷蔵庫に移すか、保存袋のまま流水解凍してから使います。さんまは良質なたんぱく質源。そして脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸が含まれます。いずれも血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがあります。また、DHAは脳の神経伝達に不可欠な栄養素で、脳の活性化に役立つため、脳の老化抑制はもちろん、子どもの脳の発育、さらには「脳力アップ」を支えます。DHAやEPAは「あじ」や「いわし」「さば」「ぶり」などにも多いので、さんまがない時季は、ほかの青魚で補うようにしましょう。そのほか、さんまにはビタミンB2やB6が豊富です。いずれも口内炎や吹き出物の予防に欠かせません。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDもたくさん含まれています。成長期の子どもはしっかりとってほしい栄養が豊富なさんまを、上手に食卓に取り入れましょう。栄養まとめ(さんま)DHAやEPAが豊富。DHAは脳の神経伝達に不可欠な栄養素で、脳の活性化に役立つ。子どもの脳の発育、さらには「脳力アップ」を支える。質の良いたんぱく質源。口内炎や吹き出物の予防になるビタミンB2やB6、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富。さんまがない時季は「いわし」や「さば」などの青魚で、DHAやEPAを補いましょう。サンマの竜田揚げ1人あたり328kcal 塩分1.0g材料(4人分)さんま大2尾A(しょうゆ大さじ1、酒大さじ1/2、しょうが汁少々、おろしにんにく少々)片栗粉適量さつまいも50g揚げ油適量作り方1)さんまは3枚におろして、中骨をとり、1切れを3等分に切る。Aに20分くらい漬ける。2)スティック状に切ったさつまいも、揚げ油をフライパンに入れてから、火にかけ、カラリと揚げる。(低温から揚げることで、さつまいもによく火が通る)3)2)の揚げ油を170度にし、1)のさんまの汁けをふいて、片栗粉をまぶしてカラリと揚げる。4)3)とさつまいもを盛り合わせる。牧野直子(まきのなおこ)管理栄養士、料理研究家、㈲スタジオ食(くう)代表。大学在学中から栄養指導や教育活動に関わる。メディア(雑誌、書籍、テレビほか)をはじめ、料理教室、講演会、病院や保健センター等で幅広く活動。わかりやすく、実践しやすい指導をモットーに、生活習慣病や肥満の予防・改善のための食生活指導や栄養指導に携わるほか、健康によく、簡単で、おいしい料理の提案を行っている。著書に「元気塾弁」(女子栄養大学出版部)、「病気にならない新・野菜を食べる健康法」(マガジンハウス)、「2歳からのごはんBOOK」(NHK出版)、「ひと目でわかる料理の手習い帖」(池田書店)など。
2018年11月13日手や指のほか、体を使って遊びながら歌う「手遊び歌」。音楽による幼児教育研究を専門とする高崎健康福祉大学人間発達学部子ども教育学科教授・岡本拡子先生によると、手遊び歌には、子どもの成長に欠かせない要素がたくさんあるのだそう。ここでは、体を使って子どもの想像力をアップさせる「手遊び歌」として、先生が特におすすめするものを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)子どもの心を捉える「意外性」手遊び歌は、体を使った遊びを伴うことで、子どもの想像力を育むものが多いという特徴があります。そして、子どもが好むのは、「変化」と「繰り返し」が含まれるもの(インタビュー第3回参照)。ただ、なかにはただの変化と繰り返しでは終わらないものもあります。『キャベツのなかから』という手遊び歌もそのひとつ。キャベツのなかから青虫が出てくるという内容で、親指を「お父さん青虫」に見立てるところから歌詞がはじまります。親指がお父さんを示すということは日本の文化ですから、みなさんもその後の歌詞は予測できますよね。子どもたちもそれは同じです。2番は人差し指を使って「お母さん青虫」。その後はお兄さん、お姉さん、赤ちゃんと続いていきます。でも、この歌のいいところはそのままで終わらないところ。最後は全部の指を使って、なんと「ちょうちょ」になっちゃう!この「意外性」が素晴らしくて、子どもたちが絶対に大好きになる歌です。とはいえ、こういった意外性は、子どもがある程度の年齢にならないと楽しめるものではない。そこで、子どもの年齢別にわたしがおすすめする手遊び歌をご紹介しましょう。こどもの年齢が上がるほど歌詞の内容や動きの面白さに目が向く◆0~1歳児向け『おやゆびねむれ』/作者不詳(わらべ歌)まだ小さな子どもには、互いに体を触れ合って遊ぶ歌がよいでしょう。この歌は、親指から順に指を1本ずつ折り曲げたり伸ばしたりしながら歌います。子どもが泣いてぐずっているときや、子どもを寝かしつけたいときにもおすすめですよ。歌うというよりも「語りかける」ように、穏やかに優しい口調でゆっくりと歌いかけてあげましょう。子どもは自然に心が落ち着いて、泣きやんだり眠ったりするはずです。歌いながら親子で触れ合うことで、子どもはお父さんやお母さんの温もりを感じながら安心感を得ることができます。◆2~3歳児向け『ずっとあいこ』/作詞・作曲:阿部直美手遊び歌には指で数を数えたり、グーチョキパーを用いて遊んだりする歌が多いというのもひとつの特徴です。これはその典型のものですね。ただ、それらは「数を覚える」とか、「ジャンケンのルールを覚える」といったような学習効果を期待して歌うものではありません。親子で一緒に歌いながら遊ぶことで、生活のなかで用いる数やジャンケンに親しんだり、自然にそういったあらゆる文化に興味関心を持ったりするようになるというものです。まだ幼い子どもにとっては指を1本ずつ動かすのは少し難しいかもしれませんが、うまくできなくても、楽しんで遊ぶことが大切ですよ。◆4~5歳児向け『くいしんぼうのゴリラ』/作詞・作曲:福尾野歩年齢が上がってくると、子どもの興味は歌詞の内容や動きの面白さに向かうようになります。歌詞の意味をきちんと理解し、描かれた場面を想像することで楽しくなってくる——そんな手遊び歌が数多くつくられています。この歌では、動きがユニークなゴリラが、バナナやレモンなど身近な食べものを食べたときの様子が表現されています。子どもと一緒にイメージを共有して楽しんでみましょう。また、登場する食べものを別の食べ物に置き換えて、オリジナルのものにしてみれば楽しさも倍増すると思いますよ。動きの面白さという点でいえば、『ポキポキダンス』もおすすめ。これは『Hokey Pokey(ホーキーポーキー)』というアメリカの民謡が由来の手遊び歌。動きが激しいものですので、年長さんくらいの子どもが好みます。この歌のいいところは、頭やお尻など自分の体に触れながら、その部位の名称を歌うところ。遊びのなかで、子どもが自分の体に目を向ける、意識することにもつながるはずです。それぞれ有名な歌ですので、『YouTube』などの動画共有サイトにはいくつも動画がアップされています。検索してぜひお子さんと一緒に遊んでみてください。『感性をひらく表現遊び―実習に役立つ活動例と指導案 音楽・造形・言葉・身体 保育表現技術領域別』岡本拡子 著/北大路書房(2013)■ 音楽教育のエキスパート・岡本拡子先生 インタビュー一覧第1回:幼少期における音楽体験の意味――「音楽という環境」を通し子どもの感性を伸ばす第2回:子どもの感性を育む「歌と五感」――幼い子どもの成長につながる歌ってどんな歌?第3回:「手遊び歌」が子どもにもたらすもの――楽しく歌うことが「学びの姿勢」につながる第4回:【年齢別おすすめ】子どもの想像力がアップする!5つの「手遊び歌」【プロフィール】岡本拡子(おかもと・ひろこ)1962年8月25日生まれ、大阪府出身。大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程音楽教育専攻修了。聖和大学大学院教育学研究科博士後期課程幼児教育専攻満期修了。聖和大学助手、美作大学短期大学部講師などを経て、現在は高崎健康福祉大学人間発達学部子ども教育学科教授。大学在学中より幼稚園や小学校などで「歌のお姉さん」として活動。その後、子育てをしながら大学院で幼児教育を学ぶ。現在は保育者養成に携わりながら、幼児やその保護者を対象としたコンサートや保育現場でのコンサートをおこなうほか、子どもの歌の作詞・作曲を手がける、保育者研修の講師を務めるなど、幅広く活躍する。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年11月05日